説明

圧電型ヘッド駆動装置及びその製造方法及びインクジェット型プリンタ

【課題】 品質劣化を伴うことなく、高機能で微細寸法の圧電素子の櫛歯状駆動片を迅速かつ効率よく加工する。
【解決手段】 一対の圧電素子ブロック32A、32Bの間にスペーサ50を介在させる。圧電素子ブロック32A、32Bの上部側は、スペーサ50より上方に突出しており、この上部側からスリット60Aを形成することにより、多数の圧電駆動片40A、40Bを等間隔で櫛歯状に形成する。スペーサ50の上部は、圧電駆動片40A、40Bの基端部を含む位置まで配置されている。このスペーサ50の上部は圧電素子ブロック32A、32Bに接着されない非接着領域であり、圧電駆動片40A、40Bの基端部を補強して、スリット加工時の応力を緩和する。スペーサ50の非接着領域により、圧電駆動片40A、40Bの変形は拘束されず、高い応答性と十分な変位量を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電型ヘッド駆動装置及びその製造方法及びインクジェット型プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、オンデマンド型インクジェットプリンタは、記録画像等の解像度や画質の飛躍的な向上を可能にするプリンタとして実用化されている。オンデマンド型インクジェットプリンタは、そのヘッド装置により所定のインク滴が所定の場所、時間の制御が行われて紙やフィルム等の記録媒体に飛翔されて着弾することにより、画像の記録が行われる。ヘッド装置には、インク滴を飛翔させる方法としてバブルジェット方式や圧電方式が採用されている。
【0003】バブルジェット方式は、インク滴を飛翔させるノズル孔の近傍に位置してインクを瞬間的に気化させるヒータが設けられ、このヒータによってインクが気化する際の膨張圧力により、インクを飛翔させる方式である。圧電方式は、ノズル近傍に設けられたインク溜り部に圧電ヘッド駆動素子を設置したものである。この圧電方式においては、電圧印加により圧電ヘッド駆動素子に発生する歪み変位動作により、インク溜り部に容積変化を生じさせ、これに伴う圧力変化により、インク滴を飛翔させるものである。圧電型ヘッド装置としては、圧電ヘッド駆動素子として、例えば印加された電界と同方向に発生する歪み変位動作を利用してインク滴を飛翔させるようにしたものを用いる場合や、印加された電界と直交する方向に発生する歪み変位動作を利用してインク滴を飛翔させるようにしたものを用いる場合がある。
【0004】例えば、特開平4−1052号公報には、印加された電界と直交する方向に発生する歪み変位動作を利用してインク滴を飛翔させる圧電素子を備えた圧電型ヘッド装置が開示されている。すなわち、この圧電型ヘッド装置は、インク滴を飛翔させる多数個のノズル孔が形成されたノズルプレートと、各ノズル孔に対応して多数個のインク圧力室が形成されたインク溜めプレートと、振動板とを積層してヘッド構体を構成している。また、この圧電型ヘッド装置では、ヘッド構体に対して基台と多数個の圧電ヘッド駆動素子等が組み合わされて構成されている。
【0005】圧電ヘッド駆動素子は、圧電材としての圧電セラミックスと電極材とを交互に積層してなる素材を基台に接合した状態で、ダイヤモンドカッタ等で所定幅に分割することにより、各インク圧力室に対応して振動板と接合される多数個の圧電ヘッド駆動素子を得るようになっている。このように形成される各圧電ヘッド駆動素子は、それぞれ一方の側面の基端部が基台に接着固定され、その接着領域が基台との剪断歪みの発生を防止するように歪み変動動作を発生しないような内部電極構造となっている。そして、各圧電ヘッド駆動素子の他端が自由端として振動板に接合されている。このような圧電型ヘッド装置を備えたプリンタでは、記録画像等に基づく駆動信号が圧電ヘッド駆動素子に印加されると、この圧電ヘッド駆動素子に歪み発生動作が生じ、この歪み発生動作により、対応する振動板が駆動されてインク圧力室に圧力が加えられ、これにより、インク圧力室からインクが押し出され、ノズル孔から飛翔し、画像などが記録される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、プリンタ装置に備えられるヘッド装置には、種々の特性が要求されるが、最も基本的な特性としてインク滴の大きさを精度よくコントロール可能であること、インク的をできるだけ短い時間間隔で連続的に飛翔させるための周波数応答特性などが挙げられる。また、ヘッド装置は、最近の傾向として、印字もしくは印画速度を上げるために、インク滴を飛翔させるための1色当たりのノズル数を増やす対応が図られており、また、色再現性を改善する目的で色数も増える傾向になっている。さらに、ヘッド装置は、インク滴の大きさを小さくすることにより、単位面積あたりのインク滴数を増やすことによって記録画像などの解像度を上げる対応が図られている。このような状況から、各ノズル孔のピッチが微小に構成されている。
【0007】しかしながら、例えば上述した特開平4−1052号公報に開示されるもののように、印加される電界と直交する方向に発生する歪み変位動作を利用してインク滴を飛翔させるようにした圧電ヘッド駆動素子では、電界と直交する方向に対する圧電素子の長さと発生する歪み変位量が比例するため、大きな歪み変形を必要とする場合には、圧電素子の長さを大きくすることが必要となる。一方、圧電素子はノズルに対向し、かつ、各ノズルに対して個々の信号によってインク飛翔を行えるように、電気的に分割される必要がある。したがって、個々の圧電素子は、必要な歪み変位量に応じた長さをもち、かつ、ノズルに対向するように、微小なピッチで分割されることになる。
【0008】圧電素子を微小なピッチで多数個の分割を行う方法としては、ブレードによる加工やワイヤーソーによる加工等の方法があるが、この場合、圧電素子へのダメージを抑制しつつ正確なピッチで正確な幅の圧電素子を加工することが要求される。一方、分割加工スピードを上げることはコストを下げる上で重要な事項であるが、加工スピードを上げるには、加工精度や加工面の品質、加工による圧電素子の破壊等が障害となる。このため従来の製造工程においては、圧電素子の寸法特性や機能、品質等と、加工スピードの双方を満足させることが困難であった。
【0009】そこで本発明の目的は、品質劣化を伴うことなく、高機能で微細寸法の圧電素子を迅速かつ効率よく加工できる圧電型ヘッド駆動装置及びその製造方法及びインクジェット型プリンタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、圧電材と電極材が交互に積層された略直方体形の圧電素子ブロックに、当該圧電素子ブロックの一端面から中途部にかけて前記圧電材と電極材の積層面と直交する方向に所定間隔で平行な複数のスリットを形成することにより、先端部が自由端で基端部が前記圧電素子ブロックの中途部に連設された複数の圧電駆動片を櫛歯状に形成し、前記圧電材に駆動電圧を選択的に印加することによる前記各圧電駆動片の伸縮変形により、前記各圧電駆動片の自由端の前面に配置されるインクジェット型プリンタのヘッド部を駆動する圧電型ヘッド駆動装置において、前記複数の圧電素子ブロックの間に介在し、各圧電素子ブロックを前記圧電材と電極材の積層方向に所定の間隔で配置するための中間部材を有し、前記中間部材は、前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有する略直方体形に形成されるとともに、前記密着面のうち前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を除く領域が接着剤により前記圧電素子ブロックに接着されて固定され、前記中間部材を前記圧電素子ブロックの間に介在させて前記接着剤により固定した状態で前記圧電素子ブロック及び中間部材に前記スリットを形成するようにしたことを特徴とする。
