説明

圧電振動片、及び圧電振動デバイス

【課題】基板の寸法を限定せずに、励振電極による振動が外部部材との接合部位へ伝播するのを抑制する。
【解決手段】水晶振動片2の基板20は圧電材料からなり、基板20に一対の励振電極23,24が対向して形成され、基板20の一対の励振電極23,24を形成した励振領域以外の部位に、基板20自体に対して粘性を加える高粘性領域27が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片、及び圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、圧電振動デバイスとして、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等が挙げられる。ここでいう圧電振動デバイスは、ベースと蓋とからその本体筐体が構成され、本体筐体の内部に、励振電極が形成された圧電振動片(例えば、水晶振動片)を保持するとともに気密封止する(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、圧電振動片として水晶振動片を用いている。
【特許文献1】特開2006−86790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した特許文献1に示すような水晶振動片では、励振電極による振動がベースとの接合部位(電極パッド)まで伝播する。そのため、振動がベースとの接合部位まで伝播するのを抑制するために、水晶振動片の基板に切り欠きや溝や凹部などを形成している。
【0004】
しかしながら、現在電子部品の薄型化や小型化がすすんでおり、水晶振動片の基板に切り欠きや溝や凹部を形成する際に基板が破損したり、基板に切り欠きや溝や凹部を形成することで励振電極と電極パッドとを接続するための電極パターンの引回しが困難となっている。
【0005】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、基板の寸法を限定せずに、励振電極による振動が外部部材(ベースの電極パッド)との接合部位へ伝播するのを抑制する圧電振動片、及び圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動片は、圧電振動片において、基板が圧電材料からなり、前記基板に一対の励振電極が対向して形成され、前記基板の前記一対の励振電極を形成した励振領域以外の部位に、前記基板自体に対して粘性を加える高粘性領域が設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、圧電材料からなる前記基板に前記一対の励振電極が対向して形成され、前記基板の前記励振領域以外の部位に、前記高粘性領域が設けられるので、前記高粘性領域によって前記励振領域における振動の伝播を抑制することが可能となる。特に、本発明は、切り欠きや溝や凹部などを形成することによる振動伝播の抑制に対して、粘性を加えることで前記基板の強度は略変わらないため、前記基板自体の強度を保持しながら、振動伝播の抑制を行うことが可能となる。
【0008】
前記構成において、ATカット圧電振動片であってもよい。
【0009】
この場合、メインとなる主振動に対して副振動(高次輪郭振動など)によるスプリアス振動を抑えることが可能となる。また、前記基板の材質を可変させるので、前記基板の外形変形による副振動のスプリアス振動の抑制に対して、当該圧電振動片の小型化に好適である。
【0010】
具体的に、上記した特許文献1に示すような水晶振動片では、主振動の周波数に対して、副振動の周波数が接近することでカップリングを起こし、このカップリングにより周波数のディップ現象が起こる。このディップ現象により水晶振動片の直列共振抵抗値が増大し、その結果、水晶振動片の発振が停止状態となる。水晶振動片の主振動エネルギーを閉じ込めてディップ現象を回避するために、水晶振動片の寸法公差を抑えたり、水晶振動片の基板をベベル加工やコンベックス加工しているが、この基板のベベル加工やコンベックス加工は、厚みを有する基板に対して有効であるが近年の圧電振動片の薄型化や小型化に伴う薄型の基板に対して行うことは難しい。これに対して、本発明によれば、薄型や小型の圧電振動片であっても、水晶振動片の寸法公差を限定したりせずに、または前記基板のベベル加工やコンベックス加工などの圧電振動片の加工を行なわずにディップ現象を回避することが可能となる。
【0011】
前記構成において、前記高粘性領域は、前記基板の主面端部に設けられてもよい。
【0012】
この場合、前記高粘性領域が前記基板の主面端部に設けられるので、副振動によるスプリアス振動を抑制することが可能となる。
【0013】
前記構成において、前記高粘性領域は、前記基板の主面両端部に設けられてもよい。
【0014】
この場合、前記高粘性領域が前記基板の主面両端部に設けられるので、副振動によるスプリアス振動を抑制するとともに、前記基板の外部部材への保持バラツキを抑制して保持バランスを良くことが可能となる。
【0015】
前記構成において、前記高粘性領域は、前記基板の主面外周端部に設けられてもよい。
【0016】
この場合、前記高粘性領域が前記基板の主面外周端部に設けられるので、前記基板の主面外周端部のいずれの位置において外部部材との保持接合を行った場合であっても、副振動によるスプリアス振動を抑制するとともに、前記基板の外部部材への保持バラツキを抑制して保持バランスを良くことが可能となる。その結果、前記基板の外部部材への保持位置の自由度を上げることが可能となる。
【0017】
前記構成において、共振周波数は、100MHz以下であり、前記高粘性領域の粘性の高さは、前記基板自体の粘性に対して約100倍以上であってもよい。
【0018】
