説明

地図データのデータ構造および地図画像生成装置

【課題】複数の施設における同じ高さの複数のフロアを含む地図画像を生成する。
【解決手段】 地図画像生成装置は、地図上の基準となる位置を特定の施設内の地図データ上に決定しこの位置が含まれるフロアを基準フロアとして設定する基準フロア設定部244と、所定の範囲内で、基準フロアが設定されている施設とは異なる施設のフロアであって基準フロアと同一階層のフロアを特定し周辺フロアとして設定する周辺フロア設定部245と、基準フロアおよび周辺フロアに対応するフロア表示用データに基づいて地図画像を生成する画像生成部246とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や地下街等の施設内の画像を含む地図画像を表示するための地図データのデータ構造および地図画像生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話等の携帯端末と、この携帯端末に対してデータを送受信する配信サーバとからなる歩行者用ナビゲーションシステムが利用されている。配信サーバは、地図画像生成装置であり、生成した地図画像のデータを携帯端末へ送信する。
【0003】
従来の歩行者用ナビゲーションシステムとしては、例えば、歩行者用の通路を表現するリンクおよびノードのデータを含むネットワークデータを用いて出発地から目的地に到るまでの推奨する経路を設定し、設定した経路に基づく地図画像を画面に表示して案内を行なうナビゲーション機能を有するものが広く用いられている。また、垂直方向に階層を有する建物内を案内するため、ネットワークデータのノードに階層がパラメータとして設定されており、この階層の情報を用いて経路を探索し、地図に案内経路を重ねた地図画像を生成して表示し案内する経路探索装置も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−240591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の経路探索装置は、異なる階層間も含めて経路探索を行なうことは可能となるものの、表示する地図画像は一つの階層のフロアに限定している。しかしながら、例えば、2つの建物が渡り廊下でつながっている状況で、一方の建物と他方の建物とではつながっているフロアの階層が異なっている場合に、つながっているフロアを両方とも含めた地図画像を表示したいという要望を解決するための手段は開示されていない。オフィスビル等の建物とマンション等の建物とでは、1階層当たりの高さが異なることが多く、上述した状況が生じることは少なくないと想定される。
【0006】
本発明は、複数の施設における同じ高さの複数のフロアを含む地図画像を生成する地図データのデータ構造および地図画像生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータが地図画像を生成するための地図データのデータ構造であって、高さ方向に階層の異なる複数のフロアを有する施設について各フロアの画像を表示するためのフロア表示用データを含み、前記フロア表示用データは、互いに隣接する施設同士のフロアについて相対的に同じ高度である同一階層を認識するための情報を含み、コンピュータが、地図上の基準となる位置を特定の前記施設内の地図データ上に決定し該位置が含まれるフロアを基準フロアとして設定する処理と、所定の範囲内で、前記基準フロアが設定されている施設とは異なる施設のフロアであって前記基準フロアと同一階層のフロアを特定し周辺フロアとして設定する処理と、前記基準フロアおよび前記周辺フロアに対応する前記フロア表示用データに基づいて地図画像を生成する処理とを実行することを特徴とする。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の地図データのデータ構造は、フロア表示用データおよびネットワークデータは、互いに隣接する施設同士のフロアについて相対的に同じ高度である同一階層を認識するための情報を含んでいる。このため、地図上の基準となる位置が含まれるフロアと、このフロアと同一階層で施設が異なるフロアとに対応するフロア表示用データを用いることにより、複数の施設における同じ高さの複数のフロアを含む地図画像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例の地図画像生成装置の細部の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例のナビゲーションシステムに利用される地図データのデータ構造を示す図である。
【図4】本実施例のナビゲーションシステムのフローチャートである。
【図5】本実施例のナビゲーションシステムのフローチャートである。
【図6】本実施例の施設のフロアの構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
【0011】
