説明

基板検査装置及び基板検査装置に用いられるランプユニット

【課題】装置内の清浄度を高めた基板検査装置においてランプ光源の交換を容易にする。
【解決手段】基板検査装置1は、マクロ照明装置40で基板Wの外観検査が可能に構成されている。マクロ照明装置40は、高清浄部3内でミクロ検査部15の上方に光源装置90を有する。光源装置90は、前壁扉93から内部のランプを交換可能に構成されている。光源装置90は、基板を扱う領域よりも清浄度が相対的に低い第一の領域81に配置されているので、光源装置90のランプ交換を行っても基板を扱う領域の清浄度が下がることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハなどの基板を目視や顕微鏡によって検査できる基板検査装置、基板検査装置に用いられるランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハなどの基板上に回路を形成する製造工程や、ガラス基板上にパターンを形成して液晶ディスプレィなどのフラットパネルディスプレィを製造する工程では、基板の外観を目視で巨視的に検査する工程(マクロ検査工程)や、顕微鏡を用いた拡大観察によって微視的に検査する工程(ミクロ検査工程)が実施されている。この際に用いられる基板検査装置としては、マクロ検査を行うマクロ検査部と、ミクロ検査を行うミクロ検査部とを一体的に備え、マクロ検査とミクロ検査を順番に実施するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。マクロ検査部は、基板を検査者に向けて起き上がらせる機構と、基板を上方から照明するマクロ照明装置とを有する。マクロ照明装置は、光源装置と、基板を散乱した光や収束光を切り替えて均一に照らすための照明用光学系とから構成されている。
【0003】
ここで、従来の基板検査装置には、基板に塵埃が付着しないように、マクロ検査部及びミクロ検査部を囲って内部に清浄空気を流して局所的に清浄度の高い環境(ミニエンバイロメント構造)を形成したものがある。このような基板検査装置では、内部に清浄度の高い空気を送って装置内の圧力を周囲の環境よりも高く設定し、周囲の塵埃が装置内部に吸い込まれないようにすることで、装置内の清浄度を高く維持している。このような装置構成では、装置内で清浄度が高い領域に作業者が手などを入れて作業すると装置内の清浄度が下がってしまうので、人手で作業で行う可能性のある構成要素は、装置の外側に配置されている。前記したマクロ照明装置の光源装置のランプ等は、定期的に交換する可能性があるので、装置の下部で外側に露出した部分に配置されている。このため、従来の基板検査装置では、ライトガイドを装置に沿って引き回し、光源装置の光を装置上側に配置された照明用光学系まで導いていた。
【特許文献1】国際公開WO2002/021589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置構成では、ライトガイドを装置に沿って引き回すためにレイアウトの制約を受け易かった。さらに、ライトガイドが長くなるので、ライトガイドの損失を考慮して光源装置のランプの光量を大きくしなければならなかった。
また、装置下側に光源装置が配置されていたので、ランプ交換を行う際に作業者は屈んで作業を行わなければならなかった。光源装置には、ランプに加えてIR(赤外線)カットフィルタや、熱線吸収フィルタなどの光学部品を設けることがあるが、これらの光学部品の交換も含めると交換頻度が増加したり、交換作業が煩雑になったりするので、ランプ交換や光学部品の交換を容易にできる装置の開発が望まれていた。
この発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、装置内の清浄度を高めた基板検査装置においてランプ光源の交換を容易にすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決する本発明は、装置本体内に清浄流体を通流させて外部よりも清浄度を高めた検査部を有し、前記検査部で目視による基板の外観検査と顕微鏡による拡大観察とを実施できるように構成した基板検査装置において、前記検査部内で、かつ前記顕微鏡の上方に、前記基板を照明して目視で外観検査を行う際に基板を照明する照明装置の光源装置を配置したことを特徴とする基板検査装置とした。
この基板検査装置は、光源装置が照明装置に近い高い位置に配置されることで光路長が短くなって光の損失が抑えられ、基板が明るく照明される。さらに、光源装置のランプ等の消耗品を交換するときは、作業者は屈むことなく容易に交換作業を行う。
【0006】
