説明

固体撮像装置

【課題】ランプ信号の傾きを変えてAD変換ゲインを上げても横線状のノイズの発生を抑制することができる固体撮像装置を提供することを課題とする。
【解決手段】2次元状に配列された複数の画素と、ランプ信号を生成する参照信号生成回路と、ランプ信号の出力に合わせてカウント動作を行うカウンタ回路と、列毎に配置され、画素からの画素信号をランプ信号と比較処理してAD変換するAD変換回路とを備え、AD変換回路に、画素信号及びランプ信号が入力される比較器とAD変換結果を記憶する記憶部とを設けるとともに、参照信号生成回路の出力端子とランプ信号を入力するための比較器の入力端子との間にランプ信号の傾きを変える振幅変換回路を設けて、ランプ信号に重畳するノイズがランプ信号の傾きに依存して変化するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログデジタル変換回路(AD変換回路)を有する固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AD変換回路を内蔵したCMOSイメージセンサ等の固体撮像装置は、デジタルカメラ等の画像入力機器に利用されている。固体撮像装置に内蔵されるAD変換回路には、列毎の画素信号と共通のランプ信号(参照信号)とを比較処理することでデジタルデータを得るものがある。ランプ信号を用いるAD変換回路において、上位ビット用のランプ信号に下位ビット用のランプ信号を重畳して2段階のAD変換を行うことにより、高分解能なAD変換技術が公開されている(特許文献1参照)。また、シングルスロープ型のAD変換回路のように1種類のランプ信号を用いた場合でも、ランプ信号源から出力されるランプ信号の傾きを変えてAD変換ゲインを高分解能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−232291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、AD変換回路において複数のランプ信号を用いた場合には、個別のランプ信号精度及びランプ信号間の相対精度がAD変換誤差を生じさせる原因となる。また、ランプ信号源でランプ信号の振幅を小さくして出力しAD変換ゲインを上げた時、ランプ信号源の出力バッファ段で発生するノイズは、ランプ信号の傾きに依存しないために、結果的に画素行毎に横線状のノイズが大きく検知されてしまう課題があった。
【0005】
本発明の目的は、ランプ信号の傾きを変えてAD変換ゲインを上げても横線状のノイズの発生を抑制することができる固体撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固体撮像装置は、各々が光電変換素子を含み、2次元状に配列された複数の画素と、時間の経過にともなって信号レベルが単調に変化する参照信号を生成する参照信号生成回路と、前記参照信号生成回路からの参照信号の出力に合わせてカウント動作を行うカウンタ回路と、前記画素の列毎に配置され、前記画素からの画素信号と前記参照信号生成回路により生成された前記参照信号の比較を行って前記画素信号をアナログデジタル変換するAD変換回路とを備え、前記AD変換回路は、前記画素信号が第1の入力端子に入力され、前記参照信号が第2の入力端子に入力される比較器と、前記カウンタ回路によるカウント値を、前記比較器の出力が反転したときに記憶する記憶部と、前記参照信号生成回路の出力端子と前記比較器の前記第2の入力端子との間に設けられ、前記参照信号生成回路からの前記参照信号の振幅を変える振幅変換回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、参照信号に重畳するノイズが参照信号の傾きに依存して変化するので、参照信号によるゲイン調整を行っても、良好なAD変換精度が得られるとともに、参照信号生成回路に起因する横線状のノイズは増加しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る比較部の構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画素の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る信号波形を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る比較部の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る比較部の構成例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る信号波形を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置の回路構成例を示す概略図である。固体撮像装置は、画素部1、増幅回路2、比較部3、参照信号生成回路4、記憶部5、カウンタ回路6、水平走査回路7、垂直走査回路8、及び信号処理回路9を有する。画素部1は、光電変換素子を含む複数の画素を有し、それらが2次元状に(行方向及び列方向に)配列されている。画素部1の各列に対応して、列毎に増幅回路2、比較部3、及び記憶部5が配置される。列毎に設けられる増幅回路2、比較部3、及び記憶部5は、画素部1が有する画素からの画素信号をアナログデジタル変換するAD変換回路を構成する。
