説明

基板処理装置、およびそれを有する基板処理システム

【課題】基板処理装置に関し、より詳しくは、イオンビームを基板に照射して、基板にイオンを照射する基板処理を行う基板処理装置、それを有する基板処理システムに関する。
【解決手段】基板処理装置が、一つ以上の基板が安着されたトレーが移送される移送経路の設けられた工程チャンバーと、前記移送経路に沿って移送される基板にイオンビームを照射する、一つ以上のイオンビーム照射部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、より詳しくは、イオンビームを基板に照射して基板処理を行う基板処理装置及びそれを有する基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体領域を形成する方法は、大きく、熱拡散法とイオン注入法とに分類される。
【0003】
そして、半導体領域の形成は、半導体基板、LCDパネル用の基板、OLEDパネル用の基板または太陽電池基板などの製造に適用されている。具体的に、半導体領域の形成は、半導体基板における半導体層の形成、LCDパネル用の基板及びOLEDパネル用の基板におけるTFT層の形成、LTPS(low temperature poly-silicone)の形成など、多様な工程に適用されている。
【0004】
一方、熱拡散法によりp型シリコン基板に対してn型半導体層を形成する方法を説明すると、基板を加熱し、リン(P)元素をp型シリコン基板の表面から染み込むようにすることで表面層をn型化して、pn接合構造を形成するようになる。
【0005】
ところが、熱拡散法により不純物を注入する場合、不純物を注入するためのPOClを蒸着するとき、ドーピングが均一に行われず、工程の均一度が低く、POClを用いる場合、蒸着後、基板の表面に副産物として形成されるPSG膜の除去、側面半導体構造の除去(エッジ分離)など、工程が複雑で、全体の工程時間が長くなり、生産性が低下される問題点があった。
【0006】
これに対し、イオン注入法は、イオンビームを直接照射して基板に注入するため、熱拡散法に比べて制御が容易で、精密な不純物の注入が可能であるので、最近、広く用いられている。
【0007】
イオン注入法は、一例として、リン元素を真空中でイオン化した後、電場により加速し、イオンビームの形態でp型シリコン基板の表面に入れることによって表面層をn型化して、pn接合を形成する方法である。
【0008】
前記のような基板の表面にイオンを照射するための基板処理装置は、一般的に、外部と密閉された所定のチャンバー内に基板を配置し、イオンビームソースから発生したイオンビームを基板に照射することで、基板の接合層を形成するようになる。
【0009】
一方、前記のような基板の表面にイオンを照射するための基板処理装置は、一般的に、イオンビームソースと、イオンビームソースから発生されたイオンビームを密閉された処理空間内に設けられたステーションに安着された(取り付けられた)基板に照射することで、基板にイオンを照射するように構成される。
【0010】
しかし、前記のような従来の基板処理装置においては、単一のイオンビームソースによりイオン照射工程が行われるため、イオン照射パターンに制限を受け、イオン照射の大量処理が困難な問題点がある。
【0011】
また、多様なパターンのイオン照射工程を行うためには複数の基板処理装置により行わなければならず、そのため、処理が複雑で、装置が高価で、かつ、装置が占める空間も大きくなる問題点がある。
【0012】
特に、太陽電池基板を製造するために基板の表面に選択的エミッタ(Selective Emitter)を形成する場合、マスクを設けた基板処理装置で1次イオン照射工程を行った後、基板処理装置からマスクを除去した後で、または、マスクが設けられていない別途の基板処理装置で、2次イオン照射工程を行わなければならず、そのため、処理が複雑で、装置が高価で、かつ、装置が占める空間が大きくなる問題点がある。
【0013】
また、従来の基板処理装置は、基板が固定された状態で、イオンビームを移動させながらイオンの注入が行われるため、イオン注入後の基板の交替、イオンビームを移動するための装置など、装置が複雑で、工程時間が多く必要とされて生産性が低い問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、前記のような問題点を解決するために、一つ以上の基板が安着されたトレーを移送させながら基板にイオンビームを照射することで、基板に対するイオン照射を大量に行い得る、基板処理装置及びそれを有する基板処理システムを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、一つの工程チャンバーに、基板にイオンビームを照射するイオンビーム照射部を2つ以上設けることで、迅速で多様なイオン照射工程を行い得る、基板処理装置及びそれを有する基板処理システムを提供することにある。
【0016】
本発明のまた他の目的は、一つ以上の基板が安着されたトレーを移送させながら基板にイオンビームを照射するようにし、イオンビームが照射されるイオンビーム照射領域におけるトレーの移送速度を、工程チャンバー内へのトレーの導入、または、排出時のトレーの移送速度が異なるようにすることで、効率的なトレーの移送により工程速度を高めることができる、基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記のような本発明の目的を達成するために創出されたもので、本発明は、一つ以上の基板が安着されたトレーが移送される移送経路が設けられた工程チャンバーと;前記移送経路に沿って移送される基板にイオンビームを照射する一つ以上のイオンビーム照射部と、を含む基板処理装置を開示する。
【0018】
前記イオンビーム照射部は、前記移送経路に沿って順次配置された第1イオンビーム照射部及び第2イオンビーム照射部を含み、前記第2イオンビーム照射部は、基板表面の一部領域にイオンが照射されるように、1つ以上の開放部を有するマスクが設けられてもよい。
【0019】
前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部は、同種のイオンビームを照射することができる。
【0020】
前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部は、相互異なる種のイオンビームを照射することができる。
【0021】
前記第1イオンビーム照射部は、前記第2イオンビーム照射部に設けられたマスクの開口部と重畳されないか、少なくとも一部が重畳される一つ以上の開口部が形成されたマスクが更に設けられ、前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部は、相互異なる種のイオンビームを照射することができる。
【0022】
前記移送経路上において、トレーの移送方向を基準に、基板が安着されるトレーの長さをLとすると、前記第1イオンビーム照射部のイオンビーム照射領域は、前記第2イオンビーム照射部のイオンビーム照射領域とLより大きい距離を有して位置され得る。
