説明

基地局装置、通信システムおよび通信システムの制御方法

【課題】適切な帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定すること。
【解決手段】
無線端末10と、前記無線端末と無線通信する基地局装置20と、を具備し、前記基地局装置は、前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定する設定部28を備え、前記無線端末は、前記設定された帯域幅の通知を受信すると共に、前記設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、該帯域幅を用いて受信する受信部12を備える、通信システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、通信システムおよび通信システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、無線端末は、基地局の圏内で基地局と無線通信を行なう。基地局は無線端末と通信する帯域幅および送信電力を設定する。
【0003】
例えば、無線端末から基地局に送信する帯域幅と送信電力を変更する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、セルの半径を変更可能とするフェムト基地局が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−262056号公報
【特許文献2】特開2009−130740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基地局装置の中には、送信電力の上限が例えば法令等で定められる場合がある。このように、基地局装置の送信電力の上限が抑制されている場合、基地局装置から無線端末に送信する信号の帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を適切にすることが求められる。
【0006】
基地局装置、通信システムおよび通信システムの制御方法は、適切な帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、無線端末と、前記無線端末と無線通信する基地局装置と、を具備し、前記基地局装置は、前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定する設定部を備え、前記無線端末は、前記設定された帯域幅の通知を受信すると共に、前記設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、該帯域幅を用いて受信する受信部を備える、通信システムを用いる。
【0008】
例えば、無線端末と無線通信する基地局装置であって、前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定する設定部と、前記設定された帯域幅を前記無線端末に通知すると共に、該帯域幅を用いて前記設定された単位帯域幅あたりの送信電力で信号を送信する送信部と、を具備する基地局装置を用いる。
【0009】
例えば、無線端末と、前記無線端末と無線通信する基地局装置を具備する通信システムの制御方法であって、前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定するステップと、前記無線端末は、前記設定された帯域幅の通知を受信すると共に、前記設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、該帯域幅を用いて受信するステップと、を含む通信システムの制御方法を用いる。
【発明の効果】
【0010】
本基地局装置、通信システムおよび通信システムの制御方法によれば、適切な帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る通信システムを含むシステムを示すブロック図である。
【図2】図2(a)から図2(d)は、実施例1の基地局装置および無線端末を示すブロック図である。
【図3】図3(a)から図3(f)は、基地局装置が設定する帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力を示す模式図である。
【図4】図4は、実施例1の基地局装置が行なう処理を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例2の基地局装置を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施例2の無線端末を示すブロック図である。
【図7】図7は、実施例2における基地局装置の状態を示す図である。
【図8】図8(a)から図8(d)は、実施例2において無線端末が基地局装置に通信要求を送信する場合を示す模式図である。
【図9】図9(a)から図9(c)は、実施例2において複数の無線端末が基地局装置に通信要求を送信する場合を示す模式図である。
【図10】図10は、実施例2において無線端末が基地局装置に通信要求する場合のシーケンス図である。
【図11】図11は、図10のステップS18における基地局装置が行なう処理を示すフローチャートである。
【図12】図12は、図11のステップS32における基地局装置が行なう処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は、実施例2において通信中の無線端末が基地局装置に通信終了要求する場合のシーケンス図である。
【図14】図14(a)から図14(d)は、実施例3において基地局装置20が無線端末10aと通信中に、別の無線端末10bが基地局装置20に通信要求する場合の例を示す模式図である。
【図15】図15(a)から図15(d)は、実施例3において基地局装置20が無線端末10aと通信中に、別の無線端末10bが基地局装置20に通信要求する場合の例を示す別の模式図である。
【図16】図16(a)から図16(d)は、実施例3において基地局装置20が無線端末10aと通信中に、別の無線端末10bが基地局装置20に通信要求する場合の例を示すさらに別の模式図である。
【図17】図17は、実施例3における基地局装置20および無線端末10aおよび10bのシーケンス図である。
【図18】図18は、図17のステップS18において基地局装置20が行なう処理を示すフローチャートである。
【図19】図19(a)から図19(d)は、実施例4において基地局装置20が無線端末10cおよび10dと通信中に、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求する場合の例を示す模式図である。
【図20】図20(a)から図20(d)は、実施例4において基地局装置20が無線端末10cおよび10dと通信中に、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求する場合の例を示す別の模式図である。
【図21】図21(a)から図21(d)は、実施例4において基地局装置20が無線端末10cおよび10dと通信中に、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求する場合の例を示すさらに別の模式図である。