この場合、共振周波数は、100MHz以下であり、前記高粘性領域の粘性の高さは、前記基板自体の粘性に対して約100倍以上であるので、共振周波数が100MHz以下である時の副振動によるスプリアス振動の抑制を行うことが可能となる。特に、Q値を一定の低い値としてスプリアス振動の抑制を行うことが可能となる。そのため、前記基板に用いる材料によって異なるQ値だけでなく、同一材料における若干異なるQ値にも対応でき、いずれの材料であってもQ値を一定の低い値にすることが可能となる。
【0019】
前記構成において、共振周波数は、100MHz以上であり、前記高粘性領域の粘性の高さは、前記基板自体の粘性に対して約100倍以下であってもよい。
【0020】
この場合、共振周波数は、100MHz以上であり、前記高粘性領域の粘性の高さは、前記基板自体の粘性に対して約100倍以下であるので、共振周波数が100MHz以上である時の副振動によるスプリアス振動の抑制を行うことが可能となる。特に、Q値を一定の低い値としてスプリアス振動の抑制を行うことが可能となる。そのため、前記基板に用いる材料によって異なるQ値だけでなく、同一材料における若干異なるQ値にも対応でき、いずれの材料であってもQ値を一定の低い値にすることが可能となる。
【0021】
前記構成において、外部部材に保持する基部と、励振電極を形成する複数の脚部とから構成される音叉型圧電振動片であり、前記高粘性領域は、前記基部に設けられてもよい。
【0022】
この場合、当該圧電振動片が音叉型圧電振動片であり、前記高粘性領域が前記基部に設けられるので、前記基板の外部部材への保持バラツキを抑制して保持バランスを良くことが可能となる。特に、外部部材への保持を行なっている部分に粘性を加えることで保持する部分へ伝わる振動の影響を抑制することが可能となる。
【0023】
前記構成において、前記基部において前記脚部近傍の領域に対して外部部材との保持位置の粘性が高くてもよい。
【0024】
この場合、前記基部において前記脚部近傍の領域に対して外部部材との保持位置の粘性が高いので、当該音叉型圧電振動片の振動阻害を抑え、かつ、外部部材への保持を安定させることが可能となる。特に、前記基部の各部位における粘性を段階的に可変させることで、当該音叉型圧電振動片の振動阻害を抑えるとともに外部部材への保持安定を行うことが可能となる。
【0025】
前記構成において、前記基板の少なくとも一主面はメサ形状からなり、このメサ形状の一部位に前記励振電極が形成され、前記高粘性領域は、メサ形状の他部位を含んでもよい。
【0026】
この場合、前記基板の少なくとも一主面はメサ形状からなり、このメサ形状の一部位に前記励振電極が形成され、前記高粘性領域はメサ形状の他部位を含むので、前記メサ形状の成形時および前記励振電極による振動時における前記基板の破損を防止することが可能となる。
【0027】
前記構成において、前記基板の少なくとも一主面は逆メサ形状からなり、この逆メサ形状の一部位に前記励振電極が形成され、前記高粘性領域は、逆メサ形状の他部位を含んでもよい。
【0028】
この場合、前記基板の少なくとも一主面は逆メサ形状からなり、この逆メサ形状の一部位に前記励振電極が形成され、前記高粘性領域は逆メサ形状の他部位を含むので、前記逆メサ形状の成形時および前記励振電極による振動時における前記基板の破損を防止することが可能となる。
【0029】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、圧電振動デバイスにおいて、ベースと蓋とにより本体筐体が構成され、前記本体筐体の内部空間に、上記した本発明にかかる圧電振動片が保持されるとともに気密封止されたことを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、前記本体筐体の内部空間に、上記した本発明にかかる圧電振動片が保持されるとともに気密封止されるので、前記高粘性領域によって前記励振領域における振動の伝播を抑制した本発明にかかる圧電振動片の安定保持を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、基板の寸法を限定せずに、励振電極による振動が外部部材との接合部位へ伝播するのを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
【実施例1】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとしてATカット水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0034】
本実施例にかかるATカット水晶振動子1(以下、水晶振動子という)は、図1に示すように、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋(図示省略)とからなる。なお、蓋は、セラミック材料からなり、平面視矩形状の一枚板に成形されている。
【0035】
この水晶振動子1では、図1に示すように、ベース3と蓋とが図示しない金属ろう材(例えば、金と錫とからなる合金材料)を用いて加熱溶融接合されて本体筐体が構成され、この本体筐体内に内部空間6が形成される。この内部空間6のベース3上に、水晶振動片2が保持されるとともに、本体筐体の内部空間6が気密封止されている。なお、内部空間6において、ベース3と水晶振動片2とは金属バンプからなる導電性バンプ8(本実施例ではAuからなる導電性バンプ)を用いてFCB(Flip Chip BonDing)法により超音波接合されるとともに電気的に接続されている。
【0036】
次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
【0037】
