圧力調整装置
【課題】プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体を背圧室に導入するために従来必要とされた専用の背圧通路を省略することのできる圧力調整装置を提供する。
【解決手段】圧力調整装置20は、プレッシャレギュレータ22の調圧室40で調圧後の燃料を背圧室41に導入する構成で、プレッシャレギュレータ22を経由する燃料通路100を相互の接続により形成する第1のケーシング24と第2のケーシング26とを備える。両ケーシング24,26の間にプレッシャレギュレータ22を組込むとともに、燃料通路100を調圧室40及び前記背圧室41に連通する。プレッシャレギュレータ22が有するフランジ部38を両ケーシング24,26の間にウェーブワッシャ90を介して挟持する。
【解決手段】圧力調整装置20は、プレッシャレギュレータ22の調圧室40で調圧後の燃料を背圧室41に導入する構成で、プレッシャレギュレータ22を経由する燃料通路100を相互の接続により形成する第1のケーシング24と第2のケーシング26とを備える。両ケーシング24,26の間にプレッシャレギュレータ22を組込むとともに、燃料通路100を調圧室40及び前記背圧室41に連通する。プレッシャレギュレータ22が有するフランジ部38を両ケーシング24,26の間にウェーブワッシャ90を介して挟持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体(主に燃料)を該プレッシャレギュレータの背圧室に導入する構成の圧力調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレッシャレギュレータの調圧値の安定化、ダイアフラムの耐久性の向上等を目的として、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の燃料を該プレッシャレギュレータの背圧室に導入する構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。なお、図12は従来例(特許文献1)の燃料供給装置を示す構成図である。
図12に示すように、燃料ポンプ2から噴射弁4に至る燃料供給管路3から分岐して燃料タンク1に至るリターン通路5の途中には、プレッシャレギュレータ6の調圧室6aが連通されている。プレッシャレギュレータ6には、調圧室6aで調圧後の燃料を背圧室6bに導入する背圧通路7が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−164153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例の燃料供給装置では、プレッシャレギュレータ6の調圧室6aで調圧後の燃料を背圧室6bに導入するための専用の背圧通路7を設ける必要があった。
本発明が解決しようとする課題は、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体を背圧室に導入するために従来必要とされた専用の背圧通路を省略することのできる圧力調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、本発明の特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする圧力調整装置により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載された圧力調整装置によると、二部材の間にプレッシャレギュレータを組込むとともに、その二部材の相互の接続により形成される流体通路をプレッシャレギュレータの調圧室及び背圧室に連通するものである。したがって、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体を背圧室に導入するために従来必要とされた専用の背圧通路を省略することができる。
【0006】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された圧力調整装置によると、プレッシャレギュレータが有するフランジ部を二部材の間に弾性部材を介して挟持したものであるから、プレッシャレギュレータのがたつきを容易に防止あるいは低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
【実施例】
【0008】
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。本実施例の圧力調整装置は、液化石油ガス(LPG)を燃料とする車両用LPGエンジンの燃料供給装置に用いられるものである。説明の都合上、燃料供給装置の概要を説明した後で圧力調整装置を説明する。
【0009】
燃料供給装置の概要を説明する。なお、図1は燃料供給装置を示す構成図である。
図1に示すように、燃料供給装置10は、液相状態で燃料(LPG)を貯留する燃料タンク11を備える。燃料タンク11内に設けられた電動式の燃料ポンプ12は、該燃料タンク11内に貯留された液相状態の燃料を吸入して燃料供給通路13へ高圧で吐出する。燃料供給通路13は、エンジン側に設けられたデリバリパイプ14に連通されている。デリバリパイプ14には、LPGエンジン(図示しない)の各気筒に対応して液相状態の燃料を噴射するための噴射弁(いわゆるインジェクタ)15が接続されている。また、デリバリパイプ14と燃料タンク11とは、リターン通路16を介して連通されている。また、リターン通路16の途中には、エンジン側に位置するプレッシャレギュレータ22が設けられている。プレッシャレギュレータ22は、噴射弁15に供給される燃料圧力(燃圧)を所定圧に調整するものである。このプレッシャレギュレータ22で余剰となった燃料いわゆるリターン燃料は、リターン通路16を介して燃料タンク11へ戻される。なお、リターン燃料は、本明細書でいう「プレッシャレギュレータを経由する流体通路」に相当する。また、リターン通路16におけるプレッシャレギュレータ22により上流側(デリバリパイプ14側)の通路を形成する部材を上流側の配管部材16aといい、その下流側(燃料タンク11側)の通路を形成する部材を下流側の配管部材16bという。
【0010】
