説明

固体食品の脱気包装方法及び装置

【目的】製袋充填包装機から産出される包装体を能率的に脱気.密封シールする。
【構成】順次運びだされる第2コンベヤ25上の複数の包材30に対して上方から複数の弾性ブロック38が、直動モータ27によって下降して各包装体30内部の固定食品を押し付け、各スライダー29のガイド26に沿う運動49で、ラック歯40に係合する平歯車39と一体に弾性ブロック38を回転させて複数の包装体30を90度角だけ回転し、各包装体30を縦長状から横長状に方向変換させたあと、第2ベルトコンベヤ65と同速で往復動する真空包装用の耐圧チャンバーに運びいれる。この場合、第2ベルトコンベヤ65の回転速度は、搬出コンベヤ25よりも低速であり、この速度差により第2ベルトコンベヤ65に移乗する包装体30の間隔を狭めるので、耐圧チャンバーの容積は縮小し、包装能率は向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば解体した鶏の1つの背肉、或いは複数の食品をトレイ内に収容して1つに固体化したものなど、こうした固体食品の複数個を一括して真空包装する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦列等間隔で運搬する被包装物と同速移動する帯状の包材を、前記の被包装物の周りでチューブ化する一方、前記各被包装物の間で前記のチューブ状包材をロータリカッターでカットして形成した包装体を産出する製袋充填包装機構と、包装体の真空包装用機器とを縦列状に並べ、前記の製袋充填包装機構から搬出する各包装体を、該被包装物の搬送軌道に沿って往復動する真空包装用機器の大容量耐圧チャンバー内に複数個単位で運びいれ、該耐圧チャンバー内において複数個の包装体を同時に脱気包装する技術を、下記の特許文献1は開示する。
【0003】
一方、下記の特許文献2には、製袋充填包装機構が形成する包装体を、往復動する耐圧チャンバーに順次搬入して1個づつ脱気シールする装置を開示するが、一般に、製袋充填包装機構は、1秒/1袋の製袋充填能力は充分あるから、このように1袋単位で包装体を収容する容積しか備えない耐圧チャンバーでは、その往復運動の半工程つまり0.5秒しか包装体に真空を作用させことしかできず効率が悪く、この点、前記の特許文献1に図示される4袋の包装体の1度に収容する容積を備える耐圧チャンバーは、少なくともその往復運動の半工程つまり2.0秒間、包装体に真空を作用させることができ能率的である。
【0004】
しかし前記の発明は、その耐圧チャンバーに複数(例えば4袋)の包装体を長手方向に縦列状に搬入する構成であり、各包装体開口縁のシール台は、包装体の搬入軌道と交差していて運び入れる包装体の障害となるので、多数のシール台をコンベヤでもって各包装体と同調移動させる対策が不可欠で、構造が複雑である。また耐圧チャンバーは縦列する4袋の包装体を長手方向に収容する関係で、それだけの容積が必要であり、定められた時間にその容積分に相当する運動が必要で、その間のシーラ操作に必要な時間を差し引くと実質的な真空時間が短縮するという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−109019号公報
【特許文献2】特開平07−172409号公報
【発明の開示】
【0006】
そこで本発明の方法は、各包装体の搬出コンベヤ上域に、該搬出コンベヤが運び出す複数の包装体と同間隔で弾性ブロックを配置し、該弾性ブロックを、ロータリカッターがチューブ状包材を切断するタイミングに合わせて各包装体それぞれの固体食品上に押し下げかつ前記搬出コンベヤの移動と同方向に同調的に移動する該弾性ブロックの平面方向への回転でもって各包装体を搬出コンベヤ上で90度角回転させて横向きにする。そのあと、横向きの各包装体を搬出コンベヤから、該搬出コンベヤの移送スピードよりも僅かに遅い第2ベルトコンベヤに移乗させて各包装体の間隔を狭める。
この結果、前記の間隔を狭めた包装体を収容する耐圧チャンバーは小さくなり、その分、耐圧チャンバーにおける真空効率のアップと共に、前記耐圧チャンバーの往復運動量の縮小に伴いその往復運動スピードを落とせるので、シーラ操作時間を正確に割付できて脱気に要する時間を有効に使用でき、またシール台を包装体開口縁の移動方向に沿って設けることができ、従来例の構造の複雑さを解消するなどの効果が期待できるのである。
【実施例1】
【0007】
