説明

地上波TV及びCATV共用受信機

【課題】CATV放送信号または地上波TV放送信号の受信時に、RF信号の歪みまたは受信性能の劣化を防ぐ。
【解決手段】チューナ部1は、多チャンネルのRF信号を入力するRF信号入力端子2と、RF信号入力端子2の後段に配置された、第1の利得制御信号により利得を固定あるいは制御するAGC回路4と、AGC回路4の後段に配置された広帯域増幅回路5と、広帯域増幅回路5の後段に配置された、第2の利得制御信号により利得を固定あるいは制御するAGC回路6と、AGC回路6から出力された信号から希望するチャンネルの信号を選択して取り出すミキサ回路7と、AGC回路4の利得を固定するかあるいは制御するかを選択し、同時にAGC回路6の利得を固定するかあるいは制御するかを選択することにより、AGC回路4及びAGC回路6を制御するAGC切り替え回路15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波TV及びCATV共用受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、放送のデジタル化が進行し、地上波TV放送やCATV放送等の複数の放送信号を1台で受信できる受信機の需要が増えてきている。
【0003】
これら放送信号は、空中伝播やケーブル伝送など送信媒体が異なるため、また、放送形態によってチャンネル数や信号強度など送信条件が異なるため、この放送信号を受信する受信機にも求められる性能が異なってくる。
【0004】
例えばCATV放送では、米国の仕様で54MHz〜864MHzの周波数帯域であるRF信号伝送帯域において134チャンネルもの多チャンネルの放送信号が、−64dBm〜−34dBmのほぼ均一である信号強度で伝送され、信号レンジは、30dBである。従って、CATV放送信号を受信する受信機には、多チャンネル受信に対応するために、歪みが小さいこと、即ち優れた歪み特性や、優れたインピーダンス整合性等の性能が要求されている。
【0005】
これに対して地上波TV放送では,米国の仕様で54MHz〜806MHzの周波数帯域であるRF信号伝送帯域において68チャンネルの放送信号となる。地上波TV放送のチャンネル数は、CATV放送の約半分となるが、伝送される信号強度が約−80dBm〜約−20dBmとなるので、信号レンジは60dBとなり、CATVの2倍になる。従って、地上波TV放送信号を受信する受信機には、低雑音性能や広いダイナミックレンジ性能が求められる。これらの性能は、受信機が備えるチューナ部の性能にてほぼ決まる。前記チューナ部は、多数の放送チャンネルのうち希望するチャンネルを選択して取り出すものである。
【0006】
次にCATV受信に求められる低歪み特性について説明する。
【0007】
チューナ部に用いられる増幅回路やミキサ回路は、非線形素子が用いられるため振幅歪が発生し、相互変調妨害や高調波妨害の要因となる。特に相互変調妨害は、多くの信号が入力される場合、広帯域増幅器や広帯域ミキサ回路において大きな問題になることが多い。例として54MHzから864MHzまでの放送信号受信帯域を有するCATV放送の場合を考える。
【0008】
例えば、放送信号受信帯域内に周波数が100MHz及び150MHzである2つの放送信号が存在する場合には、
100[MHz]+150[MHz]=250[MHz]
2×100[MHz]+150[MHz]=350[MHz]
2×150[MHz]−100[MHz]=200[MHz]
等の多くの相互変調歪みが発生する。これらの相互変調歪みは、信号数が増えればより多く発生する。また、信号数が増えることにより、同じ周波数に発生して重なる2つ以上の相互変調歪みの数がより多くなる。この2つ以上の相互変調歪みは、その発生の元となる放送信号の周波数と放送信号の高調波の周波数との組み合わせがそれぞれ異なっている。このようにして生じた相互変調歪みにより、相互変調歪みと同じ周波数の放送信号の受信が妨害される。
【0009】
また、図8は、ある増幅回路の入力信号レベル対出力信号レベルの特性の例を表したグラフである。この図からわかるように、2次相互変調歪みは、入力信号レベルが高いほど大きくなることがわかる。なお、2次相互変調歪みの周波数は、増幅回路に入力される2つの放送信号の周波数の和あるいは差の周波数である。
【0010】
次に、受信機の受信感度などの受信特性に影響する雑音指数について説明する。
【0011】
ある回路ブロックが縦続接続された例において、最初のブロックの利得をG1、雑音指数をNF1、またその後に接続されたブロックの利得をG2、雑音指数をNF2とすると、トータルの雑音指数NFtotalは下式にて表される。
NFtotal=NF1+(NF2−1)/G1
上式からわかるように、初段の雑音指数(NF1)の値が小さく、また初段の利得(G1)が大きいほうがトータルの雑音指数NFtotalは小さくなる。トータルの雑音指数NFtotalが小さい方が受信機の雑音特性は良くなる。
【0012】
以上の説明からわかるように、歪み特性を良くするためには入力信号レベルを下げた方が良い。また、雑音特性を良くするためには、初段のチューナの雑音指数をできるだけ小さくし、かつ利得をできるだけ高くする必要がある。
【0013】
次に図9に示す従来の一般的な地上波TV放送受信用チューナ101の動作を説明する。
【0014】
