説明

基板処理装置

【課題】エアーナイフから気体を基板に吹き付けた際に、基板上の処理液がミスト状のパーティクル等が基板に付着することなく、且つ、基板がヒーター等の他の乾燥装置や乾燥工程を必要することなく乾燥できる基板処理装置を提供することである。
【解決手段】
チャンバー内に基板を搬送する複数の搬送ローラーとその搬送ローラーで搬送されてきた基板の表面または裏面に付着しているミストまたは異物を飛ばすエアーナイフが基板の上方または下方あるいは両方に設けられ、異物やミスト状のパーティクルを排気する複数の排気口がチャンバーの下方に設けられている基板処理装置であって、
前記エアーナイフの前方近傍にエアーナイフで飛ばされた異物やミスト状のパーティクルを吸引し、排気する吸引スリットを有する排気ユニットが設けられていることを特徴とする基板処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種基板を乾燥等させる基板の基板処理装置に関する。特に、液晶表示器用基板等のFPD(Flat Panel Display)用基板、フォトマスク用基板、プリント基板、及び半導体基板に付着した処理液等を、エアーナイフを用いて圧縮空気を吹き付けて除去し、乾燥等の処理をする基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示器、カラーフィルタ、フォトマスク等の製造工程では、基板洗浄処理等の各種の湿式表面処理が行われている。そして、これらの基板の処理後に基板の表面に付着した処理液を除去し乾燥させる作業が行われている。
【0003】
前記基板の乾燥方法として、例えば、図4に示すように、搬送ローラー(101)とエアーナイフ(103)とから構成される基板乾燥手段による基板乾燥処理装置(100)が知られている。
【0004】
この基板乾燥処理装置(100)は、基板(102)の表面に洗浄液などの処理液が付着した基板(102)を搬送手段である複数の搬送ローラー(101)によってほぼ水平に支持しつつ所定の方向に搬送させる。
【0005】
そして、その長手方向が基板(102)の搬送方向と直交する方向に沿ったエアーナイフ(気体を吹き付ける手段)(103)に設けられたスリット状の吐出口から、層状の気体を基板102の表面に吹き付ける。
【0006】
すると、吹き付けられた気体が基板(102)に付着している処理液を基板(102)の搬送方向上流側に移動させ、処理液が基板(102)の搬送方向上流側の後端から基板102の後方に吹き飛ばされる。
【0007】
これにより、基板の表面から処理液等が除去されて基板(102)が乾燥する。そして、吹き付けられた気体によって吹き飛ばされ処理液等は搬送ローラー(101)の下部に設けられている排気ダクト(104)から排出される。
【0008】
この他、気体を吹き付けつつ高速回転による遠心力を利用して基板の表面に付着している処理液を振り切って基板を乾燥させる乾燥方法等も行われている。
【0009】
前記エアーナイフを用いて、基板の表面の処理液等を処理する際に、水切れ性が良好であり、かつ圧縮空気の流量を削減可能であるとともに、エアーナイフの角度調整を容易に行うことが可能なエアーナイフ、エアーナイフの支持装置、およびエアーナイフを用いた処理装置(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0010】
この、エアーナイフ、エアーナイフの支持装置、およびエアーナイフを用いた処理装置は、基板表面に圧縮空気を噴射してこの基板に付着した処理液を除去するエアーナイフにおいて、パッキンを介して接合された一対の板状体からなるナイフ本体と、上記一対の板状体の接合面間に形成された圧縮空気が供給される導入路およびこの導入路を上記ナイフ本体の先端面に開口連通させたノズル孔と、上記一対の板状体を所定の締め付け力で結合することで上記ノズル孔の間隔を設定する結合手段と、を具備している。
【0011】
さらに、エアーナイフを用いて、基板の表面の処理液等を処理する際に、基板に静電気
が発生することを抑えることのできる基板乾燥方法及び基板乾燥装置(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
【0012】
この基板乾燥方法及び基板乾燥装置は、基板に気体を吹き付け基板に付着した処理液を除去して基板を乾燥させる装置で、第1及び第2エアーナイフと、アース部材とを備えている。第1及び第2エアーナイフは、気体を流すノズル及び気体供給管を具備している。そして、気体を基板に対して吹き付ける。アース部材は、ノズル及び気体供給管の帯電を抑えるようになっている。
【0013】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平10−211473号公報
【特許文献2】特開平11−238719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従来の装置はエアーナイフに設けられたスリット状の吐出口から、気体を基板に対して吹き付ける。このため、基板の表面あるいは裏面の処理液等がミスト状のパーティクル等となりチャンバー内を浮遊するという問題がある。
【0015】
そして、気体が吹き付けられ、処理された基板がチャンバー内を搬送している間に再びチャンバー内に浮遊しているパーティクル等が付着するという問題がある。
【0016】
また、チャンバー内に浮遊しているパーティクルが排出される排出口がチャンバー内の底部に設けられているため、浮遊しているパーティクル等が排出され難いという問題がある。
