塵芥収集車の管理システム
【課題】塵芥収集車を管理する事務所から塵芥収集車に切換条件を出して状況に応じた安全管理を徹底させる。
【解決手段】塵芥収集車側のGPS22(車両位置検出手段)で位置を検出して車両位置データを取得し、コントロールユニット31(積込排出制御装置)で塵芥積込排出装置21の操作が行われたときに操作の状況を示す操作状況データを取得し、これらのデータを車両側送受信装置32で通信ネットワーク50に対して無線送信する。端末機40によって、これらのデータを受信し、塵芥収集車関連情報を取得する。塵芥積込排出装置21の操作を通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件を登録し、データ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報と切換条件とを照らし合わせて塵芥積込排出装置21の操作条件を切り換える切換信号を作成し、切換信号を通信ネットワーク50に対して送信する。
【解決手段】塵芥収集車側のGPS22(車両位置検出手段)で位置を検出して車両位置データを取得し、コントロールユニット31(積込排出制御装置)で塵芥積込排出装置21の操作が行われたときに操作の状況を示す操作状況データを取得し、これらのデータを車両側送受信装置32で通信ネットワーク50に対して無線送信する。端末機40によって、これらのデータを受信し、塵芥収集車関連情報を取得する。塵芥積込排出装置21の操作を通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件を登録し、データ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報と切換条件とを照らし合わせて塵芥積込排出装置21の操作条件を切り換える切換信号を作成し、切換信号を通信ネットワーク50に対して送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車の管理システムに関し、特に事務所から状況に合わせて塵芥収集車の安全管理をするものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、塵芥の積込、排出、ダンプ操作など種々の操作が可能な塵芥収集車が知られている。これらの操作は、塵芥収集車に搭載された制御装置に固定プログラムとして固定された機能の範囲内で行われる。
【0003】
例えば特許文献1に示すように、この種の塵芥収集車では、塵芥積込装置の摺動板の下降時や、圧縮板の圧縮時にリリーフ圧以上の圧力が油圧シリンダ内に発生し、それ以上下降や圧縮が行われないときには、タイマにより所定時間が過ぎると次の工程に自動的に移るように構成されている。
【特許文献1】特開2006−137543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、圧縮板の反転工程や、摺動板の上昇工程においては、溜まった圧力はリリーフさせて逃すものの、タイマにより次の工程に移るような制御は行われていない。
【0005】
特に摺動板の上昇時には、塵芥収容箱が満杯近くなると極端に動きが遅くなり、慣れない作業者にとっては、作動中にもかかわらず、作業が止まって動かない状態と勘違いして覗き込んだりすることがある。この場合、反転や上昇が終了して急に次の工程に移る場合があるので、危険である。このため、塵芥収集車を管理する事務所は、慣れない作業者が乗っている塵芥収集車に対して、事故防止のために特に安全管理を強化する必要がある。
【0006】
一方、慣れた作業者では、このような初歩的なミスを行うことは非常にまれで、逆に過剰に安全運転を重視しすぎると、作業効率が低下してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塵芥収集車を管理する事務所から塵芥収集車に切換条件を出して状況に応じた安全管理を徹底させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、遠隔地にある端末機から通常運転と安全運転とを切り換えられるようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、塵芥積込排出装置を備えた塵芥収集車を通信ネットワークを用いて管理する塵芥収集車の管理システムを対象とする。
【0010】
そして、上記塵芥収集車の管理システムは、
上記塵芥収集車に設けられ、該塵芥収集車の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記塵芥積込排出装置を制御すると共に、該塵芥積込排出装置の操作が行われたときに、該操作の状況を示す操作状況データを取得する積込排出制御装置と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記操作状況データと上記車両位置データとを上記通信ネットワークに対して無線送信すると共に、該通信ネットワークからの信号を受信する車両側送受信装置と、
上記通信ネットワークを介して上記車両側送受信装置から無線送信されたデータを受信する端末側受信部、
上記操作状況データと上記車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するデータ取得部、
各種情報が入力される入力部、及び、
各種信号を上記ネットワークに対して送信する端末側送信部を有する端末機と、
上記塵芥積込排出装置の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を登録する操作条件登録手段と、
上記データ取得部により取得された塵芥収集車関連情報及び上記入力部に入力された上記通常運転又は安全運転に切り換える切換条件を照らし合わせて上記操作条件をいずれか一方に切り換える切換信号を作成する切換信号作成手段とを備えた構成とする。
【0011】
上記の構成によると、車両位置検出手段により、塵芥収集車の位置が随時検出されて車両位置データが取得される。塵芥積込排出装置の操作が行われたときには、積込排出制御装置によって、操作の状況を示す操作状況データが収集される。車両位置検出手段により取得された車両位置データと積込排出制御装置で取得された操作状況データとは、車両側送受信装置によって通信ネットワークに対して無線送信される。この無線送信されたデータを端末側受信部で受信し、データ取得部で塵芥収集車関連情報として取得する。操作条件登録手段に塵芥積込排出装置の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を予め又は随時記憶させておき、切換信号作成手段が、随時操作状況データ及び車両位置データからなる塵芥収集車関連情報と入力部で入力された切換条件とを照らし合わせて通常運転と安全運転とを切り換える必要があるかを判断し、切り換える必要がある場合には、塵芥積込排出装置の操作条件を切り換える切換信号を作成する。この切換信号が端末側送信部から随時通信ネットワークに対して送信される。車両側送受信装置が通信ネットワークから切換信号を受信し、この切換信号に従って積込排出制御装置が塵芥積込排出装置を制御する。このため、遠隔地にある端末機から塵芥収集車の作業状況や位置に合わせて随時塵芥積込排出装置の操作条件の切換が可能となる。例えば、塵芥収集車の走行中などの収集現場に届く前や人通りの多い収集場所に向かう前に操作条件の切換が行える。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記切換条件は、所定の経験日数を超えない初心者が作業する塵芥収集車は、安全運転に切り換えられ、所定の経験日数以上の熟練者のみが作業する塵芥収集車は、通常運転に切り換えられるように設定され、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である。
【0013】
すなわち、熟練者に比べると初心者は作業に慣れていないため、事故を起こしやすいが、上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機からでも塵芥積込排出装置の操作条件を通常運転と安全運転とに切り換える指示を出すことができるので、指示後は、作業者は安全運転で作業を行うように管理され、安全な作業が行われる。一方、熟練者の乗った塵芥収集車は、作業効率を重視して通常の操作条件で作業が行われる。
【0014】
第3の発明では、第1の発明において、
上記切換条件は、繁華街の路上や混雑場所等通行人の所在が明らかな収集場所では、安全運転に切り換えられ、通行人の所在が明らかでない収集場所では、通常運転に切り換えられるように設定され、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である。
【0015】
すなわち、通行人の所在が明らかな収集場所では、通行人が塵芥収集車に近付いて覗き込む等により、通行人がいない収集場所よりも事故が起こりやすい。しかし、上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機から通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件を入力できるので、例えば、その収集時間において通行人がいそうな収集場所では、連続積込操作をできない安全運転に切り換えて事故を防ぐようにする指示を随時出すことができる。
【0016】
第4の発明では、第1の発明において、
上記切換条件は、作業者が一人のみでは、安全運転に切り換えられ、作業者が二人以上では、通常運転に切り換えられるように設定され、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である。
【0017】
すなわち、作業者が一人の場合と、二人以上の場合とでは、一人の方が周囲の安全確認を行いにくく、事故が起こりやすい。しかし、上記の構成によると、作業者が一人の塵芥収集車には、その塵芥収集車と離れた位置にある端末機から通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件を入力できるので、一人の作業者のみの塵芥収集車では、安全を重視した安全運転を行って事故を防ぐように管理することができる。
【0018】
第5の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記塵芥積込排出装置は、複数の油圧アクチュエータと、該複数の油圧アクチュエータのうち、少なくとも1つの油圧アクチュエータが所定の圧力以上になったときにリリーフさせるリリーフ弁とを有し、
上記安全運転では、上記リリーフ時には、上記複数の油圧アクチュエータを全て停止させ、
上記通常運転では、上記リリーフ時であっても、上記複数の油圧アクチュエータの作動を続ける。
【0019】
上記の構成によると、安全運転では、油圧アクチュエータがリリーフするような場合には、完全に全ての油圧アクチュエータの作動を停止させるので、突然油圧アクチュエータが動き出して危険になることはない。一方、通常運転では、リリーフ時の状況に合わせて従来の制御が行えるので、作業が中断せず、効率がよい。
