説明

基板対基板コネクタ

【課題】第1コネクタと第2コネクタとの嵌(かん)合完了を機械的接触に依存せずに電気的に検出することによって、小型化及び低背化された基板対基板コネクタの嵌合工程においても、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合完了を正確に確認することができ、嵌合工程における不完全嵌合の発生を確実に防止することができ、信頼性が高くなるようにする。
【解決手段】第1端子61と、長手方向両端に形成された第1嵌合ガイド部を有する第1ハウジング11とを備える第1コネクタ1と、前記第1端子61と接触する第2端子161と、長手方向両端に形成され、前記第1嵌合ガイド部と嵌合する第2嵌合ガイド部を有する第2ハウジング111とを備える第2コネクタ101とから成る基板対基板コネクタであって、前記第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を静電容量の変化に基づいて検出するスイッチを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板対基板コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の平行な回路基板同士を電気的に接続するために、基板対基板コネクタが使用されている。このような基板対基板コネクタは、一対の回路基板における相互に対向する面の各々に取付けられ、互いに嵌(かん)合して導通するようになっている。また、両端部に取付けた補強金具をロック部材として機能させ、相手方コネクタとの嵌合状態を保持する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図15は従来の基板対基板コネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【0004】
図において、801は、一対の基板対基板コネクタの一方としての第1コネクタであり、第1基板891の表面に実装されている。また、901は、一対の基板対基板コネクタの他方としての第2コネクタであり、第2基板991の表面に実装されている。前記第1コネクタ801は、第1ハウジング811と、該第1ハウジング811に装着された複数の第1端子861とを有し、また、前記第2コネクタ901は、第2ハウジング911と、該第2ハウジング911に装着された複数の第2端子961とを有する。そして、第1コネクタ801と第2コネクタ901とが嵌合すると、対応する第1端子861と第2端子961とが相互に接触することによって、第1基板891と第2基板991とが電気的に接続される。
【0005】
また、第1ハウジング811には、第2ハウジング911を収容する凹部812が形成されるとともに、該凹部812内には係合凸部813が形成されている。一方、第2ハウジング911には、係合凸部813を収容する係合凹部913が形成されている。
【0006】
さらに、第1ハウジング811の長手方向両端には第1金具851が取付けられている。該第1金具851は、第1基板891の表面にはんだ付される第1テール部852を備えるとともに、突出する第1ロック突起853を備える。また、第2ハウジング911の長手方向両端には第2金具951が取付けられている。該第2金具951は、第2基板991の表面にはんだ付される第2テール部952を備えるとともに、突出する第2ロック突起953を備える。
【0007】
そして、第1コネクタ801と第2コネクタ901とが嵌合すると、係合凸部813と係合凹部913とが互いに係合するとともに、第1金具851の第1ロック突起853と第2金具951の第2ロック突起953とが互いに係合する。これにより、第1コネクタ801と第2コネクタ901とがロックされ、その嵌合状態が保持される。
【0008】
なお、嵌合の際には、第1コネクタ801又は第2コネクタ901のいずれか一方が図に示される姿勢とは上下逆様となって、相手方のコネクタと嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−55306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の基板対基板コネクタにおいては、第1コネクタ801と第2コネクタ901とが完全に嵌合したか否かを確認することが困難である。すなわち、第1コネクタ801と第2コネクタ901とが嵌合する際には、いずれか一方が上下逆様となり、第2ハウジング911が第1ハウジング811の凹部812内に収容されるので、該凹部812の内側に位置する第1金具851の第1ロック突起853が、第2ハウジング911に取付けられた第2金具951の第2ロック突起953と、係合したか否かを外方から視認することができない。
【0011】
もっとも、第1ハウジング811の上端から第2ハウジング911が突出する度合いが大きい場合には、目視によって、第1コネクタ801と第2コネクタ901との嵌合が不完全であると判断することもできる。しかし、第1ハウジング811及び第2ハウジング911の下面には、第1ハウジング811及び第2ハウジング911の下面よりも遙かに大きな面積の第1基板891及び第2基板991が取付けられているので、第1ハウジング811の上端から第2ハウジング911が突出する度合いを目視によって確認することは困難である。
【0012】
特に、近年では、基板対基板コネクタの小型化及び低背化が進んでいるので、第1ハウジング811の上端から第2ハウジング911が突出する度合いを目視によって正確に確認し、第1コネクタ801と第2コネクタ901とが完全に嵌合したか否かを正確に判断することは、極めて困難である。
【0013】
本発明は、前記従来の基板対基板コネクタの問題点を解決して、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合完了を機械的接触に依存せずに電気的に検出することによって、小型化及び低背化された基板対基板コネクタの嵌合工程においても、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合完了を正確に確認することができ、嵌合工程における不完全嵌合の発生を確実に防止することができ、信頼性の高い基板対基板コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明の基板対基板コネクタにおいては、第1端子と、長手方向両端に形成された第1嵌合ガイド部を有する第1ハウジングとを備える第1コネクタと、前記第1端子と接触する第2端子と、長手方向両端に形成され、前記第1嵌合ガイド部と嵌合する第2嵌合ガイド部を有する第2ハウジングとを備える第2コネクタとから成る基板対基板コネクタであって、前記第1コネクタと第2コネクタとの完全嵌合を静電容量の変化に基づいて検出するスイッチを有する。