【0011】
画素部1が有する画素の各々は、例えば、図3に示すように光電変換素子(フォトダイオード)30と4つのMOSトランジスタ31、32、33、34とを有する。光電変換素子30は、光電変換により電荷を生成する。トランジスタ31は、光電変換素子30に蓄積された電荷を読み出すための転送用のトランジスタであり、信号PTXにより導通/非導通(オン/オフ)が制御される。トランジスタ32は、フローティングディフュージョン部FDをリセットするためのリセット用のトランジスタであり、信号PRESにより導通/非導通(オン/オフ)が制御される。
【0012】
トランジスタ33は、フローティングディフュージョン部FDにおける電荷を増幅して信号電圧に変換するソースフォロア用のトランジスタである。トランジスタ34は、ソースフォロアの出力と画素信号出力線35との接続を制御することによって2次元状に配列された画素を行選択する行選択用のトランジスタであり、信号PSELにより導通/非導通(オン/オフ)が制御される。増幅回路2が有する定電流源36は、ソースフォロア用の定電流源である。
【0013】
増幅回路2は、画素部1から読み出される画素信号を増幅する。比較部3は、増幅回路2により増幅された画素信号と、参照信号生成回路4で生成され信号線10を介して供給されるランプ信号VRMPとが入力される。比較部3は、差動入力型比較器を含み、画素信号とランプ信号VRMPとの電圧の大きさを比較して、信号電圧の大小関係が反転する時にハイレベルからローレベル若しくはローレベルからハイレベルに出力を遷移させる。
【0014】
参照信号生成回路4は、複数の比較部3に共通に接続され、参照信号であるランプ信号を生成する。ここで、ランプ信号は、時間の経過にともなって信号レベル(信号の大きさ)が単調に変化する信号であり、例えば出力電圧が時間の経過とともに単調減少若しくは単調増加する信号である。カウンタ回路6は、複数列の記憶部5に共通に接続され、参照信号生成回路4からの参照信号であるランプ信号の出力に合わせてカウント動作を行い、カウント値を出力する。言い換えれば、カウンタ回路6は、参照信号であるランプ信号が参照信号生成回路4から出力されている期間中(ランプ信号が変化している期間中)においてカウント動作を行い、カウント値を出力する。記憶部5は、対応する比較部3の出力電位が反転するタイミングで、カウンタ回路6から出力されるカウント値をデジタルデータとして記憶する。
【0015】
記憶部5は、デジタルデータとして画素信号の基準信号Nと有効信号Sの2種類のデータを記憶することができる。2種類のデータを記憶する場合には、後段の信号処理回路9で(S−N)の差分処理を行う。なお、カウンタ回路6をダウンモードとアップモードの機能を備えたものにすればカウント結果は(S−N)の差分処理結果となるので記憶部5は1種類のデータ用で良い。
【0016】
記憶部5に記憶されたデジタルデータは、水平走査回路7によって列毎に信号処理回路9に順次転送される。これら画素からの画素信号の読み出しに係る一連の動作は、垂直走査回路8で画素部1の画素行を適宜選択しながら行われる。なお、図1においては、各回路に必要なパルスとそのタイミングを制御する回路は省略している。
【0017】
図2は、第1の実施形態における比較部3の回路構成例を示す図である。第1の実施形態における比較部3は、差動入力型の比較器20、入力容量C21、ランプ信号振幅調整用の容量C22、C23、及び容量C22、C23に係る接続制御を行う切り替えスイッチ24、25を有する。
【0018】
差動入力型の比較器20は、第1の入力端子が増幅回路2に接続され、第2の入力端子が入力容量(第1の容量)C21を介して信号線10に接続される。信号線10の一端は、参照信号であるランプ信号を生成する参照信号生成回路4の出力端子に接続されている。また、容量(第2の容量)C22とスイッチ(第1のスイッチ)24とが直列に接続された第1の直列回路が、比較器20の第2の入力端子と基準電圧との間に接続される。また、容量(第3の容量)C23とスイッチ(第2のスイッチ)25とが直列に接続された第2の直列回路が、比較器20の第2の入力端子と信号線10との間に接続される。
【0019】
これら入力容量C21、容量C22、C23、及びスイッチ24、25は、参照信号であるランプ信号の振幅を変える参照信号振幅変換回路を構成する。本実施形態においては、参照信号生成回路4の出力端子と比較器20の第2の入力端子との間に参照信号振幅変換回路が接続され、参照信号生成回路4から出力されたランプ信号は、参照信号振幅変換回路によって振幅が制御された後に比較器20に入力される。スイッチ24、25をオン/オフ制御することにより容量C22、C23に係る接続制御を行い、その接続制御によって接続される容量C22、C23及び入力容量C21により容量分割することで参照信号生成回路4からのランプ信号の振幅を変える。
