説明

基地局及び報知方法

【課題】設備設置のコストや故障のリスクを回避しつつ、非常事態の早期段階で近隣に非常事態を通報することができる基地局及び報知方法を提供すること。
【解決手段】フェムトセル基地局100は、非常事態発生の検知信号を受付け、受付けた検知信号から非常事態の種類を識別する信号種類識別部120と、識別した非常事態の情報に基づいて、送信電力を変更する送信電力制御部130とを備える。また、フェムトセル基地局100は、非常事態の発生を報知する報知情報を生成する報知情報生成部150と、非常事態が発生した場合、送信電力制御部130により変更された送信電力で近隣のフェムトセル基地局に報知情報を送信する無線送受信部160とを備える。また、無線送受信部160は、近隣のフェムトセル基地局から送信された報知情報を受信し、報知情報を受信した場合、登録している無線通信端末に報知情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常事態の発生時に近隣に非常事態を通報する基地局及び報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭又はオフィスなどの建物内において、セル半径が数十メートル以下の狭小セル(フェムトセル:Femto Cell)をカバー範囲とする無線通信基地局装置(フェムトセル基地局、又はHome Node−B等と称される。以下、「フェムトセル基地局」又は「HNB」と記す。)の設置が検討されている。
【0003】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)LTE(Long term evolution)で検討されているフェムトセル基地局は、例えば、家庭に設置された場合、その家の家族だけにアクセスを制限するなどのように、限られたグループメンバーにだけアクセスを許可することが検討されている。このようなセルはアクセス限定セル(CSG cell: Closed Service Group cell)と呼ばれることもある。
【0004】
また、アクセスが許可された携帯端末であるUE(User Equipment)は、フェムトセル基地局に優先的に接続する。すなわち、UEがフェムトセル基地局のエリアに入った場合、フェムトセル基地局よりもセル半径が大きい既存の基地局(以下、「マクロセル」又は「マクロ基地局」と記す。)の電波を受信できたとしても、優先的に小セル無線通信基地局装置に接続する。
【0005】
現在、移動体通信システムではセル半径が狭い(半径数メートル〜数十メートルの)小型基地局(フェムトセル)が開発されており、各住居に設置されることを想定されている。そして、そのメリット活用して移動体通信サービス(音声通話やデータ通信等)の他にホームセキュリティに用いることも検討されている。
【0006】
特許文献1には、家に監視機器と報知機器とコントローラを設置する近隣相互扶助のための連絡通報システムが記載されている。特許文献1記載の連絡通報システムは、非常事態を検知した場合、家にあるコントローラが管理装置に発信先と非常事態の種類を送信し、管理装置では、それらの情報と時間から、発信先と報知情報を報知機器を決定して、各家に通報する。通報を受信した家のコントローラは報知情報の内容にある報知機器により非常事態の発声を報知する。
【0007】
特許文献2には、建造物のセキュリティのために携帯電話端末と小型の基地局(フェムトセル)を用いる基地局及び移動機が記載されている。特許文献2記載の基地局及び移動機は、ドアや窓に設置しているスイッチやフェムトセル基地局の登録者情報などから不審者の侵入を検知した場合、フェムトセル基地局に登録している所定の相手先に警告メッセージを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−319084号公報
【特許文献2】特開2009−206716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の近隣への通報システムでは、屋内外に設備が必要なためコストが高くなる。さらに、屋外設備が故障した場合には非常事態を近隣に通報することができない。
【0010】
また、これまでのフェムトセルを利用したセキュリティシステム場合、非常事態の発生時には事前にフェムトセルに登録している所定の宛先(携帯端末)にメール等で不審者の侵入を通知するものが殆どであった。
【0011】
例えば、特許文献1記載の連絡通報システムは、近隣の住人へ非常事態を通報するためには、屋外に設置されている管理装置を介する構成であるため、管理装置設置のためのコストが高くなる。さらに、管理装置の故障や通信回線の不通により、非常事態を通報できなくなってしまう。
【0012】
また、特許文献2記載の基地局及び移動機は、所定の相手先となっているユーザが警告メッセージを受信した後に、ユーザ自身が現場に駆けつけるか、警察等に通報するなどの対応が求められるため、ユーザあるいは警察等が現場に駆けつけたときには、既に被害にあった後である可能性が高い。
【0013】
本発明の目的は、設備設置のコストや故障のリスクを回避しつつ、非常事態の早期段階で近隣に非常事態を通報することができる基地局及び報知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の基地局は、非常事態発生の検知信号を受付け、受付けた検知信号から非常事態の種類を識別する信号種類識別部と、識別した非常事態の情報に基づいて、送信電力を変更する送信電力制御部と、非常事態の発生を報知する報知情報を生成する報知情報生成部と、非常事態が発生した場合、前記送信電力制御部により変更された送信電力で近隣の基地局に前記報知情報を送信する送受信部と、を備える構成を採る。
【0015】
