基地局、移動局、無線通信システム、方法及びプログラム
【課題】基地局11が各移動局13に対して現在地のポーリングと共に、各移動局13へ配車順番を連絡する個人タクシー運行管理システム10において、それら通信にかける時間を短縮して、通信効率を高める。
【解決手段】コマンドは、コマンド番号とそれに後続する順番記述部とから成る構造を有し、順番記述部には対象の移動局のIDの配列が記述される。従来の無線通信システムでは、現在地のポーリングはコマンド番号=01のコマンドを使用し、各移動局13へ配車順番を連絡するポーリングはコマンド番号=02のコマンドを使用している。これに対し、個人タクシー運行管理システム10では、コマンド番号=03のコマンドを新設し、該コマンドにおける順番記述部の移動局IDの順番は、現在地ポーリングの応答順番と共に、配車順番を示すものとして生成される。
【解決手段】コマンドは、コマンド番号とそれに後続する順番記述部とから成る構造を有し、順番記述部には対象の移動局のIDの配列が記述される。従来の無線通信システムでは、現在地のポーリングはコマンド番号=01のコマンドを使用し、各移動局13へ配車順番を連絡するポーリングはコマンド番号=02のコマンドを使用している。これに対し、個人タクシー運行管理システム10では、コマンド番号=03のコマンドを新設し、該コマンドにおける順番記述部の移動局IDの順番は、現在地ポーリングの応答順番と共に、配車順番を示すものとして生成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーリングと共に配車順番等の業務順番について無線通信する基地局、移動局、無線通信システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、単一の基地局と複数の移動局とを含む無線通信システムを開示する(特許文献1の図1)。該無線通信システムでは、基地局からのポーリングコマンドに対して各移動局の応答に割当てられるスロットの時間長は、ポーリングコマンドの種類に応じて変更することにして、ポーリングに要する通信時間を短縮させている(特許文献1の段落0062)。
【0003】
特許文献2も、単一の基地局と複数の移動局とを含む無線通信システムを開示する(特許文献2の図1)。該無線通信システムでは、現在休止中の移動局を除外して、現在稼動中の移動局のみを抽出して、それら抽出移動局に対して柔軟にグループを割り当てるとともに(特許文献2の段落0024及び0035)、ポーリングコマンドの構造では、先頭部にコマンドの種類が記述され、その次に応答順番のリストが記述され(特許文献2の図3)、応答順番のリスト上、奇数番の移動局と偶数番となっている移動局とがグループ1,2に区別され(特許文献2の段落0030)、各移動局はグループごとに割当てられた周波数の電波を使って、かつグループごとの応答順番に従い基地局へ応答するようにしている(特許文献2の段落0030及び0035)。
【0004】
図12は従来の個人タクシー管理の無線通信システムを構成する基地局及び移動局のデータ送信のタイミング図である。該従来の無線通信システムにおいて、本発明の後述の実施例と重複する説明は省略して、主要点を説明する。
【0005】
個人タクシーの運転手の業界では、共同で組織を作り、該組織の本部が各個人タクシーへの配車の振り分けを行うことがある。各個人タクシー運転手の公正な利益を確保するため、各個人タクシー運転手は、各タクシーに装備されている移動局から空車時に配車待ち受け申請を本部の基地局へ送り、本部は、その受付順に配車を割り振って、配車待ち受け順番(適宜、「配車順番」とも呼ぶことにする。)としての待機順データを移動局へ送信することになっている。
【0006】
待機順データは、配車待ちのタクシーのみが必要になり、お客の運搬中や休憩中のため配車要求を申請していないタクシーには不要である。一方、本部は、時々刻々に変化する各移動局の現在地を把握するため、各移動局に対して現在地を応答させるポーリングを定期的に行っている。従来の無線通信システムでは、図12に示すように、基地局からの位置データ(現在地)応答用のポーリング、それに対する各移動局からの位置データの応答、及び基地局からの待機順データが時間軸方向へ別々の時間を占めるようになっている。
【0007】
本発明の後述の実施例の説明において参照する図6(a)は図12に係る従来の無線通信システムにおける基地局からのコマンドの送信状況を示している。この例では、コマンド番号=01は各移動局に位置データ(現在地)の応答を要求するポーリングの番号と定義され、コマンド番号=02は各移動局に待機順データ(配車順番)を連絡するコマンドの番号と定義されている。コマンド番号に後続するID配列は、各移動局又はその搭載タクシーを識別するIDの配列であり、コマンド番号=01のコマンドにおけるID配列は、ポーリングに対する応答順番の順番になっており、コマンド番号=02のコマンドにおけるID配列は配車順番になっている。
【0008】
詳細は本発明の実施例において後述するが、図6(a)では、ID=1〜7の計7個の移動局が存在し、現在、ID=2,5,6,1の移動局が、待機申請中であり、かつ順番で待機していると仮定している。従来の無線通信システムにおいて、各移動局に位置データを応答させるとともに、該当の移動局へ配車順番を連絡するために、基地局は、計3個のコマンドを送信する。
【0009】
図12において、T1は、基地局からの位置データ(現在地)応答用のポーリング、及びそれに対する各移動局からの位置データの応答が時間軸方向へ占める時間であり、T2は、基地局から送信する待機順データが時間軸方向へ占める時間である。また、位置データ(現在地)を収集する必要のある移動局の総数をnとする。従来の無線通信システムでは、ポーリングと待機順データとが交互に繰り返される場合、1つの移動局当たりの現在地収集に、(T1+T2)/nの時間をかけることになる。
【特許文献1】特開2007−104597号公報
【特許文献2】特開2008−131404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の無線通信システムでは、基地局が、移動局に対して現在地のポーリングを行うとともに、待機順を連絡する場合に、基地局11が送信するコマンドの個数が例えば3個と、多大となるとともに、1つの移動局当たりの現在地収集にかける時間が(T1+T2)/nと長大となっている。
【0011】
特許文献1は、ポーリングの種別に応じて各移動局の応答に要する時間を柔軟に調整して、ポーリング時間を短縮することを開示するものの、ポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを実施する場合に、総合の通信時間を短縮して、各移動局からの現在地収集の時間効率を高める具体的な解決策についてはなんら言及していない。同様に、特許文献2も、現在稼働中の移動局を柔軟にグループ割当てすることにより、ポーリング時間を短縮することを開示するものの、ポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを実施する場合に、総合の通信時間を短縮して、各移動局からの現在地収集の時間効率を高める具体的な解決策についてはなんら言及していない。
【0012】
本発明の目的は、ポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを実施する場合に、各移動局の応答情報収集にかける時間を短縮して、通信効率を上げることができる基地局、移動局、無線通信システム、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、応答順番を、所定業務について移動局間の業務順番に一致させたポーリングコマンドを生成し、該ポーリングコマンドを基地局から移動局へ送信する。移動局は、該ポーリングコマンドの応答順番に従い基地局へ応答するとともに、該ポーリングコマンドの応答順番から業務順番を抽出する。
【0014】
本発明の基地局は次の要素を備えている。
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定手段、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成手段、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信手段、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信手段。
【0015】
本発明の移動局は次の要素を備えている。
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する受信手段、
業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番情報の応答順番に従い応答を送信する送信手段、及び
業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出手段。
【0016】
本発明の基地局制御方法は次のステップを備える。
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定ステップ、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成ステップ、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信ステップ。
【0017】
本発明の移動局制御方法は次のステップを備える。
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する 前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い応答を送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出ステップ。
【0018】
本発明の無線通信システムは前述の本発明の基地局を1つ備え、かつ前述の本発明の移動局を複数、備える。
【0019】
本発明のプログラムは、前述の本発明の基地局の各手段としてコンピュータを機能させる。本発明の別のプログラムは、前述の本発明の移動局の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、応答順番を所定業務についての移動局間の業務順番に設定したポーリングコマンドを生成し、該ポーリングコマンドを基地局から移動局へ送信するので、従来、別々に行っていたポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを、1つのポーリングコマンドに統合することができ、これにより、業務順番連絡専用の通信を省略して、各移動局からの応答情報収集にかける時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は個人タクシー管理の個人タクシー運行管理システム10の構成図である。個人タクシー運行管理システム10は、単一の基地局11と、各々が各個人タクシー12に搭載された複数の移動局13とを備えている。この個人タクシー運行管理システム10は、個人タクシー12の運転手(移動局13)が共同で組織を作り、本部(基地局11)が仕事の振り分け(配車)を行うことを想定している。基地局11は、個々の移動局13の公正な利益を確保するため、移動局13が仕事待ち受け申請(以降、適宜、「待機申請」という。)をした順に仕事を割り振る配車作業を行う。基地局11は、また、この情報を移動局13に通知し、これにより、各移動局13の運転手は、順番待ちが十分に長いと考える場合には待ち時間を別の業務に割り当てて、時間の有効活用を図ることができる。
【0022】
説明の便宜上、個人タクシー運行管理システム10における移動局13の総計は7とし、各移動局13を識別するために、各移動局13には1〜7の識別番号を付けている。また、濃く塗られている個人タクシー12は、現在、配車指示を待っている状態にあり、白抜きの個人タクシー12は、お客を運搬中等のため、配車指示を待っていない状態にある。なお、配車指示は、本部の基地局11のオペレータから移動局13へ音声で行われるが、データと併せて、行ったり、データのみ(この場合はデータに係る情報が後述の表示器30に表示されることになる。)で行ったりしてもよい。
【0023】
図2は基地局11及び移動局13の構成図である。基地局11はPC17、モデム18及び無線機19を備えている。PC(パーソナルコンピュータ)17は、車両管理ソフトウェアを実装されている。モデム18は、PC17からのポーリングコマンドに対応する送信信号を生成し、該送信信号は、無線機19においてポーリングに割当てられた周波数の搬送電波に乗せて、無線機19のアンテナより送信される。