【図22】図22は、実施例4における基地局装置20および無線端末10cおよび10dのシーケンス図である。
【図23】図23は、図22のステップS34における基地局装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照に実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1は、フェムトセルシステムの例である。フェムトセルシステムは、マクロ基地局の無線通信エリアとエリアが重なりマクロ基地局よりエリアの狭いフェムト基地局を設置するシステムである。フェムト基地局を用いることにより、マクロ基地局だけを設置した場合に生じる電波不感エリアを解消することや、より無線通信エリアを拡大することができる。このため、加入者宅やビル等の建物内に小型のフェムト基地局を設置する。フェムトセルシステムは、例えば3GPP(3rd Generation Partnership Project) TS 22.220 ver911に規定されている。
【0014】
図1は、実施例1に係る通信システムを含むシステムを示すブロック図である。図1のように、基地局装置30のセルC0内に基地局装置20が配置されている。基地局装置30は、例えばマクロ基地局であり、基地局装置20は、例えばフェムト基地局である。無線端末10(UE:User Equipment)は、セルC0内で基地局装置30と通信R0を行なうことがきる。また、無線端末10は、基地局装置20のセルC1内で基地局装置20と通信R1を行なうことができる。例えばフェムト基地局のような小規模な基地局装置20では、圏内(セルC1内)に存在する無線端末10は少数であることが想定される。基地局装置20は、ネットワークN1を介しネットワークN0に接続されている。基地局装置30は、ネットワークN0と接続されている。ネットワークN0には、他のネットワーク等を介し、例えば無線端末が接続されている。または、例えばアプリケーションサーバが接続されている。ネットワークN1は、例えばインターネットワークであり、ネットワークN0は、例えば通信システムのキャリアのネットワークである。
【0015】
図2(a)および図2(b)は、実施例1のそれぞれ基地局装置および無線端末を示す機能ブロック図である。図2(a)のように、基地局装置20は、送信部22、受信部24、検出部26および設定部28を備えている。送信部22は、無線端末10に信号を送信する。受信部24は、無線端末10から信号を受信する。検出部26は、基地局装置20の圏内の基地局装置20と通信中の無線端末10における基地局装置20からの通信品質を検出する。設定部28は、検出部26の検出結果に基づき、無線端末10に送信する信号の帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定する。
【0016】
図2(b)のように、無線端末10は、受信部12、送信部14および測定部16を備えている。受信部12は、基地局装置20から信号を受信する。送信部14は、基地局装置20に信号を送信する。測定部16は、基地局装置20から受信した信号に基づき通信品質を測定する。例えば、測定部16は、基地局装置20から送信されたパイロット信号の受信電力を測定することにより、通信品質を測定する。測定部16は、測定した通信品質に関する情報を基地局装置20に送信する。例えば、無線端末10が基地局装置20から遠い場合、基地局装置20から無線端末10への電波の伝搬路における損失が大きくなる。このため、通信品質が悪くなる。一方、例えば、無線端末10が基地局装置20に近い場合、電波の伝搬路における損失は小さくなる。このため、通信品質が良くなる。
【0017】
例えば、フェムト基地局において、最大送信電力は、他の電子機器への影響を抑制するため法令で定められる場合がある。最大送信電力は、例えば数10mWである。そこで、実施例1では、最大送信電力は変更せず、設定部28が帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力とを適切に設定する。
【0018】
図2(c)および図2(d)は、実施例1のそれぞれ基地局装置および無線端末を示すブロック図である。図2(c)のように、基地局装置20は、受信機122、送信機124、信号処理回路126およびコントローラ128を備えている。受信機122は、無線端末10から信号を受信する受信部24として機能する。送信機124は、無線端末10へ信号を送信する送信部22として機能する。信号処理回路126は、受信機122において受信した信号、および送信機124から送信する信号を処理する。コントローラ128は、信号処理回路126および送信機124を制御する。信号処理回路126およびコントローラ128は、検出部26および設定部28として機能する。
【0019】
図2(d)のように、無線端末10は、受信機112、送信機114、信号処理回路116およびコントローラ118を備えている。受信機112は、基地局装置20から信号を受信する受信部12として機能する。送信機114は、基地局装置20へ信号を送信する送信部14として機能する。信号処理回路116は、受信機112において受信した信号、および送信機114から送信する信号を処理する。コントローラ118は、信号処理回路116および送信機114を制御する。信号処理回路116およびコントローラ118は、測定部16として機能する。
【0020】
図3(a)から図3(f)は、基地局装置が設定する帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力を示す模式図である。ここで、帯域幅は、例えば基地局装置20が無線端末10の送信する信号の帯域幅である。単位帯域幅当りの送信電力は、例えば基地局装置20が無線端末10に送信する単位帯域幅当りの送信電力である。図3(a)のように、基地局装置20が単位帯域幅当りの送信電力Pを大きくするモードでは、図3(d)のように、基地局装置20は、無線端末10の送信する信号の帯域幅を狭くする。図3(b)のように、基地局装置20が単位帯域幅当りの送信電力Pを小さくするモードでは、図3(e)のように、基地局装置20は、無線端末10の送信する信号の帯域幅を広くする。図3(c)のように、基地局装置20が単位帯域幅当りの送信電力Pをさらに小さくするモードでは、図3(f)のように、基地局装置20は、無線端末10の送信する信号の帯域幅をさらに広くする。
【0021】
図3(a)および図3(d)のように、単位帯域幅当りの送信電力が大きい場合、無線端末10と基地局装置20との通信品質を向上させることができる。しかし、帯域幅が狭いため、信号の伝送レートは低くなる。一方、図3(c)および図3(f)のように、帯域幅が広い場合、無線端末10への信号の伝送レートを高くできる。しかし、単位帯域幅当りの送信電力が小さいため、通信品質は低下する。実施例1では、設定部28が帯域幅および送信電力を適切に設定する。帯域幅は、例えば20MHz、15MHz、10MHzおよび5MHzとすることがきる。例えば、帯域幅が20MHzのときの単位帯域幅当りの送信電力は、帯域幅が5MHzのときの1/4とすることができる。同様に、例えば、帯域幅が20MHzのときの単位帯域幅当りの送信電力は、帯域幅が10MHzのときの1/2とすることができる。
