説明

圧電膜の積層体及びその製造方法

【課題】複数の電極層と圧電膜層とを積層した場合において、製造コストを低減しつつ、複数の電極層間を容易に接続することができ、装置に組み込んで使用しても信頼性が高い圧電膜の積層体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】正電極層12を積層体1の積層方向に垂直な方向の一端部側に寄せて配置し、負電極層12を他端部側に寄せて配置する。そして、積層体の一端部側及び他端部側に夫々共通電極13を形成し、同一極性の電極層12同士を共通電極13と接触させて導通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の圧電膜層を積層し、各圧電膜層を電極層で挟んで構成した圧電膜の積層体及びその製造方法に関し、特に、角速度センサ等のセンサ、又はインクジェットヘッド及びスピーカー等のアクチュエータとして使用される圧電膜の積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の装置において圧電素子が使用されている。圧電素子は、印加した圧力に比例した量の表面電荷を分極するため、圧電素子を2枚の電極で挟む構成とし、表面電荷を電極を介して検出する構成にすれば、センサとして有用である。例えば、特許文献1及び2には、圧電素子を角速度センサとして使用する技術が開示されている。
【0003】
一方、圧電素子は、電界を印加した場合に変形する性質も兼ね備えており、アクチュエータとして有用である。例えば、特許文献3及び4には、電界印加時の圧電素子の変位を利用して、液体に圧力を作用させ、ノズル開口から液体を滴状に射出させる構成とした液体噴射ヘッドが開示されている。また、特許文献5には、振動板に膜状の圧電素子を貼り付けた構成とし、電界印加時の圧電素子の変位を利用して振動板を振動させて音を発生させるスピーカーが開示されている。
【0004】
上述の特許文献1及び2に開示されたセンサは、1層の圧電素子を2枚の電極によって挟む構造であるが、圧電素子を特許文献3及び4のように液体噴射ヘッド等に使用する場合、装置には高周波駆動への確実な応答性が求められる。この場合、圧電素子の撓み強度を小さく抑えつつ、変形量を大きくする必要がある。上述の特許文献3及び4には、膜状の圧電素子を複数積層させて使用することによって、変形部分の応答性を向上させて高周波駆動を可能とし、圧電素子の変形量を大きくして液体噴射ヘッドの送液能力を向上させることが開示されている。また、特許文献3に開示された圧電膜の積層体においては、1対の電極間に圧電膜を2層配置し、これらの圧電膜層によって表面が完全に覆われた状態で圧電膜層間に駆動電極を配置した構造とすることにより、駆動電極からの空中放電が防止できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−194911号公報
【特許文献2】特開2003−227719号公報
【特許文献3】特開2008−66743号公報
【特許文献4】特開平2−289352号公報
【特許文献5】特開2003−47092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術には以下のような問題点がある。上述の如く、特許文献3及び4に開示された技術は、特許文献1及び2の単層構造の圧電素子について、高周波駆動における応答性を向上するものである。しかしながら、これらの特許文献3及び4には、圧電素子と電極とを交互に積層した場合における各電極の引き出し方法は記載されていない。特許文献3に記載の内容を基にすると、例えば図11に示すように、圧電膜間に配置される電極の表面を完全に覆うように、圧電膜の幅を上方へと順次広げ、同一極性の複数の電極を積層体の最下部まで導出して束ねる構造が考えられる。しかしながら、この場合、複数の電極は、圧電膜層間から圧電膜の厚さを跨いで積層体の最下部まで導出する必要がある。よって、複数の電極を夫々異なる位置で折り曲げた形状にする必要があり、加工コストが増大する。また、電極を折り曲げて圧電膜層間から積層体の最下部まで導出する場合において、電極の断線を形状面から回避するためには、圧電膜層をその端部において若干下方へ広がるように傾斜させた形状にすると共に、電極を圧電膜層端部の傾斜に沿った形状に折り曲げることにより、電極の折り曲げ角度を大きくする必要がある。しかしながら、この場合においては、圧電膜の面積を順次上層へと広げることになり、材料コストが増大するという問題点がある。
【0007】