【0024】
無線機19は、また、各移動局13からの電波を受信するとともに、それを中間周波数の信号に変換してから、モデム18へ供給する。モデム18は、該中間周波数の信号を復調して、データを抽出し、該データをPC17へ送る。無線機19が移動局13へ向けて送信する電波の周波数と、移動局13から受信する電波の周波数とは、典型的には異なるが、同一であってもよい。
【0025】
移動局13は、入力・表示端末23、GPS内蔵モデム24及び無線機25を備えている。個人タクシー12の運転手は、入力・表示端末23の操作キー31(図3)を操作して、移動局13に対して各種指示を与えるとともに、入力・表示端末23の表示器30(図3)の表示から各種の情報を知得する。GPS内蔵モデム24は、GPSアンテナ26にGPSの衛星からの電波を受信し、GPS電波に基づき現在地を測位する。運転手の指示や現在地に係る信号は無線機25へ送られて、無線機25は、該信号を所定周波数の搬送電波に乗せて、アンテナから発射する。
【0026】
図3は入力・表示端末23の正面図である。入力・表示端末23は、表示器30とその下側及び右側に配置された複数の操作キー31とを有している。操作キー31の内の1つは、待機申請(配車要求)ボタンになっており、運転手が基地局11へ待機を申請する際に押下される。図3の例では、表示器30に現在の待機順(配車順番)が表示されており、その待機順は3番となっている。
【0027】
図4は個人タクシー運行管理システム10における待機申請のデータの流れを示したものである。運転手が自車の入力・表示端末23の待機申請ボタンを押下すると、待機申請データが入力・表示端末23からGPS内蔵モデム24へ送られる。GPS内蔵モデム24は、待機申請データに移動局13のID(ID:識別子。図4の例では、該移動局13のIDを"1"と仮定している。)とGPS(位置データ、すなわち現在地情報。)とを付加する。この後、これら情報は、無線機25→無線機19→モデム18→PC17と順番に伝送されて、PC17のデータベースに保存される。
【0028】
一方、モデム18は、待機申請データと移動局13のIDとGPSとの入力に伴い、ACK(acknowledge:アクノリッジ)を無線機19の方へ返し、ACKは、無線機19→無線機25→GPS内蔵モデム24と順番に伝送される。
【0029】
図5はポーリングコマンドの構造図である。ポーリングコマンドは、先頭のコマンド番号のフィールドと、それに後続する応答順番のフィールドとを有している。ポーリングコマンドには、複数の種類が設定され、コマンド番号は、ポーリングコマンドの種類に対応付けられる。応答順番のフィールドは、コマンド番号のポーリングに対して応答を求められている移動局13がそのIDを応答順番で記述される。ポーリングの応答とは、この例では、各移動局13の現在地(図12の位置データに相当する。)を基地局11へ知らせているが、現在地以外に、待機中、休憩中又は配車中等の車両状態を知らせることもある。
【0030】
図6は基地局11からのコマンドの送信態様の対比図である。(a)は従来の無線通信システムの基地局によるコマンドの送信態様であり、(b)は個人タクシー運行管理システム10の基地局11による送信態様である。
【0031】
従来の送信態様については本明細書の前述の背景技術の項で前述したとおりであり、コマンド番号=01は各移動局に位置データ(現在地)の応答を要求するポーリングのコマンド番号と定義され、コマンド番号=02は各移動局に待機順データ(配車順番)を連絡するコマンド番号と定義する。これに対して、個人タクシー運行管理システム10では、各移動局13に対してその現在地の応答を要求するポーリングコマンド(コマンド番号=01:以下、「専用ポーリングコマンド」という。)と、待機待ちの移動局13へ基地局11から待機順を知らせるポーリング(コマンド番号=02)とを兼ねるポーリングコマンド(以下、「兼用ポーリングコマンド」という。)を新設し、そのコマンド番号を"03"と定義する。
【0032】
個人タクシー12(移動局13)の待機順は、個人タクシー12のIDで表すと、ID2→ID5→ID6→ID1と仮定している。個人タクシー運行管理システム10では、基地局11が、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを送信することにより、これらID2,ID5,ID6,ID1の移動局13へのコマンド番号=01の専用ポーリングコマンドの送信は省略することができる。そして、兼用ポーリングコマンドを送信しなかった移動局13に対してだけ、コマンド番号=01の専用ポーリングコマンドを送信することになる。結果、基地局11から移動局13へのポーリングコマンドの送信個数は、図6(b)のように、2となり、これは、図6(a)の従来の送信個数=3より減少する。
【0033】
兼用ポーリングコマンドの送信による専用ポーリングコマンドの送信省略は、図12のT2の消滅を意味する。したがって、個人タクシー運行管理システム10における1つの移動局13当たりの現在地収集にかける時間は、T1/nとなって、従来の(T1+T2)/nよりもT2/nだけ短縮される。
【0034】
兼用ポーリングコマンドを新設することができる専用ポーリングコマンドは、コマンド番号=01のポーリングのように、該当の各移動局13の応答順番が相互に重複しないように規定されていれば足り、応答順番上の何番目になってもかまわないポーリングに限定される。
【0035】
図7は順番データ付きポーリングコマンド(兼用ポーリングコマンド)の流れを示したものである。順番データ付きポーリングコマンドは、基地局11のPC17において生成され、モデム18→無線機19→無線機25→GPS内蔵モデム24→入力・表示端末23と順番に伝送され、入力・表示端末23の表示器30に表示される。表示器30における表示例は、前述の図3で示したものであり、図3では、待機順が3番目と表示されている。これは、図6(b)のコマンド番号03におけるID6の移動局13に対応する。
【0036】
図6について補足する。図6では、各移動局13に現在地の応答を要求するポーリングコマンド(コマンド番号=01)と該当の移動局13に配車順番を連絡するコマンド(コマンド番号=02)とを兼ねる(統合する)ポーリングコマンド(コマンド番号=03)を新設しているが、個人タクシー運行管理システム10において、各移動局13に現在地の応答を要求するポーリングコマンド(コマンド番号=01)とは別の種類のポーリングコマンドを用意している場合には、該別の種類のポーリングコマンドと該当の移動局13に配車順番を連絡するコマンド(コマンド番号=02)とを兼ねるコマンドを新設することもできる。
【0037】
コマンド番号の総数に制約がなければ、既存の全部の専用ポーリングコマンドの各々に対して、兼用ポーリングコマンドを新設できるが、通常は、コマンド番号の総数に制約があるので、典型的には、最も頻繁に使用するポーリングコマンドのみか、頻繁に使用する上位の幾つかのポーリングコマンドのみについて、兼用ポーリングコマンドを新設する。
【0038】
図6では、1つのコマンドについて、その順番記述部(コマンド番号に後続するデータフィールド)に記述する移動局13の個数を最大4個に限定している。これはあくまで説明の便宜上である。例えば、コマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大個数を4以外の数にすることもできる。
【0039】
例えば、コマンドの順番記述部に記述することができる移動局13の最大個数を7とした場合、図6(a)の例では、コマンド番号01の1つのコマンドに全部の移動局13の順番を記述することができるので、コマンド番号01のコマンドの送信は1つで済み、コマンド番号=01のコマンドとコマンド番号=02のコマンドとを1個ずつ、合計2個の送信で済むことになり、これは、図6(b)のコマンドの送信個数と同一になって、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを新設した有利性がなくなる。しかしながら、実際に管理する個人タクシー12が例えば50台程度あった場合には、50台全部を一度にポーリングすることは現実上、行われない。なぜならば、データ通信を行う場合、受信側ではSYNCビット(ヘッダ)をとらえることでデータの開始を判断し、もし移動局13がSYNCビットを何らかの原因で逃してしまえば、どこからがデータなのかを判別できないため、そのSYNCビットに続く一連のデータは全て捨てられることになる。特に無線伝送の場合にはノイズによる影響が大きいので、単純に長いデータ長で送ることが有利になるわけではなく、データ長をあまり長くない所定値に制限した方が通信効率が上がるからである。
【0040】
したがって、個人タクシー運行管理システム10では、1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大個数mは、実際上、個人タクシー運行管理システム10における移動局13の合計数nよりも適当に小さい所定値に設定される。ここで、兼用ポーリングコマンドにより応答順番を連絡する移動局13の個数をn1とし、専用ポーリングコマンドにより応答順番を連絡する移動局13の個数をn2(n=n1+n2)とし、n1/mの商の整数部をuとする。個人タクシー運行管理システム10では、基地局11が送信する兼用ポーリングコマンドの個数はuかu+1となり、従来の方式(例:図6(a))に対して、専用ポーリングコマンドの個数をu(n1/mの余り+n/mの余り>mのとき)かu+1(n1/mの余り+n/mの余り>mのとき)だけ減少させることができる。また、ポーリングコマンドは定期的に送信するようになっているので、待機順をポーリングコマンドに含めることにより、移動局13は待機順の情報を遅滞なく定期的に受け取れるようになる。
【0041】
1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大値について制限がある場合に、配車指示待ちの個人タクシー12の台数が最大値mを超えると、図6(b)の通知の仕方では、個別の兼用ポーリングコマンドでは、全部の配車指示待ちの個人タクシー12の中の自車の待機順を把握できない不都合が生じる。図8は配車順番待ちの個人タクシー12の台数が1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大値mを上回った場合に対処することができるポーリングコマンドの送受説明図である。
【0042】
図8の各ポーリングコマンドのデータ構造では、コマンド番号のフィールドとポーリング対象の移動局13の応答順番を記述するフィールドとの間にパケット番号のフィールドが挿入される。なお、コマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大個数mは図8の場合では図6の場合と同じく4に仮定している。
【0043】
このパケット番号は"主番号ID−連結番号"とから成る。例えば、図8の送信コマンドの2行目のパケット番号"1−2"において、"−"より前の"1"は主番号ID=1を意味し、"−"より後ろの"2"は連結番号=2を意味する。連結番号は、コマンド番号が同一でかつ主番号IDが同一であるポーリングコマンド同士間でのそれらの順番記述部の連結順番を決めるものとなっている。
【0044】
ポーリングコマンドへの主番号IDの導入により、待機場所(例:タクシー乗り場A,B,・・・)ごとの待機順を決めることができる。図8の例では、配車待ちの個人タクシー12は計10台あり、その配車順番は、主番号ID=1では、移動局13のID順で"2","5","6","1","3","4","7"であり、主番号ID=2では、移動局13のID順で"10","8","9"であると仮定している。
【0045】
主番号は十分大きな値をループさせることにする。例えば、十分大きな値を100とする場合には、主番号は1→2→3→・・・→98→99→100→1→2→3→・・・のように循環する。後述するように、兼用ポーリングコマンドに書込む情報が連結番号だけであると、移動局13が一部の兼用ポーリングコマンドの受信を欠落したときに、間違った順番で兼用ポーリングコマンドの配車順番を連結してしまう恐れがあるが、主番号はこれを防止する機能をもつ。
【0046】
例えば待機場所や待機時間帯が異なるというような別種の配車順番に対して、基地局11は主番号を変えた兼用ポーリングコマンドを使うが、同種の配車順番であっても、そ、主番号を大きな値でループさせることにより、一度使った主番号はしばらく使用することを止めて、移動局13が受信した兼用ポーリングコマンドについての間違った連結を阻止する。なお、各移動局13の運転手は、自分の居場所を把握しているので、主番号に対応付けられた待機場所を基地局11から知らせられなくて、困ることはない。移動局13の運転手は、基地局11から兼用ポーリングコマンドで連絡のあった配車順番で各自の居場所で待機することになる。主番号が同じである兼用ポーリングコマンドで配車順番を連絡された移動局13同士であっても、待機場所が同一である場合もあるし(例:個人タクシーの場合)、それぞれ異なっている場合もある(例:配送トラックの個人業者の場合)。