【0023】
前記工程チャンバーは、前記移送経路の一端にトレーが導入される第1ゲートが形成され、前記移送経路の他端にトレーが排出される第2ゲートが形成され、前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部のうち何れか一つは、そのイオンビーム照射領域が前記第1ゲートと、残りの一つは、そのイオンビーム照射領域が第2ゲートと、Lより大きい距離を有することができる。
【0024】
前記工程チャンバーは、前記移送経路の一端にトレーが導入される第1ゲートが形成され、前記移送経路の他端にトレーが排出される第2ゲートが形成され、前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部のうち、前記第1ゲート及び前記第2ゲートの夫々に最も近い各イオンビーム照射領域は、前記第1ゲート及び前記第2ゲートの夫々に隣接して位置され得る。
【0025】
前記イオンビーム照射領域を通過するトレーの移送速度は、前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーの移送速度と異なるように構成され得る。
【0026】
前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーの移送速度は、前記イオンビーム照射領域を通過するトレーの移送速度より速く構成され得る。
【0027】
前記基板処理装置は、前記移送部を駆動する一つの駆動部を含み、前記駆動部は、前記イオンビーム照射領域を通過するトレーの移送速度と、前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーの移送速度とを相違にすることができる。
【0028】
前記基板処理装置は、前記イオンビーム照射領域を通過するトレーを移送する第1駆動部と、前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーを移送する一つ以上の第2駆動部と、を含むことができる。
【0029】
前記基板処理装置は、基板にイオンビームが照射される区間における前記トレーの移送速度は、イオンビームが照射されない少なくとも一部の区間における前記トレーの移送速度より遅く構成され得る。
【0030】
本発明は、また、前記のような構成を有する基板処理装置を含む工程モジュールと、前記工程モジュールの一側に結合され、内部圧力が大気圧及び真空圧に交互に変換され、外部から一つ以上の基板が安着されたトレーを伝達されて、前記工程モジュールにトレーを伝達するロードロックモジュールと;前記工程モジュールの他側に結合され、内部圧力が大気圧及び真空圧に交互に変換され、前記工程モジュールからトレーを伝達されて外部に排出するアンロードロックモジュールとを含む基板処理システムを開示する。
【0031】
前記基板処理システムは、前記アンロードロックモジュールに結合され、前記アンロードロックモジュールから伝達されたトレー上の基板を熱処理する熱処理モジュールが更に設けられ得る。
【0032】
前記基板処理システムは、 前記ロードロックモジュールと前記工程モジュールの間、前記工程モジュールと前記アンロードロックモジュールの間の夫々には、移送されるトレーを臨時貯蔵し、内部圧力が大気圧と前記工程モジュールの工程圧の間の圧力に保持される第1バッファーモジュール及び第2バッファーモジュールが更に設けられ得る。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムは、一つ以上の基板が安着されたトレーを移送させながらトレー上に安着された基板にイオンビームを照射するので、基板に対するイオン照射を通じたイオン注入工程を大量に行い得る利点がある。
【0034】
特に、イオンビームを照射するイオンビーム照射部が設けられた工程モジュール内で、一つ以上の基板が安着されたトレーを移送しながらイオンビームを照射して基板にイオンを注入するため、基板の移送が便利で、イオンビーム照射部が固定して設けられて、装置が簡単な利点がある。
【0035】
また、イオンビームを照射して基板にイオンを注入するため、従来の熱拡散法に比べて均一な深さのイオン注入が可能で、PSGのような副産物が発生されないため、副産物を除去するための追加工程を必要とせず、基板の上面全部または一部に対するイオン注入ができるため、工程処理が単純で、多様な工程処理ができる利点がある。
【0036】
本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムは、工程チャンバーに2つ以上のイオンビーム照射部のイオンビーム照射領域を基板の移送経路に沿って順次設置することで、基板に対する迅速かつ多様なイオン照射工程を行い得る利点がある。
【0037】
例えば、一対のイオンビーム照射部を工程チャンバーに設け、各イオンビーム照射部のイオンビーム照射領域を順次通過するように基板が安着されたトレーを移送させることで、迅速かつ多様なイオン照射工程を行い得る利点がある。
【0038】
また、本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムは、一つの工程チャンバーに2つ以上のイオンビーム照射部、即ち、第1イオンビーム照射部及び第2イオンビーム照射部を設け、第1イオンビーム照射部及び第2イオンビーム照射部のうち少なくとも一部にマスクを選択的に設けることで、基板の表面に対するより多様なパターンのイオン照射を一つの工程チャンバーで行い得る利点がある。
【0039】
即ち、本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムは、マスクが設けられたイオンビーム照射部を通過して1次イオン照射が行われた後、マスクが設けられていないイオンビーム照射部を通過して2次イオン照射が行われる(順序は変えられる)ことで、基板の表面上に低濃度のイオン照射領域(アニーリング後に半導体層を形成)及び高濃度のイオン照射(アニーリング後に半導体層を形成)領域を有するパターンのイオン照射工程を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0040】
また、本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムは、異なるパターンの開放部を有するマスクを有する一対のイオンビーム照射部を備えることで、第1パターンのイオン照射工程及び第2パターンのイオン照射工程を順次行って、選択的エミッタ構造の半導体層を形成するためのイオン照射、IBCタイプの太陽電池基板における異なる特性の半導体層を形成するためのイオン照射を一つの工程チャンバーで行い得る利点がある。
【0041】
また、本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムは、工程チャンバー内へのトレーの導入及び排出のとき、トレーの移送速度を相対的に最大化して、トレーの移送時間を短縮し、全体の工程時間を短縮させて、生産性を著しく向上し得る利点がある。
