説明

塗工装置、塗工方法、および、プラズマディスプレイパネルの製造方法

【課題】塗工液を長期間安定して吐出可能な塗工装置を提供する。
【解決手段】PDPの結晶MgO層の形成工程において、スプレー法にて、MgO粉体を溶剤に分散させた塗工液を塗布する塗工装置として、塗工液経路に接続する連結管531、吐出管513Aおよび洗浄管522が接続してそれぞれの接続状態を切り替える第1三方弁600と、連結管531、返送管514および洗浄管522が接続してそれぞれの接続状態を切り替える第2三方弁700と、を設ける。第1三方弁600に洗浄液を流通させ吐出管513Aからスプレーガンで吐出させ、第2三方弁700に洗浄液を流通させ連結管531から第1三方弁を流通させ吐出管513Aからスプレーガンで吐出させる。MgO粉体の固着や閉塞が生じず長期間安定して塗布できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工液が流通する経路に洗浄液を流通させて洗浄する構成を備えた塗工装置、塗工液を塗工する塗工方法、および、プラズマディスプレイパネルの保護層を酸化マグネシウム粉末を含有する塗工液を塗布して形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネルは、放電空間を介して互いに対向配置された一対の平面ガラス基板である前面基板および背面基板を備えており、背面基板の内面上に井桁状などの隔壁を設けて前記放電空間を複数個の放電セルに区画し、これら複数個の放電セル内で選択的に放電発光させることにより画像表示を実施する。
【0003】
このようなプラズマディスプレイパネルの前面基板の内面側には、放電ギャップを介して対向する複数の透明電極およびこれら透明電極の一端部に積層するバス電極を備えた複数の表示電極対と、これら表示電極対間に設けられた複数のブラックストライプと、これら表示電極対およびブラックストライプ上を被覆する誘電体層と、この誘電体層上を被覆する保護層と、などがそれぞれ設けられている。
【0004】
上記保護層は、誘電体層が放電によりスパッタリングされることを防ぐとともに、低電圧で放電を発生させるための二次電子の放出層としての役割も持っている。また、発光は保護層を通して前面基板側から観察されるため可視光に対する透明性も必要とされる。このため、保護層の材料としては、低スパッタ率、高二次電子放出係数、可視光に対する透明性などの特性により酸化マグネシウム(以下MgOと記す)が広く用いられている。
【0005】
従来、このようなMgOによる保護層の形成方法として、スプレーガンを用いたスプレー法により、MgOの微結晶粉末を溶剤に分散させた塗工液を基板に対して吹き付けるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に記載の構成では、直径が1〜2μmのMgOの微結晶粉末をエチルアルコールを分散溶媒として分散させ、吹き付けに用いる懸濁液としている。そして、スプレーガンに懸濁液と霧化用の高圧エアを供給し、懸濁液をガラス基板上にスプレー塗布した後、ガラス基板を200℃に加熱しエチルアルコールを充分に蒸発させ、MgO微結晶が積層したMgO膜を得る構成が採用されている。
【0007】
このようなスプレー法による塗布を実施する塗工装置としては、従来、図1および図2に示すものが知られている。ここで、図1は従来の塗工装置を示す模式図である。図2は従来の三方弁を備えた塗工装置を示す模式図である。
【0008】
図1に示す塗工装置800は、単結晶MgO粉末を溶剤に分散させた塗工液LQをガラス基板Kに対してスプレー塗布する装置である。この塗工装置800は、塗工液LQを貯溜する塗工液タンク810と、この塗工液タンク810に配管811を介して接続されて塗工液タンク810内の塗工液LQを吸引する液送ポンプ820と、この液送ポンプ820に配管821を介して接続されて塗工液LQをガラス基板K上に対してスプレー塗布するスプレーガン830とを備えている。
このような塗工装置800では、スプレー塗布を実施する場合にのみ、液送ポンプ820を駆動させて、塗工液LQをスプレーガン830に供給する。
【0009】
図2に示す塗工装置900は、図1に示す塗工装置800と同様に、単結晶MgO粉末を溶剤に分散させた塗工液LQをガラス基板Kに対してスプレー塗布する装置である。この塗工装置900は、塗工液LQを貯溜する塗工液タンク910と、この塗工液タンク910に配管911を介して接続されて塗工液タンク910内の塗工液LQを吸引する液送ポンプ920と、この液送ポンプ920に配管921を介して接続された三方弁930と、この三方弁930に配管931を介して接続されて塗工液LQをガラス基板K上に対してスプレー塗布するスプレーガン940とを備えている。また、三方弁930は、配管932を介して塗工液タンク910内に接続されている。
【0010】
このような塗工装置900では、液送ポンプ920は常に駆動させておき、スプレー塗布を実施する場合にのみ、三方弁930をスプレーガン940側に切り換えて塗工液LQをスプレーガン940に供給する。一方、スプレー塗布を実施しない間は、塗工液タンク910、配管911、液送ポンプ920、配管921、三方弁930、配管932、塗工液タンク910と順に塗工液LQを循環させる。このようにして、スプレー塗布の実施の有無に関わらず、塗工液LQを絶えず循環させているので、装置の各部において単結晶MgO粉末が沈降することを防げる。
【0011】
ここで、塗工装置800,900の各配管内で塗工液LQの流速が遅い場合、または、塗工液LQが滞留する部分や各配管の傾斜部分、弁などで流速差が生じる部分にて単結晶MgOが沈降・固着しやすい。
【0012】
具体的には、溶剤中に分散した粒子の沈降速度は以下に示す式(1)にて与えられる。
この式(1)からも分かるように、単結晶MgOは真比重が約3でかつ溶剤の比重が通常1以下であるため、MgO粉体の沈降速度vは大きくなる、すなわち、MgO粉体が溶剤中で沈降しやすい。特に、沈降速度vは粒径の2乗に比例するため、MgO粉体の粒径dが大きくなる程沈降しやすくなる。
【0013】
〔数式〕
v∝d×(ρ−ρ)×g/μ…(1)
v:終末沈降速度
d:粒子の粒径
ρ:粒子の密度
ρ:溶剤の密度
g:重力加速度
μ:溶剤粘度
【0014】
また、MgO粉体は凝集性が高いために、塗工液タンク810,910内部や、各配管内で沈降が生じたときに、MgO粉体同士が凝集して成長する。これにより、塗工液LQの流路にMgO粉体の凝集物が付着し、固着や閉塞を引き起こす。
【0015】
このように、塗工液LQの流路におけるMgO粉体の固着や閉塞が生じた場合、塗工液LQの流れが妨げられ、スプレーガン830,940からの吐出量が減少しあるいは不安定となる。これにより、ガラス基板K上に付着するMgO量が一定とならず、塗工ムラが生じるおそれがある。
【0016】
プラズマディスプレイパネルにおいては、所定の量の単結晶MgOが保護層として充分な厚さをもって堆積していない場合、放電遅れが大きくなり、選択不良などの問題を引き起こすおそれがある。また、局所的にMgOの塗布量にバラツキが生じた場合、輝度ムラなどの特性不良を引き起こすおそれがある。
【0017】
【特許文献1】特開平7−296718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そして、上記特許文献1に記載の構成では、MgOの微結晶粉末をエチルアルコールに分散させて懸濁液を構成しているので、上記のようにMgOが沈降・凝集し易くなってしまう。これにより、懸濁液の流路において、MgO粉体の固着や閉塞が生じ易く、基板上への吐出が不安定となり散布されるMgOの量がばらついてしまうおそれがある。
【0019】
そして、図1に示す塗工装置800の場合、スプレー塗布を実施しないときには塗工液LQの流れがないために、MgO粉体が沈降しやすく、液経路内で固着・閉塞が発生しやすい。
また、図2に示す塗工装置900の場合、塗工液LQは絶えず循環しているので循環している液経路内で固着・閉塞が発生することは少ないが、三方弁930から配管931、スプレーガン940までの間は、スプレー塗布を実施しない間に塗工液LQの流れがなく、結果として、固着・閉塞が発生してしまう。さらに、凝集や固着の発生により、三方弁930のシール性が損なわれ、漏れや逆流などの不都合を生じるおそれもある。
そして、塗工装置800,900の双方とも、塗工液LQの滞留が起き易い部分では、MgO粉体の固着が生じ、それが成長して詰まりやすい状態となっている。
【0020】
上記のように、塗工液LQの塗布量にムラが生じた場合、製造されたプラズマディスプレイパネルにおいては、放電遅れ・放電確率がセルにより異なってしまう。このため、輝度の不均一、スキャン不良を引き起こしてしまうおそれがある。
【0021】
本発明は、上述したような問題点に鑑みて、塗工液を長期間安定して吐出可能な塗工装置、塗工方法、および、プラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に記載の発明は、塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、を備えた塗工装置であって、洗浄液を貯溜する洗浄液タンクと、この洗浄タンクに接続され前記洗浄液を流通させる洗浄液経路と、前記塗工液経路に接続され前記塗工液が流入する第1流入口、前記洗浄液経路が接続され前記洗浄液が流入する第1洗浄口、および、前記吐出手段に接続され流入した前記塗工液または前記洗浄液を前記吐出手段へ流出する吐出口を備え、前記第1流入口および前記吐出口が連通する状態と前記第1洗浄口および前記吐出口が連通する状態とに切り替える第1三方弁と、前記塗工液経路に接続され前記塗工液が流入する第2流入口、前記洗浄液経路が接続され前記洗浄液が流入する第2洗浄口、および、前記返送経路に接続され流入した前記塗工液を前記返送経路へ流出する流出口を備え、前記第2流入口および前記流出口が連通する状態と前記第2洗浄口および前記第2流入口が連通する状態とに切り替える第2三方弁と、を具備したことを特徴とした塗工装置である。
【0023】
請求項4に記載の発明は、塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、を備えた塗工装置であって、洗浄液を貯溜する洗浄液タンクと、この洗浄タンクに接続され前記洗浄液を流通させる洗浄液経路と、前記塗工液経路から前記塗工液が流入され前記吐出手段へ流出する状態、および、前記洗浄液経路から前記洗浄液が流入され前記吐出手段へ流出する状態に切り替える第1三方弁と、前記塗工液経路から前記塗工液が流入され前記返送経路へ流出する状態、および、前記洗浄液経路から前記洗浄液が流入され前記塗工液経路および第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する状態に切り替える第2三方弁と、を具備したことを特徴とした塗工装置である。
【0024】
請求項11に記載の発明は、塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、前記塗工液経路、前記吐出手段および前記返送経路が接続されそれぞれの接続状態を切り替える切替手段を備えた塗工装置を用いた塗工方法であって、前記塗工装置に、洗浄液を供給する洗浄液供給手段を設けるとともに、前記塗工液経路、前記吐出手段および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第1三方弁と前記塗工液経路、前記返送経路および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第2三方弁とにて前記切替手段を構成し、前記切替手段に接続し前記切替手段に洗浄液を流入させる洗浄液経路を前記塗工装置に設け、前記塗工液経路を流通する前記塗工液を前記第2三方弁を介して前記返送経路へ流通させ前記塗工液を循環させる循環工程と、前記塗工液経路を流通する前記塗工液を前記第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出させ前記塗工液を前記吐出手段から吐出させる吐出工程と、前記洗浄液経路から前記洗浄液を前記第1三方弁へ供給させこの第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第1洗浄工程と、前記洗浄液経路から前記洗浄液を前記第2三方弁へ供給させ、この第2三方弁から前記塗工液経路を介して前記第1三方弁へ流入させこの第1三方弁から前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第2洗浄工程と、を実施することを特徴とする塗工方法である。