RF信号入力端子102に入力された多数のチャンネル信号は、受信帯域近辺のチャンネル信号を通過させるバンドパスフィルタ103を通り、帯域外信号を除去された後、AGC回路104に入力される。AGCはAuto Gain Controlの略であり、自動利得制御を表す。AGC回路104は、AGC制御信号入力端子105から入力されるAGC制御信号に基づき、入力されるチャンネル信号レベルの大小に関わらず常に一定のチューナ出力レベルが得られるように利得制御を行い、その後、再度バンドパスフィルタ106で帯域外信号を除去した後、後段のミキサ回路107に入力される。ミキサ回路107に入力された信号は、局部発振回路108にて発生された、受信周波数に応じた局部発振信号とミキシングされて周波数がIF周波数であるIF信号に周波数変換される。IF信号に変換された信号は、バンドパスフィルタ109およびIF増幅回路110を介してチューナ出力端子111より出力される。一般に局部発振回路108の発振周波数制御にはデジタル制御が容易で周波数安定性の高いPLL回路112から構成される周波数シンセサイザが用いられることが多い。PLL回路112が発振周波数制御のために用いる周波数設定データは、データバス113を介してマイクロコンピュータ114より伝送される。
【0015】
またCATV放送受信用チューナにおいては、一般に、優れたインピーダンス整合性を有し、かつ歪み特性の優れたPINアッテネータ回路をAGC回路として用い、その後段に、広帯域に渡って平坦な周波数特性をもつ広帯域増幅回路であるRF信号増幅回路を配置する構成がとられる。
【0016】
次に、図10に、CATV放送受信機能を有し、かつ更なる低雑音性能が要求される、従来の地上波デジタルTV放送受信用チューナ115を示す。地上波デジタルTV放送受信用チューナ115においては、まず、PINアッテネータ回路により構成されるAGC回路116が配置され、その後段に、広帯域増幅回路であるRF信号増幅回路117及びAGC回路118が配置にされる。その他の構成は、図9に示す地上波TV放送受信用チューナ101と同一である。この場合、RF信号は、PINアッテネータ回路により構成されるAGC回路116とAGC回路118とによる2つのAGC回路により利得制御される。従来技術では、この2つのAGC回路は、AGC制御信号入力端子119から入力される同一のAGC制御信号に基づき同時に制御されていた。
【0017】
図11は、従来の受信機によるCATV放送受信時の相互変調妨害特性を示した周波数スペクトラムである。44.5MHzの周波数帯域に大きな相互変調妨害成分が存在することが分かる。
【0018】
例えば、特許文献1では、受信チャンネル以外のチャンネルでもケ−ブルのインピ−ダンスと整合し、また、アンテナ入力端子からの局部発振信号の漏洩が少なく、さらに、NFを良好にするテレビジョン信号受信用チューナが開示されている。また、特許文献2では、受信チャンネルや受信電波事情に左右されず、安定した良好な受信品位を得ることができる自動利得制御回路及び自動利得制御回路を有する受信機が開示されている。
【特許文献1】特開平10−276109号公報(平成10年10月13日公開)
【特許文献2】特開2001−102947号公報(平成13年4月13日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図10に示す従来の地上波デジタルTV放送受信用チューナ115においては、次のような問題点があった。
【0020】
図10の地上波デジタルTV放送受信用チューナ115においては、2つのAGC回路は常に同時に動作するため、この2つのAGC回路で減衰されるRF信号のトータルの減衰量は、RF信号増幅回路117の前段のAGC回路116による減衰量とRF信号増幅回路の後段のAGC回路118による減衰量とに振り分けられる。これにより、優れた歪み特性が必要なCATV放送を受信する場合、RF信号増幅回路117の前段のAGC回路116による信号減衰が不十分となり、増幅されたRF信号が歪むという問題点がある。
【0021】
また、地上波TV放送の受信においては、入力信号レベルの低い場合にもRF信号増幅回路117の前段のAGC回路116が動作し、チューナ115のトータルの雑音指数NFtotalが大きくなるため、チューナの受信性能が劣化するという問題がある。
【0022】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、CATV放送信号または地上波TV放送信号の受信時に、RF信号の歪みまたは受信性能の劣化が起こらない地上波TV及びCATV共用受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の地上波TV及びCATV共用受信機は、多チャンネルのRF信号を入力するRF信号入力端子と、前記RF信号入力端子の後段に配置された、第1の利得制御信号により利得を固定あるいは制御する第1の利得制御手段と、前記第1の利得制御手段の後段に配置されたRF信号増幅器と、前記RF信号増幅器の後段に配置された、第2の利得制御信号により利得を固定あるいは制御する第2の利得制御手段と、前記第2の利得制御手段から出力された信号から希望するチャンネルの信号を選択して取り出す選局回路と、前記第1の利得制御手段の利得を固定するかあるいは制御するかを選択し、同時に前記第2の利得制御手段の利得を固定するかあるいは制御するかを選択することにより、前記第1の利得制御手段及び第2の利得制御手段の利得を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
前記発明によれば、受信信号がCATV放送の場合と地上波TV放送の場合とで、RF信号増幅器前段の第1の利得制御手段とRF信号増幅器後段の第2の利得制御手段とのいずれか一方の利得制御手段を固定利得状態に固定し、もう一方の利得制御手段にて利得制御を行う構成としている。
【0025】
このような構成にすると、CATV放送受信においては優れた歪み特性を有し、地上波TV放送受信時においては低雑音特性を有する、ノイズやビートの少ない良好な受信性能を持つ、優れた地上波TV及びCATV共用受信機が実現できる。