【0042】
また、本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムは、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、夫々の位置におけるトレーの移送速度を個別に制御し、工程処理に最適化することで、各位置における移送時間の損失を最大限節約できるため、基板処理工程の効率を増大し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施例に係る基板処理システムを示した概念図である。
【図2】図1の基板処理システムの作動状態を示した概念図である。
【図3】図1の基板処理システムの工程チャンバー内にマスクが設けられたイオンビーム照射部から見た一部平面図である。
【図4a】図1の基板処理システムによるイオン照射工程により半導体層が形成された基板の例を示した一部断面図である。
【図4b】図1の基板処理システムによるイオン照射工程により半導体層が形成された基板の例を示した一部断面図である。
【図5】図1の基板処理システムの工程チャンバーの変形例を示した概念図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る基板処理システムを示した概念図である。
【図7】図6の基板処理システムの工程チャンバーを示した概念図である。
【図8】図6の基板処理システムの工程チャンバーの変形例を示した概念図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係る基板処理システムにおける基板処理方法を順次示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明に係る基板処理装置及びそれを有する基板処理システムに関し、添付の図面を参照して詳細に説明すると、次のようである。
【0045】
本発明に係る基板処理システムは、図1、図2及び図5に示したように、工程モジュール1と、工程モジュール1の一側に結合されるロードロックモジュール2と、工程モジュール1の他側に結合されるアンロードロックモジュール3とを含むことができる。
【0046】
前記ロードロックモジュール2、工程モジュール1及びアンロードロックモジュール3は直列に配列され、夫々、トレー20を移送するための移送部31をさらに備えることが可能で、移送部31は、基板または複数の基板が配列されるトレーを移送しながら、工程チャンバー100の内部でイオン処理工程を経由することができる。
【0047】
前記工程モジュール1は、後述する基板処理装置を含む構成であり、ほぼ真空状態、即ち、真空圧状態で基板に対するイオン照射工程を行う構成であり、多様な構成ができる。
【0048】
前記ロードロックモジュール2は、工程モジュール1の一側に結合され、内部圧力が大気圧及び真空圧に交互に変換され、外部から一つ以上の基板10が安着されたトレー20を伝達されて工程モジュール1にトレー20を伝達する構成であり、多様な構成ができる。
【0049】
前記アンロードロックモジュール3は、工程モジュール1の他側に結合され、内部圧力が大気圧及び真空圧に交互に変換され、工程モジュール1からトレー20を伝達されて外部に排出する構成であり、多様な構成ができる。
【0050】
前記アンロードロックモジュール3は、工程を終えたトレー20を外部に排出するために、圧力変換の他に、工程モジュール1から伝達されたトレー20に安着された基板10を冷却させる冷却装置がさらに設けられてもよい。
【0051】
一方、前記工程モジュール1でイオンが注入された基板は、不純物注入工程を完成するために熱処理を必要とし、アンロードロックモジュール3に結合され、アンロードロックモジュール3から伝達されたトレー20上の基板10を熱処理する熱処理モジュール(未図示)がさらに設けられてもよい。
【0052】
前記熱処理モジュールは、工程モジュール1でイオン注入が完了された基板10の積載されたトレー20をアンロードロックモジュール3から伝達されて熱処理を行う構成であり、多様な構成ができる。
【0053】
前記熱処理モジュールにより行われる熱処理は、イオン注入後の基板10に対して求められる条件に応じて、温度、圧力、熱処理の時間などが決定される。
【0054】
一方、前記ロードロックモジュール2と工程モジュール1の間、工程モジュール1とアンロードロックモジュール3の間の夫々には、移送されるトレー20を臨時に貯蔵し、内部圧力が大気圧と工程モジュール1の工程圧の間の圧力に保持されるバッファーモジュール(第1バッファーモジュール及び第2バッファーモジュール)が更に設けられてもよい。
【0055】
前記第1バッファーモジュールは、内部圧力が大気圧と工程モジュール1の工程圧との間、例えば、工程モジュール1の工程圧を保持した状態でロードロックモジュール2からトレー20を伝達されて臨時貯蔵する構成であり、第2バッファーモジュールは、大気圧と工程モジュール1の工程圧との間、例えば、工程モジュール1の工程圧を保持した状態でアンロードロックモジュール3にトレーを伝達する構成であり、多様な構成ができる。
【0056】
特に、前記第1バッファーモジュール及び第2バッファーモジュールは、夫々、ロードロックモジュール2及びアンロードロックモジュール3における圧力の変換及びトレーの交換が遅延されると、工程モジュールが工程を行わず待機するなど、全体工程が遅滞されることを防止できる。
【0057】
一方、前記ロードロックモジュール2及びアンロードロックモジュール3、第1バッファーモジュール及び第2バッファーモジュールが設けられた場合、ロードロックモジュール2、アンロードロックモジュール3、第1バッファーモジュール及び第2バッファーモジュール(熱処理モジュールも同様である)には、トレー20を移送するための移送部31が設けられてもよい。
【0058】
前記移送部31は、トレー20を移送するための構成であり、トレー20の底面一部を支持し、回転によりトレー20を移動させる複数のローラーを含むことができる。ここで、前記移送部、即ち、ローラーのうち少なくとも駆動部(未図示)により一部は駆動、即ち、回転駆動される。
【0059】
一方、図1において説明していない図面符号510、520、530及び540は、それぞれ、各ゲートを開閉するためのゲート弁を示す。
【0060】
以下、本発明に係る基板処理装置に関し、詳細に説明する。
【0061】
本発明の第1の実施例に係る基板処理装置は、図1〜図5に示したように、一つ以上の基板10が安着されたトレー20が移送される移送経路30が設けられた工程チャンバー100と、移送経路30に沿って移送される基板にイオンビームを照射する一つ以上のイオンビーム照射部300とを含む。
【0062】
ここで、処理対象の基板10は、半導体基板、LCDパネル用の基板、OLEDパネル用の基板はもちろん、太陽電池用の基板がなり得る。
【0063】
