説明

基板搬出装置

【課題】実装時に上昇した電子部品と基板の温度を実装後も維持できるようにした基板搬出装置を提供する。
【解決手段】基板搬出装置1を、第1の位置で電子部品2が実装された基板3を第2の位置に移動させる第1の移動装置4と、第1の位置から第2の位置に移動中の基板3を上方から加熱するヒートブロック19と、第2の位置から後工程への搬出位置となる第3の位置に基板3を移動させる第2の移動装置5と、第3の位置で基板3を後工程に搬出するベルトコンベア装置40および基板プッシャ45と、第2の位置から第3の位置に移動中の基板3および第3の位置で搬出中の基板3を下方から加熱するポストヒートステージ30と、第3の位置で搬出中の基板3を上方から加熱するヒートブロック50とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装された基板を移送する基板搬出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品と基板を熱圧着するときに、基板の急激な温度変化によるクラックや反り等の発生を抑制するため、実装前の基板を予備加熱し、さらに実装後には緩やかな速度で徐冷させる機能を備えた実装装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3857949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された実装装置は、基板に生じるクラックや反りに着目した結果、基板を下方からのみ加熱して基板の温度管理を行う構成となっているため、基板の上面側に実装された電子部品については積極的な温度管理が行われることはない。加熱された電子部品と基板は、常温時に比べ熱膨張した状態で接合されるが、電子部品と基板は材質の違いによりそれぞれ熱膨張率が異なるため、実装後の電子部品と基板の両方の温度を適切に管理しないと接合部に応力が集中し、亀裂や破断等の接合不良が生じることがある。
【0004】
本発明は、実装時に上昇した電子部品と基板の温度を実装後も維持できるようにした基板搬出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の基板搬出装置は、電子部品が実装された基板を加熱しながら後工程に搬出する基板搬出装置であって、第1の位置で電子部品が実装された基板を第2の位置に移動させる第1の基板移動手段と、前記第1の位置から前記第2の位置に移動中の前記基板を上方から加熱する第1の上加熱手段と、前記第2の位置から後工程への搬出位置となる第3の位置に前記基板を移動させる第2の基板移動手段と、前記第3の位置で前記基板を後工程に搬出する基板搬出手段と、前記第2の位置から前記第3の位置に移動中の前記基板および前記第3の位置で搬出中の前記基板を下方から加熱する下加熱手段と、前記第3の位置で搬出中の前記基板を上方から加熱する第2の上加熱手段とを備えた。
【0006】
請求項2記載の基板搬出装置は、請求項1記載の基板搬出装置であって、前記下加熱手段が、前記第2の位置から前記第3の位置に移動中の前記基板を直接加熱し、前記第3の位置で搬出中の前記基板を間接加熱する。
【0007】
請求項3記載の基板搬出装置は、請求項1記載または請求項2記載の基板搬出装置であって、前記第2の上加熱手段が、前記第3の位置で搬出中の前記基板に加熱された気流を作用させる。
【発明の効果】
【0008】
実装後の基板を加熱した状態におくことで実装後の放熱による急激な温度低下を回避し、電子部品と基板の接合状態を良好に維持したまま後工程に移送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の基板搬出装置の構成図、図2乃至図4は本発明の実施の形態の基板搬出装置の動作説明図である。
【0010】
最初に電子部品の構成について図1を参照して説明する。基板搬出装置1は、電子部品2が実装された基板3を移動させる第1の移動装置4および第2の移動装置5で構成されている。第1の移動装置4は、実装装置6によって電子部品2が実装された基板3を第2の移動装置5に移動させるための装置である。
【0011】