【0017】
そして、浮遊しているパーティクルがチャンバー内で結露となり、チャンバー内を搬送している基板に結露が落下するという問題もある。
【0018】
さらに、エアーナイフから気体を基板に吹き付けた際に、基板上の処理液等がミスト状のパーティクル等となりエアーナイフの後側に乱流状態で生じるという問題がある。
【0019】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、エアーナイフから気体を基板に吹き付けた際に、基板上の処理液がミスト状のパーティクル等となりチャンバー内に浮遊し、その浮遊したパーティクル等が再びチャンバー内を搬送している基板に付着すこことなく、且つ、エアーナイフで気体を吹き付けた基板がヒーター等の他の乾燥装置や乾燥工程を必要することなく乾燥できる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
チャンバー内に基板を搬送する複数の搬送ローラーとその搬送ローラーで搬送されてきた基板の表面または裏面に付着しているミストまたは異物を飛ばすエアーナイフが基板の上方または下方あるいは両方に設けられ、異物やミスト状のパーティクルを排気する複数の排気口がチャンバーの下方に設けられている基板処理装置であって、
前記エアーナイフの前方近傍にエアーナイフで飛ばされた異物やミスト状のパーティクルを吸引し、排気する吸引スリットを有する排気ユニットが設けられていることを特徴とする基板処理装置である。
【0021】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記排気ユニットはエアーナイフと平行に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置である。
【0022】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、
前記排気ユニットの吸引スリットがエアーナイフの長手方向と同方向に幅広な構造に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置である。
【0023】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、
前記排気ユニットの高さおよび角度が任意に調整可能な構造に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の基板処理装置は以上の構成からなるのでチャンバー内に搬送された基板上の処理液等がエアーナイフで完全に飛ばされる。そして、エアーナイフで飛ばされた異物やミスト状のパーティクル等がチャンバー内を浮遊することがない。
【0025】
このため、エアーナイフにより基板上の処理液等が飛ばされた基板上にパーティクル等が付着することがない。
【0026】
さらに、基板上にパーティクル等が付着することがないため、品質が向上するだけでなく、不良率等の減少が計れる。
【0027】
また、本発明の基板処理装置は基板上の処理液等が完全に飛ばされるため、乾燥等の次工程を無くすことができる。そして、設備費をはじめ製造コスト等の低減が計れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の基板処理装置を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の基板処理装置の一実施例の正面の概略断面を示す概略断面であり、図2は図1の概略を示す斜視図である。
【0030】
図1および図2に示すように、本実施例の基板処理装置(1)は筐体を有するチャンバー(10)と、この筐体を有するチャンバー(10)の内部に矩形状の基板(20)を所定方向に搬送する図には示していないが搬送機構が設けられている。
【0031】
前記搬送機構には、基板(20)の搬送路を形成する図1および図2に示すように、複数の搬送ローラー(2)が施されている。
【0032】
また、この搬送ローラー(2)の両端部には、図には示していないがこの搬送ローラー(2)を回動自在に支持する支持部が設けられている。これら搬送ローラー(2)にはそれぞれプーリまたは歯車あるいはチェーンホイル等のいずれかが設けられている。
【0033】
また、プーリの場合には、所定の張力を有するベルトが掛け渡され、チェーンホイルの場合にはチェーンが掛け渡されている。そして、ベルトまたはチェーン等の動力伝達手段を介して駆動源として設けられているモーターに連結されている。
【0034】
このモーターのモーター軸にはプーリまたは歯車あるいはチェーンホイル等のいずれか
が設けられている。そして、例えば、モーター軸にプーリを設けた際には、動力伝達手段として所定の張力を有するベルトが掛け渡される。
【0035】
上記搬送機構は、搬送される基板(20)両面に圧縮空気を噴射する第1のエアーナイフ(3)と、第2のエアーナイフ(4)を上記搬送ローラー(2)の上下両方に形成されている。
【0036】
また、この搬送機構は、搬送される基板(20)に対して圧縮空気等の気体を噴射し、前工程での処理の際等に付着した処理液等をこの基板(20)から飛散させ、さらに、乾燥処理を行うために設けられている。
【0037】
また、第1のエアーナイフ(3)と、第2のエアーナイフ(4)の基板(20)方向はスリット状に形成されている。そして、基板(20)に付着した処理液等を圧縮空気等の気体を噴射し、飛散させ、均一に乾燥させる。
【0038】
