塗布装置及び塗布装置の調整方法
【課題】簡易な手法によりノズル間での液滴の吐出量のばらつき及び吐出した液滴の画素への着弾位置のばらつきを調整することが可能な塗布装置の調整方法及びこのような調整機構を備えた塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズル135を備えたヘッド132と、各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構136と、画素面積が複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板SUBを備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御する調整機構140と、
を備えたことを特徴とする。
【解決手段】 一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズル135を備えたヘッド132と、各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構136と、画素面積が複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板SUBを備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御する調整機構140と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗布装置及び塗布装置の調整方法に係り、特に、自発光性素子を構成する一対の電極間に保持された光活性層を形成するための液滴を塗布するインクジェット方式などの選択塗布方式を採用した塗布装置、及び、この塗布装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置が注目されている。この有機EL表示装置は、自発光性素子であることから、視野角が広く、バックライトを必要とせず薄型化が可能であり、消費電力が抑えられ、且つ応答速度が速いといった特徴を有している。
【0003】
これらの特徴から、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる、次世代平面表示装置の有力候補として注目を集めている。このような有機EL表示装置は、陽極と陰極との間に発光機能を有する有機化合物を含む光活性層を挟持した有機EL素子をマトリックス状に配置することにより構成されたアレイ基板を備えている。光活性層は、例えば、高分子系材料を用いてインクジェット法などの選択塗布方式により形成される。
【0004】
このような選択塗布方式を採用した場合、光活性層を形成するための液滴を吐出するノズル間での液滴の塗布精度のばらつきに起因して、表示ムラなどの表示品位の劣化を生ずるおそれがある。このため、ノズル間での液滴の吐出量のバラツキや液滴の着弾位置の調整を可能とすることが要求されている。例えば、基板に着弾するまでの液滴の飛翔状態を高速度カメラにより撮影し、液滴の飛翔状態における速度や密度などに基づいて液滴量を算出し吐出量を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−028696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、簡易な手法によりノズル間での液滴の吐出量のばらつき及び吐出した液滴の画素への着弾位置のばらつきを調整することが可能な塗布装置の調整方法及びこのような調整機構を備えた塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様による塗布装置の調整方法は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素サイズが複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明の第2の態様による塗布装置の調整方法は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の第3の態様による塗布装置は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素面積が複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第4の態様による塗布装置は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、簡易な手法によりノズル間での液滴の吐出量のばらつき及び吐出した液滴の画素への着弾位置のばらつきを調整することが可能な塗布装置の調整方法及びこのような調整機構を備えた塗布装置を提供することができる。これにより、表示品位の良好な表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の一実施の形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では、表示装置として、自己発光型表示装置、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を例にして説明する。
【0012】
有機EL表示装置1は、図1に示すように、画像を表示する表示エリア102を有するアレイ基板100を備えている。表示エリア102は、マトリクス状に配置された複数の画素PX(R、G、B)によって構成されている。
【0013】
また、アレイ基板100は、画素PXの行方向(すなわち図1のY方向)に沿って配置された複数の走査線Ym(m=1、2、…)と、走査線Ymと略直交する列方向(すなわち図1のX方向)に沿って配置された複数の信号線Xn(n=1、2、…)と、有機EL素子40の第1電極60側に電源を供給するための電源供給線Pと、を備えている。
【0014】
さらに、アレイ基板100は、表示エリア102の外周に沿った周辺エリア104に、走査線Ymのそれぞれに走査信号を供給する走査線駆動回路107と、信号線Xnのそれぞれに映像信号を供給する信号線駆動回路108と、を備えている。すべての走査線Ymは、走査線駆動回路107に接続されている。また、すべての信号線Xnは、信号線駆動回路108に接続されている。
【0015】
各画素PX(R、G、B)は、画素回路及び画素回路によって駆動制御される表示素子を備えている。画素回路は、オン画素とオフ画素とを電気的に分離しかつオン画素への映像信号を保持する機能を有する画素スイッチ10と、画素スイッチ10を介して供給される映像信号に基づき表示素子へ所望の駆動電流を供給する駆動トランジスタ20と、駆動トランジスタ20のゲート−ソース間電位を所定期間保持する蓄積容量素子30とを有している。これら画素スイッチ10及び駆動トランジスタ20は、例えば薄膜トランジスタにより構成され、ここでは、半導体層にポリシリコンを用いている。
【0016】
表示素子は、自発光素子である有機EL素子40(R、G、B)によって構成されている。すなわち、赤色画素PXRは、主に赤色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Rを備えている。緑色画素PXGは、主に緑色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Gを備えている。青色画素PXBは、主に青色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Bを備えている。
【0017】
各種有機EL素子40(R、G、B)は、基本的に同一構成であり、例えば、図2に示すように、画素毎PXに独立島状に形成された第1電極60と、第1電極60に対向して配置され全画素PXに共通に形成された第2電極66と、これら第1電極60と第2電極66との間に保持された光活性層64と、によって構成されている。
