説明

基板処理装置

【課題】メンテナンス後のQCチェックが完了していない処理室内に、生産用のウエハが搬送されるのを回避し、QCチェック用のウエハのみが搬送されるようにし、QCチェック終了後から生産用のウエハが処理できるようにする。
【解決手段】指定された処理室内への生産用の基板の搬送を禁止しつつ品質管理用の基板を搬送し、指定された処理室以外の処理室へ生産用の基板を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法の一工程を実施する従来の基板処理装置は、基板を処理する複数の処理室と、複数の処理室にそれぞれ接続されて処理室内の基板処理を個別に制御する複数の処理制御部と、複数の処理制御部にそれぞれ接続され、前記処理室と搬送室との間で前記基板を搬送する搬送機構の動作を制御する統合制御部と、統合制御部および複数の処理制御部にそれぞれ接続され、複数の処理制御部に処理命令を送信すると共に、統合制御部を介して前記複数の処理制御部から動作報告を受信する操作部と、を備えていた。
【0003】
また、上記統括制御部が管理する処理室の動作モードは、ウエハが搬送されないメンテナンスモードと、生産用のウエハが搬送されて処理を行う生産モード(通常状態)との二つであった。上記メンテナンスモードは、所定の生産が繰り返された後に処理室を構成する部品の保守点検を行うモードである。メンテナンスが終了した処理室内で処理された基板の膜厚を測定する膜厚チェック、および基板の表面に付着したパーティクル数のチェック(以後、QC(Quality Control)チェックとも呼ぶ)は、処理室の動作モードを生産モードにして実施していた。
【0004】
従い、QCチェック中に生産用のウエハが処理室内に搬入されるのを防止するため、QCチェック中の処理室は切り離さなければならなかった。しかしながら、処理室の取り外し作業、及び取り付け作業が必要となるため、メンテナンス時間が長くなり、装置の生産性が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、メンテナンス後のQCチェックが完了していない処理室内に、生産用のウエハが搬送されるのを回避し、QCチェック用のウエハのみが搬送されるようにし、QCチェック終了後から生産用のウエハが処理できるようにして、装置の生産性向上を図った基板処理装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、基板を処理する複数の処理室と、前記処理室に連通可能に接続された搬送室と、前記搬送室内に設けられ、前記搬送室と前記処理室との間で前記基板を搬送する搬送機構と、前記各処理室に接続されて前記各処理室内の基板処理を制御する処理制御部と、前記処理制御部に接続され、前記搬送機構の動作を制御する統合制御部と、前記統合制御部及び前記処理制御部に接続され、前記統合制御部及び前記処理制御部に処理命令を送信すると共に、前記統合制御部を介して前記搬送機構から動作報告を受信し、前記処理制御部を介して前記処理室に設けられた処理機構から動作報告を受信する操作部と、を備えた基板処理装置であって、前記統合制御部は、指定された処理室内への生産用の前記基板の搬送を禁止しつつ品質管理用の基板を搬送すると共に、前記指定された処理室以外の処理室へ生産用の基板を搬送するように前記搬送機構を制御する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の基板処理装置および半導体装置の製造方法によれば、QCチェックが行われている処理室内に生産用の基板が搬送されるのを防ぎつつ、他の処理室で生産用の基板が処
理され、QCチェックが終了した時点で、前記QCチェックが行われた処理室でも生産用の基板が処理されるようになるため、装置の生産性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態にかかるクラスタ型基板処理装置の概要構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の制御手段のブロック構成図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の設定画面で品質管理用の基板(モニタ基板)が選択された場合の一例を示した画面構成図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の設定画面で生産用の基板(製品基板)が選択された場合の一例を示した画面構成図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の設定画面ですべてのプロセスチャンバに対して生産用の基板が選択された場合の一例を示した画面構成図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置にて実施される基板処理工程の流れ図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる基板処理工程における制御手段の動作を例示する概略図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置にて実施される処理室の動作モードの移行過程を示した流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置にて実施される各動作モードでのフローである。
【図10】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置と従来の基板処理装置の動作モードの流れを図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置を自動運転させた場合のプロセスチャンバの運用方法の一例を示した概要構成図である。
【図12】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置を自動運転させた場合のプロセスチャンバの運用方法の一例を示した概要構成図である。
【図13】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置を自動運転させた場合のプロセスチャンバの運用方法の一例を示した概要構成図である。
【図14】生産を継続しながら所定のプロセスチャンバでのメンテナンス作業から生産用のウエハ処理が可能になるまでの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の構成および動作について説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の構成について、図1、図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるクラスタ型基板処理装置の概要構成図である。図2は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の制御手段のブロック構成図である。本実施形態にかかるクラスタ型基板処理装置は、真空側と大気側とに分れている。
【0011】
(真空側の構成)
クラスタ型基板処理装置の真空側には、搬送室としての真空気密可能な真空搬送室(トランスファチャンバ)TMと、予備室としてのバキュームロックチャンバ(ロードロック室)VL1,VL2と、基板としてのウエハWを処理する処理室としてのプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4と、が設けられている。バキュームロックチャンバVL1,VL2、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4は、真空搬送室TMの外周に星状(クラスタ状)に配置されている。
【0012】
真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えることができるロードロックチャンバ構造に構成されている。なお、本発明の一実施形態においては、真空搬送室TMの筐体は、平面視が例えば八角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されているが、本発明は必ずしも係る形態に限定されない。
【0013】
真空搬送室TM内には、搬送機構としての真空搬送ロボットVRが設けられている。真空搬送ロボットVRは、アームに設けられた基板載置部にウエハWを載せて、バキュームロックチャンバVL1,VL2と、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4との間で、相互にウエハWの搬送を行なう。なお、真空搬送ロボットVRは、エレベータEVによって、真空搬送室TMの機密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0014】
プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法またはPVD(Physical Vapor Deposition)法によりウエハW上に薄膜を形成する工程、もしくはウエハW表面に酸化膜もしくは窒化膜を形成する工程、またはウエハW上に金属薄膜もしくは金属化合物薄膜を形成する工程を実施して、ウエハWに付加価値を与えるように構成されている。各プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4には、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4内に供給する処理ガスの流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)11、プロセスチャンバ内の圧力を制御するオートプレッシャーコントローラ(APC)12、プロセスチャンバ内の圧力を制御する温度調整器13、処理ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御する入出力バルブI/O14、などが設けられている(図2参照)。これらコントローラ11,12,13,14は、各処理室に設けられるプロセスモジュールコントローラ91,92,93,94により制御される。プロセスモジュールコントローラ91,92,93,94により、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4内を排気しつつ、プロセスチャンバPM内に処理ガスを供給すると共に、所定の圧力及び所定の温度に維持されることで、ウエハWの表面が処理されるように構成されている。
【0015】
さらにプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4は、それぞれゲートバルブG1,G2,G3,G4を介して真空搬送室TMと連通可能に構成されている。例えば、プロセスチャンバPM1でウエハWを処理する場合、プロセスチャンバPM1内を真空搬送室TM内と同等の雰囲気にしてからゲートバルブG1を開けてプロセスチャンバPM1内にウエハWを搬送した後、ゲートバルブG1を閉じる。そしてプロセスチャンバPM1内で所定の処理を行った後、プロセスチャンバPM1内の雰囲気を真空搬送室TM内と同等の雰囲気に戻してから、ゲートバルブG1を開けて、プロセスチャンバPM1内のウエハWを搬出した後、ゲートバルブG1を閉じる。プロセスチャンバPM2〜PM4についてもゲートバルブG1と同様にゲートバルブG2〜G4の開閉動作を行うことでウエハWの処理雰囲気を形成することが可能になっている。
【0016】
バキュームロックチャンバVL1,VL2は、真空搬送室TM内へウエハWを搬入する予備室として、もしくは真空搬送室TM内からウエハWを搬出する予備室として機能する。バキュームロックチャンバVL1,VL2の内部には、基板の搬入搬出用にウエハWを一時的に支持するバッファステージST1,ST2が、それぞれ設けられている。又、図示されていないが、バキュームロックチャンバVL1,VL2には、ウエハWを冷却する冷却機能が設けられている。なお、バキュームロックチャンバVL1,VL2とは別に、冷却用のチャンバを設けてもよい。
【0017】
バキュームロックチャンバVL1,VL2は、それぞれゲートバルブG5,G6を介して真空搬送室TMと連通可能に構成されており、また、それぞれゲートバルブG7,G8
を介して後述する大気搬送室LMと連通可能に構成されている。真空搬送室TMの真空状態および大気搬送室LMの大気圧状態を保持するため、バキュームロックチャンバVL1,VL2に設けられているゲートバルブG5とG7のいずれか一方、ゲートバルブG6とG8のいずれか一方は必ず閉じられていて、同時に開けられることはない。例えば、真空搬送室TM側のゲートバルブG5を開ける場合、必ず反対側のゲートバルブG7を閉じた状態にして、バキュームロックチャンバVL1内の雰囲気を真空にする。なお、本明細書でいう「真空」とは工業的真空をいう。また大気搬送室LM側のゲートバルブG7を開ける場合、必ず反対側のゲートバルブG5を閉じた状態にして、バキュームロックチャンバVL1内の雰囲気を大気雰囲気にする。したがって、ゲートバルブG5,G6を閉じたまま、ゲートバルブG7,G8を開けることにより、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、バキュームロックチャンバVL1,VL2と大気搬送室LMとの間でウエハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0018】
また、バキュームロックチャンバVL1、VL2は、真空状態などの大気圧未満の負圧に耐えることができるロードロックチャンバ構造として構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能になっている。したがって、ゲートバルブG7,G8を閉じてバキュームロックチャンバVL1,VL2の内部を真空排気した後で、ゲートバルブG7,G8を開けることにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、バキュームロックチャンバVL1,VL2と真空搬送室TMとの間で、ウエハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0019】
(大気側の構成)
一方、クラスタ型基板処理装置の大気側には、バキュームロックチャンバVL1,VL2に接続された大気搬送室LMと、この大気搬送室LMに接続された基板収容部としてのロードポートLP1〜LP3と、が設けられる。ロードポートLP1〜LP3上には、基板収納容器としてのポッドPD1〜PD3が載置されるようになっている。ポッドPD1〜PD3内には、ウエハWをそれぞれ収納する収納部としてのスロットが複数設けられている。
【0020】
大気搬送室LM内には、大気搬送機構としての1台の大気搬送ロボットARが設けられている。大気搬送ロボットARは、バキュームロックチャンバVL1,VL2とロードポートLP1〜LP3上に載置されたポッドPD1〜PD3との間で、基板としてのウエハWの搬送を相互に行なうようになっている。大気搬送ロボットARも、真空搬送ロボットVRと同様に基板載置部であるアームを有する。
【0021】
なお、大気搬送室LM内には、基板位置の補正装置として、ウエハWの結晶方位の位置合わせ等を行うオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置OFAが設けられている。もしくは、オリフラ合わせ装置OFAの代わりにウエハWの結晶方位の位置合わせ等をウエハWに形成されたノッチで行う、図示はしないノッチ合わせ装置が設けられている。
【0022】
(制御手段の構成)
クラスタ型の基板処理装置の各構成部は、制御手段CNTにより制御される。図2に、制御手段CNTの構成例を示す。制御手段CNTは、統合制御部としての統括制御コントローラ90を備えている。また、処理制御部としてのプロセスモジュールコントローラ(PMC1)91、処理制御部としてのプロセスモジュールコントローラ(PMC2)92、処理制御部としてのプロセスモジュールコントローラ(PMC3)93、および処理制御部としてのプロセスモジュールコントローラ(PMC4)94を備えている。さらに操作者による操作を受け付ける操作部100を備えている。
【0023】
プロセスモジュールコントローラ(PMC1,PMC2,PMC3,PMC4)91,92,93,94は、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4にそれぞれ接続されて、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4内の基板処理を個別に制御するように構成されている。具体的には、プロセスモジュールコントローラ91,92,93,94は、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4が備えるマスフローコントローラ(MFC)11、オートプレッシャーコントローラ(APC)12、温度調整器13、入出力バルブI/O14等にそれぞれ接続されている。そして、プロセスモジュールコントローラ91,92,93,94は、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4に設けられる処理機構(ガス導入・排気機構、温度制御・プラズマ放電機構等)の各動作をそれぞれ制御するように構成されている。
【0024】
統括制御コントローラ90は、LAN回線80を介してプロセスモジュールコントローラ91,92,93,94にそれぞれ接続可能に構成され、また、真空搬送ロボットVR、大気搬送ロボットAR、ゲートバルブG1〜G8、バキュームロックチャンバVL1,VL2に、それぞれ接続されている。そして、統括制御コントローラ90は、真空搬送ロボットVRおよび大気搬送ロボットARの動作、ゲートバルブG1〜G8の開閉動作、バキュームロックチャンバVL1,VL2内部の排気動作を制御するように構成されている。具体的には、統括制御コントローラ90は、ウエハWをポッドPD1〜PD3の内のどのスロットに収納するかをそれぞれ指定する収納情報、前記ウエハWの現在の位置情報と、ウエハWについてのプロセス処理状況、ウエハWを識別するウエハID、各ウエハWに対して実施されるレシピ等のデータに基づいて、搬送手段としての真空搬送ロボットVRと大気搬送ロボットAR、およびゲートバルブG1〜G8等の動作を制御するように構成されている。
【0025】