ベース3は、図1に示すように、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板の底部31と、この底部31上に積層したセラミック材料の堤部32とから構成される箱状体に形成され、これら底部31と堤部32とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、底部31の上面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面(端面)は、蓋との接合領域33である。また、このベース3の外周には、四隅にキャスタレーション(図示省略)が形成されている。そして、このベース3の表面35には、水晶振動片2の励振電極23,24(下記参照)と電気的に接続する電極パッド361,362が形成されている。これら電極パッド361,362は、それぞれに対応した接続電極(図示省略)及びキャスタレーションを介して、ベース3の裏面(図示省略)に形成される端子電極(図示省略)に電気的に接続されている。これら端子電極から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの電極パッド361,362、端子電極、及び接続電極は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド361,362、端子電極、及び接続電極のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルコバルトメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
【0038】
水晶振動片2は、図1に示すように、圧電材料であるATカット水晶板の基板20からなり、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されている。この水晶振動片2の両主面21,22には、それぞれ一対となる励振電極23,24と、これらの励振電極23,24を外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド361,362)と電気的に接続するために励振電極23,24から引き出された引出電極25,26とが形成されている。一対の励振電極23,24は両主面21,22に対向して形成され、主面端部201へ振動を与えないように(主面端部201まで励振しないように)励振電極23,24を主面中央領域に置く。また、これらの励振電極23,24及び引出電極25,26は、例えば、水晶振動板側からクロム、金の順に、あるいはクロム、金、クロムの順に、あるいはクロム、銀、クロムの順に積層して形成されている。そして、水晶振動片2の引出電極25,26とベース3の電極パッド361,362とが、導電性バンプ8により電気機械的に接合され、図1に示すように、水晶振動片2はベース3に片保持されている。
【0039】
また、水晶振動片2には、図1に示すように、基板20の励振電極23,24を形成した励振領域以外の部位に、基板20自体に対して粘性を加える高粘性領域27が設けられている。具体的に、この高粘性領域27は、基板20のX方向(長手方向)の主面両端部201に設けられている。また、この高粘性領域27は、金属材料(例えば、Ag,Au,Cu,Alが挙げられ、これ以外にLi,Mg,Ti,Cr,Fe,Ni,Zn,Ge,Mo,Sn,W,Pt,Pb等)のイオン注入及び熱拡散によって分子レベルで基板20の中に金属材料を浸透させて構成する。なお、ここでいう基板20の粘性とは、基板20のねばる性質のことをいい、粘性を加えていない部位(本実施例では励振領域)において圧電特性を有したまま、基板20のX方向(長手方向)の主面両端部201の材質を可変させることができる。そして、基板20に粘性を加えることにより、水晶振動片2のQ値を変化させてQ値を低下させることができ、特に、Q値を低い値で一定にすることができる。ところで、本実施例では、FCBにより水晶振動片2をベース3にAuからなる導電性バンプ8を介して接合するので、金属材料にAuを用いて水晶の基板20にイオン注入および熱拡散を行なうことが好適である。
【0040】
次に、上記したATカット水晶振動片2の基板20に設けた高粘性領域27について様々な観点から実験を行なった。以下に実験結果を参照して高粘性領域27について説明する。
【0041】
まず、高粘性領域27の特性のうち、発振周波数(Freq)に対する水晶のQ値の関係を図2,3に示す。図2,3に示す実験では、一対の励振電極23,24を形成した基板20全面に対して高粘性領域27を設けた水晶振動片(図4に示す実験1)と、一対の励振電極23,24を形成した基板20に対して高粘性領域27を設けていない水晶振動片(図5に示す実験2)とを用いている。なお、図3は、図2のうち発振周波数を10〜70MHzに限定したものである。
【0042】
図2,3に示すように、実験1では、発振周波数が増えるにともなって水晶のQ値が反比例して下がっていく。これに対して、実験2では、発振周波数の変動に関係なく基板20の粘性度を変えて水晶のQ値を一定の低い値(0.15×104)に抑えている。
【0043】
次に、高粘性領域27の特性のうち、発振周波数(Freq)に対する水晶の主振動(Main)のQ値と、水晶の副振動(Spurious)のQ値と、高粘性領域27で用いる粘性材料の粘性係数Wvとの関係を図6,7に示す。なお、図7は、図6のうち発振周波数を10〜70MHzに限定したものである。ここでいう粘性係数Wvとは、基板20に水晶を用いた基板20の粘性係数Wvを1とした時の粘性材料の粘性比率のことをいい、例えば粘性係数Wv=200とは高粘性領域27の粘性の高さが基板20自体の粘性に対して200倍であることをいう。図6,7に示す実験では、上記した本実施例と同様に、基板20の励振電極23,24を形成した励振領域以外の部位に高粘性領域27を設けた実験3(図8参照)を用いている。なお、実施3では、図1に示す本実施例とは若干異なり、図8に示すように基板20のX方向(長手方向)の両主面端面203を除く主面両端部201に高粘性領域27が設けられている。
