説明

基板搬送装置

【課題】本発明は、基板搬送装置の待機姿勢時における消費電力を、低減する方法を提供する。
【解決手段】搬送物を載置するハンド部14と、前記ハンド部14と連結され、少なくとも2つ以上の回転関節を備え、前記ハンド部14を一方向に移動するように伸縮し、軸方向に対向するように配置された水平アーム機構30と、前記水平アーム機構30を上下に移動するベース部材に備えられた少なくとも2組のリンク機構から構成され昇降機構20と、から構成され、前記水平アーム機構30の待機位置は、前記水平アーム機構30が最下降位置に移動し、前記水平アーム機構は前記昇降機構20の間に配置されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶基板や太陽光パネルを操作する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶基板やウェハ基板といったワークに対して所定の処理をおこない、基板製造装置には、その処理のため、基板を目的の位置に搬送する基板搬送装置が用いられる。基板搬送装置は搬送ロボットとも呼ばれており、発明者らは、水平動作機構を実現するハンドとアームとそれらを支持するアーム支持部材を、ダブルレッグ機構からなる昇降機構により昇降するように構成したロボットを提供している(例えば、特許文献1参照)。この基板搬送装置を含む半導体製造工程では基板に微細な処理を施していくため、基板を目的の位置に正確に位置決めさせることは勿論、基板に対して粉塵(パーティクルともいう)を付着させないことが求められ、工場内部全体のクリーン環境を保つための空調管理に多大な電力を消費しており、ランニングコスト低減のために搬送工程内での省エネルギー化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2009/034854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板搬送装置には、その前後の工程での基板に所定の処理を施すことによる待ち時間が発生する。従来は待ち時間前の最後の搬送動作の後、次の搬送動作の前の位置での最小旋回半径姿勢(搬送装置が最も小さいスペースで旋回できる半径)で次の搬送動作までの間待機しており、その間も電力を消費し続けている。またその時の姿勢によっては水平アーム部が高い位置のままとなり、搬送装置の重心が高い不安定な姿勢のままの待機という問題も発生する。
本発明は、昇降機構の待機姿勢の重心が低くて安定しており、かつ、消費電力が少ない待機方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明は、搬送物を載置するハンド部と、前記ハンド部と連結され、少なくとも2つ以上の回転関節を備え、前記ハンド部を一方向に移動するように伸縮し、軸方向に対向するように配置された水平アーム機構と、前記水平アーム機構を上下に移動するベース部材に備えられた少なくとも2組のリンク機構から構成され昇降機構と、から構成され、前記水平アーム機構の待機位置は、前記水平アーム機構が最下降位置に移動し、前記水平アーム機構は前記昇降機構の間に配置されたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、昇降機構を構成する脚部支持部材に連結された第1脚部の他端である第2関節部で連結された第2脚部を、脚部支持部材と平行に配置することで、第2関節部のモータ等からなる駆動機構にかかる負荷をほぼ0とすることができるため、消費電力もほぼ0とすることができ、昇降機構の消費電力を少なくすることができる。
また、昇降機構を構成する脚部支持部材の第1関節部に連結された第1脚部の他端の第2関節部が、前記第1関節部より低い位置に配置することで、水平機構の位置が低く安定した待機姿勢とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例を示す移送ロボットの斜視図
【図2】本発明の実施例の水平アーム機構が最上昇位置へ移動した場合を示す斜視図
【図3】本発明の実施例の水平アーム機構が最下降位置へ移動した場合を示す斜視図
【図4】本発明の実施例の昇降機構の消費電力が少ない待機姿勢を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の方法の具体的実施例について、図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の移送ロボットの斜視図である。
【0010】
本発明の移送ロボットは、図示しないストッカに配置されたワークを取り出し、作業エリアへ移送するために、旋回機構17、昇降機構20および水平アーム機構30から構成されている。
