基板収納状態検出装置及び基板収納状態検出方法
【課題】基板収納容器の各スロットに収納されている基板の収納状態を定量的に表す指標として少なくとも基板の飛び出し量及び基板の垂れ量を簡易な構成で速やかに検出する。
【解決手段】基板11の配列方向及び基板11の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている基板11の開口部19側の端部の画像を撮像する撮像手段3と、撮像手段3により撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている基板11の収納状態を定量的に表す指標として、所定の収納位置から開口部19の前方へと飛び出している基板11の飛び出し量と開口部19側の端部が垂れている基板11の垂れ量とを検出するとともに、検出された基板11の飛び出し量及び垂れ量を出力する基板収納状態検出手段61と、を備える基板収納状態検出装置。
【解決手段】基板11の配列方向及び基板11の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている基板11の開口部19側の端部の画像を撮像する撮像手段3と、撮像手段3により撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている基板11の収納状態を定量的に表す指標として、所定の収納位置から開口部19の前方へと飛び出している基板11の飛び出し量と開口部19側の端部が垂れている基板11の垂れ量とを検出するとともに、検出された基板11の飛び出し量及び垂れ量を出力する基板収納状態検出手段61と、を備える基板収納状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収納状態検出装置及び基板収納状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等といった薄型平板形状の基板(以下、基板という)を製造工場等の所定の場所で搬送する際に、複数の基板を基板収納容器(以下、カセットという)に設けられた各スロット(棚)に収納した上で各工程間を搬送することが通常行われている。また、各工程においては、カセットの各スロットから基板を1枚ずつ搬出・移載して所定の基板処理を施した後、元のスロットに搬入することが行われている。
【0003】
上記のようなカセットの各スロットから基板搬出が行われる基板搬出システムとしては、例えば、半導体製造工場のクリーンルームにおけるFOUP(Front-Opening Unified Pod)システムが挙げられる。FOUPシステムとは、省エネルギー化や多品種少量生産に対応したフレキシビリティの確保といった要請により、ミニエンバイロメント方式と呼ばれる局所清浄化技術を具現化したものである。なお、ミニエンバイロメント方式とは、クリーンルーム全体の清浄度を上げるのではなく、ウェハが裸の状態で環境に晒される装置周りの清浄度を上げることで、局所的にクリーン度の高い環境を作る方式のことである。
【0004】
図14は、FOUPシステムを説明するための図である。FOUPシステムは、天井に複数のFFU(Fan Filter Unit)101が設けられた半導体製造工場のクリーンルーム内において、ウェハ(半導体基板)100が収納される正面開口式かつ密閉型のカセットであるFOUP(Front-Opening Unified Pod)102と、カセット102を載置してミニエンバイロメント筐体104に搬送するFOUP搬送装置103と、ミニエンバイロメント筐体104と、ミニエンバイロメント筐体104内に収納されており、FOUP搬送装置103により搬送されてきたカセット102からウェハ100を一枚ずつ搬出して半導体製造装置105の所定位置に搬送するロボット109と、ロボット109の動作を制御するロボット制御装置110と、ロボット109により移載されたウェハ100に対して所定の基板処理(熱処理、拡散処理等)を施す半導体製造装置105と、により構成されている。なお、ミニエンバイロメント筐体104の天井にはFFU(Fan Filter Unit)106が設けられ、このFFU106により筐体内を筐体外よりも高清浄度とするミニエンバイロメントを実現している。また、ミニエンバイロメント筐体104の両側面においては、カセット102を筐体外から筐体内に導入するための扉部107と、ロボット109によりカセット102から搬出されたウェハ100を筐体内から半導体製造装置105に搬送するための扉部108と、が設けられている。
【0005】
ところで、FOUP搬送装置103によるカセット102の搬送中に起きる振動等によって、カセット102内でウェハ100の位置ずれ、つまり、カセット102の所定の収納位置からウェハ100の飛び出しが生じ得る。そこで、ロボット制御装置110は、カセット102からウェハ100を搬出する前に、カセット102内のウェハ100の収納状態を検出して予め把握しておく必要がある。
【0006】
ところで、ウェハの飛び出しの検出に関する技術として、例えば以下の特許文献1、2のような技術がある。
【0007】
特許文献1には、カセットの開口面側に投光ヘッドと受光ヘッドとを上下に対向配置し、両ヘッド間には、スクリーン状の光ビームを形成し、これをカセットから飛び出したウェハが遮ることに基づき飛び出しを検出する、ことが開示されている。
【0008】
特許文献2には、ウェハ搬送装置に設置された距離測定センサで、ウェハ搬送装置とカセット内又はボート上のウェハまでの距離を測定し、ウェハの位置ずれを検出し、該距離が一定範囲を超えた際、ウェハ搬送装置を停止させる、ことが開示されている。
【0009】
また、ウェハの垂れの検出に関する技術として、例えば以下の特許文献3、4のような技術がある。
【0010】
特許文献3には、被処理物キャリア内の被処理物を検出する検出手段(センサ)を被処理物の端部の上下方向に移動して被処理物端部を検出した時その位置を第1記憶装置に記憶し、被処理物端部を検出しなくなった時その位置を第2記憶装置に記憶して、第1、第2記憶装置に記憶された位置から被処理物の検出可能な幅を演算する、ことが開示されている。
【0011】
特許文献4には、キャリアとは別個に設置され、ウェハの所定部分までの距離又はウェハの厚みを、ウェハ自体に対し、直接測定する測定部と、キャリアの傾きを変化させ、ウェハを所定の傾きに修正するチルト機構とを備える、ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−17548号公報
【特許文献2】特開平7−147314号公報
【特許文献3】特開平7−58187号公報
【特許文献4】特開2002−305224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献1の場合には、カセットの開口面側に投光ヘッド及び受光ヘッドを上下対向に配置した構成を備えているので、カセット全体を通じて該カセットから飛び出したウェハの有無を検出できるが、カセットのどのスロットからウェハが飛び出しているのかまで検出することはできない。なお、特許文献1の構成では、カセット内のウェハの垂れを検出することはできない。
【0014】
特許文献2の場合には、ウェハ搬送装置を上下方向に移動して1枚目のウェハより順に距離測定センサによりウェハまでの距離を測定する構成を備えているので、特許文献1とは異なり、カセットのどのスロットからウェハが飛び出しているのかを検出することができる。しかしながら、ウェハの飛び出しを検出する目的のためだけに、距離測定センサを備えたウェハ搬送装置をカセット内のウェハ毎に対して逐次上下方向に移動(機械式スキャン)させる必要があり、機械式スキャンにかかる時間だけ検出時間が長くなるという課題がある。
【0015】
特許文献3の場合には、検出手段を上下方向に移動させる特許文献2と類似した構成を具備しており、カセット内のウェハ毎に該ウェハの傾きを検出することはできるが、特許文献2と同様に、ウェハの傾きを検出する目的のためだけに、検出手段を上下方向に移動させる必要がある。このため、特許文献2と同様の課題がある。
【0016】
特許文献4の場合には、所定の受け渡し高さにおいてキャリアの受け渡し口より受け渡し方向にウェハの受け渡しを行うことが前提となっており、測定部からウェハの所定部分までの距離(受け渡し距離)の測定結果に基づいてウェハの傾きを検出する構成を備えている。したがって、キャリア内の全てのウェハの傾きを検出する目的のためだけに、各ウェハが受け渡し口に位置するように、キャリアを上下方向に移動させる必要がある。このため、特許文献2と同様の課題がある。
【0017】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、基板収納容器の各スロットに収納されている基板の収納状態を定量的に表す指標として少なくとも基板の飛び出し量及び基板の垂れ量を簡易な構成で速やかに検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するための本発明の基板収納状態検出装置は、複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出装置であって、前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力する基板収納状態検出手段と、を備える。
【0019】
上記の構成によれば、撮像手段を用いて基板収納容器の各スロットに収納されている基板の開口部側の端部の画像を撮像し、この撮像した画像に基づいて、基板収納容器の各スロットに収納されている基板の収納状態を定量的に表す指標として少なくとも基板の飛び出し量と基板の垂れ量とを一度に検出することができ、基板収納状態検出装置とロボットとを少なくとも含んで構成される基板搬出システム全体の構成の簡素化及び、基板収納状態検出処理時間、ひいては全体的な基板搬出処理時間の短縮化を図ることができる。
【0020】
上記の基板収納状態検出装置において、前記開口部と隣接し、かつ前記交差する方向に沿って対向する前記基板収納容器の2つの側面のうち一方の側面側に設けられるコリメータ板と、前記基板収納容器の前記2つの側面のうち他方の側面側に設けられ、前記コリメータ板に向けて面状に光を放射する照明手段と、を備え、前記コリメータ板及び前記照明手段は、前記照明手段から前記コリメータ板に向う面状の光の光路内に各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部が位置するように配置されており、前記撮像手段は、前記照明手段から面状に放射された光によって前記コリメータ板上に形成された各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する、としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、機械式スキャンを実行することなく各スロットに収納されている基板の開口部側の端部の画像を取得することが可能となり、基板搬出システム構成の簡素化及び基板搬出処理時間の短縮化が図られることとなる。
【0022】
上記の基板収納状態検出装置において、前記基板収納状態検出手段により検出された飛び出し量が前記基板が搬出される際に保持可能な第1の保持可能範囲に含まれるか否かを判定し、又は前記基板収納状態検出手段により検出された垂れ量が前記基板が搬出される際に保持可能な第2の保持可能範囲に含まれるか否かを判定する基板保持可否判定手段をさらに備える、としてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、検出された基板の飛び出し量及び基板の垂れ量を基板搬出処理の際の保持可能性の観点から自動的に判定評価することができる。これにより、例えば、検出された基板の飛び出し量又は垂れ量が小さければ(つまり、第1又は第2の保持可能範囲内に含まれる場合には)、基板搬出処理(ロボットの保持ツールによる各スロットに収納されている基板の保持及び搬送など)を停止させることなく継続することが可能となり、基板搬出システム全体のスループットを向上することができる。
【0024】
上記の基板収納状態検出装置において、ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するロボット制御手段をさらに備え、前記ロボット制御手段は、さらに、前記基板保持可否判定手段の判定結果に基づいて前記ロボットを制御する、としてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、基板の飛び出し量及び垂れ量の程度によってはロボットの保持ツールによる保持が可能な場合もありえるので、この場合には、基板搬出処理を停止させることなく継続することが可能となり、基板搬出システム全体のスループットを向上することができる。
【0026】
上記の基板収納状態検出装置において、前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲外である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲外であると判定されたときには当該判定された基板の搬出をスキップするように前記ロボットを制御する、としてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、検出された基板の飛び出し量又は垂れ量の程度が大きい場合には基板の搬出をスキップするようにした結果、検出された基板の飛び出し量及び垂れ量が保持可能と判定された基板についてのみ保持及び搬出が行われることになるので、基板搬出処理を確実にかつ速やかに行うことが可能となる。
【0028】
上記の基板収納状態検出装置において、前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲内である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲内であると判定されたときには前記飛び出し量又は前記垂れ量に応じて前記保持ツールの基板保持位置を補正する、としてもよい。
【0029】
上記の構成によれば、検出された基板の飛び出し量又は垂れ量の程度が小さい場合には、保持ツールの基板保持位置を補正することによって基板の搬出をスキップさせずに済ませることができる。
【0030】
上記の基板収納状態検出装置において、前記ロボット制御手段は、前記保持ツールを前記撮像手段の視野範囲に収まるように前記基板保持位置に移動させ、前記撮像手段により撮像された前記基板の前記開口部側の端部及び前記保持ツールの画像に基づいて、前記保持ツールの基板保持位置をさらに補正する、としてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、基板収納容器側の情報のみならずロボット側の情報も利用して基板保持可能性の判定をより正確に行うことができる。
【0032】
また、上記課題を解決するための本発明の基板収納状態検出方法は、複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出方法であって、ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するステップと、前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像するステップと、前記撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力するステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、基板収納容器の各スロットに収納されている基板の収納状態を定量的に表す指標として少なくとも基板の飛び出し量及び基板の垂れ量を簡易な構成で速やかに検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置を含むウェハ搬出システムの構成を示した図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示したシステム制御装置のハードウェア構成を示した図である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置に含まれるコリメータ板と照明手段(再帰反射板)との配置を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明に係るカセットの一例の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ搬出処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係るマスタ画像登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明に係るマスタ画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る基板の収納状態が正常でないときのサンプリング画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ収納状態検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明に係る飛び出しスロットエラーを説明するための図である。
