説明

基板を両面スパッタエッチングするシステム及び方法

パターン化媒体ディスクをエッチングするためのシステムが提供される。可動非接触電極を用いてスパッタエッチングを実行する。電極は、RFエネルギーをディスクに結合するべく、基板に接触しそうであるが接触しない距離まで移動する。エッチングされる材料は、金属であってよく、たとえば、Co/Pt/Crもしくは類似の金属であってよい。基板は搬送装置内で垂直に保持され、両面が順次的にエッチングされる。つまり、一面側が1つのチャンバ内でエッチングされ、その後、第2面側が次のチャンバでエッチングされる。2つのチャンバの間には遮断弁が配置されており、ディスク搬送装置はディスクをチャンバ間で移動させる。搬送装置は、たとえば磁気車輪及びリニアモーターを用いたリニア駆動式搬送装置であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板微細加工技術に関し、特に、ハードディスクドライブ用のハードディスク等の基板のパターン化に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の微細加工は、たとえば、半導体、フラットパネルディスプレイ、発光ダイオード(LED)、ハードディスクドライブ(HDD)用のハードディスク等の製造に用いられる周知の技術である。周知の通り、半導体、フラットパネルディスプレイ、及びLEDの製造には、基板をパターニングする種々の工程が含まれる。他方、一般的に長手記録技術と呼ばれる従来のハードディスク製造にはパターニングが含まれない。同様に、垂直記録技術用のディスク製造にはパターニングが含まれない。代わりに、均一な層を堆積させ、一般的には非パターン化磁気層内での粒子の自然発生によりメモリセルを規定する。
【0003】
非パターン化ディスクは、その他の形式の記憶装置との競争力を維持するには、面積ビット密度及びコストの観点において市場のニーズを満たすことができないであろうことが明らかになっている。したがって、次世代ディスクとしてはパターン化したものとすべきことが提案されている。パターニング処理にはフォトリソグラフィが用いられるであろうことが予測されている。しかし、どのリソグラフィ技術が商業化されるかは現在のところ確定的ではなく、パターン化媒体を商業的に製造する商業的システムはいまだに利用可能となっていない。フォトリソグラフィの候補としては、干渉フォトリソグラフィ、近接場リソグラフィ、及びナノインプリントリソグラフィ(NIL)がある。使用されるリソグラフィ技術に拘わらず、フォトレジストを感光および現像させると、ディスクをエッチングする必要がある。しかし、今まで、商業的に存続可能な環境においてディスクをエッチングするための技術は提案されていない。
【0004】
確かに、半導体、フラットパネルディスプレイ、LED等のためのエッチング技術は周知であり、十分に開発されている。しかし、これらの製品のすべてにおいて、エッチングは基板の一面側においてのみ必要であり、基板を裏面側からチャックで保持することが可能である。前面をエッチングするべくプラズマを発生させる。さらに、プラズマ種を引き付けて基板の前面に衝突させるための電位を印加するべく電極が一般的にはチャックに埋設されている。
【0005】
上記を鑑みると、パターン化媒体を提供するべくハードディスクをエッチングするプラズマエッチング技術を採用する方法とシステムが要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の発明の開示は、本発明のいくつかの観点及び特徴についての基本的理解を得られるようにするべく含められている。本発明の開示は本発明を広範に概観したものでなく、したがって本発明の主要もしくは重要な要素を詳細に特定したり、本発明の範囲を正確に記載したりすることは意図されていない。唯一の目的は、以下に提示されるより詳細な記載への前置きとして、本発明のコンセプトのいくつかを簡略的に提示することである。
【0007】
ハードディスクに対するプラズマエッチング技術の適用を考慮したとき、本願発明者らは、パターン化ハードディスクをエッチングするには、標準的プラズマエッチング技術では問題があることを認識した。半導体及びその他の製品とは異なり、ディスクは両面をエッチングする必要がある。したがって、一面側のみにプラズマエッチングを施す従来のシステムは、ハードディスクについては機能しない。また、ディスクは両面に加工されるため、製造機械のいずれの要素もディスクの各面に接触することが許されない。したがって、従来のチャックを用いた従来技術に係るシステムは裏面側に接触するので、ハードディスクの処理には使用できない。よって、ディスクを保持するのにチャックを使用できない場合、ディスクの表面に対してプラズマ種を衝突させるためにはどのようにバイアス電位を印加すればよいのかについて、さらに問題が生じる。
【0008】
