塗布処理装置、塗布現像処理システム、並びに塗布処理方法及びその塗布処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体
【課題】塗布液をスピン塗布法により塗布して膜を形成する際に、基板面内の任意の位置の膜厚を制御できるとともに、基板面内の膜厚ばらつきを低減することができる塗布処理装置を提供する。
【解決手段】回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を基板の外周側に拡散させることによって、基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理装置23において、基板を保持する基板保持部31と、基板保持部31に保持された基板を回転させる回転部32と、基板保持部31に保持された基板の表面に塗布液を供給する供給部43と、基板保持部31に保持された基板の上方の所定位置に設けられており、回転部32により回転する基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板63とを有する。
【解決手段】回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を基板の外周側に拡散させることによって、基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理装置23において、基板を保持する基板保持部31と、基板保持部31に保持された基板を回転させる回転部32と、基板保持部31に保持された基板の表面に塗布液を供給する供給部43と、基板保持部31に保持された基板の上方の所定位置に設けられており、回転部32により回転する基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板63とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布処理装置、塗布現像処理システム、並びに塗布処理方法及びその塗布処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、基板上、すなわち例えば半導体ウェハ等のウェハ上に、塗布処理、露光処理、及び現像処理などを順次行うことによって、所定のレジストパターンが形成される。塗布処理では、レジスト液を塗布し、塗布したレジスト液を熱処理することによってレジスト膜を形成する。露光処理では、形成されたレジスト膜を所定のパターンに露光する。現像処理では、露光されたレジスト膜を現像する。
【0003】
上述の塗布処理では、回転されているウェハの表面の中心にノズルからレジスト液を供給し、遠心力によりウェハの外周側へレジスト液を拡散することによってウェハの表面にレジスト液を塗布する、いわゆるスピン塗布法が多く用いられている(例えば特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−78250号公報
【特許文献2】特許第3890026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したようなスピン塗布法を用いた塗布処理によりウェハの表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する場合、次のような問題がある。
【0006】
ウェハの回転速度、ウェハ温度、レジスト液等の各制御パラメータを変更することによって、レジスト膜の膜厚を変化させることは可能である。しかし、例えば、ウェハの回転速度の増加又はウェハ温度の上昇に伴って、外周部よりも中心部の膜厚が厚い凸状の膜厚分布から、中心部よりも外周部の膜厚が厚い凹状の膜厚分布に変化することがある。従って、上記した各制御パラメータを変更しただけでは、ウェハ面内の膜厚分布が変化してしまい、膜厚分布を精密に制御することはできない。
【0007】
更に、昨今では、省材料及び省コストの観点により、1枚のウェハに塗布するレジスト液の供給量をできるだけ削減することが要求される。例えば、直径300mmφのウェハの全面を塗布するのに必要なレジスト液の供給量を0.5ml以下に要求される場合がある。このようにレジスト液の供給量が少ないと、供給量が多いときに比べ、溶媒が揮発して粘度が上がりやすくなるため、ウェハの回転速度を増加させる方向又はウェハ温度を上昇させる方向に変更することができない。従って、外周部よりも中心部の膜厚が厚い凸状の膜厚分布を、中心部と外周部とで膜厚が均一になるように制御することが難しくなる。
【0008】
特許文献2に示すように、矩形形状を有する基板の周縁に沿って気流調整部材を設けることにより、基板上の膜厚分布を均一にする方法もある。しかし、基板の周縁に気流調整部材を設けるだけでは、円形形状を含めた各種形状の基板の面内における膜厚分布を均一にすることは困難である。
【0009】
また、上記した問題は、レジスト液以外の各種の塗布液をスピン塗布法によりウェハ表面上に塗布する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、塗布液をスピン塗布法により塗布して膜を形成する際に、基板面内の任意の位置の膜厚を制御できるとともに、基板面内の膜厚ばらつきを低減することができる塗布処理装置及び塗布処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によれば、回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理装置において、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された前記基板を回転させる回転部と、前記基板保持部に保持された前記基板の表面に塗布液を供給する供給部と、前記基板保持部に保持された前記基板の上方の所定位置に設けられており、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板とを有する塗布処理装置が提供される。
【0012】
また、本発明の他の一実施例によれば、回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、前記基板に塗布液を供給している間、又は、前記基板に塗布液を供給した後に、前記基板を回転させた状態で、前記基板の上方の所定位置に設けられた気流制御板により、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一実施例によれば、回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給された塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、前記基板を第1の回転速度で回転させた状態で、前記基板の表面に塗布液を供給する第1の工程と、前記第1の工程の後、前記基板を、前記第1の回転速度よりも低い第2の回転速度に減速する時点又は前記第2の回転速度で回転させた状態で塗布液の供給を停止する第2の工程と、前記第2の工程の後、前記基板を、前記第2の回転速度よりも高い第3の回転速度で回転させる第3の工程とを有し、前記基板の表面への塗布液の供給を停止した後、前記基板の上方の所定位置に移動可能に設けられた気流制御板を、移動部により前記所定位置に移動させることによって、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗布液をスピン塗布法により塗布して膜を形成する際に、基板面内の任意の位置の膜厚を制御できるとともに、基板面内の膜厚ばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す概略斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す側面図である。
【図4】第3のブロックの構成を示す斜視図である。
【図5】塗布モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】塗布モジュールの構成の概略を示す横断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。
【図8】第1の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの表面の状態を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(実施例1)を、気流制御板を用いないレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(比較例1)と比較して模式的に示すグラフである。
【図10】実施例1、比較例1を行って得られたレジスト膜の膜厚分布の実測値を示すグラフである。
【図11】気流制御板とウェハWとの位置関係を模式的に示す平面図及び側面図である。
【図12】気流制御板のX方向の長さ寸法LXを変えた場合に、最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。
【図13】気流制御板のY方向の幅寸法WY1を変えた場合に、最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。
【図14】気流制御板及びウェハの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【図15】気流制御板のウェハ表面からの高さを低くした場合の、気流制御板及びウェハの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【図16】第2の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。
【図17】本発明の第3の実施形態による塗布モジュールの要部を示す斜視図である。
【図18】図17の塗布モジュールにおける動作を説明する模式図である。
【図19】図17の塗布モジュールにおける他の動作を説明する模式図である。
【図20】本発明の実施形態による塗布モジュールにおける気流制御板の変形例を示す図である。
【図21】本発明の実施形態による塗布モジュールにおける気流制御板の他の変形例を示す図である。
【図22】変形例の気流制御板による効果を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
始めに、本発明の第1の実施の形態に係る塗布現像処理システム、およびこの塗布現像処理システムにおいて行われる塗布処理方法について説明する。この塗布現像処理システムは、本発明の実施の形態に係る塗布モジュール(塗布処理装置)を含んでいる。
【0017】
先ず、図1から図4を参照し、本発明の実施の形態に係る塗布現像処理システムに露光装置を接続したレジストパターン形成装置について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す平面図である。図2は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す概略斜視図である。図3は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す側面図である。図4は、第3のブロックB3の構成を示す斜視図である。
【0019】
レジストパターン形成装置は、図1及び図2に示すように、キャリアブロックST1、処理ブロックST2、インターフェイスブロックST3を有する。また、レジストパターン形成装置のインターフェイスブロックST3側に、露光装置ST4が設けられている。処理ブロックST2は、キャリアブロックST1に隣接するように設けられている。インターフェイスブロックST3は、処理ブロックST2のキャリアブロックST1側と反対側に、処理ブロックST2に隣接するように設けられている。露光装置ST4は、インターフェイスブロックST3の処理ブロックST2側と反対側に、インターフェイスブロックST3に隣接するように設けられている。
【0020】
キャリアブロックST1は、キャリア20、載置台21及び受け渡し手段Cを有する。キャリア20は、載置台21上に載置されている。受け渡し手段Cは、キャリア20からウェハWを取り出し、処理ブロックST2に受け渡すとともに、処理ブロックST2において処理された処理済みのウェハWを受け取り、キャリア20に戻すためのものである。
【0021】
処理ブロックST2は、図1および図2に示すように、棚ユニットU1、棚ユニットU2、第1のブロック(DEV層)B1、第2のブロック(BCT層)B2、第3のブロック(COT層)B3、第4のブロック(TCT層)B4を有する。第1のブロックB1では現像処理が行われる。第2のブロックB2では、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜が形成される。第3のブロックB3では、反射防止膜上にレジスト液が塗布される。第4のブロックB4では、レジスト膜上に反射防止膜が形成される。
【0022】
棚ユニットU1は、各種のモジュールが積層されて構成されている。棚ユニットU1は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS1、TRS1、CPL11、CPL2、BF2、CPL3、BF3、CPL4、TRS4を有する。また、図1に示すように、棚ユニットU1の近傍には、昇降自在な受け渡しアームDが設けられている。棚ユニットU1の各処理モジュール同士の間では、受け渡しアームDによりウェハWが搬送される。
【0023】
棚ユニットU2は、各種の処理モジュールが積層されて構成されている。棚ユニットU2は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS6、TRS6、CPL12を有する。
【0024】
なお、図3において、CPLが付されている受け渡しモジュールは、温調用の冷却モジュールを兼ねており、BFが付されている受け渡しモジュールは、複数枚のウェハWを載置可能なバッファモジュールを兼ねている。
【0025】
第1のブロックB1は、図1及び図3に示すように、現像モジュール22、搬送アームA1及びシャトルアームEを有する。現像モジュール22は、1つの第1のブロックB1内に、上下2段に積層されている。搬送アームA1は、2段の現像モジュール22にウェハWを搬送するためのものである。すなわち、搬送アームA1は、2段の現像モジュール22にウェハWを搬送する搬送アームが共通化されているものである。シャトルアームEは、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL11から棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12にウェハWを直接搬送するためのものである。
【0026】
第2のブロックB2、第3のブロックB3、及び第4のブロックB4は、各々塗布モジュール、加熱・冷却系の処理モジュール群、及び搬送アームA2、A3、A4を有する。処理モジュール群は、塗布モジュールにおいて行われる処理の前処理及び後処理を行うためのものである。搬送アームA2、A3、A4は、塗布モジュールと処理モジュール群との間に設けられており、塗布モジュール及び処理モジュール群の各処理モジュールの間でウェハWの受け渡しを行う。
【0027】
第2のブロックB2から第4のブロックB4の各ブロックは、第2のブロックB2及び第4のブロックB4における薬液が反射防止膜用の薬液であり、第3のブロックB3における薬液がレジスト液であることを除き、同様の構成を有する。
【0028】
ここで、図4を参照し、第2のブロックB2、第3のブロックB3、及び第4のブロックB4を代表し、第3のブロックB3の構成を説明する。
【0029】
第3のブロックB3は、塗布モジュール23(塗布処理装置)、棚ユニットU3及び搬送アームA3を有する。棚ユニットU3は、加熱モジュール、冷却モジュール等の熱処理モジュール群を構成するように積層された、複数の処理モジュールを有する。棚ユニットU3は、塗布モジュール23と対向するように配列されている。
【0030】
搬送アームA3は、塗布モジュール23と棚ユニットU3との間に設けられている。図4中の参照符号24は、各処理モジュールと搬送アームA3との間でウェハWの受け渡しを行うための搬送口である。
【0031】
搬送アームA3は、2枚のフォーク3(3A、3B)、基台25、回転機構26、及び昇降台27を有する。
【0032】
2枚のフォーク3A、3Bは、上下に重なるように設けられている。基台25は、回転機構26により、鉛直軸周りに回転自在に設けられている。また、フォーク3A、3Bは、図示しない進退機構により、基台25から、例えば、後述する塗布モジュール23のスピンチャック31に進退自在に設けられている。
【0033】
昇降台27は、図4に示すように、回転機構26の下方側に設けられている。昇降台27は、上下方向(図4中Z軸方向)に直線状に延びる図示しないZ軸ガイドレールに沿って、昇降機構により昇降自在に設けられている。昇降機構としては、ボールネジ機構やタイミングベルトを用いた機構等、周知の構成を用いることができる。この例ではZ軸ガイドレール及び昇降機構は夫々カバー体28により覆われており、例えば上部側において接続されて一体となっている。またカバー体28は、Y軸方向に直線状に伸びるY軸ガイドレール29に沿って摺動移動するように構成されている。
【0034】
インターフェイスブロックST3は、図1に示すように、インターフェイスアームFを有する。インターフェイスアームFは、処理ブロックST2の棚ユニットU2の近傍に設けられている。棚ユニットU2の各処理モジュール同士の間及び露光装置ST4との間で、インターフェイスアームFによりウェハWが搬送される。
【0035】
キャリアブロックST1からのウェハWは、棚ユニットU1の一つの受け渡しモジュール、例えば第2のブロックB2に対応する受け渡しモジュールCPL2に、受け渡し手段Cにより、順次搬送される。受け渡しモジュールCPL2に搬送されたウェハWは、第2のブロックB2の搬送アームA2に受け渡され、搬送アームA2を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWに反射防止膜が形成される。
【0036】
反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA2、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF2、受け渡しアームD、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL3を介し、第3のブロックB3の搬送アームA3に受け渡される。そして、ウェハWは、搬送アームA3を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWにレジスト膜が形成される。
【0037】
レジスト膜が形成されたウェハWは、搬送アームA3を介し、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF3に受け渡される。