図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、携帯端末10およびこの携帯端末10と情報ネットワークを通して接続される地図画像生成装置20を備える。携帯端末10は、無線通信部11、現在位置検出部12、画像表示部13および装置本体を備える携帯電話であり、歩行者用ナビゲーション端末として利用される。地図画像生成装置20は、データ通信部23、入力部21、表示部22および計算機24を備える配信サーバである。そして、計算機24は、図2に示すように、地図データ記憶部241、パラメータ設定部242、経路設定部243、基準フロア設定部244、周辺フロア設定部245および画像生成部246を備えている。
【0012】
携帯端末10を構成する無線通信部11は、送信機、受信機およびアンテナからなるトランシーバである。また、現在位置検出部12は、GPS衛星からの電波に基づいて現在位置を検出するGPS受信器と、GPS衛星からの電波を受信しにくい地下街内等では現在位置を検出するために設置された無線局からの近距離の無線電波の受信に基づいて現在位置を求めて現在位置のデータを出力する近距離無線位置検出器とからなる。また、画像表示部13は、液晶ディスプレイ等であって画像表示面に通信メニュー画面や地図画像等の画像を表示するデバイスである。そして、装置本体は、専用の計算機を含む各ハードウェアを収納する筐体である。なお、本実施例の携帯端末10は、画像表示部13の表面がタッチパネルの機能を有しており、ユーザの指定により、目的地、表示したい地図のエリア、縮尺、施設のフロアおよびその階層等を指定することができる。
【0013】
地図画像生成装置20を構成するデータ通信部23は、光ファイバーによりインターネットWと接続する機能を備えており、インターネットWから無線通信を介して携帯端末10の無線部と接続される。また、地図データ記憶部241は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の外部記憶装置であり、地図データを記憶している。また、表示部22は、液晶ディスプレイ等であって画像表示面に画像を表示するデバイスである。また、入力部21は、キーボードやマウス等であってオペレータ等の指示内容を入力するデバイスである。そして、計算機24は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等からなる大型のコンピュータである。
【0014】
図2に示すように、地図データ記憶部241が記憶している地図データは、行政界図、道路図および施設図等を生成するためのポリラインやポリゴンのデータ等の地図表示用データと、歩行者用の通路の接続状態をノードおよびリンクで表現するネットワークデータとを含む地図データである。
【0015】
地図表示用データは、高さ方向に階層の異なる複数のフロアを有する施設について各フロアの画像を表示するためのフロア表示用データを有している。フロア表示用データは、互いに隣接する施設同士のフロアについて相対的に同じ高度である同一階層を認識するための情報を含んでいる。本実施例のフロア表示用データは、図3に示すように、施設ID、施設名称、フロアID、同一階層番号等をデータとして含んでいる。同一階層番号は、一部の狭域な範囲において統一する情報であり、異なる範囲同士においては、同一階層番号の付与状態が異なる場合もありうる。なお、広域な範囲、すなわち、施設同士が隣接しない施設同士においては、1つの基準に基づく同一階層番号をそれぞれに設定する。本実施例では、海抜を基準にして同一階層番号を付与することにしている。
【0016】
ネットワークデータは、通路同士を接続する点をノードとして規定し、2つのノード同士を結ぶ線をリンクとして規定し、これらノードおよびリンクの接続関係を規定している。ノードの情報には、ノードの座標の情報、接続しているリンクの情報、リンクを介して接続する他のノードの情報などが含まれている。リンクの情報には、両端のノードのID情報、リンク長の情報、通路の形状を現実に近いように表現するための形状補間点の座標の情報などが含まれている。
【0017】
そして、本発明においては、高さ方向に階層の異なる複数のフロアを有する施設について各フロアの通路網を表現したネットワークデータを有している。ネットワークデータは、地図上の一部の狭域な範囲における異なる複数の前記施設の前記フロアについて同じ高度である同一階層を認識するための情報を含んでいる。本実施例のネットワークデータは、図3に示すように、例えばノードの情報であるノードデータには、ノードID、接続リンクID、施設ID、施設名称、フロアID、同一階層番号等をデータとして含んでおり、リンクの情報であるリンクデータには、リンクID、接続ノードID、施設ID、施設名称、フロアID、同一階層番号等をデータとして含んでいる。ネットワークデータにおいても、広域な範囲、すなわち、施設同士が隣接しない施設同士においては、1つの基準に基づく同一階層番号をそれぞれに設定する。
【0018】
パラメータ設定部242は、携帯端末10の現在位置、携帯端末10側で指定した表示したい地図のエリア、縮尺、施設のフロアおよびその階層等を設定する機能と、携帯端末10の現在位置、携帯端末10側で指定した出発地および目的地等のデータを経路設定部243へ出力する機能とを有する。
【0019】
経路設定部243は、パラメータ設定部242が出力した出発地および目的地のデータに基づいて、地図データ記憶部241に記憶されている地図データを参照し地図上に出発地点および目的地点を決定するとともに、ネットワークデータを用いて出発地点から目的地点に到る経路を算出して推奨する経路を設定する機能を有する。
