説明

圧着装置及び液晶表示装置の製造方法

【課題】被圧着体の一方側及び他方側の双方に対しても、圧着部品を確実に圧着する。
【解決手段】圧着部品13が付加された被圧着体14がステージ11に載置された状態で、ステージ11と圧着ヘッド12とを互いに近接するように相対移動させて、圧着部品13を被圧着体14に圧着する。圧着ヘッド12は、被圧着体14及び圧着部品13の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第1押圧層16を備え、ステージ11は、被圧着体14及び圧着部品13の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第2押圧層19を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着装置及び液晶表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は、携帯電話等のモバイル機器や所謂液晶テレビ等の薄型の表示装置として需要がますます大きくなっている。液晶表示装置を製造する場合には、通常、一対の大判の基板母材(例えばマザーガラス基板等)が互いに貼り合わされた貼合せ基板母材を、複数に分断することによって、複数の液晶パネルを製造する。そのことにより、製造コストの低減が図られている。
【0003】
また、液晶表示装置等の電子機器には、基板上に駆動回路等のICチップや、FPC(flexible printed circuit)等が複数実装されている。液晶表示装置を例に挙げて説明すると、液晶表示装置は、駆動回路基板と、これに対向配置された対向基板と、これら対向基板及び駆動回路基板の間に設けられた液晶層とを備えている。駆動回路基板には、TFT等のスイッチング素子を駆動制御するICドライバや、FPCが実装されている。
【0004】
上記液晶表示装置を製造する場合には、上記ICドライバ及びFPCを実装する前に、上記駆動回路基板と対向基板とを液晶層を介して貼り合わせる。そうして、駆動回路基板と対向基板との間に、液晶層を枠状のシール部材によって囲んで封入する。駆動回路基板の一部は、対向基板に対向せずに露出した端子領域として形成されている。
【0005】
その後、駆動回路基板の端子領域に、上記ICドライバ及びFPCを実装する。このとき、端子領域に形成されている端子に対し、ACF(anisotropic conductive film)等の異方性導電膜を介して、ICドライバ及びFPC等を圧着することにより、これらを実装する。
【0006】
特許文献1〜4には、ステージに向かって下降する圧着ヘッドの下面に弾性体を設けることが開示されている。また、ステージを金属によって形成すること、及びステージにヒータを設けることも開示されている。
【0007】
すなわち、従来の圧着装置100の概略断面図である図11に示すように、まず、下方に配置されたステージ101の平坦な基板設置面102に、被圧着体である基板103を設置する。基板103には、ステージ101と反対側の表面に異方性導電膜104を介して圧着部品105が配置されている。
【0008】
次に、上方に配置されると共に弾性体106が下面に装着された圧着ヘッド107を下降させる。そうして、従来の圧着ヘッド107が下降した圧着装置100の概略断面図である図12に示すように、基板103の表面から突出している複数の圧着部品105の形状を弾性体106によって吸収しながら、各圧着部品105を基板103に対して確実に圧着させようとしている。
【特許文献1】特開2002−359264号公報
【特許文献2】特開2005−032952号公報
【特許文献3】特開2007−189100号公報
【特許文献4】特開2000−068633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の圧着装置では、基板の一方の表面に圧着部品を圧着することだけが想定されていたので、基板の平坦な他方の表面を支持するステージの基板設置面は、当然に平坦で硬い表面によって構成されていた。したがって、上記従来の圧着装置によって、被圧着体である基板の両面に圧着部品を確実に圧着することは極めて困難である。
【0010】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被圧着体の一方側及び他方側の双方に対しても、圧着部品を確実に圧着しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明では、被圧着体における一方側及び他方側の双方を、弾性体によってそれぞれ押圧するようにした。
【0012】