【0011】また本発明は、圧電材と電極材が交互に積層された略直方体形の圧電素子ブロックに、当該圧電素子ブロックの一端面から中途部にかけて前記圧電材と電極材の積層面と直交する方向に所定間隔で平行な複数のスリットを形成することにより、先端部が自由端で基端部が前記圧電素子ブロックの中途部に連設された複数の圧電駆動片を櫛歯状に形成し、前記圧電材に駆動電圧を選択的に印加することによる前記各圧電駆動片の伸縮変形により、前記各圧電駆動片の自由端の前面に配置されるインクジェット型プリンタのヘッド部を駆動する圧電型ヘッド駆動装置の製造方法において、前記複数の圧電素子ブロックの間に介在し、各圧電素子ブロックを前記圧電材と電極材の積層方向に所定の間隔で配置するための中間部材を前記各圧電素子ブロックの間に接着して固定する接着工程と、前記中間部材を前記圧電素子ブロックの間に介在させて前記接着剤により固定した状態で前記圧電素子ブロック及び中間部材に前記スリットを形成するスリット形成工程とを有し、前記中間部材は、前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有する略直方体形に形成され、前記接着工程においては、前記中間部材の密着面のうち前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着剤により前記圧電素子ブロックに接着するようにしたことを特徴とする。
【0012】また本発明は、圧電材と電極材が交互に積層された略直方体形の圧電素子ブロックに、当該圧電素子ブロックの一端面から中途部にかけて前記圧電材と電極材の積層面と直交する方向に所定間隔で平行な複数のスリットを形成することにより、先端部が自由端で基端部が前記圧電素子ブロックの中途部に連設された複数の圧電駆動片を櫛歯状に形成し、前記圧電材に駆動電圧を選択的に印加することによる前記各圧電駆動片の伸縮変形により、前記各圧電駆動片の自由端の前面に配置されるヘッド部を駆動する圧電型ヘッド駆動装置を具備したインクジェット型プリンタにおいて、前記圧電型ヘッド駆動装置は、前記複数の圧電素子ブロックの間に介在し、各圧電素子ブロックを前記圧電材と電極材の積層方向に所定の間隔で配置するための中間部材を有し、前記中間部材は、前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有する略直方体形に形成されるとともに、前記密着面のうち前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を除く領域が接着剤により前記圧電素子ブロックに接着されて固定され、前記中間部材を前記圧電素子ブロックの間に介在させて前記接着剤により固定した状態で前記圧電素子ブロック及び中間部材に前記スリットを形成するようにしたことを特徴とする。
【0013】本発明による圧電型ヘッド駆動装置では、圧電材と電極材が積層された圧電素子ブロックの間に中間部材が介在され、各圧電素子ブロックが所定の間隔で配置されている。また、中間部材の一部は、各圧電素子ブロックに形成される圧電駆動片の基端部を含む領域まで達しており、各圧電素子ブロックに圧電駆動片を分割形成した際のスリットが一部形成されている。また、中間部材と各圧電素子ブロックは、圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有しており、この密着面のうち圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域が接着剤により接着されて固定されている。このような構造の圧電型ヘッド駆動装置では、工具によってスリットを形成する際に、各圧電駆動片の基端部を含む領域まで達し、各圧電駆動片に対する密着面を有する中間部材によって各圧電駆動片の基端部が補強される。このため、スリット加工のための加工圧に対し、各圧電駆動片の歪み等が抑制され、高精度の加工を行うことができ、また、各圧電駆動片の損傷や特性劣化も抑制できる。
【0014】また、中間部材と各圧電素子ブロックの密着面のうち、圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着剤により接着したことから、各圧電駆動片は先端から基端にわたる全ての部位で接着されていないため、各圧電駆動片の伸縮動作を妨げることなく、十分な変形量が得られるとともに、優れた応答特性を得ることが可能となる。したがって、このような圧電ヘッド駆動装置の構成により、圧電駆動片の微細化や狭ピッチ化、ならびに装置の小型化や高速化等に有効に対応することができ、高機能の圧電型プリンタヘッドを構成する上で、極めて有利な圧電型ヘッド駆動装置を提供することが可能となる。
【0015】また本発明による圧電型ヘッド駆動装置の製造方法では、接着工程により、圧電材と電極材が積層された圧電素子ブロックの間に中間部材を接着固定する。ここで、中間部材と各圧電素子ブロックは、圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有しており、接着工程では、この密着面のうち圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着剤により接着する。次に、スリット形成工程により、圧電素子ブロックと中間部材を接合したユニットに対してスリット形成用の工具を移送し、所定間隔でスリットを形成していく。ここで、中間部材の一部は、各圧電素子ブロックに形成される圧電駆動片の基端部を含む領域まで達しており、各圧電素子ブロックに圧電駆動片を分割形成した際のスリットが一部形成されることになる。
【0016】このようにスリットを形成することにより、圧電素子ブロックの一端面から中途部にかけて、互いにスリットで分離された圧電駆動片を所定のピッチで形成でき、電圧の印加によって各圧電駆動片が伸縮変位する圧電型駆動ヘッド装置を提供できる。このような圧電型ヘッド駆動装置の製造方法では、工具によってスリットを形成する際に、各圧電駆動片の基端部を含む領域まで達し、各圧電駆動片に対する密着面を有する中間部材によって各圧電駆動片の基端部が補強される。このため、スリット加工のための加工圧に対し、各圧電駆動片の歪み等が抑制され、高精度の加工を行うことができ、また、各圧電駆動片の損傷や特性劣化も抑制できる。
【0017】また、中間部材と各圧電素子ブロックの密着面のうち、圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着剤により接着したことから、各圧電駆動片は先端から基端にわたる全ての部位で接着されていないため、各圧電駆動片の伸縮動作を妨げることなく、十分な変形量が得られるとともに、優れた応答特性を得ることが可能となる。したがって、このような圧電ヘッド駆動装置の製造方法により、圧電駆動片の微細化や狭ピッチ化、ならびに装置の小型化や高速化等に有効に対応することができ、高機能の圧電型プリンタヘッドを構成する上で、極めて有利な圧電型ヘッド駆動装置を迅速かつ容易に製造でき、製造コストの削減等も可能となる。
【0018】本発明によるインクジェット型プリンタの圧電型ヘッド駆動装置では、圧電材と電極材が積層された圧電素子ブロックの間に中間部材が介在され、各圧電素子ブロックが所定の間隔で配置されている。また、中間部材の一部は、各圧電素子ブロックに形成される圧電駆動片の基端部を含む領域まで達しており、各圧電素子ブロックに圧電駆動片を分割形成した際のスリットが一部形成されている。また、中間部材と各圧電素子ブロックは、圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有しており、この密着面のうち圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域が接着剤により接着されて固定されている。このような構造の圧電型ヘッド駆動装置では、工具によってスリットを形成する際に、各圧電駆動片の基端部を含む領域まで達し、各圧電駆動片に対する密着面を有する中間部材によって各圧電駆動片の基端部が補強される。このため、スリット加工のための加工圧に対し、各圧電駆動片の歪み等が抑制され、高精度の加工を行うことができ、また、各圧電駆動片の損傷や特性劣化も抑制できる。