【0025】
請求項14に記載の発明は、放電空間を介して対向配置された一対の基板と、これら一対の基板のうち一方の基板の内面上に形成された複数の電極対と、これら電極対上を被覆する誘電体層と、この誘電体層上を被覆する保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記塗工液経路、前記吐出手段および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第1三方弁と、前記塗工液経路、前記返送経路および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第2三方弁と、を備えた塗工装置を用い、酸化マグネシウム粉体を溶剤に分散させた前記塗工液を、前記第1三方弁および前記第2三方弁の切り替えにより前記吐出手段から吐出させ前記誘電体層上に塗布し、前記保護層となる塗膜を形成する塗布工程と、前記洗浄液供給手段から前記洗浄液を前記第1三方弁へ供給させこの第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第1洗浄工程と、前記洗浄液経路から前記洗浄液を前記第2三方弁へ供給させ、この第2三方弁から前記塗工液経路を介して前記第1三方弁へ流入させこの第1三方弁から前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第2洗浄工程と、を実施することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態について図面に基づいて説明する。
なお、本実施の形態では、前面基板の保護層が薄膜MgO層および結晶MgO層からなる2層構造となったプラズマディスプレイパネルを製造する構成を例示するが、当該保護層は結晶MgO層からなる1層構造であってもよい。
【0027】
〔プラズマディスプレイパネルの構成〕
以下、製造するプラズマディスプレイパネルの構成について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明の一実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの内部構造を示した分解斜視図である。図4は、プラズマディスプレイパネルを模式的に示した正面図である。図5は、図4のV−V線における断面図である。図6は、図4のVI−VI線における断面図である。
【0028】
本実施形態において、図3に示すように、1はプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)であり、このPDP1は、例えば略平面長方形状に形成され、プラズマ放電による発光を利用して画像を表示する装置である。このPDP1は、画像表示領域を構成する放電空間Hを介して、互いに対向配置された一対の基板である背面基板2および前面基板3を備えている。
【0029】
これら背面基板2および前面基板3は、それぞれの外周縁部に図示しないシールフリットが設けられて封着されている。そして、封着された当該空間内部は例えば6.7×10Pa(500Torr)程度の減圧状態とされ、当該空間にはHe−Xe(ヘリウム−キセノン)系やNe−Xe(ネオン−キセノン)系の不活性ガスが充填されている。
【0030】
背面基板2は、例えば板状ガラス材にて平面長方形状に形成されている。この背面基板2の内面上には、図3に示すように、複数の直線状のアドレス電極21と、これらアドレス電極21上を覆うアドレス電極保護層22と、このアドレス電極保護層22上に一体的に設けられた隔壁23と、この隔壁23の放電セル231内部に充填された蛍光体層(24R,24G,24B)と、などがそれぞれ設けられている。
【0031】
具体的には、アドレス電極21は、例えばAl(アルミニウム)などにて形成され、図3および図4に示すように、背面基板2の長手方向に略直交して一定の間隔で配設されている。それぞれのアドレス電極21の一端には図示しないアドレス電極引出部が形成されて、このアドレス電極引出部を介して各アドレス電極21に図示しない列電極駆動部からの電圧パルスが印加されるようになっている。
【0032】
アドレス電極保護層22は、例えばガラスペーストなどにて形成され、図3、図5および図6に示すように、背面基板2の内面上におけるアドレス電極引出部を除いた略全面に亘り設けられている。このアドレス電極保護層22は、パネル駆動時において、放電によるアドレス電極21の損耗を防止するとともに、駆動に必要な電荷を蓄積する誘電体層として機能する。なお、アドレス電極保護層22の外周縁部上には前述のシールフリットが設けられている。
【0033】
隔壁23は、図3および図5に示すように、例えばアドレス電極保護層22と同一成分のガラスペーストにて略梯子状に形成されている。そして、アドレス電極保護層22上において、アドレス電極21と略直交する複数の直線状の隙間S(図5参照)をそれぞれ間に挟んで、複数並列して設けられている。この隔壁23により放電空間Hが複数に区画され、これにて複数の矩形状の放電セル231が形成されている。そして、隔壁23は、その基端部から頂部までの高さがそれぞれ所定の高さ寸法に設定されており、背面基板2と前面基板3との間隙寸法を規定する。
【0034】
蛍光体層(24R,24G,24B)は、図3、図5および図6に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体ペーストが放電セル231内部に順に充填され、これが焼成されることにより形成される。これら蛍光体層(24R,24G,24B)は、それぞれの放電セル231で発生した紫外光により励起され、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の可視光を発光する。
【0035】
前面基板3は、PDP1の表示面を構成し、例えば背面基板2と同一材料にて略同一形状に形成されている。この前面基板の内面上には、図3に示すように、アドレス電極21と略直交して一定の間隔で配列された複数の表示電極対31と、これら表示電極対31間にそれぞれ設けられた複数のブラックストライプ32と、これら表示電極対31およびブラックストライプ32上を覆う誘電体層33と、この誘電体層33を覆う保護層34と、などがそれぞれ設けられている。
【0036】
具体的には、表示電極対31は、図4および図5に示すように、放電ギャップG(図4参照)を介して対向する複数対の透明電極311a,311bと、これら透明電極311a,311bの一端部に積層する一対の直線状のバス電極312a,312bとを備えて構成されている。
【0037】
透明電極311a,311bは、図4に示すように、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜で略T字形状に形成されており、所定の放電セル231に対応して一対ずつ設けられている。
【0038】
バス電極312a,312bは、一対の透明電極311a,311bにおける放電ギャップG(図4参照)に対して反対側の端部に、それぞれ積層して設けられている。これらバス電極312a,312bのそれぞれの一端には図示しないバス電極引出部が形成され、このバス電極引出部を介して各透明電極311a,311bに図示しない行電極駆動部からの電圧パルスが印加されるようになっている。
このようなバス電極312a,312bは、図5に示すように、透明電極311a,311b上に積層して設けられた黒色無機顔料などからなるバス電極黒層313a,313bと、これらバス電極黒層313a,313bに積層して設けられたAg(銀)などを主成分とする金属材料からなる主導電層314a,314bとを備えた2層構造となっている。
【0039】
ブラックストライプ32は、図4および図5に示すように、バス電極黒層313a,313bと同質の材料にて、直線状に形成されている。このブラックストライプ32およびバス電極黒層313a,313bにて、前面基板3の外方から照射された可視光が吸収されるようになっている。
【0040】
誘電体層33は、図5および図6に示すように、例えばガラスペーストなどにて形成され、背面基板2のアドレス電極保護層22と対向して設けられている。この誘電体層33は、パネル駆動時において、放電による表示電極対31の損耗を防止するとともに、駆動に必要な電荷を蓄積する。
【0041】
保護層34は、図3、図5および図6に示すように、誘電体層33の内周面の全面を被覆するMgO(酸化マグネシウム)からなる薄膜MgO層341と、この薄膜MgO層341を被覆する結晶MgO層342とを備えた2層構造となっている。
【0042】
薄膜MgO層341は、例えば蒸着法やスパッタリング法などにより形成される。結晶MgO層342は、後述する塗工装置500を用いたスプレー法にて形成される。
このような保護層34は、誘電体層33が放電によりスパッタリングされることを防ぐとともに、低電圧で放電を発生させるための二次電子の放出層として機能する。
【0043】
〔塗工装置の構成〕
以下、上述したプラズマディスプレイパネルにおける結晶MgO層を形成するための塗工装置の構成について、図面を参照して説明する。
図7は、塗工装置の概略構成を示す概念図である。図8は、塗工装置の多重三方弁機構部の概略構成を示す断面図である。
【0044】
{塗工装置の構成}
図7において、500は塗工装置で、この塗工装置500は、スプレー法により、上述した薄膜MgO層341に詳細は後述する所定の組成の塗工液501を塗布し、焼成によりPDP1の結晶MgO層342となる単結晶MgO粉体層を形成する装置である。そして、塗工装置500は、塗工装置としても機能する塗工部510と、洗浄液供給手段としての洗浄部520と、切替手段としての多重三方弁機構部530と、制御手段としての制御装置540と、を備えている。
【0045】
塗工部510は、塗工液501を塗布する構成である。この塗工部510は、塗工液タンク511と、塗工液経路512と、吐出手段513と、返送経路としての返送管514と、を備えている。
【0046】
塗工液タンク511は、詳細は後述する塗工液501を貯溜するタンクである。なお、この塗工液タンク511は、例えば外面側に冷却液などの流通により貯溜する塗工液501を冷却する冷却装置や貯溜する塗工液501を攪拌する攪拌装置などを備えた構成とすることが好ましい。
【0047】
塗工液経路512は、一端が塗工液タンク511に接続され、他端に多重三方弁機構部530に接続され、塗工液タンク511に貯溜する塗工液501を多重三方弁機構部530を介して吐出手段513へ流出可能に流通する流通管512Aを備えている。
この流通管512Aには、液送ポンプ512Bが設けられている。液送ポンプとしては、ギヤポンプ、チューブポンプ、プランジャーポンプなどの定量ポンプや、インベラポンプなどの定圧ポンプなど、各種ポンプが利用できる。
【0048】
吐出手段513は、多重三方弁機構部530に一端が接続された吐出管513Aと、この吐出管513Aの他端に接続されたスプレーガン513Bと、を備えている。スプレーガン513Bは、塗工液501や洗浄液502と空気とを2液化状態に霧化して吐出する、いわゆる2流体エア霧化方式のものが用いられる。なお、これに限らず、ベル方式、塗工液501の圧力のみで霧化する方式の1流体方式など、各種構成が適用できる。
そして、吐出手段513は、多重三方弁機構部530から流出される塗工液501や洗浄部520の洗浄液502を、吐出管513Aを介してスプレーガン513Bへ流通し、スプレーガン513Bから吐出させる。
【0049】
返送管514は、一端が多重三方弁機構部530に接続され、他端が塗工液タンク511に接続され、多重三方弁機構部530から流出される塗工液501を塗工液タンク511へ流通して循環させる。
【0050】