本願発明者らは、上記の問題に対する解決策を提供し、商業的に存続可能な環境でディスクのエッチングを可能にするエッチングシステム及び方法を開発した。本発明の実施の形態によると、ディスクの表面に一切接触せずにディスクの両面をプラズマエッチングすることが可能となる。本発明の実施の形態によると、チャックにディスクを取り付けることなくディスクの表面にプラズマ種を衝突させるためのバイアス電位を印加することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施の形態を例示しており、記載とともに本発明の原理を説明し例証する。図面は、例示としての実施の形態の主要な特徴を図示により説明することを意図されている。図面は、実際の実施の形態の全特徴及び図示される要素の相対寸法を示すことを意図されておらず、原寸に比例して示されていない。
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るパターン化ハードディスクを製造するシステムの一部を示す。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図を示す。
【図3】図1のB−B線に沿った断面図を示す。
【図4A】ディスクから離れた位置にある可動電極を示す部分等角図である。
【図4B】ディスクに近接した位置にある可動電極を示す部分等角図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るディスクエッチングチャンバを示す。
【図6】エッチングチャンバと冷却ステーションとを交互に備えるシステムの実施の形態を示す。
【図7】本発明の実施の形態に係る処理のフローを示す。
【図8】本発明に係るシステムの別の実施の形態を示す。
【図9】本発明の実施の形態に係る所定の代替的特徴を示す。
【図10】本発明の実施の形態に係る処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態によると、パターン化媒体ディスクをエッチングするシステムが提供される。ハードディスクドライブ(HDD)に使用されるハードディスクのスパッタリングには特に有利なスパッタエッチングを実行するべく可動非接触電極を使用する。本発明は、一般的にパターン化媒体と呼ばれる種類のディスクの金属エッチングには特に有利である。電極は、RFエネルギーをディスクに結合するべく、基板にほぼ接触しそうな、しかし接触しない距離へと移動する。エッチングされる材料は金属であってよく、たとえばCo/Pt/Crもしくは類似の金属であってよい。システムのいずれの部分による表面接触も許容されない。基板は搬送装置に垂直に保持され、両面がエッチングされなければならない。一つの実施の形態では、一面側を1つのチャンバでエッチングし、その後第2面側を次のチャンバでエッチングする。2つのチャンバ間には遮断弁が設置されており、ディスク搬送装置はディスクをチャンバ間で移動させる。搬送装置は、たとえば磁気車輪及びリニアモーターを用いたリニア駆動式搬送装置であってもよい。
【0012】
一つの実施の形態では、チャンバは、一方側にシャワーヘッドを、他方側に可動電極を備える。シャワーヘッドは、接地又はバイアスされていてもよく、たとえばアルゴン、反応性ガス(たとえば、CxFy、Cl、Br等)等のガスをチャンバに供給するための設備を備えている。チャンバは、リニア駆動式ディスク搬送装置のためのガイドもしくはレールも備える。ディスク搬送装置が処理位置に存在するときに、電極をディスクに接触させないようにその近くに移動させる。たとえば13.56MHzのRF出力を電極に結合すると、電極はディスクに容量結合される。次に、ディスクとシャワーヘッドとの間の空間にプラズマを発生させ、それによりディスクの表面から材料をスパッタリングする。次のチャンバでは、全く同じ構成が設けられているが、反対の対向順序で設けられており、したがってディスクの反対側の面がエッチングされる。2つのチャンバ間には、又は2つのチャンバの後には冷却チャンバを設けてもよい。
【0013】
これから、図面を参照して本発明の実施の形態を記載する。図1は、本発明の実施の形態に係るパターン化ハードディスクを製造するためのシステムの一部を示す。図1では、3つの処理チャンバ100、105、及び110が示されているが、各側にある3つの点は、任意の数のチャンバを用いてよいことを示す。また、ここでは3つの特定的チャンバが示されているが、ここで示されるチャンバ構成を採用することは必須ではない。代わりに、その他のチャンバ構成を用いてよく、その他の種類のチャンバを図示のチャンバ間に設けてもよい。
【0014】
説明の目的上、図1の例では、3つのチャンバ100、105、及び110はエッチングチャンバであり、それぞれ自身の真空ポンプ102、104、及び106により排気される。処理チャンバは、それぞれ移送部122、124、及び126と、処理部132、134、及び136とを備える。ディスク150はディスク搬送装置120に搭載される。本実施の形態では、ディスクは、その周囲で保持され、その表面は一切接触されない。なぜなら、両面をパターン化するべく両面を加工するからである。ディスク搬送装置120は、走路(図1では不図示)に載せられた一組の車輪121を備える。一つの実施の形態では、より良好な牽引力及び安定性を提供するべく車輪は磁化されている。ディスク搬送装置120は、ディスクを処理部に位置付けるべく、移送部に設けられたレールに載せられている。一つの実施の形態では、リニアモーター構成(図1では不図示)を用いてディスク搬送装置120に外部から原動力が供給される。