前記スリット状に形成されているスリットの幅(間隔)は10μm〜1mm程度まで調整可能に形成されている。このため、第1のエアーナイフ(3)と、第2のエアーナイフ(4)に導入された空気が所定の圧力を有する圧縮空気となって噴射されるようになっている。
【0039】
前記圧縮空気等の気体を噴射する図には示していない気体噴射手段の噴射源としては、往復動式、回転式、遠心式、軸流式等の送風機または圧縮機等を用いることができる。そして、噴射源とエアーナイフ(3、4)は気体噴射手段の一つであるパイプ等の配管手段により連結されている。
【0040】
また、図には示していないが前記配管手段であるパイプ等には、噴射する気体の脈動を静めるための空気だめタンク、パイプ内に溜まる水等を排出するトラップ、風量計、圧力計、風量バルブ、圧力バルブ等が設けられている。
【0041】
そして、風量計あるいは圧力計等で検知された信号が図には示していないが制御盤で制御されその信号により噴射源である送風機または圧縮機あるいは風量バルブ、圧力バルブ等が自動調整される。
【0042】
また、噴射する気体の風量や圧力等を制御盤にあらかじめ入力することにより、基板(20)に所定の風量や圧力等の気体を噴射することもできる。
【0043】
また、第1のエアーナイフ(3)と、第2のエアーナイフ(4)が設けられている搬送方向上流方向には、第1、第2のエアーナイフ(3、4)と平行に、該エアーナイフ(3、4)から噴射される圧縮空気の気体で飛散させる異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を吸引し、排出する第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)が設けられている。
【0044】
そして、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)には、吸引した異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を排出する図には示していないが吸引排出手段が設けられている。
【0045】
前記が吸引排出手段の吸引排出源には、遠心式、軸流式等の送風機(ブロワ)等が用いられる。また、送風機(ブロワ)等の吸引排出源の近傍には、異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を吸引し、排気する排気量を調整するダンパー等が設けられている。そして、吸引排出源と第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)は吸引排出配管手段によって連結されている。
【0046】
前記吸引排出配管手段のパイプにはパイプ内に溜まる水等を排出するトラップ、風量計、風量バルブ等が設けられている。
【0047】
そして、風量計で検知した信号が図には示していないが制御盤で制御され前記ダンパーと風量バルブ等で排出量は制御される。
【0048】
また、排出量は第1、第2のエアーナイフ(3、4)から噴射される圧縮空気の気体等の状態を風量計あるいは圧力計等で検知し、その検知した信号が制御盤に入力される。そして、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)の吸引排出する排出量は制御盤からの信号により制御される。
【0049】
前記第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)は、第1、第2のエアーナイフ(3、4)から噴射される圧縮空気の気体が強くなると、吸引排出する排出量が多くなる。そして、基板(20)上から飛散させる異物や処理液等のミスト状のパーティクル等も多くなるが、吸引排出する排出量が多くなるため、異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を容易に吸引排出することができる。
【0050】
そして、前工程での処理の際等に付着した処理液等を基板(20)から確実に飛散させ、且つ、基板(20)を乾燥させることができる。さらに、筐体を有するチャンバー(10)の内部に浮遊する異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を増加させることがない。
【0051】
また、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)の基板(20)方向には、吸引スリット部(7、8)が設けられている。そして、吸引スリット部(7、8)は第1、第2のエアーナイフ(3、4)のスリット長手方向と同方向に幅広な構造になっている。
【0052】
また、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)の吸引スリット部(7、8)からの吸引排気は第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)の幅方向均一に浮遊する異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を吸引排気することができる。
【0053】
また、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)は吸引スリット部(7、8)から
吸引排気した異物や処理液等のミスト状のパーティクル等が吸引スリット部(7、8)
等から図には示していないが垂れてこない構造に形成されている。
【0054】
さらに、吸引排出ユニット(5、6)の分解が容易である。このため、該ユニット(5、6)の清掃が短時間で行うことができる。