【図9】図9は、本発明に係る垂れウェハスロットエラーを説明するための図である。
【図10】図10は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態におけるウェハ搬出システム1Aの変形例である。
【図11】図11は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態におけるウェハ搬出システム1Aのその他の変形例である。
【図12】図12は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態におけるウェハ搬出システム1Aのさらにその他の変形例である。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ搬出処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図14は、FOUPシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
[基板収納状態検出装置の構成]
以下では、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置を用いたシステムの一例として、ミニエンバイロメント筐体内のウェハ搬出システムを例に挙げて説明する。
【0036】
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置を含むウェハ搬出システム1Aの構成を示した図である。図1Bは、図1Aに示したシステム制御装置60のハードウェア構成を示した図である。図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置に含まれるコリメータ板4と照明手段の一例である再帰反射板5との配置を説明するための図である。
【0037】
ウェハ搬出システム1Aに含まれる基板収納状態検出装置は、カセット10(基板収納容器)に収納されている複数のウェハ(基板)11を搬出する前に、カセット10内の全てのスロット18に収納されているウェハ11の収納状態を定量的に表す指標として、少なくともスロット18からのウェハ11の飛び出し量及び垂れ量を検出して出力するものである。さらに、上記の基板収納状態検出装置は、ウェハ11の飛び出し量及び垂れ量の検出結果に基づいて、ロボット30のロボットアーム32先端に取り付けられたハンド(保持ツール)36のウェハ保持可能性を判断するとともにウェハ保持可能と判定された場合であって必要な場合にはウェハ保持位置(基板保持位置)を補正するというものである。さらに、上記の基板収納状態検出装置は、ウェハ11の飛び出し量及び垂れ量の検出結果について、ハンド36による保持可能と判定されたウェハ11を不図示の半導体製造装置の所定の基板処理位置に向けて搬出するものである。
【0038】
ウェハ11は、薄型の平板形状の半導体基板であり、図2に示すOC(Open Cassette)やFOUP(Front-Opening Unified Pod)などの直方体状のカセット10に収納されている。なお、カセット10は、不図示の扉により密閉されるとともに当該扉を開放した状態でウェハ11の搬入搬出が行われる開口部19と、複数のウェハ11をウェハ11の厚み方向に配列して、かつ水平状態に収納させる複数のスロット18とを具備している。なお、カセット10の各スロット18に収納されているウェハ11は、各スロット18に付与されているスロット番号に基づいて識別されている。
【0039】
ウェハ搬出システム1Aは、点光源2と、撮像器3と、コリメータ板4と、再帰反射板5と、ロボット30と、システム制御装置60とを備えている。なお、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置は、点光源2と、撮像器3と、コリメータ板4と、再帰反射板5と、システム制御装置60とにより構成されている。
【0040】
点光源2、コリメータ板4、及び再帰反射板5は、ウェハ11の配列方向及びウェハ11の搬出方向に交差する方向から、カセット10内の全てのスロット18に収納されているウェハ11の開口部19側の端部に向けて光を照射する照明手段を構成している。コリメータ板4は、さらに、ウェハ11の開口部19側の開口部19側の端部の画像を形成する画像形成手段を構成している。そして、この照明手段と画像形成手段と撮像器3とが撮像手段を構成している。ここで、ウェハ11の配列方向及びウェハ11の搬出方向に交差する方向から投光する(ひいては撮像する)理由は、ウェハ11の配列方向から撮像するとウェハ11が重なって個々のウェハ11の端部を撮像できないからであり、ウェハ11の搬出方向から撮像するとウェハ11の飛び出し程度を撮像できないからである。それ故、ウェハ11の収納状態を好適に検出するためには、ウェハ11の配列方向及びウェハ11の搬出方向に直交する方向から撮像することが好ましい。
【0041】
コリメータ板4は、カセット10の開口部と隣接し、かつウェハ11の配列方向及び搬出方向に交差する方向に沿って対向するカセット10の2つの側面のうち一方の側面側(点光源2及び撮像器3と対向する側)に配置されている。また、コリメータ板4のミラー法線と撮像器3のカメラ光軸とが平面図上で平行となるように定められている(図1C参照)。コリメータ板4は、本実施の形態では、放射線ミラーにより構成されている。なお、コリメータ板4は、放物線ミラーに代えて、複数の小型平面ミラーを全体として略曲面(凹面)状に組み合わせて成る曲面ミラーにより構成してもよい。
【0042】
点光源2は、カセット10の上記2つの側面のうち他方の側面側に配置されている。また、点光源2は、カセット10内に収納されている複数のウェハ11の端部を照射するように、カセット10の高さの略半分の位置に配置されている(図1Cを参照)。点光源2は、本実施の形態では、発光ダイオードから成る高輝度の光源により構成されている。
【0043】
撮像器3は、カセット10の上記の他方の側面側において、点光源2と略同軸位置に配置されている。撮像器3は、本実施の形態では、CCD(Charge Coupled Device)カメラにより構成されている。なお、撮像器3は、CCDカメラ以外に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどにより構成されてもよい。
【0044】
再帰反射板5は、コリメータ板4と再帰反射板5との間の平行化された光の光路上に、複数のウェハ11の端部が位置するように、カセット10の上記他方の側面側(コリメータ板4と対向する側)に配置されている。なお、再帰反射板5は、本実施の形態では、μCCR(μ Corner Cube Reflector)プレートにより構成されている。
【0045】
上記のとおり構成されたウェハ搬出システム1Aがカセット10内のウェハ11の収納状態を検出する際には、つぎのような手順が行われる。
【0046】
まず、点光源2から拡散光がコリメータ板4に向けて放射され、コリメータ板4において反射されて平行化される。つぎに、コリメータ板4において反射された平行化された光は、コリメータ板4に対向して配置された再帰反射板5に向けて進行する。つぎに、再帰反射板5において反射された上記の平行化された光はコリメータ板4に向けて進行(再帰反射)する。これにより、コリメータ板4上に複数のウェハ11の開口部19側の端部の透過像が写る。そして、コリメータ板4上に写った複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像を撮像器3によって撮像する。換言すると、コリメータ板4によって複数のウェハ11の開口部19側の端部の透過像が反射されて撮像器3の受光面に結像する。かくして、撮像器3が、複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像を撮像することとなる。なお、コリメータ板4のミラー法線と撮像器3のカメラ光軸とが平面図上で平行であるため、ウェハ11の像が透過像上において平行な像として結像される。
【0047】
ロボット30は、カセット10内に収納されたウェハ11を一枚ずつ搬出して、半導体製造装置105の所定の基板処理部に搬送する水平多関節型や垂直多関節型などの産業用ロボットである。ロボット30は、ロボットアーム32の先端部位にウェハ11を保持(把持、挟持なども含む)するハンド36(保持ツール)が取り付けられており、ロボットアーム32を構成する複数のロボットアーム32の各回転軸周りの回転を互いに独立して行い得るよう構成されている。つまり、ロボット30は、複数のロボットアーム32の各回転軸の回転位置の制御によりハンド36を所望の位置に所望の姿勢で停止させ、複数のロボットアーム32の各回転軸の角速度の制御によりハンド36を所望の経路に沿って所望の速度で移動させることができる。
【0048】
システム制御装置60は、基板収納状態検出手段61と、基板保持可否判定手段64と、ロボット制御手段65と、記憶手段66とを有する。基板収納状態検出手段61は、撮像器3によって撮像された複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像(後述のマスタ画像、サンプリング画像)を取り込んで後述の画像処理を行う画像処理部62と、画像処理部62によって画像処理された画像に基づいてウェハ11の収納状態を判定する基板収納状態判定部63と、を備えている。基板保持可否判定手段64は、基板収納状態検出手段61によりウェハ11の飛び出し(第1の基板収納状態)が検出された場合、撮像器3により撮像された画像に基づいて、ウェハ11の飛び出し量がハンド36によりウェハ11を保持可能な飛び出し保持可能範囲(第1の保持可能範囲)に含まれるか否かを判定し、かつ基板収納状態検出手段61によりウェハ11の垂れ(第2の基板収納状態)が検出された場合には、撮像器3により撮像された画像に基づいて、ウェハ11の垂れ量がハンド36によりウェハ11を保持可能な垂れ保持可能範囲(第2の保持可能範囲)に含まれるか否かを判定する。ロボット制御手段65は、ロボット30の動作を制御して、ハンド36のウェハ保持位置を変化させてカセット10の各スロット18に収納されているウェハ11の搬出を行う。記憶手段66は、所定のデータ等を記憶する。
【0049】
なお、図1Bには、基板収納状態検出手段61、基板保持可否判定手段64、ロボット制御手段65を実現するシステム制御装置60のハードウェア構成が示されている。図1Bによれば、システム制御装置60は、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)650と、ロボット30及び撮像器3との間で情報の授受を行うI/O(Input/Output)ポート651と、ロボット30の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)652と、制御プログラムに用いられる制御パラメータや後述のマスタ画像に関するマスタデータやサンプリング画像に関するサンプリングデータなどを記憶するRAM(Random Access Memory)64と、により構成されている。なお、手段61、64、65、66は、ROM652に記憶される制御プログラムをCPU650が読み出して実行することにより実現される機能である。
【0050】
なお、システム制御装置60は、一のCPU650による集中型の構成としてもよいし、複数のCPU650による分散型の構成としてもよい。よって、後述のウェハ搬出処理(図3参照)と後述のウェハ収納状態検出処理(図7参照)とを別々のCPU650で実行するように構成してもよい。また、画像処理部65は、ソフトウェアにより構成するのではなく、専用のLSIにより構成してもよい。
[ウェハ搬出処理の全体の流れ]
図3は、ウェハ搬出システム1Aによるウェハ搬出処理の全体の流れを示すフローチャートである。システム制御装置60は、ウェハ11を収納したカセット10が図1A及び図1Cに示される所定の停止位置に到着した後(ステップS301)、後述のウェハ収納状態検出処理(図7参照)を実行する(ステップS302)。そして、システム制御装置60は、後述のウェハ収納状態検出処理(図7参照)の実行結果に基づいて所望の処理を行う。例えば、収納状態が検出されなかったウェハ11全てに対し、ロボット30のハンド36による搬出を行う(ステップS303、ステップS304)。
[マスタ画像登録処理の流れ]
図4は、本発明に係るマスタ画像登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
まず、カセット10内の全てのスロット18にウェハ11が正常に収納されているものとする。なお、正常に収納されているとは、後述の「飛び出しスロット」、「クロススロット」、「ウェハ無しスロット」、「ダブルスロット」、及び「垂れウェハスロット」と呼ぶ基板収納状態が発生していないことを指す。ここで、ある基板収納状態を正常と呼ぶか異常と呼ぶかは単に呼び方の選択の問題である。システム制御装置60は、カセット10内に正常に収納された複数のウェハ11の端部の画像を撮像手段3によって撮像し、この複数のウェハ11の端部の画像(透過像)をマスタ画像として取得する(ステップS401)。なお、マスタ画像とは、後述のウェハ収納状態検出処理において基準(参考)として用いられる画像のことである。
【0052】
ここで、マスタ画像の一例を図5に示す。図5に示されるマスタ画像20は、複数のウェハ11の各端部によって遮光された部分が、複数の局所的な遮光部分(低輝度部分)として出現するような画像となっている。なお、図5中に示されるマスタ画像20のX軸の向きが図1C中に示される配列方向に対応付けられており、図5中に示されるマスタ画像20のY軸の向きが図1A中に示される搬出方向(スロットからの抜き出し方向)に対応づけられている。
【0053】
つぎに、システム制御装置60は、撮像器3から取得したマスタ画像に対して、画像処理部62によって2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理を順に実行する。ここで、2値化処理とは、マスタ画像を構成する各画素の輝度(RGB値の平均値)を一定の閾値に基づいて白色(高輝度)と黒色(低輝度)とによる2つの輝度値に区分けする処理のことを指している。また、ラベリング処理とは、マスタ画像を構成する各画素において同一の輝度値を持つ画素の集合体に同じラベルを付与して分類する処理のことを指している。
【0054】
また、特徴量抽出処理とは、ラベリング処理が行われたマスタ画像に基づいて、重心位置、姿勢、面積、先端位置、傾きなどの特徴量を抽出する処理のことを指している。なお、重心位置とは、ラベリング処理により画素の集合体に付与されたラベルを一点で支えることのできる位置のことを指している。姿勢とは、同一ラベルが付与された画素の集合体の姿勢であり、面積とは、該画素の集合体の面積であり、先端位置とは、該画素の集合体の先端位置であり、該傾きとは、該画素の集合体の所定の基準線(X軸又はY軸)に対する傾きのことを指している。よって、後述のウェハ11の飛び出し量は、上記の先端位置などの特徴量に基づいて検出することができ、後述のウェハ11の垂れ量は、上記の傾きなどの特徴量に基づいて検出することができる。