前記燃料供給通路13には供給燃料用遮断弁17が設けられており、また、前記リターン通路16にはリターン燃料用遮断弁18が設けられている。両遮断弁17,18は、それぞれ電磁式開閉弁からなるもので、電子制御装置(「ECU」という。)19から出力される制御信号に基づいてオン(ON)、オフ(OFF)制御されるようになっている。ECU19は、エンジンの停止時に両遮断弁17,18を閉じることで燃料供給を停止し、また、エンジンの始動時及び運転時に両遮断弁17,18を開くことで燃料供給を可能とする。
【0011】
次に、前記プレッシャレギュレータ22を備える圧力調整装置を説明する。なお、図2は圧力調整装置を示す正面図、図3は同じく側面図、図4は同じく平面図、図5は同じく側断面図、図6は同じく分解して示す側断面図である。
図5に示すように、圧力調整装置20は、プレッシャレギュレータ22と、そのプレッシャレギュレータ22を間に組込んで相互に接続される下側に位置する第1のケーシング24、及び、上側に位置する第2のケーシング26とを備えている(図6参照)。以下、説明の都合上、プレッシャレギュレータ22、第1のケーシング24、第2のケーシング26を順に説明した後、これらの組付手順を説明する。なお、第1のケーシング24及び第2のケーシング26は、本明細書でいう「二部材」に相当する。
【0012】
プレッシャレギュレータ22を説明する。なお、図7はプレッシャレギュレータを示す断面図である。
図7に示すように、プレッシャレギュレータ22は、中空円筒状をなすハウジング30を備えている。ハウジング30は、上面を開口するカップ状のロアシェル31と、下面を開口する逆カップ状のアッパシェル32とにより構成されている。アッパシェル32は、所定外径の筒状部32aと、その筒状部32aの上面を閉鎖する上板部32bとを有している。筒状部32aの下端部は、外径を大きくする膨大部32cとされている。膨大部32cの下端部には、径方向外方に向けてフランジ状に突出する接合部32dが形成されている。また、アッパシェル32の筒状部32aには連通口33が開口されている。
【0013】
前記ロアシェル31は、所定外径の筒状部31aと、その筒状部31aの下面を閉鎖する下板部31bとを有している。下板部31bには流入口34が開口されている。また、筒状部31aの下端部には、全周に亘って径方向内方に凹む環状溝部35が形成されている。また、筒状部31aの上下方向の中央部には、径方向内方に凹む凹み部36が形成されている。凹み部36の中央部には流出口37が開口されている。また、筒状部31aの上端部は、外径を大きくする膨大部31cとされている。膨大部31cの上端部には、径方向外方に向けてフランジ状に突出しかつ前記アッパシェル32の接合部32dに重なり合う接合部31dと、その接合部31dの外周部からアッパシェル32の接合部32d上に重なり合うように折返し状にかしめ付けられたかしめ部31eとが形成されている。このように、相互にかしめによって重なり合う両接合部31d,32d及びかしめ部31eは、ハウジング30の外周面に突出するフランジ部38を形成している。また、両シェル31,32の接合部31d,32dの相互間には、ダイアフラム39の外周部が挟持されている。これにより、ダイアフラム39は、ハウジング30の内部空間を下側に位置する調圧室40と上側に位置する背圧室41とに区画している。なお、背圧室41は前記連通口33に連通している。
【0014】
前記ロアシェル31内には弁座部材43が配置されている。弁座部材43によって前記調圧室40が上下2室に区画されている。弁座部材43の外側面には、上下2室を連通する連絡溝44が形成されている。また、弁座部材43の中央部には、上面に開口しかつ底部が側面すなわち前記流出口37に連通するL字状の連絡孔46が形成されている。連絡孔46の上面開口部内には円筒状の弁座47が装着されている。なお、調圧室40の下側室は前記流入口34に連通している。
【0015】
前記ダイアフラム39の中央部には、その下側に配置された保持部材50とその上側に配置されたスプリング受座51とがかしめにより接合された状態で支持されている。保持部材50の下面側の中央部に形成された凹部内には、前記弁座47上に着座可能な弁板52を下側に有するボール53が嵌合されている。ボール53の外周部は、保持部材50にかしめ付けられた係止板54により転動可能に抜け止めされている。このようにして、保持部材50に弁板52が揺動可能に支持されている。
【0016】
前記背圧室41内において、アッパシェル32の上板部32bとスプリング受座51との間には、スプリング55が介装されている。スプリング55は、常にスプリング受座51及び保持部材50等を下方へ付勢しており、弁板52を弁座47上に着座させている。弁板52が弁座47に着座して閉じることにより、調圧室40と連絡孔46とが遮断される。また、弁板52が弁座47から離れて開くことにより、調圧室40と連絡孔46とが連通される。なお、前記ロアシェル31の環状溝部35にはOリング57がその弾性を利用して装着されている。
【0017】
次に、第1のケーシング24を説明する。なお、図8は第1のケーシングを示す平面図、図9は図8のIX−IX線矢視断面図である。
図6に示すように、第1のケーシング24は、エルボ状の配管部材であって、下部の側面(図6において右側面)に開口しかつ上面に開口する通路部60を有している。図2に示すように、第1のケーシング24の下部側における通路部60の開口部回りには、フランジ状の配管接続部61が形成されている。配管接続部61には、前記リターン通路16(図1参照)における上流側の配管部材16aの下流側端部が締結によって管接続されるようになっている。なお、配管接続部61の外端部には、締結用の一対のスタッドボルト62が設けられている(図2及び図3参照)。
【0018】
図6に示すように、前記第1のケーシング24の上部側における通路部60の開口部回りには、フランジ状の接続部65が形成されている(図8及び図9参照)。接続部65には、第2のケーシング26(後述する)の接続部81が締結されるようになっている。接続部65には、適数個(図8では4個を示す。)の締結用のめねじ孔66が周方向に等間隔で形成されている。
【0019】