【0022】
図4は、実施例1の基地局装置が行なう処理を示すフローチャートである。例えば、設定部28は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を図3(e)のように設定している。図4を参照し、基地局装置20の検出部26は、無線端末10が測定した通信品質に関する情報を検出する(ステップS100)。設定部28は、通信品質が良いか判断する(ステップS102)。例えば、通信品質が第1の基準品質より良い場合、設定部28はYes、悪い場合Noと判断する。Yesの場合、設定部28は、帯域幅を拡大し、単位帯域幅当りの送信電力を小さくする(ステップS104)。例えば、設定部28は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を図3(f)のように設定する。ステップS102においてNoの場合、設定部28は、通信品質が悪いか判断する(ステップS106)。例えば、通信品質が第2の基準品質より悪い場合、設定部28はYesと判断する。ここで、第2の基準品質は第1の基準品質より小さい値とすることができる。ステップS106においてYesの場合、設定部28は、帯域幅を縮小し、単位帯域幅当りの送信電力を大きくする(ステップS108)。例えば、設定部28は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を図3(d)のように設定する。ステップS106においてNoの場合、設定部28は帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しない(ステップS110)。例えば、設定部28は帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を図3(e)の状態に維持する。
【0023】
なお、図1の基地局装置30においても、予め設定された大域幅と、通信品質に基づいた送信電力とで、信号を送信することができる。
【0024】
実施例1によれば、図4のステップS102からS110のように、設定部28は、検出部26の通信品質の検出結果に基づき、帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力とを設定する。このとき、帯域幅を狭く設定する場合、単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定し、帯域幅を広く設定する場合、単位帯域幅当りの送信電力を小さく設定する。つまり、設定部28は、帯域幅を第1帯域幅から第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、単位帯域幅当りの送信電力を第1送信電力から第1送信電力より大きい第2送信電力に設定する。一方、設定部28は、帯域幅を第2帯域幅から第1帯域幅に設定する場合、単位帯域幅当りの送信電力を第2送信電力から第1送信電力に設定する。これにより、基地局装置20の限られた送信電力の中で帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力を適切に設定することができる。例えば、通信品質が悪い場合は、帯域幅を狭くしかつ単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定する。つまり、設定部28は、第2帯域幅および第2送信電力に設定する。これにより、信号の伝送レートは悪くなるものの通信品質を向上させることができる。一方、通信品質が良い場合は、帯域幅を広くしかつ単位帯域幅当りの送信電力を小さくする。つまり、設定部28は、第1帯域幅および第1送信電力に設定する。基地局装置20の送信部22は、設定された帯域幅を無線端末10に通知すると共に、域幅を用いて設定された単位帯域幅あたりの送信電力で信号を送信する。一方、無線端末10の受信部12は、設定された帯域幅の通知を受信すると共に、設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、帯域幅を用いて受信する。これにより、通信品質が満足できる範囲で伝送レートを向上させることができる。
【0025】
特に、設定部28が、帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力との積が一定になるように帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力を設定することが好ましい。これにより、帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力との積である送信電力を規定された最大限で、帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力とを適切に設定することができる。
【実施例2】
【0026】
実施例2は、実施例1の具体的な例である。図5は、実施例2の基地局装置を示すブロック図である。図5を参照し、通信部32は、アンテナ33を介し無線端末10に信号を送受信する。通信部32は、送信信号を符号化、変調、アナログ化および高周波信号へのアップコンバートを行なう。また、通信部32は、受信信号をベースバンド信号へのダウンコンバート、デジタル化、復調、復号化を行なう。実施例1の送信部22および受信部24は、例えば通信部32に対応する。電力設定部34は、通信部32が送信する単位帯域幅当りの送信電力を設定する。抽出部42は、受信信号中の伝搬路品質報告に関する情報を抽出する。実施例1の検出部26は、抽出部42に対応し、通信品質は、例えば伝搬路の品質に対応する。
【0027】
帯域幅制御部36は、抽出部42が抽出した伝搬路品質報告に基づき、無線端末10に送信する帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力を設定する。実施例1の設定部28は、例えば、帯域幅制御部36に対応する。帯域幅通知部40は、帯域幅制御部36の指示により、無線端末10に帯域幅の変更を通知する。制御部38は、通信の接続処理および接続状態を管理する。例えば、帯域幅制御部36に通信中の無線端末10の数および状態を通知する。報告設定部44は、無線端末10に伝搬品質の報告させるための情報を設定する。また、報告設定部44は、帯域幅通知部40が通知する帯域幅を設定する。
【0028】
図6は、実施例2の無線端末を示すブロック図である。図6を参照し、通信部52は、アンテナ50を介し基地局装置20に信号を送受信する。実施例1の受信部12および送信部14は、例えば通信部52に対応する。抽出部54は、受信信号中の伝搬路品質を報告する設定に関する情報および帯域幅に関する情報を抽出する。品質測定部60は、抽出部54が抽出した伝搬路品質を測定するための設定情報を用い、伝搬路品質を測定する。報告生成部62は、測定した伝搬路品質に関する情報を生成する。制御部58は、通信の接続処理および接続状態を管理する。帯域幅受信部56は、抽出部54が抽出した帯域幅に関する情報を受信し、帯域幅を設定する。
