説明

地震警報装置

【課題】地震の予測到達時間に応じて異なる態様の警報音声を出力するようにすることで、人間に適切な避難行動を誘発することができるようにする。
【解決手段】地震警報装置10は、気象庁サーバ12から専用回線14を通して緊急地震速報を受けるサーバ16を含み、このサーバ16は、緊急地震速報に基づいて、契約している家屋端末20が設置されている場所での震度と予測到達時間とを計算し、それらの情報を含む地震情報をネットワーク18を介して家屋端末20に送信する。家屋端末20は地震情報を解読し、予測到達時間の長短に応じて、異なる音声ガイド(地震警報音声)を家屋の天井に設置したスピーカから出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は地震警報装置に関し、特にたとえば、人間が居住する家屋に設置され、気象庁またはその関連機関(業務支援センタ)から緊急地震速報を受けて、当該家屋に居住する人間に対して音声によって警報を発する、地震警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の地震警報装置一例が、非特許文献1や非特許文献2で知られている。
【非特許文献1】http://www.eewrk.org/eewrk_members-hp/eewrk-037/index.html
【非特許文献2】http://www.jjjnet.com/namazu_demo.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非特許文献1および非特許文献2の地震警報装置では、いずれも音声で警報を出すものの、適切な避難行動を行わせるための工夫がない。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、地震警報装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、人間に対して適切な避難行動を誘発できる、地震警報装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、予測震度と予測到達時間とを含む地震情報を受信する受信手段、地震情報に含まれる予測到達時間に応じて異なる態様の音声データを出力する音声データ出力手段、および音声データに従って音声を出力するスピーカを備える、地震警報装置である。
【0008】
第1の発明では、地震警報装置(10:実施例において相当する部分を例示する参照符号。以下、同様。)は、人間が居住する家屋内に設置される家庭端末(20)を含み、この家庭端末に設けられた受信手段(24,28)が、地震情報を受信する。ただし、「家屋」には戸建住宅、集合住宅の他、ビルや他の任意の種類の建物を含むものであるが、ここでは、端末は全て、便宜上、「家屋端末」と呼ぶ。この家屋端末において、たとえばコンピュータがその地震情報に含まれる予測到達時間を解読する(24,S3)。そのコンピュータの一部の機能であってよい音声データ出力手段(24,S11,S13,S17,S19)は予測到達時間の長短に応じて、異なる態様の音声データを出力する。その音声データに従って、上記家屋内のたとえば各階の天井に設置されたスピーカから地震警報音声を出力する。
【0009】
第1の発明によれば、予測到達時間の長短に応じて異なる態様の地震警報音声がスピーカから出力されるので、人間はその音声の態様の違いで予測到達時間の長短を即座に知ることができる。したがって、より的確な避難行動を誘発することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、音声データ出力手段は、予測到達時間が第1所定時間より長いとき、警告音に続いて地震発生を報知する発生報知音声を配列した第1の音声データを出力し、予測到達時間が第1所定時間から第2所定時間までのとき、警告音に続いて予測到達時間音声および震度音声を配列した第2の音声データを出力し、予測到達時間が第2所定時間より短いとき、警告音に続いて予測到達時間音声、震度音声およびカウントダウン音声を配列した第3の音声データを出力する、地震警報装置である。
【0011】
