説明

基板洗浄装置、基板洗浄方法、及び基板の製造方法

【課題】基板を移動しながら、ブラシの洗浄力を低下させることなく、大型の基板を均一に洗浄する。
【解決手段】基板搬送機構は、基板1をローラに搭載して所定の速度で移動する。ブラシユニットは、複数のディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fを有し、ブラシユニットカバー20内には、各ディスクブラシに対してブラシ高さ調整機構が設けられている。各ブラシ高さ調整機は、各ディスクブラシの高さをそれぞれ独立に調整して、各ディスクブラシが基板に接触する圧力を等しくする。ブラシ移動機構は、ブラシユニットカバー20に連結されたリンク14によって、ブラシユニットをスライドレール13に沿って所定距離だけ往復させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ装置用のパネル基板等を洗浄する基板洗浄装置、基板洗浄方法、及びそれらを用いた基板の製造方法に係り、特にブラシを用い、大型の基板の洗浄に好適な基板洗浄装置、基板洗浄方法、及びそれらを用いた基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置等のようなフラットパネルディスプレイ装置用のパネル基板の製造工程では、現像やエッチング等の薬液処理により、基板上に回路パターンやカラーフィルタ等を形成する。このとき、基板上に汚れや異物が存在すると、回路パターンやカラーフィルタ等が良好に形成されないため、基板を製造工程へ受け入れる際、及び薬液処理の前又は後には、基板の洗浄が必要である。基板の洗浄及び薬液処理を含む一連の処理は、ローラコンベア等の基板搬送機構を用いて、基板を移動しながら行われることが多い。
【0003】
基板の洗浄は、一般に基板上の汚れや異物、薬液等を洗浄水(純水)で洗い流して行われるが、汚れや異物が多い場合、あるいは特に高い洗浄力が望まれる場合には、ブラシ等の洗浄手段を用いて基板上の汚れや異物を機械的に除去する。基板を移動しながらブラシを用いて基板の洗浄を行うものとして、特許文献1及び特許文献2に記載の技術がある。特許文献1には、ロールブラシを用いた基板洗浄装置が開示されている。また、特許文献2には、ディスクブラシを用いたガラス板洗浄装置と、ロールブラシを用いたガラス板洗浄装置とが開示されている。
【特許文献1】特開平10−337541号公報
【特許文献2】特開2003−112951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のフラットパネルディスプレイ装置の大画面化に伴って基板が大型化すると、特許文献1及び特許文献2のようにロールブラシを用いる場合、基板の幅に合わせてロールブラシを長尺化しなければならない。また、特許文献2のようにディスクブラシを用いる場合、基板の幅方向に配置するディスクブラシの数を増加させ、または各ディスクブラシの直径を大きくしなければならない。
【0005】
しかしながら、ロールブラシを長尺化すると、ロールブラシの自重が増加し、ロールブラシにたわみが発生するため、ロールブラシの中央部と両端部とで基板に接触する圧力が異なり、基板を均一に洗浄することができなかった。同様に、ディスクブラシの数を増加させ、または各ディスクブラシの直径を大きくすると、ディスクブラシの総重量が増加し、ディスクブラシを共通に保持する部材にたわみが発生するため、各ディスクブラシが基板に接触する圧力が異なり、基板を均一に洗浄することができなかった。
【0006】
さらに、特許文献1及び特許文献2のようにロールブラシを用いる場合、通常、ロールブラシは、洗浄力を高くするため、基板の移動方向と逆方向に回転させる。このため、基板には、ロールブラシの回転によって、基板の移動を妨げようとする抵抗が加わる。基板が大型化すると、基板とロールブラシとの接触面積が増加して、基板の移動を妨げようとする抵抗が大きくなるため、基板の移動速度が低下し、あるいは基板を移動するのが困難となる。基板の移動速度を確保するためには、ロールブラシが基板に接触する圧力を小さくする必要があり、洗浄力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、基板を移動しながら、ブラシの洗浄力を低下させることなく、大型の基板を均一に洗浄することである。また、本発明の課題は、品質の高い大型基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板洗浄装置は、基板を移動する基板移動手段と、基板移動手段により移動される基板の移動方向と直交する方向の幅に渡って複数配置され、基板の表面に垂直な軸で回転するディスクブラシと、ディスクブラシを回転させる一つ又は複数のブラシ駆動用モータと、各ディスクブラシに対して設けられ、各ディスクブラシの高さをそれぞれ独立に調整するブラシ高さ調整手段とを備えたものである。