洗浄部520は、塗工部510を洗浄するための構成である。この洗浄部520は、洗浄液タンク521と、洗浄液経路としての洗浄管522と、を備えている。
【0051】
洗浄液タンク521は、洗浄液502を貯溜するタンクである。この洗浄液タンク521に貯溜される洗浄液502としては、例えば塗工液501の溶剤と同質、特に同一組成の溶剤とすることが好ましい。
洗浄管522は、一端が洗浄液タンク521に接続され、他端が多重三方弁機構部530に接続され、洗浄液タンク521に貯溜する洗浄液502を多重三方弁機構部530へ流入可能に流通させる。この洗浄管522は、他端側が二股に分岐する状態で、多重三方弁機構部530にそれぞれ接続する状態となっている。なお、洗浄管522は、分岐する構成に限らず、2系統としてもよい。
そして、この洗浄管522には、洗浄液502を多重三方弁機構部530へ流通させる図示しない液送ポンプが設けられている。この液送ポンプは、塗工液経路512の液送ポンプ512Bと同一の構成が用いられるが、異なる構成とてしもよい。そして、液送ポンプは、洗浄液502を流通させる際、液送ポンプ512Bの駆動により塗工液501を流通させる流量より多い流量となる状態で洗浄液502を流通させる状態に制御装置540により制御される。
【0052】
多重三方弁機構部530は、塗工液経路512の流通管512A、吐出手段513の吐出管513A、返送管514および洗浄管522が接続され、これら流通管512A、吐出管513A、返送管514および洗浄管522の接続状態、すなわち連通状態を適宜切り替え、塗工液501や洗浄液502の流通状態を切り替える。
この多重三方弁機構部530は、図8に示すように、第1三方弁600と、第2三方弁700とを備え、これら第1三方弁600および第2三方弁700が連結管531により一体的に連結されて構成されている。
なお、第1三方弁600および第2三方弁700として、ピストン式三方弁を例示して説明するが、例えばベローズ式三方弁など、各種構成が適用できる。
【0053】
連結管531は、中間部に流通孔531Aを開口する。
この連結管531は、一端に流通管512Aの下流側の端部が連結され、流通孔531Aに第1三方弁600が接続され、他端に第2三方弁700が接続され、第1三方弁600および第2三方弁700を連結し、それぞれ流通管531Aに連通する状態に接続させる。
【0054】
第1三方弁600は、第1ハウジング610を備えている。この第1ハウジング610は、軸方向の一端側となる上方へ拡径する状態に内周面が略円錐台形の第11室611Aと、この第11室611Aの拡開する側に第1連通孔611Bを介して連通し第11室611Aの拡径する側の径寸法より径小となる内周面が略円筒状の第12室611Cを有した第1内部空間611を有している。
この第1ハウジング610には、軸方向の他端面となる底面に開口し第11室611Aを外部へ連通させる第1流入口612が設けられている。また、第1ハウジング610には、一側面に開口し第11室611Aを外部へ連通させる吐出口613が設けられている。さらに、第1ハウジング610には、一側面に開口し第12室611Cを外部へ連通させる第1洗浄口614が設けられている。
また、第1三方弁600は、第1ハウジング610の第1内部空間611内に軸方向となる上下方向で移動可能に配設された第1ピストン620が設けられている。この第1ピストン620は、略円柱状で軸方向の一端側が第1ハウジング610の軸方向の上端面から液密に導出するシャフト621と、このシャフト621の軸方向の一端となる下端に設けられたコマ622と、このコマ622におけるシャフト621が延出する側の端面に第1内部空間611の第1連通孔611Bを閉塞するパッキン623と、有している。
【0055】
そして、第1三方弁600は、第1流入口612に連結管531の流通孔531Aが連通する状態で連結管531が接続され、吐出口613に吐出管513Aが接続され、第1洗浄口614に洗浄管522が接続されて配設される。この第1三方弁600は、シャフト621が制御装置540の制御により移動され、流通管512Aに連通する連結管531、吐出管513Aおよび洗浄管522の接続状態を切り替える。
すなわち、第1三方弁600は、第1ピストン620が下方へ移動され、コマ622の底面が第11室611Aにおける縮径する側の底面に液密に密着して第1流入口612を閉塞する状態で、第1連通孔611Bが開放して第11室611Aおよび第12室611Cが連通し、第1洗浄口614と吐出口613とが第1内部空間611を介して連通する状態となり、洗浄管522および吐出管513Aが連通する状態となる。
また、第1三方弁600は、第1ピストン620が上方へ移動されて第1流入口612を開放しパッキン623が第1連通孔611Bを閉塞することで、第11室611Aおよび第12室611Cが液密に遮断され、第1流入口612と吐出口613とが第11室611Aを介して連通する状態となり、連結管531および吐出管513Aが連通する状態となる。
【0056】
一方、第2三方弁700は、第1三方弁600と同一の構成が利用される。すなわち、第2三方弁700は、第1三方弁600の内部空間611と同一形状の第21室711Aおよび第22室711Cが第2連通孔711Bを介して連通する第2内部空間711を有する第2ハウジング710を備えている。この第2ハウジング710は、第1流入口612に対応する流出口712と、吐出口613に対応する第2流入口713と、第1洗浄口614に対応する第2洗浄口714を開口している。
また、第2三方弁700は、第1ピストン620と同様に、シャフト721、コマ722およびパッキン723を有し、制御装置540の制御により第2内部空間711内で移動される第2ピストン720を備えている。
【0057】
そして、第2三方弁700は、第2流入口713に連結管531の端部が接続され、流出口712に返送管514が接続され、第2洗浄口714に洗浄管522が接続されて配設される。この連結管531の接続により、第2三方弁700の第2流入口713が第1三方弁600の第1流入口612にそれぞれ連結管531を介して互いに連通する状態となる。そして、第2三方弁700は、シャフト721が制御装置540の制御により移動され、流通管512Aに連通する連結管531、返送管514および洗浄管522の接続状態を切り替える。
すなわち、第2三方弁700は、第1ピストン720が下方へ移動され、コマ722の底面が第21室711Aにおける縮径する側の底面に液密に密着して流出口712を閉塞する状態で、第2連通孔711Bが開放して第21室711Aおよび第22室711Cが連通し、第2洗浄口714と第2流入口713とが第2内部空間711を介して連通する状態となり、連結管531および洗浄管522が連通する状態となる。
また、第2三方弁700は、第2ピストン720が上方へ移動されて流出口712を開放しパッキン723が第2連通孔711Bを閉塞することで、第21室711Aおよび第22室711Cが液密に遮断され、流出口712と第2流入口713とが第21室711Aを介して連通する状態となり、連結管531および返送管514が連通する状態となる。
【0058】
制御装置540は、第1三方弁600、第2三方弁700、液送ポンプ512Bを動作制御する。また、制御装置540は、塗工液タンク511の図示しない冷却装置や攪拌装置を駆動制御可能としてもよい。そして、制御装置540による動作制御としては、液送ポンプ512Bへ電力を適宜供給して駆動させる動作制御、第1三方弁600および第2三方弁700の切替動作などが例示できる。
なお、本実施の形態では、液送ポンプ512Bは、塗工液501の塗布工程および洗浄液502による洗浄工程において、常時駆動する構成を例示するが、適宜駆動させて液送する構成としてもよい。また、切替動作としては、例えば制御装置540に設けられた図示しないタイマにより切替タイミングを制御する構成を例示するが、例えばクロックに基づく計時する装置などの各種計時手段で設定したプログラムにより切替タイミングを制御するなどしてもよい。
【0059】
{塗工液の組成}
そして、上述の塗工装置500で塗布する塗工液501は、以下の組成となっている。
塗工液501は、無機粉粒物であるMgO粉体を含有する無機物含有スラリである。この塗工液501は、溶剤にMgO粉体を分散して調製される。なお、分散剤を適宜添加することが好ましい。
【0060】
(MgO粉体の構成)
MgO粉体には、例えば、BET法によって測定した平均粒径が500Å以上(好ましくは2000Å以上)の気相法酸化マグネシウム単結晶粉体(以下、単結晶MgO粉体と称す)が用いられる。なお、MgO粉体としては、これに限らない。
このような単結晶MgO粉体を用いて結晶MgO層342を形成することにより、PDP1の放電特性が改善(放電遅れの減少、放電確率の向上)されることになる。すなわち、放電によって発生する電子線の照射によって、結晶MgO層342に含まれる粒径の大きな単結晶MgO粒から、300〜400nmにピークを有するCL発光に加えて、波長域200〜300nm(特に、235nm付近、230〜250nm内)にピークを有するCL発光が励起される。そして、当該単結晶MgO粒は、そのピーク波長に対応したエネルギー準位を有し、そのエネルギー準位によって電子を長時間(数msec以上)トラップすることができる。この電子が電界によって取り出されることで、放電開始に必要な初期電子が得られ、結果として、放電遅れが減少し、放電確率が向上する。
【0061】
(溶剤の構成)
MgO粉体を分散させる溶剤は、極性が強いものほど分散に対して有利に働くため、強い分散を示すものが好ましい。強い分散を示す溶液としては、グリコールやIPA(2−プロパノール)などのアルコールなどが挙げられる。スプレー法においては、早く揮発することが条件となるために、沸点が低く分散させやすいアルコールが特に好ましい。
また、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル化合物、ジメチルスルホキシドなどの硫黄化合物、ジメチルホルムアミドなどの窒素化合物においても分散が可能である。無極性の溶剤(炭化水素系)ではMgO粉体を分散させることはできない。
MgO粉体の溶剤に対する分散は、MgOの酸素またはマグネシウムと親水基(水酸基、カルボキシル基、スルホン基、アミン基など)とによる水素結合もしくは静電引力(極性によるもの)により行なわれる。
【0062】
(分散剤の構成)
分散剤は、親水基および疎水基を有したものである。すなわち、疎水基ならびに親水基を有する分散剤を用いることにより、MgO粉体の分散性の向上が可能である。これは、親水基とMgOとが引き付け合うことと、分子量の大きい疎水基が存在することによる見掛け比重の低下により、分散性の向上が図れる。
そして、分散剤の塗工液501中における濃度は、0.1wt%以上3wt%以下であることが好ましい。このような分散剤濃度とすれば、MgO粉体の沈降が発生することを防止でき、好適にMgO粉体を分散させることができる。
親水基としては、水酸基(−OH)が特に強い分散性を示す。アルデヒド基、アミン基、スルホン基などでも分散は可能であるが、分散剤機能としては弱いので、分散性の観点から水酸基が好ましい。なお、カルボキシル基(カルボン酸)を持つもの(酢酸など)ではMgOを溶解させてしまうので好ましくない。
【0063】
特に分散剤は、水酸基を溶剤と同数以上の価数分含有することが好ましい。また、分散剤は、水酸基が1価の場合は分子量が100以上であり、水酸基が2価の場合は分子量が62以上であり、水酸基が3価の場合は分子量が64以上であることが好ましい。水酸基を持つ分散剤として効果が高いものは、グリセリン、エチレングリコール、アセチレングリコール、アセチレンアルコールなどが挙げられる。水酸基の場合では水酸基の価数が多い程、分散性が良好となる。そのため、水酸基が3価のグリセリンがこの中では最も分散性能が高い。
このようなグリセリン、エチレングリコール、アセチレングリコールを分散剤として使用した場合では、配管などの液流路の表面を分散剤がコーティングする作用があり、それによりMgO粉体の液経路内での付着を減少させ、液経路での圧損が低減することで、安定した吐出が可能となる。
疎水基としてはアルカン、アルケン、脂肪酸などが挙げられ、水酸基と疎水基を組み合わせた分散剤を用いることにより、MgO粉体の分散性が向上する。
