説明

塗布装置、及び無端ベルトの製造方法

【課題】芯体上にむらなく均一に塗液を塗布することが可能な塗布装置、及び膜厚が均一な無端ベルトを製造する無端ベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布させる芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体上縁に設置され、該環状体の外周部から前記塗布槽上縁までの領域を覆う、覆いを更に具備していることを特徴とする塗布装置、並びにこの塗布装置を用いて、前記芯体表面に皮膜形成用塗液を塗布した後、乾燥、加熱硬化、焼成の何れか、又は全ての処理を施して皮膜を形成し、芯体から該皮膜を取り外すことを特徴とする無端ベルトの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯体上にむらなく均一に塗液を塗布することが可能な塗布装置、及び該塗布装置を用いて塗液を塗布する工程を有する無端ベルトの製造方法。該製造方法により得られる無端ベルトは、特に複写機、プリンター等の電子写真方式を利用した画像形成装置に好ましく用いられる。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、感光体、帯電体、転写体、及び定着体等の小型/高性能化のために、肉厚が薄いプラスチック製フィルムからなるベルトが用いられる場合がある。その場合、ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目の跡が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトが好ましい。無端ベルトの材料としては、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂が好ましい。(以下、ポリイミドはPI、ポリアミドイミドはPAIと略す場合がある。)
【0003】
PI樹脂で無端ベルトを作製するには、円筒体の内面にPI前駆体溶液を塗布し、回転しながら乾燥させる遠心成形法(例えば、特許文献1参照)、円筒体内面にPI前駆体溶液を展開する内面塗布法(例えば、特許文献2参照)が知られているが、これら円筒体の内面に成膜する方法では、PI前駆体の加熱の際に、皮膜を円筒体から抜いて芯体に載せ換える必要があり、工数がかかるという短所がある。
【0004】
他のPI樹脂無端ベルトの製造方法として、芯体の表面に、浸漬塗布法によってPI前駆体溶液を塗布して乾燥し、加熱反応させた後、PI樹脂皮膜を芯体から剥離する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、塗布による塗膜形成工程から、加熱反応させる皮膜形成工程まで、芯体は一貫して同じものが使用され、載せ換える工数が不要という利点を有している。ところが、PI樹脂の前駆体溶液は非常に粘度が高く、前記浸漬塗布法で芯体上に塗布しようとすると、膜厚が所望値より厚くなりすぎることがある。
【0005】
これに対して、環状体により、塗液の膜厚を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
環状体を用いて塗布をする場合、塗膜の厚さは芯体と環状体の円孔との間隙によって規制される。但し、溶剤乾燥後の塗膜の厚さは、固形分濃度によって異なるので、塗布する塗液の固形分濃度は均一でなくてはならない。ところが、塗液が高粘度である場合には、溶液の撹拌が困難になるため、溶剤の蒸発があると、塗液の固形分濃度が不均一になり、結果として膜厚が不均一になる場合があり、更なる改善が望まれている。
【0006】
また、上述の塗布装置で塗布を行った後、例えば夜間に停止状態にすると、塗布時に環状体上面にて盛り上がっていた塗液が、環状体の上面にたまったまま残るが、この液だまりが芯体と円孔との間隙部において、塗液中の溶剤の蒸発あるいは空気中の水分の影響により、部分的に固化してしまうことがあった。これは溶剤が常温で揮発しにくく、かつ空気中の水分により溶液が固まる性質を有するためである。このような状態になると、環状体の内側に固化した塗液が異物として存在することになり、塗布した際に筋状に皮膜の薄い部分が存在してしまい(以後、「軸方向筋」という場合がある。)、結果として膜厚が不均一になる場合があり、更なる改善が望まれている。
【0007】
一方、塗布時には環状体をある程度浮き上がらせることが必要であるが、塗布が終了すると環状体が塗液中に降下して、その際に気泡を巻き込むことがある。塗液中に気泡が混入すると、次に塗布したときに気泡が皮膜に付着し、膜厚が不均一になる場合があり、更なる改善が望まれている。
【0008】
また、塗液の必要量を削減するため、環状塗布装置を用いる方法がある。図12は、従来の環状塗布装置の停止時の概略断面図である。図12において、環状塗布槽7の底部に、芯体の外径より若干小さい穴を有する環状シール材8を設け、芯体1を環状シール材8の中心に挿通させ、環状塗布槽7に塗液2を収容する。これにより、塗液2は漏れることがない。芯体1への塗液2の塗布時には、図13に示すように、芯体1の下に他の芯体1’をつなぎ、芯体1を環状塗布槽7の下部から上部に押し上げて、環状体5の孔6を通ることにより、芯体1の表面に塗膜4を形成する。他の芯体1’は、ベルトを作製しない中間体であってもよい。
このような環状塗布装置では、環状塗布槽7を従来の浸漬塗布槽よりも小さくできるので、塗液2の必要量が少なくて済む利点がある。
【0009】
上述の環状塗布装置では、環状塗布槽7内で短時間に溶液が流れればよいが、実際には底部の角の部分に塗液2の溜まりが起こるので、溶液を追加すると不均一が生じてしまうことがあった。また、溶液の必要量をさらに減少させることも望まれている。
更に、芯体1への塗液2の塗布を続けると、塗液2が減少し、塗液2を更に供給する必要があるが、塗液2の供給の際に、芯体と環状体の円孔との間隙に異物や気泡が入り込んでしまい、結果として膜厚が局所的に不均一になる場合があり、更なる改善が望まれている。
【0010】
【特許文献1】特開昭57−74131号公報
【特許文献2】特開昭62−19437号公報
【特許文献3】特開昭61−273919号公報
【特許文献4】特開2002−91027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、芯体上にむらなく均一に塗液を塗布することが可能な塗布装置、及び膜厚が均一な無端ベルトを製造する無端ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、下記の本発明により達成される。
即ち、本発明は、
<1> 塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体上縁に設置され、該環状体の外周部から前記塗布槽上縁までの領域を覆う、覆いを更に具備していることを特徴とする塗布装置である。
【0013】
<2> 塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体の上面における内周部側縁部が、鉛直方向で最上部になることを特徴とする塗布装置である。
