説明

圧力容器の製造方法及び圧力容器

【課題】 筒状のフィラー部がパリソンの側面に位置し、パリソンを膨らませる際に閉塞させているため、金型を分割する必要があり、金型構造が複雑になると共に、閉塞部を穿孔してフィラー部を完成させなければならず、煩雑であつた。
【解決手段】 ブロー成形によつて形成され、内容物給排用の配管部材を継合するための金属製のインサート部品2を端部に備え、内容物を収容する圧力容器の製造方法であつて、ダイ・コア6から垂下する筒状のパリソン7を開状態の金型8a,8b間に受け入れると共に、筒状部2aの外周に熱可塑性接着樹脂5を付着させたインサート部品2をパリソン7の少なくとも下端部内に配置させた状態で、金型8a,8bを型閉じし、インサート部品2を配置させた箇所のパリソン7を縮径させて熱可塑性接着樹脂5を介して筒状部2aに接着させ、その後、パリソン7内に空気を吹き込んでブロー成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器の製造方法及び圧力容器に関するものであり、特にブロー成形によつて形成され、内容物給排用の配管部材を継合するための金属製のインサート部品を一端部に備える圧力容器の製造方法及び圧力容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロー成形によつて形成される容器として、例えば特許文献1に記載されるものが知られている。これは、金属製外殻を成形用の金型内に予めインサートとして配置し、該金属製外殻内に合成樹脂製器部をブロー成形により一体形成し、その後金属製外殻の露出表面に焼付け温度の比較的低い塗料を用いて焼付塗装を施した容器よりなる自動2輪車の燃料タンクである。
【0003】
すなわち、燃料タンクである容器は、予め、金属製外殻を成形用の金型内にインサートとして配置し、インサートが取り付けられた金型と、対をなす金型との間にパリソンを垂下させ、金型を閉じ、押出機の中心孔からの圧縮空気をパリソン内に送気してパリソンを膨らませ金属製外殻に合成樹脂製器部を密着させる。
【0004】
この金属製外殻には、予め筒状のフィラー部が装着され、パリソンを膨らませる際に閉塞される。この閉塞部をドリルにて穿孔することにより、フィラー部が形成される。フィラー部は、燃料タンクとしての使用時に、キャップによつて閉蓋される。
【特許文献1】特開平7−117762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、筒状のフィラー部をパリソンの上下の開口部ではなく側面に位置させ、パリソンを膨らませる際に通孔を閉塞させているため、フィラー部の取り付けのために金型を分割する必要があり、金型構造が複雑になる。
【0006】
加えて、閉塞部をドリルにて穿孔してフィラー部を完成させなければならず、穿孔作業が煩雑であつた。また、フィラー部がパリソンの側面に位置しているため、フィラー部にパリソンを長く密着させことができず、フィラー部を強固にパリソンに接合させることができない。
【0007】
更に、フィラー部がタンクの中心軸線方向の中間部に形成されるため、圧力容器としては使いづらい形態でもあつた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1の発明は、ブロー成形によつて形成され、内容物給排用の配管部材を継合するための金属製のインサート部品2を一端部に備え、内容物を大気圧よりも高圧で収容する圧力容器の製造方法であつて、
押出装置のダイ・コア6から垂下する筒状のパリソン7を開状態の一対の金型8a,8bに受け入れると共に、筒状部2aの外周に熱可塑性接着樹脂5を付着させたインサート部品2をパリソン7の上下両端部の内の少なくとも下端部内に配置させた状態で、
一対の金型8a,8bを型閉じし、インサート部品2を配置させた箇所のパリソン7を縮径させて熱可塑性接着樹脂5を介して筒状部2aに接着させ、