【0064】
以上を踏まえ、分散剤としては、例えば、アセチレンアルコール、1−ヘプタノール(ヘプチルアルコール)、1−オクタノール(オクチルアルコール)、1−ノナノール(ノニルアルコール)、1−デカノール(デシルアルコール)、1−ウンデカノール(ウンデシルアルコール)、1−ドデカノール(ドデシルアルコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、アセチレングリコール、グリセリンのいずれかを適宜採用できる。
【0065】
また、親水基および疎水基を有する分散剤として、アニオン界面活性剤およびアニオンポリマの少なくともいずれか一方を用いてもよい。
すなわち、アニオン界面活性剤およびアニオンポリマは、負電荷を発生するため、MgO(Mg2+)の静電引力によりMgOに吸着する。そして、コロイドを形成し、見かけ比重を下げるとともに、アニオン界面活性剤またはアニオンポリマ同士でのクーロン斥力により粒子間の距離が離れる。これによりMgO粉体の凝集・沈降が発生し難く、MgO粉体の分散性が向上する。
また、アニオン界面活性剤およびアニオンポリマを混合して用いることで、見掛け比重をさらに大きく下げることができるために、分散性がより一層向上する。
なお、強い負電荷を発生するアニオンポリマを使用すると、MgOとポリマの結合が強くなり、ポリマが凝集剤の役割を果たしてしまうことで、MgOが凝集し沈降を促進してしまい、分散が行われないおそれがあるので好ましくない。
そして、アニオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系、硫酸エステル系、スルホン酸系、アクリル酸系などのアニオン界面活性剤が挙げられる。
【0066】
カルボン酸系のアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテルカルボン酸ナトリウム(R-O(CH2CH2O)nCH2COONa)が挙げられる。構造式中のRはアルキル基である。特に、R部分の炭素数が12のラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、R部分の炭素数が14のミリスチル酸エーテルカルボン酸ナトリウム、R部分の炭素数が16のバルミチルエーテルカルボン酸ナトリウム、R部分の炭素数が18のステアリルエーテルカルボン酸ナトリウムが好ましい。
この他にもカルボン酸系のアニオン界面活性剤としては、アクリル酸塩、脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマ酸塩、ポリマ酸塩などが挙げられ、中でもカルボン酸塩(アクリル酸塩を含む)は好ましい。
【0067】
硫酸エステル系のアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(R-O(CH2CH2O)nSO3Na)が挙げられる。構造式中のRはアルキル基である。特に、R部分の炭素数が12のラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム、R部分の炭素数が14のミリスチルエーテル硫酸エステルナトリウム、R部分の炭素数が16のバルミチルエーテル硫酸エステルナトリウム、R部分の炭素数が18のステアリルエーテル硫酸エステルナトリウムが好ましい。
この他にも硫酸エステル系のアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩などが挙げられる。
【0068】
スルホン酸系のアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム(R-SO3Na)が挙げられる。構造式中のRはアルキル基である。特に、R部分の炭素数が12のラウリルスルホン酸ナトリウム、R部分の炭素数が14のミリスチルスルホン酸ナトリウム、R部分の炭素数が16のバルミチルスルホン酸ナトリウム、R部分の炭素数が18のステアリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
この他にもスルホン酸系のアニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩などが挙げられる。
【0069】
アニオンポリマとしては、カルボン酸系のポリアクリルアミド・アクリル酸塩が挙げられ、特にアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム(-(CH2CHCONH2)m-(CH2-CH-COONa)n-)が好適である。構造式中のmはアクリルアミドであり、nはアクリル酸ナトリウムである。
【0070】
{洗浄液の組成}
そして、上述の塗工装置500で洗浄に用いる洗浄液502は、塗工液501と同質の溶剤を主要成分としている。すなわち、塗工液501に用いる溶剤を単体もしくは組み合わせて用いる。特に、同一の溶剤とすることが、廃液の処理や仮に誤って塗工液501に洗浄液502が混入しても塗布工程に影響を生じないことから好ましい。
なお、分散剤は、コストの低減のために添加しなくてもよい。また、塗工液501の溶剤と同一ではなくても、上述した塗工液501に利用する溶剤であればよい。
【0071】
〔塗工装置の動作〕
次に、上述した塗工装置500の動作として、上述した構成のPDP1の製造方法における処理動作について図面に基づいて説明する。
なお、塗工装置500による塗工液501の塗布による単結晶MgO粉体層を形成する塗布工程として、所定時間の塗布を実施した後に所定時間待機するサイクルとし、この塗布工程を所定回数実施した後に洗浄工程を実施する構成を例示するが、この限りではない。例えば、塗布工程の後に洗浄工程を実施するサイクルとしたり、所定の時間長で塗布を実施した後に洗浄工程を実施したり、塗布工程における待機時間で洗浄工程を実施したりするなどしてもよい。
【0072】
{PDPの製造方法}
図9は、スプレー法による単結晶MgO粉体層の形成工程を示した模式図である。
PDP1の製造に際して、PDP1の背面基板2の製造ラインにおいて、ガラス基板の内面側を超音波洗浄処理や中性洗剤を用いた水洗処理などにより十分に洗浄しておく。この後、当該ガラス基板の内面側の全面に金属薄膜を形成して、フォトリソグラフィ法によりアドレス電極21のパターンを形成する。このアドレス電極21上にガラスペーストを塗布して、当該ガラスペーストを成形・焼成することによりアドレス電極保護層22および隔壁23を形成する。そして、放電セル231内部にスクリーン印刷法などにより赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体ペーストを塗布し、これを焼成して蛍光体層(24R,24G,24B)を形成する。これにより、PDP1の背面基板2が完成する。
【0073】
一方、PDP1の前面基板3の製造ラインにおいて、ガラス基板の内面側を超音波洗浄処理や中性洗剤を用いた水洗処理などにより十分に洗浄しておく。この後、当該ガラス基板の内面側の全面に透明電極材料層を形成して、フォトリソグラフィ法などにより複数の透明電極311a,311bを形成する。この透明電極対上にスクリーン印刷法などにより黒色無機顔料のペーストパターンを積層形成し、更にこのパターン上にAgペーストのパターンを積層形成する。そして、これらのパターンを焼成して、バス電極黒層313a,313bおよび主導電層314a,314bからなる2層構造のバス電極312a,312bを形成する。この後、これらバス電極312a,312b間にスクリーン印刷法などにより黒色無機顔料のペーストパターンを塗布して、これを焼成して複数のブラックストライプ32を形成する。さらに、透明電極311a,311b、バス電極312a,312bおよびブラックストライプ32を被覆する状態にダイコータなどによりガラスペーストを塗布して誘電体層33を形成する。そして、この誘電体層33の上に蒸着法やスパッタリング法などにより薄膜MgO層341を成膜形成する。さらに、図9に示すように、この薄膜MgO層341上に、図7に示す塗工装置500を用いたスプレー法にて単結晶MgO粉体層を形成し(以下に詳述)、これを焼成して結晶MgO層342を形成する。これにより、PDP1の前面基板3が完成する。
【0074】
{塗工装置による塗布工程}
上記PDP1の製造における図7に示す塗工装置500を用いたスプレー法にて単結晶MgO粉体層を形成する塗布工程について、図10を参照して以下に説明する。
図10は、塗工装置における塗布工程を実施するための塗工液501の流通状態、すなわち多重三方弁機構部530における制御内容を示すタイミングチャートである。なお、図10は、第1ピストン620および第2ピストン720の上方へ移動した状態を「上」、下方へ移動した状態を「下」として示す。
【0075】
あらかじめ調製した塗工液501および洗浄液502をそれぞれ塗工液タンク511および洗浄液タンク521に貯溜しておく。また、制御装置540に塗工液501を塗布する条件および洗浄する条件を設定しておく。
そして、これら各種運転条件が設定された制御装置540に塗布工程を実施する設定入力を作業者が実施すると、制御装置540は、多重三方弁機構部530の第1三方弁600および第2三方弁700の切替状態を適宜設定する。
具体的には、まず、流通管512Aが返送管514に接続する状態に多重三方弁機構部530を切替制御し、塗工液501が流通管512A、多重三方弁機構部530および返送管514を介して循環する塗布待機状態の休止期間である循環状態とする。すなわち、制御装置540は、第1三方弁600の第1ピストン620を下方に移動させて第1流入口612を閉塞させるとともに、第2三方弁700の第2ピストン720を上方に移動させて流出口712が開放し第2流入口713および流出口712が第21室711Aを介して連通する状態に、第1三方弁600および第2三方弁700を切替制御する。
この状態で、制御装置540が所定の駆動条件で液送ポンプ512Bを駆動させることで、塗工液501が流通管512Aから連結管531を流通し、第2三方弁700の第2流入口713から第21室711Aを通って流出口712から返送管514へ流通し、塗工液タンク511に返送されて循環する循環状態となる。この循環および塗工液タンク511の攪拌装置により、塗工液501は固液分離することなく略均一な組成が維持される。
【0076】
そして、塗工液501の塗布に際して、例えば薄膜MgO層341が成膜形成された前面基板3が所定位置に搬入されたことをセンサからの検出信号に基づいて認識するなどにより、制御装置540は流通管512Aがスプレーガン513Bに連通して塗工液501を吐出する状態、すなわち流通管512Aが吐出管513Aに接続する吐出状態としての塗布状態に、多重三方弁機構部530の第1三方弁600および第2三方弁700の切替状態を適宜設定する。
具体的には、制御装置540は、第1三方弁600の第1ピストン620を上方へ移動させて第1流入口612が開放し第1流入口612および吐出口613が第11室611Aを介して連通させるとともに、第2三方弁700の第2ピストン720を下方に移動させて流出口712が閉塞する状態に、第1三方弁600および第2三方弁700を切替制御する。
この切替制御により、流通管512Aが吐出管513Aに接続する状態となり、循環していた塗工液501は、流通管512Aから連結管531を流通し、第1三方弁600の第1流入口612から第11室611Aを通って吐出口613から吐出管513Aへ流通し、スプレーガン513Bから空気と2液体化された霧化状態で薄膜MgO層341上に塗布される。この塗布の際、前面基板3は加温され、溶剤が直ちに乾燥され、MgO粉体が薄膜MgO層341上に付着する状態とすることが好ましい。
この塗布が完了、例えば薄膜MgO層341の前面に所定量の塗工液501が塗布されたことを時間経過などにより制御装置540が認識すると、制御装置540は再び多重三方弁機構部530を切替制御して、上述した循環状態とする。
【0077】
{塗工装置による洗浄工程}
一方、所定回数、あるいは所定時間で塗布工程が実施されたことを制御装置540がカウンタやタイマなどにより認識すると、制御装置540は洗浄工程を実施する。この洗浄工程について、図11を参照して以下に説明する。