【0020】
第6の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記塵芥積込排出装置は、上記塵芥収集車に搭載した動力源から動力を得られるように構成され、
上記安全運転では、上記動力源の動力を所定量以上には上げないようにし、
上記通常運転では、上記動力源の動力を所定量を超えて上げることができるようにする。
【0021】
上記の構成によると、安全運転では、動力源の動力が所定以上に上がらないので、急な塵芥積込排出装置の作動が行われず、安全に作業を行える。一方、通常運転では、動力制限を受けることなく作業者が安全を確認しながら作業内容に合わせて動力源の動力を上下させることができるので、効率よく作業が行える。
【0022】
第7の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記塵芥収集車は、傾動可能な塵芥収容箱を備え、該塵芥収容箱を傾動させて該塵芥収容箱内の塵芥を排出可能に構成され、
上記安全運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときに一時停止するように構成され、
上記通常運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときでも一時停止しないように構成されている。
【0023】
上記の構成によると、自治体によっては、塵芥の排出時には必ず所定角度傾斜させたときに一時停止するように設定する場合があるが、仮にその設定漏れがあったとしても塵芥収集車から離れた事務所から一時停止するように条件設定をすることができる。また、初心者が運転する塵芥収集車では、例えば、塵芥排出時に一気に塵芥収容箱を傾斜させてピット内に落下するようなことを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、塵芥収集車と離れたところにある端末機から随時安全運転又は通常運転の切換条件を指示可能としたことにより、状況に応じて柔軟かつ確実な安全管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
−塵芥収集車の概略構造−
図1及び図2は本発明の実施形態1にかかる塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1の車体2上に塵芥収容箱3が搭載されている。この塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた図1に示す回動シリンダ9により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。
【0026】
塵芥収集車1は、車体2のエンジン(図示せず)に駆動される動力取出装置(PTO)52(図8に示す)を備えている。この動力取出装置52の動力により、油圧機器30が駆動されるようになっている。
【0027】
塵芥投入箱6の後部には投入口7が開口され、その内部には塵芥積込装置20が装備されている。塵芥積込装置20は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。
【0028】
図3にも示すように、塵芥投入箱6の両側壁には案内溝部材8が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱6内にはその横幅一杯に広がる摺動板10が収容されている。この摺動板10の両側縁の上下には、案内ローラ11が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ11は、上記案内溝部材8の内壁に沿って摺動自在に嵌入されている。
【0029】
上記摺動板10の背面上部の左右端部に設けたボス部19には、摺動板支持軸12が挿通されている。この摺動板支持軸12が摺動板10の摺動距離に合致して塵芥投入箱6の側壁に形成された摺動用開口6aを越えて塵芥投入箱6の内側より外側に突出するように配置されている。
【0030】
塵芥投入箱6の側壁から外側に突出した摺動板支持軸12と塵芥投入箱6の下部間には、塵芥投入箱6の外側で案内溝部材8の傾斜方向に沿って設けられた摺動シリンダ13が連結されている。摺動シリンダ13は、棒状のシリンダロッド13aと、塵芥投入箱6の側壁に取り付けられた円筒状のシリンダチューブ13bとを備えている。この摺動シリンダ13の伸縮作動によって摺動板10を案内溝部材8に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0031】
図2に示すように、上記摺動板10の下端には、塵芥投入箱6の横幅一杯に広がる圧縮板15が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板15の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。上記圧縮板15の背面に突設した接続部15aと上記摺動板10の背面上部に設けられた摺動板支持軸12との間には、揺動シリンダ14が連結され、この揺動シリンダ14の伸縮作動によって上記圧縮板15を前後に揺動させるようにしている。
【0032】
このように構成することで、図4〜図7に示すように、塵芥積込装置20は、摺動シリンダ13及び揺動シリンダ14の伸縮動作により摺動板10と圧縮板15とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口7を通じて塵芥投入箱6に投入された塵芥55を塵芥収容箱3に積込むように構成されている。
【0033】
図1に示すように、塵芥収容箱3には、上記油圧機器30に駆動され、塵芥収容箱3内の塵芥を排出する排出装置18を備えている。具体的には、塵芥収容箱3内には排出板17が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ16の伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようになされている。これら塵芥積込装置20及び排出装置18が塵芥積込排出装置21を構成している。
【0034】
図8は、本実施形態にかかる塵芥収集車の油圧機器30の油圧回路61を示す。塵芥収集車1は、積込排出制御装置としてのコントロールユニット31を備え、このコントロールユニット31は、塵芥積込排出装置21を制御するように構成されている。詳しくは説明しないが、図9にも示すように、コントロールユニット31は、CPU31a、データを一時的に又は継続的に保存する記憶部31b、塵芥積込排出装置21等を制御する制御部31c、塵芥積込排出装置21等を操作する操作端末31dなどを備えている。なお、コントロールユニット31の操作端末31dには、GPS22や、車両側送受信装置32が不調の場合、後述する安全運転指示を解除できるスイッチ(図示せず)を設け、通常運転に戻すことができるようにしてもよい。
【0035】
油圧機器30は、上記動力取出装置52に駆動される油圧ポンプ51を備えている。油圧機器30は、作動油を貯留する油圧タンク62を備え、油圧タンク62内の作動油を油圧ポンプ51で吸い上げて供給側の油圧配管61aに流通させてコントロールバルブ63に供給するように構成されている。各シリンダ9,13,14,16は、油圧配管61cを介してコントロールバルブ63に接続されている。コントロールバルブ63は、図示しない複数の電磁弁を備え、電磁弁の開閉ポートを切り換えることにより、油圧ポンプ51から吐出された作動油を所望のシリンダ9,13,14,16に対して供給するように構成されている。このことで、コントロールユニット31から送られてきた信号により、コントロールバルブ63を介して4種類のシリンダ9,13,14,16の伸縮動作の切換が制御され、又は運転が停止される。
【0036】
そして、コントロールバルブ63を通過した戻り側の作動油は、回収側の油圧配管61bを流通し、リターンフィルタ64で濾過された後、再び油圧タンク62に回収されるようになっている。コントロールバルブ63は、コントロールユニット31によって制御され、メイン回路である油圧回路61内の油圧(例えば、油圧配管61aの圧力)が所定の値を越えるとリリーフするリリーフバルブ65を備えている。また、コントロールバルブ63は、特定の部位(例えば、揺動シリンダ14)が所定の油圧を越えると反応するプレッシャスイッチ66を備えている。
【0037】
そして、コントロールユニット31は、プレッシャスイッチ66を介して又はコントロールバルブ63から直接、塵芥積込排出装置21の操作の状況を示す操作状況データを取得するように構成されている。
【0038】
塵芥収集車1のキャブ24には、車載機23が搭載されている。図9に示すように、この車載機23は、塵芥収集車1の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段としてのGPS22を備えている。GPS22は、GPSアンテナ22aを介して図示しない人工衛星からの信号を受信し、塵芥収集車1の位置を知ることができるシステムとなっている。
【0039】
また、車載機23には、コントロールユニット31で得られた操作状況データと、GPS22で得られた車両位置データとを後述する通信ネットワーク50に対して無線送信すると共に、通信ネットワーク50からの信号を受信する車両側送受信装置32が設けられている。
【0040】
さらに、車載機23は、液晶ディスプレイなどよりなる表示パネル25を備え、この表示パネル25は、GPS22の地図データ、車両位置データ、操作状況データ、塵芥積込排出装置21の操作を通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件等を表示し、作業者に知らせる役割を果たしている。表示パネル25は例えば、運転席に搭載されたGPS画面やバックモニターが兼用されている。
【0041】
−塵芥収集車管理システム−
次いで、上記塵芥収集車1を通信ネットワーク50を用いて管理する塵芥収集車管理システム100について説明する。
【0042】
図9に示すように、通信ネットワーク50は、例えば、無線通信網50aとインターネット50bよりなる。無線通信網50aは、例えば、PHS、携帯電話の通信網とする。上記車両側送受信装置32は、無線通信網50aと通信可能に構成されている。
【0043】
そして、塵芥収集車管理システム100は、塵芥収集車1を管理する塵芥収集業者等の事務所などに設置された端末機40を備えている。端末機40は、例えば、パーソナルコンピュータよりなるが、管理サーバでもよく、管理サーバの場合には、この管理サーバを介して複数のパーソナルコンピュータに接続すればよい。この端末機40は端末側受信部41及び端末側送信部45を備えている。この端末側受信部41によってインターネット50bを介して車両側送受信装置32から無線送信されたデータを受信可能に構成されている。また、端末側送信部45により、各種信号を通信ネットワーク50bに対して送信可能に構成されている。これら端末側受信部41及び端末側送信部45は、インターネット50bの接続方法に対応するルータなどのゲートウェイよりなる。このインターネット50bとの接続方法は、光ファイバー、ADSL、ダイヤルアップ等特に限定されない。車両側送受信装置32と端末側受信部41及び端末側送信部45との間の通信は、例えば、1秒から10分程度の所定間隔で行われると共に、塵芥積込排出装置21の操作が行われたときにも行われるようになっている。
