説明

基板検査装置

【課題】小型化を実現できるとともに、被検査基板に対し精度の高い欠陥検査を効率よく行なうこと。
【解決手段】矩形状の被検査基板を保持する基板ホルダを水平な状態から目視観察する所定の角度に立ち上げ、この状態で被検査基板の上方からマクロ照明光を被検査基板上面に照射し、かつレーザー光源から出射されたレーザー光を光路分割手段によりX方向とY方向とに分割し、これら分割された各レーザー光をそれぞれX方向とY方向との各ガイド部材にそれぞれ移動可能に設けられた2つの反射体により被検査基板側に反射し、2つの反射体をそれぞれX方向とY方向とに移動させ、これら反射体でそれぞれ反射して被検査基板上の欠陥部に各レーザー光を一致させたときの各反射体のX方向とY方向への各変位量から位置座標検出部によって欠陥部の位置座標を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)のガラス基板などの欠陥検査に用いられる基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LCDに用いられるガラス基板の欠陥を検査する装置には、ガラス基板表面に照明光を当て、その反射光の光学的変化から前記ガラス基板の表面の傷などの欠陥部分を観察するマクロ観察と、このマクロ観察で検出された欠陥部分を拡大して観察するミクロ観察とを切り替えて行なうことを可能にしたものがある。
例えば、特許文献1には、X、Y方向に水平移動可能にしたX−Yステージに対応させてマクロ観察系とミクロ観察系を設け、前記X−Yステージ上に被検査基板を載置した状態から、前記X−YステージをX、Y方向の2次元方向に移動して被検査基板の検査部位をマクロ観察系またはミクロ観察系の観察領域に位置させることで、前記被検査基板の表面の欠陥部分に対するマクロ観察またはミクロ観察を可能にした装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−322783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、最近、LCDの大型化にともないガラス基板のサイズは、ますます大型化の傾向にある。このため、このような大型サイズのガラス基板の欠陥検査において、上述したようなX−YステージをX、Y方向の2次元方向に水平移動するようにした装置では、前記X−Yステージの移動範囲としてガラス基板の面積の4倍もの範囲が必要となり、ガラス基板サイズの大型化とともに、装置の大型化を免れない。
また、このように構成した装置では、被検査基板の表面が検査者の目の位置から遠く離れるため、微小な傷に対する検査が困難である。さらに、検出された被検査基板表面の欠陥部の位置情報などを取得することも難しいことなどから、精度の高い欠陥検査を行なうことができないという問題がある。
本発明の目的は、小型化を実現できるとともに、被検査基板に対し精度の高い欠陥検査を効率よく行なうことができる基板検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の主要な局面に係る基板検査装置は、矩形状の被検査基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダを水平な状態から目視観察する所定の角度に立ち上げる駆動部と、基板ホルダを所定の角度に立ち上げた状態で被検査基板の上方からマクロ照明光を被検査基板上面に照射するマクロ照明光源と、被検査基板の側縁でかつ少なくとも互いに直交するX方向とY方向とに沿って基板ホルダ上に一体に設けられたX方向とY方向との各ガイド部材と、レーザー光を出射するレーザー光源と、レーザー光源から出射されたレーザー光をX方向とY方向とに分割する光路分割手段と、X方向とY方向との各ガイド部材にそれぞれ移動可能に設けられ、光路分割手段により分割された各レーザー光をそれぞれ被検査基板側に反射させる2つの反射体と、各反射体をそれぞれX方向とY方向との各ガイド部材に移動させ、各反射体でそれぞれ反射して被検査基板上の欠陥部に各レーザー光を一致させたときの各反射体のX方向とY方向への各変位量から欠陥部の位置座標を検出する位置座標検出部とを具備する。
【0005】
本発明の主要な局面に係る他の基板検査装置は、矩形状の被検査基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダを水平な状態から目視観察する所定の角度に立ち上げる駆動部と、基板ホルダを所定の角度に立ち上げた状態で被検査基板の上方からマクロ照明光を被検査基板上面に照射するマクロ照明光源と、被検査基板の側縁でかつ少なくとも互いに直交するX方向とY方向とに沿って基板ホルダ上に一体に設けられたX方向とY方向との各ガイド部材と、レーザー光をX方向に向けて出射するX方向用のレーザー光源と、レーザー光をY方向に向けて出射するY方向用のレーザー光源と、X方向のガイド部材に移動可能に設けられ、X方向用のレーザー光源から出射されたレーザー光を被検査基板側に反射させる第1の反射体と、Y方向のガイド部材に移動可能に設けられ、Y方向用のレーザー光源から出射されたレーザー光を被検査基板側に反射させる第2の反射体と、第1の反射体をX方向のガイド部材に移動させると共に、第2の反射体をY方向のガイド部材に移動させて被検査基板上の欠陥部に各レーザー光を一致させたときの第1の反射体のX方向への変位量と第2の反射体のY方向への変位量とから欠陥部の位置座標を検出する位置座標検出部とを具備する。
【0006】
本発明の基板検査装置は、上記各基板検査装置に、位置座標検出部により検出された被検査基板の欠陥部の位置座標を記憶する記憶部と、基板ホルダを水平位置に戻した状態での基板ホルダの両側に対して平行に設けられた一対の観察ユニット支持用ガイドと、一対の観察ユニット支持用ガイドにそれぞれ移動可能に設けられた一対の支柱と、これら支柱の間を連結する水平アーム部とを有する観察ユニット支持部と、水平アーム部に沿い、かつ観察ユニット支持用ガイドの設けられた方向に対して直交する方向に移動可能に設けられ、基板ホルダ上に保持された被検査基板の上面を拡大視する対物レンズを有するミクロ検査ユニットと、記憶部から読み出された各欠陥部の位置座標に基づいて観察ユニット支持部とミクロ検査ユニットとを移動制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型化を実現できるとともに、被検査基板に対し精度の高い欠陥検査を効率よく行なうことができる基板検査装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施の形態)図1乃至図3は、本発明の第1の実施の形態に係る基板検査装置の構成を示す図であり、図1は斜視図、図2は側面図、図3は上面図である。図1乃至図3において、装置本体1上には、被検査基板3を保持するホルダ2が設けられている。図2に示すように、ホルダ2はその基端部が支持軸15により装置本体1に対し回動自在に支持され、支持軸15の周囲にプーリー16が設けられている。装置本体1にはモータ18が備えられており、モータ18の回転軸181とプーリー16に輪状のベルト17が掛けられている。モータ18の回転駆動力を、回転軸181からベルト17を介してプーリー16に伝達することで、支持軸15を軸としてホルダ2を水平な状態から例えば二点鎖線の位置まで、すなわち所定角度θまで立ち上げ傾斜させることができる。
