説明

基板処理装置のクリーニング方法及び基板処理装置

処理容器の金属汚染を有効に低減させることができるとともにクリーニングガスによる処理容器の損傷を低減させることができる基板処理装置のクリーニング方法を提供する。内部に被クリーニング物質が存在し、かつ少なくとも内壁面が(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5−5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料のいずれかから構成された処理容器の内部にβ−ジケトンを含むクリーニングガスを供給して、基板処理装置をクリーニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、基板処理装置のクリーニング方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
現在、MOS(Metal−Oxide−Semiconductor)トランジスタのゲート絶縁膜をSiO膜と比誘電率が高い金属酸化膜とから構成することが注目されている。このようなゲート絶縁膜は、まず、半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」という。)のSi基板のデバイス活性領域に形成された自然酸化膜を取り除き、次いでSi基板のデバイス活性領域にSiO膜を形成し、その後SiO膜上に金属酸化膜を形成することにより形成される。
ところで、自然酸化膜の除去及びSiO膜の形成はそれぞれ自然酸化膜除去装置内及びラジカル酸化装置内で行われるが、自然酸化膜除去装置及びラジカル酸化装置を使用し続けると、自然酸化膜除去装置及びラジカル酸化装置のチャンバ等が金属汚染されてしまうことがある。これは、金属汚染されたウェハがチャンバ内に搬入されること、或いはウェハを搬出入する際に微量の金属等を含んだ空気がチャンバ内に入り込むことが原因であると考えられる。なお、チャンバ等が金属汚染されると、金属汚染されていないウェハまでもが金属汚染されることがあるので、このようなチャンバ等の金属汚染は低減させることが好ましい。
現在、このようなことから、定期的に自然酸化膜除去装置及びラジカル酸化装置のチャンバ内に塩素系のガスを供給して、チャンバ内をクリーニングしている。なお、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置に関しては、特開2000−96241号公報にヘキサフロオロアセチルアセトンを使用してチャンバ内のクリーニングを行う技術が開示されている。
しかしながら、塩素系のガスでは、チャンバ内から金属等を有効に除去することはできず、チャンバ等の金属汚染を有効に低減させることはできない。また、自然酸化膜除去装置及びラジカル酸化装置のチャンバは、一般に無垢Alから形成されており、塩素系のガスをチャンバ内に供給すると、チャンバまでもが削れてしまうことがある。
【発明の開示】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。即ち、処理容器の汚染を有効に低減させることができるとともにクリーニングガスによる処理容器の損傷を低減させることができる基板処理装置のクリーニング方法及び基板処理装置を提供することを目的とする。
本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、内部に被クリーニング物質が存在し、かつ少なくとも内壁面が(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料のいずれかから構成された処理容器を準備する処理容器準備工程と、前記処理容器の内部にβ−ジケトンを含むクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給工程とを具備することを特徴としている。本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、このようなクリーニングガス供給工程を備えているので、処理容器の汚染を有効に低減させることができるとともにクリーニングガスによる処理容器の損傷を低減させることができる。
上記基板処理装置のクリーニング方法は、クリーニングガス供給工程前或いはクリーニングガス供給工程中に処理容器を350℃以上に加熱する加熱工程をさらに備えていることが好ましい。加熱工程を備えることにより、被クリーニング物質とクリーニングガスとの反応性を高めることができる。
上記クリーニングガス供給工程は、クリーニングガスが基板の処理時に基板を支持する基板支持部材の表面に沿って流れるようにクリーニングガスを供給する工程であることが好ましい。クリーニングガス供給工程をこのような工程にすることにより、被クリーニング物質とクリーニングガスとの反応性を高めることができる。
上記β−ジケトンは、ヘキサフルオロアセチルアセトンであることが好ましい。β−ジケトンとして、ヘキサフルオロアセチルアセトンを使用することにより、処理容器の汚染をより有効に低減させることができるとともにクリーニングガスによる処理容器の損傷をより有効に低減させることができる。
上記クリーニングガスは、酸素、水、及びアルコールの少なくともいずれかを含んでいることが好ましい。クリーニングガスにこれらのものを含ませることにより、被クリーニング物質とクリーニングガスとの反応性を高めることができる。
上記被クリーニング物質は、金属及び金属含有物の少なくともいずれか一方を含んでいることが好ましい。本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、処理容器内から金属及び金属含有物を取り除く場合に特に有効である。なお、クリーニングガス供給工程前に、例えば、オゾン、Oラジカル等を処理容器内に供給して、金属を金属酸化物に変えることが好ましい。金属を金属酸化物に変えることにより、クリーニング効率を高めることができる。
上記金属及び金属含有物を構成している金属は、Al、Zr、Hf、Y、La、Ce、及びPrのうち少なくともいずれかであることが好ましい。本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、処理容器内からこれらの金属及びこれらの金属を含む金属含有物を取り除く場合に特に有効である。
上記処理容器は、全体が(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料のいずれかから形成されていることが好ましい。処理容器全体をこれらの物質のいずれかから形成することにより、クリーニングガスによる処理容器の損傷を確実に抑制することができる。
上記処理容器は、基体と、基体の内壁面に形成され、かつ(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料の少なくともいずれかから構成されたコーティング層とを備えていることが好ましい。このようなコーティング層を備えることにより、クリーニングガスによる処理容器の損傷を容易に抑制することができる。
上記処理容器は、基板に形成された自然酸化膜を除去する装置の処理容器、基板上にSi含有膜を形成する装置の処理容器、及び基板上に金属酸化膜を形成する装置の処理容器の少なくともいずれかであることが好ましい。本発明の基板処理装置のクリーニング方法は、これらの装置をクリーニングする場合に特に有効である。
上記基板処理装置のクリーニング方法は、クリーニングガス供給工程前に処理容器の内部に基板を収容する基板収容工程をさらに備えていることが好ましい。基板収容工程を備えることにより、処理容器内のクリーニングのみならず、基板のクリーニングをも行うことができる。
本発明の基板処理装置は、少なくとも内壁面が(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料のいずれかから構成され、基板を収容する処理容器と、処理容器に付着した被クリーニング物質を取り除くためのβ−ジケトンを含むクリーニングガスを前記処理容器内に供給するクリーニングガス供給系と、を具備することを特徴としている。本発明の基板処理装置は、処理容器、及びクリーニングガス供給系を備えているので、処理容器の汚染を低減させることができるとともにクリーニングガスによる処理容器の損傷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は第1の実施の形態に係るゲート絶縁膜形成装置の模式的な構成図である。
図2は第1の実施の形態に係るキャリアカセットに収容されているウェハを模式的に示した図である。
図3は第1の実施の形態に係る自然酸化膜除去装置の模式的な構成図である。
図4は第1の実施の形態に係るラジカル酸化装置の模式的な構成図である。
図5は第1の実施の形態に係るMOCVD装置の模式的な構成図である。
図6は第1の実施の形態に係る自然酸化膜除去装置で行われるSiO膜除去の流れを示したフローチャートである。
図7は第1の実施の形態に係るラジカル酸化装置で行われるSiO膜形成の流れを示したフローチャートである。
図8は第1の実施の形態に係るMOCVD装置で行われるHfO膜形成の流れを示したフローチャートである。
図9A〜図9Cは第1の実施の形態に係るウェハを模式的に示した図である。
