説明

基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体

【課題】処理対象の基板の周囲において、簡素な構成により、金属製の処理容器から溶出した金属の濃度を低減することが可能な基板処理装置等を提供する。
【解決手段】高圧流体を用いて基板Wに対する処理を行う基板処理装置において、基板Wの処理が行われる金属製の処理容器1には、密閉自在な基板Wの搬入出口2が設けられると共に、高圧流体やその原料流体を供給する流体供給ライン231、処理容器内1の高圧流体を排出する流体排出ライン239が接続されている。基板保持部2は基板Wを保持した状態で処理容器1の内部に配置され、樹脂製の筒状体6は、基板保持部2に保持された基板Wにおける、板面を含むこの基板Wの周囲を囲むように、当該基板Wと処理容器1の内壁面との間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧流体を用いて金属製の処理容器内の基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板である例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面に集積回路の積層構造を形成する半導体装置の製造工程などにおいては、薬液などの洗浄液によりウエハ表面の微小なごみや自然酸化膜を除去するなど、液体を利用してウエハ表面を処理する液処理工程が設けられている。
【0003】
例えばウエハの洗浄を行う枚葉式のスピン洗浄装置は、ノズルを用いてウエハの表面にアルカリ性や酸性の薬液を供給しながらウエハを回転させることによってウエハ表面のごみや自然酸化物などを除去する。この場合にはウエハ表面は、例えば純水などを利用したリンス洗浄により薬液が除去された後、ウエハを回転させて残った液体を振り飛ばす振切乾燥などによって乾燥される。
【0004】
ところが半導体装置の高集積化に伴い、こうした液体などを除去する処理において、いわゆるパターン倒れの問題が大きくなってきている。パターン倒れは、ウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の凸部の左右に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
【0005】
こうしたパターン倒れの発生を抑えつつウエハ表面に残った液体を除去する手法として高圧流体の一種である超臨界状態の流体(超臨界流体)を用いた乾燥方法が知られている。超臨界流体は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、超臨界流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで、ウエハに付着した状態の液体を超臨界流体と置換し、しかる後、超臨界流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
【0006】
超臨界流体を用いたウエハの処理は、ウエハを収容後、密閉された処理容器に、予め準備しておいた超臨界流体を供給することなどにより行われる。このとき、処理容器の内部は高圧雰囲気となるので、処理容器には耐圧性を備えた金属製のものが利用される。
【0007】
一方、超臨界流体は活性が高いため、金属製の処理容器を用いて処理を行うと、超臨界流体の雰囲気に露出している金属材料が超臨界流体中に溶出する場合がある。
【0008】
超臨界流体中への金属の溶出は、処理対象のウエハの汚染を引き起こすおそれがあり、ウエハ近傍の金属濃度をできるだけ低減する必要がある。このような課題に対し、特許文献1には、超臨界流体を用いてウエハの洗浄・乾燥を行う処理容器(洗浄・乾燥処理チャンバー)からの金属の溶出を抑えるため、超臨界流体と接触する面に、酸化皮膜を形成した処理容器が記載されている。しかしながら出願人は、超臨界水などと比較して活性の低いIPA(IsoPropyl Alcohol)や二酸化炭素などの超臨界流体であっても、内壁面に酸化皮膜を形成した処理容器からの微量の金属材料の溶出を抑え切れない場合があることを把握している。
【0009】
また特許文献2には、超臨界流体を用いて、エッチング後のウエハ表面に残存するレジストを除去する処理が行われる金属製の処理容器(処理チャンバ)について、超臨界流体と接触する処理容器の内側部材をプラスチックやポリマーによりコーティングする技術が記載されている。しかしながら、使用する超臨界流体の使用量を削減する観点から、処理容器の容積はできる限り小さいことが好ましく、処理空間は高さが数mm〜十数mm程度の狭小な空間として構成されることがある。このような場合に、処理容器内のコーティングが剥がれたりすると、再コーティングが困難であったり、時間を要したりすることとなるので、メンテナンス性に劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−130418号公報:請求項1、段落0051の1〜9行目、図4
【特許文献2】特開2008−515235号公報:段落0005の1〜3行目、段落0028の1〜3行目、段落0043の1〜2行目、段落0045の1〜2行目、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理対象の基板の周囲において、簡素な構成により、金属製の処理容器から溶出した金属の濃度を低減することが可能な基板処理装置、基板処理方法、及びこの方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る基板処理装置は、高圧流体を用いて基板に対する処理を行う基板処理装置において、
