説明

圧着端子及び圧着端子の製造方法

【課題】圧着部が締結部と一体化された、変形力に対して強度の大きい圧着端子を提供すること。
【解決手段】圧着端子1は、端子台へ締結される締結部と、前記締結部の上面に、金型成型された構造であって、開口部が上向きとなるように該締結部と継ぎ目を有することなく一体に形成された筒状の圧着部と、を備える。また当該圧着端子は、金属素材を金型成形することにより、端子台へ締結される締結部と、該締結部の上面に開口部が上向きとなるように該締結部と継ぎ目を有することなく一体化された筒状の圧着部とを備えるように製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導線を圧着して端子台に接続する圧着端子及び圧着端子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圧着端子として、締結部(導体接触面)の端部をほぼ直角に折曲して折曲部を形成し、この折曲部に筒状の圧着部を形成したものがある(特許文献1)。このように、圧着部を締結部に対して直角に形成することにより、圧着部は横方向に突出しないため、圧着端子の実装スペースを小さくすることができる。
【0003】
このような圧着端子は、アルミ、銅等の金属板を打ち抜き、折曲部を形成するとともに、折曲部に筒状の圧着部を加工することにより製作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−190668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の圧着端子は、上記のように、締結部の端部に折曲部を形成し、この折曲部に筒状の圧着部を加工した構成であるので、圧着部に導線から力が加わると折曲部が変形するおそれがあった。また、金属板を打ち抜き、折曲部及び圧着部を加工することにより製造するので、製造工程が複雑であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、圧着部が締結部と一体化された、変形力に対して強度の大きい圧着端子を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、金型成型により簡単な工程で製造できる圧着端子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)端子台へ締結される締結部と、前記締結部の上面に、開口部が上向きとなるように該締結部と一体に形成された筒状の圧着部とを備えたことを特徴とする圧着端子。
【0009】
(1)記載の圧着端子によれば、圧着部が締結部に一体化されているので、圧着部の強度が大きく、導線から変形力が加わっても変形や破損が生じにくい。
【0010】
(2)前記圧着部の下端部に切溝を形成したことを特徴とする(1)記載の圧着端子。
【0011】
(2)記載の圧着端子によれば、工具を用いて圧着部に挿入された導線を圧着する際の圧着変形が容易になり、圧着部への導線の圧着接続を確実に行うことができる。
【0012】
(3)前記圧着部へ装着した絶縁ゴムキャップにより、前記締結部を端子台へ締結する固定ねじのねじ頭を押圧して緩み止めを行うことを特徴とする(1)又は(2)記載の圧着端子。
【0013】
(3)記載の圧着端子によれば、絶縁ゴムキャップを利用して固定ねじの緩みを防止することができる。
【0014】
(4)金属素材を金型成形することにより、端子台へ締結される締結部と、該締結部の上面に開口部が上向きとなるように該締結部と一体化された筒状の圧着部とを備えた圧着端子を製造することを特徴とする圧着端子の製造方法。
【0015】
(4)記載の圧着端子の製造方法によれば、金型成型により締結部と一体化された圧着部を備えた圧着端子を製造することができるので、製造工程が簡単となり、安価に大量生産が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の圧着端子によれば、圧着部が締結部に一体化され、圧着部の強度が大きく、導線から変形力が加わっても変形や破損が生じにくい圧着端子が得られる。
【0017】
また、本発明の圧着端子の製造方法によれば、製造工程が簡単で安価に大量生産が可能な圧着端子の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態による圧着端子の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による圧着端子の縦断側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による圧着端子の取付状態を示す縦断側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による圧着端子の縦断側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による圧着端子の平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による圧着端子の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態による圧着端子の平面図、図2は、本発明の第1実施形態の圧着端子の縦断側面図である。
