説明

塗布工具

【課題】スロットの幅を自動制御可能な塗布工具を提供する。
【解決手段】複数のヘッド部材を備え、溝状のスロットが画成された塗布ヘッドと、前記ヘッド部材のうち内側面とは反対側の外側面または前記内側面に連なる先端面に設けられた凹溝に収容され、この凹溝の側壁面を押圧して前記スロットの幅を調整する調整ユニット30と、この調整ユニット30による前記凹溝の側壁面への押圧力を制御する制御手段40と、を有し、調整ユニット30は、内部に流体が封入された流体圧室34と、この流体圧室34の流体圧によって前記凹溝の側壁面を押圧する押圧部32Aと、流体圧室34の流体圧を変化させる操作部35と、を備えており、制御手段40は、流体圧室34の流体圧を検知する圧力検知部41と、この圧力検知部41で検知された流体圧と予め設定された設定圧力範囲とを比較して操作部35へ指令を与える指令部42と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状部材またはパネル状部材などの被塗布部材の表面に、塗布液を塗布する際に使用される塗布工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状部材またはパネル状部材の表面に塗布液を薄く均一に塗布して、塗膜層を形成する塗布装置に装着される塗布工具として、例えば一対のヘッド部材から構成された塗布ヘッドを備え、一対のヘッド部材の互いに対向する内側面同士の間に、塗布液が供給されるポケットと、このポケットから先端側に向けて延びて塗布ヘッドの先端に開口する溝状のスロットとが画成されたものが提供されている。
【0003】
このような塗布工具は、塗布ヘッドをシート状部材(被塗布部材)に対向するように、かつ、塗布ヘッドの長手方向をシート状部材の幅方向に一致させるようにして配置し、シート状部材に対して塗布液を塗布して塗膜を形成したり、塗布ヘッドを、その先端部を下向きにしてパネル状部材(被塗布部材)の上方に配置し、塗布ヘッドをパネル状部材に当接させながら塗布ヘッドを移動させることで、パネル状部材に塗布液を塗布して塗膜を形成したりするものである。
【0004】
このような塗布ヘッドを備えた塗布工具で塗布される塗布液としては、液晶ディスプレイ用のカラーペーストやカラーフィルタ用のレジスト剤などが挙げられる。ここで、シート状部材やパネル状部材などに安定した塗膜を形成させるためには、塗布作業において塗布液を均一に塗布することが重要であり、塗布ヘッドのスロットの幅を精度よく調整する必要があった。
【0005】
これに対して、特許文献1、2には、スロットの幅を調整するための調整手段を備えた塗布工具が提案されている。これらの塗布工具においては、調整手段によってスロットの幅を予め調整しておき、塗布液を安定して塗布するものである。
【特許文献1】特開平9−131561号公報
【特許文献2】特許第3501159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の塗布工具においては、使用開始時にスロットの幅を所定値に設定しておいても、時間が経過するに連れてスロットの幅が変化して、塗布液を安定して塗布することができなくなってしまうことがあった。ここで、スロットの幅を所定値にもどすためには、一度、塗布作業を中断してスロットの幅の再調整を行う必要があり、作業効率が大幅に低下してしまうといった問題があった。
【0007】
このようなことから、スロットの幅を自動制御可能な塗布工具が強く望まれている。しかしながら、このような塗布工具においては、塗布作業中にスロットの幅を連続的に測定することができないため、スロットの幅の変化量が分からず、スロットの幅の自動制御は非常に困難であった。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、スロットの幅を自動制御可能な塗布工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の塗布工具は、複数のヘッド部材を備え、これら複数のヘッド部材における互いに対向する内側面同士の間に、前記ヘッド部材の先端に開口して前記ヘッド部材の長手方向に延びる溝状のスロットが画成された塗布ヘッドと、前記ヘッド部材のうち前記内側面とは反対側の外側面または前記内側面に連なる先端面に設けられた凹溝に収容され、この凹溝の側壁面を押圧して前記スロットの幅を調整する調整ユニットと、この調整ユニットによる前記凹溝の側壁面への押圧力を制御する制御手段と、を有し、前記調整ユニットは、内部に流体が封入された流体圧室と、この流体圧室の流体圧によって前記凹溝の側壁面を押圧する押圧部と、前記流体圧室の流体圧を変化させる操作部と、を備えており、前記制御手段は、前記流体圧室の流体圧を検知する圧力検知部と、この圧力検知部で検知された流体圧と予め設定された設定圧力範囲とを比較して前記操作部へ指令を与える指令部と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