圧電膜の積層体における圧電膜層間からの各電極の導出手法として、上述の特許文献5には、同一極性の電極同士を積層方向に貫通して形成したスルーホールにおいて接続し、更にこのスルーホールを積層体表面に設けたランドに接続して、柔軟性がある導体パターンを介して電極を導出する技術が開示されている。しかしながら、この特許文献5には、圧電膜の積層体の製造方法については具体的に記載されていない。従来、特許文献5に開示されたような圧電膜の積層体を製造する場合には、複数のグリーンシートを使用し、グリーンシートのスルーホールに相当する位置に孔を形成した後、導電ペーストでパターニングを施して電極層を形成する。そして、圧電膜層と1層ごとに電極層を形成したグリーンシートとを交互に積層した後で焼成する。しかしながら、このような製造方法を採用した場合、孔開け及びパターニングを複数枚のグリーンシートに1層ずつ実施する必要があり、加工コストが増大するという問題点がある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、複数の電極層と圧電膜層とを積層した場合において、複数の電極層間を容易に接続することができ、装置に組み込んで使用しても信頼性が高い圧電膜の積層体を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、複数の電極層と圧電膜層とを積層して圧電膜の積層体を製造する場合において、製造コストを低減しつつ、信頼性が高い圧電膜の積層体を得ることができる圧電膜の積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る圧電膜の積層体は、下地板上に複数の圧電膜層が積層され、前記圧電膜層の間又は前記圧電膜層の間及び最表面の圧電膜層上に夫々電極層が設けられた圧電膜の積層体において、前記電極層のうちの正電極層が前記積層体の積層方向に垂直な方向の一端部側に寄せて配置され、前記電極層のうちの負電極層が前記積層体の他端部側に寄せて配置され、前記一端部側に第1の共通電極が形成され、この第1の共通電極が前記正電極層と接触して導通し、前記他端部側に第2の共通電極が形成され、この第2の共通電極が前記負電極層と接触して導通し、前記第1の共通電極に正電位を印加し、前記第2の共通電極に負電位を印加して、前記圧電膜層を歪ませるか、又は前記第1の共通電極から正電位を検出し、前記第2の共通電極から負電位を検出して前記圧電膜層の歪みを検出することを特徴とする。
【0011】
上述の圧電膜の積層体は、例えば前記一端部側にて前記正電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第1の貫通孔が設けられてこの第1の貫通孔の内部に導電性材料が埋め込まれて前記第1の共通電極が形成され、前記他端部側にて前記負電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第2の貫通孔が設けられてこの第2の貫通孔の内部に導電性材料が埋め込まれて前記第2の共通電極が形成されている。
【0012】
この場合、前記第1及び第2の共通電極が夫々前記複数の正電極層及び負電極層と接触する位置にバンプが設けられていてもよい。
【0013】
又は、上述の圧電膜の積層体は、例えば前記正電極層が前記一端部にて前記圧電膜層から露出しており、前記負電極層が前記他端部にて前記圧電膜層から露出しており、前記第1及び第2の共通電極が前記正電極層の一端部側及び前記負電極層の他端部側を夫々覆う導電性材料により形成されている。
【0014】
この場合、前記導電性材料を、例えば導電性粒子を含有するペースト、又は半田で構成することができる。
【0015】
上述の圧電膜の積層体において、下地板を前記正電極層又は負電極層として構成してもよい。
【0016】
上述の圧電膜の積層体は、例えば、一定方向に回転可能な錘体に作用するコリオリ力を圧電体層の変位として検出し、検出したコリオリ力の大きさに従って前記錘体の回転角速度を電気的に出力する角速度センサに使用する場合において有用である。また、例えば、正電極層と負電極層との間に電圧を印加し、圧電膜層の変位によってインク室に充填したインクを滴状に射出させるインクジェットヘッドに使用してもよく、圧電膜層の変位によって振動板を振動させて音を発生させるスピーカーに使用してもよい。
【0017】
本発明に係る圧電膜の積層体の製造方法は、下地板上に複数の圧電膜層を積層し、前記圧電膜層の間又は前記圧電膜層の間及び最表面の圧電膜層上に夫々電極層を設ける圧電膜の積層体の製造方法において、前記電極層のうちの正電極層を前記積層体の積層方向に垂直な方向の一端部側に寄せて配置し、前記電極層のうちの負電極層を前記積層体の他端部側に寄せて配置し、前記一端部側にて前記正電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第1の貫通孔を設け、この第1の貫通孔の内部に導電性材料を埋め込んで第1の共通電極を形成し、前記他端部側にて前記負電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第2の貫通孔を設け、この第2の貫通孔の内部に導電性材料を埋め込んで第2の共通電極を形成し、前記第1及び第2の共通電極を夫々前記正電極層及び負電極層と接触させて導通させることを特徴とする。
【0018】
上述の前記第1及び第2の貫通孔は、例えばレーザ加工によって形成することができ、ドライエッチング又はウェットエッチングによって形成してもよい。
【0019】
また、上述の前記第1及び第2の共通電極は、例えば前記第1及び第2の貫通孔の内部に銅メッキを施すか、又は銅ペーストを充填して形成することができる。
【0020】