【0044】
実験3では、図6,7に示すように、各発振周波数(Freq)において副振動(Spurious)のQ値を1×104に抑えるように高粘性領域27で用いる粘性材料の粘性係数Wvを設定したものである。また、実験3では、発振周波数が増えるにともなって水晶の主振動(Main)のQ値が反比例して下がっていく。
【0045】
上記した実験1〜3から明らかなように、本発明によれば、Q値は圧電材料からなる基板2の素材によって異なるが、素材に関係になく(同一素材でもQ値は多少なりとも異なる)Q値を低い値で一定にすることができる。
【0046】
また、上記した実験3から、共振周波数を100MHz以下に設定する場合、高粘性領域の粘性の高さ(粘性係数Wv)は、基板20自体の粘性に対して約100倍以上に設定することが望まれる。この場合、共振周波数が100MHz以下である時の副振動によるスプリアス振動の抑制を行うことができる。特に、Q値を一定の低い値としてスプリアス振動の抑制を行うことができる。このことから、基板20に用いる材料によって異なるQ値だけでなく、同一材料における若干異なるQ値にも対応でき、いずれの材料であってもQ値を一定の低い値にすることができる。
【0047】
また、上記した実験3から、共振周波数を100MHz以上に設定する場合、高粘性領域の粘性の高さ(粘性係数Wv)は、基板20自体の粘性に対して約100倍以下に設定することが望まれる。この場合、共振周波数が100MHz以上である時の副振動によるスプリアス振動の抑制を行うことができる。特に、Q値を一定の低い値としてスプリアス振動の抑制を行うことができる。このことから、基板20に用いる材料によって異なるQ値だけでなく、同一材料における若干異なるQ値にも対応でき、いずれの材料であってもQ値を一定の低い値にすることができる。
【0048】
また、上記した実験2,3を用いて、粘性係数Wvを、1,30,100,200としたときの、基板20の長手方向の寸法/厚さ方向の寸法(a/b)に対する発振周波数偏差を測定した。その測定データを図9,10に示す。また、図10は、図9のうち共振周波数偏差の範囲を±4ppmに限定したものである。なお、共振周波数は39.83MHzとする。この図9,10から明らかなように、粘性係数Wvを、1,30,100,200に上げていくことで共振周波数偏差を抑えることができる。特に、粘性係数Wv=1と、粘性係数Wv=30,100,200との差異は明白である。
【0049】
上記した本実施例にかかる水晶振動片2によれば、圧電材料からなる基板20の一対の励振電極23,24を対向して形成した励振領域以外の部位に、基板20自体に対して粘性を加える高粘性領域27が設けられたので、高粘性領域27によって励振領域における振動の伝播を抑制することができる。特に、切り欠きや溝や凹部などを形成することによる振動伝播の抑制に対して、粘性を加えることで基板20の強度は略変わらないので基板20自体の強度を保持しながら、振動伝播の抑制を行うことができる。
【0050】
また、本実施例によれば、メインとなる主振動に対して副振動(高次輪郭振動など)によるスプリアス振動を抑えることができる。また、基板20の材質を可変させるので、基板20の外形変形による副振動のスプリアス振動の抑制に対して、水晶振動片2の小型化に好適である。また、本実施例では、励振電極23,24が対向している励振領域に高粘性領域27を設けないので、主振動に直接影響を受けない。なお、ここでいう振動は、励振電極23,24の寸法に関係している。
【0051】
具体的に、上記した特許文献1に示すような水晶振動片では、メインとなる主振動の周波数に対して、副振動の周波数が接近することでカップリングを起こし、このカップリングにより周波数のディップ現象が起こる。このディップ現象により水晶振動片の直列共振抵抗値が増大し、その結果、水晶振動片の発振が停止状態となる。水晶振動片の主振動エネルギーを閉じ込めてディップ現象を回避するために、水晶振動片の寸法公差を抑えたり、水晶振動片の基板をベベル加工やコンベックス加工しているが、この基板のベベル加工やコンベックス加工は、厚みを有する基板に対して有効であるが近年の圧電振動片の薄型化や小型化に伴う薄型の基板に対して行うことは難しい。
【0052】
これに対して、本実施例によれば、薄型や小型の圧電振動片であっても、水晶振動片2の寸法公差を限定したりせずに、または基板20のベベル加工やコンベックス加工などの圧電振動片の加工を行なわずにディップ現象を回避することができる。特に、本実施例に示すように、平面視長方形の水晶振動片2の主面中央領域に励振電極23,24を形成し、基板20のX方向(長手方向)の主面両端部201に粘性を加えた高粘性領域27を設けることでカップリングやジャンプ現象やディップ現象を抑えることができる。その結果、水晶振動片2の主振動の振動漏れを無くすことができる。
【0053】
また、高粘性領域27は基板20のX方向(長手方向)の主面両端部201に設けられるので、副振動によるスプリアス振動を抑制するとともに、基板20の外部部材(本実施例では電極パッド361,362)への保持バラツキを抑制して保持バランスを良くことができる。
【0054】
また、上記した本実施例にかかる水晶振動子1によれば、高粘性領域によって励振領域における振動の伝播を抑制した本実施例にかかる水晶振動片2を保持することができ、水晶振動片2の保持安定を図ることができる。
【0055】