実装装置6は基板3に電子部品2を実装するための装置である。実装装置6は、電子部品2を吸着する吸着ヘッド7と、基板支持テーブル8を備え、基板支持テーブル8に水平に支持された基板3に対して吸着ヘッド7を下降させ、電子部品2の電極9と基板3の電極10を接触させる。吸着ヘッド7および基板支持テーブル8に内蔵されたヒータ11、12の発熱によって基板3と電子部品2の接合部を加熱し、電子部品2の電極9を構成する半田を溶融させて基板3の電極10と溶着させる。基板支持テーブル8は、基板搬出装置1の基台13に設置された直動テーブル14、15によって水平方向に移動することで、基板3の電極10が吸着ヘッド7に吸着された電子部品2の電極9の鉛直下方に位置するように基板3の位置決めを行う。熱圧着によって電子部品2が実装された基板3は第1の移動装置4および第2の移動装置5によって後工程に搬出される。後工程では基板3と電子部品2の接合を補強するために両者の隙間部分にアンダーフィル樹脂を注入すること等が行われる。
【0012】
第1の移動装置4は、基板支持テーブル8に支持されている基板3を上方から吸着する複数の吸着パッド16と、吸着パッド16を所定の位置に固定するアーム17と、アーム17を鉛直方向および水平方向に移動させるためのアーム移動装置18とで構成されている。吸着パッド16は矩形の基板3の四隅部をそれぞれ吸着できる位置に少なくとも4個配置されており、基板3を水平に保持できるように全て同じ高さでアーム17に固定されている。4個の吸着パッド16はそれぞれ図外の真空発生装置と接続されている。アーム17にはヒータブロック19が装着されている。ヒータブロック19は吸着パッド16に吸着された基板3を真上から加熱する。
【0013】
アーム移動装置18は、基板3を搬送する方向と同一方向に回転軸を有する水平ねじ20と、これと直交する方向を回転軸とする鉛直ねじ21の組み合わせからなる送りねじ機構で構成されている。鉛直ねじ21は水平ねじ20に螺合した水平ナット22に装着されている。鉛直ねじ21には鉛直ナット23が螺合しており、鉛直ナット23にアーム17が装着されている。水平ねじ20はモータ24の駆動によって回転し、水平ナット22を水平方向に移動させる。同様に鉛直ねじ21はモータ25の駆動によって回転し、鉛直ナット23を鉛直方向に移動させる。
【0014】
第2の移動装置5は基板3の搬出方向に対して基板支持テーブル8の下流側に配置されている。第2の移動装置5は、基板3を水平に載置するポストヒートステージ30と、ポストヒートステージ30を基板搬出方向と同一方向に水平移動させる水平移動機構31と、ポストヒートステージ30を鉛直移動させる鉛直移動機構32とで構成されている。ポストヒートステージ30はそれ自体が発熱するヒートブロックで構成されており、上面に載置された基板3を下方から加熱する。
【0015】
水平移動機構31は、基板搬出方向と同一方向に延伸された水平レール33と、水平レール33に摺動自在に装着されたスライダ34と、スライダ34をロッド35の先端に連結したシリンダ36とで構成されている。ポストヒートステージ30は連結部材37を介してスライダ34と連結されており、シリンダ36の駆動によって水平方向に伸縮するロッド35の動きに伴って水平方向に移動する。鉛直移動機構32は、水平レール33と上端が連結されたロッド38を有するシリンダ39で構成されている。シリンダ39の駆動によって鉛直方向に伸縮するロッド38の動きに伴って水平レール33が上下動し、これ
によりポストヒートステージ30は鉛直方向に移動する。
【0016】
ポストヒートステージ30と鉛直方向において重なる位置にベルトコンベア装置40が配置されている。ベルトコンベア装置40はベルト41に載置された基板3を水平方向に移動させるための装置である。ベルトコンベア装置40はシリンダ42から鉛直方向に伸縮するロッド43の上端に連結されており、ロッド43の伸縮によってポストヒートステージ30との相対的な高さを自在に調整することができる。ベルト41がポストヒートステージ30の上面より低い位置にあるときには基板3はポストヒートステージ30の上面に載置された状態となり、逆にベルト41がポストヒートステージ30の上面より高い位置にあるときには基板3はベルト41に載置された状態となる。シリンダ42はポストヒートステージ30と連結された連結部材37の水平部分44に装着されている。ベルトコンベア装置40はポストヒートステージ30の移動と連動して移動する。