【0038】
また、レジスト膜が形成されたウェハWは、第4のブロックB4において更に反射防止膜が形成される場合もある。この場合は、ウェハWは受け渡しモジュールCPL4を介し、第4のブロックB4の搬送アームA4に受け渡され、搬送アームA4を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWに反射防止膜が形成される。そして、反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA4を介し、棚ユニットU1の受け渡しモジュールTRS4に受け渡される。
【0039】
レジスト膜が形成されたウェハW又はレジスト膜の上に更に反射防止膜が形成されたウェハWは、受け渡しアームD、受け渡しモジュールBF3又はTRS4を介して受け渡しモジュールCPL11に受け渡される。受け渡しモジュールCPL11に受け渡されたウェハWは、シャトルアームEにより棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12に直接搬送された後、インターフェイスブロックST3のインターフェイスアームFに受け渡される。
【0040】
インターフェイスアームFに受け渡されたウェハWは、露光装置ST4に搬送され、所定の露光処理が行われる。所定の露光処理が行われたウェハWは、インターフェイスアームFを介し、棚ユニットU2の受け渡しモジュールTRS6に載置され、処理ブロックST2に戻される。処理ブロックST2に戻されたウェハWは、第1のブロックB1において現像処理が行われる。現像処理が行われたウェハWは、搬送アームA1、棚ユニットU1のいずれかの受け渡しモジュールTRS1、受け渡し手段Cを介し、キャリア20に戻される。
【0041】
次に、図5及び図6を参照し、本実施の形態に係る塗布モジュール23の構成について説明する。図5は、塗布モジュール23の構成の概略を示す縦断面図である。図6は、塗布モジュール23の構成の概略を示す横断面図である。
【0042】
塗布モジュール23は、例えば図5に示すようにケーシング30を有し、そのケーシング30内の中央部には、ウェハWを保持するスピンチャック31(基板保持部)が設けられている。スピンチャック31は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック31上に吸着保持できる。
【0043】
スピンチャック31は、例えばモータなどを備えたチャック駆動機構32を有し、そのチャック駆動機構32(回転部)により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動機構32には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック31は上下動可能である。
【0044】
また、チャック駆動機構32が駆動するスピンチャック31の回転速度は、後述する制御部70により制御されている。
【0045】
スピンチャック31の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ33が設けられている。カップ33の下面には、回収した液体を排出する排出管34と、カップ33内の雰囲気を排気する排気管35が接続されている。
【0046】
図6に示すように、カップ33のX方向負方向(図6の下方向)側には、Y方向(図6の左右方向)に沿って延伸するレール40が形成されている。レール40は、例えばカップ33のY方向負方向(図6の左方向)側の外方からY方向正方向(図6の右方向)側の外方まで形成されている。レール40には、例えば二本のアーム41、42が取り付けられている。
【0047】
第1のアーム41には、図5及び図6に示すように塗布液としてのレジスト液を吐出するレジスト液ノズル43(供給部)が支持されている。第1のアーム41は、図6に示すノズル駆動部44により、レール40上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル43は、カップ33のY方向正方向側の外方に設置された待機部45からカップ33内のウェハWの略中心上まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム41は、ノズル駆動部44によって昇降自在であり、レジスト液ノズル43の高さを調整できる。
【0048】
レジスト液ノズル43には、図5に示すように、レジスト液供給源46に連通する供給管47が接続されている。本実施の形態におけるレジスト液供給源46には、例えば薄いレジスト膜例えば150nm以下のレジスト膜を形成するための低粘度のレジスト液が貯留されている。また、供給管47には、バルブ48が設けられており、このバルブ48を開くとレジスト液ノズル43からレジスト液が吐出され、バルブ48を閉めると、レジスト液の吐出が停止される。
【0049】
第2のアーム42には、レジスト液の溶剤を吐出する溶剤ノズル50が支持されている。第2のアーム42は、例えば図6に示すノズル駆動部51によってレール40上を移動自在であり、溶剤ノズル50を、カップ33のY方向負方向側の外方に設けられた待機部52からカップ33内のウェハWの略中心上まで移動させることができる。また、ノズル駆動部51によって、第2のアーム42は昇降自在であり、溶剤ノズル50の高さを調節できる。
【0050】
溶剤ノズル50には、図5に示すように溶剤供給源53に連通する供給管54が接続されている。なお、以上の構成では、レジスト液を吐出するレジスト液ノズル43と溶剤を吐出する溶剤ノズル50が別々のアームに支持されている。しかし、レジスト液ノズル43と溶剤ノズル50とを同じアームに支持されるように設けてもよく、そのアームの移動の制御により、レジスト液ノズル43と溶剤ノズル50の移動と吐出タイミングを制御してもよい。
【0051】
第3のアーム61には、図5及び図6に示すようにウェハWの上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板63が支持されている。第3のアーム61は、図6に示す駆動部64により、レール40上を移動自在である。駆動部64は、カップ33内のウェハWの上方の所定位置と、カップ33内においてスピンチャック31により保持されるウェハWに対して側方に離れた待機位置との間で気流制御板63を移動することができる。カップ33のY方向負方向側の外方からカップ33内のウェハWの略中心上まで任意の位置に移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、第3のアーム61は、駆動部64によって昇降自在であり、気流制御板63の高さを調整できる。
【0052】
気流制御板63は、矩形平板状に形成されているとともに、ウェハWの上方であってウェハWの回転軸RA(中心C1と同じ位置)から離れた所定位置に、ウェハWに略平行になるように、移動可能に設けられている。また、気流制御板63が、駆動部64によりウェハWの上方であってウェハWの回転軸RA(中心C1と同じ位置)から離れた所定位置に配置されたときに、回転するウェハWの上方の気流を任意の位置で局所的に変化させるものである。なお、矩形平板状に形成されている気流制御板63のウェハ中心側端部PEは、ウェハWの中心C1の上方の位置と外縁E1の上方の位置との間に位置されてよい。また、気流制御板63は、例えばウェハWが300mmの直径を有する場合、ウェハWの中心から50mmから100mmの範囲の上方の任意の範囲に配置されると好ましく、また、ウェハWが450mmの直径を有する場合、ウェハWの中心から100mmから175mmの範囲の上方の任意の範囲に配置されると好ましい。また、気流制御板63は、ウェハWの中心からウェハWの外周に向かって、ウェハWの半径の約30%から約80%の範囲の上方の任意の範囲に配置されると好ましい。
【0053】
チャック駆動機構32によるスピンチャック31の回転動作は、制御部70により制御される。また、ノズル駆動部44によるレジスト液ノズル43の移動動作、バルブ48によるレジスト液ノズル43のレジスト液の吐出/停止も、制御部70により制御される。また、ノズル駆動部51による溶剤ノズル50の移動動作、及び駆動部64による気流制御板63の移動動作などの駆動系の動作も、制御部70により制御される。制御部70は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成され、例えばメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、塗布モジュール23におけるレジスト塗布処理プロセスを実現できる。
【0054】
制御部70は、レジスト液ノズル43によりレジスト液をウェハWの表面に供給するように制御する。また、制御部70は、ウェハWにレジスト液を供給している間、又は、ウェハWにレジスト液を供給した後に、ウェハWをチャック駆動機構32により回転させた状態で、所定位置に設けられた気流制御板63により、回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させるように、制御する。
【0055】
なお、塗布モジュール23におけるレジスト塗布処理プロセスを実現するための各種プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なCDなどの記録媒体に記録され、その記録媒体から制御部70にインストールされ、制御部70により実行される。
【0056】
次に、塗布モジュール23で行われるレジスト塗布処理プロセス(塗布処理方法)を説明する。
【0057】
図7は、本実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。図8は、本実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハWの表面の状態を示す図である。
【0058】
本実施の形態では、制御部70によりウェハWの回転速度(即ち、チャック駆動機構32の回転速度)、溶剤ノズル50からの溶剤の吐出及びレジスト液ノズル43からのレジスト液の吐出を制御し、図7に示す、工程S0からS2、S4及びS5を実施する。また、図8(a)から図8(d)のそれぞれは、図7に示す工程S1、S2、S4及びS5におけるウェハW上のレジスト液PRを模式的に示す。
【0059】
始めに、搬送アームA3のフォーク3によって塗布モジュール23のスピンチャック31の真上までウェハWが搬送される。そして、そのウェハWは、チャック駆動機構32に含まれる例えばエアシリンダよりなる図示しない昇降駆動手段により上昇してきたスピンチャック31によって真空吸着される。搬送アームA3はウェハWをスピンチャック31に真空吸着させた後、フォーク3を塗布モジュール23内から後退させ、塗布モジュール23へのウェハWの受け渡しを終了する。
【0060】
次に、図7に示すプリウェット処理工程S0を行う。プリウェット処理工程S0では、レジスト液PRの塗布に先立ってシンナー等の溶剤でウェハW表面の表面全体が濡らされる。具体的には、図7に示すように、ウェハWを回転し始めて、回転数を0〜2000rpm、より好ましくは1000rpmまで上げる。この回転速度(プリウェット回転速度V0)でウェハWを回転させながら、例えば0.1秒間、溶剤ノズル50からウェハWの略中央にシンナーを供給してウェハWの径方向外周側に拡散させ、ウェハWの表面を溶剤で濡らす。これにより、レジスト液PRがより拡散しやすくなり、結果としてより少量のレジスト液PRの液量で均一なレジスト膜を形成することができ、より一層レジスト液PRの消費量を削減することができる。
【0061】
次に、図7の第1の工程S1を行う。第1の工程S1は、第1の回転速度V1で基板(ウェハW)を回転させ、回転するウェハWの略中心上にレジスト液PRを供給し、供給されたレジスト液PRをウェハWの中心側から外周側へ拡散させる工程である。具体的には、図7のS1に示すように、ウェハWを2000〜4000rpm、より好ましくは2500rpmの回転速度(第1の回転速度V1)まで加速し、その回転速度V1で回転させる。そして、ウェハWを回転させながら、例えば1.5秒間、レジスト液ノズル43からウェハWの略中心上にレジスト液を供給してウェハWの径方向外周側に拡散させながら塗布する。また、図8(a)は、第1の工程S1が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0062】
ここで、第1の工程S1で供給するレジスト液PRの供給量は、ウェハWの径方向外周側に拡散させられるレジスト液PRの外周が、上記の回転速度においてウェハWの外周にまで到達する場合の供給量の半分程度の量である。具体的には、第1の工程S1で、ウェハWの表面の中心側に供給されるレジスト液は、例えば0.5mlであり、従来供給していた1.0mlの半分である。そのため、図8(a)に示すように、第1の工程S1において、ウェハWの径方向中心側から外周側に拡散するレジスト液PRの外周は、ウェハWの外周まで到達せず、例えばウェハWの中心から外周までの距離の半分程度までしか到達しない。
【0063】
次に、図7の第2の工程S2を行う。第2の工程S2は、第1の工程S1の後に、第1の回転速度V1よりも低い第2の回転速度V2でウェハWを回転させ、拡散したレジスト液PRの形状を整える工程である。具体的には、図7に示すように、ウェハWを50〜2000rpm、より好ましくは100rpmの回転速度(第2の回転速度V2)に減速し、その回転速度V2で回転させる。第2の工程S2を行う時間としては、例えば1.0秒程度が好ましい。また、図8(b)は、第2の工程S2が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0064】
なお、第2の工程S2では、ウェハWを、第1の回転速度V1から第2の回転速度V2に減速する時点又は第2の回転速度V2で回転させた状態でレジスト液PRの供給を停止する。
【0065】
図8(b)に示すように、第1の工程S1において、ウェハWの外周まで到達せず、例えばウェハWの中心から外周までの距離の半分程度までしか到達していないレジスト液の外周は、第2の工程S2においても、第1の工程S1における場合と略同じ位置にある。また、後述するように、拡散したレジスト液PRの外周では、レジスト液PRが外周に溜まり厚さが増大することによって、レジスト液PRの形状が整えられる。
【0066】
次に、図7の第3の工程を行う。第3の工程S3は、第2の工程S2の後に、少なくとも開始時に第2の回転速度V2よりも高い第3の回転速度V3でウェハWを回転させる工程である。第3の工程S3は、例えば第4の工程S4、第5の工程S5、及び第6の工程S6とを含む。
【0067】
第4の工程S4は、第2の工程S2の後に、第2の回転速度V2よりも高い第3の回転速度V3でウェハWを回転させ、形状が整えられたレジスト液PRをウェハWの径方向の更に外周側へ拡散させる工程である。具体的には、図7のS4に示すように、ウェハWを1000〜4000rpm、より好ましくは1800rpmの回転速度(第3の回転速度V3)に加速し、その回転速度V3で回転させる。そして、ウェハWを回転させながら、第1の工程S1でウェハWの径方向中心から外周までの距離の半分程度まで拡散させたレジスト液を、ウェハWの更に外周側へ拡散させる。第4の工程S4を行う時間としては、例えば4秒程度が好ましい。また、図8(c)は、第4の工程S4が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0068】
図8(c)に示すように、第4の工程S4において、ウェハWの径方向外周側に拡散するレジスト液の外周は、ウェハWの略外周まで到達する。また、第4の工程S4を行う時間は、第4の工程S4において、レジスト液PRが流動性を失わないように、5秒以下の短時間にすることが好ましい。
【0069】
第5の工程S5は、第4の工程S4の後に、第3の回転速度V3よりも低い第4の回転速度V4でウェハWを回転させる工程である。また、第5の工程S5では、ウェハWを第4の回転速度V4で回転している間に駆動部64によりウェハWの上方の所定位置に気流制御板63を配置することによって、ウェハWの上方の気流を局所的に変化させる。第4の回転速度V4は、第2の回転速度V2と等しくてもよい。具体的には図7に示すように、ウェハWを50〜2000rpmの回転速度、例えば100rpmに減速し、その回転速度で回転させる。第5の工程S5を行う時間としては、例えば1.0秒程度が好ましい。また、図8(d)は、第5の工程S5が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0070】
なお、第4の回転速度V4は、50〜100rpmであることが好ましい。これにより、後述する気流制御板63のウェハ中心側端部PEの周辺領域とそれ以外との領域との間で、溶媒の揮発速度の差を大きくすることができる。
【0071】
図8(d)に示すように、駆動部64(図6)により気流制御板63を移動させることによって、矩形平板状を有する気流制御板63は、ウェハWの上方であってウェハWの回転軸RAから離れた所定位置に、ウェハWに略平行になるように配置される。そして、気流制御板63により回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させることによって、気流制御板63のウェハ中心側端部PE付近において、レジスト液PRの膜厚を増加させることができる。また、気流制御板63の位置は、気流制御板63のウェハ中心側端部PEがウェハWの中心C1上の位置と外縁E1上の位置との間の任意の位置に配置されるように、調整が可能である。従って、ウェハWの任意の位置の膜厚を制御できるとともに、ウェハWの面内の膜厚ばらつきを低減することができる。
【0072】
第6の工程S6は、第5の工程S5の後、第4の回転速度V4よりも高い第5の回転速度V5でウェハWを回転させ、ウェハW上のレジスト液PRを振り切り、乾燥させる工程である。第5の回転速度V5は、第3の回転速度V3と等しくてもよい。具体的には、図7のS5に示すように、ウェハWを1000〜4000rpm、より好ましくは1800rpmの回転速度(第3の回転速度V3と等しい)に加速し、回転させながら、例えば30秒間、レジスト液PRの振り切り乾燥を行う。
【0073】
次に、第5の工程S5において、ウェハWの任意の位置の膜厚を制御できるとともに、ウェハWの面内の膜厚ばらつきを低減することができることを、比較例と対比しながら説明する。
【0074】
図9は、本実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(実施例1)を、気流制御板63を用いないレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(比較例1)と比較して模式的に示すグラフである。
【0075】