【0014】
<3> 塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体の外周部が、鉛直方向で下に向かってテーパ形状となっていることを特徴とする塗布装置である。
【0015】
<4> 塗液を貯留し、該塗液を塗布する芯体の外径よりも小さい穴を持つ環状シール材を底部に有する環状塗布槽と、前記芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記芯体を、前記環状シール材の穴に通し、芯体の軸方向を垂直にして、前記塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記塗布槽の底面が、環状シール材側が鉛直方向で下となる傾斜面を有していることを特徴とする塗布装置である。
【0016】
<5> 塗液を貯留し、該塗液を塗布する芯体の外径よりも小さい穴を持つ環状シール材を底部に有する環状塗布槽と、前記芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記芯体を、前記環状シール材の穴に通し、体の軸方向を垂直にして、前記塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、更に、前記環状体の底部に遮へい板を具備していることを特徴とする塗布装置である。
<6> 更に、前記環状塗布槽の側部に前記該塗液を供給する供給口を具備していることを特徴とする<5>に記載の塗布装置である。
【0017】
<7> <1>〜<6>の何れか1つに記載の塗布装置を用いて、前記芯体表面に皮膜形成用塗液を塗布した後、乾燥、加熱硬化、焼成の何れか、又は全ての処理を施して皮膜を形成し、前記芯体から該皮膜を取り外すことを特徴とする無端ベルトの製造方法である。
<8> 前記皮膜形成用塗液が、ポリイミド前駆体溶液、又はポリアミドイミド樹脂溶液である<7>に記載の無端ベルトの製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、芯体上にむらなく均一に塗液を塗布することが可能な塗布装置、及び膜厚が均一な無端ベルトを製造する無端ベルトの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<塗布装置>
第一の本発明の塗布装置は、塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体上縁に設置され、該環状体の外周部から前記塗布槽上縁までの領域を覆う、覆いを更に具備していることを特徴とする。
以下、第一の本発明の塗布装置について、図面を用いて説明する。なお、実質的に同様の機能を有するものには、全図面通して同じ符号を付して説明し、場合によってはその説明を省略することがある。
【0020】
図1は、第一の本発明の塗布装置の一例を示す概略断面図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や、他の装置は省略する(以下の図においても同様。)。
図1に示す塗布装置は、塗液2を貯留するための塗布槽3と環状体5とを具備している。また、環状体5には、塗液2を塗布する芯体1の外径よりも大きな内径の孔6が設けられている。一方、環状体5上縁には、環状体5の外周部から塗布槽3上縁までの領域を覆う、覆い10を更に具備している。
【0021】
第一の本発明の塗布装置においては、環状体5と覆い10とが固定されていることが好ましい。環状体5と覆い10とが固定されていることにより、環状体5上縁が塗布槽3上縁より鉛直下方に沈み込むことがない。
【0022】
更に、第一の本発明の塗布装置には、芯体を保持する芯体保持手段、並びに、該保持手段を上下方向に移動する第1の移動手段及び/又は塗布槽を上下方向に移動する第2の移動手段を有してもよい。
【0023】
第一の本発明の塗布装置の一例を用いての芯体1の表面への塗液2の塗布は、図1に示すように、塗布槽3に塗液2を入れ、更に塗液2中に環状体5を浸漬させる。次いで図2に示すように、芯体1を、芯体1の軸方向を垂直にして、塗液2から相対的に上昇させて孔6を通すことにより達成される。その際の芯体1を塗液2から相対的に上昇させる速度は、0.1〜1.5m/minが好ましい。
尚、「芯体1の表面へ塗液2を塗布する」とは、芯体1の外周面の表面、及び該表面に層を有する場合は、その層の表面に塗布することをいう。また、「芯体1を塗液2から相対的に上昇させる」とは、芯体1と塗液2の液面との相対関係であり、「芯体1を上昇させる、或いは芯体1を停止し、塗布2の液面を下降させる」等を意味する。
【0024】
芯体1を塗液2から相対的に上昇させ孔6を通ると、環状体5は、溶液の粘性による摩擦抵抗により、覆い10と共に持ち上げられる。環状体5は自由移動可能であるため、芯体1と環状体5との摩擦抵抗が周方向で一定になるように、すなわち芯体1表面と孔6の内壁との間隙が均一になるように環状体5は動き、芯体上には均一な膜厚の塗膜4が形成される。このように、環状体5により膜厚を規制するので、高粘度の溶液を用いることができ、浸漬塗布法の問題点である芯体上端での重力による塗膜の垂れも少なくなり、周方向でも軸方向でも膜厚を均一にすることができる。
【0025】
芯体1の外径と円孔6の内径との間隙により、塗膜4の膜厚が決まるので、円孔6の内径は、所望の膜厚により調整する。また、円孔内径の真円度は重要である。真円度が低いと膜厚均一性が低下するので、真円度は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることはさらに好ましい。もちろん、真円度が0μmであることが最適なのであるが、加工上は困難である。
【0026】
第一の本発明の塗布装置は、上述の芯体1の表面への塗液2の塗布を行なわないときには、覆い10が設けられていることにより、塗布槽3からの塗液2の蒸発が防止できる。その結果、芯体1の表面への塗液2の塗布を行なわないときに、塗液2が蒸発することにより発生する塗布槽3中の塗液2の表面における濃度むらを防止し、芯体1表面にむらなく均一に塗液2を塗布することが継続してでき、均一な膜厚の無端ベルトが継続して得られる。
更に、第一の本発明の塗布装置においては、環状体5の孔6の内側からの塗液2の蒸発を防止するために、図3に示すように、蓋11を環状体5を覆うようにかぶせてもよい。
【0027】
芯体1としては、アルミニウムやステンレス、ニッケル、銅等の金属円筒が好ましい。また、後述するように無端ベルトを製造しようとする場合は、芯体の軸方向の長さは、目的とする無端ベルトの幅以上の長さが必要であるが、端部に生じる無効領域に対する余裕幅を確保するため、目的とする無端ベルトの幅の長さより、10〜40%程度長いことが好ましい。芯体1の外径は、目的とする無端ベルトの直径に合わせることが好ましい。一方、肉厚は芯体としての強度が保てる厚さであればよい。
【0028】