密閉自在な基板の搬入出口が設けられ、基板の処理が行われる金属製の処理容器と、
この処理容器に接続され、高圧流体、または、加熱もしくは加圧の少なくとも一方を行うことにより高圧流体となる原料流体を供給するための流体供給ライン、及び当該処理容器内の高圧流体を排出するための流体排出ラインと、
基板を保持した状態で前記処理容器の内部に配置される基板保持部と、
この基板保持部に保持された基板における、板面を含むこの基板の周囲を囲むように、当該基板と前記処理容器の内壁面との間に設けられた樹脂製の筒状体と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上述の基板処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記基板保持部は、前記搬入出口を塞いでこの処理容器を密閉するための蓋部材に設けられ、前記筒状体の一端側の開口部を介して筒状体の内側に基板が搬入されること。
(b)前記基板保持部材の基端部には、前記筒状体の開口部に嵌め込まれる栓体が設けられ、さらに栓体は、前記基板保持部の先端側から基端側へ向けて徐々に広がるテーパー面を備えていること。また、この栓体の表面は、非フッ素系樹脂製であること。
(c)前記筒状体をなす樹脂は、非フッ素系樹脂であること。
(d)前記筒状体は、継ぎ目無し加工により成型されていること。
(e)前記筒状体の一端側の開口部を第1の開口部としたとき、当該筒状体の他端側には、前記処理容器の内壁面へ向けて開口する第2の開口部が形成され、この第2の開口部を構成する筒状体の端部は、前記処理容器の内壁面に形成された溝部に嵌め込まれていること。またこのとき前記溝部により囲まれる処理容器の内壁面は、非フッ素系樹脂により覆われていること。
(f)前記筒状体は、互いに並行に配置され、前記基板保持部に保持された基板の側方位置を伸びる2本の棒状のホルダー部材に巻き掛けられていることにより、前記基板保持部に保持された基板を収容可能な扁平な空間を形成していること。
(g)前記非フッ素系樹脂は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラキシレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなる樹脂群から選ばれること。
【0014】
(h)前記筒状体の内側の空間を第1の空間とすると、前記筒状体の外面と処理容器の内壁面との間には第2の空間が形成され、前記流体供給ラインは、前記第1の空間に高圧流体またはその原料流体を供給する位置に接続され、前記流体排出ラインは、第1の空間から第2の空間に向けて流れ出た高圧流体を排出する位置に接続されていること。
(i)前記流体供給ラインに接続され、高圧流体または原料流体を供給する流体供給部と、前記原料排出ラインに接続され、前記処理容器内の高圧流体が排出される流体排出部と、基板保持部に保持された基板を前記筒状体の内側に搬入し、当該処理容器を密閉するステップと、前記流体供給部から、前記第1の空間に向けて、高圧流体または原料流体を供給するステップと、前記流体供給部から供給された高圧流体、または原料流体を当該処理容器内で加熱もしくは加圧して得られた高圧流体により、前記基板を処理するステップと、前記第2の空間から、前記流体排出部へ向けて処理容器内の高圧流体を排出することにより、第1の空間から第2の空間に向けて流れる高圧流体の流れを形成するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えること。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、樹脂製の筒状体を用いて板面を含む基板の周囲を囲み、この筒状体の内側で高圧流体を用いた基板の処理を行うことにより、金属製の処理容器の内壁面に基板が直接対向する面積が小さくなるので、処理容器から高圧流体に溶出した金属が基板へ供給されにくくなり、基板の汚染を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係わるウエハ処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】前記ウエハ処理装置の縦断側面図である。
【図3】前記ウエハ処理装置の分解斜視図である。
【図4】前記ウエハ処理装置に設けられている蓋体及びウエハホルダーの構成を示す斜視図である。
【図5】前記ウエハ処理装置の処理容器内に設けられているカバースリーブの一部破断斜視図である。
【図6】前記カバースリーブ内にウエハを搬入する様子を示す外観斜視図である。
【図7】前記処理容器内のカバースリーブ及びウエハの配置状態を模式的に示した縦断側面図である。
【図8】前記処理容器内の状態を別の方向から模式的に示した縦断側面図である。
【図9】前記ウエハ処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図10】前記ウエハ処理装置の作用を示す第2の説明図である。
【図11】前記ウエハ処理装置の作用を示す第3の説明図である。
【図12】前記ウエハ処理装置の作用を示す第4の説明図である。
【図13】他の例に係わる処理容器の縦断側面図である。