本発明に係る他の圧電膜の積層体の製造方法は、下地板上に複数の圧電膜層を積層し、前記圧電膜層の間又は前記圧電膜層の間及び最表面の圧電膜層上に夫々電極層を設ける圧電膜の積層体の製造方法において、前記電極層のうちの正電極層を前記積層体の積層方向に垂直な方向の一端部側に寄せて配置し、前記一端部側にて前記圧電膜層から露出させ、前記電極層のうちの負電極層を前記積層体の他端部側に寄せて配置し、前記他端部側にて前記圧電膜層から露出させ、前記正電極層の一端部側及び前記負電極層の他端部側を夫々覆うように導電性材料からなる第1及び第2の共通電極を形成し、前記第1及び第2の共通電極を夫々前記正電極層及び負電極層と接触させて導通させることを特徴とする。
【0021】
この場合、例えば前記導電性材料をディスペンサ又は印刷機によって前記電極層の露出した端部に塗布して、前記共通電極を形成してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の圧電膜の積層体は、積層体の一端部側に第1の共通電極が形成され、正電極層が第1の共通電極に接触して導通し、積層体の他端部側に第2の共通電極が形成され、負電極層が第2の共通電極に接触して導通しており、同一極性の電極の引き出しを夫々第1及び第2の共通電極で行うことができる。従って、圧電膜層間の電極層が折り曲げられずに引き出されるため、電極の加工コストを増大させることなく電極層の断線を防止することができる。
【0023】
また、同一極性同士の複数の電極層は、共通電極によって片持ち梁の状態で圧電膜層間に配置されるため、積層体全体が積層方向に垂直に収縮した場合において、この収縮を共通電極の撓みにより積層方向の屈曲変位に変換することができる。従って、本発明の圧電膜の積層体によれば、積層体全体が微小に振動した場合においても、電極間の圧電膜層に発生する微小電位を積算して、圧電膜層の歪みを確実に検出することができ、組み込んで使用する装置の信頼性が向上する。逆に、圧電膜の積層体をアクチュエータとして装置に組み込んで使用する場合においても、複数の圧電膜層を確実に変位させることができ、装置の信頼性が向上する。
【0024】
本発明の圧電膜の積層体の製造方法は、同一の極性の電極層同士を積層体の同一の端部側に寄せて配置しながら、電極層と圧電膜層とを交互に積層していき、同一極性の電極層と複数の圧電膜層とを貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に導電性材料による共通電極を形成するだけで、複数の電極層を共通電極と接触させて導通させ、圧電膜の積層体を容易に得ることができる。従って、圧電膜の積層体の加工コストを低減することができる。
【0025】
本発明の他の圧電膜の積層体の製造方法によれば、同一極性の電極層同士を圧電膜層上の同一の端部側に寄せて配置し、各電極層を寄せて配置した側の端部にて圧電膜層から露出させ、この露出した部分で同一極性の電極層同士を夫々覆うように導電性材料によって共通電極を設けるだけで、信頼性の高い圧電膜の積層体を得ることができる。即ち、共通電極を設けるにあたり、貫通孔を設ける必要がなく、加工コストを低減しながら生産性よく信頼性の高い圧電膜の積層体を得ることができる。また、複数の圧電膜層は、順次上方へと面積が小さくなるため、圧電膜の使用量を低減して、材料コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る圧電膜の積層体を示す断面図、(b)は本発明の第2実施形態に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。
【図2】(a)乃至(d)は、本発明の第1実施形態に係る圧電膜の積層体の製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の第1実施形態に係る圧電膜の積層体の製造方法をその工程順に示す断面図であり、図2(d)の次の工程を示す。
【図4】(a)乃至(c)は、本発明の第2実施形態に係る圧電膜の積層体の製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図5】(a),(b)は、本発明の第2実施形態に係る圧電膜の積層体の製造方法をその工程順に示す断面図であり、図4(c)の次の工程を示す。
【図6】本発明の変形例に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。
【図7】(a),(b)は、本発明の変形例に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。
【図8】(a),(b)は、本発明の変形例に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。
【図9】(a)乃至(c)は、本発明の変形例に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。
【図10】(a)乃至(c)は、本発明の変形例に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。