第2の発明では、予測到達時間がたとえば60秒のような第1所定時間より長いときには、たとえば、「チャンリンチャンリン」という警報音に続いて「地震が発生しました」という地震発生報知音声を含む第1の音声データを出力し、予測到達時間が第1所定時間から第2所定時間、たとえば60秒から20秒までのとき、上記のような警告音に続いて予測到達時間音声(たとえば、「60秒後」、「55秒後」、…、「20秒後」のような)および震度音声(たとえば、「震度6の地震がきます」、「震度5の地震がきます」、…のような)を配列した第2の音声データを出力し、予測到達時間が第2所定時間より短いとき、人間に対して震度を強く意識してもらうように、警告音に続いて予測到達時間音声、震度音声およびカウントダウン音声(たとえば、「10」、「9」、…、「1」のような)を配列した第3の音声データを出力する。第2の発明によれば、地震警報音声によってより的確な避難行動を誘発することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明に従属し、第2の音声データは、第2所定時間より短い第3所定時間になるまで一定秒数毎に予測到達時間を更新して繰り返し出力され、残り時間が第3所定時間より短くなったとき震度音声に後続するカウントダウン音声を含むように出力される、地震警報装置である。
【0013】
第3の発明では、予測到達時間がたとえば60‐20秒の場合、一定秒数、たとえば5秒ごとに時間を更新して、第2の音声を出力するが、残り時間がたとえば10秒のような第3所定時間より短くなると、上記と同様のカウントダウン音声を出力させる。第3の発明によれば、残時間が明確に意識され得る。
【0014】
第4の発明は、第2または第3の発明に従属し、第1の音声データは、残り時間が第1所定時間より短くなるまで、繰り返し出力される、地震警報装置である。
【0015】
第4の発明では、予測到達時間がたとえば60秒以上の場合、残り時間が60秒より短くなるまで上記第1の音声データを繰り返す。第4の発明によれば、残時間が明確に意識され得る。
【0016】
第5の発明は、第1ないし第4の発明のいずれかに従属し、受信手段が地震情報を受信したとき少なくとも1つの照明を強制的に点灯する照明強制点灯手段をさらに備える、地震警報装置である。
【0017】
第5の発明では、たとえばコンピュータ(24)のような受信手段が地震情報を受信したときたとえば地震発生信号を出力し、その地震発生信号に応じて、たとえばタイマリレーのような照明強制点灯手段(38,38a1‐38an)によって、照明(421-42n)を強制的に点灯する。したがって、特に夜間などの避難行動を容易にすることができる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明に従属し、照明強制点灯手段は、少なくとも1つの照明を強制的に一定時間だけ点灯する、地震警報装置である。
【0019】
第6の発明では、一定時間、たとえば3分間照明が点灯される。この一定時間の点灯は、避難行動には十分な長さであるし、避難後には確実に消灯できる。
【0020】
第7の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかに従属し、気象庁またはその関連機関から緊急地震速報を受け、緊急地震速報が示す震源地情報に基づいて受信手段が設置されている場所へ地震主要動が到達するまでの残り時間の予測値を予測到達時間として計算し、緊急地震速報が示す震源地情報および震度情報に基づいて受信手段が設置されている場所において予測される震度を震度と含む地震情報を送信する送信手段をさらに備える、地震警報装置である。
【0021】
第7の発明では、たとえばサーバ(16)が気象庁サーバ(12)からの緊急地震速報を受け、その緊急地震速報が示す震源地情報(たとえば緯度経度のデータ)に基づいて、たとえば気象庁から提供されるその震源地から受信手段が設置されている場所への間の地盤性状(地震動の伝播特性)を考慮して、所定の計算方法で、受信手段が設置されている場所(家屋)に地震主要動(S波)が到達するまでの残り時間の予測値を予測到達時間として計算する。同時に、緊急地震速報が示す震源地情報および震度情報、さらには上記地盤性状などに基づいて、所定の計算方法で、受信手段が設置されている場所において予測される震度を計算する。そして、このようにして計算した予測到達時間情報と震度情報と含む地震情報がそのサーバ(16)のような送信手段から送信される。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、新規な地震警報装置が得られる。特に、地震情報に含まれる予測到達時間に応じて異なる態様の警報音声を出力するようにするので、人間の適切な避難行動を誘発することができる。
【0023】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