【0009】
また、本発明の基板洗浄方法は、基板を移動しながら、基板の移動方向と直交する方向の幅に渡って、基板の表面に垂直な軸で回転するディスクブラシを複数配置し、各ディスクブラシの高さをそれぞれ独立に調整して、各ディスクブラシを同じ圧力で基板に接触させながら回転させるものである。
【0010】
ディスクブラシは基板の表面に垂直な軸で回転するので、ディスクブラシの回転により基板に加わる力は、基板の移動方向にも逆方向にも同じとなり、互いに打ち消される。従って、基板の移動を妨げようとする抵抗が小さく、基板が大型化してもディスクブラシが基板に接触する圧力を小さくする必要がないので、洗浄力が低下しない。そして、各ディスクブラシの高さをそれぞれ独立に調整して、各ディスクブラシを同じ圧力で基板に接触させながら回転させることにより、大型の基板が均一に洗浄される。
【0011】
さらに、本発明の基板洗浄装置は、ブラシ駆動用モータの一つから、二つ以上のディスクブラシへ駆動力を伝達する伝達手段を備えたものである。また、本発明の基板洗浄方法は、一つのブラシ駆動用モータから二つ以上のディスクブラシへ駆動力を伝達して、一つのブラシ駆動用モータで二つ以上のディスクブラシを回転させるものである。
【0012】
一つのブラシ駆動用モータで二つ以上のディスクブラシを回転させることにより、ブラシ駆動用モータが少なくて済む。また、ブラシ駆動用モータが直接取り付けられていないディスクブラシでは、ブラシシャフトの内部に洗浄水を通して、ディスクブラシから基板へ洗浄水を供給することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の基板洗浄装置は、各ブラシ高さ調整手段が、ディスクブラシを上下に移動可能に保持するブラシ保持機構と、ブラシ保持機構に保持されたディスクブラシを上下に移動させるカムと、カムを駆動するサーボモータと、サーボモータを制御する制御装置とを備えたものである。また、本発明の基板洗浄方法は、各ディスクブラシを上下に移動可能に保持し、サーボモータにより駆動されるカムで各ディスクブラシを上下に移動させて、各ディスクブラシの高さを調整するものである。
【0014】
サーボモータにより駆動されるカムで各ディスクブラシを上下に移動させることにより、各ディスクブラシの高さが精密に調整される。
【0015】
さらに、本発明の基板洗浄装置は、複数のディスクブラシを基板の移動方向とほぼ直交する方向に所定距離だけ往復させるブラシ移動手段を備えたものである。また、本発明の基板洗浄方法は、複数のディスクブラシを基板の移動方向とほぼ直交する方向に所定距離だけ往復させるものである。
【0016】
複数のディスクブラシを用いて洗浄を行う場合、各ディスクブラシの隙間をなくすため、例えば特許文献2では、ディスクブラシを前後2列に並べ、1列目のディスクブラシの間に2列目のディスクブラシを配置している。本発明は、複数のディスクブラシを基板の移動方向とほぼ直交する方向に所定距離だけ往復させることにより、ディスクブラシを複数列に並べることなく、基板全体を洗浄する。基板上の汚れや異物に対し、一つのディスクブラシと、そのディスクブラシの軸を挟んだ反対側又は隣接するディスクブラシとから異なった向きの力が加わり、洗浄力が向上する。
【0017】
本発明の基板の製造方法は、上記のいずれかの基板洗浄装置又は基板洗浄方法を用いて基板を洗浄した後、所定の薬液処理を行うものである。大型の基板が高い洗浄力で均一に洗浄され、基板上に回路パターンやカラーフィルタ等が良好に形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の基板洗浄方法及び基板洗浄装置によれば、基板を移動しながら、ブラシの洗浄力を低下させることなく、大型の基板を均一に洗浄することができる。
【0019】