旋回機構17は、台座1に取り付けられたベース2の略中心に旋回軸が配置されるように設置されている。また、ベース2の両端には脚部支持部材3a、3bが設置されている。
昇降機構20は、脚部支持部材3a、3bに備えられた不図示の駆動部が第1関節部4a、4bを駆動し、第1関節部4a、4bには第1脚部5a、5bの一端が連結され、第1脚部5a、5bの他端は不図示の駆動部が備えられた第2関節部6a、6bで第2脚部7a、7bの一端と連結される。第2脚部7a、7bの他端は、支持ベース8に回動可能に連結されている。第1脚部5a、5bは、水平アーム機構30の最下降位置への移動をより低くできるように脚部支持部材3a、3bよりも長く形成されている。第2脚部7a、7bの長さは、水平アーム機構30が最下降位置へ移動した際に、第1脚部5a、5bの側面が脚部支持部材3a、3bの側面から外側へ出ないように、第1脚部5a、5bの長さよりも短い長さで形成されている。
ここでは、第1関節部および第2関節部を駆動する駆動部を各々備える実施例を記載しているが、たとえば、第1関節部を駆動する駆動部により、ベルト駆動により第2関節部を駆動するようにしても良い。
次に、水平アーム機構30について説明する。水平アーム機構30は、2つのハンド14a、14bを不図示のワークをストッカから出し入れするように移動させるダブルリンク機構から構成されている。ハンド14a、14bの移動方向は、昇降機構20によって水平アーム機構30が上下方向に垂直に移動する方向およびハンド14a、14bを昇降機構20へ引き込んだ際の第2水平関節部の張り出し方向に対して直交する方向であり、ハンド14a、14bは一方向に直線的に移動する。
水平アーム機構20の詳細について説明する。支持ベース8に備えられた不図示の駆動機構を備えた第1水平関節部9aで第1アーム10aの一端と連結され、第1アーム10aの他端は、第2水平関節部11aで第2アーム12aの一端と連結される。第2アーム12aの他端は、第3水平関節部13aで第1ハンド14aと連結されている。
また、支持ベース8には、支持部材16を備えた支柱15が取り付けられており、支持部材に備えられた不図示の駆動機構を備えた第1水平関節部9bで第1アーム10bの一端と連結され、第1アーム10bの他端は、第2水平関節部11bで第2アーム12bの一端と連結される。第2アーム12bの他端は、第3水平関節部13bで第1ハンド14bと連結されている。第1アーム10a、10bと第2アーム12a、12bは互いに対向し、対面構造を形成している。また、第1水平関節部9a、9bは、本実施例では上下に対面するように上下方向で同軸上に配置されている。しかしながら、ハンド14a、14bの移動方向に関して互いにオフセットした構成としても第1アーム10a、10bと第2アーム12a、12bのアーム長を変更することで本実施例と同じ動作が可能である。また、第1水平関節部9a、9bは、第3水平関節部13a、13bは、ハンド14a、14bの移動方向に関して直線上に位置し、ハンド14a、14bが上下方向に重なった場合には上下方向に同軸上に配置されている。
また、第1水平関節部9a、9bの回転軸は、本実施例では旋回機構17の旋回軸よりもハンドの移動方向に関して前方にオフセットしており、旋回機構17との干渉しないように配置されている。しかしながら、ハンド14a、14bの移動方向に関して前後の何れの方向または左右方向にオフセットした構成としても第1アーム10a、10bと第2アーム12a、12bのアーム長を変更することで本実施例と同じ動作が可能である。
次に、動作について説明する。はじめに昇降機構の動作について図2および3を用いて説明する。図2は昇降機構20が最上昇位置に移動した場合であり、図3は昇降機構20が最下降位置に移動した場合を示している。一方の昇降機構について説明し、他方の動作は面対称であるので説明を省略する。
図1および図2を用いて最上昇位置へ移動する場合について説明する。第1関節部4aおよび第2関節部6aの不図示のモータ等からなる駆動機構が駆動され、ハンド14aの移動方向正面から見て第1脚部5aは反時計回りに第1関節部4aを中心に旋回し、第2脚部7aは時計回りに第2関節部6aを中心に旋回して水平アーム機構30を最上昇位置に移動させる。
また、図1および図3を用いて最下降位置へ移動する場合について説明する。第1関節部4aおよび第2関節部6aの不図示のモータ等からなる駆動機構が駆動され、ハンド14aの移動方向正面から見て第1脚部5aは時計回りに第1関節部4aを中心に旋回し、第2脚部7aは反時計回りに第2関節部6aを中心に旋回して水平アーム機構30を下降させ、第1脚部5aがベース2面と同じ高さになった場合、さらに第1脚部5aは時計回りに第1関節部4aを中心に旋回して、第1脚部5aの側面が脚部支持部材3aの側面から大きく飛び出さない程度まで旋回させ、第2脚部7aは時計回りに第2関節部6aを中心に旋回して最上昇位置に移動させる。