【0044】
また、端末機40は、データ取得部42を備え、端末側受信部41が受信した操作状況データと車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するように構成されている。さらに、端末機40は、操作条件登録手段43を備え、塵芥積込排出装置21の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を登録可能に構成されている。
【0045】
上記端末機40の入力部48には、通常運転又は安全運転に切り換える切換条件が入力可能に構成されている。切換条件は、予め又はその状況に応じて随時入力可能である。
【0046】
上記切換条件とデータ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報とは、切換信号作成手段44で照らし合わされ、塵芥積込排出装置21の操作条件を切り換える切換信号が作成されるようになっている。例えば、CPU49が、これらデータ取得部42、操作条件登録手段43及び切換信号作成手段44の役割を果たしている。塵芥収集車関連情報や切換条件は、記憶部46に一時的に又は長期にわたって保存されると共に、端末機40が備える表示部47に表示可能に構成されている。塵芥収集車関連情報は、さらにキーボードやマウスからなる入力部48からも操作条件登録手段43に適宜追加して入力可能となっている。
【0047】
そして、上記切換信号作成手段44で得られた切換信号は、上記端末側送信部45によって通信ネットワーク50bに対して送信される。
【0048】
塵芥収容箱3は、水平に排出可能な排出装置18に換えて、車体2に設けた傾動装置としての傾動シリンダ27(図8にのみ示す)を伸縮させることにより、車体2後方の傾動軸を中心に傾動可能(ダンプ可能)に構成してもよい。この場合、切換条件は、安全運転では、指定エリアでのダンプ操作時に所定の傾動角度において一時停止する指示とすることができる。この切換条件も、端末機40によって随時入力することもできる。
【0049】
−作動−
次に、本実施形態にかかる塵芥収集車の管理システムの作動について説明する。
【0050】
(エリア及びルート指定の登録方法)
端末機40のユーザは、端末機40の入力部48を操作することによって、表示部47に表示された地図上において、作業エリアを指定可能となっている。指定された作業エリアは、端末機40の端末側送信部45から通信ネットワーク50を介して車両側送受信装置32に対して送信される。その後、指定された作業エリアは、記憶部46に記憶される。例えば、作業エリアが記憶部46にすでに記憶されている場合は、すでに記憶されている作業エリアに、指定された作業エリアが上書きされる。
【0051】
エリア指定されるのは、例えば、排出場所としての焼却処分場、中継基地、最終埋立処分場、廃棄物処理場、自社リサイクルセンタ等であり、また、指定場所としてのユーザ登録住所、現場、混雑場所、繁華街、GPS捕捉不可場所、早朝収集場所、夜間収集場所、車両保管場所、無線通信圏外場所等である。エリア指定された場所は、表示パネル25や表示部47の地図上に表示される。エリアには、名称が入力でき、例えば、設定したエリアは、地図の尺度が大きい場合には、アイコン化して表示される。表示パネル25や表示部47上の指定されたエリア又はアイコンをクリックすると切換条件が別に表示されるようにすればよい。指定したエリアにおいて安全運転か通常運転かの切換の必要性があれば、入力部48によっていずれかをセレクト式で直接入力することも可能としてもよい。
【0052】
図10に示すように、ルート指定をするときには、入力部48で複数のポイントP1,P2…を指定してポイント間を直線で結び、一定幅wのラインLをエリアとして連結していく。また、予め複数パターンを登録しておく。
【0053】
(条件設定)
1つめの条件として、時刻が指定される。時刻設定は、例えば、稼働規制時間(夏、冬)、低騒音規制時間、受付時間等よりなり、予め登録される時刻は、入力部48から入力され、リアルタイムな時刻は、例えば車載機23より入力される。
【0054】
2つめの条件として、車両条件が設定される。車両条件は、現在位置、油温上昇時、エラー発生時、GPS捕捉不能状態、積載計量値、操作状況信号等よりなる。これらの信号は、車両側送受信装置32から端末機40へ随時送信される。
【0055】
3つめの条件として、塵芥収集車1の仕様が設定される。上述した塵芥収集車1のみではなく、排出装置18を有さず、ダンプして排出するダンプ式のもの等、特に車両仕様は限定されない。起動タイマ時間、一時停止有無、ダンプ一次規制、車高(積込可能高さ)、積載質量(トン数)、計量器の有無等が設定される。塵芥収集車1ごとに表示部47で保有機能を見ながら設定する。機能は一覧で表示され、それぞれの項目を入力部48で選択する。通常、前もって登録されるが、随時入力可能としてもよい。
【0056】
(操作条件)
操作条件登録手段43には、塵芥積込排出装置21の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件が記憶される。
【0057】
具体的には、
(1)摺動シリンダ13による摺動板10の上昇時に塵芥収容箱3が満杯になって摺動シリンダ13内にリリーフバルブ65のリリーフ圧以上の圧力が発生したときに、安全運転では、全てのシリンダ9,13,14,16を停止させ、通常運転では、リリーフバルブ65からリリーフさせながらそのまま操作を続ける。
【0058】
(2)揺動シリンダ14による圧縮板15の反転時に、摺動シリンダ13内にリリーフ圧以上の圧力が発生してリリーフが発生したときに、安全運転では、全てのシリンダ9,13,14,16を停止させ、通常運転では、リリーフバルブ65からリリーフさせながらそのまま操作を続ける。
【0059】
(3)塵芥積込排出装置21の通常運転時の操作条件として、エンジンの回転数に特別な制限を加えない通常運転時と、回転数を所定の回転数に制限する安全運転時とを設定する。
【0060】
(4)連続運転中に摺動シリンダ13又は揺動シリンダ14を,16を単独操作した後の動作を、通常運転の操作条件では、そのまま次の運転を連続させて行い、安全運転の操作条件では、全ての動作を一旦停止させる。
【0061】
(5)傾動シリンダ27による排出時に、通常運転の操作条件では、傾動シリンダ27をノンストップで操作でき、安全運転の操作条件では、例えば、傾動シリンダ27を30°傾斜させた状態で安全確認のために傾動シリンダ27を一時停止させる。
【0062】
(6)塵芥収集車1が計量器を搭載しているときには、塵芥積込装置20による回収時に回収する塵芥の積載量として、安全運転における塵芥が満杯であるという積載量を、通常運転における塵芥が満杯であるという積載量よりも小さく設定してもよい。
【0063】
(7)その他塵芥積込排出装置21による作業において、安全運転の操作条件と、通常運転の操作条件との間で差を設ければよい。
【0064】
(切換条件)
切換条件として以下例示する。これらの切換条件は、入力部48によって予め入力してもよく、塵芥収集車1が塵芥の回収作業に向かった後に入力してもよい。つまり、随時入力可能となっている。
【0065】
(1)所定の経験日数を超えない初心者が作業する塵芥収集車は安全運転に切り換えられ、所定の経験日数以上の熟練者のみが作業する塵芥収集車は通常運転に切り換えられる。例えば、記憶部に各作業者の名前や作業者番号、経験日数等を記憶しておき、入力部48に作業者番号を入力することで切換条件とすることができる。
【0066】
(2)繁華街の路上や混雑場所等通行人の所在が明らかな収集場所では、安全運転に切り換えられ、通行人の所在が明らかでない収集場所では、通常運転に切り換えられる。通行人の所在については、各種情報より判断し、例えば、GPS22による位置情報やインターネット50bによる情報を利用する。
【0067】
(3)作業者が一人のみでは、安全運転に切り換えられ、作業者が二人以上では、通常運転に切り換えられるように設定される。各塵芥収集車1に乗る作業者をインプットすることで切換条件とする。
【0068】
(切換信号の作成方法)
切換信号作成手段44が、データ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報及び入力部48に入力された切換条件を照らし合わせ、操作条件登録手段43に記憶された塵芥積込排出装置の操作条件を切り換える切換信号を作成する。
【0069】
具体的には、塵芥収集車関連情報から、塵芥積込排出装置21の位置や、どのような作業を行っているかの情報を得て、その操作状況に応じて切換が必要かを判断し、切換が必要と判断された場合には、切換信号を作成する。この切換信号は、端末側送信部45から対象の塵芥収集車1に送信される。
【0070】
(動作フロー)
塵芥収集車1の走行中や停車中には、GPS22により、随時(リアルタイムに)塵芥収集車1の位置が検出され、その車両位置データが取得される。また、作業員によって塵芥積込排出装置21の操作が行われたときには、コントロールユニット31によって、操作の状況を示す操作状況データが収集される。場合によっては、回収した塵芥の計量情報が取得される。
【0071】
車両側送受信装置32と端末側受信部41及び端末側送信部45との間でやりとりされるデータ内容は、双方向のもので、端末側送信部45から通信ネットワーク50を介して車両側送受信装置32には各種の情報が送られる。車両側送受信装置32から端末側受信部41には、通信ネットワーク50を介して車両位置データ、操作状況データ、計量情報など塵芥収集車1のリアルタイムな情報が送信され、記憶部46に記憶される。
【0072】
端末側受信部41で受信したデータは、データ取得部42で塵芥収集車関連情報として取得される。
【0073】
切換信号作成手段44が、記憶部46に記憶された切換条件と、操作状況データ及び車両位置データからなる塵芥収集車関連情報とを照らし合わせて塵芥積込排出装置21の操作条件を切り換える必要があるかを判断する。切り換える必要がある場合には、切換信号を作成する。切り換える必要がないときには、切換信号を作成しない。この切換信号を作成するタイミングは、特に限定されず、切換条件が入力されたとき、新たな塵芥収集車関連情報が収集されたときなどが考えられる。
【0074】
この切換信号が随時端末機側送信部45からインターネット50bに対して送信される。車両側送受信装置32は、無線通信網50aから切換信号を受信する。
【0075】
