説明

基材上での微結晶シリコン堆積方法

本発明は、プラズマチャンバシステム内で基材上に微結晶シリコンを堆積するための方法であって、プラズマチャンバシステムが、プラズマ開始前には、少なくとも1種の反応性のシリコン含有ガスと水素を、または水素だけを含むステップ、プラズマを開始するステップ、プラズマ開始後、チャンバシステムに連続的に反応性のシリコン含有ガスだけを供給するか、またはプラズマ開始後、チャンバシステムに連続的に反応性のシリコン含有ガスおよび水素を含む少なくとも1種の混合物を供給し、その際、チャンバ内に供給する際の反応性のシリコン含有ガスの濃度を0.5%超に調整するステップ、およびプラズマ出力を、0.1〜2.5W/cm電極面の間に調整するステップ、0.5nm/s超の堆積速度を選択し、かつ微結晶層を基材上に1000ナノメートル未満の厚さで堆積するステップ、を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上での微結晶シリコン堆積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微結晶シリコン(μc−Si:H)は、特に太陽電池において吸収材として利用される材料である。微結晶シリコンは、今日では多くの研究所でPECVD法(プラズマ促進化学蒸着)により、シリコン含有ガス(典型的にはシラン)および水素から製造される。
【0003】
様々な堆積方式で、微結晶シリコンから成る高品質の層を堆積させることができる。典型的にはPECVD法において、シラン/水素の混合物をプラズマチャンバに入れ、対応する量のガスをポンプで排出し、その一方で同時にプラズマチャンバ内でプラズマを燃焼させ、このプラズマが、シラン分子および水素分子の解離を引き起こし、したがって成長する微結晶シリコン層のための前駆生成物の発生を引き起こす。PECVDによる堆積の場合、シラン濃度(=シラン流量/(シラン流量および水素流量の合計))は、標準的な工業用周波数13.56MHzで典型的には約1%、VHF帯の励起周波数では一般的に10%未満である。水素は、層の成長に影響を及ぼすために必要になる。ただし製造されたシリコン層には、使用した水素の少量、典型的には10%未満しか取り込まれない。残りの水素はポンプで排出される。
【0004】
従来技術から、太陽電池製造費の一要因である水素消費を低減させ得る、PECVDによる微結晶シリコン堆積方法が知られている。
【0005】
1.「密閉チャンバCVD法」(CC−CVD)。研究されたこのプロセスは、周期的(非連続的)に進行し、基本的に2つのプロセスステップを含む。第1のステップでは、小量の反応性プロセスガス(シリコン含有ガス、例えばSiHまたはCH/SiH混合物)が、水素に対する反応性ガスの比率約25%でチャンバを通って流れる。このステップは、プロセス周期後のガス雰囲気を再生に役立つ。この期間、プラズマは低出力(約10W)で燃焼し、これにより極薄のシリコン層が堆積される。その後の第2のステップでは、チャンバから外へのポンプ出力もチャンバ内へのガス供給も中断される。水素供給の停止を遅らせることにより、堆積圧力が上昇し、シラン濃度が約5%に低下する。これでプラズマは約60Wでさらに燃焼する。プロセスガスは徐々に分解され、堆積層はさらに成長する。同時に正反対の効果が生じる。Hラジカルにより層がエッチングされる。エッチング速度は、プラズマにおける水素の割合が高くなるにつれ、最終的に層成長とエッチングの均衡が達成されるまで次第に高くなっていく。弱結合している原子は優先的にエッチングされ、これにより最終的にはより強い結合によるネットワークが形成される。全体の堆積プロセスは、この両方のステップの絶え間ない連続として(一層ずつ)、所望の層厚まで行われる。90%を超える結晶質体積割合が報告されている。しかしながらプロセス条件が周期的に変化することにより、このプロセスは非常に手間がかかる。このプロセスは、標準的に使用されているPECVD法とは根本的に異なっており、これまではまだ工業での使用には適していない。この方法ではこれまでまだ太陽電池を実現できてもいない。
【0006】
2.「静的密閉チャンバ法」(VHFGD)。この「超短波グロー放電」(VHFGD)堆積法は、水素をその都度投入しない連続的なプロセスである。堆積チャンバ(プラズマチャンバ)は完全には隔絶されていない。チャンバに少量のシラン流を入れ、同時に対応する量のガスをポンプで排出する。この堆積は、VHF励起および低圧(0.1mbar)で行われる。シランからシリコンが堆積される際に水素が遊離する。少ないシランガス流量は、シラン欠乏を生じさせる。当初は速いシリコン堆積は、解離された水素の増加によって減速される。約1分後には、比率[SiH]/[Hα]が低い静的条件に支配され、この条件では連続的な微結晶成長が可能になる。この堆積は、純粋なシランプラズマで始まり、後になってからシランの分解により水素が加わるので、堆積された層は、顕著なアモルファスインキュベーション層(約0.1nm)を第1の層として有している。これは、部材、特に太陽電池でこのような層を使用する場合に、機能を明らかに低下させるおそれがある。こうして、吸収層をこの方法で製造した太陽電池では、2.5%の効率しか達成できなかった。
【0007】