【0015】
本発明の他の基板対基板コネクタにおいては、さらに、前記第1コネクタは、前記第1嵌合ガイド部に配設された第1補強金具を有し、前記第2コネクタは、前記第2嵌合ガイド部に配設された第2補強金具を有し、前記スイッチは、互いに近接する対向電極を含み、該対向電極の一方は前記第1補強金具の平板部であり、他方は前記第2補強金具の平板部である。
【0016】
本発明の更に他の基板対基板コネクタにおいては、さらに、前記第1補強金具の平板部は平坦(たん)面を含み、前記第2補強金具の平板部は平坦面を含み、前記第1コネクタと第2コネクタとが嵌合すると、前記第1補強金具の平坦面と前記第2補強金具の平坦面とは互いに近接して対向し、キャパシタの対向電極面として機能する。
【0017】
本発明の更に他の基板対基板コネクタにおいては、さらに、前記第1補強金具の平坦面及び前記第2補強金具の平坦面は、前記第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合方向に直交する方向に延在し、前記第1コネクタ及び第2コネクタが嵌合方向に相対的に変位すると、前記第1補強金具の平坦面と前記第2補強金具の平坦面との間隔が変化して前記静電容量が変化する。
【0018】
本発明の更に他の基板対基板コネクタにおいては、さらに、前記第2嵌合ガイド部は、前記第2補強金具の平板部の周囲に配設されたストッパを含み、該ストッパは、前記第1補強金具の平坦面と当接して、前記第1補強金具の平板部と前記第2補強金具の平板部とが接触して導通することを防止する。
【0019】
本発明の更に他の基板対基板コネクタにおいては、さらに、前記第1補強金具の平坦面及び前記第2補強金具の平坦面は、前記第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合方向に延在し、前記第1コネクタ及び第2コネクタが嵌合方向に相対的に変位すると、前記第1補強金具の平坦面と前記第2補強金具の平坦面とが対向する部分の面積が変化して前記静電容量が変化する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板対基板コネクタは、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合完了を機械的接触に依存せずに電気的に検出する。これにより、小型化及び低背化された基板対基板コネクタの嵌合工程においても、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合完了を正確に確認することができ、嵌合工程における不完全嵌合の発生を確実に防止することができ、信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合面側から観た斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの実装面側から観た斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態を示す斜視図であり第1コネクタの嵌合面側から観た図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの分解図であり第1コネクタの嵌合面側及び第2コネクタの実装面側から観た図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの分解図であり第1コネクタの実装面側及び第2コネクタの嵌合面側から観た図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合を開始する状態での第1端子及び第2端子の関係を示す図であり、図3におけるA−A矢視部に対応する部分の断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合を開始する状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図3におけるB−B矢視部に対応する部分の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1端子及び第2端子の関係を示す図であり、図3におけるA−A矢視部の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図3におけるB−B矢視部の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図3におけるC−C矢視部の要部断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合完了を検出する方法を説明する図であり、(a)は嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図、(b)は第1補強金具及び第2補強金具の間隔と静電容量との関係を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態を示す斜視図であり第1コネクタの嵌合面側から観た図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す斜視図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図12におけるD−D矢視部の断面図である。
【図15】従来の基板対基板コネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合面側から観た斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの実装面側から観た斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態を示す斜視図であり第1コネクタの嵌合面側から観た図、図4は本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの分解図であり第1コネクタの嵌合面側及び第2コネクタの実装面側から観た図、図5は本発明の第1の実施の形態における第1コネクタ及び第2コネクタの分解図であり第1コネクタの実装面側及び第2コネクタの嵌合面側から観た図である。
【0024】