この発明の一実施例の地震警報装置10は、たとえば気象庁またはその関連機関(たとえば気象業務支援センター)が設置するサーバ(便宜上「気象庁サーバ」と呼ぶ。)12を含み、この気象庁サーバ12から専用回線14を介して、システムサーバ(以後、単に、「サーバ」と呼ぶことがある。)16が、緊急地震速報(http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/)を受け取る。緊急地震速報(英語名称:Earthquake Early Warning、略称:EEW)とは、簡単に説明すると、日本の気象庁が中心となって提供している地震情報であり、主要動の到達前に速報を行う早期地震警戒システムに分類される。この緊急地震速報は、少なくとも、地震発生時刻、震源地、地震の大きさ(マグニチュード)を情報として含み、震源地は典型的には緯度経度のデータと地下深さなどを含む。
【0025】
サーバ16はこのような緊急地震速報を受けたとき、同じく気象庁またはその関連機関などが提示する、地盤性状(地盤の種類など:これによって地震の伝播(到達)時間や大きさ(震度)などが決まる)や計算方法を用いて、このサーバ16と契約している家屋端末20が設置されている場所での予測震度や予測到達時間を緊急地震速報に基づいて計算する。そして、その計算した予測震度および予測到達時間をそれぞれ震度情報および予測到達時間情報として含む地震情報を、たとえばインタネットのようなネットワーク18を介して、当該家屋端末20に送信する。ただし、緊急地震速報は、大きさがあまり大きくない地震についても送られてくるが、家屋端末20の設置場所で所定の震度(たとえば震度3)を超えると予測したときだけ、サーバ16からその家屋端末20に送信する。
【0026】
家屋端末20は、たとえば、図2に示すように、ハウジング22に内蔵されたコンピュータ24を含む。このコンピュータ24にはメモリ26が設けられ、このメモリ26には後述の図5に示すプログラムや図3および図4に示す音声データが予め設定(記憶)されている。
【0027】
上記サーバ16からの地震情報は、ルータ28を経て、コンピュータ24に入力される。受信した地震情報は、メモリ26内に一時記憶される。
【0028】
コンピュータ24は、ルータ28を経て地震情報を受信したとき、この実施例では照明制御用信号として利用する地震発生信号を発生するとともに、ハウジング22に設けたLED30を一定時間たとえば20秒間、点滅させる。このLED30の点滅によって、その家屋(図示せず)に居住する人が所定震度以上の地震の到来を知ることができる。
【0029】
コンピュータ24はまた、地震情報を受信したとき、音声ガイド(警報音声)を出力するための、詳しくは図3および図4に示す音声データを出力する。この音声ガイドの基本形は、(1)「チャンリン チャンリン」(地震信号固有の警報音)、(2)「XX秒後に」、(3)「震度○の地震がきます」、(4)「チャンリン」、(5)「5 4 3 2 1」(時間カウント)を含む。ただし、(2)は音声ガイド開始時における、地震到達までの残り時間(予測到達時間)を示し、(3)は予測される予測震度を示す。(4)は(5)の時間カウントまでの時間調整のための数秒の報知音であり、「無音」のこともあるし、時間調整が必要なければこの(4)を飛ばして即座に(5)の時間カウントに進むこともある。時間カウントは、残り秒数をカウントダウンするもので、10‐1秒の範囲だけである。
【0030】
図3には、地震到達までの時間が比較的長い場合、第1所定時間(実施例では65秒)以上のときの音声ガイドとして使う第1の音声データと、第1所定時間より短くかつ第2所定時間(実施例では20秒)までの場合に使用する第2の音声データとを図解する。
【0031】
予測到達時間がたとえば65秒以上の場合の第1の音声データは、一例として、「チャンリン チャンリン 地震が発生しました」である。予測到達時間が65秒以上ということは、地震到達までにかなり長い時間があるということなので、この場合には、取り敢えず、ユーザには地震の発生のみを知らせることにした。ただし、この第1の音声は残り時間が60秒になるまで、繰り返し出力される。そして、60秒になると、次の第2の音声データを出力する。
【0032】