この構成の塗布工具では、スロットを画成するヘッド部材に凹溝が設けられ、この凹溝内に凹溝の側壁面を押圧してスロットの幅を調整する調整ユニットが収容されており、この調整ユニットが、内部に流体が封入された流体圧室と、流体圧室の流体圧によって前記凹溝の側壁面を押圧する押圧部とを備えているので、スロットの幅が変化した際に凹溝の側壁面の変位に伴って押圧部の位置も変位して流体圧室の流体圧が変動することになる。よって、この流体圧室内の流体圧を検知することでスロットの幅の変化を検出することが可能となる。
そして、調整ユニットによる前記凹溝の側壁面への押圧力を制御する制御手段が、流体圧室内の流体圧を検知する圧力検知部と、この圧力検知部で検知された流体圧と予め設定された設定圧力範囲とを比較して前記操作部へ指令を与える指令部と、を備えているので、流体圧室の流体圧を設定圧力範囲内となるように操作部へ指令を与えることで、スロットの幅を自動制御することができる。
【0011】
ここで、前記操作部を、前記流体圧室内に封入された流体を圧縮するピストンと、このピストンを進退自在に駆動させる駆動部と、を有するものとしてもよい。
この場合、指令部により、流体圧室内の流体圧と設定圧力範囲とを比較して前記操作部に対してピストンの進退量を指令することで、流体圧室の容積を変更して流体圧を調整することができる。これにより、調整ユニットによる前記凹溝の側壁面への押圧力を制御してスロットの幅の調整を行うことができる。
【0012】
また、前記調整ユニットを、前記凹溝内の長手方向の任意の位置に移動及び固定可能な構成としてもよい。
この場合、使用状況によってスロットの幅が経時的に変化しやすい長手方向位置にこの調整ユニットを配設することが可能となり、スロットの幅の自動制御を精度よく行うことができる。
【0013】
さらに、前記スロットから吐出される塗布液の膜厚、温度及び流量、前記スロットの幅、並びに前記スロット先端と被塗布物との間の距離のうち少なくとも1つを測定する測定手段と、この測定手段による測定値に基いて前記指令部における前記設定圧力範囲を補正する補正手段と、を備えていてもよい。
前記スロットから吐出される塗布液の膜厚、温度及び流量、前記スロットの幅、並びに前記スロット先端と被塗布物との間の距離のうち少なくとも1つの測定値に基いて設定圧力範囲を補正することで、スロットの幅をより精度よく調整することが可能となる。なお、測定手段による測定はリアルタイムに行う必要はなく、一定間隔をおいて測定して設定圧力範囲の補正を行ってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スロットの幅を自動制御可能な塗布工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。図1および図2に、本発明の実施形態である塗布工具に備えられた塗布ヘッド1を示す。また、図3に塗布ヘッド1に配設される調整ユニット30を示す。
この塗布ヘッド1は、長手方向(図1において左右方向)に延びる一対のヘッド部材10、20によって構成されている。
【0016】
一方のヘッド部材10は、他方のヘッド部材20側を向く内側面11のうちの先端側(図1および図2において上側)部分がスロット面11aとされ、後端側(図1および図2において下側)部分が当接面11bとされており、スロット面11aと当接面11bとの間には、前記長手方向に向けて延びる断面半円をなすポケット溝14が形成されている。ここで、スロット面11aと当接面11bとは互いに平行に、かつ、スロット面11aが前記当接面11bよりも僅かに外方(他方のヘッド部材20から離間する方向)に後退した位置となるように配置されている。
また、一方のヘッド部材10には、当接面11bに開口するとともに当接面11bに対して直交する方向に延びるボルト孔15が、長手方向に一定間隔をあけて複数(本実施形態では6つ)設けられている。
【0017】
他方のヘッド部材20は、一方のヘッド部材10側を向く内側面21が一様に平坦に形成されており、一方のヘッド部材10のスロット面11aと対向する部分がスロット面21aとされ、一方のヘッド部材10の当接面11bと当接される部分が被当接面21bとされている。また、他方のヘッド部材20には、被当接面21bに開口するとともに被当接面21bに対して直交する方向に延びて他方のヘッド部材20を貫通するボルト挿通孔24が、長手方向に一定間隔をあけて複数(本実施形態では6つ)設けられている。このボルト挿通孔24のうち他方のヘッド部材20の外側面22に開口した部分には、前記ボルト挿通孔24よりも一段大径の座ぐり孔25が設けられている。