図11は、塗工装置における洗浄工程を実施するための洗浄液502の流通状態、すなわち多重三方弁機構部530における制御内容を示すタイミングチャートである。なお、図11についても、第1ピストン620および第2ピストン720の上方へ移動した状態を「上」、下方へ移動した状態を「下」として示す。
【0078】
この洗浄工程では、第1三方弁600を洗浄する第1洗浄工程と、第2三方弁700を洗浄する第2洗浄工程が実施される。なお、第1洗浄工程後に第2洗浄工程を実施するタイミングで例示するが第2洗浄工程を先に実施してもよい。
すなわち、制御装置540は、第1三方弁600の第1ピストン620を下方へ移動させて第1流入口612を閉塞させて第1連通孔611Bを開放させ、第1連通孔611Bを介して第11室611Aおよび第12室611Cを連通させ、第1洗浄口614と吐出口613とが第1内部空間611を介して連通する状態とし、洗浄管522および吐出管513Aが連通する状態に、第1三方弁600を切替制御する。さらに、制御装置540は、第2三方弁700の第2ピストン720を上方へ移動させ、第2連通孔711Bを閉塞して第21室711Aおよび第22室711Cを遮断し、流出口712と第2流入口713とが第21室711Aを介して連通する状態とし、連結管531および返送管514が連通する状態に、第2三方弁700を切替制御する。
【0079】
この切替制御により、制御装置540が洗浄部520の図示しない液送ポンプを駆動させることで、洗浄液タンク521に貯溜する洗浄液502が洗浄管522を流通し、第1三方弁600の第1洗浄口614から第12室611C、第1連通孔611Bおよび第11室611Aを通って吐出口613から吐出管513Aへ流通し、スプレーガン513Bから吐出され、第1三方弁600からスプレーガン513Bまで洗浄される第1洗浄工程が実施される。この第1洗浄工程により、第1三方弁600内、すなわち第1内部空間611内および第1ピストン620が洗浄液502により洗われ、塗工液501が第1三方弁600内に残留することを防止している。
なお、第1ピストン720が第2連通孔711Bを閉塞しているため、第2洗浄口714から第2三方弁700へ流入する洗浄液は、第22室711C内で滞留する。さらに、第2洗浄口714の上流にあるバルブ(図8の右側バルブ)を閉じてもよい。
また、この状態で、液送ポンプ512Bが駆動していることから、塗工液501が連結管531から第2三方弁700を介して返送管514へ流通して循環する循環状態となっている。
なお、洗浄液502の吐出の際、洗浄液502と空気とが2液体化された霧化状で吐出する場合に限らず、単に洗浄液502を吐出させるのみとしてもよい。また、この洗浄液502の吐出の際、例えば廃液タンクで吐出した洗浄液502を回収できる構成としておくことが好ましい。
【0080】
この後、制御装置540は、塗工液経路512の液送ポンプ512Bの駆動を停止させる。なお、洗浄部520の液送ポンプは第1洗浄工程に継続して駆動させておく。
また、制御装置540は、第1三方弁600の第1ピストン620を上方へ移動させ、第1連通孔611Bを閉塞して第11室611Aおよび第12室611Cを遮断し、第1流入口612と吐出口613とが第11室611Aを介して連通する状態とし、連結管531および吐出管513Aが連通する状態に、第1三方弁600を切替制御する。さらに、制御装置540は、第2三方弁700の第2ピストン720を下方へ移動させ、第1流入口612を閉塞して第2連通孔711Bを開放させ、第2連通孔711Bを介して第21室711Aおよび第22室711Cを連通させ、第2洗浄口714と第2流入口713とが第2内部空間711を介して連通する状態とし、洗浄管522および連結管531が連通する状態に、第1三方弁600を切替制御する。
【0081】
この切替制御により、液送ポンプ512Bが停止している。そして、洗浄部520の図示しない液送ポンプを駆動させることで、洗浄液タンク521に貯溜する洗浄液502が洗浄管522を流通し、第2三方弁700の第2洗浄口714から第22室711C、第2連通孔711Bおよび第21室711Aを通って第2流入口713から連結管531へ流通する。さらに、連結管531の流通孔531Aから第1三方弁600の第1流入口612へ流入し、第11室611Aを通って吐出口613から吐出管513Aを流通し、スプレーガン513Bから吐出され、第2三方弁600からスプレーガン513Bまで洗浄される第2洗浄工程が実施される。
この第2洗浄工程においても、スプレーガン513Bからの吐出状態は、霧化状に限らず、洗浄液502のみとしてもよい。また、吐出される洗浄液502を回収する構成とすることが好ましい。
なお、第1ピストン620が第1連通孔611Bを閉塞しているため、第1洗浄口614から第1三方弁600へ流入する洗浄液は第12室611C内で滞流する。さらに、第1洗浄口614の上流にあるバルブ(図8の左側バルブ)を閉じても良い。
【0082】
〔塗工装置の作用〕
{実験}
次に、上記本実施の形態における塗工装置500における洗浄効果を確認するための実験について、図面を参照して説明する。
図12は、本実施の形態における塗工装置を説明するために実施した確認実験で比較する比較例の塗工装置の概略構成を示す概念図である。図13は、図12に示す比較例の塗工装置における三方弁および二方弁を一体的に連結した構成を示す断面図である。
【0083】
(実験装置の構成)
確認実験における本実施の形態の塗工装置500としては、上記図7に示す構成における塗工液タンク511に、直径寸法が50mmの2枚の攪拌翼を有し300rpmの回転速度で攪拌翼を回転させる攪拌装置を設けた。
液送ポンプ512Bとしては、ギヤポンプを用い、インバータ周波数を変化させてギヤポンプに接続されているモータ回転数を変化する構成とした。
そして、塗工液タンク511から多重三方弁機構部530までの流通管512Aを10m、多重三方弁機構部530から塗工液タンク511までの返送管514を10m、多重三方弁機構部530からスプレーガン513Bまでの吐出管513Aを20mとして、内径が2mmでMgO粉体の付着性が比較的に低いPFAチューブを用いて配管した。
【0084】
一方、比較する装置構成としては、図12に示すように、図2に示す塗工装置900にスプレーガン940を洗浄する構成を設けたものとした。
すなわち、比較例の塗工装置950は、図2に示す塗工装置900の三方弁930とスプレーガン940との間の配管931に二方弁951を設け、この二方弁951に洗浄液502を貯溜する洗浄液タンク952に一端が接続する配管953を接続している。すなわち、この二方弁951は、図13に示すように、三方弁930に一体的に連結して構成している。そして、塗工装置950は、二方弁951の切替により、塗工液501を吐出する塗布状態と、洗浄液502が洗浄液タンク952から配管953を介して配管931に流入してスプレーガン940から吐出される洗浄状態とを切替可能となっている。そして、配管は、上述したPFAチューブを用いて同様の長さとした。
【0085】
(実験方法)
実験方法としては、塗工液501の吐出の変化状況と、ガラス基板に塗布した塗布状態と、圧縮空気の導入による吐出状態と、について実験した。
そして、各実験において、塗工液501として、粉体平均粒径が1〜3μmの酸化マグネシウム粉末を用い、イソプロパノール(2−プロパノール:IPA)に5wt%の濃度で超音波分散機にて分散させて調製したものを用いた。
また、洗浄液としては、塗工液501の溶剤として用いるIPAを用いた。
また、塗工液501の塗布条件としては、15ml/分の流量で循環および塗布する状態で液送ポンプ512Bを駆動させた。
さらに、スプレーガン513B,940は、塗工液501の塗布時に、エア霧化圧を0.2MPaとした。
【0086】
(1)吐出変化状況の実験
塗布工程として、塗工液501を吐出する塗布状態を1分間、塗工液501を循環させる循環状態で1分間を1サイクルとし、それぞれ200回繰り返した。また、洗浄工程としては、塗布工程を20サイクル毎に実施した。なお、図12および図13に示す比較例の塗工装置950では、洗浄液502を二方弁951からスプレーガン940へ流通させて吐出させる条件として、50ml/分で20秒間、本実施の形態の塗工装置500では、第1洗浄工程および第2洗浄工程でそれぞれ50ml/分で10秒間ずつ実施した。なお、各塗工装置500,950で洗浄工程を実施した後、塗工液501を50ml/分で5秒間スプレーガン513B,940へ流通させて塗工液501をスプレーガン513B,940までの流路で充填させる塗工液パージ処理を実施した。
そして、塗工装置500,950による塗工液501の吐出時の吐出量を測定し、吐出量のばらつき、すなわち標準偏差を演算した。その結果を図14に示す。また、塗工装置500において、洗浄回数毎の吐出量の標準偏差の結果を図15に示す。
また、この吐出変化状況の実験後に、塗工装置500,950を分解し、内部状況を観察した。この分解観察部位としては、塗工装置500における第1三方弁600および第2三方弁700と、塗工装置950における三方弁930および二方弁951と、とした。
【0087】
(2)塗布状態の実験
この塗布状態の実験としては、塗布工程を200回実施した後に、1辺が1000mmの略正方形のソーダガラス上に塗工液501を塗布し、透過率について比較評価した。透過率の測定は、ソーダガラスの面内領域の20カ所とした。なお、空気の透過率を100%としたとき、塗布後のガラス基板の透過率が70%となる状態に設定して塗工液501を塗布した。
この透過率の測定結果を図16に示す。
【0088】
(3)圧縮空気の導入による吐出状態の実験
この圧縮空気の導入による吐出状態の実験としては、上述した本実施の形態の塗工装置500における洗浄工程で、上述した実施の形態のように塗布工程に移行する場合と、洗浄液502を流通させた第1洗浄工程および第2洗浄工程後に圧縮空気を導入する場合とについて、スプレーガン513Bから吐出される塗工液501の濃度を比較した。
なお、圧縮空気を導入する構成としては、図17に示すように、上述した実施の形態における図7および図8に示す塗工装置500における洗浄管522に、圧縮空気を導入する圧縮空気供給手段を構成する圧縮空気導入管525を接続している。この図17に示す塗工装置500では、図18に示すように、第1洗浄工程および第2洗浄工程が切り替えられる。なお、図18についても、第1ピストン620および第2ピストン720の上方へ移動した状態を「上」、下方へ移動した状態を「下」として示す。
すなわち、上述した実施の形態における図11に示す多重三方弁機構部530の切替制御において、図18に示すように、第1洗浄工程後に第2洗浄工程へ切り替える前と、第2洗浄工程後に塗布工程へ切り替える前とで、洗浄管522へ圧縮空気を導入して残留する洗浄液502をスプレーガン513Bから吐出させる。
【0089】
そして、塗工液501の吐出は10ml/分とし、図17に示す実験装置における圧縮空気の圧力を0.1MPaとした。
なお、洗浄工程を実施した後、塗工液501をスプレーガン513B,940までの流路で充填させる塗工液パージ処理は実施しなかった。
そして、塗布工程に移行して塗工液501の吐出を開始する時点から所定時間経過後(5秒毎)の塗工液501におけるMgO粉末の濃度を測定し、経時変化を比較評価した。その結果を図19に示す。
【0090】
(実験結果)
(1)吐出変化状況の実験
図14に示す結果から、図12および図13に示す比較例の塗工装置950に比して、本実施の形態の塗工装置500では、吐出量のばらつきが半分以下と小さいことがわかる。そして、塗工装置950では、吐出変化状況の実験後に分解した三方弁930のピストンと内壁面とのクリアランスがある部分に、MgO粉体の固着が発生していることが認められた。一方、本実施の形態の塗工装置500では、第1三方弁600および第2三方弁700ともMgO粉体の付着は認められなかった。
このため、特に塗工液501の流通状態を切り替える構成で凹凸がありMgO粉体の固着が生じやすい弁の部分でも、洗浄液502を流通させて洗浄する本実施の形態によれば、安定した吐出量が得られることがわかる。