【0020】
信号線26を介して差動入力型の比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅は、スイッチ24、25の制御に応じて、以下の式(1),(2),(3)で表すことができる。以下において、RMPAは、スイッチ24、25がともにオフである時に比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅であり、RMPBは、スイッチ24、25がともにオンである時に比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅である。また、RMPCは、スイッチ24がオンであり、かつスイッチ25がオフである時に比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅である。また、下記式において、VRMPは参照信号生成回路4から出力されるランプ信号VRMPの振幅を示し、C21、C22、C23のそれぞれは、入力容量C21、容量C22、C23の容量値を示すものとする。なお、下記式においては、説明を簡略化するため、各端子の寄生容量は省略している。
RMPA=VRMP …(1)
RMPB=VRMP×(C21+C23)/(C21+C22+C23) …(2)
RMPC=VRMP×C21/(C21+C22) …(3)
【0021】
次に、第1の実施形態における固体撮像装置での動作について説明する。図4は、第1の実施形態に係る信号波形を示すタイミングチャートであり、画素行1行分の画素の回路動作と参照信号生成回路の動作を説明するためのタイミングチャートを示している。なお、図4においては図示を省略しているが、画素信号が読み出される行に対応する信号PSELがハイレベルとされる。画素部1からは、画素部1をリセットしたリセット信号及びリセット信号に重畳された光電変換信号が画素信号として読み出される。
【0022】
まず、信号PRESがハイレベルに変化することでリセット用のトランジスタ32がオン状態になり、フローティングディフュージョン部FDがリセットされる。次に、信号PRESがローレベルに変化することでリセット用のトランジスタ32がオフ状態になり、増幅回路2を介してリセット信号が出力される。このリセット信号に対して、期間T1において第1のAD変換処理を行う。第1のAD変換処理では、比較器20に入力される振幅制御後のランプ信号RMPとリセット信号との大小関係が反転する時に、比較部3の出力がハイレベルからローレベル若しくはローレベルからハイレベルに遷移する。この比較部3の出力電位が反転するタイミングで、記憶部5がカウンタ回路6から出力されるカウント値を第1のデジタルデータとして記憶する。
【0023】
続いて、第1のAD変換処理が完了した後、画素部1では信号PTXがハイレベルに変化し光電変換素子30に蓄えられた電荷がフローティングディフュージョン部FDに転送されることで、増幅回路2から画素信号が出力される。リセット信号の場合と同様に、画素信号に対して、期間T2において第2のAD変換処理を行う。そして、比較器20に入力されるランプ信号RMPと画素信号との大小関係が反転し、比較部3の出力電位が反転するタイミングで、記憶部5がカウンタ回路6から出力されるカウント値を第2のデジタルデータとして記憶する。
【0024】
各列の記憶部5に記憶された第1及び第2のデジタルデータは、水平走査回路7により信号処理回路9に転送され、信号処理回路9で第1及び第2のデジタルデータの差分処理を行うことにより、列毎の比較部3の特性バラツキが除去される。なお、信号処理回路9では差分処理を行わずに、固体撮像装置の外部で差分処理等の信号処理を行うようにしても良い。
【0025】
前述した第1のAD変換処理及び第2のAD変換処理において、処理結果として得られるデジタルデータの値は、画素からの信号(リセット信号、画素信号)と、比較器20に入力されるランプ信号RMPの傾き(振幅)で決まる。図4に示したように比較器20に入力されるランプ信号RMPは、スイッチ24、25を適宜制御することにより、前述の式(1)、(2)、(3)のように傾きが可変であるため、例えば、チップ個体差のバラツキがあっても傾きの調整が可能となる。
【0026】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る固体撮像装置は、比較部を除いて前述した第1の実施形態に係る固体撮像装置と同様であるので、以下では第1の実施形態と異なる部分について説明する。図5は、第2の実施形態における比較部3の回路構成例を示す図である。図5において、図2に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