さらに、一つのブラシ駆動用モータで二つ以上のディスクブラシを回転させることにより、ブラシ駆動用モータが少なくて済む。また、ブラシ駆動用モータが直接取り付けられていないディスクブラシでは、ブラシシャフトの内部に洗浄水を通して、ディスクブラシから基板へ洗浄水を供給することが可能となる。
【0020】
さらに、サーボモータにより駆動されるカムで各ディスクブラシを上下に移動させることにより、各ディスクブラシの高さを精密に調整することができる。
【0021】
さらに、複数のディスクブラシを基板の移動方向とほぼ直交する方向に所定距離だけ往復させることにより、少ないディスクブラシで基板全体を洗浄することができ、かつ洗浄力を向上させることができる。
【0022】
本発明の基板の製造方法によれば、大型の基板を高い洗浄力で均一に洗浄して、基板上に回路パターンやカラーフィルタ等を良好に形成することができる。従って、品質の高い大型基板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態による基板洗浄装置の主要部の外観図である。また、図2(a)は本発明の一実施の形態による基板洗浄装置の正面図、図2(b)は同上面図である。基板洗浄装置は、チャンバー10、基板搬送機構、ブラシユニット、及びブラシ移動機構を含んで構成されている。なお、ブラシユニットは、基板搬送機構により移動される基板1の上方及び下方にそれぞれ配置されるが、図1及び図2では、基板1の上方に配置したブラシユニットのみが示され、基板1の下方に配置したブラシユニットは省略されている。また、図1では、チャンバー10及び基板搬送機構が省略され、ブラシユニット及びブラシ移動機構の一部のみが示されている。
【0024】
図2において、基板搬送機構は、ローラシャフト11及びローラ12を含んで構成されている。図2(b)に示すように、チャンバー10内には、複数のローラシャフト11が基板移動方向に所定の間隔で設置されている。各ローラシャフト11には複数のローラ12が取り付けられており、ローラ12には基板1が搭載されている。基板搬送機構は、チャンバー10外の図示しない駆動手段により各ローラシャフト11を所定の速度で回転させて、ローラ12に搭載した基板1を基板移動方向へ所定の速度で移動する。
【0025】
ブラシユニットは、複数のディスクブラシ、ブラシユニットカバー20、及びブラシユニットカバー20内に設けられた複数のブラシ高さ調整機構を含んで構成されている。なお、本実施の形態では、ブラシユニットに6個のディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fが設けられているが、ディスクブラシの数はこれに限るものではなく、基板1の幅に応じて適宜決定される。
【0026】
図3は、ディスクブラシ2aのブラシ高さ調整機構及びディスクブラシ2bのブラシ高さ調整機構の正面図である。また、図4(a)はディスクブラシ2aのブラシ高さ調整機構の側面図、図4(b)はディスクブラシ2bのブラシ高さ調整機構の側面図である。なお、図3はブラシユニットカバー20を取り外した状態を示しており、ディスクブラシ2c,2d,2e,2fのブラシ高さ調整機構は省略されている。
【0027】
本実施の形態は、一つのブラシ駆動用モータで二つのディスクブラシを回転させる例を示している。図3において、ディスクブラシ2aはブラシ駆動用モータ21の回転軸に取り付けられており、ディスクブラシ2bはブラシシャフト24に取り付けられている。ブラシ駆動用モータ21及びブラシシャフト24は、後述するブラシ高さ調整機構によって、軸が基板1の表面と垂直になるように設置されている。ブラシ駆動用モータ21の駆動力は、回転軸に取り付けられたディスクブラシ2aへ伝達されると共に、回転軸に取り付けられたベルト車、ベルト22、及びブラシシャフト24に取り付けられたベルト車23(図5参照)から成る伝達機構によって、ディスクブラシ2bへ伝達される。
【0028】
ディスクブラシ2cとディスクブラシ2d、ディスクブラシ2eとディスクブラシ2fについても、同様にして、ディスクブラシ2cに取り付けられたブラシ駆動用モータの駆動力がディスクブラシ2dへ伝達され、ディスクブラシ2eに取り付けられたブラシ駆動用モータの駆動力がディスクブラシ2fへ伝達される。
【0029】