3.DE10308381A1(特許文献1)からは、同様に水素消費が少ない、吸収層のための微結晶シリコン堆積方法が知られている。このために多量の水素で始め、プラズマ開始後は水素供給を極端に下げる。しかしながら方法1.および2.とは異なりこの方法では、最大7%の明らかにより高い太陽電池効率を達成することができる。
【0008】
太陽電池製造方法の工業的適用性に関しては、水素消費の他に、時間単位ごとの生産個数が重要な基準である。したがってnm/sでの堆積速度が予め定まっている場合は、太陽電池の厚さが基準となる。
【0009】
Vetterlら(O. Vetterl、A. Lambertz、A. Dasgupta、F. Finger、B. Rech、O. Kluth、H. Wagner (2006)、Thickness dependence of microcrystalline silicon solar cell properties、Solar Energy Materials & Solar Cells 66、345〜351頁)(非特許文献1)から、μc−Si:H吸収層(i層)の層厚が<1μmの場合、開放電圧(VOC)、短絡電流密度(JSC)およびフィルファクタ(FF)からの積としてのμc−Si:H単層型太陽電池の達成可能な効率ηが、明らかに減少することが知られている。したがって実際上はμc−Si:H吸収層には層厚>1μmが、最適化された太陽電池と認められた。これにより単層型太陽電池は、ZnO/Agバックコンタクトを使用する場合、8%以上の効率で提供される。光に面していない側をバックコンタクトと言う。光に面した側はフロントコンタクトと言う。
【0010】
Rath(J. K. Rath (2003)、Low temperature polycrystalline silicon: a review on deposition, physical properties and solar cell applications、Solar Energy Materials & Solar Cells 76、431〜487頁)(非特許文献2)から、μc−Si:H吸収層の堆積速度パラメータも同様に、後のセルの効率パラメータに悪影響を及ぼすことが知られている。吸収層の堆積速度を高く選択すればするほど、達成可能なセル効率は低くなる。したがって例えばプラズマ出力を0.3W/cm電極面より高く引き上げることによるμc−Si:H吸収層の堆積速度の上昇は、プラズマの励起周波数が13.56MHzの場合、不都合にも、約1000〜2000ナノメートルの標準層厚のμc−Si:H単層型太陽電池で既に、達成可能なセル効率を明らかに低下させる。これに対応して同じことが、このようなμc−Si:H吸収層を含む積層型太陽電池にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE10308381A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Vetterlら(O. Vetterl、A. Lambertz、A. Dasgupta、F. Finger、B. Rech、O. Kluth、H. Wagner (2006)、Thickness dependence of microcrystalline silicon solar cell properties、Solar Energy Materials & Solar Cells 66、345〜351頁)
【非特許文献2】Rath(J. K. Rath (2003)、Low temperature polycrystalline silicon: a review on deposition, physical properties and solar cell applications、Solar Energy Materials & Solar Cells 76、431〜487頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、基材上に微結晶シリコンを堆積させるための、高速であり、それにもかかわらず太陽電池の高い効率をもたらす方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は請求項1に記載の方法によって解決される。有利な変形形態は、請求項1に従属する請求項から明らかである。
【0015】
プラズマチャンバシステム内で基材上に微結晶シリコンを堆積するための該方法は、
プラズマチャンバシステムが、プラズマ開始前には、反応性のシリコン含有ガスおよび水素を、または水素だけを含むステップ、
プラズマを開始するステップ、
プラズマ開始後、チャンバシステムに連続的に反応性のシリコン含有ガスだけを供給する、またはプラズマ開始後、チャンバシステムに連続的に反応性のシリコン含有ガスおよび水素を含む混合物を供給し、その際、チャンバ内に供給する際の反応性のシリコン含有ガスの濃度を0.5%超に調整するステップ、および
プラズマ出力を、0.1〜2.5W/cm電極面の間に調整するステップ、および
0.5nm/s超の堆積速度を選択し、かつ1000nmの厚さを超えない微結晶層を基材上に堆積するステップ、
を含む。
【0016】