図において、1は本実施の形態における一対の基板対基板コネクタの一方としての第1コネクタであり、図示されない第1基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。また、101は本実施の形態における一対の基板対基板コネクタの他方としての第2コネクタであり、図示されない第2基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。本実施の形態における基板対基板コネクタは、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101を含み、第1基板及び第2基板を電気的に接続する。なお、前記第1基板及び第2基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0025】
また、本実施の形態において、基板対基板コネクタの各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記基板対基板コネクタの各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0026】
そして、前記第1コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたコネクタ本体としての第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、第2コネクタ101が嵌入される側、すなわち、嵌合面側(図4における上側)には、周囲が囲まれた概略長方形の凹部12が形成されている。前記第1コネクタ1は、例えば、縦約10.0〔mm〕、横約2.5〔mm〕及び厚さ約1.0〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。そして、前記凹部12内には島部としての第1凸部13が第1ハウジング11と一体的に形成され、また、前記第1凸部13の両側には該第1凸部13と並行に延在する側壁部14が第1ハウジング11と一体的に形成されている。この場合、前記第1凸部13及び側壁部14は、凹部12の底面から上方に向けて突出し、第1ハウジング11の長手方向に延在する。これにより、前記第1凸部13の両側、具体的には、第1凸部13と側壁部14との間に、凹部12の一部として、第1ハウジング11の長手方向に延在する細長い凹部である凹溝部12aが形成される。なお、図に示される例において、前記第1凸部13は単数であるが、複数であってもよく、その数はいくつであってもよい。また、前記第1凸部13は、例えば、幅約0.6〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。
【0027】
ここで、前記第1凸部13の両側の側面には凹溝状の第1端子収容内側キャビティ15aが形成されている。また、前記側壁部14の内側の側面には凹溝状の第1端子収容外側キャビティ15bが形成されている。そして、前記第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとは、凹溝部12aの底面において連結され互いに一体化しているので、第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとを統合的に説明する場合には、第1端子収容キャビティ15として説明する。
【0028】
該第1端子収容キャビティ15は、第1凸部13の両側に、例えば、約0.4〔mm〕のピッチで6個ずつ形成されている。そして、第1端子収容キャビティ15の各々に収容される第1端子61も、第1凸部13の両側に、例えば、約0.4〔mm〕のピッチで6個ずつ配設されている。なお、前記第1端子収容キャビティ15のピッチ及び数は適宜変更することができる。
【0029】
前記第1端子61は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、被保持部63と、該被保持部63の下端に接続されたテール部62と、前記被保持部63の上端に接続された上側接続部67と、該上側接続部67の内方端近傍に形成された第2接触凸部としての第2接触部66と、該第2接触部66に接続された下側接続部64と、該下側接続部64の自由端近傍に形成された第1接触凸部としての第1接触部65とを備える。
【0030】
そして、前記被保持部63は、上下方向、すなわち、第1ハウジング11の厚さ方向に延在し、前記第1端子収容外側キャビティ15bに嵌入されて保持される部分である。また、前記テール部62は、被保持部63に対して曲げて接続され、左右方向、すなわち、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて延出し、第1基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続される。さらに、前記上側接続部67は、被保持部63に対して曲げて接続され、第1ハウジング11の幅方向に内方を向いて延出する。
【0031】
前記上側接続部67の内方端には、下方に向けて曲げられ、かつ、第1ハウジング11の幅方向に内方を向いて突出する湾曲した第2接触部66が形成されている。また、前記下側接続部64は、前記第2接触部66の下端に接続されたU字状の側面形状を備える部分である。前記下側接続部64の自由端、すなわち、前記内方の上端近傍には、U字状に曲げられ、かつ、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて突出する湾曲した第1接触部65が形成されている。
【0032】
前記第1端子61は、実装面側(図4における下側)から、第1端子収容キャビティ15内に嵌入され、被保持部63が側壁部14の内側の側面に形成された第1端子収容外側キャビティ15bの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。この状態、すなわち、第1端子61が第1ハウジング11に装填(てん)された状態において、前記第1接触部65と第2接触部66とは、凹溝部12aの左右両側に位置し、互いに向合っている。
【0033】
なお、第1端子61は、金属板に加工を施すことによって一体的に形成された部材であるので、ある程度の弾性を備える。そして、その形状から明らかなように、互いに向合う第1接触部65と第2接触部66との間隔は、弾性的に変化可能である。すなわち、第1接触部65と第2接触部66との間に第2コネクタ101の第2端子161が挿入されると、それにより、第1接触部65と第2接触部66との間隔は弾性的に伸長する。
【0034】