なお、本実施の形態では一つのブラシ駆動用モータで二つのディスクブラシを回転させているが、一つのブラシ駆動用モータで三つ以上のディスクブラシを回転させてもよい。例えば、一つのブラシ駆動用モータでディスクブラシ2a,2b,2cを回転させ、別のブラシ駆動用モータでディスクブラシ2d,2e,2fを回転させてもよい。あるいは、一つのブラシ駆動用モータで全てのディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fを回転させてもよい。また、ディスクブラシの数によっては、一つのブラシ駆動用モータで二つ以上のディスクブラシを回転させた上で、余ったディスクブラシについては一つのブラシ駆動用モータで回転させることもできる。
【0030】
図5は、図4(b)のA−A部の断面図である。本実施の形態は、ディスクブラシ2bの中央部に洗浄水の吐出口4を設けた例を示している。ディスクブラシ2bが取り付けられたブラシシャフト24の内部には、洗浄水の通路が形成されている。ブラシシャフト24は、ベアリング25により回転可能に支持されている。ブラシシャフト24の上端は、ロータリジョイント41によって配管40と接続されている。配管40は、ロータリジョイント41を介し、ブラシシャフト24へ洗浄水を供給する。供給された洗浄水は、ブラシシャフト24の内部の通路を通って、ディスクブラシ2bの吐出口4から基板1の表面へ吐出される。ディスクブラシ2dとディスクブラシ2fについても同様である。
【0031】
なお、後述するブラシ高さ調整機構の働きによって、ディスクブラシ2bはブラシシャフト24と共に上下に移動可能となっている。ブラシシャフト24の上下の移動に対応するためは、ロータリジョイント41に上下に伸縮する機能を設けてもよく、あるいは配管40を柔軟性のある材料で構成してもよい。
【0032】
本実施の形態によれば、一つのブラシ駆動用モータで二つ以上のディスクブラシを回転させることにより、ブラシ駆動用モータが少なくて済む。また、ブラシ駆動用モータが直接取り付けられていないディスクブラシでは、ブラシシャフトの内部に洗浄水を通して、ディスクブラシから基板へ洗浄水を供給することが可能となる。
【0033】
図3及び図4において、各ブラシ高さ調整機構は、ブラシ保持機構、カム35、サーボモータ36、及び制御装置37を含んで構成されている。なお、制御装置37は、ブラシユニットカバー20の外に設置されており、図4では省略されている。
【0034】
ブラシ保持機構は、ベース30、スライドバー31、ばね32、上板33、及びカム動作ブレード34を含んで構成されている。図4(a)及び図4(b)に示すように、ベース30はブラシユニットカバー20の内壁に固定されている。ベース30の上方には、4本のスライドバー31及びばね32によって、上板33が支えられている。スライドバー31は、ベース30に設けた貫通穴を通ってスライドする。ばね32は、上板33を図面上方向へ付勢し、上板33の上面に取り付けられたカム動作ブレード34をカム35に押し付ける。上板33の下面には、ブラシ駆動用モータ21又はブラシシャフト24が取り付けられている。
【0035】
図3において、サーボモータ36の駆動によってカム35が回転すると、カム35に押し付けられたカム動作ブレード34が上下に移動し、上板33が上下に移動する。これにより、ブラシ高さ調整機構は、ブラシ駆動用モータ21と共にディスクブラシ2aを上下に移動させて、ディスクブラシ2aの高さを調整し、またはブラシシャフト24と共にディスクブラシ2bを上下に移動させて、ディスクブラシ2bの高さを調整する。
【0036】
制御装置37は、各サーボモータ36を制御することにより、各ブラシ高さ調整手段でディスクブラシ2a,2bの高さをそれぞれ独立に調整して、ディスクブラシ2a,2bが基板1に接触する圧力を等しくする。制御装置37は、ディスクブラシ2c,2d,2e,2fについても、同様にして、各ブラシ高さ調整手段で各ディスクブラシの高さをそれぞれ独立に調整して、各ディスクブラシが基板1に接触する圧力を等しくする。
【0037】
なお、制御装置37によるサーボモータ36の制御については、例えば特開平10−337541号公報に記載された駆動制御装置によるカム駆動モータの制御と同様にして行うことができる。
【0038】
本実施の形態によれば、サーボモータ36により駆動されるカム35で各ディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fを上下に移動させることにより、各ディスクブラシの高さを精密に調整することができる。