【図14】前記他の例に係わる処理容器を別の方向から見た縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の基板処理装置の実施の形態の一例について図1〜図8を参照しながらその構成を説明する。この基板処理装置は、高圧流体である超臨界流体を用いてウエハWの乾燥処理を行うウエハ処理装置として構成され、図1〜図3に示すように、処理容器1と、この処理容器1の側面側に形成されたウエハWの搬入出口2を気密に塞ぐ概略角棒形状の蓋体3と、を備えている。蓋体3の、処理容器1に対向する側面には、ウエハWを下方側から支持して処理容器1に対して搬入出するための板状の部材であるウエハホルダー4が設けられている。なお、図3では蓋体3及びウエハホルダー4の描画を省略しており、処理容器1はその一部を切り欠いて表示してある。
【0018】
処理容器1は、例えばアルミニウムやステンレススチールなどの金属からなる扁平な概略箱型の耐圧容器であり、その内部にはウエハWを水平に収容して処理を行うための空間である処理空間8が形成されている。以下、処理容器1に対するウエハWの搬入出方向(図1中のX方向)において、処理容器1側及び蓋体3側を夫々奥手側及び手前側と呼ぶ。
【0019】
例えば直径寸法が300mmのウエハWを基板として処理する場合には、当該処理空間8内に供給された超臨界流体がウエハWに速やかに接触することができるように、処理空間8は高さ寸法が数mm〜十数mm程度、容積が300〜1500cm程度の扁平な空間となっている。
【0020】
図2に示すように、処理空間8は、扁平な処理容器1の前後方向に伸び出し、処理容器の手前側の側面及び奥手側の側面にて開口している。これらのうち、手前側の開口はウエハWの搬入出口2を構成しており、処理容器1の幅方向(前記搬入出方向と直交する方向)に広がるように形成されており、ウエハWを水平保持したウエハホルダー4を通過させることができる。
【0021】
一方、後端側の開口は、金属製の板材であるリアカバー11により塞がれている。リアカバー11は、処理空間8内に超臨界流体(本例では超臨界IPA)を供給するIPA供給ライン231、及び処理空間8からの超臨界流体の排出が行われるIPA排出ライン291に接続されている。図3、図5に示す112は処理空間8へ向けて超臨界IPAを供給するための供給孔であり、111は処理後の超臨界IPAを排出するための排出孔である。リアカバー11における排出孔111及び供給孔112の開口位置は、後述のカバースリーブ6の構成に対応して特定されるので、カバースリーブ6の説明に合わせて述べる。また図2等に示した110は、処理容器1内の気密を保つためのO-リングである。
【0022】
IPA供給ライン231は、処理容器1(処理空間8)内に超臨界IPAを供給するためのIPA供給部23に接続されている。IPA供給部23は、IPAを加熱して超臨界状態で貯留する供給タンク及び超臨界流体の供給量を調整する流量調整部などから構成される。図2中、IPA供給ライン231上に介設されているV1は開閉弁であり、IPA供給部23、開閉弁V1は本実施の形態の流体供給部を構成する。
【0023】
一方、IPA排出ライン291は、処理容器1(処理空間8)から排出された超臨界IPAを回収するためのIPA回収部29に接続されている。IPA回収部29は、処理容器1から排出された超臨界IPAや気体IPAを冷却して液体IPAとするクーラーや回収された液体IPAを貯留する回収タンクなどから構成される。図2中、IPA排出ライン291上に介設されているV2は開閉弁であり、IPA回収部29や開閉弁V2は本実施の形態の流体排出部を構成する。
【0024】
処理容器1の手前側の側面における前記蓋体3が当接する領域の上部側及び下部側には、各々手前側に向かって水平方向に伸び出すように形成された突片部24、24が設けられている。各突片部24、24には、その手前側の領域に概略矩形の開口部25、25が形成されており、処理容器1の搬入出口2を蓋体3にて塞いだとき(単に「処理容器1を蓋体3にて塞ぐ」とも表記する)、これら開口部25、25内にロックプレート26を上下方向に貫挿させて蓋体3の移動を手前側から規制することができる。
【0025】
前記ロックプレート26は、蓋体3が処理容器2内の圧力によって手前側へ移動する(処理容器1側から見て蓋体3が後退する)ことを規制するための規制機構としての役割を果たす。ロックプレート26は、処理容器1の下方側に設けられた駆動部27により昇降自在に構成されている。また、前記開口部25、25は、ロックプレート26よりも一回り大きな開口寸法を備えており、開口部25に挿入されたロックプレート26との間には、例えば0.5mm程度の隙間が形成される。なお、図3では、ロックプレート26の一部を切り欠いて表示してある。
【0026】
処理容器1の上面側及び下面側には、後述の受け渡し位置におけるウエハWの乾燥を抑えるために、処理容器1を断熱する上プレート41及び下プレート42が夫々設けられている。各プレート41、42は、処理容器1と概略同じ平面形状に形成され、冷媒を通流させる冷媒路43が各々設けられている。なお図3では、下プレート42の冷媒路43については記載を省略してある。また、図2、3中、44は処理空間8を例えば100〜300℃、この例では270℃に加熱するためのヒーターであり、441はこれらのヒーター44に電力を供給する電力供給部である。ヒーター44は処理容器1の上下両面に設けられている。
【0027】
