説明

基板に対して構造体を正確に塗布するための方法および装置

基板が設けられ、走査ステップでは、処理ヘッドの少なくとも1つの走査設備により、基板に対して既に塗布された構造体が検出され、処理ヘッドには少なくとも1つの照明設備が設けられ、この照明設備は、照明ステップにおいて、走査ステップを用いて得られた情報を使用することにより、塗布されたラッカー構造体を局部的に照明する方法。また、この方法を行なうための装置が記載されている。この装置には、基板キャリアに対して移動可能な処理ヘッドが設けられ、処理ヘッドは、少なくとも1つの走査設備と少なくとも1つの照明設備とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対してラッカー構造体を正確に塗布するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在まで、構造体を形成するために使用されるラッカーを照明から局部的に覆い隠すため、多くの場合、マスクが使用されている。そのようなマスクの使用は面倒であり且つ高価である。また、新たな各構造毎に、新たなマスクを製造する必要がある。基板に対して構造体を塗布する際の他の問題は、多量のラッカーおよびラッカーにおいて使用される溶媒によりもたらされる。構造体にシャープな外形を与えるという他の課題にも直面する。様々な層内で構造体を相対的に位置決めすることは、基板に対して構造体を正確に塗布するために重要な課題である。
【0003】
方法の用途は、例えば、例えばOLED、太陽電池、ディスプレイ上のTFT構造などの電子部品を製造するための方法であっても良い。これらの部品に関しては、連続的に加えられる多量の材料層においてその構造体を互いに対して非常に正確に位置決めすることが極めて重要である。ここで、少なくとも2ミクロン、好ましくは少なくとも1ミクロンの所謂オーバーレイ精度が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述した多くの問題が少なくとも解決される、基板に対してラッカー構造体を加えるための方法を検討する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため、本発明は、走査ステップにおいて、処理ヘッドの少なくとも1つの走査設備により、基板に対して既に塗布された構造体が検出され、処理ヘッドには少なくとも1つの照明設備が設けられ、この照明設備が、照明ステップにおいて、走査ステップを用いて得られた情報を使用することにより、塗布されたラッカー構造体を局部的に照明する方法を提供する。
【0006】
処理ヘッドの走査設備を使用すると、既に塗布された構造体の位置を非常に正確に決定することができ、それにより、塗布されたラッカー構造体を極めて正確に局部照明することができる。処理ヘッドは、走査設備と照明設備との間の直接的な機械結合部を形成することが好ましく、これは位置決め精度に極めて有利である。
【0007】
これに関連して、用語「照明」は広い意味で理解されなければならない。「照明」は、可視光を用いた処理を意味するだけでなく、UV放射線、IR放射線、イオンビーム、Eビームを用いた処理も意味するものと理解される。照明によりラッカーの構造が変化し、例えば、そのために、ラッカーが架橋し、あるいは、ラッカーから溶媒が除去される。用語「ラッカー」も広い意味で理解されなければならない。可能性としては、OLED等を製造するためのフォトレジスト、UV硬化ラッカー、PPV、PDOTである。
【0008】
照明設備により行なわれる照明ステップによって、細かいシャープな境界を有する構造体を得ることができる。局部照射ステップは、マスクを使用した照明ステップを意味するように理解されるのではなく、1つの狭ビームを用いて或いは狭ビームの配列を用いたラッカーの局部的な照明を意味するように理解される。そのような狭ビームまたは個別に制御可能な狭ビーム − 例えばレーザビーム、赤外線ビーム、可視光ビーム、UVビーム、イオンビームまたはEビームであっても良い − の配列を用いると、いわば、所望の構造体をラッカー中に書き込むことができる。照明は、使用されるラッカーに応じて、ラッカーを除去する必要がある領域、あるいは逆に、ラッカーを残したままにする必要がある領域で行なうことができる。
【0009】
本発明の一態様において、走査ステップを用いて得られた情報は、ラッカー構造体を所望位置に堆積させるためにも使用される。このようにすれば、新たなラッカー構造体を既存の構造体に対して正確に位置決めすることができる。
【0010】
方法の更なる詳細において、処理ヘッドにはインクジェット印刷設備が設けられていても良く、インクジェット印刷ステップでは、処理ヘッドのインクジェット印刷設備を使用して完全なラッカー層またはラッカー構造体が基板に対して塗布される。好ましくは、インクジェット印刷ステップでは、ラッカー構造体を形成するためにラッカーが局部的に塗布される。
【0011】