操作部100は、LAN回線80を介して統括制御コントローラ90およびプロセスモジュールコントローラ91,92,93,94にそれぞれ接続可能に構成されている。操作部100は、CPU(中央演算素子)、記憶素子としてのメモリ、インタフェース、記録装置としてのハードディスク等を備えた汎用のコンピュータとして構成されている。操作部100のハードディスクには、システム全体総括制御用プログラム、PM1操作用プログラム、PM2操作用プログラム、PM3操作用プログラム、PM4操作用プログラム等が格納されている。システム全体総括制御用プログラムは、操作部100のハードディスクからメモリに読み出され、CPUにより実行されることにより、統括制御コントローラ90に動作命令(メッセージ)を送信すると共に、統括制御コントローラ90から動作報告(メッセージ)を受信する機能を操作部100に実現するように構成されている。また、PM1操作用プログラム、PM2操作用プログラム、PM3操作用プログラム、PM4操作用プログラムは、操作部100のハードディスクからメモリに読み出され、CPUにより実行されることにより、プロセスモジュールコントローラ91,92,93,94に動作命令(メッセージ)を送信すると共に、プロセスモジュールコントローラ91,92,93,94から動作報告(メッセージ)を受信する機能を操作部100に実現するように構成されている。その他、操作部100は、動作モードの設定、モニタ表示、ロギングデータ、アラーム解析、パラメータ編集などの画面表示・入力受付機能を担うように構成されている。
【0026】
操作部100には、表示装置110が設けられている。表示装置110の表示部115には、動作モードとしてのQCモード、および生産モードを選択する構成を有する設定画面120が表示される(前記図3〜図5参照)。Monitor(QCモード)は、保守点検後のプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4で品質管理用の基板を処理する動作モードである。Product(生産モード)は、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4で生産用の基板を処理する動作モードである。設定画面120については以下に詳細に述べる。
【0027】
(動作モード等の画面設定)
設定画面120には、例えば、プロセスジョブ情報を指定するシーケンスレシピ名称の入力欄、各動作モードで使用される基板の選択欄(「Product」、「Monitor」のいずれかを選択する欄)、プロセスチャンバの指定欄(PM1〜PM4を選択するチェック欄)、プロセスレシピ名称の入力欄が表示される。
【0028】
プロセスチャンバPM3でQCチェック用のウエハWを処理する場合、設定画面120の各欄に対し、図3に示すように入力する。例えば、シーケンスレシピ名称の入力欄に、プロセスチャンバPM3にてQCチェックを行うレシピの名称である「PM3−QCチェック」を入力する。また、基板の選択欄では、「Monitor」を選択する。また、プロセスチャンバの指定欄では、QCチェックを行うプロセスチャンバである「PM3」を選択する。また、プロセスチャンバPM3のプロセスレシピ名称の入力欄には、QCチェックを行うプロセスレシピの名称である「QCチェックA」を入力する。
【0029】
また、プロセスチャンバPM3で生産用のウエハWを処理する場合、設定画面120の各欄に対し、図4に示すように入力する。例えば、シーケンスレシピ名称の入力欄には、プロセスチャンバPM3にて生産を行うレシピの名称である「PM3−生産」を入力する。また、基板の選択欄では、「Product」を選択する。また、プロセスチャンバの指定欄では、生産を行うプロセスチャンバである「PM3」を選択する。また、プロセスチャンバPM3のプロセスレシピ名称の入力欄には、生産を行うプロセスレシピの名称である「ProductA」を入力する。
【0030】
また、全てのプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4で生産用のウエハWを処理する場合、設定画面120の各入力欄に対し、図5に示すように入力する。例えば、シーケンスレシピ名称の入力欄には、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4にて生産を行うレシピの名称である「ALL」を入力する。また、基板の選択欄では、「Product」を選択する。また、プロセスチャンバの指定欄では、生産を行うプロセスチャンバである「PM1」,「PM2」,「PM3」,「PM4」を全て選択する。また、プロセスチャンバPM1〜4のプロセスレシピ名称の入力欄には、生産を行うレシピの名称である「ProductA」をそれぞれ入力する。このとき、プロセスチャンバ毎にプロセスレシピを変えて設定することもできる。図示はしないが、例えば、プロセスチャンバPM1,PM2のプロセスレシピ名称の入力欄に上述の「ProductA」をそれぞれ入力し、プロセスチャンバPM3,PM4のプロセスレシピ名称の入力欄に「ProductB」をそれぞれ入力することもできる。また、図示はしないが、二つのプロセスチャンバもしくは三つのプロセスチャンバを生産モードで運用するように、「PM1」,「PM2」,「PM3」,「PM4」のうちの二つもしくは三つを選択して指定することも可能である。
【0031】
(2)基板処理工程
続いて、本実施形態にかかる基板処理装置により実施される基板処理工程の一例について、図6、図7を用いて説明する。
【0032】
図6は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置にて実施される基板処理工程のフローチャートである。図7は本発明の一実施形態にかかる基板処理工程における制御手段の動作を例示する概略図である。なお、図7に示す破線は、基板処理装置内におけるメッセージの送受信を示している。
【0033】
図6および図7に示すように、まず、操作部100から統括制御コントローラ90へ、基板処理の開始を指示する動作命令M1を、LAN80を介して送信させる(S1)。
【0034】
動作命令M1を受信した統括制御コントローラ90は、ゲートバルブG5,G8を閉じ、ゲートバルブG6,G7を開き、真空搬送室TM、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4内を真空排気する。次に、統括制御コントローラ90は、大気搬送室LM内が略大気圧になるように大気搬送室LM内にクリーンエア(清浄な空気)を供給する。そして、図示しない搬送装置により、複数枚の未処理のウエハWを収納したポッドPD1が、ロードポートLP1上に載置される(S2)。
【0035】
続いて、統括制御コントローラ90は、ロードポートLP1に載置されたポッドPD1内の基板位置P1に収納されているウエハWを、大気搬送ロボットARにより大気搬送室LM内に搬送させ、オリフラ合わせ装置OFA上の基板位置P2に設置させ、結晶方位の位置合わせ等を実施させる(S3)。
【0036】
続いて、統括制御コントローラ90は、大気搬送ロボットARにより、基板位置P2に設置されているウエハWをピックアップさせ、バキュームロックチャンバVL1内に搬送させ、バッファステージST1上の基板位置P3に設置させる。そして、統括制御コントローラ90は、ゲートバルブG7を閉じて、バキュームロックチャンバVL1内部を真空排気する(S4)。
【0037】
バキュームロックチャンバVL1が所定の圧力まで減圧したら、統括制御コントローラ90は、ゲートバルブG7を閉じたまま、ゲートバルブG5を開ける。そして、統括制御コントローラ90は、真空搬送ロボットVRにより、基板位置P3に設置されているウエハWをピックアップさせ、プロセスチャンバPM1内に搬送させ、基板位置P4に設置させる(S5)。
【0038】
プロセスチャンバPM1内にウエハWが搬入されたら、統括制御コントローラ90は、基板処理レシピの進行開始を指示する動作命令M2を、LAN80を介してプロセスモジュールコントローラ91に送信する(S6)。
【0039】
プロセスモジュールコントローラ91は、プロセスチャンバPM1内に処理ガスを供給させ、ウエハWに対して所定の処理(成膜処理など)を実施する(S7)。
【0040】
ウエハWへの処理が完了したら、プロセスモジュールコントローラ91は、ウエハWへの処理が完了したことを示す動作報告M3を、LAN80を介して統括制御コントローラ90に送信する(S8)。
【0041】
動作報告M3を受信した統括制御コントローラ90は、ゲートバルブG7を閉じたまま、ゲートバルブG5を開け、真空搬送ロボットVRにより、基板位置P4に設置されている処理済のウエハWをピックアップさせ、バキュームロックチャンバVL2内に搬送させる。
【0042】
バッファステージST2上の基板位置P10へ処理済のウエハWを配置させた後、統括制御コントローラ90は、ゲートバルブG6を閉め、バキュームロックチャンバVL2内にクリーンガスを供給してバキュームロックチャンバVL2内を略大気圧に戻し、ゲートバルブG8を開ける(S9)。また、このとき図示しない冷却機構によりウエハWを冷却する。
【0043】
続いて、統括制御コントローラ90は、大気搬送ロボットARにより、基板位置P10に設置されている処理済みのウエハWをピックアップさせ、ロードポートLP3に載置されたポッドPD3に搬送して空きスロットに収納させる(S10)。