更に、図4を用いて芯体1を説明する。図4は芯体1の一例の断面図を示す概略断面図である。図4に示す芯体1の両端には、芯体1を保持する保持板20を取り付ける。保持板は、ねじで固定してもよいし、芯体1と溶接してもよい。保持板20には、必要に応じて、円形や扇形など任意形状である通風孔や、中央に心棒を通す穴、または軸21があってもよい。また、吊り下げや載置のための部品を取り付けてもよい。
【0029】
また、芯体1は、形成される塗液2の皮膜が芯体1表面に接着するのを防ぐため、芯体1の表面には離型性を付与してもよい。それには、芯体1表面をフッ素樹脂やシリコーン樹脂で被覆したり、芯体1表面に離型剤を塗布する方法がある。
【0030】
塗液2の種類によっては、後述する無端ベルトの製造において、加熱時に溶剤の揮発物や、反応時に発生する気体があり、加熱後の樹脂皮膜は、発生する気体のために、部分的に膨れを生じることがある。これは特に、塗液2としてポリイミド前駆体の溶液を用い、皮膜の膜厚が50μmを越えるような場合に起こることがある。
上述の膨れを防止するために、特開2002−160239号公報に記載されているように、芯体1表面をRa0.2〜2μmに粗面化することが好ましい。粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。これにより、塗液2の皮膜から生じる気体は、芯体と塗液2の皮膜との間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
【0031】
塗液2としては、後述するように、更に無端ベルトを製造する場合、ポリイミド前駆体(PI前駆体)溶液又はポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)溶液が好ましく用いられる。前記PI前駆体及びPAI樹脂としては、種々の公知のものを用いることができる。それらの溶剤は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、等の非プロトン系極性溶剤である。なお、前記PI前駆体又はPAI樹脂の溶液の濃度、粘度等は、適宜選択されるが、本発明の塗布装置に好ましく用いられる溶液の固形分濃度は10〜40質量%、粘度は1〜100Pa・sである。
【0032】
環状体5の材質は、塗液2の溶剤によって侵されない金属やプラスチック等から選ばれることが好ましい。また、環状体5は中空構造であってもよい。
【0033】
円孔6の内壁面は、溶液に浸る下部が広く、上部が狭い形状であれば、図1に示すような直線的傾斜面のほか、階段状や曲線的でもよい。真円度を高く加工するために、円孔内壁面の上部には、芯体と平行になる部分があってもよい。
【0034】
第一の本発明の塗布装置としては、図5に示す塗布装置も好ましい態様である。図5は、第一の本発明の塗布装置の他の例を示す概略断面図である。
図5において、図1との違いは、塗布槽3の代わりに、底部に芯体の外径より若干小さい穴を有する環状シール材8を設けた環状塗布槽7を具備していることである。図5に示す塗布装置を用いての芯体1表面への溶液2の塗布は、芯体1を環状シール材8の中心に挿通させ、環状塗布槽7に溶液2を収容する。これにより、溶液2は漏れることがない。塗布するには、図6に示すように、芯体1の下に他の芯体1’をつなぎ、環状塗布槽7の下部から上部に押し上げて、芯体1の表面に塗膜4を形成する。他の芯体1’は、ベルトを作製しない中間体(長さが短い芯体)であってもよい。環状体5の機能は、第一の本発明の塗布装置の一例と同様である。
このような塗布法(環状塗布法)では、環状塗布槽7は図1の浸漬塗布槽3よりも小さくできるので、溶液の必要量が少なくて済む利点がある。
【0035】
第二の本発明の塗布装置は、塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体の上面における内周部側縁部が、鉛直方向で最上部になることを特徴とする。
以下、第二の本発明の塗布装置について、図7を用いて説明する。
【0036】
図7は、第二、及び後述する第三の本発明の塗布装置の一例における環状体を示す概略断面図である。第二の本発明の塗布装置の一例は、覆い10が設けられておらず、環状体5が、上面の内周部側縁部が鉛直方向で最上部になっている、図7に示す環状体25に変更していること以外、図5に示す第一の本発明の塗布装置の他の例と同様である。
【0037】
第二の本発明の塗布装置において、環状体25で、上面の内周部側縁部を鉛直方向で最上部にするのは、環状体25の内面に塗液2の固化物が付着しないようにするためであり、塗液2の残留物が環状体25の上面にあったとしても、環状体25の上面の外周部に移動させることができる。外周部に移動した塗液2は適宜拭き取ることなどにより、除去可能となる。そのため、前述のように溶液が芯体と円孔との間隙部で固化することもなく、軸方向に走る筋がない無端ベルトを得ることができ、結果として均一な膜厚の無端ベルトを得ることができる。環状体25の上面の形状は、内周部側縁部が鉛直方向で最上部になっていれば特に限定されないが、図7に示すように内周部近傍が斜面となり内周部側縁部が盛り上がっている形状が好ましい。この場合、内周部側縁部が平坦面より1〜10mm高いことがより好ましく、内周部近傍が平坦面に対して30〜60°の角度を有していることがより好ましい。
【0038】
また、第二の本発明の塗布装置の他の例として、覆い10が設けられておらず、環状体5が、上述の図7に示すような上面の内周部側縁部が鉛直方向で最上部になっている環状体25に変更していること以外、図1に示す第一の本発明の塗布装置の一例と同様の塗布装置も挙げられる。
尚、第二の本発明の塗布装置における環状体25は、外周部の形状は特に限定されないが、図7に示すように環状体25の外周部が、鉛直方向で下に向かってテーパ形状30となっていることがより好ましい。
【0039】
第三の本発明の塗布装置は、塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体の外周部が、鉛直方向で下に向かってテーパ形状30となっていることを特徴とする。
以下、第三の本発明の塗布装置について、図7を用いて説明する。
【0040】
第三の本発明の塗布装置の一例は、覆い10が設けられておらず、環状体5が、外周部が鉛直方向で下に向かってテーパ形状30となっている、図7に示す環状体25に変更していること以外、図5に示す第一の本発明の塗布装置の他の例と同様である。尚、第三の本発明の塗布装置の一例における環状体25は、上面の形状は特に限定されないが、図7に示すように、環状体25が、上面の内周部側縁部が鉛直方向で最上部になっていることがより好ましい。
【0041】
環状体25は、外周部が鉛直方向で下に向かってテーパ形状30となっていることにより、芯体1への塗液2の塗布終了後に環状体25が塗布槽3中に降下しても、塗液2に気泡を巻き込むことを防止することができる。これにより、芯体1へ塗液2を塗布した場合に、気泡が皮膜に付着することを防ぐことができる。該テーパ部は底面に対して30〜60°で長さ5〜15mmであることが好ましい。
【0042】
また、第三の本発明の塗布装置の他の例として、覆い10が設けられておらず、環状体5が、上述の図7に示すような周部が鉛直方向で下に向かってテーパ形状30となっている環状体25に変更していること以外、図1に示す第一の本発明の塗布装置の一例と同様の塗布装置も挙げられる。