このようにすると、ラッカーの堆積が有利な印刷技術により行なわれる。インクジェット印刷が使用されるため、基板をラッカーで完全に覆わずに済み、無駄がかなり少ない態様でラッカーを使用できる。これは、構造体の形成が望まれる場所にだけラッカーを塗布すれば済むからである。因みに、本発明は、インクジェット印刷設備を用いてラッカー構造体の代わりに完全なラッカー層が基板に対して塗布される可能性を除外しない。
【0012】
また、このように、処理ヘッドには、インクジェット印刷設備および照明設備の両方が設けられている。その場合、基板に対する処理ヘッドの1回の移動で、ラッカーの供給および今しがた塗布されたラッカーの照明の両方を実現することができる。また、このようにすると、照明設備の位置が処理ヘッドの位置に対して直接に機械的に結合される。その結果、ラッカーを塗布した後、このラッカーがその後に照明設備を使用して照明される場所を高い精度で決定することができる。照明設備との処理ヘッドの位置の直接的な結合は、実際には、照明設備が基板上の誤った位置で照明操作を行なうという可能性を排除しない。局部照明ステップを用いると、インクジェット技術を用いて塗布されたラッカーの比較的不正確な外形を「切り取る」ことができ、それにより、細かいシャープな境界を有する照明構造体が得られる。
【0013】
本発明の更なる詳細において、走査ステップは、インクジェット印刷ステップの直前に行なうことができ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見てインクジェット印刷設備の上流側に、第1の走査設備が設けられる。そのような走査ステップを用いると、既に加えられた構造体が基板上のどこに位置しているのかが分かり、それにより、走査ステップの直後に −印刷ステップにおいて− 、基板上に既に存在するこれらの構造体に対して新たな構造体を正確に位置決めすることができる。
【0014】
しかしながら、今しがた加えられて照明された構造体を直ちにチェックすること、例えばラッカーが正しい態様で全ての場所に加えられたかどうかを決定することが更に有利である。この目的のため、本発明の更なる詳細においては、走査ステップがインクジェット印刷ステップの直後に行なわれ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見てインクジェット印刷設備の下流側に、第2の走査設備が設けられる。
【0015】
ここで、第2の走査設備を用いて得られる情報を使用すると、印刷が成されるべき場合に印刷が行なわれたかどうかを決定することができ、印刷が行なわれていない場合、第2の印刷ステップにおいてラッカーを所望位置に印刷することができる。この目的のため、ヘッドは、基板の同じ領域上にわたって前後に移動することができる。一部の領域に対してラッカーが未だ塗布されていなかったことが第2の走査設備を用いて検出される場合には、後方に移動して、それらの領域にラッカーを堆積させて照明することができる。
【0016】
本発明の一態様において、走査ステップは照明ステップの直前に行なわれ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見て照明設備の上流側に、第1の走査設備が設けられる。
【0017】
このようにすると、基板に対する処理ヘッドの1回の動きで、塗布されたラッカー構造体が局部照明されるべき場所を決定することができ、一方、処理ヘッドの同じ動きでラッカーの照明を行なうことができる。この場合、本発明においては、走査ステップが照明ステップの直後に行なわれ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見て照明設備の下流側に、第2の走査設備が設けられることが有益である。したがって、第2の走査設備を用いて得られる情報を使用すると、照明が成されるべき場合に照明が行なわれたかどうかを決定することができ、照明が行なわれていない場合には、第2の照明ステップにおいてラッカーが所望位置で照明される。また、この場合、この目的のため、基板の同じ領域上にわたってヘッドを前後に移動させることができる。一部の領域に対してラッカーが未だ塗布されていなかったことが第2の走査設備を用いて検出される場合には、後方に移動して、それらの領域でラッカーを照明することができる。所望の照明の検出は、例えば、ラッカーの予期される変化に基づいて行なわれても良い。この変化は照明の影響下で実現される。そのような変化は、例えばラッカーの色、構造及び/又は形状の変化であっても良い。
【0018】
無論、ラッカーが所望の位置で照明されたかどうかの第2の走査ステップでの検出は、少なくともこの第2の走査ステップの前にラッカー堆積ステップも行なわれてしまっている場合、ラッカーが所望の位置に堆積されたかどうかの検出と組み合わせることができる。このようにすると、好ましくは処理ヘッドの前後移動中にラッカーを比較的急速に且つ正確に堆積させて照明することができる。
【0019】