【0019】また、中間部材と各圧電素子ブロックの密着面のうち、圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着剤により接着したことから、各圧電駆動片は先端から基端にわたる全ての部位で接着されていないため、各圧電駆動片の伸縮動作を妨げることなく、十分な変形量が得られるとともに、優れた応答特性を得ることが可能となる。したがって、このようなインクジェット型プリンタの圧電ヘッド駆動装置の構成により、圧電駆動片の微細化や狭ピッチ化、ならびに装置の小型化や高速化等に有効に対応することができ、高機能の圧電型プリンタヘッドを構成する上で、極めて有利な圧電型ヘッド駆動装置を提供することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明による圧電型ヘッド駆動装置及びその製造方法及びインクジェット型プリンタの実施の形態について説明する。図1は、本発明による圧電型ヘッド駆動装置を設けたインクジェットプリンタにおける圧電型ヘッド部の第1の構造例を示す一部断面斜視図である。本例の圧電型ヘッド部10は、多数のノズル孔12よりなるノズル部を形成する第1プレート20Aと、各ノズル孔12に対応するインク供給路14やインク圧力室(インク溜り部)16を形成する第2、第3プレート20B、20Cと、インク圧力室16を密閉する振動板(作動部)18と、各プレート20A、20B、20C及び振動板18等のユニットを支持するための基台部22を有するものである。
【0021】そして、振動板18の背面には、各インク圧力室16に対応して圧電ヘッド駆動装置30に設けた多数の圧電駆動片40A、40Bの先端が当接配置されており、各圧電駆動片40A、40Bが駆動電圧の印加によって選択的に伸縮動作を行うことにより、振動板18を介して各インク圧力室16に選択的に圧力を付与し、この圧力によってインク滴をノズル孔12より飛翔させ、記録紙やフィルム等の媒体に着弾させて印字や印画を行うものである。
【0022】圧電ヘッド駆動装置30は、それぞれ直方体形に形成された一対の圧電素子ブロック32A、32Bの上面に、多数の圧電駆動片40A、40Bを等間隔で櫛歯状に形成したものである。各圧電駆動片40A、40Bは、方形板状に立設されており、それぞれ内部に後述する電極材を含むものであり、外部電極体70等を介して各圧電駆動片40A、40Bの電極材に選択的に電圧を印加することにより、圧電作用によって各圧電駆動片40A、40Bの長手方向(図1中矢線Z方向)の伸縮変形を得るようになっている。
【0023】また、各圧電素子ブロック32A、32Bの間には、直方体形に形成されたスペーサ(中間部材)50が配置されている。このスペーサ50は、各圧電駆動片40A、40Bのピッチ方向(図1中矢線X方向)に各圧電素子ブロック32A、32Bと等しい幅を有し、また、各圧電素子ブロック32A、32Bの間隔方向(図1中矢線Y方向)に、各圧電素子ブロック32A、32Bを上述したインク圧力室16の位置に対向するように、所定の間隔を隔てて配置するための厚みを有するものである。
【0024】また、スペーサ50は、各圧電素子ブロック32A、32Bの下端の位置から各圧電駆動片40A、40Bの基端部を含む位置に至る高さ(図1中矢線Z方向)を有している。圧電型ヘッド部10の基台部22には、圧電ヘッド駆動装置30を配置する収納部22Aが設けられており、圧電ヘッド駆動装置30を基台部22に位置決め固定することにより、各圧電駆動片40A、40Bの先端部が振動板18に当接した状態で位置決め配置されるようになっている。
【0025】以下、このような圧電ヘッド駆動装置30の詳細な構造と製造方法について図2〜図15を参照して詳細に説明する。図2は、各圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50とを一体に接合した状態を示す斜視図であり、図2は、各圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50とを分解した状態を示す斜視図である。上述のように各圧電素子ブロック32A、32Bは、上面に多数の圧電駆動片40A、40Bが櫛歯状に形成されている。各圧電駆動片40A、40Bは、各圧電素子ブロック32A、32Bに所定間隔でスリット60Aを形成することにより、互いに分離した状態で形成されたものであり、先端が自在に変位可能な自由端として形成され、上述した振動板18に当接しており、基端が各圧電素子ブロック32A、32Bで連結されている。
【0026】一方、スペーサ50の上面も、各圧電素子ブロック32A、32Bにスリット加工によって圧電駆動片40A、40Bを形成する過程でスリット60Bが加工され、圧電駆動片40A、40Bよりも短尺の櫛歯残り部52が形成されている。すなわち、このスペーサ50の上面は、上述のように圧電駆動片40A、40Bの基端部を含む高さ位置まで達していることから、スリット60Aの加工時に工具により、スリット60Bが形成されることとなる。また、スペーサ50と各圧電素子ブロック32A、32Bとは、各圧電素子ブロック32A、32Bの下端面から圧電駆動片40A、40Bの基端部を含む高さ位置までにわたって互いに密着する密着面32M、50Mを有している。
【0027】そして、スペーサ50は両側の各圧電素子ブロック32A、32Bに接着剤により接合されたものであるが、このスペーサ50と各圧電素子ブロック32A、32Bの接着領域32N、50Nは、上述した密着面32M、50Mのうち圧電駆動片40A、40Bの基端部を除く領域に設けられている。したがって、各圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ50の密着面32M、50Mのうち、接着領域32N、50Nを除く上側の領域、すなわち、圧電駆動片40A、40Bの基端部とスペーサ50の櫛歯残り部52が接触する領域は、非接着領域32P、50Pとなっている。このように、スペーサ50に櫛歯残り部52を設けたことで、圧電駆動片40A、40Bを形成する際には、スリット加工に対して各圧電駆動片40A、40Bを補強でき、かつ、櫛歯残り部52の周辺を非接着領域32P、50Pとしたことにより、各圧電駆動片40A、40Bの伸縮変形に対しては変形動作を阻害しないものとなる。
【0028】次に、図4は、圧電素子ブロック32A、32Bの内部構造を示す断面斜視図である。図4に示す圧電素子ブロック32は、スリット60を形成する前の状態を示している。この圧電素子ブロック32は、圧電セラミックス等の圧電材34と、金属膜等による電極材80A、80Bとを上述した圧電素子ブロック32A、32Bの間隔方向(図1中矢線Y方向)に交互に積層したものである。圧電材34と積層される複数の電極材80A、80Bは、圧電素子ブロック32の上端面(一端面)に露出する第1の電極材80Aと、圧電素子ブロック32の下端面(他端面)に露出する第2の電極材80Bとが交互に形成されたものである。
【0029】そして、第1の電極材80Aは、圧電素子ブロック32の外周面に成膜形成された第1の表面電極体82Aに接続されている。この第1の表面電極体82Aは、圧電素子ブロック32の上端面から積層面に平行な外側面の中途部にわたって設けられ、前記スリット60Aによって各圧電駆動片40A、40B毎に分離されるものである。なお、このような第1の表面電極体82Aは、スリット60Aの形成によって各圧電駆動片40A、40B毎に分割された後、外部電極体70と接続されるが、この詳細については、後述する。一方、第2の電極材80Bは、圧電素子ブロック32A、32Bの基端面に成膜形成された各圧電駆動片40A、40Bに共通の第2の表面電極体82Bに接続されている。この第2の表面電極体82Bは、図示しない共通電極体を介してグランド等の基準電位源に接続されている。
【0030】次に、図5は、圧電素子ブロック32A、32Bの内部構造とスペーサ50との位置関係を示す断面図である。図5において、圧電駆動片40A、40Bの変形発生領域Dは、各圧電駆動片40A、40Bを形成する際のスリット60Aの深さと、スペーサ50の高さ位置と、接着領域Nと密接な関係をもっている。圧電駆動片40A、40Bの変形発生領域Dは、実際には、圧電素子ブロック32A、32Bの自由端側のマージンを含んだ先端からD’の位置まであり、スリット60Aを加工する際には、各圧電駆動片40A、40Bを個別に変形制御する必要性からスリット60Aの深さKをK>D’とする。