その後、パリソン7内に空気を吹き込んでブロー成形することを特徴とする圧力容器の製造方法である。
請求項2の発明は、前記筒状部2aに外向きフランジ部2bが形成され、該フランジ部2bに熱可塑性接着樹脂5を付着させてインサート部品2をパリソン7内に配置させ、パリソン7を縮径させる際、該フランジ部2bをパリソン7に接着させることを特徴とする請求項1の圧力容器の製造方法である。
請求項3の発明は、前記インサート部品2が、パリソン7内に配置させる前に常温よりも高い温度に加熱されていることを特徴とする請求項1又は2の圧力容器の製造方法である。
請求項4の発明は、前記インサート部品2の外面の少なくとも一部に、拡径及び縮径された係合部を有し、該係合部にパリソンを接着させることにより、パリソン7の冷却収縮に伴うインサート部品2の抜けを防止させることを特徴とする請求項1,2又は3の圧力容器の製造方法である。
請求項5の発明は、ブロー成形によつて形成され、内容物給排用の配管部材を継合するための金属製のインサート部品2を両端部の内の少なくとも一端部に備え、内容物を大気圧よりも高圧で収容する圧力容器であつて、
押出装置のダイ・コア6から垂下するパリソン7をブロー成形させて形成される圧力容器本体1と、
筒状部2aを有し、圧力容器本体1の一端部に接着されるインサート部品2とを有し、
押出装置のダイ・コア6から垂下するパリソン7を開状態の一対の金型8a,8bに受け入れると共に、筒状部2aの外周に熱可塑性接着樹脂5を付着させたインサート部品2をパリソン7内に配置させた状態で、一対の金型8a,8bを型閉じすることによりパリソン7の端部を縮径させて、インサート部品2の筒状部2aが、熱可塑性接着樹脂5を介してパリソン7に接着され、かつ、
圧力容器本体1が、インサート部品2を接着させたパリソン7の内部に空気を吹き込んでブロー成形されていることを特徴とする圧力容器である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1,5に係る発明によれば、筒状部の外周に熱可塑性接着樹脂を付着させたインサート部品をパリソンの端部内に配置させるため、パリソンを膨らませる際に筒状部の通孔が閉塞されない。
【0010】
このため、インサート部品の取り付けのために金型を分割する必要がなく、金型構造が簡素になる。加えて、筒状部の通孔の閉塞部をドリルにて穿孔する必要がなく、製造工程が簡素である。更に、インサート部品の筒状部がパリソンの端部内に配置されるため、筒状部にパリソンを長く密着させことができ、インサート部品を強固にパリソンに接合させて耐久性に優れる圧力容器を得ることができる。更に、インサート部品が圧力容器の中心軸線方向の端部に形成されるため、使い易い形態の圧力容器が得られる。
【0011】
また、端部に配置するインサート部品の筒状部から空気吹き込みを行うことができるので、構造簡素なブロー成形装置を使用して圧力容器を製造することができる。
【0012】
請求項2によれば、筒状部に熱可塑性接着樹脂を付着させた外向きフランジ部が形成され、フランジ部をパリソンに接着させるため、インサート部品が圧力容器に強固に接合される。
【0013】
請求項3によれば、インサート部品が、パリソン内に配置させる前に常温よりも高い温度に加熱されているため、熱可塑性接着樹脂を軟化状態として高温のパリソンと接触させることになる。このため、熱可塑性接着樹脂を十分に軟質化させて強固な接着性能を確保することができる。
【0014】
請求項4によれば、インサート部品の外面の少なくとも一部に、拡径及び縮径された係合部を有し、該係合部にパリソンを接着させるため、成形後のパリソンの冷却収縮に伴い、インサート部品が移動することを防止することができ、抜けに伴う接着不良を良好に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1実施の形態に係る圧力容器の製造方法について、図1〜図4を参照して説明する。圧力容器10は、流体からなる内容物を大気圧(101325Pa)よりも高圧で収容するためのもので、図3に示すように圧力容器本体1と、圧力容器本体1の中心軸線方向の一端部に接着されるインサート部品2とを有する。圧力容器10は、具体的には燃料電池の燃料タンク、消火器容器、農薬容器等であり、20MPa以下程度の内圧での使用に供する。