図9に示すように、ウェハの回転速度が低いとき又はウェハ温度が低いときは、外周部よりも中心部の膜厚が厚い凸状の膜厚分布を示すことがある。また、ウェハの回転速度が高いとき又はウェハ温度が高いときは、中心部よりも外周部の膜厚が厚い凹状の膜厚分布を示すことがある。そして、気流制御板63を用いない場合(比較例1)には、ウェハ面内の膜厚分布ができるだけ均一になるようにウェハの回転速度及びウェハ温度を調整したときでも、ウェハの中心部と外周部との間の中間部における膜厚が、ウェハの中心部及び外周部における膜厚よりも薄くなることがある。
【0076】
一方、気流制御板63のウェハ中心側端部PEがウェハWの中心C1上の位置と外縁E1上の位置との中間に位置するように気流制御板63を配置した場合(実施例1)には、気流制御板63のウェハ中心側端部PE付近における膜厚を優先的に増加させることができる。その結果、ウェハWの中心部、中間部及び外周部のいずれにおいても膜厚を等しくすることができ、ウェハWの面内における膜厚を均一にすることができる。
【0077】
図10は、ウェハ温度を23℃、第5の工程S5における回転速度を100rpmとした条件で、実施例1、比較例1を行って得られたレジスト膜の膜厚分布の実測値を示すグラフである。
【0078】
図10の比較例1では、ウェハWの中心(ウェハ中心からの距離Y=0mm)付近の領域である中心部及びウェハWの外縁(Y=−150mm、150mm)付近の領域である外周部では、膜厚が102nmに略等しい。しかし、ウェハWの中心と外縁との間の領域(−80mm<Y<−40mm、40mm<Y<80mm)である中間部では、膜厚が101nmに近く、中心部及び外周部に比べ1nm程度膜厚が薄い。このときの膜厚の平均値は101.5nmであり、膜厚のばらつき3σは1.12nmであった。
【0079】
一方、図10の実施例1では、ウェハWの中心部、外周部及び中間部のいずれにおいても、膜厚が102nmに略等しい。このときの膜厚の平均値は101.9nmであり、膜厚のばらつき3σは0.66nmであった。
【0080】
従って、図10に示す実測値においても、図9と同様に、気流制御板63を用いることにより、ウェハWの中心部、中間部及び外周部のいずれにおいても膜厚を等しくすることができ、ウェハWの面内における膜厚を均一にできることが理解される。
【0081】
次に、気流制御板63の寸法及び位置を調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に制御できることについて説明する。
【0082】
図11(a)及び図11(b)は、気流制御板63とウェハWとの位置関係をそれぞれ模式的に示す平面図及び側面図である。
【0083】
図11(a)及び図11(b)に示すように、気流制御板63のX方向の長さ寸法をLXとする。また、気流制御板63のY方向の幅寸法をWY1とする。また、気流制御板63のY方向に沿ったウェハ外周側端部PE2と外縁E1との距離をWY2とし、気流制御板63のY方向に沿ったウェハ中心側端部PEとウェハWの外縁E1との距離をWY3とする。また、気流制御板63のZ方向の厚さ寸法をHZ1とし、気流制御板63の下面のウェハW表面からのZ方向の高さ寸法をHZ2とする。
【0084】
図12は、気流制御板63のX方向の長さ寸法LXを変えた場合に、図9に示すように、気流制御板63を用いたときと気流制御板63を用いないときとのレジスト膜の膜厚の差が径方向に沿って最大となる最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。このとき、WY1を所定値50mmとし、WY2を所定値0mmとしている。
【0085】
図12に示すように、LXの増加に伴って、ΔMaxも増加する。すなわち、気流制御板63が径方向に直交する方向に長くなると、気流制御板63により膜厚を調整できる調整量が増加する。このように、気流制御板63の径方向と直交する方向の長さを調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に調整できる。
【0086】
図13は、気流制御板63のY方向の幅寸法WY1を変えた場合に、図9に示すように、気流制御板63を用いたときと気流制御板63を用いないときとのレジスト膜の膜厚の差が径方向に沿って最大となる最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。このとき、LXを所定値223mmとし、WY3を所定値90mmとしている。
【0087】
図13に示すように、WY1の増加に伴って、ΔMaxも増加する。すなわち、気流制御板63が径方向に幅広くなると、気流制御板63により膜厚を調整できる調整量が増加する。このように、気流制御板63の径方向の幅を調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に調整できる。
【0088】
ここで、気流制御板63の寸法及び位置を調整することによって、レジスト膜の膜厚が制御される作用効果について説明する。
【0089】
図14は、気流制御板63及びウェハWの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【0090】
ウェハWの表面上の領域であって、ウェハWの上方に気流制御板63が配置される領域では、レジスト液から揮発した溶媒の拡散が抑えられ、溶媒の揮発速度が下がるため、レジスト液中の溶媒の濃度の低下が抑制される。特に、気流制御板63のウェハ外周側端部PE2の付近では、高さ方向(Z方向)における溶媒の濃度勾配が小さくなり、レジスト液からの溶媒の揮発速度が低下する。その結果、気流制御板63に覆われた領域及びそれより外周側の領域では、レジスト液中の溶質(レジスト)の濃度は増加しにくく、レジスト液の粘度も比較的小さく維持される。
【0091】
一方、ウェハWの表面の上方であって、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方の領域では、中心側上方から気流制御板63の下方に向かって斜め下向きの気流GFが発生し、溶媒の濃度が所定濃度以上になる濃度境界層の厚さが、外周側の領域よりも薄くなっている。それに伴って、高さ方向(Z方向)における溶媒の濃度勾配が大きくなり、溶媒の揮発速度が上昇する。その結果、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方の領域では、レジスト液中の溶質(レジスト)の濃度が増加し、レジスト液の粘度が大きくなる。
【0092】
その結果、気流制御板63のウェハ中心側端部PEからウェハ中心側までの領域では、ウェハ中心側よりも気流制御板63側の方がレジスト液の粘性が高くなり、ウェハ中心から気流制御板63に向かって流れるレジスト液の流れが妨げられるため、ウェハ中心側から気流制御板63側に向かって膜厚が増加する。また、気流制御板63のウェハ中心側端部PEからウェハ外周側までの領域では、ウェハ外周側よりも気流制御板63のウェハ中心側端部PE側の方がレジスト液の粘性が高くなり、レジスト液の外周側への流入量が低下するため、ウェハ中心側からウェハ外周側に向かって膜厚が減少する。その結果、径方向に沿ったレジスト膜の膜厚分布は、気流制御板63を用いない場合のレジスト膜の膜厚分布に比べ、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方にピークを有するように変化するものと考えられる。
【0093】
また、気流制御板63を用いる場合と用いない場合との膜厚差が最大となる位置(ピーク位置)は、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの位置に対応して定まる。従って、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの位置(図11(a)及び図11(b)におけるWY3)を変えることによって、ピーク位置を制御することができる。
【0094】
なお、前述したように、第4の回転速度V4は、50〜100rpmであることが好ましい。第4の回転速度V4が100rpmを超える場合、回転速度が高くなることによって、回転によって生じる気流が支配的となり、気流制御板の効果が出にくくなるためである。また、第4の回転速度V4が50rpm未満の場合、気流制御板63の下方に気流が入り易くなるために、却って中心側上方から気流制御板63の下方に向かって斜め下向きの気流が発生しにくくなるからである。
【0095】
また、気流制御板63のウェハW表面からの高さの影響については、以下のように考えられる。
【0096】
図15は、気流制御板63の下面のウェハW表面からの高さ(図11(b)におけるHZ2)を、図14における高さよりも低くした場合の、気流制御板63及びウェハWの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【0097】
高さHZ2が低くなると、ウェハ表面であって気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方に位置する領域では、径方向中心側上方から気流制御板63の下方に向かって発生する斜め下向きの気流が更に大きくなり、濃度境界層の厚さが更に薄くなる。ただし、径方向に沿って濃度境界層の厚さが薄くなる領域の径方向に沿った長さは、高さHZ2が高い場合に比べ、短くなる。すなわち、濃度境界層は比較的大きな度合いで薄くなるものの、濃度境界層が薄くなる範囲は狭くなる。例えば、気流制御板63の高さが低くなると、気流制御板63を用いる場合と用いない場合との膜厚差が最大となる位置(ピーク位置)はあまり変わらないが、ピークの範囲(ピーク幅)が狭くなり、ピーク位置における膜厚の変化量が大きくなる。すなわち、気流制御板63のウェハ表面からの高さを減少させると、膜厚が変化する領域は狭くなるものの、ピーク付近における膜厚の変化量は大きくなる。逆に、気流制御板63のウェハ表面からの高さを増加させると、膜厚が変化する領域は広くなるものの、ピーク付近における膜厚の変化量は小さくなる。
【0098】
このように、気流制御板63のウエハW表面からの高さを調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に調整できる。
【0099】
なお、本実施の形態では、気流制御板63を駆動部64により移動させる例について説明した。しかし、予め寸法の異なる複数の種類の気流制御板を備えておき、制御前の膜厚分布に応じて気流制御板を使い分けるようにしてもよい。例えば、径方向の幅寸法WY1が例えば60mm、20mm、10mm幅の気流制御板を備えておき、例えば気流制御板を用いずに予備実験を行い、この予備実験から得られた膜厚分布に応じて気流制御板を選択してもよい。
【0100】
また、気流制御板63によりレジスト膜の膜厚を変化させる変化量は、第5の工程S5を行う時間に依存する。従って、第5の工程S5を行う時間を、例えば3秒、4秒、5秒の3段階の設定時間から選択するようにしてもよい。
【0101】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る塗布処理方法について説明する。
本実施の形態に係る塗布処理方法は、第5の工程S5がない点で、第1の実施の形態に係る塗布処理方法と相違する。また、本実施の形態に係る塗布処理方法は、第1の実施の形態で説明した塗布モジュールを用いて行うことができる。
【0102】
図16は、本実施の形態に係る塗布処理方法の各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。
【0103】
搬送アームA3による塗布モジュール23内へのウェハWの搬入、プリウェット処理工程S0、第1の工程S1は、第1の実施の形態におけるプリウェット処理工程S0、第1の工程S1と同様にすることができる。また、第1の工程S1が行われる際のウェハWの状態は、図8(a)に示す状態と同様である。
【0104】
次に、図16のS2に示す第2の工程を行う。第2の工程S2は、第1の工程S1の後に、第1の回転速度V1よりも低い第2の回転速度V2でウェハWを回転させ、拡散したレジスト液PRの形状を整える工程であり、第2の回転速度V2で、第2の工程S2を行う時間は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0105】
ただし、本実施の形態では、第2の工程S2において、気流制御板63をウェハWの上方に配置することによって、回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させるようにしてもよい。
【0106】
第1の実施の形態において図8(b)を用いて示したように、第1の工程S1において、例えばウェハWの中心から外周までの距離の半分程度までしか到達していないレジスト液の外周は、第2の工程S2においても、第1の工程S1における場合と略同じ位置にある。
【0107】
しかし、第2の工程S2において気流制御板63をウェハWの上方に配置することによって、気流制御板63のウェハ中心側端部PE付近において、レジスト液の膜厚を増加させることができる。また、気流制御板63の位置は任意の位置に配置することが可能である。従って、第2の工程S2において、レジスト液の膜厚の分布を制御することができる。
【0108】
次に、図16のS3に示す第3の工程を行う。第3の工程S3は、第2の工程S2の後に、第2の回転速度V2よりも高い第3の回転速度V3でウェハWを回転させ、形状が整えられたレジスト液PRをウェハWの径方向の更に外周側へ拡散させるとともに、ウェハW上のレジスト液PRを振り切り、乾燥させる工程である。第3の回転速度V3は、第1の実施の形態と同様にすることができる。第3の工程S3を行う時間は、例えば25秒程度が好ましい。
【0109】
なお、第3の工程S3においても、第2の工程S2に引き続いて気流制御板63をウェハWの上方に配置してもよい。
【0110】
本実施の形態では、予め第2の工程S2において、レジスト液の膜厚の分布を制御することができる。そのため、第3の工程S3を行って形成されるレジスト膜について、ウェハWの任意の位置の膜厚を制御できるとともに、ウェハWの面内の膜厚ばらつきを低減することができる。
【0111】
なお、本実施の形態では、第2の工程S2でウェハWの上方に気流制御板63を配置する例について説明した。しかし、気流制御板63は、第1の工程S1のときから、ウェハWの上方にあってもよく、所定位置に固定されていてもよい。すなわち、ウェハWにレジスト液を供給している間に、ウェハWをチャック駆動機構32により回転させた状態で、所定位置に設けられた気流制御板63により、回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させてもよい。
【0112】
また、本実施形態において、気流制御板は矩形であったが、後述するように平面視で丸形などの他の形状であってもよい。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態による塗布モジュールについて図17を参照しながら説明する。この塗布モジュールは、第1の実施形態による塗布モジュール23(図5及び図6)における気流制御板63が、駆動部64でなく、他の駆動機構により駆動される点で、塗布モジュール23と相違し、その他の点でほぼ同一である。以下、相違を中心に本実施の形態による塗布モジュールを説明する。
【0113】
図17は、本実施の形態による塗布モジュールにおける気流制御板63と、気流制御板63を駆動する駆動部630とを示す概略斜視図である。図17に示すように、気流制御板63は第4のアーム610により保持されている。第4のアーム610は、リンク部63L及び支持ロッド63aを有しており、これらは互いに約90°の角度をなして結合されている。このため、X軸方向から見ると、第4のアーム610(リンク部63L及び支持ロッド63a)はほぼL字状の形状を有している。このため、リンク部63Lの長手方向が水平方向と一致するとき、支持ロッド63aはほぼ鉛直方向に延びており、支持ロッド63aに取り付けられる気流制御板63はほぼ直立している。ただし、リンク部63Lと支持ロッド63aとのなす角は、約90°に限定されることなく、適宜調整してよい。
【0114】
駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40に沿って移動可能なベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿って上下動可能にガイド部63vに対して設けられるモータ63mとを有している。モータ63mの回転シャフト(図示せず)は、第4のアーム610のリンク部63Lの一端側に結合されている。これにより、モータ63mにより、リンク部63Lはモータ63mの回転シャフトを中心に回動することができる。リンク部63Lの回動に伴って、支持ロッド63aひいては気流制御板63もまたモータ63mの回転シャフトを中心に回動することとなる。
【0115】
次に、図18を参照しながら、駆動部630による気流制御板63の動作を説明する。この動作は、図8(d)を参照しながら説明した、第1の実施の形態による塗布処理方法の第5の工程S5において行われる。
【0116】
図18(a)に示すように、気流制御板63は、始めに、駆動部630によって、カップ33内でスピンチャック31により保持されるウェハWに対し、少なくとも側方に離れた待機位置に配置されている。また、本実施の形態では、気流制御板63は待機位置において直立している。待機位置は、図7及び図8を参照しながら第1の実施の形態において説明した工程S1、S2、及びS4において、気流制御板63によってウェハWの上方の気流が乱されない程度にカップ33から離間していることが好ましい。ただし、気流制御板63とカップ33との間の離間距離を不要に大きくすると、塗布モジュールが大型化することにもなるため、塗布モジュールが設けられるスペースをも考慮して、離間距離を決定することが好ましい。
【0117】
次に、図18(b)に示すように、駆動部630のモータ63mがガイド部63vに沿って所定の位置まで上昇することにより、第4のアーム610(リンク部63L及び支持ロッド63a)が、待機位置より高い位置に配置される。次いで、図18(c)に示すように、モータ63mが起動し、その回転シャフトを回転することにより、第4のアーム610(リンク部63L及び支持ロッド63a)が時計回りに回動し、気流制御板63がウェハWの上方にほぼ水平に配置される。さらに、図18(d)に示すように、レール40に沿ってカップ33に近づくように駆動部630(ベース部63b)が移動することにより、気流制御板63は、ウェハWの径方向に沿って移動し、所定位置に配置される。
【0118】
ここで、気流制御板63のウェハWの表面からの高さ(図11(b)のHZ2を参照)は、モータ63mがガイド部63vに沿って上昇する上昇距離により調整することができる。また、気流制御板63の水平方向(Y軸方向)位置は、ベース部63bがレール40に沿って移動する移動距離により調整することができる。
【0119】
また、上述の第5の工程S5の終了後は、上記と反対の順番に従って、気流制御板63は待機位置に戻ることができる。
【0120】