【0047】
図8の例では、配車待ちの個人タクシー12は計10台あるとともに、2種の配車順番があることを想定している。主番号ID=1,2をそれぞれ第1種及び第2種の配車順番とすると、主番号ID=1の配車順番は、移動局13のID順で"2","5","6","1","3","4","7"であり、主番号ID=2の配車順番は、移動局13のID順で"10","8","9"であると仮定している。
【0048】
基地局11は、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを3個、続けて送信しており、各パケット番号は送信順に1−1,1−2,2−1となっている。
【0049】
これに対して、移動局13は、コマンド番号及びパケット番号に基づきポーリングコマンドの応答順番を組立てる。その場合、コマンド番号とパケット番号の主番号IDとが同一である兼用ポーリングコマンドを時間軸方向へ連続して複数、受信した場合に、それらの連結番号が受信順に1から連続しているか否かが検査される。もし、1以外の連結番号から開始されている場合には、それら各ポーリングコマンドの応答順番は有効であると判断して、指示された応答順番で応答するものの、業務順番は無効であると判断し、業務順番の抽出を断念する。また、連結番号に不連続が生じた場合には、連結番号が1から連続の最後の連結番号までの兼用ポーリングコマンドから応答順番を抽出し、それらを連結番号に従い連結することにするが、連結番号に不連続が生じた兼用ポーリングコマンドとそれ以降の兼用ポーリングコマンドでは、各兼用ポーリングコマンドの応答順番は有効であると判断して、指示された応答順番で応答するものの、業務順番は無効であると判断し、業務順番の抽出を断念する。
【0050】
応答順番の連結処理では、兼用ポーリングコマンドから抽出した応答順番の末尾に、該兼用ポーリングコマンドの連結番号の次の連結番号の兼用ポーリングコマンドから抽出した応答順番の先頭を連結する。図8の例では、移動局13において、パケット番号1−1と1−2との兼用ポーリングコマンドから抽出した応答順番をそれぞれ前及び後にして相互に連結している。連結後の応答順番は、基地局11において分割前の業務順番に一致する。
【0051】
パケット番号2−1の兼用ポーリングコマンドの応答順番は、パケット番号1−1及び1−2の兼用ポーリングコマンドの応答順番とは待機場所が異なる応答順番であるので、パケット番号1−2の兼用ポーリングコマンドの応答順番に連結せず、別の配車順番として抽出する。
【0052】
通信不良時の事例として、基地局11が、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを、パケット番号1−1,1−2,2−1,1−1,1−2のものから順番に計5個の兼用ポーリングコマンドを送信したと仮定する。これに対し、移動局13は、2番目のパケット番号=1−2の兼用ポーリングコマンドと、4番目のパケット番号=1−1の兼用ポーリングコマンドとをなんらかの理由で受信できなかったと仮定する。この場合、該移動局13は、コマンド番号=03でパケット1−1,2−1,1−2の兼用ポーリングコマンドを順番に受信することになる。しかし、パケット番号1−1と1−2との間に主番号IDの異なるパケット番号=2−1の兼用ポーリングコマンドが挟まっているので、パケット番号1−1と1−2の兼用ポーリングコマンドの応答順番の連結は行わず、パケット番号1−2の兼用ポーリングコマンドのデータは業務順番としては破棄する。
【0053】
さらに、主番号の意義の具体例を説明する。もし、主番号を大きな値でループすることなく、第1種及び第2種の配車順番をそれぞれ主番号1,2に固定したり、主番号を2でループしていたりすると仮定する。また、前述の例では、移動局13は、2番目のパケット番号=1−2の兼用ポーリングコマンドと、4番目のパケット番号=1−1の兼用ポーリングコマンドとをなんらかの理由で受信できなかったと仮定していたが、さらに、3番目のパケット番号=2−1も受信できなかったと仮定する。この場合、本来は連結されてはならない1番目のパケット番号=1−1と5番目のパケット番号=1−2が間違って連結されて、間違った配車順番が移動局13に把握されてしまう。主番号を大きな値でループすることにより、基地局11からの兼用ポーリングコマンドのパケット番号は、1−1、1−2、2−1、3−1、3−2、4−1、・・・、100−1、1−1、1−2、・・・というように送信順に変化するようにして、移動局13において間違った連結が起きるのを防止することができる。
【0054】
図9は無線通信システム48の構成図である。無線通信システム48は単一の基地局50と複数の移動局60とを備えている。図示の簡略化上、図9では移動局60を1つのみ示す。無線通信システム48の具体例は、前述の個人タクシー運行管理システム10(図1)であるが、各個人配送業者が、自分のトラックを所有して、貨物を配送する場合の個人トラック管理システムにも適用可能である。移動局60を搭載又は携帯するものは、タクシーに限定されず、トラック、バス、自動二輪又は自転車であってもよいし、所定の作業員や仲間(例:駅員、店員又は宅配員)であってもよい。
【0055】
基地局50は、業務順番決定手段51、ポーリングコマンド生成手段52、送信手段53及び受信手段54を備えている。業務順番決定手段51は、所定業務に係る、移動局60間の業務順番を決定する。ポーリングコマンド生成手段52は、コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。送信手段53は業務連絡付きポーリングコマンド58を送信する。受信手段54は、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番に従い該当移動局60から送信された応答68を受信する。
【0056】
所定業務とは、例えば移動局60が搭載又は携帯される車両や作業員に対する管理業務であり、個人タクシー運行管理システム10における個人タクシーの配車業務に対応する。業務順番とは個人タクシー運行管理システム10における配車順番に対応する。コマンドIDは図6の各コマンドにおけるコマンド番号に対応する。業務連絡付きポーリングコマンド58の具体例は図6(b)のコマンド番号=03のポーリングコマンドである。移動局60から基地局50への応答68とは、例えば各移動局60の現在地を基地局50へ通知することである。
【0057】
こうして、ポーリングコマンドの応答順番を業務順番に一致させた業務連絡付きポーリングコマンド58を生成し、業務連絡付きポーリングコマンド58が基地局50から移動局60へ送信されるので、移動局60への業務順番の連絡専用のコマンドを省略することができ、その分、ポーリングコマンドの頻度を高めて、各移動局60の応答68にかける時間を短縮することができる。また、ポーリングコマンド58は基地局50が定期的に送信するようになっているので、待機順をポーリングコマンドに含めることにより、移動局60は待機順の情報を遅滞なく定期的に受け取れるようになる。
【0058】
典型的には、受信手段54は、移動局60から該移動局60を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号を受信する。これに対し、業務順番決定手段51は、各移動局60からの要求信号の受付け順番に基づき業務順番を決定する。業務順番決定手段51は、各移動局60からの要求信号の受付け順番だけでなく、各移動局60の現在地も考慮して、業務順番を決定することもできる。この具体例は個人タクシー運行管理システム10に係る図4において説明したものである。例えば、個人タクシー等において、運搬したお客を下ろして、空車となり、次のお客を求める場合に、配車待ち受け申請を出し、本部はその申請順としての要求信号の受付け順番を業務順番とすることにより、各個人タクシー運転手に対して公正及び平等な処理を達成することができる。
【0059】
前述したように、無線通信システム48において、業務順番とは例えばタクシーの配車順番であるが、その場合、ポーリングコマンド生成手段52は、ポーリングコマンドを生成する場合に、配車連絡要求中の移動局60と配車連絡非要求中の移動局60とを区分けし、配車連絡要求中の移動局60に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡付きポーリングコマンド58を生成し、配車連絡非要求中の移動局60に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡無しポーリングコマンドを生成し、送信手段53は、業務連絡無しポーリングコマンドを送信する。そして、受信手段54は、業務連絡無しポーリングコマンドの応答順番に従い配車連絡非要求中の移動局60から応答68を受信する。業務連絡無しポーリングコマンドの具体例は、図6(b)のコマンド番号=01のポーリングコマンドである。
【0060】
一般的には、1つの業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番情報に含められる移動局60の最大数は、無線通信システム48における移動局60の総数より小さい数である。したがって、業務順番の連絡を希望する移動局60の総数が該最大数より多くなることがあり、その場合には、1つの応答68により業務順番の全体を含めることができないことが生じる。
【0061】
これに対処し、好ましくは、ポーリングコマンド生成手段52は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンド58であって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。このような業務連絡付きポーリングコマンド58の具体的構造は、図8で送信コマンドとして示されているパケット番号付きポーリングコマンドである。図8のパケット番号付きポーリングコマンドにおける"−"の右の連結番号が連結情報に対応する。
【0062】
好ましくは、業務順番決定手段51は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、その送信順に送信番号を付与するとともに、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。送信番号の具体例は図8のパケット番号における主番号である。送信番号は、典型的には、1から十分に大きな値(例:100)までの範囲を循環させた番号とする。こうして、基地局50が連結番号の情報を含めて送信した業務連絡付きポーリングコマンド58の一部が通信エラー等により移動局60に受信されないにもかかわらず、連結番号が連続した業務連絡付きポーリングコマンド58が移動局60に受信されたとしても、該移動局60は、該業務連絡付きポーリングコマンド58は、異なる一続きのものであると判断することができ、業務連絡付きポーリングコマンド58間の間違った連結による間違った業務順番の認識を防止することができる。
【0063】
移動局60は、受信手段61、送信手段62及び業務順番抽出手段63を備える。受信手段61は業務連絡付きポーリングコマンド58を受信する。送信手段62は、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番情報の応答順番に従い応答68を送信する。業務順番抽出手段63は、業務連絡付きポーリングコマンド58に対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する。
【0064】
好ましくは、送信手段62は、自機を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号(例:図4の待機申請データ)を送信する。
【0065】
典型的には、業務順番とはタクシーの配車順番であり、受信手段61は、業務連絡付きポーリングコマンド58及び業務連絡無しポーリングコマンドを受信する。また、送信手段62は、自機が配車連絡要求中には、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番の情報に基づく応答順番で応答68を送信し、自機が配車連絡非要求中には、業務連絡無しポーリングコマンドの応答順番情報の応答順番に従い応答68を送信する。
【0066】