また、本発明は、装置本体内に清浄流体を通流させて外部よりも清浄度を高めた検査部を有し、前記検査部内で基板を照明して目視による外観検査を行う基板検査装置に用いられる照明装置のランプユニットであって、ランプと、前記ランプの発光部分を覆うように前記ランプが固定されると共に照明に必要な光学部品が取り付けられた収容箱とを有し、前記収容箱には、内部の空気を吸引又は排気可能であるが前記ランプの構成要素は通過不能な通路が設けられていることを特徴とする基板検査装置に用いられるランプユニットとした。
このランプユニットは、ランプの交換を行う際に、消耗し易い光学部品も一緒に交換することができる。使用時には、通路を通って収容箱内を通流する空気でランプが冷却される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る基板検査装置によれば、光源装置から基板までの間の光路長を短くできるので、光の損失を抑制できる。光源装置の出力をセーブでき、高寿命化やランニングコストの低減が図れる。また、光源装置が作業のし易い高い位置に配置されているので消耗品の交換が容易になる。
本発明に係る基板検査装置に用いられるランプユニットによれば、光源装置のランプ交換が容易になる。交換時間が少なくて済む上、検査部はランプユニットと隔離されているため、検査部の清浄度を大きく下げることなく交換作業を完了できる。照明装置の使用時には、通路を通って収容箱内を通流する空気でランプを冷却できるので、ランプの高寿命化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、装置構成を示し、前面パネルを光源装置を除いて省略して描いた模式図である。
図1に示すように、半導体ウェハ等の基板を検査する基板検査装置1は、床面に設置される装置本体2を有し、装置本体2の上部に基板Wを検査するためのスペースとして高清浄部3(検査部)が区画されている。装置本体2の下部には、外部に開放されており装置の制御を司る制御装置4や、基板Wを吸着保持するための吸引ポンプ(不図示)などが設置されている。
【0009】
高清浄部3は、装置本体2の天井部2Aからフィルタファンユニット5で生成した清浄空気(清浄流体)が流入するようになっており、外部の環境よりも清浄度が高いミニエンバイロメント構造を形成している。フィルタファンユニット5は、基板検査装置1の周囲に存在する外気を取り込んで天井部2Aに形成された複数の孔6から高清浄部3内に噴き出すファンと、ファンと孔6との間に設けられ、外気中の塵埃を除去するフィルタとを有する清浄流体供給手段である。
図2に示すように、平面視で装置本体2の背面2B側には、多数の基板Wを収容した基板キャリア10,11を装着するロードポート12が2つ設けられている。高清浄部3は、背面2B側に基板Wを搬送するロード部13を有し、ロード部13よりも前面2C側には検査者からみて左右に分かれるようにマクロ検査部14と、ミクロ検査部15とが並んで形成されている。
【0010】
ロード部13には、基板搬送ロボット16が一軸方向に移動可能に1つ設けられている。基板搬送ロボット16は、装置本体2の背面2Bに装着された基板キャリア10,11と、マクロ検査部14との間で基板Wを搬送する多関節アームであり、先端部のアーム16Aには基板Wを吸着保持する吸着孔17が複数設けられている。
【0011】
マクロ検査部14は、検査者が目視で外観検査を行うための検査部で、検査用架台21に旋回アーム22が回転自在に取り付けられている。旋回アーム22は、鉛直上向きに延びる回転軸23を有し、回転軸23の先端からは、3本のアーム24,25,26が略水平に、かつ回転軸23からみて放射状に延設されている。これら3本のアーム24〜26のそれぞれの先端部には、基板Wを吸着保持する吸着孔27が複数設けられている。
旋回アーム22は、各アーム24〜26が、位置P1、P2、P3のいずれかに配置されるように制御装置4によって回転制御される。位置P1は、基板搬送ロボット16との間で基板Wの受け渡しをする受け渡し位置であり、位置P2は、マクロ検査を行う検査位置である。位置P3は、ミクロ検査部に基板Wを受け渡す受け渡し位置である。
【0012】
ここで、位置P2には、表面検査部30と裏面検査部31とが設けられている。表面検査部30は、基板Wの中央を下側から支持する支持部32(回転揺動テーブル)と、支持部32を旋回アーム22よりも高い位置まで上昇させる昇降機構33とを有する。支持部32には、基板W表面を前面2C側に居る検査者に向けて起き上がらせ、かつ揺動させる首振り機構と、基板Wを支持部32の中心を通る垂直な軸を中心に回転させる機構とが設けられている。裏面検査部31は、基板Wの外縁の裏面を吸着保持する保持部34と、保持部34を旋回アーム22よりも高い位置まで上昇させる昇降機構35とを有する。保持部34には、基板Wの裏面が検査者に向くように回動させる機構が設けられている。