【0016】
圧力容器本体1は、合成樹脂製であり、円筒状の胴部1aと、胴部1aの一端から縮径形状にして閉塞する底部1bと、胴部1aの他端から縮径形状にしてインサート部品2を保持する頭部1cとを有する。
【0017】
インサート部品2は、金属製であり、図2に示すように筒状部2aと、筒状部2aの一端外周に形成される外向きフランジ部2bとを有し、筒状部2aは、内容物給排用の配管部材を継合する機能を有する。このため、筒状部2aの内周部には、配管部材を継合するためのねじ部2cを有する。筒状部2a外形は、外向きフランジ部2bに向けて次第に縮径する円錐形状をなしている。これは、外向きフランジ部2bと協同して、パリソン7の冷却収縮に伴うインサート部品2の抜けを防止させるためである。なお、インサート部品2は、軽量化の観点からアルミニウム製が好適である。
【0018】
このようなインサート部品2は、図4に示すように外向きフランジ部2bを上側として、昇降装置3に支持された状態で装着される。この昇降装置3は、実際にはシリンダ装置によつて構成され、ピストンロッド3aの先端の支持台3bにインサート部品2が載置される。
【0019】
ピストンロッド3aは、上部が中空をなし、可撓性を有するホース4を介して圧力空気の供給源12に接続されている。供給源12からの圧力空気は、ホース4及びピストンロッド3aの内部を通り、ピストンロッド3aの上端部からインサート部品2の筒状部2a内に吹き出しが可能である。
【0020】
インサート部品2は、外向きフランジ部2bの筒状部2a側となる一側面及び筒状部2aの外周面に熱可塑性接着樹脂5を図1に示すように予め付着させ、昇降装置3に載置させる。このとき、予め、インサート部品2を常温よりも高い温度に加熱し、熱可塑性接着樹脂5を軟化させる。インサート部品2を恒温槽の中に入れれば、常温よりも高い所定温度に容易に維持される。熱可塑性接着樹脂5としては、変性ポリエチレンが使用でき、特にアドマー樹脂(登録商標)が漏れ防止の点で好ましい。接着樹脂5の付着は、粉末を付着させて、或いは、溶融させたものの中にインサート部品2を浸漬させて行う。
【0021】
合成樹脂製の圧力容器本体1は、ブロー成形によつて形成する。ブロー成形装置は、図4に示すように筒状のパリソン7を押出装置のダイ・コア6から垂下させる。ダイ・コア6の下方には、型開閉装置(図示せず)によつて開閉駆動される一対の金型8a,8bを備える。金型8a,8bの下端部の型合わせ面には、インサート部品2の筒状部2aに適合する円錐形部8cが形成されている。
【0022】
次に、製造方法について説明する。
金型8a,8bを型開きした状態で、筒状部2aの外周及び外向きフランジ部2bの下面に熱可塑性接着樹脂5を付着させたインサート部品2を予め下降駆動させた昇降装置3に載置させ、次いで昇降装置3によつてインサート部品2を図4に示す位置に上昇させ、インサート部品2の筒状部2aを金型8a,8bの下端部の型合わせ面の円錐形部8c,8cの間に位置させる。
【0023】
この状態でダイ・コア6から垂下されるパリソン7によつてインサート部品2の周囲を覆う。インサート部品2がパリソン7によつて覆われたなら、金型8a,8bを型閉じする。金型8a,8bの型閉じにより、金型8a,8bの上端部の型合わせ面によつてパリソン7の上端部が密着されると同時に、金型8a,8bの下端部の型合わせ面、特に円錐形部8c,8cによつてパリソン7の下端部箇所が縮径され、パリソン7の下端部内に位置するインサート部品2の筒状部2aにパリソン7が押圧されると共に、金型8a,8bの下端部の型合わせ面によつてパリソン7の下端部が密着される。このとき、インサート部品2の外向きフランジ部2bは、金型8a,8bのキャビティ内に位置している。