具体的に、本発明に係る圧着装置は、ステージと、上記ステージに対向して配置された圧着ヘッドとを備え、圧着部品が付加された上記被圧着体が上記ステージに載置された状態で、該ステージと上記圧着ヘッドとを互いに近接するように相対移動させて、上記圧着部品を上記被圧着体に圧着する圧着装置であって、上記圧着ヘッドは、上記被圧着体及び上記圧着部品の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第1押圧層を備え、上記ステージは、上記被圧着体及び上記圧着部品の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第2押圧層を備えている。
【0013】
上記被圧着体における上記圧着ヘッド側及び上記ステージ側を覆うカバー部材を備え、上記カバー部材は、上記被圧着体を覆った状態で上記圧着部品を内側に収容する開口部が貫通形成され、上記開口部周りの上記被圧着体の表面からの高さが、上記圧着部品の上記被圧着体の表面からの高さよりも大きいことが好ましい。
【0014】
上記カバー部材は、上記開口部の周縁部分がアール状に形成されていることが好ましい。
【0015】
上記開口部には、複数の上記圧着部品が収容され、上記カバー部材は、上記開口部周りの高さが、該開口部に収容されている複数の上記圧着部品のうち最も高い圧着部品の上記高さよりも大きいようにしてもよい。
【0016】
上記カバー部材は、上記被圧着体における上記圧着ヘッド側を覆う第1カバー部と、該第1カバー部に対して分離可能に設けられ、上記被圧着体における上記ステージ側を覆う第2カバー部とにより構成されていることが好ましい。
【0017】
上記第1押圧層及び上記第2押圧層は、互いに同じ大きさの弾性率を有する弾性体によって構成されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、駆動回路基板と、該駆動回路基板に対向して配置された対向基板と、上記駆動回路基板及び対向基板の間に設けられた液晶層とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、上記駆動回路基板は、上記対向基板に対向しない端子領域を有し、上記端子領域に圧着部品を圧着する圧着工程を含み、上記圧着工程では、上記駆動回路基板の液晶層とは反対側と、上記対向基板の液晶層とは反対側との双方を弾性体によって同時に押圧することにより、上記圧着部品を上記駆動回路基板に圧着する。
【0019】
上記圧着部品は、COGチップ及びFPCの少なくとも一方であってもよい。
【0020】
上記駆動回路基板及び上記対向基板を、互いに同じ弾性率を有する弾性体によってそれぞれ押圧することが好ましい。
【0021】
−作用−
次に、本発明の作用について説明する。
【0022】
上記圧着装置によって、圧着部品を被圧着体に圧着する場合には、まず、圧着部品が付加された被圧着体をステージに載置する。ステージには被圧着体及び圧着部品の少なくとも一方を押圧する第2押圧層が設けられているため、上記圧着部品及び被圧着体は、ステージの第2押圧層上に載置されることとなる。次に、上記ステージと圧着ヘッドとを相対移動させて互いに近接させることにより、圧着部品を被圧着体に圧着する。
【0023】
このとき、圧着部品が被圧着体の圧着ヘッド側及びステージ側にそれぞれ付加されている場合には、被圧着体の圧着ヘッド側に付加された圧着部品は、圧着ヘッドの第1押圧層によって押圧され、当該圧着部品の形状が弾性体である第1押圧層によって吸収された状態で、被圧着体に圧着されることとなる。この際、被圧着体のステージ側に付加された圧着部品についても、同時に、ステージの第2押圧層によって押圧され、当該圧着部品の形状が弾性体である第2押圧層によって吸収された状態で、被圧着体に圧着されることとなる。
【0024】
すなわち、本発明に係る圧着装置によると、被圧着体の圧着ヘッド側に付加された圧着部品だけでなく、ステージ側に付加された圧着部品についても、同時に、被圧着体へ確実に圧着することが可能になる。
【0025】
また、圧着部品が被圧着体の圧着ヘッド側にのみ付加されている場合には、被圧着体自体のステージ側の形状がステージの第2押圧層によって吸収されると共に、上記圧着部品が圧着ヘッドの第1押圧層によって押圧され、その形状が第1押圧層により吸収されるため、上記圧着部品は、被圧着体の形状に拘わらず、その被圧着体へ確実に圧着されることとなる。
【0026】
一方、圧着部品が被圧着体のステージ側にのみ付加されている場合には、被圧着体自体の圧着ヘッド側の形状が圧着ヘッドの第1押圧層によって吸収されると共に、上記圧着部品がステージの第2押圧層によって押圧され、その形状が第2押圧層により吸収されるため、上記圧着部品は、被圧着体の形状に拘わらず、その被圧着体へ確実に圧着されることとなる。
【0027】