特に、前記基板処理装置の基板処理対象は、太陽電池用のシリコン基板が好ましく、この時、イオンビーム照射部300により照射されるイオンビームは、基板10の表面に一つ以上の半導体領域を形成するイオンを注入するために用いられ得る。
【0064】
また、前記基板処理対象が太陽電池用のシリコン基板である場合、基板10の表面に形成される半導体領域は、選択的エミッタ(Selective Emitter;図4aに示す)であるか、IBCを形成するp型基板上のn型半導体領域及びp型半導体領域(図4bに示す)などがなり得る。
【0065】
前記トレー20は、一つ以上の基板10を積載して移送するための構成であり、多様な構成ができる。
【0066】
一例として、前記トレー20は、基板10を安定的に支持できる材質であれば、いかなる構成もできる。
【0067】
一例として、前記トレー20は、基板10を安定的に支持できる材質であれば、いかなる構成も可能で、平面形状が長方形状を有してもよく、このとき、基板10は長方形のn×mの配列に配置されてもよい。
【0068】
前記工程チャンバー100は、イオンビーム照射部300を通じて基板10にイオンが注入され得る環境及び、トレー20の移送経路30を形成するための構成であり、多様な構成ができる。
【0069】
前記工程チャンバー100は、一例として、互いに着脱可能に結合され、密閉された処理空間Sを形成するチャンバー本体110及び上部リード120を含んで構成されてもよい。
【0070】
前記チャンバー本体110には、トレー20の入出のための一つ以上のゲート111、112が形成されてもよく、処理空間S内の排気及び圧力の制御のために排気システムと連結されてもよい。ここで、前記第1ゲート111は、移送経路30の一端にトレー20が導入されるように形成され、第2ゲート112は、移送経路30の他端にトレー20が排出されるように形成される。
【0071】
一方、前記チャンバー本体110に設けられる移送経路30は、トレー20が工程チャンバー100内で移動する経路の概念的な構成であり、工程チャンバー100内でトレー20を移送できる構成であれば、いかなる構成も可能である。
【0072】
前記移送経路30は、図1に示したように、チャンバー本体110に形成された第1ゲート111及び第2ゲート112に沿ってトレー20が移送されるように構成されてもよく、第1ゲート111及び第2ゲート112の間に配置され、トレー20の底面一部を支持し、回転によりトレー20を移動させる複数のローラー31と、ローラー31のうち少なくとも一部を回転駆動するための回転駆動部(未図示)とを含んで構成されてもよい。
【0073】
ここで、前記移送経路30は、工程チャンバー100内におけるトレー20の移送経路を意味し、ローラーなど一部の構成だけが物理的な構成であり、必ずしも全てが物理的構成である必要はない。
【0074】
そして、前記移送経路30は、トレー20が特定位置に位置されるとき、安着された基板10にイオンビームが照射されるイオンビーム照射領域が設定される。
【0075】
前記イオンビームソースは、イオン化されるガスをイオン化してイオンビームを形成する構成であり、多様な構成ができる。ここで、前記イオンビームソースは、イオン化されるガスを持続的に供給され得るようにガス供給装置と連結されてもよい。
【0076】
前記イオンビーム照射部300は、イオンビームソースと連結され、移送経路30の上側に設けられて、イオンビームソースから発生されたイオンビームを移送経路30に沿って移送される基板10の表面に照射する構成であり、多様な構成ができる。
【0077】
前記イオンビーム照射部300は、イオンビームソースから発生されたイオンビームを移送経路30上のイオンビーム照射領域に誘導すると共に、イオンビームの強度及び濃度を制御し、基板10へのイオン照射に適したイオンビーム照射領域を工程チャンバー100の移送経路30上に形成する。
【0078】
ここで、前記イオンビーム照射部300は、移送経路30の全体にわたってイオンビームが照射されるよりは、一部の領域、即ち、イオンビーム照射領域でのみイオンビームが照射されるように構成される。
【0079】
一方、前記イオンビーム照射部300は、図1〜図5に示したように、移送経路30に沿って順次配置された第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302を含むことができる。
【0080】
特に、前記工程チャンバー100内に第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302が固定して設けられることで、工程チャンバー100内に固定された第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302により形成されるイオンビーム照射領域にトレー20を通過させ、トレー20に安着された基板10に対する多様な形態のイオン注入を可能にする。
【0081】
また、前記のように一つの工程チャンバー100内に第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302が設けられると、基板10の表面に異種イオンの照射、基板10の表面の一部に対する高濃度イオンの照射、パターン化されたイオンの照射など、様々な形態のイオン照射ができる。
【0082】
一方、前記イオンビーム照射部300、特に、第2イオンビーム照射部302は、図1及び図3に示したように、イオンビームの照射経路、即ち、イオンビーム照射部300及びトレー20の移送経路30の間に設けられ、イオンビームの一部が基板の表面に照射されるようにするマスク310が更に設けられてもよい。
【0083】
前記マスク310は、イオンビームが照射される照射経路に設けられ、基板の表面のうちの一部の領域においてイオンビームが照射されることを遮断して、基板の表面のうち少なくとも一部の領域のみイオンが注入されるようにする構成であり、多様な構成ができる。
【0084】
一例として、前記マスク310は、基板10の表面においてイオンが照射される一部の領域に対応される部分のみ開放されるように形成された、一つ以上の開放部311を含んでもよい。
【0085】
そして、前記マスク310の材質は、イオンビームが持続的に照射されることを考慮し、安定的で耐熱性のあるグラファイトのような材質を用いることが好ましい。
また、前記マスク310は、工程チャンバー100に設けられた支持フレーム340により支持され、設けられてもよい。
【0086】
また、前記マスク310は、イオンビームの持続的な打撃による加熱を冷却させ得るように、工程チャンバー100内に更に設けられた冷却部(未図示)により冷却されてもよい。
【0087】
一方、前記第1イオンビーム照射部301は、基板10の表面上においてより多様なパターンのイオン照射ができるように、第2イオンビーム照射部302に設けられたマスク310とは異なる開放部311のパターンを有するマスク310が更に設けられてもよい。
【0088】