図10は第1の実施の形態に係る自然酸化膜除去装置内で行われるクリーニングの流れを示したフローチャートである。
図11は第1の実施の形態に係る自然酸化膜除去装置内で行われるクリーニングの様子を模式的に示した図である。
図12Aは第1の実施の形態で使用されるHhfacの化学構造を模式的に示した図であり、図12Bは第1の実施の形態で生成されるHf錯体の化学構造を模式的に示した図である。
図13は比較例に係る自然酸化膜除去装置の模式的な構成図である。
図14は実施例2及び比較例に係るウェハの温度とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図15は実施例3及び比較例に係るウェハの温度とAl膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図16は実施例4に係るウェハの温度とHfSiO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図17は実施例5に係る内部チャンバ内の圧力とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図18は実施例6に係るHhfacの流量とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図19は実施例7に係るOの流量とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図20は実施例8に係るOの流量とAl膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図21は実施例9に係るHOの濃度とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図22は実施例10に係るHOの濃度とAl膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図23実施例11に係るCOHの濃度とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。
図24は第2の実施の形態に係る自然酸化膜除去装置の内部チャンバを模式的に示した垂直断面図である。
図25は第3の実施の形態に係る自然酸化膜除去装置内で行われるクリーニングの流れを示したフローチャートである。
図26は第3の実施の形態に係る自然酸化膜除去装置内で行われるクリーニングの様子を模式的に示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るゲート絶縁膜形成装置について説明する。図1は本実施の形態に係るゲート絶縁膜形成装置の模式的な構成図であり、図2は本実施の形態に係るキャリアカセットに収容されているウェハを模式的に示した図である。
図1に示されるように、ゲート絶縁膜形成装置1は、搬送室2を備えている。搬送室2内には、ウェハWを後述する自然酸化膜除去装置100等に搬送するための搬送アーム3が配設されている。
搬送室2には、内部に約25枚のウェハWを収容したキャリアカセットが搬入されるロードロック室4がゲートバルブ5を介して接続されている。ここで、キャリアカセットに収容されるウェハWについて説明する。図2に示されるようにウェハWは、P型Si基板11を備えている。なお、P型Si基板11に限らず、N型Si基板であってもよい。P型Si基板11の上部には、フィールド酸化膜として作用するSiO膜12が形成されている。SiO膜12は、約1000Åの厚さで形成されている。また、P型Si基板11のデバイス活性領域には、自然酸化膜であるSiO膜13が形成されている。
搬送室2には、SiO膜13を除去する自然酸化膜除去装置100、SiO膜を除去した後ゲート絶縁膜として作用するSiO膜を形成するラジカル酸化装置200、及びSiO膜を形成した後ゲート絶縁膜として作用するHfO膜を形成するMOCVD装置(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)300が後述するゲートバルブ104,204,304を介してそれぞれ接続されている。
以下、自然酸化膜除去装置100について説明する。図3は本実施の形態に係る自然酸化膜除去装置の模式的な構成図である。図3に示されるように自然酸化膜除去装置100は、ウェハWを収容するためのチャンバ101を備えている。チャンバ101は、円筒状の外部チャンバ102と、外部チャンバ102内に配設されたドーム状の内部チャンバ103とから構成されている。
外部チャンバ102は、Al5052から形成されている。なお、Al5052に限らず、例えば、無垢Al、ステンレス鋼、或いはハステロイ等で形成してもよい。また、外部チャンバ102の内壁面には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コーティング、或いはアルマイト処理等の表面処理が施されていてもよい。外部チャンバ102の側部には、内側に突き出た段部102Aが形成されている。また、外部チャンバ102の所定箇所には開口102B〜102Dが形成されている。
開口102Bの縁部には、外部チャンバ102内の空間と外部チャンバ102外の空間とを仕切るためのゲートバルブ104が取り付けられている。また、開口102Cの縁部には、内部チャンバ103内を排気するための排気配管105の一端が接続されている。排気配管105の他端は、減圧ポンプ106に接続されている。減圧ポンプ106が作動することにより、開口102Cを介して内部チャンバ103内が排気され、内部チャンバ103内が減圧される。
排気配管105には、内部チャンバ102内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ107が介在している。オートプレッシャコントローラ107でコンダクタンスを調節することにより、内部チャンバ103内の圧力が所定の圧力に制御される。
開口102Dの縁部には、外部チャンバ102と内部チャンバ103との間の空間を排気するための排気配管108の一端が接続されている。排気配管108の他端は、減圧ポンプ109に接続されている。減圧ポンプ109が作動することにより、開口102Dを介して外部チャンバ102と内部チャンバ103との間の空間が排気され、外部チャンバ102に熱が伝わり難くなる。
排気配管108には、外部チャンバ102と内部チャンバ103との間の空間の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ110が介在している。オートプレッシャコントローラ110でコンダクタンスを調節することにより、外部チャンバ102と内部チャンバ103との間の空間の圧力が所定の圧力に制御される。
外部チャンバ102内には、ウェハWを載置する円板状のサセプタ111が配設されている。サセプタ111は、SiCから形成されている。サセプタ111の3箇所には、ウェハWをサセプタ111に載置或いはサセプタ111からウェハWを離間させるための孔111Aが上下方向に形成されている。
サセプタ111は、セラミックスから形成されたリング状の支持部材112に支持されている。支持部材112には、エアシリンダ113が固定されている。エアシリンダ113の駆動でエアシリンダ113のロッド113Aが伸縮することにより、サセプタ111が昇降する。なお、サセプタ111は、ウェハWを搬送するための搬送位置とSiO膜13の除去を行うための処理位置とで停止する。
外部チャンバ102の外側に位置するロッド113Aの部分は、伸縮自在なベローズ114で覆われている。ベローズ114でロッド113Aを覆うことにより、外部チャンバ102内の気密性が保持される。
孔111Aの下方には、孔111Aに挿入可能なウェハ昇降ピン115がそれぞれ配設されている。ウェハ昇降ピン115は、ウェハ昇降ピン115が立設するようにリング状のウェハ昇降ピン支持台116に固定されている。
ウェハ昇降ピン支持台116には、エアシリンダ117が固定されている。ウェハWがウェハ昇降ピン116に支持されている状態で、エアシリンダ117のロッド117Aが縮退することにより、ウェハ昇降ピン115が孔111Aから抜脱され、ウェハWがサセプタ111に載置される。また、ウェハWがサセプタ111に載置されている状態で、エアシリンダ117のロッド117Aが伸長することにより、ウェハ昇降ピン115が孔111Aに挿入され、ウェハWがサセプタ111から離間される。
外部チャンバ102の外側に在るロッド117Aの部分は、伸縮自在なベローズ118で覆われている。ベローズ118でロッド117Aを覆うことにより、外部チャンバ103内の気密性が保持される。
サセプタ111及び支持部材112は、円筒状に形成された筒状部材119により取り囲まれている。筒状部材119は、例えばSiC等から形成されている。筒状部材119の上部には、内側に突き出たフランジ部119Aが形成されている。フランジ部119Aは、内径が支持部材119の外径よりも小さく、かつサセプタ111の直径よりも大きくなるように形成されている。このようなフランジ部119Aを形成することにより、サセプタ111が処理位置で停止する。また、筒状部材119と外部チャンバ102との間には、開口102Cと通じた空間が形成されている。