本発明の報知方法は、基地局を利用した非常事態発生の報知方法であって、前記非常事態発生の検知信号から非常事態の種類を識別するステップと、識別した非常事態の情報に基づいて、送信電力を変更するステップと、非常事態の発生を報知する報知情報を生成するステップと、非常事態が発生した場合、前記変更された送信電力で近隣の基地局に前記報知情報を送信するステップとを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成のため屋外設備の設置コスト高や故障リスクを回避することができる。また、近隣への非常事態の通報が可能となり、非常事態の早期段階(不審者が住居にいる間など)で近所の方々が通報のあった現場に駆けつけることができ、より迅速な対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係るフェムトセル基地局の構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態1に係るフェムトセル基地局の無線送受信部の構成を示すブロック図
【図3】上記実施の形態1に係るフェムトセル基地局の通常時のフェムトセル基地局とセル半径を示す図
【図4】上記実施の形態1に係るフェムトセル基地局の非常事態発生時のフェムトセル基地局とセル半径を示す図
【図5】上記実施の形態1に係るフェムトセル基地局の処理を示すフロー図
【図6】本発明の実施の形態2に係る近隣通報システムのフェムトセル基地局の構成を示すブロック図
【図7】上記実施の形態2に係るフェムトセル基地局の非常事態発生時のフェムトセル基地局300とセル半径を示す図
【図8】上記実施の形態2に係るフェムトセル基地局の処理を示すフロー図
【図9】本発明の実施の形態3に係る近隣通報システムのフェムトセル基地局の構成を示すブロック図
【図10】上記実施の形態3に係るフェムトセル基地局の報知情報生成部の構成を示すブロック図
【図11】上記実施の形態3に係るフェムトセル基地局の非常事態発生時のフェムトセル基地局とセル半径を示す図
【図12】上記実施の形態3に係るフェムトセル基地局の処理を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るフェムトセル基地局の構成を示すブロック図である。図1においては、近隣通報システムに直接関係しない機能ブロックの記載は省略されている。
【0020】
本実施の形態は、フェムトセル基地局をセキュリティに利用した近隣通報システムに適用した例である。
【0021】
図1に示すように、近隣通報システムは、監視機器10と、フェムトセル基地局100とを備える。
【0022】
監視機器10は、火災検知器、ピッキング検知器などの各種屋内セキュリティセンサや、介護救援用及び防犯用のボタン、ビデオカメラなどのモニタ装置などの、屋内の異常を検知する装置である。
【0023】
フェムトセル基地局100は、インタフェース110、信号種類識別部120、送信電力制御部130、記憶部140、報知情報生成部150、アンテナ160aを有する無線送受信部160、及び有線送受信部170を備える。
【0024】
フェムトセル基地局100は、インタフェース110を介して監視機器10に接続されている。また、フェムトセル基地局100は、有線送受信部170を介してインターネット網20に接続されている。
【0025】
インタフェース110は、監視機器10からの情報を信号種類識別部120に送信する。
【0026】
信号種類識別部120は、インタフェース110を介して送信された監視機器10からの信号の種類を識別して、非常事態の種類を判定する。
【0027】
送信電力制御部130は、信号種類識別部120からの情報に基づいて送信電力の制御を行い、非常事態の場合には、送信電力を上げるように無線送受信部160へ通知する。
【0028】
記憶部140は、登録されている携帯端末200(後述する図3及び図4参照。以下同様)に対して非常事態を知らせる報知情報を記憶する。
【0029】
報知情報生成部150は、信号種類識別部120の情報と記憶部140の情報から、非常事態を報知するための報知情報を生成する。報知情報には、各フェムトセル基地局の位置情報や住所・氏名等の非常事態発生場所が特定できる情報が付与される。
【0030】
無線送受信部160は、送信電力制御部130からの信号に基づいて送信電力を可変し、報知情報生成部150からの信号を送信する。また、無線送受信部160は、他フェムトセル基地局から報知情報を受信し、報知情報を受信した際には、記憶部140に登録されている携帯端末200に対して非常事態を知らせる報知情報の送信を行う。
【0031】
有線送受信部170は、自フェムトセル基地局で非常事態の場合、報知情報生成部150と記憶部140からの情報に基づいて、予め登録された携帯端末200に対してインターネット網20を介して、警告メッセージを送信する。
【0032】
図2は、上記無線送受信部160の構成を示すブロック図である。
【0033】
図2に示すように、無線送受信部160は、受信部161、送信部162、及び制御部163を備える。
【0034】
受信部161は、携帯端末200からのデータ及び制御情報を受信する。また、受信部161は、他フェムトセル基地局から送信される報知情報を受信し、受信した報知情報を制御部163に通知する。
【0035】
送信部162は、携帯端末200へのデータ及び制御情報を送信する。また、送信部162は、制御部163の指示に従い、送信電力を可変させて報知情報を送信する。
【0036】
制御部163は、送信電力制御部130からの信号に基づいて、送信電力を送信部162に通知する。また、制御部163は、報知情報生成部150で生成した報知情報を送信部162に送信する。さらに、制御部163は、報知情報を受信した場合には、記憶部140に登録されている携帯端末200に報知情報を送信するように送信部162に通知する。
【0037】
以下、上述のように構成されたフェムトセル基地局100を利用した近隣通報システムの動作について説明する。