【0031】一方、圧電素子ブロック32A、32Bの上端面からスペーサ50の上端面までの距離Cは、第1の表面電極体82Aの接続時の条件等によって定まり、圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50の非接着領域32P、50Pの長さPに対し、スリット60Aの深さKは、C+P>Kとなるように定められている。実際のスリット60Aの深さKは、圧電素子ブロック32A、32BのD’の寸法のばらつき等を考慮し、これに所定のマージンを加えた値となる。また、非接着領域32P、50Pの長さPは、各部品の寸法のばらつきや接着剤36の塗布量のばらつき、さらには塗布後の接着剤36の広がり等を考慮して所定のマージンを加えた値となる。
【0032】また、スペーサ50あるいは圧電素子ブロック32A、32Bへの接着剤の塗布方法としては、例えばスクリーン印刷による方法や、転写、吹き付け等が考えられる。非接着領域32P、50Pを確保するために、マスク等を併用することになる。次に、図6に示すように、上述のようなスリットを形成する前の圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50とを突き合わせて、上述した接着領域32N、50Nで接着した後、幅方向(図1中X方向)の端面を切削等によって幅加工を行った後、スリット加工を行う。
【0033】図7は、このスリット加工を行っている様子を示す説明図である。図示のように、図6に示す圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50とを接合したユニットを治具90に設置し、ブレード等の工具94をY方向に移送して圧電素子ブロック32A、32Bにスリット60Aを形成し、各圧電駆動片40A、40Bを櫛歯状に形成する。この際、同時にスペーサ50にもスリット60Bが形成され、櫛歯残り部52が形成される。なお、図7に示す例は、圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50とを接合したユニットを複数組み並列に治具90に設置し、複数の圧電型ヘッド駆動装置のスリット加工を一括して行うようにした例である。
【0034】この場合、治具90には、圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50とを接合したユニットを複数組み並列に位置決め収納できる収納凹部92を有しており、この収納凹部92に複数組みのブロックを位置決めセットしてスリットの加工を行う。以上のようなスリット加工時において、スペーサ50に設けた非接着領域50Pにより、圧電素子ブロック32A、32Bの各圧電駆動片40A、40Bが、工具94の加工方向(矢線X方向)に補強されることから、各圧電駆動片40A、40Bが加工圧によるストレスで折れる等の問題を解決できる。
【0035】すなわち、図8に示すように、各圧電駆動片40A、40Bの先端部に加工時の力Fが加わった場合、各圧電駆動片40A、40Bにかかる曲げモーメントの最大値はF×(K−P)となる。これに対して図9に示すように、非接着領域50Pを持たないスペーサ50’を設けた場合、各圧電駆動片40A、40Bにかかる曲げモーメントの最大値はF×Kとなる。ここで、F×(K−P)<F×Kであるので、非接着領域50Pを有する本例のスペーサ50の方が、X方向の外力に対して有利であり、加工時のストレスに対して強い構造を得ることができる。
【0036】また、特に図7に示すように、複数組みの圧電型ヘッド駆動装置を一括して加工する例では、多数の各圧電駆動片40A、40Bとスペーサ50を並列に密着して設置した状態で加工を行うことから、各圧電駆動片40A、40Bが両側のスペーサ50の非接着領域50Pによって両面から補強されることになる。したがって、工具94の移送方向に対し、最下流の圧電駆動片を除いて、ほぼ全ての圧電駆動片の基端部をスペーサ50の非接着領域50Pによって補強して、応力を緩和することができ、極めて有効な加工作業を行うことができる。なお、上述のように複数組みのユニットに一括してスリットを形成するのではなく、1つずつユニットにスリットを形成するようにしてもよい。
【0037】次に、以上のようにして圧電駆動片40A、40Bを加工した圧電素子ブロック32A、32Bに対し、外部電極体70を装着する方法について説明する。まず、図10は、圧電素子ブロック32Aの表面電極配置を示す斜視図であり、図11は、圧電素子ブロック32Aの外部電極体の装着作業を示す斜視図である。なお、圧電素子ブロック32A、32Bにおける電極体配置等は各圧電素子ブロック32A、32Bで共通であるので、図10、図11では、一方の圧電素子ブロック32Aだけを示している。
【0038】図11において、上述のように圧電素子ブロック32Aは圧電材34と電極材80A、80Bとを交互に積層したものであり、その積層面と直交する方向に等間隔で複数のスリット60Aが形成されたものである。電極材80A、80Bのうち圧電素子ブロック32Aの上端面に露出した第1の電極材80Aは、スリット60Aによって各圧電駆動片40A毎に分割され、各圧電駆動片40Aの上端面から外側面を通って各圧電駆動片40Aの基端部に至る第1の表面電極体82Aに接続されている。また、圧電素子ブロック32Aの下端面に露出する第2の電極材80Bは、圧電素子ブロック32Aの下端面に設けられた共通の第2の表面電極体82Bに接続されている。
【0039】各表面電極体82A、82Bは、スリット60Aを形成する前の圧電素子ブロック32に対し、メッキ、スパッタリング、蒸着等によって成膜されるものである。また、各表面電極体82A、82Bは、圧電素子ブロック32の外表面に適当なマスクを施して成膜作業を行うことにより、一括して形成することが可能である。そして、各圧電駆動片40A毎に分割された第1の表面電極体82Aに対しては、例えばフレキシブルプリント基板72に設けた異方性導電膜等の外部電極体70を接続する。すなわち、図11に示す例では、フレキシブルプリント基板72に各圧電駆動片40Aに対応する複数の導電パターン74を設けるとともに、各導電パターン74の端部に異方性導電膜70A(外部電極体70)を設けている。
【0040】そして、フレキシブルプリント基板72の異方性導電膜70Aを圧電素子ブロック32毎に分割された表面電極体82Aの端部に位置合わせして接触させ、外側から熱圧着することにより、各圧電駆動片40Aの表面電極体82Aと各導電パターン74とを異方性導電膜70Aを介して接合する。このようにして、各圧電駆動片40Aの表面電極体82Aと各導電パターン74とを各圧電駆動片40A毎に絶縁した状態で異方性導電膜70Aを介して接続できる。また、このような異方性導電膜70Aを用いる代わりに各電極体を半田付けするようにしてもよい。例えば、フレキシブルプリント基板72の各導電パターン74の端部に半田パターンを設け、これを各圧電駆動片40Aの表面電極体82Aの各端部に位置合わせして接触させ、半田パターンを熱溶融させることで接合する。
【0041】図12は、図11に示すフレキシブルプリント基板72を各圧電駆動片40A毎に分割された表面電極体82Aに接続する様子を示す正面図である。図12R>2において、各圧電駆動片40Aは、スリット60Aを形成する場合に、スリット深さK>変位領域D’とすることによって、内部の電極材80Aと表面電極体82Aが各圧電駆動片40A毎に分割されている。すなわち、表面電極体82Aの端部も各圧電駆動片40Aの長さKよりも短いD’の位置までとなっている。そして、この表面電極体82Aに対して、電気的な接続を行う場合、フレキシブルプリント基板72の電極接続部(上記の例では異方性導電膜70A)の先端は、圧電駆動片40Aの一部に重ね合わされ、この重ね合わせ量によって電極接続長Sが決まる。また、重ね合わせ量S’>電極接続長Sとなる。
