基板処理装置
【課題】基板搬送用のローラが温度上昇したときにこのローラの回転軸が変形するのを防止することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板Kを挟持して搬送する下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23と、各ローラ21,22,23を回転自在に保持するローラ保持機構30と、搬送される基板Kの上面に向けて流体を吐出する流体吐出機構と、流体吐出機構に流体を供給する流体供給機構とを備える。ローラ保持機構30は、基板Kの両外側で一定間隔を隔てて対向する、下ローラ21の一端を回転自在に保持する第1架台33及び下ローラ21の他端を回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持する第2架台34と、第1架台33に支持され、第1上ローラ22を回転自在に保持する第1保持部材50と、第2架台34に支持され、第2上ローラ23を回転自在に保持する第2保持部材51とを備える。
【解決手段】基板処理装置は、基板Kを挟持して搬送する下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23と、各ローラ21,22,23を回転自在に保持するローラ保持機構30と、搬送される基板Kの上面に向けて流体を吐出する流体吐出機構と、流体吐出機構に流体を供給する流体供給機構とを備える。ローラ保持機構30は、基板Kの両外側で一定間隔を隔てて対向する、下ローラ21の一端を回転自在に保持する第1架台33及び下ローラ21の他端を回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持する第2架台34と、第1架台33に支持され、第1上ローラ22を回転自在に保持する第1保持部材50と、第2架台34に支持され、第2上ローラ23を回転自在に保持する第2保持部材51とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送しながらその上面に流体を供給してこの基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の製造工程には、例えば、現像液やエッチング液、レジスト剥離液を塗布する工程があり、これらの工程では、例えば、処理チャンバ内で基板を所定の搬送方向に搬送しながらその上面に現像液やエッチング液、レジスト剥離液を供給している。
【0003】
そして、このような工程で用いられる基板搬送装置として、従来、例えば、特開平2−144312号公報に開示された搬送ローラ装置が知られている。この搬送ローラ装置は、基板の下側に配置されてこの基板を支持する下ローラと、基板の上側に配置されてこの基板を押さえる上ローラと、下ローラ及び上ローラを互いに異なる方向に回転させる回転駆動機構と、下ローラ及び上ローラを回転自在に支持する架台とを備える。
【0004】
前記下ローラ及び上ローラは、互いに平行な回転軸をそれぞれ有しており、下ローラの回転軸の一端には、駆動源により回転駆動される駆動ギアが固設され、他端には第1伝達ギアが固設される。一方、上ローラの回転軸の一端には、下ローラの第1伝達ギアと噛合する第2伝達ギアが固設される。駆動源により駆動ギアが回転せしめられると、下ローラが回転するとともに、各伝達ギアにより回転力が上ローラに伝達されてこの上ローラが回転し、これにより、基板が所定の搬送方向に搬送される。
【0005】
前記架台は、基板の搬送方向と垂直な方向に間隔を隔てて対峙する、各ローラの回転軸の一端部を支持する部材と各ローラの回転軸の他端部を支持する部材とを備えている。これらの部材には、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の嵌入部がそれぞれ形成されており、この嵌入部には、下ローラ及び上ローラの各回転軸の両端に設けられたスリーブがそれぞれ嵌め込まれるようになっている。尚、各スリーブの、回転軸の中央よりの端部にはフランジ部がそれぞれ形成されており、これらのフランジ部が架台の各部材の対峙面と係合することで各ローラが架台に対してそれぞれ位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−144312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記現像液やエッチング液、レジスト剥離液といった処理液は、基板処理が効率的に行われるように一定温度に加熱されている。このため、基板上に供給される処理液が下ローラや上ローラに接触して下ローラや上ローラが加熱され、また、当該処理液により処理チャンバ内の雰囲気温度が上昇せしめられて、この温度上昇した雰囲気により下ローラや上ローラが加熱される。
【0008】
ところが、上記従来の搬送ローラ装置では、各スリーブのフランジ部と架台の各部材の対峙面とが係合しているので、下ローラや上ローラが加熱されて温度上昇しても各ローラの回転軸が伸長することができない。このため、下ローラや上ローラの温度が上昇すると、これらの回転軸が変形して撓み、基板を所定方向にまっすぐに搬送することができないという問題や、回転軸の撓みにより基板に作用する力によって基板が割れるという問題を生じていた。
【0009】
尚、近年、処理対象の基板が大型化しており、これに伴い、下ローラや上ローラの回転軸が非常に長くなっている。したがって、下ローラや上ローラの回転軸が熱変位したときにその伸長量も大きく、上記のような問題がより顕著に現れる。また、下ローラや上ローラなどは、通常、耐薬品性に優れた塩化ビニル樹脂から構成されており、このような場合、塩化ビニル樹脂の線膨張係数が金属材料などと比べて大きいことから、熱膨張時の伸長量は極めて大きなものとなる。
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、基板搬送用のローラが温度上昇したときにこのローラの回転軸が変形するのを防止することができる基板処理装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明は、
基板を搬送しながらその上面に流体を供給してこの基板を処理する装置であって、
前記基板の搬送方向と垂直な回転軸をそれぞれ有し、前記基板の下方にその搬送方向に沿って並設されてこの基板を支持する複数の下ローラと、前記下ローラの回転軸と平行な回転軸を有し、少なくとも1つの前記下ローラの上方に配置されて、前記基板の幅方向の一端部を押さえる第1上ローラ及び前記基板の幅方向の他端部を押さえる第2上ローラと、少なくとも1つの前記下ローラの回転軸を駆動して回転させる回転駆動機構とを備え、前記下ローラ及び各上ローラにより前記基板を挟持して搬送する基板搬送手段と、
前記各ローラを回転自在に保持するローラ保持手段と、
前記基板搬送手段によって搬送される基板の上方に配置され、その上面に向けて流体を吐出する流体吐出手段と、
前記流体吐出手段に流体を供給する流体供給手段と、
前記流体吐出手段を支持する支持手段とを備えた基板処理装置において、
前記ローラ保持手段は、前記基板の両外側で一定間隔を隔てて対向して前記基板の搬送方向に細長く形成された平板状の第1架台及び第2架台であって、前記下ローラの回転軸の一端部を回転自在に保持する第1架台及び前記下ローラの回転軸の他端部を回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持する第2架台と、前記第1架台に支持され、前記第1上ローラの回転軸を回転自在に保持する第1保持部材と、前記第2架台に支持され、前記第2上ローラの回転軸を回転自在に保持する第2保持部材とを備え、
前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第1嵌入部をそれぞれ有し、この第1嵌入部に前記第1保持部材及び第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成され、
前記各第1嵌入部の両側壁、及び各保持部材の外面の、前記第1嵌入部の両側壁に対応する部分には、その一方に凹溝が、他方に突起が上下方向に沿うように且つ互いに嵌合可能に形成され、
前記各保持部材は、前記凹溝及び突起が嵌合して前記第1嵌入部に嵌め込まれるとともに、前記凹溝及び突起が嵌合した状態で上下方向に移動可能に構成されてなることを特徴とする基板処理装置に係る。
【0012】
この発明によれば、下ローラの少なくとも1つが回転駆動機構により駆動されて回転し、処理対象の基板が下ローラ及び各上ローラにより挟持されつつ所定の搬送方向に沿って搬送される。その際、流体供給手段から流体吐出手段に供給され、この流体吐出手段から吐出される流体によって前記搬送される基板に所定の処理が施される。
【0013】
そして、流体吐出手段から吐出される流体が所定温度に加熱されている場合には、基板処理を行うと、吐出された流体によって下ローラや上ローラが加熱されるが、本発明では、下ローラの回転軸の他端部をその軸線方向に変位可能に第2架台により支持しているので、下ローラの回転軸が温度上昇してもこの温度上昇による回転軸の伸長が許容される。また、上ローラを、基板の一端部を押さえる第1上ローラ及び基板の他端部を押さえる第2上ローラから構成し、第1上ローラを第1架台に支持される第1保持部材により、第2上ローラを第2架台に支持される第2保持部材によりそれぞれ保持しているので、各上ローラの回転軸が温度上昇してもこの温度上昇による回転軸の伸長が規制されない。
【0014】
したがって、本発明では、各ローラが温度上昇したときにこれらの回転軸が伸長可能であるので、回転軸が変形して撓むのを防止することができる。これにより、基板を所定方向にまっすぐに搬送することができない、基板が割れるといった基板搬送上の問題が生じるのを防止することができる。
【0015】
また、メンテナンス時などにおいて各上ローラを取り外す際には、各保持部材を第1嵌入部から取り出すだけで良く、当該作業が容易である。一方、各上ローラを取り付ける際には、凹溝及び突起が嵌合するように各保持部材を第1嵌入部に嵌め込むだけで良く、当該作業が容易であり、しかも、凹溝及び突起の嵌合により高い取付精度で取り付けることができる。
【0016】
尚、前記各上ローラは、それぞれ1つのローラ本体を備え、前記下ローラは、その回転軸の軸線方向に複数のローラ本体を備えるとともに、これらのローラ本体の内、両端に位置するローラ本体が前記各上ローラのローラ本体と上下に対向するように構成され、少なくとも、前記第2上ローラのローラ本体及び前記下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体は、その一方の外周面が半円形に形成され、他方の外周面が一定幅を有する平坦面に形成されていても良い。
【0017】
通常、各ローラのローラ本体の外周面は半円形に形成されている。この場合、下ローラ及び上ローラにより基板を挟持して搬送すると、次のような問題を生じる。即ち、各ローラの昇温によりその回転軸が伸長し、下ローラのローラ本体の位置と各上ローラのローラ本体の位置とが回転軸の軸線方向にずれると、基板に剪断方向の力が作用することになるため、このような剪断方向の力によって、基板が破損するという問題や、基板が蛇行して搬送されるといった問題を生じるのである。
【0018】
尚、下ローラの回転軸は、その他端部が軸線方向に変位可能に第2架台により支持されているので、第1上ローラのローラ本体と、下ローラの、第1上ローラに対応したローラ本体とはさほど位置ずれせず、この位置ずれを考慮しなくても良い場合がある。
【0019】
そこで、上述のように、少なくとも、第2上ローラのローラ本体及び下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体について、その一方の外周面を半円形とし、他方の外周面を一定幅の平坦面とすれば、ローラの回転軸が伸長して、第2上ローラのローラ本体の位置と、下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体の位置とが回転軸の軸線方向にずれても、外周面が平坦面のローラ本体によって、外周面が半円形のローラ本体により基板に作用する力を受けることができる。これにより、基板に剪断方向の力が作用して、基板が破損するという問題や、基板が蛇行して搬送されるといった問題が生じるのを防止することができる。
【0020】
また、前記下ローラ及び各上ローラの上下のローラ間隔が前記基板の厚みより小さく設定されている場合において、前記突起の先端と凹溝との間、及び、前記突起の付け根と凹溝の開口部との間には、隙間がそれぞれ形成されるとともに、前記各保持部材と第1嵌入部との間には、前記凹溝の下部側又は下方で前記隙間と前記第1嵌入部外の空間とを連通させる連通部がそれぞれ形成されていても良い。
【0021】
流体吐出手段から処理液を吐出させる場合、その態様によっては、吐出された処理液が各保持部材や各架台にかかって凹溝と突起との間に入り込み、この入り込んだ処理液が外部に流出せずに結晶化して、生成された結晶が凹溝の内面や突起の外面に固着する。一方、基板が下ローラ及び各上ローラの間を通過する際には、各保持部材及び各上ローラが凹溝及び突起により案内されつつ上方に移動する。そして、処理液が結晶化して固着しているときには、凹溝と突起が相対移動し難くなって各保持部材が上方に移動し難くなるので、基板が下ローラ及び各上ローラの間を通過する際に各保持部材の一方又は両方が上昇せず、基板に力が作用して、基板が割れる原因や欠ける原因となる。
【0022】
そこで、上述のように、突起の先端と凹溝との間、及び、突起の付け根と凹溝の開口部との間には隙間を形成し、保持部材と第1嵌入部との間には、凹溝の下部側又は下方で前記隙間と第1嵌入部外の空間とを連通させる連通部を形成すれば、凹溝と突起との間に流入した液体を隙間及び連通部を介して第1嵌入部外に効果的に流出させることができる。これにより、流体吐出手段から吐出された処理液が結晶化して凹溝の内面や突起の外面に固着するのを防止することができる。したがって、基板が下ローラ及び各上ローラの間を通過する際に各保持部材を確実に上昇させることができるので、基板が割れる、基板が欠けるといった問題が生じるのを防止することができる。
【0023】
また、前記各保持部材は、予め設定された荷重で前記基板を押さえるための錘をそれぞれ備えていても良い。第1保持部材及び第1上ローラ全体の重量や、第2保持部材及び第2上ローラ全体の重量によって加えることが可能な荷重よりも高い荷重を基板に加える場合、ばねを用いることも可能であるが、このばねは、通常、金属から構成され、耐薬品性に劣っていることから被覆する必要がある。したがって、錘で基板に掛かる荷重を調整すれば、錘を被覆するにしても、ばねに比べて容易であるし、また、各保持部材に錘収容用の収容穴を形成してこの収容穴内に収容すれば、簡単に錘を設けることができる。このとき、収容穴の形成位置を、例えば、各保持部材の基板側とは反対側の側面など、流体吐出手段から吐出される流体の影響を受け難い位置にすれば、錘を特に被覆することなく設けることも可能である。