【0026】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記第1の利得制御手段と前記第2の利得制御手段の内のいずれか一方の利得制御手段の利得を固定し、もう一方の利得制御手段の利得を制御してもよい。
【0027】
これにより、地上波TV放送受信時は前記第1の利得制御手段の利得を固定し、前記第2の利得制御手段の利得を制御することにより、地上波TV及びCATV共用受信機全体としての雑音指数を低下できるので、雑音特性を良くすることが出来る。また、CATV放送受信時は前記第2の利得制御手段の利得を固定し、前記第1の利得制御手段の利得を制御することにより、前記RF信号増幅器の出力信号が歪む事を防ぐので、歪み特性を良くすることが出来る。
【0028】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記多チャンネルのRF信号がケーブルにて送信されるCATV放送信号と、前記多チャンネルのRF信号が電波にて送信される地上波TV放送信号の2種類の放送信号を受信してもよい。
【0029】
これにより、1台の受信機でCATV放送信号及び地上波TV放送信号の両方が受信可能となる。
【0030】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記CATV放送信号を受信する場合、前記第2の利得制御手段の利得を固定とし、前記第1の利得制御手段の利得を制御してもよい。
【0031】
これにより、前記RF信号増幅器の出力信号が歪みを小さくし、歪み特性を良くすることが出来る。
【0032】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記地上波TV放送信号を受信する場合、前記第1の利得制御手段の利得を固定とし、前記第2の利得制御手段の利得を制御してもよい。
【0033】
これにより、地上波TV及びCATV共用受信機全体としての雑音指数を低下できるので、雑音特性を良くすることが出来る。
【0034】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、固定された第1の利得制御手段の利得または固定された第2の利得制御手段の利得は、入力される信号の減衰量が最小となる利得である最大利得であってもよい。
【0035】
これにより、信号の減衰を極力防ぐことが出来るので、雑音の影響を最小限に抑えることが出来る。
【0036】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記選局回路による前記希望するチャンネルの信号の選択及び取り出しはデジタルデータを用いて行われ、前記デジタルデータを伝送する制御バスラインを設けた地上波TV及びCATV共用受信機において、前記第1の利得制御手段の利得を固定させるかあるいは変化させるかを選択し、同時に前記第2の利得制御手段の利得を固定させるかあるいは変化させるかを選択することを、前記制御バスラインを介して伝送されるデジタルデータにて制御してもよい。
【0037】
これにより、機械的なスイッチを設ける必要がなくなり、前記第1及び第2の利得制御手段を電気的に制御することが出来る。
【0038】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記伝送されるデジタルデータは、第1の利得制御手段の利得を第1の固定利得に固定させるデジタルデータと、第2の利得制御手段の利得を第2の固定利得に固定させるデジタルデータとを含んでもよい。
【0039】
これにより、前記第1の利得制御手段と前記第2の利得制御手段との利得を制御するデジタルデータが等しく、前記第2の利得制御手段の利得が高すぎることにより、前記地上波TV及びCATV共用受信機全体の利得が高すぎて増幅信号に歪みが生じる場合に、前記第1の利得制御手段と前記第2の利得制御手段との利得を異なる固定利得に固定させ、前記第2の利得制御手段の利得を、第1の固定利得より低い第2の固定利得に固定させることにより、増幅信号の歪みを小さく出来る。
【0040】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記第1の利得制御手段は、順方向の電流を可変することにより高周波抵抗が変化する特性を有する第1〜第3のPINダイオードと、前記第1の利得制御信号が入力されることにより前記第1〜第3のPINダイオードに流す電流を制御する第1の電流制御端子とを有し、前記第1の利得制御信号である、前記第1の電流制御端子に印加する電圧を変化させることにより、直列に接続された第1〜第3のPINダイオードの高周波抵抗を変化させ、利得を変化させるPINアッテネータ回路で構成されてもよい。
【0041】
これにより、前記第1の利得制御手段は、前記電流制御端子に印加する電圧が、信号の減衰量が最小となるような電圧である時に前記第1の利得制御手段の利得が最大となり、前記電流制御端子に印加する電圧を下げるときに利得が低下するような特性が得られる。
【0042】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記第2の利得制御手段は、デュアルゲートFETと第2の電流制御端子とを備え、前記デュアルゲートFETの第1のゲートは抵抗を介して接地され、前記第2の電流制御端子から抵抗を介して前記デュアルゲートFETの第2のゲートに入力する前記第2の利得制御信号である制御信号電圧の制御にて利得を変化させるデュアルゲートFET回路で構成されてもよい。
【0043】