【0009】
また、ホルダ2は枠状をなしており、その周縁部でLCDに用いられるガラス基板のような大型の被検査基板3を載置保持する。ホルダ2において、その周縁部に囲まれた空部は四角形状をなし、前記空部の面積は被検査基板3の面積よりやや小さい。ホルダ2には、その周縁部に沿ってX軸方向とY軸方向に複数の円柱状のピンからなる基板位置決め部材201がホルダ2表面からやや突出するよう配置されている。ホルダ2上で、被検査基板3の二辺を各基板位置決め部材201の側部に接触させることで被検査基板3の位置決めがなされる。また、ホルダ2の周縁部全周に沿って設けられた図示しない複数の孔(吸着パッド)から、図示しない吸引器により被検査基板3の周縁部がホルダ2表面に吸着されることで、被検査基板3がホルダ2上で脱落しないよう保持される。
【0010】
さらにホルダ2には、被検査基板3側縁のY軸方向及びX軸方向に沿うよう、被検査基板3における欠陥部の位置座標を検出するためのガイドスケール19、20が配設されている。ガイドスケール19にはY軸方向の反射体(ミラー)215が、ガイドスケール20にはX軸方向の反射体(ミラー)216が、それぞれガイドスケール19、20に沿って移動可能に設けられている。また、ホルダ2には、ガイドスケール19と20の延長線が交差する位置にビームスプーリーッター214が固設されており、ビームスプーリーッター214に対してガイドスケール20からやや離れる位置(ガイドスケール20の延長線上)に後述するレーザー光源21が設けられている。
【0011】
図1乃至図3に示すように、装置本体1上にはホルダ2の両側縁に沿ってY軸方向へ一対のガイドレール4,4が平行に配置されている。また、ホルダ2の上方には、このホルダ2を跨ぐように観察ユニット支持部5が配置されており、この観察ユニット支持部5はガイドレール4,4に沿って被検査基板3上方すなわちホルダ2上方をY軸方向へ移動可能に設けられている。
観察ユニット支持部5には、観察ユニット6が観察ユニット支持部5の移動方向(Y軸方向)に対して直交する方向(X軸方向)へ図示しないガイドレールに沿って移動可能に支持されている。さらに観察ユニット支持部5には、観察ユニット6の移動ラインに対向するよう透過ライン照明光源7が設けられている。この透過ライン照明光源7は、ホルダ2下方を通過する支持部5の裏板51上にX軸方向に沿って配置されており、被検査基板3の下方から直線状の透過照明を行なうもので、観察ユニット支持部5とともにY軸方向へ移動可能になっている。
【0012】
観察ユニット6は、指標用照明光源8を設けたミクロ観察ユニット9とマクロ観察用の部分マクロ照明光源10を有している。指標用照明光源8は、被検査基板3上の欠陥位置を特定するためのもので、光学的に集光されたスポット光を被検査基板3表面に投光する。このスポット光による被検査基板3表面からの反射光は、部分マクロ照明光源10による被検査基板3表面からの反射光より明るいため、部分マクロ照明光源10によるマクロ観察中に、スポット光により目視で観察することができる。
【0013】
ミクロ観察ユニット9は、対物レンズ91、接眼レンズ92、及び図示しない落射照明光源を有する顕微鏡機能を備えており、検査者は被検査基板3表面の像を対物レンズ91を介して接眼レンズ92により観察することができる。またミクロ観察ユニット9には、三眼鏡筒を介してTVカメラ93が取り付けられている。なお、目視によるミクロ観察が不要な場合には、直筒を介してTVカメラ93のみを取り付けることもできる。TVカメラ93は、対物レンズ91により得られる被検査基板3表面の観察像を撮像し、制御部11へ送る。制御部11は、TVカメラ93で撮像された観察像をTVモニタ12に表示する。制御部11には、検査者が動作指示やデータ入力を行なうための入力部111が接続されている。
部分マクロ照明光源10は、マクロ観察に用いられるものであり、ホルダ2上の被検査基板3表面の一部分をマクロ照明光101で照射する。また、被検査基板3表面に対する部分マクロ照明光源10の照明角度は、マクロ観察に最適な角度に調整することができる。
【0014】
図4は、透過ライン照明光源7の構成例を示す図である。透過ライン照明光源7は、光源部71と中実のガラスロッド72を有するものである。光源部71から射出され反射板712により乱反射された光がガラスロッド72の端部に入射され、ガラスロッド72中で全反射伝送されるとともに、ガラスロッド72の背部(下部)に沿って塗布加工された白色縞73により拡散されることで、ガラスロッド72のレンズ作用によりライン状の光が上方へ射出される。この透過ライン照明は、上記の構成に限られるものではなく、例えば蛍光灯などによるライン照明であってもよい。
【0015】
図5は、本基板検査装置における位置検出部の構成を示す図である。図5において図1及び図3と同一な部分には同一符号を付してある。この位置検出部は、レーザー光源部211及びシリンドリカルレンズ212,213からなるレーザー光源21と、レーザー光源部211から発せられたレーザー光をX軸方向とY軸方向に分割するビームスプーリーッター214、及びガイドスケール19,20上にそれぞれ設けられた反射体(ミラー)215,216からなっている。ビームスプーリーッター214及び反射体215,216は、被検査基板3表面に対して直角または鋭角をなすよう立設されている。
【0016】
レーザー光源部211から発せられシリンドリカルレンズ212,213を透過したレーザー光は、被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光になり、X軸方向へ射出される。このレーザー光はビームスプーリーッター214でX軸方向とY軸方向に分割され、一方のX軸方向に分割されたレーザー光は反射体216で直角方向すなわちY軸方向へ反射され被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光217になり、他方のY軸方向に分割されたレーザー光は反射体215で直角方向すなわちX軸方向へ反射され被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光218になる。