【0018】
画素スイッチ10は、ここでは走査線Ymと信号線Xnとの交差部近傍に配置されている。画素スイッチ10のゲート電極は走査線Ymに接続され、ソース電極は信号線Xnに接続され、ドレイン電極は蓄積容量素子30を構成する一方の電極及び駆動トランジスタ20のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ20のソース電極は蓄積容量素子30を構成する他方の電極及び電源供給線Pに接続され、ドレイン電極は有機EL素子40の第1電極60に接続されている。電源供給線Pは、表示エリア102の周囲に配置された図示しない第1電極電源線に接続されている。有機EL素子40の第2電極66は、表示エリア102の周囲に配置されコモン電位ここでは接地電位を供給する図示しない第2電極電源線に接続されている。
【0019】
図2に示すように、アレイ基板100は、配線基板120上に配置された複数の有機EL素子40を備えている。なお、配線基板120は、ガラス基板やプラスチックシートなどの絶縁性支持基板上に、画素スイッチ10、駆動トランジスタ20、蓄積容量素子30、走査線駆動回路107、信号線駆動回路108、各種配線(走査線、信号線、電源供給線等)などを備えて構成されたものとする。
【0020】
有機EL素子40を構成する第1電極60は、配線基板120表面の絶縁膜(例えば平坦化層)上に配置され、陽極として機能する。
【0021】
光活性層64は、少なくとも発光層を含んでいる。この光活性層64は、発光層以外の層として、例えば、各色共通に形成される正孔輸送層を備え、各色画素に形成される発光層と積層した2層構造で構成されても良いし、正孔注入層、ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、バッファ層などを含んでも良いし、またこれらを機能的に複合した層を含んでもよい。光活性層62においては、発光層が有機系材料であればよく、発光層以外の層は無機系材料でも有機系材料でも構わない。発光層は、赤、緑、または青に発光する発光機能を有する有機化合物によって形成される。すなわち、赤色画素PXRの有機EL素子40Rは、主に赤色に発光する光活性層64Rを備えている。緑色画素PXGの有機EL素子40Gは、主に緑色に発光する光活性層64Gを備えている。青色画素PXBの有機EL素子40Bは、主に青色に発光する光活性層64Bを備えている。
【0022】
第2電極66は、光活性層64(R、G、B)上に各有機EL素子40に共通に配置される。この第2電極66は、電子注入機能を有する金属材料によって形成され、陰極として機能している。
【0023】
次に、光活性層64を形成するための液滴を塗布するための塗布装置について説明する。ここでは、インクジェット方式により液滴を選択的に塗布する塗布装置について説明する。例えば、図3に示すように、塗布装置130は、ワークWとしての基板(すなわち第1電極60を形成済みの配線基板120)が載置されるステージ131を備えている。このステージ131の上方には、ヘッド132が配置されている。ステージ131の下方には、X方向に延在するレール133及びY方向に延在するレール134が互いに略直交するように配置されている。ステージ131は、図示しない駆動機構によって、レール133上をX方向に沿って移動可能である。また、レール133は、ステージ131とともに、図示しない駆動機構によって、レール134上をY方向に沿って移動可能である。このような構成により、ステージ131に載置されたワークWが、ヘッド132に対して、互いに略直交するX方向及びY方向の双方に相対移動可能である。
【0024】
図4に示すように、ヘッド132は、光活性層64を形成するための液滴を塗布する複数、例えば256個のノズル135を有している。図4に示した例では、これらのノズル135は、一列に並んで配置されているが、複数列に並んで配置されても良い。このような構成のヘッド132は、吐出機構136による制御に基づいて各ノズル135から液滴を吐出させる。この吐出機構136は、例えば各ノズル135に対応して配置された圧電素子などを備えて構成されており、この圧電素子に印加する電圧を制御することにより液滴の塗布精度を制御している。例えば、電圧レベルやパルス電圧のパルス幅などに基づき液滴の吐出量を制御することが可能であり、また、電圧の印加タイミング(すなわち液滴が各画素に着弾する着弾位置)により液滴の吐出タイミングを制御することが可能である。
【0025】
次に、上述した塗布装置において、各ノズルから吐出される液滴の塗布精度の調整方法について説明する。
【0026】
図5に示すように、ここで説明する調整方法は、専用の調整用基板SUBを用いて行われる。この調整用基板SUBは、例えば、通常の第1電極60を形成済みの配線基板120と同様に形成されており、マトリクス状に配置された画素PXを備えている。但し、調整用基板SUBにおける画素PXは、通常のものとは異なる条件で形成されている(詳細については後述する各調整方法を参照)。また、ヘッド132は、一列に並んで配置された複数のノズル135を備えており、調整用基板SUBに対してX方向に移動可能である。
【0027】
《第1調整方法》
第1調整方法においては、ノズル間での液滴の吐出量のばらつきを調整する。まず、図6に示すように、画素サイズが複数レベルで異なる複数の画素PXを等ピッチで一方向すなわちX方向に配列した画素列Aを複数列備えた調整用基板SUBを用意する。ここで示した例では、各画素PXは、四角形状であり、画素サイズとは、各画素PXの開口面積に相当する。各画素列Aについて、図中の最も左側に配置された画素PXの画素サイズをaとしたとき、その右側に並んだ画素PXは、変調率kの画素サイズ(1+k)×a、(1+2k)×a、(1+3k)×a…を有している。例えば、各画素PXの変調率kは0.1〜5%の範囲で増減させる。この増減範囲は必要とする調整精度によって変更する。
【0028】
また、各画素PXの中心(重心位置)Cは、破線の交点で示す通りであり、各画素PXは、X方向に沿って等ピッチP1で配置されている。この画素ピッチP1は、塗布ピッチP2に等しい。各画素PXの重心位置を格子状に配列するのは、液滴の着弾位置による広がりへの影響を考慮したためである。また、図6に示した例では、画素PXの形状は正方形で示したが、画素の形状に関しては特にこの例に限定するものではないが、正多角形もしくは円形とすることで中心対称性を確保することが望ましい。
【0029】
このような調整用基板SUBの各画素列Aの画素PXに向けて塗布装置の各ノズル135からそれぞれ液滴を塗布する。すなわち、調整用基板SUBにおけるn番目の画素列Anにn番目のノズル135nを対応させ、また、(n+1)番目の画素列A(n+1)に(n+1)番目のノズル135(n+1)を対応させ、ヘッド132のX方向に沿った移動に伴って、各ノズル135から対応する画素列の画素PXに順次液滴を塗布する。
【0030】
その後、調整用基板SUBの各画素PXに塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズル135から吐出される液滴の吐出量を調整する。すなわち、各画素列を比較したとき、液滴の広がり状態が均一であれば、液滴を塗布したノズル間での吐出量のばらつきがないと判断できるが、例えば、図7に示したように、液滴の広がり不良が発生し始める画素サイズがノズル毎に異なってくることがある。
【0031】
すなわち、n番目のノズル135nについては、画素列Anにおいて(1+4k)×aの画素サイズの画素PXにおいて広がり不良が発生し始め、(n+1)番目のノズル135(n+1)については、画素列A(n+1)において(1+2k)×aの画素サイズの画素PXにおいて広がり不良が発生し始めている。
【0032】