【0044】
以後、上記の工程を繰り返し、全ての未処理のウエハWについて自動搬送処理を実施したら、統括制御コントローラ90は、処理済みウエハWを収納したポッドPD3をロードポートLP3から搬出する。そして、統括制御コントローラ90は、操作者に指示された基板処理の実施が完了した旨を示す動作報告M4を、LAN80を介して操作部100に送信し、基板処理を終了する(S11)。
【0045】
なお、上述の工程S1〜S11において、プロセスモジュールコントローラ(PMC1,PMC2,PMC3,PMC4)91,92,93,94から発信されるモニタデータやアラーム(メッセージM5)は、統括制御コントローラ90を経由することなく、操作部100へと直接送信される。
【0046】
また上記説明では、プロセスチャンバPM1について説明したが、他のプロセスチャンバPM2,PM3,PM4についても、プロセスチャンバPM1と同様にウエハWの処理を行うことが可能になっている。
【0047】
(3)メンテナンス工程から生産工程
続いて、本実施形態にかかる基板処理装置により実施されるメンテナンス工程から生産工程までの一例について、図8、図9を用いて説明する。
【0048】
図8は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置にて実施されるメンテナンス工程から生産工程におけるフローチャートである。図9は、本発明の一実施形態にかかるメンテナンス工程から生産工程における基板処理装置の動作を例示する概略図である。なお、図9に示す破線は、基板処理装置内におけるメッセージの送受信を示している。
【0049】
生産用のウエハWを所定回数処理したプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4では、内部の汚染具合などに応じて適宜メンテナンスが実施される。メンテナンスは、真空搬送室TMからプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4を切り離さずに実施される。このメンテナンスの対象となるのは、例えば、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4の壁面へのガス分子や反応生成物の付着等による真空到達度の軽度の劣化、センサ面の汚れの軽度の付着により感度の低下による異常発生を知らせるアラームの誤作動、等である。真空到達度の軽度の劣化や汚れの軽度の付着を解消するメンテナンス方法としては、プラズマクリーニング、エッチングによるクリーニング、等があげられる。ここでいう軽度とは、クリーニングによって解消できるレベルのことをいう。またメンテナンスには、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4を真空搬送室TMから取り外して行うメンテナンスも含まれる。なお、プロセスチャンバPM1〜PM4を真空搬送室TMから切り離さずにメンテナンスを行う利点としては、プロセスチャンバPM1〜PM4の取り外し作業および取り付け作業を行う必要がなく、メンテナンス時間を短縮できることがあげられる。仮にプロセスチャンバPM1〜PM4を取り外してメンテナンス作業を行うと、プロセスチャンバPM1〜PM4の取り外し作業および取り付け作業が必要になり、メンテナンス時間が長くかかることになる。
【0050】
(メンテナンスモード移行命令の送信(S21))
例えばプロセスチャンバPM3のメンテナンスを実施するには、操作者は、表示装置110の表示部115に設定画面120を呼び出し、シーケンスレシピ名称の入力欄に「PM3−メンテナンス」を入力する。また、プロセスチャンバの指定欄では、メンテナンスを実行するプロセスチャンバである「PM3」を選択する。また、プロセスチャンバPM3のプロセスレシピ名称の入力欄に、実行するメンテナンスのプロセスレシピ名称として「メンテナンスA」を入力する。
【0051】
その結果、操作部100から統括制御コントローラ90へ、メンテナンスモードへの移行命令M11が、LAN80を介して送信される。なお、移行命令M11を受信した統合制御コントローラ90は、メンテナンス処理が完了する迄(後述する動作報告M13を受信する迄)、プロセスチャンバPM3についてのQCモードや生産モードへの移行命令を操作部100から受信した場合に、この命令を拒絶するように構成されている。
【0052】
(メンテナンス処理の実施(S22))
統括制御コントローラ90は、プロセスモジュールコントローラ93に対して指令を送信し、ゲートバルブG3を閉じさせる。また、統合制御コントローラ90は、真空搬送ロボットVRに対して、「メンテナンスモード」が指定されたプロセスチャンバPM3内へのウエハWの搬送を禁止する真空搬送ロボット動作命令RM1を送信する。真空搬送ロボット動作命令RM1を受信した真空搬送ロボットVRは、プロセスチャンバPM3内へのウエハW(生産用のウエハWおよびQCチェック用のウエハW)の搬送ができなくなる。これによって、プロセスチャンバPM3のメンテナンスが可能になる。なお、動作命令M11を受信した時に、予めウエハ有無センサ(図示しない)によってプロセスチャンバPM3内にウエハWが入っていることが検知されている場合は、プロセスチャンバPM3内の雰囲気を真空搬送室TMと同等の真空雰囲気とした後、ゲートバルブG3を開放して、真空搬送ロボットVRによりウエハWを取り出しておく。
【0053】
そして、統括制御コントローラ90は、メンテナンスのプロセスレシピである「メンテナンスA」の進行開始を指示する動作命令M12を、LAN80を介してプロセスモジュールコントローラ93に送信する。動作命令M12を受信したプロセスモジュールコントローラ93は、プロセスチャンバPM3に所定のメンテナンス処理(例えばプラズマクリーニング処理、エッチングによるクリーニング処理など)を実施させる。
【0054】
メンテナンス処理が完了したら、プロセスモジュールコントローラ93は、メンテナンス処理が完了したことを示す動作報告M13を、LAN80を介して統括制御コントローラ90に送信する。動作報告M13を受信した統括制御コントローラ90は、メンテナンスが終了したことを示す動作報告M14を、LAN80を介して操作部100に送信して、表示部115にその旨を表示させる。なお、表示とともに音でメンテナンスが終了したことを知らせるようにしてもよい。
【0055】
(メンテナンス解除及びシーケンスレシピ実行の動作命令の送信(S23,S24))
操作者は、メンテナンスの終了を確認した後、表示装置110の表示部115に設定画面120(前記図3参照)を呼び出し、設定画面120の各欄に対し、図3に示すように入力する。すなわち、シーケンスレシピ名称の入力欄に、プロセスチャンバPM3にてQCチェックを行うレシピの名称である「PM3−QCチェック」を入力する。また、基板の選択欄では、「Monitor」を選択する。また、プロセスチャンバの指定欄では、QCチェックを行うプロセスチャンバである「PM3」を選択する。また、プロセスチャンバPM3のプロセスレシピ名称の入力欄には、QCチェックを行うプロセスレシピの名称である「QCチェックA」を入力する。
【0056】
その結果、操作部100から統括制御コントローラ90へ、メンテナンスモードの解除(すなわちQCモードの開始)を指示する動作命令、及び設定画面120で入力されたシーケンスレシピ「PM3−QCチェック」実行の動作命令M15が、LAN80を介して送信される。これにより、プロセスチャンバPM3の動作モードが「メンテナンスモード」から「QCモード」へ移行され、シーケンスレシピ「PM3−QCチェック」の実行が開始される。なお、動作命令M15を受信した統括制御コントローラ90は、シーケンスレシピ「PM3−QCチェック」の実行が完了する迄(後述する動作報告M17を受信する迄)、プロセスチャンバPM3についてのQCモードや生産モードへの移行命令を操作
部100から受信した場合に、この要求を拒絶するように構成されている。
【0057】
(真空搬送ロボット動作命令の送信(S25))
動作命令M15を受信した統括制御コントローラ90は、真空搬送ロボットVRに対して、「QCモード」が指定されたプロセスチャンバPM3内への生産用のウエハWの搬送を禁止しつつ、QCチェック用のウエハWの搬送を許可する真空搬送ロボット動作命令RM2を送信する。
【0058】
真空搬送ロボット動作命令RM2を受信した真空搬送ロボットVRは、プロセスチャンバPM3内への生産用のウエハWの搬送ができなくなり、QCチェック用のウエハWの搬送が可能になる。そして、真空搬送ロボットVRは、QCチェック用のウエハWをプロセスチャンバPM3に搬送するよう、前記図6を参照して説明したウエハ搬送の手順でQCチェック用のウエハWを搬送する。すなわち、上述したロードポートへのポッドの載置(S2)、大気搬送室への搬送(S3)、バキュームロックチャンバへの搬送(S4)、プロセスチャンバへの搬送(S5)を順に実施する。
【0059】
(QCモードのプロセスレシピ動作命令の送信(S26))
プロセスチャンバPM3内にQCチェック用のウエハWが搬入されたら、統括制御コントローラ90は、プロセスレシピ「QCチェックA」の進行開始を指示する動作命令M16を、LAN80を介してプロセスモジュールコントローラ93に送信する。
【0060】