外部チャンバ102の下部には、熱線を透過させる例えば石英等から形成された熱線透過窓120が嵌め込まれている。熱線透過窓120の下方には、熱線透過窓120を取り囲むように加熱室121が配設されている。
加熱室121内には、サセプタ111を加熱する加熱ランプ122が配設されている。加熱ランプ122の点灯で加熱ランプ122から熱線が発せられることにより、熱線が熱線透過窓120を通過する。これにより、熱線透過窓120の上方に位置したサセプタ111が加熱される。なお、加熱ランプ122に限らず、その他の加熱機構を使用してもよい。加熱ランプ122以外の加熱機構としては、例えば抵抗発熱体等が挙げられる。
加熱ランプ122には、加熱ランプ122を回転させるモータ123が接続されている。モータ123の回転軸123Aが回転することにより、加熱ランプ122が回転し、ウェハWが均一に加熱される。
外部チャンバ102の上部には、熱線を透過させる例えば石英等から形成された熱線透過窓124が嵌め込まれている。熱線透過窓124の上方には、熱線透過窓124を取り囲むように加熱室125が配設されている。
加熱室125内には、内部チャンバ103を加熱する加熱ランプ126が配設されている。加熱ランプ126の点灯で加熱ランプ126から熱線が発せられることにより、熱線が熱線透過窓124を通過する。これにより、熱線透過窓124の下方に位置した内部チャンバ103が加熱される。なお、加熱ランプ126に限らず、その他の加熱機構を使用してもよい。加熱ランプ126以外の加熱機構としては、例えば抵抗発熱体等が挙げられる。
外部チャンバ102の段部102Aには、溝102Eが形成されている。溝102E内には、紫外線を発生させる紫外線ランプ127が配設されている。紫外線ランプ127を点灯させることにより、後述するOラジカルが発生し、ウェハW上の有機物が分解される。
内部チャンバ103は、外部チャンバ102の段部102A上に固定されている。内部チャンバ103は、SiCから形成されている。内部チャンバ103の底部には、ウェハWを収容するための開口103A、内部チャンバ103内の排気を行うための開口103B、及び内部チャンバ103内に紫外線を供給するための開口103Cが形成されている。
開口103Bは、外部チャンバ102と筒状部材119との間の空間と通ずるような位置に形成されている。このような位置に開口103Bを形成することにより、減圧ポンプ106の作動で内部チャンバ103内が排気される。開口103Cは紫外線ランプ127の上方に形成されており、開口103Cには紫外線を透過させる例えば石英から構成された紫外線透過窓128が嵌め込まれている。このような位置に紫外線透過窓128を嵌め込むことにより、紫外線ランプ127から発せられた紫外線が紫外線透過窓128を介して内部チャンバ103内に供給される。
内部チャンバ103内には、SiO膜除去ガス及びクリーニングガスを内部チャンバ103内に供給するためのノズル129が配設されている。ノズル129は、ウェハWを挟んで開口103Bと対向するような位置に、かつ内部チャンバ103の底部付近に配設されている。このような位置にノズル129を配設することにより、SiO膜除去ガス等をウェハWの表面に沿って流すことができる。また、ノズル129は、紫外線透過窓128の近傍に配設されている。このような位置にノズル129を配設することにより、Oラジカルを効率良く発生させることができる。ノズル129には、ガス供給配管130が接続されている。
ガス供給配管130には、ガス供給配管401を介してHFを収容したHF供給源402が接続されている。ガス供給配管401には、HFを供給するための開閉バルブ403及びHFの流量を調節するためのマスフローコントローラ404が介在している。マスフローコントローラ404が調節された状態で、開閉バルブ403が開かれることにより、HF供給源402から所定の流量でHFが内部チャンバ103内に供給される。
ガス供給配管130には、ガス供給配管405を介してCHOHを収容したCHOH供給源406が接続されている。ガス供給配管405には、CHOHを供給するための開閉バルブ407及びCHOHの流量を調節するためのマスフローコントローラ408が介在している。マスフローコントローラ408が調節された状態で、開閉バルブ407が開かれることにより、CHOH供給源406から所定の流量でCHOHが内部チャンバ103内に供給される。
ガス供給配管130には、ガス供給配管409を介してヘキサフルオロアセチルアセトン(CFCOCHCOCF:Hhfac)を収容したHhfac供給源410が接続されている。ガス供給配管409には、Hhfacを供給するための開閉バルブ411〜414及びHhfacの流量を調節するマスフローコントローラ415が介在している。マスフローコントローラ415が調節された状態で、開閉バルブ411,412が開かれることにより、Hhfac供給源410から所定の流量でHhfacが内部チャンバ103内に供給される。
ガス供給配管130には、ガス供給配管416を介してOを収容したO供給源417が接続されている。ガス供給配管416には、Oを供給するための開閉バルブ418〜421及びOの流量を調節するマスフローコントローラ422が介在している。マスフローコントローラ422が調節された状態で、開閉バルブ418,419が開かれることにより、O供給源417から所定の流量でOが内部チャンバ103内に供給される。
ガス供給配管130には、ガス供給配管423を介してHOを収容したHO供給源424が接続されている。なお、HOの代わりにアルコールを使用することも可能である。このようなアルコールとしては、例えばエタノール(COH)等が挙げられる。ガス供給配管424には、HOを供給するための開閉バルブ425〜428及びHOの流量を調節するマスフローコントローラ429が介在している。マスフローコントローラ429が調節された状態で、開閉バルブ425,426が開かれることにより、HO供給源424から所定の流量でHOが内部チャンバ103内に供給される。
ガス供給配管130には、ガス供給配管430を介してNを収容したN供給源431が接続されている。ガス供給配管430には、Nを供給するための開閉バルブ432〜435及びNの流量を調節するマスフローコントローラ436が介在している。マスフローコントローラ436が調節された状態で、開閉バルブ432,433が開かれることにより、N供給源431から所定の流量でNが内部チャンバ103内に供給される。
以下、ラジカル酸化装置200について説明する。図4は本実施の形態に係るラジカル酸化装置200の模式的な構成図である。図4に示されるようにラジカル酸化装置200は、自然酸化膜除去装置100とほぼ同様な構造になっている。ここで、自然酸化膜除去装置100の部材と同じ部材については説明を省略し、自然酸化膜除去装置100と異なる部材について説明する。なお、自然酸化膜除去装置100と同じ部材であるが、ラジカル酸化装置200の部材であることを明確にするために自然酸化膜除去装置100の部材と異なる符号を使用する。ここで、チャンバ201〜ノズル229は、チャンバ101〜ノズル129にそれぞれ対応している。
ラジカル酸化装置200のノズル229には、ガス供給配管230が接続されている。ガス供給配管230には、ガス供給配管409,416,423,430を介してHhfac供給源410、O供給源417、HO供給源424、及びN供給源431が接続されている。
以下、MOCVD装置300について説明する。図5は本実施の形態に係るMOCVD装置300の模式的な構成図である。図5に示されるようにMOCVD装置300は、自然酸化膜除去装置100とほぼ同様な構造になっている。ここで、自然酸化膜除去装置100の部材と同じ部材については説明を省略し、自然酸化膜除去装置100の部材と異なる部材について説明する。なお、自然酸化膜除去装置100と同じ部材であるが、MOCVD装置300の部材であることを明確にするために自然酸化膜除去装置100の部材と異なる符号を使用する。ここで、チャンバ301〜加熱ランプ326は、チャンバ101〜加熱ランプ126にそれぞれ対応し、ノズル329はノズル129に対応している。
MOCVD装置300のノズル329には、ガス供給配管330が接続されている。ガス供給配管330には、ガス供給配管409,416,423,430,437を介して、Hhfac供給源410、O供給源417、HO供給源424、N供給源431、Hf(t−OC)を収容したHf(t−OC)供給源438が接続されている。ガス供給配管437には、Hf(t−OC)を供給するための開閉バルブ439及びHf(t−OC)の流量を調節するためのマスフローコントローラ440が介在している。マスフローコントローラ440が調節された状態で、開閉バルブ439が開かれることにより、Hf(t−OC)供給源438から所定の流量でHf(t−OC)が内部チャンバ303内に供給される。
以下、ゲート絶縁膜形成装置1で行われる処理について図6〜図9に沿って説明する。図6は本実施の形態に係る自然酸化膜除去装置100で行われるSiO膜除去の流れを示したフローチャートであり、図7は本実施の形態に係るラジカル酸化装置200で行われるSiO膜形成の流れを示したフローチャートである。図8は本実施の形態に係るMOCVD装置300で行われるHfO膜形成の流れを示したフローチャートであり、図9A〜図9Cは本実施の形態に係るウェハWを模式的に示した図である。