シラン濃度(=シラン流量/(シラン流量および水素流量の合計))は、微結晶吸収層の堆積が、μc−Si:H/a−Si:H成長遷移付近で行われるように調整される。その理由は、μc−Si:H吸収層の最適な特性が、結晶割合が高いことで達成されるのではなく、アモルファス部分と結晶部分を含む遷移領域内の材料が最もよい特性を示すことにある。この有利な特性の原因としては、アモルファスシリコンによるシリコン晶子の最適な界面不動態化が考えられる。
【0017】
微結晶層を堆積させるため、プラズマ開始の前および/または後に、プロセスガス(シリコン含有ガスおよび水素)に例えばアルゴンのような不活性ガスを混合してもよい。
【0018】
発生器出力の増大は、それ以外のプロセスパラメータが同じであれば、成長する層の結晶体積割合をより高くする。
【0019】
本発明による方法は、工業的規模での太陽電池の大量生産のために特に有利な特徴を有することが有利である。本方法は、比較的薄いμc−Si:H吸収層を、同時に高い堆積速度で堆積させる。微結晶吸収層が、単層型セルのために堆積されるか、積層型太陽電池のために堆積されるかは重要でない。薄い微結晶吸収層で堆積速度を上昇させる対策だけが、選択された基材およびそれに関連する太陽電池の構造に関係なく本発明の課題を解決する。
【0020】
プラズマチャンバシステムという概念は、太陽電池の堆積のために慣用のすべてのプラズマチャンバを含んでいる。したがって本方法は、原理的には単一チャンバのためにも、および複数の単一チャンバから成る組み合わされたプラズマチャンバシステムのためにも適用することができる。
【0021】
プラズマチャンバシステムは、例えば真性a−Si:Hおよびμc−Si:H吸収層を製造するための1つの単一チャンバ(iチャンバ)、pドープまたはnドープされたa−Si:Hおよびμc−Si:H層を製造するためのもう1つの単一チャンバ(ドープチャンバ)、ならびに基材の取込みおよび送出しのためのローディングチャンバ(Ladekammer)を含むことができる。
【0022】
堆積速度が0.5nm/s超に上昇しかつ同時に層厚が1000nm未満の薄いμc−Si:H吸収層の場合に、堆積速度の上昇はさほどの効率損失を引き起こさなくなることが、本発明の枠内で認識された。その際、堆積速度および層厚に関する範囲内の値のすべての組合せが可能である。これとは異なり、これまでの従来技術では好ましいとされた層厚1000nm超の厚い微結晶吸収層の場合、堆積速度が例えば1nm/sから2.5nm/sに上昇することは、明らかな効率損失を引き起こす。
【0023】
堆積速度は、プラズマ出力または発生器出力に依存して最大5nm/sまで選択することができる。
【0024】
ドープチャンバ内でpドープまたはnドープされたシリコン層を製造するため、シリコン含有ガスおよびHから成るプロセスガス混合物に、追加的にホウ素含有ガス(例えばトリメチルボロンB(CH)またはリン含有ガス(例えばホスフィンPH)を混合することができる。真性シリコン吸収層を製造する際のドープ物質のキャリーオーバーをできるだけ回避するため、iチャンバとドープチャンバは好ましくはスルースゲート(Schleusentor)を介して互いに隔てられている。
【0025】
iチャンバは、1つまたは複数の異なる高周波電極を内包することができ、この電極は、均質なガス供給のために「シャワーヘッド」のデザインを有することができ、この電極の電極面は、垂直または水平に方向づけることができる。コーティングすべき基材は、搬送システムを用いて、シリコン堆積が行われるべきである電極の方へ動かすことができる。基材が目標位置に着くと、加熱システムが基材を、堆積開始前に所望の基材温度に加熱する。高周波電極と基材の間隔は、例えば5〜25mmの間の値に調整することができる。
【0026】
ここで堆積速度という概念は、時間単位ごとに堆積される吸収層の厚さと定義される。堆積速度は、原理的にはプラズマ出力または発生器出力が増すにつれて上昇する。
【0027】
電極間隔が5〜25ミリメートル、好ましくは10〜25ミリメートルの場合、好ましくは、13.56〜約100MHzのプラズマ励起周波数を選択できる。
【0028】
本方法中のプラズマチャンバ内の堆積圧力は、1つまたは複数のプラズマチャンバ内で1〜25mbarの間に調整されることが好ましい。堆積圧力の上昇は、それ以外のプロセスパラメータが同じであれば、成長する層の結晶体積割合をより低くする。
【0029】
本方法は、本発明のさらなる特に有利な一実施形態では、プラズマチャンバシステム内のベース圧力が少なくとも10−6mbarまたはさらにそれ以上、つまり例えば10−5mbarまたは例えば10−4mbarであるように実施することができる。範囲内のすべての値が可能である。
【0030】
ベース圧力とは、プロセスガス導入前の真空状態のプラズマチャンバまたはプラズマチャンバシステム内の支配的な圧力であり、とりわけチャンバのデザインおよび使用するガスの純度に依存する。
【0031】