【0029】
図7は、実施例2における基地局装置の状態を示す図である。状態Aは休止状態である。休止状態においては、無線端末10は、基地局装置20の圏内(セルC1内)に存在していない。この状態では、基地局装置20は送信を停止している。状態Bは待ち受け状態である。状態Bにおいては、基地局装置20の圏内に無線端末10が存在するが、基地局装置20と通信中の無線端末10は存在しない。この状態では、設定部28は、帯域幅を最小とし、単位帯域幅当りの送信電力を最大とする。状態Cは、設定中の状態である。状態Bにおいて、無線端末10が基地局装置20に通信要求を行なうと、基地局装置20は、帯域幅および送信電力を設定する。状態Dは通信状態である。状態Cにおいて、帯域幅および送信電力の設定が終了すると、無線端末10と基地局装置20とは通信状態となる。状態Dにおいて、無線端末10が通信終了を要求すると、状態Bとなり、基地局装置20は待ち受け状態となる。状態Bにおいて、無線端末10が圏外に移動すると状態Aの休止状態となる。
【0030】
図8(a)から図8(d)は、実施例2において無線端末10が基地局装置20に通信要求を送信する場合を示す模式図である。図8(a)においては、無線端末10は基地局装置20に近い。このため、通信品質が良い。よって、図8(c)のように、帯域幅制御部36は無線端末10への送信の帯域幅を広くし、単位帯域幅当りの送信電力を小さくする。図8(b)においては、無線端末10は基地局装置20から遠い。このため、通信品質が悪い。よって、図8(d)のように、帯域幅制御部36は無線端末10への送信の帯域幅を狭くし、単位帯域幅当りの送信電力を大きくする。
【0031】
図9(a)から図9(c)は、実施例2において複数の無線端末10が基地局装置20に通信要求を送信する場合を示す模式図である。図9(a)のように、基地局装置20の圏内に無線端末10aおよび10bが存在する。図9(b)のように、無線端末10aおよび10bが通信要求を基地局装置20に送信すると、帯域幅制御部36は、通信品質の悪い無線端末10aまたは10bに対応するように単位帯域幅当りの送信電力を設定する。図9(b)では、無線端末10aが基地局装置20から遠いため、無線端末10aとの通信品質が維持できるように単位帯域幅当りの送信電力を設定する。図9(c)のように、帯域幅制御部36は単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定するため、帯域幅を狭く設定する。
【0032】
図10は、実施例2において無線端末が基地局装置に通信要求する場合のシーケンス図である。すなわち、基地局装置20が図5の状態Bから状態Cを経て状態Dとなる場合のシーケンス図である。基地局装置20は図5の状態Bのように待ち受け状態である(ステップS10)。無線端末10の通信部52が基地局装置20に通信要求する(ステップS12)。基地局装置20の通知部32は、接続応答を送信するとともに、伝搬測定の設定を通知する(ステップS14)。無線端末10の品質測定部60は、通信品質を測定する。無線端末10の通信部52は、通信品質の測定結果を基地局装置20の送信する(ステップS16)。例えば、無線端末10の送信部14は、基地局装置20との通信品質を基地局装置20に送信する。基地局装置20の帯域幅制御部36は、通信品質に基づき送信信号の帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定する(ステップS18)。基地局装置20の通知部52は、無線端末10に帯域幅を通知する(ステップS20)。無線端末10への帯域幅は、例えば、複数の無線端末への共通のシステム情報として送信される。基地局装置20は、設定が完了したか判断する(ステップS22)。Noの場合、ステップS18に戻る。ステップS20においてYesの場合、基地局装置20の通信部52は、通信設定の開始を無線端末10に送信する(ステップS24)。無線端末10の通信部32は、通信設定完了を基地局装置20に送信する(ステップS26)。基地局装置20と無線端末10とは、設定された送信帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力で無線端末10と通信を行なう(ステップS28)。
【0033】
図11は、図10のステップS18における基地局装置が行なう処理を示すフローチャートである。図11のように、基地局装置20の抽出部42は、全ての無線端末10から通信品質を検出する(ステップS30)。帯域幅制御部36は、通信品質に基づき、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定する(ステップS32)。
【0034】
図12は、図11のステップS32における基地局装置が行なう処理を示すフローチャートである。帯域幅制御部36は、N=0とする(ステップS40)。ここで、Nは、以下で帯域幅を変更した回数を示す自然数である。帯域幅制御部36は、NがMAX以上か判断する(ステップS42)。ここで、MAXは帯域幅を変更する最大数である。例えば、帯域幅を20MHz、15MHz、10MHzおよび5MHzと4段階に設定できる場合、MAXを4とすることができる。ステップS42においてNoの場合、抽出部42は、無線端末10の通信品質を検出する(ステップS43)。例えば、全ての無線端末10から通信品質を受信する。
【0035】
帯域幅制御部36は、複数の無線端末10のうち最も悪い通信品質Wを抽出する(ステップS44)。帯域幅制御部36は、WがTHup以上か判断する(ステップS46)。ここで、Thupは帯域幅を1ランク拡大するしきい値である。Yesの場合、帯域幅制御部36は、送信部22が無線端末10に送信する帯域幅を1ランク広げる。例えば、これまでの帯域幅が5MHzであった場合、帯域幅を10MHzとする。設定部28は、帯域幅の拡大に対応し単位帯域幅当りの送信電力を小さくする。
【0036】
ステップS46においてNoの場合、帯域幅制御部36は、WがThdown以下か判断する(ステップS48)。ここで、Thdownは帯域幅を1ランク縮小するしきい値である。Yesの場合、帯域幅制御部36は、通信部32が無線端末10に送信する帯域幅を1ランク縮小する。例えば、これまでの帯域幅が20MHzであった場合、帯域幅を15MHzとする。帯域幅制御部36は、帯域幅の縮小に対応し単位帯域幅当りの送信電力を大きくする。ステップS48においてNoの場合、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力の変更を行わない(ステップS52)。
【0037】
帯域幅制御部36は帯域幅通知部40を介し、全ての無線端末10に帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を通知する(ステップS56)。帯域幅制御部36はNをインクリメントする(ステップS58)。帯域幅制御部36は、無線端末10から帯域幅の設定を受信する。これにより、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力が設定される(ステップS60)。ステップS42に戻る。ステップS42においてYesの場合終了する。このように、ステップS42からS60をMAX回行なうことにより、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力が設定される。なお、ステップS52を通過していれば、NがMAXより小さくともステップS42においてYesと判断してもよい。