【0042】そして、以上のような電極の接合作業の際にも、上述したスペーサ50の非接着領域50Pによって各圧電駆動片40A、40Bの基端部を補強することができる。図13に示すように、上述した異方性導電膜70Aを各圧電駆動片40A、40Bの表面電極82Aに熱圧着する場合には、両方の圧電駆動片40A、40Bの基端部に、外側から内側への加圧力が作用することになる。ここで、図14に示すように、非接着領域50Pをもたないスペーサ50’では、外側から内側への加圧力によって圧電駆動片40A、40Bが内側に折れ曲がる等の恐れがあるが、本例のように、非接着領域50Pを設けた場合には、加圧力に抗して、圧電駆動片40A、40Bの基端部を受け止めることができ、圧電駆動片40A、40Bの破損等を防止できる。
【0043】図15は、本発明による圧電型ヘッド駆動装置を設けたインクジェットプリンタにおける圧電型ヘッド部の第2の構造例を示す一部断面斜視図である。なお、以下の説明において、図1〜図14に示す構成と共通の要素については、同一の引用符号を付し、重複する説明は省略するものとする。本例においては、上述した圧電素子ブロック32A、32Bの図中X方向の両端面にサイドブロック100A、100Bを設け、各サイドブロック100A、100Bによって圧電素子ブロック32A、32Bを挟持するようにしたものである。また、本例のスペーサ110は、圧電素子ブロック32A、32B及びサイドブロック100A、100Bの間に介在する状態で配置されている。
【0044】図16は、各圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ110とサイドブロック100A、100Bを一体に接合した状態を示す斜視図であり、図17は、各圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ110とサイドブロック100A、100Bとを分解した状態を示す斜視図である。また、図18は、スリット60A、60B及び圧電駆動片40A、40Bを形成する前の各圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ110とサイドブロック100A、100Bとを分解した状態を示す斜視図であり、図19は、スリット60A、60B及び圧電駆動片40A、40Bを形成する前の各圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ110とサイドブロック100A、100Bとを接合した状態を示す斜視図である。
【0045】各サイドブロック100A、100Bは、角柱状のものであり、圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ110に接着剤により固定されている。各サイドブロック100A、100Bは、高さ方向(Z方向)に各圧電素子ブロック32A、32Bより長尺であり、上端は各圧電素子ブロック32A、32Bの上端に揃えられているが、下端は、各圧電素子ブロック32A、32Bの下端よりさらに下方に延在している。また、サイドブロック100A、100Bの厚さ(Y方向のサイズ)は、各圧電素子ブロック32A、32Bの厚さと一致している。また、サイドブロック100A、100Bの幅(X方向のサイズ)は、厚さとほぼ等しいものとなっている。
【0046】また、本例におけるスペーサ110は、各圧電素子ブロック32A、32Bの幅と両面のサイドブロック100A、100Bの幅とを加えた幅と等しいものとなっている。そして、サイドブロック100A、100B側に延在した部分は、圧電素子ブロック32A、32Bとともに、サイドブロック100A、100Bに接着される。スペーサ110の下面は、サイドブロック100A、100Bの下面に一致している。本例のように、各圧電素子ブロック32A、32Bの外側にサイドブロック100A、100Bを設けることにより、各圧電素子ブロック32A、32B、スペーサ110、サイドブロック100A、100Bを接合したユニットを取り扱う際に、圧電駆動片40A、40B等をサイドブロック100A、100Bで保護することができ、圧電駆動片40A、40Bの破損防止や取扱の容易化を図ることができる。
【0047】例えば、図7に示すような作業によってスリット60A、60Bを形成する場合、各圧電素子ブロック32A、32B、スペーサ110、サイドブロック100A、100Bを接合したユニットを治具にセットする場合にも、容易に作業を行うことができる。しかも、サイドブロック100A、100Bによって厳格な位置出し状態でセットすることも可能となり、図7に示すように、複数組みのユニットを一括してスリット加工する場合に、各ユニットのセット作業を容易に行うことができる。
【0048】なお、本例において、各圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ110との密着面32M、50M、接着領域32N、50N、非接着領域32P、50Pの高さ方向の関係は、上述した例と同様であり、サイドブロック100A、100Bと各圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ110の接着領域も接着領域32N、50Nの高さと同等の位置に設定されている。また、各圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ110に形成するスリット60A、60Bの形状や深さ、圧電素子ブロック32A、32Bの電極構造、圧電駆動片40A、40Bの形状、外部電極体の接続方法等は、上述した第1の構造例と同様であるので説明は省略する。また、以上のように圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ110とサイドブロック100A、100Bを接合したユニットをスリット加工する場合にも、図7に示すように複数組みを一括してスリット加工するものに限らず、1つずつのユニットに対してスリット加工するようにしてもよい。
【0049】また、以上の図15〜図19に示す例では、各圧電素子ブロック32A、32Bの両端面にそれぞれ角柱状のサイドブロック100A、100Bを設けたが、各圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ50の図1中X方向の各端面を共通して保護する矩形板状のサイドブロック100Cを設けてもよい。図20は、スリット60A、60B及び圧電駆動片40A、40Bを形成する前の各圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ50とサイドブロック100Cとを分解した状態を示す斜視図であり、図21は、スリット60A、60B及び圧電駆動片40A、40Bを形成する前の各圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ110とサイドブロック100Cとを接合した状態を示す斜視図である。
【0050】例えば図6で説明したように、スリット60A、60Bを形成する前の圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50とを突き合わせて、上述した接着領域32N、50Nで接着した後、幅方向(図1中X方向)の端面を切削等によって面一に幅加工を行う。そして、この面一に幅加工された圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50の端面に、図20、図21に示すように、それぞれサイドブロック100Cを接着により接合する。各サイドブロック100Cは、高さ方向(Z方向)に各圧電素子ブロック32A、32Bより長尺であり、上端は各圧電素子ブロック32A、32Bの上端に揃えられているが、下端は、各圧電素子ブロック32A、32Bの下端よりさらに下方に延在している。