また、第2の走査設備を用いて得られる情報を測定システムへもフィードバックすることができ、測定システムを用いて処理ヘッドの位置が制御される。次の層の新たな構造体が既に塗布された構造体から離間されると、測定システムへのそのようなフィードバックが重要となる。これは、基板上にわたってヘッドが移動している最中に、既に塗布された構造体を参照することができないからである。
【0020】
本発明の更なる実施形態において、ラッカー構造体は、基板に塗布された或いは基板に塗布されるべき材料層の構造体を形成する目的で加えることができる。
【0021】
そのようなプロセスは、それ自体知られており、例えば、ラッカー構造体で部分的に覆われている材料層をエッチング除去することを含んでいても良い。例えば米国特許第3,832,176号(フルインプロセス)および米国特許第4,674,174号(リフトオフプロセス)に記載されるようにラッカー構造体に対して材料層を塗布し及び/又はラッカー構造体間に材料層を塗布することも可能性のうちの1つである。
【0022】
ここで、材料層は、例えばモリブデンやクロム等の金属、半導体、例えばSiOx,SiNxまたはITO等の誘電体層であっても良い。しかしながら、複数の異なる物質も可能である。
【0023】
本発明に係る方法のステップは、例えばTFT構造体、OLED、太陽電池等の電子部品を製造するための方法の一部であっても良い。
【0024】
ラッカー構造体は、フォトレジスト構造体によって、あるいは、照明操作の影響下で急速に硬化するラッカー、例えばUV硬化ラッカーにより形成されても良い。また、照明を使用して、例えばIR照明を使用してラッカーから溶媒を除去することによりラッカーの構造を変えることもできる。
【0025】
連続構造体を塗布する際に、少なくとも0.7ミクロンメートル、特に少なくとも0.4ミクロンメートルのオーバーレイ精度が達成されることが好ましい。
【0026】
この目的のため、走査ステップでの測定は、例えば、干渉計測、三角測量計測または画像認識に基づいていても良い。
【0027】
非常に正確な局部照明は、即座にON/OFFに切り換えることができ或いは調整できる個別に制御可能なレーザ、LEDまたは同様の照明手段の配列を使用して行なうことができ、これによりそれぞれのラッカーを照明できる。
【0028】
また、本発明は、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置であって、基板キャリアに対して移動可能な処理ヘッドが設けられ、処理ヘッドが少なくとも1つの走査設備と少なくとも1つの照明設備とを備えている装置に関する。
【0029】
処理ヘッドを使用すると、その直前に塗布されたラッカー中に所望の構造体を例えば書き込むことができる。既に塗布された構造体に対して照明設備を有する処理ヘッドを正確に位置決めするため、処理ヘッドは少なくとも1つの走査設備を備えている。この少なくとも1つの走査設備を使用すると、既に塗布された構造体を検出することができ、それにより、照明設備により正確なラッカー照明を行なうことができる。
【0030】
照明設備は、例えばレーザビーム、赤外線ビーム、可視光ビーム、UVビーム、Eビームまたはイオンビーム等の少なくとも1つの狭ビーム、好ましくは個別に制御可能な狭ビームの配列を生成する必要があり、それにより、非常に細かい構造体をラッカー中に高い精度で位置決めして形成することができる。
【0031】
装置の更なる詳細において、処理ヘッドにはインクジェット印刷設備が更に設けられている。そのようなインクジェット印刷設備を用いると、完全なラッカー層の代わりに、ラッカー構造体を形成することができ、それにより、ラッカーの使用を節約できる。
【0032】
ここで、処理ヘッドに2つの照明設備が設けられ、処理ヘッドに対する基板の相対的な移動方向で見て、第1の照明設備がインクジェット印刷設備の上流側に配置され、第2の照明設備が下流側に配置されれば特に好ましい。そのようなヘッドを用いると、2つの移動方向で、ラッカーを塗布できるとともに、その直後に照明することができる。
【0033】
また、処理ヘッドには2つの走査設備が設けられ、処理ヘッドに対する基板の相対的な移動方向で見て、第1の走査設備がインクジェット印刷設備の上流側に配置され、第2の走査設備が下流側に配置されることが好ましい。そのようなヘッドを用いると、基板に対するヘッドの相対移動中、ラッカーを塗布する前およびその直後の両方において走査を行なうことができる。走査中に行なわれる測定は、処理ヘッドの後方移動時における処理ヘッドを用いたラッカーの供給を調整するために使用することができる。また、この測定は、照明設備を用いてラッカー中の構造体を位置決めするために使用できる。
【0034】
本発明の一態様においては、この目的のため、処理ヘッドに2つの走査設備が設けられ、処理ヘッドに対する基板の相対的な移動方向で見て、第1の走査設備が少なくとも1つの照明設備の上流側に配置され、第2の走査設備が下流側に配置される。
【0035】
