説明

固体撮像装置

【課題】 所定の識別用画素の位置情報を用い、確実にチップを識別可能な識別情報を生成することができる固体撮像装置及び該固体撮像装置のテスタを提供する。
【解決手段】 入射する光信号を画素毎に電気信号に変換する固体撮像素子部10と、固体撮像素子部10から画素毎に出力される電気信号で規定される画素レベルが所定の基準範囲内にあるか否かを判定する基準レベルを複数生成可能な基準レベル生成手段14と、基準レベル生成手段14によって生成された基準レベル別に、画素夫々の画素レベルが当該基準レベルで規定される基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行し、判定処理において画素レベルが基準範囲外であると判定された基準外画素を識別用画素とする判定手段15と、基準レベルを示す基準レベル情報と識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報とを含む識別情報を生成する識別情報生成手段16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、特に、装置固有の識別情報を生成する機能を備える固体撮像装置、及び、当該固体撮像装置に対する良否判定検査を実行可能なテスタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ機能付き携帯電話やデジタルカメラ等の需要増加に伴い、CCD(Charge Coupled Device)やCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を搭載した固体撮像装置の需要及び生産数量が増加している。また、近年、車のバックモニタに利用される固体撮像装置等、特に、安全性の観点等から、より高い信頼性が要望される固体撮像装置の需要も高まっている。
【0003】
ところで、固体撮像装置において、歩留まりや信頼性の向上のためには、製造時の検査工程において不良判定された不良チップについて、不良原因の解析を行うことが有効である。そして、不良原因の解析は、製造工程の履歴や検査工程で収集したデータに対する解析及び評価を、個々の不良チップと適切に関連付けて行うことが望ましい。このため、半導体ウェハからダイシングやアセンブリにより個片に切り離されたチップ(半導体装置)を個々に識別するための様々な技術が提案されている。
【0004】
ウェハから切り離されたチップを識別する技術には、例えば、IC(Integrated Circuit)チップの製造、試験及び性能に関する情報を記憶する不揮発性メモリを備え、当該不揮発性メモリに、ロット番号、ウェハ番号、チップ座標等の情報を記憶すると共に、これらの情報をチップの識別情報として利用可能に構成した半導体装置がある(例えば、特許文献1参照)。また、他のチップの識別技術として、例えば、固体撮像素子部の欠陥画素(欠陥画素補正処理される画素)の位置情報を記憶する不揮発性メモリを備え、該位置情報をチップの識別情報として利用する固体撮像装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−40103号公報
【特許文献2】特開2001−118052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の半導体装置では、チップ座標等の識別情報を記憶するために、識別情報用の専用の不揮発性メモリを設ける必要があり、チップ面積の増大を招くという問題があった。また、半導体ウェハから切り離す前に、各チップに、チップの固有の識別情報を記憶する必要がある。
【0007】
尚、上記特許文献2に記載の固体撮像装置では、固体撮像素子部の欠陥画素の位置情報を識別情報として用いるため、必ずしも識別情報用の専用の不揮発性メモリを設ける必要は無い。しかし、固体撮像素子部における欠陥画素の判定は、例えば、固体撮像素子部に所定の検査用画像(例えば、単調なグレー画像)を撮像させ、輝度値等の各画素の画素レベルを所定の基準レベルと比較して行うため、画素レベルが該基準レベルの境界付近にある画素の場合、撮像条件等によっては同じ画素に対する判定結果が異なる可能性がある。このような場合に、固体撮像素子部の欠陥画素の位置情報を識別情報として用いると、欠陥画素の判定時の条件等によって判定結果が異なり、識別情報として利用できなくなる可能性があるという問題があった。
【0008】
ここで、図8は、固体撮像素子部の画素レベルの分布例を示している。図8において、電圧th0は、従来の固体撮像装置において欠陥画素の判定に用いられる基準レベルの電圧値を示しており、この基準レベルより大きい画素レベルの画素を欠陥画素と判定している。図8(a)に示す画素レベル分布を有する固体撮像装置の場合には、欠陥画素の画素レベル分布と正常画素の画素レベル分布が分離しているので、欠陥画素の判定を安定して行えるが、図8(b)に示す画素レベル分布を有する固体撮像装置の場合には、欠陥画素と正常画素の境界が曖昧であり、欠陥画素の判定が安定して行なえない可能性がある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の固体撮像装置では、欠陥画素数が極端に少ない場合には、同じ半導体ウェハから切り離された複数のチップにおいて、同じ位置の画素が欠陥画素であると判定される可能性がある。この場合には、同じ識別情報を持つチップが複数存在することとなり、個々のチップを識別できなくなる可能性がある。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固体撮像素子部の所定の識別用画素の位置情報を用い、確実にチップを識別可能な識別情報を生成することができる固体撮像装置を提供する点にある。また、当該固体撮像装置から識別情報を取得してより確実に精度良くチップを識別可能なテスタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る固体撮像装置は、入射する光信号を画素毎に電気信号に変換する固体撮像素子部と、前記固体撮像素子部から画素毎に出力される前記電気信号で規定される画素レベルが所定の基準範囲内にあるか否かを判定する基準レベルを複数生成可能な基準レベル生成手段と、前記基準レベル生成手段によって生成された前記基準レベル別に、前記画素夫々の前記画素レベルが当該基準レベルで規定される前記基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理において前記画素レベルが前記基準範囲外であると判定された基準外画素を識別用画素とする判定手段と、前記基準レベルを示す基準レベル情報と前記識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報とを含む識別情報を生成する識別情報生成手段と、を備えることを第1の特徴とする。