従来技術によれば、小さな研究設備のプラズマチャンバまたはプラズマチャンバシステムは、約10−8mbarのベース圧力を有する。これは、言及した純度の高い度合いを義務付けており、従来技術に基づく方法は、太陽電池の所望の高い効率を得るため、この高い純度で稼働されなければならない。こうして、μc−Si:H吸収層中の酸素含有率は、特定の限界値を決して超えるべきでなく、さもなければμc−Si:Hをベースとする単層型太陽電池の達成可能な効率も、a−Si:H/μc−Si:Hをベースとする積層型太陽電池の達成可能な効率も、顕著で望ましくない効率損失を被るという認識が定着した。したがってこれに対応してプロセス精度に関し従来技術によれば、高いセル効率を達成するため、μc−Si:H吸収層中の酸素含有率が常に許容限界値未満にとどまることを保証しなければならなかった。従来技術によればこの限界値は、μc−Si:H吸収層の場合、約21019/cmの酸素原子およびμc−Si:H吸収層の標準層厚>1000nmである。これには、使用すべきポンプシステムのため、プロセス精度に対して高い設備費用が伴った。稼働費用そのものも同様に比較的高い。なぜならプロセスガス、基本的にはシランまたはシリコン含有ガス、一般的にはさらに水素の純度も高く選択しなければならなかったからである。
【0032】
本発明の枠内では、特に有利には0.5nm/s超の高い堆積速度で、同時に堆積された微結晶吸収層が1000nm未満の小さな層厚の場合に相乗効果が生じ、このやり方では、最大10−6mbar、10−5mbar、またはそれ以上の非常に高いベース圧力にもかかわらず、セルの効率損失が少ししか生じず、この効率損失は、プロセス技術的観点から絶対的に許容可能であることが認識された。これら3つのパラメータ、堆積速度>0.5nm/s、層厚<1000nm、およびベース圧力>10−6mbarに関してはここでも、本方法のためにそれぞれの範囲内の値を採用することができる。
【0033】
本発明による高い堆積速度は、低い堆積速度に比べて、同じベース圧力の場合、成長するμc−Si:H層中に取り込まれる酸素量を少なくすることが認識された。さらに、吸収層が薄い場合、μc−Si:H単層型太陽電池における許容可能であって、まだ効率損失が生じない酸素含有率が、厚い吸収層の場合より高いことが認識された。ここでも同じことが積層型太陽電池のすべての形態に当てはまる。
【0034】
上述の発見、つまり吸収層の厚さに依存した、達成可能なμc−Si:H単層型太陽電池効率への堆積速度および/または酸素含有率の影響に基づく結論として、μc−Si:H吸収層を内包する薄層ソーラーモジュールの場合、生産費用の最適条件は、明らかにより小さい総層厚にシフトする。これは積層型太陽電池にも当てはまる。
【0035】
この場合、本発明による方法の枠内で、達成可能なセル効率が僅かに減少するかもしれないが、この欠点は、より短い製造時間だけでなく、層厚の減少ならびに場合によってはプロセス精度(ガス純度)へのより低い要求および製造されたセルの酸素含有率に基づき、十分すぎるほど補償され、かつこの場合、太陽電池製造時間は、μc−Si:H吸収層の堆積速度の上昇に基づき、追加的な効率損失なしでもう一段格段に短縮できることが認識された。つまり生産は、プロセス精度への明らかにより低い要求で実施することができ、これは費用の有意な利点、すなわちより少ない設備費用およびより少ないプロセスガス費用をもたらす。これに加えてさらに考慮すべきは、より薄いa−Si:H/μc−Si:Hベースの積層型太陽電池は劣化がより少ないことである。したがってこれにより、標準的な総層厚のa−Si:H/μc−Si:Hベースの積層型太陽電池に対する安定した効率での差は、初期効率でのそれより小さくなる。
【0036】
本発明のさらなる一変形形態では、チャンバに供給され、かつチャンバから導出されるガスまたはガス混合物の流量を、本方法中は一定の堆積圧力が形成されるよう調節するように、本方法を実施することができる。
【0037】
特に、堆積速度は約1.0〜2.5nm/sの間で選択することができ、微結晶層は厚さ200〜800nm、特に400〜600nmで堆積することができる。この場合、前述の方法により規則的に、範囲内の値でのすべての組合せに対し、同様に効率が約7〜8%のμc−Si:H単層型太陽電池を実現することができる。a−Si:H/μc−Si:Hベースの積層型太陽電池は、a−Si:H部分に基づき最初は光誘起によって劣化し、その後でようやく安定した効率を示すが、約9〜11%のより高い初期効率およびさらに約8〜10%のより高い安定した効率も簡単に達成することができる。
【0038】
プラズマ開始後、チャンバに連続的に反応性のシリコン含有ガスだけを0.5sccm〜20sccm/100cmコーティング面、特に0.5sccm〜10sccm/100cmコーティング面の体積流量で供給することができる。これは例えば、チャンバまたはチャンバシステムがプラズマ開始の始まる前に水素を含み、シリコン含有ガスを含まない場合に適用される。同時に、チャンバ内に存在するガス混合物は少なくとも一部はチャンバから導出することができる。本方法では不活性ガスを混合してもよい。
【0039】
微結晶シリコンを堆積するための本方法は、特に積層型太陽電池を製造するために利用することができる。その場合、本方法では基材として、例えば電気コンタクト層およびその上に堆積された微結晶n層が選択される。タンデム構成の場合の太陽電池は、完成状態ではn−i−p−n−i−p構成を有する。電気コンタクト層としては例えば金属−ZnO層または金属−SnO層または別のTCO層を選択することができる。n−i−p−n−i−p層の電気コンタクト層としては、反射体としての金属層だけを選択することもできる。単層型セルは、対応するa−Si:H部分なしで作製される。
【0040】