【0015】
図2は、図1のA−A線に沿った断面図を示す。簡略化するべく、図2では、ディスク250は搬送装置なしで示されているが、図1のシステムで実行される処理の全体を通してディスクはディスク搬送装置に載ったままであり、図2に矢印で示すようにチャンバからチャンバへとディスク搬送装置によって搬送されることは理解されるべきである。図示の実施の形態では、チャンバ200、205、及び210のそれぞれにおいて、ディスクは一面側が加工される。図2に示すように、ディスクがチャンバからチャンバへと移動するごとに、ディスクは両面が交互に加工される。しかし、表面加工の順序を変更してよいことは理解されるべきである。図2には、製造過程において各チャンバ間を遮断する遮断弁202及び206も示される。各チャンバは、可動支持部材242’、244’、及び246’に搭載された可動電極(本例では、陰極)242、244、及び246と、シャワーヘッド等の前駆体ガス供給装置262、264、及び266とをそれぞれ備える。
【0016】
図3は、図1のB−B線に沿った断面図を示す。ディスク350は、搬送装置320に搭載されて図示されている。搬送装置320は、走路324に載せられた車輪321を備える。車輪321は磁性であってよく、その場合、走路324を常磁性材料により形成してよい。本実施の形態では、搬送装置をリニアモーター326によって移動させるが、その他の原動力及び/又は構成を用いてもよい。チャンバを排気すると、チャンバに、たとえばシャワーヘッド364を介して前駆体ガスを供給する。シャワーヘッドは接地されている。RFバイアスエネルギーを可動陰極344に印加することにより、プラズマを発生させ持続させる。プラズマを発生及び持続させるその他の手段を用いてもよいが、可動陰極によって、プラズマ種を引き付け、ディスクに向けてプラズマ種を加速させて、ディスクから材料をスパッタするのに必要なバイアスエネルギーが提供される。つまり、可動陰極344をディスクの一面側のごく近くに移動させると、陰極によってRFバイアスエネルギーがディスクに容量結合されるので、プラズマ種がディスクに向けて加速され他面側がエッチングされる。図3は可動陰極344に関して説明されたが、図9に関して説明されるように、可動陽極を使用することによって同様の効果を得ることができることは理解されるべきである。
【0017】
図4Aは、ディスクから離れた位置にある可動電極を示す部分等角図であり、図4Bは、ディスクに近接した位置にある可動電極を示す部分等角図である。図4Aは、ディスクがチャンバに挿入されようとしている状況、又はチャンバから出されようとしている状況であって、処理が実行されていない状況を示す。図4Bは、処理中、つまりディスクをエッチング中のチャンバの状況を示す。ディスク450は、その周囲で、搬送装置420のクリップ423により保持される(本例では4つのクリップが使用されている)。可動電極アセンブリ444は、電極ハウジング441、電極カバー443、及び電極447を備える。本例では、電極カバー443はクリップ423に適合する切り込み449を有しており、図4Bに示すその近接位置では、カバーはクリップに接触しない。また、やや不明瞭ではあるが、電極そのものはドーナツ型をしており、ディスクの形状に適合している。つまりディスクの中心孔に適合する中心孔を有している。
【0018】
図5は、本発明の実施の形態に係るエッチングチャンバを示す。図5では、本実施の形態の理解に関連する要素が見えるように、要素がいくつか切断もしくは除去されている。アセンブリ全体は、主チャンバボディ500に搭載される。主チャンバボディ500は、搬送装置を搬送するための搬送チャンバとして機能する下部522と、ディスク加工、つまりエッチングに利用される上部532とを含む。本図では、搬送チャンバ522に通常存在する走路及びリニアモーターは、図示を明瞭にするべく省略されている。前駆体ガスの供給は、主チャンバボディ500の一方側からなされ、RFエネルギーの結合は他方側からなされる。本実施の形態では、前駆体ガスは、シャワーヘッドアセンブリ562を用いてチャンバに供給される。RFエネルギーの結合は、ディスクのごく近くまで移動するが接触はしない可動電極アセンブリを用いて達成される。電極アセンブリは、ディスクの移動中は待避モードとなるように、エッチング中は近接モードとなるように移動アセンブリ585を用いて移動される(図4A及び4B参照)。
【0019】
RFエネルギーの結合は、導電性電極からディスクへと、またそこからプラズマへと、容量的になされる。電極アセンブリは、ディスクの表面に相補的となるような形状の、導電性材料から形成される電極544を備える。電極カバー543が電極の周囲に設けられ、電極544よりも延伸している。したがって、電極が近接した活性化位置にあるとき、電極カバー543によってディスクの縁部が覆われる。この位置では、電極カバー543によって、ディスクの側面にプラズマ種が衝突したり、プラズマがディスクの裏面側に届いたりすることが防止される。つまり、電極に対向する面と電極との間の空間にプラズマがアクセスすることが防止される。