【0012】
上記特徴の本発明に係る固体撮像装置は、前記識別情報生成手段が、複数の前記基準レベルに対応して、複数の前記識別情報を生成することを第2の特徴とする。
【0013】
上記何れかの特徴の本発明に係る固体撮像装置は、前記基準レベル生成手段が、前記基準範囲が次第に狭くなるように前記基準レベルを順次生成し、前記判定手段が、前記基準範囲が広い前記基準レベルから順に前記基準レベル別の前記判定処理を実行し、前記判定処理の実行毎に前記基準外画素の画素数を求め、前記基準外画素の画素数が所定の最大検出数以下の前記判定処理の内、前記基準外画素の画素数が最大となる前記判定処理の前記基準外画素を前記識別用画素とすることを第3の特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る固体撮像装置は、入射する光信号を画素毎に電気信号に変換する固体撮像素子部と、前記固体撮像素子部から画素毎に出力される前記電気信号で規定される画素レベルが基準範囲内にあるか否かを判定する基準レベルを外部から受け付ける基準レベル受け付け手段と、前記基準レベル受け付け手段が受け付けた前記基準レベルを用いて、前記画素夫々の前記画素レベルが当該基準レベルで規定される前記基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理において前記画素レベルが前記基準範囲外であると判定された基準外画素を識別用画素とする判定手段と、前記識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報を含む識別情報を生成する識別情報生成手段と、を備えることを第4の特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係るテスタは、上記第1〜第3の特徴の固体撮像装置と電気的に接続して、前記固体撮像装置の良否判定検査を実行可能なテスタであって、前記固体撮像装置毎の前記識別情報を検索可能に記憶する識別情報記憶手段と、前記固体撮像装置から前記識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報を、前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報の夫々と比較する比較処理により、前記固体撮像装置を識別する識別手段と、を備えることを第1の特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係るテスタは、上記第4の特徴の固体撮像装置と電気的に接続して、前記固体撮像装置の良否判定検査を実行可能なテスタであって、前記固体撮像装置毎の前記識別用画素分布情報と該識別用画素分布情報に対応する前記基準レベルを示す前記基準レベル情報を含む前記識別情報を検索可能に記憶する識別情報記憶手段と、複数の前記基準レベルを生成し、生成した前記基準レベルを前記固体撮像装置の前記基準レベル受け付け手段に入力して、前記固体撮像装置から前記識別用画素分布情報を含む前記識別情報を受け付け、前記識別情報に前記固体撮像装置に入力した前記基準レベルを示す前記基準レベル情報を対応付ける識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報を、前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報の夫々と比較する比較処理により、前記固体撮像装置を識別する識別手段と、を備えることを第2の特徴とする。
【0017】
上記特徴の本発明に係るテスタは、前記識別情報記憶手段が、前記固体撮像装置毎に所定数の前記識別情報を記憶し、前記識別情報取得手段が、前記固体撮像装置毎に所定数の前記識別情報を取得することを第3の特徴とする。
【0018】
上記第2または第3の特徴の本発明に係るテスタは、前記識別情報取得手段が、前記基準範囲が次第に狭くなるように前記基準レベルを順次生成し、前記基準範囲が広い前記基準レベルから順に前記固体撮像装置に入力して、前記識別情報を順次受け付け、前記識別情報の夫々に対応する前記基準レベル情報を対応付けし、前記識別手段が、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報のデータ量が一定量以下である前記基準レベルの内、前記データ量が最大となる前記基準レベルについての前記識別情報を用いて前記比較処理を実行し、前記固体撮像装置を識別することを第4の特徴とする。
【0019】
上記何れかの特徴の本発明に係るテスタは、前記識別手段による前記固体撮像装置の識別の前に、予め前記識別情報取得手段から前記固体撮像装置毎に前記識別情報を取得し、前記識別情報取得手段から取得した前記固体撮像装置毎の前記識別情報を前記識別情報記憶手段に記憶する識別前処理手段を備えることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記特徴の固体撮像装置によれば、判定処理に用いる基準レベルを複数生成可能に、つまり、基準レベルを可変に構成したので、固体撮像素子部の特性等に応じて、識別情報の生成のために適切な基準レベルを選択することが可能になる。
【0021】