特に、圧着装置が上記カバー部材を備える場合には、例えば、被圧着体のステージ側では、カバー部材の開口部における開口周りの表面が圧着部品よりも高くなっているので、第2押圧層が、まずカバー部材の開口部周りに接触した後に、圧着部品に接触する。したがって、第2押圧層が圧着部品よりも先に被圧着体に接触することが防止されるため、圧着部品は精度良く被圧着体に圧着される。また、上記開口部及びそれに収容される圧着部品が複数組設けられている場合には、各圧着部品を均等に被圧着体へ圧着することが可能になる。
【0028】
また、カバー部材における開口部の周縁部分がアール状に形成されていれば、カバー部材が開口部周縁部分から受ける応力が分散するため、第1押圧層及び第2押圧層の損傷が抑制される。
【0029】
また、開口部に収容されている圧着部品が複数であって、その最も高い圧着部品よりも、カバー部材の開口部周りが高い場合には、その複数の圧着部品のそれぞれについて、確実に被圧着体へ圧着することが可能となる。
【0030】
また、カバー部材が、上記第1カバー部と第2カバー部とにより構成されている場合には、これらの第1カバー部及び第2カバー部を被圧着体に対して容易且つ確実に装着することが可能になる。
【0031】
また、上記第1押圧層及び第2押圧層の弾性率が同じ大きさである場合には、被圧着体における圧着ヘッド側とステージ側とのそれぞれに対して、均等に押圧力を加えられることとなる。
【0032】
液晶表示装置を製造する場合についても、上記圧着装置と同様の作用が奏される。すなわち、その圧着工程では、駆動回路基板及び対向基板の双方に対して、液晶層とは反対側を弾性体によって同時に押圧する。この場合、特に、駆動回路基板及び対向基板を、互いに同じ弾性率を有する弾性体によってそれぞれ押圧すれば、それぞれ均等に押圧力を加えられる。そのことにより、駆動回路基板及び対向基板の形状の如何に関わらず、例えばCOGチップやFPC等の圧着部品を、駆動回路基板の端子領域へ確実に圧着することが可能になる。したがって、液晶表示装置の製造プロセスの自由度も高まることとなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、被圧着体における一方側及び他方側の双方を、弾性体によってそれぞれ押圧するようにしたことから、被圧着体の一方側及び他方側の双方に対しても、圧着部品を同時且つ確実に圧着することができる。さらに、被圧着体の一方側の形状に拘わらず、被圧着体の他方側に圧着部品を確実に圧着することができる。また、液晶表示装置を製造する場合には、駆動回路基板及び対向基板の形状の如何に関わらず、圧着部品を端子領域へ確実に圧着することができる。さらに、製造プロセスの自由度も高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0035】
《発明の実施形態1》
図1〜図6は、本発明の実施形態1を示している。
【0036】
図1は、本実施形態1の圧着装置1の概略構造を示す断面図である。図2は、本実施形態1におけるカバー部材22の開口部23周辺を拡大して示す断面図である。図3は、カバー部材22と、圧着部品13が付加された基板14とを示す分解斜視図である。図4は、カバー部材22の角部分を拡大して示す斜視図である。図5は、カバー部材22が装着された基板14を示す斜視図である。図6は、図5における一部を拡大して示す斜視図である。
【0037】
本実施形態1の圧着装置1は、図1に示すように、ステージ11と、ステージ11に対向して配置された圧着ヘッド12とを備えている。そうして、圧着部品13が付加された被圧着体である基板14がステージ11に載置された状態で、ステージ11と圧着ヘッド12とを互いに近接するように相対移動させて、圧着部品13を基板14に圧着するように構成されている。
【0038】
ここで、基板14は矩形板状の基板により構成され、その圧着ヘッド12側及びステージ11側の両面に対して、例えばベアチップ等の複数の圧着部品13がマトリクス状に配置されると共に、図示省略のACF(異方性導電膜)を介してそれぞれ付加されている。
【0039】
圧着ヘッド12は、ヘッド本体15と、基板14及び圧着部品13の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第1押圧層16とを備えている。ヘッド本体15は、金属により構成されると共にステージ11側に凹部17を有し、この凹部17に上記第1押圧層16が充填して支持されている。
【0040】
一方、ステージ11は、ステージ本体18と、基板14及び圧着部品13の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第2押圧層19を備えている。ステージ本体18は、金属により構成されると共に圧着ヘッド12側に凹部20を有し、この凹部20に上記第2押圧層19が充填して支持されている。そして、第1押圧層16及び第2押圧層19は、互いに同じ大きさの弾性率を有する弾性体によって構成されている。弾性体には例えばエラストマーを適用することができる。