【0017】
検査者は、被検査基板3面上の欠陥部に対しガイドスケール19に沿って反射体215を移動してレーザー光218を前記欠陥部に一致させ、同様にガイドスケール20に沿って反射体216を移動してレーザー光217を欠陥部に一致させる。その後、検査者は図示しないフットスイッチをONにする。すると、このときのガイドスケールの19,20の値、すなわち反射体215,216の原点(図3に示す、ガイドスケール19の最も手前側、ガイドスケール20の最も右側)からY軸方向、X軸方向への変位量が、ガイドスケール19,20の図示しない検出部により前記欠陥部の位置座標(X,Y)として検出され、この検出結果が前記検出部から制御部11へ出力される。
【0018】
図6は、本基板検査装置における検査状況を示す図である。装置本体1の上方には、ホルダ2上の被検査基板3の全面を照射する全面マクロ照明光源30が設置されている。この全面マクロ照明光源30は、点光源としてのメタルハライドランプ31と、このメタルハライドランプ31に対向するよう配置された反射ミラー32と、反射ミラー32の下方に配置されたフレネルレンズ33からなる。反射ミラー32は、装置本体1に対してほぼ45°傾けて設けられており、メタルハライドランプ31からの光を反射し、フレネルレンズ33に与える。フレネルレンズ33は、反射ミラー32で反射された光を図示のように収束光にして、ホルダ2上の被検査基板3全面に照射する。なお、図1に示すように、装置本体1には、観察ユニット支持部5のY軸方向の位置座標を検出するためのYスケール13が設けられ、観察ユニット支持部5には、観察ユニット6のX軸方向の位置座標を検出するためのXスケール14が設けられている。
【0019】
また、図1に示す制御部11は、ガイドスケール19、20により検出される被検査基板3上の欠陥部の位置座標(X、Y)、Yスケール13及びXスケール14により検出される観察ユニット支持部5と観察ユニット6の位置座標に対する管理をはじめとして、図示しない各駆動機構による観察ユニット支持部5及び観察ユニット6の移動の制御などを行なう。さらに制御部11は、指標用照明光源8の光軸と対物レンズ91の光軸との間隔X0 を予め自身の図示しないメモリに記憶している。制御部11は、ガイドスケール19、20から与えられた被検査基板3上の欠陥部の位置座標(X、Y)にミクロ観察ユニット9における対物レンズ91の観察軸が合致するよう、観察ユニット支持部5及び観察ユニット6を移動制御する。
【0020】
また制御部11は、指標用照明光源8のスポット中心を被検査基板3上の欠陥部に位置させた状態で、検査者により入力部111から所定の指示が与えられた場合、Yスケール13及びXスケール14の図示しない検出部により検出された位置座標データから前記欠陥部の位置座標を求め、この求めた位置座標と、指標用照明光源8の光軸と対物レンズ91の光軸との間隔X0 を示すデータに基づいて、被検査基板3上の前記欠陥部に対物レンズ91の観察軸が合致するよう、観察ユニット支持部5及び観察ユニット6を移動制御する。
【0021】
以上のように構成された本基板検査装置の動作を説明する。まず、被検査基板3表面のマクロ観察を行なう場合、検査者は入力部111から制御部11に所定の指示を与えることで、制御部11の駆動制御により観察ユニット支持部5を図1に示す初期位置に後退させる。その後、検査者が水平な状態になっているホルダ2上に被検査基板3を供給する。この状態で、複数の基板位置決め部材201に被検査基板3を押し当てて位置決めされるとともに、上記吸引器により被検査基板3がホルダ2上から脱落しないように吸着保持され、マクロ観察による欠陥検査が開始される。
【0022】
次に、マクロ照明を用いて被検査基板3の全面を一括してマクロ観察する場合について説明する。この全面マクロ観察の場合、検査者は図2に示すモータ18を起動して、回転軸181及びベルト17を介してプーリー16により支持軸15を回転させ、この支持軸15を中心にホルダ2を所定の角度θ、好ましくは30〜45°に傾斜させた後、モータ18を停止してホルダ2を静止させる。次いで、検査者は図6に示すメタルハライドランプ31を点灯させ、メタルハライドランプ31からの光を反射ミラー32及びフレネルレンズ33を介して、収束光としてホルダ2上の被検査基板3全面に照射させる。この状態で、検査者はホルダ2上の被検査基板3を目視により被検査基板3上の傷や汚れなどの欠陥検査を行なう。なお、ホルダ2を所定の角度に傾斜させ静止させた状態で欠陥検査を行なうだけでなく、モータ18の回転方向を周期的に変えるよう制御部11により制御することで、支持軸15を中心にホルダ2を所定範囲の角度内で揺動させながら欠陥検査を行なうこともできる。この場合、メタルハライドランプ31からの照射光の被検査基板3への入射角が可変になるため、被検査基板3を様々な角度から入射する照射光にて観察することができる。
【0023】
図7は、欠陥部を有する被検査基板3が載置されたホルダ2を示す図である。検査者は、前述したようなマクロ観察において、例えば図7に示すように被検査基板3上で欠陥部aを認識すると、この欠陥部aに対し、まずガイドスケール19に沿って反射体215を移動してレーザー光218を欠陥部aに一致させ、続けてガイドスケール20に沿って反射体216を移動してレーザー光217を欠陥部aに一致させる。このとき、ガイドスケール19、20の上記検出部により、反射体215,216が位置するガイドスケール19、20の値が読取られることで、欠陥部aの位置座標(X、Y)が検出される。この検出結果が上記検出部から制御部11に入力され、欠陥部aの位置座標(X、Y)を示すデータが制御部11内の上記メモリに記憶される。以降、検査者が被検査基板3上で欠陥部を認識する度に同様の動作を繰り返すことで、各欠陥部の各位置座標(X、Y)を示すデータが制御部11に取り込まれ記憶される。検査者は、以上のようなマクロ観察を被検査基板3全面について終了すると、再びモータ18を起動して、回転軸181及びベルト17を介してプーリー16により支持軸15を上述と反対の方向に回転させ、ホルダ2を最初の水平な状態に戻す。
【0024】
続いて、前述したマクロ観察により検出した各欠陥部について、ミクロ観察ユニット9によりミクロ観察を行なう場合について説明する。まず制御部11により、上記メモリに記憶された欠陥部の位置座標(X、Y)が読み出され、続いて、この位置座標(X、Y)にミクロ観察ユニット9における対物レンズ91の観察軸が合致するよう、観察ユニット支持部5及び観察ユニット6がガイドレール4,4及びX上記図示しないガイドレールに沿って移動制御される。