【0018】
これら一対のヘッド部材10、20が互いに対向するように、かつ、一方のヘッド部材10の当接面11bと他方のヘッド部材20の被当接面21bとが互いに密着するようにして配置され、前記ボルト孔15の軸線とボルト挿通孔24の軸線とが一致させられる。そして、ボルト挿通孔24に挿通された結合ボルト2がボルト孔15に螺着されることにより、これら一対のヘッド部材10、20が締結される。すると、一方のヘッド部材10のスロット面11aと他方のヘッド部材20のスロット面21aとの間には僅かな空隙が形成され、塗布ヘッド1の先端側に向けて開口されたスロット3が画成される。また、ポケット溝14と他方のヘッド部材20の内側面21とによってポケット4が画成される。これらスロット3およびポケット4は、ヘッド部材10、20の長手方向に延びるように画成されており、スロット3の後端部分がポケット4に連通されている。
【0019】
また、ヘッド部材10、20の先端面13、23は、ヘッド部材10、20の長手方向に直交する断面において図2に示すように、外側面12、22から内側面11、21へと向かうにしたがい先端側に突出するように傾斜された傾斜面とされ、スロット3部分がさらに先端側に向けて突出した形状とされている。
【0020】
そして、他方のヘッド部材20の外側面22には、この外側面22に直交する方向に向けて凹んだ凹溝26が前記長手方向に延びるように設けられている。この凹溝26は、断面コの字状をなしており、一対の側壁面27A、27Bと底面28とを備えている。この凹溝26が設けられることにより、他方のヘッド部材20のスロット面21a後端部分の肉厚が薄くされている。
また、一対の側壁面27A、27Bは、これら一対の側壁面27A、27B同士の間の距離(スロット3の延在方向の距離)が凹溝26の開口部(外側面22)向かうにしたがい漸次小さくなるように、互いに傾斜させられている。
【0021】
この凹溝26には、図2および図3に示すように、塗布ヘッド1の長手方向に延びる概略直方体状をなす調整ユニット30が挿入されている。
調整ユニット30は、凹溝26の一対の側壁面27A、27Bのそれぞれに密着させられる一対の押圧面32A、32Bと、凹溝26の底面28に接触させられる背面31と、凹溝26の開口部側を向く前面33とを備えている。
【0022】
また、調整ユニット30の一対の押圧面32A、32Bは、これら一対の押圧面32A、32B同士の間の距離(スロット3の延在方向の距離)が前面33側に向かうにしたがい漸次小さくなるように、互いに傾斜させられている。そのため、調整ユニット30は、凹溝26内を凹溝26の長手方向に沿って移動可能とされているものの、凹溝26の開口部から抜け落ちることがないように構成されている。
【0023】
この調整ユニット30において、スロット3の延在方向を向く一対の押圧面32A、32Bのうち、塗布ヘッド1の先端側を向く一方の押圧面32Aを含む部分の内部に、流体としての油が封入される流体圧室34が形成されており、この流体圧室34の存在によって、一方の押圧面32Aを含む部分が薄肉化されて弾性変形可能とされている。
調整ユニット30には、流体圧室34内の流体圧(本実施形態では油圧)を変化させる操作部35が設けられている。この操作部35は、流体圧室34の容量を調整するピストン36と、このピストン36を進退可能に駆動させる駆動部37を備えている。本実施形態では、駆動部37は、モータ38と、モータ38の回転運動を直線運動に変換するギア39と、を備えており、モータ38を回転駆動させることでピストン36を進退させることができるように構成されている。
【0024】
また、この塗布工具は、調整ユニット30による凹溝26の側壁面27Aへの押圧力を制御する制御手段40を有している。
この制御手段40は、図4に示すように、流体圧室34の流体圧(油圧)を検知する圧力センサ41と、この圧力センサ41で検知された流体圧Pに基いて操作部35のモータ38へと指令を与える指令部42と、を備えている。指令部42では、スロット3の幅に応じて予め設定圧力範囲が設定されており、この設定圧力範囲と圧力センサ41で検知された流体圧Pとを比較し、流体圧Pが設定圧力範囲内となるようにモータ38へと指令を与え、ピストン36を進退させる構成とされている。
【0025】