その結果、基板に対するヘッドの相対移動中、ラッカーを照明する前およびその直後の両方において走査を行なうことができる。この場合、走査中に行なわれる測定は、処理ヘッドの後方移動時における処理ヘッドを用いたラッカー照明を調整するために使用することができる。このようにすれば、照明が成されなければならなかった場合に照明が行なわれたかどかを決定することができ、照明が行なわれなかった場合には、第2の照明ステップにおいてラッカーを所望位置で照明することができる。
【0036】
ヘッドには2つの走査設備が設けられているため、ヘッドの2つの移動方向でラッカーを更に正確に照明することができる。
【0037】
誤りを引き起こす振動および同様の状態に対して基板をできる限り晒さないようにするためには、処理ヘッドを固定系に対して移動可能となるように配置し、少なくとも方法のインクジェット印刷ステップおよび照明ステップの実行中に基板キャリアが静止していることが好ましい。
【0038】
言うまでもなく、装置には、少なくとも1つの走査設備を用いて得られた情報を処理するようになっている制御装置が設けられ、この制御装置は、更に、処理ヘッドの移動を制御し且つ少なくとも1つの照明設備を制御するようになっている。また、制御装置は、インクジェット印刷設備の様々なノズルを制御するようになっていても良い。
【0039】
走査設備は、例えば、干渉計測、三角測量計測または画像認識を行なうようになっていても良い。そのような測定は非常に高い精度を与える。
【0040】
少なくとも1つの狭ビームを形成するための少なくとも1つの照明設備は、即座にON/OFFに切り換えることができ或いは調整できる個別に制御可能なレーザ、LEDまたは同様の照明手段の配列を備えていても良く、これによりそれぞれのラッカーを局部的に照明することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
ここで、図面を参照しながら、典型的な実施形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0042】
図1は、基板Sと、ロッド状配列のノズルを備えるインクジェット印字ヘッド1とを示している。インクジェット印字ヘッド1の両側には、ロッド状照明設備2,3およびロッド状走査設備4,5がインクジェット印字ヘッド1に接続固定されている。各ロッド状照明設備2,3は、例えば個別にONおよびOFFに切り換えることができるという点で強度を個別に調整できるLED、レーザ等の配列を備えている。各ロッド状走査設備4,5はセンサの配列を備えている。ヘッドは全体としてガイド6,7とベアリング装着され、また、ヘッドにはドライブ8が設けられており、このドライブを用いてヘッドを基板S上にわたって移動させることができる。基板S上にわたるヘッドの移動時、走査ロッド4,5を使用して、基板Sに対して既に塗布された構造体を検出することができ、また、それに応じて、既に加えられた構造体の位置に対してラッカーの位置が調整されるように、インクジェット印字ヘッド1を使用して望ましい時期にラッカーを基板上に堆積させることができる。また、同時に、照明ロッド2,3を使用してラッカーを直接に照明することができるが、走査ロッド4,5を用いて検出された既に塗布された構造体の位置を利用することもできる。照明ロッド2,3および走査ロッド4,5はインクジェット印字ヘッド1の両側に設けられているため、走査ステップ、印刷ステップ、照明ステップを前後両方の移動で行なうことができる。また、ダブル走査ロッド4,5の結果として、印刷されて照明された構造体を直接に測定することができ、また、随意的に、測定値に基づいて、第2の印刷、照明、第2の走査ステップを行なって、第1の印刷および照明ステップで塗布された不完全な構造体を修正することができる。
【0043】
図2−14は、本発明に係る方法が一部を成すプロセスの一例を示している。図示のプロセスは、単なる一例であり、例えば基板上にTFT構造体を製造するのに特に適している。ラッカー構造体を塗布するための方法は、異なるプロセス、例えば米国特許第3,832,176号および米国特許第4,674,174号に記載されるようなプロセスで使用されても良い。また、方法は、PDOTおよびPPV等の有機ラッカーを基板に対して正確に塗布してOLEDを製造するため或いは例えば太陽電池などの電子部品を製造するために使用されても良い。
【0044】