【0051】また、サイドブロック100CのY方向の寸法は、各圧電素子ブロック32A、32Bの厚さとスペーサ50の厚さを加えた寸法と一致しており、サイドブロック100CのX方向の寸法は小さいものとなっている。また、圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ50とサイドブロック100Cとの接着領域は、圧電素子ブロック32A、32Bとスペーサ50との接着領域32N、50Nに対応したものとする。本例においても、各圧電素子ブロック32A、32B及びスペーサ50の外側にサイドブロック100Cを設けることで、各圧電素子ブロック32A、32B、スペーサ50、サイドブロック100Cを接合したユニットを取り扱う際に、圧電駆動片40A、40B等をサイドブロック100Cで保護することができ、圧電駆動片40A、40Bの破損防止や取扱の容易化を図ることができる。その他は、図1〜図19で説明した例と同様であるので説明は省略する。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明の圧電型ヘッド駆動装置では、圧電材と電極材が積層され、一端面側に櫛歯状の圧電駆動片が形成される圧電素子ブロックの間に、前記圧電素子ブロックの他端側から前記圧電駆動片の基端部を含む領域に密着面を有する中間部材を介在させ、前記密着面のうち圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着することにより、各圧電素子ブロックと中間部材を固定するようにした。
【0053】このため、圧電素子ブロックに工具によってスリット加工を施して櫛歯状の圧電駆動片を形成する際に、中間部材の密着面のうちの非接着領域によって各圧電駆動片の基端部が補強されることから、スリット加工のための加工圧に対し、各圧電駆動片の歪みや破損等が抑制され、高精度の加工を行うことができ、また、各圧電駆動片の損傷や特性劣化も抑制できる。また、中間部材の密着面に上述した非接着領域を設けたことにより、各圧電駆動片は先端から基端にわたる全ての部位で接着されていないため、各圧電駆動片の伸縮動作を妨げることなく、十分な変形量が得られるとともに、優れた応答特性を得ることが可能となる。したがって、このような圧電ヘッド駆動装置の構成により、圧電駆動片の微細化や狭ピッチ化、ならびに装置の小型化や高速化等に有効に対応することができ、高機能の圧電型プリンタヘッドを構成する上で、極めて有利な圧電型ヘッド駆動装置を提供することが可能となる。
【0054】また本発明による圧電型ヘッド駆動装置の製造方法では、圧電材と電極材が積層され、一端面側に櫛歯状の圧電駆動片が形成される圧電素子ブロックの間に、前記圧電素子ブロックの他端側から前記圧電駆動片の基端部を含む領域に密着面を有する中間部材を介在させ、前記密着面のうち圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着することにより、各圧電素子ブロックと中間部材とを固定する接着工程と、中間部材で接合された各圧電素子ブロックに圧電材と電極材の積層面と直交する方向に所定間隔でスリット加工を施すことにより、櫛歯状の圧電駆動片を形成するスリット形成工程とを設けた。
【0055】このため、圧電素子ブロックにスリット加工を施して櫛歯状の圧電駆動片を形成する際に、中間部材の密着面のうちの非接着領域によって各圧電駆動片の基端部が補強されることから、スリット加工のための加工圧に対し、各圧電駆動片の歪みや破損等が抑制され、高精度の加工を行うことができ、また、各圧電駆動片の損傷や特性劣化も抑制できる。また、中間部材の密着面に上述した非接着領域を設けたことにより、各圧電駆動片は先端から基端にわたる全ての部位で接着されていないため、各圧電駆動片の伸縮動作を妨げることなく、十分な変形量が得られるとともに、優れた応答特性を得ることが可能となる。したがって、このような圧電ヘッド駆動装置の製造方法により、圧電駆動片の微細化や狭ピッチ化、ならびに装置の小型化や高速化等に有効に対応することができ、高機能の圧電型プリンタヘッドを構成する上で、極めて有利な圧電型ヘッド駆動装置を提供することが可能となる。
【0056】また本発明のインクジェット型プリンタでは、その圧電型ヘッド駆動装置を、圧電材と電極材が積層され、一端面側に櫛歯状の圧電駆動片が形成される圧電素子ブロックの間に、前記圧電素子ブロックの他端側から前記圧電駆動片の基端部を含む領域に密着面を有する中間部材を介在させ、前記密着面のうち圧電素子ブロックの他端側から各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着することにより、各圧電素子ブロックと中間部材を固定するようにした。
【0057】このため、圧電素子ブロックに工具によってスリット加工を施して櫛歯状の圧電駆動片を形成する際に、中間部材の密着面のうちの非接着領域によって各圧電駆動片の基端部が補強されることから、スリット加工のための加工圧に対し、各圧電駆動片の歪みや破損等が抑制され、高精度の加工を行うことができ、また、各圧電駆動片の損傷や特性劣化も抑制できる。また、中間部材の密着面に上述した非接着領域を設けたことにより、各圧電駆動片は先端から基端にわたる全ての部位で接着されていないため、各圧電駆動片の伸縮動作を妨げることなく、十分な変形量が得られるとともに、優れた応答特性を得ることが可能となる。したがって、このような圧電ヘッド駆動装置の構成により、圧電駆動片の微細化や狭ピッチ化、ならびに装置の小型化や高速化等に有効に対応することができ、高機能の圧電型プリンタヘッドを構成する上で、極めて有利な圧電型ヘッド駆動装置を具備したインクジェット型プリンタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧電型ヘッド駆動装置を設けたインクジェットプリンタにおける圧電型ヘッド部の第1の構造例を示す一部断面斜視図である。
【図2】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置の各圧電素子ブロックとスペーサを一体に接合した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置の各圧電素子ブロックとスペーサを分解した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置の圧電素子ブロックの内部構造を示す断面斜視図である。
【図5】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置の圧電素子ブロックの内部構造とスペーサとの位置関係を示す断面図である。
【図6】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置のスリット加工前の圧電素子ブロックとスペーサを接着した状態で幅加工を行う状態を示す斜視図である。
【図7】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置の圧電素子ブロックにスリット加工を施す状態を示す側断面図である。
【図8】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置において、各圧電駆動片の先端部に加工時の力が加わった場合に各圧電駆動片にかかる曲げモーメントを説明する断面図である。
【図9】非接着領域を持たないスペーサを設けた圧電型ヘッド駆動装置において、各圧電駆動片の先端部に加工時の力が加わった場合に各圧電駆動片にかかる曲げモーメントを説明する断面図である。
【図10】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置において、圧電素子ブロックの表面電極配置を示す斜視図である。
【図11】図1に示す圧電型ヘッド駆動装置において、圧電素子ブロックに対する外部電極体の装着作業を示す斜視図である。
【図12】図11に示すフレキシブルプリント基板を各圧電駆動片毎に分割された表面電極体に接続する様子を示す正面図である。
【図13】図12に示すフレキシブルプリント基板に設けられる異方性導電膜を各圧電駆動片の表面電極に熱圧着する場合の加圧力の作用を説明する断面図である。
【図14】非接着領域を持たないスペーサを設けた圧電型ヘッド駆動装置において、図12に示すフレキシブルプリント基板に設けられる異方性導電膜を各圧電駆動片の表面電極に熱圧着する場合の加圧力の作用を説明する断面図である。