ただし基材として例えばガラス−TCO−a−Si:H層系およびその上に堆積された微結晶p層を選択することもできる。金属−TCO−a−Si:H層系およびその上に堆積された微結晶p層を選択してもよい。この場合でのタンデム構成では、太陽電池は完成状態でp−i−n−p−i−n構成を有する。単層型セルのためには、基材は対応するa−Si:H部分なしで選択される。もちろん積層型太陽電池を製造するためにその他の基材を使用してもよい。
【0041】
つまり本方法で製造された太陽電池は、少なくとも1つのn−i−p構造またはp−i−n構造を有し、吸収層は微結晶質で形成されている。例えば、本発明による方法を用い、2.5nm/sの特に有利な堆積速度で製造されるμc−Si:H単層型太陽電池は、約7〜8%の効率を有する。この単層型太陽電池は、μc−Si:H吸収層の厚さが1000ナノメートル未満であることを特徴とする。
【0042】
本発明による方法で製造された単層型太陽電池が既に、堆積速度が高く、層厚が小さいにもかかわらず、7〜8%の効率を有していることが特に有利である。これに対応して積層型太陽電池では、より高い効率を達成することができる。
【0043】
本発明の特に有利な一変形形態では、本方法で製造された太陽電池は、微結晶吸収層中に21019超〜約11021cm−3の酸素原子を含むことができる。
【0044】
a−Si:H/μc−Si:Hベースの積層型太陽電池は、すべての吸収層の総層厚が1000ナノメートル未満であることが特に有利である。その際、好ましくはワットピークのソーラーモジュール定格出力あたりの製造費用に関し、微結晶吸収層は21019超〜特に1021酸素原子/cmの酸素含有率を有する。
【0045】
特に有利なのは、本方法で、薄いa−Si:H/μc−Si:H積層型太陽電池、特にタンデム型太陽電池を製造できることであり、その際、μc−Si:H吸収層のための高い堆積速度およびμc−Si:H吸収層中の汚染物質の高い濃度の通常の悪い影響は、著しく少なくしか現れない。これに伴い、製造時間のさらなる短縮およびプロセス精度へのより低い要求によって、追加的な費用節減が可能になる。これに関してはさらに相乗効果が生まれる。なぜなら高い堆積速度は、低い堆積速度に比べて、同じベース圧力の場合、成長するμc−Si:H層中に取り込まれる酸素量を少なくするからである。
【0046】
本発明の枠内では、劣化に基づく積層型太陽電池の相対的な効率損失が、吸収層厚が次第に小さくなるにつれて少なくなることも認識された。
【0047】
以下に、例示的実施形態および添付した図に基づいて本発明をより詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第1の例示的実施形態:異なる高い堆積速度の場合の基材上でのμc−Si:H吸収層の製造
基材としては、ガラス−TCO層系(TCO:英語transparent conductive oxide)およびその上に堆積された微結晶p層を選択した。ガラスの厚さは約1ミリメートルであり、TCO層の厚さは約500ナノメートルであり、p層の厚さは約10ナノメートルである。
【0049】
プラズマチャンバシステムを選択し、この場合、pドープ層およびnドープ層および非ドープ吸収層は異なるチャンバ内で堆積した。
【0050】
p層上にμc−Si:H吸収層を堆積する準備のために、前述の基材をまずは、電極間隔10mmでシャワーヘッド高周波電極に平行に位置決めし、真空で基材温度を200℃に加熱する。その際、ベース圧力は10−7mbarである。その後、最大30×30cmのサイズの基材をコーティング可能なプラズマチャンバに、連続的に水素流量4000sccm(これはコーティングすべき基材面100cmにつき444.4sccmに相当する)および堆積速度が1nm/sの場合はシラン流量57sscm(これはコーティングすべき基材面100cmにつき6.3sccmに相当する)または堆積速度が2.5nm/sの場合はシラン流量102sccm(これはコーティングすべき基材面100cmにつき11.3sccmに相当する)を注入し、その際、プラズマチャンバの圧力は、堆積プロセス全体にわたって継続的に9.3mbarに調節する。
【0051】
チャンバ内に存在するガス混合物をチャンバから完全に導出する。その際、一定の堆積圧力を形成する。シャワーヘッド高周波電極を通してプロセスガスをプラズマチャンバに入れる。μc−Si:H吸収層の堆積を発生器出力800Wで行う場合、シラン濃度(=シラン流量/(シラン流量および水素流量の合計))は1.4%の値に調整する。発生器出力1800Wでのμc−Si:H吸収層の堆積のためには、シラン濃度を2.5%に調整する。
【0052】
基材とシャワーヘッド高周波電極の間に発生器を用いてプラズマを点火し、続いて発生器を特定の出力に調節する。この場合、プラズマ励起周波数は40.68MHzである。1nm/sのμc−Si:H吸収層の堆積速度を達成する場合、発生器出力は800Wの値(0.6W/cm電極面に相当する)に調整すべきである。2.5nm/sのμc−Si:H堆積速度を達成するには、発生器出力を1800W(1.3W/cm電極面に相当する)に調整すべきである。
【0053】
μc−Si:H吸収層の堆積中は、提示したすべてのプロセスパラメータは変化しない。必要な堆積時間は、所望のμc−Si:H吸収層厚およびそれぞれの製造プロセスに属するμc−Si:H堆積速度から生じる。μc−Si:H吸収層の堆積は、調整された堆積時間の経過後に発生器のスイッチを切ることで終了する。
【0054】