そこで、このような不良の原因として、ノズル間での液滴の吐出量のバラツキを考え、ノズル毎に液滴の吐出量を調整する場合について述べる。図7に示すような結果の場合に、仮に(1+3k)×aの画素サイズの画素PXまで均一に広がることを要求される塗布精度を実現するためには、少なくとも、(n+1)番目のノズル135(n+1)の吐出量を増大させる。このような液滴の吐出量の調整は、図5に示したような吐出機構136において、例えば、ノズル135(n+1)に対応して配置された圧電素子に印加する電圧レベルを設定値より高く変更する、パルス電圧のパルス幅を設定値より大きく設定するなどの制御により可能である。
【0033】
これにより、(n+1)番目のノズル135(n+1)から吐出された液滴は、画素PX内に均一に広がり、第1電極が露出するような広がり不良の発生が抑制される。このため、この液滴によって形成された光活性層上に第2電極を形成した際に、液滴の広がり不良に起因した第1電極と第2電極とのショートを防止することが可能となる。
【0034】
また、n番目のノズル135nについても、吐出量を減少させることが望ましい。すなわち、目標の画素サイズ(1+3k)×aの画素PX内に液滴が均一に広がったとしても、画素PX内の液滴の量がノズル毎に異なると、第1電極と第2電極との間に保持される光活性層の膜厚の差となり、表示ムラなどの表示不良を招くおそれがあるため、望ましくない。このため、n番目のノズル135nについて、液滴の吐出量を減少させることにより、画素PX内は、適量の液滴で満たされることになり、各画素での光活性層の膜厚を均一化することができ、表示品位を改善することが可能となる。
【0035】
《第2調整方法》
第2調整方法においては、ノズル間での液滴の画素への着弾位置のばらつきを調整する。まず、図8に示すように、画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素PXを一方向すなわちX方向に配列した画素列Aを複数列備えた調整用基板SUBを用意する。ここで示した例では、各画素PXは、四角形状であり、画素サイズは、全て同一サイズaとした。図8に示した例では、画素PXの形状は正方形で示したが、画素の形状に関しては特にこの例に限定するものではないが、正多角形もしくは円形とすることで中心対称性を確保することが望ましい。
【0036】
また、各画素PXの中心(重心位置)Cは、破線と実線との交点で示す通りであり、各画素PXは、X方向に沿ってピッチP1で配置されている。この画素ピッチP1は、各画素間で異なり、また、破線の交点で示す等ピッチの塗布ピッチP2とは異なっている。図8に示した例では、各画素列Aについて、塗布ピッチP2に対し画素の中心Cの位置をd、2d、3d…、というように複数条件でずらしている。このとき、ずれ量dは、画素ピッチP1に対して小さい値とするが、その大きさは調整する精度によって変更する。ずらす間隔については、d、2d、3d…、というような間隔にすることに特に限定するものではない。また、図8では、X方向に対して液滴の着弾位置を調整するためのものであるが、Y方向に対しても同様に画素中心位置をずらした調整用基板を用意すれば調整可能である。なお、この実施の形態においては、Y方向の着弾位置のずれは、図5に示したようなヘッド132をX−Y平面内において回転させる角度θによって調整している。
【0037】
このような調整用基板SUBの各画素列Aの画素PXに向けて塗布装置の各ノズル135からそれぞれ液滴を塗布する。すなわち、調整用基板SUBにおけるn番目の画素列Anにn番目のノズル135nを対応させ、また、(n+1)番目の画素列A(n+1)に(n+1)番目のノズル135(n+1)を対応させ、ヘッド132のX方向に沿った移動に伴って、各ノズル135から対応する画素列の画素PXに順次液滴を塗布する。
【0038】
その後、調整用基板SUBの各画素PXに塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズル135から吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する。すなわち、各画素列を比較したとき、液滴の広がり状態が均一であれば、液滴を塗布したノズル間での着弾位置のばらつきがないと判断できるが、例えば、図9に示したように、液滴の広がり不良が発生し始めるずらし位置がノズル毎に異なってくることがある。
【0039】
すなわち、n番目のノズル135nについては、画素列Anにおいて画素ピッチが+X方向にdだけずれた画素でその右側に広がり不良が発生し始めるとともに、画素ピッチが−X方向に2dだけずれた画素でその左側に広がり不良が発生し始めており、液滴の広がり状態が不均一であることが分かる(すなわち、液滴の着弾位置が−X方向にずれていることが分かる)。
【0040】
また、(n+1)番目のノズル135(n+1)については、画素列A(n+1)において画素ピッチが−X方向にdだけずれた画素でその左側に広がり不良が発生し始めており、液滴の広がり状態が不均一であることが分かる(すなわち、液滴の着弾位置が−X方向にずれていることが分かる)。しかも、(n+1)番目のノズル135(n+1)については、n番目のノズル135nよりも大きく−X方向に着弾位置がずれていることが分かる。
【0041】
そこで、このような不良の原因として、ノズル間での液滴の画素への着弾位置のバラツキを考え、ノズル毎に液滴の吐出タイミングを調整する場合について述べる。図9に示すような結果の場合に、仮にずらし量が0の画素を中心に調整することを要求される塗布精度を実現するためには、n番目のノズル135nの着弾位置を+X方向にずらし、また、(n+1)番目のノズル135(n+1)の着弾位置をn番目のノズル135nの調整幅より大きく+X方向にずらす。このような液滴の着弾位置の調整は、図5に示したような吐出機構136において、例えば、ノズル135n及びノズル135(n+1)に対応して配置された圧電素子に印加する電圧の印加タイミングを設定値より遅らせるなどの制御により液滴の吐出タイミングを変更することで可能である。
【0042】
これにより、n番目のノズル135n及び(n+1)番目のノズル135(n+1)から対応する画素PXに向けて吐出された液滴は、画素PXの中心位置付近に着弾し、ノズル間での着弾位置のズレを補正することができる。このため、液滴の広がり不良に起因した第1電極と第2電極とのショートや、表示ムラなどの表示不良の発生を防止することが可能となる。
【0043】
《調整機構》
次に、上述した塗布装置に適用可能な調整機構について説明する。
【0044】
すなわち、図10に示すように、調整機構140は、上述したような第1調整方法及び第2調整方法で説明した調整用基板SUBの各画素列の画素に向けて各ノズルからそれぞれ液滴を塗布させた後、液滴を塗布済みの調整用基板SUBを照明する光源141、調整用基板SUBに塗布された液滴の反射像を撮像する撮像部142、撮像部142を介して撮像した画像を解析する画像解析部143などを備えて構成されている。
【0045】
光源141は、蛍光を示す液滴材料の吸収波長領域に主波長を有するものを選択することが望ましい。調整機構140において、蛍光強度を測定することによって液滴の塗布精度を調整することにより、調整用基板SUBの表面凹凸による反射率のバラツキの影響を受けにくくなり、調整精度を向上することが可能である。
【0046】
画像解析部143は、撮像部142を介して撮像した画像を取り込んで、反射強度プロファイルを計測し、3次元的な液滴の分布を測定することが可能であり、液滴の吐出量のみならず、各液滴の重心あるいは円中心、楕円中心といった項目を同時に測定することが可能であり、液滴の着弾位置についても同時測定が可能である。
【0047】
また、画像解析部143は、このような解析結果に基づき、ノズル毎の液滴の吐出量、吐出タイミングの補正値を算出し、吐出機構136を制御する。これにより、塗布装置において、ノズル間での吐出量のばらつきや、着弾位置のばらつきを改善可能な液滴の吐出調整システムの構築することができる。