【0055】
そして、システム制御装置60は、画像処理部62によるマスタ画像に関する上記の2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理の各処理結果をマスタデータとして記憶手段66に格納する(ステップS403)。これにより、マスタ画像の登録処理が完了する。
【0056】
以上では、後述のウェハ収納状態検出処理において基準(参考)として用いられるマスタ画像の登録処理の一例について説明したが、当該マスタ画像等の基準(参考)データは上記と異なるその他の方法によって取得することもできる。例えば、ウェハの規格上の厚み等から計算のみによって取得することもできる。
[基板収納が正常でないときのサンプリング画像例]
図6は、ウェハ11の収納状態が正常でないときに撮像器3によって撮像された複数のウェハ11の開口部18側の端部の画像(以下、サンプリング画像という)の一例を示した図である。
【0057】
図6中に表記される「飛び出しスロット(第1の基板収納状態)」とは、カセット10のあるスロット18において規定の収納位置からウェハ11が前方に規定以上飛び出している事象のことをいう。なお、「飛び出し量」とは、スロット18の規定の収納位置に収納されているウェハ11の先端位置から、「飛び出しスロット」が発生したスロット18に収納されているウェハ11の先端位置まで、の距離のことを指している。このような飛び出しスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する遮光部分が、他の遮光部分よりもY軸方向に長くなるような画像部分が出現することとなる。
【0058】
図6中に表記される「垂れウェハスロット(第2の基板収納状態)」とは、カセット10のあるスロット18に収納されているウェハが規定の位置よりも規定以上下方に垂れている事象のことをいう。なお、「垂れ量」とは、スロット18の規定の収納位置に収納されているウェハ11の先端位置から、「垂れウェハスロット」の発生したスロット18に収納されているウェハ11の先端位置までの距離のことを指している。このような垂れウェハスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する部分が傾いているような画像が出現する。
【0059】
図6中に表記される「クロススロット(第3の基板収納状態)」とは、1枚のウェハ11が左右異なるスロット18に段違いで収納されている事象のことをいう。このようなクロススロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する遮光部分(低輝度部分)が、他の遮光部分よりもX軸方向に厚くなり、かつ、2つのスロット位置に跨るような画像部分が出現することとなる。
【0060】
図6中に表記される「ウェハ無しスロット(第4の基板収納状態)」とは、カセット10内のあるスロット18にウェハ11が1枚も収納されていない事象のことをいう。このようなウェハ無しスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する遮光部分が欠落するような画像部分が出現することとなる。
【0061】
図6中に表記される「ダブルスロット(第5の基板収納状態)」とは、同一のスロット18内に2枚のウェハ11が重なって収納されている事象のことをいう。このようなダブルスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する部分が、他の遮光部分よりもX軸方向に2倍に厚くなるような画像が出現することとなる。
【0062】
[ウェハ収納状態検出処理の流れ]
図7は、本発明の第1の実施の形態におけるウェハ収納状態検出処理の流れを示すフローチャートである。なお、このウェハ収納状態検出処理は、図3に示したステップS302のウェハ収納状態検出処理に対応した処理である。
【0063】
まず、システム制御装置60の基板収納状態判定部63は、記憶手段66に格納されているマスタ画像に関するマスタデータを読み出す(ステップS701)。
【0064】
つぎに、システム制御装置60は、図1A及び図1Cに示した所定の停止位置に到着したカセット10に対し、カセット10内の全てのスロット18に収納されている複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像を撮像器3によって撮像し、該撮像した画像をサンプリング画像として取得する(ステップS702)。
【0065】
つぎに、システム制御装置60は、撮像器3から取得したサンプリング画像に対して画像処理部62により2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理を順に実行する(ステップS703)。なお、これらの処理は、マスタ画像に対して実行された処理と同一の処理である。そして、システム制御装置60は、画像処理部62によるサンプリング画像に関する上記の2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理の各処理結果をサンプリングデータとして記憶手段66に格納する。
【0066】
つぎに、システム制御装置60(正確には基板収納状態判定部63)は、記憶手段66に格納されたマスタデータとサンプリングデータとを比較することにより、以下のステップのようなカセット10内のウェハ11の収納状態が正常か否かを検出する(ステップS704)。
【0067】
まず、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「ウェハ無しスロット」の有無を検出する(ステップS705)。ここでは、ウェハ無しスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、ウェハ無しスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「ウェハ無しスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、ウェハ無しスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS706)。判定結果「OK」の場合には、つぎのステップS707に進む。
【0068】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「クロススロット」の有無を検出する(ステップS707)。ここでは、クロススロットが無い場合には判定結果「OK」とし、クロススロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「クロススロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、クロススロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS708)。判定結果「OK」の場合には、つぎのステップS709に進む。
【0069】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「ダブルスロット」の有無を検出する(ステップS709)。ここでは、ダブルスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、ダブルスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「ダブルスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、ダブルスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS710)。判定結果「OK」の場合には、つぎのステップS711に進む。
【0070】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「飛び出しスロット」の有無を検出する(ステップS711)。ここでは、飛び出しスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、飛び出しスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、直ちにエラーを外部に出力するのではなく、飛び出しスロットに収納されたウェハ11の飛び出し量が、ロボット30のハンド36によるウェハ11の保持可能な範囲(以下、飛び出し保持可能範囲とよぶ。)内にあるか否かの判定を行う(ステップS712)。飛び出し保持可能範囲は、例えば、図8に示される斜線でハッチングされて表された領域であり、図1Aに示される画像Y軸方向のある範囲内のことを指している。なお、この領域は、例えば、ロボット30のハンド36が、カセット10や保持対象以外のウェハ11と干渉することなく保持対象のウェハ11を保持できる領域として決定することができる。
【0071】
ウェハ11の飛び出し量が飛び出し保持可能範囲内であれば判定結果「OK」とし、ウェハ11の飛び出し量が飛び出し保持可能範囲外であれば判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「飛び出しスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、飛び出しスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS713)。判定結果「OK」の場合には、飛び出しスロットに収納されている飛び出し保持可能範囲を超えずに飛び出しているウェハ11の先端位置に合わせるように、システム制御装置60は、ロボット30のハンド36のウェハ保持位置を補正し(ステップS714)、つぎのステップS715に進む。
【0072】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「垂れウェハスロット」の有無を検出する(ステップS715)。ここでは、垂れウェハスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、垂れウェハスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、直ちにエラーを外部に出力するのではなく、垂れウェハスロットに収納されたウェハ11の垂れ量が、ロボット30のハンド36によるウェハ11の保持可能な範囲(以下、垂れ保持可能範囲とよぶ。)内にあるか否かの判定を行う(ステップS716)。なお、垂れ保持可能範囲は、例えば、図9に示される斜線でハッチングされた領域であり、図1Cに示した画像X軸方向のある範囲内のことを指している。なお、この領域は、例えば、ロボット30のハンド36が、カセット10や保持対象以外のウェハ11と干渉することなく保持対象のウェハ11を保持できる領域として決定することができる。
【0073】
ウェハ11の垂れ量が垂れ保持可能範囲内であれば判定結果「OK」とし、ウェハ11の垂れ量が垂れ保持可能範囲外であれば判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「垂れウェハスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、垂れウェハスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS717)。判定結果「OK」の場合には、垂れウェハスロットに収納されている垂れ保持可能範囲を超えずに垂れているウェハ11の先端位置に合わせるように、システム制御装置60は、ロボット30のハンド36のウェハ保持位置を補正する(ステップS718)。
【0074】
なお、システム制御装置60は、ウェハ無しスロットエラー(ステップS706)、クロススロットエラー(ステップS708)、ダブルスロットエラー(ステップS710)、飛び出しスロットエラー(ステップS713)、又は垂れウェハスロットエラー(ステップS717)の発生したスロット18に収納されているウェハ11については、図3に示したウェハ搬出動作(ステップS303)の中で、ハンド36による保持及び搬出をスキップするように構成されている。
[効果]
本実施の形態に係る基板収納状態検出装置によれば、1台の撮像器3を用いてカセット10内に収納されているウェハ11の端部の画像を一度に取得して、当該取得した画像に基づいてカセット10内のウェハ11の収納状態として少なくとも「飛び出しスロット」及び「垂れウェハスロット」の有無を一度に検出することができ、システム構成の簡素化及び搬出処理にかかる時間の短縮化が図られることとなる。
【0075】
なお、ウェハ搬出システム1Aはウェハ11の飛び出し量及び垂れ量等のウェハ11収納状態を表す指標を検出するために撮像器3を利用するものであり、対象物であるウェハ11の反射率に左右されず、ウェハ11の収納状態を確実に検出することができる。さらに、ある程度の幅(図6中に示されるY軸方向の長さ)を持った画像が得られるので、飛び出しスロットの有無を確実に検出できる。
【0076】
また、飛び出しスロットの有無を、サンプリング画像中の遮光部分のY軸方向(図6参照)の長さの変化に基づいて検出するので、ウェハの飛び出し量の定量化を容易に行うことができる。同様に、垂れウェハスロットの有無を、画像中の遮光部分の傾きに基づいて検出するので、ウェハの垂れ量の定量化を容易に行うことができる。
【0077】
本実施の形態に係る基板収納状態検出装置によれば、撮像器3により撮像された画像に基づいて、「飛び出しスロット」及び「垂れウェハスロット」の有無に加えて、「ウェハ無しスロット」、「クロススロット」、及び「ダブルスロット」の有無を一度に検出することもできる。
【0078】
なお、ダブルスロットの検出を面積値により判定することにより、ダブルスロットの場合と正常の場合とで検出値が大きく変動することとなる。このため、プロファイルを利用する従来の技術に比べて、ダブルスロットの検出をより確実に行うことができる。
【0079】
本実施の形態に係る基板収納状態検出装置によれば、「飛び出しスロット」、「垂れウェハスロット」を検出した場合であっても、ロボット30のハンド36によって保持及び搬送可能であれば、ロボット30の制御パラメータ(ウェハ保持位置など)を補正することによって、ロボット30を停止させることなく、ウェハ11の搬出動作を継続することができる。この結果、ウェハ搬出システム1A全体のスループットを向上させることができる。
[変形例]
図10に示すウェハ搬出システム1Bに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の変形例である。
【0080】
ウェハ搬出システム1Bに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した点光源2の代わりに、図1A及び図1Cに示した再帰反射板5の位置に、透過型の面光源12を配置し、透過型の面光源12からの平行光をコリメータ板4に向けて放射するように構成されている。透過型の面光源12は、LED素子を縦に1列並べて構成されたLED光源13と、LED光源13から放射された光を透過する拡散透過板14とを備えている。拡散透過板14は、例えば曇りガラスで構成される。LED光源13から放射された直後の光にはムラがあるが、拡散透過板14を透過させることにより、ムラのない均質な明るさを持つ面光源とすることができる。よって、図10に示される基板収納状態検出装置においても、コリメータ板4上に映し出された複数のウェハ11の端部の画像(サンプリング画像)を、撮像器3によって撮像し、画像処理部62によって該透過像を解析することにより、同様の効果を奏することができる。
【0081】
図11に示すウェハ搬出システム1Cに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置のその他の変形例である。