この場合、μc−Si:H吸収層は、シラン濃度(=シラン流量/(シラン流量および水素流量の合計))の調整により、μc−Si:H/a−Si:H遷移付近で堆積され、したがって層特性に関して最適化されている。
【0055】
本方法に従って製造されたμc−Si:H吸収層上に、μc−Si:H単層型太陽電池を製造するためnドープ層を堆積した。このnドープ層の厚さは約20ナノメートルである。バックコンタクトはZnO/Ag(80ナノメートルのZnOおよび700ナノメートルのAg)から作製した。
【0056】
μc−Si:H吸収層厚およびμc−Si:H堆積速度に依存して、この単層型セルのセル効率は下記の値を達成した。
【0057】
【表1】

【0058】
吸収層の層厚を約500〜600ナノメートル(セル3〜4)の値に減らすと、堆積速度が1nm/sから2.5nm/sに上昇するのでセル効率の減少が起きないことが分かる。これとは異なり従来技術に基づく吸収層厚での対照実験(標準:単層型セルで1000〜2000ナノメートル、積層型太陽電池で1000〜3000ナノメートル)では、層厚の上昇のため9.2%から7.8%へのセル効率の明らかな損失が測定され得る。つまり結果として本発明による方法は、その他のことで効率が変化しなければ、太陽電池の生産高を明らかに上昇させる。
【0059】
第2の例示的実施形態:ベース圧力を追加的に高くした場合の基材上でのμc−Si:H吸収層の製造
基材としては、ガラス−TCO層系(TCO:英語transparent conductive oxide)およびその上に堆積された微結晶p層を選択した。ガラスの厚さは約1ミリメートルであり、TCO層の厚さは約500ナノメートルであり、p層の厚さは約10ナノメートルである。
【0060】
プラズマチャンバシステムを選択し、この場合、pドープ層およびnドープ層および非ドープ吸収層は異なるチャンバ内で堆積した。
【0061】
このプラズマチャンバは、真空状態で約10−8mbarのベース圧力を有する。チャンバ内で堆積されたμc−Si:H吸収層中の酸素含有率を狙い通りに上昇させるため、チャンバに人工的な空気漏れをもたらし、この空気漏れの強さはニードル弁を介して調整することができる。ニードル弁がどのくらい開いているかに応じて、プラズマチャンバ内のベース圧力も上昇する。ベース圧力は、空気漏れの大きさ、したがって取り込まれた酸素量の大きさの尺度として機能する。
【0062】
μc−Si:H吸収層を堆積する準備のために、基材をまずは、電極間隔10mmでシャワーヘッド高周波電極に平行に位置決めし、真空で基材温度を200℃に加熱する。その後、最大10×10cmのサイズの基材をコーティング可能なプラズマチャンバに、連続的に水素流量360sccmおよびシラン流量5.0sccm(シラン濃度約1.4%)を注入し、その際、プラズマチャンバの圧力は13.3mbarに調節する。
【0063】
チャンバ内に存在するガス混合物をチャンバから完全に導出する。その際、ここでも一定の堆積圧力を形成する。その際にシャワーヘッド高周波電極を通してプロセスガスをプロセスチャンバに入れる。
【0064】
基材とシャワーヘッド高周波電極の間に、発生器を用いてプラズマを点火し、続いて発生器の出力を約60Wに調節し(約0.4W/cm電極面に相当する)、これにより0.7nm/sのμc−Si:H堆積速度が達成される。この場合、プラズマ励起周波数は13.56MHzである。
【0065】
μc−Si:H吸収層の堆積中は、提示したすべてのプロセスパラメータは変化しない。必要な堆積時間は、所望のμc−Si:H吸収層厚および製造プロセスに属するμc−Si:H堆積速度から生じる。μc−Si:H吸収層の堆積は、調整された堆積時間の経過後に発生器のスイッチを切ることで終了する。
【0066】
この場合、μc−Si:H吸収層は、シラン濃度(=シラン流量/(シラン流量および水素流量の合計))の調整により、μc−Si:H/a−Si:H遷移付近で堆積され、したがって層特性に関して最適化されている。
【0067】
本方法に従って製造されたμc−Si:H吸収層上に、μc−Si:H単層型太陽電池を製造するためnドープ層を堆積した。このnドープ層の厚さは約20ナノメートルである。バックコンタクトはAg(700ナノメートル)から作製した。
【0068】
ニードル弁を介して調整されたプラズマチャンバ内のベース圧力およびμc−Si:H吸収層厚に依存して、セル効率は下記の値を達成した。
【0069】
【表2】

【0070】
層厚が1000ナノメートル未満の吸収層(例1〜3)の場合、約10−5mbarへのベース圧力の明らかな上昇でも、1.6%の許容可能な効率損失しか生じさせないことが分かる。この場合さらに、例3の吸収層厚が例1および例2に比べて100ナノメートル強小さいことを考慮すべきであり、この吸収層厚レベルではそれが1.6%の効率損失の原因である。
【0071】
これとは異なり層厚が1000ナノメートル超の吸収層で既に、ベース圧力が10−8mbarから10−5mbarに上昇した場合の効率損失の明らかな増大が検出され得る。効率損失は既に2.7%である。
【0072】
それどころか吸収層厚が約3000ナノメートルの場合、検出され得る効率損失がもう一段明らかに上昇する。この場合、ベース圧力が10−8mbarから10−5mbarに上昇した場合の効率損失はそれどころか3.7%である。
【0073】