以上のようにして所定位置に配置された気流制御板63によって、第1の実施の形態において説明した効果と同様の効果が発揮される。また、本実施の形態による塗布モジュールにおいては、気流制御板63が第4のアーム610により保持され、第4のアーム610が、互いに約90°の角度をなして結合されているリンク部63L及び支持ロッド63aにより構成されている。仮に、リンク部63Lがなく、支持ロッド63aがモータ63mに直接に取り付けられている場合には、モータ63m(並びに支持ロッド63a及び気流制御板63)がガイド部63vに沿って上昇する距離を長くする必要が生じる。すなわち、リンク部63Lが無い場合には、例えば、図18(c)に示すリンク部63Lとほぼ同じ高さまでモータ63mが移動しなければ、気流制御板63を所定の高さ(HZ2)に配置することができない。このため、気流制御板63は、モータ63mにより、リンク部63Lがある場合よりも高い位置まで上昇させなければならず、そのため塗布モジュール23のケーシング30(図5)を高くする必要が生じる。すなわち、リンク部63Lにより、塗布モジュール23が小型化され得る。
【0121】
なお、図18を参照しながら、気流制御板63が、順次、上昇し、回動し、水平方向に移動する例を説明したが、これに限定されることなく、例えば図19に示すように、上昇、回動、及び水平移動を同時に行ってもよい。すなわち、図19に示す例では、図19(a)に示す待機位置から始まって、図19(b)から図19(d)に示すように、モータ63mがガイド部63vに沿って上昇しつつ、モータ63mの回転シャフトが回転することにより第4のアーム610及び気流制御板63が時計回りに回動しつつ、ベース部63bがレール40に沿って水平方向に移動することにより、気流制御板63が所定位置に配置されてもよい。
【0122】
また、図18に示す例において、上昇及び水平移動の順番は変更してもよい。すなわち、ベース部63bがレール40に沿って右方向に移動し、所定の位置で停止してから、モータ63m、第4のアーム610、及び気流制御板63が上昇し、第4のアーム610及び気流制御板63を回動してもよい。
【0123】
また、駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40(図6参照)に沿って移動可能なベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿った所定の高さ位置に固定されるモータ63mとにより、構成されてもよい。これによれば、モータ63mを上昇させることなく、モータ63mによる回動と、ベース部63bの水平方向移動とにより、気流制御板63を所定位置に配置することが可能となる。しかも、モータ63mを上下動させる駆動部が不要となるという利点がある。
【0124】
また、駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40(図6参照)の所定の位置に固定されるベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿って上下動できるようガイド部63vに対して設けられるモータ63mとにより、構成されてもよい。これによれば、モータ63mのガイド部63vに沿って上下動と、モータ63mによる回動とにより、気流制御板63を所定位置に配置することが可能となる。したがって、モータ63mを水平方向に移動する駆動部が不要となるという利点がある。
【0125】
さらに、駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40(図6参照)の所定の位置に固定されるベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿った所定の高さ位置に固定されるモータ63mとにより、構成されてもよい。これによれば、モータ63mによる回動のみによって、気流制御板63を所定位置に配置することが可能となる。
【0126】
(変形例)
以上、第1の実施の形態及び第3の実施の形態による塗布モジュールを説明したが、これらの塗布モジュールにおける気流制御板63は、以下のように変形することが可能である。
【0127】
例えば、気流制御板63は、矩形平板形状でなく、図20(a)に示すようにC字状に湾曲した平板の形状(又は、円弧形状若しくは半円環平板形状)を有してよい。このような形状であっても、ウェハWの上方空間における気流制御板63の下方の領域と気流制御板63が配置されていない領域とで、レジスト液中の溶媒濃度を通したレジスト膜の膜厚分布制御が可能となる。なお、気流制御板63は、C字形状に限らず、台形や三角形などの形状を有してもよい。
【0128】
また、図20(b)に示すように、気流制御板63の下面を平坦でなく、下面と、スピンチャック31により保持されるウェハWの表面との間隔を変化させてもよい。図示の例では、ウェハWの中心から外周に向かう方向に沿って、当該間隔が狭くなり、再び広くなるように気流制御板63の下面が湾曲している。このような下面形状によれば、気流制御板63の下面とウェハWの表面との間の空間におけるウェハWの外周側において、当該空間の気流の速度を大きくすることができるため、溶媒の揮発量の増大し、ウェハWの外周側においてレジスト膜を厚くすることが可能となる。なお、気流制御板63の下面が、湾曲面を有していることに限らず、例えば複数の傾斜平面を有することにより、下面とウェハWの表面との間隔が変化してもよい。
【0129】
さらに、図20(c)に示すように、気流制御板63をウェハWと平行ではなく、ウェハWの表面に対して傾斜させてもよい。このような傾斜は、第1の実施の形態において第3のアーム61に気流制御板63を所定の角度で傾けて取り付けることにより実現してもよく、第3の実施の形態においてモータ63mの回転シャフトの回転角度を調整することにより実現してもよい。
【0130】
図20(c)に示すようにウェハWの外周に向かう方向に沿って気流制御板63の下面とウェハWの表面との間隔が広くなる場合には、図20(b)を参照しながら説明したのと同様に、ウェハWの外周側での溶媒の揮発量を増大することができ、よって、ウェハWの外周側のレジスト膜を厚くすることができる。また、ウェハWの外周に向かう方向に沿って気流制御板63の下面とウェハWの表面との間隔が狭くなるように気流制御板63を傾けてもよい。これによれば、ウェハWの内周側での溶媒の揮発量を増大することができ、よって、ウェハWの内周側のレジスト膜を厚くすることができる。
【0131】
また、例えば図21(a)に示すように、気流制御板63に加えて、追加の気流制御板163を設けてもよい。具体的には、気流制御板163は、気流制御板63とほぼ同一のサイズを有しており、気流制御板63に対してウェハ外周側に離間して設けられている。より具体的には、気流制御板63は、これに限定されてないが例えば、気流制御板163は、ウェハ外周から内側に20mmの位置から外側に20mmの位置の上方の任意の位置に設けられると好ましい。このように配置される気流制御板163によれば、ウェハ最外周部におけるレジスト膜の膜厚を調整することが可能となる。
【0132】
また、図21(b)に示すように、矩形平板形状を有し、ウェハWの中心に対して対称に配置される気流制御板63と追加の気流制御板164とを設けてもよい。さらに、図21(c)に示すように、矩形平板形状を有する気流制御板63に加えて、C字状に湾曲した平板の形状(又は、円弧形状若しくは半円環平板形状)を有する気流制御板165を追加してもよい。
【0133】
なお、気流制御板163〜165は、気流制御板63と一体的に設け、気流制御板63と一体となって動作しても良いし、気流制御板63に対して設けられる駆動部61(又は610)と同様の駆動部を別途設け、気流制御板63と別個に動作してもよい。気流制御板163〜165に駆動部を別途設ける場合には、気流制御板163〜165は、例えば気流制御板63が所定位置に配置される前に、ウェハWの上方の所定の位置に配置されてよく、気流制御板63が所定位置に配置された後に、ウェハWの上方の所定の位置に配置されてもよい。例えば、気流制御板63を所定位置に配置することにより、ウェハ中心側から気流制御板63のウェハ外周側端部PE2の外側までの領域におけるレジスト膜の膜厚分布を調整し、次いで気流制御板163又は165を所定の位置に配置することにより、ウェハ最外周部におけるレジスト膜の膜厚分布を調整することが可能となる。
【0134】
また、気流制御板163〜165は、気流制御板63のウェハ表面からの高さと同じ高さに配置されて良く、異なる高さに配置されてもよい。また、図20(b)を参照しながら気流制御板63について説明したように、気流制御板163〜165の下面とウェハWの表面との間隔は変化してもよい。さらに、図20(c)を参照しながら気流制御板63について説明したように、気流制御板163〜165がウェハWの表面に対して傾斜することにより、気流制御板163〜165の下面とウェハWの表面との間隔が変化してもよい。また、気流制御板163〜165の形状は、例えば予備実験により求めたレジスト膜の膜厚分布に基づいて決定することが好ましい。
【0135】
次に、図21(a)に示す気流制御板63及び163による膜厚均一性の改善結果について説明する。
図22(a)は、固形成分(レジスト)濃度4.0%のレジスト液を用いて、300mmの直径を有するウェハにレジスト膜を形成したときのレジスト膜のウェハ面内膜厚分布を示すグラフである。横軸は、ウェハの直径方向に沿った位置を示し、縦軸は、膜厚を示している。グラフ中の点線は、比較のために気流制御板63も気流制御板163も用いずに形成したレジスト膜の膜厚分布を示し、実線は、気流制御板63及び163を用いて形成したレジスト膜の膜厚分布を示す。なお、ウェハ表面に供給したレジスト液の量は0.34ミリリットル(ml)とした。
【0136】
このグラフから分かるように、気流制御板63も気流制御板163も用いなかった場合には、レジスト膜の膜厚は、ウェハの中心(0mm)から外周へ向かう方向に減少し、ウェハの中心から約60〜70mmの位置にて最も薄くなった後、ウェハの外周に向かって増加している。これに対して、気流制御板63及び163を用いた場合には、ウェハの中心から約60〜70mmの位置における膜厚が増加し、ウェハの外周に近い位置(125〜140mmの位置)において膜厚が減少している。この結果、膜厚均一性は、気流制御板63も気流制御板163も用いなかった場合における1.22nm(最大膜厚−最小膜厚)から、気流制御板63及び163を用いた場合には0.62nmに改善されている。
【0137】
なお、気流制御板63及び163を用いた場合、気流制御板63によりウェハの中心から約60〜70mmの位置において膜厚が増加し、気流制御板163によりウェハの外周に近い位置において膜厚が減少したと考えることができる。
【0138】
図22(b)は、固形成分(レジスト)濃度3.5%のレジスト液を用いて、300mmの直径を有するウェハにレジスト膜を形成したときのレジスト膜のウェハ面内膜厚分布を、図22(a)と同様に示すグラフである。ウェハ表面に供給したレジスト液の量は0.33ミリリットル(ml)とした。
【0139】
図22(b)に示す結果では、気流制御板63及び163を使用した場合も使用しない場合も、ウェハの中心から約110〜135mmまでの位置においてレジスト膜の膜厚が増加している。しかし、ウェハの中心から約75mmまでの範囲においては、気流制御板63及び163を用いることにより膜厚が増加し、膜厚均一性が改善され得ることがわかる。また、ウェハの中心から約110〜135mmまでの位置においては、図22(a)に示す結果とは異なり、気流制御板163によっても膜厚は減少していないが、少なくとも大幅な増加は認められない。気流制御板163に代わり、図21(c)に示す気流制御板165を用いれば、ウェハの中心から約110〜135mmまでの位置において、より広範囲に気流を制御できるため、膜厚分布の改善が期待される。
【0140】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0141】
例えば、気流制御板63の待機位置は、スピンチャック31により保持されるウェハWに対して側方に離れている限りにおいて、スピンチャック31により保持されるウェハWの上方の所定位置と同じ高さであってもよく(第1の実施の形態)、その高さよりも高くても低くても良い。また、待機位置は、カップ33(又はスピンチャック31により保持されるウェハWの上面)と同じ高さでもよく、低くてもよい。このような位置は、第3の実施の形態における駆動部630により実現でき、また、第1の実施の形態における駆動部64に対して昇降機構を設けることによっても実現できる。また、待機位置においては気流制御板63は水平に(第1の実施の形態)又は鉛直に(第3の実施の形態)配置されるに限らず、水平方向に対して所定の角度で傾斜してよい。
【0142】
また、上記の実施の形態では、被処理基板として半導体ウェハが用いられたが、これに限らず他の基板、例えばフラットパネルディスプレイ用のガラス基板について本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0143】
23 塗布モジュール
31 スピンチャック
32 チャック駆動機構
43 レジスト液ノズル
63 気流制御板
64、630 駆動部
70 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布処理装置、塗布現像処理システム、並びに塗布処理方法及びその塗布処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、基板上、すなわち例えば半導体ウェハ等のウェハ上に、塗布処理、露光処理、及び現像処理などを順次行うことによって、所定のレジストパターンが形成される。塗布処理では、レジスト液を塗布し、塗布したレジスト液を熱処理することによってレジスト膜を形成する。露光処理では、形成されたレジスト膜を所定のパターンに露光する。現像処理では、露光されたレジスト膜を現像する。
【0003】
上述の塗布処理では、回転されているウェハの表面の中心にノズルからレジスト液を供給し、遠心力によりウェハの外周側へレジスト液を拡散することによってウェハの表面にレジスト液を塗布する、いわゆるスピン塗布法が多く用いられている(例えば特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−78250号公報
【特許文献2】特許第3890026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したようなスピン塗布法を用いた塗布処理によりウェハの表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する場合、次のような問題がある。
【0006】
ウェハの回転速度、ウェハ温度、レジスト液等の各制御パラメータを変更することによって、レジスト膜の膜厚を変化させることは可能である。しかし、例えば、ウェハの回転速度の増加又はウェハ温度の上昇に伴って、外周部よりも中心部の膜厚が厚い凸状の膜厚分布から、中心部よりも外周部の膜厚が厚い凹状の膜厚分布に変化することがある。従って、上記した各制御パラメータを変更しただけでは、ウェハ面内の膜厚分布が変化してしまい、膜厚分布を精密に制御することはできない。
【0007】
更に、昨今では、省材料及び省コストの観点により、1枚のウェハに塗布するレジスト液の供給量をできるだけ削減することが要求される。例えば、直径300mmφのウェハの全面を塗布するのに必要なレジスト液の供給量を0.5ml以下に要求される場合がある。このようにレジスト液の供給量が少ないと、供給量が多いときに比べ、溶媒が揮発して粘度が上がりやすくなるため、ウェハの回転速度を増加させる方向又はウェハ温度を上昇させる方向に変更することができない。従って、外周部よりも中心部の膜厚が厚い凸状の膜厚分布を、中心部と外周部とで膜厚が均一になるように制御することが難しくなる。
【0008】
特許文献2に示すように、矩形形状を有する基板の周縁に沿って気流調整部材を設けることにより、基板上の膜厚分布を均一にする方法もある。しかし、基板の周縁に気流調整部材を設けるだけでは、円形形状を含めた各種形状の基板の面内における膜厚分布を均一にすることは困難である。
【0009】
また、上記した問題は、レジスト液以外の各種の塗布液をスピン塗布法によりウェハ表面上に塗布する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、塗布液をスピン塗布法により塗布して膜を形成する際に、基板面内の任意の位置の膜厚を制御できるとともに、基板面内の膜厚ばらつきを低減することができる塗布処理装置及び塗布処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によれば、回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理装置において、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された前記基板を回転させる回転部と、前記基板保持部に保持された前記基板の表面に塗布液を供給する供給部と、前記基板保持部に保持された前記基板の上方の所定位置に設けられており、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板とを有する塗布処理装置が提供される。
【0012】
また、本発明の他の一実施例によれば、回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、前記基板に塗布液を供給している間、又は、前記基板に塗布液を供給した後に、前記基板を回転させた状態で、前記基板の上方の所定位置に設けられた気流制御板により、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一実施例によれば、回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給された塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、前記基板を第1の回転速度で回転させた状態で、前記基板の表面に塗布液を供給する第1の工程と、前記第1の工程の後、前記基板を、前記第1の回転速度よりも低い第2の回転速度に減速する時点又は前記第2の回転速度で回転させた状態で塗布液の供給を停止する第2の工程と、前記第2の工程の後、前記基板を、前記第2の回転速度よりも高い第3の回転速度で回転させる第3の工程とを有し、前記基板の表面への塗布液の供給を停止した後、前記基板の上方の所定位置に移動可能に設けられた気流制御板を、移動部により前記所定位置に移動させることによって、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗布液をスピン塗布法により塗布して膜を形成する際に、基板面内の任意の位置の膜厚を制御できるとともに、基板面内の膜厚ばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す概略斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す側面図である。