【0024】
また、前記第1保持部材の錘は、前記第1保持部材及び第1上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の一端部を押さえることが可能な重さであり、前記第2保持部材の錘は、前記第2保持部材及び第2上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の他端部を押さえることが可能な重さであることが好ましい。
【0025】
基板を押さえるのに必要な荷重を設定するに当たっては、例えば、流体吐出手段から吐出される流体の種類、流体吐出手段から吐出される流体が薬液である場合にその薬液の種類(例えば、界面活性剤が含まれているかどうかなど)、基板サイズ、基板の表面状態(例えば、表面粗さやぬれ性など)、流体吐出手段から吐出された流体が基板に当たったときの打力に基づく反力(基板を押し戻す力)などを考慮する必要がある。ここで、流体の種類を考慮する必要があるのは、吐出される流体がエア,純水又は薬液であるとすると、エア,純水及び薬液の順にローラが滑って空転し易くなるからであり、また、反力を考慮する必要があるのは、例えば、エアを吐出して行う液切りを行う場合で、エアの吐出方向が基板搬送方向に対して逆方向且つ斜め下方向に設定されているときには、特に反力が大きくなるからである。そして、このような観点から前記錘を上記のようなものとすれば、何ら不都合を生じることなく、基板を確実に搬送することができる。尚、基板を押さえ付ける力が5Nより小さい場合には、上ローラや下ローラが空転して確実な基板搬送に支障を生じ、基板を押さえ付ける力が35Nより大きい場合には、基板が割れるといった不都合を生じる。
【0026】
また、前記下ローラの回転軸の一端部には、この一端部を回転自在に支持する第1軸受が設けられるとともに、前記下ローラの回転軸の他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受が設けられ、前記第1架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第1軸受が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第1保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、前記第2架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第2軸受が着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、前記第1嵌入部の、少なくとも前記各保持部材が嵌め込まれる部分には、前記凹溝又は突起が形成され、前記第1軸受又は第1架台には、この第1軸受の軸線方向における移動を規制する規制部材が設けられていても良い。
【0027】
このようにすれば、下ローラについても第1嵌入部に対して着脱可能であるので、メンテナンス時などにおいて、各保持部材及び各上ローラと同様、下ローラを容易に着脱することができる。また、一旦取り外した下ローラを高精度に各架台に取り付けることができる。
【0028】
また、前記各架台の第1嵌入部の、前記各軸受が嵌め込まれる部分と、前記各保持部材が嵌め込まれる部分との間には、前記各保持部材の下端に当接して前記各上ローラの高さ位置を位置決めするためのスペーサがそれぞれ設けられていても良い。
【0029】
このようにすれば、各保持部材を第1嵌入部に嵌め込んだときに、スペーサにより各保持部材の下方への移動が規制され、各保持部材を所定の高さ位置に設置することができるので、各保持部材の取り付けをより簡単にすることができるだけでなく、各保持部材の再取付後においても、下ローラ及び各上ローラの上下のローラ間隔を高精度なものとすることができる。
【0030】
また、前記流体吐出手段は、前記基板の搬送方向と交差する方向においてこの基板の全幅に渡るように細長く形成され、前記支持手段は、前記流体吐出手段の長手方向の一端部を支持する第1支持部材と、前記流体吐出手段の長手方向の他端部を支持する第2支持部材とを備え、前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第2嵌入部をそれぞれ有し、この第2嵌入部に前記第1支持部材及び第2支持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成されていても良い。
【0031】
流体吐出手段と基板との間の間隔は、処理内容に応じて最適な間隔が設定されており、この間隔が変わると、基板処理の条件が変わって最適な基板処理を行うことができなくなる。したがって、メンテナンス時などにおいて、一旦取り外した流体吐出手段を設置する際には前記間隔が最適な間隔となるように調整しなければならず、当該調整作業が煩わしい。また、流体吐出手段の基板搬送方向における位置も、流体吐出手段から吐出された流体が下ローラによって支持されている部分にほぼ当たるように設定されており、この位置が変わって前記吐出された流体が下ローラにより支持されていない部分に当たると、前記吐出された流体が基板に当たったときの打力により、処理内容によっては処理ムラが生じるといった問題を生じる。したがって、前記間隔と同様、流体吐出手段の基板搬送方向における位置についても、流体吐出手段を再設置する際には所定位置に配置されるように調整しなければならず、当該調整作業が煩わしい。
【0032】
そこで、上述のように、各支持部材により流体吐出手段の長手方向の両端部を支持し、各支持部材を第2嵌入部に嵌め込むようにすれば、各支持部材を第2嵌入部に嵌め込むだけで、流体吐出手段と基板との間の間隔、及び流体吐出手段の基板搬送方向における位置が所定の間隔及び位置となるように流体吐出手段を配置することができ、流体吐出手段を各架台に精度良く取り付けることができる。また、流体吐出手段を簡単に着脱することができる。
【0033】
また、前記各架台の第2嵌入部の少なくとも一方には、前記第1支持部材又は第2支持部材が前記流体吐出手段の長手方向に変位可能に嵌め込まれていても良い。
【0034】
流体供給手段から流体吐出手段に供給される流体が所定温度に加熱されている場合、供給された流体によって流体吐出手段が加熱され、熱膨張する。このとき、流体吐出手段の熱膨張が規制されていると、当該流体吐出手段が変形して、流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなり、また、流体吐出手段の流体吐出口の形状が変化する。そして、流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなると、処理条件が不均一になるという問題を生じ、流体吐出口の形状が変化すると、この流体吐出口から吐出される流体の流量が不均一になって基板処理を均一に行うことができないという問題を生じる。尚、基板の大型化に伴い、流体吐出手段の長手方向の長さが長くなっているため、流体吐出手段が温度上昇したときに長手方向の伸長量は大きく、このような問題がより顕著に現れる。また、耐薬品性を考慮して流体吐出手段が塩化ビニル樹脂から構成されているような場合には、塩化ビニル樹脂の線膨張係数が大きいことから熱膨張時の伸長量は極めて大きい。
【0035】
そこで、上述のように、各支持部材の少なくとも一方を流体吐出手段の長手方向に変位可能に第2嵌入部に嵌め込むようにすれば、流体吐出手段が温度上昇してもその長手方向に伸長可能であるので、流体吐出手段が変形して、当該流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなることや、当該流体吐出手段の流体吐出口の形状が変化するのを防止することができる。これにより、流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなって基板処理条件が不均一になり、或いは、流体吐出口の形状が変化して、この流体吐出口から吐出される流体の流量が不均一になり、均一な基板処理を実施することができないといった問題が生じるのを防止することができる。
【0036】
また、前記第2嵌入部についても、前記第1嵌入部と同様、下ローラ及び各保持部材が嵌め込まれるように構成されていても良い。
【0037】
また、前記各架台の第1嵌入部と第2嵌入部は、同一形状に形成されていても良い。このようにすれば、第1嵌入部と第2嵌入部を区別して形成する必要がないので、製造の容易化を図ることができる。
【0038】
尚、前記基板処理としては、例えば、エアを吐出して行う液切り処理、エアを吐出して行う乾燥処理、現像液を吐出して行う現像処理、エッチング液を吐出して行うエッチング処理、レジスト剥離液を吐出して行うレジスト剥離処理、洗浄液を吐出して行う洗浄処理などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、このような処理の対象となる基板としては、例えば、シリコン基板やガラス基板などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明に係る基板処理装置によれば、基板搬送用のローラが温度上昇したときにこのローラの回転軸が変形するのを防止し、基板搬送上の問題が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示した断面図である。
【図2】図1における矢示A−A方向の断面図である。
【図3】図1における矢示B−B方向の断面図である。
【図4】本実施形態に係る下ローラ,第1上ローラ及び第2上ローラの保持構造を説明するための断面図である。
【図5】図4における矢示C−C方向の断面図である。
【図6】図4における矢示D−D方向の断面図である。
【図7】図5における矢示E−E方向の断面図である。
【図8】図7におけるF部の詳細図である。
【図9】各架台の嵌入部に各保持部材,スペーサ,下ローラ及び各支持部材が嵌め込まれる前の状態を示した説明図である。
【図10】図3における矢示G−G方向の断面図である。
【図11】下ローラが軸線方向に伸長した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。
【0042】
図1乃至図3に示すように、本例の基板処理装置1は、一定内容積を有する処理チャンバ10と、処理チャンバ10内に水平に配置された複数の下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23により基板Kを水平な搬送方向に搬送する基板搬送機構20と、処理チャンバ10内に配設され、各ローラ21,22,23を回転自在に保持するローラ保持機構30と、基板搬送機構20によって搬送される基板Kの上面に向けて処理液を吐出する処理液吐出機構70と、処理液吐出機構70に処理液を供給する処理液供給機構75と、処理チャンバ10内に設けられ、処理液吐出機構70を支持する支持機構80と、処理チャンバ10を支持するフレーム(図示せず)とを備えて構成される。
【0043】
前記基板搬送機構20は、図1乃至図4に示すように、前記下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23の他、これらのローラ21,22,23を駆動して回転させる回転駆動部25を備えており、下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23が基板搬送方向に所定間隔で配設されている。尚、下ローラ21は、各上ローラ22,23よりも短い間隔で設けられている。また、各上ローラ22,23の配置間隔について、ここで詳述しないが、後述する、基板Kを押さえるのに必要な荷重を設定するときの考え方と同様の考え方で設定することができる。
【0044】
前記下ローラ21は、基板Kの下側に配置されるもので、基板搬送方向と垂直な水平方向に設けられる回転軸21aと、回転軸21aの軸線方向に所定間隔で設けられ、基板Kを支持する複数のローラ本体21bと、複数のローラ本体21bの内、両端に位置するローラ本体21bの外周部にそれぞれ設けられた、断面が矩形でゴム製のリング部材21cとから構成される。
【0045】
前記第1上ローラ22及び第2上ローラ23は、基板Kの上側に同軸に配置され、それぞれ同じ構成を備えており、下ローラ21の回転軸21aの上方にこれと平行に配置される回転軸22a,23aと、回転軸22a,23aの一端に設けられ、基板Kを押さえる1つのローラ本体22b,23bと、ローラ本体22b,23bの外周部に設けられる、断面が円形でゴム製のリング部材22c,23cとから構成される。
【0046】
前記各ローラ本体22b,23bは、下ローラ21の、前記両端に位置するローラ本体21bの真上に配置されており、これらのローラ本体21b,22b,23bにより基板Kが挟持される。また、各ローラ本体22b,23b及びローラ本体21bの上下のローラ間隔は、基板Kの厚みよりも小さく設定されている。尚、前記各リング部材21c,22c,23cは、グリップ力を高めて確実に基板Kを搬送するために設けられている。
【0047】
前記回転駆動部25は、下ローラ21の両端にそれぞれ固設された第1伝達ギア26と、各上ローラ22,23の他端に固設され、第1伝達ギア26とそれぞれ噛合する第2伝達ギア27と、下ローラ21の、回転軸21aの一端側に固設された第1伝達ギア26と噛合する駆動ギア28aを有し、この駆動ギア28aを回転させることで、各伝達ギア26,27を介して各回転軸21a,22a,23a(下ローラ21及び各上ローラ22,23)を回転させる駆動機構28とから構成される。
【0048】
前記ローラ保持機構30は、図2乃至図9に示すように、前記基板搬送機構20によって搬送される基板Kの両外側で前記処理チャンバ10の底面に配設された第1ベース31及び第2ベース32と、これらのベース31,32上に配設され、前記下ローラ21の回転軸21aの端部をそれぞれ支持する第1架台33及び第2架台34と、第1架台33に支持され、前記第1上ローラ22の回転軸22aの他端を回転自在に保持する第1保持部材50と、第2架台34に支持され、前記第2上ローラ23の回転軸23aの他端を回転自在に保持する第2保持部材51とを備える。
【0049】