これにより、前記第2の利得制御手段は、前記電流制御端子に印加する電圧を増加させると利得は上がり、逆に前記電流制御端子に印加する電圧を下げると利得が下がる特性が得られる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の地上波TV及びCATV共用受信機は、以上のように多チャンネルのRF信号を入力するRF信号入力端子と、前記RF信号入力端子の後段に配置された、第1の利得制御信号により利得を変化させる第1の利得制御手段と、前記第1の利得制御手段の後段に配置されたRF信号増幅器と、前記RF信号増幅器の後段に配置された、第2の利得制御信号により利得を変化させる第2の利得制御手段と、前記第2の利得制御手段から出力された信号から希望する信号を選択して取り出す選局回路と、前記第1の利得制御手段及び第2の利得制御手段の利得を、利得固定あるいは利得制御動作に選択制御する制御手段を備えているものである。
【0045】
それゆえ、CATV放送信号または地上波TV放送信号の受信時に、RF信号の歪みまたは受信性能の劣化が起こらない地上波TV及びCATV共用受信機を提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0047】
図1に本発明による広帯域多チャンネル信号受信機におけるチューナ部1を示す。チューナ部1は、RF信号入力端子2、バンドパスフィルタ3、AGC回路4、広帯域増幅回路5、AGC回路6、ミキサ回路7、バンドパスフィルタ8、増幅器9、チューナ出力端子10、AGC検波回路11、局部発振回路12、PLL回路13、マイクロコンピュータ14、AGC切り替え回路15、利得固定信号生成回路16、デコーダ17及びデータバス18を備えている。AGC切り替え回路15は、切り替えスイッチSW0及び切り替えスイッチSW1を有している。
【0048】
RF信号入力端子2に入力された多チャンネルのRF信号は、バンドパスフィルタ3、AGC回路4を介して広帯域増幅回路5に入力されて更にAGC回路6を通って、ミキサ回路7に入力される。ミキサ回路7では局部発振回路12にて発振された信号と混合されIF周波数に周波数変換される、即ちAGC回路6から出力された信号から希望する信号を選択して取り出す。
【0049】
周波数変換された信号は、バンドパスフィルタ8と増幅器9を介してチューナ出力端子10より出力されるとともに、その信号レベルの大きさを判断し、そのレベルが適切な信号レベルになるよう利得制御するための信号、即ち利得制御信号を生成するAGC検波回路11に伝送される。
【0050】
AGC検波回路11から出力された利得制御信号は、AGC切り替え回路15に伝送される。AGC切り替え回路15は、利得固定信号生成回路16により生成された利得固定信号をAGC回路4に伝送し、AGC検波回路11から出力された利得制御信号をAGC回路6に伝送するか、あるいは前記利得固定信号をAGC回路6に伝送し、AGC検波回路11から出力された利得制御信号をAGC回路4に伝送するかを切り替える機能を有している。前記利得固定信号は、AGC回路4またはAGC回路6の利得を予め設定された固定利得に設定する信号である、また、局部発振回路12から発振される信号の周波数は、PLL回路13にて制御され、その周波数設定データは、データバス18を介してマイクロコンピュータ14より伝送される。AGC切り替え回路15からAGC回路4に伝送される信号は第1の利得制御信号であり、前記利得固定信号あるいは前記利得制御信号のいずれか一方が用いられる。同様に、AGC切り替え回路15からAGC回路6に伝送される信号は第2の利得制御信号であり、前記利得固定信号あるいは前記利得制御信号のいずれか一方が用いられる。
【0051】
データバス18を介してマイクロコンピュータ14から伝送されるデータは、図2のデータ例に示すように、PLL周波数設定データD〜Dとスイッチ切り替え制御データSW及びSWとが合成されたデータとして出力される。この合成データは、データバス18の1系統のバスラインを介してデコーダ17に入力される。この合成データは、デコーダ17にてPLL周波数設定データD〜Dとスイッチ切り替え制御データSW及びSWとに分離される。PLL周波数設定データD〜Dは、PLL回路13に伝送され、PLL回路13は、局部発振回路12が発振する信号の周波数の設定を行う。また、スイッチ切り替え制御データSW及びSWは、AGC切り替え回路15に伝送され、切り替えスイッチSW0あるいはSW1の切り替えを制御するためのデータとして用いられる。
【0052】
今、仮にスイッチ切り替え制御データSW及びSWを図3に示すように2bitのデータとし、データ“0”の時にAGC回路の利得は固定となり、また、データ“1”の時にAGC回路はAGC動作すると仮定する。
【0053】
ここで地上波TV放送を受信したい場合は、雑音特性をできるだけ良くするため、広帯域多チャンネル信号受信機のチューナ部1の初段、即ち広帯域増幅回路5の前段に位置するAGC回路4の利得をできるだけ上げる、即ち入力される信号の減衰量をできるだけ少なくする必要がある。従って、AGC回路4は、入力される信号の減衰量が最小となる利得、即ち最大利得に固定した方がよい。このためスイッチ切り替え制御データSWのデータを“0”としてAGC回路4を最大利得に固定する。そして、チューナ部1に入力されるRF信号のAGCは、AGC回路6のみで制御するため、スイッチ切り替え制御データSWのデータを“1”としてAGC動作させる。
【0054】
次にCATV放送を受信したい場合は、歪み特性を良くするために、広帯域増幅回路5に入力されるRF信号のレベルを適切なレベルまで下げる必要がある。そこでスイッチ切り替え制御データSWのデータを“1”として、広帯域増幅回路5の前段に位置するAGC回路4の利得制御を行う。これにより、広帯域増幅回路5に入力されるRF信号のレベルを十分下げ、広帯域増幅回路5から出力される増幅信号に歪みが発生しないようにする。一方、AGC回路6が固定利得になるように、スイッチ切り替え制御データSWのデータを“0”とする。
【0055】