なお、本実施例では、圧電材料として水晶を用いているが、水晶以外の圧電材料(例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)やニオブ酸リチウム(LiNbO3)など)であってもよい。
【0056】
また、本実施例では、基板20の両主面21,22にイオン注入及び熱拡散を行なって高粘性領域27を基板20に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、基板20の一主面21もしくは他主面22にイオン注入を行なって高粘性領域27を基板20に設けてもよく、この場合、高粘性領域27がイオン注入を行なった主面側だけに設けられてもよい。または、熱拡散を行うか否かを任意に設定してもよい。または、イオン注入を行なわずに熱拡散のみを行ってもよい。
【0057】
また、本実施例では、導電性バンプ8を用いて水晶振動片2をベース3(電極パッド361,362)に接合しているが、これは本体筐体の小型化に好適な例であり、これに限定されるものではなく、シリコーン系樹脂などの導電性接着剤を用いてもよい。
【0058】
また、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、水晶振動片やIC等を一体的に収納した水晶発振器にも適用することができる。また、本発明は、水晶フィルタや、SAWフィルタにも適用できる。
【0059】
また、本実施例では、水晶振動片2に、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形された基板20を用いているが、基板20の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、水晶振動片2の基板20が、図11,12に示す形状であってもよい。図11に示す水晶振動片2では、基板20の両主面21,22がその外方に凸状に形成されたメサ形状(凸部282)からなり、このメサ形状282の一部位に励振電極23,24が形成され、高粘性領域27はメサ形状282を含まない主面端部201に形成される。また、図12に示す水晶振動片2では、基板20の両主面21,22がその外方に凸状に形成されたメサ形状(凸部282)からなり、このメサ形状282の一部位に励振電極23,24が形成され、高粘性領域27はメサ形状282の他部位を含む。図12に示す水晶振動片2によれば、更にメサ形状282の成形時および励振電極23,24による振動時における基板20の破損を防止することができる。
【0060】
また、本実施例では、水晶振動片2に、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形された基板20を用いているが、基板20の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、水晶振動片2の基板20が、図13,14に示す形状であってもよい。図13に示す水晶振動片2では、基板20の両主面21,22がその外方に凸状に形成された逆メサ形状(凹部281)からなり、この逆メサ形状281の一部位に励振電極23,24が形成され、高粘性領域27は逆メサ形状281を含まない主面端部201に形成される。図14に示す水晶振動片2では、基板20の両主面21,22がその内方に凹状に形成された逆メサ形状(凹部281)からなり、この逆メサ形状281の一部位に励振電極23,24が形成され、高粘性領域27は逆メサ形状281の他部位を含む。図14に示す水晶振動片2によれば、更に逆メサ形状281の成形時および励振電極23,24による振動時における基板20の破損を防止することができる。
【0061】
また、本実施例では、高粘性領域27は基板20の主面両端部201に設けられているが、これに限定されるものではなく、基板20の少なくともいずれか一方の主面端部に設けられていればよく、または、図15に示すように、基板20の主面外周端部202に設けられてもよい。図15に示す水晶振動片2の場合、基板20の主面外周端部202のいずれの位置において外部部材(本実施例では電極パッド361,362)との保持接合を行った場合であっても、副振動によるスプリアス振動を抑制するとともに、基板20の外部部材(本実施例では電極パッド361,362)への保持バラツキを抑制して保持バランスを良くことができる。その結果、基板20の外部部材(本実施例では電極パッド361,362)への保持位置の自由度を上げることができる。また、基板20の主面外周端部202だけでなく、高粘性領域27が、基板20のZ方向(短手方向)の主面両端部201に設けられてもよい。なお、本実施例でいう基板20の主面端部201とは、基板20の主面端面203を含むか否かは限定されるものではなく、基板20の主面端面203を含むか否かは任意に設定可能である。そのため、図8に示す水晶振動片2は本実施例の範囲内である。
【0062】
また、本実施例では、高粘性領域27は基板20の主面両端部201一面に設けられているが、これに限定されるものではなく、高粘性領域27は基板20の主面両端部201にドット状に設けられてもよい。なお、ここでいうドット状とは、基板20平面視において円状や矩形状などのポイント形状のことをいう。
【0063】
ところで、上記した本実施例では、圧電振動片としてATカット水晶振動片2を用いているが、これに限定されるものではなく、音叉型水晶振動片であっても本実施例と同様の本発明の作用効果を有する。以下、圧電振動片として音叉型水晶振動片を用いた例を示す。
【実施例2】
【0064】
以下、本発明の他の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとして音叉型水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0065】