【図11】従来の圧電膜の積層体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は本発明の第1実施形態に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。図1(a)に示すように、本第1実施形態の圧電膜の積層体1は、下地板10の表面に形成された絶縁膜10a上に、直接、膜状の正極及び負極の電極層12が1箇所ずつ互いに離隔して形成され、その上に圧電膜層11と複数の電極層12とが交互に積層されて構成され、複数の同一極性の電極層12同士及び圧電膜層11を貫通するように共通電極13が2箇所に設けられている。
【0028】
下地板10は、例えば金属ケイ素等からなり、厚さが例えば1乃至1000μmである。また、下地板10表面に形成された絶縁膜10aは、例えば二酸化ケイ素からなり、厚さが例えば0.1乃至10μmである。
【0029】
絶縁膜10a上に形成された電極層12は、例えば白金、イリジウム、パラジウム、ルテニウム等の金属、又はこれらの金属を含有する合金からなり、厚さが例えば0.01乃至10μmである。なお、電極層12の厚さは、後述する圧電膜層11の厚さよりも小さい。
【0030】
圧電膜層11は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛、組成式:Pb(Zr,Ti1−x)O、(xは1以下の正数))、チタン酸バリウム(組成式:BaTiO)等の圧電体からなり、厚さが例えば0.1乃至100μmの膜で構成されている。そして、絶縁膜10a上に直接形成された正極及び負極の電極層12上、並びにこれらの正極及び負極の電極層間12の絶縁膜10a上に、最下層の圧電膜層11が形成されている。即ち、絶縁膜10a上の正極及び負極の2個の電極層12は、圧電膜層11を基準とした場合、夫々圧電膜層11の一端部側及び他端部側に位置している。
【0031】
最下部に位置する1層目の圧電膜層11上には、1層目の負電極層12が配置された他端部側に寄せて、2層目の負電極層12が膜状に形成されており、更にその上に2層目の圧電膜層11が形成されている。この2層目の圧電膜層11は、1層目の圧電膜層11上において2層目の負電極層12が配置されていない領域にも形成されており、この部分において1層目の圧電膜層11と接触している。
【0032】
そして、2層目の圧電膜層11上には、1層目の正電極層12が配置された一端部側に寄せて、2層目の正電極層12が膜状に形成されており、更にその上には、3層目の圧電膜層11が形成されている。この3層目の圧電膜層11は、2層目の圧電膜層11上において2層目の正電極層12が配置されていない領域にも形成されており、この部分において2層目の圧電膜層11と接触している。
【0033】
以降、同様に、3層目の負電極層12、4層目の圧電膜層11、3層目の正電極層12、5層目の圧電膜層11のように、圧電膜層11と電極層12とが交互に積層され、更に電極層12については順次積層方向に沿って正極と負極とが交互に積層されている。また、圧電膜層11の積層方向に垂直な一端部側に寄せて正電極層12が積層方向に沿って並んで配置され、圧電膜層11の他端部側に寄せて負電極層12が積層方向に沿って並んで配置されている。
【0034】
更に、圧電膜層11及び複数の電極層12が積層されて形成された圧電膜の積層体1において、上述の圧電膜層11の一端部側及び他端部側には、夫々圧電膜層11及び同一極性同士の電極層12を貫通するように貫通孔が設けられ、この貫通孔内に例えば銅等の金属、又は銅、銀若しくはカーボン等の粒子を含有する樹脂が埋め込まれて共通電極13が形成されている。即ち、共通電極13は、圧電膜の積層体1の一端部側及び他端部側に夫々設けられ、同一極性の複数の電極層12同士がいずれか一方の共通電極13と接触して導通している。
【0035】
このように構成された本実施形態の圧電膜の積層体1は、正極及び負極の極性が同一の複数の電極層12同士が、夫々一端部側又は他端部側の共通電極13と接触して導通しており、各電極の引き出しを2つの共通電極13で行うことができる。従って、圧電膜層間の各電極層12が折り曲げられておらず、電極の加工コストを増大させることなく電極層12の断線を防止することができる。
【0036】
また、同一極性同士の複数の電極層12は、共通電極13によって片持ち梁の状態で圧電膜層11間に配置されるため、積層体1全体が積層方向に垂直に収縮した場合において、この収縮を共通電極13の撓みにより積層方向の屈曲変位に変換することができる。従って、本発明の圧電膜の積層体1によれば、積層体1全体が微小に振動した場合においても、電極層12間の圧電膜層11に発生する微小電位を積算して、圧電膜層11の歪みを確実に検出することができ、組み込んで使用する装置の信頼性が向上する。この場合、本実施形態の圧電膜の積層体1を、例えば角速度等を計測するセンサとして使用することができる。
【0037】
逆に、圧電膜の積層体1をアクチュエータとして装置に組み込んで使用する場合においても、複数の圧電膜層11を確実に変位させることができ、装置の信頼性が向上する。この場合においては、本実施形態の圧電膜の積層体は、例えばインクジェットヘッド又は圧電スピーカーに組み込んで使用することができる。
【0038】