【0013】
表面検査部30と裏面検査部31の上方には、基板Wを照明するマクロ照明装置40が配置されている。マクロ照明装置40には、基板Wを照明するための照明用光学系が収容されている。照明用光学系としては、例えば、ライトガイド41で導いた光から収束光束を形成するためのフレネルレンズと、光路上に配置された液晶板とがあげられる。なお、液晶板に通電すると照明光を散乱光にすることができる。
【0014】
ミクロ検査部15は、検査用架台51上に配置された検査ステージ52を有する。検査ステージ52は、位置P3に向かってX方向に延びるX軸ステージ53と、X方向に直交するY方向に移動自在なY軸ステージ54とが上下に積層配置され、XYの2軸方向に移動可能である。また、上側のY軸ステージ54からは、回転軸55が鉛直上向きに延びている。回転軸55は、昇降自在かつ回転自在に支持されており、その先端部には、基板Wを載置する保持板56が固定されている。保持板56には、基板Wを吸着保持するための吸着孔(不図示)が形成されている。
さらに、ミクロ検査部15の検査用架台51には、検査ステージ52上の基板W表面を拡大観察する顕微鏡60が固定されている。顕微鏡60は、検査ステージ52よりも背面2B側から上方に向かって延びる顕微鏡本体61を有し、顕微鏡本体61からは鏡筒62が前面2C側に向かって延びている。鏡筒62の下部には、回転式のレボルバ63に対物レンズ64が取り替え可能に取り付けられている。また、鏡筒62の前面には、接眼レンズ65が取り付けられている。鏡筒62の側部には、カラーフィルタを切り替えるツマミ66等が設けられており、鏡筒62の背面には、照明光源として用いられるランプを収容するランプハウス67が設置されている。
【0015】
ここで、ミクロ検査部15は、検査ステージ52よりも上方の空間が仕切り板71,72,73で区分けされており、基板Wが移動する領域(ミクロ検査域)と、顕微鏡60の上部が配置される隔離域(第一の領域81)とに区分けされている。ミクロ検査域は、マクロ検査部14及びロード部13と共に高清浄部3に属する第二の領域82に区画される。この実施の形態では、第一の領域81の内圧を高清浄部3の外部よりは高いが、第二の領域82の内圧よりも低くすることで、第一の領域81の清浄度を第二の領域82の清浄度に対して相対的に低くしている。差圧によって清浄度に差を設ける手段としては、フィルタファンユニット5からの清浄空気を通す孔6の数を第一の領域81側の天井部2Aよりも、第二の領域82側の天井部2Aの方が多くしたり、第一の領域81側の孔6の径よりも第二の領域82側の孔6の径を大きくしたりすること等があげられる。
【0016】
仕切り板71は、検査ステージ52の上部に配置され、顕微鏡本体61を通す開口部83が設けられている。仕切り板72は、マクロ検査部14に突出することなく略鉛直上向きに延び、装置本体2の天井部2Aに固定されている。仕切り板73は、第一の領域81の背面側を閉鎖している。第一の領域81の前面側は、装置本体2の前面パネルによって閉塞される。仕切り板72と反対側の側部は、装置本体2の側部2Dによって閉塞されおり、その下部には排気用スリット85が複数形成されて天井部2Aからの清浄空気を外部に排出するようになっている。さらに、仕切り板71よりも下方の側部2Dには、排気用スリット86が複数形成されており、マクロ検査部14を通って検査ステージ52周囲のミクロ検査域に流入する清浄空気を外部に排出するようになっている。なお、スリット85,86を形成する代わりにパンチングメタルなどを使用しても良い。また、清浄空気は、高清浄部3の下面に形成された隙間などからも外部に排出しても良い。
【0017】
図1及び図3に示すように、第一の領域81の上部の顕微鏡60の接眼レンズ65の上で、前面2C側には、前記したマクロ照明装置40の光源装置90が設けられている。
光源装置90は、箱状に形成されており、その背面側にダクト91が接続されている。ダクト91は、高清浄部3内を通って装置本体2の下部で外部に開放された部分に引き出されており、その端部に設けられた排気用のファン92で光源装置90内の清浄空気を外部に強制的に掃気できるようになっている。さらに、ダクト91は、顕微鏡60のランプハウス67の近傍に延びる枝管91Aを有し、ランプハウス67の冷却やランプの点灯時に発生するガスを排出できるようになっている。
【0018】