塵芥収集車1が各作業エリアに入った場合に切換条件があれば、予め記憶した情報又はリアルタイムに受信した信号によりコントロールユニット31が塵芥積込排出装置21の操作条件を安全運転の操作条件で操作するように制御する。同時に表示パネル25に操作条件を表示したり、図示しないランプを点灯させて作業者に安全運転中である旨の注意を促す。なお、GPS22や、車両側送受信装置32が不調の場合、操作端末31dの運転切換スイッチを操作して運転を切り換えることができるようにしてもよい。
【0076】
具体的には、
(1)塵芥の回収中の連続運転時に、塵芥収容箱3が満杯になり、摺動シリンダ13による摺動板10の上昇時に摺動シリンダ13内にリリーフバルブ65のリリーフ圧以上の圧力が発生すると、初心者が作業するような塵芥収集車1では、すでに安全運転の操作条件となっているので、全てのシリンダ9,13,14,16が停止する。作業者は、安全な状態で、塵芥収集車1の状態を確認した後、満杯なので収集を中止したり、塵芥が詰まっていないかの確認をしたりすることができる。一方、ベテランの作業者のみの場合には、通常運転の操作条件に設定されているので、摺動シリンダ13は停止させず、作業者は覗き込むことなく様子を見て、収集を中止したり、単独操作により異常を取り除いたりすることができる。
【0077】
(2)連続運転中の揺動シリンダ14による圧縮板15の反転時に、摺動シリンダ13内にリリーフ圧以上の圧力が発生してリリーフが発生したときには、安全運転の場合、全てのシリンダ9,13,14,16が停止するので、安全な状態で異常の確認が行われる。通常運転では、リリーフバルブ65からリリーフさせながらそのまま操作を続け、ベテラン作業者が覗き込むことなく様子を見て、次の処理を考える。
【0078】
(3)塵芥積込排出装置21の作業中には、エンジン回転数を増加させてサイクルタイムを短くすることが可能であるが、初心者が作業していたり、人通りの多い繁華街などでは、安全重視の安全運転時の操作条件に設定される。この場合、端末機40においてエンジン回転数が所定の回転数に制限されているので、塵芥の収集中には、作業員がエンジン回転数を上げようとしても、サイクルタイムは一定以上に短くすることなく、安全に作業が行われる。一方、ベテラン作業者が運転している場合や、人通りが少なく危険が発生しにくいエリアでは、通常運転時の操作条件に設定される。この場合、エンジンの回転数に特別な制限を加えないので、作業者が塵芥の種類や、塵芥の量、収集場所を判断して適宜エンジン回転数を調整して効率よく作業が行われる。
【0079】
(4)連続運転中において、異常が起きたり、塵芥がうまく塵芥収容箱3内に押し込まれなかったりしたときには、単独運転が行われる。この摺動シリンダ13又は揺動シリンダ14,16を単独操作した後、ベテラン作業者が安全な収集場所で作業を行うような場合には、通常運転の操作条件で作業が行われる。このため、単独運転後もそのまま次の運転を連続させて連続運転が続行されるので、効率よく収集が行われる。一方、初心者が作業する場合や、人通りの多い収集場所では安全運転の操作条件で作業が行われるので、単独運転後は、全ての動作が一旦停止する。このため、作業者は安全確認をした後に、次の作業を選ぶことができる。
【0080】
(5)塵芥を収集後、処理場へ塵芥を運搬し、排出するときには、傾動シリンダ27を傾動させてピット内に排出する。このとき、初心者の場合や、自治体が希望する場合には、通常運転の操作条件に設定される。この場合、傾動シリンダ27を伸長させて塵芥収容箱3を約30°傾斜させた状態で安全確認のために傾動シリンダ27が一時停止する。そして安全確認後、ゆっくりと傾動シリンダ27をさせる。このため、一気に塵芥収容箱3を傾動させて勢い余って塵芥収集車1がピット内に落ち込むようなことはない。一方、通常運転では、ベテラン作業者が慎重に傾動シリンダ27を伸長させて排出が行われる。このときは、傾動シリンダ27をノンストップで操作できて効率がよい。
【0081】
(6)塵芥を収集しているときには、塵芥収容箱3内が徐々に満杯となってくる。積載量を厳密に管理したいときには、安全運転時の操作条件に設定され、そのときの満杯の積載量は、通常運転時の操作条件の積載量よりも小さくなる。このため、その積載量に達したときには、塵芥の収集が行えなくなる。一方、通常運転時は、それよりも大きい積載量に達するまで収集作業が行える。このように積載量によっても事務所から安全管理を行うことができる。
【0082】
(7)その他塵芥積込排出装置21による作業において、安全運転の操作条件と、通常運転の操作条件との間で差を設ければよい。例えば、地下室等での収集中では、安全運転に切り換えられ、その操作条件では、ダンプ操作ができなくなる。このように、随時遠隔地の端末機40から、ダンプ操作を行うと危険な全高規制のあるビルの地下などでの誤ったダンプ操作を防止する指示を出すことができる。
【0083】
従って、本実施形態にかかる塵芥収集車1の管理システムによると、塵芥収集車1と離れたところにある端末機40から随時安全運転又は通常運転の切換条件を指示可能としたことにより、状況に応じて柔軟かつ確実な安全管理を行うことができる。
【0084】
−実施形態の変形例−
上記実施形態では、塵芥積込装置20は、摺動板10及び圧縮板15を備えた圧縮式のものとしたが、図11に示すように、塵芥積込装置120を、塵芥投入箱6の底部に基端を中心として回転自在に設けられた回転板115と、回転板115の上部に前後に、揺動シリンダ113によって揺動自在に設けられた押込板110とを備え、回転板115の回転動作と押込板110の揺動動作との協動によって上記塵芥投入箱6に投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3に積込むように構成してもよい。この構成に合わせて操作状況データを取得し、切換信号を作成するようにすればよい。例えば、塵芥収集箱3内が満杯に近くなり、揺動シリンダ113内の圧力が高まってリリーフしたような場合、安全運転時の操作条件は、揺動シリンダ113や、回転板を駆動するアクチュエータ等を停止し、通常運転時の操作条件では、停止しないようにすればよい。
【0085】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態にかかる塵芥収集車の側面図である。
【図2】塵芥収集車の後部を拡大して側方から見た側方断面図である。
【図3】塵芥投入箱における摺動シリンダ及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図4】塵芥積込装置の上昇終了位置を説明する概略図である。
【図5】塵芥積込装置の反転終了位置を説明する概略図である。
【図6】塵芥積込装置の下降終了位置を説明する概略図である。
【図7】塵芥積込装置の最前方位置の状態を説明する概略図である。
【図8】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図9】塵芥収集車管理システムの概略構成図である。
【図10】ルート指定の方法を示す説明図である。
【図11】実施形態の変形例にかかる回転式塵芥積込装置を備えた塵芥収集車の後部を拡大して側方から見た側断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 塵芥収集車
21 塵芥積込排出装置
22 GPS(車両位置検出手段)
31 コントロールユニット(積込排出制御装置)
32 車両側送受信装置
40 端末機
41 端末側受信部
42 データ取得部
43 操作条件登録手段
44 切換信号作成手段
45 端末側送信部
50 通信ネットワーク
100 塵芥収集車管理システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車の管理システムに関し、特に事務所から状況に合わせて塵芥収集車の安全管理をするものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、塵芥の積込、排出、ダンプ操作など種々の操作が可能な塵芥収集車が知られている。これらの操作は、塵芥収集車に搭載された制御装置に固定プログラムとして固定された機能の範囲内で行われる。
【0003】
例えば特許文献1に示すように、この種の塵芥収集車では、塵芥積込装置の摺動板の下降時や、圧縮板の圧縮時にリリーフ圧以上の圧力が油圧シリンダ内に発生し、それ以上下降や圧縮が行われないときには、タイマにより所定時間が過ぎると次の工程に自動的に移るように構成されている。
【特許文献1】特開2006−137543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、圧縮板の反転工程や、摺動板の上昇工程においては、溜まった圧力はリリーフさせて逃すものの、タイマにより次の工程に移るような制御は行われていない。
【0005】
特に摺動板の上昇時には、塵芥収容箱が満杯近くなると極端に動きが遅くなり、慣れない作業者にとっては、作動中にもかかわらず、作業が止まって動かない状態と勘違いして覗き込んだりすることがある。この場合、反転や上昇が終了して急に次の工程に移る場合があるので、危険である。このため、塵芥収集車を管理する事務所は、慣れない作業者が乗っている塵芥収集車に対して、事故防止のために特に安全管理を強化する必要がある。
【0006】
一方、慣れた作業者では、このような初歩的なミスを行うことは非常にまれで、逆に過剰に安全運転を重視しすぎると、作業効率が低下してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塵芥収集車を管理する事務所から塵芥収集車に切換条件を出して状況に応じた安全管理を徹底させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、遠隔地にある端末機から通常運転と安全運転とを切り換えられるようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、塵芥積込排出装置を備えた塵芥収集車を通信ネットワークを用いて管理する塵芥収集車の管理システムを対象とする。
【0010】
そして、上記塵芥収集車の管理システムは、
上記塵芥収集車に設けられ、該塵芥収集車の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記塵芥積込排出装置を制御すると共に、該塵芥積込排出装置の操作が行われたときに、該操作の状況を示す操作状況データを取得する積込排出制御装置と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記操作状況データと上記車両位置データとを上記通信ネットワークに対して無線送信すると共に、該通信ネットワークからの信号を受信する車両側送受信装置と、
上記通信ネットワークを介して上記車両側送受信装置から無線送信されたデータを受信する端末側受信部、
上記操作状況データと上記車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するデータ取得部、
各種情報が入力される入力部、及び、