【0048】
(製造方法)
次に、上述したような構成の表示装置の製造方法について説明する。なお、ここでは、光活性層64は高分子系材料を用いてインクジェットによる選択塗布法により形成されるものとする。
【0049】
すなわち、金属膜及び絶縁膜の成膜、パターニングなどの処理を繰り返し、縦480画素、横640×3(R、G、B)画素の合計92万画素からなる表示エリア102を有した配線基板120を用意する。そして、図11Aに示すように、配線基板120上の表示エリア102において画素毎に第1電極60を形成する。この第1電極60の形成方法については、一般的はフォトリソグラフィプロセスで形成しても良いし、第1電極のパターンを有するマスクを介したマスクスパッタ法で形成しても良い。
【0050】
続いて、図11Bに示すように、表示エリア102において第1電極60を露出する隔壁70を形成する。すなわち、感光性樹脂材料例えばアクリルタイプのポジティブトーンのレジストを成膜した後に一般的なフォトリソグラフィプロセスなどでパターニングした後に、220℃で30分間の焼成処理を行う。これにより、表示エリア102において互いに隣接する異なる色の画素列の間を分離する隔壁70が形成される。
【0051】
続いて、図11Cに示すように、各画素列の画素毎に第1電極60上に対応する色に発光する発光層を含む光活性層64を形成する。すなわち、まず、塗布装置130において、上述した第1調整方法及び第2調整方法を適用して液滴の塗布精度の調整を行う。そして、隔壁70を備えた配線基板120を塗布装置130のステージ131上に載置する。このとき、配線基板120において画素列の延びる方向を塗布装置130におけるX方向に対応させるとともに、画素列の延びる方向と直交する方向を塗布装置130におけるY方向に対応させるように配線基板120を位置決めする。
【0052】
その後、複数のノズル135を備えたヘッド132を配線基板120に対向配置し、対応する色に発光する発光層の他にホールバッファ層などを形成するための高分子系材料の液滴を対応する画素毎に塗布する。この液滴の塗布工程は、ヘッド132を表示エリア102に対して相対的にX方向にスキャンしながら行う。
【0053】
これにより、赤色画素からなる赤色画素列のそれぞれの第1電極60上に光活性層64Rが形成される。同様の塗布方法により緑色画素からなる緑色画素列のそれぞれの第1電極60上に光活性層64Gが形成される。同様の塗布方法により青色画素からなる青色画素列のそれぞれの第1電極60上に光活性層64Bが形成される。
【0054】
続いて、図11Dに示すように、表示エリア102において各色画素の光活性層64(R、G、B)を覆うように第2電極66を形成する。この第2電極66は、先に形成された光活性層64(R、G、B)が水分の影響によりダメージを受けないようにドライプロセスで形成されることが望ましく、例えば、蒸着法によって形成される。
【0055】
一方で、アレイ基板100上の表示エリア102を封止するために、封止体の外周に沿って紫外線硬化型のシール材を塗布し、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中において、アレイ基板100と封止体とを貼り合わせる。これにより、有機EL素子40は、不活性ガス雰囲気の密閉空間内に封入される。その後、紫外線を照射して、シール材を硬化させる。
【0056】
上述した製造方法によれば、塗布精度の調整を行った塗布装置により、各ノズルから対応する画素列の各画素に液滴を塗布したことにより、画素毎に液滴量を平均化することが可能となり、また、液滴の画素内での広がり不良を防止することができた。このため、光活性層を挟持する第1電極と第2電極とのショートは発生せず、また、塗布ムラの起因した筋状の表示ムラも確認されなかった。
【0057】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示したアレイ基板の表示エリアをY方向で切断したときの構造を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、光活性層を形成する際に適用可能な塗布装置の構成を概略的に示す図である。
【図4】図4は、図3に示した塗布装置に適用可能なヘッドの構造を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図3に示した塗布装置において液滴の塗布精度を調整する調整方法を説明するための図である。
【図6】図6は、第1調整方法において適用可能な調整用基板の構成を概略的に示す図である。
【図7】図7は、図3に示した塗布装置に適用可能な第1調整方法を説明するための図である。
【図8】図8は、第2調整方法において適用可能な調整用基板の構成を概略的に示す図である。
【図9】図9は、図3に示した塗布装置に適用可能な第2調整方法を説明するための図である。
【図10】図10は、図3に示した塗布装置に適用可能な調整機構の構成を概略的に示す図である。
【図11A】図11Aは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、第1電極を形成する工程を示す図である。
【図11B】図11Bは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、隔壁を形成する工程を示す図である。
【図11C】図11Cは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、光活性層を形成する工程を示す図である。
【図11D】図11Dは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、第2電極を形成する工程を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…有機EL表示装置、10…画素スイッチ、20…駆動トランジスタ、30…蓄積容量素子、40…有機EL素子、60…第1電極、64(R、G、B)…光活性層、66…第2電極、70…隔壁、100…アレイ基板、102…表示エリア、120…配線基板、PX…画素、130…塗布装置、132…ヘッド、135…ノズル、136…吐出機構、140…調整機構、141…光源、142…撮像部、143…画像解析部、SUB…調整用基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗布装置及び塗布装置の調整方法に係り、特に、自発光性素子を構成する一対の電極間に保持された光活性層を形成するための液滴を塗布するインクジェット方式などの選択塗布方式を採用した塗布装置、及び、この塗布装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置が注目されている。この有機EL表示装置は、自発光性素子であることから、視野角が広く、バックライトを必要とせず薄型化が可能であり、消費電力が抑えられ、且つ応答速度が速いといった特徴を有している。
【0003】
これらの特徴から、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる、次世代平面表示装置の有力候補として注目を集めている。このような有機EL表示装置は、陽極と陰極との間に発光機能を有する有機化合物を含む光活性層を挟持した有機EL素子をマトリックス状に配置することにより構成されたアレイ基板を備えている。光活性層は、例えば、高分子系材料を用いてインクジェット法などの選択塗布方式により形成される。
【0004】