【0082】
ウェハ搬出システム1Cに含まれる基板収納状態検出装置は、図10に示した透過型の面光源12の代わりに、反射型の面光源15が用いられている。反射型の面光源15は、LED光源13から放射された光を、拡散反射板16で反射させるように構成されている。このような反射型の面光源15によっても、ムラのない均質な光をコリメータ板4に向けて放射することができる。よって、図11に示した基板収納状態検出装置においても、同様の効果を奏することができる。
【0083】
図12に示すウェハ搬出システム1Dに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置のさらにその他の変形例である。
【0084】
ウェハ搬出システム1Dに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した再帰反射板5の位置に、拡散反射板7を配置しており、さらに、ロボット30に、撮像器3と点光源2とを設けており、複数のカセット10に対して少なくとも撮像器3と点光源2とが一式で済むように構成されている。これにより、ウェハ搬出システム1Dのコンパクト化やコストの低減を図ることができる。なお、本変形例においては、ロボット30に設けられた点光源2からの光が拡散反射板7においてウェハ11の端部に向けて反射され、さらにコリメータ板4において撮像器3に向けて反射される。このように、撮像器3をロボット30に設ければ、ウェハ11の収納状態を表す画像を撮像することもできるし、ロボット30を動作させることによって任意の角度から任意のカセット10の画像を撮像して記録することもできる。なお、後者の場合には、異常の原因調査や再発防止策の検討を行うために最適な撮像角度や位置を選択することができる。
【0085】
また、撮像器3によって得られたウェハ11の端部のサンプリング画像を記憶手段66に保存しておけば、ロボット30が搬送の失敗や衝突等の異常を起こした場合において、異常発生時のサンプリング画像を確認でき、そのサンプリング画像を手掛かりにして異常の原因調査や再発防止策の検討を行うことができる。具体的には、撮像器3によって得たサンプリング画像を記憶手段66に保存し、必要に応じて過去のサンプリング画像を参照可能なように構成する。記憶手段66の記憶容量が許す範囲の最新のサンプリング画像のみを残し、古いサンプリング画像は削除(上書きされる場合を含む)される構成としても良い。また、異常を検出した後に古いサンプリング画像の削除(上書きされる場合を含む)を中止する構成とすれば、異常発生前の一定時間のサンプリング画像が削除されることを回避できる。
【0086】
また、上記のウェハ搬出システム1A〜1Dは、ウェハ11の他に、カセットに収納されて搬送される液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等のその他の基板の収納状態の検出についても適用することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態では、ウェハ11の端部のみならずハンド36の先端箇所の画像を撮像器3により同時に撮像し、当該撮像した画像に基づいて「飛び出しスロット」及び「垂れウェハスロット」を検出する。なお、本発明の第2の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の構成(上記の変形例も含む)及びウェハ搬出処理の流れは本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0087】
以下、本発明の第2の実施の形態について、本発明の第1の実施の形態の説明で用いた図7に示されるウェハ収納状態検出処理を示すフローチャートを用いて説明する。
【0088】
まず、ステップS702においてサンプリング画像を取り込む場合、システム制御装置60は、コリメータ板4上に結像されたウェハ11の透過像と併せてハンド36の先端位置が撮像器3の視野範囲に収まるように、ハンド36をウェハ保持位置付近の位置に移動させる。そして、カセット10内に収納された複数のウェハ11の端部の透過像及びハンド36の先端箇所の画像が撮像され、システム制御装置60は、インタフェース62を介して該撮像された画像をサンプリング画像として取得する。なお、この取得したサンプリング画像については、ステップS703において、2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理が順に実行される。
【0089】
これにより、システム制御装置60は、カセット10内に収納された搬出対象のウェハ11の先端位置とロボット30のハンド36の先端位置との相対的な関係を把握することができる。また、ステップS711において、サンプリング画像から把握される搬出対象のウェハ11の先端位置とハンド36の先端位置との相対差に基づいて、飛び出しスロットの有無を検出することができる。同様に、ステップS715において、サンプリング画像から把握される搬出対象のウェハ11の先端位置とハンド36の先端位置との相対差に基づいて、垂れウェハスロットの有無を検出することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態とはウェハ搬出処理の流れのみが相違している。なお、本発明の第2の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の構成(上記の変形例も含む)及びウェハ収納状態検出処理の流れは本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0090】
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ搬出処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0091】
システム制御装置60は、複数のウェハ11が収納されたカセット10が図1A及び図1Cに示される所定の停止位置に到着した後(ステップS1301)、図7に示されたウェハ収納状態検出処理を実行する(ステップS1302)。これにより、ウェハ無しスロットエラー、クロススロットエラー、ダブルスロットエラー、飛び出しスロットエラー、又は垂れウェハスロットエラーが発生したスロット18に収納されているウェハ11について、その保持及び搬出がスキップされる。また、ウェハ11の飛び出し量が飛び出し保持可能範囲内であれば、システム制御装置60は、その飛び出したウェハ11の位置に適合するように、ロボット30の制御パラメータとしてハンド36のウェハ保持位置が補正される。また、ウェハ11の垂れ量が垂れ保持可能範囲内であれば、システム制御装置60は、その垂れたウェハ11の位置に適合するように、ロボット30の制御パラメータとしてハンド36のウェハ保持位置が補正される。
【0092】
つぎに、システム制御装置60は、コリメータ板4によって結像されたウェハ11の透過像と併せてハンド36の先端位置が撮像器3の視野範囲に収まるように、ロボットアーム32及びハンド36を動作させる(ステップS1303)。そして、カセット10内に収納された複数のウェハ11の端部の透過像及びハンド36の先端箇所の画像が撮像器3によって撮像され、システム制御装置60は、該撮像された画像を取得する。なお、この取得した画像は、上記のマスタ画像及びサンプリング画像と同様に、2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理が順に実行される。これにより、システム制御装置60は、カセット10内に収納されたスキップ対象外の搬出可能なウェハ11の先端位置とロボット30のハンド36との相対的な位置関係を把握することができる(ステップS1304)。
【0093】
つぎに、システム制御装置60は、カセット10内の搬出可能なウェハ11の先端位置に対してハンド36の位置ずれの有無を検出する(ステップ1305)。ハンド36の位置ずれが有る場合には(ステップS1305:NO)、システム制御装置60は、カセット10内の搬出可能なウェハ11の位置にハンド36のウェハ保持位置が適合するように補正を行う(ステップS1306)。ハンド36の位置ずれが無い場合には(ステップS1305:YES)、つぎのステップS1307に進む。
【0094】
そして、システム制御装置60は、カセット10内で搬出可能なウェハ11全てに対し、ロボット30による搬出を行う(ステップS1307、ステップS1308)。
【0095】
以上により、撮像器3によってカセット10に収納されたウェハ11の端部のみならずロボット30のハンド36をも撮像し、この撮像された画像から識別されるウェハ11の端部とハンド36の先端位置との相対的な位置関係に基づいて、ハンド36のウェハ保持位置を補正することで、ウェハ11をより確実に搬出することができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態は、本発明の第3の実施の形態におけるウェハ11の収納状態及びロボット30側の状態をも撮像した画像を利用して、ロボット30側のずれや変形等を検出するものである。なお、本発明の第4の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の構成(上記の変形例も含む)、ウェハ搬出処理の流れ、及びウェハ収納状態検出処理の流れは本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0096】
本実施の形態において、システム制御装置60は、撮像器3により正常なロボット30に特定の姿勢をとらせた場合の画像情報(以下、基準画像情報という)を取得して、この基準画像情報を記憶手段66に予め格納しておく。その後、システム制御装置60は、ロボット30に対して上記の特定の姿勢と同じ姿勢をとらせた場合の画像情報(以下、比較画像情報という)を取得して、この比較画像情報を記憶手段66に格納する。そして、システム制御装置60は、記憶手段66に格納された基準画像情報と比較画像情報とを比較し、両者に相違がある場合にはロボット30にずれや変形等が生じていると判定する。
【0097】
例えば、基準画像情報と比較画像情報とが上下方向にずれている場合には、ハンド36の曲がりやボルトの緩みが生じている可能性が高いことを推定することができる。あるいは、ハンド長手方向にずれている場合には、ロボット30の駆動機構にガタが生じている可能性が高いことを推定することができる。また、システム制御装置60は、基準画像情報と比較画像情報との比較結果に基づいて、ロボット30の制御パラメータを補正してもよい。これにより、ロボット30にずれや変形が生じた場合にも制御パラメータを補正することによってウェハ11の搬出動作を継続することができ、システム停止時間を短縮することができる。
【0098】
なお、上記実施の形態では、平行な透過光を用いてカセット10に収納されたウェハ11の端部を撮像するように構成したが、本発明はこれには限定されない。例えば、一般的な撮像方法に従って、カセット10の周囲全体を明るくし、カセット10に収納されたウェハ11の端部で散乱される光を集光して当該ウェハ11の端部を撮像するように構成してもよい。
【0099】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、搬送されてきた基板収納容器の全てのスロットに収納されている基板を保持及び搬出する前にそれらの基板の収納状態を簡易な構成で速やかに検出できるという優れた作用効果を奏しており、特にFOUPに収納されているウェハを搬出する前にFOUP内のウェハの収納状態を検出するシステムにとって有用である。
【符号の説明】
【0101】
10 カセット
11 ウェハ
12 面光源
13 LED光源
14 拡散透過板
15 面光源
16 拡散反射板
18 スロット
19 開口部
1A、1B、1C、1D ウェハ搬出システム
2 点光源
20 マスタ画像
22 サンプリング画像
3 撮像手段
30 ロボット
32 ロボットアーム
36 ハンド
5 再帰反射板
60 システム制御装置
61 基板収納状態検出手段
62 画像処理部
63 基板収納状態判定部
64 基板保持可否判定手段
65 ロボット制御手段
650 CPU
651 I/Oポート
652 ROM
653 RAM
66 記憶手段
7 拡散反射板
100 ウェハ
101、106 FFU
102 FOUP
103 FOUP搬送装置
104 ミニエンバイロメント筐体
105 半導体製造装置
107、108 扉部
109 ロボット
110 ロボット制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収納状態検出装置及び基板収納状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等といった薄型平板形状の基板(以下、基板という)を製造工場等の所定の場所で搬送する際に、複数の基板を基板収納容器(以下、カセットという)に設けられた各スロット(棚)に収納した上で各工程間を搬送することが通常行われている。また、各工程においては、カセットの各スロットから基板を1枚ずつ搬出・移載して所定の基板処理を施した後、元のスロットに搬入することが行われている。
【0003】
上記のようなカセットの各スロットから基板搬出が行われる基板搬出システムとしては、例えば、半導体製造工場のクリーンルームにおけるFOUP(Front-Opening Unified Pod)システムが挙げられる。FOUPシステムとは、省エネルギー化や多品種少量生産に対応したフレキシビリティの確保といった要請により、ミニエンバイロメント方式と呼ばれる局所清浄化技術を具現化したものである。なお、ミニエンバイロメント方式とは、クリーンルーム全体の清浄度を上げるのではなく、ウェハが裸の状態で環境に晒される装置周りの清浄度を上げることで、局所的にクリーン度の高い環境を作る方式のことである。
【0004】
図14は、FOUPシステムを説明するための図である。FOUPシステムは、天井に複数のFFU(Fan Filter Unit)101が設けられた半導体製造工場のクリーンルーム内において、ウェハ(半導体基板)100が収納される正面開口式かつ密閉型のカセットであるFOUP(Front-Opening Unified Pod)102と、カセット102を載置してミニエンバイロメント筐体104に搬送するFOUP搬送装置103と、ミニエンバイロメント筐体104と、ミニエンバイロメント筐体104内に収納されており、FOUP搬送装置103により搬送されてきたカセット102からウェハ100を一枚ずつ搬出して半導体製造装置105の所定位置に搬送するロボット109と、ロボット109の動作を制御するロボット制御装置110と、ロボット109により移載されたウェハ100に対して所定の基板処理(熱処理、拡散処理等)を施す半導体製造装置105と、により構成されている。なお、ミニエンバイロメント筐体104の天井にはFFU(Fan Filter Unit)106が設けられ、このFFU106により筐体内を筐体外よりも高清浄度とするミニエンバイロメントを実現している。また、ミニエンバイロメント筐体104の両側面においては、カセット102を筐体外から筐体内に導入するための扉部107と、ロボット109によりカセット102から搬出されたウェハ100を筐体内から半導体製造装置105に搬送するための扉部108と、が設けられている。
【0005】
ところで、FOUP搬送装置103によるカセット102の搬送中に起きる振動等によって、カセット102内でウェハ100の位置ずれ、つまり、カセット102の所定の収納位置からウェハ100の飛び出しが生じ得る。そこで、ロボット制御装置110は、カセット102からウェハ100を搬出する前に、カセット102内のウェハ100の収納状態を検出して予め把握しておく必要がある。
【0006】
ところで、ウェハの飛び出しの検出に関する技術として、例えば以下の特許文献1、2のような技術がある。
【0007】
特許文献1には、カセットの開口面側に投光ヘッドと受光ヘッドとを上下に対向配置し、両ヘッド間には、スクリーン状の光ビームを形成し、これをカセットから飛び出したウェハが遮ることに基づき飛び出しを検出する、ことが開示されている。