上プレート41の手前側における左右両側には、蓋体3で処理容器1を塞いだときに、当該蓋体3(詳しくはこの蓋体3に接続されている、後述のアーム部材50)を固定するためのロック部材45、45が各々設けられている。これらロック部材45、45は、ロックシリンダー46により、図3に示すアーム部材50の係止位置と、図1に示す開放位置との間を開閉(回転)自在に構成されている。
【0028】
下プレート42の上面の左右両側には、ウエハホルダー4を処理容器1に対して進退させるためのレール47、47が配置されており、各々のレール47、47には、アーム部材50を支持すると共に、レール47、47に沿って進退自在に構成されたスライダー48、48が設けられている。図2中、49はスライダー48を移動させるためのロッドレスシリンダーなどの駆動部である。また、上プレート41及び下プレート42における手前側の領域は、昇降動作時のロックプレート26と干渉しないように切り欠きが形成されている。
【0029】
図1に示すように角棒形状の蓋体3の左右両端部には、処理容器1側(奥側)に向けて水平方向に伸び出したアーム部材50が接続されている。各アーム部材50、50の手前側の部位は、既述のロック部材45、45により係止される被係止部をなしている。これらアーム部材50、50は、既述のスライダー48、48により下方側から支持されており、両スライダー48、48をレール47、47に沿って進退させることにより、蓋体3及びウエハホルダー4を移動させることができる。
【0030】
ウエハホルダー4は、処理容器1の内部にウエハWと共に収容されると共に、当該処理容器1の搬入出口2が蓋体3により気密に閉じられる処理位置と、当該処理容器1の外部(手前側)において図示しない搬送アームによって当該ウエハホルダー4に対するウエハWの受け渡しが行われる受け渡し位置との間を進退する。図2、図4に示すように、蓋体3におけるウエハホルダー4が取り付けられている面には、ウエハホルダー4の基端部を囲むようにO-リング31が設けられている。O-リング31は、蓋体3にて処理容器1を塞いだとき、処理容器1内の気密を保つ役割を果たす。
【0031】
また、図1に示すように、受け渡し位置におけるウエハホルダー4の上方側には、ウエハホルダー4に保持されたウエハWに対してIPAを供給するためのIPAノズル51が設けられている。一方、当該受け渡し位置におけるウエハホルダー4の下方側には、ウエハホルダー4を冷却するために、例えば冷却用の清浄空気を上方に向かって吹き出す概略円板状のクーリングプレートを備えた冷却機構52が設けられている。この冷却機構52の外側には、ウエハWの表面から流れ落ちたIPAを受け止めて排出するためのドレイン受け皿53が設けられている。
【0032】
以上に説明した構成を備えるウエハ処理装置には、背景技術にて説明した、処理容器1から超臨界IPAへの金属の溶出からウエハWを保護するための筒状体であるカバースリーブ6が設けられている(図5〜図8)。カバースリーブ6は、継ぎ目無し(シームレス)加工により筒状に成形された樹脂製の薄板やフィルムであり、その内側にウエハWを収容可能な空間が形成されている。ここで図7〜図12の各図は、処理空間8内におけるウエハホルダー4やこれに保持されたウエハW、カバースリーブ6の位置関係を明確にするため、上下方向の寸法を誇張して示してある。なお、図が煩雑になることを避けるため、図2においてはカバースリーブ6の記載を省略してある。
【0033】
カバースリーブ6を構成する樹脂は、超臨界流体に対する耐食性、超臨界流体雰囲気の温度に対する耐熱性、機械強度などを考慮して選択される。また半導体装置は、フッ素原子が存在する環境下にて処理を行うことが好ましくないので、非フッ素系の樹脂が選択される。このような非フッ素系樹脂の具体例として、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラキシレンポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが選択される。また、継ぎ目無し加工のものを採用する理由は、継ぎ目に使用される接着剤の超臨界流体中への溶出を避けるためである。
【0034】
本例においてカバースリーブ6は、継ぎ目無し加工により筒状に成形された、厚さが5〜500μm、好ましくは70〜200μm程度のポリイミド製のフィルムであり、その内側にウエハWを収容可能なように、筒の一端側の開口部(第1の開口部)から、他端側の開口部(第2の開口部)までの長さは300mm以上となっている。
【0035】
図5、図8に示すようにカバースリーブ6は、リアカバー11の側壁面から、処理容器1の手前側へ向けて伸びる2本のホルダー部材61に巻き掛けられた状態で処理容器1内(処理空間8)に配置されている。例えばホルダー部材61は、細長い棒状のポリイミド製の円管を軸方向に2つに割って形成される断面がC字形状の部材である。2本のホルダー部材61は、C字の切り欠きに相当する面を互いに対向させるように内側へ向け、手前側(搬入出口2側)から見て左右横方向に並ぶように、並行に配置されている。
【0036】
これらホルダー部材61に巻き掛けられたカバースリーブ6は、図8に示すように手前側から見た縦断面が扁平な筒状の空間を形成すると共に、一端側の開口部(第1の開口部)を搬入出口2へ向けて処理容器1内に配置される。この結果、図6に示すように、蓋体3の進退動作により、カバースリーブ6の内側の空間への、ウエハホルダー4に保持されたウエハWの搬入、搬出が実行される。以下、カバースリーブ6の内側の空間を第1の空間601、カバースリーブ6の外面と処理容器1の内壁面との間の空間を第2の空間602と呼ぶ。