【0020】
非反応性エッチングについては、前駆体ガスは、たとえばアルゴンであってよい。一般的に磁気ディスクに用いられる磁性金属は物理的に、つまりスパッタリングによってエッチングされ得るので、アルゴンは適切な前駆体ガスである。処理の間、チャンバを、たとえば10〜80ミリトール(mT)の減圧状態に維持してよい。ただし、特定の処理は、1mT〜10トールの圧力状態で実行してよい。RFエネルギーは、たとえば13.56MHzの周波数において、たとえば100〜3000ワットに設定してもよい。図5の例では、RFマッチ580をエッチングチャンバに連結することにより構造がコンパクト化されている。マッチ580からのRF出力は、導電性電極544に結合される。一つの実施の形態では、電極544を冷却又は加熱する熱交換媒体としての流体が流体パイプ547から供給される。同様に、熱交換流体を流体パイプ569からシャワーヘッドに供給してもよい。
【0021】
RFエネルギーをディスクに効果的に結合するには、電極544をディスクのごく近くに位置付けなければならない。図示の実施の形態では、ディスクと電極との間の距離を、0.02”〜0.75”の間に設定してよい。これらの例では、±0.005”の精度で位置付けを行えばよい。一例では、近接センサー、たとえば1個以上の光センサーを用いることにより位置付け精度を達成する。図5に示すように、光ファイバー582によって、電極544から光センサー584への光路が提供される。位置付け精度を高め、ディスクに対する衝突を防止するべく、複数の光ファイバー及び対応するセンサーを用いてよく、多様な光学技術を用いてよい。
【0022】
一例では、電極とシャワーヘッドの両方が硬質の陽極酸化アルミで形成される。特に、従来のエッチングチャンバと異なり、ここでは電極の導電面は露出しており、絶縁物により覆われていない。その他の例でのように、シャワーヘッドは、接地され、固定されていて可動ではない。絶縁部品は、アルミナ(プラズマに暴露され得る場合)、又はポリエーテルイミド(Ultem)で形成してよい。記載された実施の形態によると、1秒当たり10nmを超えるエッチング速度が達成され得る。
【0023】
図6は、交互にエッチングチャンバと冷却ステーションとを備えるシステムの実施の形態を示す。各側の3つの点に示されるように、当該配列は同じものが繰り返されてもよく、又はその他の処理を実行するその他のチャンバ又は冷却もしくは移送チャンバに連結されてもよい。特に、チャンバ600は、ディスク650の一面側をエッチングするべく配置される。次に、遮断弁602を開き、ディスクを冷却チャンバ600’に移動させる。次の回では、弁602’を開き、ディスクをエッチングチャンバ605に移動させる。エッチングチャンバ605は、ディスクの反対面側をエッチングするべく配置される。その後、ディスクをもう一つの冷却ステーション605’に移動させる。
【0024】
図7は、本発明の実施の形態に係る処理のフローを示す。工程700では遮断弁を開き、工程705では基板を処理のための適切な位置に位置付けるように搬送装置を搬送する。工程710では遮蔽弁を閉じ、工程715では電極が、その近接位置に、つまり基板に近づくが接触はしないように移動する。工程720ではガスをチャンバに供給し、工程725ではRFを電極に供給してプラズマを発生及び持続させる。プラズマを発生させるために別の構成、たとえば誘導コイル、遠隔マイクロ波等を用いる場合でも、プラズマ種を基板に向けて加速させるバイアス電位を与えるには電極へのRFは依然として必要である。処理が続行する間はずっとガス及びRFを供給し、工程730で処理が終了すると、735でRFを停止し、740でガス供給を停止し、その後電極を、その遠位位置に、つまり基板から遠ざかるように移動させる。その後、次のディスクを処理し、現在のディスクを別のチャンバに移動させるべく処理を繰り返してもよい。
【0025】
図8は、本発明に係るシステムの別の実施の形態を示す。図8では、2つのエッチングチャンバ800及び805が、間に冷却チャンバを設けることなく連結されている。代わりに、冷却チャンバ800’及び805’が、エッチングチャンバが2つ連なったもの同士の間に設けられている。したがって、基板は冷却チャンバに入る前に両面がエッチングされる。
【0026】
図9は、本発明の実施の形態に係る所定の代替的特徴を示す。説明の目的上、図9のチャンバは図3のチャンバに類似しているが、以下の相違点が強調されている。たとえば、図9のチャンバでは、シャワーヘッドを用いる代わりに1以上のガス注入器972が設けられている。反対に、チャンバはシャワーヘッドとガス注入器の両方を用いてもよい。たとえば、シャワーヘッドはある種類のガス、たとえば不活性ガスを供給し、注入器は別の種類のガス、たとえば反応性ガスを供給してよい。図9のチャンバの別の特徴は、可動陽極の使用である。つまり、図9のチャンバでは、シャワーヘッドに埋設される場合もされない場合もある静止電極964にRF出力が結合される。可動陽極944は接地される。
【0027】