【0039】
図2(a)及び図2(b)において、ブラシ移動機構は、スライドレール13、リンク14、リンク駆動板15、及びリンク駆動用モータ16を含んで構成されている。チャンバー10内には、基板1の基板移動方向とほぼ直交する方向に2本のスライドレール13が基板1と平行に設置されている。2本のスライドレール13にはブラシユニットカバー20が搭載され、ブラシユニットカバー20の上部にはリンク14の一端が連結されている。リンク14の他端はリンク駆動板15に連結されており、リンク駆動用モータ16の駆動によりリンク駆動板15が回転すると、リンク14はブラシユニットカバー20をスライドレール13に沿って移動させる。これによりブラシ移動機構は、ブラシユニットをブラシ移動方向に所定距離だけ往復させる動作を繰り返す。
【0040】
ブラシユニットカバー20内に設けた各ブラシ高さ調整手段で各ディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fの高さをそれぞれ独立に調整した後、基板搬送機構により基板1を基板移動方向へ移動しながら、ブラシ移動機構によりブラシユニットをブラシ移動方向に所定距離だけ往復させる。
【0041】
一例として、基板1の移動速度を2.7m/min、各ディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fの回転速度を毎分300回転、ブラシユニットの往復を最大で毎分30回程度とする。また、ブラシユニットを往復させる距離は、ディスクブラシの半径に各ディスクブラシの隙間の距離を加えた長さ以上とする。
【0042】
ブラシユニットは、ディスクブラシ2b,2d,2fの吐出口4から基板1へ洗浄水を供給しながら、各ディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fにより基板1を洗浄する。このとき、各ディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fは基板1の表面に垂直な軸で回転するので、各ディスクブラシの回転により基板1に加わる力は、基板移動方向にも逆方向にも同じとなり、互いに打ち消される。従って、基板1の移動を妨げようとする抵抗が小さく、基板1が大型化しても各ディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fが基板1に接触する圧力を小さくする必要がないので、洗浄力が低下しない。そして、各ディスクブラシ2a,2b,2c,2d,2e,2fの高さをそれぞれ独立に調整して、各ディスクブラシを同じ圧力で基板1に接触させながら回転させることにより、基板1が均一に洗浄される。
【0043】
従って、以上説明した実施の形態によれば、基板を移動しながら、ブラシの洗浄力を低下させることなく、大型の基板1を均一に洗浄することができる。
【0044】
さらに、ブラシユニットをブラシ移動方向に所定距離だけ往復させることにより、ディスクブラシを複数列に並べることなく、基板1全体が洗浄される。そして、基板1上の汚れや異物に対し、一つのディスクブラシと、そのディスクブラシの軸を挟んだ反対側又は隣接するディスクブラシとから異なった向きの力が加わり、洗浄力が向上する。
【0045】
従って、以上説明した実施の形態によれば、少ないディスクブラシで基板1全体を洗浄することができ、かつ洗浄力を向上させることができる。
【0046】
本発明の基板洗浄装置又は基板洗浄方法を用いて基板1を洗浄した後、所定の薬液処理を行うことにより、大型の基板1を高い洗浄力で均一に洗浄して、基板1上に回路パターンやカラーフィルタ等を良好に形成することができる。従って、品質の高い大型基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態による基板洗浄装置の主要部の外観図である。
【図2】図2(a)は本発明の一実施の形態による基板洗浄装置の正面図、図2(b)は同上面図である。
【図3】ディスクブラシ2aのブラシ高さ調整機構及びディスクブラシ2bのブラシ高さ調整機構の正面図である。
【図4】図4(a)はディスクブラシ2aのブラシ高さ調整機構の側面図、図4(b)はディスクブラシ2bのブラシ高さ調整機構の側面図である。