(QCチェック用のウエハの処理(S27))
動作命令M16を受信したプロセスモジュールコントローラ93は、プロセスチャンバPM3にプロセスレシピ「QCチェックA」を実施させ、QCチェック用のウエハWを処理(例えば、成膜等)させる。
【0061】
(動作報告の送信(S28))
QCチェック用のウエハWへの処理が完了したら、プロセスモジュールコントローラ93は、QCチェック用のウエハWへの処理が完了したことを示す動作報告M17を、LAN80を介して統括制御コントローラ90に送信する。動作報告M17を受信した統括制御コントローラ90は、QCチェック用のウエハWへの処理が終了したことを示す動作報告M18を、LAN80を介して操作部100に送信して、表示部115にその旨を表示させる。なお、表示とともに音で処理が終了したことを知らせるようにしてもよい。
【0062】
(真空搬送ロボット動作命令の送信(S29))
動作命令M17を受信した統括制御コントローラ90は、真空搬送ロボットVRに対して、処理が完了したQCチェック用のウエハWを搬出する真空搬送ロボット動作命令RM3を送信する。QCチェック用のウエハWを搬出するには、前記図6を参照して説明したウエハ搬送の手順で行う。すなわち、上述したバキュームロックチャンバへの搬送(S9)、ロードポートに載置されたポッドへの格納(S10)を順に実施する。
【0063】
(ウエハのスペックチェック(S30))
処理後のQCチェック用のウエハWの品質を検査する。品質検査は、一例として、QCチェック用のウエハW上に成膜された膜の膜厚測定や、QCチェック用のウエハWに付着したパーティクル数の測定等を実施する。品質検査は、QCチェック用のウエハWを基板処理装置の外部に取り出して実施してもよく、プロセスチャンバ内で実施してもよい。
【0064】
(QCモード解除及びシーケンスレシピ実行の動作命令の送信(S31,S32))
検査の結果、QCチェック用のウエハW上に成膜された膜の膜厚や、その膜の表面に存在するパーティクル数等が、所定のスペック内に入っていなかった場合(S30で「No
」の場合、操作者は、上述のメンテナンスモード移行命令の送信(S21)から再度実施する。
【0065】
また、検査の結果、所定のスペック内に入っていた場合(S30で「Yes」の場合)、操作者は、表示装置110の表示部115に設定画面120(前記図3参照)を呼び出し、設定画面120の各欄に対し、図4に示すように入力する。すなわち、シーケンスレシピ名称の入力欄に、プロセスチャンバPM3にて生産を行うレシピの名称である「PM3−生産」を入力する。また、基板の選択欄では、「Product」を選択する。また、プロセスチャンバの指定欄では、生産を行うプロセスチャンバである「PM3」を選択する。また、プロセスチャンバPM3のプロセスレシピ名称の入力欄に、生産を行うプロセスレシピの名称である「ProductA」を入力する。
【0066】
その結果、操作部100から統括制御コントローラ90へ、QCモードの解除(すなわち生産モードの開始)を指示する動作命令、及び設定画面120で入力されたシーケンスレシピ「PM3−QCチェック」実行の動作命令M19が、LAN80を介して送信される。これにより、プロセスチャンバPM3の動作モードが「QCモード」から「生産モード」へ移行され、シーケンスレシピ「PM3−生産」の実行が開始される。なお、動作命令M19を受信した統括制御コントローラ90は、生産モードの実行が完了する迄(後述する動作報告M20を受信する迄)、プロセスチャンバPM3についてのメンテナンスモードやQCモードへの移行命令を操作部100から受信した場合に、この命令を拒絶するように構成されている。このように「QCモード」から「生産モード」への切り替えは、設定画面120上での画面操作からのみ可能とする。したがって、操作者の介在なしに「生産モード」に移行することはない。
【0067】
(真空搬送ロボット動作命令の送信(S33))
動作命令M19を受信した統括制御コントローラ90は、真空搬送ロボットVRに対して、「生産モード」が指定されたプロセスチャンバPM3内への生産用のウエハWの搬送を許可する真空搬送ロボット動作命令RM4を送信する。
【0068】
真空搬送ロボット動作命令RM4を受信した真空搬送ロボットVRは、プロセスチャンバPM3内へ生産用のウエハWの搬送が可能になる。そして、統括制御コントローラ90は、生産用のウエハWをプロセスチャンバPM3にも搬送するよう、前記図6を参照して説明したウエハWの搬送手順で生産用のウエハWを搬送する。すなわち、上述したロードポートへのポッドの載置(S2)からプロセスチャンバへの搬送(S5)を実行する。
【0069】
(生産モードのプロセスレシピ動作命令の送信(S34))
プロセスチャンバPM3内に生産用のウエハWが搬入されたら、統括制御コントローラ90は、生産レシピの進行開始を指示する動作命令M20を、LAN80を介してプロセスモジュールコントローラ93に送信する。
【0070】
(生産用のウエハの処理(S35))
動作命令M20を受信したプロセスモジュールコントローラ93は、プロセスチャンバPM3にプロセスレシピ「ProductA」を実行させ、生産用ウエハWを処理(例えば、成膜等)させる。
【0071】
(動作報告の送信(S36))
生産用のウエハWへの処理が完了したら、プロセスモジュールコントローラ93は、生産用のウエハWへの処理が完了したことを示す動作報告M20を、LAN80を介して統括制御コントローラ90に送信する。動作報告M20を受信した統括制御コントローラ90は、生産用のウエハWへの処理が終了したことを示す動作報告M21を、LAN80を
介して操作部100に送信して、表示部115にその旨を表示させる。なお、表示とともに音で処理が終了したことを知らせるようにしてもよい。
【0072】
(真空搬送ロボット動作命令の送信(S37))
動作命令M22を受信した統括制御コントローラ90は、真空搬送ロボットVRに対して、処理が完了した生産用のウエハWを搬出する真空搬送ロボット動作命令RM5を送信する。そして、生産用のウエハWを搬出するには、前記図6を参照して説明したウエハ搬送の手順で行う。すなわち、生産用のウエハWに対して、「バキュームロックチャンバへの搬送」S9、「ロードポートに載置されたポッドへの格納」S10を順に実施する。
【0073】
以上説明したように、本発明の基板処理装置では、図10に示すように、動作モードとして、「メンテナンスモード」および「生産モード」の他に「QCモード」を有する。そして、「メンテナンスモード」が指定されたプロセスチャンバに対しては、ウエハWの搬送が禁止される。また「QCモード」が指定されたプロセスチャンバに対しては、生産用のウエハWの搬送が禁止され、QCチェック用のウエハWの搬送が許可される。さらに、「生産モード」が指定されたプロセスチャンバに対しては、QCチェック用のウエハWの搬送が禁止され、生産用のウエハWの搬送が許可される。したがって、QCチェック中のプロセスチャンバに生産用のウエハWが搬送されることはない。また生産工程を実施中のプロセスチャンバにQCチェック用のウエハWが搬送されることはない。なお、従来の基板処理装置では、「メンテナンスモード」および「生産モード」のみで、メンテナンス、QCチェックおよび生産を運用していた。
【0074】
(4)自動運転中のプロセスチャンバの運用方法
次に、自動運転中のプロセスチャンバの運用方法の一例を図11ないし図13を参照して以下に説明する。
【0075】
(全プロセスチャンバを運用する場合)
図11に示すように、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4の全てを運用するシーケンスレシピの指示を受けた場合には、例えば、プロセスチャンバPM1→プロセスチャンバPM2→プロセスチャンバPM3→プロセスチャンバPM4→プロセスチャンバPM1→プロセスチャンバPM2→プロセスチャンバPM3→プロセスチャンバPM4の順にプロセスチャンバを使用してウエハ処理を実行する。上記各ウエハ処理の実行は、前記図6を参照して説明した基板処理工程に基づく。なお、ゲートバルブG1〜G8の開閉動作は、前記説明した基板処理工程と同様であるので以下の説明では省略する。
【0076】
まず、大気搬送ロボットARにより、ポッドPD1に格納されている生産用の基板としてのウエハWを大気搬送室LM内に取り出し(矢印U1)、オリフラ合わせ装置OFAの基板位置P2に移行して載置し(矢印U1A)、ウエハWの位置決めをする。続いて大気搬送ロボットARにより、基板位置P2のウエハWをピックアップし、大気搬送室LM(矢印U1B)からほぼ大気圧状態としてあるバキュームロックチャンバVL1の基板位置P3に移行して載置する(矢印U2)。そしてバキュームロックチャンバVL1をほぼ真空状態として、真空搬送ロボットVRによって、基板位置P3からウエハWをピックアップし、ほぼ真空状態にした真空搬送室TMを通して(矢印U3)、ほぼ真空状態にしたプロセスチャンバPM1の基板位置P4に搬送して載置する(矢印U4)。そしてプロセスチャンバPM1でウエハ処理を実行する。プロセスチャンバPM1でウエハ処理が実行されている間に、上述したのと同様にして、ポッドPD1からプロセスチャンバPM2の基板位置P5に別のウエハWを搬送して載置し(矢印U5)、ウエハ処理を実行する。続いてプロセスチャンバPM1,PM2でのウエハ処理が実行されている間に、上述したのと同様にして、ポッドPD1からさらに別のウエハWをプロセスチャンバPM3の基板位置P6にウエハを搬送して載置し(矢印U6)、ウエハ処理を実行する。さらに続いてプロ