このような選択塗布方式を採用した場合、光活性層を形成するための液滴を吐出するノズル間での液滴の塗布精度のばらつきに起因して、表示ムラなどの表示品位の劣化を生ずるおそれがある。このため、ノズル間での液滴の吐出量のバラツキや液滴の着弾位置の調整を可能とすることが要求されている。例えば、基板に着弾するまでの液滴の飛翔状態を高速度カメラにより撮影し、液滴の飛翔状態における速度や密度などに基づいて液滴量を算出し吐出量を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−028696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、簡易な手法によりノズル間での液滴の吐出量のばらつき及び吐出した液滴の画素への着弾位置のばらつきを調整することが可能な塗布装置の調整方法及びこのような調整機構を備えた塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第1の態様による塗布装置の調整方法は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素サイズが複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明の第2の態様による塗布装置の調整方法は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の第3の態様による塗布装置は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素面積が複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第4の態様による塗布装置は、
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、簡易な手法によりノズル間での液滴の吐出量のばらつき及び吐出した液滴の画素への着弾位置のばらつきを調整することが可能な塗布装置の調整方法及びこのような調整機構を備えた塗布装置を提供することができる。これにより、表示品位の良好な表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の一実施の形態に係る表示装置について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では、表示装置として、自己発光型表示装置、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を例にして説明する。
【0012】
有機EL表示装置1は、図1に示すように、画像を表示する表示エリア102を有するアレイ基板100を備えている。表示エリア102は、マトリクス状に配置された複数の画素PX(R、G、B)によって構成されている。
【0013】
また、アレイ基板100は、画素PXの行方向(すなわち図1のY方向)に沿って配置された複数の走査線Ym(m=1、2、…)と、走査線Ymと略直交する列方向(すなわち図1のX方向)に沿って配置された複数の信号線Xn(n=1、2、…)と、有機EL素子40の第1電極60側に電源を供給するための電源供給線Pと、を備えている。
【0014】
さらに、アレイ基板100は、表示エリア102の外周に沿った周辺エリア104に、走査線Ymのそれぞれに走査信号を供給する走査線駆動回路107と、信号線Xnのそれぞれに映像信号を供給する信号線駆動回路108と、を備えている。すべての走査線Ymは、走査線駆動回路107に接続されている。また、すべての信号線Xnは、信号線駆動回路108に接続されている。
【0015】
各画素PX(R、G、B)は、画素回路及び画素回路によって駆動制御される表示素子を備えている。画素回路は、オン画素とオフ画素とを電気的に分離しかつオン画素への映像信号を保持する機能を有する画素スイッチ10と、画素スイッチ10を介して供給される映像信号に基づき表示素子へ所望の駆動電流を供給する駆動トランジスタ20と、駆動トランジスタ20のゲート−ソース間電位を所定期間保持する蓄積容量素子30とを有している。これら画素スイッチ10及び駆動トランジスタ20は、例えば薄膜トランジスタにより構成され、ここでは、半導体層にポリシリコンを用いている。
【0016】
表示素子は、自発光素子である有機EL素子40(R、G、B)によって構成されている。すなわち、赤色画素PXRは、主に赤色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Rを備えている。緑色画素PXGは、主に緑色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Gを備えている。青色画素PXBは、主に青色波長に対応した光を出射する有機EL素子40Bを備えている。
【0017】
各種有機EL素子40(R、G、B)は、基本的に同一構成であり、例えば、図2に示すように、画素毎PXに独立島状に形成された第1電極60と、第1電極60に対向して配置され全画素PXに共通に形成された第2電極66と、これら第1電極60と第2電極66との間に保持された光活性層64と、によって構成されている。
【0018】
画素スイッチ10は、ここでは走査線Ymと信号線Xnとの交差部近傍に配置されている。画素スイッチ10のゲート電極は走査線Ymに接続され、ソース電極は信号線Xnに接続され、ドレイン電極は蓄積容量素子30を構成する一方の電極及び駆動トランジスタ20のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ20のソース電極は蓄積容量素子30を構成する他方の電極及び電源供給線Pに接続され、ドレイン電極は有機EL素子40の第1電極60に接続されている。電源供給線Pは、表示エリア102の周囲に配置された図示しない第1電極電源線に接続されている。有機EL素子40の第2電極66は、表示エリア102の周囲に配置されコモン電位ここでは接地電位を供給する図示しない第2電極電源線に接続されている。
【0019】
図2に示すように、アレイ基板100は、配線基板120上に配置された複数の有機EL素子40を備えている。なお、配線基板120は、ガラス基板やプラスチックシートなどの絶縁性支持基板上に、画素スイッチ10、駆動トランジスタ20、蓄積容量素子30、走査線駆動回路107、信号線駆動回路108、各種配線(走査線、信号線、電源供給線等)などを備えて構成されたものとする。
【0020】
有機EL素子40を構成する第1電極60は、配線基板120表面の絶縁膜(例えば平坦化層)上に配置され、陽極として機能する。
【0021】
光活性層64は、少なくとも発光層を含んでいる。この光活性層64は、発光層以外の層として、例えば、各色共通に形成される正孔輸送層を備え、各色画素に形成される発光層と積層した2層構造で構成されても良いし、正孔注入層、ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、バッファ層などを含んでも良いし、またこれらを機能的に複合した層を含んでもよい。光活性層62においては、発光層が有機系材料であればよく、発光層以外の層は無機系材料でも有機系材料でも構わない。発光層は、赤、緑、または青に発光する発光機能を有する有機化合物によって形成される。すなわち、赤色画素PXRの有機EL素子40Rは、主に赤色に発光する光活性層64Rを備えている。緑色画素PXGの有機EL素子40Gは、主に緑色に発光する光活性層64Gを備えている。青色画素PXBの有機EL素子40Bは、主に青色に発光する光活性層64Bを備えている。
【0022】
第2電極66は、光活性層64(R、G、B)上に各有機EL素子40に共通に配置される。この第2電極66は、電子注入機能を有する金属材料によって形成され、陰極として機能している。
【0023】