具体的には、従来技術に係る固体撮像装置のように、基準レベルを固定的に、例えば、欠陥画素の判定用の基準レベルに設定すると、欠陥画素数が極端に少ない場合には固体識別に必要な情報を確保できない場合が生じる可能性があり、或いは、欠陥画素数が極端に多い場合には識別情報のデータ量が極端に多くなる。これに対し、上記特徴の固体撮像装置では、判定処理に用いる基準レベルを可変に構成したので、例えば、欠陥画素数が極端に少ない或いは欠陥画素がない固体撮像装置の場合でも、基準レベルを適切に設定することで、識別情報の生成に必要な画素数の識別用画素を確保できる。つまり、上記特徴の固体撮像装置では、例えば、基準レベルを、図8に示す通常の欠陥判定用の画素レベルth0より低い値に設定可能である。この場合には、判定処理において基準外画素と判定される画素数が多くなる。即ち、通常の欠陥画素に加え、通常では欠陥画素と判定されない基準外画素を識別情報の生成に利用することが可能になるので、必要な識別用画素をより確実に確保することが可能になる。逆に、欠陥画素数が極端に多い固体撮像装置の場合には、基準レベルを、図8に示す通常の欠陥判定用の画素レベルth0より高い値に設定可能である。この場合には、判定処理において基準外画素と判定される画素数が少なくなる。即ち、欠陥画素の内、識別情報の生成に必要な数の欠陥画素だけを識別情報の生成に利用することが可能になるので、識別情報のデータ量を適切な範囲に抑えることが可能になる。
【0022】
従って、上記特徴の固体撮像装置では、固体撮像素子部の特性によらず、より確実に固体識別に最適な識別情報を得ることが可能になると共に、識別情報のデータ量を適切な範囲に抑えることが可能になり、不良原因の解析をより適切に精度良く実施することが可能になる。
【0023】
更に、上記第1〜第3の特徴の固体撮像装置によれば、基準レベルを示す基準レベル情報と識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報とを含む識別情報を生成するので、単に欠陥画素の位置情報を識別情報として利用する場合に比べ、識別情報の精度を上げることができる。
【0024】
また、上記第2の特徴の固体撮像装置によれば、複数の基準レベルを生成して基準レベル別に複数の判定処理を行うので、画素レベルが境界付近にある画素に対する判定処理の結果を安定させることができ、安定した識別情報を得ることが可能になる。つまり、上記第2の特徴の固体撮像装置では、より精度の高い安定した識別情報を得ることが可能になり、より確実に固体撮像装置を識別することが可能になる。
【0025】
上記第4の特徴の固体撮像装置によれば、基準レベルを外部から受け付けて判定処理を行い、識別情報を生成するので、テスタ側で複数の基準レベルによる識別情報を取得し、基準レベルと対応付けすることが可能になり、上記第1〜第3の特徴の固体撮像装置の場合と同様に、識別情報の精度向上及び識別情報の安定性の向上を図ることが可能になる。
【0026】
更に、上記特徴の固体撮像装置において、判定処理毎に基準レベル情報と識別用画素の位置情報を出力するように構成すれば、不揮発性メモリ等の識別情報を記憶するための記憶手段を別途設ける必要がなくなり、チップ面積の増大を抑えることが可能になる。
【0027】
尚、上記第3の特徴の固体撮像装置によれば、識別情報として利用する基準外画素の画素数を所定の最大検出数以下に限定するので、識別情報のデータ量をより確実に一定量以下に抑えることが可能になる。より具体的には、近年、画質向上等のために固体撮像素子部の画素数が増大する傾向にあることから、これに応じて欠陥画素の画素数も増大することが考えられる。このように、欠陥画素を識別用画素とする構成では、欠陥画素の画素数が非常に多い場合、識別情報のデータ量が膨大になるが、上記第3の特徴の固体撮像装置によれば、識別情報として利用する基準外画素の画素数を所定の最大検出数以下に限定するので、最大検出数を適切に設定することで、識別情報として必要な画素数の識別用画素を確保しつつ、識別情報のデータ量が膨大になるのを回避できる。また、上記第3の特徴の固体撮像装置によれば、範囲が広い基準レベルから順に判定処理を行うので、通常の画素の画素レベルとの差が大きく、安定して基準外画素と判定される画素から順に識別用画素とすることができ、識別情報の安定性を高めることができる。
【0028】
上記特徴のテスタによれば、上記何れかの特徴の固体撮像装置に対する検査工程で、基準レベルを示す基準レベル情報と識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報とを含む識別情報を利用して固体撮像装置を識別することが可能になる。これにより、個々の固体撮像装置についてより精度の高い安定した識別情報を得ることが可能になり、より確実に固体撮像装置を識別することが可能になるので、不良原因の解析をより適切に精度良く実施することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る固体撮像装置(以下、適宜「本発明装置」と称する)及びテスタの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
〈第1実施形態〉
本発明装置及びテスタの第1実施形態について、図1〜図5を基に説明する。
【0031】
先ず、本実施形態の本発明装置及びテスタの構成について、図1及び図2を基に説明する。ここで、図1は、本実施形態における本発明装置1A及びテスタ2Aについて、識別情報の生成に係る部分の部分概略構成例を示しており、図2は、基準レベル生成回路14の一回路構成例を示している。
【0032】
本発明装置1Aは、図1に示すように、入射する光信号を画素毎に電気信号に変換する固体撮像素子部10、タイミング発生回路12から出力されるタイミング信号に同期して固体撮像素子部10を撮像動作のために駆動する駆動回路11、駆動回路11及び制御回路13の動作タイミングを設定するタイミング信号を生成するタイミング発生回路12、本発明に係る各構成を制御する制御回路13、及び、後述するテスタ2A等の外部装置と接続するための入出力回路17を備えている。
【0033】
より詳細には、固体撮像素子部10は、本実施形態では、タイミング発生回路12から出力されるタイミング信号に同期して動作する駆動回路11に応じて、被写体を撮像し、画素毎の電気信号を後述する制御回路13及び入出力回路17に対して出力する。
【0034】