このような構成の塗布ヘッド1を備えた塗布工具は、予めスロット3の幅が調整されるとともに、このスロット3の幅に応じた設定圧力範囲が設定される。このようにスロット3の幅が調整された後に、塗布装置に取り付けられて塗布作業に使用される。塗布作業においては、塗布装置から図示しない供給口を通じて塗布ヘッド1内に塗布液が供給され、塗布液はポケット4に充満することで塗布ヘッド1の長手方向に広がり、ポケット4に連通されたスロット3を通過して塗布ヘッド1の先端、つまりスロット3の開口端から吐出され、この塗布ヘッド1に対して相対的に移動する被塗布部材の表面に塗布される。
【0026】
塗布作業を続けている間に、スロット3の幅が変化した場合には、凹溝26の一方の側壁面27Aもスロット3の延在方向に移動することになる。この移動に伴って一方の側壁面27Aに密着させられている押圧面32Aが弾性変形し、流体圧室34の容量が変化するので流体圧室34の流体圧(油圧)が変動することになる。よって、流体圧室34の流体圧Pを圧力センサ41によって監視することでスロット3の幅の変動をリアルタイムに検知することが可能となる。
【0027】
この塗布工具におけるスロット3の幅の自動制御について、図5に示すフロー図を用いて説明する。
流体圧室34の流体圧Pを圧力センサ41によってリアルタイムに監視し、流体圧Pと予め設定された設定圧力範囲とを比較する。そして、流体圧Pが予め設定された設定圧力範囲を超えた場合には、指令部42からモータ38へと指令が与えられ、ピストン36が所定量進退され、流体圧Pが設定圧力範囲内となるように調整される。これにより、スロット3の幅が所定幅となる。
【0028】
本実施形態である塗布工具によれば、スロット3を画成するスロット面21aを備えた他方のヘッド部材20の外側面22に長手方向に延びる凹溝26が設けられ、この凹溝26内に凹溝26の側壁面27Aを押圧してスロット3の幅を調整する調整ユニット30が収容されているので、この調整ユニット30によってスロット3の幅を精度よく調整することができる。
【0029】
また、操作部35が、流体圧室34内に封入された油を圧縮するピストン36と、このピストン36を進退自在に駆動させる駆動部37と、を有しているので、モータ38の回転を制御することでピストン36の進退量を調整して、流体圧室34の容積を変更して流体圧Pを調整することができる。これにより、調整ユニット30による凹溝26の側壁面27Aへの押圧力を制御してスロット3の幅の調整を精度よく行うことができる。
【0030】
また、調整ユニット30による凹溝26の側壁面27Aへの押圧力を制御する制御手段40が、流体圧室34内の流体圧Pを検知する圧力センサ41と、この圧力センサ41で検知された流体圧Pと予め設定された設定圧力範囲とを比較して操作部35へ指令を与える指令部42と、を備えているので、流体圧室34の流体圧Pを設定圧力範囲内となるように操作部35へ指令を与えることで、スロット3の幅を自動制御することができる。
【0031】
さらに、このような調整ユニット30が、凹溝26内の長手方向の任意の位置に移動及び固定可能とされているので、使用状況によってスロット3の幅が経時的に変化しやすい長手方向位置にこの調整ユニット30を配設することが可能となり、スロット3の幅の自動制御を精度よく行うことができる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2の実施形態である塗布工具の制御手段40は、図6に示すように、塗布液の温度を測定する温度センサ45と、この温度センサ45による測定値に基いて設定圧力範囲を補正する補正手段46とを備えている。
【0033】
この塗布工具におけるスロット3の幅の自動制御について、図7に示すフロー図を用いて説明する。
流体圧室34内の流体圧Pを圧力センサ41によってリアルタイムに監視するとともに、スロット3を通過する塗布液の温度を温度センサ45で測定している。なお、温度センサ45による測定は、リアルタイムに行わずに一定の間隔で行ってもよい。ここで、塗布液の温度が許容範囲を超えた場合には、補正手段46により設定圧力範囲を補正する。そして、流体圧Pと補正された設定圧力範囲とを比較し、流体圧Pが設定圧力範囲を超えた場合には、指令部42からモータ38へと指令が与えられ、ピストン36が所定量進退され、流体圧Pが設定圧力範囲内となるように調整される。
【0034】
この第2の実施形態である塗布工具においては、塗布液の温度に応じて補正手段46によって設定圧力範囲を補正することでスロット3の幅を変更することが可能となる。