【0038】
図12のように、圏内に無線端末10が複数存在する場合、帯域幅制御部36は、最も通信品質が悪い無線端末に対応する帯域幅および前記送信電力に設定する。これにより、圏内の全ての無線端末10の通信品質を確保することができる。
【0039】
図13は、実施例2において通信中の無線端末が基地局装置に通信終了要求する場合のシーケンス図である。すなわち、基地局装置20が図5の状態Dから状態Bとなる場合のシーケンス図である。図13を参照し、無線端末10は基地局装置20と通信を行っている(ステップS18)。例えば、無線端末10は、基地局装置20に通信品質の測定結果を報告する(ステップS16)。無線端末10は、基地局装置20に通信終了要求を送信する(ステップS30)。基地局装置20は、無線端末10に通信終了の応答を送信する(ステップS32)。基地局装置20の帯域幅制御部36は、設定の確認として、他の無線端末10が接続されていないことを確認する(ステップS34)。帯域幅制御部36は、帯域幅を最も狭くし、単位帯域幅当りの送信電力を最も大きくする(ステップS36)。この状態で、基地局装置20は待ち受け中となる(ステップS38)。待ち受け状態においては、基地局装置20は、圏内の無線端末10の通信品質を認識できない。しかし、基地局装置20は圏内の未接続の無線端末10に間欠的に信号を送信する。そこで、帯域幅制御部36は、単位帯域幅当りの送信電力を最大とする。これにより、圏内の未接続の無線端末10に間欠的な信号を送信することができる。
【実施例3】
【0040】
実施例3は、基地局装置20が1または複数の無線端末10aと通信中に、別の無線端末10bが基地局装置20に通信要求した場合の例である。基地局装置20および無線端末10のブロック図は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0041】
図14(a)から図14(d)は、実施例3において基地局装置20が無線端末10aと通信中に、別の無線端末10bが基地局装置20に通信要求する場合の例を示す模式図である。図14(a)を参照し、無線端末10aが基地局装置20と通信を行っている。無線端末10aは無線端末10bより基地局装置20から遠くに位置している。無線端末10bは、基地局装置20と通信を行っていない。無線端末10aが基地局装置20から遠いため、図14(c)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅を狭くし、単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定している。
【0042】
図14(b)を参照し、無線端末10bが基地局装置20に通信要求を送信する。無線端末10aの方が無線端末10bより基地局装置20から遠いため、無線端末10aの通信品質は無線端末10bより悪い。よって、図14(d)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅を狭くし、単位帯域幅当りの送信電力を大きい設定のまま維持する。
【0043】
図15(a)から図15(d)は、実施例3において基地局装置20が無線端末10aと通信中に、別の無線端末10bが基地局装置20に通信要求する場合の例を示す別の模式図である。図15(a)を参照し、無線端末10aは無線端末10bより基地局装置20の近くに位置している。無線端末10bは、基地局装置20と通信は行っていない。無線端末10bが基地局装置20に近いため、図15(c)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅を広くし、単位帯域幅当りの送信電力を小さく設定している。
【0044】
図15(b)を参照し、無線端末10bが基地局装置20に通信要求を送信する。無線端末10bの方が無線端末10aより基地局装置20から遠いため、無線端末10bの通信品質は無線端末10aより悪い。よって、図15(d)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅を狭くし、単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定する。
【0045】
図16(a)から図16(d)は、実施例3において基地局装置20が無線端末10aと通信中に、別の無線端末10bが基地局装置20に通信要求する場合の例を示すさらに別の模式図である。図16(a)および図16(c)は図15(a)および図15(c)と同じであり説明を省略する。すなわち、図16(c)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅を広くし、単位帯域幅当りの送信電力を小さく設定している。
【0046】
図16(b)を参照し、無線端末10bが基地局装置20に通信要求を送信する。しかし、基地局装置20は、無線端末10bの接続を許可しない。よって、図15(d)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅を広くし、単位帯域幅当りの送信電力を小さくした設定を維持する。
【0047】
図17は、実施例3における基地局装置20および無線端末10aおよび10bのシーケンス図である。無線端末10aと基地局装置20とが通信中である(ステップS70)。無縁端末10bは基地局装置20に通信要求を送信する(ステップS12)。ステップS14からS18は実施例2の図10と同じであり説明を省略する。ステップS20において、基地局装置20は、帯域幅通知を無線端末10aおよび10bに行なう。ステップS22の後、基地局装置20は無線端末10aと通信を再開する(ステップS72)。ステップS26およびS28は図10と同じ処理であり説明を省略する。
【0048】
図18は、図17のステップS18において基地局装置20が行なう処理を示すフローチャートである。抽出部42は、現在接続中の無線端末10a(好ましくは全ての無線端末)から通信品質を検出する(ステップS74)。抽出部42は、新たに通信要求した無線端末10bの通信品質を抽出する(ステップS76)。帯域幅制御部36は、無線端末10aが現在の帯域幅で通信可能か判断する(ステップS78)Noの場合終了する。Yesの場合、帯域幅制御部36は、無線端末10aが優先モードか判断する(ステップS80)。Noの場合、終了する。すなわち、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しない。ステップS80においてYesの場合、図12と同様に、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力の設定を行なう(ステップS32)。
【0049】