図2に平面を示す製袋充填包装機構10は、ダンサローラ11を介して下方から溝型のホーマ12に繰り出す帯状の包材13を前記ホーマによって筒状に丸めると共に、一対のロール14間で前記包材13の両側縁を合掌化した直後、一対の加熱ローラ15で前記合掌縁を溶着してチューブ状包材20を形成する。
【0008】
一方、前記ホーマの前位に配置した搬入コンベヤ16は、前記のチューブ状包材20の内部に固体食品17を縦列等間隔で搬入する。そして前記チューブ包材の搬送軌道に設置した仮シーラ21に配置したカッター22は、各個体食品17の中間でチューブ状包材20を切断して、その開口縁に断続シール23を施した包装体30を形成する。なお図3に拡大して図示する仮シーラ21は、3点の断続シール23を開口縁に施した包装体30を順次形成し、矢印25a方向に回転する搬出コンベヤ25上に運び出すのである。
【0009】
側面図である図1において、上下一対の仮シーラ21は、図示矢印21aのごとく同期回転またはブロックモーション運動するロータリシーラであって、既に説明したように等ピッチでカットした包装体30を搬出コンベヤ25に運び出すが、該コンベヤ上域の棒状のガイド26に、搬出コンベヤ25上に運び出される各包装体30の間隔と一致する間隔の、2個のスライダー32を支持している。また前記の2個のスライダー32はそれぞれ直動モータ27を設置し、各直動モータ27は下方に垂下する直動体にそれぞれソフトなゴム或いは空気枕のような弾性ブロック28を設置しており、詳しくは図4にその拡大図を示している。
【0010】
すなわち図4において直動モータ27を流体シリンダーにより形成すると共に、該直動モータを固定したスライダー32を2本のガイド26にスライド自在に支持し、また前記の直動モータ27は上下にストロークする直動体33垂下している。さらに前記の直動体33の周りに、周囲に縦方向の滑りキー34を備える筒材35を、ボールベアリング36を介して支持する共に、前記筒材35の下端に固定した逆溝型の保護材37の内部に、ウレタンゴム製の弾性ブロック28を支持する。一方、前記筒材35の周りの滑りキー34に係合する状態で該筒材の周りに配置した平歯車39を、機台41に固定して横方向に長いラック歯40に係合して回転発生機構31を構成する。
【0011】
なお、図1においてロータリカッター21を駆動する原動軸43はパルス発生器44を備え、該パルス発生器44から発信されるパルス信号45を読み取る制御器46は、ロータリカッター21によるチューブ状包材20の切断のタイミングに合わせて回転発生機構31の操作をコントロールするようにしている。
【0012】
すなわち複数の直動モータ27はそれぞれ、ロータリカッター21がチューブ状包材20をカットするのと同時に、図5のように上から弾性ブロック28を下降させて包装体30内部の固体食品17に押し付ける。この場合、周囲に滑りキー34を備える筒材35は平歯車39の内部の溝に沿って下降する。その直後、制御器から信号を受けた図4における正逆転モータ47はボールねじ48を回転させ、該ボールねじ48のスクリュー作用でもって直動モータ27などをガイド26に沿って往復移動させる。
【0013】
かかる移動は、図1におけるスライダー29の矢印49方向への移動であり、かかる往復動におけるその往動時、ラック歯40に係合する複数の平歯車39が回転して、弾性ブロック28と接触する包装体30を90度角だけ回転させる。つまり図3において包装体30は移動中に仮想線30aの状態に回され、その直後、弾性ブロックは上方に退避しかつ元の位置に復動する。つまりかかる運動は図6における弾性ブロック28のブロックモーション50aに相当する。この場合、弾性ブロック28の復動スピードに比較して往動スピードは緩やかで、かかるスピード差でもって包装体30を回転させる充分な時間を獲得する。
【0014】
図6に示すように、ロータリカッター21の後位に配置した2個の弾性ブロック28でもって、2個の包装体30を搬送中に回転する場合、2個の弾性ブロック28はそれぞれ、包装体30のカットピッチ50と同じ量50aだけ前進し、その間に2個の包装体30をそれぞれ90度角回転させた後、ブロックモーションで元の位置に復帰した直後、ロータリカッター21の切断のタイミングに合わせて再び後続の、2個の包装体の上に下降してこれら包装体を搬送かつ回転させる運動を継続するのである。
【0015】