前記各架台33,34は、基板搬送方向にそれぞれ細長く形成された平板状の部材から構成され、基板Kを間に挟んで対向している。また、各架台33,34には、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の嵌入部35,36が長手方向に複数形成されており、これらの嵌入部35,36は、その下部側が下ローラ21の回転軸21aの嵌め込み部分(下ローラ嵌込部)35a,36aと、上部側が各保持部材50,51の嵌め込み部分(上ローラ嵌込部)35b,36bと、下ローラ嵌込部35a,36aと上ローラ嵌込部35b,36bとの間がスペーサ37,38の嵌め込み部分(スペーサ嵌込部)35c,36cとなっている。尚、前記上ローラ嵌込部35b,36bは、後述するように、スリットノズル体71を支持する各支持部材81,82の嵌め込み部分としても機能するようになっている。
【0050】
前記下ローラ21の回転軸21aには、その一端部にこの一端部を回転自在に支持する第1軸受39が設けられるとともに、他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受40が設けられており、前記第1軸受39が前記第1架台33の下ローラ嵌込部35aに着脱可能に嵌め込まれ、前記第2軸受40が前記第2架台34の下ローラ嵌込部36aに着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれている。前記下ローラ嵌込部35aに嵌め込まれた第1軸受39は、この第1軸受39を挟持するように第1架台33の両側面にねじ込まれる複数の固定ボルト(規制部材)41によって、当該第1軸受39の軸線方向における移動が規制されている。
【0051】
前記各スペーサ嵌込部35c,36cは、前記各嵌入部35,36の両側壁に、各架台33,34の両側面に開口するように形成された貫通溝42,43から構成されており、これらの貫通溝42,43内に平板状のスペーサ37,38が水平に嵌め込まれるようになっている。スペーサ37,38には、その長手方向の一端から横方向に突出した突出部37a,38aが形成されており、この突出部37a,38aが、各架台33,34の基板K側の側面にねじ込まれる固定ボルト44,45によって各架台33,34に固定されている。
【0052】
前記各上ローラ嵌込部35b,36bは、その両側壁間の間隔が下ローラ嵌込部35a,36aの両側壁間の間隔よりも広く形成され、また、両側壁には、凹溝46,47が上下方向に沿うように形成されている。
【0053】
前記各保持部材50,51は、それぞれ直方体ブロック状の部材から構成され、長手方向が上下方向となるように設けられる。また、各保持部材50,51は、前記各上ローラ22,23の回転軸22a,23aの他端を回転自在に支持する軸受52,53と、基板K側の面からその反対側の面に貫通し、内部に軸受52,53が設けられる保持穴50a,51aと、所定の荷重で基板Kを押さえるための錘54,55と、上部に形成され、錘54,55が収容される収容穴50b,51bと、下部側の側面で前記各嵌入部35,36の両側壁と対向する部分に形成され、この両側壁に当接する凸部50c,51cと、凸部50c,51cに上下方向に沿うように形成され、前記凹溝46,47と嵌合可能な突起50d,51dとを備えている。
【0054】
また、各保持部材50,51は、凹溝46,47及び突起50d,51dが嵌合することで、前記各上ローラ嵌込部35b,36bに着脱可能に嵌め込まれるとともに、凹溝46,47及び突起50d,51dが嵌合した状態で上下方向に移動可能となっている。各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた各保持部材50,51は、その下面がスペーサ37,38の上面に当接し、これによって、当該各保持部材50,51の高さ位置が位置決めされ、各ローラ本体22b,23b及びローラ本体21bの上下のローラ間隔が所定間隔に設定される。
【0055】
前記突起50d,51dは、その突出量が前記凹溝46,47の深さより低く、また、その先端面の両角部が面取りされており、これによって、突起50d,51dの先端部と凹溝46,47との間に隙間56,57が形成されている。また、凹溝46,47の開口角部が面取りされており、これによって、突起50d,51dの付け根と凹溝46,47の開口部との間に隙間58,59が形成されるようになっている。前記各保持部材50,51の下端近傍の側面には前記凸部50c,51cが設けられておらず、これによって、当該側面と前記各嵌入部35,36の両側壁との間には、前記隙間56,57,58,59と各嵌入部35,36の外部とを連通させる隙間(連通部)60,61が形成されている。
【0056】
前記錘54は、第1保持部材50及び第1上ローラ22の全体重量により5N〜35Nの荷重で基板Kを押さえることが可能な重さに設定され、前記錘55は、第2保持部材51及び第2上ローラ23の全体重量により5N〜35Nの荷重で基板Kを押さえることが可能な重さに設定される。
【0057】
尚、前記下ローラ21の回転軸21aは、その軸線方向の中間部についても保持することが好ましく、本例では、例えば、前記処理チャンバ10の底面に配設された複数の中間部保持部材65により回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持されている。また、前記各架台33,34の、基板K側の側面と反対側の側面には、取付板67が設けられており、この取付板67が前記処理チャンバ10の側壁に設けられた支持部材68に接続されている。
【0058】
前記処理液吐出機構70は、図1,図3及び図10に示すように、各ローラ21,22,23によって搬送される基板Kの上方且つ下ローラ21の真上に配置されるスリットノズル体71及び複数のスプレーノズル体72とから構成されており、スリットノズル体71がスプレーノズル体72より基板搬送方向上流側に配置される。
【0059】
前記スリットノズル体71は、基板搬送方向と垂直な方向における基板Kの全幅に渡るように、基板Kの上面と平行且つ基板搬送方向と垂直な方向に細長く形成される。また、スリットノズル体71は、中空部71aと、下面に開口し、中空部71aに接続したスリット状の吐出穴71bとを備え、前記処理液供給機構75から中空部71a内に供給される処理液を吐出穴71bから下方の基板Kに向けて真下に吐出する。
【0060】
前記スプレーノズル体72は、前記スリットノズル体71より上方に配置され、基板搬送方向にも、基板搬送方向と垂直な方向にも並設されており、前記処理液供給機構75から供給される処理液を下方の基板Kに向けて吐出する。
【0061】
前記処理液供給機構75は、前記スリットノズル体71に処理液を供給するための第1供給管76と、第1供給管76とスリットノズル体71の中空部71aとを接続する複数の接続管77と、前記各スプレーノズル体72に処理液を供給するための複数の第2供給管78と、これらの供給管76,78に処理液を供給する処理液供給部79とを備える。
【0062】
前記第1供給管76は、その一部が前記処理チャンバ10内でスリットノズル体71の上方に基板搬送方向と垂直に設けられる。前記接続管77は、第1供給管76の軸線方向に一定間隔で設けられる。前記各第2供給管78は、これらの一部が前記処理チャンバ10内で基板搬送方向と垂直に設けられ、基板搬送方向に一定間隔を隔てて平行に配置される。また、これらの第2供給管78の下部には、その軸線方向に一定間隔で前記スプレーノズル体72が固設されている。
【0063】
前記支持機構80は、図3,図5,図6,図9及び図10に示すように、前記スリットノズル体71を支持するもので、このスリットノズル体71の長手方向の一端部を支持する第1支持部材81と、長手方向の他端部を支持する第2支持部材82とから構成されている。
【0064】
前記各支持部材81,82は、それぞれ矩形平板状の部材から構成され、長手方向が上下方向となるように設けられる。また、各支持部材81,82は、それぞれ取付部材83,84を介してスリットノズル体71の長手方向の端部を支持しており、前記各上ローラ嵌込部35b,36bに着脱可能に嵌め込まれるようになっている。尚、各支持部材81,82は、各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた状態において、外面が前記各嵌入部35,36の両側壁と当接しているが、スリットノズル体71の長手方向には移動可能となっている。
【0065】
また、各支持部材81,82の、スリットノズル体71の長手方向と垂直な両側面には、その上部に、横方向に張り出した張出部81a,82aが形成され、これらの張出部81a,82aには、下端が突出して各架台33,34の上面に当接する高さ調整ボルト85,86が上側からそれぞれねじ込まれている。各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた各支持部材81,82は、各高さ調整ボルト85,86の下端が各架台33,34の上面に当接することで、高さ位置が位置決めされ、これにより、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔が所定間隔に設定される。
【0066】
尚、前記スリットノズル体71は、その長手方向の中間部についても支持することが好ましく、本例では、例えば、上端が処理チャンバ10の天井面に接続した複数の第3支持部材87の下端部によって支持されている。また、この第3支持部材87は、その中間部で前記第1供給管76を支持している。
【0067】
以上のように構成された本例の基板処理装置1によれば、回転駆動部25により下ローラ21及び各上ローラ22,23が駆動されて回転し、基板Kが処理チャンバ10内を所定の搬送方向に沿って搬送される。その際、基板Kが下ローラ21及び各上ローラ22,23の間を通過するときには、各保持部材50,51及び各上ローラ22,23が凹溝46,47及び突起50d,51dにより案内されつつ上方に移動し、各保持部材50,51及び各上ローラ22,23の重量で基板Kが押さえられる。
【0068】
ここで、各上ローラ22,23が基板Kを押さえ付ける荷重をそれぞれ5N〜35Nとすることが可能な錘54,55を各保持部材50,51に設けているので、押さえ付ける力が小さ過ぎ、上ローラ22,23や下ローラ21が空転して確実な基板搬送に支障を生じることもないし、逆に、押さえ付ける力が大き過ぎ、基板Kが割れるといった不都合を生じることもない。したがって、何ら不都合を生じることなく、確実に基板Kを搬送することができる。
【0069】
尚、基板Kを押さえるのに必要な荷重を設定するに当たっては、例えば、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出される流体の種類、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出される流体が薬液である場合にその薬液の種類(例えば、界面活性剤が含まれているかどうかなど)、基板サイズ、基板Kの表面状態(例えば、表面粗さやぬれ性など)、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出された流体が基板Kに当たったときの打力に基づく反力(基板Kを押し戻す力)などに応じて設定すれば良い。また、吐出される流体を考慮する必要があるのは、吐出される流体がエア,純水又は薬液であるとすると、エア,純水及び薬液の順にローラが滑って空転し易くなるからであり、また、反力を考慮する必要があるのは、例えば、エアを吐出して行う液切りを行う場合で、エアの吐出方向が基板搬送方向に対して逆方向且つ斜め下方向に設定されているときには、特に反力が大きくなるからである。
【0070】
また、第1保持部材50及び第1上ローラ22の全体重量や、第2保持部材51及び第2上ローラ23の全体重量によって加えることが可能な荷重よりも高い荷重を基板Kに加えるには、ばねを用いることも可能であるが、このばねは、通常、金属から構成され、耐薬品性に劣っていることから被覆する必要がある。したがって、錘54,55で基板Kに掛かる荷重を調整すれば、錘54,55を被覆するにしても、ばねに比べて容易であるし、また、各保持部材50,51に錘収容用の収容穴50b,51bを形成してこの収容穴50b,51b内に収容すれば、簡単に錘54,55を設けることができる。このとき、本例のように、収容穴50b,51bの形成位置を、例えば、各保持部材50,51の、基板K側とは反対側の側面など、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出される処理液の影響を受け難い位置にすれば、錘54,55を特に被覆することなく設けることも可能である。
【0071】
そして、このようにして搬送される基板Kの上面には、処理液供給部79から第1供給管76及び接続管77を介してスリットノズル体71に、処理液供給部79から第2供給管78を介して各スプレーノズル体72にそれぞれ供給される処理液が、これらスリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出され、これにより、基板Kに所定の処理が施される。
【0072】
各スプレーノズル体72から吐出された処理液は、各保持部材50,51や各架台33,34にかかって凹溝46,47と突起50d,51dとの間に入り込むが、本例では、前記突起50d,51dの先端部と凹溝46,47との間に隙間56,57を、突起50d,51dの付け根と凹溝46,47の開口部との間に隙間58,59を、各保持部材50,51の下端近傍の側面と各嵌入部35,36の両側壁との間に前記隙間56,57,58,59と各嵌入部35,36の外部とを連通させる隙間60,61を形成しているので、凹溝46,47と突起50d,51dとの間に流入した処理液を、これらの隙間56,57,58,59,60,61を介して嵌入部35,36の外部に効果的に流出させることができ、吐出された処理液が結晶化して凹溝46,47の内面や突起50d,51dの外面に固着するのを防止することができる。これにより、基板Kが下ローラ21及び各上ローラ22,23の間を通過するときに各保持部材50,51を確実に上昇させることができ、基板が割れる、基板が欠けるといった問題が生じるのを防止することができる。
【0073】
また、下ローラ21の他端部を支持する第2軸受40が第2架台34の下ローラ嵌込部36aに軸線方向に移動可能に嵌め込まれているので、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出された処理液や、当該処理液により昇温せしめられた処理チャンバ10内の雰囲気によって下ローラ21が加熱され、温度上昇しても、この温度上昇による回転軸21aの伸長が許容される。一方、各上ローラ22,23については、第1上ローラ22を保持する第1保持部材50が第1架台33により、第2上ローラ23を保持する第2保持部材51が第2架台34によりそれぞれ支持されているので、各上ローラ22,23が温度上昇してもこの温度上昇による回転軸22a,23aの伸長が規制されない。