たとえば、予測到達時間が、第1所定時間から第2所定時間まで、たとえば64秒‐20秒の場合、第2の音声データは、基本的に、「チャンリン チャンリン XX秒後 震度○の地震がきます」となる。ただし、この第2の音声データは、残り時間が20秒になるまで、5秒ごとに時間を更新した上で繰り返し出力される。たとえば、予測到達時間が60秒の場合、第2の音声データは、「チャンリン チャンリン 60秒後 震度○の地震がきます」の配列となり、5秒後には、「チャンリン チャンリン 55秒後 震度○の地震がきます」の配列となる。そして、ついに20秒になると、第2の音声データは、「チャンリン チャンリン 20秒後 震度○の地震がきます…10 9 8 7 6 5 4 3 2 1」の配列となり、最後にカウントダウン音声を付加した配列とされる。
【0033】
予測到達時間が第2所定時間、たとえば20秒より短い場合、つまり、19秒‐1秒の間では、第3の音声データは、基本的に、「チャンリン チャンリン XX秒後 震度○の地震がきます … 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1」となる。第3の音声データは、第2の音声データのように時間更新しながら繰り返すというものではなく、予測到達時間に応じてどれか1つが出力され、その1つの音声データに従って音声出力し、残り時間が10秒を切ったら、カウントダウン音声を出力するようにしている。ただし、警報音からカウントダウン音声を出力するまでに時間が必要なので、その時間をたとえば4秒とした場合、予測到達時間が15秒のときには、第3の音声データは、「チャンリン チャンリン 15秒後 震度○の地震がきます」の直後から「10 9 8 7 6 5 4 3 2 1」のカウントダウンが開始される。
【0034】
そして、予測到達時間が14秒以下の場合、第3の音声データに含まれる「地震がきます」の音声は、冗長になるので、省略する。たとえば、14秒のとき、「チャンリン チャンリン 14秒後 震度○」の直後からカウントダウン音声「10 9 8 7 6 5 4 3 2 1」が始まるような配列となる。そして、予測到達時間が5秒の場合、第3の音声データは、「チャンリン チャンリン 5秒後 震度○ 1」の配列となる。予測到達時間が4秒以下のときの第3の音声データは、カウントダウン音声を含まない。
【0035】
なお、第2の音声データや第3の音声データでは、カウントダウン音声を出力するようにしているが、カウントダウン音声は、時間の経過を人間に強く意識させる意義があり、避難行動の迅速性を言外に要求する結果となるので、地震警報音声として有効である。
【0036】
図2に戻って、メモリ26に記憶されているこのような音声データは、コンピュータ24によって選択的に読み出され、音声出力ボード32に出力される。したがって、家屋(図示せず)の適宜の場所、たとえば各階の天井に設置された適宜数のスピーカ341−34nから、そのような音声データに従った地震警報音声(音声ガイド)が出力される。
【0037】
なお、図2に示す送受信機36は、たとえばこの家屋端末20からメールを送信したり、メールを受信したりするために利用されるが、この発明にはあまり関係がない。
【0038】
次に図5に示すフロー図を参照して、図1および図2に示す実施例の動作について説明する。ただし、図5に示す動作は、コンピュータ24がサーバ16から地震情報を受信したときに開始される。そして、最初のステップS1では、コンピュータ24は、メモリ26の適宜の領域に形成したカウンタ(図示せず)によって時間カウントを開始させるとともに、地震発生信号を出力する。
【0039】
続いて、ステップS3において、コンピュータ24はサーバ16から受け取った地震情報を解読し、予測到達時間および予測震度をメモリに一時的に記憶しておく。
【0040】
つぎのステップS5でコンピュータ24は、解読してメモリしておいた地震情報を参照して、予測到達時間は65秒以上かどうか判断する。このステップS5で“NO”を判断したとき、続くステップS7で、コンピュータ24は、予測到達時間は64‐20秒かどうか判断する。このステップS7で“NO”を判断したとき、つまり、地震情報に含まれる予測到達時間が19秒以下の場合、コンピュータ24は、ステップS9において、先に説明した図4に示す第3の音声データのうち、その予測到達時間に具体的に対応する1の第3の音声データを選択してメモリ26から読み出し、音声出力ボード32に出力する。したがって、スピーカ341−34nから、その第3の音声データに従った音声ガイド(地震警報音声)が出力される。
【0041】