【0008】
特許文献2には、ウェハ搬送装置に設置された距離測定センサで、ウェハ搬送装置とカセット内又はボート上のウェハまでの距離を測定し、ウェハの位置ずれを検出し、該距離が一定範囲を超えた際、ウェハ搬送装置を停止させる、ことが開示されている。
【0009】
また、ウェハの垂れの検出に関する技術として、例えば以下の特許文献3、4のような技術がある。
【0010】
特許文献3には、被処理物キャリア内の被処理物を検出する検出手段(センサ)を被処理物の端部の上下方向に移動して被処理物端部を検出した時その位置を第1記憶装置に記憶し、被処理物端部を検出しなくなった時その位置を第2記憶装置に記憶して、第1、第2記憶装置に記憶された位置から被処理物の検出可能な幅を演算する、ことが開示されている。
【0011】
特許文献4には、キャリアとは別個に設置され、ウェハの所定部分までの距離又はウェハの厚みを、ウェハ自体に対し、直接測定する測定部と、キャリアの傾きを変化させ、ウェハを所定の傾きに修正するチルト機構とを備える、ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−17548号公報
【特許文献2】特開平7−147314号公報
【特許文献3】特開平7−58187号公報
【特許文献4】特開2002−305224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献1の場合には、カセットの開口面側に投光ヘッド及び受光ヘッドを上下対向に配置した構成を備えているので、カセット全体を通じて該カセットから飛び出したウェハの有無を検出できるが、カセットのどのスロットからウェハが飛び出しているのかまで検出することはできない。なお、特許文献1の構成では、カセット内のウェハの垂れを検出することはできない。
【0014】
特許文献2の場合には、ウェハ搬送装置を上下方向に移動して1枚目のウェハより順に距離測定センサによりウェハまでの距離を測定する構成を備えているので、特許文献1とは異なり、カセットのどのスロットからウェハが飛び出しているのかを検出することができる。しかしながら、ウェハの飛び出しを検出する目的のためだけに、距離測定センサを備えたウェハ搬送装置をカセット内のウェハ毎に対して逐次上下方向に移動(機械式スキャン)させる必要があり、機械式スキャンにかかる時間だけ検出時間が長くなるという課題がある。
【0015】
特許文献3の場合には、検出手段を上下方向に移動させる特許文献2と類似した構成を具備しており、カセット内のウェハ毎に該ウェハの傾きを検出することはできるが、特許文献2と同様に、ウェハの傾きを検出する目的のためだけに、検出手段を上下方向に移動させる必要がある。このため、特許文献2と同様の課題がある。
【0016】
特許文献4の場合には、所定の受け渡し高さにおいてキャリアの受け渡し口より受け渡し方向にウェハの受け渡しを行うことが前提となっており、測定部からウェハの所定部分までの距離(受け渡し距離)の測定結果に基づいてウェハの傾きを検出する構成を備えている。したがって、キャリア内の全てのウェハの傾きを検出する目的のためだけに、各ウェハが受け渡し口に位置するように、キャリアを上下方向に移動させる必要がある。このため、特許文献2と同様の課題がある。
【0017】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、基板収納容器の各スロットに収納されている基板の収納状態を定量的に表す指標として少なくとも基板の飛び出し量及び基板の垂れ量を簡易な構成で速やかに検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するための本発明の基板収納状態検出装置は、複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出装置であって、前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力する基板収納状態検出手段と、を備える。
【0019】
上記の構成によれば、撮像手段を用いて基板収納容器の各スロットに収納されている基板の開口部側の端部の画像を撮像し、この撮像した画像に基づいて、基板収納容器の各スロットに収納されている基板の収納状態を定量的に表す指標として少なくとも基板の飛び出し量と基板の垂れ量とを一度に検出することができ、基板収納状態検出装置とロボットとを少なくとも含んで構成される基板搬出システム全体の構成の簡素化及び、基板収納状態検出処理時間、ひいては全体的な基板搬出処理時間の短縮化を図ることができる。
【0020】
上記の基板収納状態検出装置において、前記開口部と隣接し、かつ前記交差する方向に沿って対向する前記基板収納容器の2つの側面のうち一方の側面側に設けられるコリメータ板と、前記基板収納容器の前記2つの側面のうち他方の側面側に設けられ、前記コリメータ板に向けて面状に光を放射する照明手段と、を備え、前記コリメータ板及び前記照明手段は、前記照明手段から前記コリメータ板に向う面状の光の光路内に各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部が位置するように配置されており、前記撮像手段は、前記照明手段から面状に放射された光によって前記コリメータ板上に形成された各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する、としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、機械式スキャンを実行することなく各スロットに収納されている基板の開口部側の端部の画像を取得することが可能となり、基板搬出システム構成の簡素化及び基板搬出処理時間の短縮化が図られることとなる。
【0022】
上記の基板収納状態検出装置において、前記基板収納状態検出手段により検出された飛び出し量が前記基板が搬出される際に保持可能な第1の保持可能範囲に含まれるか否かを判定し、又は前記基板収納状態検出手段により検出された垂れ量が前記基板が搬出される際に保持可能な第2の保持可能範囲に含まれるか否かを判定する基板保持可否判定手段をさらに備える、としてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、検出された基板の飛び出し量及び基板の垂れ量を基板搬出処理の際の保持可能性の観点から自動的に判定評価することができる。これにより、例えば、検出された基板の飛び出し量又は垂れ量が小さければ(つまり、第1又は第2の保持可能範囲内に含まれる場合には)、基板搬出処理(ロボットの保持ツールによる各スロットに収納されている基板の保持及び搬送など)を停止させることなく継続することが可能となり、基板搬出システム全体のスループットを向上することができる。
【0024】
上記の基板収納状態検出装置において、ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するロボット制御手段をさらに備え、前記ロボット制御手段は、さらに、前記基板保持可否判定手段の判定結果に基づいて前記ロボットを制御する、としてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、基板の飛び出し量及び垂れ量の程度によってはロボットの保持ツールによる保持が可能な場合もありえるので、この場合には、基板搬出処理を停止させることなく継続することが可能となり、基板搬出システム全体のスループットを向上することができる。
【0026】
上記の基板収納状態検出装置において、前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲外である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲外であると判定されたときには当該判定された基板の搬出をスキップするように前記ロボットを制御する、としてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、検出された基板の飛び出し量又は垂れ量の程度が大きい場合には基板の搬出をスキップするようにした結果、検出された基板の飛び出し量及び垂れ量が保持可能と判定された基板についてのみ保持及び搬出が行われることになるので、基板搬出処理を確実にかつ速やかに行うことが可能となる。
【0028】
上記の基板収納状態検出装置において、前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲内である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲内であると判定されたときには前記飛び出し量又は前記垂れ量に応じて前記保持ツールの基板保持位置を補正する、としてもよい。
【0029】
上記の構成によれば、検出された基板の飛び出し量又は垂れ量の程度が小さい場合には、保持ツールの基板保持位置を補正することによって基板の搬出をスキップさせずに済ませることができる。
【0030】
上記の基板収納状態検出装置において、前記ロボット制御手段は、前記保持ツールを前記撮像手段の視野範囲に収まるように前記基板保持位置に移動させ、前記撮像手段により撮像された前記基板の前記開口部側の端部及び前記保持ツールの画像に基づいて、前記保持ツールの基板保持位置をさらに補正する、としてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、基板収納容器側の情報のみならずロボット側の情報も利用して基板保持可能性の判定をより正確に行うことができる。
【0032】
また、上記課題を解決するための本発明の基板収納状態検出方法は、複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出方法であって、ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するステップと、前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像するステップと、前記撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力するステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、基板収納容器の各スロットに収納されている基板の収納状態を定量的に表す指標として少なくとも基板の飛び出し量及び基板の垂れ量を簡易な構成で速やかに検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置を含むウェハ搬出システムの構成を示した図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示したシステム制御装置のハードウェア構成を示した図である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置に含まれるコリメータ板と照明手段(再帰反射板)との配置を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明に係るカセットの一例の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ搬出処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係るマスタ画像登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明に係るマスタ画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る基板の収納状態が正常でないときのサンプリング画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ収納状態検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明に係る飛び出しスロットエラーを説明するための図である。
【図9】図9は、本発明に係る垂れウェハスロットエラーを説明するための図である。
【図10】図10は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態におけるウェハ搬出システム1Aの変形例である。
【図11】図11は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態におけるウェハ搬出システム1Aのその他の変形例である。
【図12】図12は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態におけるウェハ搬出システム1Aのさらにその他の変形例である。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ搬出処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図14は、FOUPシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
[基板収納状態検出装置の構成]
以下では、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置を用いたシステムの一例として、ミニエンバイロメント筐体内のウェハ搬出システムを例に挙げて説明する。
【0036】
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置を含むウェハ搬出システム1Aの構成を示した図である。図1Bは、図1Aに示したシステム制御装置60のハードウェア構成を示した図である。図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置に含まれるコリメータ板4と照明手段の一例である再帰反射板5との配置を説明するための図である。
【0037】
ウェハ搬出システム1Aに含まれる基板収納状態検出装置は、カセット10(基板収納容器)に収納されている複数のウェハ(基板)11を搬出する前に、カセット10内の全てのスロット18に収納されているウェハ11の収納状態を定量的に表す指標として、少なくともスロット18からのウェハ11の飛び出し量及び垂れ量を検出して出力するものである。さらに、上記の基板収納状態検出装置は、ウェハ11の飛び出し量及び垂れ量の検出結果に基づいて、ロボット30のロボットアーム32先端に取り付けられたハンド(保持ツール)36のウェハ保持可能性を判断するとともにウェハ保持可能と判定された場合であって必要な場合にはウェハ保持位置(基板保持位置)を補正するというものである。さらに、上記の基板収納状態検出装置は、ウェハ11の飛び出し量及び垂れ量の検出結果について、ハンド36による保持可能と判定されたウェハ11を不図示の半導体製造装置の所定の基板処理位置に向けて搬出するものである。
【0038】
ウェハ11は、薄型の平板形状の半導体基板であり、図2に示すOC(Open Cassette)やFOUP(Front-Opening Unified Pod)などの直方体状のカセット10に収納されている。なお、カセット10は、不図示の扉により密閉されるとともに当該扉を開放した状態でウェハ11の搬入搬出が行われる開口部19と、複数のウェハ11をウェハ11の厚み方向に配列して、かつ水平状態に収納させる複数のスロット18とを具備している。なお、カセット10の各スロット18に収納されているウェハ11は、各スロット18に付与されているスロット番号に基づいて識別されている。
【0039】
ウェハ搬出システム1Aは、点光源2と、撮像器3と、コリメータ板4と、再帰反射板5と、ロボット30と、システム制御装置60とを備えている。なお、本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置は、点光源2と、撮像器3と、コリメータ板4と、再帰反射板5と、システム制御装置60とにより構成されている。
【0040】