【0074】
したがって、各ローラ21,22,23が温度上昇したときにこれらの回転軸21a,22a,23aが伸長可能であるので、回転軸21a,22a,23aが変形して撓むのを防止することができる。これにより、基板Kを所定の搬送方向にまっすぐに搬送することができないという問題を生じるのを防止することができ、また、基板Kが割れるのを防止することができる。
【0075】
また、このように、下ローラ21の回転軸21aが伸長すると、図11に示すように、下ローラ21のローラ本体21bの位置と各上ローラ22,23のローラ本体22b,23bの位置とが回転軸21a,22a,23aの軸線方向にずれる。このとき、各ローラ21,22,23のローラ本体21b,22b,23bの外周面が半円形に形成されていると、基板Kに剪断方向の力が作用して、基板Kが破損する、リング部材21c,22c,23cが損傷する、基板Kが蛇行して搬送されるといった問題を生じる。尚、図11において、符号α,βは、軸線方向の位置ずれ量をそれぞれ示している。
【0076】
このため、下ローラ21の、各上ローラ22,23に対応したローラ本体21bの外周部に、断面が矩形のリング部材21cを設けて、ローラ本体21bの外周面を一定幅の平坦面としている。したがって、上記のような位置ずれが生じても、前記リング部材21cによって、各上ローラ22,23のローラ本体22b,23bにより基板Kに作用する力を受けることができる。これにより、基板Kに剪断方向の力が作用して、基板Kが破損するという問題や、リング部材21c,22c,23cが損傷するという問題、基板Kが蛇行して搬送されるという問題が生じるのを防止することができる。
【0077】
また、スリットノズル体71の長手方向の両端部を支持する第1支持部材81及び第2支持部材82が、下ローラ嵌込部35a,36aにスリットノズル体71の長手方向に移動可能に嵌め込まれているので、処理液供給部79からスリットノズル体71に供給される処理液により当該スリットノズル体71が加熱され、熱膨張しても、スリットノズル体71はその長手方向に伸長することができる。
【0078】
したがって、スリットノズル体71の熱膨張が規制されていることにより当該スリットノズル体71が変形して、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔が一定でなくなることや、スリットノズル体71の吐出穴71bの形状が変化するのを防止することができる。これにより、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔が一定でなくなって基板処理条件が不均一になり、或いは、吐出穴71bの形状が変化して、この吐出穴71bから吐出される処理液の流量が不均一になり、均一な基板処理を実施することができなくなるのを防止することができる。
【0079】
また、メンテナンス時などにおいて各上ローラ22,23を取り外す際には、各保持部材50,51を各上ローラ嵌込部35b,36bから取り出すだけで良く、当該作業が容易である。一方、各上ローラ22,23を取り付ける際には、凹溝46,47及び突起50d,51dが嵌合するように各保持部材50,51を各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込むだけで良く、当該作業が容易であり、しかも、凹溝46,47及び突起50d,51dの嵌合により高精度に取り付けることができる。また、下ローラ21についても、各上ローラ22,23と同様、下ローラ嵌込部35a,36aに着脱可能に嵌め込むようにしているので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、各保持部材50,51を各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込む際には、スペーサ37,38により、各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた各保持部材50,51の下方への移動を規制して、各保持部材50,51を所定の高さ位置に位置決めすることができる。これにより、各保持部材50,51の取り付けをより簡単にすることができるだけでなく、各保持部材50,51の再取付後においても、下ローラ21及び各上ローラ22,23の上下のローラ間隔を高精度なものとすることができる。
【0081】
また、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔は、処理内容に応じて最適な間隔が設定されており、この間隔が変わると、基板処理の条件が変わって最適な基板処理を行うことができなくなるので、スリットノズル体71を再設置する際には前記間隔が最適な間隔となるように調整する必要があり、また、スリットノズル体71の基板搬送方向における位置も、スリットノズル体71から吐出された処理液が下ローラ21によって支持されている部分にほぼ当たるように設定されており、この位置が変わって前記吐出された処理液が下ローラ21により支持されていない部分に当たると、前記吐出された処理液が基板Kに当たったときの打力により、処理内容によっては処理ムラが生じるので、スリットノズル体71を再設置する際には前記位置が前記設定された位置となるように調整する必要があるが、本例では、スリットノズル体71の両端部を支持する各支持部材81,82を各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込むことや、各支持部材81,82を各上ローラ嵌込部35b,36bから取り出すことで、スリットノズル体71を着脱することができるので、当該着脱作業が容易であり、また、スリットノズル体71を精度良く各架台33,34に取り付けることができる。
【0082】
また、各上ローラ嵌込部35b,36bに各保持部材50,51と各支持部材81,82の両方を嵌め込むことができるので、保持部材50,51用の嵌込部と支持部材81,82用の嵌込部とをそれぞれ形成する必要がなく、製造の容易化を図ることができる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0084】
例えば、スリットノズル体71から吐出される処理液の吐出方向は真下でなくても良く、また、スリットノズル体71の長手方向は基板搬送方向に垂直でなくても良い。また、搬送される基板Kは水平でなくても良い。
【0085】
また、前記基板処理は、何ら限定されるものではなく、例えば、エアを吐出して行う液切り処理、エアを吐出して行う乾燥処理、現像液を吐出して行う現像処理、エッチング液を吐出して行うエッチング処理、レジスト剥離液を吐出して行うレジスト剥離処理、洗浄液を吐出して行う洗浄処理などを挙げることができる。また、このような処理の対象となる基板Kについても、何ら限定されるものではなく、例えば、シリコン基板やガラス基板などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 基板処理装置
21 下ローラ
22,23 上ローラ
25 回転駆動部
33,34 架台
35,36 嵌入部
46,47 凹溝
50,51 保持部材
50d,51d 突起
71 スリットノズル体
72 スプレーノズル体
81,82 支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送しながらその上面に流体を供給してこの基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の製造工程には、例えば、現像液やエッチング液、レジスト剥離液を塗布する工程があり、これらの工程では、例えば、処理チャンバ内で基板を所定の搬送方向に搬送しながらその上面に現像液やエッチング液、レジスト剥離液を供給している。
【0003】
そして、このような工程で用いられる基板搬送装置として、従来、例えば、特開平2−144312号公報に開示された搬送ローラ装置が知られている。この搬送ローラ装置は、基板の下側に配置されてこの基板を支持する下ローラと、基板の上側に配置されてこの基板を押さえる上ローラと、下ローラ及び上ローラを互いに異なる方向に回転させる回転駆動機構と、下ローラ及び上ローラを回転自在に支持する架台とを備える。
【0004】
前記下ローラ及び上ローラは、互いに平行な回転軸をそれぞれ有しており、下ローラの回転軸の一端には、駆動源により回転駆動される駆動ギアが固設され、他端には第1伝達ギアが固設される。一方、上ローラの回転軸の一端には、下ローラの第1伝達ギアと噛合する第2伝達ギアが固設される。駆動源により駆動ギアが回転せしめられると、下ローラが回転するとともに、各伝達ギアにより回転力が上ローラに伝達されてこの上ローラが回転し、これにより、基板が所定の搬送方向に搬送される。
【0005】
前記架台は、基板の搬送方向と垂直な方向に間隔を隔てて対峙する、各ローラの回転軸の一端部を支持する部材と各ローラの回転軸の他端部を支持する部材とを備えている。これらの部材には、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の嵌入部がそれぞれ形成されており、この嵌入部には、下ローラ及び上ローラの各回転軸の両端に設けられたスリーブがそれぞれ嵌め込まれるようになっている。尚、各スリーブの、回転軸の中央よりの端部にはフランジ部がそれぞれ形成されており、これらのフランジ部が架台の各部材の対峙面と係合することで各ローラが架台に対してそれぞれ位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−144312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記現像液やエッチング液、レジスト剥離液といった処理液は、基板処理が効率的に行われるように一定温度に加熱されている。このため、基板上に供給される処理液が下ローラや上ローラに接触して下ローラや上ローラが加熱され、また、当該処理液により処理チャンバ内の雰囲気温度が上昇せしめられて、この温度上昇した雰囲気により下ローラや上ローラが加熱される。
【0008】
ところが、上記従来の搬送ローラ装置では、各スリーブのフランジ部と架台の各部材の対峙面とが係合しているので、下ローラや上ローラが加熱されて温度上昇しても各ローラの回転軸が伸長することができない。このため、下ローラや上ローラの温度が上昇すると、これらの回転軸が変形して撓み、基板を所定方向にまっすぐに搬送することができないという問題や、回転軸の撓みにより基板に作用する力によって基板が割れるという問題を生じていた。
【0009】
尚、近年、処理対象の基板が大型化しており、これに伴い、下ローラや上ローラの回転軸が非常に長くなっている。したがって、下ローラや上ローラの回転軸が熱変位したときにその伸長量も大きく、上記のような問題がより顕著に現れる。また、下ローラや上ローラなどは、通常、耐薬品性に優れた塩化ビニル樹脂から構成されており、このような場合、塩化ビニル樹脂の線膨張係数が金属材料などと比べて大きいことから、熱膨張時の伸長量は極めて大きなものとなる。
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、基板搬送用のローラが温度上昇したときにこのローラの回転軸が変形するのを防止することができる基板処理装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明は、
基板を搬送しながらその上面に流体を供給してこの基板を処理する装置であって、
前記基板の搬送方向と垂直な回転軸をそれぞれ有し、前記基板の下方にその搬送方向に沿って並設されてこの基板を支持する複数の下ローラと、前記下ローラの回転軸と平行な回転軸を有し、少なくとも1つの前記下ローラの上方に配置されて、前記基板の幅方向の一端部を押さえる第1上ローラ及び前記基板の幅方向の他端部を押さえる第2上ローラと、少なくとも1つの前記下ローラの回転軸を駆動して回転させる回転駆動機構とを備え、前記下ローラ及び各上ローラにより前記基板を挟持して搬送する基板搬送手段と、
前記各ローラを回転自在に保持するローラ保持手段と、
前記基板搬送手段によって搬送される基板の上方に配置され、その上面に向けて流体を吐出する流体吐出手段と、
前記流体吐出手段に流体を供給する流体供給手段と、
前記流体吐出手段を支持する支持手段とを備えた基板処理装置において、
前記ローラ保持手段は、前記基板の両外側で一定間隔を隔てて対向して前記基板の搬送方向に細長く形成された平板状の第1架台及び第2架台であって、前記下ローラの回転軸の一端部を回転自在に保持する第1架台及び前記下ローラの回転軸の他端部を回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持する第2架台と、前記第1架台に支持され、前記第1上ローラの回転軸を回転自在に保持する第1保持部材と、前記第2架台に支持され、前記第2上ローラの回転軸を回転自在に保持する第2保持部材とを備え、
前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第1嵌入部をそれぞれ有し、この第1嵌入部に前記第1保持部材及び第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成され、
前記各第1嵌入部の両側壁、及び各保持部材の外面の、前記第1嵌入部の両側壁に対応する部分には、その一方に凹溝が、他方に突起が上下方向に沿うように且つ互いに嵌合可能に形成され、
前記各保持部材は、前記凹溝及び突起が嵌合して前記第1嵌入部に嵌め込まれるとともに、前記凹溝及び突起が嵌合した状態で上下方向に移動可能に構成されてなることを特徴とする基板処理装置に係る。
【0012】
この発明によれば、下ローラの少なくとも1つが回転駆動機構により駆動されて回転し、処理対象の基板が下ローラ及び各上ローラにより挟持されつつ所定の搬送方向に沿って搬送される。その際、流体供給手段から流体吐出手段に供給され、この流体吐出手段から吐出される流体によって前記搬送される基板に所定の処理が施される。
【0013】