以上のようにして、図7における第2ベルトコンベヤ25の上で横向きにした各包装体は、耐圧チャンバー60を形成する下側の定盤61を囲繞する第3ベルトコンベヤ65に移乗する。なおこの場合、第2ベルトコンベヤ25の回転スピードに比べて、第3ベルトコンベヤ65の回転スピードは遅く、このスピード差を利用して第2ベルトコンベヤ65に移乗するそれぞれの包装体30の間隔を狭めるので、仮に、耐圧チャンバー60の収容容積を包装体4個分に設定した場合は、その分、耐圧チャンバー60の容積縮小が可能になるのである。
【0016】
図9に示すように耐圧チャンバー60は、両側一対のレール66上にスライド自在に支持した定盤61と、前記定盤61に立設した柱状ガイド63に沿って上下動して該定盤61の上面に気密に被さる蓋材62とからなり、またねじ棒67が係合する前記の定盤61は、モータ68を動力とする前記ねじ棒67の正逆転作用により、蓋材62を伴って前記レール66上を設定量だけ往復動する。
【0017】
図8のごとく定盤61の上から蓋材62が下降して内部に4個の包装体を収容した耐圧チャンバー60は第2ベルトコンベヤ65と一体に移動し、その後、開放して再び4個の包装体30を受け入れるために第2ベルトコンベヤ65の移動とは反対方向に移動する。前記の耐圧チャンバー60が第2ベルトコンベヤ65と一体に移動する間、図9においてホース64を通して耐圧チャンバー60内の空気を排除したあと、アクチュエータ80でもってシールバー69を押し上げ、上部に固定したシール台70とでもって、包装体30の両端開口縁を加熱して密封することになるのである。
【実施例2】
【0018】
図4ではピストンロッド33と、平歯車39との間に滑りキー34を備える筒材35を配置したが、別箇の実施例としては、前記筒材35を取り除き、ピストンロッド33にホールベアリング36を介して直接、平歯車39を支持する一方、平歯車39に直接、保護材37を固定することで、ラック歯40に対して平歯車39の歯を直接上下にスライドさせて弾性ブロック28を上下に操作することが可能である。
【実施例3】
【0019】
図10に示すごとく第2ベルトコンベヤ50を支える先端のプーリ51を定盤61に支持することで、耐圧チャンバー60の往復動によって、該耐圧チャンバー60と一体に伸縮する第2ベルトコンベヤ50を形成する。つまり可動プーリ52を矢印のごとく耐圧チャンバー60の往復運度54と一体に変位させることにより、第2ベルトコンベヤ50は耐圧チャンバー60の往復動と一体に伸縮して包装体30を、箱型の定盤61内に設置した第2コンベヤの補助ベルト55に運びいれる。なお前記の補助ベルト55は、定盤61が前進56している時は停止し、前記定盤61が後退57するときに回転して第2ベルトコンベヤ50上の包装体30を受け入れるのであり、この実施例では補助ベルト55を含めて第2ベルトコンベヤ50を形成する。
【0020】
図4に示した構成は、ガイド26に沿って移動するスライダー32の運動力で、ラック40に係合する平歯車39と一体に弾性ブロック28を回転するものであったが、図11に示す実施例は、直動モータ27を固定したスライダー32がガイド26に沿って往復動動する構成に変化はないが、前記直動モータのピストンロッド33の下端にサーボモータ75を固定し、このサーボモータ75の軸に弾性ブロック28を固定した点が異なる。要するに図1でも説明したが、パルス発生器44から発信するパルスを受ける制御器46は、正逆転モータ47を介してねじ棒48を操作しスライダー32を、ガイド26に沿って一定の区間で往復動させ、また前記制御器46はサーボモータ75への信号で弾性ブロック28を、前記スライダー32の運動に合わせて90度角で正逆転するともに、切換弁76を操作してポンプ77で直動モータ27を操作して弾性ブロック28の上下動を、該弾性ブロック28の回転に合わせてコントロールするのである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】装置における要部の側面図
【図2】製袋充填包装機構の平面図
【図3】前図の部分的な拡大平面図
【図4】回転運動発生機構の正面図
【図5】前図の部分的な作用説明図
【図6】包装体の運搬作用の説明図
【図7】耐圧チャンバーへの包装体の搬入説明図
【図8】耐圧チャンバーの作用説明図
【図9】耐圧チャンバーの断面図
【図10】第2コンベヤの異なる実施例の説明図
【図11】弾性ブロックの異なる回転機構の説明図
【符号の説明】
【0022】
10‥‥製袋充填包装機構
17‥‥固体食品
20‥‥チューブ状包材
21‥‥ロータリカッター
23‥‥断続シール
25‥‥搬出コンベヤ
26‥‥ガイド