先のステップS5で“YES”が判断されたとき、つまり、予測到達時間が第1所定時間、65秒以上であるので、コンピュータ24は、ステップS11において、先に説明した図3に示す第1の音声データをメモリ26から読み出し、音声出力ボード32に出力する。したがって、スピーカ341−34nから、その第1の音声データに従った音声ガイド(地震警報音声)が出力される。そして、ステップS15で、コンピュータ24は、ステップS1で起動したタイマ(時間カウント)を見て、残り時間が第2所定時間、たとえば60秒になったかどうか判断する。“NO”を判断する限り、ステップS11が繰り返される。
【0042】
ステップS13で“YES”を判断したとき、つまりステップS11で第1の音声データに従った音声ガイドをスピーカ341−34nから出力して、残り時間が60秒になったら、次のステップS15で、コンピュータ24は、図3に示す第2の音声データを読み出し、音声出力ボード32に出力する。したがって、スピーカ341−34nから、その第2の音声データに従った音声ガイド(地震警報音声)が出力される。
【0043】
なお、ステップS13から進んでステップS15を実行する場合に、最初に出力される第2の音声データは、「チャンリン チャンリン 60秒後 震度○の地震がきます」となる。しかしながら、このステップS15がステップS7での“YES”の判断を経て実行されるときには、そのときの地震情報に含まれる予測到達時間に具体的に対応する1の第2の音声データが読み出されることになる。
【0044】
ただし、いずれの場合も、5秒経過ごとに時間情報を更新しながら、このステップS17を繰り返し実行する。そして、残り時間が第3所定時間たとえば20秒になると、第2の音声データは、「チャンリン チャンリン 20秒後 震度○の地震がきます…10 9 8 7 6 5 4 3 2 1」のように、最後にカウントダウン音声を付加した音声データとなる。
【0045】
次に、図6を参照して、この実施例のもう1つの特徴である、照明強制点灯手段について説明する。
【0046】
図5の最初のステップS1で、地震発生信号をコンピュータ24が出力するが、この地震発生信号は、図6のタイマリレー38にトリガ信号として与えられる。したがって、その地震発生信号が出力された時点からこのタイマリレー38が作動し、所定時間(実施例では3分間)だけ、そのリレー接点381‐38nをオンする。したがって、AC100Vが各接点381‐38nを通して照明器具421‐42nに与えられることになり、これらの照明器具421‐42nは点灯駆動される。そして、3分経過すると接点381‐38nがオフとなり、照明器具421‐42nは消灯される。
【0047】
なお、これら照明器具421‐42nは、避難行動経路に設けた特別のまたは専用の照明器具であってよいが、日常的に使用している照明器具であってもよい。
【0048】
照明器具421‐42nが日常使用している照明器具の場合には、図7に示すようなそれを操作するためのスイッチが設けられる。図7の照明器具421は、手動スイッチ44で点灯/消灯制御可能である。つまり、スイッチ40をオンすると、AC100Vがそのスイッチ44を通して照明器具421に印加されるので、照明器具421が点灯する。スイッチ44をオフすると、AC100Vの供給が断たれ、照明器具421は消灯する。
【0049】
他方で、もしリレー接点381がオンとなれば、スイッチ44のオン/オフに拘わらず、このリレー接点381を通してAC100Vが照明器具421に印加されるので、照明器具421が点灯する。3分間経過してリレー接点381がオフすると、AC100Vの供給が断たれ、照明器具421は消灯する。
【0050】
つまり、照明器具421は日常的にスイッチ44で制御できるとともに、地震が発生したときには、強制点灯手段によってスイッチ44の状態の如何に拘わらず、照明器具421を強制的に一定時間だけ点灯することかできる。
【0051】
なお、図7に示すスイッチ46は、たとえば階段の上下、廊下の両端など2箇所で、独立して同じ照明器具42nをオン/オフできる3路スイッチである。接点46aおよび46bが閉回路を作れば照明器具42nは点灯するが、その状態での接点46aおよび46bのどちらかを反対側に倒したときには閉回路がなくなり、照明器具42nは消灯する。
【0052】
しかしながら、タイマリレー38の接点38nがオンしている期間は、この3路スイッチ46の状態がどうであれ、照明器具42nは点灯する。
【0053】
なお、図7では手動操作スイッチ44および/または46で照明器具421-42nを操作する場合について説明したが、これらのスイッチが自動スイッチ(たとえば時間によって自動制御されるスイッチ、あるいはたとえば明るさで自動制御されるスイッチ)に代替されても、タイマリレー38によって地震発生から一定時間は照明器具421-42nを強制的に点灯することができる。