そして、流体吐出手段から吐出される流体が所定温度に加熱されている場合には、基板処理を行うと、吐出された流体によって下ローラや上ローラが加熱されるが、本発明では、下ローラの回転軸の他端部をその軸線方向に変位可能に第2架台により支持しているので、下ローラの回転軸が温度上昇してもこの温度上昇による回転軸の伸長が許容される。また、上ローラを、基板の一端部を押さえる第1上ローラ及び基板の他端部を押さえる第2上ローラから構成し、第1上ローラを第1架台に支持される第1保持部材により、第2上ローラを第2架台に支持される第2保持部材によりそれぞれ保持しているので、各上ローラの回転軸が温度上昇してもこの温度上昇による回転軸の伸長が規制されない。
【0014】
したがって、本発明では、各ローラが温度上昇したときにこれらの回転軸が伸長可能であるので、回転軸が変形して撓むのを防止することができる。これにより、基板を所定方向にまっすぐに搬送することができない、基板が割れるといった基板搬送上の問題が生じるのを防止することができる。
【0015】
また、メンテナンス時などにおいて各上ローラを取り外す際には、各保持部材を第1嵌入部から取り出すだけで良く、当該作業が容易である。一方、各上ローラを取り付ける際には、凹溝及び突起が嵌合するように各保持部材を第1嵌入部に嵌め込むだけで良く、当該作業が容易であり、しかも、凹溝及び突起の嵌合により高い取付精度で取り付けることができる。
【0016】
尚、前記各上ローラは、それぞれ1つのローラ本体を備え、前記下ローラは、その回転軸の軸線方向に複数のローラ本体を備えるとともに、これらのローラ本体の内、両端に位置するローラ本体が前記各上ローラのローラ本体と上下に対向するように構成され、少なくとも、前記第2上ローラのローラ本体及び前記下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体は、その一方の外周面が半円形に形成され、他方の外周面が一定幅を有する平坦面に形成されていても良い。
【0017】
通常、各ローラのローラ本体の外周面は半円形に形成されている。この場合、下ローラ及び上ローラにより基板を挟持して搬送すると、次のような問題を生じる。即ち、各ローラの昇温によりその回転軸が伸長し、下ローラのローラ本体の位置と各上ローラのローラ本体の位置とが回転軸の軸線方向にずれると、基板に剪断方向の力が作用することになるため、このような剪断方向の力によって、基板が破損するという問題や、基板が蛇行して搬送されるといった問題を生じるのである。
【0018】
尚、下ローラの回転軸は、その他端部が軸線方向に変位可能に第2架台により支持されているので、第1上ローラのローラ本体と、下ローラの、第1上ローラに対応したローラ本体とはさほど位置ずれせず、この位置ずれを考慮しなくても良い場合がある。
【0019】
そこで、上述のように、少なくとも、第2上ローラのローラ本体及び下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体について、その一方の外周面を半円形とし、他方の外周面を一定幅の平坦面とすれば、ローラの回転軸が伸長して、第2上ローラのローラ本体の位置と、下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体の位置とが回転軸の軸線方向にずれても、外周面が平坦面のローラ本体によって、外周面が半円形のローラ本体により基板に作用する力を受けることができる。これにより、基板に剪断方向の力が作用して、基板が破損するという問題や、基板が蛇行して搬送されるといった問題が生じるのを防止することができる。
【0020】
また、前記下ローラ及び各上ローラの上下のローラ間隔が前記基板の厚みより小さく設定されている場合において、前記突起の先端と凹溝との間、及び、前記突起の付け根と凹溝の開口部との間には、隙間がそれぞれ形成されるとともに、前記各保持部材と第1嵌入部との間には、前記凹溝の下部側又は下方で前記隙間と前記第1嵌入部外の空間とを連通させる連通部がそれぞれ形成されていても良い。
【0021】
流体吐出手段から処理液を吐出させる場合、その態様によっては、吐出された処理液が各保持部材や各架台にかかって凹溝と突起との間に入り込み、この入り込んだ処理液が外部に流出せずに結晶化して、生成された結晶が凹溝の内面や突起の外面に固着する。一方、基板が下ローラ及び各上ローラの間を通過する際には、各保持部材及び各上ローラが凹溝及び突起により案内されつつ上方に移動する。そして、処理液が結晶化して固着しているときには、凹溝と突起が相対移動し難くなって各保持部材が上方に移動し難くなるので、基板が下ローラ及び各上ローラの間を通過する際に各保持部材の一方又は両方が上昇せず、基板に力が作用して、基板が割れる原因や欠ける原因となる。
【0022】
そこで、上述のように、突起の先端と凹溝との間、及び、突起の付け根と凹溝の開口部との間には隙間を形成し、保持部材と第1嵌入部との間には、凹溝の下部側又は下方で前記隙間と第1嵌入部外の空間とを連通させる連通部を形成すれば、凹溝と突起との間に流入した液体を隙間及び連通部を介して第1嵌入部外に効果的に流出させることができる。これにより、流体吐出手段から吐出された処理液が結晶化して凹溝の内面や突起の外面に固着するのを防止することができる。したがって、基板が下ローラ及び各上ローラの間を通過する際に各保持部材を確実に上昇させることができるので、基板が割れる、基板が欠けるといった問題が生じるのを防止することができる。
【0023】
また、前記各保持部材は、予め設定された荷重で前記基板を押さえるための錘をそれぞれ備えていても良い。第1保持部材及び第1上ローラ全体の重量や、第2保持部材及び第2上ローラ全体の重量によって加えることが可能な荷重よりも高い荷重を基板に加える場合、ばねを用いることも可能であるが、このばねは、通常、金属から構成され、耐薬品性に劣っていることから被覆する必要がある。したがって、錘で基板に掛かる荷重を調整すれば、錘を被覆するにしても、ばねに比べて容易であるし、また、各保持部材に錘収容用の収容穴を形成してこの収容穴内に収容すれば、簡単に錘を設けることができる。このとき、収容穴の形成位置を、例えば、各保持部材の基板側とは反対側の側面など、流体吐出手段から吐出される流体の影響を受け難い位置にすれば、錘を特に被覆することなく設けることも可能である。
【0024】
また、前記第1保持部材の錘は、前記第1保持部材及び第1上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の一端部を押さえることが可能な重さであり、前記第2保持部材の錘は、前記第2保持部材及び第2上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の他端部を押さえることが可能な重さであることが好ましい。
【0025】
基板を押さえるのに必要な荷重を設定するに当たっては、例えば、流体吐出手段から吐出される流体の種類、流体吐出手段から吐出される流体が薬液である場合にその薬液の種類(例えば、界面活性剤が含まれているかどうかなど)、基板サイズ、基板の表面状態(例えば、表面粗さやぬれ性など)、流体吐出手段から吐出された流体が基板に当たったときの打力に基づく反力(基板を押し戻す力)などを考慮する必要がある。ここで、流体の種類を考慮する必要があるのは、吐出される流体がエア,純水又は薬液であるとすると、エア,純水及び薬液の順にローラが滑って空転し易くなるからであり、また、反力を考慮する必要があるのは、例えば、エアを吐出して行う液切りを行う場合で、エアの吐出方向が基板搬送方向に対して逆方向且つ斜め下方向に設定されているときには、特に反力が大きくなるからである。そして、このような観点から前記錘を上記のようなものとすれば、何ら不都合を生じることなく、基板を確実に搬送することができる。尚、基板を押さえ付ける力が5Nより小さい場合には、上ローラや下ローラが空転して確実な基板搬送に支障を生じ、基板を押さえ付ける力が35Nより大きい場合には、基板が割れるといった不都合を生じる。
【0026】
また、前記下ローラの回転軸の一端部には、この一端部を回転自在に支持する第1軸受が設けられるとともに、前記下ローラの回転軸の他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受が設けられ、前記第1架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第1軸受が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第1保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、前記第2架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第2軸受が着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、前記第1嵌入部の、少なくとも前記各保持部材が嵌め込まれる部分には、前記凹溝又は突起が形成され、前記第1軸受又は第1架台には、この第1軸受の軸線方向における移動を規制する規制部材が設けられていても良い。
【0027】
このようにすれば、下ローラについても第1嵌入部に対して着脱可能であるので、メンテナンス時などにおいて、各保持部材及び各上ローラと同様、下ローラを容易に着脱することができる。また、一旦取り外した下ローラを高精度に各架台に取り付けることができる。
【0028】
また、前記各架台の第1嵌入部の、前記各軸受が嵌め込まれる部分と、前記各保持部材が嵌め込まれる部分との間には、前記各保持部材の下端に当接して前記各上ローラの高さ位置を位置決めするためのスペーサがそれぞれ設けられていても良い。
【0029】
このようにすれば、各保持部材を第1嵌入部に嵌め込んだときに、スペーサにより各保持部材の下方への移動が規制され、各保持部材を所定の高さ位置に設置することができるので、各保持部材の取り付けをより簡単にすることができるだけでなく、各保持部材の再取付後においても、下ローラ及び各上ローラの上下のローラ間隔を高精度なものとすることができる。
【0030】
また、前記流体吐出手段は、前記基板の搬送方向と交差する方向においてこの基板の全幅に渡るように細長く形成され、前記支持手段は、前記流体吐出手段の長手方向の一端部を支持する第1支持部材と、前記流体吐出手段の長手方向の他端部を支持する第2支持部材とを備え、前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第2嵌入部をそれぞれ有し、この第2嵌入部に前記第1支持部材及び第2支持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成されていても良い。
【0031】
流体吐出手段と基板との間の間隔は、処理内容に応じて最適な間隔が設定されており、この間隔が変わると、基板処理の条件が変わって最適な基板処理を行うことができなくなる。したがって、メンテナンス時などにおいて、一旦取り外した流体吐出手段を設置する際には前記間隔が最適な間隔となるように調整しなければならず、当該調整作業が煩わしい。また、流体吐出手段の基板搬送方向における位置も、流体吐出手段から吐出された流体が下ローラによって支持されている部分にほぼ当たるように設定されており、この位置が変わって前記吐出された流体が下ローラにより支持されていない部分に当たると、前記吐出された流体が基板に当たったときの打力により、処理内容によっては処理ムラが生じるといった問題を生じる。したがって、前記間隔と同様、流体吐出手段の基板搬送方向における位置についても、流体吐出手段を再設置する際には所定位置に配置されるように調整しなければならず、当該調整作業が煩わしい。
【0032】
そこで、上述のように、各支持部材により流体吐出手段の長手方向の両端部を支持し、各支持部材を第2嵌入部に嵌め込むようにすれば、各支持部材を第2嵌入部に嵌め込むだけで、流体吐出手段と基板との間の間隔、及び流体吐出手段の基板搬送方向における位置が所定の間隔及び位置となるように流体吐出手段を配置することができ、流体吐出手段を各架台に精度良く取り付けることができる。また、流体吐出手段を簡単に着脱することができる。
【0033】
また、前記各架台の第2嵌入部の少なくとも一方には、前記第1支持部材又は第2支持部材が前記流体吐出手段の長手方向に変位可能に嵌め込まれていても良い。
【0034】
流体供給手段から流体吐出手段に供給される流体が所定温度に加熱されている場合、供給された流体によって流体吐出手段が加熱され、熱膨張する。このとき、流体吐出手段の熱膨張が規制されていると、当該流体吐出手段が変形して、流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなり、また、流体吐出手段の流体吐出口の形状が変化する。そして、流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなると、処理条件が不均一になるという問題を生じ、流体吐出口の形状が変化すると、この流体吐出口から吐出される流体の流量が不均一になって基板処理を均一に行うことができないという問題を生じる。尚、基板の大型化に伴い、流体吐出手段の長手方向の長さが長くなっているため、流体吐出手段が温度上昇したときに長手方向の伸長量は大きく、このような問題がより顕著に現れる。また、耐薬品性を考慮して流体吐出手段が塩化ビニル樹脂から構成されているような場合には、塩化ビニル樹脂の線膨張係数が大きいことから熱膨張時の伸長量は極めて大きい。
【0035】
そこで、上述のように、各支持部材の少なくとも一方を流体吐出手段の長手方向に変位可能に第2嵌入部に嵌め込むようにすれば、流体吐出手段が温度上昇してもその長手方向に伸長可能であるので、流体吐出手段が変形して、当該流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなることや、当該流体吐出手段の流体吐出口の形状が変化するのを防止することができる。これにより、流体吐出手段と基板との間の間隔が一定でなくなって基板処理条件が不均一になり、或いは、流体吐出口の形状が変化して、この流体吐出口から吐出される流体の流量が不均一になり、均一な基板処理を実施することができないといった問題が生じるのを防止することができる。
【0036】
また、前記第2嵌入部についても、前記第1嵌入部と同様、下ローラ及び各保持部材が嵌め込まれるように構成されていても良い。
【0037】
また、前記各架台の第1嵌入部と第2嵌入部は、同一形状に形成されていても良い。このようにすれば、第1嵌入部と第2嵌入部を区別して形成する必要がないので、製造の容易化を図ることができる。
【0038】