さらに、図15に示す結果から、上述した塗工装置500では、塗布工程を長期間(500回)実施しても、吐出量の標準偏差の変化がほとんど生じておらず、塗工液501を長期間安定して吐出できることが分かる。なお、塗布工程の回数が増大するにしたがって、吐出量の標準偏差が若干増大傾向となっている。なお、500回の吐出後の分解観察では、第1三方弁600および第2三方弁700にMgO粉体の付着は認められなかった。このため、塗工液501が流通する経路で凝集や固着が生じていることにより、吐出量の標準偏差が若干増大傾向となったものと考えられる。
【0091】
(2)塗布状態の実験
図16に示す結果から、比較例の塗工装置950では、ガラス基板の面内での透過率のばらつきが4%程度であるのに対し、本実施の形態の塗工装置500では1%程度のばらつきであった。このように、本実施の形態では、安定した塗布状態が得られることが認められた。
(3)圧縮空気の導入による吐出状態の実験
図19に示す結果から、図8に示すような洗浄液のみを流通させる塗工装置500では、塗布工程を実施する吐出当初ではMgO粉体の濃度がほぼ「0」で、次第にMgO粉体の濃度が上昇することが認められた。これは、洗浄工程後に、多重三方弁機構部530内から吐出管513A内およびスプレーガン513B内に洗浄液502が残留しており、塗布工程で塗工液501をスプレーガン513Bへ流通させて吐出する際、吐出当初では残留する洗浄液502が吐出され、次第に残留する洗浄液502に流通させた塗工液501が混合拡散し、次第にMgO粉体濃度が増大したものと考えられる。
一方、圧縮空気を導入した図17に示す実験装置では、塗布工程を実施するために塗工液501の吐出開始当初から約5秒程度では、塗工液501が吐出されなかった。なお、吐出された塗工液501は、吐出当初からMgO粉体の濃度は調製時の5wt%で変わりはなかった。これは、洗浄液502を流通させて洗浄した後に、洗浄液502が圧縮空気にて多重三方弁機構部530からスプレーガン513Bまでの流路から排出され、この流路内は空洞状態となっているため、塗工液501が吐出するまでに時間を要したものと考えられる。
そして、圧縮空気を導入せずに洗浄液502が残留する場合と、圧縮空気を導入した場合とでは、所定の濃度の塗工液501が吐出されるまでの時間が、圧縮空気を導入した場合の方が短かった。このため、圧縮空気を導入した後に塗工液パージ処理を実施して洗浄工程が終了する構成とすることで、塗工液パージ処理として上述したように5秒間を要したとしても、塗工液パージ処理により塗布工程の開始当初から所望の濃度の塗工液501が吐出されることから、圧縮空気を導入する処理を実施することにより、所定の濃度の塗工液501が吐出されるまでの時間が短縮することが分かる。さらに、圧縮空気を導入しない場合では、濃度が安定する時間まで吐出させてから塗布させるので、濃度が安定して塗布できるまで廃液として排出させる必要があることから、圧縮空気を導入することで、廃液の処理量が低減できる。したがって、処理における時間的・コスト的な効率の向上が得られることがわかる。
【0092】
{作用効果}
上述したように、上記実施の形態では、塗工液タンク511に接続し塗工液501を流通する塗工液経路512に、この塗工液経路512に接続し塗工液を吐出する吐出手段513と、塗工液経路512に接続し流通する塗工液501を塗工液タンク511へ返送する返送管514を備えた塗工部510に、第1三方弁600および第2三方弁700を備え、塗工液経路512、吐出手段513、返送管514、および、洗浄液502を貯溜する洗浄液タンク521に接続し洗浄液を流通する洗浄管522が接続され、それぞれの接続状態を切り替える多重三方弁機構部530を設けている。
すなわち、塗工液経路512に接続し塗工液501が流入する第1流入口612、洗浄管522が接続し洗浄液502が流入する第1洗浄口614、および、吐出手段513に接続し流入した塗工液501または洗浄液502を吐出手段513へ流出する吐出口613を有し、第1流入口612および吐出口613が連通する状態と、第1洗浄口614および吐出口613が連通する状態とに切り替える第1三方弁600を塗工部510に設ける。さらに、塗工液経路512に接続し塗工液501が流入する第2流入口713、洗浄管522が接続し洗浄液502が流入する第2洗浄口714、および、返送管514に接続し流入した塗工液501を返送管514へ流出する流出口712を有し、第2流入口713および流出口712が連通する状態と、第2洗浄口714および第2流入口713が連通する状態とに切り替える第2三方弁700を塗工部510に設けている。
この連通状態の切り替えとして、第1三方弁600で、塗工液経路512から塗工液501が流入され吐出手段513へ流出する状態と、洗浄管522から洗浄液502が流入され吐出手段513へ流出する状態とに切り替えさせる。さらに、第2三方弁700で塗工液経路512から塗工液501が流入され返送管514へ流出する状態、および、洗浄管522から洗浄液502が流入され塗工液経路512の延長上に位置する連結管531および第1三方弁600を介して吐出手段513へ流出する状態とに切り替えさせる。このことにより、塗工液501の塗布および循環における塗工液501の流通状態を切り替える構成と洗浄する構成とを構築する際、第1三方弁600および第2三方弁700の双方がそれぞれ洗浄液502にて洗浄させる構成が得られる。したがって、例えばMgO粉体などの無機物を分散するスラリを塗工液501とする場合でも、無機物の凝集や固着などが多重三方弁機構部530で生じることを防止でき、長期間安定して塗工液501を吐出できる。そして、この長期間安定して塗工液501を吐出できる切り替え機構として、同様な構成の第1三方弁600および第2三方弁700を適宜連結して構成している。したがって、比較的に入手が容易で安価に得られる三方弁を用いるので、装置コストを低減できる。よって、PDP1の製造に際して、結晶MgO層342を設けるために塗工装置500を用いることで、略均一にMgO粉体を塗布できることから、安定した特性のPDP1が得られる。
【0093】
そして、多重三方弁機構部530として、第1三方弁600および第2三方弁700を、第1流入口612および第2流入口713がそれぞれ接続する塗工液経路512に接続する連結管531を介して互いに連通する状態に一体的に連結している。
このため、1つの弁と同様にして取り扱いでき、塗工装置500の製造性の向上が得られる。
【0094】
また、多重三方弁機構部530における塗工液経路512と吐出手段513と返送管514と洗浄管522との切り替えとして、制御装置540による第1三方弁600および第2三方弁700の切り替え制御により、塗工液501および洗浄液502の流通状態を適宜切り替えている。
すなわち、第1三方弁600の第1流入口612を閉塞させるとともに、第2三方弁700の第2流入口713および流出口712が連通する状態に切り替え、塗工液経路512を流通する塗工液501が第2三方弁700を介して返送管514へ流出して循環される循環状態とする。また、第2三方弁700の第2流入口713を閉塞させるとともに、第1三方弁600の第1流入口612および吐出口613が連通する状態に切り替え、塗工液経路512を流通する塗工液501が第1三方弁600を介して吐出手段513へ流出して吐出される塗布状態とする。さらに、第1三方弁600の第1流入口612を閉塞させて第1洗浄口614および吐出口613が連通する状態に切り替え、洗浄管522を流通する洗浄液502が第1洗浄口614から第1三方弁600内を介して吐出手段513へ流出させる第1洗浄状態とする。また、第1三方弁600の第1流入口612を塗工液経路512に連通する連結管531に連通する状態に開放させ第1流入口612および吐出口613が連通する状態に切り替えるとともに、第2三方弁700の第2流入口713を連結管531に連通する状態に開放させ第2洗浄口714および第2流入口713が連通する状態に切り替え、洗浄管522を流通する洗浄液502が第2洗浄口714から第2三方弁700内を通って連結管531を介して第1流入口612から第1三方弁600内を通って吐出手段513へ流出させる第2洗浄状態とする。これら循環状態、塗布状態、第1洗浄状態および第2洗浄状態に適宜切り替える制御をしている。
このため、塗工液501の塗布・循環を実施する塗布工程と、第1三方弁600を洗浄する第1洗浄状態および第2三方弁700を洗浄する第2洗浄状態を実施する洗浄工程が、第1三方弁600および第2三方弁700の切り替えタイミングなどの条件をあらかじめ設定しておくことで、制御装置540により適宜流通状態が自動的に切り替えられ、三方弁を組み合わせた簡単な構成で、長期間安定した塗工液501の塗布が容易に得られる。
【0095】
そして、塗工液経路512を流通する塗工液501を吐出手段513から吐出させる塗布状態を所定回数実施した後に第1洗浄状態および第2洗浄状態に切り替えて洗浄工程を実施する制御をすることで、例えばカウンタなどの簡単な構成で塗工液501および洗浄液502の流通状態の切替制御ができ、制御のための設定および制御がより容易にできる。
また、塗布状態を所定時間すなわち塗工液501の吐出累積時間が所定時間経過した後に洗浄工程を実施しても、例えばタイマなどの簡単な構成で塗工液501および洗浄液502の流通状態の切替制御が容易にでき、制御のための設定および制御がより容易にできる。
【0096】
そして、塗工装置500として、無機粉粒物であるMgO粉体を溶剤中に分散した無機物含有スラリの塗工液501を塗布する構成としている。
このため、沈降分離しやすく流路内の閉塞が生じやすい無機物含有スラリの塗工液501でも、塗工液501および洗浄液502の流通状態を切り替える第1三方弁600および第2三方弁700で固着や閉塞が生じることを防止でき、安定した吐出が確実で容易にできる。特に、無機粉粒物として凝集して固着しやすいMgO粉体を分散する塗工液501で有効な構成で、このようなより閉塞や流路内固着が生じやすいスラリでも安定した吐出が確実で容易にできる。
【0097】
また、洗浄液502として、塗工液501と同質の溶剤を主要成分としている。特に、同一の溶剤を洗浄液502として用いている。
このため、容易に塗工液501を洗い流すことができ、洗浄液502の必要量の低減や洗浄時間の短縮などが容易に得られる。さらに、塗工液501とともに洗浄液502が混合して廃液として回収されても、廃液の処理が容易にできる。また、誤って塗工液501に混入しても、塗布工程に影響を生じず、洗浄工程の処理制御がより容易にできる。
【0098】
そして、上述した実験でも明らかなように、洗浄工程において、洗浄液502を流通させた後に洗浄液502を流通させる経路に圧縮空気を導入することにより、洗浄液502が流路中に残留せず、塗布工程に移行して塗工液501を吐出させても、吐出当初から所定の濃度の塗工液501を吐出できる。特に、洗浄工程の終了時に塗工液パージ処理を実施することで、塗布工程の開始当初から所定の濃度の塗工液501を吐出でき、処理効率を向上できる。
【0099】
また、洗浄工程時において、スプレーガン513Bからの吐出を回収する構成としている。このため、系外にそのまま排出されることによる環境汚染を確実に防止できるとともに、適宜回収した廃液を処理、例えば固液分離してMgO粉体を回収して加熱処理などを施して再利用したり、MgO粉体を分離した液体を洗浄液502として再利用したりするなど、リサイクルも容易にできる。なお、固液分離の方法としては、フィルトレーションや遠心分離など、各種構成を利用できる。
【0100】
さらに、洗浄工程では、塗工液501を塗布する状態より洗浄液502の流量が多くなるようにしている。
このため、制御の容易性や構成の簡略化の観点でタイマ制御する構成でも、確実に洗浄できるとともに、三方弁の凹凸により残留しやすいMgO粉体も十分に洗い流すことができ、閉塞や固着を長期間防止でき、安定した塗布が長期間得られるとともに、洗浄工程の頻度も低減でき、塗布効率の向上も容易に図れる。
【0101】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0102】
すなわち、PDP1における結晶MgO層342を形成するために単結晶MgO粉体層をスプレー法で形成するための構成を例示して説明したが、これに限らず、各種被塗布物へ各種塗工液を塗布する塗工装置に適用できる。例えば、MgO粉体を含有するスラリに限らず、有機顔料を含有する液状物、無機顔料を含有するスラリ、表面処理剤や抗菌剤など、各種塗工液を塗布する構成に適用できる。