ここで、無線端末10は、基地局装置20との間の通信モードとして、第1通信モードと、第1通信モードより優先度の低い第2通信モードを備えている。通信モードの優先度は、例えばQoS(Quality of Service)品質、例えばベアラの優先度によって定める。例えば、通信モードの優先度としては、緊急連絡、音声通話、ストリーミングサービス、ウエブサービス等がある。実施例3では、例えばある優先度以上の通信を第1通信モード、第1通信モード以外のモードを第2通信モードとすることができる。
【0050】
実施例3の図15(a)によれば、新たに通信要求を行った無線端末10bの通信品質が、圏内の1または複数の基地局装置20と通信中の無線端末10aのうち最も通信品質が悪い無線端末より悪い。この場合、図15(d)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅を設定されていた値より狭くかつ単位帯域幅当りの送信電力を設定されていた値より大きく設定する。これにより、新たに通信要求を行った無線端末10bの通信品質が悪い場合も、適切に単位帯域幅当りの送信電力を設定することができる。一方、図16(a)のように、無線端末10bの通信品質が最も通信品質が悪い無線端末10aより良い場合、図16(d)のように帯域幅制御部36は、帯域幅および送信電力を変更しない。これにより、無線端末10aは、帯域幅を確保し信号の伝送レートを確保することができる。
【0051】
また、図18のステップS80のように、無線端末10bが第2通信モードの場合、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しない。これにより、無線端末10bの通信品質が、圏内の通信中の1または複数の無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末より悪い場合であっても、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しない。基地局装置20が送信する信号の帯域幅を変更すると、基地局装置20と無線端末10aとの通信が一時途絶えることがある。実施例3では、無線端末10bの通信が優先度が低い場合、基地局装置20は、無線端末10bの接続を拒否し、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しないことができる。
【0052】
また、基地局装置20は、無線端末10aと無線端末10bとの優先度を比較し、無線端末10bの優先度が高ければ、無線端末10bの接続を許可してもよい。基地局装置20は、無線端末10bの優先度が低ければ、無線端末10bの接続を拒否してもよい。
【実施例4】
【0053】
実施例4は、基地局装置20が複数の無線端末10cおよび10dと通信中に、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求した場合の例である。基地局装置20および無線端末10のブロック図は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0054】
図19(a)から図19(d)は、実施例4において基地局装置20が複数の無線端末10cおよび10dと通信中に、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求する場合の例を示す模式図である。図19(a)を参照し、無線端末10cおよび10dが基地局装置20と通信を行っている。無線端末10cは無線端末10dより基地局装置20から遠くに位置している。図19(c)のように、帯域幅制御部36は、無線端末10cとの通信品質が確保できるように帯域幅を狭く、単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定している。
【0055】
図19(b)を参照し、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求を送信する。無線端末10cの方が無線端末10dより基地局装置20から遠いため、無線端末10cの通信品質は無線端末10dより悪い。よって、図19(d)のように、無線端末10dと基地局装置20との接続が遮断されても、帯域幅制御部36は、帯域幅を狭くし、単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定したままとする。
【0056】
図20(a)から図20(d)は、実施例4において基地局装置20が無線端末10cおよび10dと通信中に、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求する場合の例を示す別の模式図である。図20(a)を参照し、無線端末10cは無線端末10dに比べ基地局装置20の近くに位置している。図20(c)のように、帯域幅制御部36は、無線端末10dとの通信品質が確保できるように帯域幅を狭く、単位帯域幅当りの送信電力を大きく設定している。
【0057】
図20(b)を参照し、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求を送信する。通信を終了する無線端末10dの方が無線端末10cより基地局装置20から遠い。よって、図20(d)のように、帯域幅制御部36は、無線端末10cと通信品質が保てる程度に、帯域幅を広くし、単位帯域幅当りの送信電力を小さく設定する。
【0058】
図21(a)から図21(d)は、実施例4において基地局装置20が無線端末10cおよび10dと通信中に、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求する場合の例を示すさらに別の模式図である。図21(a)および図21(c)は図20(a)および図20(c)と同じであり説明を省略する。
【0059】
図21(b)を参照し、無線端末10dが基地局装置20に通信終了要求を送信する。これにより、無線端末10dは基地局装置20との通信を終了する。しかし、無線端末10cは優先度の高い通信を行っている。このため、図15(d)のように、帯域幅制御部36は、帯域幅の変更を行わない。
【0060】
図22は、実施例4における基地局装置20および無線端末10cおよび10dのシーケンス図である。無線端末10cおよび10dと基地局装置20とが通信中である(ステップS28)。無線端末10dは基地局装置20に通信終了要求を送信する(ステップS30)。基地局装置20は無線端末10dに通信終了の応答を送信する(ステップS32)。基地局装置20は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力の設定を判断する(ステップS34)。基地局装置20は無線端末10cに帯域幅を通知する(ステップS20)。基地局装置20は、設定が完了したか判断する(ステップS22)。Noの場合、ステップS34に戻る。ステップS20においてYesの場合、基地局装置20と無線端末10cとは通信を再開する(ステップS72)。
【0061】