【0037】
また図7に示すように、カバースリーブ6の他端側の開口部(第2の開口部)はリアカバー11の内壁面へ向けて開口しており、当該第2の開口部を構成するカバースリーブ6の端部は、リアカバー11の内壁面に形成された溝部113内に嵌め込まれ、固定されている。そして図5に示すように、超臨界IPAを供給する供給孔112は、この溝部113に囲まれた領域内に開口しており、ウエハWを収容した第1の空間601内に超臨界IPAが供給されるようになっている。
【0038】
一方、処理空間8内の超臨界IPAが排出される排出孔111は、排出孔111の外側の領域に配置されている。このとき既述のように第2の開口部を構成するカバースリーブ6の端部が溝部113内に嵌め込まれていることにより、リアカバー11の内壁面に沿って供給孔112から排出孔111へと流れるバイパス流れの形成は阻害されている。図3、図5に示すように排出孔111は溝部113の外側領域に2個設けられ、各々の排出孔111がIPA排出ライン291に設けられている。なお、図2では便宜のため排出ライン291を総括的に1本の線で示してある。
【0039】
他方、処理容器1の搬入出口2に対向するカバースリーブ6の一端側の開口部(第1の開口部)は、ウエハWを保持したウエハホルダー4が通過する領域となる。図7に示すように、蓋体3により支持されたウエハホルダー4の基端部には、ウエハホルダーの先端部側から基端部側へ向けて徐々に広がるテーパー面401が形成されている。
【0040】
カバースリーブ6を構成するポリイミドのフィルムは可撓性を有しており、前記基端部を第1の開口部に挿入すると、カバースリーブ6の端部がテーパー面401により押し広げられ第1の開口部が塞がれる。この観点において、テーパー面401が形成されたウエハホルダー4の基端部は、前記第1の開口部を塞ぐ栓体を構成している。但し、栓体を成すウエハホルダー4の基端部の形状は、テーパー面401を設ける場合に限られず、第1の開口部を塞ぐことが可能であれば、他の形状を選んでもよい。
【0041】
また、排出孔111から第1の空間601に超臨界IPAが供給されると、ウエハホルダー4の基端部にて塞がれた第1の開口部は、超臨界IPAの内圧でさらに押し広げられ、第1の空間601から第2の空間602へと超臨界IPAを流出させる流路を形成する。
【0042】
さらに、第1の空間601内に収容されるウエハホルダー4は、例えば金属製の本体をポリイミドなどの非フッ素系の樹脂でコーティングしてなるか、非フッ素系の樹脂または石英の成型体であり、超臨界IPA雰囲気に晒されても金属が溶出しない構成となっている。
【0043】
また図7に示すように、第1の空間601内の雰囲気に晒されるリアカバー11の内壁面(図5の溝部113で囲まれる領域)もポリイミドなどの非フッ素系の樹脂のコーティング膜114で覆われており、リアカバー11から第1の空間601への金属の溶出を防いでいる。
ウエハホルダー4は処理容器1から取り出し可能であり、またリアカバー11も処理容器1から取り外し可能であるので、処理容器1の内面全体をコーティングする場合に比べて、コーティング剥がれ時におけるメンテナンス性の問題は小さい。
【0044】
以上に説明した構成を備えたウエハ処理装置は、図2に示すように制御部7と接続されている。制御部7は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部にはウエハ処理装置の作用、即ち洗浄を終えたウエハWを処理容器1に搬入して、超臨界流体を供給し、ウエハWに付着している液体を除去する処理を行ってからウエハWを搬出するまでの制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0045】
以下、ウエハ処理装置の作用について説明する。先ず、処理対象のウエハWの表面には、半導体装置を構成する凹部と凸部とからなるパターンが形成されており、先行する洗浄処理にて、例えばアルカリ性薬液であるSC1液(アンモニア及び過酸化水素水の混合液)を用いたパーティクルや有機性の汚染物質の除去、酸性薬液である希フッ酸水溶液(Diluted HydroFluoric acid:DHF)を用いた自然酸化膜の除去、DIW(DeIonized Water)を用いたリンス洗浄などが行われる。そして最後にウエハWの表面に乾燥防止用のIPAが供給され、当該IPAが液盛りされた状態のウエハWが、外部の搬送アーム(不図示)によりウエハ処理装置まで搬送されてくる。
【0046】
一方、ウエハ処理装置はウエハホルダー4を受け渡し位置まで移動させた状態で待機しており、前記搬送アームはこのウエハホルダー4上にウエハWを載置する。次いで、前記搬送アームをウエハホルダー4の上方側から退避させた後、IPAノズル51からウエハWの表面にIPAを供給して、再度IPAの液盛りを行う。
【0047】
このとき、処理容器1のヒーター44には、電力供給部441から電力が供給され、不図示の温度コントローラにより処理空間8内の温度が270℃となるように調整されている。そして、アーム部材50をレール47上でスライドさせ、ウエハホルダー4及び蓋体3を処理容器1側へ移動させることにより、処理容器1(処理空間8)内にウエハWが収容される(図9)。
【0048】