尚、前記基板処理としては、例えば、エアを吐出して行う液切り処理、エアを吐出して行う乾燥処理、現像液を吐出して行う現像処理、エッチング液を吐出して行うエッチング処理、レジスト剥離液を吐出して行うレジスト剥離処理、洗浄液を吐出して行う洗浄処理などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、このような処理の対象となる基板としては、例えば、シリコン基板やガラス基板などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明に係る基板処理装置によれば、基板搬送用のローラが温度上昇したときにこのローラの回転軸が変形するのを防止し、基板搬送上の問題が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示した断面図である。
【図2】図1における矢示A−A方向の断面図である。
【図3】図1における矢示B−B方向の断面図である。
【図4】本実施形態に係る下ローラ,第1上ローラ及び第2上ローラの保持構造を説明するための断面図である。
【図5】図4における矢示C−C方向の断面図である。
【図6】図4における矢示D−D方向の断面図である。
【図7】図5における矢示E−E方向の断面図である。
【図8】図7におけるF部の詳細図である。
【図9】各架台の嵌入部に各保持部材,スペーサ,下ローラ及び各支持部材が嵌め込まれる前の状態を示した説明図である。
【図10】図3における矢示G−G方向の断面図である。
【図11】下ローラが軸線方向に伸長した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。
【0042】
図1乃至図3に示すように、本例の基板処理装置1は、一定内容積を有する処理チャンバ10と、処理チャンバ10内に水平に配置された複数の下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23により基板Kを水平な搬送方向に搬送する基板搬送機構20と、処理チャンバ10内に配設され、各ローラ21,22,23を回転自在に保持するローラ保持機構30と、基板搬送機構20によって搬送される基板Kの上面に向けて処理液を吐出する処理液吐出機構70と、処理液吐出機構70に処理液を供給する処理液供給機構75と、処理チャンバ10内に設けられ、処理液吐出機構70を支持する支持機構80と、処理チャンバ10を支持するフレーム(図示せず)とを備えて構成される。
【0043】
前記基板搬送機構20は、図1乃至図4に示すように、前記下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23の他、これらのローラ21,22,23を駆動して回転させる回転駆動部25を備えており、下ローラ21,第1上ローラ22及び第2上ローラ23が基板搬送方向に所定間隔で配設されている。尚、下ローラ21は、各上ローラ22,23よりも短い間隔で設けられている。また、各上ローラ22,23の配置間隔について、ここで詳述しないが、後述する、基板Kを押さえるのに必要な荷重を設定するときの考え方と同様の考え方で設定することができる。
【0044】
前記下ローラ21は、基板Kの下側に配置されるもので、基板搬送方向と垂直な水平方向に設けられる回転軸21aと、回転軸21aの軸線方向に所定間隔で設けられ、基板Kを支持する複数のローラ本体21bと、複数のローラ本体21bの内、両端に位置するローラ本体21bの外周部にそれぞれ設けられた、断面が矩形でゴム製のリング部材21cとから構成される。
【0045】
前記第1上ローラ22及び第2上ローラ23は、基板Kの上側に同軸に配置され、それぞれ同じ構成を備えており、下ローラ21の回転軸21aの上方にこれと平行に配置される回転軸22a,23aと、回転軸22a,23aの一端に設けられ、基板Kを押さえる1つのローラ本体22b,23bと、ローラ本体22b,23bの外周部に設けられる、断面が円形でゴム製のリング部材22c,23cとから構成される。
【0046】
前記各ローラ本体22b,23bは、下ローラ21の、前記両端に位置するローラ本体21bの真上に配置されており、これらのローラ本体21b,22b,23bにより基板Kが挟持される。また、各ローラ本体22b,23b及びローラ本体21bの上下のローラ間隔は、基板Kの厚みよりも小さく設定されている。尚、前記各リング部材21c,22c,23cは、グリップ力を高めて確実に基板Kを搬送するために設けられている。
【0047】
前記回転駆動部25は、下ローラ21の両端にそれぞれ固設された第1伝達ギア26と、各上ローラ22,23の他端に固設され、第1伝達ギア26とそれぞれ噛合する第2伝達ギア27と、下ローラ21の、回転軸21aの一端側に固設された第1伝達ギア26と噛合する駆動ギア28aを有し、この駆動ギア28aを回転させることで、各伝達ギア26,27を介して各回転軸21a,22a,23a(下ローラ21及び各上ローラ22,23)を回転させる駆動機構28とから構成される。
【0048】
前記ローラ保持機構30は、図2乃至図9に示すように、前記基板搬送機構20によって搬送される基板Kの両外側で前記処理チャンバ10の底面に配設された第1ベース31及び第2ベース32と、これらのベース31,32上に配設され、前記下ローラ21の回転軸21aの端部をそれぞれ支持する第1架台33及び第2架台34と、第1架台33に支持され、前記第1上ローラ22の回転軸22aの他端を回転自在に保持する第1保持部材50と、第2架台34に支持され、前記第2上ローラ23の回転軸23aの他端を回転自在に保持する第2保持部材51とを備える。
【0049】
前記各架台33,34は、基板搬送方向にそれぞれ細長く形成された平板状の部材から構成され、基板Kを間に挟んで対向している。また、各架台33,34には、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の嵌入部35,36が長手方向に複数形成されており、これらの嵌入部35,36は、その下部側が下ローラ21の回転軸21aの嵌め込み部分(下ローラ嵌込部)35a,36aと、上部側が各保持部材50,51の嵌め込み部分(上ローラ嵌込部)35b,36bと、下ローラ嵌込部35a,36aと上ローラ嵌込部35b,36bとの間がスペーサ37,38の嵌め込み部分(スペーサ嵌込部)35c,36cとなっている。尚、前記上ローラ嵌込部35b,36bは、後述するように、スリットノズル体71を支持する各支持部材81,82の嵌め込み部分としても機能するようになっている。
【0050】
前記下ローラ21の回転軸21aには、その一端部にこの一端部を回転自在に支持する第1軸受39が設けられるとともに、他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受40が設けられており、前記第1軸受39が前記第1架台33の下ローラ嵌込部35aに着脱可能に嵌め込まれ、前記第2軸受40が前記第2架台34の下ローラ嵌込部36aに着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれている。前記下ローラ嵌込部35aに嵌め込まれた第1軸受39は、この第1軸受39を挟持するように第1架台33の両側面にねじ込まれる複数の固定ボルト(規制部材)41によって、当該第1軸受39の軸線方向における移動が規制されている。
【0051】
前記各スペーサ嵌込部35c,36cは、前記各嵌入部35,36の両側壁に、各架台33,34の両側面に開口するように形成された貫通溝42,43から構成されており、これらの貫通溝42,43内に平板状のスペーサ37,38が水平に嵌め込まれるようになっている。スペーサ37,38には、その長手方向の一端から横方向に突出した突出部37a,38aが形成されており、この突出部37a,38aが、各架台33,34の基板K側の側面にねじ込まれる固定ボルト44,45によって各架台33,34に固定されている。
【0052】
前記各上ローラ嵌込部35b,36bは、その両側壁間の間隔が下ローラ嵌込部35a,36aの両側壁間の間隔よりも広く形成され、また、両側壁には、凹溝46,47が上下方向に沿うように形成されている。
【0053】
前記各保持部材50,51は、それぞれ直方体ブロック状の部材から構成され、長手方向が上下方向となるように設けられる。また、各保持部材50,51は、前記各上ローラ22,23の回転軸22a,23aの他端を回転自在に支持する軸受52,53と、基板K側の面からその反対側の面に貫通し、内部に軸受52,53が設けられる保持穴50a,51aと、所定の荷重で基板Kを押さえるための錘54,55と、上部に形成され、錘54,55が収容される収容穴50b,51bと、下部側の側面で前記各嵌入部35,36の両側壁と対向する部分に形成され、この両側壁に当接する凸部50c,51cと、凸部50c,51cに上下方向に沿うように形成され、前記凹溝46,47と嵌合可能な突起50d,51dとを備えている。
【0054】
また、各保持部材50,51は、凹溝46,47及び突起50d,51dが嵌合することで、前記各上ローラ嵌込部35b,36bに着脱可能に嵌め込まれるとともに、凹溝46,47及び突起50d,51dが嵌合した状態で上下方向に移動可能となっている。各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた各保持部材50,51は、その下面がスペーサ37,38の上面に当接し、これによって、当該各保持部材50,51の高さ位置が位置決めされ、各ローラ本体22b,23b及びローラ本体21bの上下のローラ間隔が所定間隔に設定される。
【0055】
前記突起50d,51dは、その突出量が前記凹溝46,47の深さより低く、また、その先端面の両角部が面取りされており、これによって、突起50d,51dの先端部と凹溝46,47との間に隙間56,57が形成されている。また、凹溝46,47の開口角部が面取りされており、これによって、突起50d,51dの付け根と凹溝46,47の開口部との間に隙間58,59が形成されるようになっている。前記各保持部材50,51の下端近傍の側面には前記凸部50c,51cが設けられておらず、これによって、当該側面と前記各嵌入部35,36の両側壁との間には、前記隙間56,57,58,59と各嵌入部35,36の外部とを連通させる隙間(連通部)60,61が形成されている。
【0056】
前記錘54は、第1保持部材50及び第1上ローラ22の全体重量により5N〜35Nの荷重で基板Kを押さえることが可能な重さに設定され、前記錘55は、第2保持部材51及び第2上ローラ23の全体重量により5N〜35Nの荷重で基板Kを押さえることが可能な重さに設定される。
【0057】
尚、前記下ローラ21の回転軸21aは、その軸線方向の中間部についても保持することが好ましく、本例では、例えば、前記処理チャンバ10の底面に配設された複数の中間部保持部材65により回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持されている。また、前記各架台33,34の、基板K側の側面と反対側の側面には、取付板67が設けられており、この取付板67が前記処理チャンバ10の側壁に設けられた支持部材68に接続されている。
【0058】
前記処理液吐出機構70は、図1,図3及び図10に示すように、各ローラ21,22,23によって搬送される基板Kの上方且つ下ローラ21の真上に配置されるスリットノズル体71及び複数のスプレーノズル体72とから構成されており、スリットノズル体71がスプレーノズル体72より基板搬送方向上流側に配置される。
【0059】
前記スリットノズル体71は、基板搬送方向と垂直な方向における基板Kの全幅に渡るように、基板Kの上面と平行且つ基板搬送方向と垂直な方向に細長く形成される。また、スリットノズル体71は、中空部71aと、下面に開口し、中空部71aに接続したスリット状の吐出穴71bとを備え、前記処理液供給機構75から中空部71a内に供給される処理液を吐出穴71bから下方の基板Kに向けて真下に吐出する。
【0060】
前記スプレーノズル体72は、前記スリットノズル体71より上方に配置され、基板搬送方向にも、基板搬送方向と垂直な方向にも並設されており、前記処理液供給機構75から供給される処理液を下方の基板Kに向けて吐出する。
【0061】
前記処理液供給機構75は、前記スリットノズル体71に処理液を供給するための第1供給管76と、第1供給管76とスリットノズル体71の中空部71aとを接続する複数の接続管77と、前記各スプレーノズル体72に処理液を供給するための複数の第2供給管78と、これらの供給管76,78に処理液を供給する処理液供給部79とを備える。
【0062】
前記第1供給管76は、その一部が前記処理チャンバ10内でスリットノズル体71の上方に基板搬送方向と垂直に設けられる。前記接続管77は、第1供給管76の軸線方向に一定間隔で設けられる。前記各第2供給管78は、これらの一部が前記処理チャンバ10内で基板搬送方向と垂直に設けられ、基板搬送方向に一定間隔を隔てて平行に配置される。また、これらの第2供給管78の下部には、その軸線方向に一定間隔で前記スプレーノズル体72が固設されている。
【0063】
前記支持機構80は、図3,図5,図6,図9及び図10に示すように、前記スリットノズル体71を支持するもので、このスリットノズル体71の長手方向の一端部を支持する第1支持部材81と、長手方向の他端部を支持する第2支持部材82とから構成されている。
【0064】
前記各支持部材81,82は、それぞれ矩形平板状の部材から構成され、長手方向が上下方向となるように設けられる。また、各支持部材81,82は、それぞれ取付部材83,84を介してスリットノズル体71の長手方向の端部を支持しており、前記各上ローラ嵌込部35b,36bに着脱可能に嵌め込まれるようになっている。尚、各支持部材81,82は、各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた状態において、外面が前記各嵌入部35,36の両側壁と当接しているが、スリットノズル体71の長手方向には移動可能となっている。
【0065】
また、各支持部材81,82の、スリットノズル体71の長手方向と垂直な両側面には、その上部に、横方向に張り出した張出部81a,82aが形成され、これらの張出部81a,82aには、下端が突出して各架台33,34の上面に当接する高さ調整ボルト85,86が上側からそれぞれねじ込まれている。各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた各支持部材81,82は、各高さ調整ボルト85,86の下端が各架台33,34の上面に当接することで、高さ位置が位置決めされ、これにより、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔が所定間隔に設定される。
【0066】