これらの結果の答えとして、従来技術より少し高い0.7nm/sの堆積速度および同時に堆積された微結晶吸収層のここでは400〜530ナノメートルの薄い層厚で、既に追加的な効果が生じた。つまり比較的非常に高い10−5mbarのベース圧力でも、効率損失は少ししか検出され得ない。この効率損失は、プロセス技術的観点から絶対的に許容可能である。この場合、効率損失は例7〜9の厚い吸収層の場合より明らかに少ない。
【0074】
表2の例3は、第1の例示的実施形態に同等の厚い530ナノメートルの吸収層およびZnO/Agから成るバックコンタクトでは、応じて約7%の効率を有する。
【0075】
第3の例示的実施形態:基材上でのタンデム型太陽電池用μc−Si:H吸収層の製造
アモルファスシリコン(a−Si:H)および微結晶シリコン(μc−Si:H)をベースとする積層型太陽電池において、活性層の総厚は、基本的にμc−Si:H吸収層の厚さによって影響を受ける。a−Si:H/μc−Si:Hベースの積層型太陽電池に関する例は、ちょうど1つのa−Si:Hトップセルおよび1つのμc−Si:Hボトムセルから成るa−Si:H/μc−Si:Hタンデム型太陽電池である。光が最初に入射するセルをトップセルと言う。
【0076】
この場合、従来技術によれば、μc−Si:H吸収層は、a−Si:H/μc−Si:Hタンデム型太陽電池の活性層の総厚の約75%を担っている。
【0077】
特にa−Si:H/μc−Si:Hタンデム型太陽電池では、1000〜3000ナノメートル厚のμc−Si:Hボトム吸収層が、他を圧倒する最大の単独層厚を有するので、ボトム吸収層の堆積速度が生産設備の達成可能な年間生産高を決定的に規定する。
【0078】
タンデム構成のためのp−i−n−p−i−n構造を備えた太陽電池を製造するため、基材としては、ガラス−TCO−a−Si:Hトップセル層系(TCO:英語transparent conductive oxide)およびその上に堆積された微結晶p層を選択する。ガラスの厚さは約1ミリメートルであり、TCO層の厚さは約500ナノメートルであり、a−Si:Hトップセルは、μc−Si:Hボトムセルへの直列接続に応じて約140〜390ナノメートルのそれぞれ適応された厚さを有する。つまりa−Si:Hトップセルの吸収層厚はμc−Si:H吸収層厚に依存し、その際、両方の個々のセルが同じ電流を送出するように適応された。
【0079】
この上に堆積された微結晶p層の厚さは約10ナノメートルである。
【0080】
μc−Si:H吸収層を堆積する準備のために、基材をまずは、電極間隔10mmでシャワーヘッド高周波電極に平行に位置決めし、真空で基材温度を200℃に加熱する。ベース圧力は約10−7mbarである。その後、最大30×30cmのサイズの基材をコーティング可能なプラズマチャンバに、連続的に水素流量2700sccmおよびシラン流量24sccm(シラン濃度0.9%)を注入し、その際、プラズマチャンバの圧力は13.3mbarに調節する。
【0081】
チャンバ内に存在するガス混合物をチャンバから完全に導出する。その際、ここでも一定の堆積圧力を形成する。その際にシャワーヘッド高周波電極を通してプロセスガスをプロセスチャンバに入れる。
【0082】
基材とシャワーヘッド高周波電極の間に発生器を用いてプラズマを点火し、続いて発生器の出力を約500W(約0.4W/cm電極面に相当する)に調節し、これにより0.7nm/sのμc−Si:H堆積速度が達成される。この場合、プラズマ励起周波数は13.56MHzである。
【0083】
μc−Si:H吸収層の堆積中は、提示したすべてのプロセスパラメータは変化しない。
【0084】
必要な堆積時間は、所望のμc−Si:H吸収層厚およびそれぞれの製造プロセスに属するμc−Si:H堆積速度から生じる。μc−Si:H吸収層の堆積は、調整された堆積時間の経過後に発生器のスイッチを切ることで終了する。
【0085】
この場合、μc−Si:H吸収層は、シラン濃度(=シラン流量/(シラン流量および水素流量の合計))の調整により、μc−Si:H/a−Si:H遷移付近で堆積され、したがって層特性に関して最適化されている。
【0086】
本方法に従って製造されたμc−Si:H吸収層上に、a−Si:H/μc−Si:Hタンデム型太陽電池を製造するため微結晶n層を堆積した。この微結晶n層の厚さは約20ナノメートルである。バックコンタクトはZnO/Ag(80ナノメートルのZnOおよび700ナノメートルのAg)から作製した。したがってこのa−Si:H/μc−Si:Hタンデム型太陽電池は、a−Si:Hトップセル上にμc−Si:Hボトムセルを備えている。
【0087】
初期セル効率を確定した後、続いて安定したセル効率も確定するため、a−Si:H/μc−Si:Hタンデム型太陽電池を、セル温度50℃で1000時間の劣化実験において、100mW/cmの照射強度に曝した。下記の値が生じた。
【0088】
【表3】

【0089】
劣化による相対的な効率損失は、吸収層厚が次第に小さくなるにつれて少なくなることが分かる。例1および1850ナノメートルの層厚では、この相対的な損失がまだ18.5%あるが、一方で、例4および440ナノメートルの層厚ではなおも6.7%にすぎない。タンデム型太陽電池に関しては、光誘起による劣化はほとんど専らa−Si:Hトップソーラーセルの劣化によって引き起こされる。
【0090】