これにより、検査者はミクロ観察ユニット9の接眼レンズ92を覗くことで、対物レンズ91を介して得られる被検査基板3上の欠陥部を顕微鏡によるミクロ観察することができる。また、TVカメラ93に対物レンズ91より得られる被検査基板3表面の欠陥部が撮像され、その像がTVモニタ12に表示され、検査者がその像を見ることでミクロ観察が行なわれる。
【0025】
次に、部分マクロ照明光源10を用いてマクロ観察を行ない、続けてミクロ観察ユニット9によるミクロ観察を行なう場合について説明する。この場合も、上述したように検査者はホルダ2上に被検査基板3を位置決めするとともに、吸着保持する。この状態から、検査者は観察ユニット6の部分マクロ照明光源10を点灯し、ホルダ2上の被検査基板3表面に部分的なマクロ照明光101を照射する。
【0026】
続いて検査者は、図示しない操作部(ジョイスティック)を操作することにより、図3に示すように観察ユニット6を観察ユニット支持部5の上記ガイドレールに沿ってX軸方向に直線移動させ、さらに観察ユニット支持部5をガイドレール4,4に沿ってY軸方向に直線移動させる。このとき、マクロ照明光101による被検査基板3上でのラスタスキャンがなされながら、検査者により被検査基板3全面について目視による傷や汚れなどの欠陥検査が行なわれる。この場合、被検査基板3上へのマクロ照明光101の照射角度は、最適な部分マクロ観察を行なうことができる角度に調整されている。
こうした部分マクロ照明光源10を用いた部分マクロ観察において、検査者は被検査基板3上のマクロ照明光101中で欠陥部を認識した場合、上記操作部を操作することで観察ユニット6をX、Y軸方向に移動させ、被検査基板3上の前記欠陥部に指標用照明光源8のスポット光を位置させる。
【0027】
制御部11では、Yスケール13及びXスケール14で検出された位置座標データに基づいて被検査基板3上の欠陥部の位置座標が求められ、続いて、この位置座標データと、予め記憶されている指標用照明光源8の光軸と対物レンズ91の光軸との間隔X0 を示すデータを用いて、観察ユニット支持部5及び観察ユニット6の移動制御がなされ、指定された被検査基板3上の欠陥部に対物レンズ91の光軸が合致する。
【0028】
これにより、対物レンズ91の視野中心に指定した欠陥部が持ち込まれるため、検査者は対物レンズ91を介して前記欠陥部のミクロ観察を行なえる。同時に、TVカメラ93に対物レンズ91より得られる被検査基板3表面の欠陥部が撮像されるため、検査者はTVモニタ12上でミクロ観察を行なえる。この場合検査者は、欠陥や被検査基板の種類に応じて落射照明と透過照明を切換えてミクロ観察を行なうことができる。
【0029】
その後、再び検査者により入力部111から制御部11にマクロ観察が指示されると、被検査基板3上の欠陥部がマクロ照明光101の照射範囲に戻され、検査者はマクロ観察による欠陥確認を行なえる。続けて他の欠陥部を観察する場合には、上述した操作を繰り返すことになる。欠陥検査が終了したならば、観察者は再び入力部111から制御部11に所定の指示を与えて観察ユニット支持部5を初期位置に復帰させ、ホルダ2から検査済みの被検査基板3を取り除き、新たな被検査基板3をホルダ2上に載置保持する。
【0030】
なお上記では、部分マクロ照明光源10によりホルダ2上の被検査基板3表面を部分照明しながらマクロ観察を行ない、被検査基板3上に欠陥を認識すると、ミクロ観察に移行するような場合を述べた。ここで、部分マクロ照明光源10によるマクロ観察のみを行なう場合、検査者は観察ユニット支持部5を初期位置に後退させ、ホルダ2上に被検査基板3を載置保持した状態から、部分マクロ照明光源10を点灯して、ホルダ2上の被検査基板3表面に部分的なマクロ照明光101を照射する。この状態から、検査者が上記操作部により観察ユニット6を観察ユニット支持部5の上記ガイドレールに沿ってX軸方向に直線移動させ、さらに観察ユニット支持部5をガイドレール4,4に沿ってY軸方向に直線移動させながら、マクロ照明光101により被検査基板3上でのラスタスキャンがなされることで、被検査基板3全面について検査者の目視による欠陥検査が行なわれるようになる。この場合、マクロ照明光101中における各欠陥部に指標用照明光源8のスポット光を合わせることで、Xスケール14とYスケール13の図示しない各検出部により各欠陥部の位置座標を検出し、制御部11の上記メモリに記憶することができる。
【0031】
また、制御部11の上記メモリに記憶された欠陥部についてミクロ観察ユニット9によるミクロ観察を行なう場合は、検査者は観察ユニット支持部5を初期位置に後退させ、ホルダ2上に被検査基板3を載置保持した状態から、透過ライン照明光源7を点灯させ、ホルダ2の下方からX軸方向にライン状の透過照明を照射させる。この状態から制御部11の駆動制御によりミクロ観察ユニット9を観察ユニット支持部5の上記ガイドレールに沿ってX軸方向に直線移動させることで対物レンズ91を透過ライン照明光源7に沿ってX軸方向に直線移動させ、さらに観察ユニット支持部5をガイドレール4,4に沿ってY軸方向に直線移動させることで、被検査基板3の所定の範囲について対物レンズ91を介して顕微鏡によるミクロ観察を行なうことができる。これと同時に、TVカメラ93により被検査基板3表面が撮像され、その像がTVモニタ12に表示される。この場合も、被検査基板3や欠陥の種類に応じて、透過照明から落射照明に切換えることができる。
【0032】
本基板検査装置によれば、被検査基板3を保持したホルダ2を支持軸15を中心に回動させて所定角度立ち上げることで、検査者は目に近い位置で被検査基板3のマクロ検査を行なうことができるので、楽な姿勢で欠陥検査を行なうことができる。また、被検査基板3の欠陥位置を検出するための一つのレーザー光源21、ビームスプーリーッター214、反射体215,216、及びガイドスケール19、20を、上下方向に回動可能なホルダ2に一体に設けることで、ホルダ2の傾斜角度にかかわらず、常に同一平面で被検査基板3の欠陥部の座標位置を検出できる。よって、座標位置を高い精度で検出できるとともに、傾斜角度に応じて座標位置データを補正する複雑な処理が不要になる。また、被検査基板3の側縁に沿って設けられるガイドスケール19、20に沿って反射体215,216を手動で移動しながら欠陥部に一致する位置を求めるだけで、欠陥部の位置座標(X、Y)を検出できるので、欠陥部にかかる位置情報を簡単に取り出すことができる。
【0033】