制御回路13は、本発明に係る機能として、固体撮像素子部10から画素毎に出力される電気信号で規定される画素レベルが所定の基準範囲内にあるか否かを判定する基準レベルを複数生成可能な基準レベル生成回路14(基準レベル生成手段に相当)と、基準レベル生成回路14によって生成された基準レベル別に、画素夫々の画素レベルが当該基準レベルで規定される基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行し、判定処理において画素レベルが基準範囲外であると判定された基準外画素を識別用画素とする判定回路15(判定手段に相当)と、基準レベルを示す基準レベル情報と識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報とを含む識別情報を生成するIDコード生成回路16(識別情報生成手段に相当)を備えている。また、本実施形態の制御回路13は、タイミング発生回路12から出力されるタイミング信号に同期して各回路の制御を行なうように構成されている。
【0035】
基準レベル生成回路14は、図2に示すように、電源電圧を抵抗分割して複数の基準電圧を生成する抵抗回路141、抵抗回路141から出力される複数の基準電圧の内の1つを選択するスイッチ回路142、基準レベル(基準電圧)の切り替え毎に値を更新し、後述するIDコード生成回路16に対し、カウンタ値を基準レベル情報として出力するカウンタ回路140、及び、スイッチ回路142とカウンタ回路140を制御するコントローラ143を備えて構成されている。
【0036】
より具体的には、本実施形態では、基準レベル生成回路14の抵抗回路141は、図2に示すように、抵抗値の等しい抵抗R〜抵抗R(nは1以上の任意の整数)を備えて構成されている。スイッチ回路142は、スイッチS〜スイッチSを備えて構成されており、コントローラ143により、スイッチ回路142を構成するスイッチS〜スイッチSの内の1つの選択スイッチのみがON状態に、他の全ての非選択スイッチがOFF状態になるように制御される。
【0037】
判定回路15は、基準レベル毎に、固体撮像素子部10の各画素に対する判定処理を実行する。更に、判定回路15は、図1に示すように、基準外画素の検出数をカウントするカウンタ回路150を備えて構成されており、基準外画素が検出される毎に、当該画素の固体撮像素子における位置情報(座標)を後述するIDコード生成回路16に出力すると共に、カウンタ回路150の値をインクリメントする。また、判定回路15は、本実施形態では、異なる基準レベルを用いた判定処理の複数で画素レベルが基準範囲外であると判定された画素を基準外画素として特定する。
【0038】
IDコード生成回路16は、判定回路15から順次出力される基準外画素の位置情報を用いて識別用画素分布情報を生成し、当該識別用画素分布情報と基準レベル生成回路14から出力される基準レベル情報を用いて識別情報を生成する。
【0039】
具体的には、本実施形態では、判定回路15から出力される識別用画素夫々の位置情報を識別用画素分布情報とし、基準レベル生成回路14のカウンタ回路140の値を基準レベル情報としている。尚、ここでは、カウンタ回路140の値は、選択されているスイッチを示す値に設定されており、スイッチS(j=n〜1)が選択されているときのカウンタ回路140の値はjである。例えば、図2に示す基準レベル生成回路14において右から5つ目のスイッチS(図示せず)が選択されているときに、判定回路15から識別用画素の位置情報(座標)としてA[7:0]=“10101010”が出力された場合、IDコード生成回路16は、位置情報“10101010”と基準レベル情報“0101”(=5)からなる識別情報“101010100101”を出力する。
【0040】
以下、制御回路13のIDコード生成における動作手順について、図3を基に説明する。ここで、図3は、本実施形態における制御回路13のIDコードの生成についての処理動作を示している。
【0041】
図3に示すように、本発明装置1Aに対し識別情報の生成要求が行われると、制御回路13は、先ず、基準レベル生成回路14のカウンタ回路140等の初期化を行う。ここで、カウンタ回路140の初期値はnである。続いて、制御回路13は、判定処理で用いる基準電圧を選択し、選択した基準電圧が出力されるように基準レベル生成回路14のスイッチ回路142を制御する(ステップ#101)。ここで、図4は、固体撮像素子部10を構成する画素全体での画素レベルの電圧分布例を、各画素レベルに対する画素数で示している。図4中の各基準電圧thi(i=n〜1)は、スイッチSをON状態にしたときに基準レベル生成回路14から出力される基準電圧に夫々対応している。本実施形態では、制御回路13は、スイッチ回路142のスイッチS〜スイッチSをこの順に順次ONさせるように制御する。これにより、範囲が次第に狭くなるように、即ち、電圧レベルが次第に低くなるように基準電圧が順次選択される。また、カウンタ回路140は、スイッチ回路142の切り替え制御毎に、nから順に1ずつ値をデクリメントする。これにより、カウンタ回路140の値が選択されたスイッチを示す値に設定される。
【0042】
引き続き、判定回路15は、固体撮像素子部10の画素夫々の画素レベルと、基準レベル生成回路14から出力される基準電圧の電圧レベル(基準レベル)とを比較して、画素レベルが基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行する(ステップ#102)。ここでは、画素レベルが基準電圧の電圧レベル以下である場合に基準範囲内であると判定し、画素レベルが基準電圧の電圧レベルより大きい場合に基準範囲外であると判定する。
【0043】
尚、本実施形態では、判定回路15は、基準範囲外であると判定された基準外画素候補の夫々について、既に実行した判定処理において基準外画素候補と判定された判定回数を確認し、基準外画素候補と判定された判定回数が予め設定された規定検出回数以上である場合に、基準外画素であると判定する。
【0044】