次に、光活性層64を形成するための液滴を塗布するための塗布装置について説明する。ここでは、インクジェット方式により液滴を選択的に塗布する塗布装置について説明する。例えば、図3に示すように、塗布装置130は、ワークWとしての基板(すなわち第1電極60を形成済みの配線基板120)が載置されるステージ131を備えている。このステージ131の上方には、ヘッド132が配置されている。ステージ131の下方には、X方向に延在するレール133及びY方向に延在するレール134が互いに略直交するように配置されている。ステージ131は、図示しない駆動機構によって、レール133上をX方向に沿って移動可能である。また、レール133は、ステージ131とともに、図示しない駆動機構によって、レール134上をY方向に沿って移動可能である。このような構成により、ステージ131に載置されたワークWが、ヘッド132に対して、互いに略直交するX方向及びY方向の双方に相対移動可能である。
【0024】
図4に示すように、ヘッド132は、光活性層64を形成するための液滴を塗布する複数、例えば256個のノズル135を有している。図4に示した例では、これらのノズル135は、一列に並んで配置されているが、複数列に並んで配置されても良い。このような構成のヘッド132は、吐出機構136による制御に基づいて各ノズル135から液滴を吐出させる。この吐出機構136は、例えば各ノズル135に対応して配置された圧電素子などを備えて構成されており、この圧電素子に印加する電圧を制御することにより液滴の塗布精度を制御している。例えば、電圧レベルやパルス電圧のパルス幅などに基づき液滴の吐出量を制御することが可能であり、また、電圧の印加タイミング(すなわち液滴が各画素に着弾する着弾位置)により液滴の吐出タイミングを制御することが可能である。
【0025】
次に、上述した塗布装置において、各ノズルから吐出される液滴の塗布精度の調整方法について説明する。
【0026】
図5に示すように、ここで説明する調整方法は、専用の調整用基板SUBを用いて行われる。この調整用基板SUBは、例えば、通常の第1電極60を形成済みの配線基板120と同様に形成されており、マトリクス状に配置された画素PXを備えている。但し、調整用基板SUBにおける画素PXは、通常のものとは異なる条件で形成されている(詳細については後述する各調整方法を参照)。また、ヘッド132は、一列に並んで配置された複数のノズル135を備えており、調整用基板SUBに対してX方向に移動可能である。
【0027】
《第1調整方法》
第1調整方法においては、ノズル間での液滴の吐出量のばらつきを調整する。まず、図6に示すように、画素サイズが複数レベルで異なる複数の画素PXを等ピッチで一方向すなわちX方向に配列した画素列Aを複数列備えた調整用基板SUBを用意する。ここで示した例では、各画素PXは、四角形状であり、画素サイズとは、各画素PXの開口面積に相当する。各画素列Aについて、図中の最も左側に配置された画素PXの画素サイズをaとしたとき、その右側に並んだ画素PXは、変調率kの画素サイズ(1+k)×a、(1+2k)×a、(1+3k)×a…を有している。例えば、各画素PXの変調率kは0.1〜5%の範囲で増減させる。この増減範囲は必要とする調整精度によって変更する。
【0028】
また、各画素PXの中心(重心位置)Cは、破線の交点で示す通りであり、各画素PXは、X方向に沿って等ピッチP1で配置されている。この画素ピッチP1は、塗布ピッチP2に等しい。各画素PXの重心位置を格子状に配列するのは、液滴の着弾位置による広がりへの影響を考慮したためである。また、図6に示した例では、画素PXの形状は正方形で示したが、画素の形状に関しては特にこの例に限定するものではないが、正多角形もしくは円形とすることで中心対称性を確保することが望ましい。
【0029】
このような調整用基板SUBの各画素列Aの画素PXに向けて塗布装置の各ノズル135からそれぞれ液滴を塗布する。すなわち、調整用基板SUBにおけるn番目の画素列Anにn番目のノズル135nを対応させ、また、(n+1)番目の画素列A(n+1)に(n+1)番目のノズル135(n+1)を対応させ、ヘッド132のX方向に沿った移動に伴って、各ノズル135から対応する画素列の画素PXに順次液滴を塗布する。
【0030】
その後、調整用基板SUBの各画素PXに塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズル135から吐出される液滴の吐出量を調整する。すなわち、各画素列を比較したとき、液滴の広がり状態が均一であれば、液滴を塗布したノズル間での吐出量のばらつきがないと判断できるが、例えば、図7に示したように、液滴の広がり不良が発生し始める画素サイズがノズル毎に異なってくることがある。
【0031】
すなわち、n番目のノズル135nについては、画素列Anにおいて(1+4k)×aの画素サイズの画素PXにおいて広がり不良が発生し始め、(n+1)番目のノズル135(n+1)については、画素列A(n+1)において(1+2k)×aの画素サイズの画素PXにおいて広がり不良が発生し始めている。
【0032】
そこで、このような不良の原因として、ノズル間での液滴の吐出量のバラツキを考え、ノズル毎に液滴の吐出量を調整する場合について述べる。図7に示すような結果の場合に、仮に(1+3k)×aの画素サイズの画素PXまで均一に広がることを要求される塗布精度を実現するためには、少なくとも、(n+1)番目のノズル135(n+1)の吐出量を増大させる。このような液滴の吐出量の調整は、図5に示したような吐出機構136において、例えば、ノズル135(n+1)に対応して配置された圧電素子に印加する電圧レベルを設定値より高く変更する、パルス電圧のパルス幅を設定値より大きく設定するなどの制御により可能である。
【0033】
これにより、(n+1)番目のノズル135(n+1)から吐出された液滴は、画素PX内に均一に広がり、第1電極が露出するような広がり不良の発生が抑制される。このため、この液滴によって形成された光活性層上に第2電極を形成した際に、液滴の広がり不良に起因した第1電極と第2電極とのショートを防止することが可能となる。
【0034】
また、n番目のノズル135nについても、吐出量を減少させることが望ましい。すなわち、目標の画素サイズ(1+3k)×aの画素PX内に液滴が均一に広がったとしても、画素PX内の液滴の量がノズル毎に異なると、第1電極と第2電極との間に保持される光活性層の膜厚の差となり、表示ムラなどの表示不良を招くおそれがあるため、望ましくない。このため、n番目のノズル135nについて、液滴の吐出量を減少させることにより、画素PX内は、適量の液滴で満たされることになり、各画素での光活性層の膜厚を均一化することができ、表示品位を改善することが可能となる。
【0035】
《第2調整方法》
第2調整方法においては、ノズル間での液滴の画素への着弾位置のばらつきを調整する。まず、図8に示すように、画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素PXを一方向すなわちX方向に配列した画素列Aを複数列備えた調整用基板SUBを用意する。ここで示した例では、各画素PXは、四角形状であり、画素サイズは、全て同一サイズaとした。図8に示した例では、画素PXの形状は正方形で示したが、画素の形状に関しては特にこの例に限定するものではないが、正多角形もしくは円形とすることで中心対称性を確保することが望ましい。
【0036】
また、各画素PXの中心(重心位置)Cは、破線と実線との交点で示す通りであり、各画素PXは、X方向に沿ってピッチP1で配置されている。この画素ピッチP1は、各画素間で異なり、また、破線の交点で示す等ピッチの塗布ピッチP2とは異なっている。図8に示した例では、各画素列Aについて、塗布ピッチP2に対し画素の中心Cの位置をd、2d、3d…、というように複数条件でずらしている。このとき、ずれ量dは、画素ピッチP1に対して小さい値とするが、その大きさは調整する精度によって変更する。ずらす間隔については、d、2d、3d…、というような間隔にすることに特に限定するものではない。また、図8では、X方向に対して液滴の着弾位置を調整するためのものであるが、Y方向に対しても同様に画素中心位置をずらした調整用基板を用意すれば調整可能である。なお、この実施の形態においては、Y方向の着弾位置のずれは、図5に示したようなヘッド132をX−Y平面内において回転させる角度θによって調整している。