まず、減圧ポンプ106,109が作動して、内部チャンバ103内及び外部チャンバ102と内部チャンバ103との間の空間の真空引きが行われる(ステップ101)。次いで、加熱ランプ122が点灯して、搬送位置に位置したサセプタ111が加熱される(ステップ102)。
内部チャンバ103内の圧力が1〜26Paまで低下し、かつサセプタ111の温度が約200℃まで上昇した後、ゲートバルブ104が開かれ、ウェハWを保持した搬送アーム3が伸長して、外部チャンバ102内にウェハWが搬入される(ステップ103)。
その後、搬送アーム3が縮退して、ウェハWがウェハ昇降ピン115に載置される。ウェハWがウェハ昇降ピン115に載置された後、エアシリンダ117の駆動によりウェハ昇降ピン115が下降して、ウェハWがサセプタ111に載置される(ステップ104)。
ウェハWがサセプタ111に載置された後、エアシリンダ117の駆動によりサセプタ111が上昇して、サセプタ111が処理位置に位置する。これにより、ウェハWが内部チャンバ102内に搬入される(ステップ105)。
サセプタ111が処理位置に位置し、ウェハWの温度が約200℃に安定した後、開閉バルブ418,419が開かれて、有機物除去ガスが内部チャンバ103内に供給される。また、紫外線ランプ127が点灯して、内部チャンバ103内に紫外線が供給される(ステップ106)。有機物除去ガスは、主に、Oから構成されている。内部チャンバ103内に供給された有機物除去ガスに紫外線が照射されると、紫外線により有機物除去ガスに含まれるOが励起して、Oラジカルが発生する。そして、この発生したOラジカルとウェハWに付着している有機物とが反応し、ウェハW上から有機物が除去される。なお、Oラジカルにより内部チャンバ103内に付着している金属を金属酸化物に変えることができる。Oラジカルで金属を金属酸化物に変えることにより、クリーニング効率を高めることができる。
所定時間経過後、開閉バルブ418,419が閉じられて、内部チャンバ103内へのOの供給が停止される。また、紫外線ランプ127の点灯が停止されて、内部チャンバ103内への紫外線の供給が停止される(ステップ107)。これにより、有機物の除去が終了される。
その後、加熱ランプ122の点灯が停止されて、サセプタ111の加熱が停止される。また、開閉バルブ432,433が開かれて、Nが内部チャンバ103内に供給される(ステップ108)。これにより、ウェハWが冷却される。なお、本実施の形態ではウェハWをNで冷却しているが、Nに限らず、その他の不活性ガスを使用してもよい。また、サセプタ111にペルチェ素子及び水冷ジャケットのような冷却機構を備え付けてウェハWを冷却してもよい。
ウェハWが冷却され、ウェハWの温度が約50℃以下に安定した後、開閉バルブ403,407が開かれて、SiO膜除去ガスが内部チャンバ103内に供給される(ステップ109)。SiO膜除去ガスは、主に、HFとCHOHとから構成されている。SiO膜除去ガスが内部チャンバ103内に供給されると、SiO膜除去ガスに含まれているHFとSiO膜13とが反応し、図9Aに示されるようにウェハW上からSiO膜13が除去される。
所定時間経過後、開閉バルブ403,407が閉じられて、SiO膜除去ガスの供給が停止される(ステップ110)。これにより、SiO膜13の除去が終了される。
SiO膜除去ガスの供給が停止された後、エアシリンダ113の駆動によりサセプタ111が下降して、サセプタ111が搬送位置に位置する。これにより、ウェハWが内部チャンバ102内から搬出される(ステップ111)。続いて、エアシリンダ117の駆動によりウェハ昇降ピン115が上昇して、ウェハWがサセプタ111から離れる(ステップ112)。
その後、ゲートバルブ104が開かれ、搬送アーム3が伸長して、搬送アーム3にウェハWが保持される。最後に、搬送アーム3が縮退して、ウェハWが外部チャンバ102から搬出される(ステップ113)。これで、SiO膜13の除去が終了する。
ウェハWが外部チャンバ102から搬出された後、減圧ポンプ206,209が作動して、内部チャンバ203内及び外部チャンバ202と内部チャンバ203との間の空間の真空引きが行われる(ステップ201)。次いで、加熱ランプ222が点灯して、搬送位置に位置したサセプタ211が加熱される(ステップ202)。
内部チャンバ203内の圧力が約1.33×10〜1.33×10Paまで低下し、かつサセプタ211の温度が約400〜500℃まで上昇した後、ゲートバルブ204が開かれ、ウェハWを保持した搬送アーム3が伸長して、外部チャンバ202内にSiO膜13が除去されたウェハWが搬入される(ステップ203)。
その後、搬送アーム3が縮退して、ウェハWがウェハ昇降ピン215に載置される。ウェハWがウェハ昇降ピン215に載置された後、エアシリンダ217の駆動によりウェハ昇降ピン215が下降して、ウェハWがサセプタ211に載置される(ステップ204)。
ウェハWがサセプタ211に載置された後、エアシリンダ117の駆動によりサセプタ211が上昇して、サセプタ211が処理位置に位置する。これにより、ウェハWが内部チャンバ203内に搬入される(ステップ205)。
サセプタ211が処理位置に位置し、ウェハWの温度が約400〜500℃に安定した後、開閉バルブ418,420が開かれて、内部チャンバ203内にSiO膜形成ガスが供給される。また、紫外線ランプ227が点灯して、内部チャンバ203内に紫外線が供給される(ステップ206)。SiO膜形成ガスは、主にOから構成されている。内部チャンバ203内に供給されたSiO膜形成ガスに紫外線が照射されると、紫外線によりSiO膜形成ガスに含まれるOが励起して、Oラジカルが発生する。そして、この発生したOラジカルとP型Si基板11とが反応し、図9Bに示されるようにウェハ上にSiO膜14が形成される。
所定時間経過後、開閉バルブ418,420が閉じられて、内部チャンバ203内へのSiO膜形成ガスの供給が停止される。また、紫外線ランプ227の点灯が停止されて、内部チャンバ203内への紫外線の供給が停止される(ステップ207)。これにより、SiO膜14の形成が終了される。
SiO膜14の形成が終了された後、エアシリンダ213の駆動によりサセプタ211が下降して、サセプタ211が搬送位置に位置する。これにより、ウェハWが内部チャンバ203内から搬出される(ステップ208)。続いて、エアシリンダ217の駆動によりウェハ昇降ピン215が上昇して、ウェハWがサセプタ111から離れる(ステップ209)。
その後、ゲートバルブ204が開かれ、搬送アーム3が伸長して、搬送アーム3にウェハWが保持される。最後に、搬送アーム3が縮退して、ウェハWが外部チャンバ202から搬出される(ステップ210)。
ウェハWが外部チャンバ202から搬出された後、減圧ポンプ306,309が作動して、内部チャンバ303内及び外部チャンバ302と内部チャンバ303との間の空間の真空引きが行われる(ステップ301)。次いで、加熱ランプ322,326が点灯して、搬送位置に位置したサセプタ311及び内部チャンバ303が加熱される(ステップ302)。
内部チャンバ303内の圧力が約50〜400Paまで低下し、かつサセプタ311の温度が約300℃まで上昇し、内部チャンバ303の温度が約150℃まで上昇した後、ゲートバルブ304が開かれ、ウェハWを保持した搬送アーム3が伸長して、外部チャンバ302内にSiO膜14が形成されたウェハWが搬入される(ステップ303)。
その後、搬送アーム3が縮退して、ウェハWがウェハ昇降ピン315に載置される。ウェハWがウェハ昇降ピン315に載置された後、エアシリンダ317の駆動によりウェハ昇降ピン317が下降して、ウェハWがサセプタ311に載置される(ステップ304)。
ウェハWがサセプタ311に載置された後、エアシリンダ313の駆動によりサセプタ311が上昇して、サセプタ311が処理位置に位置する。これにより、ウェハWが内部チャンバ303内に搬入される(ステップ305)。
サセプタ303が処理位置に位置し、ウェハWの温度が約400〜550℃に安定した後、開閉バルブ418,421,439が開かれて、内部チャンバ303内にHfO膜形成ガスが供給される(ステップ306)。HfO膜形成ガスは、主に、Hf(t−OC)とOとから構成されている。内部チャンバ303内にHfO膜形成ガスが供給されると、HfO膜形成ガスに含まれているHf(t−OC)とOとが反応し、図9Cに示されるようにウェハW上にHfO膜15が形成される。
所定時間経過後、開閉バルブ418,421,439が閉じられて、HfO膜形成ガスの供給が停止される(ステップ307)。これにより、HfO膜15の形成が終了される。
HfO膜15の形成が終了された後、エアシリンダ313の駆動によりサセプタ311が下降して、サセプタ311が搬送位置に位置する。これにより、ウェハWが内部チャンバ303内から搬出される(ステップ308)。続いて、エアシリンダ317の駆動によりウェハ昇降ピン315が上昇して、ウェハWがサセプタ311から離れる(ステップ309)。
その後、ゲートバルブ304が開かれ、搬送アーム3が伸長して、搬送アーム3にウェハWが保持される。最後に、搬送アーム3が縮退して、ウェハWが外部チャンバ302から搬出される(ステップ310)。