【0020】
基準フロア設定部244は、地図上の基準となる位置を特定の施設内の地図データ上に地点として決定し、この位置が含まれるフロアを基準フロアとして設定する機能を有する。
【0021】
周辺フロア設定部245は、パラメータ設定部242が設定した表示したい地図のエリアもしくは基準フロア設定部244が決定した地図上の基準となる位置に基づく所定の範囲内で、基準フロア設定部244が設定した基準フロアが設定されている施設とは異なる施設のフロアであって基準フロアと同一階層のフロアを特定し周辺フロアとして設定する機能を有する。
【0022】
画像生成部246は、基準フロアおよび周辺フロアに対応するフロア表示用データに基づいて地図画像を生成し、生成した地図画像のデータをデータ通信部23へ出力する。
【0023】
本発明の地図データのデータ構造は、フロア表示用データおよびネットワークデータは、互いに隣接する施設同士のフロアについて相対的に同じ高度である同一階層を認識するための情報を含んでいる。このため、本発明の地図データのデータ構造を用いた地図画像生成装置20によれば、地図上の基準となる位置が含まれるフロアと、このフロアと同一階層で施設が異なるフロアとに対応するフロア表示用データを用いることにより、複数の施設における同じ高さの複数のフロアを含む地図画像を生成することが可能となる。
【0024】
本実施例のナビゲーションシステム1の処理について図4、図5および図6を用いて説明する。本実施例は、現在位置から目的地へ至る経路を設定し、携帯端末の現在位置の移動にともなって、そのたびに、地図画像を表示するナビゲーションシステムの例である。本実施例の経路は、図6に示すように、地上の歩行者通路から地下の地下街へと進行する経路とした。
【0025】
まず、携帯端末10側でユーザがタッチパネルを操作することにより目的地を指定する。携帯端末10は、現在位置検出部12により定期的に現在位置を検出しており、ユーザの指定を受け付けると、指定された目的地のデータと現在位置のデータとを無線通信部11によりインターネットWを介して配信サーバへ送信する処理を実行する(ステップS101)。なお、携帯端末10は、この後も現在位置を定期的に検出して、そのたびに、最新の現在位置のデータを配信サーバへ送信する。
【0026】
ステップS101が終了すると、配信サーバ側で、データ通信部23が目的地のデータと現在位置のデータを受信して地図画像生成装置20のパラメータ設定部242へ出力する処理を実行する。続けて、地図画像生成装置20において、計算機24は、パラメータ設定部242により、出発地としての現在位置のデータを目的地のデータとともに経路設定部243へ出力する処理を実行する。続けて、計算機24は、経路設定部243により、地図データ記憶部241に記憶されている地図データを参照して、地図上に出発地点および目的地点を決定するとともに、ネットワークデータを用いて出発地点から目的地点に到る経路を算出して推奨する経路を設定する処理を実行する(ステップS102)。設定した経路に含まれるノードデータおよびリンクデータは、情報リストとしてまとめて計算機24内の内部記憶装置に記憶される。なお、ノードデータの施設ID、フロアIDおよび同一階層番号もこの情報リストに含まれる。また、配信サーバは、携帯端末10の最新の現在位置のデータをデータ通信部23により定期的に受信してパラメータ設定部242へ出力する。図6に示す本実施例は、施設AのフロアF2のノードN1から施設Bへと進行し、施設B内でノードN3からノードN4へと下層のフロアF2に進行し、さらに施設B内でノードN4からノードN7へと下層のフロアF1に進行し、ノードN7から施設AのフロアF1のノードF1へと進行する経路を、推奨する経路として設定した。
【0027】
ステップS102が終了すると、計算機24は、パラメータ設定部242により、最新の現在位置のデータを基準フロア設定部244へと出力し、続けて、基準フロア設定部244により、地図データ記憶部241に記憶されている地図表示用データを参照して、地図上の基準となる位置を特定の施設内の地図データ上に地点として決定し、この位置の同一階層番号を特定する処理を実行する(ステップS103)。
【0028】
ステップS103が終了すると、計算機24は、基準フロア設定部244により、特定した同一階層番号に同じ施設内において複数のフロアが存在するか否かを判定する処理を実行する(ステップS104)。計算機24は、ステップS104において、特定した同一階層番号に同じ施設内において複数のフロアが存在しないと判定した場合は(ステップS104:No)、基準フロア設定部244により、地図データ記憶部241に記憶されている地図表示用データを参照して、特定した同一階層番号に対応するフロアを基準フロアとして設定する処理を実行する(ステップS105)。図6に示す本実施例において、施設BのノードN4からノードN7へと進行した場合、フロアF1が基準フロアとなり、フロアF1の同一階層番号は(−2)である。ステップS105が終了すると、計算機24は、ステップS107へと移行する。
【0029】
計算機24は、ステップS104において、特定した同一階層番号に同じ施設内において複数のフロアが存在すると判定した場合は(ステップS104:Yes)、基準フロア設定部244により、情報リストに含まれるネットワークデータのフロアIDの中から同一階層番号に対応するフロアIDを抽出することにより基準フロアを設定する処理を実行する(ステップS106)。ステップS106が終了すると、計算機24は、ステップS107へと移行する。