【0103】
そして、製造するPDP1の構成としても、上述した構成に限らず、各種構成が適用できる。
例えば、上記実施の形態のPDP1を、前面基板3に表示電極対31を形成し誘電体層33によって被覆しかつ背面基板2側に蛍光体層(24R,24G,24B)とアドレス電極21を形成した反射型交流PDPとするとしたが、これに限らない。すなわち、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、前面基板側に表示電極対とアドレス電極を形成して誘電体層によって被覆し、背面基板に蛍光体層を形成した反射型交流PDPや、前面基板側に蛍光体層を形成し背面基板側に表示電極対とアドレス電極を形成して誘電体層によって被覆した透過型交流PDP、放電空間の表示電極対とアドレス電極との交差部分に放電セルが形成される三電極型交流PDP、放電空間の表示電極とアドレス電極との交差部分に放電セルが形成される二電極型交流PDPなどの種々の形式のPDPに適用することができる。さらには、プラズマディスプレイパネルに限らず、液晶パネルや有機ELパネルなど、各種表示装置の製造における各種材料を塗布する構成にも適用できる。
さらには、上記実施の形態では隔壁23を梯子状に形成するとしたが、これに限らず、井桁状やストライプ状の隔壁としてもよい。
また、上記実施の形態では、薄膜MgO層341は、薄膜MgO層341の全面を被覆するとしたが、これに限らず、例えば、透明電極311a,311bに対向する部分や逆に透明電極311a,311bに対向する部分以外の部分などのように、部分的にパターン化して形成するようにしてもよい。
【0104】
そして、制御装置540を設けて自動的に塗工液501および洗浄液502の流通状態を制御する構成について説明したが、例えば作業者が切替操作するなどしてもよい。さらに、制御装置540で一元制御する構成に限らず、各第1三方弁600および第2三方弁700などにタイマなどを設け、独立して切替動作する構成とするなどしてもよい。
【0105】
また、第1洗浄工程を実施した後に第2洗浄工程を実施して説明したが、上述したように、第2洗浄工程を先に実施してもよい。すなわち、第2三方弁700が塗工液501の流通における下流側に位置するので、第1三方弁600から第2三方弁700までに残留する塗工液501が第1三方弁600内を洗浄液502に押し出されるように流通することとなる。このことにより、既に第1三方弁600を洗浄していた場合、洗浄後に塗工液501が流通する分、洗浄液502を流通させて洗浄させる必要があるので、下流側に位置する第2三方弁700を先に洗浄することで、洗浄効率の向上が図れる。
【0106】
そして、多重三方弁機構部530として、ピストン式の第1三方弁600および第2三方弁700を連結した構成で説明したが、上述したように、ピストン式のものに限らず、いずれの三方弁を用いてもよい。例えば図20に示すように、構成してもよい。なお、図20は、図8および図17に示す構成と同等の構成については、同一の符号を付している。この図20に示す構成においても同様の作用効果を奏することができる。
【0107】
本発明は、上述した一実施の形態および実施形態の変形のみに限ることなく、その他、本発明の目的を逸脱しない範囲で様々な応用が可能である。
【0108】
〔実施の形態の作用効果〕
上記実施の形態では、塗工液経路512に接続し塗工液501が流入する第1流入口612、洗浄管522が接続し洗浄液502が流入する第1洗浄口614、および、吐出手段513に接続し流入した塗工液501または洗浄液502を吐出手段513へ流出する吐出口613を有し、第1流入口612および吐出口613が連通する状態と、第1洗浄口614および吐出口613が連通する状態とに切り替える第1三方弁600を、塗工液タンク511に接続し塗工液501を流通する塗工液経路512に、この塗工液経路512に接続し塗工液を吐出する吐出手段513と、塗工液経路512に接続し流通する塗工液501を塗工液タンク511へ返送する返送管514を備えた塗工部510に設ける。さらに、塗工液経路512に接続し塗工液501が流入する第2流入口713、洗浄管522が接続し洗浄液502が流入する第2洗浄口714、および、返送管514に接続し流入した塗工液501を返送管514へ流出する流出口712を有し、第2流入口713および流出口712が連通する状態と、第2洗浄口714および第2流入口713が連通する状態とに切り替える第2三方弁700を、塗工部510に設けている。
このため、塗工液501の塗布および循環における塗工液501の流通状態を切り替える構成と洗浄する構成とを構築する際、第1三方弁600および第2三方弁700の双方がそれぞれ洗浄液502にて洗浄させる構成が得られる。したがって、例えばMgO粉体などの無機物を分散するスラリを塗工液501とする場合でも、無機物の凝集や固着などが多重三方弁機構部530で生じることを防止でき、長期間安定して塗工液501を吐出できる。そして、この長期間安定して塗工液501を吐出できる切り替え機構として、同様な構成の第1三方弁600および第2三方弁700を適宜連結して構成している。したがって、比較的に入手が容易で安価に得られる三方弁を用いるので、装置コストを低減できる。
【0109】
また、上記実施の形態では、塗工液タンク511に接続し塗工液501を流通する塗工液経路512に、この塗工液経路512に接続し塗工液を吐出する吐出手段513と、塗工液経路512に接続し流通する塗工液501を塗工液タンク511へ返送する返送管514を備えた塗工部510に、第1三方弁600および第2三方弁700を設け、第1三方弁600で、塗工液経路512から塗工液501が流入され吐出手段513へ流出する状態と、洗浄管522から洗浄液502が流入され吐出手段513へ流出する状態とに切り替えさせる。さらに、第2三方弁700で塗工液経路512から塗工液501が流入され返送管514へ流出する状態、および、洗浄管522から洗浄液502が流入され塗工液経路512の延長上に位置する連結管531および第1三方弁600を介して吐出手段513へ流出する状態とに切り替えさせる。
このため、塗工液501の塗布および循環における塗工液501の流通状態を切り替える構成と洗浄する構成とを構築する際、第1三方弁600および第2三方弁700の双方がそれぞれ洗浄液502にて洗浄させる構成が得られる。したがって、例えばMgO粉体などの無機物を分散するスラリを塗工液501とする場合でも、無機物の凝集や固着などが多重三方弁機構部530で生じることを防止でき、長期間安定して塗工液501を吐出できる。そして、この長期間安定して塗工液501を吐出できる切り替え機構として、同様な構成の第1三方弁600および第2三方弁700を適宜連結して構成している。したがって、比較的に入手が容易で安価に得られる三方弁を用いるので、装置コストを低減できる。
【0110】
そして、放電空間Hを介して対向配置された一対の前面基板3および背面基板2と、これら一対の前面基板3および背面基板2のうちいずれか一方の内面上に形成された複数の表示電極対31と、これら表示電極対31上を被覆する誘電体層33と、この誘電体層33上を被覆する保護層34とを備えたPDP1を製造する製造工程で、塗工液タンク511に接続し塗工液501を流通する塗工液経路512に、この塗工液経路512に接続し塗工液を吐出する吐出手段513と、塗工液経路512に接続し流通する塗工液501を塗工液タンク511へ返送する返送管514を備えた塗工装置500に、塗工液経路512、吐出手段513および洗浄管522が接続してそれぞれの接続状態を切り替える第1三方弁600と、塗工液経路512、返送管514および洗浄管522が接続してそれぞれの接続状態を切り替える第2三方弁700と、を設け、MgO粉体を溶剤に分散させた塗工液501を、第1三方弁600および第2三方弁700の切り替えにより吐出手段513から塗工液501を誘電体層33上に塗布し、保護層34の結晶MgO層342を形成させる塗布工程を実施させる。さらに、洗浄管522から洗浄液502を第1三方弁600へ供給させて第1三方弁600を介して吐出手段513へ流出させて吐出させる第1洗浄工程を実施させる。また、洗浄管522から洗浄液502を第2三方弁700へ供給させ、第2三方弁700から塗工液経路512に接続する連結管531を介して第1三方弁600へ流入させ、この第1三方弁600から吐出手段513へ流出させて吐出させる第2洗浄工程とを実施している。
このため、塗工液501の塗布および循環における塗工液501の流通状態を切り替える構成と洗浄する構成とを構築する際、第1三方弁600および第2三方弁700の双方がそれぞれ洗浄液502にて洗浄させる構成が得られる。したがって、例えばMgO粉体などの無機物を分散するスラリを塗工液501とする場合でも、無機物の凝集や固着などが多重三方弁機構部530で生じることを防止でき、長期間安定して塗工液501を吐出できる。そして、この長期間安定して塗工液501を吐出できる切り替え機構として、同様な構成の第1三方弁600および第2三方弁700を適宜連結して構成している。したがって、比較的に入手が容易で安価に得られる三方弁を用いるので、装置コストを低減できる。よって、結晶MgO層342を設けるために塗工装置500を用いることで、略均一にMgO粉体を塗布できることから、安定した特性のPDP1が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】従来の塗工装置を示す模式図である。
【図2】従来の三方弁を備えた塗工装置を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの内部構造を示した分解斜視図である。
【図4】前記実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルを模式的に示した正面図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】図4のVI−VI線における断面図である。
【図7】前記実施の形態における塗工装置の概略構成を示す概念図である。
【図8】前記実施の形態における塗工装置の多重三方弁機構部の概略構成を示す断面図である。
【図9】前記実施の形態におけるスプレー法による単結晶MgO粉体層の形成工程を示した模式図である。
【図10】前記実施の形態における塗布工程の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】前記実施の形態における洗浄工程の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】前記実施の形態における塗工装置を説明するために実施した確認実験で比較する比較例の塗工装置の概略構成を示す概念図である。
【図13】図12に示す比較例の塗工装置における三方弁および二方弁の概略構成を示す断面図である。
【図14】前記実施の形態における洗浄効果確認実験での吐出変化状況の実験結果を表形式で示す図である。
【図15】前記実施の形態における洗浄効果確認実験での吐出変化状況の実験結果を表形式で示す図である。
【図16】前記実施の形態における洗浄効果確認実験での塗布状態の実験結果を示すグラフである。
【図17】前記実施の形態における変形例の塗工装置の多重三方弁機構部の概略構成を示す断面図である。
【図18】前記実施の形態における洗浄効果確認実験での圧縮空気の導入による吐出状態の実験に係る変形例の塗工装置における洗浄工程の動作を示すタイミングチャートである。
【図19】前記実施の形態における洗浄効果確認実験での圧縮空気の導入による吐出状態の実験結果を示すグラフである。
【図20】本発明の他の実施の形態における塗工装置の多重三方弁機構部の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0112】
1……プラズマディスプレイパネル(PDP)
2……背面基板
3……前面基板
31……表示電極対
33……誘電体層
34……保護層
500……塗工装置
501……塗工液
502……洗浄液
511……塗工液タンク
512……塗工液経路