尚、前記スリットノズル体71は、その長手方向の中間部についても支持することが好ましく、本例では、例えば、上端が処理チャンバ10の天井面に接続した複数の第3支持部材87の下端部によって支持されている。また、この第3支持部材87は、その中間部で前記第1供給管76を支持している。
【0067】
以上のように構成された本例の基板処理装置1によれば、回転駆動部25により下ローラ21及び各上ローラ22,23が駆動されて回転し、基板Kが処理チャンバ10内を所定の搬送方向に沿って搬送される。その際、基板Kが下ローラ21及び各上ローラ22,23の間を通過するときには、各保持部材50,51及び各上ローラ22,23が凹溝46,47及び突起50d,51dにより案内されつつ上方に移動し、各保持部材50,51及び各上ローラ22,23の重量で基板Kが押さえられる。
【0068】
ここで、各上ローラ22,23が基板Kを押さえ付ける荷重をそれぞれ5N〜35Nとすることが可能な錘54,55を各保持部材50,51に設けているので、押さえ付ける力が小さ過ぎ、上ローラ22,23や下ローラ21が空転して確実な基板搬送に支障を生じることもないし、逆に、押さえ付ける力が大き過ぎ、基板Kが割れるといった不都合を生じることもない。したがって、何ら不都合を生じることなく、確実に基板Kを搬送することができる。
【0069】
尚、基板Kを押さえるのに必要な荷重を設定するに当たっては、例えば、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出される流体の種類、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出される流体が薬液である場合にその薬液の種類(例えば、界面活性剤が含まれているかどうかなど)、基板サイズ、基板Kの表面状態(例えば、表面粗さやぬれ性など)、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出された流体が基板Kに当たったときの打力に基づく反力(基板Kを押し戻す力)などに応じて設定すれば良い。また、吐出される流体を考慮する必要があるのは、吐出される流体がエア,純水又は薬液であるとすると、エア,純水及び薬液の順にローラが滑って空転し易くなるからであり、また、反力を考慮する必要があるのは、例えば、エアを吐出して行う液切りを行う場合で、エアの吐出方向が基板搬送方向に対して逆方向且つ斜め下方向に設定されているときには、特に反力が大きくなるからである。
【0070】
また、第1保持部材50及び第1上ローラ22の全体重量や、第2保持部材51及び第2上ローラ23の全体重量によって加えることが可能な荷重よりも高い荷重を基板Kに加えるには、ばねを用いることも可能であるが、このばねは、通常、金属から構成され、耐薬品性に劣っていることから被覆する必要がある。したがって、錘54,55で基板Kに掛かる荷重を調整すれば、錘54,55を被覆するにしても、ばねに比べて容易であるし、また、各保持部材50,51に錘収容用の収容穴50b,51bを形成してこの収容穴50b,51b内に収容すれば、簡単に錘54,55を設けることができる。このとき、本例のように、収容穴50b,51bの形成位置を、例えば、各保持部材50,51の、基板K側とは反対側の側面など、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出される処理液の影響を受け難い位置にすれば、錘54,55を特に被覆することなく設けることも可能である。
【0071】
そして、このようにして搬送される基板Kの上面には、処理液供給部79から第1供給管76及び接続管77を介してスリットノズル体71に、処理液供給部79から第2供給管78を介して各スプレーノズル体72にそれぞれ供給される処理液が、これらスリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出され、これにより、基板Kに所定の処理が施される。
【0072】
各スプレーノズル体72から吐出された処理液は、各保持部材50,51や各架台33,34にかかって凹溝46,47と突起50d,51dとの間に入り込むが、本例では、前記突起50d,51dの先端部と凹溝46,47との間に隙間56,57を、突起50d,51dの付け根と凹溝46,47の開口部との間に隙間58,59を、各保持部材50,51の下端近傍の側面と各嵌入部35,36の両側壁との間に前記隙間56,57,58,59と各嵌入部35,36の外部とを連通させる隙間60,61を形成しているので、凹溝46,47と突起50d,51dとの間に流入した処理液を、これらの隙間56,57,58,59,60,61を介して嵌入部35,36の外部に効果的に流出させることができ、吐出された処理液が結晶化して凹溝46,47の内面や突起50d,51dの外面に固着するのを防止することができる。これにより、基板Kが下ローラ21及び各上ローラ22,23の間を通過するときに各保持部材50,51を確実に上昇させることができ、基板が割れる、基板が欠けるといった問題が生じるのを防止することができる。
【0073】
また、下ローラ21の他端部を支持する第2軸受40が第2架台34の下ローラ嵌込部36aに軸線方向に移動可能に嵌め込まれているので、スリットノズル体71及び各スプレーノズル体72から吐出された処理液や、当該処理液により昇温せしめられた処理チャンバ10内の雰囲気によって下ローラ21が加熱され、温度上昇しても、この温度上昇による回転軸21aの伸長が許容される。一方、各上ローラ22,23については、第1上ローラ22を保持する第1保持部材50が第1架台33により、第2上ローラ23を保持する第2保持部材51が第2架台34によりそれぞれ支持されているので、各上ローラ22,23が温度上昇してもこの温度上昇による回転軸22a,23aの伸長が規制されない。
【0074】
したがって、各ローラ21,22,23が温度上昇したときにこれらの回転軸21a,22a,23aが伸長可能であるので、回転軸21a,22a,23aが変形して撓むのを防止することができる。これにより、基板Kを所定の搬送方向にまっすぐに搬送することができないという問題を生じるのを防止することができ、また、基板Kが割れるのを防止することができる。
【0075】
また、このように、下ローラ21の回転軸21aが伸長すると、図11に示すように、下ローラ21のローラ本体21bの位置と各上ローラ22,23のローラ本体22b,23bの位置とが回転軸21a,22a,23aの軸線方向にずれる。このとき、各ローラ21,22,23のローラ本体21b,22b,23bの外周面が半円形に形成されていると、基板Kに剪断方向の力が作用して、基板Kが破損する、リング部材21c,22c,23cが損傷する、基板Kが蛇行して搬送されるといった問題を生じる。尚、図11において、符号α,βは、軸線方向の位置ずれ量をそれぞれ示している。
【0076】
このため、下ローラ21の、各上ローラ22,23に対応したローラ本体21bの外周部に、断面が矩形のリング部材21cを設けて、ローラ本体21bの外周面を一定幅の平坦面としている。したがって、上記のような位置ずれが生じても、前記リング部材21cによって、各上ローラ22,23のローラ本体22b,23bにより基板Kに作用する力を受けることができる。これにより、基板Kに剪断方向の力が作用して、基板Kが破損するという問題や、リング部材21c,22c,23cが損傷するという問題、基板Kが蛇行して搬送されるという問題が生じるのを防止することができる。
【0077】
また、スリットノズル体71の長手方向の両端部を支持する第1支持部材81及び第2支持部材82が、下ローラ嵌込部35a,36aにスリットノズル体71の長手方向に移動可能に嵌め込まれているので、処理液供給部79からスリットノズル体71に供給される処理液により当該スリットノズル体71が加熱され、熱膨張しても、スリットノズル体71はその長手方向に伸長することができる。
【0078】
したがって、スリットノズル体71の熱膨張が規制されていることにより当該スリットノズル体71が変形して、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔が一定でなくなることや、スリットノズル体71の吐出穴71bの形状が変化するのを防止することができる。これにより、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔が一定でなくなって基板処理条件が不均一になり、或いは、吐出穴71bの形状が変化して、この吐出穴71bから吐出される処理液の流量が不均一になり、均一な基板処理を実施することができなくなるのを防止することができる。
【0079】
また、メンテナンス時などにおいて各上ローラ22,23を取り外す際には、各保持部材50,51を各上ローラ嵌込部35b,36bから取り出すだけで良く、当該作業が容易である。一方、各上ローラ22,23を取り付ける際には、凹溝46,47及び突起50d,51dが嵌合するように各保持部材50,51を各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込むだけで良く、当該作業が容易であり、しかも、凹溝46,47及び突起50d,51dの嵌合により高精度に取り付けることができる。また、下ローラ21についても、各上ローラ22,23と同様、下ローラ嵌込部35a,36aに着脱可能に嵌め込むようにしているので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、各保持部材50,51を各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込む際には、スペーサ37,38により、各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込まれた各保持部材50,51の下方への移動を規制して、各保持部材50,51を所定の高さ位置に位置決めすることができる。これにより、各保持部材50,51の取り付けをより簡単にすることができるだけでなく、各保持部材50,51の再取付後においても、下ローラ21及び各上ローラ22,23の上下のローラ間隔を高精度なものとすることができる。
【0081】
また、スリットノズル体71と基板Kとの間の間隔は、処理内容に応じて最適な間隔が設定されており、この間隔が変わると、基板処理の条件が変わって最適な基板処理を行うことができなくなるので、スリットノズル体71を再設置する際には前記間隔が最適な間隔となるように調整する必要があり、また、スリットノズル体71の基板搬送方向における位置も、スリットノズル体71から吐出された処理液が下ローラ21によって支持されている部分にほぼ当たるように設定されており、この位置が変わって前記吐出された処理液が下ローラ21により支持されていない部分に当たると、前記吐出された処理液が基板Kに当たったときの打力により、処理内容によっては処理ムラが生じるので、スリットノズル体71を再設置する際には前記位置が前記設定された位置となるように調整する必要があるが、本例では、スリットノズル体71の両端部を支持する各支持部材81,82を各上ローラ嵌込部35b,36bに嵌め込むことや、各支持部材81,82を各上ローラ嵌込部35b,36bから取り出すことで、スリットノズル体71を着脱することができるので、当該着脱作業が容易であり、また、スリットノズル体71を精度良く各架台33,34に取り付けることができる。
【0082】
また、各上ローラ嵌込部35b,36bに各保持部材50,51と各支持部材81,82の両方を嵌め込むことができるので、保持部材50,51用の嵌込部と支持部材81,82用の嵌込部とをそれぞれ形成する必要がなく、製造の容易化を図ることができる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0084】
例えば、スリットノズル体71から吐出される処理液の吐出方向は真下でなくても良く、また、スリットノズル体71の長手方向は基板搬送方向に垂直でなくても良い。また、搬送される基板Kは水平でなくても良い。
【0085】
また、前記基板処理は、何ら限定されるものではなく、例えば、エアを吐出して行う液切り処理、エアを吐出して行う乾燥処理、現像液を吐出して行う現像処理、エッチング液を吐出して行うエッチング処理、レジスト剥離液を吐出して行うレジスト剥離処理、洗浄液を吐出して行う洗浄処理などを挙げることができる。また、このような処理の対象となる基板Kについても、何ら限定されるものではなく、例えば、シリコン基板やガラス基板などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 基板処理装置
21 下ローラ
22,23 上ローラ
25 回転駆動部
33,34 架台
35,36 嵌入部
46,47 凹溝
50,51 保持部材
50d,51d 突起
71 スリットノズル体
72 スプレーノズル体
81,82 支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送しながらその上面に流体を供給してこの基板を処理する装置であって、
前記基板の搬送方向と垂直な回転軸をそれぞれ有し、前記基板の下方にその搬送方向に沿って並設されてこの基板を支持する複数の下ローラと、前記下ローラの回転軸と平行な回転軸を有し、少なくとも1つの前記下ローラの上方に配置されて、前記基板の幅方向の一端部を押さえる第1上ローラ及び前記基板の幅方向の他端部を押さえる第2上ローラと、少なくとも1つの前記下ローラの回転軸を駆動して回転させる回転駆動機構とを備え、前記下ローラ及び各上ローラにより前記基板を挟持して搬送する基板搬送手段と、
前記各ローラを回転自在に保持するローラ保持手段と、
前記基板搬送手段によって搬送される基板の上方に配置され、その上面に向けて流体を吐出する流体吐出手段と、
前記流体吐出手段に流体を供給する流体供給手段と、
前記流体吐出手段を支持する支持手段とを備えた基板処理装置において、
前記ローラ保持手段は、前記基板の両外側で一定間隔を隔てて対向して前記基板の搬送方向に細長く形成された平板状の第1架台及び第2架台であって、前記下ローラの回転軸の一端部を回転自在に保持する第1架台及び前記下ローラの回転軸の他端部を回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持する第2架台と、前記第1架台に支持され、前記第1上ローラの回転軸を回転自在に保持する第1保持部材と、前記第2架台に支持され、前記第2上ローラの回転軸を回転自在に保持する第2保持部材とを備え、
前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第1嵌入部をそれぞれ有し、この第1嵌入部に前記第1保持部材及び第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成され、