各種信号を上記ネットワークに対して送信する端末側送信部を有する端末機と、
上記塵芥積込排出装置の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を登録する操作条件登録手段と、
上記データ取得部により取得された塵芥収集車関連情報及び上記入力部に入力された上記通常運転又は安全運転に切り換える切換条件を照らし合わせて上記操作条件をいずれか一方に切り換える切換信号を作成する切換信号作成手段とを備えた構成とする。
【0011】
上記の構成によると、車両位置検出手段により、塵芥収集車の位置が随時検出されて車両位置データが取得される。塵芥積込排出装置の操作が行われたときには、積込排出制御装置によって、操作の状況を示す操作状況データが収集される。車両位置検出手段により取得された車両位置データと積込排出制御装置で取得された操作状況データとは、車両側送受信装置によって通信ネットワークに対して無線送信される。この無線送信されたデータを端末側受信部で受信し、データ取得部で塵芥収集車関連情報として取得する。操作条件登録手段に塵芥積込排出装置の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を予め又は随時記憶させておき、切換信号作成手段が、随時操作状況データ及び車両位置データからなる塵芥収集車関連情報と入力部で入力された切換条件とを照らし合わせて通常運転と安全運転とを切り換える必要があるかを判断し、切り換える必要がある場合には、塵芥積込排出装置の操作条件を切り換える切換信号を作成する。この切換信号が端末側送信部から随時通信ネットワークに対して送信される。車両側送受信装置が通信ネットワークから切換信号を受信し、この切換信号に従って積込排出制御装置が塵芥積込排出装置を制御する。このため、遠隔地にある端末機から塵芥収集車の作業状況や位置に合わせて随時塵芥積込排出装置の操作条件の切換が可能となる。例えば、塵芥収集車の走行中などの収集現場に届く前や人通りの多い収集場所に向かう前に操作条件の切換が行える。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記切換条件は、所定の経験日数を超えない初心者が作業する塵芥収集車は、安全運転に切り換えられ、所定の経験日数以上の熟練者のみが作業する塵芥収集車は、通常運転に切り換えられるように設定され、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である。
【0013】
すなわち、熟練者に比べると初心者は作業に慣れていないため、事故を起こしやすいが、上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機からでも塵芥積込排出装置の操作条件を通常運転と安全運転とに切り換える指示を出すことができるので、指示後は、作業者は安全運転で作業を行うように管理され、安全な作業が行われる。一方、熟練者の乗った塵芥収集車は、作業効率を重視して通常の操作条件で作業が行われる。
【0014】
第3の発明では、第1の発明において、
上記切換条件は、繁華街の路上や混雑場所等通行人の所在が明らかな収集場所では、安全運転に切り換えられ、通行人の所在が明らかでない収集場所では、通常運転に切り換えられるように設定され、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である。
【0015】
すなわち、通行人の所在が明らかな収集場所では、通行人が塵芥収集車に近付いて覗き込む等により、通行人がいない収集場所よりも事故が起こりやすい。しかし、上記の構成によると、塵芥収集車と離れた位置にある端末機から通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件を入力できるので、例えば、その収集時間において通行人がいそうな収集場所では、連続積込操作をできない安全運転に切り換えて事故を防ぐようにする指示を随時出すことができる。
【0016】
第4の発明では、第1の発明において、
上記切換条件は、作業者が一人のみでは、安全運転に切り換えられ、作業者が二人以上では、通常運転に切り換えられるように設定され、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である。
【0017】
すなわち、作業者が一人の場合と、二人以上の場合とでは、一人の方が周囲の安全確認を行いにくく、事故が起こりやすい。しかし、上記の構成によると、作業者が一人の塵芥収集車には、その塵芥収集車と離れた位置にある端末機から通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件を入力できるので、一人の作業者のみの塵芥収集車では、安全を重視した安全運転を行って事故を防ぐように管理することができる。
【0018】
第5の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記塵芥積込排出装置は、複数の油圧アクチュエータと、該複数の油圧アクチュエータのうち、少なくとも1つの油圧アクチュエータが所定の圧力以上になったときにリリーフさせるリリーフ弁とを有し、
上記安全運転では、上記リリーフ時には、上記複数の油圧アクチュエータを全て停止させ、
上記通常運転では、上記リリーフ時であっても、上記複数の油圧アクチュエータの作動を続ける。
【0019】
上記の構成によると、安全運転では、油圧アクチュエータがリリーフするような場合には、完全に全ての油圧アクチュエータの作動を停止させるので、突然油圧アクチュエータが動き出して危険になることはない。一方、通常運転では、リリーフ時の状況に合わせて従来の制御が行えるので、作業が中断せず、効率がよい。
【0020】
第6の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記塵芥積込排出装置は、上記塵芥収集車に搭載した動力源から動力を得られるように構成され、
上記安全運転では、上記動力源の動力を所定量以上には上げないようにし、
上記通常運転では、上記動力源の動力を所定量を超えて上げることができるようにする。
【0021】
上記の構成によると、安全運転では、動力源の動力が所定以上に上がらないので、急な塵芥積込排出装置の作動が行われず、安全に作業を行える。一方、通常運転では、動力制限を受けることなく作業者が安全を確認しながら作業内容に合わせて動力源の動力を上下させることができるので、効率よく作業が行える。
【0022】
第7の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記塵芥収集車は、傾動可能な塵芥収容箱を備え、該塵芥収容箱を傾動させて該塵芥収容箱内の塵芥を排出可能に構成され、
上記安全運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときに一時停止するように構成され、
上記通常運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときでも一時停止しないように構成されている。
【0023】
上記の構成によると、自治体によっては、塵芥の排出時には必ず所定角度傾斜させたときに一時停止するように設定する場合があるが、仮にその設定漏れがあったとしても塵芥収集車から離れた事務所から一時停止するように条件設定をすることができる。また、初心者が運転する塵芥収集車では、例えば、塵芥排出時に一気に塵芥収容箱を傾斜させてピット内に落下するようなことを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、塵芥収集車と離れたところにある端末機から随時安全運転又は通常運転の切換条件を指示可能としたことにより、状況に応じて柔軟かつ確実な安全管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
−塵芥収集車の概略構造−
図1及び図2は本発明の実施形態1にかかる塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1の車体2上に塵芥収容箱3が搭載されている。この塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた図1に示す回動シリンダ9により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。
【0026】
塵芥収集車1は、車体2のエンジン(図示せず)に駆動される動力取出装置(PTO)52(図8に示す)を備えている。この動力取出装置52の動力により、油圧機器30が駆動されるようになっている。
【0027】
塵芥投入箱6の後部には投入口7が開口され、その内部には塵芥積込装置20が装備されている。塵芥積込装置20は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。
【0028】
図3にも示すように、塵芥投入箱6の両側壁には案内溝部材8が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱6内にはその横幅一杯に広がる摺動板10が収容されている。この摺動板10の両側縁の上下には、案内ローラ11が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ11は、上記案内溝部材8の内壁に沿って摺動自在に嵌入されている。
【0029】
上記摺動板10の背面上部の左右端部に設けたボス部19には、摺動板支持軸12が挿通されている。この摺動板支持軸12が摺動板10の摺動距離に合致して塵芥投入箱6の側壁に形成された摺動用開口6aを越えて塵芥投入箱6の内側より外側に突出するように配置されている。
【0030】
塵芥投入箱6の側壁から外側に突出した摺動板支持軸12と塵芥投入箱6の下部間には、塵芥投入箱6の外側で案内溝部材8の傾斜方向に沿って設けられた摺動シリンダ13が連結されている。摺動シリンダ13は、棒状のシリンダロッド13aと、塵芥投入箱6の側壁に取り付けられた円筒状のシリンダチューブ13bとを備えている。この摺動シリンダ13の伸縮作動によって摺動板10を案内溝部材8に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0031】
図2に示すように、上記摺動板10の下端には、塵芥投入箱6の横幅一杯に広がる圧縮板15が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板15の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。上記圧縮板15の背面に突設した接続部15aと上記摺動板10の背面上部に設けられた摺動板支持軸12との間には、揺動シリンダ14が連結され、この揺動シリンダ14の伸縮作動によって上記圧縮板15を前後に揺動させるようにしている。
【0032】