また、前記第1ハウジング11の長手方向両端には第1嵌合ガイド部としての第1突出端部21が各々配設されている。各第1突出端部21には、前記凹部12の一部として突出端凹部22が形成されている。該突出端凹部22は、略長方形の凹部であり、各凹溝部12aの長手方向両端に接続されている。そして、前記突出端凹部22は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、該第2コネクタ101が備える第2突出端部122が挿入される挿入凹部として機能する。
【0035】
さらに、前記第1突出端部21は、側壁部14の長手方向両端から第1ハウジング11の長手方向に延出する側壁延長部21bと、第1ハウジング11の短手方向に延在し、両端が側壁延長部21bに接続された端壁部21cとを備える。各第1突出端部21において、端壁部21cとその両端に接続された側壁延長部21bとは、連続したコ字状の側壁を形成し、略長方形の突出端凹部22の三方を画定する。
【0036】
そして、前記第1突出端部21には、補強金具としての第1補強金具51が取付けられる。該第1補強金具51は、第1突出端部21に形成された第1金具保持凹部26内に収容されて保持される。また、前記側壁延長部21bには、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する第1金具保持開口部26aが形成されている。
【0037】
本実施の形態において、第1補強金具51は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、全体として第1ハウジング11の幅方向に延在する細長い帯状の平板部である本体部としての第1検出部58と、該第1検出部58の左右両端に略90度上方に向けて曲げて接続され、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する第1被保持部57と、該第1被保持部57に略180度下方に向けて曲げて接続され、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する第1基板接続部56とを有する。
【0038】
前記第1補強金具51は、第1被保持部57が、実装面側から、第1金具保持開口部26a内に嵌入され、該第1金具保持開口部26aの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。そして、前記第1基板接続部56の先端は、側壁延長部21bの下面から突出し、かつ、第1ハウジング11の実装面とほぼ平行となるように形成され、第1基板上の固定用パッドにはんだ付等によって固定される。すなわち、前記第1基板接続部56は、第1補強金具51のはんだテール部として機能する。
【0039】
なお、前記第1検出部58は、実装面とほぼ平行となるように第1金具保持凹部26内に収容され、該第1金具保持凹部26の実装面側を塞(ふさ)ぐように、第1ハウジング11の幅方向に延在する。また、前記第1検出部58の幅寸法、すなわち、第1ハウジング11の長手方向に関する寸法は、典型的には、第2ハウジング111の第2金具保持凹部126の幅寸法、すなわち、第2ハウジング111の長手方向に関する寸法よりも大きい。
【0040】
さらに、前記第1検出部58の平坦面としての上面58aは、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態において対向電極面として機能し、第2補強金具151の第2検出部158の平坦面としての上面158aと対向して容量結合する部分である。そのため、前記上面58aは、典型的には、凹凸がなく面積の広い平坦面である。
【0041】
また、前記第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたコネクタ本体としての第2ハウジング111を有する。該第2ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、例えば、縦約8.0〔mm〕、横約1.5〔mm〕及び厚さ約0.8〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。そして、第2ハウジング111の第1コネクタ1に嵌入される側、すなわち、嵌合面側(図5における上側)には、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凹溝部113と、該凹溝部113の外側を画定するとともに、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凸部としての第2凸部112とが一体的に形成されている。該第2凸部112は、凹溝部113の両側に沿って、かつ、第2ハウジング111の両側に沿って形成されている。また、各第2凸部112には、端子としての第2端子161が配設されている。
【0042】
図に示されるように、凹溝部113は、第2基板に実装される側、すなわち、実装面(図5における下面)側が底部によって閉止されている。なお、図に示される例において、前記第2凸部112は2本であるが、単数であってもよく、その数はいくつであってもよい。また、前記凹溝部113は、例えば、幅約0.7〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。
【0043】
前記第2端子161は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、図示されない本体部と、該本体部の下端に接続されたテール部162と、前記本体部の上端に接続された第1接触部165と、該第1接触部165の上端に接続された接続部164と、該接続部164の外方端に接続された第2接触部166とを備える。なお、前記第1接触部165の表面には、第1端子61の第1接触部65と係合する第1接触凹部165aが形成され、前記第2接触部166の表面には、第1端子61の第2接触部66と係合する第2接触凹部166aがそれぞれ形成されている。
【0044】
そして、前記本体部は、第2ハウジング111に周囲を囲まれて保持される部分であり、図示されていない部分である。また、前記テール部162は、本体部の左右方向、すなわち、第2ハウジング111の幅方向に延在する下端に接続され、第2ハウジング111の外方を向いて延出し、第2基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続される。
【0045】
さらに、前記第1接触部165は、本体部に接続され、上下方向、すなわち、第2ハウジング111の厚さ方向に延在する平板状の部分である。そして、前記接続部164は、第1接触部165に対して曲げて接続され、第2ハウジング111の幅方向に外方を向いて延出する。また、前記第2接触部166は、接続部164の外方端に、下方に向けて曲げられて接続され、下方に延出する部分である。