【0030】
計算機24は、ステップS105またはステップS106が終了すると、基準フロア設定部244により、設定した基準フロアのデータを周辺フロア設定部245へ出力する。続けて、計算機24は、周辺フロア設定部245により、地図データ記憶部241に記憶されている地図表示用データを参照して、基準フロア設定部244が決定した地図上の基準となる位置に基づいて所定の範囲を設定し、この所定の範囲内の施設で、基準フロア設定部244が設定した基準フロアが設定されている施設とは異なる施設のフロアであって基準フロアと同一階層のフロアを特定し周辺フロアとして設定する処理を実行する(ステップS107)。設定する所定の範囲は、隣接する施設については含むものとし、さらに縮尺ごとに範囲の面積等の設定基準を予め設定しているものとする。図6に示す本実施例において、基準フロアが施設BのフロアF1であって同一階層番号が(−2)である場合は、施設AのフロアF1が周辺フロアとして設定される。なお、図6に示す本実施例において、基準フロアが施設BのフロアF2である場合は、所定の範囲に含まれる施設Aには施設BのフロアF2と同じ同一階層番号(−1)のフロアが存在しないので、周辺フロアは設定されずにステップS107の処理が終了する。
【0031】
計算機24は、ステップS107が終了すると、画像生成部246により、地図データ記憶部241に記憶されている地図表示用データを参照して、基準フロアおよび周辺フロアに対応するフロア表示用データに基づいて地図上の基準となる位置が中心となる地図画像を生成し、生成した地図画像のデータをデータ通信部23へ出力し、データ通信部23により、生成した地図画像のデータを携帯端末10へ送信する処理を実行する(ステップS108)。なお、経路設定後に最初に生成する地図画像はデフォルトの表示縮尺を予め設定しているものとする。ステップS108が終了すると、携帯端末10側では、配信サーバから受信した地図画像のデータに基づいて、画像表示部13の画像表示面に地図画像を表示する処理を実行する(ステップS109)。一方、計算機24側では、ステップS108が終了すると、現在位置データの待ち状態へと移行する(ステップS110)。
【0032】
計算機24は、現在位置データの待ち状態において、配信サーバが携帯端末10の最新の現在位置のデータを受信すると、計算機24は、基準フロア設定部244により、携帯端末10が定期的に送信する携帯端末10の最新の現在位置のデータに基づいて、地図上の基準となる位置が変更されているか否かを判断する処理を実行する(ステップS111)。計算機24は、ステップS111において、地図上の基準となる位置が変更されていると判定した場合は(ステップS111:Yes)、ステップS112へと移行する。
【0033】
計算機24は、ステップS111において、地図上の基準となる位置が変更されていないと判定した場合は(ステップS111:No)、ステップS110の現在位置データの待ち状態へ戻る。
【0034】
計算機24は、ステップS111が終了すると、地図上の基準となる位置が目的地であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS112)。計算機24は、ステップS112において、地図上の基準となる位置が目的地ではないと判定した場合は(ステップS112:No)、ステップS103以降の処理を再度実行する。そして、計算機24は、ステップS112において、地図上の基準となる位置が目的地であると判定した場合は(ステップS112:Yes)、地図画像を生成する処理を終了し、ナビゲーションシステム1の処理が終了する。
<その他>
【0035】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施例においては、予め進行する予定の経路を設定しているが、例えば、経路を設定せずに現在位置に応じた地図画像を生成することも可能である。このような例において、ステップS106で、特定した同一階層番号に同じ施設内において複数のフロアが存在する場合には、遷移方向(例:地上→地下)に合わせて表示するフロアを選択すればよい。例えば、現在いる施設が地下街であって現在位置の軌跡が地上から下層のフロアへと進んでいるとすれば、同一階層番号においてより下層のフロアを選択するというものである。
【0036】
また、本実施例においては、現在位置に応じて地図画像を更新するようにしているが、現在位置以外の条件により地図画像を更新することも可能である。例えば、携帯端末10においてユーザがタッチパネルを操作することにより表示している地図画像のスクロールの要求を受け付け、パラメータ設定部242により、スクロールの操作に応じて表示したい地図のエリアを設定し、基準フロア設定部244により、設定したエリアに基づいて設定部により、地図データ記憶部241に記憶されている地図表示用データを参照して、地図上の基準となる位置を特定の施設内の地図データ上に地点として決定することも可能である。すなわち、地図画像のスクロールに応じて基準エリアおよび周辺エリアを設定することにより複数の施設における同じ高さの複数のフロアを含む地図画像を生成することにしてもよいということである。