ここで、塗布液の温度変化によってスロット3の開口端から吐出される塗布液の膜厚が変動することがあるため、塗布液の温度に応じてスロット3の幅を変更することにより、膜厚を一定として安定な塗布作業を行うことができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、凹溝を他方のヘッド部材の外側面に形成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、他方のヘッド部材の先端面に凹溝を形成してもよい。
【0036】
さらに、2つのヘッド部材により塗布ヘッドを構成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、3つ以上のヘッド部材により塗布ヘッドを構成してもよい。この場合、塗布ヘッドの長手方向と交差する方向において両端に位置するヘッド部材の少なくともいずれか一方に前記凹溝が形成され、調整ユニットが配設されていればよい。
【0037】
また、第2の実施形態において、塗布液の温度を測定する温度センサと、この温度センサの測定値に基いて設定圧力範囲を補正する補正手段と、を備えたものとして説明したが、塗布液の膜厚、温度及び流量、前記スロットの幅、並びにスロット先端と被塗布物との間の距離のうち少なくとも1つを測定する測定手段と、この測定手段の測定値に基いて設定圧力範囲を補正する補正手段とを備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態である塗布工具に使用される塗布ヘッドの側面図である。
【図2】図1におけるX−X断面図である。
【図3】図2における調整ユニット部分の拡大図である。
【図4】図1に示す塗布工具のブロック図である。
【図5】図1に示す塗布工具に備えられた制御手段のフロー図である。
【図6】本発明の第2の実施形態である塗布工具のブロック図である。
【図7】図6に示す塗布工具に備えられた制御手段のフロー図である。
【符号の説明】
【0039】
1 塗布ヘッド
3 スロット
10 一方のヘッド部材
20 他方のヘッド部材
26 凹溝
27A 側壁面
30 調整ユニット
32A 一方の押圧面(押圧部)
34 流体圧室
35 操作部
36 ピストン
37 駆動部
40 制御手段
41 圧力センサ(圧力検知部)
42 指令部
45 温度センサ(測定手段)
46 補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヘッド部材を備え、これら複数のヘッド部材における互いに対向する内側面同士の間に、前記ヘッド部材の先端に開口して前記ヘッド部材の長手方向に延びる溝状のスロットが画成された塗布ヘッドと、
前記ヘッド部材のうち前記内側面とは反対側の外側面または前記内側面に連なる先端面に設けられた凹溝に収容され、この凹溝の側壁面を押圧して前記スロットの幅を調整する調整ユニットと、
この調整ユニットによる前記凹溝の側壁面への押圧力を制御する制御手段と、を有し、
前記調整ユニットは、内部に流体が封入された流体圧室と、この流体圧室の流体圧によって前記凹溝の側壁面を押圧する押圧部と、前記流体圧室の流体圧を変化させる操作部と、を備えており、
前記制御手段は、前記流体圧室の流体圧を検知する圧力検知部と、この圧力検知部で検知された流体圧と予め設定された設定圧力範囲とを比較して前記操作部へ指令を与える指令部と、を備えていることを特徴とする塗布工具。
【請求項2】
前記操作部は、前記流体圧室内に封入された流体を圧縮するピストンと、このピストンを進退自在に駆動させる駆動部と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の塗布工具。
【請求項3】
前記調整ユニットは、前記凹溝内の長手方向の任意の位置に移動及び固定可能とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布工具。
【請求項4】
前記スロットから吐出される塗布液の膜厚、温度及び流量、前記スロットの幅、並びに前記スロット先端と被塗布物との間の距離のうち少なくとも1つを測定する測定手段と、この測定手段による測定値に基いて前記設定圧力範囲を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の塗布工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−212775(P2008−212775A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50027(P2007−50027)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(591173235)セントラル技研工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】