説明

壁面と壁面発光装置の同時打設形成方法とそれに用いるコンクリート打設金物

【課題】コンクリート壁の打設と同時に壁内に発光装置のための空間を形成すること。
【解決手段】
コンクリート打設用金型を用いて、壁の打設と同時に形成された空間aには、LED光源3が配置され、空間aに続く空間bによって、LED光源3からのに光を導通するための導光路4が形成され、さらに、空間cには、光導通路4を経て導入される光を反射して壁面の外面に放出するための光反射装置5が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリートの外壁から光を発する装置の取り付け空間をコンクリー壁の打設と同時に形成する打設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDは、低い電力消費性、高い照度を有し、長寿命であり、さらには、取り付けが簡単である等の利点から、従来の発熱電灯、蛍光灯に代えて、LEDが用いられるようになり、各種建築材への適用が図られるようになり、本願出願人は、特許文献1において、波形スレートにLEDを施した壁面材を開示した。
【0003】
さらに、LED光源により居住空間を照明するための照明器具も、特許文献2に開示されている。
【0004】
しかしながら、壁面に発光面を形成するためには、種々制約があって、照明源としてLEDを利用するにしても簡単に実用化することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1374976号
【特許文献2】特開2007−172895
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、比較的簡単にコンクリート壁の外面に発光手段を設けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、一端に光源用ケースを、他端に光反射装置用ケースを取り付けた光導通路形成用管体とからなるコンクリート打設金物を、コンクリート壁を打設成形するために壁面の両側に設置した型枠板の間に連結固定し、これらの型枠板の間にコンクリートを打設することによってコンクリート壁を形成するのと同時に、コンクリート壁内に壁外面から発光する装置を設置するための空間を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、壁面のコンクリート打設と同時に壁面照明のために必要な構成空間を形成できるために、光源、光導通路、光反射装置等からなる壁面発光装置を設置するための空間を改めて形成する必要がない。
【0009】
とくに、この発明によって、コンクリート壁の打設と同時に形成される発光用装置のための空間は、LED光源からの光のように直進性に優れた光を発生する光源の利用に適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】発光装置形成用コンクリート打設金物を示す。
【図2】壁厚調整材を示す。
【図3】発光装置形成用コンクリート打設金型の組立図を示す。
【図4】発光装置形成用金型を使用したコンクリート壁の打設時の状態を示す。
【図5】コンクリート打設ののち壁内に形成した発光装置を装着する空間を示す。
【図6】壁面照明のための空間内に、必要な装置を設置した状態を示す。
【図7】壁内に形成された発光装置の構成図を示す。
【図8】発光装置の先端の反射発光面の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図に示す実施例によって説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、この発明に基づいて、発光装置のための所用空間をコンクリート壁の打設と同時にコンクリート壁を形成するために型枠板間に配置固定される打設金物1を示す。
【0013】
この打設金物1は、図2に示す壁厚調整材11、通称、セパPコンに、図3に示す発光装置形成用金型12を取り付けたもので、型枠板の間にコンクリートを打設に際して、形成した壁を鋼管によって強化すると同時に、発光源と光導通路と反射装置を収納する空間をコンクリート内に形成する。
【0014】
以下に、この外壁照明用コンクリート打設金物1の組立図を示す図3に基づいて、打設金物1の組立て要領を説明する。
【0015】
図2に示す壁厚調整材11は、図3に示すように、補強用鋼管111の両端に、それぞれ外方端部にネジ付きボルト112を有するプラスチック留具113がネジ止めされる構造になっている。この実施例に示すこの発明に係る打設金物1は、この従来から知られている壁厚調整材11の構造を利用する例を示すものである。