【図4】第3のブロックの構成を示す斜視図である。
【図5】塗布モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】塗布モジュールの構成の概略を示す横断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。
【図8】第1の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの表面の状態を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(実施例1)を、気流制御板を用いないレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(比較例1)と比較して模式的に示すグラフである。
【図10】実施例1、比較例1を行って得られたレジスト膜の膜厚分布の実測値を示すグラフである。
【図11】気流制御板とウェハWとの位置関係を模式的に示す平面図及び側面図である。
【図12】気流制御板のX方向の長さ寸法LXを変えた場合に、最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。
【図13】気流制御板のY方向の幅寸法WY1を変えた場合に、最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。
【図14】気流制御板及びウェハの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【図15】気流制御板のウェハ表面からの高さを低くした場合の、気流制御板及びウェハの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【図16】第2の実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。
【図17】本発明の第3の実施形態による塗布モジュールの要部を示す斜視図である。
【図18】図17の塗布モジュールにおける動作を説明する模式図である。
【図19】図17の塗布モジュールにおける他の動作を説明する模式図である。
【図20】本発明の実施形態による塗布モジュールにおける気流制御板の変形例を示す図である。
【図21】本発明の実施形態による塗布モジュールにおける気流制御板の他の変形例を示す図である。
【図22】変形例の気流制御板による効果を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
始めに、本発明の第1の実施の形態に係る塗布現像処理システム、およびこの塗布現像処理システムにおいて行われる塗布処理方法について説明する。この塗布現像処理システムは、本発明の実施の形態に係る塗布モジュール(塗布処理装置)を含んでいる。
【0017】
先ず、図1から図4を参照し、本発明の実施の形態に係る塗布現像処理システムに露光装置を接続したレジストパターン形成装置について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す平面図である。図2は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す概略斜視図である。図3は、本実施の形態に係るレジストパターン形成装置の構成を示す側面図である。図4は、第3のブロックB3の構成を示す斜視図である。
【0019】
レジストパターン形成装置は、図1及び図2に示すように、キャリアブロックST1、処理ブロックST2、インターフェイスブロックST3を有する。また、レジストパターン形成装置のインターフェイスブロックST3側に、露光装置ST4が設けられている。処理ブロックST2は、キャリアブロックST1に隣接するように設けられている。インターフェイスブロックST3は、処理ブロックST2のキャリアブロックST1側と反対側に、処理ブロックST2に隣接するように設けられている。露光装置ST4は、インターフェイスブロックST3の処理ブロックST2側と反対側に、インターフェイスブロックST3に隣接するように設けられている。
【0020】
キャリアブロックST1は、キャリア20、載置台21及び受け渡し手段Cを有する。キャリア20は、載置台21上に載置されている。受け渡し手段Cは、キャリア20からウェハWを取り出し、処理ブロックST2に受け渡すとともに、処理ブロックST2において処理された処理済みのウェハWを受け取り、キャリア20に戻すためのものである。
【0021】
処理ブロックST2は、図1および図2に示すように、棚ユニットU1、棚ユニットU2、第1のブロック(DEV層)B1、第2のブロック(BCT層)B2、第3のブロック(COT層)B3、第4のブロック(TCT層)B4を有する。第1のブロックB1では現像処理が行われる。第2のブロックB2では、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜が形成される。第3のブロックB3では、反射防止膜上にレジスト液が塗布される。第4のブロックB4では、レジスト膜上に反射防止膜が形成される。
【0022】
棚ユニットU1は、各種のモジュールが積層されて構成されている。棚ユニットU1は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS1、TRS1、CPL11、CPL2、BF2、CPL3、BF3、CPL4、TRS4を有する。また、図1に示すように、棚ユニットU1の近傍には、昇降自在な受け渡しアームDが設けられている。棚ユニットU1の各処理モジュール同士の間では、受け渡しアームDによりウェハWが搬送される。
【0023】
棚ユニットU2は、各種の処理モジュールが積層されて構成されている。棚ユニットU2は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS6、TRS6、CPL12を有する。
【0024】
なお、図3において、CPLが付されている受け渡しモジュールは、温調用の冷却モジュールを兼ねており、BFが付されている受け渡しモジュールは、複数枚のウェハWを載置可能なバッファモジュールを兼ねている。
【0025】
第1のブロックB1は、図1及び図3に示すように、現像モジュール22、搬送アームA1及びシャトルアームEを有する。現像モジュール22は、1つの第1のブロックB1内に、上下2段に積層されている。搬送アームA1は、2段の現像モジュール22にウェハWを搬送するためのものである。すなわち、搬送アームA1は、2段の現像モジュール22にウェハWを搬送する搬送アームが共通化されているものである。シャトルアームEは、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL11から棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12にウェハWを直接搬送するためのものである。
【0026】
第2のブロックB2、第3のブロックB3、及び第4のブロックB4は、各々塗布モジュール、加熱・冷却系の処理モジュール群、及び搬送アームA2、A3、A4を有する。処理モジュール群は、塗布モジュールにおいて行われる処理の前処理及び後処理を行うためのものである。搬送アームA2、A3、A4は、塗布モジュールと処理モジュール群との間に設けられており、塗布モジュール及び処理モジュール群の各処理モジュールの間でウェハWの受け渡しを行う。
【0027】
第2のブロックB2から第4のブロックB4の各ブロックは、第2のブロックB2及び第4のブロックB4における薬液が反射防止膜用の薬液であり、第3のブロックB3における薬液がレジスト液であることを除き、同様の構成を有する。
【0028】
ここで、図4を参照し、第2のブロックB2、第3のブロックB3、及び第4のブロックB4を代表し、第3のブロックB3の構成を説明する。
【0029】
第3のブロックB3は、塗布モジュール23(塗布処理装置)、棚ユニットU3及び搬送アームA3を有する。棚ユニットU3は、加熱モジュール、冷却モジュール等の熱処理モジュール群を構成するように積層された、複数の処理モジュールを有する。棚ユニットU3は、塗布モジュール23と対向するように配列されている。
【0030】
搬送アームA3は、塗布モジュール23と棚ユニットU3との間に設けられている。図4中の参照符号24は、各処理モジュールと搬送アームA3との間でウェハWの受け渡しを行うための搬送口である。
【0031】
搬送アームA3は、2枚のフォーク3(3A、3B)、基台25、回転機構26、及び昇降台27を有する。
【0032】
2枚のフォーク3A、3Bは、上下に重なるように設けられている。基台25は、回転機構26により、鉛直軸周りに回転自在に設けられている。また、フォーク3A、3Bは、図示しない進退機構により、基台25から、例えば、後述する塗布モジュール23のスピンチャック31に進退自在に設けられている。
【0033】
昇降台27は、図4に示すように、回転機構26の下方側に設けられている。昇降台27は、上下方向(図4中Z軸方向)に直線状に延びる図示しないZ軸ガイドレールに沿って、昇降機構により昇降自在に設けられている。昇降機構としては、ボールネジ機構やタイミングベルトを用いた機構等、周知の構成を用いることができる。この例ではZ軸ガイドレール及び昇降機構は夫々カバー体28により覆われており、例えば上部側において接続されて一体となっている。またカバー体28は、Y軸方向に直線状に伸びるY軸ガイドレール29に沿って摺動移動するように構成されている。
【0034】
インターフェイスブロックST3は、図1に示すように、インターフェイスアームFを有する。インターフェイスアームFは、処理ブロックST2の棚ユニットU2の近傍に設けられている。棚ユニットU2の各処理モジュール同士の間及び露光装置ST4との間で、インターフェイスアームFによりウェハWが搬送される。
【0035】
キャリアブロックST1からのウェハWは、棚ユニットU1の一つの受け渡しモジュール、例えば第2のブロックB2に対応する受け渡しモジュールCPL2に、受け渡し手段Cにより、順次搬送される。受け渡しモジュールCPL2に搬送されたウェハWは、第2のブロックB2の搬送アームA2に受け渡され、搬送アームA2を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWに反射防止膜が形成される。
【0036】
反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA2、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF2、受け渡しアームD、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL3を介し、第3のブロックB3の搬送アームA3に受け渡される。そして、ウェハWは、搬送アームA3を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWにレジスト膜が形成される。
【0037】
レジスト膜が形成されたウェハWは、搬送アームA3を介し、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF3に受け渡される。
【0038】
また、レジスト膜が形成されたウェハWは、第4のブロックB4において更に反射防止膜が形成される場合もある。この場合は、ウェハWは受け渡しモジュールCPL4を介し、第4のブロックB4の搬送アームA4に受け渡され、搬送アームA4を介して各処理モジュール(塗布モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群の各処理モジュール)に搬送され、各処理モジュールで処理が行われる。これにより、ウェハWに反射防止膜が形成される。そして、反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA4を介し、棚ユニットU1の受け渡しモジュールTRS4に受け渡される。
【0039】
レジスト膜が形成されたウェハW又はレジスト膜の上に更に反射防止膜が形成されたウェハWは、受け渡しアームD、受け渡しモジュールBF3又はTRS4を介して受け渡しモジュールCPL11に受け渡される。受け渡しモジュールCPL11に受け渡されたウェハWは、シャトルアームEにより棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12に直接搬送された後、インターフェイスブロックST3のインターフェイスアームFに受け渡される。
【0040】
インターフェイスアームFに受け渡されたウェハWは、露光装置ST4に搬送され、所定の露光処理が行われる。所定の露光処理が行われたウェハWは、インターフェイスアームFを介し、棚ユニットU2の受け渡しモジュールTRS6に載置され、処理ブロックST2に戻される。処理ブロックST2に戻されたウェハWは、第1のブロックB1において現像処理が行われる。現像処理が行われたウェハWは、搬送アームA1、棚ユニットU1のいずれかの受け渡しモジュールTRS1、受け渡し手段Cを介し、キャリア20に戻される。
【0041】
次に、図5及び図6を参照し、本実施の形態に係る塗布モジュール23の構成について説明する。図5は、塗布モジュール23の構成の概略を示す縦断面図である。図6は、塗布モジュール23の構成の概略を示す横断面図である。
【0042】
塗布モジュール23は、例えば図5に示すようにケーシング30を有し、そのケーシング30内の中央部には、ウェハWを保持するスピンチャック31(基板保持部)が設けられている。スピンチャック31は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック31上に吸着保持できる。
【0043】
スピンチャック31は、例えばモータなどを備えたチャック駆動機構32を有し、そのチャック駆動機構32(回転部)により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動機構32には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック31は上下動可能である。
【0044】
また、チャック駆動機構32が駆動するスピンチャック31の回転速度は、後述する制御部70により制御されている。
【0045】
スピンチャック31の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ33が設けられている。カップ33の下面には、回収した液体を排出する排出管34と、カップ33内の雰囲気を排気する排気管35が接続されている。
【0046】
図6に示すように、カップ33のX方向負方向(図6の下方向)側には、Y方向(図6の左右方向)に沿って延伸するレール40が形成されている。レール40は、例えばカップ33のY方向負方向(図6の左方向)側の外方からY方向正方向(図6の右方向)側の外方まで形成されている。レール40には、例えば二本のアーム41、42が取り付けられている。
【0047】
第1のアーム41には、図5及び図6に示すように塗布液としてのレジスト液を吐出するレジスト液ノズル43(供給部)が支持されている。第1のアーム41は、図6に示すノズル駆動部44により、レール40上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル43は、カップ33のY方向正方向側の外方に設置された待機部45からカップ33内のウェハWの略中心上まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、第1のアーム41は、ノズル駆動部44によって昇降自在であり、レジスト液ノズル43の高さを調整できる。
【0048】
レジスト液ノズル43には、図5に示すように、レジスト液供給源46に連通する供給管47が接続されている。本実施の形態におけるレジスト液供給源46には、例えば薄いレジスト膜例えば150nm以下のレジスト膜を形成するための低粘度のレジスト液が貯留されている。また、供給管47には、バルブ48が設けられており、このバルブ48を開くとレジスト液ノズル43からレジスト液が吐出され、バルブ48を閉めると、レジスト液の吐出が停止される。
【0049】
第2のアーム42には、レジスト液の溶剤を吐出する溶剤ノズル50が支持されている。第2のアーム42は、例えば図6に示すノズル駆動部51によってレール40上を移動自在であり、溶剤ノズル50を、カップ33のY方向負方向側の外方に設けられた待機部52からカップ33内のウェハWの略中心上まで移動させることができる。また、ノズル駆動部51によって、第2のアーム42は昇降自在であり、溶剤ノズル50の高さを調節できる。
【0050】
溶剤ノズル50には、図5に示すように溶剤供給源53に連通する供給管54が接続されている。なお、以上の構成では、レジスト液を吐出するレジスト液ノズル43と溶剤を吐出する溶剤ノズル50が別々のアームに支持されている。しかし、レジスト液ノズル43と溶剤ノズル50とを同じアームに支持されるように設けてもよく、そのアームの移動の制御により、レジスト液ノズル43と溶剤ノズル50の移動と吐出タイミングを制御してもよい。
【0051】
第3のアーム61には、図5及び図6に示すようにウェハWの上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板63が支持されている。第3のアーム61は、図6に示す駆動部64により、レール40上を移動自在である。駆動部64は、カップ33内のウェハWの上方の所定位置と、カップ33内においてスピンチャック31により保持されるウェハWに対して側方に離れた待機位置との間で気流制御板63を移動することができる。カップ33のY方向負方向側の外方からカップ33内のウェハWの略中心上まで任意の位置に移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、第3のアーム61は、駆動部64によって昇降自在であり、気流制御板63の高さを調整できる。
【0052】
気流制御板63は、矩形平板状に形成されているとともに、ウェハWの上方であってウェハWの回転軸RA(中心C1と同じ位置)から離れた所定位置に、ウェハWに略平行になるように、移動可能に設けられている。また、気流制御板63が、駆動部64によりウェハWの上方であってウェハWの回転軸RA(中心C1と同じ位置)から離れた所定位置に配置されたときに、回転するウェハWの上方の気流を任意の位置で局所的に変化させるものである。なお、矩形平板状に形成されている気流制御板63のウェハ中心側端部PEは、ウェハWの中心C1の上方の位置と外縁E1の上方の位置との間に位置されてよい。また、気流制御板63は、例えばウェハWが300mmの直径を有する場合、ウェハWの中心から50mmから100mmの範囲の上方の任意の範囲に配置されると好ましく、また、ウェハWが450mmの直径を有する場合、ウェハWの中心から100mmから175mmの範囲の上方の任意の範囲に配置されると好ましい。また、気流制御板63は、ウェハWの中心からウェハWの外周に向かって、ウェハWの半径の約30%から約80%の範囲の上方の任意の範囲に配置されると好ましい。