【0038】
図3は、通常時(非常事態が発生していない時)のフェムトセル基地局100とセル半径を示す図である。
【0039】
図3に示すように、複数のフェムトセル基地局100−1,100−2が近隣に存在する。フェムトセル基地局100−1,100−2は、図1のフェムトセル基地局100と同一構成である。フェムトセル基地局100−1,100−2は、例えば各住居に監視機器10(図1参照)と共に設置される。
【0040】
フェムトセル基地局100−1から無線信号を用いて送信される信号の及ぶ範囲をフェムトセル基地局境界1−1とする。同様にフェムトセル基地局100−2のフェムトセル基地局境界1−2とする。
【0041】
フェムトセル基地局100−1,100−2は、通常、フェムトセル基地局境界1−1,1−2が一般住居や小規模オフィス等の屋内をカバーする範囲となるように送信電力が設定されている。さらに、フェムトセル基地局100−1,100−2は、事前に登録した携帯端末200のみがアクセスすることが可能となる場合が殆どである。
【0042】
フェムトセル基地局100−2は、予め登録されている携帯端末200のみ通信可能となり、フェムトセル基地局100−1とは通信することができない。
【0043】
図4は、非常事態発生時のフェムトセル基地局100とセル半径を示す図である。
【0044】
図4に示すように、フェムトセル基地局100−1は、非常事態が発生した場合、送信電力を上げる。具体的には、フェムトセル基地局100−1は、監視機器10により非常事態を検知した場合、その非常事態信号に基づいて送信電力制御部130は、送信電力を上げる。フェムトセル基地局100−1は、送信電力を上げることで、セル半径であるフェムトセル基地局境界1−1を広げる。
【0045】
ここでは、図3のフェムトセル基地局境界1−1が、図4のフェムトセル基地局境界1−1まで広がることで、近隣のフェムトセル基地局100−2のフェムトセル基地局境界1−2のセル半径の殆どが含まれる。これにより、フェムトセル基地局100−1は、近隣のフェムトセル基地局100−2との間で非常事態の報知情報を送信が可能となる。
【0046】
フェムトセル基地局100−1は、近隣のフェムトセル基地局100−2へ非常事態の報知情報を送信する。報知情報を受信した近隣のフェムトセル基地局100−2は、登録している携帯端末200に報知情報を送信し、非常事態の発生を通報する。
【0047】
なお、フェムトセル基地局100−1が、近隣のフェムトセル基地局100−2へ送信する報知情報と、近隣のフェムトセル基地局100−2が、登録している携帯端末200に送信する報知情報の形式は、同一でも異なっていてもよい。
【0048】
〔全体動作〕
図1に示すように、フェムトセル基地局100は、インタフェース110を介して監視機器10が接続されている。
【0049】
信号種類識別部120では、インタフェース110を介して送信された監視機器10からの信号の種類を識別して、非常事態の種類を判定する。
【0050】
送信電力制御部130では、信号種類識別部120からの情報に基づいて送信電力の制御を行い、非常事態の場合には、送信電力を上げるように無線送受信部160へ通知する。ここで、送信電力制御部130は、信号種類識別部120からの非常事態の信号種類に応じて、送信電力を上げる程度を切替えてもよい。例えば、送信電力制御部130は、非常事態の緊急度又は深刻度が高い場合は、送信電力をより上げるように制御する。
【0051】
報知情報生成部150では、信号種類識別部120の情報と記憶部140の情報から、非常事態を報知するための報知情報を生成する。報知情報には、フェムトセル基地局の位置情報や住所・氏名等の非常事態発生場所が特定できる情報が付与される。
【0052】
無線送受信部160では、送信電力制御部130からの信号に基づいて送信電力を可変させ、報知情報生成部150からの信号を送信することができる。さらに、他フェムトセル基地局から報知情報受信することができ、報知情報を受信した際には、記憶部140に登録されている携帯端末200に対して非常事態を知らせる報知情報の送信を行う。
【0053】
有線送受信部170では、自フェムトセル基地局で非常事態の場合、報知情報生成部150と記憶部140からの情報に基づいて、予め登録された携帯端末200に対してインターネット網20を介して、警告メッセージを送信する。
【0054】
〔無線送受信部160の動作〕
図2に示すように、無線送受信部160の制御部163は、送信電力制御部130からの信号に基づいて、送信電力を送信部162に通知する。さらに、制御部163は、報知情報生成部150で生成した報知情報を送信部162に送信する。また、制御部163は、報知情報を受信した場合には、記憶部140に登録されている携帯端末に報知情報を送信するように送信部162に通知する。
【0055】
送信部162は、携帯端末へのデータ及び制御情報を送信する。さらに、送信部162は、制御部163の指示に従い、送信電力を可変させて報知情報を送信することが可能である。
【0056】
受信部161は、携帯端末からのデータ及び制御情報を受信する。さらに、受信部161は、他フェムトセル基地局から送信される報知情報を受信することが可能であり、受信した報知情報を制御部163に通知する。
【0057】
図5は、フェムトセル基地局100の処理を示すフローチャートである。
【0058】
フェムト処理のフローが開始されると、ステップS1で、信号種類識別部120は、インタフェース110を介して送信された監視機器10からの情報を常に検知し、非常事態の発生を判定する。具体的には、信号種類識別部120は、インタフェース110を介して送信された監視機器10からの信号の種類を識別して、非常事態の種類を判定する。
【0059】
非常事態の発生を検知した場合は、ステップS2に進み、非常事態の発生を検知しない場合は、ステップS7に進む。
【0060】