【0043】
第四の本発明の塗布装置は、塗液を貯留し、該塗液を塗布する芯体の外径よりも小さい穴を持つ環状シール材を底部に有する環状塗布槽と、前記芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記環状シール材の穴に前記芯体を通した芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、前記塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記塗布槽の底面が、環状シール材方向が鉛直方向で下となる傾斜面を有していることを特徴とする。
以下、第四の本発明の塗布装置について、図面を用いて説明する。
【0044】
図8は、第四の本発明の塗布装置の一例を示す概略断面図である。図8に示す第四の本発明の塗布装置の一例は、覆い10が設けられてなく、環状塗布層7の底面には環状シール材8方向が鉛直方向で下となる傾斜面9を形成していること以外、図5に示す第一の本発明の塗布装置の他の例と同様である。傾斜面9により、溶液2は、環状シール材8方向へ流れやすくなり、底部に溜まることがなくなり、塗液2の量が少なくなっても均一となっており、均一な膜厚の塗膜が得られる。傾斜面9の角度は、水平に対して5〜30°が好ましい。傾斜面9の角度が5°未満であると、塗液2の流れが滞る場合があり、30°を超えると、塗液2を貯められる量が少なくなる場合がある。
また、傾斜面は曲面であってもよい。曲面の場合、環状塗布槽の内側を曲面状のヘラでかき取ることにより、塗布後の溶液の洗浄が容易となる。
更に、傾斜面は環状塗布層7の底面の一部に設けられていればよいが、環状塗布層7の底面の環状シール材8を除く部分全体が傾斜面となっていることが好ましい。
また、第四の本発明の塗布装置では、図8に示すように環状体5を支えるための腕15を環状体5に設けてもよい。更に、図8では覆い10が設けられていないが、覆い10が環状体5上縁に設けられていることも好ましい態様である。
【0045】
第五の本発明の塗布装置は、塗液を貯留し、該塗液を塗布する芯体の外径よりも小さい穴を持つ環状シール材を底部に有する環状塗布槽と、前記芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記環状シール材の穴に前記芯体を通した芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、前記塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、前記環状体の底部に遮へい板を更に具備していることを特徴とする。第五の本発明の塗布装置としては、更に、前記環状塗布槽の側部に前記該塗液を供給する供給口を具備していることが好ましい。
以下、第5の本発明の塗布装置について、図面を用いて説明する。
【0046】
図9は、第五の本発明の塗布装置の一例を示す概略断面図である。図9に示す第五の本発明の塗布装置の一例は、覆い10が設けられてなく、環状体5の底部に遮へい板12が設けられていること以外、図5に示す第一の本発明の塗布装置の他の例と同様である。
また、第五の本発明の塗布装置では、図9に示すように環状体5を支えるための腕15を環状体5に設けてもよい。更に、図9では覆い10が設けられていないが、覆い10が環状体5上縁に設けられていることも好ましい態様である。
【0047】
塗布装置を用いて、芯体1表面への塗液2の塗布を行ない続けると、塗液2の減少により、ついには塗布不能となる。そこで、そうなる前に塗液2を補充する必要がある。該塗液2の補充方法としては、環状塗布槽7の上部から塗液2を投入する方法が挙げられる。しかし該環状塗布槽7の上部から塗液2を投入する方法では、気泡が混入してしまう。また、環状塗布槽7に最初に塗液2を投入するときにも、気泡が混入してしまう。第五の本発明の塗布装置の一例では、環状体5の底部に遮へい板12が設けられていることにより、環状体5の外側にある塗液2が塗布に連れ、環状体内側の方向に移動する際、主に塗液2溶液の表面側(浅い所)に存在する異物や気泡が、溶液の移動と共に簡単に流入するのを防ぐことができる。この結果、塗液2を塗布することにより形成される塗膜に異物や気泡による筋目が発生することを防ぐことができ、膜厚を均一にすることができる。
【0048】
塗液2の供給液は、芯体1表面へ塗液2を塗布するごとに減少分を追加してもよいし、何回か芯体1表面へ塗液2を塗布した後にまとめて追加してもよい。また、芯体1表面へ塗液2を塗布している途中に徐々に追加してもよい。
【0049】
次に、第五の本発明の塗布装置の他の例について、図面を用いて説明する。
図10は、第五の本発明の塗布装置の他の例を示す概略断面図である。図10に示す第五の本発明の塗布装置の他の例は、循環塗布層層7の側面に塗液2を供給する供給口13が設けられていること以外、図9に示す第五の本発明の塗布装置の一例と同様である。
第五の本発明の塗布装置において、塗液2を供給する方法としては、上述の環状塗布槽7の上部から塗液2を投入する方法が挙げられるが、供給口13を設け、ポンプ等によって供給口13より塗液2を供給することが好ましい。この場合、塗液2が1〜100Pa・sといった高粘度であると、環状塗布槽7に存在していた塗液2と、新たに流入してきた塗液2の間で境目を生じ、それが塗膜にも筋目となって現れることがある。これを防止するには、流入してきた塗液2を直に芯体に触れさせない必要がある。そこで第五の本発明の塗布装置では、新たに流入してきた塗液2をいったん遮へい板12にぶつけるようにした。これにより、塗液2の間で境目が生じず、結果として、膜厚を均一にすることができる
【0050】
また、供給口13は対称形に複数あるのがよい。供給口13の高さは、その出口が、待機中の環状体5の外側面から遮蔽板11にかかる高さとすることが好ましい。こうすることにより、供給口13から塗液2を供給した場合、供給された塗液2は環状体5の外側面および/または遮へい板12につき当たり、その向きを変えられて、環状塗布槽7内に入る。そのため、供給された塗液2は直に芯体1に当たることがなくなり、塗膜に筋目を生じにくくなるのである。
【0051】
図11に、環状体5と遮へい板11の一例を立体的に示した。図11は、環状体5と遮へい板12の一例を示す概略斜視図である。遮へい板12は環状体5と一体でも、後から取り付けてもよい。遮へい板12の厚みは、環状体5の平均厚みの30%以下が好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。また、遮へい板12の素材は、塗布液2の溶剤によって侵されない金属やプラスチック等から選ばれることが好ましく、フィルム状の柔らかい素材であっても構わない。遮へい板12の高さは、塗布時に遮へい板12下部から環状塗布槽7の底までに十分な長さが確保できればよく、好ましくは環状体5の高さと同程度以下であり、さらに好ましくは50%以下である。このような形状の遮へい板であれば、塗膜形成への影響は極めて小さい。
【0052】