図9に示すように、前記第1のケーシング24の上部側における通路部60の開口部内には、前記プレッシャレギュレータ22(図7参照)のロアシェル31を嵌合可能な嵌合孔部67が形成されている。嵌合孔部67は、ロアシェル31の筒状部31aの下部を嵌合可能な小径孔部67aと、ロアシェル31の膨大部31cを嵌合可能な大径孔部67bと、プレッシャレギュレータ22のフランジ部38を遊嵌状に嵌合可能な段付孔部67cとを有している(図8参照)。さらに、大径孔部67bの上部の内周面には、適数個(図8では4個を示す。)の半円状の連通凹部68が周方向に等間隔で形成されている。連通凹部68は、その上面側が段付孔部67cの底面(下面)に開口されているとともに、環状空間部92(後述する)と連通可能に形成されている。また、連通凹部68の外端部は段付孔部67cの内周面に達している。また、接合部65の上面には、前記段付孔部67cと同心状をなしかつ該段付孔部67cを所定間隔を隔てて取り囲むリング状溝69が形成されている。このリング状溝69には、Oリング70が装着されている(図6参照)。
【0020】
図2に示すように、前記第1のケーシング24の下部の前面側には、左右両側に突出する取付部73が形成されている。取付部73は、図示しない固定側部材(例えば、インテークマニホールド)に締結されるようになっている。取付部73には、締結用のボルト挿通孔74が形成されている。
【0021】
次に、第2のケーシング26を説明する。なお、図10は第2のケーシングを示す下面図、図11は図10のXI−XI線矢視断面図である。
図6に示すように、第2のケーシング26は、エルボ状の配管部材であって、下面に開口しかつ上部の側面(図6において右側面)に開口する通路部80を有している。第2のケーシング26の下部側における通路部80の開口部回りには、フランジ状の接続部81が形成されている。接続部81には、前記第1のケーシング24の接続部65が締結されるようになっている。接続部81には、前記第1のケーシング24の接続部65の各めねじ孔66(図8参照)に対応する各スクリュ挿通孔82が形成されている(図10参照)。なお、第1のケーシング24の上面と第2のケーシング26の下面は、相互に面接触状に接合可能な接合面となっている。
【0022】
図11に示すように、前記第2のケーシング26の下部側における通路部80の開口部内には、前記プレッシャレギュレータ22(図7参照)のアッパシェル32の膨大部32cを含む筒状部32aを遊嵌状に嵌合可能な嵌合孔部83が形成されている。嵌合孔部83の下端部の内周面には、前記第1のケーシング24の各連通凹部68(図8参照)に対応する各連通凹部84が形成されている。連通凹部84は、その下面側が第2のケーシング26の下端面に開口されているとともに、環状空間部97(後述する)と連通可能に形成されている。
【0023】
図6に示すように、前記第2のケーシング26の上部側における通路部80の開口部回りには、フランジ状の配管接続部85が形成されている。配管接続部85には、前記リターン通路16(図1参照)における下流側の配管部材16bの上流側端部が締結によって管接続されるようになっている。なお、配管接続部85の外端部には、締結用の一対のスタッドボルト86が設けられている(図2及び図3参照)。
【0024】
図6に示すように、前記両ケーシング24,26の間に前記プレッシャレギュレータ22(図7参照)を組込むに際し、プレッシャレギュレータ22(図7参照)のフランジ部38上に載置可能なウェーブワッシャ90が適数枚(本実施例では2枚)用意される。ウェーブワッシャ90は、プレッシャレギュレータ22のアッパシェル32の膨大部32cに嵌合可能な円環状に形成されている。なお、ウェーブワッシャ90は、本明細書でいう「弾性部材」に相当する。
【0025】
次に、プレッシャレギュレータ22、第1のケーシング24、第2のケーシング26の組付手順を説明する。
(1)図6において、第1のケーシング24の嵌合孔部67内に、プレッシャレギュレータ22のロアシェル31を嵌合する。このとき、プレッシャレギュレータ22のロアシェル31に予め装着されたOリング57が、嵌合孔部67の小径孔部67a(図6参照)の下部内周面に弾性的に接触することにより、第1のケーシング24とロアシェル31との間がシールされる。また、嵌合孔部67の小径孔部67aの上部にロアシェル31の筒状部31aの下部が嵌合されるとともに、嵌合孔部67の大径孔部67bの上端部にロアシェル31の膨大部31cが嵌合される。また、段付孔部67cにプレッシャレギュレータ22のフランジ部38が遊嵌状に嵌合される。これにより、嵌合孔部67の大径孔部67bの下部内周面とロアシェル31の筒状部31aの上部の外周面との間に流出口37に連通する環状空間部92が形成される(図5参照)。この環状空間部92は、各連通凹部68を介して段付孔部67cとフランジ部38との間の空間部93に連通される。また、ロアシェル31の流入口34は、第1のケーシング24内の通路部60に連通される。
【0026】
(2)次に、2枚のウェーブワッシャ90を、プレッシャレギュレータ22のアッパシェル32に嵌合してフランジ部38上に配置する。なお、両ウェーブワッシャ90は、アッパシェル32に嵌合することによりフランジ部38上に容易に配置することができる。
【0027】
(3)次に、プレッシャレギュレータ22のアッパシェル32(詳しくは、膨大部32cを含む筒状部32a)に対して、第2のケーシング26の嵌合孔部83を遊嵌状に嵌合する。この状態で、スクリュ95を、第2のケーシング26のスクリュ挿通孔82を通して第1のケーシング24のめねじ孔66に締着することにより、両ケーシング24,26が管接続される(図5参照)。これにともない、両ケーシング24,26の接合面間がOリング70によって弾性的にシールされる。また、第2のケーシング26の接合面により、ウェーブワッシャ90が弾性を利用して圧縮されることにより、両ケーシング24,26の間にプレッシャレギュレータ22のフランジ部38がウェーブワッシャ90を介して弾性的に挟持される。また、第2のケーシング26の各連通凹部84が第1のケーシング24の各連通凹部68に対してそれぞれ整合することにより、両連通凹部68,84が相互に連通される。また、第2のケーシング26の嵌合孔部83の内周面とアッパシェル32の筒状部32a(膨大部32cを含む。)の外周面との間に、連通口33に連通する環状空間部97が形成される。この環状空間部97は、第2のケーシング26の各連通凹部84を介して前記第1のケーシング24内の空間部93にそれぞれ連通されるとともに、第2のケーシング26内の通路部80に連通される。したがって、プレッシャレギュレータ22の調圧室40に連通する第1のケーシング24の通路部60と、該プレッシャレギュレータ22の背圧室41に連通する第2のケーシング26の通路部80とが一連状の燃料通路100として連通されることになる。このようにして、燃料通路100に対してプレッシャレギュレータ22がインライン化された圧力調整装置20が完成する(図2〜図4参照)。