本第1実施形態の圧電膜の積層体は、上述の構造に限らず、種々の変形が可能である。例えば、図6に示すように、各極性の複数の電極層12と共通電極13とが接触する位置に銅、金又はアルミニウム等の金属からなるバンプ12aを設ければ、電極層12と共通電極13との間の接触抵抗値を安定化させることができる。この場合、積層方向におけるバンプ12aの厚さは、例えば1乃至50μmにすればよく、各電極層12上にメッキ、スパッタリング又は蒸着等によってバンプ12aを形成した後、圧電膜層11を積層して製造すればよい。バンプ12aの積層方向の厚さが圧電膜層11の厚さに比して大きい場合、電極層12及びバンプ12aと共通電極13との間の接続領域における厚さが大きくなってしまう場合があるが、この接続領域は、各電極層12が共通電極13によって片持ち梁の状態で支持される位置であり、圧電膜が伸縮する領域ではないため、圧電膜の積層体として機能上の問題が発生することはない。
【0039】
他の変形例として、例えば、図7(a)に示すように、第1実施形態における絶縁膜10aを正極又は負極のうちの一方の電極層12に共通の共通電極13の下方だけに設け、下地板10を他方の電極層12として使用してもよい。また、この場合、図7(b)に示すように、絶縁膜10aを設ける代わりに、電極層12として使用する下地板10とは逆極性の共通電極13を最下部の圧電膜層の途中まで設けてもよい。
【0040】
更に、本実施形態の圧電膜の積層体は、バイモルフ構造としても有用である(図8(a))。この場合においても下地板10を電極層として使用してもよい(図8(b))。更にまた、図1(a)及び図6乃至8においては、最表面の圧電膜層上にも電極層が形成されているが、電極層は、複数の圧電膜層の間に設けられていればよく、最表面の圧電膜層上に電極層が設けられていなくてもよい(図9(a)及び図9(b))。
【0041】
次に、本第1実施形態の圧電膜の積層体の製造方法について説明する。図2及び図3は、本発明の第1実施形態に係る圧電膜の積層体の製造方法をその工程順に示す断面図であり、図3(a)は図2(d)の次の工程を示す。
【0042】
まず、表面に絶縁膜10aが形成された下地板10上に、スパッタリングによって電極層金属又は合金を膜状に蒸着する。そして、蒸着後の膜状金属又は合金上に、フォトレジストによって最下層の正電極及び負電極のパターニングを施し、電極として不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去して膜状の正極及び負極の電極層12を得る(図2(a))。
【0043】
次に、正極及び負極の電極層12上とこれらの電極層12間の絶縁膜10a上に、スパッタリングによって圧電材料を蒸着するか、又は圧電材料成分を含有するゾルゲル溶液を塗布した後、スピンコート処理を施して溶媒を蒸発させることによって、最下層の圧電膜層11を形成する(図2(b))。この最下層の圧電膜層11の形成により、正極及び負極の電極層12は、圧電膜層11を基準とした場合の圧電膜層11の一端部側及び他端部側に位置する。このとき、圧電膜層11が所定の領域に形成されるように、フォトレジストで圧電膜層11のパターニングを施し、不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去してもよい。
【0044】
次に、最下層の圧電膜層11上に、スパッタリングによって電極層金属又は合金を膜状に蒸着する。そして、蒸着後の膜状金属又は合金上に、フォトレジストによって負電極のパターニングを施す。このパターニングの位置は、1層目の負電極層12が配置された他端部側に合わせて、1層目の圧電膜層11上の他端部側に寄せる。パターニングに続いて、2層目の負電極層12として不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去して2層目の負電極層12を得る(図2(c))。
【0045】
その後、この2層目の負電極層12上、及び1層目の圧電膜層11において2層目の負電極層12が形成されていない領域に、スパッタリングによって圧電材料を蒸着するか、又は圧電材料成分を含有するゾルゲル溶液を塗布した後、スピンコート処理を施して溶媒を蒸発させることによって、2層目の圧電膜層11を形成する。このとき、圧電膜層11が所定の領域に形成されるように、フォトレジストで圧電膜層11のパターニングを施し、不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去してもよい。続いて、2層目の圧電膜層11上に、スパッタリングによって電極層金属又は合金を膜状に蒸着した後、フォトレジストによって2層目の正電極をパターニングし、2層目の正電極層12として不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去する。なお、このときのパターニング位置は、1層目の正電極層12が配置された一端部側に合わせて、2層目の圧電膜層11上の一端部側に寄せる。
【0046】
以降、同様に、3層目の圧電膜層11、3層目の負電極層12、4層目の圧電膜層11、3層目の正電極層12、5層目の圧電膜層11のように、圧電膜層11と電極層12と交互に、且つ電極層12については順次正極と負極とが交互になるように積層していく(図2(d))。
【0047】