図10は、本発明の実施の形態に係る処理を示すフローチャートである。図10の処理は、本発明にしたがって構成されるチャンバのいずれのものとも用いられてよい。工程1000では、基板をチャンバに移動させる。工程1005では、可動電極を、基板に近接しているが接触はしない位置に移動させる。工程1010ではガスをチャンバに導入し、工程1015では可動式又は静止式のいずれかである電極に電力を結合し、工程1020でプラズマを発生させる。この状態で、たとえば物理的エッチング、及び/又は反応性イオンエッチングによって基板を処理する。処理工程が完了すると、工程1025で適時選択又は終点(end−point)の検出のいずれかによりRF出力を停止させ、工程1030で電極をその遠位位置に待避させ、工程1035でチャンバを排気する。工程1040で基板を取り出し、別の基板に対して処理を繰り返す。1つの基板を取り出し、別の基板を導入することを2つの分離した工程として示しているが、これらを同時に行ってよい。つまり、1つの基板が退出する際に、第2の基板が入場してもよい。
【0028】
本明細書に記載された処理及び技術は、特定の装置に固有に関連するものではなく、あらゆる適切な要素の組み合わせにより実施され得ることが理解されるべきである。さらに、本明細書に記載された教示にしたがって多様な種類の汎用装置を用いてよい。本明細書に記載された方法の工程を実行する専用装置を構成することも有利であろう。本発明は特定の例に関連して記載されたが、これらの例はあらゆる観点において限定的なものでなく例示的なものとして意図されている。本発明の実施には、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの多くの異なる組み合わせが適切であることが当業者には理解されるであろう。さらに、本明細書に開示された発明の詳細及び実施例を考慮することにより、発明のその他の実施例が当業者には明らかになるであろう。記載された実施の形態の多様な観点及び/又は要素は、サーバー技術(server arts)において単独で、又はなんらかの組み合わせで用いてよい。詳細及び実施例は例示としてのみみなされるべきことが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲に示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクエッチングチャンバ用の可動電極であって、
可動支持部材と、
前記可動支持部材に連結された移動アセンブリと、
露出面を有する導電性電極と、
前記電極の周囲に設けられ、エッチング対象のディスクに前記電極の前記露出面を露出させ、前記ディスクの縁部を覆うよう構成された電極カバーと
を備える
ことを特徴とする可動電極。
【請求項2】
前記導電性電極に熱交換流体を供給する流体パイプをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の可動電極。
【請求項3】
近接センサーをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の可動電極。
【請求項4】
前記近接センサーは、光センサーに連結された光ファイバーを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の可動電極。
【請求項5】
基板をエッチングするエッチングチャンバであって、
主チャンバボディと、
前記チャンバボディに連結された前駆体ガス供給アセンブリと、
前記チャンバボディの一方側に連結された可動電極アセンブリと、
前記チャンバボディの内部における、基板を受け取るための基板位置付け機構と
を備え、
前記可動電極は、処理のために、前記基板に接触することなく前記基板に近接する位置と、基板搬送のために、前記基板に対して遠位にある位置とを選択的にとるよう構成される
ことを特徴とするエッチングチャンバ。
【請求項6】
前記可動電極アセンブリは、
可動支持部材と、
前記可動支持部材に連結された移動アセンブリと、
露出面を有する導電性電極と
を備える
ことを特徴とする請求項5に記載のエッチングチャンバ。
【請求項7】
前記可動電極アセンブリは、前記電極の周囲に設けられた、前記電極の前記露出面を露出させる電極カバーをさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載のエッチングチャンバ。
【請求項8】
前記電極カバーは、前記基板の周囲を覆う処理位置をとるよう構成される
ことを特徴とする請求項7に記載のエッチングチャンバ。
【請求項9】
前記可動電極アセンブリは、前記基板から0.02”〜0.75”の距離に前記電極の前記露出面を位置付けるよう構成される
ことを特徴とする請求項6に記載のエッチングチャンバ。
【請求項10】
前記電極の前記露出面と前記基板との間の距離を測定する近接センサーをさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載のエッチングチャンバ。
【請求項11】
前記近接センサーは、光センサーに連結された光ファイバーを備える
ことを特徴とする請求項10に記載のエッチングチャンバ。
【請求項12】
前記前駆体ガス供給アセンブリは、接地されたシャワーヘッドを備える