ステップS2で、信号種類識別部120は、非常事態の発生を検知した場合、非常事態の種類を識別する。
【0061】
ステップS3で、報知情報生成部150は、信号種類識別部120の情報と記憶部140の情報から、非常事態を報知するための報知情報を生成する。
【0062】
ステップS4で、送信電力制御部130は、信号種類識別部120からの情報に基づいて送信電力の制御を行い、非常事態の場合には、送信電力を上げるように無線送受信部160へ通知する。無線送受信部160は、送信電力制御部130からの信号に基づいて送信電力を上げる送信電力制御を行ってセル半径を広げる。
【0063】
ステップS5で、無線送受信部160は、報知情報生成部150により生成された報知情報を送信する。
【0064】
ステップS6で、有線送受信部170は、報知情報生成部150と記憶部140からの情報に基づいて、有線回線(ここではインターネット網20)を介してフェムト登録ユーザに非常事態が発生した旨を知らせる警告メッセージを送信して本フローを終了する。上記フェムト登録ユーザは、ここでは登録されている携帯端末200である。
【0065】
上記ステップS1で非常事態が発生していない場合には、ステップS7で、無線送受信部160は、他フェムトセル基地局からの報知情報を受信したか否かを判別する。
【0066】
他フェムトセル基地局から報知情報受信した場合、ステップS8で、無線送受信部160は、フェムト登録ユーザへ無線回線を介して報知情報を送信して、非常事態を通報して本フローを終了する。また、上記ステップS7で他フェムトセル基地局から報知情報受信しない場合、そのまま本フローを終了する。
【0067】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、フェムトセル基地局100は、非常事態発生の検知信号を受付け、受付けた検知信号から非常事態の種類を識別する信号種類識別部120と、識別した非常事態の情報に基づいて、送信電力を変更する送信電力制御部130とを備える。また、フェムトセル基地局100は、非常事態の発生を報知する報知情報を生成する報知情報生成部150と、非常事態が発生した場合、送信電力制御部130により変更された送信電力で近隣のフェムトセル基地局に報知情報を送信する無線送受信部160とを備える。また、無線送受信部160は、近隣のフェムトセル基地局から送信された報知情報を受信し、報知情報を受信した場合、登録している無線通信端末に報知情報を送信する。
【0068】
このように、近隣通報システムにフェムトセル基地局100を利用し、非常事態が発生した場合には、非常事態の種類に基づいて送信電力を上げてセル半径を広げ、近隣フェムトセル基地局100−2(図4)報知情報を送信する。さらに、報知情報を受信したフェムトセル基地局100−1は、登録している携帯端末200に対して、報知情報を送信し、非常事態であることを報知する。
【0069】
この構成により、簡易な構成のため屋外設備の設置コスト高や故障リスクを回避することができる。また、近隣への非常事態の通報が可能となり、非常事態の早期段階(不審者が住居にいる間など)で近所の方々が通報のあった現場に駆けつけることができ、より迅速な対応をとることが期待できる。
【0070】
特に、フェムトセル基地局100のみの構成を変更することで近隣への通報システムを実現することが可能となる。通信システムの変更がないことから低コストで実現することができ、システム導入及び運用が容易という利点がある。さらに、近隣で同じ本構成のフェムトセル基地局を使用することで、防犯効果/自衛効果が高くなることが考えられる。
【0071】
(実施の形態2)
実施の形態2は、自フェムトセル基地局圏外の携帯端末への非常事態の報知方法の例である。
【0072】
図6は、本発明の実施の形態2に係る近隣通報システムのフェムトセル基地局の構成を示すブロック図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0073】
図6に示すように、フェムトセル基地局300は、インタフェース110、信号種類識別部120、送信電力制御部130、記憶部140、報知情報生成部150、モード切替/ハンドオーバ(HO:handover)指示部310、アンテナ160aを有する無線送受信部160、及び有線送受信部170を備える。
【0074】
本実施の形態のフェムトセル基地局300は、図1のフェムトセル基地局100に、モード切替/HO指示部310が追加された構成となる。
【0075】
モード切替/HO指示部310は、信号種類識別部120からの信号に基づいて、通信モードを切り替える。モード切替/HO指示部310は、非常事態発生を信号種類識別部120からの情報で検知すると、自フェムトセル基地局に登録してある携帯端末のみとしか通信できないモードを解除して、どの携帯端末からも通信可能なモードに切り替える。さらに、モード切替/HO指示部310は、自フェムトセル基地局に在圏する携帯端末を自フェムトセル基地局にハンドオーバさせるような指示情報を生成することができる。ハンドオーバ(HO)指示の情報は、無線送受信部160に通知され、自フェムトセル基地局に在圏する携帯端末に送信される。
【0076】
以下、上述のように構成されたフェムトセル基地局300を利用した近隣通報システムの動作について説明する。
【0077】
図7は、非常事態発生時のフェムトセル基地局300とセル半径を示す図である。
【0078】
図7に示すように、複数のフェムトセル基地局300−1,300−2が近隣に存在する。フェムトセル基地局300−1,300−2は、図6のフェムトセル基地局300と同一構成である。フェムトセル基地局300−1,300−2は、例えば各住居に監視機器10(図6参照)と共に設置される。
【0079】
フェムトセル基地局300−1から無線信号を用いて送信される信号の及ぶ範囲をフェムトセル基地局境界1−1とする。同様にフェムトセル基地局300−2のフェムトセル基地局境界1−2とする。