さらにホルダ2に対し、被検査基板3面上における観察ユニット支持部5の一方向に沿った移動と、観察ユニット支持部5の移動方向と直交する方向への観察ユニット6の移動により、観察ユニット6を被検査基板3上のいずれの位置にも移動させることができる。よって、ホルダ2の面積を被検査基板3の面積とほぼ同じ大きさに止めることができ、基板検査装置の小型化を実現できるとともに、基板検査装置の設置面積も大幅に小さくすることができる。
【0034】
(第2の実施の形態)図8は、本発明の第2の実施の形態に係る基板検査装置における位置検出部の構成を示す図である。図8において図7と同一な部分には同一符号を付してある。この位置検出部は、上記第1の実施の形態に示した基板検査装置に適用される。この位置検出部は、二つの光源21,22と反射体(ミラー)215,216からなる。光源21,22は、各々図5に示したレーザー光源部211及びシリンドリカルレンズ212,213からなる。
【0035】
ホルダ2には、図8に示すように、被検査基板3側縁のY軸方向及びX軸方向に沿うよう、被検査基板3における欠陥部の位置座標を検出するためのガイドスケール19、20が配設されている。ガイドスケール19にはY軸方向の反射体(ミラー)215が、ガイドスケール20にはX軸方向の反射体(ミラー)216が、それぞれガイドスケール19、20に沿って移動可能に設けられている。反射体215,216は、被検査基板3表面に対して直角または鋭角をなすよう立設されている。またホルダ2には、ガイドスケール20からやや右側へ離れる位置(ガイドスケール20の延長線上)にレーザー光源21が設けられているとともに、ガイドスケール19からやや手前側へ離れる位置(ガイドスケール19の延長線上)にレーザー光源22が設けられている。
【0036】
光源21のレーザー光源部211から発せられシリンドリカルレンズ212,213を透過したレーザー光は、被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光になり、X軸方向へ射出される。このレーザー光は反射体216で直角方向すなわちY軸方向へ反射され被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光217になる。また、光源22のレーザー光源部211から発せられシリンドリカルレンズ212,213を透過したレーザー光は、被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光になり、Y軸方向へ射出される。このレーザー光は反射体215で直角方向すなわちX軸方向へ反射され被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光218になる。
【0037】
上記第1の実施の形態と同様に、検査者は、被検査基板3面上の欠陥部aに対しガイドスケール19に沿って反射体215を移動してレーザー光218を欠陥部aに一致させ、同様にガイドスケール20に沿って反射体216を移動してレーザー光217を欠陥部aに一致させる。その後、検査者は上記フットスイッチをONにする。すると、このときのガイドスケールの19,20の値、すなわち反射体215,216の原点(図3に示す、ガイドスケール19の最も手前側、ガイドスケール20の最も右側)からY軸方向、X軸方向への変位量が、ガイドスケール19,20図示しない検出部により前記欠陥部aの位置座標(X,Y)として検出され、この検出結果が前記検出部から制御部11へ出力される。
本第2の実施の形態の基板検査装置によれば、上記第1の実施の形態と同様に、検査者が反射体215,216を手動で移動することで、欠陥部にかかる位置情報を簡単に取り出すことができる。
【0038】
(第3の実施の形態)図9は、本発明の第3の実施の形態に係る基板検査装置における位置検出部の構成を示す図である。図9において図7と同一な部分には同一符号を付してある。この位置検出部は、上記第1の実施の形態に示した基板検査装置に適用される。
【0039】
図9において、ホルダ2のY軸方向の一側面とX軸方向の一側面には、それぞれ保持部材301,302が取り付けられている。保持部材301,302の表面はホルダ2の表面に対して段差を生じるよう下方に位置している。保持部材301,302には、それぞれホルダ2側縁のY軸方向とX軸方向に沿うようガイドレール303,304が設けられている。さらにガイド移動部305,306が、それぞれガイドレール303,304を跨ぐよう、ガイドレール303、304に沿って移動可能に設けられている。
【0040】
保持部材301と保持部材302の各両端部には、それぞれプーリー307,308とプーリー309,310が軸支されている。プーリー307とプーリー308にはベルト311が、プーリー309とプーリー310にはベルト312が、輪状に掛けられている。ベルト311の一部にはガイド移動部305が係着されており、ベルト312の一部にはガイド移動部306が係着されている。プーリー307,310には、それぞれモータ313,314の回転軸315,316が嵌挿されている。ホルダ2のY軸方向の一側面とX軸方向の一側面には、それぞれガイド移動部305,306の存在を検知するための光学的なセンサ317,318と319,320が設けられている。
【0041】
ガイド移動部305にはY軸方向の反射体(ミラー)215が、ガイド移動部306にはX軸方向の反射体(ミラー)216が、被検査基板3表面に対して直角または鋭角をなすよう立設されている。また保持部材301と302の交差する位置にはホルダ2とほぼ同じ高さを有する保持部材321が設けられている。保持部材321上では、ガイドレール303と304の延長線が交差する位置に、ビームスプーリーッター214が被検査基板3表面に対して直角または鋭角をなすよう立設されている。また保持部材321上には、ビームスプーリーッター214からやや右側へ離れる位置(ガイドレール304の延長線上)にレーザー光源21が設けられている。レーザー光源21は、図5に示したレーザー光源部211及びシリンドリカルレンズ212,213からなる。
【0042】
光源21のレーザー光源部211から発せられシリンドリカルレンズ212,213を透過したレーザー光は、被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光になり、X軸方向へ射出される。このレーザー光はビームスプーリーッター214でX軸方向とY軸方向に分割され、一方のX軸方向に分割されたレーザー光は反射体216で直角方向すなわちY軸方向へ反射され被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光217になり、他方のY軸方向に分割されたレーザー光は反射体215で直角方向すなわちX軸方向へ反射され被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光218になる。