513……吐出手段
514……返送経路としての返送管
520……洗浄液供給手段としての洗浄部
521……洗浄液タンク
522……洗浄液経路としての洗浄管
525……圧縮空気供給手段を構成する圧縮空気導入管
530……切替手段としての多重三方弁機構部
540……制御手段としての制御装置
600……第1三方弁
612……第1流入口
613……吐出口
614……第1洗浄口
700……第2三方弁
712……流出口
713……第2流入口
714……第2洗浄口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、を備えた塗工装置であって、
洗浄液を貯溜する洗浄液タンクと、
この洗浄タンクに接続され前記洗浄液を流通させる洗浄液経路と、
前記塗工液経路に接続され前記塗工液が流入する第1流入口、前記洗浄液経路が接続され前記洗浄液が流入する第1洗浄口、および、前記吐出手段に接続され流入した前記塗工液または前記洗浄液を前記吐出手段へ流出する吐出口を備え、前記第1流入口および前記吐出口が連通する状態と前記第1洗浄口および前記吐出口が連通する状態とに切り替える第1三方弁と、
前記塗工液経路に接続され前記塗工液が流入する第2流入口、前記洗浄液経路が接続され前記洗浄液が流入する第2洗浄口、および、前記返送経路に接続され流入した前記塗工液を前記返送経路へ流出する流出口を備え、前記第2流入口および前記流出口が連通する状態と前記第2洗浄口および前記第2流入口が連通する状態とに切り替える第2三方弁と、
を具備したことを特徴とした塗工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗工装置であって、
前記第1三方弁および前記第2三方弁は、前記第1流入口および前記第2流入口がそれぞれ接続する前記塗工液経路を介して互いに連通する状態に連結された
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の塗工装置であって、
前記第1三方弁および前記第2三方弁の切り替え状態を制御する制御手段を具備し、
前記制御手段は、
前記第1三方弁の第1流入口を閉塞させるとともに前記第2三方弁を前記第2流入口および前記流出口が連通する状態に切り替え、前記塗工液経路を流通する前記塗工液が前記第2三方弁を介して前記返送経路へ流出する循環状態と、
前記第2三方弁の第2流入口を閉塞させるとともに前記第1三方弁を前記第1流入口および前記吐出口が連通する状態に切り替え、前記塗工液経路を流通する前記塗工液が前記第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する吐出状態と、
前記第1三方弁を第1流入口が閉塞し前記第1洗浄口および前記吐出口が連通する状態に切り替え、前記洗浄液経路を流通する前記洗浄液が前記第1洗浄口から前記第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する第1洗浄状態と、
前記第1三方弁を第1流入口が開口して前記第1流入口および前記吐出口が連通する状態に切り替えるとともに、前記第2三方弁を第2流入口が開口して前記第2洗浄口および前記第2流入口が連通する状態に切り替え、前記洗浄液経路を流通する前記洗浄液が前記第2洗浄口から前記第2三方弁内を通って前記塗工液経路を介して前記第1流入口から前記第1三方弁内を通って前記吐出手段へ流出する第2洗浄状態と、に制御する
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項4】
塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、を備えた塗工装置であって、
洗浄液を貯溜する洗浄液タンクと、
この洗浄タンクに接続され前記洗浄液を流通させる洗浄液経路と、
前記塗工液経路から前記塗工液が流入され前記吐出手段へ流出する状態、および、前記洗浄液経路から前記洗浄液が流入され前記吐出手段へ流出する状態に切り替える第1三方弁と、
前記塗工液経路から前記塗工液が流入され前記返送経路へ流出する状態、および、前記洗浄液経路から前記洗浄液が流入され前記塗工液経路および第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する状態に切り替える第2三方弁と、
を具備したことを特徴とした塗工装置。
【請求項5】
請求項4に記載の塗工装置であって、
前記第1三方弁および前記第2三方弁の切り替え状態を制御する制御手段を具備し、
前記制御手段は、
前記第1三方弁を前記塗工液経路から前記塗工液が流入しない状態に切替制御するとともに、前記第2三方弁を前記塗工液経路から前記塗工液が流入され前記返送経路へ流出する状態に切替制御し、前記塗工液経路を流通する前記塗工液が前記第2三方弁を介して前記返送経路へ流出する循環状態と、
前記第2三方弁を前記塗工液経路から前記塗工液が流入しない状態に切替制御するとともに、前記第1三方弁を前記塗工液経路から前記塗工液が流入され前記吐出手段へ流出する状態に切替制御し、前記塗工液経路を流通する前記塗工液が前記第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する吐出状態と、
前記第1三方弁を前記洗浄液経路から前記洗浄液が流入され前記吐出手段へ流出する状態に切り替え、前記洗浄液経路を流通する前記洗浄液が前記第1洗浄口から前記第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する第1洗浄状態と、
前記第2三方弁を前記洗浄液経路から前記洗浄液が流入され前記塗工液経路および第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する状態に切り替え、前記洗浄液経路を流通する前記洗浄液が前記第2三方弁、前記塗工液経路および前記第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出する第2洗浄状態と、に制御する
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項6】
請求項3または請求項5に記載の塗工装置であって、
前記制御手段は、前記塗工液経路を流通する前記塗工液を前記吐出手段から吐出させる吐出状態が所定回数実施された後に、前記第1洗浄状態および前記第2洗浄状態を実施する制御をする
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項7】
請求項3または請求項5に記載の塗工装置であって、
前記制御手段は、前記塗工液経路を流通する前記塗工液を前記吐出手段から吐出させる吐出状態が所定時間実施された後に、前記第1洗浄状態および前記第2洗浄状態を実施する制御をする
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の塗工装置であって、
前記塗工液タンクは、無機粉粒物を溶剤中に分散した無機物含有スラリを前記塗工液として貯溜する
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項9】
請求項8に記載の塗工装置であって、
前記洗浄液は、前記塗工液の溶剤と同質の溶剤を主要成分として含有する
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の塗工装置であって、
前記洗浄液経路は、圧縮空気を前記第1三方弁および前記第2三方弁へ導入する圧縮空気供給手段を備えた
ことを特徴とした塗工装置。
【請求項11】
塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、前記塗工液経路、前記吐出手段および前記返送経路が接続されそれぞれの接続状態を切り替える切替手段を備えた塗工装置を用いた塗工方法であって、
前記塗工装置に、洗浄液を供給する洗浄液供給手段を設けるとともに、前記塗工液経路、前記吐出手段および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第1三方弁と前記塗工液経路、前記返送経路および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第2三方弁とにて前記切替手段を構成し、
前記切替手段に接続し前記切替手段に洗浄液を流入させる洗浄液経路を前記塗工装置に設け、
前記塗工液経路を流通する前記塗工液を前記第2三方弁を介して前記返送経路へ流通させ前記塗工液を循環させる循環工程と、
前記塗工液経路を流通する前記塗工液を前記第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出させ前記塗工液を前記吐出手段から吐出させる吐出工程と、
前記洗浄液経路から前記洗浄液を前記第1三方弁へ供給させこの第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第1洗浄工程と、
前記洗浄液経路から前記洗浄液を前記第2三方弁へ供給させ、この第2三方弁から前記塗工液経路を介して前記第1三方弁へ流入させこの第1三方弁から前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第2洗浄工程と、を実施する
ことを特徴とする塗工方法。
【請求項12】
請求項11に記載の塗工方法であって、
前記第1洗浄工程および前記第2洗浄工程は、前記洗浄液経路から前記洗浄液とともに圧縮空気を供給させる
ことを特徴とする塗工方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の塗工方法であって、
前記第1洗浄工程および第2洗浄工程は、前記洗浄液経路から前記洗浄液を供給した後に、圧縮空気を供給させる
ことを特徴とする塗工方法。
【請求項14】
放電空間を介して対向配置された一対の基板と、これら一対の基板のうち一方の基板の内面上に形成された複数の電極対と、これら電極対上を被覆する誘電体層と、この誘電体層上を被覆する保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルを製造するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
塗工液を貯溜する塗工液タンクと、この塗工液タンクに接続され前記塗工液を流通する塗工液経路と、この塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を吐出する吐出手段と、前記塗工液経路に接続され前記流通する塗工液を前記塗工液タンクへ返送する返送経路と、洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記塗工液経路、前記吐出手段および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第1三方弁と、前記塗工液経路、前記返送経路および前記洗浄液供給手段が接続しそれぞれの接続状態を切り替える第2三方弁と、を備えた塗工装置を用い、
酸化マグネシウム粉体を溶剤に分散させた前記塗工液を、前記第1三方弁および前記第2三方弁の切り替えにより前記吐出手段から吐出させ前記誘電体層上に塗布し、前記保護層となる塗膜を形成する塗布工程と、
前記洗浄液供給手段から前記洗浄液を前記第1三方弁へ供給させこの第1三方弁を介して前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第1洗浄工程と、
前記洗浄液経路から前記洗浄液を前記第2三方弁へ供給させ、この第2三方弁から前記塗工液経路を介して前記第1三方弁へ流入させこの第1三方弁から前記吐出手段へ流出させ前記洗浄液を前記吐出手段から吐出させる第2洗浄工程と、を実施する
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−111579(P2007−111579A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302561(P2005−302561)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】