光源装置90の前壁90Aは、装置本体2の前面パネルに嵌め込まれて外部に露出している。前壁90Aには、アワーメータ92などが配設されると共に、開閉式の前壁扉93が設けられている。前壁扉93は、ネジ93Aで光源装置90の本体に固定することができる。図3及び図4に示すように、前壁扉93を開けると、光源装置90内に収容されたランプユニット100が現れる。なお、前壁扉93を開けたときに形成される窓94の周縁部には、前壁扉93の開閉を検出するためのスイッチ95が設けられている。このスイッチ95は、光源装置90を点灯させる際のインターロックとして使用される。
【0019】
ランプユニット100は、略方形の収容箱101を有し、収容箱101の一方の面101Aにランプ102が取付金具103で固定されている。一方の面101Aに対向配置される他方の面101Bには、照明用の光学部品としてフィルタ104が取り付けられている。フィルタ104は、IRカットフィルタや、熱線吸収フィルタから構成されている。また、フィルタ104は、図5に示すように、空気を流すことにより、フィルタ104を冷却できるように溝が形成されたアダプタを介して収容箱101にネジ止めされている。図4から図6に示すように、収容箱101の一方の面101A側は、その周縁部が延出しており、ここにランプユニット100を光源装置90側のブラケット90Bにネジ留めするための孔105が複数穿設されている。
【0020】
図6に示すように、収容箱101は、その底部110と、天井部111のそれぞれに通路112が2つずつ間隔をおいて形成されている。通路112は、収容箱101の底部110及び天井部111のそれぞれに形成されたスリット113と、各スリット113の形成位置に合わせて内側に配置された細長のプレート114とでラビリンス状になっている。スリット113とプレート114の間の距離は、清浄空気は通過可能であるが、ランプ102の構成要素、例えばランプ102の取り付け時に破損した場合などに管球102Aの破片などの固体は通過不能なサイズになっている。これにより、破損があったときでも、収容箱101ごと交換することで破片回収が容易になる。なお、ランプ102は、フィラメントを収容する管球102Aを囲むリフレクタ102Bが収容箱101内に向けて開く向きに固定されている。
【0021】
ランプユニット100のフィルタ104の前面には、回転式のカラーフィルタ115が配設されている。カラーフィルタ115は、基板Wに照射する照明光の色を変化させる際に使用する。照明光の色によって基板W上の欠陥が確認し易くなる場合に使用するが本実施の形態に必須の構成要素ではない。さらに、ランプユニット100から出射された光の光路上には、ライトガイド41の端面が位置決めして固定されている。
【0022】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
基板検査を実施するときには、検査対象の基板Wを収容した基板キャリア10と、空の基板キャリア11をロードポート12に装着する。基板搬送ロボット16は、基板キャリア10から基板Wを一枚取り出し、マクロ検査部14の位置P1に待機しているアーム24に受け渡す。アーム24が基板Wを吸着保持したら、旋回アーム22が回転軸23回りに回転して基板Wを位置P2に移動させる。位置P2では、アーム24の吸着を解除すると共に、表面検査部30で基板Wを吸着保持する。昇降機構33を駆動させて支持部32を上昇させ、上部に設けられたマクロ照明装置40からの照明光で基板W表面を照明する。支持部32を首振り等させて前面2C側に居る検査者が装置本体2の観察窓越しに目視で欠陥の有無などを検査する。検査が終了したら、基板Wを下降させる。裏面検査を行う場合には、基板Wを裏面検査部31に受け渡す。裏面検査部31は、基板Wを上昇させると共に、基板Wの裏面が検査者に向かうように基板Wを起こす。マクロ照明装置40からの照明光で基板Wの裏面の検査を行ったら、裏面検査部31を降下させて再びアーム24に基板Wを受け渡す。
【0023】
制御装置4は、旋回アーム22がさらに回転させて基板Wを位置P3に搬送する。位置P3では、ミクロ検査部15の検査ステージ52が待機しているので、基板Wが検査ステージ52に受け渡される。なお、他の2本のアーム25,26は、旋回アーム22の回動によって位置P1に順番に移動するので、基板搬送ロボット16によって新しい基板Wが順次載置される。他の2本のアーム25,26に載置された基板Wは、旋回アーム22の回動によって順番に位置P2の検査位置に搬送される。このようにすることで、複数の基板Wが連続してマクロ検査される。
【0024】
ミクロ検査部15では、検査ステージ52が駆動して基板Wを顕微鏡60の対物レンズ64の下方まで搬送する。検査者は、顕微鏡60を通して基板W表面の拡大像を取得する。基板W表面の拡大像は、装置本体2の前面2Cに配置された接眼レンズ65で確認することもできるし、ディスプレィ68(図2参照)に表示しても良い。拡大像で基板W表面の検査を行ったら、基板Wを位置P3に戻し、アーム24に受け渡す。旋回アーム22が回動し、マクロ検査及びミクロ検査が終了した基板Wを位置P1に戻す。この基板Wは、基板搬送ロボット16で搬出され、基板キャリア11に収納される。