<無端ベルトの製造方法>
本発明の無端ベルトの製造方法は、既述の本発明の塗布装置を用いて、前記芯体1の表面に皮膜形成用塗液を塗布した後、乾燥、加熱硬化、焼成の何れか、又は全ての処理を施して皮膜を形成し、芯体から該皮膜を取り外すことを特徴とする。
また、皮膜形成用塗液としては、得られる皮膜の強度や寸法安定性、耐熱性等の面でPI前駆体溶液及びPAI樹脂溶液が好ましい。以下、本発明の無端ベルトの製造方法を皮膜形成用塗液としてPI前駆体溶液或いはPAI樹脂溶液を用いた場合について説明する。
【0053】
本発明の無端ベルトの製造方法においては、本発明の塗布装置を用いて皮膜形成用塗液を塗布し形成された塗膜を加熱し、該塗膜中に存在する溶剤を除去し、塗膜が変形しない程度に乾燥させる。加熱条件は、90〜170℃の温度で20〜60分間が好ましい。その際、温度が高いほど加熱時間は短くてよく、温度は、段階的、または一定速度で上昇させてもよい。
また、加熱中に塗膜に垂れが生じる場合には、芯体の長手方向を水平にして、ゆっくり回転させることが有効である。その際には、保持板の穴に心棒を通し、回転台に載せた状態で乾燥器に入れるのがよい。
【0054】
前記皮膜形成用溶液がPAI樹脂溶液である場合には、溶剤の乾燥だけで皮膜を得ることができる。
一方、前記皮膜形成用溶液がPI前駆体溶液の場合、塗膜から溶剤を除去しすぎると、塗膜はまだ強度を保持していないので、割れを生じやすい。そこで、ある程度(PI前駆体皮膜中に15〜45質量%)の溶剤を残留させておくことが好ましい。前記皮膜形成用溶液がPI前駆体溶液の場合は、その後、250〜450℃、好ましくは300〜350℃前後で、20〜60分間、PI前駆体皮膜を加熱して縮合反応させることで、PI樹脂皮膜が形成される。その際、温度を段階的に上昇させてもよい。
【0055】
上述のように形成された皮膜は、冷却後に、芯体から剥離することにより無端ベルトとなる。無端ベルトには、さらに必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工等が施されることがある。
【0056】
得られた無端ベルトを転写ベルトや接触帯電ベルトとして使用する場合には、前記皮膜形成用溶液の中に必要に応じて導電性物質を分散させる。導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO2−In23複合酸化物等の導電性金属酸化物、等が挙げられる。前述したように皮膜が収縮すると抵抗値にむらを生じるが、収縮を防止することにより、抵抗値も均一にすることができる。
これらの用途に好ましい無端ベルトの膜厚は30〜150μm程度である。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
PI前駆体溶液(商品名:UワニスA、宇部興産製、濃度18%)に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で23%混合し、次いで対向衝突型分散機により分散した。更に、シリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を、濃度が500ppmになるよう添加し、塗液2とした。
【0058】
別途、外径366mm、肉厚10mm、長さ450mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面をRa1.0μmに粗面化した。該円筒の真円度は20μm以下であった。また、厚さが15mm、外径が前記円筒に嵌まる径、100mm径の通風孔12が4つ、中央に20mm径の穴を設けた保持板を同じアルミニウム材で作製し、前記円筒に嵌め、TIG溶接により溶接し、芯体1とした。
芯体1の表面には、シリコーン系離型剤(商品名:セパコート、信越化学製)を塗布した。芯体の端部には、幅10mmのポリエステル粘着テープを巻き付けた。これは塗膜が芯体側面に回り込まないようにするためである。
【0059】
次いで塗液2を用い、図5に示す環状塗布装置により、PI前駆体の塗膜4を芯体1の表面(外周面)に形成した。この際、環状体5として、外径420mm、円孔6の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを作製し用いた。環状体5の内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は7°とした。上端には芯体1と平行になる部分を2mm形成したが、その内径の真円度は8μmであった。
また、厚さ1mm、外径460mmのアルミニウム製円板の中央に、内径380mmの穴をあけ、前記環状体5の上面に取り付けて固定し、覆い10とした。
【0060】
一方、内径450mm、高さ100mmの環状塗布槽7の底面に、内径364.5mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン樹脂製の環状シール材8を取り付け、中央に芯体1を通した。環状塗布槽7に塗液2を入れ、覆い10を設けた環状体5を配置し、待機時間中の溶剤蒸発を防止した。
次いで、図6に示すように芯体1の下に、芯体1と同様の形状の芯体1’を配置し、0.8m/分で押し上げて、芯体1表面にPI前駆体溶液の塗布を行った。その際、環状体5は約20mm持ち上げられた。これにより、芯体1の上には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体の塗膜4が形成された。
【0061】
PI前駆体の塗膜4が形成された芯体1の保持板の中央穴に、20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体の塗膜4を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体の皮膜を得た。この時点で、芯体端部の粘着テープは除去した。
次いで、PI前駆体の皮膜が形成された芯体1を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、340℃で30分加熱反応させ、芯体1の表面にPI樹脂皮膜を形成した。
【0062】
PI樹脂皮膜が形成された芯体1を室温にて冷ました後、芯体1とPI樹脂皮膜との間にエアーを吹き込みながら、芯体1からPI樹脂皮膜を抜き取り、無端ベルトを得た。無端ベルトの膜厚は75μmで均一であった。該無端ベルトは両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。
得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1010Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
更に、上述の工程を4時間中断した後、再び同様にして無端ベルトを得た。4時間中断後に得られた無端ベルトは、最初に得た無端ベルトと同様のものであった。
【0063】
(比較例1)
実施例1において、環状体5に覆い10を設けなかった以外、実施例1と同様にして無端ベルトを得た。得られた無端ベルトは、実施例1において、最初に得た無端ベルト(4時間中断前)と同様のものであった。