図2は基板Sを示している。図3は、基板Sの全面にわたって基板S上に材料層9を堆積させた後における同じ基板を示している(ステップ(a))。図4は、方法のインクジェット印刷ステップ(ステップ(b))が行なわれた後における基板Sを示している。幾らかの過剰を伴ってインクジェット印刷を使用すると、ラッカー10の形態で、例えば電磁放射線(UV、可視光線、IR)、Eビームまたはイオンビームの影響下でその構造を変えるフォトレジストまたは異なるラッカーの形態で、基板Sに対して所望の構造体が塗布された。ラッカーを局部的に塗布する代わりに、ラッカーの全面印刷を使用することもできる。図5は、照明ステップ(ステップ(c))が施された後の基板Sを示している。照明を使用して加えられた構造体11のはっきりとした境界11aを明確に視認できる。図6は、現像ステップ(ステップ(d))が施された後、すなわち、ラッカーが現像され且つ照明されたラッカーが残されるとともに照明されなかったラッカーが除去された(逆もまた同様)後の基板Sを示している。図6は、構造体が設けられるべき材料層9が依然として完全に存在していることをはっきりと示している。その後、エッチングステップ(ステップ(e))が行なわれ、このエッチングステップの結果が図7に示されている。ここではラッカー構造体11が未だ存在している構造体領域を除いて材料層9が実質的に除去されてしまっていることを明確に視認できる。その後、焼却ステップを使用して、依然として存在する硬化されたラッカー11が除去される(ステップ(f))。その結果が図8に示されている。依然として存在する硬化されたラッカーの除去は、溶媒を使用して行なうこともできる。
【0045】
図9−14において、それぞれのステップ(a)−(f)は、前回の材料層9および基板S上に堆積された第2の材料層12の構造体を塗布するために再び繰り返される。プロセスを更に数回繰り返すことにより、連続する材料層の状態で塗布される異なる構造体の集積を適用できることは言うまでもない。
【0046】
最後に、図15は、それぞれが処理ステーションを表わす多くのブロックを概略的に示しており、処理ステーション毎に行なわれる様々なステップが示されている。
【0047】
ブロックa1では、基板上への材料9の堆積が行なわれ;
ブロックa2では、堆積された材料が洗浄され(このステップは全ての材料に関して必要であるとは限らない);
ブロックbcでは、印刷、照明、走査が行なわれ;
ブロックdでは、ラッカーが現像され、それにより、照明されたラッカー構造体が残されるとともに、照明されないラッカー部分が除去され、あるいは、逆もまた同様;
ブロックd2では、残りのラッカー構造体がベーキング処理されて硬化され;
ブロックeでは、余分な材料がエッチング除去される。意図されるエッチング処理中においては、依然として存在するラッカー構造体の下側にのみ、材料が存在したままである;
ブロックfでは、その後、例えば焼却ステップを使用して、または、溶媒を使用して、残りの硬化されたラッカー構造体が除去される。
【0048】
本発明が前述した典型的な実施形態に限定されないことは明らかである。
【0049】
典型的な実施形態ではヘッドにインクジェット印刷設備が設けられているため、それぞれの図面の説明はインクジェット印字ヘッドを参照する。既に請求項から分かるように、ヘッド上の1つの主要な設備は少なくとも1つの照明設備であるが、他の主要な設備は走査設備である。これは、請求項中で処理ヘッドという用語が使用されているからである。したがって、本発明は、ヘッドにインクジェット印刷設備が設けられていないが少なくとも1つの走査設備が補われる少なくとも1つの照明設備が設けられている実施形態も備えている。後者の場合、ヘッドは、例えば、照明ヘッドと称されても良い。
【0050】
また、例えば、前述した処理ステップ間に複数の処理ステップが加えられても良い。ここで、可能性としては、例えば焼却ステップ後に形成される廃棄物を除去するためのクリーニングステップである。また、基板の方向は、水平ではなく、例えば垂直であっても良い。また、インクジェット印字ヘッドの代わりに、基板が移動することができ、インクジェット印字ヘッドが静止していても良い。既に前述したように、方法は、全く異なるプロセス、すなわち、電磁放射線(UV、可視光線及び/又はIR)、Eビームまたはイオンビームを用いた照明に起因する構造変化を局部的に受けるラッカーの正確な塗布が一翼を担うプロセスで使用されても良い。
【0051】
装置を較正するため、基板の代わりに装置内に配置された較正グリッドを使用しても良い。
【0052】
また、基板には、異なる方法で、例えばスピンコーティング、吹き付けまたは浸漬により、ラッカー層が既に設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ダブル照明設備とダブル走査設備とを有する複合インクジェット印字ヘッドの概略斜視図を示している。
【図2】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図3】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図4】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図5】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図6】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図7】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図8】