本実施例にかかる音叉型水晶振動子1(以下、水晶振動子という)では、図16に示すように、フォトリソグラフィ法で成形された音叉型水晶振動片2(本発明でいう音叉型圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋(図示省略)と、が設けられている。なお、蓋は、金属材料からなり、平面視矩形状の一枚板に成形されている。
【0066】
この水晶振動子1では、ベース3と蓋とが接合されて本体筐体が構成されている。これらベース3と蓋とが金属材料やガラス材などのろう材(図示省略)を介して接合され、この接合により本体筐体の内部空間6が形成されている。そして、この本体筐体の内部空間6内のベース3上に導電性バンプ8を介して水晶振動片2が保持接合されているとともに、本体筐体の内部空間6が気密封止されている。この際、図16に示すように、ベース3と水晶振動片2とは導電性バンプ8を用いてFCB法により超音波接合されるとともに電気的に接続されている。
【0067】
次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
【0068】
ベース3は、図16に示すように、底部31と、この底部31から上方に延出した堤部32とから構成される箱状体に形成されている。このベース3は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、図16に示す底部31の表面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面は蓋との接合領域33とされる。そして、ベース3の内部空間6における側壁には段部39が形成され、この段部39上に電極パッド361,362が形成され、これら電極パッド361,362上に水晶振動片2が片保持して設けられる。これら電極パッド361,362は、それぞれに対応した引回電極38を介して、ベース11の裏面などの外周面に形成される端子電極(図示省略)に電気的に接続され、これら端子電極が外部部品や外部機器の外部電極に接続される。なお、これら電極パッド361,362、引回電極38、端子電極は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース11と一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド361,362、引回電極38、端子電極のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
【0069】
次に、内部空間6に配された水晶振動片2の各構成について説明する。
【0070】
水晶振動片2は、図16に示すように、異方性材料の水晶片である水晶素板(図示省略)から、ウェットエッチング形成された水晶Z板である。そのため、この水晶振動片2は量産に好適である。この水晶振動片2の基板20は、振動部である2本の脚部28a,28b(第1脚部28a,第2脚部28bともいう)と基部29とから構成された外形からなり、2本の脚部28a,28bが基部29の一端部(具体的に一端面291)から突出して形成されている。また、この水晶振動片2には、基部29の一端面の隣接する2本の脚部28a,28bの間には、2本の隣接する脚部28a,28bから連続した曲面が形成されている。
【0071】
基部29は一組の脚部28a,28bと略同様の幅寸法から設定されている。また、この基部29には、図16に示すように、当該基部29の側面204から脚部28a,28bの突出方向に対して垂直方向に延出する延出部293が設けられている。これら延出部293と脚部28a,28bとは連続して成形され、脚部28a,28bから延出部293にかけて基板20の側面204が曲面(R面)形成されている。
【0072】
また、図2に示すように、水晶振動片2の外形のうち側面204は両主面21,22に対して傾斜して成形されている。これは、水晶振動片2を湿式でエッチング成形する際に基板20材料の結晶方向(X,Y方向)へのエッチングスピードが異なることに起因している。
【0073】
また、2つの脚部28a,28bの側面両主面21,22は、水晶振動片2の小型化により劣化する直列共振抵抗値を改善させるために、逆メサ形状からなる(凹部281が形成されている)。
【0074】
この水晶振動片2の表面(両主面21,22および側面204)には、異電位で構成された2つの励振電極23,24(第1励振電極23,第2励振電極26bともいう)と、これらの励振電極23,24を電極パッド361,362に電気的に接続させるために励振電極23,24から引き出された引出電極25,26とが設けられている。なお、本実施例でいう引出電極25,26は、2つの励振電極23,24から引き出された電極パターンのことをいう。
【0075】
また、2つの励振電極23,24の一部は、凹部281の内部に形成されている。このため、水晶振動片2を小型化しても脚部28a,28bの振動損失が抑制され、直列共振抵抗値を低く抑えることができる。第1の励振電極23は、第1脚部28aの両主面21,22と凹部281に形成された第1主面電極と、第2脚部28bの両側面204に形成された第2側面電極とにより構成される。そして、これら第1主面電極と第2側面電極とが引き回されて接続され、励振電極23は引出電極25に引き出されている。同様に、第2の励振電極26bは、第2脚部28bの両主面21,22と凹部281に形成された第2主面電極と、第1脚部28aの両側面204に形成された第1側面電極とにより構成される。そして、これら第2主面電極と第1側面電極とが引き回されて接続され、励振電極24は引出電極26に引き出されている。
【0076】