前記第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302に設けられるマスク310の夫々において、開放部311のパターンを異なるようにすると、基板10の表面上における多様なパターンのイオン照射ができる利点がある。
【0089】
一方、前記第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302の設置とマスクの有無により多様なパターンのイオン注入ができ、一例として、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302は、同種のイオンビームを照射するように構成されてもよい。また、前記第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302は、異なる濃度または強度のイオンビームを照射してもよい。
【0090】
前記の構成を有する基板処理装置は、図4aに示されたような選択的エミッタの形成工程が、一つの基板処理装置により行われ得る利点がある。
【0091】
即ち、本発明に係る基板処理装置は、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302を備え、第2イオンビーム照射部302が、基板10の表面の一部のみイオンビームが照射されるようにするマスク310を備えることで、基板10の上面の全体にn型半導体領域を形成するための上面全体に対するイオン照射と、基板10の表面の一部の領域におけるn型半導体領域を形成するための一部領域に対するイオン照射とが一つの基板処理装置により行われる利点がある。
【0092】
ここで、IBCタイプの太陽電池の構造において半導体層を形成するために、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302のうち何れ一つにマスク310を設けてイオン照射が行われる場合、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302は、基板に注入されるドーピング濃度を異なるようにしてイオンビームを照射する。
【0093】
一方、他の例として、前記第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302は、図5に示したように、基板10の表面の一部領域にイオンが照射されるように、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302に、異なるパターンの開放部311を有するマスク310が夫々設けられてもよい。
【0094】
前記の構成を有する基板処理装置は、図4bに示したようなIBCタイプにおいて、異なる特性の半導体層の形成工程が一つの基板処理装置により行われ得る利点がある。
【0095】
即ち、本発明に係る基板処理装置は、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302が、異なるパターンの開放部311を有するマスク310を備えることで、p型半導体特性を有する基板10の表面の一部領域におけるn型半導体領域を形成するための基板10の表面の一部領域に対するイオン照射と、基板10の表面の一部領域におけるp型半導体領域を形成するための一部領域に対するイオン照射とが一つの基板処理装置により行われ得る利点がある。
【0096】
一方、前記第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302は、イオン照射のとき、相互干渉を考慮して適切に配置される必要がある。
【0097】
従って、前記移送経路30上において、トレー20の移送方向を基準にトレー20の長さをLとすると、図1に示したように、第1イオンビーム照射部301のイオンビーム照射領域は、隣接する第2イオンビーム照射部302のイオンビーム照射領域と、Lより大きい距離を有して位置されることが好ましい。
【0098】
前記のように第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302は、イオンビームの照射領域が相互Lより大きい距離を有して位置されると、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302は、相互イオン照射工程に影響を与えず、イオン照射工程を行うことができる。
【0099】
このとき、前記工程チャンバー100のゲート111、112が閉められた状態でイオン照射が行われることが好ましく、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302のうち何れ一つは、そのイオンビーム照射領域が第1ゲート111と、残りの一つは、そのイオンビーム照射領域が第2ゲート112と、Lより大きい距離を有することがさらに好ましい。
【0100】
一方、前記のように第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302のイオンビーム照射領域が、夫々、第1ゲート111及び第2ゲート112とLより大きい距離を有するようになると、工程チャンバー100の大きさが大きくなる問題点があり、これを改善するために、図5に示したように、第1イオンビーム照射部301及び第2イオンビーム照射部302のうち、第1ゲート111及び第2ゲート112の夫々に最も近い各イオンビーム照射領域は、第1ゲート111及び第2ゲート112の夫々に隣接して位置されてもよい。
【0101】
このとき、前記トレー20が工程チャンバー100の移送経路30に進入、または、排出されるとき、工程チャンバー100と実質的に同一の真空圧が形成されたロードロックモジュール2及びアンロードロックモジュール3が設けられることを前提とする。
【0102】
即ち、前記第1ゲート111が開放された後、トレー20が工程チャンバー100の移送経路30に進入すると同時に移送経路30に沿って移動され、第1ゲート111に隣接して設けられた第1イオンビーム照射部301のイオンビーム照射領域を通過しながらイオン照射が行われる。ここで、トレー20が工程チャンバー100内への進入を完了すると、第1ゲート111が閉められた後、ロードロックモジュール2は、外部からトレー20を伝達され得るように、大気圧への圧力変換が行われる。
【0103】
一方、前記第1ゲート111に隣接して設けられた第1イオンビーム照射部301のイオンビーム照射領域を通過したトレー20は、その移動により、次の第2イオンビーム照射部302のイオンビーム照射領域を通過しながらイオン照射を経由するようになる。
【0104】
そして、最終的に前記トレー20が第2ゲート112に隣接された第2イオンビーム照射部302のイオンビーム照射領域に到達すると、第2ゲート112の開放と共に、トレー20は、その移送により、第2ゲート112に隣接された第2イオンビーム照射部302によるイオン照射を経由しながらアンロードロックモジュール3に移送される。
【0105】