【0020】
図1、図2に示すように、圧着端子1は、固定孔2を有する略円形の締結部3と、この締結部3の側部に形成された突出部4の上面に一体に形成された筒状の圧着部5とを備えている。この圧着部5は、締結部3の上面に対して略直角をなし、その開口部が上方に向いている。締結部3、圧着部5は、締結部3と圧着部5とが電気的に接続するように、導電性材料で形成されている。
【0021】
図3は、本発明の第1実施形態による圧着端子の取付状態を示す縦断側面図である。圧着端子1の圧着部5に導線6の素線部6aを挿入して圧着し、圧着端子1の締結部3を端子台7に取付けられている導電体8上に載せ、導電体8の雌ねじ8aに固定ねじ10をねじ込み、締結固定する。なお、端子台7には、雌ねじ8aに対応する箇所に貫通孔7aが形成されており、固定ねじ10はこの貫通孔7aに突出する。導線6の素線部6aは、これが奥まで挿入されると、締結部3に電気的に接触するために、導線6の素線部6aの挿入不足及び過剰挿入を防ぐことができる。
【0022】
圧着部5には絶縁ゴムキャップ11が装着される。圧着端子1を端子台7に固定ねじ10で固定する際に、予め、絶縁ゴムキャップ11を圧着部5に装着した状態で固定ねじ10のねじ部10bを締結部3の固定孔2に差し込み、差し込んだ状態で、固定ねじ10を端子台7に固定することが好ましい。
【0023】
固定ねじ10を端子台7に固定する前に、絶縁ゴムキャップ11を圧着部5に装着した状態で固定ねじ10のねじ部10bを締結部3の固定孔2に差し込むことにより、絶縁ゴムキャップ11の下端部は圧着部5と固定ねじ10のねじ頭10aとの間に弾性変形した状態で配置されるので、絶縁ゴムキャップ11の下端部は固定ねじ10のねじ頭10aを圧着部5と反対側に押し付ける状態が維持される。換言すると、固定ねじ10のねじ部10bは締結部3の固定孔2の側面に押し付けられるので、固定ねじ10を端子台7に取り付ける際に、固定ねじ10のねじ部10bが締結部3の固定孔2から抜け落ちることがほとんど無い。
【0024】
さらに、固定ねじ10が端子台7に固定された状態における絶縁ゴムキャップ11は、弾性変形しつつ、ねじ頭10aの上面から側面の隙間に入り込み、固定ねじ10の緩みを防止する。
【0025】
図4は、本発明の第2実施形態による圧着端子の縦断側面図である。圧着端子1は、圧着部5の下端部の一部に切溝12を形成している。これにより、工具を用いて圧着部5を導線6に圧着する際の圧着変形が容易になり、導線6(図3参照)に対する圧着力を強くすることができる。
【0026】
図5は、本発明の第3実施形態による平面図、図6は、本発明の第3実施形態による圧着端子の縦断側面図である。圧着端子1は、締結部3を角型に構成し、この締結部3の端部に締結部3の幅と略同一外径の圧着部5を一体的に形成している。この第3実施形態では、圧着端子1の小型化が可能で、端子台7(図3参照)へ装着時の実装密度を高めることができる。
【0027】
本発明の圧着端子1は、圧着部5が締結部3と一体化されているので、圧着部5の強度が大きくなり、圧着した導線6から受ける変形力に対して変形しにくく、耐久性に富み、さらに、他の圧着端子に比べ、優れた導電性を有する。
【0028】
また、本発明の圧着端子1の製造方法は、金型成型により、圧着部5が締結部3と一体化された圧着端子1を製造することができるので、製造工程が簡単で安価に大量生産できる。
【符号の説明】
【0029】
1 圧着端子
2 固定孔
3 締結部
4 突出部
5 圧着部
6 導線
7 端子台
8 導電体
10 固定ねじ
10a ねじ頭
11 絶縁ゴムキャップ
12 切溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台へ締結される締結部と、
前記締結部の上面に、金型成型された構造であって、開口部が上向きとなるように該締結部と継ぎ目を有することなく一体に形成された筒状の圧着部と、を備えたことを特徴とする圧着端子。
【請求項2】
金属素材を金型成形することにより、端子台へ締結される締結部と、該締結部の上面に開口部が上向きとなるように該締結部と継ぎ目を有することなく一体化された筒状の圧着部とを備えた圧着端子を製造することを特徴とする圧着端子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−93331(P2013−93331A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−285750(P2012−285750)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2008−293598(P2008−293598)の分割
【原出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000211293)中国電機製造株式会社 (69)
【Fターム(参考)】