【0053】
チャック駆動機構32によるスピンチャック31の回転動作は、制御部70により制御される。また、ノズル駆動部44によるレジスト液ノズル43の移動動作、バルブ48によるレジスト液ノズル43のレジスト液の吐出/停止も、制御部70により制御される。また、ノズル駆動部51による溶剤ノズル50の移動動作、及び駆動部64による気流制御板63の移動動作などの駆動系の動作も、制御部70により制御される。制御部70は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成され、例えばメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、塗布モジュール23におけるレジスト塗布処理プロセスを実現できる。
【0054】
制御部70は、レジスト液ノズル43によりレジスト液をウェハWの表面に供給するように制御する。また、制御部70は、ウェハWにレジスト液を供給している間、又は、ウェハWにレジスト液を供給した後に、ウェハWをチャック駆動機構32により回転させた状態で、所定位置に設けられた気流制御板63により、回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させるように、制御する。
【0055】
なお、塗布モジュール23におけるレジスト塗布処理プロセスを実現するための各種プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なCDなどの記録媒体に記録され、その記録媒体から制御部70にインストールされ、制御部70により実行される。
【0056】
次に、塗布モジュール23で行われるレジスト塗布処理プロセス(塗布処理方法)を説明する。
【0057】
図7は、本実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。図8は、本実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスの各工程におけるウェハWの表面の状態を示す図である。
【0058】
本実施の形態では、制御部70によりウェハWの回転速度(即ち、チャック駆動機構32の回転速度)、溶剤ノズル50からの溶剤の吐出及びレジスト液ノズル43からのレジスト液の吐出を制御し、図7に示す、工程S0からS2、S4及びS5を実施する。また、図8(a)から図8(d)のそれぞれは、図7に示す工程S1、S2、S4及びS5におけるウェハW上のレジスト液PRを模式的に示す。
【0059】
始めに、搬送アームA3のフォーク3によって塗布モジュール23のスピンチャック31の真上までウェハWが搬送される。そして、そのウェハWは、チャック駆動機構32に含まれる例えばエアシリンダよりなる図示しない昇降駆動手段により上昇してきたスピンチャック31によって真空吸着される。搬送アームA3はウェハWをスピンチャック31に真空吸着させた後、フォーク3を塗布モジュール23内から後退させ、塗布モジュール23へのウェハWの受け渡しを終了する。
【0060】
次に、図7に示すプリウェット処理工程S0を行う。プリウェット処理工程S0では、レジスト液PRの塗布に先立ってシンナー等の溶剤でウェハW表面の表面全体が濡らされる。具体的には、図7に示すように、ウェハWを回転し始めて、回転数を0〜2000rpm、より好ましくは1000rpmまで上げる。この回転速度(プリウェット回転速度V0)でウェハWを回転させながら、例えば0.1秒間、溶剤ノズル50からウェハWの略中央にシンナーを供給してウェハWの径方向外周側に拡散させ、ウェハWの表面を溶剤で濡らす。これにより、レジスト液PRがより拡散しやすくなり、結果としてより少量のレジスト液PRの液量で均一なレジスト膜を形成することができ、より一層レジスト液PRの消費量を削減することができる。
【0061】
次に、図7の第1の工程S1を行う。第1の工程S1は、第1の回転速度V1で基板(ウェハW)を回転させ、回転するウェハWの略中心上にレジスト液PRを供給し、供給されたレジスト液PRをウェハWの中心側から外周側へ拡散させる工程である。具体的には、図7のS1に示すように、ウェハWを2000〜4000rpm、より好ましくは2500rpmの回転速度(第1の回転速度V1)まで加速し、その回転速度V1で回転させる。そして、ウェハWを回転させながら、例えば1.5秒間、レジスト液ノズル43からウェハWの略中心上にレジスト液を供給してウェハWの径方向外周側に拡散させながら塗布する。また、図8(a)は、第1の工程S1が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0062】
ここで、第1の工程S1で供給するレジスト液PRの供給量は、ウェハWの径方向外周側に拡散させられるレジスト液PRの外周が、上記の回転速度においてウェハWの外周にまで到達する場合の供給量の半分程度の量である。具体的には、第1の工程S1で、ウェハWの表面の中心側に供給されるレジスト液は、例えば0.5mlであり、従来供給していた1.0mlの半分である。そのため、図8(a)に示すように、第1の工程S1において、ウェハWの径方向中心側から外周側に拡散するレジスト液PRの外周は、ウェハWの外周まで到達せず、例えばウェハWの中心から外周までの距離の半分程度までしか到達しない。
【0063】
次に、図7の第2の工程S2を行う。第2の工程S2は、第1の工程S1の後に、第1の回転速度V1よりも低い第2の回転速度V2でウェハWを回転させ、拡散したレジスト液PRの形状を整える工程である。具体的には、図7に示すように、ウェハWを50〜2000rpm、より好ましくは100rpmの回転速度(第2の回転速度V2)に減速し、その回転速度V2で回転させる。第2の工程S2を行う時間としては、例えば1.0秒程度が好ましい。また、図8(b)は、第2の工程S2が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0064】
なお、第2の工程S2では、ウェハWを、第1の回転速度V1から第2の回転速度V2に減速する時点又は第2の回転速度V2で回転させた状態でレジスト液PRの供給を停止する。
【0065】
図8(b)に示すように、第1の工程S1において、ウェハWの外周まで到達せず、例えばウェハWの中心から外周までの距離の半分程度までしか到達していないレジスト液の外周は、第2の工程S2においても、第1の工程S1における場合と略同じ位置にある。また、後述するように、拡散したレジスト液PRの外周では、レジスト液PRが外周に溜まり厚さが増大することによって、レジスト液PRの形状が整えられる。
【0066】
次に、図7の第3の工程を行う。第3の工程S3は、第2の工程S2の後に、少なくとも開始時に第2の回転速度V2よりも高い第3の回転速度V3でウェハWを回転させる工程である。第3の工程S3は、例えば第4の工程S4、第5の工程S5、及び第6の工程S6とを含む。
【0067】
第4の工程S4は、第2の工程S2の後に、第2の回転速度V2よりも高い第3の回転速度V3でウェハWを回転させ、形状が整えられたレジスト液PRをウェハWの径方向の更に外周側へ拡散させる工程である。具体的には、図7のS4に示すように、ウェハWを1000〜4000rpm、より好ましくは1800rpmの回転速度(第3の回転速度V3)に加速し、その回転速度V3で回転させる。そして、ウェハWを回転させながら、第1の工程S1でウェハWの径方向中心から外周までの距離の半分程度まで拡散させたレジスト液を、ウェハWの更に外周側へ拡散させる。第4の工程S4を行う時間としては、例えば4秒程度が好ましい。また、図8(c)は、第4の工程S4が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0068】
図8(c)に示すように、第4の工程S4において、ウェハWの径方向外周側に拡散するレジスト液の外周は、ウェハWの略外周まで到達する。また、第4の工程S4を行う時間は、第4の工程S4において、レジスト液PRが流動性を失わないように、5秒以下の短時間にすることが好ましい。
【0069】
第5の工程S5は、第4の工程S4の後に、第3の回転速度V3よりも低い第4の回転速度V4でウェハWを回転させる工程である。また、第5の工程S5では、ウェハWを第4の回転速度V4で回転している間に駆動部64によりウェハWの上方の所定位置に気流制御板63を配置することによって、ウェハWの上方の気流を局所的に変化させる。第4の回転速度V4は、第2の回転速度V2と等しくてもよい。具体的には図7に示すように、ウェハWを50〜2000rpmの回転速度、例えば100rpmに減速し、その回転速度で回転させる。第5の工程S5を行う時間としては、例えば1.0秒程度が好ましい。また、図8(d)は、第5の工程S5が行われる際のウェハWの状態を示す側面図である。
【0070】
なお、第4の回転速度V4は、50〜100rpmであることが好ましい。これにより、後述する気流制御板63のウェハ中心側端部PEの周辺領域とそれ以外との領域との間で、溶媒の揮発速度の差を大きくすることができる。
【0071】
図8(d)に示すように、駆動部64(図6)により気流制御板63を移動させることによって、矩形平板状を有する気流制御板63は、ウェハWの上方であってウェハWの回転軸RAから離れた所定位置に、ウェハWに略平行になるように配置される。そして、気流制御板63により回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させることによって、気流制御板63のウェハ中心側端部PE付近において、レジスト液PRの膜厚を増加させることができる。また、気流制御板63の位置は、気流制御板63のウェハ中心側端部PEがウェハWの中心C1上の位置と外縁E1上の位置との間の任意の位置に配置されるように、調整が可能である。従って、ウェハWの任意の位置の膜厚を制御できるとともに、ウェハWの面内の膜厚ばらつきを低減することができる。
【0072】
第6の工程S6は、第5の工程S5の後、第4の回転速度V4よりも高い第5の回転速度V5でウェハWを回転させ、ウェハW上のレジスト液PRを振り切り、乾燥させる工程である。第5の回転速度V5は、第3の回転速度V3と等しくてもよい。具体的には、図7のS5に示すように、ウェハWを1000〜4000rpm、より好ましくは1800rpmの回転速度(第3の回転速度V3と等しい)に加速し、回転させながら、例えば30秒間、レジスト液PRの振り切り乾燥を行う。
【0073】
次に、第5の工程S5において、ウェハWの任意の位置の膜厚を制御できるとともに、ウェハWの面内の膜厚ばらつきを低減することができることを、比較例と対比しながら説明する。
【0074】
図9は、本実施の形態に係るレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(実施例1)を、気流制御板63を用いないレジスト塗布処理プロセスにより得られたレジスト膜の膜厚分布(比較例1)と比較して模式的に示すグラフである。
【0075】
図9に示すように、ウェハの回転速度が低いとき又はウェハ温度が低いときは、外周部よりも中心部の膜厚が厚い凸状の膜厚分布を示すことがある。また、ウェハの回転速度が高いとき又はウェハ温度が高いときは、中心部よりも外周部の膜厚が厚い凹状の膜厚分布を示すことがある。そして、気流制御板63を用いない場合(比較例1)には、ウェハ面内の膜厚分布ができるだけ均一になるようにウェハの回転速度及びウェハ温度を調整したときでも、ウェハの中心部と外周部との間の中間部における膜厚が、ウェハの中心部及び外周部における膜厚よりも薄くなることがある。
【0076】
一方、気流制御板63のウェハ中心側端部PEがウェハWの中心C1上の位置と外縁E1上の位置との中間に位置するように気流制御板63を配置した場合(実施例1)には、気流制御板63のウェハ中心側端部PE付近における膜厚を優先的に増加させることができる。その結果、ウェハWの中心部、中間部及び外周部のいずれにおいても膜厚を等しくすることができ、ウェハWの面内における膜厚を均一にすることができる。
【0077】
図10は、ウェハ温度を23℃、第5の工程S5における回転速度を100rpmとした条件で、実施例1、比較例1を行って得られたレジスト膜の膜厚分布の実測値を示すグラフである。
【0078】
図10の比較例1では、ウェハWの中心(ウェハ中心からの距離Y=0mm)付近の領域である中心部及びウェハWの外縁(Y=−150mm、150mm)付近の領域である外周部では、膜厚が102nmに略等しい。しかし、ウェハWの中心と外縁との間の領域(−80mm<Y<−40mm、40mm<Y<80mm)である中間部では、膜厚が101nmに近く、中心部及び外周部に比べ1nm程度膜厚が薄い。このときの膜厚の平均値は101.5nmであり、膜厚のばらつき3σは1.12nmであった。
【0079】
一方、図10の実施例1では、ウェハWの中心部、外周部及び中間部のいずれにおいても、膜厚が102nmに略等しい。このときの膜厚の平均値は101.9nmであり、膜厚のばらつき3σは0.66nmであった。
【0080】
従って、図10に示す実測値においても、図9と同様に、気流制御板63を用いることにより、ウェハWの中心部、中間部及び外周部のいずれにおいても膜厚を等しくすることができ、ウェハWの面内における膜厚を均一にできることが理解される。
【0081】
次に、気流制御板63の寸法及び位置を調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に制御できることについて説明する。
【0082】
図11(a)及び図11(b)は、気流制御板63とウェハWとの位置関係をそれぞれ模式的に示す平面図及び側面図である。
【0083】
図11(a)及び図11(b)に示すように、気流制御板63のX方向の長さ寸法をLXとする。また、気流制御板63のY方向の幅寸法をWY1とする。また、気流制御板63のY方向に沿ったウェハ外周側端部PE2と外縁E1との距離をWY2とし、気流制御板63のY方向に沿ったウェハ中心側端部PEとウェハWの外縁E1との距離をWY3とする。また、気流制御板63のZ方向の厚さ寸法をHZ1とし、気流制御板63の下面のウェハW表面からのZ方向の高さ寸法をHZ2とする。
【0084】
図12は、気流制御板63のX方向の長さ寸法LXを変えた場合に、図9に示すように、気流制御板63を用いたときと気流制御板63を用いないときとのレジスト膜の膜厚の差が径方向に沿って最大となる最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。このとき、WY1を所定値50mmとし、WY2を所定値0mmとしている。
【0085】
図12に示すように、LXの増加に伴って、ΔMaxも増加する。すなわち、気流制御板63が径方向に直交する方向に長くなると、気流制御板63により膜厚を調整できる調整量が増加する。このように、気流制御板63の径方向と直交する方向の長さを調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に調整できる。
【0086】
図13は、気流制御板63のY方向の幅寸法WY1を変えた場合に、図9に示すように、気流制御板63を用いたときと気流制御板63を用いないときとのレジスト膜の膜厚の差が径方向に沿って最大となる最大膜厚差ΔMaxを測定した結果を示すグラフである。このとき、LXを所定値223mmとし、WY3を所定値90mmとしている。
【0087】
図13に示すように、WY1の増加に伴って、ΔMaxも増加する。すなわち、気流制御板63が径方向に幅広くなると、気流制御板63により膜厚を調整できる調整量が増加する。このように、気流制御板63の径方向の幅を調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に調整できる。
【0088】
ここで、気流制御板63の寸法及び位置を調整することによって、レジスト膜の膜厚が制御される作用効果について説明する。
【0089】
図14は、気流制御板63及びウェハWの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【0090】
ウェハWの表面上の領域であって、ウェハWの上方に気流制御板63が配置される領域では、レジスト液から揮発した溶媒の拡散が抑えられ、溶媒の揮発速度が下がるため、レジスト液中の溶媒の濃度の低下が抑制される。特に、気流制御板63のウェハ外周側端部PE2の付近では、高さ方向(Z方向)における溶媒の濃度勾配が小さくなり、レジスト液からの溶媒の揮発速度が低下する。その結果、気流制御板63に覆われた領域及びそれより外周側の領域では、レジスト液中の溶質(レジスト)の濃度は増加しにくく、レジスト液の粘度も比較的小さく維持される。
【0091】
一方、ウェハWの表面の上方であって、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方の領域では、中心側上方から気流制御板63の下方に向かって斜め下向きの気流GFが発生し、溶媒の濃度が所定濃度以上になる濃度境界層の厚さが、外周側の領域よりも薄くなっている。それに伴って、高さ方向(Z方向)における溶媒の濃度勾配が大きくなり、溶媒の揮発速度が上昇する。その結果、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方の領域では、レジスト液中の溶質(レジスト)の濃度が増加し、レジスト液の粘度が大きくなる。
【0092】
その結果、気流制御板63のウェハ中心側端部PEからウェハ中心側までの領域では、ウェハ中心側よりも気流制御板63側の方がレジスト液の粘性が高くなり、ウェハ中心から気流制御板63に向かって流れるレジスト液の流れが妨げられるため、ウェハ中心側から気流制御板63側に向かって膜厚が増加する。また、気流制御板63のウェハ中心側端部PEからウェハ外周側までの領域では、ウェハ外周側よりも気流制御板63のウェハ中心側端部PE側の方がレジスト液の粘性が高くなり、レジスト液の外周側への流入量が低下するため、ウェハ中心側からウェハ外周側に向かって膜厚が減少する。その結果、径方向に沿ったレジスト膜の膜厚分布は、気流制御板63を用いない場合のレジスト膜の膜厚分布に比べ、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方にピークを有するように変化するものと考えられる。
【0093】
また、気流制御板63を用いる場合と用いない場合との膜厚差が最大となる位置(ピーク位置)は、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの位置に対応して定まる。従って、気流制御板63のウェハ中心側端部PEの位置(図11(a)及び図11(b)におけるWY3)を変えることによって、ピーク位置を制御することができる。
【0094】
なお、前述したように、第4の回転速度V4は、50〜100rpmであることが好ましい。第4の回転速度V4が100rpmを超える場合、回転速度が高くなることによって、回転によって生じる気流が支配的となり、気流制御板の効果が出にくくなるためである。また、第4の回転速度V4が50rpm未満の場合、気流制御板63の下方に気流が入り易くなるために、却って中心側上方から気流制御板63の下方に向かって斜め下向きの気流が発生しにくくなるからである。