最後に、トレー20がアンロードロックモジュール3への移送を完了すると、アンロードロックモジュール3は、第2ゲート112により工程チャンバー110と遮断されると共に、トレー20を排出するための大気圧への圧力変換が行われる。
【0106】
一方、本発明に係る基板処理装置は、内部に移送部31を備えることで、トレー20が、ロードロックモジュール2、工程モジュール1及びアンロードロックモジュール3を順次移送されるようにして、イオン処理工程のために圧力を調整し、イオンビームを照射する工程が継続的に行われるようにする。
【0107】
前記移送部31を備える基板処理装置は、イオンビーム照射領域を通過するトレー20に安着された基板のイオン注入のための最大速度が制約されるため、全体的な移送部31の速度が限定され、半導体の生産工程の速度が全体的に低下される問題がある。
【0108】
そこで、本発明に係る基板処理装置は、図6〜図9に示したように、工程チャンバー100と、工程チャンバー100の内部にイオンビーム照射領域40を形成するイオンビーム照射部300と、イオンビーム照射領域40を基板が安着されたトレー20が通過されるように移送する移送部31とを含み、トレー20がイオンビーム照射領域40を通過する照射区間P1におけるトレー20の移送速度と、前記照射区間の前後に位置される導入区間P2及び排出区間P3におけるトレーの移送速度とは異なる概念を提供する。
【0109】
前記照射区間P1は、トレー20がイオンビーム照射領域40に露出され、基板にイオン注入処理が行われる区間を意味し、導入区間P2は、トレー20がイオンビーム照射領域40に達する前までの区間を意味し、排出区間P3は、イオン注入処理が完了されたトレー20がイオンビーム照射領域40から外れた以後の区間を意味するものと定義する。
【0110】
前記各区間は、正確には、トレー20が配置され得る両側の限界領域を意味するもので、例えば、図6に示したように、トレー20が両側に所定の長さを形成し、左側から右側へ進行する場合、トレー20の右側端部がイオンビーム照射領域40の左側に導入し始めるとき、基板10にイオンビームの照射が開示され、トレー20が右側へ移送されながらトレー20の左側端部がイオンビーム照射領域40の右側から外れ始めるとき、一つのトレー20におけるイオンビームの照射が完了されるものと見做される。
【0111】
図6においては、工程チャンバー100の水平方向の長さが略3つのトレー20の長さに対応する例が示されるが、工程チャンバー100の長さは選択によりそれより短いか長くなってよい。
【0112】
また、前記導入区間P2は、ロードロックモジュール2、工程チャンバー100の外部から、または、工程チャンバー100の内部からトレー20が右側へ移送されて、右側端部がイオンビーム照射領域40の左側に導入される直前までの区間と見做され、排出区間P3は、イオン注入工程を完了したトレー20の左側端部がイオンビーム照射領域40の右側から外れた直後から工程チャンバー100の内部を移動する区間やアンロードロックモジュール3、または、工程チャンバー100の外部までの区間と見做される。
【0113】
図示された例においては、トレー20が第1ゲート弁111への通過を完了すると、直ちにイオンの注入が開始され、イオンの注入が完了すると、トレー20は直ちに第2ゲート弁112を通過するために待機する状態となる。
【0114】
ただし、前記工程チャンバー100の水平方向の長さが、図6の例よりも長い場合は、第1ゲート弁111を通過したトレー20は、照射区間P1の移送を開示する前に移送される領域がさらに発生され、照射区間P1の移送を完了したトレー20は、直ちに第2ゲート弁112に導入される前に所定距離をさらに移送することができる。
【0115】
従って、前記工程チャンバー100の長さにより、導入区間P1と排出区間P2の距離は多様に構成される。
【0116】
図6において、前記各区間は一部交差する領域が存在する。ただし、前記の定義に従う場合に、導入区間P2が終了される個所は、トレー20の右側端部が配置される個所であってよく、照射区間P1が開始される個所は、トレー20の左側端部が配置される個所であってもよいので、実質的に、トレー20の特定部分は、導入区間P2、照射区間P1及び排出区間P3を順次移動されることに留意しなければならない。
【0117】
本発明の概念においては、照射区間P1におけるトレー20の移送速度と、導入区間P2及び排出区間P3におけるトレー20の移送速度とは相違に行われるため、夫々の区間に適するように、可能な最大速度を適切に選択して、全体的な基板処理工程の速度を向上させ得る利点がある。
【0118】
前記導入区間P2及び排出区間P3におけるトレー20の移送速度は、照射区間におけるトレー20の移送速度より速いことが好ましい。
【0119】
また、前記導入区間P2と排出区間P3におけるトレー20の移送速度は、同一に行われることができるが、イオン注入工程の前処理工程や後処理工程がさらに行われる場合、導入区間P2と排出区間P3は、トレー20の移送速度が相違し得ることはもちろんである。
【0120】
本発明に係る基板処理装置は、移送部31を駆動する駆動部50を含む。
【0121】
図7と図8は、このような駆動部が配置される基板処理装置の実施例を示したもので、図7においては、一つの駆動部50が配置される例が示される。
【0122】
前記移送部31は、導入区間P2、照射区間P1及び排出区間P3を通じて一つの駆動部50によりトレー20を移送する装置であってもよい。
【0123】
前記移送部31は、互いに連動して動く複数のローラーでもよく、コンベヤーベルトの形状でもよく、トレー20を順次移送できる装置であれば、選択的に構成され得る。
【0124】
また、駆動部50と移送部31の間で駆動動力を伝達するための連結部材60がさらに配置され、前記連結部材60は、プーリー、チェーンまたはギアなど様々な動力伝達装置が選択的に用いられてもよい。
【0125】
また、前記駆動部50は、エンジンやモータなど多様な動力提供装置が選択的に用いられてもよい。
【0126】
本発明では、夫々の区間においてトレー20の移送速度を相違にするため、個別的な移送部31が連動されて動作するか、移送部31が一つの装置からなる場合には、前記駆動部50は、トレー20の位置によって駆動速度を相違にすることができる。
【0127】
具体的に、前記トレー20が照射区間P1に位置する時には、駆動部50は、トレー20が導入区間P2または排出区間P3に位置する時よりも相対的に遅い速度で移送部31を駆動するようになる。
【0128】
一方、本発明の他の実施例に係る基板処理装置を説明すると、図8に示したように、照射区間P1の移送部のみを駆動する第1駆動部51と、前記導入区間P2と排出区間P3を駆動する一つ以上の第2駆動部52、53とを含むことができる。
【0129】
前記の概念に基づき、照射区間P1でトレー20を移送するための第1移送部31が、導入区間P2と排出区間P3を駆動する第2移送部31と別途に構成されてもよい。
【0130】
従って、前記第1移送部31が他の区間よりもトレー20をさらに遅い速度で移送できるように、第1駆動部51を独立的に制御することができる。
【0131】