【0041】
さらに、本実施形態1の圧着装置1は、基板14における圧着ヘッド12側及びステージ11側を覆うカバー部材22を備えている。カバー部材22は、圧着ヘッド12側に配置される矩形板状の第1カバー部31と、これに対向するようにステージ11側に配置されると共に第1カバー部31に対して分離可能に設けられた矩形板状の第2カバー部32とにより構成されている。
【0042】
そうして、カバー部材22は、第1カバー部31及び第2カバー部32が基板14を狭持するように当該基板14に装着されることにより、第1カバー部31が基板14における圧着ヘッド12側を覆う一方、第2カバー部32が基板14におけるステージ11側を覆うようになっている。
【0043】
これら第1カバー部31及び第2カバー部32は、それぞれ同じ大きさ及び厚みを有している。一方、第1カバー部31の左右両端には、ステージ11側に突出した状態で第1カバー部31の辺方向に延びる側壁部33がそれぞれ形成されている。図1及び図4に示すように、側壁部33における第1カバー部31の内側の高さt1は、基板14の厚みと同じ大きさになっている。
【0044】
第1カバー部31及び第2カバー部32は、それぞれ、金属等の剛性が高い材料によって構成されると共に、図1及び図3に示すように、複数の開口部23が貫通形成されている。開口部23は、断面矩形状の貫通孔として形成され、図5及び図6に示すように、基板14を覆った状態で圧着部品13を内側に収容するように構成されている。
【0045】
そして、図6に示すように、カバー部材22が基板14に装着された状態で、カバー部材22は、基板14の表面からの開口部23周りの高さT(つまり、カバー部材22の厚みT)が、基板14の表面からの圧着部品13の高さt2よりも大きくなっている。
【0046】
特に、本実施形態1では、開口部23には、複数の圧着部品13が収容されており、カバー部材22は、開口部23周りの高Tさが、その開口部23に収容されている複数の圧着部品13のうち最も高い圧着部品13の高さt2よりも大きくなっている。
【0047】
−圧着装置の作動−
次に、上記圧着装置1の作動について説明する。
【0048】
上記圧着装置1によって、圧着部品13を基板14に圧着する場合には、まず、圧着部品13が付加された基板14をステージ11に載置する。ステージ11には弾性体からなる第2押圧層19が設けられているため、圧着部品13及び基板14は、ステージ11の第2押圧層19上に載置されることとなる。次に、ステージ11と圧着ヘッド12とを相対移動させて互いに近接させることにより、圧着部品13を基板14に圧着する。
【0049】
このとき、基板14の圧着ヘッド12側に付加された圧着部品13は、圧着ヘッド12の第1押圧層16によって押圧され、当該圧着部品13の形状が弾性体である第1押圧層16によって吸収された状態で、基板14に圧着されることとなる。
【0050】
特に、本実施形態1ではカバー部材22を備えているので、基板14の圧着ヘッド12側では、第1カバー部31の開口部23における開口周りの表面が圧着部品13よりも高くなっているので、第1押圧層16が、まず第1カバー部31の開口部23周りに接触した後に圧着部品13に接触し、当該圧着部品13が圧着ヘッド12の第1押圧層16によって押圧されることとなる。
【0051】
同様に、基板14のステージ11側では、第2カバー部32の開口部23における開口周りの表面が圧着部品13よりも高くなっているので、第2押圧層19が、まず第2カバー部32の開口部23周りに接触した後に、圧着部品13に接触し、当該圧着部品13がステージ11の第2押圧層19によって押圧されることとなる。
【0052】
その結果、各圧着部品13は、基板14の両面において均等に押圧力が加わることから、それぞれ精度良く基板14に圧着されることとなる。
【0053】
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1によると、基板14における圧着ヘッド12側及びステージ11側の双方を、弾性体からなる第1押圧層16又は第2押圧層19によってそれぞれ押圧するようにしたので、これら基板14の一方の表面側だけでなく両面についても、圧着部品13を同時且つ確実に圧着することができる。
【0054】
すなわち、基板14における圧着ヘッド12側の突出形状を弾性体からなる第1押圧層16によって吸収しながらも、圧着部品13を基板14に確実に圧着できることに加え、これと同時に、基板14におけるステージ11側の突出形状を弾性体からなる第2押圧層19によって吸収しながらも、圧着部品13を基板14に確実に圧着することができる。
【0055】