これらの例示的実施形態の結果に基づく結論として、生産費用の最適条件は、堆積速度が>0.5nm/sと高く、場合によってはベース圧力も高く、これに対応して完成した太陽電池における酸素最終濃度が高い場合には、明らかにより小さい<1000ナノメートルの総層厚にシフトする。こうしてa−Si:H/μc−Si:Hタンデム型太陽電池No.4は、約640ナノメートルの活性半導体層(フロントコンタクトおよびバックコンタクトを含まないp−i−n−p−i−n)の総層厚を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマチャンバシステム内で基材上に微結晶シリコンを堆積するための方法であって、
プラズマチャンバシステムが、プラズマ開始前には、反応性のシリコン含有ガスと水素を、または水素だけを含むステップ、
プラズマを開始するステップ、
プラズマ開始後、チャンバシステムに連続的に反応性のシリコン含有ガスだけを供給するか、またはプラズマ開始後、チャンバシステムに連続的に反応性のシリコン含有ガスおよび水素を含む混合物を供給し、その際、チャンバ内に供給する際の反応性のシリコン含有ガスの濃度を0.5%超に調整するステップ、および
プラズマ出力を、0.1〜2.5W/cm電極面の間に調整するステップ、
0.5nm/s超の堆積速度を選択し、かつ微結晶層を基材上に1000ナノメートル未満の厚さで堆積するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
チャンバに供給され、かつチャンバから導出されるガスまたはガス混合物の流量が、本方法中は一定の堆積圧力が生ずるように調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
堆積速度が、最大5.0nm/s、特に1.0〜2.5nm/sの間で選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
微結晶層が、厚さ200〜800nm、特に400〜600nmで堆積される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
電極間隔が5〜25ミリメートル、特に電極間隔が10〜25ミリメートルの場合、13.56〜約100MHzの励起周波数が選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
プラズマチャンバ内の堆積圧力が、1〜25mbarの間に調整されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
プラズマ開始後、チャンバに連続的に少なくとも反応性のシリコン含有ガスだけを0.5sccm〜20sccm/100cmコーティング面、特に0.5sccm〜10sccm/100cmコーティング面の体積流量で供給する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
プラズマチャンバシステム内のベース圧力が、少なくとも10−6mbar、特に少なくとも10−5mbarであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
基材温度が100〜350℃の間で選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
同時に、チャンバ内に存在するガス混合物が少なくとも一部はチャンバから導出されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
基材として、電気コンタクト層およびその上に堆積された微結晶n層、またはガラス−TCO−a−Si:Hセルとその上に堆積された微結晶p層、または金属−TCO−a−Si:Hセルとその上に堆積された微結晶p層が選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一つに基づき製造された、少なくとも1つのp−i−n構造または少なくとも1つのn−i−p構造を備えた太陽電池。
【請求項13】
微結晶吸収層が、21019酸素原子/cm超の酸素含有率を有することを特徴とする請求項12に記載の太陽電池。
【請求項14】
太陽電池が、少なくとも7〜8%の効率を有することを特徴とする請求項12または13に記載の太陽電池。
【請求項15】
太陽電池が、a−Si:H/μc−Si:Hベースの積層型太陽電池であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一つに記載の太陽電池。
【請求項16】
すべての活性半導体層の総層厚が1000ナノメートル未満であることを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。


【公表番号】特表2012−512534(P2012−512534A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541079(P2011−541079)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001649
【国際公開番号】WO2010/069287
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【Fターム(参考)】