第2の実施形態における比較部3において、差動入力型の比較器20は、第1の入力端子が容量(第4の容量)C50を介して増幅回路2に接続され、第2の入力端子が入力容量(第1の容量)C21を介して信号線10に接続される。また、比較器20の第1の入力端子には、容量(第5の容量)C52及び常に非導通状態とされるMOSトランジスタ54からなるダミー回路(第3の直列回路)が接続される。容量C52は、第1の電極が比較器20の第1の入力端子に接続され、第2の電極がトランジスタ54のドレインに接続される。トランジスタ54のゲート及びソースは、所定の電位(例えば基準電圧)に接続される。また、容量分割を構成するランプ信号振幅調整用の容量(第2の容量)C51とスイッチ(第1のスイッチ)53とが直列に接続された直列回路(第1の直列回路)が、比較器20の第2の入力端子と基準電圧との間に接続される。スイッチ53は、信号PADJにより導通/非導通(オン/オフ)が制御される。
【0028】
スイッチ53をオン/オフ制御することにより容量分割比が変わり、比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅が変わる。容量C52及び非導通状態とされるMOSトランジスタ54からなるダミー回路を設けることにより、スイッチ53がオフである場合での比較器20の2つの入力部の対称性を維持している。
【0029】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る固体撮像装置は、比較部を除いて前述した第1の実施形態に係る固体撮像装置と同様であるので、以下では第1の実施形態と異なる部分について説明する。図6は、第3の実施形態における比較部3の回路構成例を示す図である。図6において、図2に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。第3の実施形態における比較部3は、差動入力型の比較器20、入力容量C21、ランプ信号振幅調整用の容量C60、C61、及び容量C60、C61に係る接続制御を行う切り替えスイッチ62、63を有する。
【0030】
差動入力型の比較器20は、第1の入力端子が増幅回路2に接続され、第2の入力端子が入力容量(第1の容量)C21を介して信号線10に接続される。信号線10の一端は、参照信号であるランプ信号を生成する参照信号生成回路4の出力端子に接続されている。また、比較器20の第2の入力端子と基準電圧との間に、容量(第2の容量)C60とスイッチ(第1のスイッチ)62とが直列に接続された直列回路(第1の直列回路)が接続される。また、比較器20の第2の入力端子と基準電圧との間に、容量(第2の容量)C61とスイッチ(第1のスイッチ)63とが直列に接続された直列回路(第1の直列回路)が接続される。すなわち、比較器20の第2の入力端子と基準電圧との間には、2つの直列回路が並列に接続される。
【0031】
これら入力容量C21、容量C60、C61、及びスイッチ62、63は、参照信号であるランプ信号の振幅を変化させる参照信号振幅変換回路を構成する。参照信号生成回路4から出力されたランプ信号は、参照信号生成回路4の出力端子と比較器20の第2の入力端子との間に接続された参照信号振幅変換回路によって振幅が制御された後に比較器20に入力される。スイッチ62、63をオン/オフ制御することにより容量C60、C61に係る接続制御を行い、その接続制御によって接続される容量C60、C61及び入力容量C21により容量分割することで参照信号生成回路4からのランプ信号の振幅を変える。
【0032】
信号線26を介して差動入力型の比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅は、スイッチ62、63の制御に応じて、以下の式(4),(5),(6)で表すことができる。以下において、RMPDは、スイッチ62、63がともにオフである時(ゲイン1倍設定時)に比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅である。RMPEは、スイッチ62がオンであり、かつスイッチ63がオフである時(ゲイン2倍設定時)に比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅である。また、RMPFは、スイッチ62、63がともにオンである時(ゲイン4倍設定時)に比較器20に入力されるランプ信号RMPの振幅である。ここで、容量C21、C60、C61の容量値の比は1:1:2であるものとする。また、下記式において、VRMPは参照信号生成回路4から出力されるランプ信号VRMPの振幅を示すものとする。なお、下記式においては、説明を簡略化するため、各端子の寄生容量は省略している。
RMPD=VRMP×(1) …(4)
RMPE=VRMP×(1/2) …(5)
RMPF=VRMP×(1/4) …(6)
【0033】
図7は、第3の実施形態に係る信号波形を示すタイミングチャートであり、画素行1行分の画素の回路動作と参照信号生成回路の動作を説明するためのタイミングチャートを示している。なお、第3の実施形態における画素の回路動作と参照信号生成回路の動作は、第1の実施形態における画素の回路動作と参照信号生成回路の動作と同様であるので説明は省略する。
【0034】