移動局60は、さらに、業務順番組立て手段65を備えることができる。受信手段61は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンド58であって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンド58を受信する。そして、業務順番組立て手段65は、複数の業務連絡付きポーリングコマンド58の連結情報に基づき複数の業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番から全体の応答順番を組立て、業務順番抽出手段63は、組立てられた全体の応答順番から自機の業務順番を抽出する。業務順番組立て手段65による業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番の具体的な組立ての仕方は、図8の"受信側で組立てる"で前述したとおりである。
【0067】
好ましくは、受信手段61は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、基地局50がその送信順に送信番号を付与して、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンドを受信し、業務順番抽出手段63は、業務連絡付きポーリングコマンド58の地域情報に基づき地域ごとに業務順番を抽出する。
【0068】
図10は基地局制御方法70のフローチャートである。基地局制御方法70は基地局50(図9)に適用される。
【0069】
S71では、所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する。S72では、コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。S73では、業務連絡付きポーリングコマンド58を送信する。S74では、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番に従い該当移動局から送信された応答68を受信する。
【0070】
S71〜S74の処理は、基地局50(図9)の業務順番決定手段51〜受信手段54の機能にそれぞれ対応している。したがって、業務順番決定手段51〜受信手段54の機能について述べた具体的態様はS71〜S74の処理についての具体的態様としても適用可能である。
【0071】
図11は移動局制御方法80のフローチャートである。移動局制御方法80は移動局60(図9)に適用される。S82,S83はそれらの順番を入れ替えることができる。
【0072】
S81では、業務連絡付きポーリングコマンド58を受信する。S82では、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番情報の応答順番に従い応答68を送信する。S83では、業務連絡付きポーリングコマンド58に対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する。
【0073】
S81〜S83の処理は、移動局60(図9)の受信手段61〜業務順番抽出手段63の機能にそれぞれ対応している。したがって、受信手段61〜業務順番抽出手段63の機能について述べた具体的態様はS81〜S83の処理についての具体的態様としても適用可能である。移動局制御方法80では、また、移動局60の業務順番組立て手段65の機能に対応する処理を実行するステップを追加することができる。業務順番組立て手段65に対応するステップは、S81より後でかつS83の前に挿入される。
【0074】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータを基地局50又は移動局60の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、基地局制御方法70又は移動局制御方法80の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0075】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置及び各方法だけでなく、拡張ないし一般化の範囲で、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を拡張ないし一般化の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】個人タクシー管理の個人タクシー運行管理システムの構成図である。
【図2】基地局及び移動局の構成図である。
【図3】入力・表示端末の正面図である。
【図4】個人タクシー運行管理システムにおける待機申請のデータの流れを示す図である。
【図5】ポーリングコマンドの構造図である。
【図6】基地局からのコマンドの送信態様の対比図である。
【0077】
【図7】順番データ付きポーリングコマンドの流れを示す図である。
【図8】配車順番待ちの個人タクシーの台数が1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局の最大値を上回った場合に対処することができるポーリングコマンドの送受説明図である。
【図9】無線通信システムの構成図である。
【図10】基地局制御方法のフローチャートである。
【図11】移動局制御方法のフローチャートである。
【図12】従来の個人タクシー管理の無線通信システムを構成する基地局及び移動局のデータ送信のタイミング図である。
【符号の説明】
【0078】
48:無線通信システム、50:基地局、51:業務順番決定手段、52:ポーリングコマンド生成手段、53:送信手段、54:受信手段、58:業務連絡付きポーリングコマンド、60:移動局、61:受信手段、62:送信手段、63:業務順番抽出手段、65:業務順番組立て手段、68:応答、70:基地局制御方法、80:移動局制御方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーリングと共に配車順番等の業務順番について無線通信する基地局、移動局、無線通信システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、単一の基地局と複数の移動局とを含む無線通信システムを開示する(特許文献1の図1)。該無線通信システムでは、基地局からのポーリングコマンドに対して各移動局の応答に割当てられるスロットの時間長は、ポーリングコマンドの種類に応じて変更することにして、ポーリングに要する通信時間を短縮させている(特許文献1の段落0062)。
【0003】
特許文献2も、単一の基地局と複数の移動局とを含む無線通信システムを開示する(特許文献2の図1)。該無線通信システムでは、現在休止中の移動局を除外して、現在稼動中の移動局のみを抽出して、それら抽出移動局に対して柔軟にグループを割り当てるとともに(特許文献2の段落0024及び0035)、ポーリングコマンドの構造では、先頭部にコマンドの種類が記述され、その次に応答順番のリストが記述され(特許文献2の図3)、応答順番のリスト上、奇数番の移動局と偶数番となっている移動局とがグループ1,2に区別され(特許文献2の段落0030)、各移動局はグループごとに割当てられた周波数の電波を使って、かつグループごとの応答順番に従い基地局へ応答するようにしている(特許文献2の段落0030及び0035)。
【0004】
図12は従来の個人タクシー管理の無線通信システムを構成する基地局及び移動局のデータ送信のタイミング図である。該従来の無線通信システムにおいて、本発明の後述の実施例と重複する説明は省略して、主要点を説明する。
【0005】
個人タクシーの運転手の業界では、共同で組織を作り、該組織の本部が各個人タクシーへの配車の振り分けを行うことがある。各個人タクシー運転手の公正な利益を確保するため、各個人タクシー運転手は、各タクシーに装備されている移動局から空車時に配車待ち受け申請を本部の基地局へ送り、本部は、その受付順に配車を割り振って、配車待ち受け順番(適宜、「配車順番」とも呼ぶことにする。)としての待機順データを移動局へ送信することになっている。
【0006】
待機順データは、配車待ちのタクシーのみが必要になり、お客の運搬中や休憩中のため配車要求を申請していないタクシーには不要である。一方、本部は、時々刻々に変化する各移動局の現在地を把握するため、各移動局に対して現在地を応答させるポーリングを定期的に行っている。従来の無線通信システムでは、図12に示すように、基地局からの位置データ(現在地)応答用のポーリング、それに対する各移動局からの位置データの応答、及び基地局からの待機順データが時間軸方向へ別々の時間を占めるようになっている。
【0007】
本発明の後述の実施例の説明において参照する図6(a)は図12に係る従来の無線通信システムにおける基地局からのコマンドの送信状況を示している。この例では、コマンド番号=01は各移動局に位置データ(現在地)の応答を要求するポーリングの番号と定義され、コマンド番号=02は各移動局に待機順データ(配車順番)を連絡するコマンドの番号と定義されている。コマンド番号に後続するID配列は、各移動局又はその搭載タクシーを識別するIDの配列であり、コマンド番号=01のコマンドにおけるID配列は、ポーリングに対する応答順番の順番になっており、コマンド番号=02のコマンドにおけるID配列は配車順番になっている。
【0008】
詳細は本発明の実施例において後述するが、図6(a)では、ID=1〜7の計7個の移動局が存在し、現在、ID=2,5,6,1の移動局が、待機申請中であり、かつ順番で待機していると仮定している。従来の無線通信システムにおいて、各移動局に位置データを応答させるとともに、該当の移動局へ配車順番を連絡するために、基地局は、計3個のコマンドを送信する。
【0009】
図12において、T1は、基地局からの位置データ(現在地)応答用のポーリング、及びそれに対する各移動局からの位置データの応答が時間軸方向へ占める時間であり、T2は、基地局から送信する待機順データが時間軸方向へ占める時間である。また、位置データ(現在地)を収集する必要のある移動局の総数をnとする。従来の無線通信システムでは、ポーリングと待機順データとが交互に繰り返される場合、1つの移動局当たりの現在地収集に、(T1+T2)/nの時間をかけることになる。
【特許文献1】特開2007−104597号公報
【特許文献2】特開2008−131404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の無線通信システムでは、基地局が、移動局に対して現在地のポーリングを行うとともに、待機順を連絡する場合に、基地局11が送信するコマンドの個数が例えば3個と、多大となるとともに、1つの移動局当たりの現在地収集にかける時間が(T1+T2)/nと長大となっている。
【0011】
特許文献1は、ポーリングの種別に応じて各移動局の応答に要する時間を柔軟に調整して、ポーリング時間を短縮することを開示するものの、ポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを実施する場合に、総合の通信時間を短縮して、各移動局からの現在地収集の時間効率を高める具体的な解決策についてはなんら言及していない。同様に、特許文献2も、現在稼働中の移動局を柔軟にグループ割当てすることにより、ポーリング時間を短縮することを開示するものの、ポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを実施する場合に、総合の通信時間を短縮して、各移動局からの現在地収集の時間効率を高める具体的な解決策についてはなんら言及していない。
【0012】
本発明の目的は、ポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを実施する場合に、各移動局の応答情報収集にかける時間を短縮して、通信効率を上げることができる基地局、移動局、無線通信システム、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、応答順番を、所定業務について移動局間の業務順番に一致させたポーリングコマンドを生成し、該ポーリングコマンドを基地局から移動局へ送信する。移動局は、該ポーリングコマンドの応答順番に従い基地局へ応答するとともに、該ポーリングコマンドの応答順番から業務順番を抽出する。
【0014】
本発明の基地局は次の要素を備えている。
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定手段、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成手段、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信手段、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信手段。