そして、所望の層数の圧電膜層11及び電極層12の積層が終了すると、圧電膜の積層体1において、複数の正電極層12は圧電膜層11の積層方向に垂直な一端部側に寄せた位置、即ち、1層目の正電極層12の上方位置に配置される。また、複数の負電極層12は、他端部側に寄せた位置、即ち、1層目の負電極層12の上方位置に配置される。
【0048】
次に、複数の正極及び負極の電極層12が形成された圧電膜の積層体において、同一極性同士の電極層12とこれらの電極層12間に位置する圧電膜層11とを貫通するように、例えばレーザ加工によって各極性について1箇所ずつ貫通孔を形成する(図3(a))。このときの貫通孔の形成位置は、圧電膜の積層体1において各極性の電極層12を寄せて配置した側の端部である。なお、貫通孔の形成はドライエッチング、ウェットエッチング、イオンミリング又はサンドブラストによって行ってもよい。続いて、各極性の電極層12に共通の貫通孔において、夫々の内部に銅等のメッキを施すか、又は銅ペーストを充填して共通電極13を形成し、同一極性同士の電極層12を共通電極13に接触させる(図3(b))。共通電極13を形成することにより、正極及び負極の電極層12を、夫々同一極性同士で接続することができる。なお、本実施形態において共通電極13は銅等の金属であるが、銅、銀又はカーボン等の粒子を含有する樹脂によって形成してもよい。以上、本実施形態においては、最下層の圧電膜層11上に形成する電極層12を負極として説明してきたが、正電極と負電極との位置関係は互いに入れ替わってもよい。
【0049】
本実施形態において、電極層12はスパッタリング、レジストマスク及びエッチングによって形成しているが、例えば導体ペーストを所定の位置に印刷後、焼成することによって電極層12を形成してもよい。また、圧電膜層11についても、ペースト状の圧電材料材を塗布若しくは印刷するか、又はグリーンシートに圧電材料を埋め込んだものを貼り付けた後、焼成して圧電膜層11を形成してもよい。
【0050】
本実施形態の圧電膜の積層体1の製造方法は、同一の極性の電極層12同士を積層体1の積層方向に垂直な方向の同一の端部側に寄せて配置しながら、電極層12と圧電膜層11とを交互に積層していき、同一極性の電極層12と複数の圧電膜層11とを貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に導電性材料による共通電極13を形成するだけで、複数の電極層12を共通電極13と接触させて導通させて、圧電膜の積層体1を容易に得ることができる。従って、圧電膜の積層体1の加工コストを低減することができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態に係る圧電膜の積層体について説明する。図1(b)は本発明の第2実施形態に係る圧電膜の積層体を示す断面図である。本第2実施形態においては、正極及び負極の電極層12が、夫々圧電膜の11の一端部及び他端部に寄せて配置され、共通電極13と接触して導通している点については第1実施形態と同様であるが、本第2実施形態においては、共通電極13を設けるための貫通孔が設置されていない。
【0052】
本第2実施形態においては、各電極層12が寄せて配置された側の電極層12端部が圧電膜層11から露出している。即ち、複数の正電極層12は一端部側の表面が圧電膜層11に覆われておらず、複数の負電極層12は他端部側の表面が圧電膜層11に覆われていない。そして、同一極性の複数の電極層12において、圧電膜層11から露出した部分を覆うように、夫々導電性材料からなる共通電極13が形成され、正極及び負極の複数の電極層12は、同一極性同士で共通電極13と接触して導通している。この共通電極13は、例えば銅、銀若しくはカーボン等の導電性粒子を含有するペースト、又は半田である。
【0053】
本第2実施形態の圧電膜の積層体1は、第1実施形態の圧電膜の積層体1よりも構造が単純である。従って、上記圧電膜の積層体よりも更に構造を簡略化しながら、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
なお、本第2実施形態の圧電膜の積層体1においても、種々の変形が可能である。例えば、図10(a)に示すように、絶縁膜10aを正極又は負極のうちの一方の電極層12を寄せて配置した側の端部だけに設け、共通電極13を他方の複数の電極層12と接続するように構成して、下地板10を電極層12として使用してもよい。この場合、絶縁膜10aを設けた積層体1端部側の共通電極13が下地板10に接触することがない範囲において、絶縁膜10aを設けなくてもよい。
【0055】
また、第1実施形態と同様に、本第2実施形態の圧電膜の積層体も、バイモルフ構造としても有用である(図10(b))。この場合においても下地板10を電極層として使用してもよい(図10(c))。更に、本実施形態においても、電極層は、複数の圧電膜層の間に設けられていればよく、最表面の圧電膜層上に電極層が設けられていなくてもよい(図9(c))。
【0056】
次に、本第2実施形態の圧電膜の積層体の製造方法について説明する。図4及び図5は、本発明の第2実施形態に係る圧電膜の積層体の製造方法をその工程順に示す断面図であり、図5(a)は図4(c)の次の工程を示す。
【0057】