図23は、図22のステップS34における基地局装置の処理を示すフローチャートである。抽出部42は、現在接続中の複数の無線端末10cおよび10d(好ましくは全ての無線端末)から通信品質を検出する(ステップS84)。抽出部42は、通信終了を要求した無線端末10dの通信品質Yを抽出する(ステップS86)。帯域幅制御部36は、接続を継続する無線端末10c内に通信品質Yより悪い無線端末が存在するか判断する(ステップS88)。Yesの場合、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更せず終了する。Noの場合、帯域幅制御部36は、通信を継続する無線端末10c内に第1優先モードの無線端末があるか判断する(ステップS90)。Yesの場合、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更せず終了する。Noの場合、図12と同様に、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力の設定を行なう(ステップS32)。
【0062】
実施例4の図20(a)の場合、新たに通信終了要求を行った無線端末10dの通信品質が、圏内の通信中の複数の無線端末10cのうち最も通信品質が悪い無線端末である。この場合、図20(d)のように帯域幅制御部36は、帯域幅を設定されていた値より広くかつ単位帯域幅当りの送信電力を設定されていた値より小さく設定する。これにより、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を通信を継続する無線端末に合わせることができる。一方、図19(a)のように、無線端末10dの通信品質が最も通信品質が悪い無線端末でない場合、図19(d)のように帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しない。これにより、通信を継続する無線端末10cの通信品質を維持することができる。
【0063】
図23のステップS90のように、通信を継続する無線端末10cが第1通信モードの場合、帯域幅制御部36は、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しない。これにより、帯域幅制御部36は、無線端末10dの通信品質が、最も通信品質が悪い無線端末である場合であっても、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を変更しない。これにより、優先度の高い通信において、通信が途絶えることを抑制することができる。
【0064】
実施例1から実施例4において、基地局装置20としてフェムト基地局、基地局装置30としてマクロ基地局の例を説明したが、基地局装置20および30は、その他の基地局でもよい。実施例1から実施例4において、基地局装置30は、基地局装置20と同様に帯域幅と単位帯域幅当りの送信電力とを設定してもよい。実施例1から実施例4において、基地局装置30のセルC0内に、1つの基地局装置20が存在する例を示したが、例えば、複数の基地局装置20が存在するものとしてもよい。この場合、各基地局装置20がそれぞれ、セル間干渉を含む伝播環境を反映した受信品質に基づいて、帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定することで、システム全体として適切な設定を行うことができる。実施例1から実施例4において、設定部28または帯域幅制御部36は、基地局装置20から無線端末10に送信される信号の帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を設定する場合を説明した。設定部28または帯域幅制御部36は、無線端末10から基地局装置20に送信される信号の帯域幅および単位帯域幅当りの送信電力を、基地局装置20から無線端末10に送信される信号と連動し設定してもよい。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0066】
以上、実施例1〜4を含む実施形態に関し、さらに、以下に付記を開示する。
【0067】
付記1:無線端末と、前記無線端末と無線通信する基地局装置と、を具備し、前記基地局装置は、前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定する設定部を備え、前記無線端末は、前記設定された帯域幅の通知を受信すると共に、前記設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、該帯域幅を用いて受信する受信部を備える、通信システム。
付記2:前記基地局装置は、前記無線端末の通信品質を検出する検出部を備え、前記設定部は、前記通信品質が第1基準品質より良い場合、前記第1帯域幅かつ第1送信電力に設定し、前記通信品質が第2基準品質より悪い場合、第2帯域幅かつ前記第2送信電力に設定する付記1記載の通信システム。
付記3:前記基地局装置と通信する前記無線端末が複数存在する場合、前記設定部は、最も通信品質が悪い無線端末に対応する前記帯域幅および前記送信電力に設定する付記2記載の通信システム。
付記4:通信要求を行った無線端末の通信品質が、前記基地局装置と通信中の前記無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末より悪い場合、前記設定部は、前記帯域幅を設定されていた帯域幅より狭くかつ前記送信電力を設定されていた送信電力より大きく設定し、前記通信要求を行った無線端末の通信品質が前記最も通信品質が悪い無線端末より良い場合、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない付記1から3のいずれか一項記載の通信システム。
付記5:前記無線端末は、第1通信モードと、前記第1通信モードより優先度の低い第2通信モードと、を備え、前記通信要求を行った無線端末が前記第2通信モードの場合、前記通信要求を行った無線端末の通信品質が、前記通信中の無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末より悪い場合であっても、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない付記4記載の通信システム。
付記6:通信終了要求を行った無線端末の通信品質が、前記基地局装置と通信中の無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末である場合、前記設定部は、前記帯域幅を設定されていた帯域幅より広くかつ前記送信電力を設定されていた送信電力より小さく設定し、前記通信終了要求を行った無線端末の通信品質が前記最も通信品質が悪い無線端末でない場合、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない付記1から3のいずれか一項記載の通信システム。
付記7:前記無線端末は、第1通信モードと、前記第1通信モードより優先度の低い第2通信モードと、を備え、前記通信終了要求を行った無線端末以外の無線端末の少なくも1つが前記第1通信モードの場合、前記通信終了要求を行った無線端末の通信品質が前記通信中の無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末である場合でも、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない付記6記載の通信システム。