【0015】
本発明の移動局は次の要素を備えている。
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する受信手段、
業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番情報の応答順番に従い応答を送信する送信手段、及び
業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出手段。
【0016】
本発明の基地局制御方法は次のステップを備える。
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定ステップ、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成ステップ、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信ステップ。
【0017】
本発明の移動局制御方法は次のステップを備える。
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する 前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い応答を送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出ステップ。
【0018】
本発明の無線通信システムは前述の本発明の基地局を1つ備え、かつ前述の本発明の移動局を複数、備える。
【0019】
本発明のプログラムは、前述の本発明の基地局の各手段としてコンピュータを機能させる。本発明の別のプログラムは、前述の本発明の移動局の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、応答順番を所定業務についての移動局間の業務順番に設定したポーリングコマンドを生成し、該ポーリングコマンドを基地局から移動局へ送信するので、従来、別々に行っていたポーリングとポーリング以外の基地局から移動局への業務順番連絡とを、1つのポーリングコマンドに統合することができ、これにより、業務順番連絡専用の通信を省略して、各移動局からの応答情報収集にかける時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は個人タクシー管理の個人タクシー運行管理システム10の構成図である。個人タクシー運行管理システム10は、単一の基地局11と、各々が各個人タクシー12に搭載された複数の移動局13とを備えている。この個人タクシー運行管理システム10は、個人タクシー12の運転手(移動局13)が共同で組織を作り、本部(基地局11)が仕事の振り分け(配車)を行うことを想定している。基地局11は、個々の移動局13の公正な利益を確保するため、移動局13が仕事待ち受け申請(以降、適宜、「待機申請」という。)をした順に仕事を割り振る配車作業を行う。基地局11は、また、この情報を移動局13に通知し、これにより、各移動局13の運転手は、順番待ちが十分に長いと考える場合には待ち時間を別の業務に割り当てて、時間の有効活用を図ることができる。
【0022】
説明の便宜上、個人タクシー運行管理システム10における移動局13の総計は7とし、各移動局13を識別するために、各移動局13には1〜7の識別番号を付けている。また、濃く塗られている個人タクシー12は、現在、配車指示を待っている状態にあり、白抜きの個人タクシー12は、お客を運搬中等のため、配車指示を待っていない状態にある。なお、配車指示は、本部の基地局11のオペレータから移動局13へ音声で行われるが、データと併せて、行ったり、データのみ(この場合はデータに係る情報が後述の表示器30に表示されることになる。)で行ったりしてもよい。
【0023】
図2は基地局11及び移動局13の構成図である。基地局11はPC17、モデム18及び無線機19を備えている。PC(パーソナルコンピュータ)17は、車両管理ソフトウェアを実装されている。モデム18は、PC17からのポーリングコマンドに対応する送信信号を生成し、該送信信号は、無線機19においてポーリングに割当てられた周波数の搬送電波に乗せて、無線機19のアンテナより送信される。
【0024】
無線機19は、また、各移動局13からの電波を受信するとともに、それを中間周波数の信号に変換してから、モデム18へ供給する。モデム18は、該中間周波数の信号を復調して、データを抽出し、該データをPC17へ送る。無線機19が移動局13へ向けて送信する電波の周波数と、移動局13から受信する電波の周波数とは、典型的には異なるが、同一であってもよい。
【0025】
移動局13は、入力・表示端末23、GPS内蔵モデム24及び無線機25を備えている。個人タクシー12の運転手は、入力・表示端末23の操作キー31(図3)を操作して、移動局13に対して各種指示を与えるとともに、入力・表示端末23の表示器30(図3)の表示から各種の情報を知得する。GPS内蔵モデム24は、GPSアンテナ26にGPSの衛星からの電波を受信し、GPS電波に基づき現在地を測位する。運転手の指示や現在地に係る信号は無線機25へ送られて、無線機25は、該信号を所定周波数の搬送電波に乗せて、アンテナから発射する。
【0026】
図3は入力・表示端末23の正面図である。入力・表示端末23は、表示器30とその下側及び右側に配置された複数の操作キー31とを有している。操作キー31の内の1つは、待機申請(配車要求)ボタンになっており、運転手が基地局11へ待機を申請する際に押下される。図3の例では、表示器30に現在の待機順(配車順番)が表示されており、その待機順は3番となっている。
【0027】
図4は個人タクシー運行管理システム10における待機申請のデータの流れを示したものである。運転手が自車の入力・表示端末23の待機申請ボタンを押下すると、待機申請データが入力・表示端末23からGPS内蔵モデム24へ送られる。GPS内蔵モデム24は、待機申請データに移動局13のID(ID:識別子。図4の例では、該移動局13のIDを"1"と仮定している。)とGPS(位置データ、すなわち現在地情報。)とを付加する。この後、これら情報は、無線機25→無線機19→モデム18→PC17と順番に伝送されて、PC17のデータベースに保存される。
【0028】
一方、モデム18は、待機申請データと移動局13のIDとGPSとの入力に伴い、ACK(acknowledge:アクノリッジ)を無線機19の方へ返し、ACKは、無線機19→無線機25→GPS内蔵モデム24と順番に伝送される。
【0029】
図5はポーリングコマンドの構造図である。ポーリングコマンドは、先頭のコマンド番号のフィールドと、それに後続する応答順番のフィールドとを有している。ポーリングコマンドには、複数の種類が設定され、コマンド番号は、ポーリングコマンドの種類に対応付けられる。応答順番のフィールドは、コマンド番号のポーリングに対して応答を求められている移動局13がそのIDを応答順番で記述される。ポーリングの応答とは、この例では、各移動局13の現在地(図12の位置データに相当する。)を基地局11へ知らせているが、現在地以外に、待機中、休憩中又は配車中等の車両状態を知らせることもある。
【0030】
図6は基地局11からのコマンドの送信態様の対比図である。(a)は従来の無線通信システムの基地局によるコマンドの送信態様であり、(b)は個人タクシー運行管理システム10の基地局11による送信態様である。
【0031】
従来の送信態様については本明細書の前述の背景技術の項で前述したとおりであり、コマンド番号=01は各移動局に位置データ(現在地)の応答を要求するポーリングのコマンド番号と定義され、コマンド番号=02は各移動局に待機順データ(配車順番)を連絡するコマンド番号と定義する。これに対して、個人タクシー運行管理システム10では、各移動局13に対してその現在地の応答を要求するポーリングコマンド(コマンド番号=01:以下、「専用ポーリングコマンド」という。)と、待機待ちの移動局13へ基地局11から待機順を知らせるポーリング(コマンド番号=02)とを兼ねるポーリングコマンド(以下、「兼用ポーリングコマンド」という。)を新設し、そのコマンド番号を"03"と定義する。
【0032】
個人タクシー12(移動局13)の待機順は、個人タクシー12のIDで表すと、ID2→ID5→ID6→ID1と仮定している。個人タクシー運行管理システム10では、基地局11が、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを送信することにより、これらID2,ID5,ID6,ID1の移動局13へのコマンド番号=01の専用ポーリングコマンドの送信は省略することができる。そして、兼用ポーリングコマンドを送信しなかった移動局13に対してだけ、コマンド番号=01の専用ポーリングコマンドを送信することになる。結果、基地局11から移動局13へのポーリングコマンドの送信個数は、図6(b)のように、2となり、これは、図6(a)の従来の送信個数=3より減少する。
【0033】
兼用ポーリングコマンドの送信による専用ポーリングコマンドの送信省略は、図12のT2の消滅を意味する。したがって、個人タクシー運行管理システム10における1つの移動局13当たりの現在地収集にかける時間は、T1/nとなって、従来の(T1+T2)/nよりもT2/nだけ短縮される。
【0034】
兼用ポーリングコマンドを新設することができる専用ポーリングコマンドは、コマンド番号=01のポーリングのように、該当の各移動局13の応答順番が相互に重複しないように規定されていれば足り、応答順番上の何番目になってもかまわないポーリングに限定される。
【0035】
図7は順番データ付きポーリングコマンド(兼用ポーリングコマンド)の流れを示したものである。順番データ付きポーリングコマンドは、基地局11のPC17において生成され、モデム18→無線機19→無線機25→GPS内蔵モデム24→入力・表示端末23と順番に伝送され、入力・表示端末23の表示器30に表示される。表示器30における表示例は、前述の図3で示したものであり、図3では、待機順が3番目と表示されている。これは、図6(b)のコマンド番号03におけるID6の移動局13に対応する。
【0036】
図6について補足する。図6では、各移動局13に現在地の応答を要求するポーリングコマンド(コマンド番号=01)と該当の移動局13に配車順番を連絡するコマンド(コマンド番号=02)とを兼ねる(統合する)ポーリングコマンド(コマンド番号=03)を新設しているが、個人タクシー運行管理システム10において、各移動局13に現在地の応答を要求するポーリングコマンド(コマンド番号=01)とは別の種類のポーリングコマンドを用意している場合には、該別の種類のポーリングコマンドと該当の移動局13に配車順番を連絡するコマンド(コマンド番号=02)とを兼ねるコマンドを新設することもできる。
【0037】
コマンド番号の総数に制約がなければ、既存の全部の専用ポーリングコマンドの各々に対して、兼用ポーリングコマンドを新設できるが、通常は、コマンド番号の総数に制約があるので、典型的には、最も頻繁に使用するポーリングコマンドのみか、頻繁に使用する上位の幾つかのポーリングコマンドのみについて、兼用ポーリングコマンドを新設する。
【0038】
図6では、1つのコマンドについて、その順番記述部(コマンド番号に後続するデータフィールド)に記述する移動局13の個数を最大4個に限定している。これはあくまで説明の便宜上である。例えば、コマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大個数を4以外の数にすることもできる。
【0039】
例えば、コマンドの順番記述部に記述することができる移動局13の最大個数を7とした場合、図6(a)の例では、コマンド番号01の1つのコマンドに全部の移動局13の順番を記述することができるので、コマンド番号01のコマンドの送信は1つで済み、コマンド番号=01のコマンドとコマンド番号=02のコマンドとを1個ずつ、合計2個の送信で済むことになり、これは、図6(b)のコマンドの送信個数と同一になって、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを新設した有利性がなくなる。しかしながら、実際に管理する個人タクシー12が例えば50台程度あった場合には、50台全部を一度にポーリングすることは現実上、行われない。なぜならば、データ通信を行う場合、受信側ではSYNCビット(ヘッダ)をとらえることでデータの開始を判断し、もし移動局13がSYNCビットを何らかの原因で逃してしまえば、どこからがデータなのかを判別できないため、そのSYNCビットに続く一連のデータは全て捨てられることになる。特に無線伝送の場合にはノイズによる影響が大きいので、単純に長いデータ長で送ることが有利になるわけではなく、データ長をあまり長くない所定値に制限した方が通信効率が上がるからである。