【0055】
第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)に用いられる材料は、例えば、一般構造用圧延鋼材、構造用炭素鋼材、鍛造材、鋳造材、可鍛鋳物あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケル合金等の金属、あるいはプラスチック樹脂等であっても良く、特に限定されるものではない。
【0056】
前記プラスチック樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレー
ト(PMMA)等が挙げられる。
【0057】
また、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)は吸引スリット部(7、8)をプラスチック樹脂等であっても良い。
【0058】
また、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)がプラスチック樹脂等であっても良い。そして、吸引スリット部(7、8)のスリットの幅は図には示していないが10mm100mm程度に容易に調整することができる構造となっている。
【0059】
また、第1、第2の吸引排出ユニット(5、6)と第1、第2のエアーナイフ(3、4)の幅の長さは搬送されてくる基板(20)の幅方向の長さと同等か、または長い方が基板(20)に付着している処理液等が飛散させ易く、好ましい。
【0060】
また、本実施例の筐体を有するチャンバー(10)の底部は底部の中央部が低く傾斜を設けた構造になっている。そして底部に複数の吸引排出ダクト(5)が設けられている。そして、チャンバー(10)に浮遊する異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を吸引し、排出する。
【0061】
前記パーティクル等を吸引し、排出する排出手段の排出源には、遠心式、軸流式等の送風機(ブロワ)等が用いられる。また、送風機(ブロワ)等の排出源の近傍には、異物や処理液等のミスト状のパーティクル等を吸引し、排気する排気量等を調整するダンパー等が設けられている。
【0062】
前記送風機(ブロワ)等の排出源によって吸引排気される排気量は図には示していないが制御盤からの信号によってダンパー等によって制御される。そして、排気する排気量はダンパー等の開閉度によって調整される。
【0063】
また、チャンバー(10)を形成する材料としては、例えば、一般構造用圧延鋼材、構造用炭素鋼材、鍛造材、鋳造材、可鍛鋳物あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケル合金等の金属が挙げられるが、通常は、一般構造用圧延鋼材等により板金加工により形成される。
【0064】
また、耐腐食性を有する場合には、前記一般構造用圧延鋼材等の表裏面に無電解ニッケル鍍金、あるいはクローム鍍金を施すか、ステンレス鋼、アルミニウム板、アルミニウム合金板等が用いられる。
【0065】
また、本実施例の第1、第2の吸引排出ユニット(5)、(6)と第1、第2のエアーナイフ(3)、(4)は搬送手段によって搬送されてくる基板(20)に対して傾斜角度を調整可能となっている。
【0066】
例えば、図3に示すように第1の吸引排出ユニット(5)の端面の中央位置からの主軸(34)が角度調整ガイド板(35)の外側でナット(36)により係着されている。また、角度調整ガイド板(35)の外側に第1の吸引排出ユニット(5)の端面と係着している角度調整ネジハンドル軸(33)が形成されている。
【0067】
さらに、角度調整ガイド板(35)には、第1の吸引排出ユニット(5)の角度を調整する際に角度調整ネジハンドル軸(33)をガイドする角度調整案内溝(37)が形成されている。
【0068】
また、角度調整ガイド板(35)の下部は昇降可能なように角筒状に形成され、昇降ガ
イド(32)のガイド穴に係着されている。また、昇降ガイド(32)の外側にはガイド穴に係着されている角度調整ガイド板(35)の下部を所定位置で止める昇降調整ネジ(31)が設けられている。
【0069】
そして、第1の吸引排出ユニット(5)の角度を調整する場合、最初に主軸(34)先端に設けられているナット(36)を緩める。
【0070】
次に吸引排出ユニット(5)の端面と係着し角度調整ガイド板(35)上で螺合している角度調整ネジハンドル軸(33)のナットを緩める。そして、角度調整ネジハンドル軸(33)を角度調整ガイド板(35)の角度調整案内溝(37)に沿って移動すると、第1の吸引排出ユニット(5)の角度が調整される。
【0071】
前記第1の吸引排出ユニット(5)の角度が所定の位置に決まったら、角度調整ネジハンドル軸(33)のナットを締める。次に、主軸(34)先端に設けられているナット(36)も締めることにより第1の吸引排出ユニット(5)の角度が調整される。
【0072】
次に、第1の吸引排出ユニット(5)上下位置の調整は、昇降調整ネジ(31)を緩める。そして第1の吸引排出ユニット(5)を所定の位置に調整すると同時に緩めた昇降調整ネジ(31)を再び締めることにより上下位置が調整される。
【0073】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する
【実施例】
【0074】
図1および図2に示す本発明の基板処理装置をカラーフィルターの枚葉洗浄工程に用いた。前記カラーフィルターの枚葉洗浄工程は通常下記のように行われている。
(上流装置)→LDU→ブラシ洗浄→循環シャワー→高圧水洗→直水リンス→エアーナイフ→IRヒーター→ULD→(下流装置)。