最下降位置に水平アーム機構30が移動した場合、水平アーム機構30は、昇降機構20の間に配置される。このようにすることで、不図示のストッカの最下位置のワークを支持ベース8に取り付けられたハンド14aにより取り出すことが可能となる。
また、一方の昇降機構20が故障しても他方の昇降機構20で駆動できるので水平アーム機構は落下することなく、安全な最下位置への移動が可能であり、ワークを損傷することがない。
旋回領域は、旋回機構17を中心に脚部支持部材3a、3b側面までの長さが旋回半径となっており、比較的小さな設置面積を可能とする。
次に図4を用いて昇降機構の待機姿勢の重心が低くて安定しており、かつ、消費電力が少ない待機方法について説明する。
昇降機構20は、第2脚部7aが脚部支持部材3aに対して平行で、3a、3bの間に挟まれるような位置に配置され、かつ第2関節部6aが第1関節部4aよりも低く位置する姿勢に配置させる。
第2関節部6aは、第2脚部7aに連結された支持ベース8を保持するために、支持ベース8の自重および第2脚部7aの紙面に対して時計回りに発生するモーメント荷重に相当する紙面に対して反時計回りのトルクを発生する。
一方、第2関節部6bは、第2脚部7bに連結された支持ベース8を保持するために、支持ベース8の自重および第2脚部7bの紙面に対して反時計回りに発生するモーメント荷重に相当する紙面に対して時計回りのトルクを発生する。
ここで、第2脚部7a、7bが発生するモーメント荷重は、時計回りと反時計回りに作用することから相殺され、支持ベース8の自重を保持するトルクを第2関節部6a,6bは発生すれば良いが、第2脚部7a,7bが垂直に位置されているので、支持ベース8の自重により発生する回転トルクはゼロとなる。
したがって、このような姿勢をとる場合、第2関節部6a,6bのモータが発生するトルクはゼロとなる。現実的には、装置の傾きなどもあるので、完全にゼロとはならないにしても、ゼロに近い電流値が第2関節部6a,6bのモータに通電されて制御される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明では、液晶基板や半導体ウェハを移送するロボットについて述べたが、このような基板を搬送するものであれば、たとえば、太陽発電用のパネルや有機EL基板等の基板でも、基板であれば、移送することは可能である。
【符号の説明】
【0012】
1 台座
2 ベース
3a、3b 脚部支持部材
4a、4b 第1関節部
5a、5b 第1脚部
6a、6b 第2関節部
7a、7b 第2脚部
8 支持ベース
9a、9b 第1水平関節部
10a、10b 第1アーム
11a、11b 第2水平関節部
12a、12b 第2アーム
13a、13b 第3水平関節部
14a、14b ハンド
15 支柱
16 支持部材
17 旋回機構
20 昇降機構
30 水平アーム機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を載置するハンド部と、前記ハンド部と連結され、少なくとも2つ以上の回転関節を備え、前記ハンド部を一方向に移動するように伸縮し、軸方向に対向するように配置された水平アーム機構と、前記水平アーム機構を上下に移動するベース部材に備えられた少なくとも2組のリンク機構から構成され昇降機構と、から構成され、
前記水平アーム機構の待機位置は、前記水平アーム機構が最下降位置に移動し、前記水平アーム機構は前記昇降機構の間に配置されたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記水平アーム機構が待機位置へ移動した場合、前記昇降機構の脚部支持部材に連結された第1脚部の他端で連結された第2脚部が前記脚部支持部材と平行になるように位置決めされたことを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記水平アーム機構が待機位置へ移動した場合、前記昇降機構を構成する脚部支持部材の第1関節部に連結された第1脚部の他端の第2関節部が、前記第1関節部より低い位置することを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−143500(P2011−143500A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5412(P2010−5412)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】