しかし、実施例1と同様に4時間中断した後、再び同様にして無端ベルトは、得られた無端ベルトの膜厚は、80〜84μmとなって不均一であった。
以上のことより、実施例1のように覆い10がある場合は、4時間中断してもこのような問題がなかったことから、比較例1では4時間の間に、塗布槽3からPI樹脂前駆体溶液が蒸発したことが原因で膜厚は不均一となったと考えられる。
【0064】
(実施例2)
蓋10を設置しないで、環状体5の変わりに、図7に示す環状体25を用いたこと以外、図5に示す構成の環状塗布装置により、実施例1で調製した塗液2を、実施例1で作製した芯体1表面(外周面)に塗布し、PI前駆体の塗膜4を芯体1表面に形成した。尚、環状体25は、外径420mm、円孔6の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製であり、内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は10°とした。また、環状体25の上面は、内周部側縁部が鉛直方向で最上部(環状体25の上面の平坦面からの高さが3mm)となるように、該平坦面に対して45°の斜面(凸部)が設けられており、外周部はテーパ形状とはなっておらず、鉛直方向の壁となっている。更に、環状体25の孔6の内壁の上端には芯体1と平行になる部分が2mm形成されており、該芯体1と平行になる部分の内径の真円度は8μmであった。
【0065】
一方、内径450mm、高さ100mmの環状塗布槽7の底面に、内径386mmの穴をあけた。また、底面の裏面には、内径364.5mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン樹脂製の環状シール材8を取り付け、中央に芯体1を通した。環状塗布槽7に塗液2を3kg入れ、環状体25を配置した。次いで、実施例1と同様に芯体1の下に芯体1’を配置し、0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体25は約50mm持ち上げられた。これにより、芯体1の上には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体の塗膜4が形成された。
【0066】
PI前駆体の塗膜4が形成された芯体1の保持板の中央穴に、20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体の塗膜4を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体皮膜を得た。この時点で、芯体端部の粘着テープは除去した。
次いで、PI前駆体皮膜が形成された芯体1を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、340℃で30分加熱反応させ、芯体1の表面にPI樹脂皮膜を形成した。
【0067】
PI樹脂皮膜が形成された芯体1を室温にて冷ました後、芯体1とPI樹脂皮膜との間にエアーを吹き込みながら、芯体1からPI樹脂皮膜を抜き取り、両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。続いて同様にして3本の無端ベルトを作製した。さらに4本目の無端ベルト作製後に塗布装置を一晩停止状態にしてから、同様に4本の無端ベルトを作製した。合計8本の無端ベルトの膜厚は全て80μmで均一であり、軸方向の筋が存在するものはなかった。
また、得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1010Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
【0068】
(比較例2)
実施例2において、上面に、内周部側縁部が鉛直方向で最上部となるように設けられていた平坦面に対して45°の斜面を設けないこと以外環状体25と同様の構成の環状体を、環状体25に代えて用いたこと以外実施例2と同様にして、先ず4本の無端ベルトを得た。該4本の無端ベルトは問題なかった。さらに、一晩停止後に作製した4本の無端ベルトでは、4本とも軸方向に筋が発生し、無端ベルトの膜厚は70〜80μmとなって不均一であった。
これは塗布装置を一晩停止した後の環状体の上面の内周部側に液だまりが生じ、部分的に固化し、これにより皮膜の軸方向の筋となってしまい、膜厚が不均一になっていることが確認された。
【0069】
一方、実施例2のように、内周部側縁部が鉛直方向で最上部となるように設けられている斜面を設けた環状体25では、芯体1より塗液2が垂れてきても、それが環状体25の外周方向に移動するので、環状体25と芯体1間に液だまりが生じず、軸方向筋は発生することなく均一な膜厚の無端ベルトが得られた。
【0070】
(実施例3)
蓋10を設置しないで、環状体5の変わりに、図7に示す環状体25を用いたこと以外、図5に示す構成の環状塗布装置により、実施例1で調製した塗液2を、実施例1で作製した芯体1表面(外周面)に塗布し、PI前駆体の塗膜4を芯体1表面に形成した。尚、環状体25は、外径420mm、円孔6の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製であり、外径420mm、円孔6の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを作製した。内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は10°とした。また、環状体25は、実施例2における斜面は設けておらず、外周部側がC10mmのテーパ形状となっている。更に、環状体25の孔6の内壁の上端には芯体1と平行になる部分が2mm形成されており、該芯体1と平行になる部分の内径の真円度は8μmであった。
【0071】
一方、内径450mm、高さ100mmの環状塗布槽7の底面に、内径386mmの穴をあけた。また、底面の裏面には、内径364.5mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン樹脂製の環状シール材8を取り付け、中央に芯体1を通した。環状塗布槽7に塗液2を3kg入れ、環状体25を配置した。次いで、実施例1と同様に芯体1の下に芯体1’を配置し、0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体25は約50mm持ち上げられた。これにより、芯体1の上には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体の塗膜4が形成された。
【0072】
PI前駆体の塗膜4が形成された芯体1の保持板の中央穴に、20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体の塗膜4を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体皮膜を得た。この時点で、芯体端部の粘着テープは除去した。