上記した水晶振動片2の励振電極23,24、及び引出電極25,26は、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。これらの薄膜は、真空蒸着法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成される。なお、上記した引出電極25,26のみを、例えば、クロムの下地電極層と、金の中間電極層と、クロムの上部電極層と、から構成された積層薄膜としてもよい。この薄膜は、真空蒸着法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成され、クロムの上部電極層のみが部分的にマスクして真空蒸着法等の手法により形成される。また、励振電極23,24、及び引出電極25,26がクロム,金の順に形成されているが、例えば、クロム,銀の順や,クロム,金,クロムの順や,クロム,銀,クロムの順等であってもよい。また、上記した下地電極層をニッケルに変えてもよく、例えば、ニッケル,金の順や、ニッケル,銀の順、ニッケル,金,クロムの順、ニッケル,銀,クロムの順であってもよい。
【0077】
また、水晶振動片2の基部29には、図16に示すように、基板20自体に対して粘性を加える高粘性領域27が設けられている。基板20の励振電極23,24を形成した励振領域(脚部28a,28b)以外の部位に、基板20自体に対して粘性を加える高粘性領域27が設けられている。具体的に、基部20において脚部28a,28b近傍の領域(一端面291側の基部29の領域)に対して外部部材との保持位置の粘性が高くなるように高粘性領域27が設けられている。また、この高粘性領域27は、金属材料(例えば、Ag,Au,Cu,Alが挙げられ、これ以外にLi,Mg,Ti,Cr,Fe,Ni,Zn,Ge,Mo,Sn,W,Pt,Pb等)や金属材料以外の材料(例えばB,N,O,Si,P等)のイオン注入及び熱拡散によって分子レベルで基板20の中に金属材料を浸透させて構成する。なお、ここでいう基板20の粘性とは、基板20のねばる性質のことをいい、粘性を加えていない部位(本実施例では励振領域である脚部28a,28b)において圧電特性を有したまま、基板20のY方向(長手方向)の基部20の材質を可変させることができる。ところで、本実施例では、FCBにより水晶振動片2をベース3にAuからなる導電性バンプ8を介して接合するので、金属材料にAuを用いて水晶の基板20にイオン注入および熱拡散を行なうことが好適である。
【0078】
上記した本実施例にかかる水晶振動片2によれば、脚部28a,28b(励振領域)以外の部位である基部29に、基板20自体に対して粘性を加える高粘性領域27が設けられたので、高粘性領域27によって励振領域における振動の伝播を抑制することができる。特に、基部29に切り欠きや溝や凹部などを形成することによる振動伝播の抑制に対して、粘性を加えることで基部29の強度は略変わらないので基部29自体の強度を保持しながら、振動伝播の抑制を行うことができる。
【0079】
また、上記した実施例によれば、高粘性領域27が基部29に設けられるので、基板20の外部部材(本実施例では電極パッド361,362)への保持バラツキを抑制して保持バランスを良くことができる。特に、外部部材(本実施例では電極パッド361,362)への保持を行なっている部分(基部29)に粘性を加えることで基部29へ伝わる振動の影響を抑制することができる。
【0080】
また、音叉型水晶振動片2において高粘性領域27を基部29に設けることで、基部29に溝や凹部をつくって振動伝播を抑えるのと同様の作用効果を得ることができる。特に、高周波化に伴い水晶振動片2の薄型化がすすみ、基板20の外形変形がし難くなるので、高粘性領域27を基部29に設けることがより好ましい。
【0081】
また、基部29において脚部28a,28b近傍(基部29の一端面291側)の領域に対して外部部材との保持位置の粘性が高いので、当該音叉型圧電振動片の振動阻害を抑え、かつ、外部部材(本実施例では電極パッド361,362)への保持を安定させることができる。特に、基部29の各部位における粘性を段階的に可変させてもよく、この場合、水晶振動片2の振動阻害を抑えるとともに外部部材(本実施例では電極パッド361,362)への保持安定を行うことができる。
【0082】
上記した本実施例にかかる水晶振動子1によれば、高粘性領域によって励振領域における振動の伝播を抑制した本実施例にかかる水晶振動片2を保持することができ、水晶振動片2の保持安定を図ることができる。
【0083】
なお、本実施例では、脚部を2つとしているが、これに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0084】
また、本実施例では、導電性バンプを2つとしているが、これに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0085】
また、本実施例でいう凹部281は、図16に示すような断面凹形状としているが、これに限定されるものではなく、貫通部であってもよく、窪み部であってもよい。
【0086】
また、本実施例では、脚部28a,28bに凹部281を形成しているが、これは好適な例でありこれに限定されるものではなく、脚部28a,28bに凹部が形成されていなくてもよい。
【0087】
また、本実施例では、ストレートタイプの水晶振動片2に延出部293を設けた構成としているが、これは好適な例でありこれに限定されるものではなく、延出部293が脚部28a,28bと連続して成形されずに単独で設けられてもよい。
【0088】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、圧電振動片、及び圧電振動デバイスに適用でき、特に圧電基板の材料に水晶を用いたものが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本実施例1にかかる、ベースに保持した水晶振動片を公開したATカット水晶振動子の概略平面図である。