点光源2、コリメータ板4、及び再帰反射板5は、ウェハ11の配列方向及びウェハ11の搬出方向に交差する方向から、カセット10内の全てのスロット18に収納されているウェハ11の開口部19側の端部に向けて光を照射する照明手段を構成している。コリメータ板4は、さらに、ウェハ11の開口部19側の開口部19側の端部の画像を形成する画像形成手段を構成している。そして、この照明手段と画像形成手段と撮像器3とが撮像手段を構成している。ここで、ウェハ11の配列方向及びウェハ11の搬出方向に交差する方向から投光する(ひいては撮像する)理由は、ウェハ11の配列方向から撮像するとウェハ11が重なって個々のウェハ11の端部を撮像できないからであり、ウェハ11の搬出方向から撮像するとウェハ11の飛び出し程度を撮像できないからである。それ故、ウェハ11の収納状態を好適に検出するためには、ウェハ11の配列方向及びウェハ11の搬出方向に直交する方向から撮像することが好ましい。
【0041】
コリメータ板4は、カセット10の開口部と隣接し、かつウェハ11の配列方向及び搬出方向に交差する方向に沿って対向するカセット10の2つの側面のうち一方の側面側(点光源2及び撮像器3と対向する側)に配置されている。また、コリメータ板4のミラー法線と撮像器3のカメラ光軸とが平面図上で平行となるように定められている(図1C参照)。コリメータ板4は、本実施の形態では、放射線ミラーにより構成されている。なお、コリメータ板4は、放物線ミラーに代えて、複数の小型平面ミラーを全体として略曲面(凹面)状に組み合わせて成る曲面ミラーにより構成してもよい。
【0042】
点光源2は、カセット10の上記2つの側面のうち他方の側面側に配置されている。また、点光源2は、カセット10内に収納されている複数のウェハ11の端部を照射するように、カセット10の高さの略半分の位置に配置されている(図1Cを参照)。点光源2は、本実施の形態では、発光ダイオードから成る高輝度の光源により構成されている。
【0043】
撮像器3は、カセット10の上記の他方の側面側において、点光源2と略同軸位置に配置されている。撮像器3は、本実施の形態では、CCD(Charge Coupled Device)カメラにより構成されている。なお、撮像器3は、CCDカメラ以外に、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどにより構成されてもよい。
【0044】
再帰反射板5は、コリメータ板4と再帰反射板5との間の平行化された光の光路上に、複数のウェハ11の端部が位置するように、カセット10の上記他方の側面側(コリメータ板4と対向する側)に配置されている。なお、再帰反射板5は、本実施の形態では、μCCR(μ Corner Cube Reflector)プレートにより構成されている。
【0045】
上記のとおり構成されたウェハ搬出システム1Aがカセット10内のウェハ11の収納状態を検出する際には、つぎのような手順が行われる。
【0046】
まず、点光源2から拡散光がコリメータ板4に向けて放射され、コリメータ板4において反射されて平行化される。つぎに、コリメータ板4において反射された平行化された光は、コリメータ板4に対向して配置された再帰反射板5に向けて進行する。つぎに、再帰反射板5において反射された上記の平行化された光はコリメータ板4に向けて進行(再帰反射)する。これにより、コリメータ板4上に複数のウェハ11の開口部19側の端部の透過像が写る。そして、コリメータ板4上に写った複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像を撮像器3によって撮像する。換言すると、コリメータ板4によって複数のウェハ11の開口部19側の端部の透過像が反射されて撮像器3の受光面に結像する。かくして、撮像器3が、複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像を撮像することとなる。なお、コリメータ板4のミラー法線と撮像器3のカメラ光軸とが平面図上で平行であるため、ウェハ11の像が透過像上において平行な像として結像される。
【0047】
ロボット30は、カセット10内に収納されたウェハ11を一枚ずつ搬出して、半導体製造装置105の所定の基板処理部に搬送する水平多関節型や垂直多関節型などの産業用ロボットである。ロボット30は、ロボットアーム32の先端部位にウェハ11を保持(把持、挟持なども含む)するハンド36(保持ツール)が取り付けられており、ロボットアーム32を構成する複数のロボットアーム32の各回転軸周りの回転を互いに独立して行い得るよう構成されている。つまり、ロボット30は、複数のロボットアーム32の各回転軸の回転位置の制御によりハンド36を所望の位置に所望の姿勢で停止させ、複数のロボットアーム32の各回転軸の角速度の制御によりハンド36を所望の経路に沿って所望の速度で移動させることができる。
【0048】
システム制御装置60は、基板収納状態検出手段61と、基板保持可否判定手段64と、ロボット制御手段65と、記憶手段66とを有する。基板収納状態検出手段61は、撮像器3によって撮像された複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像(後述のマスタ画像、サンプリング画像)を取り込んで後述の画像処理を行う画像処理部62と、画像処理部62によって画像処理された画像に基づいてウェハ11の収納状態を判定する基板収納状態判定部63と、を備えている。基板保持可否判定手段64は、基板収納状態検出手段61によりウェハ11の飛び出し(第1の基板収納状態)が検出された場合、撮像器3により撮像された画像に基づいて、ウェハ11の飛び出し量がハンド36によりウェハ11を保持可能な飛び出し保持可能範囲(第1の保持可能範囲)に含まれるか否かを判定し、かつ基板収納状態検出手段61によりウェハ11の垂れ(第2の基板収納状態)が検出された場合には、撮像器3により撮像された画像に基づいて、ウェハ11の垂れ量がハンド36によりウェハ11を保持可能な垂れ保持可能範囲(第2の保持可能範囲)に含まれるか否かを判定する。ロボット制御手段65は、ロボット30の動作を制御して、ハンド36のウェハ保持位置を変化させてカセット10の各スロット18に収納されているウェハ11の搬出を行う。記憶手段66は、所定のデータ等を記憶する。
【0049】
なお、図1Bには、基板収納状態検出手段61、基板保持可否判定手段64、ロボット制御手段65を実現するシステム制御装置60のハードウェア構成が示されている。図1Bによれば、システム制御装置60は、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)650と、ロボット30及び撮像器3との間で情報の授受を行うI/O(Input/Output)ポート651と、ロボット30の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)652と、制御プログラムに用いられる制御パラメータや後述のマスタ画像に関するマスタデータやサンプリング画像に関するサンプリングデータなどを記憶するRAM(Random Access Memory)64と、により構成されている。なお、手段61、64、65、66は、ROM652に記憶される制御プログラムをCPU650が読み出して実行することにより実現される機能である。
【0050】
なお、システム制御装置60は、一のCPU650による集中型の構成としてもよいし、複数のCPU650による分散型の構成としてもよい。よって、後述のウェハ搬出処理(図3参照)と後述のウェハ収納状態検出処理(図7参照)とを別々のCPU650で実行するように構成してもよい。また、画像処理部65は、ソフトウェアにより構成するのではなく、専用のLSIにより構成してもよい。
[ウェハ搬出処理の全体の流れ]
図3は、ウェハ搬出システム1Aによるウェハ搬出処理の全体の流れを示すフローチャートである。システム制御装置60は、ウェハ11を収納したカセット10が図1A及び図1Cに示される所定の停止位置に到着した後(ステップS301)、後述のウェハ収納状態検出処理(図7参照)を実行する(ステップS302)。そして、システム制御装置60は、後述のウェハ収納状態検出処理(図7参照)の実行結果に基づいて所望の処理を行う。例えば、収納状態が検出されなかったウェハ11全てに対し、ロボット30のハンド36による搬出を行う(ステップS303、ステップS304)。
[マスタ画像登録処理の流れ]
図4は、本発明に係るマスタ画像登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
まず、カセット10内の全てのスロット18にウェハ11が正常に収納されているものとする。なお、正常に収納されているとは、後述の「飛び出しスロット」、「クロススロット」、「ウェハ無しスロット」、「ダブルスロット」、及び「垂れウェハスロット」と呼ぶ基板収納状態が発生していないことを指す。ここで、ある基板収納状態を正常と呼ぶか異常と呼ぶかは単に呼び方の選択の問題である。システム制御装置60は、カセット10内に正常に収納された複数のウェハ11の端部の画像を撮像手段3によって撮像し、この複数のウェハ11の端部の画像(透過像)をマスタ画像として取得する(ステップS401)。なお、マスタ画像とは、後述のウェハ収納状態検出処理において基準(参考)として用いられる画像のことである。
【0052】
ここで、マスタ画像の一例を図5に示す。図5に示されるマスタ画像20は、複数のウェハ11の各端部によって遮光された部分が、複数の局所的な遮光部分(低輝度部分)として出現するような画像となっている。なお、図5中に示されるマスタ画像20のX軸の向きが図1C中に示される配列方向に対応付けられており、図5中に示されるマスタ画像20のY軸の向きが図1A中に示される搬出方向(スロットからの抜き出し方向)に対応づけられている。
【0053】
つぎに、システム制御装置60は、撮像器3から取得したマスタ画像に対して、画像処理部62によって2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理を順に実行する。ここで、2値化処理とは、マスタ画像を構成する各画素の輝度(RGB値の平均値)を一定の閾値に基づいて白色(高輝度)と黒色(低輝度)とによる2つの輝度値に区分けする処理のことを指している。また、ラベリング処理とは、マスタ画像を構成する各画素において同一の輝度値を持つ画素の集合体に同じラベルを付与して分類する処理のことを指している。
【0054】
また、特徴量抽出処理とは、ラベリング処理が行われたマスタ画像に基づいて、重心位置、姿勢、面積、先端位置、傾きなどの特徴量を抽出する処理のことを指している。なお、重心位置とは、ラベリング処理により画素の集合体に付与されたラベルを一点で支えることのできる位置のことを指している。姿勢とは、同一ラベルが付与された画素の集合体の姿勢であり、面積とは、該画素の集合体の面積であり、先端位置とは、該画素の集合体の先端位置であり、該傾きとは、該画素の集合体の所定の基準線(X軸又はY軸)に対する傾きのことを指している。よって、後述のウェハ11の飛び出し量は、上記の先端位置などの特徴量に基づいて検出することができ、後述のウェハ11の垂れ量は、上記の傾きなどの特徴量に基づいて検出することができる。
【0055】
そして、システム制御装置60は、画像処理部62によるマスタ画像に関する上記の2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理の各処理結果をマスタデータとして記憶手段66に格納する(ステップS403)。これにより、マスタ画像の登録処理が完了する。
【0056】
以上では、後述のウェハ収納状態検出処理において基準(参考)として用いられるマスタ画像の登録処理の一例について説明したが、当該マスタ画像等の基準(参考)データは上記と異なるその他の方法によって取得することもできる。例えば、ウェハの規格上の厚み等から計算のみによって取得することもできる。
[基板収納が正常でないときのサンプリング画像例]
図6は、ウェハ11の収納状態が正常でないときに撮像器3によって撮像された複数のウェハ11の開口部18側の端部の画像(以下、サンプリング画像という)の一例を示した図である。
【0057】
図6中に表記される「飛び出しスロット(第1の基板収納状態)」とは、カセット10のあるスロット18において規定の収納位置からウェハ11が前方に規定以上飛び出している事象のことをいう。なお、「飛び出し量」とは、スロット18の規定の収納位置に収納されているウェハ11の先端位置から、「飛び出しスロット」が発生したスロット18に収納されているウェハ11の先端位置まで、の距離のことを指している。このような飛び出しスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する遮光部分が、他の遮光部分よりもY軸方向に長くなるような画像部分が出現することとなる。
【0058】
図6中に表記される「垂れウェハスロット(第2の基板収納状態)」とは、カセット10のあるスロット18に収納されているウェハが規定の位置よりも規定以上下方に垂れている事象のことをいう。なお、「垂れ量」とは、スロット18の規定の収納位置に収納されているウェハ11の先端位置から、「垂れウェハスロット」の発生したスロット18に収納されているウェハ11の先端位置までの距離のことを指している。このような垂れウェハスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する部分が傾いているような画像が出現する。
【0059】
図6中に表記される「クロススロット(第3の基板収納状態)」とは、1枚のウェハ11が左右異なるスロット18に段違いで収納されている事象のことをいう。このようなクロススロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する遮光部分(低輝度部分)が、他の遮光部分よりもX軸方向に厚くなり、かつ、2つのスロット位置に跨るような画像部分が出現することとなる。
【0060】
図6中に表記される「ウェハ無しスロット(第4の基板収納状態)」とは、カセット10内のあるスロット18にウェハ11が1枚も収納されていない事象のことをいう。このようなウェハ無しスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する遮光部分が欠落するような画像部分が出現することとなる。
【0061】
図6中に表記される「ダブルスロット(第5の基板収納状態)」とは、同一のスロット18内に2枚のウェハ11が重なって収納されている事象のことをいう。このようなダブルスロットが発生する場合には、サンプリング画像22において、そこに対応する部分が、他の遮光部分よりもX軸方向に2倍に厚くなるような画像が出現することとなる。
【0062】
[ウェハ収納状態検出処理の流れ]
図7は、本発明の第1の実施の形態におけるウェハ収納状態検出処理の流れを示すフローチャートである。なお、このウェハ収納状態検出処理は、図3に示したステップS302のウェハ収納状態検出処理に対応した処理である。
【0063】
まず、システム制御装置60の基板収納状態判定部63は、記憶手段66に格納されているマスタ画像に関するマスタデータを読み出す(ステップS701)。
【0064】
つぎに、システム制御装置60は、図1A及び図1Cに示した所定の停止位置に到着したカセット10に対し、カセット10内の全てのスロット18に収納されている複数のウェハ11の開口部19側の端部の画像を撮像器3によって撮像し、該撮像した画像をサンプリング画像として取得する(ステップS702)。
【0065】
つぎに、システム制御装置60は、撮像器3から取得したサンプリング画像に対して画像処理部62により2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理を順に実行する(ステップS703)。なお、これらの処理は、マスタ画像に対して実行された処理と同一の処理である。そして、システム制御装置60は、画像処理部62によるサンプリング画像に関する上記の2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理の各処理結果をサンプリングデータとして記憶手段66に格納する。
【0066】