第3の実施形態においては、図7に示すように比較器20に入力されるランプ信号RMPの傾き(振幅)は、スイッチ62、63を適宜制御することにより参照信号生成回路4から出力されるランプ信号VRMPの1倍、(1/2)倍、(1/4)倍となる。比較器20に入力されるランプ信号の傾きを変えることで、AD変換されるデジタルデータは1倍(期間T3)、2倍(期間T4)、4倍(期間T5)となる。このとき、比較器20に入力されるランプ信号RMPに重畳するノイズは、ランプ信号の傾きと同様に大きさが変化し、1倍、(1/2)倍、(1/4)倍になる。したがって、ランプ信号の傾き(振幅)を変化させることによってゲイン調整を行っても、良好なAD変換精度が得られるとともに、ランプ信号に重畳するノイズも同様に変化するので横線状のノイズの発生を抑制することができる。
【0035】
なお、前述した第1〜第3の実施形態における比較部3が有する各容量は、例えば拡散容量、MIM(Metal-Insulator-Metal)容量、ポリシリコンを用いて構成された容量等である。また、本発明の実施形態における固体撮像装置の一例として、画素部1の下側にのみ増幅回路2や比較器3等の回路を配置した構成を図1に示したが、本発明はこれに限定されるものではない。画素部1の上側にも下側と同じ回路を配置する構成でも良く、その場合には列毎に画素信号を上側に読み出すか、下側に読み出すかが決定されることが望ましい。また、前述した各実施形態において列毎に記憶部5を設け、複数列の記憶部5に共通に接続されるカウンタ回路6を設ける構成を一例として示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば列毎にカウンタ回路6を配置する構成であっても良い。
【0036】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る固体撮像装置は、例えばスキャナ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…画素部、2…増幅回路、3…比較部、4…参照信号生成回路、5…記憶部、6…カウンタ回路、20…比較器、C21…入力容量、C22 C23…容量、24 25…切り替えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光電変換素子を含み、2次元状に配列された複数の画素と、
時間の経過にともなって信号レベルが単調に変化する参照信号を生成する参照信号生成回路と、
前記参照信号生成回路からの参照信号の出力に合わせてカウント動作を行うカウンタ回路と、
前記画素の列毎に配置され、前記画素からの画素信号と前記参照信号生成回路により生成された前記参照信号の比較を行って前記画素信号をアナログデジタル変換するAD変換回路とを備え、
前記AD変換回路は、
前記画素信号が第1の入力端子に入力され、前記参照信号が第2の入力端子に入力される比較器と、
前記カウンタ回路によるカウント値を、前記比較器の出力が反転したときに記憶する記憶部と、
前記参照信号生成回路の出力端子と前記比較器の前記第2の入力端子との間に設けられ、前記参照信号生成回路からの前記参照信号の振幅を変える振幅変換回路とを有することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記振幅変換回路は、前記参照信号の振幅を容量分割により制御することを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記振幅変換回路は、
前記参照信号生成回路の出力端子と前記比較器の前記第2の入力端子との間に接続された第1の容量と、
前記比較器の前記第2の入力端子と基準電圧との間に接続され、直列に接続された第2の容量及び第1のスイッチを含む第1の直列回路とを有することを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記比較器の前記第2の入力端子と基準電圧との間に、複数の前記第1の直列回路を並列に接続したことを特徴とする請求項3記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記振幅変換回路は、
直列に接続された第3の容量及び第2のスイッチを含む第2の直列回路を有し、
前記第1の容量及び前記第2の直列回路を並列に前記参照信号生成回路の出力端子と前記比較器の前記第2の入力端子との間に接続したことを特徴とする請求項3又は4記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記画素からの画素信号が供給され、前記比較器の前記第1の入力端子に接続される第4の容量と、
前記比較器の前記第1の入力端子に接続され、直列に接続された第5の容量及び非導通状態とされるトランジスタを含む第3の直列回路とを有することを特徴とする請求項3記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−30997(P2013−30997A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165821(P2011−165821)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】