次いで、PI前駆体皮膜が形成された芯体1を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、340℃で30分加熱反応させ、芯体1の表面にPI樹脂皮膜を形成した。
【0073】
PI樹脂皮膜が形成された芯体1を室温にて冷ました後、芯体1とPI樹脂皮膜との間にエアーを吹き込みながら、芯体1からPI樹脂皮膜を抜き取り、両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。続いて同様にして3本の無端ベルトを作製した。さらに4本目の無端ベルト作製後に塗布装置を一晩停止状態にしてから、同様に4本の無端ベルトを作製した。合計8本の無端ベルトの膜厚は全て80μmで均一(最大膜厚と最小膜厚との差が3μm未満)であり、皮膜中に気泡が存在するものはなかった。
また、得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1010Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
【0074】
(比較例3)
実施例3において、環状体25を、外周部側全面を鉛直方向にしたこと以外実施例3と同様にして、4本の無端ベルトを得た。該4本の無端ベルトは最初に作製した1本目の無端ベルトは問題なかったが、2本目以降で皮膜中に気泡が混入する問題が生じ、無端ベルトの膜厚は70〜80μmとなって不均一であった。
これは塗布装置が停止した際に、環状体25が溶液中に降下し、塗布槽3中の塗液2に気泡が混入した。この気泡が2本目以降の皮膜に付着したため、気泡が存在する無端ベルトになってしまった。一方、実施例1のように環状体25の外周面側にテーパ部を設けると、環状体25が溶液中に降下しても気泡が混入することはなかった。
【0075】
(実施例4)
実施例1で調製した塗液2を、図8に示す環状塗布装置により、実施例1で作製した芯体1表面(外周面)に塗布することにより、PI前駆体の塗膜4を芯体1表面に形成した。
詳しくは、内径450mm、高さ100mmの環状塗布槽7の底面に、内径386mmの穴をあけた。また、底面には角度10°の傾斜面9を形成した。更に、環状塗布槽7の底面の裏面には、内径364.5mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン樹脂製の環状シール材8を取り付け、中央に芯体1を通した。環状塗布槽7に塗液2を3kg入れ、環状体5を配置した。次いで、実施例1と同様に芯体1の下に芯体1’を配置し、0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体25は約20mm持ち上げられた。これにより、芯体1の表面(外周面)には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体の塗膜4が形成された。尚、環状体5は、外径420mm、円孔6の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを用いた。
【0076】
PI前駆体の塗膜4が形成された芯体1の保持板の中央穴に、20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体の塗膜4を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体皮膜を得た。この時点で、芯体端部の粘着テープは除去した。
次いで、PI前駆体皮膜が形成された芯体1を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、340℃で30分加熱反応させ、芯体1の表面にPI樹脂皮膜を形成した。
【0077】
PI樹脂皮膜が形成された芯体1を室温にて冷ました後、芯体1とPI樹脂皮膜との間にエアーを吹き込みながら、芯体1からPI樹脂皮膜を抜き取り、両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。得られた無端ベルトの膜厚は全て80μmで均一(最大膜厚と最小膜厚との差が3μm未満)であった。
また、得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1010Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
【0078】
(比較例4)
実施例4において、環状塗布槽7の底面に傾斜面9を形成しなかったこと以外実施例4と同様にして、無端ベルトを得た。得られた無端ベルトは、膜厚が74〜82μmとなり不均一であった。
これは芯体1への塗液2の付着が安定している場合は、環状体5と芯体1間で、せん断応力が均一になるように作用するため、全周にわたり環状体5と芯体間の距離が一定に保持され、結果的に均一な膜厚の皮膜が得られることになるが、比較例4のように芯体への塗液の付着が不安定になると、部分的に塗液が欠損するため、環状体5に微小な動きを誘発し、結果的に皮膜が不均一な膜厚になってしまうと考えられる。
【0079】
(実施例5)
実施例1で調製した塗液2を、図9に示す環状塗布装置により、実施例1で作製した芯体1表面(外周面)に塗布することにより、PI前駆体の塗膜4を芯体1表面に形成した。
詳しくは、環状体5として、外径420mm、円孔6の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを用いた。また、環状体5の外側にPETフィルムからなるシートを環状に巻くことにより、遮へい板9を作製した。環状体5の底部からの遮へい板9の高さは30mmである。更に、内径450mm、高さ100mmの環状塗布槽7の底面に、内径386mmの穴を開けた。また、環状塗布槽7の底面の裏面には、内径364.5mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン樹脂製の環状シール材8を取り付け、中央に芯体1を通した。環状塗布槽7に塗液2を3kg入れ、環状体5を配置した。次いで、実施例1と同様に芯体1の下に芯体1’を配置し、0.8m/分で押し上げて塗布を行った。その際、環状体25は約20mm持ち上げられた。これにより、芯体1の表面(外周面)には、濡れ膜厚が約500μmのPI前駆体の塗膜4が形成された。
【0080】
PI前駆体の塗膜4が形成された芯体1の保持板の中央穴に、20mmφのステンレス製シャフトを通し、回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、80℃で20分間、130℃で30分間、加熱してPI前駆体の塗膜4を乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのPI前駆体皮膜を得た。この時点で、芯体端部の粘着テープは除去した。
次いで、PI前駆体皮膜が形成された芯体1を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置に入れて200℃で30分、340℃で30分加熱反応させ、芯体1の表面にPI樹脂皮膜を形成した。
【0081】