【0043】
検査者は、上記操作部(ジョイスティック)を操作しモータ313を駆動して回転軸315を一方向へ回転させることで、プーリー307,308を介してベルト311をY軸の一方向へ作動させ、あるいは上記操作部を操作しモータ313を駆動して回転軸315を他方向へ回転させることで、プーリー307,308を介してベルト311をY軸の他方向へ作動させる。これにより、被検査基板3面上の欠陥部aに対しガイドレール303に沿ってガイド移動部305上の反射体215を移動してレーザー光218を欠陥部aに一致させる。
【0044】
さらに検査者は、上記操作部を操作しモータ314を駆動して回転軸316を一方向へ回転させることで、プーリー310,309を介してベルト312をX軸の一方向へ作動させ、あるいは上記操作部を操作しモータ316を駆動して回転軸316を他方向へ回転させることで、プーリー310,309を介してベルト312をX軸の他方向へ作動させる。これにより、被検査基板3面上の欠陥部aに対しガイドレール304に沿ってガイド移動部306上の反射体216を移動してレーザー光217を欠陥部aに一致させる。
【0045】
その後、検査者は上記フットスイッチをONにする。すると、このときのガイドレール303,304に設けられた図示しない各ガイドスケールの値、すなわち反射体215,216の原点(センサー318,319の位置)からY軸方向,X軸方向への変位量が、上記各ガイドスケールの図示しない各検出部により前記欠陥部aの位置座標(X,Y)として検出され、この検出結果が前記各検出部から制御部11へ出力される。
なお、センサ317または318にてガイド移動部305の存在が検知された場合、制御部11によりモータ313の駆動が自動的に停止される。すなわちガイド移動部305は、センサ317,318間に対応するガイドレール303上の区間のみを往復移動できる。同様に、センサ319または320にてガイド移動部306の存在が検知された場合、制御部11によりモータ314の駆動が自動的に停止される。すなわちガイド移動部306は、センサ319,320間に対応するガイドレール304上の区間のみを往復移動できる。
【0046】
本第3の実施の形態の基板検査装置によれば、一つのレーザー光源21を用い、反射体215,216の設けられたガイド移動部305,306を電気的に駆動させることにより、検査者が上記操作部を操作することにより手元で反射体215,216の動作をコントロールすることができる。よって、特に大型の被検査基板を検査する場合、検査者から遠く離れた欠陥部に対しても容易に位置情報を取り出すことができる。なお、ガイド移動部305,306を駆動させるために、ガイド付きボールネジやリニアモータを用いることもできる。
なお本基板検査装置において、上記第2の実施の形態と同様に、ホルダ2上にビームスプーリーッターを設けず光源部を二つ設け、各光源部からそれぞれ反射体215,216へ光を照射するよう構成することもできる。
【0047】
(第4の実施の形態)図10は、本発明の第4の実施の形態に係る基板検査装置における位置検出部の構成を示す図である。図10において図7と同一な部分には同一符号を付してある。この位置検出部は、上記第1の実施の形態に示した基板検査装置に適用される。この位置検出部は、二つのレーザー光源401,402からなる。レーザー光源401,402は、各々図5に示したレーザー光源部211及びシリンドリカルレンズ212,213からなる。
ホルダ2には、図10に示すように、被検査基板3側縁のY軸方向及びX軸方向に沿うよう、被検査基板3における欠陥部の位置座標を検出するためのガイドスケール19、20が配設されている。ガイドスケール19にはレーザー光源401が、ガイドスケール20にはレーザー光源402が、それぞれガイドスケール19、20に沿って移動可能に設けられている。
【0048】
レーザー光源401のレーザー光源部211から発せられシリンドリカルレンズ212,213を透過したレーザー光は、被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光403になり、X軸方向へ射出される。また、レーザー光源402のレーザー光源部211から発せられシリンドリカルレンズ212,213を透過したレーザー光は、被検査基板3表面に対してほぼ垂直な面状のレーザー光404になり、Y軸方向へ射出される。
【0049】
上記第1の実施の形態と同様に、検査者は、被検査基板3面上の欠陥部aに対しガイドスケール19に沿ってレーザー光源401を移動してレーザー光403を欠陥部aに一致させ、同様にガイドスケール20に沿ってレーザー光源402を移動してレーザー光404を欠陥部aに一致させる。その後、検査者は上記フットスイッチをONにする。すると、このときのガイドスケールの19,20の値、すなわちレーザー光源401,402の原点(図10に示す、ガイドスケール19の最も手前側、ガイドスケール20の最も右側)からY軸方向、X軸方向への変位量が、ガイドスケール19,20図示しない検出部により前記欠陥部aの位置座標(X,Y)として検出され、この検出結果が前記検出部から制御部11へ出力される。
【0050】
本第4の実施の形態の基板検査装置によれば、上記第1,2の実施の形態による構成に比べ、ビームスプーリーッターや反射体を用いず,二つのレーザー光源401,402がガイドスケール19,20に設けられており、検査者がレーザー光源401,402を手動で移動することで、欠陥部にかかる位置情報を簡単に取り出すことができる。なお本基板検査装置において、上記第3の実施の形態と同様に、レーザー光源401,402をガイド移動部305,306に設置し、ガイドスケール19,20に沿って電動で移動するよう構成することもできる。
【0051】
(第5の実施の形態)図11及び図12は、本発明の第5の実施の形態に係る基板検査装置の構成を示す図であり、図11は斜視図、図12は側面図である。図11,12において図1,図2と同一な部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図1,図2に示す基板検査装置では、モータ18の回転駆動力を、回転軸181からベルト17を介してプーリー16に伝達することで、支持軸15を軸としてホルダ2を水平な状態から所定角度まで立ち上げ傾斜させた。本第5の実施の形態による基板検査装置では、リンク機構によりホルダ2を揺動させ、所定角度まで立ち上げ傾斜させる。
【0052】