【0017】
ベルトコンベア装置40には基板3を下流側に押し出す基板プッシャ45が備わっている。基板プッシャ45は、伸ばしたロッド46の先端でベルトコンベア装置40によって下流に搬送された基板3の後端を押すことで基板3をベルト41の上から完全に押し出し、後工程に配置されている図外の基板受け取り装置に受け渡す役割を担っている。
【0018】
第1の移動装置4によって第2の移動装置5に移動された基板3は、最初にポストヒートステージ30に載置され、水平移動機構31および鉛直移動機構32の駆動によって搬出位置まで搬送される。その後にベルト41に載置され、ベルトコンベア装置40および基板プッシャ45の連動した動作によって後工程に搬出される。この搬出位置は、後工程に配置されている基板の受け取り装置と相対する位置であり、この位置に移動した基板3は、ベルトコンベア装置40および基板プッシャ45が行う搬出動作によってベルト41上から押し出され、基板受け取り装置に受け渡される。
【0019】
搬出位置に移動した基板3の上方となる位置にはヒータブロック50が配置されている。ヒータブロック50はベルトコンベア装置40および基板プッシャ45の連動した動作によって後工程に搬出される基板3を上方から加熱する。ヒータブロック50には下方に開口する複数の通気口51が形成されており、図外の給気装置から供給される気体がヒータブロック50の下方を移動中の基板3に向けて吹き出すようになっている。通気孔51から吹き出した気体には、ヒータブロック50の輻射熱で加熱された熱気流となって基板3と電子部品2の接合部分に流れ込んでこれを加熱するという作用がある。
【0020】
次に、電子部品2が実装された基板3を後工程に搬出するまでの基板搬出装置1の動作について説明する。第1の移動装置4が、基板支持テーブル8の上で電子部品2が熱圧着された基板3を第2の移動装置5まで移動させる(図2(a))。基板3の移動中、ヒートブロック19は基板3に実装されている電子部品2と接触しないようにされている。ヒートブロック19の下面が平面である場合には、基板3と接触することなく、電子部品2との間にクリアランスを設けた位置から加熱する。これに対しヒートブロック19の下面に凹凸を設け、電子部品2と干渉しない位置で基板3の上面と接触するようにすると、基板3と電子部品2の接合部分を側方から加熱することができ、温度維持効果が高まる。
【0021】
第2の移動装置5に基板3を移動させた第1の移動装置4は、次の基板3を吸着するために第2の移動装置5を離れ、基板支持テーブル8に向けて移動する。第2の移動装置5はポストヒートステージ30の上面で基板3を受け取る(図2(b))。第2の移動装置5は、ポストヒートステージ30を水平方向および鉛直方向に移動させ、第1の移動装置4から受け取った基板3を搬出位置に移動させる(図3(a))。移動中の基板3はポストヒートステージ30によって下方から直接加熱される。
【0022】
第2の移動装置5は基板3を搬出位置に移動させた後にベルトコンベア装置40を上昇させ、ポストヒートステージ30に載置されている基板3をベルト41に載置させる(図3(b))。ベルト41に載置された基板3はベルトコンベア装置40の駆動により図外の基板受け取り装置に向けて搬送され、最後に基板プッシャ45の基板押し出し動作によって基板搬出装置1から完全に搬出される(図4)。搬出中の基板3は、上方からはヒータブロック50の輻射熱で間接的に加熱され、下方からはポストヒートステージ30の輻射熱で間接的に加熱される。
【0023】
この実施の形態において、電子部品2を熱圧着によって基板3に実装する位置、すなわち基板支持テーブル8が配置された位置が第1の位置であり、第2の移動装置5が第1の移動装置4から基板3を受け取る位置が第2の位置である。第1の移動装置4は、第1の位置で電子部品が実装された基板を第2の位置に移動させる第1の基板移動手段として機能し、第2の移動装置5は、第2の位置から後工程への搬出位置となる第3の位置に基板を移動させる第2の基板移動手段として機能し、ベルトコンベア装置40および基板プッシャ45は、第3の位置で基板3を後工程に搬出する基板搬出手段として機能する。そして、第1の移動装置4に備えられたヒータブロック19は、第1の位置から第2の位置に移動中の基板3を上方から加熱する第1の上加熱手段として機能し、ポストヒートステージ30は、第2の位置から第3の位置に移動中の基板3および第3の位置で搬出中の基板3を下方から加熱する下加熱手段として機能し、ヒータブロック50は、第3の位置で搬出中の基板3を上方から加熱する第2の上加熱手段として機能する。