より具体的には、例えば、図4(a)及び(b)において、図4中の各斜線部分に分布する画素は、少なくとも基準電圧th3〜th1を用いた判定処理を実行した場合に基準外画素候補と判定されるため、基準外画素候補であると判定される回数は3回以上となる。これに対し、図4(b)において、基準電圧th3〜th2内に分布する画素は、基準電圧thn〜th3を用いた判定処理では基準外画素候補と判定されず、基準電圧th2及びth1を用いた判定処理においてのみ基準外画素候補と判定されるので、基準外画素候補と判定される回数が2回となる。同様に、基準電圧th2〜th1内に分布する画素は、基準電圧thn〜th2を用いた判定処理では基準外画素候補と判定されず、基準電圧th1を用いた判定処理においてのみ基準外画素候補と判定されるので、基準外画素候補と判定される回数が1回となる。基準電圧th1以下の範囲に分布する画素は、基準電圧thn〜th1を用いた判定処理の全てにおいて基準外画素候補と判定されない。
【0045】
ここで、例えば、従来技術に係る固体撮像装置において欠陥画素の判定に通常利用される基準電圧が基準電圧th2であるとすると、図4(b)において、欠陥画素と正常画素の境界付近、即ち、基準電圧th3〜th1内に分布する画素は、撮像条件等によって判定結果が異なる場合があると考えられる。この場合に、規定検出回数を3回に設定すれば、図4中の斜線部分(基準電圧thn〜th3内)に分布する画素は、上述したように、基準外画素候補であると判定される回数が3回以上であるため、基準外画素と判定される。画素レベルが基準電圧th3以下の画素は、基準外画素候補と判定される回数が2回以下であるため、基準外画素から除外されることとなる。即ち、図4(b)において、欠陥画素と正常画素の境界付近(基準電圧th3〜th1)に分布し、撮像条件等によって判定結果が異なると考えられる画素を基準外画素から除くことができる。これによって、画素レベルの値が、基準電圧th2に対して十分なマージンを持った画素を、基準外画素と判定することができる。
【0046】
このように、複数の異なる基準電圧を用いた複数の判定処理で、規定検出回数以上、基準外画素候補として判定される画素を基準外画素として判定するように構成すれば、判定結果の安定性を高めることができる。尚、規定検出回数は、固体撮像素子部10の画素数や画素レベルの分布等を考慮して、識別情報の生成に必要な数の基準外画素(識別用画素)を確保できる値に設定する。
【0047】
更に、判定回路15は、ステップ#102の判定処理の実行前に予めカウンタ回路150の値を0に初期化しておき、基準外画素が判定される毎にカウンタ回路150の値をインクリメントして、基準外画素の画素数を求める。
【0048】
引き続き、判定回路15は、基準外画素数を最大検出数と比較し(ステップ#103)、基準外画素数が最大検出数より小さい場合には(ステップ#103でNo分岐)、現在選択されている基準電圧の電圧レベルが、予め規定された最小電圧値であるか否かを確認し(ステップ#104)、基準電圧が最小電圧値ではない場合は、ステップ#101に移行して、再度、基準レベルの設定を行う。より具体的には、ステップ#104において、図2に示す基準レベル生成回路14のスイッチ回路142において選択されているスイッチS(i=n〜1)が、最小電圧値の基準電圧を出力するスイッチS以外のスイッチである場合は(ステップ#104でNo分岐)、ステップ#101に移行して、カウンタ回路140の値を更新(デクリメント)し、電圧値が小さいスイッチSi−1を選択して、再度、判定処理(ステップ#102)等を実行する。ここで、最大検出数は、固体撮像素子部10の画素数や欠陥画素の発生率等を考慮して適切な値に設定する。
【0049】
IDコード生成回路16は、ステップ#103で基準外画素数が最大検出数以上であると判定された場合は(ステップ#103でNo分岐)、前回の判定処理における基準外画素を識別用画素とし、ステップ#104で基準電圧の電圧レベルが最小電圧値であると判定された場合は(ステップ#104でYes分岐)、最小電圧値の基準レベルを用いた判定処理における基準外画素を識別用画素として、識別用画素の夫々の位置情報(識別用画素分布情報に相当)とカウンタ回路140の値(基準レベル情報に相当)を含む本発明装置1Aの固体識別用のIDコード(識別情報)を生成する(ステップ#105)。
【0050】
テスタ2Aは、図1に示すように、本発明装置1Aと電気的に接続して、本発明装置1Aの良否判定検査を実行可能に構成されている。テスタ2Aは、本発明に係る機能として、本発明装置1A毎の識別情報を検索可能に記憶する識別情報記憶手段21と、本発明装置1Aから識別情報を取得する識別情報取得手段22と、識別情報取得手段22が取得した識別情報を、識別情報記憶手段21に記憶された識別情報の夫々と比較する比較処理により、本発明装置1Aを識別する識別手段23と、本発明装置1Aと電気的に接続してデータ通信を行うための入出力回路24を備えている。
【0051】
識別情報記憶手段21は、本実施形態では、本発明装置1A毎に、本発明装置1Aの識別情報、本発明装置1Aの半導体ウェハにおける位置情報、製造工程の履歴等を記憶可能に構成されている。
【0052】
本実施形態のテスタ2Aは、更に、識別手段23による本発明装置1Aの識別の前に、予め識別情報取得手段22から本発明装置1A毎に識別情報を取得し、識別情報取得手段22から取得した本発明装置1A毎の識別情報を識別情報記憶手段21に記憶する識別前処理手段20を備えて構成されている。
【0053】
以下、本実施形態におけるテスタ2Aの動作手順について図5を基に説明する。ここで、図5は、本実施形態におけるテスタ2Aの識別前処理及び固体識別処理の動作手順を示している。識別前処理を予め実行しておくことで、本発明装置1Aの製造時の検査工程において、固体識別処理により、本発明装置1Aを識別することが可能になる。
【0054】
識別前処理では、図5に示すように、テスタ2Aの識別前処理手段20が、同じ半導体ウェハに形成された本発明装置1Aに対し、順次、識別情報の取得要求を行う(ステップ#201)。識別情報の取得要求に応じて本発明装置1Aが識別情報を生成し出力すると(ステップ#100)、テスタ2Aの識別情報取得手段22は、当該識別情報を取得する。引き続き、識別前処理手段20は、識別情報取得手段22が取得した本発明装置1A毎の識別情報を検索可能に識別情報記憶手段21に記憶する(ステップ#202)。識別前処理手段20は、同じ半導体ウェハに形成された全ての本発明装置1Aに対しステップ#201及びステップ#202の処理を実施する(ステップ#203)。