この結果、蓋体3はO-リング31を介して処理容器1に当接し、処理容器1は蓋体3によって気密に塞がれた状態となる。続いて、ロック部材45を回転させてアーム部材50の手前側の部位を係止すると共に、図9に示すように、ロックプレート26を上昇させて、蓋体3の移動を手前側から規制する。
【0049】
処理容器1内に搬入されたウエハWは、搬入出口2に向けて開口している第1の開口部を介してカバースリーブ6の内側に進入し、第1の空間601内に収容される(図7)。このとき、第1の開口部は、ウエハホルダー4の基端部により塞がれた状態となっている。
【0050】
こうして第1の空間601内にウエハWを収容し、ロックプレート26にて蓋体3を規制したら、ウエハWに液盛りされたIPAが乾燥する前に、図10に示すようにIPA供給ライン231の開閉バルブV1を開き(図中に「O」の符号を付してある)、超臨界状態のIPA(臨界温度235℃、臨界圧力4.8MPa(絶対圧)以上の温度、圧力状態)を処理領域に供給する(図8)。
【0051】
第1の空間601に臨む位置に設けられた供給孔112から超臨界IPAが供給されると、当該超臨界IPAは第1の空間601内に広がり、第1の空間601内の圧力が上昇する。この結果、ウエハホルダー4の基端部で塞がれている第1の開口部が押し広げられ、第1の空間601内の超臨界IPAが第2の空間602へ向けて流れ出す。
【0052】
そして予め設定した量の超臨界IPAを処理空間8に供給すると、第2の空間602内の圧力が第1の空間601内の圧力とバランスするまで、超臨界IPAが第1の開口部を押し広げ、第2の空間602へと流出する。所定量の超臨界IPAを供給したら、IPA供給ライン231の開閉バルブV1を閉じて(図中に「S」の符号を付してある)、超臨界IPAの供給を停止する。
【0053】
こうしてヒーター44で臨界温度以上の温度雰囲気(本例では270℃)に加熱されている処理空間8(第1の空間601及び第2の空間602)内に超臨界状態のIPAが供給されると、ウエハWに液盛りされたIPAは超臨界IPAと渾然一体となり、やがて液体IPAも超臨界状態となる(図11)。この結果、ウエハWの表面は液体のIPAから超臨界IPAに置換されていくことになるが、平衡状態において液体IPAと超臨界IPAとの間には界面が形成されないので、パターン倒れを引き起こすことなくウエハW表面の流体を超臨界IPAに置換することができる。
【0054】
一方、処理対象のウエハWと処理容器1の内壁面との間にはポリイミド製のカバースリーブ6が設けられているので、第2の空間602の超臨界IPA中に溶出した金属はウエハWの表面まで到達しにくい。また、カバースリーブ6の先端側の第1の開口部はウエハホルダー4の基端部(栓体)により塞がれ、後端側の第2の開口部はリアカバー11の溝部113内に嵌め込まれているので、これらの開口部から超臨界IPAが進入しにくくなっていることによってもウエハW表面付近における溶出金属の濃度を低く抑えることができる。
【0055】
このとき、ウエハホルダー4の基端部がカバースリーブ6の第1の開口部に嵌め込まれ、またカバースリーブ6を構成するポリイミドのフィルムが可撓性を有していることにより、何らかの理由で第2の空間602側の圧力が第1の空間601側の圧力よりも高くなったとしても、カバースリーブ6は前記基端部のテーパー面401へ向けて押し付けられるだけである。従って、第2の空間602内の超臨界IPAが第1の空間601内に流れ込む流路が形成されず、ウエハW表面近傍における溶出金属の濃度を低く維持できる。
【0056】
こうして処理空間8に超臨界IPAを供給してから予め設定した時間が経過し、ウエハWの表面が超臨界IPAにて置換された状態となったら、IPA排出ライン291の開閉バルブV2を開き、IPA回収部29へ向けて処理空間8から超臨界流体を排出する。このとき排出孔111は第2の空間602に臨む位置に設けられているので、まず第2の空間602内の超臨界IPAが排出され、第2の空間602の圧力が低下する。
【0057】
この結果、第1の空間601内の圧力は、第2の空間602内の圧力に比べて相対的に高くなるので、第1の空間601内の超臨界IPAが第1の開口部を押し広げて流路を形成し、第2の空間602へ流れ込む。こうして処理容器1の内部には、図12に示すように第1の開口部を介して第1の空間601から第2の空間602へ流れる超臨界IPAの流れが形成され、両空間601、602の超臨界IPAが排出されていく。
【0058】
そしてこのとき、第1の空間601から第2の空間602へ向けた流れが形成されていることにより、溶出金属を含む超臨界IPAがウエハWの載置されている第1の空間601へ流れ込むことなく処理容器1から排出される。このような流れを形成することによってもウエハW表面近傍の金属濃度を低く抑えることができる。
【0059】
こうして超臨界IPAの排出を継続すると、処理容器1内の圧力は次第に低下し、超臨界流体は気体に変化しつつ排出されるが、処理容器1は、IPAの露点以上の270℃に加熱されているので、ウエハW表面への結露を避けつつIPAを排出できる。また、処理空間8内のIPAが排出され、処理空間8の圧力が大気圧となったら、供給孔112から第1の空間601へパージ用の窒素ガスを供給して残存しているIPAを排出してもよい。
【0060】
処理空間8内のIPAが排出されたら、蓋体3及びウエハホルダー4を受け渡し位置まで移動させて処理容器1からウエハWを搬出する。そして受け渡し位置までウエハホルダー4を移動させたら、液体IPAが除去され、乾燥した状態のウエハWを外部の搬送アームに受け渡して一連の動作を終え、次のウエハWが搬入されてくるのを待つ。
