説明

基板搬送用ローラー

【課題】交換作業が容易で、安定した基板搬送が得られる基板搬送用ローラーを提供する。
【解決手段】基板と接触する面にはローラー9の繋ぎ目等を一切設けないために、搬送ローラーシャフト固定部位10を基板に接触しない部位に設け、ローラ9と搬送ローラーシャフト固定部位10を樹脂材料による一体成形とし、搬送ローラーシャフト固定部位10を分割式とすることで、交換作業を容易に、且つ、安定した基板搬送が実現可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置などに使用される基板搬送用ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
基板を搬送する基板搬送装置においては、基板への損傷を与えないため、樹脂製ローラーを一般的に使用するが、樹脂製ローラーは磨耗等により定期的に交換を行う必要がある。
従来の基板搬送用ローラーは、ステンレス製のカラーを一旦搬送ローラーシャフトに固定し、前記カラーの外周に樹脂製の環状ローラーを嵌め込み、側面からボルト締結を行う手順で行っていた。
【0003】
このような基板搬送用ローラーにおいては、交換時に時間を要するために、生産設備を長時間に渡り停止させる必要があり設備稼働率に影響をあたえる。
【0004】
【特許文献1】そこで、設備稼働率に影響を与えないために、交換時に要する時間を減少させる必要があり、そのための技術が、特開2003−89419号公報で提案されている。特開2003−89419号公報に記載されたものは、基板搬送用ローラー本体を分割式とし、取り付けの際は搬送ローラーシャフトを挟み込むように台形状の凸凹に加工された部分を左右からスライドさせながら取り付ける。これにより、短時間で基板搬送用ローラーの交換が可能になるというものである。
【0005】
しかし、このような基板搬送用ローラーは、分割された基板搬送用ローラーを取り付けるために、基板搬送用ローラー面に形成される繋ぎ目により、基板搬送用ローラーが回転する度に、基板に振動を与える可能性がある。また、基板搬送用ローラー面には雌ねじ加工が施されており、基板搬送用ローラーと搬送ローラーシャフトを雄ねじにより固定するが、その際に、ねじ留めを強固にすると基板搬送用ローラーの一部を押しつぶし、基板搬送用ローラーが正円にならないため、安定した基板の搬送が得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、交換作業が容易で、基板に影響を及ぼすことなく安定した搬送が得られる基板搬送用ローラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板搬送用ローラーは、基板に接触しない部位に設けられた搬送ローラーシャフト固定部位とローラーを共に樹脂材料によって一体成形されており、基板に接触しない部位に設けられた搬送ローラーシャフト固定部位を分割式にした。
【0008】
取り付けの際は、分割された搬送ローラーシャフト固定部位を取り付けボルト及びナット等で位置を固定する。
【発明の効果】
【0009】
以上のような構成により、既存基板搬送装置への交換作業が容易になり、基板と接触する面にはローラーの繋ぎ目等を一切設けないために、薄型化する基板に対し悪影響を及ぼすことなく安定した基板搬送が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、前記のような構成による、基板搬送装置1に使用される基板搬送用ローラー5及び端部位置決めローラー2の取り付け方法について説明する。
【0011】
図1は基板搬送装置1の外観斜視図である。各構成の機能について説明すると、端部位置決めローラー2はリブ3を外側に向け、搬送ローラーシャフト4の両端部に取り付けられ、搬送する基板8を幅方向に対し位置決めする。基板搬送用ローラー5は搬送ローラーシャフト4に搬送ローラーシャフト4の両端部を除き、等間隔で取り付けられている。搬送ローラーシャフト4は搬送方向7に垂直かつ等間隔で連設され、回転可能に支持されている。この構成により、モータ等の駆動力を受けて基板搬送用ローラー5及び端部位置決めローラー2を回転させ基板8に推進力を与えるようになっている。なお、端部位置決めローラー2は基板8の両端面をリブ3に当接させ、基板8を位置決めすることで基板8の蛇行を防止し、基板搬送用ローラー5は基板8中央部のたわみを補助している。
【0012】
次に、図1の動作について説明する。モータ6が回転し、ギア又はベルトにより伝達することで各搬送ローラーシャフト4が回転し、各搬送ローラーシャフト4に固定されている各端部位置決めローラー2と各基板搬送用ローラー5が同期して回転する。この結果、各搬送ローラーシャフト4に固定された端部位置決めローラー2及び基板搬送用ローラー5上に水平に支持された基板8は、両端面を端部位置決めローラー2のリブ3に当接されることにより位置決めされて、搬送方向7へ搬送される。
【0013】
図2は本発明の一実施例の基板搬送用ローラー5本体の分解組立図である。基板に接触しない部位に設けられた搬送ローラーシャフト固定部位10aに、分割された搬送ローラーシャフト固定部位10bを取り付けるものである。搬送ローラーシャフト固定部位10a及び10bには、図1の搬送ローラーシャフト4と位置を固定させるための穴加工が施されており11のボルトが入り、12のナットで締付ける。ここでは、ボルト11及びナット12で基板搬送用ローラー5と搬送ローラーシャフト4の位置を固定しているが、他の締結法でもよい。
【0014】
端部位置決めローラー2の取り付け方法については、前記と同様なので割愛する。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の基板搬送用ローラーは、薄型化する基板などの基板搬送装置に応用して実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例における基板搬送装置の外観斜視図
【図2】本発明の一実施例における基板搬送用ローラー本体の分解組立図
【図3】従来の一実施例における基板搬送用ローラー本体の分解組立図
【符号の説明】
【0017】
1 基板搬送装置
2 端部位置決めローラー
3 リブ
4 搬送ローラーシャフト
5 基板搬送用ローラー
6 モータ
7 搬送方向
8 基板
9 ローラー
10 搬送ローラーシャフト固定部位
11 ボルト
12 ナット
13 基板搬送用ローラー(雌ねじ加工あり)
14 基板搬送用ローラー(雌ねじ加工なし)
15 雄ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搬送装置に使用する基板搬送用ローラーで、基板に接触しない部位に設けられた搬送ローラーシャフト固定部位が分割式であることを特徴とする基板搬送用ローラー。
【請求項2】
前記基板搬送用ローラーは、基板に接触しない部位に設けられた搬送ローラーシャフト固定部位とローラーを共に樹脂材料によって一体成形されており、分割された搬送ローラーシャフト固定部位を固定することを特徴とする請求項1記載の基板搬送用ローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−89148(P2006−89148A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272702(P2004−272702)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】