【0055】
固体識別処理では、図5に示すように、テスタ2Aが、テスタ2Aに電気的に接続された本発明装置1Aに対し、識別情報の取得要求を行う(ステップ#211)。識別情報の取得要求に応じて本発明装置1Aが識別情報を生成し出力すると(ステップ#110)、テスタ2Aの識別情報取得手段22が、本発明装置1Aから出力された識別情報を取得する。引き続き、テスタ2Aの識別手段23が、識別情報取得手段22が取得した識別情報を、識別情報記憶手段21に記憶された識別情報の夫々と比較する比較処理を行なう(ステップ#212)。識別手段23は、比較処理により、本発明装置1Aから出力された識別情報に一致する識別情報が検索された場合は(ステップ#213でYes分岐)、本発明装置1Aを識別する(ステップ#215)。本発明装置1Aから出力された識別情報に一致する識別情報が検索されなかった場合は(ステップ#213でNo分岐)、エラー情報を出力する(ステップ#214)。
【0056】
〈第2実施形態〉
本発明装置1及びテスタ2の第2実施形態について、図6及び図7を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1実施形態とは、基準レベルの生成方法が異なる場合について説明する。より詳しくは、上記第1実施形態では、本発明装置1A内で複数の基準レベルを生成したが、本実施形態では、テスタ2B側で複数の基準レベルを生成する場合について説明する。
【0057】
先ず、本実施形態の本発明装置1B及びテスタ2Bの構成について、図6を基に説明する。ここで、図6は、本実施形態における本発明装置1B及びテスタ2Bについて、識別情報の生成に係る部分の部分概略構成例を示している。
【0058】
本発明装置1Bは、図6に示すように、固体撮像素子部10、駆動回路11、タイミング発生回路12、制御回路13、及び、入出力回路17を備えている。尚、固体撮像素子部10及び入出力回路17の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0059】
本発明装置1Bの制御回路13は、本発明に係る機能として、固体撮像素子部10から画素毎に出力される電気信号で規定される画素レベルが基準範囲内にあるか否かを判定する基準レベルを外部から受け付ける基準レベル受け付け手段18と、基準レベル受け付け手段18が受け付けた基準レベルを用いて、画素夫々の画素レベルが当該基準レベルで規定される基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行し、判定処理において画素レベルが基準範囲外であると判定された基準外画素を識別用画素とする判定回路15(判定手段に相当)と、識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報を含む識別情報を生成するIDコード生成回路16(識別情報生成手段に相当)と、を備えて構成されている。
【0060】
テスタ2Bは、図6に示すように、上記第1実施形態のテスタ2Aと同様に、本発明装置1Bと電気的に接続して、本発明装置1Bの良否判定検査を実行可能に構成されている。本実施形態のテスタ2Bは、本発明に係る機能として、本発明装置1B毎の識別用画素分布情報と該識別用画素分布情報に対応する基準レベルを示す基準レベル情報を含む識別情報を検索可能に記憶する識別情報記憶手段21と、複数の基準レベルを生成し、生成した基準レベルを本発明装置1Bの基準レベル受け付け手段18に入力して、本発明装置1Bから識別用画素分布情報を含む識別情報を受け付け、識別情報に本発明装置1Bに入力した基準レベルを示す基準レベル情報を対応付ける識別情報取得手段22と、識別情報取得手段22が取得した識別情報を、識別情報記憶手段21に記憶された識別情報の夫々と比較する比較処理により、本発明装置1Bを識別する識別手段23を備えて構成されている。
【0061】
尚、本実施形態の識別情報記憶手段21は、上記第1実施形態と同様に、本発明装置1B毎に、本発明装置1Bの識別情報、本発明装置1Bの半導体ウェハにおける位置情報、製造工程の履歴等を記憶可能に構成されている。
【0062】
本実施形態のテスタ2Bは、上記第1実施形態と同様に、識別手段23による本発明装置1Bの識別の前に、予め識別情報取得手段22から本発明装置1B毎に識別情報を取得し、識別情報取得手段22から取得した本発明装置1B毎の識別情報を識別情報記憶手段21に記憶する識別前処理手段20を備えて構成されている。
【0063】
以下、本実施形態におけるテスタ2Bの動作手順について図7を基に説明する。ここで、図7は、本実施形態におけるテスタ2Bの識別前処理及び固体識別処理の動作手順を示している。
【0064】
識別前処理では、図7に示すように、テスタ2Bに本発明装置1Bが接続されると(ステップ#400)、テスタ2Bの識別前処理手段20が、識別情報取得手段22により、基準レベルを生成し、本発明装置1Bに出力し(ステップ#401)、識別情報の取得要求を行う(ステップ#402)。ここでは、識別情報取得手段22は、範囲が次第に狭くなるように基準レベルを順次生成し、範囲が広い基準レベルから順に本発明装置1Bに入力する。より具体的には、例えば、図4に示す基準電圧thn〜th1を生成し、基準電圧thnから順に本発明装置1Bに入力する。
【0065】
本発明装置1Bは、テスタ2Bから基準レベルが入力されると(ステップ#301)、識別情報の取得要求に応じて、識別用画素分布情報を含む識別情報をテスタ2Bに対して出力する(ステップ#302)。
【0066】
テスタ2Bの識別情報取得手段22は、本発明装置1Bから識別用画素分布情報を含む識別情報を受け付けると、ステップ#401で本発明装置1Bに入力した基準レベルを示す基準レベル情報と対応付けする(ステップ#403)。続いて、識別情報取得手段22は、現在の基準電圧thj(j=n〜1)が、最小電圧値(基準電圧th1)ではない場合は(ステップ#404でNo分岐)、ステップ#401に移行して、現在の基準電圧thjより低い電圧値の基準電圧thj−1を新たな基準電圧(基準レベル)として設定する。