【0024】
本発明によれば、電子部品2が実装された基板3は後工程に搬出されるまでの間において、ヒータブロック19およびポストヒートステージ30、ヒータブロック50によって直接的または間接的に加熱された状態に維持されるので、実装時の加熱によって膨張した状態で接合された電子部品2と基板3の接合部分の温度が搬出の過程で低下することを回避することができ、電子部品2と基板3の接合状態を良好に維持したまま後工程に搬出することができる。
【0025】
また、実装後の基板3を上方から加熱する上加熱手段を、第1の位置から第2の位置までの移動中に加熱するヒータブロック19(第1の上加熱手段)と、第3の位置で搬出中に加熱するヒータブロック50(第2の上加熱手段)に独立させているので、ヒータブロック19は基板3の全領域のうち電子部品2が実装されている領域の上方を覆うことができる程度の大きさがあればよい。従って、ヒータブロック19の小型軽量化に加えヒータブロック19を装着するアーム17の小型軽量化を実現することが可能になり、第1の移動装置4の移動部分(アーム17とヒータブロック19)の慣性マスを減少させることができる。これにより移動速度の向上と位置決め精度の向上が期待できる。
【0026】
ヒータブロック50については、基板3の搬出位置である基板搬出装置1の端部付近に配置することができるので、基板搬出装置1を構成する各種の装置や部材に与えるヒータブロック50の熱影響をできるだけ排除することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は電子部品を熱圧着によって基板に実装する分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態の基板搬出装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態の基板搬出装置の動作説明図
【図3】本発明の実施の形態の基板搬出装置の動作説明図
【図4】本発明の実施の形態の基板搬出装置の動作説明図
【符号の説明】
【0029】
1 基板搬出装置
2 電子部品
3 基板
4 第1の移動装置
5 第2の移動装置
19 ヒータブロック
30 ポストヒートステージ
40 ベルトコンベア装置
45 基板プッシャ
50 ヒータブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された基板を加熱しながら後工程に搬出する基板搬出装置であって、
第1の位置で電子部品が実装された基板を第2の位置に移動させる第1の基板移動手段と、前記第1の位置から前記第2の位置に移動中の前記基板を上方から加熱する第1の上加熱手段と、前記第2の位置から後工程への搬出位置となる第3の位置に前記基板を移動させる第2の基板移動手段と、前記第3の位置で前記基板を後工程に搬出する基板搬出手段と、前記第2の位置から前記第3の位置に移動中の前記基板および前記第3の位置で搬出中の前記基板を下方から加熱する下加熱手段と、前記第3の位置で搬出中の前記基板を上方から加熱する第2の上加熱手段とを備えたことを特徴とする基板搬出装置。
【請求項2】
前記下加熱手段が、前記第2の位置から前記第3の位置に移動中の前記基板を直接加熱し、前記第3の位置で搬出中の前記基板を間接加熱することを特徴とする請求項1に記載の基板搬出装置。
【請求項3】
前記第2の上加熱手段が、前記第3の位置で搬出中の前記基板に加熱された気流を作用させることを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−50120(P2010−50120A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210408(P2008−210408)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】