以下、ゲート絶縁膜形成装置1で行われるクリーニングについて図10〜図12に沿って説明する。ここで、本実施の形態では、ラジカル酸化装置200及びMOCVD装置300で行われるクリーニングは、自然酸化膜除去装置100で行われるクリーニングとほぼ同様であるので、自然酸化膜除去装置100で行われるクリーニングを説明し、ラジカル酸化装置200及びMOCVD装置300で行われるクリーニングは説明を省略する。
図10は本実施の形態に係る自然酸化膜除去装置100内で行われるクリーニングの流れを示したフローチャートであり、図11は本実施の形態に係る自然酸化膜除去装置100内で行われるクリーニングの様子を模式的に示した図である。図12Aは本実施の形態で使用されるHhfacの化学構造を模式的に示した図であり、図12Bは本実施の形態で生成されるHf錯体の化学構造を模式的に示した図である。なお、本実施の形態では自然酸化膜除去装置100の内部チャンバ103等にHfOが付着している場合について説明する。
まず、減圧ポンプ106,109が作動して、内部チャンバ103内及び外部チャンバ102と内部チャンバ103との間の空間の真空引きが行われる(ステップ121A)。次いで、加熱ランプ126,122が点灯して、内部チャンバ103及びサセプタ111が加熱される(ステップ122A)。
内部チャンバ103内の圧力が9.31×10〜1.33×10Paまで低下し、内部チャンバ103及びサセプタ111が約300℃以上に加熱された後、開閉バルブ411,412,418,419,425,426,432,433が開かれて、図11に示されるように内部チャンバ103内にクリーニングガスが供給される(ステップ123A)。クリーニングガスは、主に、Hhfac、O、HO、及びNから構成されている。Hhfac、O、及びNは、それぞれ320〜380sccm、10〜50sccm、100〜300sccmの流量で内部チャンバ103内に供給される。また、HOは、濃度が約50〜5000ppm、好ましくは100〜1000ppmになるように内部チャンバ103内に供給される。クリーニングガスが内部チャンバ103内に供給されると、クリーニングガスに含まれているHhfacと内部チャンバ103に付着しているHfOとが反応して、内部チャンバ103からHfOが取り除かれる。反応機構は次の通りである。Hhfacは互変異性を備えている。そのため、図12Aに示されるようにHhfacは構造Iと構造IIとの2つの構造をとり得る。構造IIでは、C=O結合とC−C結合との間にわたって共有電子が非局在化するのでO−H結合が切れ易い。そして、このO−H結合が切れると、HhfacがHfOのHfに配位して、図12Bに示されるようなHf錯体が形成される。生成されたHf錯体は、気化し、内部チャンバ103の内壁面から離間する。このような反応機構でHhfacにより内部チャンバ103に付着したHfOが取り除かれる。なお、内部チャンバ103の内壁面から離間したHf錯体は、排気により開口103B,102Cを介して外部チャンバ102の外部に排出される。
所定時間経過後、開閉バルブ411,412,418,419,425,426,432,433が閉じられて、内部チャンバ103内へのクリーニングガスの供給が停止される(ステップ124A)。これにより、自然酸化膜除去装置100のクリーニングが終了される。
本実施の形態では、Hhfacを含んだクリーニングガスを使用し、かつSiCから形成された内部チャンバ103,203,303を使用しているので、内部チャンバ103,203,303の金属汚染を有効に低減させることができるとともにクリーニングガスによる内部チャンバ103,203,303の損傷を低減させることができる。即ち、Hhfacを使用しているので、Hfのような金属及びHfOのような金属酸化物等を金属錯体に変えて内部チャンバ103,203,303から取り除くことができる。それ故、内部チャンバ103,203,303の金属汚染を有効に低減させることができる。また、内部チャンバ103,203,303がHhfacと反応し難いSiCから形成されているので、Hhfacを使用しても内部チャンバ103,203,303が削れ難い。それ故、内部チャンバ103,203,303の損傷を低減させることができる。
なお、本実施の形態では、内部チャンバ103,203,303をSiCから形成しているが、その他石英、Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及びNi系材料のいずれかから内部チャンバ103,203,303を形成しても本実施の形態と同様の効果が得られる。ここで、Al系材料とはAlが母材になっているものであり、また、Ni系材料とはNiが母材となっているものである。Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料としては例えばAl5052等が挙げられ、Ni系材料としては例えばハステロイC−22等が挙げられる。また、Mgを0.5〜5.0重量%を含んだAl系材料で内部チャンバ103,203,303を形成した場合に内部チャンバ103,203,303が削れ難くなるのは、Al系材料に含まれるMgとHhfacのFとが反応し、内部チャンバ103,203,303の内壁面にMgF膜が形成され、このMgF膜がAlとHhfacとの反応を抑制する働きをするからである。また、Al系材料に含まれるMgを0.5〜5.0重量%としたのは、0.5重量%を下回るとMgF膜の保護膜としての作用が弱くなるからであり、5.0重量%を上回ると加工し難くなるからである。
本実施の形態では、内部チャンバ103,203,303の加熱時に外部チャンバ102,202,302と内部チャンバ103,203,303との間の空間を排気して、この空間の圧力を大気圧より低下させているので、外部チャンバ102,202,302の軟化を抑制することができる。即ち、通常、チャンバはAlから形成されている。一方、Alは耐熱性に優れていない。それ故、Alのチャンバを250℃以上に加熱すると軟化してしまう可能性がある。これに対し、本実施の形態では、外部チャンバ102,202,302と内部チャンバ103,203,303との間の空間を排気して、この空間の圧力を大気圧より低下させているので、内部チャンバ103,203,303から放出される熱が外部チャンバ202に伝わり難くなる。それ故、外部チャンバ102,202,302の温度上昇を抑制することができ、外部チャンバ102,202,302の軟化を抑制することができる。
本実施の形態では、内部チャンバ103,203,303の加熱時に外部チャンバ102,202,302と内部チャンバ103,203,303との間の空間を排気して、この空間の圧力を大気圧より低下させているので、内部チャンバ103,203,303の加熱効率を向上させることができる。即ち、外部チャンバ102,202,302と内部チャンバ103,203,303との間の空間を排気して、この空間の圧力を大気圧より低下させているので、内部チャンバ103,203,303からの放熱を抑制することができる。それ故、内部チャンバ103,203,303の加熱効率を向上させることができる。
本実施の形態では、クリーニングガスにOを含ませているので、効率良く内部チャンバ103,203,303からHfOを取り除くことができる。また、クリーニングガスにHOを含ませているので、効率良く内部チャンバ103,203,303から金属及び金属酸化物等を取り除くことができる。
【実施例1】
以下、実施例1について説明する。本実施例では、SiC、石英、Al5052、及びハステロイC−22を、Hhfacを含んだクリーニングガスに晒したときのSiC、石英、Al5052、及びハステロイC−22の重量変化について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、板体状のSiC、石英、Al5052、及びハステロイC−22をそれぞれ作製し、それらの板体をサセプタに載置し、内部チャンバ内にクリーニングガスを供給して、それらの板体の重量変化を調べた。なお、表1にAl5052及びハステロイC−22の組成を示した。
【表1】

クリーニングガスは、主に、Hhfac、及びCOHから構成されたものを使用した。Hhfacの流量は約375sccmであり、COHの濃度は約1000ppmであった。また、内部チャンバ内の圧力は約5.32×10Paであり、サセプタの温度は約400℃であった。なお、本実施例と比較するために、比較例としてアルイマイトの板体についても本実施例と同様に重量変化を調べた。ここで、比較例の測定条件は、本実施例の測定条件と同じである。
測定結果について説明する。表2は本実施例及び比較例に係る重量変化を表したものである。
【表2】

表2から分かるように、本実施例のSiC、石英、Al5052、及びハステロイC−22は、クリーニングガスに晒す前と後とでは、重量がほぼ変化していなかった。これに対し、比較例のアルマイトは、クリーニングガスに晒す前と後とでは、クリーニングガスに晒した後の方が約0.0765g軽くなっていた。
この結果から、本実施例のSiC、石英、Al5052、及びハステロイC−22は、Hhfacを含むクリーニングガスに晒した場合であっても削れ難いということが確認できた。
【実施例2】