【0067】
識別情報取得手段22は、現在の基準電圧thj(j=n〜1)が、最小電圧値(基準電圧th1)の場合は(ステップ#404でYes分岐)、識別情報記憶手段21に、識別用画素分布情報と基準レベル情報を含む識別用情報を記憶する(ステップ#405)。
【0068】
識別情報取得手段22は、同様にして、順次、同じ半導体ウェハに形成された本発明装置1Bの全てについてステップ#401〜ステップ#405の処理を実施し、本発明装置1Bから識別情報を取得して識別情報記憶手段21に記憶する(ステップ#406)。
【0069】
固体識別処理では、図7に示すように、テスタ2Bの識別前処理手段20が、識別情報取得手段22により、基準レベルを生成し、テスタ2Bに電気的に接続された本発明装置1Bに出力し(ステップ#411)、識別情報の取得要求を行う(ステップ#412)。ここでは、識別情報取得手段22は、識別前処理の場合と同様に、範囲が次第に狭くなるように基準レベルを順次生成し、範囲が広い基準レベルから順に本発明装置1Bに入力する。
【0070】
本発明装置1Bは、テスタ2Bから基準レベルが入力されると(ステップ#311)、識別情報の取得要求に応じて、識別用画素分布情報を含む識別情報をテスタ2Bに対して出力する(ステップ#312)。
【0071】
テスタ2Bの識別情報取得手段22は、本発明装置1Bから識別用画素分布情報を含む識別情報を受け付けると、ステップ#411で本発明装置1Bに入力した基準レベルを示す基準レベル情報と対応付けする(ステップ#413)。続いて、識別情報取得手段22は、現在の基準電圧が最小電圧値ではない場合は(ステップ#414でNo分岐)、ステップ#411に移行して、現在の基準電圧より低い電圧値の基準電圧を新たな基準電圧(基準レベル)として設定する。
【0072】
現在の基準電圧が最小電圧値の場合は(ステップ#414でYes分岐)、テスタ2Bの識別手段23は、本発明装置1Bから識別情報取得手段22が取得して基準レベル情報を対応づけた識別情報と、識別情報記憶手段21に記憶された識別情報を夫々比較する比較処理を行なう(ステップ#415)。識別手段23は、比較処理により、本発明装置1Bの識別情報と一致する識別情報が検索された場合は(ステップ#416でYes分岐)、本発明装置1Bを識別する(ステップ#418)。本発明装置1Bの識別情報に一致する識別情報が検索されなかった場合は(ステップ#416でNo分岐)、エラー情報を出力する(ステップ#417)。
【0073】
〈別実施形態〉
〈1〉上記第1及び第2実施形態では、本発明装置1において、IDコード生成回路16は、カウンタ回路140の値が選択されたスイッチを示す値となるように構成し、この値を基準レベル情報として用いたが、これに限るものではない。カウンタ回路140を、基準レベルの切り替え回数をカウントするように構成し、基準レベルの切り替え回数を基準レベル情報として用いても良い。また、基準電圧の値等、他の情報を基準レベル情報として用いても良いし、複数の情報を組み合わせて基準レベル情報としても良い。
【0074】
〈2〉上記第1及び第2実施形態では、テスタ2において、本発明装置1から出力された識別情報に一致する識別情報が、識別情報記憶手段21に記憶されている場合に、本発明装置1Aを識別したが、これに限るものではない。例えば、識別情報のデータ量によっては、比較する識別情報同士が完全に一致しない場合でも、一致度が一定量以上の識別情報の内、一致度が最大の識別情報を検索するように構成しても良い。
【0075】
〈3〉上記第1及び第2実施形態では、本発明装置1において、基準レベル毎に、固体撮像素子部10を構成する全ての画素について判定処理を行なう場合について説明したが、これに限るものではない。固体撮像素子部10の画素毎に、基準レベルを順次変更して判定処理を行なうように構成しても良い。
【0076】
〈4〉上記第1実施形態では、識別用画素に設定する基準外画素の画素数が最大検出数より少なくなるように構成して識別情報を生成したが、これに限るものではない。
【0077】
例えば、固体撮像素子部10の画素レベルの分布等によっては、最大検出数を規定せずに、単に、複数の基準レベルの夫々に対応して識別情報を生成するように構成しても良い。この場合には、基準外画素の判定回数をカウントする必要がなくなるので、随時、基準外画素の位置情報と基準レベル情報とで構成されたデータを出力するように構成でき、メモリを利用する必要がないので、チップ面積の増大を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る固体撮像装置及びテスタの第1実施形態における概略構成例を示す概略ブロック図
【図2】本発明に係る固体撮像装置の第1実施形態における基準レベル生成回路の一回路構成例を示す概略ブロック図
【図3】本発明に係る固体撮像装置の第1実施形態における識別情報の生成の動作手順を示すフローチャート
【図4】固体撮像素子部を構成する画素の画素レベルの分布例を示すグラフ
【図5】本発明に係るテスタの第1実施形態における識別前処理及び固体識別処理の動作手順を示すフローチャート
【図6】本発明に係る固体撮像装置及びテスタの第2実施形態における概略構成例を示す概略ブロック図
【図7】本発明に係るテスタの第2実施形態における識別前処理及び固体識別処理の動作手順を示すフローチャート
【図8】固体撮像素子部を構成する画素の画素レベルの分布例を示すグラフ
【符号の説明】
【0079】
1 本発明に係る固体撮像装置
1A 本発明に係る固体撮像装置
1B 本発明に係る固体撮像装置
2 本発明に係るテスタ
2A 本発明に係るテスタ
2B 本発明に係るテスタ
10 固体撮像素子部
11 駆動回路
12 タイミング発生回路
13 制御回路
14 基準レベル生成回路(基準レベル生成)
140 カウンタ回路
141 抵抗回路
142 スイッチ回路
143 コントローラ
15 判定回路(判定手段)
150 カウンタ回路
16 IDコード生成回路(識別情報生成手段)
17 入出力回路