【0028】
なお、前記圧力調整装置20は、固定側部材(例えば、インテークマニホールド)に第1のケーシング24の取付部73を締結される。また、第1のケーシング24の配管接続部61には、リターン通路16(図1参照)の上流側の配管部材16aが締結によって管接続される。また、第2のケーシング26の配管接続部85には、リターン通路16(図1参照)の下流側の配管部材16bの上流側端部が締結によって管接続される。
【0029】
前記圧力調整装置20において、いま、プレッシャレギュレータ22(図7参照)の弁板52が閉じている状態とする。この状態で、リターン通路16(図1参照)の上流側の配管部材16a内を流れてくる燃料が、第1のケーシング24内の通路部60を通じてプレッシャレギュレータ22の流入口34から調圧室40内へ導入されることにより、調圧室40内の燃圧が高くなる。そして、調圧室40内の燃圧が、ダイアフラム39に対する背圧室41内の力(スプリング55の弾性力と背圧室41内に作用するリターン燃料の燃圧との合成力)より大きくなれば、ダイアフラム39が背圧室41側すなわち上方へ変位するにともなって弁板52が開かれる。したがって、調圧室40内の燃料が余剰燃料すなわちリターン燃料として流出口37を介して環状空間部92へ流出される。なお、リターン燃料は、本明細書でいう「調圧室で調圧後の燃料(流体)」に相当する。
【0030】
前記リターン燃料は、環状空間部92から各連通凹部68、空間部93を経て、第2のケーシング26内の各連通凹部84、環状空間部97、通路部80を通じて、リターン通路16(図1参照)の下流側の配管部材16b内に流れていき、最終的には燃料タンク11に戻される。このとき、第2のケーシング26内の環状空間部97を流れるリターン燃料の一部が、連通口33を介して背圧室41内に導入される。このため、背圧室41内にはリターン燃料の燃圧が作用することになる。
【0031】
また、調圧室40からのリターン燃料の流出にともない、調圧室40内の燃圧が低くなる。そして、調圧室40内の燃圧が、ダイアフラム39に対する背圧室41内の力より小さくなれば、ダイアフラム39が調圧室40側すなわち下方へ変位するにともなって弁板52が閉じることにより、調圧室40内の燃料の流出が制限される。このようにして、調圧室40内の燃圧が所定値に保たれる。
【0032】
また、プレッシャレギュレータ22の調圧室40で調圧後のリターン燃料を背圧室41に導入し、そのリターン燃料の燃圧を含む背圧室41内の力に応じて調圧室40の燃圧を調整することによって、温度によって燃圧が変化するLPGのような燃料の調圧値を安定化するとともにダイアフラム39の耐久性を向上することができる。
【0033】
上記した圧力調整装置20によると、第1のケーシング24と第2のケーシング26との間にプレッシャレギュレータ22を組込むとともに、その両ケーシング24,26の相互の接続により形成される燃料通路100をプレッシャレギュレータ22の調圧室40及び背圧室41に連通するものである。したがって、プレッシャレギュレータ22の調圧室40で調圧後の燃料を背圧室41に導入するために従来必要とされた専用の背圧通路を省略することができる。
【0034】
また、プレッシャレギュレータ22が有するフランジ部38を第1のケーシング24と第2のケーシング26との間にウェーブワッシャ90を介して挟持したものであるから、プレッシャレギュレータ22のがたつきを容易に防止あるいは低減することができる。
【0035】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、前記実施例では、LPGを調圧する場合を例示したが、調圧対象となる流体は、LPGに限らず、ガソリンや軽油等のエンジン用燃料、水や空気、油圧回路の作動油等にも適用可能である。また、第1のケーシング24の通路部60及び/又は第2のケーシング26の通路部80は、エルボ状に限らず、ストレート状に形成してもよい。また、各ケーシングの連通凹部の個数も適宜増減することができる。また、ウェーブワッシャ90は、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。また、ウェーブワッシャ90に代えて、皿ばね、コイルばね、ゴム状弾性体等を弾性部材として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例にかかる燃料供給装置を示す構成図である。
【図2】圧力調整装置を示す正面図である。
【図3】圧力調整装置を示す側面図である。
【図4】圧力調整装置を示す平面図である。
【図5】圧力調整装置を示す側断面図である。
【図6】圧力調整装置を分解して示す側断面図である。
【図7】プレッシャレギュレータを示す断面図である。
【図8】第1のケーシングを示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】第2のケーシングを示す下面図である。
【図11】図10のXI−XI線矢視断面図である。
【図12】従来例の燃料供給装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0037】
20 圧力調整装置
22 プレッシャレギュレータ
24 第1のケーシング(部材)
26 第2のケーシング(部材)
38 フランジ部
40 調圧室
41 背圧室
90 ウェーブワッシャ(弾性部材)