まず、表面に絶縁膜10aが形成された下地板10上に、スパッタリングによって電極層金属又は合金を膜状に蒸着する。そして、蒸着後の膜状金属又は合金上に、フォトレジストによって最下層の正電極及び負電極のパターニングを施し、電極として不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去して膜状の正極及び負極の電極層12を得る(図4(a))。
【0058】
次に、正極及び負極の電極層12上とこれらの電極層12間の絶縁膜10a上に、スパッタリングによって圧電材料を蒸着するか、又は圧電材料成分を含有するゾルゲル溶液を塗布した後、スピンコート処理を施して溶媒を蒸発させることによって、最下層の圧電膜層11を形成する(図4(b))。この最下層の圧電膜層11の形成により、正極及び負極の電極層12は、圧電膜層11を基準とした場合の圧電膜層11の一端部側及び他端部側に位置する。このとき、圧電膜層11が所定の領域に形成されるように、フォトレジストで圧電膜層11のパターニングを施し、不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去してもよい。
【0059】
次に、最下層の圧電膜層11上に、スパッタリングによって電極層金属又は合金を膜状に蒸着する。そして、蒸着後の膜状金属又は合金上に、フォトレジストによって負電極のパターニングを施す。このパターニングの位置は、1層目の負電極層12が配置された他端部側に合わせて、1層目の圧電膜層11上の他端部側に寄せる。パターニングに続いて、2層目の負電極層12として不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去して2層目の負電極層12を得る(図4(c))。
【0060】
その後、この2層目の負電極層12上、及び最下層の圧電膜層11において2層目の負電極層12が形成されていない領域に、スパッタリングによって圧電材料を蒸着するか、又は圧電材料成分を含有するゾルゲル溶液を塗布した後、スピンコート処理を施して溶媒を蒸発させることによって、2層目の圧電膜層11を形成する。本実施形態においては、2層目の負電極層12を寄せて配置した他端部側にて圧電膜層11から露出させる。即ち、2層目の圧電膜層11を1層目の圧電膜層11よりも小さく形成する。このとき、圧電膜層11が所定の領域に形成されるように、フォトレジストで圧電膜層11のパターニングを施し、不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去してもよい。続いて、2層目の圧電膜層11上に、スパッタリングによって電極層金属又は合金を膜状に蒸着した後、フォトレジストによって2層目の正電極をパターニングし、2層目の正電極層12として不要な部分をエッチング除去後、レジストを除去する。なお、このときのパターニング位置は、1層目の正電極層12が配置された一端部側に合わせて、2層目の圧電膜層11上の一端部側に寄せる。
【0061】
続いて、2層目の正電極層12を寄せて配置した一端部側にて圧電膜層11から露出させる。即ち、3層目の圧電膜層11を2層目の圧電膜層11よりも小さく形成する。以降、同様に、3層目の負電極層12、4層目の圧電膜層11、3層目の正電極層12、5層目の圧電膜層11のように、圧電膜層11と電極層12とを交互に、且つ電極層12については順次正極と負極とが交互になるように積層していく(図5(a))。
【0062】
そして、所望の層数の圧電膜層11及び電極層12の積層が終了すると、圧電膜の積層体1において、複数の正電極層12は一端部側に寄せた位置に配置され、且つその一端部側は圧電膜層11から露出している。また、複数の負電極層12は他端部側に寄せた位置に配置され、且つその他端部は圧電膜層11から露出している。
【0063】
次に、ディスペンサ又は印刷機を使用して、同一極性の電極層12同士が接続されるように、複数の正極及び負極の電極層12の露出した端部に、夫々導電性粒子を含有するペースト、又は溶融状態の半田を塗布する。続いて、導電性ペースト又は半田にリード線13bの導体部分を挿入し、導電性ペーストを焼成するか、又は半田を冷却して、共通電極13を形成する(図5(b))。これにより、正極及び負極の電極層12を、夫々同一極性同士で接続することができる。以上、本実施形態においては、最下層の圧電膜層11上に形成する電極層12を負極として説明してきたが、正電極と負電極との位置関係は互いに入れ替わってもよい。
【0064】
なお、本実施形態においても、電極層12はスパッタリング、レジストマスク及びエッチングによって形成しているが、例えば導体ペーストを所定の位置に印刷後、焼成することによって電極層12を形成してもよく、ペースト状の圧電材料を塗布若しくは印刷するか、又はグリーンシートに圧電材料を埋め込んだものを貼り付けた後、焼成して圧電膜層11を形成してもよい。
【0065】
本第2実施形態の圧電膜の積層体1の製造方法によれば、第1実施形態における貫通孔を設ける代わりに、同一極性の電極層12同士を圧電膜層11上の同一の端部側に寄せて配置し、各電極層12を寄せて配置した側の端部にて圧電膜層11から露出させ、この露出した部分で同一極性の電極層12同士を覆うように導電性材料によって共通電極13を設けるだけで、信頼性の高い圧電膜の積層体1を得ることができる。即ち、共通電極13を設けるにあたり、貫通孔を設ける必要がなく、加工コストを低減しながら生産性よく信頼性の高い圧電膜の積層体1を得ることができる。また、複数の圧電膜層11は、順次上方へと面積が小さくなるため、圧電膜の使用量を低減して、材料コストを低減することができる。