【0080】
フェムトセル基地局300−1,300−2は、通常、フェムトセル基地局境界1−1,1−2が一般住居や小規模オフィス等の屋内をカバーする範囲となるように送信電力が設定されている。さらに、フェムトセル基地局300−1,300−2は、事前に登録した携帯端末200のみがアクセスすることが可能となる場合が殆どである。
【0081】
フェムトセル基地局300−2は、通常時、予め登録されている携帯端末200のみ通信可能となり、フェムトセル基地局300−1とは通信することができない。
【0082】
図7に示すように、フェムトセル基地局300−1は、非常事態が発生した場合、送信電力を上げる。具体的には、フェムトセル基地局300−1は、監視機器10により非常事態を検知した場合、その非常事態信号に基づいて送信電力制御部130は、送信電力を上げる。フェムトセル基地局300−1は、送信電力を上げることで、セル半径であるフェムトセル基地局境界1−1を広げる。
【0083】
フェムトセル基地局境界1−1が、広がることで、近隣のフェムトセル基地局300−2のフェムトセル基地局境界1−2のセル半径の殆どが含まれる。これにより、フェムトセル基地局300−1は、近隣のフェムトセル基地局300−2との間で非常事態の報知情報を送信が可能となる。
【0084】
特に、フェムトセル基地局300−1は、自フェムトセル基地局に登録してある携帯端末のみとしか通信できないモードを解除して、どの携帯端末からも通信可能なモードに切り替える。その後、自フェムトセル基地局に在圏する携帯端末200を自フェムトセル基地局にハンドオーバさせ、非常事態が発生していることを携帯端末200に通報する。
【0085】
図8は、フェムトセル基地局300の処理を示すフローチャートである。図5のフローと同一処理には同一ステップ番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0086】
ステップS4で、送信電力制御部130は、信号種類識別部120からの情報に基づいて送信電力の制御を行い、非常事態の場合には、送信電力を上げるように無線送受信部160へ通知する。無線送受信部160は、送信電力制御部130からの信号に基づいて送信電力を上げる送信電力制御を行ってセル半径を広げる。
【0087】
ステップS11で、モード切替/HO指示部310は、通信モードを自フェムトセル基地局に登録してある携帯端末のみとしか通信できないモードを解除して、どの携帯端末からも通信可能なモードに切り替える。
【0088】
ステップS12で、モード切替/HO指示部310は、自フェムトセル基地局に在圏する携帯端末を自フェムトセル基地局にハンドオーバさせるように指示する。
【0089】
ステップS5で、無線送受信部160は、報知情報生成部150により生成された報知情報を送信する。
【0090】
ステップS6で、有線送受信部170は、報知情報生成部150と記憶部140からの情報に基づいて、有線回線(ここではインターネット網20)を介してフェムト登録ユーザに非常事態が発生した旨を知らせる警告メッセージを送信して本フローを終了する。
【0091】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、非常事態が発生した場合、非常事態が発生したフェムトセル基地局300−1がセル半径を広げる。
【0092】
さらに、本実施の形態のフェムトセル基地局300は、モード切替/HO指示部310を備えることで、以下の特有の効果を有する。
【0093】
モード切替/HO指示部310は、(1)モード切替機能によって、信号種類識別部120からの情報に従って、予め登録している所定の宛先以外の携帯端末からも通信可能なモードに切替える。モード切替/HO指示部310は、(2)HO指示機能によって、セル半径を広げたセル内に在圏する携帯端末を強制的に自セルにハンドオーバさせる。ハンドオーバ後に携帯端末に報知情報を送信して、非常事態の発生を直接通報する。
【0094】
図7の例では、非常事態が発生したフェムトセル基地局300−1は、セル半径を広げて、広げたセル内に在圏する全ての携帯端末200を強制的にハンドオーバさせて、非常事態が発生したフェムトセル基地局300−1から携帯端末200に報知情報を送信して、非常事態の発生を直接通報する。
【0095】
なお、モード切替/HO指示部310は、上記(1)モード切替機能、又は(2)HO指示機能のいずれか一つを備える構成でもよく、別ブロックで構成してもよい。
【0096】
これにより、本実施の形態のフェムトセル基地局300は、実施の形態1と同様の効果、すなわち設備設置のコストや故障のリスクを回避しつつ、近隣に非常事態を通報することで、非常事態の早期段階(不審者が住居にいる間など)で、近所の方々が通報のあった現場に駆けつけることができ、より迅速な対応をとることが期待できる。
【0097】
さらに、本実施の形態では、自フェムトセル基地局に予め登録していない携帯端末に対しても通信可能なモードに切り替え、かつ、自フェムトセル基地局内に在圏する携帯端末を自セルにハンドオーバさせ、ハンドオーバさせた携帯端末に非常事態を直接通報する。より広範囲に近隣に非常事態を通報することができ、より一層迅速な対応をとることができる。
【0098】
但し、自フェムトセル基地局内に在圏する携帯端末を自セルにハンドオーバさせることは、該当携帯端末にとっては負担となることも考えられる。この場合、モード切替/HO指示部310は、信号種類識別部120からの情報に従って、より緊急度の高い非常事態のみ、上記モード切替/HO指示を行うようにしてもよい。また、上記(1)モード切替機能、又は(2)HO指示機能のいずれか一つを実行する態様でもよい。さらに、実施の形態1と同様に、信号種類識別部120からの非常事態の信号種類に応じて、送信電力を上げる程度を切替えてもよい。