ここでAGC回路6の固定利得、即ちスイッチ切り替え制御データSWを“0”にすることにより固定されるAGC回路6の利得は、一般的に最大利得の方が雑音に有利であり設定も行いやすいが、必ずしも最大利得にする必要はなく、システム的に最適な利得とすることができる。また本例ではAGC回路4及びAGC回路6の利得が、1つのデータ“0”にて固定利得に制御する例を示しているが、それぞれ別々のデータにより固定利得に制御することもできる。
【0056】
例えば、スイッチ切り替え制御データSWあるいはSWが“0”である場合に第1の固定利得に制御され、“1”である場合に第2の固定利得に制御され、“2”である場合にAGC動作をするとする。
【0057】
スイッチ切り替え制御データSW及びSWを共に“0”にして、後述するPINアッテネータ回路19を使用したAGC回路4とAGC回路6との利得制御電圧を共に4Vとすることにより、AGC回路4及びAGC回路6を第1の固定利得に制御する。これによりAGC回路4によるロスを最小とし、AGC回路6を最大利得30dBとすると、バンドパスフィルタ3によるロスが無い場合はミキサ回路7までの利得が30dBと高くなりすぎて、AGC回路6から出力される増幅信号に歪みが生じる場合がある。
【0058】
そこでスイッチ切り替え制御データSWを“0”に、スイッチ切り替え制御データSWを“1”として、AGC回路4の制御電圧を4V、AGC回路6の制御電圧を2Vとすることにより、AGC回路4を第1の固定利得に制御し、AGC回路6を第2の固定利得に制御する。これにより、AGC回路6の利得を20dBとすると、上記増幅信号の歪みを小さくすることが出来る。
【0059】
また2bitのスイッチ切り替え制御データSW及びSWの内、たとえば“00”を設定すれば、AGC回路4及びAGC回路6の両方が固定利得となり、チューナ性能を測定する時等のテストモードとして利用できる。また、“11”とすれば、従来と同様にAGC回路4及びAGC回路6の両方に同時にAGC動作をさせることも出来る。
【0060】
また、本例ではスイッチ切り替え制御データSW及びSWを図3に示すように2bitのデータとしているが、テストモードや従来のAGC動作が不要な場合は、1bitのデータでもスイッチ切り替え制御が可能である。
【0061】
図4に本実施形態において図1のAGC回路4に用いられるPINアッテネータ回路19の回路図を示す。バンドパスフィルタ3からPINアッテネータ回路19のAGC回路入力端子22に入力された信号は、PINアッテネータ回路19のAGC回路出力端子23から広帯域増幅回路5に出力される。図4のダイオードD1〜ダイオードD3は、図5に示すように順方向電流Ifを変えることにより高周波抵抗rdを可変できるPINダイオードである。
【0062】
PINアッテネータ回路19では、コンデンサC1の一端はAGC回路入力端子22に接続され、コンデンサC1の他端はダイオードD1のアノードに接続されている。コンデンサC2の一端はダイオードD1のアノードに接続され、コンデンサC2の他端はダイオードD2のアノードに接続されている。コンデンサC3の一端はダイオードD2のカソードに接続され、コンデンサC3の他端はGNDに接続されている。そして、コンデンサC4の一端はダイオードD1のカソードに接続され、コンデンサC4の他端はAGC回路出力端子23に接続されている。
【0063】
PINアッテネータ回路19をAGC回路として用いるには、最初にAGC切り替え回路15からの信号が入力されるAGC制御信号入力端子20に、AGC制御信号であるAGC電圧v1を印加する。今、AGC制御信号入力端子20に、AGC回路であるPINアッテネータ回路19による信号の減衰量が最小となる、即ち最大利得となるようなAGC電圧v1、即ち最大AGC電圧を印加すると、電流は高域遮断用コイルL1を介し、ダイオードD1、抵抗R3の経路にて流れる。ここで接点Aの電圧v2は、電源端子21に印加される電源電圧vdを抵抗R1及び抵抗R2にて分圧した電圧であり、最大AGC電圧を印加した場合の接点Bの電圧v3よりも低い電圧に設定しておく。
【0064】
従って、最大AGC電圧が印加されている状態においては、ダイオードD2及びダイオードD3が接点Bの電圧v3にて逆バイアスされ、これらのダイオードに電流が流れないので、PINアッテネータ回路19の入出力特性、即ちAGC回路入力端子22から入力されAGC回路出力端子23から出力される信号の減衰特性は、ダイオードD1における高周波抵抗による減衰量にのみ依存する。
【0065】
次にAGC電圧v1を下げていくと、ダイオードD1を流れる電流は減り、ダイオードD1における高周波抵抗が大きくなることにより、ダイオードD1における高周波抵抗による減衰量は大きくなり、利得は低下する。また、AGC電圧v1を下げることにより接点Bにおける電圧v3が下がり、v2>v3となるとダイオードD2及びD3は順バイアスとなるので電流が流れるようになり、ダイオードD1を流れる電流がさらに減少するので減衰量がさらに大きくなり、利得はさらに低下する。電圧v3が下がるほどダイオードD2及びダイオードD3を流れる電流は増えるので、ダイオードD1を流れる電流が減少して減衰量が大きくなり、利得が低下する。
【0066】
以上のように、AGC回路として用いられるPINアッテネータ回路19は、AGC電圧v1が最大AGC電圧である時に最大利得であり、AGC電圧v1を下げることにより利得が低下するようなAGC特性が得られる。
【0067】
図6は本実施形態において図1のAGC回路6に用いられるAGC回路24の回路図である。広帯域増幅回路5からAGC回路24のAGC回路入力端子25に入力された信号は、AGC回路24のAGC回路出力端子27からミキサ回路7に出力される。
【0068】