100 燃料通路(流体通路)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体(主に燃料)を該プレッシャレギュレータの背圧室に導入する構成の圧力調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレッシャレギュレータの調圧値の安定化、ダイアフラムの耐久性の向上等を目的として、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の燃料を該プレッシャレギュレータの背圧室に導入する構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。なお、図12は従来例(特許文献1)の燃料供給装置を示す構成図である。
図12に示すように、燃料ポンプ2から噴射弁4に至る燃料供給管路3から分岐して燃料タンク1に至るリターン通路5の途中には、プレッシャレギュレータ6の調圧室6aが連通されている。プレッシャレギュレータ6には、調圧室6aで調圧後の燃料を背圧室6bに導入する背圧通路7が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−164153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例の燃料供給装置では、プレッシャレギュレータ6の調圧室6aで調圧後の燃料を背圧室6bに導入するための専用の背圧通路7を設ける必要があった。
本発明が解決しようとする課題は、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体を背圧室に導入するために従来必要とされた専用の背圧通路を省略することのできる圧力調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、本発明の特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする圧力調整装置により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載された圧力調整装置によると、二部材の間にプレッシャレギュレータを組込むとともに、その二部材の相互の接続により形成される流体通路をプレッシャレギュレータの調圧室及び背圧室に連通するものである。したがって、プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体を背圧室に導入するために従来必要とされた専用の背圧通路を省略することができる。
【0006】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された圧力調整装置によると、プレッシャレギュレータが有するフランジ部を二部材の間に弾性部材を介して挟持したものであるから、プレッシャレギュレータのがたつきを容易に防止あるいは低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
【実施例】
【0008】
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。本実施例の圧力調整装置は、液化石油ガス(LPG)を燃料とする車両用LPGエンジンの燃料供給装置に用いられるものである。説明の都合上、燃料供給装置の概要を説明した後で圧力調整装置を説明する。
【0009】
燃料供給装置の概要を説明する。なお、図1は燃料供給装置を示す構成図である。
図1に示すように、燃料供給装置10は、液相状態で燃料(LPG)を貯留する燃料タンク11を備える。燃料タンク11内に設けられた電動式の燃料ポンプ12は、該燃料タンク11内に貯留された液相状態の燃料を吸入して燃料供給通路13へ高圧で吐出する。燃料供給通路13は、エンジン側に設けられたデリバリパイプ14に連通されている。デリバリパイプ14には、LPGエンジン(図示しない)の各気筒に対応して液相状態の燃料を噴射するための噴射弁(いわゆるインジェクタ)15が接続されている。また、デリバリパイプ14と燃料タンク11とは、リターン通路16を介して連通されている。また、リターン通路16の途中には、エンジン側に位置するプレッシャレギュレータ22が設けられている。プレッシャレギュレータ22は、噴射弁15に供給される燃料圧力(燃圧)を所定圧に調整するものである。このプレッシャレギュレータ22で余剰となった燃料いわゆるリターン燃料は、リターン通路16を介して燃料タンク11へ戻される。なお、リターン燃料は、本明細書でいう「プレッシャレギュレータを経由する流体通路」に相当する。また、リターン通路16におけるプレッシャレギュレータ22により上流側(デリバリパイプ14側)の通路を形成する部材を上流側の配管部材16aといい、その下流側(燃料タンク11側)の通路を形成する部材を下流側の配管部材16bという。
【0010】
前記燃料供給通路13には供給燃料用遮断弁17が設けられており、また、前記リターン通路16にはリターン燃料用遮断弁18が設けられている。両遮断弁17,18は、それぞれ電磁式開閉弁からなるもので、電子制御装置(「ECU」という。)19から出力される制御信号に基づいてオン(ON)、オフ(OFF)制御されるようになっている。ECU19は、エンジンの停止時に両遮断弁17,18を閉じることで燃料供給を停止し、また、エンジンの始動時及び運転時に両遮断弁17,18を開くことで燃料供給を可能とする。
【0011】
次に、前記プレッシャレギュレータ22を備える圧力調整装置を説明する。なお、図2は圧力調整装置を示す正面図、図3は同じく側面図、図4は同じく平面図、図5は同じく側断面図、図6は同じく分解して示す側断面図である。
図5に示すように、圧力調整装置20は、プレッシャレギュレータ22と、そのプレッシャレギュレータ22を間に組込んで相互に接続される下側に位置する第1のケーシング24、及び、上側に位置する第2のケーシング26とを備えている(図6参照)。以下、説明の都合上、プレッシャレギュレータ22、第1のケーシング24、第2のケーシング26を順に説明した後、これらの組付手順を説明する。なお、第1のケーシング24及び第2のケーシング26は、本明細書でいう「二部材」に相当する。
【0012】
プレッシャレギュレータ22を説明する。なお、図7はプレッシャレギュレータを示す断面図である。