【0075】
上記工程の概略を説明する。カラーフィルターの枚葉洗浄工程は上流装置から、コンベアで基板が搬送され、洗浄機のLDU部に投入される。そして、LDU部で基板アライメントを行った後、ブラシ洗浄部に基板が投入する。
【0076】
次に、ブラシ洗浄部で洗浄液を供給しながら上下のロールブラシを接触させブラシ洗浄を行う。前記洗浄液は市販のアルカリ洗浄液である。そして、ロールブラシはナイロンの植毛ブラシである。
【0077】
前記ブラシ洗浄を行った後、基板を循環シャワー部に投入し、上下スプレーで後工程排水のカスケードにより循環シャワー水洗を行う。そして、循環シャワー水洗を行った後、基板を高圧水洗部に投入し、エアーと純水の2流体混合液により上下高圧スプレー洗浄を行う。
【0078】
高圧水洗を行った後、基板を直水リンス部に投入し、上下スプレーで純水を用いてシャワー水洗を行う。そして、直水リンスを行った後、基板をエアーナイフ部に投入し、上下のエアーナイフにより基板を乾燥させる。
【0079】
エアーナイフにより基板を乾燥させた後、IRヒーター部を通過し、ULDに基板が排出され、その後、コンベアーで下流装置に搬送される。尚、基板は45秒間隔で随時投入される。
【0080】
上述した作業工程で基板処理が行われている。そして、上記エアーナイフ部に本発明の
基板処理装置を用いて基板の乾燥を実施した。
【0081】
<実施条件>
(1)基板(無アルカリガラス)サイズ
1500mm×1800mm×0.7mm(厚み)
(2)搬送条件
搬送タクト・・・・・・・・45秒
搬送速度・・・・・・・・・4.2m/min
搬送枚数・・・・・・・・・300枚
(3)エアーナイフ条件
流量・・・・・・・・・・・2000リットル/min
(4)吸引排出ユニット条件
吸引スリット部寸法・・・・1500mm×30mm
吸引排出ユニット数・・・・3箇所
吸引排出気圧・・・・・・・0.8MPa(上下共)
吸引排出ユニットの角度・・基板に対して45°
吸引排出ユニットの高さ・・基板より10mm
吸引排出ダンパー開度・・・60°
(5)その他
IRヒーター部に基板を投入するがIRヒーターは予めOFF状態にして基板
を搬送した。
【0082】
<実施評価方法>
上記条件で実施した300枚の基板を、パターン検査機を用いて洗浄後の液残りの有無を検査した。
【0083】
<検査結果>
パターン検査機で検査した300枚の基板のすべてに、洗浄後の液残りは無かった。また、IRヒーター部にIRヒーターがOFF状態でも基板は全て乾燥されていた。このため、本発明の基板処理装置を用いることにより乾燥工程を無くすことができる。そして、乾燥装置等の設備が不要となり、設備費が低減できる。さらに、設備スペースも減少する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の基板処理装置は現像機等、他のウエット装置に用いられているエアーナイフにも用いることの出来る素晴らしい基板処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の基板処理装置の一実施例の正面の概略断面を示す概略断面である。
【図2】図1の概略を示す斜視図である。
【図3】本発明の基板処理装置に用いられている吸引排出ユニットの角度調整等を説明するための概略図である。
【図4】従来の基板処理装置の概略を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0086】
1…基板処理装置
2…搬送ローラー
3…第一のエアーナイフ
4…第二のエアーナイフ
5…第一の吸引排出ユニット
6…第二の吸引排出ユニット
7…吸引スリット部
8…吸引スリット部
9…吸引排出ユニット
10…チャンバー
20…基板
31…昇降調整ネジ
32…昇降がイド
33…角度調整ネジハンドル
34…主軸
35…角度調整ガイド板
36…主軸固定ナット
37…角度調整案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に基板を搬送する複数の搬送ローラーとその搬送ローラーで搬送されてきた基板の表面または裏面に付着しているミストまたは異物を飛ばすエアーナイフが基板の上方または下方あるいは両方に設けられ、異物やミスト状のパーティクルを排気する複数の排気口がチャンバーの下方に設けられている基板処理装置であって、
前記エアーナイフの前方近傍にエアーナイフで飛ばされた異物やミスト状のパーティクルを吸引し、排気する吸引スリットを有する排気ユニットが設けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記排気ユニットはエアーナイフと平行に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記排気ユニットの吸引スリットがエアーナイフの長手方向と同方向に幅広な構造に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記排気ユニットの高さおよび角度が任意に調整可能な構造に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−148699(P2009−148699A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328565(P2007−328565)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】