また、前記導入区間P2と排出区間P3において、前記移送部は、夫々別途に構成されてもよく、導入区間P2でトレー20を移送するための第2移送部32と、排出区間P3でトレー20を移送するための第3移送部33とからなることができる。
【0132】
前記第2移送部32と第3移送部33は、夫々別途に制御される第2駆動部52と第3駆動部53により駆動され、従って、前記第2移送部32と第3移送部33が異なる速度でトレー20を移送することができる。
【0133】
前記ロードロックモジュール2及び/又はアンロードロックモジュール3は、内部に別途の移送部(参照番号を表示せず)を備えることが可能で、第2駆動部52、53は、ロードロックモジュール2またはアンロードロックモジュール3内の移送部を駆動する第3駆動部と同期されて駆動されてもよい。
【0134】
前記第3駆動部が省略され、第2駆動部52、53はロードロックモジュール2またはアンロードロックモジュール3内の移送部を共に駆動し得ることはもちろんである。
【0135】
また、本発明に係る基板処理装置は、基板10が安着されたトレー20がインラインに移送されながらイオンビームが照射される基板処理装置において、基板10にイオンビームが照射される区間におけるトレー20の移送速度は、イオンビームが照射されない少なくとも一部の区間におけるトレー20の移送速度よりも遅くなるように構成されてもよい。
【0136】
さらに別の説明として、本発明は、工程チャンバー100と、工程チャンバー100の内部にイオンビーム照射領域40を形成するイオンビーム照射部300と、イオンビーム照射領域40を通過しながら基板にイオンビームが照射されるように、1つ以上の基板が安着されたトレー20を移送する移送部31とを含み、移送部31は、トレー20がイオンビーム照射領域40に隣接されると、工程処理のために設定された移送速度にトレー20の移送速度を減速し、トレー20がイオンビーム照射領域40から離脱されると、トレーの移送速度を加速する基板処理装置を提供する。
【0137】
前記トレー20の先に排出される位置を一側と定義すると、トレー20の一端部側がイオンビーム照射領域40の他側に隣接されると、トレー20がイオンビーム照射領域40に隣接されるものと見做され、トレー20の他端部側がイオンビーム照射領域40の一側から外れると、離脱されるものと見做される。
【0138】
前記トレー20がイオンビーム照射領域40に隣接または離脱される場合は、トレー20の一端部または他端部側がイオンビーム照射領域40に接するか、近接するか、イオンビーム照射領域40の内部に一部が含まれるかのうちの一つであり得る。
【0139】
前記工程処理のために設定された移送速度は、基板にイオンビームが照射されて効果的に工程処理される速度を意味し、前記速度は、工程処理が行われる最大の速度で設定されることが好ましい。ただし、前記速度は多様に設定され得る。
【0140】
前記移送部31は、トレーがインラインに移送される全体の工程速度を最大化するために、イオンビーム照射領域40で工程処理される以外の区間では、移送のための最大限の速度で駆動でき、工程処理が開示される時点において前記設定された速度に減速し、工程処理が終了する時点では、移送のための最大限の速度で加速することができる。
【0141】
前記のような基板処理装置を含む基板処理方法を、図9に基づき、以下でさらに詳しく説明する。
【0142】
本発明に係る基板処理方法は、基本的に、ロードロックモジュール2から工程チャンバー100内にトレー20が第1速度で移送される導入ステップ、工程チャンバー100の内部においてトレー20がイオンビーム照射領域40を第2速度で移送される照射ステップ、工程チャンバー100からアンロードロックモジュール3内にトレー20が第3速度で移送される排出ステップ、を含むことができる。
【0143】
前記のように、第2速度は、トレー20に安着される基板10にイオンビームの照射が行われる区間におけるトレー20の速度を意味し、好ましくは、第1速度及び第3速度は、前記第2速度より速い。
【0144】
また、前記のように、前記ロードロックモジュール2と工程チャンバー100の間にトレー20を臨時貯蔵し、内部圧力が大気圧と工程チャンバー100の工程圧の間の圧力に保持される第1バッファーモジュールと、工程チャンバー100と前記アンロードロックモジュール3の間に位置し、トレー20を臨時貯蔵し、内部圧力が大気圧と工程チャンバー100の工程圧の間の圧力に保持される第2バッファーモジュールとをさらに含む場合は、導入ステップにおいて、ロードロックモジュール2から第1バッファーモジュールを介して前記工程チャンバー100内にトレー20が第1速度で移送され、前記排出ステップにおいて、前記工程チャンバー100から第2バッファーモジュールを介してアンロードロックモジュール3内にトレー20が第3速度で移送され得る。
【0145】
前記第1バッファーモジュールの内部と第2バッファーモジュールの内部において、トレー20が、ゲートの開閉過程で停止する場合があり得るが、前記第1速度及び第3速度は、トレー20の移送が行われる場合の速度を意味すると見做される。
【0146】
前記導入ステップと排出ステップにおけるトレー20の移送速度は、基板の前処理または後処理工程によって異なるように設定されてもよい。
【0147】
また、前記基板処理方法において、同時に2つ以上の基板が順次進行しながら基板処理工程を経由することができる。
【0148】
前記トレー20がロードロックモジュール2の内部に位置し、他のトレー20がイオン照射工程が完了して工程チャンバー100の内部に位置すると(図9の(a))、第1ゲート弁111と第2ゲート弁112が共に開放され、トレー20が導入ステップを行うと同時に、他のトレー20が排出ステップを行う(図9の(b))。そして、トレー20は、照射区間P1を移動しながら照射ステップを行う(図9の(c))。
【0149】
前記トレー20の照射ステップが完了すると、また他のトレー(未図示)はロードロックモジュール2の内部で導入ステップを行うために待機する工程を通じて、一連の基板工程が行われる。
【0150】
従って、照射ステップ(図9の(c))の他には、ある程度トレー20の移送速度を速く設定できるため、本発明に係る基板処理方法により時間の損失を最大限節約して、基板処理工程の全体工程の効率が増加する利点がある。
【0151】
また、別の説明として、基板10がイオンビーム照射領域40を通過しながら工程処理される基板処理方法において、トレー20がイオンビーム照射領域40に隣接すると、トレー20の移送速度を減速するステップと、工程処理のために設定された移送速度にトレー20の移送速度を維持するステップと、トレー20がイオンビーム照射領域40から離脱されると、トレー20の移送速度を加速するステップとを含む基板処理方法を提供する。
【0152】
以上は本発明により具現され得る好ましい実施例の一部に関して説明したものに過ぎず、周知のように、本発明の範囲は、上述した実施例に限定されて解釈されてはならず、上記で説明された本発明の技術的思想とその根本を共にする技術的思想は、すべて本発明の範囲に含まれるといえる。