27‥‥直動モータ
28‥‥弾性ブロック
30‥‥包装体
33‥‥直動体
60‥‥耐圧チャンバー
61‥‥定盤
62‥‥蓋材
65‥‥第2ベルトコンベヤ
69,70‥‥シーラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状包材の内部に等間隔に配置した固体食品を、前記チューブ状包材と一体に長手方向に向けて連続的に運搬する一方、前後の固体食品の間で前記のチューブ状包材をカッターでもって等ピッチにカットして形成した各包装体を搬出コンベヤでもって縦列状に運び出す工程と、
前記搬出コンベヤが運び出す各包装体の間隔と同間隔に、該搬出コンベヤ上に配置した複数の弾性ブロックを、前記カッターがチューブ状包材を切断するタイミングに合わせて各包装体それぞれの固体食品上に押し下げかつ前記搬出コンベヤの移動と同方向に同調的に移動させながら、該弾性ブロックの平面方向への回転でもって各包装体を搬出コンベヤ上で90度角回転させて横向きにする工程と、
搬出コンベヤ上で横向きにした各包装体を該搬出コンベヤから、該搬出コンベヤの移送スピードよりも僅かに遅い第2ベルトコンベヤに移乗させて各包装体の間隔を狭めると共に、前記第2ベルトコンベヤ上の各包装体を、該第2ベルトコンベヤと同調移動する上部の蓋板と同下部の定盤とからなる耐圧チャンバーによって密封した直後の、耐圧チャンバー内の空気排除及び、包装体の開口縁に沿って配置したシーラによる前記開口縁の加熱シールする工程とによる固体食品の脱気包装方法。
【請求項2】
チューブ状包材の内部に等間隔に配置した固体食品を、前記チューブ状包材と一体に長手方向に向けて連続的に運搬し、各固体食品の間で前記のチューブ状包材をロータリカッターでもってカットして形成した各包装体を搬出コンベヤでもって縦列状に運び出す製袋充填包装機構と、
前記搬出コンベヤの移送方向に沿って配置したガイドに複数の直動モータを、前記搬出コンベヤが搭載して運び出す各包装体の間隔と同間隔に支持すると共に、前記各直動モータそれぞれから垂下する直動体に回転運動発生機構を介して弾性ブロックを設置し、前記ロータリカッターがチューブ状包材を切断するタイミングに合わせて直動モータでもって前記各弾性ブロックを各包装体の固体食品に向けて押し下げると共に、前記ガイドに沿って前記弾性ブロックを往復運動機器でもって前記搬出コンベヤと同調移動させ、その間に、前記回転運動発生機構による回転でもって該弾性ブロックが押圧する包装体を、搬出コンベヤ上で90度角回転して各包装体を横向きに変化させる機構と、
横向きにした各包装体を搬出コンベヤから第2ベルトコンベヤに移乗させる一方、第2ベルトコンベヤの下部の定盤と同上部の蓋材とからなる耐圧チャンバーでもって各包装体を密封すると共に、前記第2ベルコンヘヤと一体移動する前記耐圧チャンバー内の空気排除及び、各包装体の開口縁に沿うように配置したシーラによる前記開口縁の加熱シールを行う機構とからなる固体食品の脱気包装装置。
【請求項3】
第2ベルトコンベヤは、その回転速度を搬出コンベヤの移送スピードよりも遅く設定し、これら両コンベヤの速度差でもって搬出コンベヤから第2ベルトコンベヤに移乗する各包装体の間隔を狭めるようにした請求項2に記載の固体食品の脱気包装装置。
【請求項4】
回転運動発生機構は、直動モータから垂下する直動体に該直動体と同芯状でかつ回転自在に支持した平歯車を、前記直動モータを往復動するためのガイドと平行に配置したラック歯に係合しかつ直動モータを前記ガイドに沿って往復運動させる動力でもって前記ラック歯に係合する平歯車の回転を弾性ブロックに伝えるように構成した請求項2に記載の固体食品の脱気包装装置。
【請求項5】
回転運動発生機構は、直動モータから垂下する直動体にサーボモータを介して弾性ブロックを支持すると共に、往復運動機器による前記直動モータのガイドに沿う往復運動に合わせて前記サーボモータで弾性ブロックを回転させるように構成した請求項2に記載の固体食品の脱気包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−308203(P2008−308203A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158470(P2007−158470)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000119807)茨木精機株式会社 (19)
【Fターム(参考)】