さらに、本実施形態1では圧着装置1がカバー部材22を備えるようにしたので、第1押圧層16及び第2押圧層19が圧着部品13よりも先に基板14表面に接触することを防止することができるため、圧着部品13を確実に押圧することができる。加えて、仮に、圧着ヘッド12が基板14の表面に対して僅かに傾斜していたとしても、上記開口部23を有するカバー部材22を介在させていることから、複数の圧着部品13のそれぞれについて、均等に押圧力を加えることが可能になる。
【0056】
さらに、開口部23に収容されている圧着部品13が複数であっても、そのカバー部材22の開口部23周りの高さが、複数のうち最も高い圧着部品13よりも高いので、その複数の圧着部品13のそれぞれについて、確実に基板14へ圧着することが可能となる。
【0057】
さらにまた、カバー部材22が、第1カバー部31と第2カバー部32とにより構成されているため、これらの第1カバー部31及び第2カバー部32を基板14に対して容易且つ確実に装着することができる。
【0058】
さらに、第1押圧層16及び第2押圧層19の弾性率が同じ大きさであるため、基板14における圧着ヘッド12側とステージ11側とのそれぞれに対して、均等に押圧力を加えることができる。
【0059】
《発明の実施形態2》
図7は、本発明の実施形態2を示している。
【0060】
図7は、本実施形態2のカバー部材22における開口部23周辺を拡大して示す断面図である。尚、以降の各実施形態では、図1〜図6と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0061】
上記実施形態1では、開口部23を断面矩形筒状の貫通孔に形成したのに対し、本実施形態2のカバー部材22は、図7に示すように、開口部23の周縁部分26がアール状に形成されている。すなわち、開口部23の内壁面は突曲面によって構成されると共に、その断面の幅が基板14から離れるに連れて徐々に大きくなっている。
【0062】
したがって、この実施形態2によると、上記実施形態1と同様の効果が得られることに加え、カバー部材22が開口部23の周縁部分から受ける応力を分散させることができるため、第1押圧層16及び第2押圧層19の損傷を抑制することができる。
【0063】
《発明の実施形態3》
図8及び図9は、本発明の実施形態3を示している。
【0064】
図8は、本実施形態3の圧着装置1であって、圧着ヘッド12が上昇位置にある状態を示す断面図である。図9は、本実施形態3の圧着装置1であって、圧着ヘッド12が下降位置にある状態を示す断面図である。
【0065】
上記実施形態1では、基板14にカバー部材22を装着した状態で圧着部品13を圧着したのに対し、本実施形態3では、そのようなカバー部材22を装着しないで圧着部品13を圧着するようにしたものである。
【0066】
すなわち、本実施形態3における圧着装置1は、図8に示すように、上記実施形態1と同様に、弾性体からなる第1押圧層16を有する圧着ヘッド12と、弾性体からなる第2押圧層19を有するステージ11とを備えている。
【0067】
そうして、異方性導電膜28を介して圧着部品13を両面に付加した基板14を、ステージ11の第2押圧層19上に載置した後に、圧着ヘッド12を下降させてステージ11に近接するように相対移動させる。そのことにより、図9に示すように、圧着部品13を基板14に圧着する。
【0068】
したがって、この実施形態3によっても、図9にしめすように、基板14における圧着ヘッド12側の圧着部品13等の形状を第1押圧層16によって吸収させると同時に、基板14におけるステージ11側の圧着部品13等の形状を第2押圧層19によって吸収させることができるため、各圧着部品13を基板14の両面の双方に対してに圧着することができる。
【0069】
そのことに加え、カバー部材22を基板14に装着しないことから、簡易な構成及び工程によって、基板14の両面に圧着部品を圧着することができる。
【0070】
《発明の実施形態4》
図10は、本発明の実施形態4を示している。
【0071】
図10は、液晶表示装置50の外観を模式的に示す側面図である。
【0072】
上記実施形態3で説明した圧着装置1を用いると、液晶表示装置50を好適に製造することができる。
【0073】
ここで、液晶表示装置50は、駆動回路基板51と、この駆動回路基板51に対向して配置された対向基板52と、駆動回路基板51及び対向基板52の間に設けられた液晶層(図示省略)とを備えている。
【0074】
対向基板52は、矩形板状のガラス基板54と、ガラス基板54の液晶層とは反対側に貼り付けられた偏光板56とを備えている。また、ガラス基板54の液晶層側には、図示を省略するが、ITO等からなる共通電極やカラーフィルタ等が形成されている。
【0075】