このように構成することで、図4〜図7に示すように、塵芥積込装置20は、摺動シリンダ13及び揺動シリンダ14の伸縮動作により摺動板10と圧縮板15とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口7を通じて塵芥投入箱6に投入された塵芥55を塵芥収容箱3に積込むように構成されている。
【0033】
図1に示すように、塵芥収容箱3には、上記油圧機器30に駆動され、塵芥収容箱3内の塵芥を排出する排出装置18を備えている。具体的には、塵芥収容箱3内には排出板17が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ16の伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようになされている。これら塵芥積込装置20及び排出装置18が塵芥積込排出装置21を構成している。
【0034】
図8は、本実施形態にかかる塵芥収集車の油圧機器30の油圧回路61を示す。塵芥収集車1は、積込排出制御装置としてのコントロールユニット31を備え、このコントロールユニット31は、塵芥積込排出装置21を制御するように構成されている。詳しくは説明しないが、図9にも示すように、コントロールユニット31は、CPU31a、データを一時的に又は継続的に保存する記憶部31b、塵芥積込排出装置21等を制御する制御部31c、塵芥積込排出装置21等を操作する操作端末31dなどを備えている。なお、コントロールユニット31の操作端末31dには、GPS22や、車両側送受信装置32が不調の場合、後述する安全運転指示を解除できるスイッチ(図示せず)を設け、通常運転に戻すことができるようにしてもよい。
【0035】
油圧機器30は、上記動力取出装置52に駆動される油圧ポンプ51を備えている。油圧機器30は、作動油を貯留する油圧タンク62を備え、油圧タンク62内の作動油を油圧ポンプ51で吸い上げて供給側の油圧配管61aに流通させてコントロールバルブ63に供給するように構成されている。各シリンダ9,13,14,16は、油圧配管61cを介してコントロールバルブ63に接続されている。コントロールバルブ63は、図示しない複数の電磁弁を備え、電磁弁の開閉ポートを切り換えることにより、油圧ポンプ51から吐出された作動油を所望のシリンダ9,13,14,16に対して供給するように構成されている。このことで、コントロールユニット31から送られてきた信号により、コントロールバルブ63を介して4種類のシリンダ9,13,14,16の伸縮動作の切換が制御され、又は運転が停止される。
【0036】
そして、コントロールバルブ63を通過した戻り側の作動油は、回収側の油圧配管61bを流通し、リターンフィルタ64で濾過された後、再び油圧タンク62に回収されるようになっている。コントロールバルブ63は、コントロールユニット31によって制御され、メイン回路である油圧回路61内の油圧(例えば、油圧配管61aの圧力)が所定の値を越えるとリリーフするリリーフバルブ65を備えている。また、コントロールバルブ63は、特定の部位(例えば、揺動シリンダ14)が所定の油圧を越えると反応するプレッシャスイッチ66を備えている。
【0037】
そして、コントロールユニット31は、プレッシャスイッチ66を介して又はコントロールバルブ63から直接、塵芥積込排出装置21の操作の状況を示す操作状況データを取得するように構成されている。
【0038】
塵芥収集車1のキャブ24には、車載機23が搭載されている。図9に示すように、この車載機23は、塵芥収集車1の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段としてのGPS22を備えている。GPS22は、GPSアンテナ22aを介して図示しない人工衛星からの信号を受信し、塵芥収集車1の位置を知ることができるシステムとなっている。
【0039】
また、車載機23には、コントロールユニット31で得られた操作状況データと、GPS22で得られた車両位置データとを後述する通信ネットワーク50に対して無線送信すると共に、通信ネットワーク50からの信号を受信する車両側送受信装置32が設けられている。
【0040】
さらに、車載機23は、液晶ディスプレイなどよりなる表示パネル25を備え、この表示パネル25は、GPS22の地図データ、車両位置データ、操作状況データ、塵芥積込排出装置21の操作を通常運転と安全運転とに切り換える条件を示す切換条件等を表示し、作業者に知らせる役割を果たしている。表示パネル25は例えば、運転席に搭載されたGPS画面やバックモニターが兼用されている。
【0041】
−塵芥収集車管理システム−
次いで、上記塵芥収集車1を通信ネットワーク50を用いて管理する塵芥収集車管理システム100について説明する。
【0042】
図9に示すように、通信ネットワーク50は、例えば、無線通信網50aとインターネット50bよりなる。無線通信網50aは、例えば、PHS、携帯電話の通信網とする。上記車両側送受信装置32は、無線通信網50aと通信可能に構成されている。
【0043】
そして、塵芥収集車管理システム100は、塵芥収集車1を管理する塵芥収集業者等の事務所などに設置された端末機40を備えている。端末機40は、例えば、パーソナルコンピュータよりなるが、管理サーバでもよく、管理サーバの場合には、この管理サーバを介して複数のパーソナルコンピュータに接続すればよい。この端末機40は端末側受信部41及び端末側送信部45を備えている。この端末側受信部41によってインターネット50bを介して車両側送受信装置32から無線送信されたデータを受信可能に構成されている。また、端末側送信部45により、各種信号を通信ネットワーク50bに対して送信可能に構成されている。これら端末側受信部41及び端末側送信部45は、インターネット50bの接続方法に対応するルータなどのゲートウェイよりなる。このインターネット50bとの接続方法は、光ファイバー、ADSL、ダイヤルアップ等特に限定されない。車両側送受信装置32と端末側受信部41及び端末側送信部45との間の通信は、例えば、1秒から10分程度の所定間隔で行われると共に、塵芥積込排出装置21の操作が行われたときにも行われるようになっている。
【0044】
また、端末機40は、データ取得部42を備え、端末側受信部41が受信した操作状況データと車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するように構成されている。さらに、端末機40は、操作条件登録手段43を備え、塵芥積込排出装置21の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を登録可能に構成されている。
【0045】
上記端末機40の入力部48には、通常運転又は安全運転に切り換える切換条件が入力可能に構成されている。切換条件は、予め又はその状況に応じて随時入力可能である。
【0046】
上記切換条件とデータ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報とは、切換信号作成手段44で照らし合わされ、塵芥積込排出装置21の操作条件を切り換える切換信号が作成されるようになっている。例えば、CPU49が、これらデータ取得部42、操作条件登録手段43及び切換信号作成手段44の役割を果たしている。塵芥収集車関連情報や切換条件は、記憶部46に一時的に又は長期にわたって保存されると共に、端末機40が備える表示部47に表示可能に構成されている。塵芥収集車関連情報は、さらにキーボードやマウスからなる入力部48からも操作条件登録手段43に適宜追加して入力可能となっている。
【0047】
そして、上記切換信号作成手段44で得られた切換信号は、上記端末側送信部45によって通信ネットワーク50bに対して送信される。
【0048】
塵芥収容箱3は、水平に排出可能な排出装置18に換えて、車体2に設けた傾動装置としての傾動シリンダ27(図8にのみ示す)を伸縮させることにより、車体2後方の傾動軸を中心に傾動可能(ダンプ可能)に構成してもよい。この場合、切換条件は、安全運転では、指定エリアでのダンプ操作時に所定の傾動角度において一時停止する指示とすることができる。この切換条件も、端末機40によって随時入力することもできる。
【0049】
−作動−
次に、本実施形態にかかる塵芥収集車の管理システムの作動について説明する。
【0050】
(エリア及びルート指定の登録方法)
端末機40のユーザは、端末機40の入力部48を操作することによって、表示部47に表示された地図上において、作業エリアを指定可能となっている。指定された作業エリアは、端末機40の端末側送信部45から通信ネットワーク50を介して車両側送受信装置32に対して送信される。その後、指定された作業エリアは、記憶部46に記憶される。例えば、作業エリアが記憶部46にすでに記憶されている場合は、すでに記憶されている作業エリアに、指定された作業エリアが上書きされる。
【0051】
エリア指定されるのは、例えば、排出場所としての焼却処分場、中継基地、最終埋立処分場、廃棄物処理場、自社リサイクルセンタ等であり、また、指定場所としてのユーザ登録住所、現場、混雑場所、繁華街、GPS捕捉不可場所、早朝収集場所、夜間収集場所、車両保管場所、無線通信圏外場所等である。エリア指定された場所は、表示パネル25や表示部47の地図上に表示される。エリアには、名称が入力でき、例えば、設定したエリアは、地図の尺度が大きい場合には、アイコン化して表示される。表示パネル25や表示部47上の指定されたエリア又はアイコンをクリックすると切換条件が別に表示されるようにすればよい。指定したエリアにおいて安全運転か通常運転かの切換の必要性があれば、入力部48によっていずれかをセレクト式で直接入力することも可能としてもよい。
【0052】
図10に示すように、ルート指定をするときには、入力部48で複数のポイントP1,P2…を指定してポイント間を直線で結び、一定幅wのラインLをエリアとして連結していく。また、予め複数パターンを登録しておく。
【0053】
(条件設定)
1つめの条件として、時刻が指定される。時刻設定は、例えば、稼働規制時間(夏、冬)、低騒音規制時間、受付時間等よりなり、予め登録される時刻は、入力部48から入力され、リアルタイムな時刻は、例えば車載機23より入力される。
【0054】
2つめの条件として、車両条件が設定される。車両条件は、現在位置、油温上昇時、エラー発生時、GPS捕捉不能状態、積載計量値、操作状況信号等よりなる。これらの信号は、車両側送受信装置32から端末機40へ随時送信される。
【0055】
3つめの条件として、塵芥収集車1の仕様が設定される。上述した塵芥収集車1のみではなく、排出装置18を有さず、ダンプして排出するダンプ式のもの等、特に車両仕様は限定されない。起動タイマ時間、一時停止有無、ダンプ一次規制、車高(積込可能高さ)、積載質量(トン数)、計量器の有無等が設定される。塵芥収集車1ごとに表示部47で保有機能を見ながら設定する。機能は一覧で表示され、それぞれの項目を入力部48で選択する。通常、前もって登録されるが、随時入力可能としてもよい。
【0056】
(操作条件)