【0025】
検査を行う間は、上部のフィルタファンユニット5から清浄空気が強制的に噴き出されるので、高清浄部3内は、外部に対して陽圧になっている。マクロ検査部14及び基板搬送ロボット16の周囲に向かって噴き出された清浄空気は、主に図1に矢印Eで示すように、検査ステージ52の周囲のミクロ検査領域を流れ、排気用スリット86から外部に排出される。なお、一部の清浄空気は、仕切り板71の開口から第一の領域81内に噴き込む。第一の領域81では、フィルタファンユニット5から清浄空気が強制的に噴き込まれ、装置本体2の側部に形成された排気用スリット85から外部に排出される。このように、高清浄部3を陽圧にすることで、外部からの塵埃の混入を防止し、かつ清浄空気の流れによって基板W表面に塵埃が付着することを防止している。
【0026】
ここで、マクロ検査を行うときには、第一の領域81に収容されているランプ102を点灯させる。ランプ102が発する照明光は、フィルタ104(IRカットフィルタ、熱線吸収フィルタ)を通ってランプユニット100から出射される。回転式のカラーフィルタ115が設けられている場合には、カラーフィルタ115を透過した照明光がライトガイド41に入射する。ライトガイド41は、光源ユニット90にから、第一の領域81とその隣接した位置にある高清浄部3とを仕切る仕切り板72を経て、マクロ照明装置40に接続されている。ライトガイド41に導かれた照明光は、マクロ照明装置40の上部から出射し、フレネルレンズ及び液晶板を通して基板Wに照射される。
【0027】
マクロ検査中は、ランプ102が発熱する。また、ランプ102がハロゲンランプなどであった場合には、オゾンが発生する。ランプ102の熱やオゾンは、ランプユニット100の通路112を介して収容箱101内を通流する清浄空気によってダクト91から高清浄部3の外に排出される。また、ランプ102によっては、管球102Aが割れる場合がある。このような場合、通路112の開口面積は、管球102Aのガラス破片などの大きさに比べて十分に小さくしてあるので、破片などが通路112から外部に飛び出すことはなく、収容箱101内に留まる。
【0028】
マクロ照明装置40のランプ102を交換する場合には、前壁扉93を開く。スイッチ95がOFFになってインターロックが働いてランプ102に電源が入らなくなる。電源コード106を抜いてからランプユニット100を留めているネジ107を外す。使用済みのランプユニット100を取り出し、新しいランプユニット100を挿入してブラケット90Bにネジ留めする。前壁扉93を閉めると、スイッチ95がONになってインターロックが解除される。この間、光源装置90内の空気は、ダクト91から吸い出されるので、光源装置90が配置されている第一の領域81の清浄度が大きく低下することはない。さらに、基板Wを実際に取り扱う第二の領域82は、仕切り板71〜73によって第一の領域81からさらに隔離されているので、第二の領域82の清浄度は、殆ど下がらない。
【0029】
また、顕微鏡60のランプハウス67内のランプを交換する場合は、装置本体2の側部2Dの外装扉120を開けて、開口121から手を入れる。ランプハウス67内のランプを新しいランプと交換する。ランプ交換が終了したら、外装扉120で開口121を閉じる。外装扉120を開けて第一の領域81内で手作業を行うことで、第一の領域81の清浄度が一時的に下がるが、仕切り板71〜73で仕切られた第二の領域81の清浄度は殆ど下がらない。
【0030】
この実施の形態によれば、マクロ照明装置40の光源装置90を高清浄部3内で、かつ上部に配置したので、ライトガイド41を短くでき、光の損失を低減できる。また、ランプ102の交換時に作業者が屈まなくて良く、検査装置から立ち上がった位置で作業ができ、作業性が良くなる。
基板検査装置1は、清浄度に応じて2つの領域に区画されており、顕微鏡60上部の相対的に低い清浄度を許容する第一の領域81に光源装置90を配置した。このため、光源装置90の存在、及びランプ交換によって基板Wを取り扱う第二の領域82の清浄度を下げることがなくなる。ランプ交換のたびに、装置を停止させて清浄度が高くなるまで待機する手間を省略でき、検査効率を向上できる。
光源装置90内の清浄空気は、ダクト91とファン92によって強制的に外部に排出されるので、オゾンなどの気体が漏れ出したり、ランプ102及び収容箱101に熱がこもったりすることを防止できる。