【0095】
また、気流制御板63のウェハW表面からの高さの影響については、以下のように考えられる。
【0096】
図15は、気流制御板63の下面のウェハW表面からの高さ(図11(b)におけるHZ2)を、図14における高さよりも低くした場合の、気流制御板63及びウェハWの周辺における気流及び膜厚分布を模式的に示す断面図である。
【0097】
高さHZ2が低くなると、ウェハ表面であって気流制御板63のウェハ中心側端部PEの下方に位置する領域では、径方向中心側上方から気流制御板63の下方に向かって発生する斜め下向きの気流が更に大きくなり、濃度境界層の厚さが更に薄くなる。ただし、径方向に沿って濃度境界層の厚さが薄くなる領域の径方向に沿った長さは、高さHZ2が高い場合に比べ、短くなる。すなわち、濃度境界層は比較的大きな度合いで薄くなるものの、濃度境界層が薄くなる範囲は狭くなる。例えば、気流制御板63の高さが低くなると、気流制御板63を用いる場合と用いない場合との膜厚差が最大となる位置(ピーク位置)はあまり変わらないが、ピークの範囲(ピーク幅)が狭くなり、ピーク位置における膜厚の変化量が大きくなる。すなわち、気流制御板63のウェハ表面からの高さを減少させると、膜厚が変化する領域は狭くなるものの、ピーク付近における膜厚の変化量は大きくなる。逆に、気流制御板63のウェハ表面からの高さを増加させると、膜厚が変化する領域は広くなるものの、ピーク付近における膜厚の変化量は小さくなる。
【0098】
このように、気流制御板63のウエハW表面からの高さを調整することによって、レジスト膜の膜厚を自在に調整できる。
【0099】
なお、本実施の形態では、気流制御板63を駆動部64により移動させる例について説明した。しかし、予め寸法の異なる複数の種類の気流制御板を備えておき、制御前の膜厚分布に応じて気流制御板を使い分けるようにしてもよい。例えば、径方向の幅寸法WY1が例えば60mm、20mm、10mm幅の気流制御板を備えておき、例えば気流制御板を用いずに予備実験を行い、この予備実験から得られた膜厚分布に応じて気流制御板を選択してもよい。
【0100】
また、気流制御板63によりレジスト膜の膜厚を変化させる変化量は、第5の工程S5を行う時間に依存する。従って、第5の工程S5を行う時間を、例えば3秒、4秒、5秒の3段階の設定時間から選択するようにしてもよい。
【0101】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る塗布処理方法について説明する。
本実施の形態に係る塗布処理方法は、第5の工程S5がない点で、第1の実施の形態に係る塗布処理方法と相違する。また、本実施の形態に係る塗布処理方法は、第1の実施の形態で説明した塗布モジュールを用いて行うことができる。
【0102】
図16は、本実施の形態に係る塗布処理方法の各工程におけるウェハの回転速度を示すグラフである。
【0103】
搬送アームA3による塗布モジュール23内へのウェハWの搬入、プリウェット処理工程S0、第1の工程S1は、第1の実施の形態におけるプリウェット処理工程S0、第1の工程S1と同様にすることができる。また、第1の工程S1が行われる際のウェハWの状態は、図8(a)に示す状態と同様である。
【0104】
次に、図16のS2に示す第2の工程を行う。第2の工程S2は、第1の工程S1の後に、第1の回転速度V1よりも低い第2の回転速度V2でウェハWを回転させ、拡散したレジスト液PRの形状を整える工程であり、第2の回転速度V2で、第2の工程S2を行う時間は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0105】
ただし、本実施の形態では、第2の工程S2において、気流制御板63をウェハWの上方に配置することによって、回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させるようにしてもよい。
【0106】
第1の実施の形態において図8(b)を用いて示したように、第1の工程S1において、例えばウェハWの中心から外周までの距離の半分程度までしか到達していないレジスト液の外周は、第2の工程S2においても、第1の工程S1における場合と略同じ位置にある。
【0107】
しかし、第2の工程S2において気流制御板63をウェハWの上方に配置することによって、気流制御板63のウェハ中心側端部PE付近において、レジスト液の膜厚を増加させることができる。また、気流制御板63の位置は任意の位置に配置することが可能である。従って、第2の工程S2において、レジスト液の膜厚の分布を制御することができる。
【0108】
次に、図16のS3に示す第3の工程を行う。第3の工程S3は、第2の工程S2の後に、第2の回転速度V2よりも高い第3の回転速度V3でウェハWを回転させ、形状が整えられたレジスト液PRをウェハWの径方向の更に外周側へ拡散させるとともに、ウェハW上のレジスト液PRを振り切り、乾燥させる工程である。第3の回転速度V3は、第1の実施の形態と同様にすることができる。第3の工程S3を行う時間は、例えば25秒程度が好ましい。
【0109】
なお、第3の工程S3においても、第2の工程S2に引き続いて気流制御板63をウェハWの上方に配置してもよい。
【0110】
本実施の形態では、予め第2の工程S2において、レジスト液の膜厚の分布を制御することができる。そのため、第3の工程S3を行って形成されるレジスト膜について、ウェハWの任意の位置の膜厚を制御できるとともに、ウェハWの面内の膜厚ばらつきを低減することができる。
【0111】
なお、本実施の形態では、第2の工程S2でウェハWの上方に気流制御板63を配置する例について説明した。しかし、気流制御板63は、第1の工程S1のときから、ウェハWの上方にあってもよく、所定位置に固定されていてもよい。すなわち、ウェハWにレジスト液を供給している間に、ウェハWをチャック駆動機構32により回転させた状態で、所定位置に設けられた気流制御板63により、回転するウェハWの上方の気流を局所的に変化させてもよい。
【0112】
また、本実施形態において、気流制御板は矩形であったが、後述するように平面視で丸形などの他の形状であってもよい。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態による塗布モジュールについて図17を参照しながら説明する。この塗布モジュールは、第1の実施形態による塗布モジュール23(図5及び図6)における気流制御板63が、駆動部64でなく、他の駆動機構により駆動される点で、塗布モジュール23と相違し、その他の点でほぼ同一である。以下、相違を中心に本実施の形態による塗布モジュールを説明する。
【0113】
図17は、本実施の形態による塗布モジュールにおける気流制御板63と、気流制御板63を駆動する駆動部630とを示す概略斜視図である。図17に示すように、気流制御板63は第4のアーム610により保持されている。第4のアーム610は、リンク部63L及び支持ロッド63aを有しており、これらは互いに約90°の角度をなして結合されている。このため、X軸方向から見ると、第4のアーム610(リンク部63L及び支持ロッド63a)はほぼL字状の形状を有している。このため、リンク部63Lの長手方向が水平方向と一致するとき、支持ロッド63aはほぼ鉛直方向に延びており、支持ロッド63aに取り付けられる気流制御板63はほぼ直立している。ただし、リンク部63Lと支持ロッド63aとのなす角は、約90°に限定されることなく、適宜調整してよい。
【0114】
駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40に沿って移動可能なベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿って上下動可能にガイド部63vに対して設けられるモータ63mとを有している。モータ63mの回転シャフト(図示せず)は、第4のアーム610のリンク部63Lの一端側に結合されている。これにより、モータ63mにより、リンク部63Lはモータ63mの回転シャフトを中心に回動することができる。リンク部63Lの回動に伴って、支持ロッド63aひいては気流制御板63もまたモータ63mの回転シャフトを中心に回動することとなる。
【0115】
次に、図18を参照しながら、駆動部630による気流制御板63の動作を説明する。この動作は、図8(d)を参照しながら説明した、第1の実施の形態による塗布処理方法の第5の工程S5において行われる。
【0116】
図18(a)に示すように、気流制御板63は、始めに、駆動部630によって、カップ33内でスピンチャック31により保持されるウェハWに対し、少なくとも側方に離れた待機位置に配置されている。また、本実施の形態では、気流制御板63は待機位置において直立している。待機位置は、図7及び図8を参照しながら第1の実施の形態において説明した工程S1、S2、及びS4において、気流制御板63によってウェハWの上方の気流が乱されない程度にカップ33から離間していることが好ましい。ただし、気流制御板63とカップ33との間の離間距離を不要に大きくすると、塗布モジュールが大型化することにもなるため、塗布モジュールが設けられるスペースをも考慮して、離間距離を決定することが好ましい。
【0117】
次に、図18(b)に示すように、駆動部630のモータ63mがガイド部63vに沿って所定の位置まで上昇することにより、第4のアーム610(リンク部63L及び支持ロッド63a)が、待機位置より高い位置に配置される。次いで、図18(c)に示すように、モータ63mが起動し、その回転シャフトを回転することにより、第4のアーム610(リンク部63L及び支持ロッド63a)が時計回りに回動し、気流制御板63がウェハWの上方にほぼ水平に配置される。さらに、図18(d)に示すように、レール40に沿ってカップ33に近づくように駆動部630(ベース部63b)が移動することにより、気流制御板63は、ウェハWの径方向に沿って移動し、所定位置に配置される。
【0118】
ここで、気流制御板63のウェハWの表面からの高さ(図11(b)のHZ2を参照)は、モータ63mがガイド部63vに沿って上昇する上昇距離により調整することができる。また、気流制御板63の水平方向(Y軸方向)位置は、ベース部63bがレール40に沿って移動する移動距離により調整することができる。
【0119】
また、上述の第5の工程S5の終了後は、上記と反対の順番に従って、気流制御板63は待機位置に戻ることができる。
【0120】
以上のようにして所定位置に配置された気流制御板63によって、第1の実施の形態において説明した効果と同様の効果が発揮される。また、本実施の形態による塗布モジュールにおいては、気流制御板63が第4のアーム610により保持され、第4のアーム610が、互いに約90°の角度をなして結合されているリンク部63L及び支持ロッド63aにより構成されている。仮に、リンク部63Lがなく、支持ロッド63aがモータ63mに直接に取り付けられている場合には、モータ63m(並びに支持ロッド63a及び気流制御板63)がガイド部63vに沿って上昇する距離を長くする必要が生じる。すなわち、リンク部63Lが無い場合には、例えば、図18(c)に示すリンク部63Lとほぼ同じ高さまでモータ63mが移動しなければ、気流制御板63を所定の高さ(HZ2)に配置することができない。このため、気流制御板63は、モータ63mにより、リンク部63Lがある場合よりも高い位置まで上昇させなければならず、そのため塗布モジュール23のケーシング30(図5)を高くする必要が生じる。すなわち、リンク部63Lにより、塗布モジュール23が小型化され得る。
【0121】
なお、図18を参照しながら、気流制御板63が、順次、上昇し、回動し、水平方向に移動する例を説明したが、これに限定されることなく、例えば図19に示すように、上昇、回動、及び水平移動を同時に行ってもよい。すなわち、図19に示す例では、図19(a)に示す待機位置から始まって、図19(b)から図19(d)に示すように、モータ63mがガイド部63vに沿って上昇しつつ、モータ63mの回転シャフトが回転することにより第4のアーム610及び気流制御板63が時計回りに回動しつつ、ベース部63bがレール40に沿って水平方向に移動することにより、気流制御板63が所定位置に配置されてもよい。
【0122】
また、図18に示す例において、上昇及び水平移動の順番は変更してもよい。すなわち、ベース部63bがレール40に沿って右方向に移動し、所定の位置で停止してから、モータ63m、第4のアーム610、及び気流制御板63が上昇し、第4のアーム610及び気流制御板63を回動してもよい。
【0123】
また、駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40(図6参照)に沿って移動可能なベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿った所定の高さ位置に固定されるモータ63mとにより、構成されてもよい。これによれば、モータ63mを上昇させることなく、モータ63mによる回動と、ベース部63bの水平方向移動とにより、気流制御板63を所定位置に配置することが可能となる。しかも、モータ63mを上下動させる駆動部が不要となるという利点がある。
【0124】
また、駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40(図6参照)の所定の位置に固定されるベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿って上下動できるようガイド部63vに対して設けられるモータ63mとにより、構成されてもよい。これによれば、モータ63mのガイド部63vに沿って上下動と、モータ63mによる回動とにより、気流制御板63を所定位置に配置することが可能となる。したがって、モータ63mを水平方向に移動する駆動部が不要となるという利点がある。
【0125】
さらに、駆動部630は、Y軸方向に延びるレール40(図6参照)の所定の位置に固定されるベース部63bと、ベース部63b上に立設されるガイド部63vと、ガイド部63vに沿った所定の高さ位置に固定されるモータ63mとにより、構成されてもよい。これによれば、モータ63mによる回動のみによって、気流制御板63を所定位置に配置することが可能となる。
【0126】
(変形例)
以上、第1の実施の形態及び第3の実施の形態による塗布モジュールを説明したが、これらの塗布モジュールにおける気流制御板63は、以下のように変形することが可能である。
【0127】
例えば、気流制御板63は、矩形平板形状でなく、図20(a)に示すようにC字状に湾曲した平板の形状(又は、円弧形状若しくは半円環平板形状)を有してよい。このような形状であっても、ウェハWの上方空間における気流制御板63の下方の領域と気流制御板63が配置されていない領域とで、レジスト液中の溶媒濃度を通したレジスト膜の膜厚分布制御が可能となる。なお、気流制御板63は、C字形状に限らず、台形や三角形などの形状を有してもよい。
【0128】
また、図20(b)に示すように、気流制御板63の下面を平坦でなく、下面と、スピンチャック31により保持されるウェハWの表面との間隔を変化させてもよい。図示の例では、ウェハWの中心から外周に向かう方向に沿って、当該間隔が狭くなり、再び広くなるように気流制御板63の下面が湾曲している。このような下面形状によれば、気流制御板63の下面とウェハWの表面との間の空間におけるウェハWの外周側において、当該空間の気流の速度を大きくすることができるため、溶媒の揮発量の増大し、ウェハWの外周側においてレジスト膜を厚くすることが可能となる。なお、気流制御板63の下面が、湾曲面を有していることに限らず、例えば複数の傾斜平面を有することにより、下面とウェハWの表面との間隔が変化してもよい。
【0129】
さらに、図20(c)に示すように、気流制御板63をウェハWと平行ではなく、ウェハWの表面に対して傾斜させてもよい。このような傾斜は、第1の実施の形態において第3のアーム61に気流制御板63を所定の角度で傾けて取り付けることにより実現してもよく、第3の実施の形態においてモータ63mの回転シャフトの回転角度を調整することにより実現してもよい。
【0130】
図20(c)に示すようにウェハWの外周に向かう方向に沿って気流制御板63の下面とウェハWの表面との間隔が広くなる場合には、図20(b)を参照しながら説明したのと同様に、ウェハWの外周側での溶媒の揮発量を増大することができ、よって、ウェハWの外周側のレジスト膜を厚くすることができる。また、ウェハWの外周に向かう方向に沿って気流制御板63の下面とウェハWの表面との間隔が狭くなるように気流制御板63を傾けてもよい。これによれば、ウェハWの内周側での溶媒の揮発量を増大することができ、よって、ウェハWの内周側のレジスト膜を厚くすることができる。
【0131】
また、例えば図21(a)に示すように、気流制御板63に加えて、追加の気流制御板163を設けてもよい。具体的には、気流制御板163は、気流制御板63とほぼ同一のサイズを有しており、気流制御板63に対してウェハ外周側に離間して設けられている。より具体的には、気流制御板63は、これに限定されてないが例えば、気流制御板163は、ウェハ外周から内側に20mmの位置から外側に20mmの位置の上方の任意の位置に設けられると好ましい。このように配置される気流制御板163によれば、ウェハ最外周部におけるレジスト膜の膜厚を調整することが可能となる。
【0132】
また、図21(b)に示すように、矩形平板形状を有し、ウェハWの中心に対して対称に配置される気流制御板63と追加の気流制御板164とを設けてもよい。さらに、図21(c)に示すように、矩形平板形状を有する気流制御板63に加えて、C字状に湾曲した平板の形状(又は、円弧形状若しくは半円環平板形状)を有する気流制御板165を追加してもよい。
【0133】
なお、気流制御板163〜165は、気流制御板63と一体的に設け、気流制御板63と一体となって動作しても良いし、気流制御板63に対して設けられる駆動部61(又は610)と同様の駆動部を別途設け、気流制御板63と別個に動作してもよい。気流制御板163〜165に駆動部を別途設ける場合には、気流制御板163〜165は、例えば気流制御板63が所定位置に配置される前に、ウェハWの上方の所定の位置に配置されてよく、気流制御板63が所定位置に配置された後に、ウェハWの上方の所定の位置に配置されてもよい。例えば、気流制御板63を所定位置に配置することにより、ウェハ中心側から気流制御板63のウェハ外周側端部PE2の外側までの領域におけるレジスト膜の膜厚分布を調整し、次いで気流制御板163又は165を所定の位置に配置することにより、ウェハ最外周部におけるレジスト膜の膜厚分布を調整することが可能となる。
【0134】