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図9】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図10】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図11】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図12】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図13】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図14】右側は方法ステップを受ける基板の断面図、左側は方法ステップを受ける基板の対応する斜視図を示している。
【図15】基板に対して塗布される材料層状の構造体を加えるために経由される様々なプロセスステップを概略的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が設けられ、走査ステップでは、処理ヘッドの少なくとも1つの走査設備により、基板に対して既に塗布された構造体が検出され、処理ヘッドには少なくとも1つの照明設備が設けられ、この照明設備は、照明ステップにおいて、走査ステップを用いて得られた情報を使用することにより、塗布されたラッカー構造体を局部的に照明する、方法。
【請求項2】
走査ステップを用いて得られた情報は、ラッカー構造体を所望位置に堆積させるためにも使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処理ヘッドにはインクジェット印刷設備が更に設けられ、インクジェット印刷ステップでは、処理ヘッドのインクジェット印刷設備を使用して完全なラッカー層またはラッカー構造体が基板に対して塗布され、インクジェット印刷ステップでは、ラッカー構造体を形成するためにラッカーが好ましくは局部的に塗布される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記走査ステップがインクジェット印刷ステップの直前に行なわれ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見てインクジェット印刷設備の上流側に、第1の走査設備が設けられている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記走査ステップがインクジェット印刷ステップの直後に行なわれ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見てインクジェット印刷設備の下流側に、第2の走査設備が設けられている、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
第2の走査設備を用いて得られる情報を使用して、印刷が成されるべき場合に印刷が行なわれたかどうかが決定され、印刷が行なわれていない場合、第2の印刷ステップにおいてラッカーが所望位置に印刷される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記走査ステップが照明ステップの直前に行なわれ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見て照明設備の上流側に、第1の走査設備が設けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記走査ステップが照明ステップの直後に行なわれ、そのため、処理ヘッド上には、基板に対する処理ヘッドの相対的な移動方向で見て照明設備の下流側に、第2の走査設備が設けられている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2の走査設備を用いて得られる情報を使用して、照明が成されるべき場合に照明が行なわれたかどうかが決定され、照明が行なわれていない場合、第2の照明ステップにおいてラッカーが所望位置で照明される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2の走査設備を用いて得られる情報は測定システムへもフィードバックされ、測定システムを用いて処理ヘッドの位置が制御される、請求項5、6、8、または9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ラッカー構造体は、基板に塗布された或いは基板に塗布されるべき材料層の構造体を形成する目的で加えられる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