ことを特徴とする請求項5に記載のエッチングチャンバ。
【請求項13】
前記電極に熱交換流体を供給する流体パイプをさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載のエッチングチャンバ。
【請求項14】
前記導電性電極に連結されたRF出力ソースをさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載のエッチングチャンバ。
【請求項15】
基板をエッチングするシステムであって、
前記システムは、
第1のエッチングチャンバと、
前記第1のエッチングチャンバでの処理の後に基板を受け取るべく前記第1のエッチングチャンバに連続的に連結された第2のエッチングチャンバと
を備え、
前記第1のエッチングチャンバは、
第1の側と、前記第1の側に対向する第2の側とを有する第1の主チャンバボディと、
前記第1の側に連結された第1の電極アセンブリと、
前記第2の側に連結された第1の可動電極アセンブリと、
前記第1のチャンバボディの内部に備えられた、基板を受け取るための第1の基板位置付け機構と
を備え、
前記第2のエッチングチャンバは、
前記第2の側に対向する第3の側と、前記第1の側に対向する第4の側とを有する第2の主チャンバボディと、
前記第4の側に連結された第2の電極アセンブリと、
前記第3の側に連結された第2の可動電極アセンブリと、
前記第2のチャンバボディの内部に備えられた、基板を受け取るための第2の基板位置付け機構と
を備える
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記第1及び第2のエッチングチャンバの間に位置付けられた遮蔽弁をさらに備える
ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1及び第2のエッチングチャンバの間に位置付けられた冷却チャンバをさらに備える
ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1及び第2の可動電極アセンブリはそれぞれ、
可動支持部材と、
前記可動支持部材に連結された移動アセンブリと、
露出面を有する導電性電極と
を備える
ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
エッチングチャンバ内で基板をエッチングする方法であって、
前記基板を搬送装置に搭載する工程と、
前記搬送装置を前記チャンバ内に搬送する工程と、
導電性電極が前記基板に物理的に接触することなく前記基板の表面に近接した位置をとるよう前記電極を移動させる工程と、
前記チャンバ内に前駆体ガスを注入する工程と、
前記チャンバ内でプラズマ種を発生させて前記基板に向けて加速させるよう前記電極にRFエネルギーを結合する工程と
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記電極と熱交換する流体を供給する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記チャンバ内の前記プラズマ種は前記基板の一面側をエッチングし、
前記方法は、前記基板を後続するチャンバ内に移動させて前記基板の反対面側をエッチングする工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記チャンバを前記後続するチャンバ内に移動させる前に、前記基板を冷却チャンバ内に移動させる工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数のエッチングチャンバを備えるシステム内で基板をエッチングする方法であって、
前記基板を搬送装置に搭載する工程と、
前記搬送装置を第1のエッチングチャンバ内に搬送する工程と、
前記基板の一面側をエッチングする工程と、
前記基板を後続するエッチングチャンバ内に搬送して前記基板の反対面側をエッチングする工程と
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記基板を後続するエッチングチャンバ内に搬送する前、及び、前記後続するチャンバ内でのエッチングの後、の少なくとも1つにおいて、前記基板を冷却チャンバ内に搬送する工程をさらに含む
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2011−507133(P2011−507133A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537132(P2010−537132)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/085749
【国際公開番号】WO2009/073864
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(592014034)インテバック・インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】INTEVAC INCORPORATED
【Fターム(参考)】