セスチャンバPM1,PM2,PM3でのウエハ処理が実行されている間に、上述したのと同様にして、ポッドPD1からさらに別のウエハWをプロセスチャンバPM4の基板位置P7にウエハWを搬送して載置し(矢印U7)、ウエハ処理を実行する。上述の説明では、バキュームロックチャンバVL1を用いたが、バキュームロックチャンバVL2を用いてもよい。すなわち、ウエハWを搬送する時点で使用可能なバキュームロックチャンバVL1、VL2を選択して用いることが可能になっている。
【0077】
所定のウエハ処理が終了したら、終了したプロセスチャンバからウエハWを搬出する。通常、各プロセスチャンバPM1ないしPM4が同一のシーケンスレシピが実行されている場合には、ウエハ処理時間はほぼ同一となる。したがって、最初にウエハWが搬送されたプロセスチャンバPM1で最初にウエハ処理が終了するので、まず真空搬送ロボットVRにより、基板位置P4に載置されている処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに通して(矢印D1)、ほぼ真空状態にしたバキュームロックチャンバVL2の基板位置P10に搬送し載置する(矢印D5)。そしてバキュームロックチャンバVL2をほぼ大気圧状態として、大気搬送ロボットVRによって、基板位置P10からウエハWをピックアップし、大気搬送室LMを通して(矢印D6)、ポッドPD1の空いている所定のスロットに格納する(矢印D7)。続いて、真空搬送ロボットVRにより、上述したのと同様にして、処理が終了するプロセスチャンバPM2の基板位置P5から処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに(矢印D2)搬出する。その後は、上述したのと同様にして、バキュームロックチャンバVL2を通してポッドPD1に格納する(矢印D5、D6、D7)。続いて真空搬送ロボットVRにより、上述したのと同様にして、処理が終了するプロセスチャンバPM3の基板位置P6から処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに(矢印D3)搬出し、バキュームロックチャンバVL1を通してポッドPD1の空いているスロットに格納する。続いて真空搬送ロボットVRにより、上述したのと同様にして、処理が終了するプロセスチャンバPM4の基板位置P7から処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに(矢印D4)搬出し、バキュームロックチャンバVL1を通してポッドPD1の空いているスロットに格納する。なお、処理済みのウエハは、最初に取り出したポッドPD1に戻さず、別のポッドPD2もしくはポッドPD3に搬送して格納してもよい。
【0078】
(4台中3台を運用する場合)
図12に示すように、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4のうち、プロセスチャンバPM1,PM2,PM4の3台を運用するシーケンスレシピの指示を受けた場合には、例えば、プロセスチャンバPM1→プロセスチャンバPM2→プロセスチャンバPM4→プロセスチャンバPM1→プロセスチャンバPM2→プロセスチャンバPM4→の順にプロセスチャンバを使用してウエハ処理を実行する。各ウエハ処理は、前記図6を参照して説明した基板処理工程に基づく。また、プロセスチャンバを運用するシーケンスレシピの指示を受けていないプロセスチャンバPM3は、例えば、休止されているか、メンテナンスが実行される。なお、ゲートバルブG1〜G8の開閉動作は、前記説明した基板処理工程と同様であるので以下の説明では省略する。
【0079】
まず、大気搬送ロボットARにより、ポッドPD1に格納されている生産用の基板としてのウエハWを大気搬送室LM内に取り出し(矢印U1)、オリフラ合わせ装置OFAの基板位置P2に移行して載置し(矢印U1A)、ウエハWの位置決めをする。続いて大気搬送ロボットARにより、基板位置P2のウエハWをピックアップし、大気搬送室LM(矢印U1B)からほぼ大気圧状態としてあるバキュームロックチャンバVL1の基板位置P3に移行して載置する(矢印U2)。そしてバキュームロックチャンバVL1をほぼ真空状態として、真空搬送ロボットVRによって、基板位置P3からウエハWをピックアップし、ほぼ真空状態にした真空搬送室TMを通して(矢印U3)、ほぼ真空状態にしたプロセスチャンバPM1の基板位置P4に搬送して載置する(矢印U4)。そしてプロセス
チャンバPM1でウエハ処理を実行する。プロセスチャンバPM1でウエハ処理が実行されている間に、上述したのと同様にして、ポッドPD1からプロセスチャンバPM2の基板位置P5に別のウエハを搬送して載置し(矢印U5)、ウエハ処理を実行する。続いてプロセスチャンバPM1,PM2でのウエハ処理が実行されている間に、上述したのと同様にして、ポッドPD1からさらに別のウエハWをプロセスチャンバPM4の基板位置P7にウエハWを搬送して載置し(矢印U7)、ウエハ処理を実行する。上述の説明では、バキュームロックチャンバVL1を用いたが、バキュームロックチャンバVL2を用いてもよい。すなわち、ウエハWを搬送する時点で使用可能なバキュームロックチャンバVL1、VL2を選択して用いることが可能になっている。
【0080】
所定のウエハ処理が終了したら、終了したプロセスチャンバからウエハWを搬出する。通常、各プロセスチャンバPM1,PM2,PM4が同一のシーケンスレシピが実行されている場合には、ウエハ処理時間はほぼ同一となる。したがって、最初にウエハWが搬送されたプロセスチャンバPM1で最初にウエハ処理が終了するので、まず真空搬送ロボットVRにより、基板位置P4に載置されている処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに通して(矢印D1)、ほぼ真空状態にしたバキュームロックチャンバVL2の基板位置P10に搬送し載置する(矢印D5)。そしてバキュームロックチャンバVL2をほぼ大気圧状態として、大気搬送ロボットVRによって、基板位置P10からウエハWをピックアップし、大気搬送室LMを通して(矢印D6)、ポッドPD1の空いている所定のスロットに格納する(矢印D7)。続いて、真空搬送ロボットVRにより、上述したのと同様にして、処理が終了するプロセスチャンバPM2の基板位置P5から処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに(矢印D2)搬出する。その後は、上述したのと同様にして、バキュームロックチャンバVL2を通してポッドPD1に格納する(矢印D5、D6、D7)。続いて真空搬送ロボットVRにより、上述したのと同様にして、処理が終了するプロセスチャンバPM4の基板位置P7から処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに(矢印D4)搬出し、バキュームロックチャンバVL1を通してポッドPD1の空いているスロットに格納する。なお、処理済みのウエハWを、最初に取り出したポッドPD1に戻さず、別のポッドPD2もしくはポッドPD3に搬送して格納してもよい。
【0081】
(4台中1台を運用する場合)
図13に示すように、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4のうち、プロセスチャンバPM2の1台のみを運用するシーケンスレシピの指示を受けた場合には、例えば、プロセスチャンバPM2のみを用いてウエハ処理を実行する。ウエハ処理は、前記図6を参照して説明した基板処理工程に基づく。また、プロセスチャンバを運用するシーケンスレシピの指示を受けていないプロセスチャンバPM1,PM3,PM4は、例えば、休止されているか、メンテナンスが実行される。なお、ゲートバルブG1〜G8の開閉動作は、前記説明した基板処理工程と同様であるので以下の説明では省略する。
【0082】
まず、大気搬送ロボットARにより、ポッドPD1に格納されている生産用の基板としてのウエハWを大気搬送室LM内に取り出し(矢印U1)、オリフラ合わせ装置OFAの基板位置P2に移行して載置し(矢印U1A)、ウエハWの位置決めをする。続いて大気搬送ロボットARにより、基板位置P2のウエハWをピックアップし、大気搬送室LM(矢印U1B)からほぼ大気圧状態としてあるバキュームロックチャンバVL1の基板位置P3に移行して載置する(矢印U2)。続いてバキュームロックチャンバVL1をほぼ真空状態として、真空搬送ロボットVRによって、基板位置P3からウエハWをピックアップし、ほぼ真空状態にした真空搬送室TMを通して(矢印U3)、ほぼ真空状態にしたプロセスチャンバPM2の基板位置P5に搬送して載置する(矢印U5)。そしてプロセスチャンバPM2でウエハ処理を実行する。上述の説明では、バキュームロックチャンバVL1を用いたが、バキュームロックチャンバVL2を用いてもよい。すなわち、ウエハW
を搬送する時点で使用可能なバキュームロックチャンバVL1、VL2を選択して用いることが可能になっている。
【0083】