【0040】
したがって、個人タクシー運行管理システム10では、1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大個数mは、実際上、個人タクシー運行管理システム10における移動局13の合計数nよりも適当に小さい所定値に設定される。ここで、兼用ポーリングコマンドにより応答順番を連絡する移動局13の個数をn1とし、専用ポーリングコマンドにより応答順番を連絡する移動局13の個数をn2(n=n1+n2)とし、n1/mの商の整数部をuとする。個人タクシー運行管理システム10では、基地局11が送信する兼用ポーリングコマンドの個数はuかu+1となり、従来の方式(例:図6(a))に対して、専用ポーリングコマンドの個数をu(n1/mの余り+n/mの余り>mのとき)かu+1(n1/mの余り+n/mの余り>mのとき)だけ減少させることができる。また、ポーリングコマンドは定期的に送信するようになっているので、待機順をポーリングコマンドに含めることにより、移動局13は待機順の情報を遅滞なく定期的に受け取れるようになる。
【0041】
1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大値について制限がある場合に、配車指示待ちの個人タクシー12の台数が最大値mを超えると、図6(b)の通知の仕方では、個別の兼用ポーリングコマンドでは、全部の配車指示待ちの個人タクシー12の中の自車の待機順を把握できない不都合が生じる。図8は配車順番待ちの個人タクシー12の台数が1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大値mを上回った場合に対処することができるポーリングコマンドの送受説明図である。
【0042】
図8の各ポーリングコマンドのデータ構造では、コマンド番号のフィールドとポーリング対象の移動局13の応答順番を記述するフィールドとの間にパケット番号のフィールドが挿入される。なお、コマンドの順番記述部に記述する移動局13の最大個数mは図8の場合では図6の場合と同じく4に仮定している。
【0043】
このパケット番号は"主番号ID−連結番号"とから成る。例えば、図8の送信コマンドの2行目のパケット番号"1−2"において、"−"より前の"1"は主番号ID=1を意味し、"−"より後ろの"2"は連結番号=2を意味する。連結番号は、コマンド番号が同一でかつ主番号IDが同一であるポーリングコマンド同士間でのそれらの順番記述部の連結順番を決めるものとなっている。
【0044】
ポーリングコマンドへの主番号IDの導入により、待機場所(例:タクシー乗り場A,B,・・・)ごとの待機順を決めることができる。図8の例では、配車待ちの個人タクシー12は計10台あり、その配車順番は、主番号ID=1では、移動局13のID順で"2","5","6","1","3","4","7"であり、主番号ID=2では、移動局13のID順で"10","8","9"であると仮定している。
【0045】
主番号は十分大きな値をループさせることにする。例えば、十分大きな値を100とする場合には、主番号は1→2→3→・・・→98→99→100→1→2→3→・・・のように循環する。後述するように、兼用ポーリングコマンドに書込む情報が連結番号だけであると、移動局13が一部の兼用ポーリングコマンドの受信を欠落したときに、間違った順番で兼用ポーリングコマンドの配車順番を連結してしまう恐れがあるが、主番号はこれを防止する機能をもつ。
【0046】
例えば待機場所や待機時間帯が異なるというような別種の配車順番に対して、基地局11は主番号を変えた兼用ポーリングコマンドを使うが、同種の配車順番であっても、そ、主番号を大きな値でループさせることにより、一度使った主番号はしばらく使用することを止めて、移動局13が受信した兼用ポーリングコマンドについての間違った連結を阻止する。なお、各移動局13の運転手は、自分の居場所を把握しているので、主番号に対応付けられた待機場所を基地局11から知らせられなくて、困ることはない。移動局13の運転手は、基地局11から兼用ポーリングコマンドで連絡のあった配車順番で各自の居場所で待機することになる。主番号が同じである兼用ポーリングコマンドで配車順番を連絡された移動局13同士であっても、待機場所が同一である場合もあるし(例:個人タクシーの場合)、それぞれ異なっている場合もある(例:配送トラックの個人業者の場合)。
【0047】
図8の例では、配車待ちの個人タクシー12は計10台あるとともに、2種の配車順番があることを想定している。主番号ID=1,2をそれぞれ第1種及び第2種の配車順番とすると、主番号ID=1の配車順番は、移動局13のID順で"2","5","6","1","3","4","7"であり、主番号ID=2の配車順番は、移動局13のID順で"10","8","9"であると仮定している。
【0048】
基地局11は、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを3個、続けて送信しており、各パケット番号は送信順に1−1,1−2,2−1となっている。
【0049】
これに対して、移動局13は、コマンド番号及びパケット番号に基づきポーリングコマンドの応答順番を組立てる。その場合、コマンド番号とパケット番号の主番号IDとが同一である兼用ポーリングコマンドを時間軸方向へ連続して複数、受信した場合に、それらの連結番号が受信順に1から連続しているか否かが検査される。もし、1以外の連結番号から開始されている場合には、それら各ポーリングコマンドの応答順番は有効であると判断して、指示された応答順番で応答するものの、業務順番は無効であると判断し、業務順番の抽出を断念する。また、連結番号に不連続が生じた場合には、連結番号が1から連続の最後の連結番号までの兼用ポーリングコマンドから応答順番を抽出し、それらを連結番号に従い連結することにするが、連結番号に不連続が生じた兼用ポーリングコマンドとそれ以降の兼用ポーリングコマンドでは、各兼用ポーリングコマンドの応答順番は有効であると判断して、指示された応答順番で応答するものの、業務順番は無効であると判断し、業務順番の抽出を断念する。
【0050】
応答順番の連結処理では、兼用ポーリングコマンドから抽出した応答順番の末尾に、該兼用ポーリングコマンドの連結番号の次の連結番号の兼用ポーリングコマンドから抽出した応答順番の先頭を連結する。図8の例では、移動局13において、パケット番号1−1と1−2との兼用ポーリングコマンドから抽出した応答順番をそれぞれ前及び後にして相互に連結している。連結後の応答順番は、基地局11において分割前の業務順番に一致する。
【0051】
パケット番号2−1の兼用ポーリングコマンドの応答順番は、パケット番号1−1及び1−2の兼用ポーリングコマンドの応答順番とは待機場所が異なる応答順番であるので、パケット番号1−2の兼用ポーリングコマンドの応答順番に連結せず、別の配車順番として抽出する。
【0052】
通信不良時の事例として、基地局11が、コマンド番号=03の兼用ポーリングコマンドを、パケット番号1−1,1−2,2−1,1−1,1−2のものから順番に計5個の兼用ポーリングコマンドを送信したと仮定する。これに対し、移動局13は、2番目のパケット番号=1−2の兼用ポーリングコマンドと、4番目のパケット番号=1−1の兼用ポーリングコマンドとをなんらかの理由で受信できなかったと仮定する。この場合、該移動局13は、コマンド番号=03でパケット1−1,2−1,1−2の兼用ポーリングコマンドを順番に受信することになる。しかし、パケット番号1−1と1−2との間に主番号IDの異なるパケット番号=2−1の兼用ポーリングコマンドが挟まっているので、パケット番号1−1と1−2の兼用ポーリングコマンドの応答順番の連結は行わず、パケット番号1−2の兼用ポーリングコマンドのデータは業務順番としては破棄する。
【0053】
さらに、主番号の意義の具体例を説明する。もし、主番号を大きな値でループすることなく、第1種及び第2種の配車順番をそれぞれ主番号1,2に固定したり、主番号を2でループしていたりすると仮定する。また、前述の例では、移動局13は、2番目のパケット番号=1−2の兼用ポーリングコマンドと、4番目のパケット番号=1−1の兼用ポーリングコマンドとをなんらかの理由で受信できなかったと仮定していたが、さらに、3番目のパケット番号=2−1も受信できなかったと仮定する。この場合、本来は連結されてはならない1番目のパケット番号=1−1と5番目のパケット番号=1−2が間違って連結されて、間違った配車順番が移動局13に把握されてしまう。主番号を大きな値でループすることにより、基地局11からの兼用ポーリングコマンドのパケット番号は、1−1、1−2、2−1、3−1、3−2、4−1、・・・、100−1、1−1、1−2、・・・というように送信順に変化するようにして、移動局13において間違った連結が起きるのを防止することができる。
【0054】
図9は無線通信システム48の構成図である。無線通信システム48は単一の基地局50と複数の移動局60とを備えている。図示の簡略化上、図9では移動局60を1つのみ示す。無線通信システム48の具体例は、前述の個人タクシー運行管理システム10(図1)であるが、各個人配送業者が、自分のトラックを所有して、貨物を配送する場合の個人トラック管理システムにも適用可能である。移動局60を搭載又は携帯するものは、タクシーに限定されず、トラック、バス、自動二輪又は自転車であってもよいし、所定の作業員や仲間(例:駅員、店員又は宅配員)であってもよい。
【0055】
基地局50は、業務順番決定手段51、ポーリングコマンド生成手段52、送信手段53及び受信手段54を備えている。業務順番決定手段51は、所定業務に係る、移動局60間の業務順番を決定する。ポーリングコマンド生成手段52は、コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。送信手段53は業務連絡付きポーリングコマンド58を送信する。受信手段54は、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番に従い該当移動局60から送信された応答68を受信する。
【0056】
所定業務とは、例えば移動局60が搭載又は携帯される車両や作業員に対する管理業務であり、個人タクシー運行管理システム10における個人タクシーの配車業務に対応する。業務順番とは個人タクシー運行管理システム10における配車順番に対応する。コマンドIDは図6の各コマンドにおけるコマンド番号に対応する。業務連絡付きポーリングコマンド58の具体例は図6(b)のコマンド番号=03のポーリングコマンドである。移動局60から基地局50への応答68とは、例えば各移動局60の現在地を基地局50へ通知することである。
【0057】
こうして、ポーリングコマンドの応答順番を業務順番に一致させた業務連絡付きポーリングコマンド58を生成し、業務連絡付きポーリングコマンド58が基地局50から移動局60へ送信されるので、移動局60への業務順番の連絡専用のコマンドを省略することができ、その分、ポーリングコマンドの頻度を高めて、各移動局60の応答68にかける時間を短縮することができる。また、ポーリングコマンド58は基地局50が定期的に送信するようになっているので、待機順をポーリングコマンドに含めることにより、移動局60は待機順の情報を遅滞なく定期的に受け取れるようになる。
【0058】
典型的には、受信手段54は、移動局60から該移動局60を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号を受信する。これに対し、業務順番決定手段51は、各移動局60からの要求信号の受付け順番に基づき業務順番を決定する。業務順番決定手段51は、各移動局60からの要求信号の受付け順番だけでなく、各移動局60の現在地も考慮して、業務順番を決定することもできる。この具体例は個人タクシー運行管理システム10に係る図4において説明したものである。例えば、個人タクシー等において、運搬したお客を下ろして、空車となり、次のお客を求める場合に、配車待ち受け申請を出し、本部はその申請順としての要求信号の受付け順番を業務順番とすることにより、各個人タクシー運転手に対して公正及び平等な処理を達成することができる。
【0059】