【0046】
前記第2端子161はオーバーモールドによって第2ハウジング111と一体化される。すなわち、第2ハウジング111は、第2端子161をあらかじめ内部にセットした金型のキャビティ内に樹脂を充填することによって成形される。これにより、第2端子161は、本体部が第2ハウジング111内に埋没し、第1接触部165、接続部164及び第2接触部166の表面が第2凸部112の各側面及び嵌合面に露出した状態で、第2ハウジング111に一体的に取付けられる。この場合、前記第2端子161は、例えば、約0.4〔mm〕のピッチで左右に6個ずつ配設されている。なお、第2端子161のピッチ及び数は適宜変更することができる。
【0047】
そして、前記第2ハウジング111の長手方向両端には第2嵌合ガイド部としての第2突出端部122が各々配設されている。該第2突出端部122は、第2ハウジング111の幅方向に延在し、両端が各第2凸部112の長手方向両端に接続された肉厚の部材であり、その上面は概略長方形の形状を備える。そして、前記第2突出端部122は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、前記第1コネクタ1が備える第1突出端部21の突出端凹部22に挿入される挿入凸部として機能する。
【0048】
また、前記第2突出端部122の嵌合面側の面、すなわち、上面122aには、第2金具保持凹部126が形成され、第2補強金具151は、第2金具保持凹部126内に収容されて保持される。該第2金具保持凹部126は、第2ハウジング111の幅方向に延在する溝状の凹入部であって、その両端近傍には、スロット状の第2金具保持開口部126aが形成されている。該第2金具保持開口部126aは、第2ハウジング111を厚さ方向に貫通する貫通孔(こう)であり、第2金具保持凹部126の嵌合面側の面、すなわち、底面126b、及び、第2突出端部122の実装面側の面、すなわち、下面に開口する。
【0049】
本実施の形態において、第2補強金具151は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、全体として第2ハウジング111の幅方向に延在する細長い帯状の平板部である本体部としての第2検出部158と、該第2検出部158の左右両端に略90度下方に向けて曲げて接続され、第2ハウジング111の厚さ方向に延在する第2被保持部157と、該第2被保持部157の先端に接続された第2基板接続部156とを有する。
【0050】
そして、第2補強金具151は、第2被保持部157が嵌合面側から前記第2金具保持開口部126a内に嵌入され、該第2金具保持開口部126aの側壁によって両側から挟持されることにより、第2ハウジング111に固定される。そして、第2被保持部157の先端に接続された第2基板接続部156は、第2突出端部122の下面から突出し、かつ、第2ハウジング111の実装面とほぼ平行となるように形成され、第2基板上の固定用パッドにはんだ付等によって固定される。すなわち、前記第2基板接続部156は、第2補強金具151のはんだテール部として機能する。
【0051】
なお、前記第2検出部158は、第2ハウジング111の幅方向に延在し、実装面とほぼ平行になるように第2金具保持凹部126内に収容され、その下面158bが第2金具保持凹部126の底面126bと当接し、その上面158aが第2突出端部122の上面122aとほぼ平行となる。なお、典型的には、前記第2検出部158の厚さ寸法は、第2金具保持凹部126の深さ寸法より短く、したがって、第2金具保持凹部126内に収容された第2検出部158の上面158aは、第2突出端部122の上面122aから下方向に引込んだ状態、すなわち、前記上面122aから凹入した状態となる。
【0052】
また、前記第2検出部158の上面158aは、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態において対向電極面として機能し、第1補強金具51の第1検出部58の上面58aと対向して容量結合する部分である。そのため、前記上面158aは、典型的には、凹凸がなく面積の広い平坦面である。また、前記下面158bは、第2金具保持凹部126の底面126bと当接し、嵌合方向に関する第2補強金具151の位置決めの基準になる面である。そして、第2検出部158は、相手方コネクタとしての第1コネクタ1における第1検出部58が位置する範囲に対応する位置に配設される。
【0053】
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合する動作について説明する。
【0054】
図6は本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合を開始する状態での第1端子及び第2端子の関係を示す図であり、図3におけるA−A矢視部に対応する部分の断面図、図7は本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合を開始する状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図3におけるB−B矢視部に対応する部分の断面図、図8は本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1端子及び第2端子の関係を示す図であり、図3におけるA−A矢視部の断面図、図9は本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図3におけるB−B矢視部の断面図、図10は本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図3におけるC−C矢視部の要部断面図、図11は本発明の第1の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合完了を検出する方法を説明する図である。なお、図11において、(a)は嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図、(b)は第1補強金具及び第2補強金具の間隔と静電容量との関係を示す図である。
【0055】
ここで、第1コネクタ1は、第1端子61のテール部62が図示されない第1基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続されるとともに、第1補強金具51の第1基板接続部56が第1基板上の固定用パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第1基板に表面実装されているものとする。