つぎに、システム制御装置60(正確には基板収納状態判定部63)は、記憶手段66に格納されたマスタデータとサンプリングデータとを比較することにより、以下のステップのようなカセット10内のウェハ11の収納状態が正常か否かを検出する(ステップS704)。
【0067】
まず、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「ウェハ無しスロット」の有無を検出する(ステップS705)。ここでは、ウェハ無しスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、ウェハ無しスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「ウェハ無しスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、ウェハ無しスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS706)。判定結果「OK」の場合には、つぎのステップS707に進む。
【0068】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「クロススロット」の有無を検出する(ステップS707)。ここでは、クロススロットが無い場合には判定結果「OK」とし、クロススロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「クロススロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、クロススロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS708)。判定結果「OK」の場合には、つぎのステップS709に進む。
【0069】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「ダブルスロット」の有無を検出する(ステップS709)。ここでは、ダブルスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、ダブルスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「ダブルスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、ダブルスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS710)。判定結果「OK」の場合には、つぎのステップS711に進む。
【0070】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「飛び出しスロット」の有無を検出する(ステップS711)。ここでは、飛び出しスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、飛び出しスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、直ちにエラーを外部に出力するのではなく、飛び出しスロットに収納されたウェハ11の飛び出し量が、ロボット30のハンド36によるウェハ11の保持可能な範囲(以下、飛び出し保持可能範囲とよぶ。)内にあるか否かの判定を行う(ステップS712)。飛び出し保持可能範囲は、例えば、図8に示される斜線でハッチングされて表された領域であり、図1Aに示される画像Y軸方向のある範囲内のことを指している。なお、この領域は、例えば、ロボット30のハンド36が、カセット10や保持対象以外のウェハ11と干渉することなく保持対象のウェハ11を保持できる領域として決定することができる。
【0071】
ウェハ11の飛び出し量が飛び出し保持可能範囲内であれば判定結果「OK」とし、ウェハ11の飛び出し量が飛び出し保持可能範囲外であれば判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「飛び出しスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、飛び出しスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS713)。判定結果「OK」の場合には、飛び出しスロットに収納されている飛び出し保持可能範囲を超えずに飛び出しているウェハ11の先端位置に合わせるように、システム制御装置60は、ロボット30のハンド36のウェハ保持位置を補正し(ステップS714)、つぎのステップS715に進む。
【0072】
つぎに、システム制御装置60は、サンプリング画像に表されたカセット10内の複数のウェハ11の中で、「垂れウェハスロット」の有無を検出する(ステップS715)。ここでは、垂れウェハスロットが無い場合には判定結果「OK」とし、垂れウェハスロットが有る場合には判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、直ちにエラーを外部に出力するのではなく、垂れウェハスロットに収納されたウェハ11の垂れ量が、ロボット30のハンド36によるウェハ11の保持可能な範囲(以下、垂れ保持可能範囲とよぶ。)内にあるか否かの判定を行う(ステップS716)。なお、垂れ保持可能範囲は、例えば、図9に示される斜線でハッチングされた領域であり、図1Cに示した画像X軸方向のある範囲内のことを指している。なお、この領域は、例えば、ロボット30のハンド36が、カセット10や保持対象以外のウェハ11と干渉することなく保持対象のウェハ11を保持できる領域として決定することができる。
【0073】
ウェハ11の垂れ量が垂れ保持可能範囲内であれば判定結果「OK」とし、ウェハ11の垂れ量が垂れ保持可能範囲外であれば判定結果「NG」とする。判定結果「NG」の場合には、「垂れウェハスロットエラー」と定義して外部に出力するとともに、垂れウェハスロットに対応するスロット18のスロット番号と対応付けて記憶手段66に格納する(ステップS717)。判定結果「OK」の場合には、垂れウェハスロットに収納されている垂れ保持可能範囲を超えずに垂れているウェハ11の先端位置に合わせるように、システム制御装置60は、ロボット30のハンド36のウェハ保持位置を補正する(ステップS718)。
【0074】
なお、システム制御装置60は、ウェハ無しスロットエラー(ステップS706)、クロススロットエラー(ステップS708)、ダブルスロットエラー(ステップS710)、飛び出しスロットエラー(ステップS713)、又は垂れウェハスロットエラー(ステップS717)の発生したスロット18に収納されているウェハ11については、図3に示したウェハ搬出動作(ステップS303)の中で、ハンド36による保持及び搬出をスキップするように構成されている。
[効果]
本実施の形態に係る基板収納状態検出装置によれば、1台の撮像器3を用いてカセット10内に収納されているウェハ11の端部の画像を一度に取得して、当該取得した画像に基づいてカセット10内のウェハ11の収納状態として少なくとも「飛び出しスロット」及び「垂れウェハスロット」の有無を一度に検出することができ、システム構成の簡素化及び搬出処理にかかる時間の短縮化が図られることとなる。
【0075】
なお、ウェハ搬出システム1Aはウェハ11の飛び出し量及び垂れ量等のウェハ11収納状態を表す指標を検出するために撮像器3を利用するものであり、対象物であるウェハ11の反射率に左右されず、ウェハ11の収納状態を確実に検出することができる。さらに、ある程度の幅(図6中に示されるY軸方向の長さ)を持った画像が得られるので、飛び出しスロットの有無を確実に検出できる。
【0076】
また、飛び出しスロットの有無を、サンプリング画像中の遮光部分のY軸方向(図6参照)の長さの変化に基づいて検出するので、ウェハの飛び出し量の定量化を容易に行うことができる。同様に、垂れウェハスロットの有無を、画像中の遮光部分の傾きに基づいて検出するので、ウェハの垂れ量の定量化を容易に行うことができる。
【0077】
本実施の形態に係る基板収納状態検出装置によれば、撮像器3により撮像された画像に基づいて、「飛び出しスロット」及び「垂れウェハスロット」の有無に加えて、「ウェハ無しスロット」、「クロススロット」、及び「ダブルスロット」の有無を一度に検出することもできる。
【0078】
なお、ダブルスロットの検出を面積値により判定することにより、ダブルスロットの場合と正常の場合とで検出値が大きく変動することとなる。このため、プロファイルを利用する従来の技術に比べて、ダブルスロットの検出をより確実に行うことができる。
【0079】
本実施の形態に係る基板収納状態検出装置によれば、「飛び出しスロット」、「垂れウェハスロット」を検出した場合であっても、ロボット30のハンド36によって保持及び搬送可能であれば、ロボット30の制御パラメータ(ウェハ保持位置など)を補正することによって、ロボット30を停止させることなく、ウェハ11の搬出動作を継続することができる。この結果、ウェハ搬出システム1A全体のスループットを向上させることができる。
[変形例]
図10に示すウェハ搬出システム1Bに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の変形例である。
【0080】
ウェハ搬出システム1Bに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した点光源2の代わりに、図1A及び図1Cに示した再帰反射板5の位置に、透過型の面光源12を配置し、透過型の面光源12からの平行光をコリメータ板4に向けて放射するように構成されている。透過型の面光源12は、LED素子を縦に1列並べて構成されたLED光源13と、LED光源13から放射された光を透過する拡散透過板14とを備えている。拡散透過板14は、例えば曇りガラスで構成される。LED光源13から放射された直後の光にはムラがあるが、拡散透過板14を透過させることにより、ムラのない均質な明るさを持つ面光源とすることができる。よって、図10に示される基板収納状態検出装置においても、コリメータ板4上に映し出された複数のウェハ11の端部の画像(サンプリング画像)を、撮像器3によって撮像し、画像処理部62によって該透過像を解析することにより、同様の効果を奏することができる。
【0081】
図11に示すウェハ搬出システム1Cに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置のその他の変形例である。
【0082】
ウェハ搬出システム1Cに含まれる基板収納状態検出装置は、図10に示した透過型の面光源12の代わりに、反射型の面光源15が用いられている。反射型の面光源15は、LED光源13から放射された光を、拡散反射板16で反射させるように構成されている。このような反射型の面光源15によっても、ムラのない均質な光をコリメータ板4に向けて放射することができる。よって、図11に示した基板収納状態検出装置においても、同様の効果を奏することができる。
【0083】
図12に示すウェハ搬出システム1Dに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した本発明の第1の実施の形態に係る基板収納状態検出装置のさらにその他の変形例である。
【0084】
ウェハ搬出システム1Dに含まれる基板収納状態検出装置は、図1A及び図1Cに示した再帰反射板5の位置に、拡散反射板7を配置しており、さらに、ロボット30に、撮像器3と点光源2とを設けており、複数のカセット10に対して少なくとも撮像器3と点光源2とが一式で済むように構成されている。これにより、ウェハ搬出システム1Dのコンパクト化やコストの低減を図ることができる。なお、本変形例においては、ロボット30に設けられた点光源2からの光が拡散反射板7においてウェハ11の端部に向けて反射され、さらにコリメータ板4において撮像器3に向けて反射される。このように、撮像器3をロボット30に設ければ、ウェハ11の収納状態を表す画像を撮像することもできるし、ロボット30を動作させることによって任意の角度から任意のカセット10の画像を撮像して記録することもできる。なお、後者の場合には、異常の原因調査や再発防止策の検討を行うために最適な撮像角度や位置を選択することができる。
【0085】
また、撮像器3によって得られたウェハ11の端部のサンプリング画像を記憶手段66に保存しておけば、ロボット30が搬送の失敗や衝突等の異常を起こした場合において、異常発生時のサンプリング画像を確認でき、そのサンプリング画像を手掛かりにして異常の原因調査や再発防止策の検討を行うことができる。具体的には、撮像器3によって得たサンプリング画像を記憶手段66に保存し、必要に応じて過去のサンプリング画像を参照可能なように構成する。記憶手段66の記憶容量が許す範囲の最新のサンプリング画像のみを残し、古いサンプリング画像は削除(上書きされる場合を含む)される構成としても良い。また、異常を検出した後に古いサンプリング画像の削除(上書きされる場合を含む)を中止する構成とすれば、異常発生前の一定時間のサンプリング画像が削除されることを回避できる。
【0086】
また、上記のウェハ搬出システム1A〜1Dは、ウェハ11の他に、カセットに収納されて搬送される液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等のその他の基板の収納状態の検出についても適用することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態では、ウェハ11の端部のみならずハンド36の先端箇所の画像を撮像器3により同時に撮像し、当該撮像した画像に基づいて「飛び出しスロット」及び「垂れウェハスロット」を検出する。なお、本発明の第2の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の構成(上記の変形例も含む)及びウェハ搬出処理の流れは本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0087】
以下、本発明の第2の実施の形態について、本発明の第1の実施の形態の説明で用いた図7に示されるウェハ収納状態検出処理を示すフローチャートを用いて説明する。
【0088】
まず、ステップS702においてサンプリング画像を取り込む場合、システム制御装置60は、コリメータ板4上に結像されたウェハ11の透過像と併せてハンド36の先端位置が撮像器3の視野範囲に収まるように、ハンド36をウェハ保持位置付近の位置に移動させる。そして、カセット10内に収納された複数のウェハ11の端部の透過像及びハンド36の先端箇所の画像が撮像され、システム制御装置60は、インタフェース62を介して該撮像された画像をサンプリング画像として取得する。なお、この取得したサンプリング画像については、ステップS703において、2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理が順に実行される。
【0089】
これにより、システム制御装置60は、カセット10内に収納された搬出対象のウェハ11の先端位置とロボット30のハンド36の先端位置との相対的な関係を把握することができる。また、ステップS711において、サンプリング画像から把握される搬出対象のウェハ11の先端位置とハンド36の先端位置との相対差に基づいて、飛び出しスロットの有無を検出することができる。同様に、ステップS715において、サンプリング画像から把握される搬出対象のウェハ11の先端位置とハンド36の先端位置との相対差に基づいて、垂れウェハスロットの有無を検出することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、本発明の第1の実施の形態とはウェハ搬出処理の流れのみが相違している。なお、本発明の第2の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の構成(上記の変形例も含む)及びウェハ収納状態検出処理の流れは本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0090】