【0066】
以上、詳細に述べてきた本発明において、電極層の極性は夫々相対的に正又は負であることを意味する。即ち、正電極層又は負電極層のいずれかの電位が0であってもよく、電極層間の電位が相対的に高い側を正電極層とし、電位が低い側を負電極層としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:圧電膜の積層体、10:下地板、10a:絶縁膜、11:圧電膜層、12電極層、12a:バンプ、13:共通電極、13a:共通電極(導電材)、13b:リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地板上に複数の圧電膜層が積層され、前記圧電膜層の間又は前記圧電膜層の間及び最表面の圧電膜層上に夫々電極層が設けられた圧電膜の積層体において、
前記電極層のうちの正電極層が前記積層体の積層方向に垂直な方向の一端部側に寄せて配置され、
前記電極層のうちの負電極層が前記積層体の他端部側に寄せて配置され、
前記一端部側に第1の共通電極が形成され、この第1の共通電極が前記正電極層と接触して導通し、
前記他端部側に第2の共通電極が形成され、この第2の共通電極が前記負電極層と接触して導通し、
前記第1の共通電極に正電位を印加し、前記第2の共通電極に負電位を印加して、前記圧電膜層を歪ませるか、
又は前記第1の共通電極から正電位を検出し、前記第2の共通電極から負電位を検出して前記圧電膜層の歪みを検出することを特徴とする圧電膜の積層体。
【請求項2】
前記一端部側にて前記正電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第1の貫通孔が設けられてこの第1の貫通孔の内部に導電性材料が埋め込まれて前記第1の共通電極が形成され、
前記他端部側にて前記負電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第2の貫通孔が設けられてこの第2の貫通孔の内部に導電性材料が埋め込まれて前記第2の共通電極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電膜の積層体。
【請求項3】
前記正電極層が前記一端部にて前記圧電膜層から露出しており、
前記負電極層が前記他端部にて前記圧電膜層から露出しており、
前記第1及び第2の共通電極が前記正電極層の一端部側及び前記負電極層の他端部側を夫々覆う導電性材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電膜の積層体。
【請求項4】
前記下地板が前記正電極層又は負電極層として構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧電膜の積層体。
【請求項5】
下地板上に複数の圧電膜層を積層し、前記圧電膜層の間又は前記圧電膜層の間及び最表面の圧電膜層上に夫々電極層を設ける圧電膜の積層体の製造方法において、
前記電極層のうちの正電極層を前記積層体の積層方向に垂直な方向の一端部側に寄せて配置し、
前記電極層のうちの負電極層を前記積層体の他端部側に寄せて配置し、
前記一端部側にて前記正電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第1の貫通孔を設け、この第1の貫通孔の内部に導電性材料を埋め込んで第1の共通電極を形成し、
前記他端部側にて前記負電極層及び前記複数の圧電膜層を貫通するように第2の貫通孔を設け、この第2の貫通孔の内部に導電性材料を埋め込んで第2の共通電極を形成し、
前記第1及び第2の共通電極を夫々前記正電極層及び負電極層と接触させて導通させることを特徴とする圧電膜の積層体の製造方法。
【請求項6】
下地板上に複数の圧電膜層を積層し、前記圧電膜層の間又は前記圧電膜層の間及び最表面の圧電膜層上に夫々電極層を設ける圧電膜の積層体の製造方法において、
前記電極層のうちの正電極層を前記積層体の積層方向に垂直な方向の一端部側に寄せて配置し、前記一端部側にて前記圧電膜層から露出させ、
前記電極層のうちの負電極層を前記積層体の他端部側に寄せて配置し、前記他端部側にて前記圧電膜層から露出させ、
前記正電極層の一端部側及び前記負電極層の他端部側を夫々覆うように導電性材料からなる第1及び第2の共通電極を形成し、
前記第1及び第2の共通電極を夫々前記正電極層及び負電極層と接触させて導通させることを特徴とする圧電膜の積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−278178(P2010−278178A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128502(P2009−128502)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】