【0056】
また、第2コネクタ101は、第2端子161のテール部162が図示されない第2基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続されるとともに、第2補強金具151の第2基板接続部156が第2基板上の固定用パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第2基板に表面実装されているものとする。
【0057】
まず、オペレータは、図6及び7に示されるように、第1コネクタ1の嵌合面と第2コネクタ101の嵌合面とを対向させた状態とする。第2コネクタ101の左右の第2凸部112の位置が第1コネクタ1の左右の凹溝部12aの位置と合致し、第2コネクタ101の長手方向両端の第2突出端部122の位置が第1コネクタ1の長手方向両端の突出端凹部22の位置と合致すると、第1コネクタ1と第2コネクタ101との位置合せが完了する。
【0058】
この状態で、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向に移動させると、第2コネクタ101の左右の第2凸部112が第1コネクタ1の左右の凹溝部12a内に挿入される。そして、各第1端子61の第1接触部65と第2接触部66との間に第2コネクタ101の第2端子161が挿入され、第1端子61の第1接触部65と第2端子161の第1接触部165とが接触し、第1端子61の第2接触部66と第2端子161の第2接触部166とが接触する。これにより、第1端子61における第1接触部65と第2接触部66との間隔は、第2端子161によって押広げられ、弾性的に伸長する。また、第2コネクタ101の長手方向両端の第2突出端部122の位置が第1コネクタ1の長手方向両端の突出端凹部22内に挿入される。
【0059】
続いて、オペレータが第1コネクタ1に対して第2コネクタ101を相対的に嵌合方向に更に移動させ、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了して完全嵌合となると、図8に示されるように、第1端子61の第1接触部65が第2端子161の第1接触凹部165aと係合し、第1端子61の第2接触部66が第2端子161の第2接触凹部166aと係合した状態となる。
【0060】
その結果、第1端子61のテール部62が接続された第1基板上の端子接続パッドに接続された導電トレースと、第2端子161のテール部162が接続された第2基板上の端子接続パッドに接続された導電トレースとが導通する。
【0061】
また、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、すなわち、完全嵌合となると、図9に示されるように、第2コネクタ101の平板状の第2検出部158の上面158aが、第1コネクタ1の平板状の第1検出部58の上面58aと近接して対向する。前記第1検出部58及び第2検出部158は、実装面及び嵌合面と平行になるように、すなわち、嵌合方向に直交する方向に延在するように配設されているので、第1検出部58の上面58a及び第2検出部158の上面158aも、互いに平行で、かつ、嵌合方向に直交する方向に延在する。したがって、第1検出部58の上面58a及び第2検出部158の上面158aが互いに近接すると、第1検出部58と第2検出部158とが容量結合する。すなわち、容量性カップリング(Capacitive Coupling)が発生する。更に換言すると、第1検出部58と第2検出部158とがキャパシタ(Capacitor)の対向電極として機能し、第1検出部58の上面58aと第2検出部158の上面158aとがキャパシタの対向電極面として機能する。
【0062】
なお、完全嵌合とならなくても、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合し、第1検出部58の上面58aと第2検出部158の上面158aとの間隔がある程度狭くなれば、容量性カップリングが発生し、第1検出部58の上面58aと第2検出部158の上面158aとがキャパシタの対向電極面として機能するようになる。
【0063】
平行平板型のキャパシタの静電容量Cは、次の式(1)で表される。
C=εS/D ・・・式(1)
ここで、εは係数、Sは対向する電極の面積、Dは対向する電極の間隔である。
【0064】
つまり、C及びDの関係は、図11(b)に示されるようになる。
【0065】
したがって、第1検出部58と第2検出部158とによって構成されるキャパシタの静電容量Cを計測することにより、第1検出部58と第2検出部158との間隔、具体的には、第1検出部58の上面58aと第2検出部158の上面158aとの間隔を計測することができ、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了して第1検出部58の上面58aと第2検出部158の上面158aとの間隔Dが所定値になったことを判断することができる。つまり、第1検出部58と第2検出部158とは、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を静電容量Cの変化に基づいて検出するスイッチとして機能する。
【0066】
例えば、回路の静電容量を計測可能な計測機器の一対の端子の一方を、第1補強金具51の第1基板接続部56が接続された第1基板上の固定用パッドと導通させ、前記一対の端子の他方を第2補強金具151の第2基板接続部156が接続された第2基板上の固定用パッドと導通させることによって、第1検出部58と第2検出部158とにより構成されるキャパシタの静電容量Cを計測することができる。そして、該静電容量Cの計測値があらかじめ設定された閾(しきい)値Th以上になると、第1検出部58の上面58aと第2検出部158の上面158aとの間隔Dが所定値以下となって第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した、と判断することができる。
【0067】
前記閾値Thは、実験によって設定することができる。したがって、本実施の形態における基板対基板コネクタを製造する者があらかじめ行った実験によって設定してもよいし、前記基板対基板コネクタを使用する者が自ら実験を行って設定することもできる。
【0068】