所定のウエハ処理が終了したら、まず真空搬送ロボットVRにより、基板位置P5に載置されている処理済みのウエハWをピックアップし、真空搬送室TMに通して(矢印D2)、ほぼ真空状態にしたバキュームロックチャンバVL2の基板位置P10に搬送し載置する(矢印D5)。そしてバキュームロックチャンバVL2をほぼ大気圧状態として、大気搬送ロボットVRによって、基板位置P10からウエハWをピックアップし、大気搬送室LMを通して(矢印D6)、ポッドPD1の空いている所定のスロットに格納する(矢印D7)。なお、処理済みのウエハWは、最初に取り出したポッドPD1に戻さず、別のポッドPD2もしくはポッドPD3に搬送して格納してもよい。
【0084】
(5)複数の異なる動作モードのプロセスチャンバの同時運転
図14は、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4で自動運転中、プロセスチャンバPM3でエラーが発生したときに、プロセスチャンバPM1,PM2,PM4で生産を継続しながらプロセスチャンバPM3でメンテナンス作業を実施して、再度このプロセスチャンバPM3で生産用のウエハWへの処理が可能になるまでの流れを示した図面である。
【0085】
予め図5に示すように全てのプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4にプロセスレシピがそれぞれ設定されると、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4を使用する自動運転が実行される。そのとき、プロセスチャンバPM3でメンテナンスを実行する場合について、図14を用いて以下に説明する。
【0086】
(A)PM3のメンテナンス作業実施中
このとき、操作部100又は統括制御コントローラ90からメンテナンス移行命令があり、プロセスチャンバPM3の動作モードは「メンテナンスモード」に指定されている。したがって、生産用のウエハWは、矢印A1,A2,A4に示すように、真空搬送ロボットVRを用いてプロセスチャンバPM1,PM2,PM4に搬入され、所定の生産の処理が行われる。そして、所定の生産の処理が終了したウエハWは、矢印B1,B2,B4に示すように、真空搬送ロボットVRによって真空搬送室TM内に搬出される。また「メンテナンスモード」が指定されているプロセスチャンバPM3に対しては、生産用のウエハおよびQCチェック用のウエハの搬送が禁止されている。したがって、運用ミスによりメンテナンス中のプロセスチャンバPM3に生産用のウエハWよびQCチェック用のウエハが運ばれることはない。
【0087】
(B)PM3のメンテナンス作業完了
プロセスチャンバPM3のメンテナンス作業が完了した後、メンテナンスモードが解除されると、プロセスチャンバPM3は「QCモード」に移行し、QCチェックが実行される。このとき、生産用のウエハWの搬送が禁止され、QCチェック用のウエハWのみが搬送許可されている。したがって、運用ミスによりQCチェック未完了のプロセスチャンバPM3に生産用のウエハWが搬送されることない。
【0088】
(C)QCチェック用のウエハ処理の自動運転
続いて、表示部115に呼び出した設定画面120に、プロセスチャンバPM3にQCチェック用のウエハWを処理するシーケンスレシピ等を入力する。これにより、QCチェック用のウエハの処理の実行命令が統括制御コントローラ90をからプロセスモジュールコントローラ93に送信される。そしてプロセスモジュールコントローラ93によって指示されたQCチェック用のウエハWの処理(例えば成膜)がプロセスチャンバPM3で実行される。したがって、QCチェック用のウエハWは、矢印A3に示すように、真空搬送
ロボットVRを用いてプロセスチャンバPM3に搬入され、所定の処理が行われる。そして、所定の処理が終了したウエハWは、矢印B3に示すように、真空搬送ロボットVRによって真空搬送室TM内に搬出される。また生産用のウエハWは、矢印A1,A2,A4に示すように、真空搬送ロボットVRを用いてプロセスチャンバPM1,PM2,PM4に搬入され、所定の処理が行われる。そして、処理が終了したウエハWは、矢印B1,B2,B4に示すように、真空搬送ロボットVRによって真空搬送室TM内に搬出される。このように、生産用のウエハWの処理とQCチェック用のウエハの処理を同時に並行して、自動運転で処理することが可能となっている。このときも、「QCモード」が指定されているプロセスチャンバPM3に対しては、生産用のウエハWの搬送が禁止され、QCチェック用のウエハのみが搬送許可されている。したがって、運用ミスによりQCチェック未完了のプロセスチャンバPM3に生産用のウエハWが搬送されることはない。
【0089】
(D)QCチェック
QCチェック用のウエハ処理が終了した後、QCチェック用のウエハWに成膜した膜の品質検査を行う。検査項目としては、膜厚測定とパーティクル数測定があげられる。品質検査中のプロセスチャンバPM3の動作モードは「QCモード」のままであるが、プロセスチャンバPM1,PM2,PM4では「生産モード」で自動運転が継続的に実行されている。したがって、前述したのと同様に、プロセスチャンバPM1,PM2,PM4には生産用のウエハWが搬送され処理される。また「QCモード」が指定されているプロセスチャンバPM3に対しては、生産用のウエハWの搬送が禁止され、QCチェック用のウエハのみが搬送許可されている。したがって、運用ミスによりQCチェック未完了のプロセスチャンバPM3に生産用のウエハWは搬送されない。
【0090】
(E)生産モードに移行
品質検査の測定の結果が所定のスペックに入っていることを確認した後、QCモードが解除されると、プロセスチャンバPM3の動作モードが再度「生産モード」に移行し、プロセスチャンバPM1ないしPM4の全ての動作モードが「生産モード」になる。したがって、プロセスチャンバPM1ないしPM4には生産用のウエハWが搬送される。このときプロセスチャンバPM1ないしPM4に対しては、QCチェック用のウエハWの搬送が禁止され、生産用のウエハWのみが搬送許可されている。このため、運用ミスによりプロセスチャンバPM1ないしPM4に生産用以外のウエハWが搬送されることはない。なお、膜厚およびパーティクル数のいずれかでも所定のスペックに入っていない場合には、図示はしていないが、例えば、再度、プロセスチャンバのメンテナンスを実行する。
【0091】
(6)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0092】
(A)本実施形態にかかる動作モードは、処理室としてのプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4の保守点検を行う「メンテナンスモード」、保守点検後のプロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4で品質管理用の基板としてのQCチェック用のウエハWを処理する「QCモード」、および生産用の基板としての生産用のウエハを処理する「生産モード」を有する。したがって、QCチェックを実行するときに「QCモード」を選択してQCチェック用のウエハWを処理することが可能になる。また生産を実行するときに「生産モード」を選択して生産用のウエハWを処理することが可能になる。
【0093】
(B)本実施形態にかかる統合制御部としての統括制御コントローラ90は、「QCモード」が指定されたプロセスチャンバPM内への生産用のウエハWの搬送を禁止しつつ品質管理用の基板としてのQCチェック用のウエハWを搬送し、「生産モード」が指示されたプロセスチャンバPM内へのQCチェック用のウエハWの搬送を禁止しつつ生産用のウエハWを搬送するように、搬送機構としての真空搬送ロボットVRを制御する。したがって
「QCモード」が設定されているプロセスチャンバには、QCチェック用のウエハWのみが搬送されるようになり、「QCモード」が指定されているプロセスチャンバPMに対して生産用のウエハWが搬送されるのを防ぐことが可能になる。よって、自動運転中に生産用のウエハWがQCチェック中のプロセスチャンバPM内に搬入され処理されることがなくなるので、プロセスチャンバPMのロックアウト(使用不能状態になること)を回避することが可能になる。
【0094】
(C)本実施形態にかかる操作部100は、表示装置110を有する。そして表示装置110の表示部115には、動作命令としての「QCモード」、および「生産モード」で使用する基板を選択する設定画面120を表示させることができる。これによって、操作者は、QCチェック用のウエハWの搬送指定が可能となる。
【0095】
また、設定画面120は、生産モードを実行するプロセスチャンバPM1〜PM4のいずれかを指定する構成と、生産モードで実行するプロセスレシピを設定する構成と、を有する。これによって、操作者は、設定画面120から、プロセスチャンバPMの指定およびプロセスレシピの指定を行うことができる。
【0096】
操作部100は、選択された動作モードを含む所定の動作命令を統括制御コントローラ90に送信することができる。そして統括制御コントローラ90は、受信した動作命令をプロセスモジュールコントローラ91〜94に指示し、その動作命令に基づいてプロセスモジュールコントローラ91〜94は、それぞれの対応するプロセスチャンバPM1〜PM4にウエハ処理を実行させることができる。
【0097】