【符号の説明】
【0153】
1:基板処理装置(工程モジュール)
2:ロードロックモジュール
3:アンロードロックモジュール
100:工程チャンバー
300:イオンビーム照射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の基板が安着されたトレーが移送される移送経路が設けられた工程チャンバーと、
前記移送経路に沿って移送される基板にイオンビームを照射する一つ以上のイオンビーム照射部と、
を含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記イオンビーム照射部は、前記移送経路に沿って順次配置された第1イオンビーム照射部及び第2イオンビーム照射部を含み、
前記第2イオンビーム照射部は、基板表面の一部領域にイオンが照射されるように、1つ以上の開放部を有するマスクが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部は、同種のイオンビームを照射することを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部は、相互異なる種のイオンビームを照射することを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1イオンビーム照射部は、前記第2イオンビーム照射部に設けられたマスクの開口部と重畳されないか、少なくとも一部が重畳される一つ以上の開口部が形成されたマスクが更に設けられ、
前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部は、相互異なる種のイオンビームを照射することを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記移送経路上において、トレーの移送方向を基準に、基板が安着されるトレーの長さをLとすると、
前記第1イオンビーム照射部のイオンビーム照射領域は、前記第2イオンビーム照射部のイオンビーム照射領域とLより大きい距離を有して位置されたことを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記工程チャンバーは、前記移送経路の一端にトレーが導入される第1ゲートが形成され、前記移送経路の他端にトレーが排出される第2ゲートが形成され、
前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部のうち何れか一つは、そのイオンビーム照射領域が前記第1ゲートと、残りの一つは、そのイオンビーム照射領域が第2ゲートと、Lより大きい距離を有することを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記工程チャンバーは、前記移送経路の一端にトレーが導入される第1ゲートが形成され、前記移送経路の他端にトレーが排出される第2ゲートが形成され、
前記第1イオンビーム照射部及び前記第2イオンビーム照射部のうち、前記第1ゲート及び前記第2ゲートの夫々に最も近い各イオンビーム照射領域は、前記第1ゲート及び前記第2ゲートの夫々に隣接して位置されたことを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記イオンビーム照射領域を通過するトレーの移送速度は、前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーの移送速度と異なることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーの移送速度は、前記イオンビーム照射領域を通過するトレーの移送速度より速いことを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記移送部を駆動する一つの駆動部を含み、
前記駆動部は、前記イオンビーム照射領域を通過するトレーの移送速度と、前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーの移送速度とを異なるようにすることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記イオンビーム照射領域を通過するトレーを移送する第1駆動部と、
前記工程チャンバーに導入されるか、前記工程チャンバーから排出されるトレーを移送する一つ以上の第2駆動部と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板にイオンビームが照射される区間における前記トレーの移送速度は、イオンビームが照射されない少なくとも一部の区間における前記トレーの移送速度より遅いことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のうち何れか一つの項に係る基板処理装置を含む工程モジュールと、
前記工程モジュールの一側に結合され、内部圧力が大気圧及び真空圧に交互に変換され、外部から一つ以上の基板が安着されたトレーを伝達されて、前記工程モジュールにトレーを伝達するロードロックモジュールと、
前記工程モジュールの他側に結合され、内部圧力が大気圧及び真空圧に交互に変換され、前記工程モジュールからトレーを伝達されて外部に排出するアンロードロックモジュールと、
を含む基板処理システム。
【請求項15】
前記アンロードロックモジュールに結合され、前記アンロードロックモジュールから伝達されたトレー上の基板を熱処理する熱処理モジュールが更に設けられたことを特徴とする請求項14に記載の基板処理システム。
【請求項16】
前記ロードロックモジュールと前記工程モジュールの間、前記工程モジュールと前記アンロードロックモジュールの間の夫々には、移送されるトレーを臨時貯蔵し、内部圧力が大気圧と前記工程モジュールの工程圧の間の圧力に保持される第1バッファーモジュール及び第2バッファーモジュールが更に設けられたことを特徴とする請求項14に記載の基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55053(P2013−55053A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189368(P2012−189368)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(511276068)ウォニク アイピーエス カンパニ リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】WONIK IPS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】332−1, Cheongho−ri, Jinwi−myeon, Pyeongtaek−si, Gyeonggi−do, 451−862, Republic of Korea
【Fターム(参考)】