ところで、第1基板及び第2基板の面積は、通常、第1コネクタ1及び第2コネクタ101と比較してかなり広いので、オペレータは、第1コネクタ1の嵌合面と第2コネクタ101の嵌合面とを目視することができず、手探りで嵌合作業を行うこととなる。そのため、オペレータは、第1コネクタ1の嵌合面と第2コネクタ101の嵌合面との位置関係を把握することができず、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了したか否かも判断することができないので、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了してからも、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を嵌合方向に更に移動させようとすることがある。
【0069】
しかし、典型的には、図10に示される例のように、第2検出部158の上面158aが第2突出端部122の上面122aから凹入した状態となっている。しかも、第1検出部58の幅寸法は、第2金具保持凹部126の幅寸法よりも大きくなっている。したがって、第2コネクタ101が第1コネクタ1に対して、完全嵌合の位置から更に嵌合方向に変位した場合であっても、第1検出部58の上面58aが第2突出端部122の上面122aに当接することによって、第1検出部58の上面58aが第2検出部158の上面158aと当接することが防止される。すなわち、第2突出端部122の上面122aがストッパとして機能し、第1検出部58の上面58aの嵌合方向への相対的な変位を停止させるので、第1検出部58と第2検出部158とが接触して導通してしまうことがない。これにより、前記静電容量Cの計測を安定して行うことができ、前記計測機器の故障等を防止することができる。
【0070】
また、第2検出部158の下面158bは、第2金具保持凹部126の底面126bと当接している。典型的には、前記下面158b及び底面126bは、他の部材よりも高い精度で作成されている。そのため、前記下面158bが底面126bと当接することによって、第2検出部158の第2ハウジング111に対する位置及び姿勢が正確に保たれる。したがって、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を正確に検出することができる。
【0071】
さらに、第1検出部58の上面58a及び第2検出部158の上面158aは、典型的には、凹凸がなく面積の広い平坦面である。したがって、第1検出部58と第2検出部158とによって構成されるキャパシタの性能が高く、静電容量Cが大きいので、該静電容量Cの計測を高精度で行うことができる。また、典型的には、図6〜9に示される例のように、第2検出部158の上面158aの長さ寸法、すなわち、第2ハウジング111の幅方向に関する寸法は、第1凸部13の幅寸法、すなわち、第1ハウジング11の幅方向に関する寸法より大きく設定されている。換言すると、第2コネクタ101において互いに対向する第2端子161の第1接触部165の表面同士の距離より大きく設定されている。したがって、第1検出部58と第2検出部158とによって構成されるキャパシタにおける対向する電極の面積Sが大きく、その結果、前記キャパシタの性能が高く、静電容量Cが大きいので、該静電容量Cの計測を高精度で行うことができる。
【0072】
このように、本実施の形態においては、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を、機械的接触に依存することなく、非接触で電気的に検出する、すなわち、静電容量Cの変化に基づいて検出するようになっているので、オペレータの目視、手の感触、クリック音の聴取等、すなわち、オペレータの五感に頼ることなく、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を正確に確認することができる。したがって、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が小型化及び低背化されたものであって、オペレータの目視、手の感触、クリック音の聴取等によっては嵌合完了を確認しにくい場合でも、嵌合工程における不完全嵌合の発生を確実に防止することができ、信頼性の高い基板対基板コネクタを提供することが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態においては、本来的には、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の第1基板及び第2基板への実装強度を向上させるための第1補強金具51及び第2補強金具151の完全嵌合を検出するキャパシタとして利用する。したがって、完全嵌合を検出するための部材を別途第1コネクタ1又は第2コネクタ101に取付ける必要がないので、第1コネクタ1又は第2コネクタ101の大型化や、部品点数の増加を防止することができる。また、第1端子61又は第2端子161を検出回路に利用しないので、端子数又は極数が実質的に減少してしまうこともない。
【0074】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0075】
図12は本発明の第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態を示す斜視図であり第1コネクタの嵌合面側から観た図、図13は本発明の第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す斜視図、図14は本発明の第2の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、図12におけるD−D矢視部の断面図である。
【0076】
なお、図13においては、第1コネクタ1及び第2コネクタ101について、第1補強金具51及び第2補強金具151以外の部材の図示が省略されている。
【0077】
前記第1の実施の形態においては、第1検出部58及び第2検出部158が、実装面及び嵌合面と平行になるように、すなわち、嵌合方向に直交する方向に延在するように配設されている。これに対し、本実施の形態においては、図に示されるように、第1検出部58及び第2検出部158が嵌合方向に延在するように、すなわち、実装面及び嵌合面と直交するように配設されている。
【0078】
そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、すなわち、完全嵌合となると、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の長手方向に関し、第2検出部158の外側に第1検出部58が位置する。すなわち、第1検出部58における第1コネクタ1の長手方向内側を向いた平坦面である内側面58aが対向電極面として機能し、また、第2検出部158における第2コネクタ101の長手方向外側を向いた平坦面である外側面158aが対向電極面として機能し、互いに近接した状態となる。これにより、第1検出部58と第2検出部158とが容量結合する。すなわち、容量性カップリングが発生する。