AGC回路24は、デュアルゲートFETであるQ1を備えて構成されるデュアルゲートFET回路であり、AGC回路入力端子25から入力された信号は、AGC回路出力端子27から出力される。バイアス電圧入力端子28にはバイアス電源が接続され、デュアルゲートFETであるQ1を駆動するために必要なバイアス電圧が印加される。AGC切り替え回路15からの信号が入力されるAGC制御信号入力端子26から抵抗R4を介してゲートG2に加えるAGC制御信号となるAGC電圧を増加させると利得は上がり、逆に前記AGC電圧を下げると利得が下がる特性を有している。
【0069】
AGC回路24が有する抵抗については、抵抗R5の一端はデュアルゲートFETQ1のゲートG1に接続され、抵抗R5の他端はバイアス電圧入力端子28に接続されている。抵抗R6の一端はデュアルゲートFETQ1のゲートG1に接続され、抵抗R6の他端はGNDに接続されている。抵抗R7の一端はデュアルゲートFETQ1のソースSに接続され、抵抗R7の他端はGNDに接続されている。
【0070】
AGC回路24が有するコンデンサについては、コンデンサC5の一端はAGC回路入力端子25に接続され、コンデンサC5の他端はデュアルゲートFETQ1のゲートG1に接続されている。コンデンサC6の一端はデュアルゲートFETQ1のゲートG2に接続され、コンデンサC6の他端はGNDに接続されている。コンデンサC7の一端はデュアルゲートFETQ1のソースSに接続され、コンデンサC7の他端はGNDに接続されている。コンデンサC8の一端はバイアス電圧入力端子28に接続され、コンデンサC8の他端はGNDに接続されている。コンデンサC9の一端はデュアルゲートFETQ1のドレインDに接続され、コンデンサC9の他端はAGC回路出力端子27に接続されている。
【0071】
AGC回路24が有する高域遮断用コイルについては、高域遮断用コイルL2の一端はデュアルゲートFETQ1のドレインDに接続され、高域遮断用コイルL2の他端はバイアス電圧入力端子28に接続されている。
【0072】
従って、AGC回路4をPINアッテネータ回路19とし、AGC回路6をAGC回路24とすると、CATV放送受信時にはAGC回路4を動作させることにより、広帯域増幅回路5により増幅されるRF信号が歪むこと無く優れた歪み特性や優れたインピーダンス整合性を得ることができる。また、地上波TV放送受信時にはAGC回路6を動作させることにより、AGC回路4及び広帯域増幅回路5を通過後の信号に含まれる雑音を低減できるので、チューナの受信性能が劣化することなく低雑音で広いAGC制御範囲を得ることができる。
【0073】
図7に本発明の地上波TV及びCATV共用受信機によるCATV放送受信時の相互変調妨害特性を示した周波数スペクトラム示す。44.5MHzの周波数帯域に発生する相互変調妨害成分が図11に示す従来の受信機で受信した場合と比べて改善されていることが分かる。
【0074】
以上のように、本発明の地上波TV及びCATV共用受信機は、多チャンネルのRF信号を入力するRF信号入力端子2と、RF信号入力端子2の後段に配置された、第1の利得制御信号により利得を固定あるいは制御するAGC回路4と、AGC回路4の後段に配置された広帯域増幅回路5と、広帯域増幅回路5の後段に配置された、第2の利得制御信号により利得を固定あるいは制御するAGC回路6と、AGC回路6から出力された信号から希望するチャンネルの信号を選択して取り出すミキサ回路7と、AGC回路4の利得を固定するかあるいは制御するかを選択し、同時にAGC回路6の利得を固定するかあるいは制御するかを選択することにより、AGC回路4及びAGC回路6を制御するAGC切り替え回路15とを備えることを特徴とする。
【0075】
前記発明によれば、受信信号がCATV放送の場合と地上波TV放送の場合とで、広帯域増幅回路5前段のAGC回路4と広帯域増幅回路5後段のAGC回路6とのいずれか一方のAGC回路を固定利得状態に固定し、もう一方のAGC回路にて利得制御を行う構成としている。
【0076】
このような構成にすると、CATV放送受信においては優れた歪み特性を有し、地上波TV放送受信時においては低雑音特性を有する、ノイズやビートの少ない良好な受信性能を持つ、優れた地上波TV及びCATV共用受信機が実現できる。
【0077】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、AGC回路4とAGC回路6の内のいずれか一方のAGC回路の利得を固定し、もう一方のAGC回路の利得を制御してもよい。
【0078】
これにより、地上波TV放送受信時はAGC回路4の利得を固定し、AGC回路6の利得を制御することにより、地上波TV及びCATV共用受信機全体としての雑音指数を低下できるので、雑音特性を良くすることが出来る。また、CATV放送受信時はAGC回路6の利得を固定し、AGC回路4の利得を制御することにより、広帯域増幅回路5の出力信号が歪む事を防ぐので、歪み特性を良くすることが出来る。
【0079】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記多チャンネルのRF信号がケーブルにて送信されるCATV放送信号と、前記多チャンネルのRF信号が電波にて送信される地上波TV放送信号の2種類の放送信号を受信してもよい。
【0080】
これにより、1台の受信機でCATV放送信号及び地上波TV放送信号の両方が受信可能となる。
【0081】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記CATV放送信号を受信する場合、AGC回路6の利得を固定とし、AGC回路4の利得を制御してもよい。
【0082】
これにより、広帯域増幅回路5の出力信号が歪みを小さくし、歪み特性を良くすることが出来る。
【0083】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記地上波TV放送信号を受信する場合、AGC回路4の利得を固定とし、AGC回路6の利得を制御してもよい。
【0084】