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る基板収納状態検出装置によるウェハ搬出処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0091】
システム制御装置60は、複数のウェハ11が収納されたカセット10が図1A及び図1Cに示される所定の停止位置に到着した後(ステップS1301)、図7に示されたウェハ収納状態検出処理を実行する(ステップS1302)。これにより、ウェハ無しスロットエラー、クロススロットエラー、ダブルスロットエラー、飛び出しスロットエラー、又は垂れウェハスロットエラーが発生したスロット18に収納されているウェハ11について、その保持及び搬出がスキップされる。また、ウェハ11の飛び出し量が飛び出し保持可能範囲内であれば、システム制御装置60は、その飛び出したウェハ11の位置に適合するように、ロボット30の制御パラメータとしてハンド36のウェハ保持位置が補正される。また、ウェハ11の垂れ量が垂れ保持可能範囲内であれば、システム制御装置60は、その垂れたウェハ11の位置に適合するように、ロボット30の制御パラメータとしてハンド36のウェハ保持位置が補正される。
【0092】
つぎに、システム制御装置60は、コリメータ板4によって結像されたウェハ11の透過像と併せてハンド36の先端位置が撮像器3の視野範囲に収まるように、ロボットアーム32及びハンド36を動作させる(ステップS1303)。そして、カセット10内に収納された複数のウェハ11の端部の透過像及びハンド36の先端箇所の画像が撮像器3によって撮像され、システム制御装置60は、該撮像された画像を取得する。なお、この取得した画像は、上記のマスタ画像及びサンプリング画像と同様に、2値化処理、ラベリング処理、及び特徴量抽出処理が順に実行される。これにより、システム制御装置60は、カセット10内に収納されたスキップ対象外の搬出可能なウェハ11の先端位置とロボット30のハンド36との相対的な位置関係を把握することができる(ステップS1304)。
【0093】
つぎに、システム制御装置60は、カセット10内の搬出可能なウェハ11の先端位置に対してハンド36の位置ずれの有無を検出する(ステップ1305)。ハンド36の位置ずれが有る場合には(ステップS1305:NO)、システム制御装置60は、カセット10内の搬出可能なウェハ11の位置にハンド36のウェハ保持位置が適合するように補正を行う(ステップS1306)。ハンド36の位置ずれが無い場合には(ステップS1305:YES)、つぎのステップS1307に進む。
【0094】
そして、システム制御装置60は、カセット10内で搬出可能なウェハ11全てに対し、ロボット30による搬出を行う(ステップS1307、ステップS1308)。
【0095】
以上により、撮像器3によってカセット10に収納されたウェハ11の端部のみならずロボット30のハンド36をも撮像し、この撮像された画像から識別されるウェハ11の端部とハンド36の先端位置との相対的な位置関係に基づいて、ハンド36のウェハ保持位置を補正することで、ウェハ11をより確実に搬出することができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態は、本発明の第3の実施の形態におけるウェハ11の収納状態及びロボット30側の状態をも撮像した画像を利用して、ロボット30側のずれや変形等を検出するものである。なお、本発明の第4の実施の形態に係る基板収納状態検出装置の構成(上記の変形例も含む)、ウェハ搬出処理の流れ、及びウェハ収納状態検出処理の流れは本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0096】
本実施の形態において、システム制御装置60は、撮像器3により正常なロボット30に特定の姿勢をとらせた場合の画像情報(以下、基準画像情報という)を取得して、この基準画像情報を記憶手段66に予め格納しておく。その後、システム制御装置60は、ロボット30に対して上記の特定の姿勢と同じ姿勢をとらせた場合の画像情報(以下、比較画像情報という)を取得して、この比較画像情報を記憶手段66に格納する。そして、システム制御装置60は、記憶手段66に格納された基準画像情報と比較画像情報とを比較し、両者に相違がある場合にはロボット30にずれや変形等が生じていると判定する。
【0097】
例えば、基準画像情報と比較画像情報とが上下方向にずれている場合には、ハンド36の曲がりやボルトの緩みが生じている可能性が高いことを推定することができる。あるいは、ハンド長手方向にずれている場合には、ロボット30の駆動機構にガタが生じている可能性が高いことを推定することができる。また、システム制御装置60は、基準画像情報と比較画像情報との比較結果に基づいて、ロボット30の制御パラメータを補正してもよい。これにより、ロボット30にずれや変形が生じた場合にも制御パラメータを補正することによってウェハ11の搬出動作を継続することができ、システム停止時間を短縮することができる。
【0098】
なお、上記実施の形態では、平行な透過光を用いてカセット10に収納されたウェハ11の端部を撮像するように構成したが、本発明はこれには限定されない。例えば、一般的な撮像方法に従って、カセット10の周囲全体を明るくし、カセット10に収納されたウェハ11の端部で散乱される光を集光して当該ウェハ11の端部を撮像するように構成してもよい。
【0099】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、搬送されてきた基板収納容器の全てのスロットに収納されている基板を保持及び搬出する前にそれらの基板の収納状態を簡易な構成で速やかに検出できるという優れた作用効果を奏しており、特にFOUPに収納されているウェハを搬出する前にFOUP内のウェハの収納状態を検出するシステムにとって有用である。
【符号の説明】
【0101】
10 カセット
11 ウェハ
12 面光源
13 LED光源
14 拡散透過板
15 面光源
16 拡散反射板
18 スロット
19 開口部
1A、1B、1C、1D ウェハ搬出システム
2 点光源
20 マスタ画像
22 サンプリング画像
3 撮像手段
30 ロボット
32 ロボットアーム
36 ハンド
5 再帰反射板
60 システム制御装置
61 基板収納状態検出手段
62 画像処理部
63 基板収納状態判定部
64 基板保持可否判定手段
65 ロボット制御手段
650 CPU
651 I/Oポート
652 ROM
653 RAM
66 記憶手段
7 拡散反射板
100 ウェハ
101、106 FFU
102 FOUP
103 FOUP搬送装置
104 ミニエンバイロメント筐体
105 半導体製造装置
107、108 扉部
109 ロボット
110 ロボット制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出装置であって、
前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力する基板収納状態検出手段と、
を備える、基板収納状態検出装置。
【請求項2】
前記開口部と隣接し、かつ前記交差する方向に沿って対向する前記基板収納容器の2つの側面のうち一方の側面側に設けられるコリメータ板と、
前記基板収納容器の前記2つの側面のうち他方の側面側に設けられ、前記コリメータ板に向けて面状に光を放射する照明手段と、を備え、
前記コリメータ板及び前記照明手段は、前記照明手段から前記コリメータ板に向う面状の光の光路内に各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部が位置するように配置されており、
前記撮像手段は、前記照明手段から面状に放射された光によって前記コリメータ板上に形成された各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する、
請求項1に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項3】
前記基板収納状態検出手段により検出された飛び出し量が前記基板が搬出される際に保持可能な第1の保持可能範囲に含まれるか否かを判定し、又は前記基板収納状態検出手段により検出された垂れ量が前記基板が搬出される際に保持可能な第2の保持可能範囲に含まれるか否かを判定する基板保持可否判定手段をさらに備える、請求項1に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項4】
ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するロボット制御手段をさらに備え、
前記ロボット制御手段は、さらに、前記基板保持可否判定手段の判定結果に基づいて前記ロボットを制御する、請求項3に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項5】
前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲外である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲外であると判定されたときには当該判定された基板の搬出をスキップするように前記ロボットを制御する、
請求項4に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項6】
前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲内である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲内であると判定されたときには前記飛び出し量又は前記垂れ量に応じて前記保持ツールの基板保持位置を補正する、請求項5に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項7】
前記ロボット制御手段は、前記保持ツールを前記撮像手段の視野範囲に収まるように前記基板保持位置に移動させ、前記撮像手段により撮像された前記基板の前記開口部側の端部及び前記保持ツールの画像に基づいて、前記保持ツールの基板保持位置をさらに補正する、請求項6に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項8】
複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出方法であって、
ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するステップと、
前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像するステップと、
前記撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力するステップと、
を含む、基板収納状態検出方法。
【請求項1】
複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出装置であって、
前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力する基板収納状態検出手段と、
を備える、基板収納状態検出装置。
【請求項2】
前記開口部と隣接し、かつ前記交差する方向に沿って対向する前記基板収納容器の2つの側面のうち一方の側面側に設けられるコリメータ板と、
前記基板収納容器の前記2つの側面のうち他方の側面側に設けられ、前記コリメータ板に向けて面状に光を放射する照明手段と、を備え、
前記コリメータ板及び前記照明手段は、前記照明手段から前記コリメータ板に向う面状の光の光路内に各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部が位置するように配置されており、
前記撮像手段は、前記照明手段から面状に放射された光によって前記コリメータ板上に形成された各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像する、
請求項1に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項3】
前記基板収納状態検出手段により検出された飛び出し量が前記基板が搬出される際に保持可能な第1の保持可能範囲に含まれるか否かを判定し、又は前記基板収納状態検出手段により検出された垂れ量が前記基板が搬出される際に保持可能な第2の保持可能範囲に含まれるか否かを判定する基板保持可否判定手段をさらに備える、請求項1に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項4】
ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するロボット制御手段をさらに備え、
前記ロボット制御手段は、さらに、前記基板保持可否判定手段の判定結果に基づいて前記ロボットを制御する、請求項3に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項5】
前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲外である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲外であると判定されたときには当該判定された基板の搬出をスキップするように前記ロボットを制御する、
請求項4に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項6】
前記ロボット制御手段は、前記基板保持可否判定手段により前記飛び出し量が前記第1の保持可能範囲内である又は前記垂れ量が前記第2の保持可能範囲内であると判定されたときには前記飛び出し量又は前記垂れ量に応じて前記保持ツールの基板保持位置を補正する、請求項5に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項7】
前記ロボット制御手段は、前記保持ツールを前記撮像手段の視野範囲に収まるように前記基板保持位置に移動させ、前記撮像手段により撮像された前記基板の前記開口部側の端部及び前記保持ツールの画像に基づいて、前記保持ツールの基板保持位置をさらに補正する、請求項6に記載の基板収納状態検出装置。
【請求項8】
複数の平板形状の基板を所定の収納位置にそれぞれ収納し、かつ全体として当該複数の基板を当該基板の厚み方向に配列して収納する複数のスロットと当該基板搬出用の開口部とを備える基板収納容器に収納されている当該基板の収納状態を検出する基板収納状態検出方法であって、
ロボットアームと当該ロボットアームの先端部位に設けられた前記基板を保持する保持ツールとを備えるロボットを制御して、前記保持ツールの基板保持位置を変化させて前記基板収納容器の各スロットに収納されている前記基板を前記開口部を通じて当該スロットから搬出するステップと、
前記基板の配列方向及び前記基板の搬出方向に交差する方向から見た各スロットに収納されている前記基板の前記開口部側の端部の画像を撮像するステップと、
前記撮像された画像に基づいて、各スロットに収納されている前記基板の収納状態を定量的に表す指標として、前記所定の収納位置から前記開口部の前方へと飛び出している基板の飛び出し量と前記開口部側の端部が垂れている基板の垂れ量とを検出するとともに、当該検出された基板の飛び出し量及び垂れ量を出力するステップと、
を含む、基板収納状態検出方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−134822(P2011−134822A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291814(P2009−291814)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
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