【0099】
(実施の形態3)
実施の形態3は、フェムトセル基地局境界の更なる拡大を実現する例である。
【0100】
図9は、本発明の実施の形態3に係る近隣通報システムのフェムトセル基地局の構成を示すブロック図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0101】
図9に示すように、フェムトセル基地局400は、インタフェース110、信号種類識別部120、送信電力制御部130、記憶部140、報知情報生成部450、アンテナ160aを有する無線送受信部160、及び有線送受信部170を備える。
【0102】
本実施の形態のフェムトセル基地局400の基本的な構成は、実施の形態1のフェムトセル基地局100の構成と変わらない。
【0103】
報知情報生成部450は、送信電力制御部130に対して最大フェムト経由回数を通知する。
【0104】
図10は、上記報知情報生成部450の構成を示すブロック図である。
【0105】
図10に示すように、報知情報生成部450は、最大フェムト経由回数更新部451、最大フェムト経由回数設定部452、及び報知情報生成部453を備える。
【0106】
最大フェムトセル基地局経由回数更新部451は、他フェムトセル基地局からの非常事態の発生を知らせる報知情報を受信した場合、報知情報内に含まれている最大フェムト経由回数をデクリメントし、報知情報生成部453と送信電力制御部130に更新後の最大フェムト経由回数を通知する。
【0107】
最大フェムト経由回数設定部452は、自フェムトセル基地局で非常事態が発生した場合、信号種類識別部120からの信号により、最大で何回フェムトセル基地局を経由させてセル半径を広げるかを決める最大フェムトセル基地局経由回数を設定する。
【0108】
報知情報生成部453は、フェムトセル基地局の位置情報や住所・氏名等の非常事態発生場所が特定できる情報と、最大フェムトセル基地局経由回数を付与した報知情報とを生成する。
【0109】
以下、上述のように構成されたフェムトセル基地局400を利用した近隣通報システムの動作について説明する。
【0110】
図11は、非常事態発生時のフェムトセル基地局400とセル半径を示す図である。
【0111】
図11に示すように、複数のフェムトセル基地局400−1,400−2,400−3が近隣に存在する。フェムトセル基地局400−1,400−2,400−3は、図10のフェムトセル基地局400と同一構成である。フェムトセル基地局400−1,400−2,400−3は、例えば各住居に監視機器10(図9参照)と共に設置される。
【0112】
フェムトセル基地局400−1から無線信号を用いて送信される信号の及ぶ範囲をフェムトセル基地局境界1−1、フェムトセル基地局400−2のフェムトセル基地局境界1−2、フェムトセル基地局400−3のフェムトセル基地局境界1−3とする。
【0113】
図11に示すように、フェムトセル基地局400−1,400−2,400−3は、非常事態が発生した場合、送信電力を上げる。具体的には、フェムトセル基地局300−1は、監視機器10により非常事態を検知した場合、その非常事態信号に基づいて送信電力制御部130は、送信電力を上げる。フェムトセル基地局400−1,400−2,400−3は、送信電力を上げることで、セル半径であるフェムトセル基地局境界1−1,1−2,1−3を広げる。
【0114】
フェムトセル基地局境界1−1,1−2,1−3が、広がることで、近隣のフェムトセル基地局400−1,400−2,400−3のフェムトセル基地局境界1−1,1−2,1−3のセル半径が重なる。これにより、フェムトセル基地局400−1,400−2,400−3は、近隣のフェムトセル基地局との間で非常事態の報知情報を送信が可能となる。
【0115】
非常事態を検知したフェムトセル基地局400−2は、送信電力を上げることで、フェムトセル基地局境界1−2を広げる。このとき、フェムトセル基地局400−2は、非常事態を知らせるための報知情報の中に最大フェムト経由回数を付加しておき、その報知情報を近隣のフェムトセル基地局400−1,400−3へ送信する。
【0116】
報知情報を受信したフェムトセル基地局400−1,400−3は、まず自フェムトセル基地局登録済みの携帯端末に非常事態を通報する。その後、フェムトセル基地局400−1,400−3は、報知情報内にある最大フェムト経由回数をデクリメントして、経由回数を更新し、その経由回数を新たな最大フェムト経由回数として、報知情報を生成する。
【0117】
その後、フェムトセル基地局400−1,400−3は、送信電力を上げてそれぞれのフェムトセル基地局境界1−1、1−3を広げ、報知情報をフェムトセル基地局へ送信する。最大フェムトセル基地局経由回数をデクリメントして0になったフェムトセル基地局は、送信電力を上げてフェムトセル基地局境界を広げることをしない。
【0118】
このように、連鎖的にフェムトセル基地局境界を擬似的に広げることで、より多くの携帯端末に非常事態を通報することが可能となる。
【0119】
〔報知情報生成部450動作〕
図10に示すように、報知情報生成部450は、最大フェムト経由回数更新部451、最大フェムト経由回数設定部452、及び報知情報生成部453を備える。
【0120】
最大フェムト経由回数設定部452は、自フェムトセル基地局で非常事態が発生した場合、信号種類識別部120からの信号により、最大で何回フェムトセル基地局を経由させてセル半径を広げるかを決める最大フェムトセル基地局経由回数を設定する。上記最大フェムトセル基地局経由回数は、予め設定された値でもよいし、信号種類識別部120(図9)の情報により可変させた値でもよい。
【0121】
そして、最大フェムト経由回数設定部452は、設定した最大フェムトセル基地局経由回数を報知情報生成部453に通知する。
【0122】