材料層は、例えばモリブデンやクロム等の金属、半導体、例えばSiOx,SiNxまたはITO等の誘電体層である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップは、例えばTFT構造体、OLED、太陽電池等の電子部品を製造するための方法の一部である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ラッカー構造体がフォトレジスト構造体によって形成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ラッカー構造体は、照明処理の影響下でその構造または組成を変えるラッカーにより形成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
連続構造体を塗布する際に、少なくとも0.7ミクロンメートル、特に少なくとも0.4ミクロンメートルのオーバーレイ精度が達成される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
走査ステップでは、干渉計測または三角測量計測または画像認識が行なわれる、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
即座にON/OFFに切り換えることができ或いは調整できる個別に制御可能なレーザ、LEDまたは同様の照明手段の配列を使用して局部照明が行なわれ、これによりそれぞれのラッカーを照明できる、少なくとも請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置であって、基板キャリアに対して移動可能な処理ヘッドが設けられ、処理ヘッドが少なくとも1つの走査設備と少なくとも1つの照明設備とを備えている装置。
【請求項20】
処理ヘッドにはインクジェット印刷設備が更に設けられている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
処理ヘッドには2つの照明設備が設けられ、処理ヘッドに対する基板の相対的な移動方向で見て、第1の照明設備がインクジェット印刷設備の上流側に設けられ、第2の照明設備が下流側に設けられている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
処理ヘッドには2つの走査設備が設けられ、処理ヘッドに対する基板の相対的な移動方向で見て、第1の走査設備がインクジェット印刷設備の上流側に設けられ、第2の走査設備が下流側に設けられている、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
処理ヘッドには2つの走査設備が設けられ、処理ヘッドに対する基板の相対的な移動方向で見て、第1の走査設備が少なくとも1つの照明設備の上流側に設けられ、第2の走査設備が下流側に設けられている、請求項19乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
処理ヘッドが固定系に対して移動可能となるように配置され、少なくとも照明ステップの実行中に基板キャリアが静止している、請求項19乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
少なくとも1つの走査設備を用いて得られた情報を処理するようになっている制御装置が設けられ、この制御装置は、更に、処理ヘッドの移動を制御し且つ少なくとも1つの照明設備を制御するようになっている、請求項19乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
制御装置は、更に、インクジェット印刷設備の様々なノズルを制御するようになっている、請求項25および少なくとも請求項20乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
走査設備は、干渉計測、三角測量計測または画像認識を行なうようになっている、請求項19乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
照明設備は、即座にON/OFFに切り換えることができ或いは調整できる個別に制御可能なレーザ、LEDまたは同様の照明手段の配列を備え、これによりそれぞれのラッカーを局部的に照明できる、請求項19乃至27のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−534170(P2007−534170A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509412(P2007−509412)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000298
【国際公開番号】WO2005/104637
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(503007933)オーテーベー、グループ、ベスローテン、フェンノートシャップ (14)
【氏名又は名称原語表記】OTB GROUP B.V.
【Fターム(参考)】