【図5】図4(b)のA−A部の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基板
2a,2b,2c,2d,2e,2f ディスクブラシ
4 吐出口
10 チャンバー
11 ローラシャフト
12 ローラ
13 スライドレール
14 リンク
15 リンク駆動板
16 リンク駆動用モータ
20 ブラシユニットカバー
21 ブラシ駆動用モータ
22 ベルト
23 ベルト車
24 ブラシシャフト
25 ベアリング
30 ベース
31 スライドバー
32 ばね
33 上板
34 カム動作ブレード
35 カム
36 サーボモータ
37 制御装置
40 配管
41 ロータリージョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を移動する基板移動手段と、
前記基板移動手段により移動される基板の移動方向と直交する方向の幅に渡って複数配置され、基板の表面に垂直な軸で回転するディスクブラシと、
前記ディスクブラシを回転させる一つ又は複数のブラシ駆動用モータと、
前記各ディスクブラシに対して設けられ、前記各ディスクブラシの高さをそれぞれ独立に調整するブラシ高さ調整手段とを備えたことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記ブラシ駆動用モータの一つから、二つ以上のディスクブラシへ駆動力を伝達する伝達手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記各ブラシ高さ調整手段は、
前記ディスクブラシを上下に移動可能に保持するブラシ保持機構と、
前記ブラシ保持機構に保持された前記ディスクブラシを上下に移動させるカムと、
前記カムを駆動するサーボモータと、
前記サーボモータを制御する制御装置とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記複数のディスクブラシを基板の移動方向とほぼ直交する方向に所定距離だけ往復させるブラシ移動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
基板を移動しながら、
基板の移動方向と直交する方向の幅に渡って、基板の表面に垂直な軸で回転するディスクブラシを複数配置し、
各ディスクブラシの高さをそれぞれ独立に調整して、
各ディスクブラシを同じ圧力で基板に接触させながら回転させることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項6】
一つのブラシ駆動用モータから二つ以上のディスクブラシへ駆動力を伝達して、一つのブラシ駆動用モータで二つ以上のディスクブラシを回転させることを特徴とする請求項5に記載の基板洗浄方法。
【請求項7】
各ディスクブラシを上下に移動可能に保持し、サーボモータにより駆動されるカムで各ディスクブラシを上下に移動させて、各ディスクブラシの高さを調整することを特徴とする請求項5に記載の基板洗浄方法。
【請求項8】
複数のディスクブラシを基板の移動方向とほぼ直交する方向に所定距離だけ往復させることを特徴とする請求項5に記載の基板洗浄方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板洗浄装置を用いて基板を洗浄した後、所定の薬液処理を行うことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項10】
請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の基板洗浄方法を用いて基板を洗浄した後、所定の薬液処理を行うことを特徴とする基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−167529(P2006−167529A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360871(P2004−360871)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000233480)日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社 (34)
【Fターム(参考)】