報知情報生成部453は、フェムトセル基地局の位置情報や住所・氏名等の非常事態発生場所が特定できる情報と、最大フェムトセル基地局経由回数を付与した報知情報とを生成し、無線送受信部160に通知する。
【0123】
最大フェムトセル基地局経由回数更新部451は、他フェムトセル基地局からの非常事態の発生を知らせる報知情報を受信した場合、報知情報内に含まれている最大フェムト経由回数をデクリメントし、報知情報生成部453と送信電力制御部130に更新後の最大フェムト経由回数を通知する。
【0124】
報知情報生成部453では、最大フェムトセル基地局経由回数更新部451からの通知結果が0でなかったら、最大フェムトセル基地局経由回数更新部451と受信した報知情報から最大フェムトセル基地局更新数だけを変更した報知情報を生成し、無線送受信部160に通知する。
【0125】
送信電力制御部130では、最大フェムトセル基地局経由回数更新部451からの通知結果が零でなかったら、送信電力を上げるように無線送受信部160に指示し、最大フェムトセル基地局経由回数が0だった場合、送信電力を上げる指示を出さない。
【0126】
無線送受信部160は、記憶部からの情報に基づいて予め登録された携帯端末に報知情報を通知する共に、報知情報生成部453により生成された報知情報を他フェムトセル基地局に対して送信する機能を有する。
【0127】
図12は、フェムトセル基地局400の処理を示すフローチャートである。図5のフローと同一処理には同一ステップ番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0128】
ステップS2で、信号種類識別部120は、非常事態の発生を検知した場合、非常事態の種類を識別する。
【0129】
ステップS21では、報知情報生成部450の最大フェムト経由回数設定部452は、信号種類識別部120からの識別情報に基づいて最大フェムトセル基地局経由回数を設定する。
【0130】
ステップS22では、報知情報生成部450の報知情報生成部453は、フェムトセル基地局の位置情報や住所・氏名等の非常事態発生場所が特定できる情報と、最大フェムトセル基地局経由回数を含めた報知情報を生成する。
【0131】
ステップS4で、送信電力制御部130は、信号種類識別部120からの情報に基づいて送信電力の制御を行い、非常事態の場合には、送信電力を上げるように無線送受信部160へ通知する。無線送受信部160は、送信電力制御部130からの信号に基づいて送信電力を上げる送信電力制御を行ってセル半径を広げる。
【0132】
ステップS5で、無線送受信部160は、報知情報生成部450により生成された報知情報を送信する。
【0133】
ステップS6では、有線送受信部170は、報知情報生成部450と記憶部140からの情報に基づいて、有線回線(ここではインターネット網20)を介してフェムト登録ユーザに非常事態が発生した旨を知らせる警告メッセージを送信して本フローを終了する。
【0134】
一方、ステップS1で信号種類識別部120が非常事態の発生を検知せず、ステップS7で無線送受信部160が報知情報を受信した場合には、ステップS8で無線送受信部160は、自フェムトセル基地局に登録しているユーザへ無線回線を介して非常事態を通報する。
【0135】
ステップS23で、報知情報生成部450の最大フェムトセル基地局経由回数更新部451は、受信した報知情報に含まれている最大フェムトセル基地局経由回数をデクリメントする。
【0136】
ステップS24で、報知情報生成部453は、デクリメントした最大フェムト更新回数が0より大きいか否かを判別する。
【0137】
デクリメントした最大フェムト更新回数が0より大きい場合には、ステップS25で、報知情報生成部453は、フェムトセル基地局の位置情報や住所・氏名等の非常事態発生場所が特定できる情報と、最大フェムトセル基地局経由回数を含めた報知情報を生成する。
【0138】
ステップS26で、送信電力制御部130は、信号種類識別部120からの情報に基づいて送信電力の制御を行い、非常事態の場合には、送信電力を上げるように無線送受信部160へ通知する。無線送受信部160は、送信電力制御部130からの信号に基づいて送信電力を上げる送信電力制御を行ってセル半径を広げる。
【0139】
ステップS27で、無線送受信部160は、報知情報生成部450により生成された報知情報を送信して本フローを終了する。
【0140】
上記ステップS24で、デクリメントした最大フェムト更新回数が0以下の場合は、そのまま本フローを終了する。
【0141】
このように、本実施の形態のフェムトセル基地局400は、報知情報生成部450が、最大フェムトセル基地局経由回数を設定する最大フェムトセル経由回数設定部451と、報知情報を受信した場合、最大フェムト経由回数をデクリメントして、経由回数を更新し、その経由回数を新たな最大フェムト経由回数とする最大フェムトセル経由回数更新部452とを備える。送信電力制御部130は、最大フェムトセル経由回数更新部452が最大基地局経由回数をデクリメントして0になった場合、送信電力を変更しない。
【0142】
これにより、連鎖的にフェムトセル基地局境界を擬似的に広げることができ、より多くの携帯端末に非常事態を通報することができる。
【0143】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0144】
例えば、上記各実施の形態では、基地局がフェムトセル基地局で説明したが、基地局はピコセルやマイクロセル、IMCS(Inbuilding Mobile Communication System)等であっても構わない。
【0145】
上記各実施の形態では、フェムトセル基地局、無線通信端末、通信システム及び報知方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、装置は通報システム,フェムトセルシステム、方法は非常事態通報方法等であってもよい。