【図15】本発明による圧電型ヘッド駆動装置を設けたインクジェットプリンタにおける圧電型ヘッド部の第2の構造例を示す一部断面斜視図である。
【図16】図15に示す圧電型ヘッド駆動装置の各圧電素子ブロックとスペーサとサイドブロックを一体に接合した状態を示す斜視図である。
【図17】図15に示す圧電型ヘッド駆動装置の各圧電素子ブロック及びスペーサとサイドブロックを分解した状態を示す斜視図である。
【図18】図15に示す圧電型ヘッド駆動装置のスリット加工前の各圧電素子ブロック及びスペーサとサイドブロックを分解した状態を示す斜視図である。
【図19】図15に示す圧電型ヘッド駆動装置のスリット加工前の各圧電素子ブロック及びスペーサとサイドブロックを接合した状態を示す斜視図である。
【図20】本発明のさらに他の構造例による圧電型ヘッド駆動装置のスリット加工前の各圧電素子ブロック及びスペーサとサイドブロックを分解した状態を示す斜視図である。
【図21】図20に示す圧電型ヘッド駆動装置のスリット加工前の各圧電素子ブロック及びスペーサとサイドブロックを接合した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10……圧電型ヘッド部、12……ノズル孔、14……インク供給路、16……インク圧力室(インク溜り部)、18……振動板(作動部)、30……圧電ヘッド駆動装置、32A、32B……圧電素子ブロック、32M、50M……密着面、32N、50N……接着領域、32P、50P……非接着領域、34……圧電材、40A、40B……圧電駆動片、50……スペーサ、52……櫛歯残り部、60A、60B……スリット、70……外部電極体、70A……異方性導電膜、72……フレキシブルプリント基板、80A、80B……電極材、82A、82B……表面電極体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧電材と電極材が交互に積層された略直方体形の圧電素子ブロックに、当該圧電素子ブロックの一端面から中途部にかけて前記圧電材と電極材の積層面と直交する方向に所定間隔で平行な複数のスリットを形成することにより、先端部が自由端で基端部が前記圧電素子ブロックの中途部に連設された複数の圧電駆動片を櫛歯状に形成し、前記圧電材に駆動電圧を選択的に印加することによる前記各圧電駆動片の伸縮変形により、前記各圧電駆動片の自由端の前面に配置されるインクジェット型プリンタのヘッド部を駆動する圧電型ヘッド駆動装置において、前記複数の圧電素子ブロックの間に介在し、各圧電素子ブロックを前記圧電材と電極材の積層方向に所定の間隔で配置するための中間部材を有し、前記中間部材は、前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有する略直方体形に形成されるとともに、前記密着面のうち前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を除く領域が接着剤により前記圧電素子ブロックに接着されて固定され、前記中間部材を前記圧電素子ブロックの間に介在させて前記接着剤により固定した状態で前記圧電素子ブロック及び中間部材に前記スリットを形成するようにした、ことを特徴とする圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項2】 前記スリットの形成時に、前記圧電素子ブロックの前記スリットの間隔方向の両側面に前記圧電素子ブロックを挟持するサイドブロックを配置することを特徴とする請求項1記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項3】 前記中間部材は、前記スリットの間隔方向に前記圧電素子ブロックと略等しい幅を有することを特徴とする請求項1記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項4】 前記中間部材は、前記スリットの間隔方向に前記圧電素子ブロックと略等しい幅を有し、前記サイドブロックは、前記複数の圧電素子ブロックを前記中間部材とともに挟持することを特徴とする請求項2記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項5】 前記サイドブロックは、1つの圧電素子ブロックの両側面に対応して配置され、前記中間部材は、前記スリットの間隔方向に、前記圧電素子ブロックとその両側面に配置されるサイドブロックとを含むブロックと略等しい幅を有し、前記圧電材と電極材の積層方向に、前記圧電素子ブロック及び前記サイドブロックによって挟持された状態で配置されることを特徴とする請求項2記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項6】 前記圧電材と積層される複数の電極材は、前記圧電素子ブロックの一端面に露出する第1の電極材と、前記圧電素子ブロックの他端面に露出する第2の電極材とが交互に形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項7】 前記第1の電極材は、前記圧電素子ブロックの一端面から前記積層面に平行な外側面の中途部にわたって設けられ、前記スリットによって各圧電駆動片毎に分離される第1の表面電極体と、前記圧電素子ブロックの前記積層面に平行な外側面に沿って配置され、前記第1の表面電極体に接続される外部電極体を介して駆動電圧源に接続されていることを特徴とする請求項6記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項8】 前記外部電極体は異方性導電膜よりなり、前記異方性導電膜を前記圧電素子ブロックの外側面に熱圧着により設けたことを特徴とする請求項7記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項9】 前記異方性導電膜はフレキシブルプリント基板に設けられていることを特徴とする請求項8記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項10】 前記第2の電極材は、前記圧電素子ブロックの基端面に設けられた各圧電駆動片に共通の第2の表面電極体と、前記第2の表面電極体に接続される共通電極体を介して基準電位源に接続されていることを特徴とする請求項6記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項11】 前記インクジェット型プリンタのヘッド部は、記録媒体に対してインク滴を飛翔させる複数のノズル部と、前記複数のノズル部の基部に連通する複数のインク溜り部と、前記複数のインク溜り部に選択的に圧力を付与することにより、インクを各ノズル部より選択的に飛翔させる作動体とを有し、前記圧電駆動片の自由端は、前記複数のインク溜り部に対応して前記作動体に当接配置されていることを特徴とする請求項1記載の圧電型ヘッド駆動装置。