【0054】
また、図6および図7に示すトランス40は、AC100VからたとえばAC24Vを作って、タイマリレー38などの電源を供給するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1はこの発明の一実施例の地震警報装置を示すブロック図である。
【図2】図2は図1実施例で用いられる家屋端末の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は図1実施例で用いられる音声データの一例を示す図解図である。
【図4】図4は図1実施例で用いられる音声データの他の例を示す図解図である。
【図5】図5は図1実施例の動作を示すフロー図である。
【図6】図6は図1実施例における照明強制点灯手段の一例を示すブロック図である。
【図7】図7は図1実施例における照明強制点灯手段の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
10 …地震警報装置
12 …気象庁サーバ
14 …専用回線
16 …サーバ
18 …インタネット
20 …家屋端末
22 …ハウジング
24 …コンピュータ
26 …メモリ
28 …ルータ
32 …音声出力ボード
341‐34n …スピーカ
38 …タイマリレー
421‐42n …照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測震度と予測到達時間とを含む地震情報を受信する受信手段、
前記地震情報に含まれる予測到達時間に応じて異なる態様の音声データを出力する音声データ出力手段、および
前記音声データに従って音声を出力するスピーカを備える、地震警報装置。
【請求項2】
前記音声データ出力手段は、前記予測到達時間が第1所定時間より長いとき、警告音に続いて地震発生を報知する発生報知音声を配列した第1の音声データを出力し、前記予測到達時間が前記第1所定時間から第2所定時間までのとき、警告音に続いて予測到達時間音声および震度音声を配列した第2の音声データを出力し、前記予測到達時間が前記第2所定時間より短いとき、警告音に続いて予測到達時間音声、震度音声およびカウントダウン音声を配列した第3の音声データを出力する、請求項1記載の地震警報装置。
【請求項3】
前記第2の音声データは、前記第2所定時間より短い第3所定時間になるまで一定秒数毎に予測到達時間を更新して繰り返し出力され、残り時間が前記第3所定時間より短くなったとき前記震度音声に後続するカウントダウン音声を含むように出力される、請求項2記載の地震警報装置。
【請求項4】
前記第1の音声データは、残り時間が前記第1所定時間より短くなるまで、繰り返し出力される、請求項2または3記載の地震警報装置。
【請求項5】
前記受信手段が前記地震情報を受信したとき少なくとも1つの照明を強制的に点灯する照明強制点灯手段をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに従属する地震警報装置。
【請求項6】
前記照明強制点灯手段は、前記少なくとも1つの照明を強制的に一定時間だけ点灯する、請求項5記載の地震警報装置。
【請求項7】
気象庁またはその関連機関から緊急地震速報を受け、前記緊急地震速報が示す震源地情報に基づいて前記受信手段が設置されている場所へ地震主要動が到達するまでの残り時間の予測値を前記予測到達時間として計算し、前記緊急地震速報が示す震源地情報および震度情報に基づいて前記受信手段が設置されている場所において予測される震度を前記震度と含む前記地震情報を送信する送信手段をさらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の地震警報装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−146098(P2009−146098A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321706(P2007−321706)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000104847)三洋ホームズ株式会社 (13)
【出願人】(500575570)株式会社トータル・ライフサービスコミュニティー (6)
【Fターム(参考)】