また、気流制御板163〜165は、気流制御板63のウェハ表面からの高さと同じ高さに配置されて良く、異なる高さに配置されてもよい。また、図20(b)を参照しながら気流制御板63について説明したように、気流制御板163〜165の下面とウェハWの表面との間隔は変化してもよい。さらに、図20(c)を参照しながら気流制御板63について説明したように、気流制御板163〜165がウェハWの表面に対して傾斜することにより、気流制御板163〜165の下面とウェハWの表面との間隔が変化してもよい。また、気流制御板163〜165の形状は、例えば予備実験により求めたレジスト膜の膜厚分布に基づいて決定することが好ましい。
【0135】
次に、図21(a)に示す気流制御板63及び163による膜厚均一性の改善結果について説明する。
図22(a)は、固形成分(レジスト)濃度4.0%のレジスト液を用いて、300mmの直径を有するウェハにレジスト膜を形成したときのレジスト膜のウェハ面内膜厚分布を示すグラフである。横軸は、ウェハの直径方向に沿った位置を示し、縦軸は、膜厚を示している。グラフ中の点線は、比較のために気流制御板63も気流制御板163も用いずに形成したレジスト膜の膜厚分布を示し、実線は、気流制御板63及び163を用いて形成したレジスト膜の膜厚分布を示す。なお、ウェハ表面に供給したレジスト液の量は0.34ミリリットル(ml)とした。
【0136】
このグラフから分かるように、気流制御板63も気流制御板163も用いなかった場合には、レジスト膜の膜厚は、ウェハの中心(0mm)から外周へ向かう方向に減少し、ウェハの中心から約60〜70mmの位置にて最も薄くなった後、ウェハの外周に向かって増加している。これに対して、気流制御板63及び163を用いた場合には、ウェハの中心から約60〜70mmの位置における膜厚が増加し、ウェハの外周に近い位置(125〜140mmの位置)において膜厚が減少している。この結果、膜厚均一性は、気流制御板63も気流制御板163も用いなかった場合における1.22nm(最大膜厚−最小膜厚)から、気流制御板63及び163を用いた場合には0.62nmに改善されている。
【0137】
なお、気流制御板63及び163を用いた場合、気流制御板63によりウェハの中心から約60〜70mmの位置において膜厚が増加し、気流制御板163によりウェハの外周に近い位置において膜厚が減少したと考えることができる。
【0138】
図22(b)は、固形成分(レジスト)濃度3.5%のレジスト液を用いて、300mmの直径を有するウェハにレジスト膜を形成したときのレジスト膜のウェハ面内膜厚分布を、図22(a)と同様に示すグラフである。ウェハ表面に供給したレジスト液の量は0.33ミリリットル(ml)とした。
【0139】
図22(b)に示す結果では、気流制御板63及び163を使用した場合も使用しない場合も、ウェハの中心から約110〜135mmまでの位置においてレジスト膜の膜厚が増加している。しかし、ウェハの中心から約75mmまでの範囲においては、気流制御板63及び163を用いることにより膜厚が増加し、膜厚均一性が改善され得ることがわかる。また、ウェハの中心から約110〜135mmまでの位置においては、図22(a)に示す結果とは異なり、気流制御板163によっても膜厚は減少していないが、少なくとも大幅な増加は認められない。気流制御板163に代わり、図21(c)に示す気流制御板165を用いれば、ウェハの中心から約110〜135mmまでの位置において、より広範囲に気流を制御できるため、膜厚分布の改善が期待される。
【0140】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0141】
例えば、気流制御板63の待機位置は、スピンチャック31により保持されるウェハWに対して側方に離れている限りにおいて、スピンチャック31により保持されるウェハWの上方の所定位置と同じ高さであってもよく(第1の実施の形態)、その高さよりも高くても低くても良い。また、待機位置は、カップ33(又はスピンチャック31により保持されるウェハWの上面)と同じ高さでもよく、低くてもよい。このような位置は、第3の実施の形態における駆動部630により実現でき、また、第1の実施の形態における駆動部64に対して昇降機構を設けることによっても実現できる。また、待機位置においては気流制御板63は水平に(第1の実施の形態)又は鉛直に(第3の実施の形態)配置されるに限らず、水平方向に対して所定の角度で傾斜してよい。
【0142】
また、上記の実施の形態では、被処理基板として半導体ウェハが用いられたが、これに限らず他の基板、例えばフラットパネルディスプレイ用のガラス基板について本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0143】
23 塗布モジュール
31 スピンチャック
32 チャック駆動機構
43 レジスト液ノズル
63 気流制御板
64、630 駆動部
70 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理装置において、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板を回転させる回転部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の表面に塗布液を供給する供給部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の上方の所定位置に設けられており、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板と
を有する塗布処理装置。
【請求項2】
前記気流制御板は、前記基板の上方であって前記基板の回転軸から離れた前記所定位置に、前記基板に略平行になるように、設けられたものである、請求項1に記載の塗布処理装置。
【請求項3】
前記所定位置と、前記基板保持部により保持された前記基板に対して側方に離れた待機位置との間で前記気流制御板を移動させる駆動部を更に有する、請求項1又は2に記載の塗布処理装置。
【請求項4】
前記回転部の動作と前記供給部の動作とを制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記基板に前記供給部により塗布液を供給している間、又は、前記基板に前記供給部により塗布液を供給した後に、前記基板を前記回転部により回転させた状態で、前記所定位置に設けられた前記気流制御板により、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるように制御するものである、請求項1から3のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項5】
前記回転部の動作と前記供給部の動作とを制御する制御部を有し、
前記気流制御板は、前記所定位置に移動可能に設けられており、前記所定位置に配置されたときに、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるものであり、
前記制御部は、
前記基板を前記回転部により第1の回転速度で回転させた状態で、前記供給部により前記基板の表面に塗布液を供給し、次に、
前記基板を、前記回転部により、前記第1の回転速度よりも低い第2の回転速度に減速する時点又は前記第2の回転速度で回転させた状態で塗布液の供給を停止し、
前記基板を、前記回転部により、前記第2の回転速度よりも高い第3の回転速度で回転させるように制御するものであって、
前記基板の表面への塗布液の供給を停止した後、前記気流制御板を前記駆動部により前記所定位置に移動させることによって、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるように制御するものである、請求項1から3のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第3の回転速度で回転を開始した後、前記基板を前記第3の回転速度よりも低い第4の回転速度で回転させ、前記第4の回転速度で基板を回転している間に前記移動部により前記気流制御板を前記所定位置に配置することにより、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるように制御するものである、請求項5に記載の塗布処理装置。
【請求項7】
前記気流制御板を前記所定位置に配置しているときの前記基板の回転速度が50〜100rpmである、請求項4から請求項6のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項8】
前記気流制御板は、矩形平板状に形成されたものである、請求項1から請求項7のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項9】
前記基板保持部に保持された前記基板の上方において前記気流制御板から離間して設けられ、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる追加の気流制御板を更に備える、請求項1から8のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項10】
基板上にレジスト膜を含む塗布膜を形成する塗布装置であって、請求項1から請求項9のいずれかに記載される塗布処理装置と、
前記塗布処理装置により形成された前記塗布膜を、当該塗布膜が露光された後に、現像する現像装置と
を備えた塗布現像処理システム。
【請求項11】
回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、
前記基板に塗布液を供給している間、又は、前記基板に塗布液を供給した後に、前記基板を回転させた状態で、前記基板の上方の所定位置に設けられた気流制御板により、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法。
【請求項12】
回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給された塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、
前記基板を第1の回転速度で回転させた状態で、前記基板の表面に塗布液を供給する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記基板を、前記第1の回転速度よりも低い第2の回転速度に減速する時点又は前記第2の回転速度で回転させた状態で塗布液の供給を停止する第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記基板を、前記第2の回転速度よりも高い第3の回転速度で回転させる第3の工程と
を有し、
前記基板の表面への塗布液の供給を停止した後、前記基板の上方の所定位置に移動可能に設けられた気流制御板を、移動部により前記所定位置に移動させることによって、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法。
【請求項13】
前記第3の工程は、
前記第3の回転速度で前記基板を回転させる第4の工程と、
前記第4の工程の後、前記基板を前記第3の回転速度よりも低い第4の回転速度で回転させる第5の工程と
を含み、
前記第5の工程において、前記第4の回転速度で基板を回転している間に前記移動部により前記気流制御板を前記所定位置に配置することにより、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、請求項12に記載の塗布処理方法。
【請求項14】
前記気流制御板を前記所定位置に配置しているときの前記基板の回転速度が50〜100rpmである、請求項11から請求項13のいずれかに記載の塗布処理方法。
【請求項15】
請求項11から請求項14のいずれかに記載の塗布処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理装置において、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板を回転させる回転部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の表面に塗布液を供給する供給部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の上方の所定位置に設けられており、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる気流制御板と
を有する塗布処理装置。
【請求項2】
前記気流制御板は、前記基板の上方であって前記基板の回転軸から離れた前記所定位置に、前記基板に略平行になるように、設けられたものである、請求項1に記載の塗布処理装置。
【請求項3】
前記所定位置と、前記基板保持部により保持された前記基板に対して側方に離れた待機位置との間で前記気流制御板を移動させる駆動部を更に有する、請求項1又は2に記載の塗布処理装置。
【請求項4】
前記回転部の動作と前記供給部の動作とを制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記基板に前記供給部により塗布液を供給している間、又は、前記基板に前記供給部により塗布液を供給した後に、前記基板を前記回転部により回転させた状態で、前記所定位置に設けられた前記気流制御板により、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるように制御するものである、請求項1から3のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項5】
前記回転部の動作と前記供給部の動作とを制御する制御部を有し、
前記気流制御板は、前記所定位置に移動可能に設けられており、前記所定位置に配置されたときに、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるものであり、
前記制御部は、
前記基板を前記回転部により第1の回転速度で回転させた状態で、前記供給部により前記基板の表面に塗布液を供給し、次に、
前記基板を、前記回転部により、前記第1の回転速度よりも低い第2の回転速度に減速する時点又は前記第2の回転速度で回転させた状態で塗布液の供給を停止し、
前記基板を、前記回転部により、前記第2の回転速度よりも高い第3の回転速度で回転させるように制御するものであって、
前記基板の表面への塗布液の供給を停止した後、前記気流制御板を前記駆動部により前記所定位置に移動させることによって、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるように制御するものである、請求項1から3のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第3の回転速度で回転を開始した後、前記基板を前記第3の回転速度よりも低い第4の回転速度で回転させ、前記第4の回転速度で基板を回転している間に前記移動部により前記気流制御板を前記所定位置に配置することにより、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させるように制御するものである、請求項5に記載の塗布処理装置。
【請求項7】
前記気流制御板を前記所定位置に配置しているときの前記基板の回転速度が50〜100rpmである、請求項4から請求項6のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項8】
前記気流制御板は、矩形平板状に形成されたものである、請求項1から請求項7のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項9】
前記基板保持部に保持された前記基板の上方において前記気流制御板から離間して設けられ、前記回転部により回転する前記基板の上方の気流を任意の位置で局所的に変化させる追加の気流制御板を更に備える、請求項1から8のいずれかに記載の塗布処理装置。
【請求項10】
基板上にレジスト膜を含む塗布膜を形成する塗布装置であって、請求項1から請求項9のいずれかに記載される塗布処理装置と、
前記塗布処理装置により形成された前記塗布膜を、当該塗布膜が露光された後に、現像する現像装置と
を備えた塗布現像処理システム。
【請求項11】
回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給した塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、
前記基板に塗布液を供給している間、又は、前記基板に塗布液を供給した後に、前記基板を回転させた状態で、前記基板の上方の所定位置に設けられた気流制御板により、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法。
【請求項12】
回転する基板の表面に塗布液を供給し、供給された塗布液を前記基板の外周側に拡散させることによって、前記基板の表面に塗布液を塗布する塗布処理方法において、
前記基板を第1の回転速度で回転させた状態で、前記基板の表面に塗布液を供給する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記基板を、前記第1の回転速度よりも低い第2の回転速度に減速する時点又は前記第2の回転速度で回転させた状態で塗布液の供給を停止する第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記基板を、前記第2の回転速度よりも高い第3の回転速度で回転させる第3の工程と
を有し、
前記基板の表面への塗布液の供給を停止した後、前記基板の上方の所定位置に移動可能に設けられた気流制御板を、移動部により前記所定位置に移動させることによって、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、塗布処理方法。
【請求項13】
前記第3の工程は、
前記第3の回転速度で前記基板を回転させる第4の工程と、
前記第4の工程の後、前記基板を前記第3の回転速度よりも低い第4の回転速度で回転させる第5の工程と
を含み、
前記第5の工程において、前記第4の回転速度で基板を回転している間に前記移動部により前記気流制御板を前記所定位置に配置することにより、回転する前記基板の上方の気流を局所的に変化させる、請求項12に記載の塗布処理方法。
【請求項14】
前記気流制御板を前記所定位置に配置しているときの前記基板の回転速度が50〜100rpmである、請求項11から請求項13のいずれかに記載の塗布処理方法。
【請求項15】
請求項11から請求項14のいずれかに記載の塗布処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−238838(P2012−238838A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−49740(P2012−49740)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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