以下、実施例2について説明する。本実施例では、Hhfacを含むクリーニングガスによりHfOをエッチングするとともに、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときの内部チャンバ及びサセプタの最適温度について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のHfO膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、Oから構成されたものを使用した。Hhfac、Oの流量は、それぞれ375sccm、100sccmであった。なお、クリーニングガス中のHOの濃度は0ppmであった。また、内部チャンバ内の圧力は、約1.13×10Paであった。このような状態を維持しながらウェハの温度を変えてHfO膜をエッチングした。
本実施例と比較するために、比較例として本実施例で使用される自然酸化膜除去装置とは異なる自然酸化膜除去装置を使用した場合についても同様のエッチングを行った。図13は比較例に係る自然酸化膜除去装置を模式的に示した構成図である。
図13に示されるように比較例で使用した自然酸化膜除去装置500は、主に、ウェハを収容するチャンバ501、ウェハを載置するサセプタ502、サセプタ502を支持するサセプタ支持部材503、サセプタ502を加熱するためのサセプタ加熱系504、サセプタ502にウェハを載置或いはサセプタ502からウェハを離間させるウェハ昇降機構505、チャンバ501内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給系506、チャンバ501内を排気するための排気系507、及びクリーニングガスを吐出するシャワーヘッド508等から構成されている。ここで、シャワーヘッド508はシャワーヘッド508から吐出されたクリーニングガスがサセプタ502上面に対して略垂直に流れるようにサセプタ502と対向して配置されている。なお、クリーニングガスの成分、チャンバ501内の圧力等は、本実施例と同様とした。
測定結果について説明する。図14は、本実施例及び比較例に係るウェハの温度とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図14のグラフから分かるように、本実施例におけるHfO膜は、Hhfacを含むクリーニングガスによりエッチングされた。また、ウェハの温度が350℃以上の場合に高いエッチレートが得られた。
この結果から、Hhfacを含むクリーニングガスによりHfOをエッチングできることが確認された。また、本実施例におけるHfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、内部チャンバ及びサセプタを350℃以上に加熱することが好ましいと考えられる。
また、図14のグラフから分かるように、本実施例のHfO膜のエッチングにおけるエッチレートのピーク値は、明らかに比較例のHfO膜のエッチングにおけるエッチレートのピーク値よりも高いことが確認された。これは、ウェハ対して略垂直にクリーニングガスを供給するよりもウェハに対して略平行にクリーニングガスを供給する方が、ウェハに衝突するガス分子が多いためであると考えられる。
この結果から、比較例の自然酸化膜除去装置を使用するよりも本実施例の自然酸化膜除去装置を使用する方が好ましいと考えられる。
【実施例3】
以下、実施例3について説明する。本実施例では、Hhfacを含むクリーニングガスによりAlをエッチングするとともに、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときの内部チャンバ及びサセプタの最適温度について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のAl膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、Oから構成されたものを使用した。Hhfac、Oの流量は、それぞれ375sccm、100sccmであった。なお、クリーニングガス中のHOの濃度は0ppmであった。また、内部チャンバ内の圧力は、約1.13×10Paであった。このような状態を維持しながらウェハの温度を変えてAl膜をエッチングした。
本実施例と比較するために、比較例として本実施例で使用される自然酸化膜除去装置とは異なる自然酸化膜除去装置を使用した場合についても同様のエッチングを行った。比較例の自然酸化膜除去装置としては、実施例2で説明した比較例の自然酸化膜除去装置500を使用した。なお、クリーニングガスの成分、チャンバ内の圧力等は、本実施例と同様とした。
測定結果について説明する。図15は、本実施例及び比較例に係るウェハの温度とAl膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図15のグラフから分かるように、本実施例のAl膜は、Hhfacを含むクリーニングガスによりエッチングされた。また、ウェハの温度が350℃以上の場合に高いエッチレートが得られた。
この結果から、Hhfacを含むクリーニングガスによりAlをエッチングできることが確認された。また、本実施例におけるAlが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、内部チャンバ及びサセプタを約350℃以上に加熱することが好ましいと考えられる。
また、図15のグラフから分かるように、本実施例のAl膜のエッチングにおけるエッチレートのピーク値は定かではないが、明らかに比較例のAl膜のエッチングにおけるエッチレートのピーク値よりも高いことが確認された。これは、実施例2で説明した理由と同様の理由からであると考えられる。
この結果から、比較例の自然酸化膜除去装置を使用するよりも本実施例の自然酸化膜除去装置を使用する方が好ましいと考えられる。
【実施例4】
以下、実施例4について説明する。Hhfacを含むクリーニングガスによりHfSiOをエッチングするとともに、HfSiOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときの内部チャンバ及びサセプタの最適温度について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、HfSiOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のHfSiO膜をクリーニングガスによりエッチングした。HfSiO膜としては、Si/(Si+Hf)が20%,50%,70%のものをそれぞれ用意した。クリーニングガスとしては、Hhfac、O、Arから構成されたものを使用した。Hhfac、O、Arの流量は、それぞれ750sccm、200sccm、300sccmであった。なお、クリーニングガス中のHOの濃度は0ppmであった。また、内部チャンバ内の圧力は、約9.97×10Paであった。このような状態を維持しながらウェハの温度を変えてHfSiO膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図16は、本実施例に係るウェハの温度とHfSiO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図16のグラフから分かるように、本実施例のHfSiO膜は、375℃以上でHhfacを含むクリーニングガスによりエッチングされた。
この結果から、Hhfacを含むクリーニングガスによりHfSiOをエッチングできることが確認された。また、本実施例におけるHfSiOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、内部チャンバ及びサセプタを約375℃以上に加熱することが好ましいと考えられる。
【実施例5】
以下、実施例5について説明する。本実施例では、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときの内部チャンバ内の最適圧力について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のHfO膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、Oから構成されたものを使用した。Hhfac、Oの流量は、それぞれ375sccm、100sccmであった。なお、クリーニングガス中のHOの濃度は0ppmであった。また、ウェハの温度は、450℃であった。このような状態を維持しながら内部チャンバ内の圧力を変えてHfO膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図17は、本実施例に係る内部チャンバ内の圧力とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図17のグラフから分かるように、内部チャンバ内の圧力が0.95×10〜1.20×10Paの場合に高いエッチレートが得られた。
この結果から、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、内部チャンバ内の圧力を0.95×10〜1.20×10Paに維持することが好ましいと考えられる。
【実施例6】