図11に示すように装置本体1上には、水平状態にあるホルダ2の側辺に沿って細長い孔501が設けられており、孔501には連結部材502が挿通されている。ホルダ2側面には、被検査基板3の載置される面に対して直交するようフック503が設けられている。フック503には、回転軸504を介して連結部材502の一端が回動自在に連結されている。連結部材502の他端は装置本体1の下方にて、図12に示すように回転軸505を介して移動片506に回動自在に連結されている。
また図12に示すように、装置本体1の下方では、保持部材507,508の各端部に、それぞれプーリー509,510が軸支されている。プーリー509,510にはベルト511が、輪状に掛けられている。ベルト511の一部には移動片506が係着されている。プーリー509には、図示しないモータの回転軸512が嵌挿されている。
【0053】
検査者は図示しないホルダ操作部を操作し、上記モータを駆動して回転軸512を左回り方向へ回転させることで、プーリー509,510を介してベルト511をY軸の一方向へ作動させ、あるいは上記モータを駆動して回転軸512を右回り方向へ回転させることで、プーリー509,510を介してベルト511をY軸の+方向へ作動させる。これにより、ベルト511に係着した移動片506が−Y,+Y方向(ホルダ2に対して前方、後方)に移動する。
図12に示すようにホルダ2が水平な状態で、移動片506が−Y方向に移動すると、移動片506に連結されている連結部材502の他端が回転軸505により右回りに回動するため、連結部材502が傾いた状態から徐々に起立する。これにしたがい、連結部材502の一端が回転軸504の周りを回動しながらフック503を介してホルダ2を押し上げるため、ホルダ2が水平な状態から支持軸15を中心として二点鎖線の位置まで、すなわち約30°の角度まで回動し、立ち上げられ傾斜される。このようにホルダ2を傾斜させた後、検査者は上記モータを停止してホルダ2を静止させ、マクロ観察を行なう。
【0054】
検査者は、マクロ観察を被検査基板3全面について終了すると、再び上記ホルダ操作部を操作し、上記モータを駆動して回転軸512を右回り方向へ回転させることで、プーリー509,510及びベルト511を介して移動片506を+Y方向に移動させる。移動片506が+Y方向に移動すると、移動片506に連結されている連結部材502の他端が回転軸505により左回りに回動するため、連結部材502が起立した状態から徐々に傾く。これにしたがい、連結部材502の一端が回転軸504の周りを回動しながらフック503を介してホルダ2を引き下げるため、やがてホルダ2が最初の水平な状態に戻る。この状態で、検査者はミクロ観察を行なう。なお、移動片506をベルトにより移動する代わりに、周知のボールネジやリニアモータにより前後に移動するよう構成してもよい。
以上のようにホルダ2の揺動のためにリンク機構を用いることにより、ホルダ2を約30°の角度まで立ち上げ傾斜させることができ、立ち上げた際に連結部材502によりホルダ2が支持されるため、ホルダ2をより安定させた状態でマクロ観察を行なうことができる。
【0055】
(第6の実施の形態)図13は、本発明の第6の実施の形態に係る基板検査装置の構成を示す側面図である。図13において図12と同一な部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。上記第5の実施の形態では連結部材を一つ用いてリンク機構を構成したが、本第6の実施の形態では二つの連結部材を用いてリンク機構を構成する。
図13に示すように、第1連結部材601の基端は回転軸602により装置本体1に回動自在に軸支され、第1連結部材601の自由端にはホルダ2の裏面を転動するローラ600が回転自在に軸支されている。第1連結部材601の自由端付近には、回転軸603を介して第2連結部材604の一端が回動自在に連結されている。第2連結部材604の他端は装置本体1の下方にて、回転軸605を介して移動片506に回動自在に連結されている。
【0056】
図13に示すようにホルダ2が水平な状態で、移動片506が−Y方向に移動すると、移動片506に連結されている第2連結部材604の他端が回転軸605により右回りに回動するため、第2連結部材604が傾いた状態から徐々に起立する。これにしたがい、第2連結部材604の一端が回転軸603の周りを回動しながら第1連結部材601を押し上げる。これに伴い、第1連結部材601のローラ600がホルダ2の裏面を転動しホルダ2を押し上げるため、ホルダ2が水平な状態から支持軸15を中心として二点鎖線の位置まで、すなわち約60°の角度まで立ち上げられ傾斜される。このようにホルダ2を傾斜させた後、検査者は上記モータを停止してホルダ2を静止させ、マクロ観察を行なう。
【0057】
この状態から移動片506が+Y方向に移動すると、移動片506に連結されている第2連結部材604の他端が回転軸605により左回りに回動するため、第2連結部材604が起立した状態から徐々に傾く。これにしたがい、第2連結部材604の一端が回転軸603の周りを回動しながら第1連結部材601を引き下げる。これに伴い、第1連結部材601のローラ600に追従してホルダ2が引き下げられるため、やがてホルダ2が最初の水平な状態に戻る。この状態で、検査者はミクロ観察を行なう。
【0058】
以上のようにホルダ2の揺動のために二つの連結部材を用いてリンク機構を構成することにより、ホルダ2を約60°の角度まで立ち上げ傾斜させることができる。上記第5の実施の形態において一つの連結部材で60°程度の角度までホルダ2を立ち上げようとすると、非常に長い連結部材が必要になり、装置を構成するために広いスペースが必要になる。しかし本第6の実施の形態では、二つの連結部材を用いて二重のリンク機構を構成することにより、約60°の角度までホルダ2を揺動させ立ち上げることができ、かつ、短い連結部材を二つ用いてリンク機構を構成できるため、装置の省スペース化を図れる。
【0059】
なお、上記第5,第6の実施の形態に示したリンク機構は、上記第1〜第4の実施の形態に示した基板検査装置に適用できる。本発明は上記各実施の形態のみに限定されず、要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板検査装置の構成を示す斜視図。
【図2】同装置の構成を示す側面図。
【図3】同装置の構成を示す上面図。
【図4】同装置における透過ライン照明の構成例を示す図。
【図5】同装置における位置検出部の構成を示す図。
【図6】同装置における基板検査装置における検査状況を示す図。