18 基準レベル受け付け手段
20 識別前処理手段
21 識別情報記憶手段
22 識別情報取得手段
23 識別手段
24 入出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光信号を画素毎に電気信号に変換する固体撮像素子部と、
前記固体撮像素子部から画素毎に出力される前記電気信号で規定される画素レベルが所定の基準範囲内にあるか否かを判定する基準レベルを複数生成可能な基準レベル生成手段と、
前記基準レベル生成手段によって生成された前記基準レベル別に、前記画素夫々の前記画素レベルが当該基準レベルで規定される基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理において前記画素レベルが前記基準範囲外であると判定された基準外画素を識別用画素とする判定手段と、
前記基準レベルを示す基準レベル情報と前記識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報とを含む識別情報を生成する識別情報生成手段と、を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記識別情報生成手段が、複数の前記基準レベルに対応して、複数の前記識別情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記基準レベル生成手段が、前記基準範囲が次第に狭くなるように前記基準レベルを順次生成し、
前記判定手段が、前記基準範囲が広い前記基準レベルから順に前記基準レベル別の前記判定処理を実行し、前記判定処理の実行毎に前記基準外画素の画素数を求め、前記基準外画素の画素数が所定の最大検出数以下の前記判定処理の内、前記基準外画素の画素数が最大となる前記判定処理の前記基準外画素を前記識別用画素とすることを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
入射する光信号を画素毎に電気信号に変換する固体撮像素子部と、
前記固体撮像素子部から画素毎に出力される前記電気信号で規定される画素レベルが基準範囲内にあるか否かを判定する基準レベルを外部から受け付ける基準レベル受け付け手段と、
前記基準レベル受け付け手段が受け付けた前記基準レベルを用いて、前記画素夫々の前記画素レベルが当該基準レベルで規定される前記基準範囲内であるか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理において前記画素レベルが前記基準範囲外であると判定された基準外画素を識別用画素とする判定手段と、
前記識別用画素の分布を示す識別用画素分布情報を含む識別情報を生成する識別情報生成手段と、を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の固体撮像装置と電気的に接続して、前記固体撮像装置の良否判定検査を実行可能なテスタであって、
前記固体撮像装置毎の前記識別情報を検索可能に記憶する識別情報記憶手段と、
前記固体撮像装置から前記識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報を、前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報の夫々と比較する比較処理により、前記固体撮像装置を識別する識別手段と、を備えることを特徴とするテスタ。
【請求項6】
請求項4に記載の固体撮像装置と電気的に接続して、前記固体撮像装置の良否判定検査を実行可能なテスタであって、
前記固体撮像装置毎の前記識別用画素分布情報と該識別用画素分布情報に対応する前記基準レベルを示す前記基準レベル情報を含む前記識別情報を検索可能に記憶する識別情報記憶手段と、
複数の前記基準レベルを生成し、生成した前記基準レベルを前記固体撮像装置の前記基準レベル受け付け手段に入力して、前記固体撮像装置から前記識別用画素分布情報を含む前記識別情報を受け付け、前記識別情報に前記固体撮像装置に入力した前記基準レベルを示す前記基準レベル情報を対応付ける識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報を、前記識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報の夫々と比較する比較処理により、前記固体撮像装置を識別する識別手段と、を備えることを特徴とするテスタ。
【請求項7】
前記識別情報記憶手段が、前記固体撮像装置毎に所定数の前記識別情報を記憶し、
前記識別情報取得手段が、前記固体撮像装置毎に所定数の前記識別情報を取得することを特徴とする請求項6に記載のテスタ。
【請求項8】
前記識別情報取得手段が、前記基準範囲が次第に狭くなるように前記基準レベルを順次生成し、前記基準範囲が広い前記基準レベルから順に前記固体撮像装置に入力して、前記識別情報を順次受け付け、前記識別情報の夫々に対応する前記基準レベル情報を対応付けし、
前記識別手段が、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報のデータ量が一定量以下である前記基準レベルの内、前記データ量が最大となる前記基準レベルについての前記識別情報を用いて前記比較処理を実行し、前記固体撮像装置を識別することを特徴とする請求項6または7に記載のテスタ。
【請求項9】
前記識別手段による前記固体撮像装置の識別の前に、予め前記識別情報取得手段から前記固体撮像装置毎に前記識別情報を取得し、前記識別情報取得手段から取得した前記固体撮像装置毎の前記識別情報を前記識別情報記憶手段に記憶する識別前処理手段を備えることを特徴とする請求項5〜8の何れか1項に記載のテスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−294618(P2008−294618A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136394(P2007−136394)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】