【図2】図2は、水晶振動片の高粘性領域の特性のうち、発振周波数に対する水晶のQ値の関係を示したグラフ図である。
【図3】図3は、図2の発振周波数の範囲を限定したグラフ図である。
【図4】図4は、実験1の水晶振動片の概略構成図である。
【図5】図5は、実験2の水晶振動片の概略構成図である。
【図6】図6は、水晶振動片の高粘性領域の特性のうち、発振周波数に対する水晶の主振動のQ値と、水晶の副振動のQ値と、高粘性領域で用いる粘性材料の粘性係数Wvとの関係を示したグラフ図である。
【図7】図7は、図6の発振周波数の範囲を限定したグラフ図である。
【図8】図8は、実験3の水晶振動片の概略構成図である。
【図9】図9は、水晶振動片の基板の長手方向の寸法/厚さ方向の寸法に対する発振周波数偏差の関係を示したグラフ図である。
【図10】図10は、発振周波数偏差の範囲を限定したグラフ図である。
【図11】図11は、本実施例の他の例にかかる、メサ形状からなる水晶振動片の概略構成図である。図11(a)は、その概略平面図である。図11(b)は、その概略側面図である。
【図12】図12は、本実施例の他の例にかかる、メサ形状からなる水晶振動片の概略構成図である。図12(a)は、その概略平面図である。図12(b)は、その概略側面図である。
【図13】図13は、本実施例の他の例にかかる、逆メサ形状からなる水晶振動片の概略構成図である。図13(a)は、その概略平面図である。図13(b)は、その概略側面図である。
【図14】図14は、本実施例の他の例にかかる、逆メサ形状からなる水晶振動片の概略構成図である。図14(a)は、その概略平面図である。図14(b)は、その概略側面図である。
【図15】図15は、本実施例の他の例にかかる、高粘性領域を基板の主面外周端部に設けた水晶振動片の概略平面図である。
【図16】図16は、本実施例2にかかる、ベースに保持した水晶振動片を公開した音叉型水晶振動子の概略平面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 水晶振動子
2 水晶振動片
20 基板
201 主面端部
202 主面外周端部
23,24 励振電極
27 高粘性領域
281 凹部
282 凸部
28a,28b 脚部
29 基部
3 ベース
361,362 電極パッド
6 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片において、
基板が圧電材料からなり、
前記基板に一対の励振電極が対向して形成され、
前記基板の前記一対の励振電極を形成した励振領域以外の部位に、前記基板自体に対して粘性を加える高粘性領域が設けられたことを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
ATカット圧電振動片であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
【請求項3】
前記高粘性領域は、前記基板の主面端部に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の圧電振動片。
【請求項4】
前記高粘性領域は、前記基板の主面両端部に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の圧電振動片。
【請求項5】
前記高粘性領域は、前記基板の主面外周端部に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の圧電振動片。
【請求項6】
共振周波数は、100MHz以下であり、
前記高粘性領域の粘性の高さは、前記基板自体の粘性に対して約100倍以上であることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1つに記載の圧電振動片。
【請求項7】
共振周波数は、100MHz以上であり、
前記高粘性領域の粘性の高さは、前記基板自体の粘性に対して約100倍以下であることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1つに記載の圧電振動片。
【請求項8】
外部部材に保持する基部と、励振電極を形成する複数の脚部とから構成される音叉型圧電振動片であり、
前記高粘性領域は、前記基部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
【請求項9】
前記基部において前記脚部近傍の領域に対して外部部材との保持位置の粘性が高いことを特徴とする請求項8に記載の圧電振動片。
【請求項10】
前記基板の少なくとも一主面はメサ形状からなり、このメサ形状の一部位に前記励振電極が形成され、
前記高粘性領域は、メサ形状の他部位を含むことを特徴とする請求項1乃至9のうち何れか1つに記載の圧電振動片。
【請求項11】
前記基板の少なくとも一主面は逆メサ形状からなり、この逆メサ形状の一部位に前記励振電極が形成され、
前記高粘性領域は、逆メサ形状の他部位を含むことを特徴とする請求項1乃至9のうち何れか1つに記載の圧電振動片。
【請求項12】
圧電振動デバイスにおいて、
ベースと蓋とにより本体筐体が構成され、
前記本体筐体の内部空間に、請求項1乃至11のうち何れか1つに記載の圧電振動片が保持されるとともに気密封止されたことを特徴とする圧電振動デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−154181(P2008−154181A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342851(P2006−342851)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】