図7に示すように、プレッシャレギュレータ22は、中空円筒状をなすハウジング30を備えている。ハウジング30は、上面を開口するカップ状のロアシェル31と、下面を開口する逆カップ状のアッパシェル32とにより構成されている。アッパシェル32は、所定外径の筒状部32aと、その筒状部32aの上面を閉鎖する上板部32bとを有している。筒状部32aの下端部は、外径を大きくする膨大部32cとされている。膨大部32cの下端部には、径方向外方に向けてフランジ状に突出する接合部32dが形成されている。また、アッパシェル32の筒状部32aには連通口33が開口されている。
【0013】
前記ロアシェル31は、所定外径の筒状部31aと、その筒状部31aの下面を閉鎖する下板部31bとを有している。下板部31bには流入口34が開口されている。また、筒状部31aの下端部には、全周に亘って径方向内方に凹む環状溝部35が形成されている。また、筒状部31aの上下方向の中央部には、径方向内方に凹む凹み部36が形成されている。凹み部36の中央部には流出口37が開口されている。また、筒状部31aの上端部は、外径を大きくする膨大部31cとされている。膨大部31cの上端部には、径方向外方に向けてフランジ状に突出しかつ前記アッパシェル32の接合部32dに重なり合う接合部31dと、その接合部31dの外周部からアッパシェル32の接合部32d上に重なり合うように折返し状にかしめ付けられたかしめ部31eとが形成されている。このように、相互にかしめによって重なり合う両接合部31d,32d及びかしめ部31eは、ハウジング30の外周面に突出するフランジ部38を形成している。また、両シェル31,32の接合部31d,32dの相互間には、ダイアフラム39の外周部が挟持されている。これにより、ダイアフラム39は、ハウジング30の内部空間を下側に位置する調圧室40と上側に位置する背圧室41とに区画している。なお、背圧室41は前記連通口33に連通している。
【0014】
前記ロアシェル31内には弁座部材43が配置されている。弁座部材43によって前記調圧室40が上下2室に区画されている。弁座部材43の外側面には、上下2室を連通する連絡溝44が形成されている。また、弁座部材43の中央部には、上面に開口しかつ底部が側面すなわち前記流出口37に連通するL字状の連絡孔46が形成されている。連絡孔46の上面開口部内には円筒状の弁座47が装着されている。なお、調圧室40の下側室は前記流入口34に連通している。
【0015】
前記ダイアフラム39の中央部には、その下側に配置された保持部材50とその上側に配置されたスプリング受座51とがかしめにより接合された状態で支持されている。保持部材50の下面側の中央部に形成された凹部内には、前記弁座47上に着座可能な弁板52を下側に有するボール53が嵌合されている。ボール53の外周部は、保持部材50にかしめ付けられた係止板54により転動可能に抜け止めされている。このようにして、保持部材50に弁板52が揺動可能に支持されている。
【0016】
前記背圧室41内において、アッパシェル32の上板部32bとスプリング受座51との間には、スプリング55が介装されている。スプリング55は、常にスプリング受座51及び保持部材50等を下方へ付勢しており、弁板52を弁座47上に着座させている。弁板52が弁座47に着座して閉じることにより、調圧室40と連絡孔46とが遮断される。また、弁板52が弁座47から離れて開くことにより、調圧室40と連絡孔46とが連通される。なお、前記ロアシェル31の環状溝部35にはOリング57がその弾性を利用して装着されている。
【0017】
次に、第1のケーシング24を説明する。なお、図8は第1のケーシングを示す平面図、図9は図8のIX−IX線矢視断面図である。
図6に示すように、第1のケーシング24は、エルボ状の配管部材であって、下部の側面(図6において右側面)に開口しかつ上面に開口する通路部60を有している。図2に示すように、第1のケーシング24の下部側における通路部60の開口部回りには、フランジ状の配管接続部61が形成されている。配管接続部61には、前記リターン通路16(図1参照)における上流側の配管部材16aの下流側端部が締結によって管接続されるようになっている。なお、配管接続部61の外端部には、締結用の一対のスタッドボルト62が設けられている(図2及び図3参照)。
【0018】
図6に示すように、前記第1のケーシング24の上部側における通路部60の開口部回りには、フランジ状の接続部65が形成されている(図8及び図9参照)。接続部65には、第2のケーシング26(後述する)の接続部81が締結されるようになっている。接続部65には、適数個(図8では4個を示す。)の締結用のめねじ孔66が周方向に等間隔で形成されている。
【0019】
図9に示すように、前記第1のケーシング24の上部側における通路部60の開口部内には、前記プレッシャレギュレータ22(図7参照)のロアシェル31を嵌合可能な嵌合孔部67が形成されている。嵌合孔部67は、ロアシェル31の筒状部31aの下部を嵌合可能な小径孔部67aと、ロアシェル31の膨大部31cを嵌合可能な大径孔部67bと、プレッシャレギュレータ22のフランジ部38を遊嵌状に嵌合可能な段付孔部67cとを有している(図8参照)。さらに、大径孔部67bの上部の内周面には、適数個(図8では4個を示す。)の半円状の連通凹部68が周方向に等間隔で形成されている。連通凹部68は、その上面側が段付孔部67cの底面(下面)に開口されているとともに、環状空間部92(後述する)と連通可能に形成されている。また、連通凹部68の外端部は段付孔部67cの内周面に達している。また、接合部65の上面には、前記段付孔部67cと同心状をなしかつ該段付孔部67cを所定間隔を隔てて取り囲むリング状溝69が形成されている。このリング状溝69には、Oリング70が装着されている(図6参照)。
【0020】
図2に示すように、前記第1のケーシング24の下部の前面側には、左右両側に突出する取付部73が形成されている。取付部73は、図示しない固定側部材(例えば、インテークマニホールド)に締結されるようになっている。取付部73には、締結用のボルト挿通孔74が形成されている。
【0021】
次に、第2のケーシング26を説明する。なお、図10は第2のケーシングを示す下面図、図11は図10のXI−XI線矢視断面図である。