駆動回路基板51は、矩形板状のガラス基板53と、ガラス基板53の液晶層とは反対側に貼り付けられた偏光板55とを備えている。また、ガラス基板53の液晶層側には、図示を省略するが、複数の画素毎に画素電極、TFT(薄膜トランジスタ)及び配線等が形成されている。
【0076】
また、駆動回路基板51は、対向基板52に対向しないで側方に突出した端子領域57を有している。端子領域57には、上記偏光板55とは反対側の表面に、上記画素を駆動制御するためのCOGチップ58及びFPC59が圧着部品13として圧着されている。尚、これに限らず、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、COGチップ及びFPCの少なくとも一方が端子領域57に圧着されている場合にも、同様に適用することができる。
【0077】
液晶表示装置50を製造する場合には、駆動回路基板51及び対向基板52を予め形成した後に、これらをシール部材(図示省略)及び液晶層(図示省略)を介して互いに貼り合わせる。
【0078】
その後、端子領域57にCOGチップ58及びFPC59を圧着する圧着工程を行う。圧着工程では、例えば上記実施形態3で説明した圧着装置1を用いて、駆動回路基板51の液晶層とは反対側と、対向基板52の液晶層とは反対側との双方を弾性体である第1押圧層16又は第2押圧層19によって同時に押圧することにより、COGチップ58及びFPC59を駆動回路基板51に圧着する。
【0079】
すなわち、互いに貼り合わされた駆動回路基板51及び対向基板52を、端子領域57に異方性導電膜を介してCOGチップ58及びFPC59を付加した状態で、圧着装置1のステージ11に載置する。そうして、圧着ヘッド12をステージ11に近接するように相対移動させることにより、COGチップ58及びFPC59を端子領域57に圧着する。このとき、駆動回路基板51及び対向基板52を、互いに同じ弾性率を有する第1押圧層16及び第2押圧層19によってそれぞれ押圧する。
【0080】
したがって、本実施形態4によれば、第1押圧層16及び第2押圧層19によって、駆動回路基板51及び対向基板52の形状を吸収することができるので、対向基板52が貼り合わされた駆動回路基板51の端子領域57に対しても、COGチップ58及びFPC59を同時且つ確実に圧着することができる。また、ガラス基板53に偏光板55を貼り付けた後であっても、好適に上記COGチップ58及びFPC59を端子領域57に圧着できる。その結果、液晶表示装置50の製造プロセスの自由度を大幅に高めることができる。
【0081】
《その他の実施形態》
上記実施形態1〜3では、基板14の両面に圧着部品13を圧着する例について説明したが、本発明はこれに限らず、基板14の一方の表面にのみ圧着部品13を圧着する場合についても、基板14の他方の表面形状に拘わらず、同様に適用することができる。
【0082】
すなわち、圧着部品13が基板14の圧着ヘッド12側にのみ付加されている場合には、基板14自体のステージ11側の形状がステージ11の第2押圧層19によって吸収されると共に、圧着部品13が圧着ヘッド12の第1押圧層16によって押圧され、その形状が第1押圧層16により吸収されるため、圧着部品13を、基板14の形状に拘わらず、その基板14へ確実に圧着することができる。
【0083】
一方、圧着部品13が基板14のステージ11側にのみ付加されている場合には、基板14自体の圧着ヘッド12側の形状が圧着ヘッド12の第1押圧層16によって吸収されると共に、圧着部品13がステージ11の第2押圧層19によって押圧され、その形状が第2押圧層19により吸収されるため、圧着部品13を、基板14の形状に拘わらず、その基板14へ確実に圧着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、圧着装置及び液晶表示装置の製造方法について有用であり、特に、被圧着体の一方側及び他方側の双方に対しても、圧着部品を確実に圧着する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本実施形態1の圧着装置の概略構造を示す断面図である。
【図2】図2は、本実施形態1におけるカバー部材の開口部周辺を拡大して示す断面図である。
【図3】図3は、カバー部材と、圧着部品が付加された基板とを示す分解斜視図である。
【図4】図4は、カバー部材の角部分を拡大して示す斜視図である。
【図5】図5は、カバー部材が装着された基板を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5における一部を拡大して示す斜視図である。
【図7】図7は、本実施形態2におけるカバー部材の開口部周辺を拡大して示す断面図である。
【図8】図8は、本実施形態3の圧着装置であって、圧着ヘッドが上昇位置にある状態を示す断面図である。