以下、実施例6について説明する。本実施例では、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときのHhfacの最適流量について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のHfO膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、O、N、及びHOから構成されたものを使用した。Hhfac、O、Nは、それぞれ15:2:8になるように供給され、クリーニングガス中のHOの濃度は1000ppmであった。また、内部チャンバ内の圧力は約6.65×10Paであり、ウェハの温度は約400℃であった。このような状態を維持しながらHhfacの流量を変えてHfO膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図18は、本実施例に係るHhfacの流量とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図18のグラフから分かるように、Hhfacの流量が320〜380sccmの場合に高いエッチレートが得られた。
この結果から、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、Hhfacを320〜380sccmの流量で流すことが好ましいと考えられる。
【実施例7】
以下、実施例7について説明する。本実施例では、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときのOの最適流量について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のHfO膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、O、及びHOから構成されたものを使用した。Hhfacの流量は375sccmであり、HOの濃度は700ppmであった。また、内部チャンバ内の圧力は約9.31×10Paであり、ウェハの温度は約450℃であった。このような状態を維持しながらOの流量を変えてHfO膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図19は、本実施例に係るOの流量とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図19のグラフから分かるように、Oの流量が50〜250sccmの場合に高いエッチレートが得られた。
この結果から、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、Oを50〜250sccmの流量で流すことが好ましいと考えられる。
【実施例8】
以下、実施例8について説明する。本実施例では、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときのOの最適流量について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のAl膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、O、及びHOから構成されたものを使用した。Hhfacの流量は375sccmであり、HOの濃度は700ppmであった。また、内部チャンバ内の圧力は約9.31×10Paであり、ウェハの温度は約450℃であった。このような状態を維持しながらOの流量を変えてAl膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図20は、本実施例に係るOの流量とAl膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図20のグラフから分かるように、Oの流量が50〜250sccmの場合に高いエッチレートが得られた。
この結果から、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、Oを50〜250sccmの流量で流すことが好ましいと考えられる。
【実施例9】
以下、実施例9について説明する。本実施例では、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときのHOの最適濃度について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のHfO膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、O、及びHOから構成されたものを使用した。Hhfac、Oの流量は、それぞれ375sccm、50sccmであった。また、内部チャンバ内の圧力は約9.31×10Paであり、ウェハの温度は約450℃であった。このような状態を維持しながらHOの濃度を変えてHfO膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図21は、本実施例に係るHOの濃度とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図21のグラフから分かるように、HOの濃度が1000ppm以下の場合に高いエッチレートが得られた。なお、HOの濃度が0ppmであっても、高いエッチレートが得られた。
この結果から、HfOが付着した基板処理装置をクリーニングする場合には、HOを1000ppm以下(0ppmを含む。)の濃度で供給することが好ましいと考えられる。
【実施例10】
以下、実施例10について説明する。本実施例では、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときのHOの最適濃度について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のAl膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、O、及びHOから構成されたものを使用した。Hhfac、Oの流量は、それぞれ375sccm、50sccmであった。また、内部チャンバ内の圧力は約9.31×10Paであり、ウェハの温度は約450℃であった。このような状態を維持しながらHOの濃度を変えてAl膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図22は、本実施例に係るHOの濃度とAl膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図22のグラフから分かるように、約150℃で形成されたAl膜のエッチングにおいては、HOの濃度が1000ppm以下の場合に高いエッチレートが得られた。なお、HOの濃度が0ppmであっても、高いエッチレートが得られた。
この結果から、Alが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、HOを1000ppm以下(0ppm以下を含む。)の濃度で供給することが好ましいと考えられる。
【実施例11】
以下、実施例11について説明する。本実施例では、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングするときのCOHの最適濃度について調べた。
測定条件について説明する。本実施例では、自然酸化膜除去装置として第1の実施の形態で説明した自然酸化膜除去装置を使用した。ここで、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングガスによりクリーニングするのではなく、ウェハ上のHfO膜をクリーニングガスによりエッチングした。クリーニングガスとしては、Hhfac、O、N、及びCOHから構成されたものを使用した。Hhfac、O、Nの流量は、それぞれ375sccm、50sccm、200sccmであった。また、内部チャンバ内の圧力は約6.65×10Paであり、ウェハの温度は約400℃であった。このような状態を維持しながらCOHの濃度を変えてHfO膜をエッチングした。
測定結果について説明する。図23は、本実施例に係るCOHの濃度とHfO膜のエッチレートとの関係を示したグラフである。図23のグラフから分かるように、COHの濃度が500〜1000ppmの場合に高いエッチレートが得られた。
この結果から、HfOが付着した自然酸化膜除去装置をクリーニングする場合には、COHを500〜1000ppmの濃度で供給することが好ましいと考えられる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下本実施の形態以降の実施の形態のうち先行する実施の形態と重複する内容については説明を省略することもある。本実施の形態では、自然酸化膜除去装置の内部チャンバの内壁面をSiCのコーティング層で構成した例について説明する。図24は本実施の形態に係る自然酸化膜除去装置の内部チャンバを模式的に示した垂直断面図である。
図24に示されるように、内部チャンバ103は、基体103Dと基体103Dの内壁面に形成されたコーティング層103Eとから構成されている。基体103は、石英から構成されている。なお、石英に限らず、他の物質で構成してもよい。