図6に示すように、第2のケーシング26は、エルボ状の配管部材であって、下面に開口しかつ上部の側面(図6において右側面)に開口する通路部80を有している。第2のケーシング26の下部側における通路部80の開口部回りには、フランジ状の接続部81が形成されている。接続部81には、前記第1のケーシング24の接続部65が締結されるようになっている。接続部81には、前記第1のケーシング24の接続部65の各めねじ孔66(図8参照)に対応する各スクリュ挿通孔82が形成されている(図10参照)。なお、第1のケーシング24の上面と第2のケーシング26の下面は、相互に面接触状に接合可能な接合面となっている。
【0022】
図11に示すように、前記第2のケーシング26の下部側における通路部80の開口部内には、前記プレッシャレギュレータ22(図7参照)のアッパシェル32の膨大部32cを含む筒状部32aを遊嵌状に嵌合可能な嵌合孔部83が形成されている。嵌合孔部83の下端部の内周面には、前記第1のケーシング24の各連通凹部68(図8参照)に対応する各連通凹部84が形成されている。連通凹部84は、その下面側が第2のケーシング26の下端面に開口されているとともに、環状空間部97(後述する)と連通可能に形成されている。
【0023】
図6に示すように、前記第2のケーシング26の上部側における通路部80の開口部回りには、フランジ状の配管接続部85が形成されている。配管接続部85には、前記リターン通路16(図1参照)における下流側の配管部材16bの上流側端部が締結によって管接続されるようになっている。なお、配管接続部85の外端部には、締結用の一対のスタッドボルト86が設けられている(図2及び図3参照)。
【0024】
図6に示すように、前記両ケーシング24,26の間に前記プレッシャレギュレータ22(図7参照)を組込むに際し、プレッシャレギュレータ22(図7参照)のフランジ部38上に載置可能なウェーブワッシャ90が適数枚(本実施例では2枚)用意される。ウェーブワッシャ90は、プレッシャレギュレータ22のアッパシェル32の膨大部32cに嵌合可能な円環状に形成されている。なお、ウェーブワッシャ90は、本明細書でいう「弾性部材」に相当する。
【0025】
次に、プレッシャレギュレータ22、第1のケーシング24、第2のケーシング26の組付手順を説明する。
(1)図6において、第1のケーシング24の嵌合孔部67内に、プレッシャレギュレータ22のロアシェル31を嵌合する。このとき、プレッシャレギュレータ22のロアシェル31に予め装着されたOリング57が、嵌合孔部67の小径孔部67a(図6参照)の下部内周面に弾性的に接触することにより、第1のケーシング24とロアシェル31との間がシールされる。また、嵌合孔部67の小径孔部67aの上部にロアシェル31の筒状部31aの下部が嵌合されるとともに、嵌合孔部67の大径孔部67bの上端部にロアシェル31の膨大部31cが嵌合される。また、段付孔部67cにプレッシャレギュレータ22のフランジ部38が遊嵌状に嵌合される。これにより、嵌合孔部67の大径孔部67bの下部内周面とロアシェル31の筒状部31aの上部の外周面との間に流出口37に連通する環状空間部92が形成される(図5参照)。この環状空間部92は、各連通凹部68を介して段付孔部67cとフランジ部38との間の空間部93に連通される。また、ロアシェル31の流入口34は、第1のケーシング24内の通路部60に連通される。
【0026】
(2)次に、2枚のウェーブワッシャ90を、プレッシャレギュレータ22のアッパシェル32に嵌合してフランジ部38上に配置する。なお、両ウェーブワッシャ90は、アッパシェル32に嵌合することによりフランジ部38上に容易に配置することができる。
【0027】
(3)次に、プレッシャレギュレータ22のアッパシェル32(詳しくは、膨大部32cを含む筒状部32a)に対して、第2のケーシング26の嵌合孔部83を遊嵌状に嵌合する。この状態で、スクリュ95を、第2のケーシング26のスクリュ挿通孔82を通して第1のケーシング24のめねじ孔66に締着することにより、両ケーシング24,26が管接続される(図5参照)。これにともない、両ケーシング24,26の接合面間がOリング70によって弾性的にシールされる。また、第2のケーシング26の接合面により、ウェーブワッシャ90が弾性を利用して圧縮されることにより、両ケーシング24,26の間にプレッシャレギュレータ22のフランジ部38がウェーブワッシャ90を介して弾性的に挟持される。また、第2のケーシング26の各連通凹部84が第1のケーシング24の各連通凹部68に対してそれぞれ整合することにより、両連通凹部68,84が相互に連通される。また、第2のケーシング26の嵌合孔部83の内周面とアッパシェル32の筒状部32a(膨大部32cを含む。)の外周面との間に、連通口33に連通する環状空間部97が形成される。この環状空間部97は、第2のケーシング26の各連通凹部84を介して前記第1のケーシング24内の空間部93にそれぞれ連通されるとともに、第2のケーシング26内の通路部80に連通される。したがって、プレッシャレギュレータ22の調圧室40に連通する第1のケーシング24の通路部60と、該プレッシャレギュレータ22の背圧室41に連通する第2のケーシング26の通路部80とが一連状の燃料通路100として連通されることになる。このようにして、燃料通路100に対してプレッシャレギュレータ22がインライン化された圧力調整装置20が完成する(図2〜図4参照)。
【0028】
なお、前記圧力調整装置20は、固定側部材(例えば、インテークマニホールド)に第1のケーシング24の取付部73を締結される。また、第1のケーシング24の配管接続部61には、リターン通路16(図1参照)の上流側の配管部材16aが締結によって管接続される。また、第2のケーシング26の配管接続部85には、リターン通路16(図1参照)の下流側の配管部材16bの上流側端部が締結によって管接続される。
【0029】
前記圧力調整装置20において、いま、プレッシャレギュレータ22(図7参照)の弁板52が閉じている状態とする。この状態で、リターン通路16(図1参照)の上流側の配管部材16a内を流れてくる燃料が、第1のケーシング24内の通路部60を通じてプレッシャレギュレータ22の流入口34から調圧室40内へ導入されることにより、調圧室40内の燃圧が高くなる。そして、調圧室40内の燃圧が、ダイアフラム39に対する背圧室41内の力(スプリング55の弾性力と背圧室41内に作用するリターン燃料の燃圧との合成力)より大きくなれば、ダイアフラム39が背圧室41側すなわち上方へ変位するにともなって弁板52が開かれる。したがって、調圧室40内の燃料が余剰燃料すなわちリターン燃料として流出口37を介して環状空間部92へ流出される。なお、リターン燃料は、本明細書でいう「調圧室で調圧後の燃料(流体)」に相当する。