これにより、地上波TV及びCATV共用受信機全体としての雑音指数を低下できるので、雑音特性を良くすることが出来る。
【0085】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、固定されたAGC回路4の利得または固定されたAGC回路6の利得は、入力される信号の減衰量が最小となる利得である最大利得であってもよい。
【0086】
これにより、信号の減衰を極力防ぐことが出来るので、雑音の影響を最小限に抑えることが出来る。
【0087】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、ミキサ回路7による前記希望するチャンネルの信号の選択及び取り出しはデジタルデータを用いて行われ、前記デジタルデータを伝送するデータバス18を設けた地上波TV及びCATV共用受信機において、AGC回路4の利得を固定するかあるいは制御するかを選択し、同時にAGC回路6の利得を固定するかあるいは制御するかを選択することを、データバス18を介して伝送されるデジタルデータにて制御してもよい。
【0088】
これにより、機械的なスイッチを設ける必要がなくなり、AGC回路4及びAGC回路6を電気的に制御することが出来る。
【0089】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、前記伝送されるデジタルデータは、AGC回路4の利得を第1の固定利得に固定させるデジタルデータと、AGC回路6の利得を第2の固定利得に固定させるデジタルデータとを含んでもよい。
【0090】
これにより、AGC回路4とAGC回路6との利得を制御するデジタルデータが等しく、AGC回路6の利得が高すぎることにより、前記地上波TV及びCATV共用受信機全体の利得が高すぎて増幅信号に歪みが生じる場合に、AGC回路4とAGC回路6との利得を異なる固定利得に固定させ、AGC回路6の利得を、第1の固定利得より低い第2の固定利得に固定させることにより、増幅信号の歪みを小さく出来る。
【0091】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、AGC回路4は、順方向電流Ifを可変することにより高周波抵抗rdが変化する特性を有するダイオードD1〜D3と、前記第1の利得制御信号が入力されることによりダイオードD1〜D3に流す電流を制御するAGC制御信号入力端子20とを有し、前記第1の利得制御信号である、AGC制御信号入力端子20に印加する電圧を変化させることにより、直列に接続されたダイオードD1〜D3の高周波抵抗rdを変化させ、利得を変化させるPINアッテネータ回路19で構成されてもよい。
【0092】
これにより、AGC回路4は、AGC制御信号入力端子20に印加する電圧が、信号の減衰量が最小となるような電圧である時にAGC回路4の利得が最大となり、AGC制御信号入力端子20に印加する電圧を下げるときに利得が低下するような特性が得られる。
【0093】
前記地上波TV及びCATV共用受信機では、AGC回路6は、デュアルゲートFETQ1とAGC制御信号入力端子26とを備え、デュアルゲートFETQ1のゲートG1は抵抗R6を介して接地され、AGC制御信号入力端子26から抵抗R4を介してデュアルゲートFETQ1のゲートG2に入力する前記第2の利得制御信号である制御信号電圧の制御にて利得を変化させるデュアルゲートFET回路で構成されてもよい。
【0094】
これにより、AGC回路6は、AGC制御信号入力端子26に印加する電圧を増加させると利得は上がり、逆にAGC制御信号入力端子26に印加する電圧を下げると利得が下がる特性が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の地上波TV及びCATV共用受信機は、特に優れた歪み特性が要求されるCATV放送受信機能と広い入力ダイナミックレンジが要求される地上波TV放送受信機能とを1つのチューナにて共用し、CATV放送信号または地上波TV放送信号の受信時に、RF信号の歪みまたは受信性能の劣化が起こらないので、地上波TV放送及びCATV放送を受信可能なTVに好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】広帯域多チャンネル信号受信機におけるチューナ部のブロック図である。
【図2】本発明における制御データの例を示す図である。
【図3】本発明の広帯域多チャンネル信号受信機の各動作状態に対応するスイッチ切り替え制御データの設定例を示す図である。
【図4】PINアッテネータ回路の回路図である。
【図5】PINダイオードの特性を示すグラフである。
【図6】本発明のAGC回路の回路図である。
【図7】本発明の地上波TV及びCATV共用受信機によるCATV放送受信時の相互変調妨害特性を示した周波数スペクトラムである。
【図8】増幅回路の入力信号レベル対出力信号レベルの特性の例を表したグラフである。
【図9】従来の一般的な地上波TV放送受信用チューナのブロック図である。
【図10】CATV放送受信機能を有し、かつ更なる低雑音性能が要求される、従来の地上波デジタルTV放送受信用チューナのブロック図である。
【図11】従来の受信機によるCATV放送受信時の相互変調妨害特性を示した周波数スペクトラムである。
【符号の説明】
【0097】
1 チューナ部
2 RF信号入力端子
3、8 バンドパスフィルタ
4、6 AGC回路(第1の利得制御手段、第2の利得制御手段)
5 広帯域増幅回路(RF信号増幅器)
7 ミキサ回路(選局回路)
9 増幅器
10 チューナ出力端子
11 AGC検波回路
12 局部発振回路
13 PLL回路
14 マイクロコンピュータ
15 AGC切り替え回路(制御手段)
16 利得固定信号生成回路
17 デコーダ
18 データバス(制御バスライン)
19 PINアッテネータ回路