コーティング層103Eは、SiCから構成されている。なお、本実施の形態では、コーティング層103EをSiCから構成しているが、その他石英、Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及びNi系材料のいずれかからコーティング層103Eを構成してもよい。
(第3の実施の形態)
以下、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、ウェハを内部チャンバ内に収容した状態で、内部チャンバ内にクリーニングガスを供給する例について説明する。図25は本実施の形態に係る自然酸化膜除去装置100内で行われるクリーニングの流れを示したフローチャートであり、図26は本実施の形態に係る自然酸化膜除去装置100内で行われるクリーニングの様子を模式的に示した図である。
まず、減圧ポンプ106,109が作動して、内部チャンバ103内及ひ外部チャンバ102と内部チャンバ103との間の空間の真空引きが行われる(ステップ121B)。次いで、加熱ランプ126,122が点灯して、内部チャンバ103及びサセプタ111が加熱される(ステップ122B)。
内部チャンバ103内の圧力が9.31×10〜1.33×10Paまで低下し、内部チャンバ103及びサセプタ111が約300℃以上に加熱された後、ゲートバルブ104が開かれ、ウェハWを保持した搬送アーム3が伸長して、外部チャンバ102内にウェハWが搬入される(ステップ123B)。
その後、搬送アーム3が縮退して、ウェハWがウェハ昇降ピン115に載置される。ウェハWがウェハ昇降ピン115に載置された後、ウェハ昇降ピン115が下降して、ウェハWがサセプタ111に載置される(ステップ124B)。
ウェハWがサセプタ111に載置された後、サセプタ111が上昇して、サセプタ111が処理位置に位置する。これにより、ウェハWが内部チャンバ102内に搬入される(ステップ125B)。
サセプタ111が処理位置に位置し、ウェハWの温度が約400℃以上に安定した後、開閉バルブ411,412,418,419,425,426,432,433が開かれて、図26に示されるように内部チャンバ103内にクリーニングガスが供給される(ステップ126B)。これにより、内部チャンバ103内のクリーニングが行われる。
所定時間経過後、開閉バルブ411,412,418,419,425,426,432,433が閉じられて、内部チャンバ103内へのクリーニングガスの供給が停止される(ステップ127B)。これにより、自然酸化膜除去装置100のクリーニングが終了される。
本実施の形態では、内部チャンバ103内ウェハWを収容した状態で、内部チャンバ103内にクリーニングガスを供給するので、内部チャンバ内のクリーニングとウェハWのクリーニングとを一度に行うことができる。なお、ウェハWのクリーニングとは、金属汚染されたウェハWから金属及び金属酸化物等を取り除くことである。また、ウェハWをサセプタに載置し、ウェハWでサセプタ111の一部を覆った状態で、内部チャンバ103内にクリーニングガスを供給するので、サセプタ111の一部に金属錯体が付着することを抑制することができる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。第1〜第3の実施の形態では、Hhfacを使用しているが、Hhfacに限らずその他のβ−ジケトンを使用してもよい。Hhfac以外のβ−ジケトンとしては、例えば、テトラメチルヘプタンジオン((CHCCOCHCOC(CH:Hthd)、アセチルアセトン(CHCOCHCOCH)等が挙げられる。
上記第1〜第3の実施形態では、Hhfac、O、N、及びHOから構成されたクリーニングガスを使用しているが、Hfac以外のものを取り除いたクリーニングガスを使用してもよい。
上記第1〜第3の実施の形態では、SiO膜13の除去、SiO膜14の形成、HfO膜15の形成の際に、サセプタ111,211,311を回転させていないが、サセプタ111,211,311を回転させてもよい。サセプタ111,211,311を回転させた場合には、SiO膜13の除去の面内均一性、SiO膜14及びHfO膜15の面内均一性を向上させることができる。
上記第1〜第3の実施の形態では、SiO膜13の除去、SiO膜14の形成、及びHfO膜15の形成を別々の装置で行っているが、これらを1台の装置で行ってもよい。また、ウェハWを使用しているが、ガラス基板であってもよい。
上記第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、自然酸化膜除去装置100について説明しているが、ラジカル酸化装置200及びMOCVD装置300に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
本発明に係る基板処理装置、基板処理装置のクリーニング及び基板処理装置は、半導体製造産業において利用することが可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【図10】

【図11】


【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被クリーニング物質が存在し、かつ少なくとも内壁面が(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料のいずれかから構成された処理容器を準備する処理容器準備工程と、
前記処理容器の内部にβ−ジケトンを含むクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給工程と、
を具備することを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項2】
前記クリーニングガス供給工程前或いは前記クリーニングガス供給工程中に前記処理容器を350℃以上に加熱する加熱工程をさらに備えることを特徴するクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項3】
前記クリーニングガス供給工程は、前記クリーニングガスが前記基板の処理時に前記基板を支持する基板支持部材の表面に沿って流れるように前記クリーニングガスを供給する工程であることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項4】
前記β−ジケトンは、ヘキサフルオロアセチルアセトンであることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項5】
前記クリーニングガスは、酸素、水、及びアルコールの少なくともいずれかを含んでいることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項6】
前記被クリーニング物質は、金属及び金属含有物の少なくともいずれか一方を含んでいることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項7】
前記金属及び前記金属含有物を構成している金属は、Al、Zr、Hf、Y、La、Ce、及びPrのうち少なくともいずれかであることを特徴とするクレーム6記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項8】
前記処理容器は、全体が(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料のいずれかから形成されていることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項9】
前記処理容器は、基体と、前記基体の内壁面に形成され、かつ(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料の少なくともいずれかから構成されたコーティング層とを備えていることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項10】
前記処理容器は、基板に形成された自然酸化膜を除去する装置の処理容器、基板上にSi含有膜を形成する装置の処理容器、及び基板上に金属酸化膜を形成する装置の処理容器の少なくともいずれかであることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項11】
前記クリーニングガス供給工程前に前記処理容器の内部に基板を収容する基板収容工程をさらに備えることを特徴とするクレーム1記載の基板処理装置のクリーニング方法。
【請求項12】
少なくとも内壁面が(A)SiC、(B)石英、(C)Mgを0.5〜5.0重量%含んだAl系材料、及び(D)Ni系材料のいずれかから構成され、基板を収容する処理容器と、
前記処理容器に付着した被クリーニング物質を取り除くためのβ−ジケトンを含むクリーニングガスを前記処理容器内に供給するクリーニングガス供給系と、
を具備することを特徴とする基板処理装置。

【国際公開番号】WO2004/073056
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504957(P2005−504957)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001319
【国際出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】