【0061】
本実施の形態に係わるウエハ処理装置によれば以下の効果がある。樹脂製、例えば非フッ素系樹脂であるポリイミド製のカバースリーブ6を用いて板面を含むウエハWの周囲を囲み、この筒状体の内側で超臨界IPAを用いたウエハWの処理を行うことにより、金属製の処理容器の内壁面にウエハWが直接対向する面積が小さくなるので、処理容器から高圧流体に溶出した金属がウエハWへ供給されにくくなり、ウエハWの汚染を抑制できる。
【0062】
また、処理容器1内の処理空間8をカバースリーブ6によって第1の空間601と第2の空間602とに区画し、IPA供給ライン231から供給された超臨界IPAがウエハWを収容する第1の空間601を通ってから、処理容器1の壁面とカバースリーブ6とに囲まれる第2の空間602に流れ込み、IPA排出ライン291より超臨界IPAが排出される流れを形成することにより、ウエハW近傍における溶出金属の濃度を大幅に低減できる。
【0063】
ここで上述の実施の形態では、図5、図8に示すように、ホルダー部材61によりカバースリーブ6を保持した例を示したが、ホルダー部材61を設けることは必須の要件ではない。例えば図13、図14に示すように、処理容器1の内壁面形状に適合する大きさのカバースリーブ6aを処理空間8内に挿入し、当該カバースリーブ6を処理容器1の内壁面に当接させて覆うようにしてもよい。この場合に使用するカバースリーブ6aは、処理容器1の内壁面に支えられながら、ウエハWを収容する空間を維持できる程度の剛性を持っているものが選択される。
【0064】
この例では、接着剤等を利用してポリイミドフィルムを貼付する場合などと異なり、本例の継ぎ目無し加工されたカバースリーブ6aが処理空間8内に挿入されているだけなのでコーティングの剥がれや接着剤成分の溶出のおそれがない。また交換時等においてはカバースリーブ6aを抜き出すだけでよくメンテナンス性も良好である。但し、継ぎ目なし加工されたカバースリーブ6、6aを設けることも必須の要件ではなく、接着剤の溶出の恐れがない場合には、継ぎ目を有するカバースリーブ6、6aを用いてもよい。
【0065】
さらに図5〜図8も用いて説明した各種の構成のなかで、(1)ウエハホルダー4の基端部が第1の開口部を塞ぐ栓体として構成されていること、(2)第2の開口部を構成するカバースリーブ6の端部を処理容器1の内壁面(リアカバー11)の溝部113内に埋め込むこと、(3)第1の空間601内の雰囲気に晒されるリアカバー11の内壁面に、非フッ素系の樹脂のコーティング膜114を設けること、(4)ウエハホルダー4を非フッ素系の樹脂でコーティングしたり、この種の樹脂の成型体としたりすること、(5)カバースリーブ6により処理空間8を区画して形成された第1の空間601から第2の空間602へ向けて超臨界IPAの流れが形成される位置に供給孔112、排出孔111を配置すること、は、必ずしも必須ではない。処理対象のウエハWに許容される超臨界IPA中の溶出金属の濃度に応じてこれらの構成を適宜、選択して組み合わせればよい。
【0066】
また、高圧流体としては、超臨界状態のIPAに代えて、例えばHFE(Hydro Fluoro Ether)や二酸化炭素(CO)の超臨界流体を用いてもよいし、あるいはこれらの物質の亜臨界流体を用いてもよい。亜臨界状態とは、例えばIPAの場合には、温度及び圧力が夫々200〜240℃及び3〜5MPaの範囲の状態である。このように、本発明は、高圧流体(超臨界流体や亜臨界流体)を用いてウエハWに対して処理を行う場合に広く適用できる。
【0067】
そして、処理容器1に供給される原料は、予め高圧状態(超臨界状態や亜臨界状態)となっているものに限定されない。例えば、高圧流体の原料流体を液体や気体の状態で処理容器1に供給してから、当該原料流体を加熱、加圧し、処理容器1内で超臨界状態としてもよい。
【0068】
このほか、処理装置において行う処理としては、既述の乾燥処理以外にも、例えばウエハWの表面からのレジスト膜の除去(溶解)処理などであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
W ウエハ
1 処理容器
111 排出孔
112 供給孔
113 溝部
114 コーティング膜
23 IPA供給部
29 IPA回収部
401 テーパー面
6、6a カバースリーブ
601 第1の空間
602 第2の空間
61 ホルダー部材
8 処理空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体を用いて基板に対する処理を行う基板処理装置において、
密閉自在な基板の搬入出口が設けられ、基板の処理が行われる金属製の処理容器と、
この処理容器に接続され、高圧流体、または、加熱もしくは加圧の少なくとも一方を行うことにより高圧流体となる原料流体を供給するための流体供給ライン、及び当該処理容器内の高圧流体を排出するための流体排出ラインと、
基板を保持した状態で前記処理容器の内部に配置される基板保持部と、