【請求項12】 圧電材と電極材が交互に積層された略直方体形の圧電素子ブロックに、当該圧電素子ブロックの一端面から中途部にかけて前記圧電材と電極材の積層面と直交する方向に所定間隔で平行な複数のスリットを形成することにより、先端部が自由端で基端部が前記圧電素子ブロックの中途部に連設された複数の圧電駆動片を櫛歯状に形成し、前記圧電材に駆動電圧を選択的に印加することによる前記各圧電駆動片の伸縮変形により、前記各圧電駆動片の自由端の前面に配置されるインクジェット型プリンタのヘッド部を駆動する圧電型ヘッド駆動装置の製造方法において、前記複数の圧電素子ブロックの間に介在し、各圧電素子ブロックを前記圧電材と電極材の積層方向に所定の間隔で配置するための中間部材を前記各圧電素子ブロックの間に接着して固定する接着工程と、前記中間部材を前記圧電素子ブロックの間に介在させて前記接着剤により固定した状態で前記圧電素子ブロック及び中間部材に前記スリットを形成するスリット形成工程とを有し、前記中間部材は、前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有する略直方体形に形成され、前記接着工程においては、前記中間部材の密着面のうち前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を除く領域を接着剤により前記圧電素子ブロックに接着するようにした、ことを特徴とする圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項13】 スリット形成工程で前記スリットを形成する際に、前記圧電素子ブロックの前記スリットの間隔方向の両側面に前記圧電素子ブロックを挟持するサイドブロックを配置することを特徴とする請求項12記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項14】 前記中間部材は、前記スリットの間隔方向に前記圧電素子ブロックと略等しい幅を有することを特徴とする請求項12記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項15】 前記中間部材は、前記スリットの間隔方向に前記圧電素子ブロックと略等しい幅を有し、前記サイドブロックは、前記複数の圧電素子ブロックを前記中間部材とともに挟持することを特徴とする請求項13記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項16】 前記サイドブロックは、1つの圧電素子ブロックの両側面に対応して配置され、前記中間部材は、前記スリットの間隔方向に、前記圧電素子ブロックとその両側面に配置されるサイドブロックとを含むブロックと略等しい幅を有し、前記圧電材と電極材の積層方向に、前記圧電素子ブロック及び前記サイドブロックによって挟持された状態で配置されることを特徴とする請求項13記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項17】 前記圧電材と積層される複数の電極材は、前記圧電素子ブロックの一端面に露出する第1の電極材と、前記圧電素子ブロックの他端面に露出する第2の電極材とが交互に形成されたものであることを特徴とする請求項12記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項18】 前記第1の電極材は、前記圧電素子ブロックの一端面から前記積層面に平行な外側面の中途部にわたって設けられ、前記スリットによって各圧電駆動片毎に分離される第1の表面電極体と、前記圧電素子ブロックの前記積層面に平行な外側面に沿って配置され、前記第1の表面電極体に接続される外部電極体を介して駆動電圧源に接続され、前記スリット形成工程の前に、前記第1の表面電極体を前記圧電素子ブロックに成膜する成膜工程と、前記スリット形成工程の後に、前記外部電極体を前記圧電素子ブロックに装着する第1の配線工程とを有することを特徴とする請求項17記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項19】 前記外部電極体は異方性導電膜よりなり、前記第1の配線工程は、前記異方性導電膜を前記圧電素子ブロックの外側面に熱圧着により設けることを特徴とする請求項18記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項20】 前記異方性導電膜はフレキシブルプリント基板よりなることを特徴とする請求項19記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項21】 前記第2の電極材は、前記圧電素子ブロックの基端面に設けられた各圧電駆動片に共通の第2の表面電極体と、前記第2の表面電極体に接続される共通電極体を介して基準電位源に接続され、前記スリット形成工程の前に、前記第2の表面電極体を前記圧電素子ブロックに成膜する成膜工程と、前記スリット形成工程の後に、前記共通電極体を前記第2の表面電極体に接続する第2の配線工程とを有することを特徴とする請求項17記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項22】 前記スリット形成工程は、前記各圧電素子ブロックと中間部材とを接合したユニットを収納する収納部を有する治具に、前記各圧電素子ブロックと中間部材とを接合したユニットを収納した状態で、工具により前記スリットを形成することを特徴とする請求項12記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項23】 前記スリット形成工程は、前記各圧電素子ブロックと中間部材とを接合した複数組みのユニットを前記積層方向に収納する収納部を有する治具に、前記各圧電素子ブロックと中間部材とを接合した複数組みのユニットを収納した状態で、工具により前記スリットを一括して形成することを特徴とする請求項12記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項24】 前記スリット形成工程は、前記各圧電素子ブロックと中間部材とサイドブロックとを接合したユニットを収納する収納部を有する治具に、前記各圧電素子ブロックと中間部材とサイドブロックとを接合したユニットを収納した状態で、工具により前記スリットを形成することを特徴とする請求項12記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項25】 前記スリット形成工程は、前記各圧電素子ブロックと中間部材とサイドブロックとを接合した複数組みのユニットを前記積層方向に並列に収納する収納部を有する治具に、前記各圧電素子ブロックと中間部材とサイドブロックとを接合した複数組みのユニットを並列に収納した状態で、工具により前記スリットを一括して形成することを特徴とする請求項12記載の圧電型ヘッド駆動装置の製造方法。
【請求項26】 圧電材と電極材が交互に積層された略直方体形の圧電素子ブロックに、当該圧電素子ブロックの一端面から中途部にかけて前記圧電材と電極材の積層面と直交する方向に所定間隔で平行な複数のスリットを形成することにより、先端部が自由端で基端部が前記圧電素子ブロックの中途部に連設された複数の圧電駆動片を櫛歯状に形成し、前記圧電材に駆動電圧を選択的に印加することによる前記各圧電駆動片の伸縮変形により、前記各圧電駆動片の自由端の前面に配置されるヘッド部を駆動する圧電型ヘッド駆動装置を具備したインクジェット型プリンタにおいて、前記圧電型ヘッド駆動装置は、前記複数の圧電素子ブロックの間に介在し、各圧電素子ブロックを前記圧電材と電極材の積層方向に所定の間隔で配置するための中間部材を有し、前記中間部材は、前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を含む領域に密着する密着面を有する略直方体形に形成されるとともに、前記密着面のうち前記圧電素子ブロックの他端側から前記各圧電駆動片の基端部を除く領域が接着剤により前記圧電素子ブロックに接着されて固定され、前記中間部材を前記圧電素子ブロックの間に介在させて前記接着剤により固定した状態で前記圧電素子ブロック及び中間部材に前記スリットを形成するようにした、ことを特徴とするインクジェット型プリンタ。

【図2】
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【図6】
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【図16】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図19】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2000−263783(P2000−263783A)
【公開日】平成12年9月26日(2000.9.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−68741
【出願日】平成11年3月15日(1999.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】