【0079】
本実施の形態においては、対向電極面として機能する第1検出部58の内側面58a及び第2検出部158の外側面158aが嵌合方向に延在するので、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合方向へ相対的に変位しても、対向電極の間隔Dは変化せず、対向する電極の面積Sが変化する。そのため、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合作業が開始された後、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合方向へ相対的に変位し、完全嵌合となるまでの工程において、第1検出部58の内側面58aと第2検出部158の外側面158aとが対向する部分が増加し、その結果、面積Sが増加するので、前記式(1)から分かるように、キャパシタの静電容量Cが増加する。したがって、第1検出部58と第2検出部158とによって構成されるキャパシタの静電容量Cを計測することにより、面積Sが所定値となり、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了したことを検出することができる。つまり、静電容量Cの計測値があらかじめ設定された閾値Th以上になると、面積Sが所定値以上となって第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した、と判断することができる。
【0080】
なお、第1コネクタ1及び第2コネクタ101のその他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0081】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、基板対基板コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1、801 第1コネクタ
11、811 第1ハウジング
12、812 凹部
12a、113 凹溝部
13 第1凸部
14 側壁部
15a 第1端子収容内側キャビティ
15b 第1端子収容外側キャビティ
21 第1突出端部
21b 側壁延長部
21c 端壁部
22 突出端凹部
26 第1金具保持凹部
26a 第1金具保持開口部
51 第1補強金具
56 第1基板接続部
57 第1被保持部
58 第1検出部
58a、122a、158a 上面
61、861 第1端子
62、162 テール部
63 被保持部
64 下側接続部
65、165 第1接触部
66、166 第2接触部
67 上側接続部
101、901 第2コネクタ
111、911 第2ハウジング
112 第2凸部
122 第2突出端部
126 第2金具保持凹部
126a 第2金具保持開口部
126b 底面
151 第2補強金具
156 第2基板接続部
157 第2被保持部
158 第2検出部
158b 下面
161、961 第2端子
164 接続部
165a 第1接触凹部
166a 第2接触凹部
813 係合凸部
851 第1金具
852 第1テール部
853 第1ロック突起
891 第1基板
913 係合凹部
951 第2金具
952 第2テール部
953 第2ロック突起
991 第2基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1端子と、長手方向両端に形成された第1嵌合ガイド部を有する第1ハウジングとを備える第1コネクタと、
(b)前記第1端子と接触する第2端子と、長手方向両端に形成され、前記第1嵌合ガイド部と嵌合する第2嵌合ガイド部を有する第2ハウジングとを備える第2コネクタとから成る基板対基板コネクタであって、
(c)前記第1コネクタと第2コネクタとの完全嵌合を静電容量の変化に基づいて検出するスイッチを有することを特徴とする基板対基板コネクタ。
【請求項2】
前記第1コネクタは、前記第1嵌合ガイド部に配設された第1補強金具を有し、
前記第2コネクタは、前記第2嵌合ガイド部に配設された第2補強金具を有し、
前記スイッチは、互いに近接する対向電極を含み、該対向電極の一方は前記第1補強金具の平板部であり、他方は前記第2補強金具の平板部である請求項1に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項3】
前記第1補強金具の平板部は平坦面を含み、前記第2補強金具の平板部は平坦面を含み、
前記第1コネクタと第2コネクタとが嵌合すると、前記第1補強金具の平坦面と前記第2補強金具の平坦面とは互いに近接して対向し、キャパシタの対向電極面として機能する請求項2に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項4】
前記第1補強金具の平坦面及び前記第2補強金具の平坦面は、前記第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合方向に直交する方向に延在し、
前記第1コネクタ及び第2コネクタが嵌合方向に相対的に変位すると、前記第1補強金具の平坦面と前記第2補強金具の平坦面との間隔が変化して前記静電容量が変化する請求項3に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項5】
前記第2嵌合ガイド部は、前記第2補強金具の平板部の周囲に配設されたストッパを含み、
該ストッパは、前記第1補強金具の平坦面と当接して、前記第1補強金具の平板部と前記第2補強金具の平板部とが接触して導通することを防止する請求項4に記載の基板対基板コネクタ。
【請求項6】
前記第1補強金具の平坦面及び前記第2補強金具の平坦面は、前記第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合方向に延在し、
前記第1コネクタ及び第2コネクタが嵌合方向に相対的に変位すると、前記第1補強金具の平坦面と前記第2補強金具の平坦面とが対向する部分の面積が変化して前記静電容量が変化する請求項3に記載の基板対基板コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−79567(P2012−79567A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224491(P2010−224491)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】