ランプユニット100は、ランプ102のガラス部分を囲む収容箱101を有するので、ガラス部分の破片が収容箱101外に落下することを確実に防止できる。また、収容箱101には清浄空気のみを通す通路112が形成されているので、異物の落下を防止しつつ、ランプ102を冷却することができる。
【0031】
なお、本発明は、前記の実施の形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、収容箱101の通路112の構成や数は、異物の落下を防止しつつ、ランプを冷却等できるものであれば如何なる形状でも良い。収容箱101の側部に通路112を追加しても良い。収容箱101に微小な孔を多数穿設して清浄空気のみを通過させる通路を形成しても良い。
ランプユニット100は、前面2C側から交換可能にする代わりに、装置本体2の側部側から交換可能にしても良い。
【0032】
また、本発明の基板検査装置は、目視による基板検査と顕微鏡60による拡大観察の代わりに、撮像装置により自動で基板Wの検査対象となる面を撮像するものであっても良い。装置本体2をミニエンバイロメント構造とし、光源装置90をミニエンバイロメント構造の内部を仕切って基板Wを取り扱う領域から区分けするようにしても良い。ランプ交換等に使用される扉が前面パネル側にあり、特に検査用のディスプレイの上部にあれば、前記実施の形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った断面図である。
【図4】図1のC−C線に沿った断面図であって光源装置の構成を示す図である。
【図5】ランプユニットを示す斜視図である。
【図6】図4のD−D線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 基板検査装置
2 装置本体
3 高清浄部(検査部)
40 マクロ照明装置
60 顕微鏡
81 第一の領域
82 第二の領域
90 光源装置
100 ランプユニット
101 収容箱
102 ランプ
104 フィルタ(光学部品)
112 通路
W 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に清浄流体を通流させて外部よりも清浄度を高めた検査部を有し、前記検査部で目視による基板の外観検査と顕微鏡による拡大観察とを実施できるように構成した基板検査装置において、
前記検査部内で、かつ前記顕微鏡の上方に、前記基板を照明して目視で外観検査を行う際に基板を照明する照明装置の光源装置を配置したことを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記光源装置は、前記検査部内を仕切って基板を取り扱う領域から区分けされた領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記光源装置は、ランプと前記ランプの発光部分を覆う収容箱とを一体的に設けたランプユニットを交換可能に装着した構成を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記収容箱には、照明用に用いられる光学部品が取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記ランプユニットは、目視検査をする検査者に面する前記装置本体の前部、又は前記装置本体の側部から取り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記収容箱は、内部の空気を吸引又は排気可能であるが前記ランプの構成要素は通過不能な通路を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の基板検査装置。
【請求項7】
装置本体内に清浄流体を通流させて外部よりも清浄度を高めた検査部を有し、前記検査部内で基板を照明して目視による外観検査を行う基板検査装置に用いられる照明装置のランプユニットであって、
ランプと、前記ランプの発光部分を覆うように前記ランプが固定されると共に照明に必要な光学部品が取り付けられた収容箱とを有し、前記収容箱には、内部の空気を吸引又は排気可能であるが前記ランプの構成要素は通過不能な通路が設けられていることを特徴とする基板検査装置に用いられるランプユニット。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−32457(P2008−32457A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204349(P2006−204349)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】