前記各第1嵌入部の両側壁、及び各保持部材の外面の、前記第1嵌入部の両側壁に対応する部分には、その一方に凹溝が、他方に突起が上下方向に沿うように且つ互いに嵌合可能に形成され、
前記各保持部材は、前記凹溝及び突起が嵌合して前記第1嵌入部に嵌め込まれるとともに、前記凹溝及び突起が嵌合した状態で上下方向に移動可能に構成されてなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記各上ローラは、それぞれ1つのローラ本体を備え、
前記下ローラは、その回転軸の軸線方向に複数のローラ本体を備えるとともに、これらのローラ本体の内、両端に位置するローラ本体が前記各上ローラのローラ本体と上下に対向するように構成され、
少なくとも、前記第2上ローラのローラ本体及び前記下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体は、その一方の外周面が半円形に形成され、他方の外周面が一定幅を有する平坦面に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記下ローラ及び各上ローラの上下のローラ間隔が前記基板の厚みより小さく設定されている場合において、
前記突起の先端と凹溝との間、及び、前記突起の付け根と凹溝の開口部との間には、隙間がそれぞれ形成されるとともに、前記各保持部材と第1嵌入部との間には、前記凹溝の下部側又は下方で前記隙間と前記第1嵌入部外の空間とを連通させる連通部がそれぞれ形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記各保持部材は、予め設定された荷重で前記基板を押さえるための錘をそれぞれ備えてなることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項5】
前記第1保持部材の錘は、前記第1保持部材及び第1上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の一端部を押さえることが可能な重さであり、前記第2保持部材の錘は、前記第2保持部材及び第2上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の他端部を押さえることが可能な重さであることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記下ローラの回転軸の一端部には、この一端部を回転自在に支持する第1軸受が設けられるとともに、前記下ローラの回転軸の他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受が設けられ、
前記第1架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第1軸受が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第1保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第2架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第2軸受が着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第1嵌入部の、少なくとも前記各保持部材が嵌め込まれる部分には、前記凹溝又は突起が形成され、
前記第1軸受又は第1架台には、この第1軸受の軸線方向における移動を規制する規制部材が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項7】
前記各架台の第1嵌入部の、前記各軸受が嵌め込まれる部分と、前記各保持部材が嵌め込まれる部分との間には、前記各保持部材の下端に当接して前記各上ローラの高さ位置を位置決めするためのスペーサがそれぞれ設けられてなることを特徴とする請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記流体吐出手段は、前記基板の搬送方向と交差する方向においてこの基板の全幅に渡るように細長く形成され、
前記支持手段は、前記流体吐出手段の長手方向の一端部を支持する第1支持部材と、前記流体吐出手段の長手方向の他端部を支持する第2支持部材とを備え、
前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第2嵌入部をそれぞれ有し、この第2嵌入部に前記第1支持部材及び第2支持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成されてなることを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項9】
前記各架台の第2嵌入部の少なくとも一方には、前記第1支持部材又は第2支持部材が前記流体吐出手段の長手方向に変位可能に嵌め込まれてなることを特徴とする請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記下ローラの回転軸の一端部には、この一端部を回転自在に支持する第1軸受が設けられるとともに、前記下ローラの回転軸の他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受が設けられ、
前記第1架台の第2嵌入部には、その下側に、前記第1軸受が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第1保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第2架台の第2嵌入部には、その下側に、前記第2軸受が着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第1軸受又は第1架台には、この第1軸受の軸線方向における移動を規制する規制部材が設けられてなることを特徴とする請求項8又は9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記各架台の第1嵌入部と第2嵌入部は、同一形状に形成されてなることを特徴とする請求項8乃至10記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項1】
基板を搬送しながらその上面に流体を供給してこの基板を処理する装置であって、
前記基板の搬送方向と垂直な回転軸をそれぞれ有し、前記基板の下方にその搬送方向に沿って並設されてこの基板を支持する複数の下ローラと、前記下ローラの回転軸と平行な回転軸を有し、少なくとも1つの前記下ローラの上方に配置されて、前記基板の幅方向の一端部を押さえる第1上ローラ及び前記基板の幅方向の他端部を押さえる第2上ローラと、少なくとも1つの前記下ローラの回転軸を駆動して回転させる回転駆動機構とを備え、前記下ローラ及び各上ローラにより前記基板を挟持して搬送する基板搬送手段と、
前記各ローラを回転自在に保持するローラ保持手段と、
前記基板搬送手段によって搬送される基板の上方に配置され、その上面に向けて流体を吐出する流体吐出手段と、
前記流体吐出手段に流体を供給する流体供給手段と、
前記流体吐出手段を支持する支持手段とを備えた基板処理装置において、
前記ローラ保持手段は、前記基板の両外側で一定間隔を隔てて対向して前記基板の搬送方向に細長く形成された平板状の第1架台及び第2架台であって、前記下ローラの回転軸の一端部を回転自在に保持する第1架台及び前記下ローラの回転軸の他端部を回転自在に且つ軸線方向に変位可能に保持する第2架台と、前記第1架台に支持され、前記第1上ローラの回転軸を回転自在に保持する第1保持部材と、前記第2架台に支持され、前記第2上ローラの回転軸を回転自在に保持する第2保持部材とを備え、
前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第1嵌入部をそれぞれ有し、この第1嵌入部に前記第1保持部材及び第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成され、
前記各第1嵌入部の両側壁、及び各保持部材の外面の、前記第1嵌入部の両側壁に対応する部分には、その一方に凹溝が、他方に突起が上下方向に沿うように且つ互いに嵌合可能に形成され、
前記各保持部材は、前記凹溝及び突起が嵌合して前記第1嵌入部に嵌め込まれるとともに、前記凹溝及び突起が嵌合した状態で上下方向に移動可能に構成されてなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記各上ローラは、それぞれ1つのローラ本体を備え、
前記下ローラは、その回転軸の軸線方向に複数のローラ本体を備えるとともに、これらのローラ本体の内、両端に位置するローラ本体が前記各上ローラのローラ本体と上下に対向するように構成され、
少なくとも、前記第2上ローラのローラ本体及び前記下ローラの、第2上ローラに対応したローラ本体は、その一方の外周面が半円形に形成され、他方の外周面が一定幅を有する平坦面に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記下ローラ及び各上ローラの上下のローラ間隔が前記基板の厚みより小さく設定されている場合において、
前記突起の先端と凹溝との間、及び、前記突起の付け根と凹溝の開口部との間には、隙間がそれぞれ形成されるとともに、前記各保持部材と第1嵌入部との間には、前記凹溝の下部側又は下方で前記隙間と前記第1嵌入部外の空間とを連通させる連通部がそれぞれ形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記各保持部材は、予め設定された荷重で前記基板を押さえるための錘をそれぞれ備えてなることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項5】
前記第1保持部材の錘は、前記第1保持部材及び第1上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の一端部を押さえることが可能な重さであり、前記第2保持部材の錘は、前記第2保持部材及び第2上ローラ全体の重量により5N〜35Nの荷重で前記基板の他端部を押さえることが可能な重さであることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記下ローラの回転軸の一端部には、この一端部を回転自在に支持する第1軸受が設けられるとともに、前記下ローラの回転軸の他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受が設けられ、
前記第1架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第1軸受が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第1保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第2架台の第1嵌入部には、その下側に、前記第2軸受が着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第1嵌入部の、少なくとも前記各保持部材が嵌め込まれる部分には、前記凹溝又は突起が形成され、
前記第1軸受又は第1架台には、この第1軸受の軸線方向における移動を規制する規制部材が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項7】
前記各架台の第1嵌入部の、前記各軸受が嵌め込まれる部分と、前記各保持部材が嵌め込まれる部分との間には、前記各保持部材の下端に当接して前記各上ローラの高さ位置を位置決めするためのスペーサがそれぞれ設けられてなることを特徴とする請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記流体吐出手段は、前記基板の搬送方向と交差する方向においてこの基板の全幅に渡るように細長く形成され、
前記支持手段は、前記流体吐出手段の長手方向の一端部を支持する第1支持部材と、前記流体吐出手段の長手方向の他端部を支持する第2支持部材とを備え、
前記第1架台及び第2架台は、その上部が切り欠かれて形成されるU字状の第2嵌入部をそれぞれ有し、この第2嵌入部に前記第1支持部材及び第2支持部材が着脱可能に嵌め込まれるように構成されてなることを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれかの基板処理装置。
【請求項9】
前記各架台の第2嵌入部の少なくとも一方には、前記第1支持部材又は第2支持部材が前記流体吐出手段の長手方向に変位可能に嵌め込まれてなることを特徴とする請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記下ローラの回転軸の一端部には、この一端部を回転自在に支持する第1軸受が設けられるとともに、前記下ローラの回転軸の他端部には、この他端部を回転自在に支持する第2軸受が設けられ、
前記第1架台の第2嵌入部には、その下側に、前記第1軸受が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第1保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第2架台の第2嵌入部には、その下側に、前記第2軸受が着脱可能に且つ軸線方向に移動可能に嵌め込まれる部分が形成されるとともに、上側には、前記第2保持部材が着脱可能に嵌め込まれる部分が形成され、
前記第1軸受又は第1架台には、この第1軸受の軸線方向における移動を規制する規制部材が設けられてなることを特徴とする請求項8又は9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記各架台の第1嵌入部と第2嵌入部は、同一形状に形成されてなることを特徴とする請求項8乃至10記載のいずれかの基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−222063(P2010−222063A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67785(P2009−67785)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
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