【0146】
さらに、上記フェムトセル基地局及び無線通信端末を構成する各構成部、例えば送受信部の種類などは前述した実施の形態に限られない。
【0147】
上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0148】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0149】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0150】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適用等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の基地局及び報知方法は、フェムトセル基地局をセキュリティに利用した近隣通報システム、フェムトセルシステム等の用途に有用である。
【符号の説明】
【0152】
10 監視機器
20 インターネット網
100,100−1,100−2,300,300−1,300−2,400,400−1,400−2,400−3 フェムトセル基地局
110 インタフェース
120 信号種類識別部
130 送信電力制御部
140 記憶部
150,450,453 報知情報生成部
160 無線送受信部
170 有線送受信部
200,200−1,200−2 携帯端末
310 モード切替/HO指示部
451 最大フェムトセル経由回数更新部
452 最大フェムトセル経由回数設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常事態発生の検知信号を受付け、受付けた検知信号から非常事態の種類を識別する信号種類識別部と、
識別した非常事態の情報に基づいて、送信電力を変更する送信電力制御部と、
非常事態の発生を報知する報知情報を生成する報知情報生成部と、
非常事態が発生した場合、前記送信電力制御部により変更された送信電力で近隣の基地局に前記報知情報を送信する送受信部と、
を備える基地局。
【請求項2】
前記送受信部は、前記近隣の基地局から送信された前記報知情報を受信し、
前記報知情報を受信した場合、登録している無線通信端末に前記報知情報を送信する、請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記送信電力制御部は、非常事態が発生した場合、送信電力を上げてセル半径を広げる、請求項1記載の基地局。
【請求項4】
前記送信電力制御部は、非常事態の種類又は深刻度に応じて、送信電力を変更してセル半径の広さを変える、請求項1記載の基地局。
【請求項5】
前記報知情報生成部は、非常事態の発生場所を特定可能な基地局の位置情報、住所又は氏名を含む情報を前記報知情報として生成する、請求項1記載の基地局。
【請求項6】
前記報知情報生成部は、前記報知情報として警告メッセージを生成する、請求項1記載の基地局。
【請求項7】
近隣の基地局に送信する前記報知情報と、登録している無線通信端末に送信する前記報知情報とは、同一又は異なる形式の情報である、請求項2記載の基地局。
【請求項8】
非常事態が発生した場合、登録している無線通信端末にのみ通信するモードを解除して、登録していない前記無線通信端末にも通信可能なモードに切り替えるモード切替部を備える、請求項1記載の基地局。
【請求項9】
非常事態が発生した場合、自セルに在圏する無線通信端末に対し、自セルに強制的にハンドオーバさせるハンドオーバ指示部を備える、請求項1記載の基地局。
【請求項10】
前記送受信部は、前記ハンドオーバさせた無線通信端末に前記報知情報を送信する、請求項9記載の基地局。
【請求項11】
監視機器を接続するインタフェースを備え、
前記信号種類識別部は、前記インタフェースを介して入力される前記監視機器の信号により非常事態の種類を識別する、請求項1記載の基地局。
【請求項12】
前記監視機器は、火災検知器、ピッキング検知器を含むセキュリティセンサ、介護救援用及び防犯用のボタン、ビデオカメラのモニタ装置を含む異常検知装置である、請求項11記載の基地局。
【請求項13】
前記報知情報生成部は、最大基地局経由回数を設定する最大基地局経由回数設定部と、
前記報知情報を受信した場合、前記最大フェムト経由回数をデクリメントして、経由回数を更新し、その経由回数を新たな最大フェムト経由回数とする最大基地局経由回数更新部とを備え、
前記送信電力制御部は、前記最大基地局経由回数をデクリメントして0になった場合、送信電力を変更しない、請求項1記載の基地局。
【請求項14】
インターネット網を含む通信網に接続する接続部を備え、
前記接続部は、非常事態が発生した場合、前記通信網に接続して前記報知情報生成部により生成された前記報知情報を送信する、請求項1記載の基地局。
【請求項15】
基地局を利用した非常事態発生の報知方法であって、
前記非常事態発生の検知信号から非常事態の種類を識別するステップと、
識別した非常事態の情報に基づいて、送信電力を変更するステップと、
非常事態の発生を報知する報知情報を生成するステップと、
非常事態が発生した場合、前記変更された送信電力で近隣の基地局に前記報知情報を送信するステップと
を有する報知方法。
【請求項16】
前記近隣の基地局から送信された前記報知情報を受信するステップと、
前記報知情報を受信した場合、登録している端末に前記報知情報を送信するステップとを有する請求項15記載の報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−34096(P2012−34096A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170623(P2010−170623)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】