この基板保持部に保持された基板における、板面を含むこの基板の周囲を囲むように、当該基板と前記処理容器の内壁面との間に設けられた樹脂製の筒状体と、を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板保持部は、前記搬入出口を塞いでこの処理容器を密閉するための蓋部材に設けられ、前記筒状体の一端側の開口部を介して筒状体の内側に基板が搬入されることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板保持部材の基端部には、前記筒状体の開口部に嵌め込まれる栓体が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記樹脂は、非フッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記筒状体は、継ぎ目無し加工により成型されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記栓体は、前記基板保持部の先端側から基端側へ向けて徐々に広がるテーパー面を備えていることを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記栓体の表面は、非フッ素系樹脂製であることを特徴とする請求項3または6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記筒状体の一端側の開口部を第1の開口部としたとき、当該筒状体の他端側には、前記処理容器の内壁面へ向けて開口する第2の開口部が形成され、この第2の開口部を構成する筒状体の端部は、前記処理容器の内壁面に形成された溝部に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記溝部により囲まれる処理容器の内壁面は、非フッ素系樹脂により覆われていることを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記筒状体は、互いに並行に配置され、前記基板保持部に保持された基板の側方位置を伸びる2本の棒状のホルダー部材に巻き掛けられていることにより、前記基板保持部に保持された基板を収容可能な扁平な空間を形成していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記非フッ素系樹脂は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、パラキシレン、ポリエーテルエーテルケトンからなる樹脂群から選ばれることを特徴とする請求項4、7、9のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記筒状体の内側の空間を第1の空間とすると、前記筒状体の外面と処理容器の内壁面との間には第2の空間が形成され、前記流体供給ラインは、前記第1の空間に高圧流体またはその原料流体を供給する位置に接続され、前記流体排出ラインは、第1の空間から第2の空間に向けて流れ出た高圧流体を排出する位置に接続されていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記流体供給ラインに接続され、高圧流体または原料流体を供給する流体供給部と、
前記原料排出ラインに接続され、前記処理容器内の高圧流体が排出される流体排出部と、
基板保持部に保持された基板を前記筒状体の内側に搬入し、当該処理容器を密閉するステップと、前記流体供給部から、前記第1の空間に向けて、高圧流体または原料流体を供給するステップと、前記流体供給部から供給された高圧流体、または原料流体を当該処理容器内で加熱もしくは加圧して得られた高圧流体により、前記基板を処理するステップと、前記第2の空間から、前記流体排出部へ向けて処理容器内の高圧流体を排出することにより、第1の空間から第2の空間に向けて流れる高圧流体の流れを形成するステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えることを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
高圧流体を用いて基板に対する処理を行う基板処理方法において、
基板の処理が行われる金属製の処理容器の内部に設けられた樹脂製の筒状体により、基板保持部に保持された基板における、板面を含むこの基板の周囲が囲まれるように、前記筒状体の内側に、基板保持部に保持された基板を搬入して、当該処理容器を密閉する工程と、
前記筒状体の内側の空間である第1の空間に、高圧流体、または、加熱もしくは加圧の少なくとも一方を行うことにより高圧流体となる原料流体を供給する工程と、
高圧流体、または原料流体を前記処理容器内で加熱もしくは加圧して得られた高圧流体により、前記基板を処理する工程と、
前記筒状体の外面と処理容器の内壁面との間の空間である第2の空間から、前記処理容器内の高圧流体を排出することにより、第1の空間から第2の空間に向けて流れる高圧流体の流れを形成する工程と、を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項15】
高圧流体を用いて基板に対する処理を行う基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項14に記載された基板処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−105777(P2013−105777A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246506(P2011−246506)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】