付記8:前記基地局装置の圏内に無線端末が存在するが、前記基地局装置と通信中の無線端末は存在しない場合、前記設定部は、前記帯域幅を最小とし、前記送信電力を最大とする付記1から7のいずれか一項記載の通信システム。
付記9:前記無線端末は、前記基地局装置との通信品質を前記基地局装置に送信する送信部、を備える付記1から8のいずれか一項記載の通信システム。
付記10:前記設定部は、前記帯域幅と前記送信電力との積が一定になるように前記帯域幅と前記送信電力とを設定する付記1から9のいずれか一項記載の通信システム。
付記11:前記通信システムは、マクロ基地局装置とマクロ基地局装置よりエリアが狭く前記マクロ基地局装置のエリアと重なるフェムト基地局装置とを備え、前記基地局装置は、前記フェムト基地局装置である付記1から10のいずれか一項記載の通信システム。
付記12:無線端末と無線通信する基地局装置であって、前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定する設定部と、前記設定された帯域幅を前記無線端末に通知すると共に、該帯域幅を用いて前記設定された単位帯域幅あたりの送信電力で信号を送信する送信部と、を具備する基地局装置。
付記13:無線端末と、前記無線端末と無線通信する基地局装置を具備する通信システムの制御方法であって、前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定するステップと、前記無線端末は、前記設定された帯域幅の通知を受信すると共に、前記設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、該帯域幅を用いて受信するステップと、
を含む通信システムの制御方法。
【符号の説明】
【0068】
10 無線端末
12 受信部
14 送信部
20 基地局装置
22 送信部
24 受信部
26 検出部
28 設定部
30 基地局装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と、前記無線端末と無線通信する基地局装置と、を具備し、
前記基地局装置は、
前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定する設定部を備え、
前記無線端末は、前記設定された帯域幅の通知を受信すると共に、前記設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、該帯域幅を用いて受信する受信部を備える、通信システム。
【請求項2】
前記基地局装置は、前記無線端末の通信品質を検出する検出部を備え、
前記設定部は、前記通信品質が第1基準品質より良い場合、前記第1帯域幅かつ第1送信電力に設定し、前記通信品質が第2基準品質より悪い場合、第2帯域幅かつ前記第2送信電力に設定する請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記基地局装置と通信する前記無線端末が複数存在する場合、前記設定部は、最も通信品質が悪い無線端末に対応する前記帯域幅および前記送信電力に設定する請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
通信要求を行った無線端末の通信品質が、前記基地局装置と通信中の前記無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末より悪い場合、前記設定部は、前記帯域幅を設定されていた帯域幅より狭くかつ前記送信電力を設定されていた送信電力より大きく設定し、
前記通信要求を行った無線端末の通信品質が前記最も通信品質が悪い無線端末より良い場合、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない請求項1から3のいずれか一項記載の通信システム。
【請求項5】
前記無線端末は、第1通信モードと、前記第1通信モードより優先度の低い第2通信モードと、を備え、
前記通信要求を行った無線端末が前記第2通信モードの場合、前記通信要求を行った無線端末の通信品質が、前記通信中の無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末より悪い場合であっても、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
通信終了要求を行った無線端末の通信品質が、前記基地局装置と通信中の無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末である場合、前記設定部は、前記帯域幅を設定されていた帯域幅より広くかつ前記送信電力を設定されていた送信電力より小さく設定し、
前記通信終了要求を行った無線端末の通信品質が前記最も通信品質が悪い無線端末でない場合、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない請求項1から3のいずれか一項記載の通信システム。
【請求項7】
前記無線端末は、第1通信モードと、前記第1通信モードより優先度の低い第2通信モードと、を備え、
前記通信終了要求を行った無線端末以外の無線端末の少なくも1つが前記第1通信モードの場合、前記通信終了要求を行った無線端末の通信品質が前記通信中の無線端末のうち最も通信品質が悪い無線端末である場合でも、前記設定部は、前記帯域幅および前記送信電力を変更しない請求項6記載の通信システム。
【請求項8】
前記無線端末は、前記基地局装置との通信品質を前記基地局装置に送信する送信部、を備える請求項1から7のいずれか一項記載の通信システム。
【請求項9】
無線端末と無線通信する基地局装置であって、
前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定する設定部と、
前記設定された帯域幅を前記無線端末に通知すると共に、該帯域幅を用いて前記設定された単位帯域幅あたりの送信電力で信号を送信する送信部と、
を具備する基地局装置。
【請求項10】
無線端末と、前記無線端末と無線通信する基地局装置を具備する通信システムの制御方法であって、
前記基地局装置が前記無線端末に送信する信号の帯域幅を第1帯域幅から前記第1帯域幅より狭い第2帯域幅に設定する場合、前記基地局装置が前記無線端末に送信する前記信号の単位帯域幅あたりの送信電力を第1送信電力から前記第1送信電力より大きい第2送信電力に設定し、前記帯域幅を前記第2帯域幅から前記第1帯域幅に設定する場合、前記送信電力を前記第2送信電力から前記第1送信電力に設定するステップと、
前記無線端末は、前記設定された帯域幅の通知を受信すると共に、前記設定された単位帯域幅当りの送信電力で送信された信号を、該帯域幅を用いて受信するステップと、
を含む通信システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−193365(P2011−193365A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59523(P2010−59523)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】