【0024】
パリソン7は溶融状態にあつて比較的高温であるので、熱可塑性接着樹脂5を十分に軟化させ、パリソン7が接着樹脂5を介してインサート部品2の筒状部2aに接着される。型閉じ終了と同時に供給源12からの圧力空気をインサート部品2の筒状部2aからパリソン7内に吹き出し、パリソン7を金型8a,8bのキャビティ及び各インサート部品2の外向きフランジ部2bに合わせて膨らませる。これにより、パリソン7が接着樹脂5を介してインサート部品2の外向きフランジ部2bの下面に接着される。
【0025】
パリソン7は、金型8a,8bに熱を奪われて次第に冷却して固化し、熱可塑性接着樹脂5も固化して、図1に示すようにパリソン7の下端部がインサート部品2の筒状部2aの外周面及び外向きフランジ部2bの下面に熱可塑性接着樹脂5を介して強固に接着する。必要に応じて、パリソン7を金型8a,8bとダイ・コア6との間でカッター(図示せず)によつて切断する。
【0026】
パリソン7が十分に冷却したなら、金型8a,8bを開くと共に、昇降装置3を元位置に復帰させる。かくして、円筒状の胴部1aと、胴部1aの一端から縮径して閉塞する底部1bと、胴部1aの他端から縮径してインサート部品2を保持する頭部1cとを有する圧力容器10が成形される。パリソン7の冷却に伴う収縮変形時には、外向きフランジ部2bに向けて次第に縮径する円錐形状をなす筒状部2aが、インサート部品2の抜け落ちを防止する。勿論、筒状部2aは、内容物給排用の配管部材を継合する機能を有するから、圧力容器10の内外を連通する通孔を有している。
【0027】
次に、第2実施の形態に係る圧力容器の製造方法について、図5〜図7を参照して、第1実施の形態と同一機能部分には同一符号を付して説明する。
【0028】
第2実施の形態に係る圧力容器は、図7に示すように圧力容器本体1と、圧力容器本体1の中心軸線方向の一端部及び他端部にそれぞれ接着されるインサート部品2,2とを有する。一方のインサート部品2は、胴部1aの他端から縮径形状に形成される頭部1cに保持され、また、他方のインサート部品2は、胴部1aの一端から縮径形状に形成される底部1bに同様に保持されている。
【0029】
2つのインサート部品2は、昇降装置3に支持される。一方のインサート部品2は、第1実施の形態と同様にピストンロッド3aの支持台3bに載置される。他方のインサート部品2は、支持台3bから上方に延出させた支持部材11の先端に取り付ける支持具9に載置される。
【0030】
支持具9は、図6に示すように周方向に複数のピースに分割され、組み合わせた状態で、筒状の大径部9a及び小径部9bを形成し、大径部9aが支持部材11の先端部の環状段面11aに載置され、小径部9bが支持部材11の先端小径部11bに嵌合する。他方のインサート部品2は、大径部9aの上面が形成する環状段面9c上に載置される。なお、分割された支持具9の各ピースは、インサート部品2の筒状部2aを通過して取り出しが可能な大きさにしてある。
【0031】
供給源12からの圧力空気は、ホース4及びピストンロッド3aの内部を通り、ピストンロッド3aの上端部から支持部材11の内部空間を通り、支持部材11の中間部に形成した吹き出し口11cから吹き出しが可能である。
【0032】
一対の金型8a,8bは、上下対称の形状をなし、特にインサート部品2の筒状部2aに適合する円錐形部8cが上下の各型合わせ面に形成されている。
【0033】
次に、製造方法について説明する。
各インサート部品2には、外向きフランジ部2bの一側面及び筒状部2aの外周面に熱可塑性接着樹脂5を図1に示すと同様に付着させる。このとき、予め、インサート部品2を常温よりも高い温度に加熱し、熱可塑性接着樹脂5を軟化させる。
【0034】