【0037】
また、本実施例においては、地図画像生成装置20は携帯端末10と情報ネットワークを通して接続するものとしているが、携帯端末10と有線で接続する形態であってもよく、また、携帯端末10の内部に搭載されている形態であってもよい。
【0038】
また、本実施例においては、基準フロアはフロア表示用データに含まれる同一階層番号で特定しているが、ネットワークデータに含まれる同一階層番号で特定してもよい。この場合は、基準となる位置をネットワーク上のノードまたはリンクに決定し、基準フロアを設定し、この基準となる位置が含まれる所定の範囲内で、基準フロアのノードまたはリンクと同一階層番号の周辺フロアを設定する。また、この場合は、基準となる位置と同じ同一階層番号のノードまたはリンクでつながっているフロアのみを周辺フロアとすることもできる。こうすれば、基準フロアから周辺フロアへの経路において、途中で基準フロアとは異なる同一階層番号のフロアを経由しなければならないような周辺フロアは設定されなくなり、ユーザにとって適切な地図画像が表示されることになる。
【0039】
また、本実施例においては、基準フロアおよび周辺フロアに対応するフロア表示用データに基づいて地図画像を生成するとしているが、これに加えて、基準フロアと同じ同一階層番号のノードまたはリンクを表示するようにしてもよい。こうすれば、基準フロアから周辺フロアへの経路において、途中で基準フロアとは異なる同一階層番号のフロアを経由しなければならないような周辺フロアをユーザが選別することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
23・・・データ通信部
24・・・計算機
241・・・地図データ記憶部
242・・・パラメータ設定部
243・・・経路設定部
244・・・基準フロア設定部
245・・・周辺フロア設定部
246・・・画像生成部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが地図画像を生成するための地図データのデータ構造であって、
高さ方向に階層の異なる複数のフロアを有する施設について各フロアの画像を表示するためのフロア表示用データを含み、
前記フロア表示用データは、互いに隣接する施設同士のフロアについて相対的に同じ高度である同一階層を認識するための情報を含み、
コンピュータが、地図上の基準となる位置を特定の前記施設内の地図データ上に決定し該位置が含まれるフロアを基準フロアとして設定する処理と、
所定の範囲内で、前記基準フロアが設定されている施設とは異なる施設のフロアであって前記基準フロアと同一階層のフロアを特定し周辺フロアとして設定する処理と、
前記基準フロアおよび前記周辺フロアに対応する前記フロア表示用データに基づいて地図画像を生成する処理と
を実行するための地図データのデータ構造。
【請求項2】
請求項1に記載の地図データのデータ構造であって、
各フロアの通路網を表現するネットワークデータであって、前記同一階層を認識するための情報を含むネットワークデータを含み、
コンピュータが、前記基準フロアとして、地図上の基準となる位置を前記ネットワークデータ上に決定して該位置が含まれるフロアを設定し、前記周辺フロアとして、前記基準フロアと同一階層のネットワークデータが連続してつながるフロアを設定することを特徴とする地図データのデータ構造。
【請求項3】
高さ方向に階層の異なる複数のフロアを有する施設について各フロアの画像を表示するためのフロア表示用データであって、互いに隣接する施設同士のフロアについて相対的に同じ高度である同一階層を認識するための情報を含む前記フロア表示用データを含む地図データを用いて地図画像を生成する地図画像生成装置であって、
地図上の基準となる位置を特定の前記施設内の地図データ上に決定し該位置が含まれるフロアを基準フロアとして設定する基準フロア設定部と、
所定の範囲内で、前記基準フロアが設定されている施設とは異なる施設のフロアであって前記基準フロアと同一階層のフロアを特定し周辺フロアとして設定する周辺フロア設定部と、
前記基準フロアおよび前記周辺フロアに対応する前記フロア表示用データに基づいて地図画像を生成する画像生成部と
を備える地図画像生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図画像生成装置であって、
前記地図データは、各フロアの通路網を表現するネットワークデータであって、前記同一階層を認識するための情報を含むネットワークデータを含み、
前記基準フロア設定部は、地図上の基準となる位置を前記ネットワークデータ上に決定して該位置が含まれるフロアを前記基準フロアとして設定し、
前記周辺フロア設定部は、前記基準フロアと同一階層のネットワークデータが連続してつながるフロアを前記周辺フロアとして設定することを特徴とする地図画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98372(P2012−98372A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244086(P2010−244086)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】