【0030】
前記リターン燃料は、環状空間部92から各連通凹部68、空間部93を経て、第2のケーシング26内の各連通凹部84、環状空間部97、通路部80を通じて、リターン通路16(図1参照)の下流側の配管部材16b内に流れていき、最終的には燃料タンク11に戻される。このとき、第2のケーシング26内の環状空間部97を流れるリターン燃料の一部が、連通口33を介して背圧室41内に導入される。このため、背圧室41内にはリターン燃料の燃圧が作用することになる。
【0031】
また、調圧室40からのリターン燃料の流出にともない、調圧室40内の燃圧が低くなる。そして、調圧室40内の燃圧が、ダイアフラム39に対する背圧室41内の力より小さくなれば、ダイアフラム39が調圧室40側すなわち下方へ変位するにともなって弁板52が閉じることにより、調圧室40内の燃料の流出が制限される。このようにして、調圧室40内の燃圧が所定値に保たれる。
【0032】
また、プレッシャレギュレータ22の調圧室40で調圧後のリターン燃料を背圧室41に導入し、そのリターン燃料の燃圧を含む背圧室41内の力に応じて調圧室40の燃圧を調整することによって、温度によって燃圧が変化するLPGのような燃料の調圧値を安定化するとともにダイアフラム39の耐久性を向上することができる。
【0033】
上記した圧力調整装置20によると、第1のケーシング24と第2のケーシング26との間にプレッシャレギュレータ22を組込むとともに、その両ケーシング24,26の相互の接続により形成される燃料通路100をプレッシャレギュレータ22の調圧室40及び背圧室41に連通するものである。したがって、プレッシャレギュレータ22の調圧室40で調圧後の燃料を背圧室41に導入するために従来必要とされた専用の背圧通路を省略することができる。
【0034】
また、プレッシャレギュレータ22が有するフランジ部38を第1のケーシング24と第2のケーシング26との間にウェーブワッシャ90を介して挟持したものであるから、プレッシャレギュレータ22のがたつきを容易に防止あるいは低減することができる。
【0035】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、前記実施例では、LPGを調圧する場合を例示したが、調圧対象となる流体は、LPGに限らず、ガソリンや軽油等のエンジン用燃料、水や空気、油圧回路の作動油等にも適用可能である。また、第1のケーシング24の通路部60及び/又は第2のケーシング26の通路部80は、エルボ状に限らず、ストレート状に形成してもよい。また、各ケーシングの連通凹部の個数も適宜増減することができる。また、ウェーブワッシャ90は、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。また、ウェーブワッシャ90に代えて、皿ばね、コイルばね、ゴム状弾性体等を弾性部材として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例にかかる燃料供給装置を示す構成図である。
【図2】圧力調整装置を示す正面図である。
【図3】圧力調整装置を示す側面図である。
【図4】圧力調整装置を示す平面図である。
【図5】圧力調整装置を示す側断面図である。
【図6】圧力調整装置を分解して示す側断面図である。
【図7】プレッシャレギュレータを示す断面図である。
【図8】第1のケーシングを示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】第2のケーシングを示す下面図である。
【図11】図10のXI−XI線矢視断面図である。
【図12】従来例の燃料供給装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0037】
20 圧力調整装置
22 プレッシャレギュレータ
24 第1のケーシング(部材)
26 第2のケーシング(部材)
38 フランジ部
40 調圧室
41 背圧室
90 ウェーブワッシャ(弾性部材)
100 燃料通路(流体通路)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体を背圧室に導入する構成の圧力調整装置であって、
前記プレッシャレギュレータを経由する流体通路を相互の接続により形成する二部材を備え、
前記二部材の間に前記プレッシャレギュレータを組込むとともに、前記流体通路を前記調圧室及び前記背圧室に連通する構成とした
ことを特徴とする圧力調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力調整装置であって、
前記プレッシャレギュレータが有するフランジ部を前記二部材の間に弾性部材を介して挟持したことを特徴とする圧力調整装置。
【請求項1】
プレッシャレギュレータの調圧室で調圧後の流体を背圧室に導入する構成の圧力調整装置であって、
前記プレッシャレギュレータを経由する流体通路を相互の接続により形成する二部材を備え、
前記二部材の間に前記プレッシャレギュレータを組込むとともに、前記流体通路を前記調圧室及び前記背圧室に連通する構成とした
ことを特徴とする圧力調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力調整装置であって、
前記プレッシャレギュレータが有するフランジ部を前記二部材の間に弾性部材を介して挟持したことを特徴とする圧力調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−134559(P2009−134559A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310704(P2007−310704)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]