前述したように、無線通信システム48において、業務順番とは例えばタクシーの配車順番であるが、その場合、ポーリングコマンド生成手段52は、ポーリングコマンドを生成する場合に、配車連絡要求中の移動局60と配車連絡非要求中の移動局60とを区分けし、配車連絡要求中の移動局60に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡付きポーリングコマンド58を生成し、配車連絡非要求中の移動局60に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡無しポーリングコマンドを生成し、送信手段53は、業務連絡無しポーリングコマンドを送信する。そして、受信手段54は、業務連絡無しポーリングコマンドの応答順番に従い配車連絡非要求中の移動局60から応答68を受信する。業務連絡無しポーリングコマンドの具体例は、図6(b)のコマンド番号=01のポーリングコマンドである。
【0060】
一般的には、1つの業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番情報に含められる移動局60の最大数は、無線通信システム48における移動局60の総数より小さい数である。したがって、業務順番の連絡を希望する移動局60の総数が該最大数より多くなることがあり、その場合には、1つの応答68により業務順番の全体を含めることができないことが生じる。
【0061】
これに対処し、好ましくは、ポーリングコマンド生成手段52は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンド58であって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。このような業務連絡付きポーリングコマンド58の具体的構造は、図8で送信コマンドとして示されているパケット番号付きポーリングコマンドである。図8のパケット番号付きポーリングコマンドにおける"−"の右の連結番号が連結情報に対応する。
【0062】
好ましくは、業務順番決定手段51は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、その送信順に送信番号を付与するとともに、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。送信番号の具体例は図8のパケット番号における主番号である。送信番号は、典型的には、1から十分に大きな値(例:100)までの範囲を循環させた番号とする。こうして、基地局50が連結番号の情報を含めて送信した業務連絡付きポーリングコマンド58の一部が通信エラー等により移動局60に受信されないにもかかわらず、連結番号が連続した業務連絡付きポーリングコマンド58が移動局60に受信されたとしても、該移動局60は、該業務連絡付きポーリングコマンド58は、異なる一続きのものであると判断することができ、業務連絡付きポーリングコマンド58間の間違った連結による間違った業務順番の認識を防止することができる。
【0063】
移動局60は、受信手段61、送信手段62及び業務順番抽出手段63を備える。受信手段61は業務連絡付きポーリングコマンド58を受信する。送信手段62は、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番情報の応答順番に従い応答68を送信する。業務順番抽出手段63は、業務連絡付きポーリングコマンド58に対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する。
【0064】
好ましくは、送信手段62は、自機を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号(例:図4の待機申請データ)を送信する。
【0065】
典型的には、業務順番とはタクシーの配車順番であり、受信手段61は、業務連絡付きポーリングコマンド58及び業務連絡無しポーリングコマンドを受信する。また、送信手段62は、自機が配車連絡要求中には、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番の情報に基づく応答順番で応答68を送信し、自機が配車連絡非要求中には、業務連絡無しポーリングコマンドの応答順番情報の応答順番に従い応答68を送信する。
【0066】
移動局60は、さらに、業務順番組立て手段65を備えることができる。受信手段61は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンド58であって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンド58を受信する。そして、業務順番組立て手段65は、複数の業務連絡付きポーリングコマンド58の連結情報に基づき複数の業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番から全体の応答順番を組立て、業務順番抽出手段63は、組立てられた全体の応答順番から自機の業務順番を抽出する。業務順番組立て手段65による業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番の具体的な組立ての仕方は、図8の"受信側で組立てる"で前述したとおりである。
【0067】
好ましくは、受信手段61は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、基地局50がその送信順に送信番号を付与して、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンドを受信し、業務順番抽出手段63は、業務連絡付きポーリングコマンド58の地域情報に基づき地域ごとに業務順番を抽出する。
【0068】
図10は基地局制御方法70のフローチャートである。基地局制御方法70は基地局50(図9)に適用される。
【0069】
S71では、所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する。S72では、コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンド58を生成する。S73では、業務連絡付きポーリングコマンド58を送信する。S74では、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番に従い該当移動局から送信された応答68を受信する。
【0070】
S71〜S74の処理は、基地局50(図9)の業務順番決定手段51〜受信手段54の機能にそれぞれ対応している。したがって、業務順番決定手段51〜受信手段54の機能について述べた具体的態様はS71〜S74の処理についての具体的態様としても適用可能である。
【0071】
図11は移動局制御方法80のフローチャートである。移動局制御方法80は移動局60(図9)に適用される。S82,S83はそれらの順番を入れ替えることができる。
【0072】
S81では、業務連絡付きポーリングコマンド58を受信する。S82では、業務連絡付きポーリングコマンド58の応答順番情報の応答順番に従い応答68を送信する。S83では、業務連絡付きポーリングコマンド58に対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する。
【0073】
S81〜S83の処理は、移動局60(図9)の受信手段61〜業務順番抽出手段63の機能にそれぞれ対応している。したがって、受信手段61〜業務順番抽出手段63の機能について述べた具体的態様はS81〜S83の処理についての具体的態様としても適用可能である。移動局制御方法80では、また、移動局60の業務順番組立て手段65の機能に対応する処理を実行するステップを追加することができる。業務順番組立て手段65に対応するステップは、S81より後でかつS83の前に挿入される。
【0074】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータを基地局50又は移動局60の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、基地局制御方法70又は移動局制御方法80の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0075】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置及び各方法だけでなく、拡張ないし一般化の範囲で、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を拡張ないし一般化の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】個人タクシー管理の個人タクシー運行管理システムの構成図である。
【図2】基地局及び移動局の構成図である。
【図3】入力・表示端末の正面図である。
【図4】個人タクシー運行管理システムにおける待機申請のデータの流れを示す図である。
【図5】ポーリングコマンドの構造図である。
【図6】基地局からのコマンドの送信態様の対比図である。
【0077】
【図7】順番データ付きポーリングコマンドの流れを示す図である。
【図8】配車順番待ちの個人タクシーの台数が1個のポーリングコマンドの順番記述部に記述する移動局の最大値を上回った場合に対処することができるポーリングコマンドの送受説明図である。
【図9】無線通信システムの構成図である。
【図10】基地局制御方法のフローチャートである。
【図11】移動局制御方法のフローチャートである。
【図12】従来の個人タクシー管理の無線通信システムを構成する基地局及び移動局のデータ送信のタイミング図である。
【符号の説明】
【0078】
48:無線通信システム、50:基地局、51:業務順番決定手段、52:ポーリングコマンド生成手段、53:送信手段、54:受信手段、58:業務連絡付きポーリングコマンド、60:移動局、61:受信手段、62:送信手段、63:業務順番抽出手段、65:業務順番組立て手段、68:応答、70:基地局制御方法、80:移動局制御方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定手段、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成手段、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信手段、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信手段、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記受信手段は、移動局から該移動局を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号を受信し、
前記業務順番決定手段は、各移動局からの前記要求信号の受付け順番に基づき業務順番を決定することを特徴とする請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記業務順番とは業務車両の配車順番であり、
前記ポーリングコマンド生成手段は、ポーリングコマンドを生成する場合に、配車連絡要求中の移動局と配車連絡非要求中の移動局とを区分けし、配車連絡要求中の移動局に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡付きポーリングコマンドを生成し、配車連絡非要求中の移動局に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡無しポーリングコマンドを生成し、
前記送信手段は、前記業務連絡無しポーリングコマンドを送信し、
前記受信手段は、前記業務連絡無しポーリングコマンドの応答順番に従い配車連絡非要求中の移動局から送信された応答を受信することを特徴とする請求項1又は2記載の基地局。
【請求項4】
前記ポーリングコマンド生成手段は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンドであって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンドを生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基地局。
【請求項5】
前記ポーリングコマンド生成手段は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、その送信順に送信番号を付与するとともに、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンドを生成することを特徴とする請求項4記載の基地局。
【請求項6】
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する受信手段、
業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番情報の応答順番に従い応答を送信する送信手段、及び