操作条件登録手段43には、塵芥積込排出装置21の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件が記憶される。
【0057】
具体的には、
(1)摺動シリンダ13による摺動板10の上昇時に塵芥収容箱3が満杯になって摺動シリンダ13内にリリーフバルブ65のリリーフ圧以上の圧力が発生したときに、安全運転では、全てのシリンダ9,13,14,16を停止させ、通常運転では、リリーフバルブ65からリリーフさせながらそのまま操作を続ける。
【0058】
(2)揺動シリンダ14による圧縮板15の反転時に、摺動シリンダ13内にリリーフ圧以上の圧力が発生してリリーフが発生したときに、安全運転では、全てのシリンダ9,13,14,16を停止させ、通常運転では、リリーフバルブ65からリリーフさせながらそのまま操作を続ける。
【0059】
(3)塵芥積込排出装置21の通常運転時の操作条件として、エンジンの回転数に特別な制限を加えない通常運転時と、回転数を所定の回転数に制限する安全運転時とを設定する。
【0060】
(4)連続運転中に摺動シリンダ13又は揺動シリンダ14を,16を単独操作した後の動作を、通常運転の操作条件では、そのまま次の運転を連続させて行い、安全運転の操作条件では、全ての動作を一旦停止させる。
【0061】
(5)傾動シリンダ27による排出時に、通常運転の操作条件では、傾動シリンダ27をノンストップで操作でき、安全運転の操作条件では、例えば、傾動シリンダ27を30°傾斜させた状態で安全確認のために傾動シリンダ27を一時停止させる。
【0062】
(6)塵芥収集車1が計量器を搭載しているときには、塵芥積込装置20による回収時に回収する塵芥の積載量として、安全運転における塵芥が満杯であるという積載量を、通常運転における塵芥が満杯であるという積載量よりも小さく設定してもよい。
【0063】
(7)その他塵芥積込排出装置21による作業において、安全運転の操作条件と、通常運転の操作条件との間で差を設ければよい。
【0064】
(切換条件)
切換条件として以下例示する。これらの切換条件は、入力部48によって予め入力してもよく、塵芥収集車1が塵芥の回収作業に向かった後に入力してもよい。つまり、随時入力可能となっている。
【0065】
(1)所定の経験日数を超えない初心者が作業する塵芥収集車は安全運転に切り換えられ、所定の経験日数以上の熟練者のみが作業する塵芥収集車は通常運転に切り換えられる。例えば、記憶部に各作業者の名前や作業者番号、経験日数等を記憶しておき、入力部48に作業者番号を入力することで切換条件とすることができる。
【0066】
(2)繁華街の路上や混雑場所等通行人の所在が明らかな収集場所では、安全運転に切り換えられ、通行人の所在が明らかでない収集場所では、通常運転に切り換えられる。通行人の所在については、各種情報より判断し、例えば、GPS22による位置情報やインターネット50bによる情報を利用する。
【0067】
(3)作業者が一人のみでは、安全運転に切り換えられ、作業者が二人以上では、通常運転に切り換えられるように設定される。各塵芥収集車1に乗る作業者をインプットすることで切換条件とする。
【0068】
(切換信号の作成方法)
切換信号作成手段44が、データ取得部42により取得された塵芥収集車関連情報及び入力部48に入力された切換条件を照らし合わせ、操作条件登録手段43に記憶された塵芥積込排出装置の操作条件を切り換える切換信号を作成する。
【0069】
具体的には、塵芥収集車関連情報から、塵芥積込排出装置21の位置や、どのような作業を行っているかの情報を得て、その操作状況に応じて切換が必要かを判断し、切換が必要と判断された場合には、切換信号を作成する。この切換信号は、端末側送信部45から対象の塵芥収集車1に送信される。
【0070】
(動作フロー)
塵芥収集車1の走行中や停車中には、GPS22により、随時(リアルタイムに)塵芥収集車1の位置が検出され、その車両位置データが取得される。また、作業員によって塵芥積込排出装置21の操作が行われたときには、コントロールユニット31によって、操作の状況を示す操作状況データが収集される。場合によっては、回収した塵芥の計量情報が取得される。
【0071】
車両側送受信装置32と端末側受信部41及び端末側送信部45との間でやりとりされるデータ内容は、双方向のもので、端末側送信部45から通信ネットワーク50を介して車両側送受信装置32には各種の情報が送られる。車両側送受信装置32から端末側受信部41には、通信ネットワーク50を介して車両位置データ、操作状況データ、計量情報など塵芥収集車1のリアルタイムな情報が送信され、記憶部46に記憶される。
【0072】
端末側受信部41で受信したデータは、データ取得部42で塵芥収集車関連情報として取得される。
【0073】
切換信号作成手段44が、記憶部46に記憶された切換条件と、操作状況データ及び車両位置データからなる塵芥収集車関連情報とを照らし合わせて塵芥積込排出装置21の操作条件を切り換える必要があるかを判断する。切り換える必要がある場合には、切換信号を作成する。切り換える必要がないときには、切換信号を作成しない。この切換信号を作成するタイミングは、特に限定されず、切換条件が入力されたとき、新たな塵芥収集車関連情報が収集されたときなどが考えられる。
【0074】
この切換信号が随時端末機側送信部45からインターネット50bに対して送信される。車両側送受信装置32は、無線通信網50aから切換信号を受信する。
【0075】
塵芥収集車1が各作業エリアに入った場合に切換条件があれば、予め記憶した情報又はリアルタイムに受信した信号によりコントロールユニット31が塵芥積込排出装置21の操作条件を安全運転の操作条件で操作するように制御する。同時に表示パネル25に操作条件を表示したり、図示しないランプを点灯させて作業者に安全運転中である旨の注意を促す。なお、GPS22や、車両側送受信装置32が不調の場合、操作端末31dの運転切換スイッチを操作して運転を切り換えることができるようにしてもよい。
【0076】
具体的には、
(1)塵芥の回収中の連続運転時に、塵芥収容箱3が満杯になり、摺動シリンダ13による摺動板10の上昇時に摺動シリンダ13内にリリーフバルブ65のリリーフ圧以上の圧力が発生すると、初心者が作業するような塵芥収集車1では、すでに安全運転の操作条件となっているので、全てのシリンダ9,13,14,16が停止する。作業者は、安全な状態で、塵芥収集車1の状態を確認した後、満杯なので収集を中止したり、塵芥が詰まっていないかの確認をしたりすることができる。一方、ベテランの作業者のみの場合には、通常運転の操作条件に設定されているので、摺動シリンダ13は停止させず、作業者は覗き込むことなく様子を見て、収集を中止したり、単独操作により異常を取り除いたりすることができる。
【0077】
(2)連続運転中の揺動シリンダ14による圧縮板15の反転時に、摺動シリンダ13内にリリーフ圧以上の圧力が発生してリリーフが発生したときには、安全運転の場合、全てのシリンダ9,13,14,16が停止するので、安全な状態で異常の確認が行われる。通常運転では、リリーフバルブ65からリリーフさせながらそのまま操作を続け、ベテラン作業者が覗き込むことなく様子を見て、次の処理を考える。
【0078】
(3)塵芥積込排出装置21の作業中には、エンジン回転数を増加させてサイクルタイムを短くすることが可能であるが、初心者が作業していたり、人通りの多い繁華街などでは、安全重視の安全運転時の操作条件に設定される。この場合、端末機40においてエンジン回転数が所定の回転数に制限されているので、塵芥の収集中には、作業員がエンジン回転数を上げようとしても、サイクルタイムは一定以上に短くすることなく、安全に作業が行われる。一方、ベテラン作業者が運転している場合や、人通りが少なく危険が発生しにくいエリアでは、通常運転時の操作条件に設定される。この場合、エンジンの回転数に特別な制限を加えないので、作業者が塵芥の種類や、塵芥の量、収集場所を判断して適宜エンジン回転数を調整して効率よく作業が行われる。
【0079】
(4)連続運転中において、異常が起きたり、塵芥がうまく塵芥収容箱3内に押し込まれなかったりしたときには、単独運転が行われる。この摺動シリンダ13又は揺動シリンダ14,16を単独操作した後、ベテラン作業者が安全な収集場所で作業を行うような場合には、通常運転の操作条件で作業が行われる。このため、単独運転後もそのまま次の運転を連続させて連続運転が続行されるので、効率よく収集が行われる。一方、初心者が作業する場合や、人通りの多い収集場所では安全運転の操作条件で作業が行われるので、単独運転後は、全ての動作が一旦停止する。このため、作業者は安全確認をした後に、次の作業を選ぶことができる。
【0080】
(5)塵芥を収集後、処理場へ塵芥を運搬し、排出するときには、傾動シリンダ27を傾動させてピット内に排出する。このとき、初心者の場合や、自治体が希望する場合には、通常運転の操作条件に設定される。この場合、傾動シリンダ27を伸長させて塵芥収容箱3を約30°傾斜させた状態で安全確認のために傾動シリンダ27が一時停止する。そして安全確認後、ゆっくりと傾動シリンダ27をさせる。このため、一気に塵芥収容箱3を傾動させて勢い余って塵芥収集車1がピット内に落ち込むようなことはない。一方、通常運転では、ベテラン作業者が慎重に傾動シリンダ27を伸長させて排出が行われる。このときは、傾動シリンダ27をノンストップで操作できて効率がよい。
【0081】
(6)塵芥を収集しているときには、塵芥収容箱3内が徐々に満杯となってくる。積載量を厳密に管理したいときには、安全運転時の操作条件に設定され、そのときの満杯の積載量は、通常運転時の操作条件の積載量よりも小さくなる。このため、その積載量に達したときには、塵芥の収集が行えなくなる。一方、通常運転時は、それよりも大きい積載量に達するまで収集作業が行える。このように積載量によっても事務所から安全管理を行うことができる。
【0082】
(7)その他塵芥積込排出装置21による作業において、安全運転の操作条件と、通常運転の操作条件との間で差を設ければよい。例えば、地下室等での収集中では、安全運転に切り換えられ、その操作条件では、ダンプ操作ができなくなる。このように、随時遠隔地の端末機40から、ダンプ操作を行うと危険な全高規制のあるビルの地下などでの誤ったダンプ操作を防止する指示を出すことができる。
【0083】
従って、本実施形態にかかる塵芥収集車1の管理システムによると、塵芥収集車1と離れたところにある端末機40から随時安全運転又は通常運転の切換条件を指示可能としたことにより、状況に応じて柔軟かつ確実な安全管理を行うことができる。
【0084】
−実施形態の変形例−