20、26 AGC制御信号入力端子(第1の電流制御端子、第2の電流制御端子)
21 電源端子
22、25 AGC回路入力端子
23、27 AGC回路出力端子
24 AGC回路
28 バイアス電圧入力端子
A、B 接点
C1〜C9 コンデンサ
D ドレイン
D1〜D3 ダイオード
〜D PLL周波数設定データ
G1、G2 ゲート
If 順方向電流
L1、L2 高域遮断用コイル
NFtotal 雑音指数
Q1 デュアルゲートFET
R1〜R7 抵抗
S ソース
SW0、SW1 スイッチ
SW、SW スイッチ切り替え制御データ
rd 高周波抵抗
v1 AGC電圧
v2、v3 電圧
vd 電源電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多チャンネルのRF信号を入力するRF信号入力端子と、
前記RF信号入力端子の後段に配置された、第1の利得制御信号により利得を固定あるいは制御する第1の利得制御手段と、
前記第1の利得制御手段の後段に配置されたRF信号増幅器と、
前記RF信号増幅器の後段に配置された、第2の利得制御信号により利得を固定あるいは制御する第2の利得制御手段と、
前記第2の利得制御手段から出力された信号から希望するチャンネルの信号を選択して取り出す選局回路と、
前記第1の利得制御手段の利得を固定するかあるいは制御するかを選択し、同時に前記第2の利得制御手段の利得を固定するかあるいは制御するかを選択することにより、前記第1の利得制御手段及び第2の利得制御手段の利得を制御する制御手段とを備えることを特徴とする地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項2】
前記第1の利得制御手段と前記第2の利得制御手段の内のいずれか一方の利得制御手段の利得を固定し、もう一方の利得制御手段の利得を制御することを特徴とする請求項1に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項3】
前記多チャンネルのRF信号がケーブルにて送信されるCATV放送信号と、前記多チャンネルのRF信号が電波にて送信される地上波TV放送信号の2種類の放送信号を受信することを特徴とする請求項2に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項4】
前記CATV放送信号を受信する場合、前記第2の利得制御手段の利得を固定とし、前記第1の利得制御手段の利得を制御することを特徴とする請求項3に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項5】
前記地上波TV放送信号を受信する場合、前記第1の利得制御手段の利得を固定とし、前記第2の利得制御手段の利得を制御することを特徴とする請求項3に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項6】
固定された前記第1の利得制御手段の利得または固定された前記第2の利得制御手段の利得は、入力される信号の減衰量が最小となる利得である最大利得であることを特徴とする請求項4または5に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項7】
前記選局回路による前記希望するチャンネルの信号の選択及び取り出しはデジタルデータを用いて行われ、前記デジタルデータを伝送する制御バスラインを設けた地上波TV及びCATV共用受信機において、
前記第1の利得制御手段の利得を固定させるかあるいは変化させるかを選択し、同時に前記第2の利得制御手段の利得を固定させるかあるいは変化させるかを選択することを、前記制御バスラインを介して伝送されるデジタルデータにて制御することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項8】
前記伝送されるデジタルデータは、第1の利得制御手段の利得を第1の固定利得に固定させるデジタルデータと、第2の利得制御手段の利得を第2の固定利得に固定させるデジタルデータとを含むことを特徴とする請求項7に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項9】
前記第1の利得制御手段は、順方向の電流を可変することにより高周波抵抗が変化する特性を有する第1〜第3のPINダイオードと、前記第1の利得制御信号が入力されることにより前記第1〜第3のPINダイオードに流す電流を制御する第1の電流制御端子とを有し、前記第1の利得制御信号である、前記第1の電流制御端子に印加する電圧を変化させることにより、直列に接続された第1〜第3のPINダイオードの高周波抵抗を変化させ、利得を変化させるPINアッテネータ回路で構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。
【請求項10】
前記第2の利得制御手段は、デュアルゲートFETと第2の電流制御端子とを備え、前記デュアルゲートFETの第1のゲートは抵抗を介して接地され、前記第2の電流制御端子から抵抗を介して前記デュアルゲートFETの第2のゲートに入力する前記第2の利得制御信号である制御信号電圧の制御にて利得を変化させるデュアルゲートFET回路で構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の地上波TV及びCATV共用受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−27463(P2009−27463A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188536(P2007−188536)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】