(D)本実施形態にかかる動作モードの選択では、一つのプロセスチャンバPMに一つの動作モードが選択され、かつ複数のプロセスチャンバPMに一つまたは複数の動作モードが同時に選択されるので、同時に異なる動作モードの指示を別々のプロセスチャンバで行うことが可能になる。すなわち、一部のプロセスチャンバPMにおいて「メンテナンスモード」や「QCモード」が選択されていても、他のプロセスチャンバPMにおいては生産を継続させることができる。これにより、基板処理装置の稼働率を向上させることができる。
【0098】
<本発明の他の実施形態>
基板処理装置は、上記の実施形態に示すような半導体基板を処理する半導体製造装置に限らず、LCD装置のようなガラス基板を処理する装置であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、熱処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、露光処理、不純物ドーピング等の処理であってもよい。また、処理室は、その内部に導入されたプラズマ、もしくはその内部で発生させたプラズマを利用して、処理室PM内に搬送された基板としてのウエハWに対して所定のプラズマ処理(例えばプラズマCVD処理、プラズマエッチング処理、プラズマアッシング処理、プラズマドーピング処理、等)を施すプラズマ処理室であってもよい。また、成膜処理は、例えばCVD、PVD、ALD等の処理、酸化膜、窒化膜、炭化膜、酸窒化膜等を形成する処理、有機膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。
【0099】
<本発明の好ましい態様>
以下に本発明の好ましい態様について付記する。
【0100】
本発明の第1の態様は、
基板を処理する複数の処理室と、
前記処理室に連通可能に接続された搬送室と、
前記搬送室内に設けられ、前記搬送室と前記処理室との間で前記基板を搬送する搬送機
構と、
前記各処理室に接続されて前記各処理室内の基板処理を制御する処理制御部と、
前記処理制御部に接続され、前記搬送機構の動作を制御する統合制御部と、
前記統合制御部及び前記処理制御部に接続され、前記統合制御部及び前記処理制御部に処理命令を送信すると共に、前記統合制御部を介して前記搬送機構から動作報告を受信し、前記処理制御部を介して前記処理室に設けられた処理機構から動作報告を受信する操作部と、
を備えた基板処理装置であって、
前記統合制御部は、指定された処理室内への生産用の前記基板の搬送を禁止しつつ品質管理用の基板を搬送すると共に、前記指定された処理室以外の処理室へ生産用の基板を搬送するように前記搬送機構を制御する基板処理装置である。
【0101】
本発明の第2の態様は、
前記操作部は、表示装置を有し、
前記表示装置には、前記処理室ごとに、前記メンテナンスモード、前記QCモード、および前記生産モードを選択する設定画面が表示される
第1の態様に記載した基板処理装置である。
【0102】
本発明の第3の態様は、
前記設定画面は、前記動作モードを実行する前記処理室を指定する構成と、
前記動作モードで実行されるプロセスレシピを設定する構成と、
を有する第2の態様に記載した基板処理装置である。
【0103】
本発明の第4の態様は、
一つの前記処理室に一つの前記動作モードが選択され、かつ複数の前記処理室に一つまたは複数の前記動作モードが同時に選択される
第1の態様ないし第3の態様のいずれか1つの態様に記載した基板処理装置である。
【0104】
本発明の第5の態様は、
前記統括制御部は、前記処理制御部を介して、複数の前記処理室のうちの少なくとも一つ以上に前記動作モードのうちの一つを指定し、かつその他の前記処理室は前記指定された動作モード以外の前記動作モードを指定し、
前記動作モードのうちの一つが指定された前記処理室で当該動作モードでの処理と、前記指定された動作モード以外の前記動作モードが指定された処理室で当該動作モードでの処理と、が実行される
第4の態様に記載した基板処理装置である。
【0105】
本発明の第6の態様は、
基板を処理する複数の処理室と、
前記処理室に連通可能に接続された真空搬送室と、
前記真空搬送室に連通可能に接続され減圧可能な予備室と、
前記予備室に連通可能に接続され、大気圧状態で前記基板が搬送される大気搬送室と、
前記大気搬送室に連通可能に接続され、前記基板を収納する基板収納容器を保持する基板収納部と、
前記真空搬送室内に設けられ、前記予備室との間で前記基板を搬送する真空搬送機構と、
前記大気搬送室内に設けられ、前記予備室と前記基板収納部との間で前記基板を搬送する大気搬送機構と、
前記処理室に接続され、記処理室の動作を制御する処理制御部と、
前記処理制御部に接続され、前記処理制御部を介して前記処理室の動作を制御すると共
に、前記真空搬送機構および前記大気搬送機構に接続されてそれぞれの搬送動作を制御する統合制御部と、
前記統合制御部に接続可能に構成され、前記統合制御部を介して前記処理制御部に動作命令を送信すると共に、前記統合制御部を介して前記処理制御部から動作報告を受信する操作部と、
を備えた基板処理装置であって、
前記処理室の動作モードは、前記処理室の保守点検を行うメンテナンスモード、保守点検後の前記処理室で品質管理用の前記基板を処理するQCモード、および生産用の前記基板を処理する生産モードを有し、
前記操作部には前記動作命令として選択された前記動作モードが入力され、
前記統合制御部を介して前記処理制御部に前記選択された動作モードが指示され、
前記統合制御部は、前記メンテナンスモードが指定された前記処理室内への前記基板の搬送を禁止し、前記QCモードが指定された前記処理室内への生産用の前記基板の搬送を禁止しつつ品質管理用の前記基板を搬送し、前記生産モードが指示された前記処理室内への品質管理用の前記基板の搬送を禁止しつつ生産用の前記基板を搬送するように前記真空搬送機構および前記大気搬送機構を制御する
基板処理装置である。
【0106】
本発明の第7の態様は、
搬送機構により処理室内に基板を搬送して処理する半導体装置の製造方法において、
保守点検を行うメンテナンスモードに前記処理室の動作モードを設定し、前記搬送機構による前記基板の前記処理室への搬送を禁止し、前記処理室のメンテナンスを可能にする工程と、
品質管理用の前記基板を処理するQCモードに前記処理室の動作モードを設定し、前記搬送機構による生産用の前記基板の搬送を禁止しつつ品質管理用の前記基板の搬送し、前記処理室内で品質管理用の前記基板を処理する工程と、
処理した品質管理用の前記基板の品質を検査し、前記品質が所定の品質を満たしていた場合に、生産用の前記基板を処理する生産モードに前記処理室の動作モードを設定し、前記搬送機構による品質管理用の前記基板の搬送を禁止しつつ生産用の前記基板を搬送し、前記処理室内で生産用の前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法である。
【0107】
本発明の第8の態様は、
処理した品質管理用の前記基板の品質の検査は、前記基板上に成膜された膜の膜厚測定と、前記基板に付着したパーティクル数の測定とを有する
第7の態様に記載した半導体装置の製造方法である。
【符号の説明】
【0108】
W ウエハ(基板)
PM1 プロセスチャンバ(処理室)
PM2 プロセスチャンバ(処理室)
PM3 プロセスチャンバ(処理室)
PM4 プロセスチャンバ(処理室)
PMC1 プロセスモジュールコントローラ(処理制御部)
PMC2 プロセスモジュールコントローラ(処理制御部)
PMC3 プロセスモジュールコントローラ(処理制御部)
PMC4 プロセスモジュールコントローラ(処理制御部)
90 統括制御コントローラ(統合制御部)
100 操作部
110 表示装置
115 表示部
120 設定画面
RM1 真空搬送ロボット動作命令
RM2 真空搬送ロボット動作命令
RM3 真空搬送ロボット動作命令
RM4 真空搬送ロボット動作命令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する複数の処理室と、
前記処理室に連通可能に接続された搬送室と、
前記搬送室内に設けられ、前記搬送室と前記処理室との間で前記基板を搬送する搬送機構と、
前記各処理室に接続されて前記各処理室内の基板処理を制御する処理制御部と、
前記処理制御部に接続され、前記搬送機構の動作を制御する統合制御部と、
前記統合制御部及び前記処理制御部に接続され、前記統合制御部及び前記処理制御部に処理命令を送信すると共に、前記統合制御部を介して前記搬送機構から動作報告を受信し、前記処理制御部を介して前記処理室に設けられた処理機構から動作報告を受信する操作部と、
を備えた基板処理装置であって、
前記統合制御部は、指定された処理室内への生産用の前記基板の搬送を禁止しつつ品質管理用の基板を搬送すると共に、前記指定された処理室以外の処理室へ生産用の基板を搬送するように前記搬送機構を制御する
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−181771(P2011−181771A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45764(P2010−45764)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】