【図9】図9は、本実施形態3の圧着装置であって、圧着ヘッドが下降位置にある状態を示す断面図である。
【図10】図10は、液晶表示装置の外観を模式的に示す側面図である。
【図11】図11は、従来の圧着装置であって、圧着ヘッドが上昇位置にある状態を示す断面図である。
【図12】図12は、従来の圧着装置であって、圧着ヘッドが下降位置にある状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 圧着装置
11 ステージ
12 圧着ヘッド
13 圧着部品
14 基板(被圧着体)
15 ヘッド本体
16 第1押圧層
18 ステージ本体
19 第2押圧層
22 カバー部材
23 開口部
26 周縁部分
28 異方性導電膜
31 第1カバー部
32 第2カバー部
33 側壁部
50 液晶表示装置
51 駆動回路基板
52 対向基板
57 端子領域
58 COGチップ(圧着部品)
59 FPC(圧着部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
上記ステージに対向して配置された圧着ヘッドとを備え、
圧着部品が付加された上記被圧着体が上記ステージに載置された状態で、該ステージと上記圧着ヘッドとを互いに近接するように相対移動させて、上記圧着部品を上記被圧着体に圧着する圧着装置であって、
上記圧着ヘッドは、上記被圧着体及び上記圧着部品の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第1押圧層を備え、
上記ステージは、上記被圧着体及び上記圧着部品の少なくとも一方を押圧すると共に弾性体により構成された第2押圧層を備えている
ことを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
請求項1に記載された圧着装置において、
上記被圧着体における上記圧着ヘッド側及び上記ステージ側を覆うカバー部材を備え、
上記カバー部材は、上記被圧着体を覆った状態で上記圧着部品を内側に収容する開口部が貫通形成され、上記開口部周りの上記被圧着体の表面からの高さが、上記圧着部品の上記被圧着体の表面からの高さよりも大きい
ことを特徴とする圧着装置。
【請求項3】
請求項2に記載された圧着装置において、
上記カバー部材は、上記開口部の周縁部分がアール状に形成されている
ことを特徴とする圧着装置。
【請求項4】
請求項2に記載された圧着装置において、
上記開口部には、複数の上記圧着部品が収容され、
上記カバー部材は、上記開口部周りの高さが、該開口部に収容されている複数の上記圧着部品のうち最も高い圧着部品の上記高さよりも大きい
ことを特徴とする圧着装置。
【請求項5】
請求項2に記載された圧着装置において、
上記カバー部材は、上記被圧着体における上記圧着ヘッド側を覆う第1カバー部と、該第1カバー部に対して分離可能に設けられ、上記被圧着体における上記ステージ側を覆う第2カバー部とにより構成されている
ことを特徴とする圧着装置。
【請求項6】
請求項1に記載された圧着装置において、
上記第1押圧層及び上記第2押圧層は、互いに同じ大きさの弾性率を有する弾性体によって構成されている
ことを特徴とする圧着装置。
【請求項7】
駆動回路基板と、該駆動回路基板に対向して配置された対向基板と、上記駆動回路基板及び対向基板の間に設けられた液晶層とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、
上記駆動回路基板は、上記対向基板に対向しない端子領域を有し、
上記端子領域に圧着部品を圧着する圧着工程を含み、
上記圧着工程では、上記駆動回路基板の液晶層とは反対側と、上記対向基板の液晶層とは反対側との双方を弾性体によって同時に押圧することにより、上記圧着部品を上記駆動回路基板に圧着する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載された液晶表示装置の製造方法において、
上記圧着部品は、COGチップ及びFPCの少なくとも一方である
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載された液晶表示装置の製造方法において、
上記駆動回路基板及び上記対向基板を、互いに同じ弾性率を有する弾性体によってそれぞれ押圧する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−152409(P2009−152409A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329249(P2007−329249)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】