【0037】
このような調整用基板SUBの各画素列Aの画素PXに向けて塗布装置の各ノズル135からそれぞれ液滴を塗布する。すなわち、調整用基板SUBにおけるn番目の画素列Anにn番目のノズル135nを対応させ、また、(n+1)番目の画素列A(n+1)に(n+1)番目のノズル135(n+1)を対応させ、ヘッド132のX方向に沿った移動に伴って、各ノズル135から対応する画素列の画素PXに順次液滴を塗布する。
【0038】
その後、調整用基板SUBの各画素PXに塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズル135から吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する。すなわち、各画素列を比較したとき、液滴の広がり状態が均一であれば、液滴を塗布したノズル間での着弾位置のばらつきがないと判断できるが、例えば、図9に示したように、液滴の広がり不良が発生し始めるずらし位置がノズル毎に異なってくることがある。
【0039】
すなわち、n番目のノズル135nについては、画素列Anにおいて画素ピッチが+X方向にdだけずれた画素でその右側に広がり不良が発生し始めるとともに、画素ピッチが−X方向に2dだけずれた画素でその左側に広がり不良が発生し始めており、液滴の広がり状態が不均一であることが分かる(すなわち、液滴の着弾位置が−X方向にずれていることが分かる)。
【0040】
また、(n+1)番目のノズル135(n+1)については、画素列A(n+1)において画素ピッチが−X方向にdだけずれた画素でその左側に広がり不良が発生し始めており、液滴の広がり状態が不均一であることが分かる(すなわち、液滴の着弾位置が−X方向にずれていることが分かる)。しかも、(n+1)番目のノズル135(n+1)については、n番目のノズル135nよりも大きく−X方向に着弾位置がずれていることが分かる。
【0041】
そこで、このような不良の原因として、ノズル間での液滴の画素への着弾位置のバラツキを考え、ノズル毎に液滴の吐出タイミングを調整する場合について述べる。図9に示すような結果の場合に、仮にずらし量が0の画素を中心に調整することを要求される塗布精度を実現するためには、n番目のノズル135nの着弾位置を+X方向にずらし、また、(n+1)番目のノズル135(n+1)の着弾位置をn番目のノズル135nの調整幅より大きく+X方向にずらす。このような液滴の着弾位置の調整は、図5に示したような吐出機構136において、例えば、ノズル135n及びノズル135(n+1)に対応して配置された圧電素子に印加する電圧の印加タイミングを設定値より遅らせるなどの制御により液滴の吐出タイミングを変更することで可能である。
【0042】
これにより、n番目のノズル135n及び(n+1)番目のノズル135(n+1)から対応する画素PXに向けて吐出された液滴は、画素PXの中心位置付近に着弾し、ノズル間での着弾位置のズレを補正することができる。このため、液滴の広がり不良に起因した第1電極と第2電極とのショートや、表示ムラなどの表示不良の発生を防止することが可能となる。
【0043】
《調整機構》
次に、上述した塗布装置に適用可能な調整機構について説明する。
【0044】
すなわち、図10に示すように、調整機構140は、上述したような第1調整方法及び第2調整方法で説明した調整用基板SUBの各画素列の画素に向けて各ノズルからそれぞれ液滴を塗布させた後、液滴を塗布済みの調整用基板SUBを照明する光源141、調整用基板SUBに塗布された液滴の反射像を撮像する撮像部142、撮像部142を介して撮像した画像を解析する画像解析部143などを備えて構成されている。
【0045】
光源141は、蛍光を示す液滴材料の吸収波長領域に主波長を有するものを選択することが望ましい。調整機構140において、蛍光強度を測定することによって液滴の塗布精度を調整することにより、調整用基板SUBの表面凹凸による反射率のバラツキの影響を受けにくくなり、調整精度を向上することが可能である。
【0046】
画像解析部143は、撮像部142を介して撮像した画像を取り込んで、反射強度プロファイルを計測し、3次元的な液滴の分布を測定することが可能であり、液滴の吐出量のみならず、各液滴の重心あるいは円中心、楕円中心といった項目を同時に測定することが可能であり、液滴の着弾位置についても同時測定が可能である。
【0047】
また、画像解析部143は、このような解析結果に基づき、ノズル毎の液滴の吐出量、吐出タイミングの補正値を算出し、吐出機構136を制御する。これにより、塗布装置において、ノズル間での吐出量のばらつきや、着弾位置のばらつきを改善可能な液滴の吐出調整システムの構築することができる。
【0048】
(製造方法)
次に、上述したような構成の表示装置の製造方法について説明する。なお、ここでは、光活性層64は高分子系材料を用いてインクジェットによる選択塗布法により形成されるものとする。
【0049】
すなわち、金属膜及び絶縁膜の成膜、パターニングなどの処理を繰り返し、縦480画素、横640×3(R、G、B)画素の合計92万画素からなる表示エリア102を有した配線基板120を用意する。そして、図11Aに示すように、配線基板120上の表示エリア102において画素毎に第1電極60を形成する。この第1電極60の形成方法については、一般的はフォトリソグラフィプロセスで形成しても良いし、第1電極のパターンを有するマスクを介したマスクスパッタ法で形成しても良い。
【0050】
続いて、図11Bに示すように、表示エリア102において第1電極60を露出する隔壁70を形成する。すなわち、感光性樹脂材料例えばアクリルタイプのポジティブトーンのレジストを成膜した後に一般的なフォトリソグラフィプロセスなどでパターニングした後に、220℃で30分間の焼成処理を行う。これにより、表示エリア102において互いに隣接する異なる色の画素列の間を分離する隔壁70が形成される。
【0051】
続いて、図11Cに示すように、各画素列の画素毎に第1電極60上に対応する色に発光する発光層を含む光活性層64を形成する。すなわち、まず、塗布装置130において、上述した第1調整方法及び第2調整方法を適用して液滴の塗布精度の調整を行う。そして、隔壁70を備えた配線基板120を塗布装置130のステージ131上に載置する。このとき、配線基板120において画素列の延びる方向を塗布装置130におけるX方向に対応させるとともに、画素列の延びる方向と直交する方向を塗布装置130におけるY方向に対応させるように配線基板120を位置決めする。
【0052】
その後、複数のノズル135を備えたヘッド132を配線基板120に対向配置し、対応する色に発光する発光層の他にホールバッファ層などを形成するための高分子系材料の液滴を対応する画素毎に塗布する。この液滴の塗布工程は、ヘッド132を表示エリア102に対して相対的にX方向にスキャンしながら行う。
【0053】
これにより、赤色画素からなる赤色画素列のそれぞれの第1電極60上に光活性層64Rが形成される。同様の塗布方法により緑色画素からなる緑色画素列のそれぞれの第1電極60上に光活性層64Gが形成される。同様の塗布方法により青色画素からなる青色画素列のそれぞれの第1電極60上に光活性層64Bが形成される。
【0054】
続いて、図11Dに示すように、表示エリア102において各色画素の光活性層64(R、G、B)を覆うように第2電極66を形成する。この第2電極66は、先に形成された光活性層64(R、G、B)が水分の影響によりダメージを受けないようにドライプロセスで形成されることが望ましく、例えば、蒸着法によって形成される。