PI樹脂皮膜が形成された芯体1を室温にて冷ました後、芯体1とPI樹脂皮膜との間にエアーを吹き込みながら、芯体1からPI樹脂皮膜を抜き取り、両端から約35mmずつ切断し、長さ360mmの無端ベルトを得た。得られた無端ベルトの膜厚は全て80μmで均一(最大膜厚と最小膜厚との差が3μm未満)であった。
また、得られた無端ベルトは、100Vにおいて体積抵抗率を測定すると、約1010Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
【0082】
(比較例5)
実施例5において、環状体5に遮へい板9を巻かなかったこと以外実施例5と同様にして、無端ベルトを得た。得られた無端ベルトは、膜厚が74〜82μmとなり不均一であった。
これは芯体1への塗液2の付着が安定している場合は、環状体5と芯体1間で、せん断応力が均一になるように作用するため、全周にわたり環状体5と芯体間の距離が一定に保持され、結果的に均一な膜厚の皮膜が得られることになるが、比較例4のように芯体への塗液の付着が不安定になると、部分的に塗液が欠損するため、環状体5に微小な動きを誘発し、結果的に皮膜が不均一な膜厚になってしまうと考えられる。
【0083】
(実施例6)
実施例5では、塗布を一回行うと、塗液3は約300ml減少する。そのため、芯体1を3本塗布すると、塗液3の液面が低下して次の塗布に支障が生じる。そこで、実施例5の塗布装置において、図10に示すように環状塗布槽7の側面に、内径8mmの4個の供給口13を設けた。その取り付け位置は、環状塗布槽7の上端から60mmで、流入する液が遮へい板9につき当たる高さとした。供給口13には内径8mmのフッ素樹脂チューブを接続した。そして、塗布を一回終えるごとに、0.5Paの圧力で約300mlの塗液2を供給した。供給口12より約300mlの塗液2を供給すること以外、実施例5と同様にして無端ベルトを連続して得た。その結果、常に良好なPI前駆体の塗膜4を得ることができ、膜厚が80μmで均一な無端ベルトが連続して得られた。
【0084】
(比較例6)
実施例6において、遮へい板9を取り外したこと以外実施例6と同様にして、供給口12から約300mlの塗液2を供給しながら、無端ベルトを連続して得た。その結果、しだいに軸方向の筋がうすく生じているのが観察されるようになり、膜厚がではなくなっった。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第一の本発明の塗布装置の一例の停止時の概略断面図である。
【図2】第一の本発明の塗布装置の一例の塗布時の概略断面図である。
【図3】蓋をかぶせた第一の本発明の塗布装置の一例の停止時の概略断面図である。
【図4】芯体1の一例の断面図を示す概略断面図である。
【図5】第一の本発明の塗布装置の他の例の停止時の概略断面図である。
【図6】第一の本発明の塗布装置の他の例の塗布時の概略断面図である。
【図7】第二及び第三の本発明の塗布装置の環状体の一例を示す概略断面図である。
【図8】第四の本発明の塗布装置の一例を示す概略断面図である。
【図9】第五の本発明の塗布装置の一例を示す概略断面図である。
【図10】第五の本発明の塗布装置の他の例を示す概略断面図である。
【図11】環状体5と遮へい板12の一例を示す概略斜視図である。
【図12】従来の環状塗布装置の停止時の概略断面図である。
【図13】従来の環状塗布装置の塗布時の概略断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 芯体
2 塗液
3 塗布槽
4 塗膜
5 環状体
6 孔
7 環状塗布槽
8 環状シール材
9 斜面
10 覆い
11 蓋
12 遮へい板
13 供給口
15 腕
20 保持板
21 軸
25 環状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、
前記環状体上縁に設置され、該環状体の外周部から前記塗布槽上縁までの領域を覆う、覆いを更に具備していることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、
前記環状体の上面における内周部側縁部が、鉛直方向で最上部になることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
塗液を貯留する塗布槽と、該塗液を塗布する芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記塗布槽に貯留した塗液に浸漬させた芯体を、芯体の軸方向を垂直にして、該塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、
前記環状体の外周部が、鉛直方向で下に向かってテーパ形状となっていることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
塗液を貯留し、該塗液を塗布する芯体の外径よりも小さい穴を持つ環状シール材を底部に有する環状塗布槽と、前記芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記芯体を、前記環状シール材の穴に通し、芯体の軸方向を垂直にして、前記塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、
前記塗布槽の底面が、環状シール材側が鉛直方向で下となる傾斜面を有していることを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
塗液を貯留し、該塗液を塗布する芯体の外径よりも小さい穴を持つ環状シール材を底部に有する環状塗布槽と、前記芯体の外径よりも大きな内径の孔が設けられている環状体とを具備し、前記芯体を、前記環状シール材の穴に通し、芯体の軸方向を垂直にして、前記塗液から相対的に上昇させて前記孔を通過させることにより、前記芯体表面に塗液を塗布する塗布装置であって、
更に、前記環状体の底部に遮へい板を具備していることを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
更に、前記環状塗布槽の側部に前記該塗液を供給する供給口を具備していることを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の塗布装置を用いて、前記芯体表面に皮膜形成用塗液を塗布した後、乾燥、加熱硬化、焼成の何れか、又は全ての処理を施して皮膜を形成し、前記芯体から該皮膜を取り外すことを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【請求項8】
前記皮膜形成用塗液が、ポリイミド前駆体溶液、又はポリアミドイミド樹脂溶液である請求項7に記載の無端ベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−55777(P2006−55777A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241458(P2004−241458)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】