【図7】同装置におけるホルダを示す図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る位置検出部の構成を示す図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る位置検出部の構成を示す図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る位置検出部の構成を示す図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る基板検査装置の構成を示す斜視図。
【図12】同装置の構成を示す側面図。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る基板検査装置の構成を示す側面図。
【符号の説明】
【0061】
1:装置本体、2:ホルダ、3:被検査基板、4:ガイドレール、5:観察ユニット支持部、51:裏板、6:観察ユニット、7:透過ライン照明光源、71:光源部、72:ガラスロッド、73:白色縞、8:指標用照明光源、9:ミクロ観察ユニット、91:対物レンズ、92:接眼レンズ、93:TVカメラ、10:部分マクロ照明光源、101:マクロ照明光、11:制御部、111:入力部、12:TVモニタ、13:Yスケール、14:Xスケール、15:支持軸、16:プーリー、17:ベルト、18:モータ、181:回転軸、19、20:ガイドスケール、21,22:レーザー光源、201:基板位置決め部材、211:レーザー光源部、212,213:シリンドリカルレンズ、214:ビームスプーリーッター、215,216:反射体(ミラー)、217,218:レーザー光、30:全面マクロ照明光源、31:メタルハライドランプ、32:反射ミラー、33:フレネルレンズ、301,302:保持部材、303,304:ガイドレール、305,306:ガイド移動部、307〜310:プーリー、311,312:ベルト、313,314:モータ、315,316:回転軸、317〜320:センサ、401,402:レーザー光源、403,404:レーザー光、501:孔、502:連結部材、503:フック、504,505:回転軸、506:移動片、507,508:保持部材、509,510:プーリー、511:ベルト、600:ローラ、601:第1連結部材、602,603,605:回転軸、604:第2連結部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の被検査基板を保持する基板ホルダと、
前記基板ホルダを水平な状態から目視観察する所定の角度に立ち上げる駆動部と、
前記基板ホルダを前記所定の角度に立ち上げた状態で前記被検査基板の上方からマクロ照明光を前記被検査基板上面に照射するマクロ照明光源と、
前記被検査基板の側縁でかつ少なくとも互いに直交するX方向とY方向とに沿って前記基板ホルダ上に一体に設けられたX方向とY方向との各ガイド部材と、
レーザー光を出射するレーザー光源と、
前記レーザー光源から出射された前記レーザー光を前記X方向と前記Y方向とに分割する光路分割手段と、
前記X方向と前記Y方向との各ガイド部材にそれぞれ移動可能に設けられ、前記光路分割手段により分割された前記各レーザー光をそれぞれ前記被検査基板側に反射させる2つの反射体と、
前記各反射体をそれぞれ前記X方向と前記Y方向との各ガイド部材に移動させ、前記各反射体でそれぞれ反射して前記被検査基板上の欠陥部に前記各レーザー光を一致させたときの前記各反射体の前記X方向と前記Y方向への各変位量から前記欠陥部の位置座標を検出する位置座標検出部と、
を具備することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
矩形状の被検査基板を保持する基板ホルダと、
前記基板ホルダを水平な状態から目視観察する所定の角度に立ち上げる駆動部と、
前記基板ホルダを前記所定の角度に立ち上げた状態で前記被検査基板の上方からマクロ照明光を前記被検査基板上面に照射するマクロ照明光源と、
前記被検査基板の側縁でかつ少なくとも互いに直交するX方向とY方向とに沿って前記基板ホルダ上に一体に設けられたX方向とY方向との各ガイド部材と、
レーザー光を前記X方向に向けて出射するX方向用のレーザー光源と、
レーザー光を前記Y方向に向けて出射するY方向用のレーザー光源と、
前記X方向のガイド部材に移動可能に設けられ、前記X方向用のレーザー光源から出射された前記レーザー光を前記被検査基板側に反射させる第1の反射体と、
前記Y方向のガイド部材に移動可能に設けられ、前記Y方向用のレーザー光源から出射された前記レーザー光を前記被検査基板側に反射させる第2の反射体と、
前記第1の反射体を前記X方向のガイド部材に移動させると共に、前記第2の反射体を前記Y方向のガイド部材に移動させて前記被検査基板上の欠陥部に前記各レーザー光を一致させたときの前記第1の反射体の前記X方向への変位量と前記第2の反射体の前記Y方向への変位量とから前記欠陥部の位置座標を検出する位置座標検出部と、
を具備したことを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
前記位置座標検出部により検出された前記被検査基板の前記欠陥部の前記位置座標を記憶する記憶部と、
前記基板ホルダを水平位置に戻した状態での前記基板ホルダの両側に対して平行に設けられた一対の観察ユニット支持用ガイドと、
前記一対の観察ユニット支持用ガイドにそれぞれ移動可能に設けられた一対の支柱と、これら支柱の間を連結する水平アーム部とを有する観察ユニット支持部と、
前記水平アーム部に沿い、かつ前記観察ユニット支持用ガイドの設けられた方向に対して直交する方向に移動可能に設けられ、前記基板ホルダ上に保持された前記被検査基板の上面を拡大視する対物レンズを有するミクロ検査ユニットと、
前記記憶部から読み出された前記各欠陥部の前記位置座標に基づいて前記観察ユニット支持部と前記ミクロ検査ユニットとを移動制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記レーザー光源は、前記レーザー光を出射するレーザー光源部と、
前記レーザー光源部から出射される前記レーザー光を前記被検査基板の表面に対して垂直な面状のレーザー光に変換するシリンドリカルレンズと、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−292494(P2008−292494A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163832(P2008−163832)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【分割の表示】特願平10−264342の分割
【原出願日】平成10年9月18日(1998.9.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】