【0055】
一方で、アレイ基板100上の表示エリア102を封止するために、封止体の外周に沿って紫外線硬化型のシール材を塗布し、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中において、アレイ基板100と封止体とを貼り合わせる。これにより、有機EL素子40は、不活性ガス雰囲気の密閉空間内に封入される。その後、紫外線を照射して、シール材を硬化させる。
【0056】
上述した製造方法によれば、塗布精度の調整を行った塗布装置により、各ノズルから対応する画素列の各画素に液滴を塗布したことにより、画素毎に液滴量を平均化することが可能となり、また、液滴の画素内での広がり不良を防止することができた。このため、光活性層を挟持する第1電極と第2電極とのショートは発生せず、また、塗布ムラの起因した筋状の表示ムラも確認されなかった。
【0057】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示したアレイ基板の表示エリアをY方向で切断したときの構造を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、光活性層を形成する際に適用可能な塗布装置の構成を概略的に示す図である。
【図4】図4は、図3に示した塗布装置に適用可能なヘッドの構造を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図3に示した塗布装置において液滴の塗布精度を調整する調整方法を説明するための図である。
【図6】図6は、第1調整方法において適用可能な調整用基板の構成を概略的に示す図である。
【図7】図7は、図3に示した塗布装置に適用可能な第1調整方法を説明するための図である。
【図8】図8は、第2調整方法において適用可能な調整用基板の構成を概略的に示す図である。
【図9】図9は、図3に示した塗布装置に適用可能な第2調整方法を説明するための図である。
【図10】図10は、図3に示した塗布装置に適用可能な調整機構の構成を概略的に示す図である。
【図11A】図11Aは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、第1電極を形成する工程を示す図である。
【図11B】図11Bは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、隔壁を形成する工程を示す図である。
【図11C】図11Cは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、光活性層を形成する工程を示す図である。
【図11D】図11Dは、有機EL素子を形成するための製造工程を説明するための図であり、第2電極を形成する工程を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…有機EL表示装置、10…画素スイッチ、20…駆動トランジスタ、30…蓄積容量素子、40…有機EL素子、60…第1電極、64(R、G、B)…光活性層、66…第2電極、70…隔壁、100…アレイ基板、102…表示エリア、120…配線基板、PX…画素、130…塗布装置、132…ヘッド、135…ノズル、136…吐出機構、140…調整機構、141…光源、142…撮像部、143…画像解析部、SUB…調整用基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素サイズが複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする塗布装置の調整方法。
【請求項2】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする塗布装置の調整方法。
【請求項3】
前記調整工程は、液滴を塗布した調整用基板を撮像する工程と、撮像した画像に基づいて画素の一部が液滴から露出する液滴の広がり不良を生じ始める画素サイズを検出する工程と、所望する画素サイズの画素が液滴で満たされるように各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構に印加する電圧を制御する工程と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置の調整方法。
【請求項4】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素面積が複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項1】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素サイズが複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする塗布装置の調整方法。
【請求項2】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルを備えた塗布装置において、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を用意する工程と、
塗布装置の各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布する工程と、
調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整工程と、
を備えたことを特徴とする塗布装置の調整方法。
【請求項3】
前記調整工程は、液滴を塗布した調整用基板を撮像する工程と、撮像した画像に基づいて画素の一部が液滴から露出する液滴の広がり不良を生じ始める画素サイズを検出する工程と、所望する画素サイズの画素が液滴で満たされるように各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構に印加する電圧を制御する工程と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置の調整方法。
【請求項4】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素面積が複数レベルで異なる複数の画素を等ピッチで一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の吐出量を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
一対の電極間に保持される光活性層を形成するための液滴を塗布する複数のノズルと、
各ノズルから液滴を吐出させるための吐出機構と、
画素ピッチが複数レベルで異なる等サイズの複数の画素を一方向に配列した画素列を複数列備えた調整用基板を備え、各ノズルから調整用基板の各画素列の画素に向けてそれぞれ液滴を塗布させ、調整用基板の各画素に塗布された液滴の広がり状態に基づいて前記吐出機構を制御して各ノズルから吐出される液滴の各画素への着弾位置を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【公開番号】特開2007−111679(P2007−111679A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308558(P2005−308558)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高効率有機デバイスの開発事業」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高効率有機デバイスの開発事業」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]