金型8a,8bを型開きした状態で、熱可塑性接着樹脂5を付着させた一方のインサート部品2を下降駆動させた昇降装置3の支持台3bに載置させ、他方のインサート部品2を支持具9の環状段面9c上に載置させる。2つのインサート部品2は、上下対称に配置されている。次いで、昇降装置3によつてインサート部品2,2を図5に示す位置に上昇させ、一方のインサート部品2の筒状部2aを金型8a,8bの下端部の型合わせ面に対向位置させ、他方のインサート部品2の筒状部2aを金型8a,8bの上端部の型合わせ面に対向位置させる。
【0035】
この状態でダイ・コア6から垂下されるパリソン7によつてインサート部品2,2の周囲を覆う。両インサート部品2がパリソン7によつて覆われたなら、金型8a,8bを型閉じする。金型8a,8bの型閉じにより、金型8a,8bの上下両端部の型合わせ面、特に円錐形部8c,8cによつてパリソン7の上下両端部箇所が縮径され、パリソン7の下端部が下側に位置するインサート部品2の筒状部2aに押圧され、パリソン7の上端部が上側に位置するインサート部品2の筒状部2aに押圧される。このとき、各インサート部品2の外向きフランジ部2bは、金型8a,8bのキャビティ内に位置している。同時に、金型8a,8bの上端部の型合わせ面によつてパリソン7の上端部が密着され、金型8a,8bの下端部の型合わせ面によつてパリソン7の下端部が密着される。
【0036】
型閉じ終了と同時に供給源12からの圧力空気を支持部材11の吹き出し口11cからパリソン7内に吹き出し、パリソン7を金型8a,8bのキャビティ及び各インサート部品2の外向きフランジ部2bに合わせて膨らませる。パリソン7は溶融状態にあつて比較的高温であるので、熱可塑性接着樹脂5を軟化させる。これにより、パリソン7が接着樹脂5を介して各インサート部品2の筒状部2a及び外向きフランジ部2bの外側面に接着される。
【0037】
パリソン7は、金型8a,8bに熱を奪われて次第に冷却して固化し、熱可塑性接着樹脂5も固化して、図1に示すと同様にパリソン7の上下端部がそれぞれインサート部品2の筒状部2aの外周面及び外向きフランジ部2bの一側面に熱可塑性接着樹脂5を介して接着する。上述したようにパリソン7の上下両端部は、金型8a,8bの上下端の合わせ面によつて密着される。
【0038】
パリソン7が十分に冷却したなら、金型8a,8bを開くと共に、昇降装置3を元位置に復帰させる。これにより、円筒状の胴部1aと、胴部1aの一端から縮径してインサート部品2を保持する底部1bと、胴部1aの他端から縮径してインサート部品2を保持する頭部1cとを有する圧力容器10が成形される。
【0039】
なお、成形時のパリソン7は、インサート部品2の拡径する外向きフランジ部2bと、外向きフランジ部2bに向けて次第に縮径する筒状部2aとで挟まれて、冷却収縮に伴うインサート部品2の抜けが防止される。この外向きフランジ部2b及び筒状部2aが、インサート部品2の拡径及び縮径された係合部を形成している。しかし、パリソン7の冷却収縮に伴うインサート部品2の抜けを防止させる係合部は、これに限られず、パリソン7と接着するインサート部品2の外面の少なくとも一部に、拡径及び縮径された箇所として形成することができる。例えば、筒状部2aの同径をなす外面の少なくとも一部に、拡径及び縮径された箇所として係合部を形成し、この係合部に熱可塑性接着樹脂5を介してパリソンを接着させることにより、パリソン7の冷却収縮に伴うインサート部品2の抜け方向の移動を防止させることができる。
【0040】
ところで、上記の実施の形態にあつては、インサート部品2の筒状部2aの外周及び外向きフランジ部2bのパリソン7と密着する一側面に熱可塑性接着樹脂5を付着させたが、少なくとも筒状部2aに熱可塑性接着樹脂5を付着させれば適当な接着性能を得ることができ、従つて外向きフランジ部2b自体を省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る圧力容器の要部を示す断面図。
【図2】同じくインサート部品を示す断面図。