上記実施形態では、塵芥積込装置20は、摺動板10及び圧縮板15を備えた圧縮式のものとしたが、図11に示すように、塵芥積込装置120を、塵芥投入箱6の底部に基端を中心として回転自在に設けられた回転板115と、回転板115の上部に前後に、揺動シリンダ113によって揺動自在に設けられた押込板110とを備え、回転板115の回転動作と押込板110の揺動動作との協動によって上記塵芥投入箱6に投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3に積込むように構成してもよい。この構成に合わせて操作状況データを取得し、切換信号を作成するようにすればよい。例えば、塵芥収集箱3内が満杯に近くなり、揺動シリンダ113内の圧力が高まってリリーフしたような場合、安全運転時の操作条件は、揺動シリンダ113や、回転板を駆動するアクチュエータ等を停止し、通常運転時の操作条件では、停止しないようにすればよい。
【0085】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態にかかる塵芥収集車の側面図である。
【図2】塵芥収集車の後部を拡大して側方から見た側方断面図である。
【図3】塵芥投入箱における摺動シリンダ及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図4】塵芥積込装置の上昇終了位置を説明する概略図である。
【図5】塵芥積込装置の反転終了位置を説明する概略図である。
【図6】塵芥積込装置の下降終了位置を説明する概略図である。
【図7】塵芥積込装置の最前方位置の状態を説明する概略図である。
【図8】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図9】塵芥収集車管理システムの概略構成図である。
【図10】ルート指定の方法を示す説明図である。
【図11】実施形態の変形例にかかる回転式塵芥積込装置を備えた塵芥収集車の後部を拡大して側方から見た側断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 塵芥収集車
21 塵芥積込排出装置
22 GPS(車両位置検出手段)
31 コントロールユニット(積込排出制御装置)
32 車両側送受信装置
40 端末機
41 端末側受信部
42 データ取得部
43 操作条件登録手段
44 切換信号作成手段
45 端末側送信部
50 通信ネットワーク
100 塵芥収集車管理システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥積込排出装置を備えた塵芥収集車を通信ネットワークを用いて管理する塵芥収集車の管理システムであって、
上記塵芥収集車に設けられ、該塵芥収集車の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記塵芥積込排出装置を制御すると共に、該塵芥積込排出装置の操作が行われたときに、該操作の状況を示す操作状況データを取得する積込排出制御装置と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記操作状況データと上記車両位置データとを上記通信ネットワークに対して無線送信すると共に、該通信ネットワークからの信号を受信する車両側送受信装置と、
上記通信ネットワークを介して上記車両側送受信装置から無線送信されたデータを受信する端末側受信部、
上記操作状況データと上記車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するデータ取得部、
各種情報が入力される入力部、及び、
各種信号を上記ネットワークに対して送信する端末側送信部を有する端末機と、
上記塵芥積込排出装置の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を登録する操作条件登録手段と、
上記データ取得部により取得された塵芥収集車関連情報及び上記入力部に入力された上記通常運転又は安全運転に切り換えるための切換条件を照らし合わせて上記操作条件をいずれか一方に切り換える切換信号を作成する切換信号作成手段とを備えている
たことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記切換条件は、所定の経験日数を超えない初心者が作業する塵芥収集車の場合は安全運転に切り換え、所定の経験日数以上の熟練者のみが作業する塵芥収集車の場合は通常運転に切り換えるものであり、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記切換条件は、繁華街の路上や混雑場所等通行人の所在が明らかな収集場所の場合は安全運転に切り換え、通行人の所在が明らかでない収集場所の場合は通常運転に切り換えるものであり、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記切換条件は、作業者が一人のみの場合には安全運転に切り換え、作業者が二人以上の場合には通常運転に切り換えるものであり、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記塵芥積込排出装置は、複数の油圧アクチュエータと、該複数の油圧アクチュエータのうち、少なくとも1つの油圧アクチュエータが所定の圧力以上になったときにリリーフさせるリリーフ弁とを有し、
上記安全運転では、上記リリーフ時には、上記複数の油圧アクチュエータを全て停止させ、
上記通常運転では、上記リリーフ時であっても、上記複数の油圧アクチュエータの作動を続ける
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記塵芥積込排出装置は、上記塵芥収集車に搭載した動力源から動力を得られるように構成され、
上記安全運転では、上記動力源の動力を所定量以上には上げないようにし、
上記通常運転では、上記動力源の動力を所定量を超えて上げることができるようにする
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項7】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記塵芥収集車は、傾動可能な塵芥収容箱を備え、該塵芥収容箱を傾動させて該塵芥収容箱内の塵芥を排出可能に構成され、
上記安全運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときに一時停止するように構成され、
上記通常運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときでも一時停止しないように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項1】
塵芥積込排出装置を備えた塵芥収集車を通信ネットワークを用いて管理する塵芥収集車の管理システムであって、
上記塵芥収集車に設けられ、該塵芥収集車の位置を検出して車両位置データを取得する車両位置検出手段と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記塵芥積込排出装置を制御すると共に、該塵芥積込排出装置の操作が行われたときに、該操作の状況を示す操作状況データを取得する積込排出制御装置と、
上記塵芥収集車に設けられ、上記操作状況データと上記車両位置データとを上記通信ネットワークに対して無線送信すると共に、該通信ネットワークからの信号を受信する車両側送受信装置と、
上記通信ネットワークを介して上記車両側送受信装置から無線送信されたデータを受信する端末側受信部、
上記操作状況データと上記車両位置データとから塵芥収集車関連情報を取得するデータ取得部、
各種情報が入力される入力部、及び、
各種信号を上記ネットワークに対して送信する端末側送信部を有する端末機と、
上記塵芥積込排出装置の通常運転時の操作条件及び安全運転時の操作条件を登録する操作条件登録手段と、
上記データ取得部により取得された塵芥収集車関連情報及び上記入力部に入力された上記通常運転又は安全運転に切り換えるための切換条件を照らし合わせて上記操作条件をいずれか一方に切り換える切換信号を作成する切換信号作成手段とを備えている
たことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記切換条件は、所定の経験日数を超えない初心者が作業する塵芥収集車の場合は安全運転に切り換え、所定の経験日数以上の熟練者のみが作業する塵芥収集車の場合は通常運転に切り換えるものであり、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記切換条件は、繁華街の路上や混雑場所等通行人の所在が明らかな収集場所の場合は安全運転に切り換え、通行人の所在が明らかでない収集場所の場合は通常運転に切り換えるものであり、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記切換条件は、作業者が一人のみの場合には安全運転に切り換え、作業者が二人以上の場合には通常運転に切り換えるものであり、
上記切換条件は、上記入力部によって随時入力可能である
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記塵芥積込排出装置は、複数の油圧アクチュエータと、該複数の油圧アクチュエータのうち、少なくとも1つの油圧アクチュエータが所定の圧力以上になったときにリリーフさせるリリーフ弁とを有し、
上記安全運転では、上記リリーフ時には、上記複数の油圧アクチュエータを全て停止させ、
上記通常運転では、上記リリーフ時であっても、上記複数の油圧アクチュエータの作動を続ける
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記塵芥積込排出装置は、上記塵芥収集車に搭載した動力源から動力を得られるように構成され、
上記安全運転では、上記動力源の動力を所定量以上には上げないようにし、
上記通常運転では、上記動力源の動力を所定量を超えて上げることができるようにする
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【請求項7】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の塵芥収集車の管理システムにおいて、
上記塵芥収集車は、傾動可能な塵芥収容箱を備え、該塵芥収容箱を傾動させて該塵芥収容箱内の塵芥を排出可能に構成され、
上記安全運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときに一時停止するように構成され、
上記通常運転では、上記塵芥収容箱を所定角度傾斜させたときでも一時停止しないように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車の管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−202344(P2010−202344A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49814(P2009−49814)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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