業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出手段、
を備えることを特徴とする移動局。
【請求項7】
前記送信手段は、自機を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号を送信することを特徴とする請求項6記載の移動局。
了解しました。請求項8は、基地局側の請求項3に対応する移動局側の請求項です。請求項8を削除することも考えましたが、基地局と移動局との全体の無線通信システムの請求項13は、請求項4を引用しており、基地局の請求項3に対応する移動局の請求項(業務連絡無しポーリングコマンドの受信及び応答)を残しておく方が良いと考えました。請求項8を下記のように変更したいと存じます。また、岩下様の上記ご説明「例えば、・・・業務連絡無しポーリングコマンドで呼び出される場合があります。」を明細書の該当段落に付加したいと存じます。
【請求項8】
前記業務順番とは業務車両の配車順番であり、
前記受信手段は、業務連絡付きポーリングコマンド及び業務連絡無しポーリングコマンドを受信し、
前記送信手段は、自機が応答順番情報に含まれている業務連絡付きポーリングコマンド又は業務連絡無しポーリングコマンドに対し、その応答順番情報の応答順番に従い応答を送信することを特徴とする請求項6又は7記載の移動局。
【請求項9】
さらに、業務順番組立て手段を備え、
前記受信手段は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンドであって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンドを受信し、
前記業務順番組立て手段は、複数の業務連絡付きポーリングコマンドの連結情報に基づき複数の業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番から全体の応答順番を組立て、
前記業務順番抽出手段は、組立てられた全体の応答順番から自機の業務順番を抽出することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の移動局。
【請求項10】
前記受信手段は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、前記基地局がその送信順に送信番号を付与して、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンドを受信し、
前記業務順番抽出手段は、業務連絡付きポーリングコマンドの送信番号に係る情報に基づき送信番号ごとに業務順番を抽出することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の移動局。
【請求項11】
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定ステップ、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成ステップ、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信ステップ、
を備えることを特徴とする基地局制御方法。
【請求項12】
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する受信ステップ、
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い応答を送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出ステップ、
を備えることを特徴とする移動局制御方法。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれかに記載の単一の基地局と、請求項6〜10のいずれかに記載の複数の移動局とを備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項14】
前記業務とは、移動局が搭載又は携帯される車両又は作業員に対する管理業務であることを特徴とする請求項13記載の無線通信システム。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれかに記載の基地局の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項16】
請求項6〜10のいずれかに記載の移動局の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項1】
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定手段、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成手段、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信手段、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信手段、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記受信手段は、移動局から該移動局を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号を受信し、
前記業務順番決定手段は、各移動局からの前記要求信号の受付け順番に基づき業務順番を決定することを特徴とする請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記業務順番とは業務車両の配車順番であり、
前記ポーリングコマンド生成手段は、ポーリングコマンドを生成する場合に、配車連絡要求中の移動局と配車連絡非要求中の移動局とを区分けし、配車連絡要求中の移動局に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡付きポーリングコマンドを生成し、配車連絡非要求中の移動局に対してはそれらを応答順番に含める業務連絡無しポーリングコマンドを生成し、
前記送信手段は、前記業務連絡無しポーリングコマンドを送信し、
前記受信手段は、前記業務連絡無しポーリングコマンドの応答順番に従い配車連絡非要求中の移動局から送信された応答を受信することを特徴とする請求項1又は2記載の基地局。
【請求項4】
前記ポーリングコマンド生成手段は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンドであって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンドを生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基地局。
【請求項5】
前記ポーリングコマンド生成手段は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、その送信順に送信番号を付与するとともに、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンドを生成することを特徴とする請求項4記載の基地局。
【請求項6】
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する受信手段、
業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番情報の応答順番に従い応答を送信する送信手段、及び
業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出手段、
を備えることを特徴とする移動局。
【請求項7】
前記送信手段は、自機を業務順番の対象に加えることを要求する要求信号を送信することを特徴とする請求項6記載の移動局。
了解しました。請求項8は、基地局側の請求項3に対応する移動局側の請求項です。請求項8を削除することも考えましたが、基地局と移動局との全体の無線通信システムの請求項13は、請求項4を引用しており、基地局の請求項3に対応する移動局の請求項(業務連絡無しポーリングコマンドの受信及び応答)を残しておく方が良いと考えました。請求項8を下記のように変更したいと存じます。また、岩下様の上記ご説明「例えば、・・・業務連絡無しポーリングコマンドで呼び出される場合があります。」を明細書の該当段落に付加したいと存じます。
【請求項8】
前記業務順番とは業務車両の配車順番であり、
前記受信手段は、業務連絡付きポーリングコマンド及び業務連絡無しポーリングコマンドを受信し、
前記送信手段は、自機が応答順番情報に含まれている業務連絡付きポーリングコマンド又は業務連絡無しポーリングコマンドに対し、その応答順番情報の応答順番に従い応答を送信することを特徴とする請求項6又は7記載の移動局。
【請求項9】
さらに、業務順番組立て手段を備え、
前記受信手段は、業務順番を複数の区分に区切って各区分を各応答順番とする複数の業務連絡付きポーリングコマンドであって各応答順番から全体の応答順番を組立てる際の連結順番を規定する連結情報を含む複数の業務連絡付きポーリングコマンドを受信し、
前記業務順番組立て手段は、複数の業務連絡付きポーリングコマンドの連結情報に基づき複数の業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番から全体の応答順番を組立て、
前記業務順番抽出手段は、組立てられた全体の応答順番から自機の業務順番を抽出することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の移動局。
【請求項10】
前記受信手段は、連結順番が1番から末番までの業務連絡付きポーリングコマンドの一続きごとに、前記基地局がその送信順に送信番号を付与して、該送信番号に係る情報を含む業務連絡付きポーリングコマンドを受信し、
前記業務順番抽出手段は、業務連絡付きポーリングコマンドの送信番号に係る情報に基づき送信番号ごとに業務順番を抽出することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の移動局。
【請求項11】
所定業務に係る、移動局間の業務順番を決定する業務順番決定ステップ、
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を前記業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを生成するポーリングコマンド生成ステップ、
前記業務連絡付きポーリングコマンドを送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い該当移動局から送信された応答を受信する受信ステップ、
を備えることを特徴とする基地局制御方法。
【請求項12】
コマンドIDと応答順番とを含むポーリングコマンドであってコマンドIDを業務連絡付きポーリングのIDとしかつ応答順番を、所定業務に係る、移動局間の業務順番とする業務連絡付きポーリングコマンドを受信する受信ステップ、
前記業務連絡付きポーリングコマンドの応答順番に従い応答を送信する送信ステップ、及び
前記業務連絡付きポーリングコマンドに対しその応答順番の情報から自機の業務順番を抽出する業務順番抽出ステップ、
を備えることを特徴とする移動局制御方法。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれかに記載の単一の基地局と、請求項6〜10のいずれかに記載の複数の移動局とを備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項14】
前記業務とは、移動局が搭載又は携帯される車両又は作業員に対する管理業務であることを特徴とする請求項13記載の無線通信システム。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれかに記載の基地局の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項16】
請求項6〜10のいずれかに記載の移動局の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−134550(P2010−134550A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307786(P2008−307786)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
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