【図3】同じく圧力容器を一部省略して示す半部断面図。
【図4】同じくブロー成形装置を一部断面で示す概略図。
【図5】本発明の第2実施の形態に係るブロー成形装置を一部断面で示す概略図。
【図6】同じく上側のインサート部品を昇降装置に支持させた状態を示す断面図。
【図7】同じく圧力容器を一部省略して示す半部断面図。
【符号の説明】
【0042】
1:圧力容器本体
1a:胴部
1b:底部
1c:頭部
2:インサート部品
2a:筒状部
2b:外向きフランジ部
3:昇降装置
5:熱可塑性接着樹脂
6:ダイ・コア
7:パリソン
8a,8b:金型
9:支持具
10:圧力容器
11:支持部材
12:供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形によつて形成され、内容物給排用の配管部材を継合するための金属製のインサート部品(2)を一端部に備え、内容物を大気圧よりも高圧で収容する圧力容器の製造方法であつて、
押出装置のダイ・コア(6)から垂下する筒状のパリソン(7)を開状態の一対の金型(8a,8b)に受け入れると共に、筒状部(2a)の外周に熱可塑性接着樹脂(5)を付着させたインサート部品(2)をパリソン(7)の上下両端部の内の少なくとも下端部内に配置させた状態で、
一対の金型(8a,8b)を型閉じし、インサート部品(2)を配置させた箇所のパリソン(7)を縮径させて熱可塑性接着樹脂(5)を介して筒状部(2a)に接着させ、
その後、パリソン(7)内に空気を吹き込んでブロー成形することを特徴とする圧力容器の製造方法。
【請求項2】
前記筒状部(2a)に外向きフランジ部(2b)が形成され、該フランジ部(2b)に熱可塑性接着樹脂(5)を付着させてインサート部品(2)をパリソン(7)内に配置させ、パリソン(7)を縮径させる際、該フランジ部(2b)をパリソン(7)に接着させることを特徴とする請求項1の圧力容器の製造方法。
【請求項3】
前記インサート部品(2)が、パリソン(7)内に配置させる前に常温よりも高い温度に加熱されていることを特徴とする請求項1又は2の圧力容器の製造方法。
【請求項4】
前記インサート部品(2)の外面の少なくとも一部に、拡径及び縮径された係合部を有し、該係合部にパリソンを接着させることにより、パリソン(7)の冷却収縮に伴うインサート部品(2)の抜けを防止させることを特徴とする請求項1,2又は3の圧力容器の製造方法。
【請求項5】
ブロー成形によつて形成され、内容物給排用の配管部材を継合するための金属製のインサート部品(2)を両端部の内の少なくとも一端部に備え、内容物を大気圧よりも高圧で収容する圧力容器であつて、
押出装置のダイ・コア(6)から垂下するパリソン(7)をブロー成形させて形成される圧力容器本体(1)と、
筒状部(2a)を有し、圧力容器本体(1)の一端部に接着されるインサート部品(2)とを有し、
押出装置のダイ・コア(6)から垂下するパリソン(7)を開状態の一対の金型(8a,8b)に受け入れると共に、筒状部(2a)の外周に熱可塑性接着樹脂(5)を付着させたインサート部品(2)をパリソン(7)内に配置させた状態で、一対の金型(8a,8b)を型閉じすることによりパリソン(7)の端部を縮径させて、インサート部品(2)の筒状部(2a)が、熱可塑性接着樹脂(5)を介してパリソン(7)に接着され、かつ、
圧力容器本体(1)が、インサート部品(2)を接着させたパリソン(7)の内部に空気を吹き込んでブロー成形されていることを特徴とする圧力容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−161978(P2006−161978A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355377(P2004−355377)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】