【0016】
また、図3において、この壁厚調整材11に取り付けられる発光装置のための空間形成用金型12は、壁の表面側に照明用反射板装着用の空間を形成するための打設ケース121に、所定の形成壁の厚さの打設コンクリートに発光装置の光導通路を形成するための鋼管122を溶接によって取付けた構造を有する。
【0017】
そして、この金型12の鋼管122の内径は、セパPコン11の補強用鋼管111が内挿できるように、補強用鋼管111の外径よりも僅かに大きく形成されている。
【0018】
そして、本発明の打設金物1を組立てるには、壁厚調整材11のプラスチック留具113を外した補強用鋼管111を、発光装置形成用金型12の鋼管122内に挿入し、先端のネジ山を利用して、先に取外したプラスチック留具113を、打設ケース121に固定した鋼管122にネジ止めにより取り付けて図1に示す外壁照明用コンクリート打設金物を得る。
【0019】
勿論、この発明に係る打設金物1は、この従来の壁厚調整材11を利用しないで、直接、発光源と光導通路と反射装置を収納する空間をコンクリート内に形成する構造とすることもできる。この場合は、光導通路を比較的強度の高い鋼管によって形成するとともに、従来のプラスチック留具に代わる留め具を用いて、光源収納空間を形成する。
【0020】
図4は、図1に示す壁面照明装置形成用金具1を利用してコンクリート壁を打設する状態を断面によって示す。
【0021】
同図において、型枠板2,21間に壁面照明装置形成用金具1の壁の前面側となる照明用打設ケース121の端縁に取付けたプレート123をボルトによって型枠板2の後面側に取り付け、壁厚調整材11のプラスチック留具113の外側面をそれぞれの型枠板21の内面に固定した状態を示す。
【0022】
図5は、コンクリート打設ののち、壁面RCから図4に示す型枠板2,21を、また、壁内に打ち込まれた打設金物1から、壁厚調整材11を構成するプラスチック留具113と補強用鋼管111を取り外したのちの状態を示す。同図に示すように、壁後面には、図4に示すプラスチック留具113によって、LED発光装置を設置するための空間aが形成され、それに続いて、先の金型12の鋼管122内に挿入された補強用鋼管111を取り除くことによって光導通路bが形成され、さらに、壁前面には、打設ケース121によって、照明用反射板装着用の空間cが形成されている。
【0023】
図6は、このように壁の打設と同時に形成された空間a、b、cのそれぞれに必要な装置を設置した状態を示す。先ず、壁の内側に位置する空間aには、LED発光装置3が空冷機構を取り入れたプラスチック台31上に取り付けられて配置される。また、空間aに続く空間bによって、LED発光装置3による光を導通するための導光路4が形成され、さらに、コンクリート壁RC面に形成された空間cには、LED発光装置3によって発光され、光導通路4を経て、導入される光を反射して壁面の外面に放出するための光反射装置5が配置される。
【0024】
この光反射装置5としては、その底面と4方側面には透明シリカ板51を配置し、それに天井面には、フードとして、同じく透明シリカ板51を配置し、その底面の光導通路4と接する位置には、ほぼ半球の乱反射のための透明シリカ球52を設けられ、光反射装置5から任意の方向に、LED光源3による光が放出される。
【0025】
図7は、図6に示す壁面内に形成されたLED光源3と光導通路4と光反射装置5の基本構成の発光装置10を示す図である。
【0026】
図8a、b、c、dは、反射面の先端開口に設けられる反射板の形態を示す。このように、発光装置10の光導通路4を通過する光の反射によって、種々の形態の光が壁面から放出される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上記実施例において、壁表面の反射面は、正四角形に形成された例を示しているが、壁外面の照明、壁外面からの発光の目的に応じて、面発光面は、円形、四角その他の角状等、大きさ等の調整が可能である。
【0028】
さらには、壁表面の反射面を、一辺が短い三角形の組み合わせにすることによって、疑似曲辺を形成することができ、比較的広い曲辺を有する反射面とし、目的に応じて、種々の形状と大きさをもつ発光面を形成することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 外壁照明用コンクリート打設金物(打設金物)
11 壁厚調整材(セパPコン)
111 補強用鋼管 112 ネジ付きボルト 113 プラスチック留具
12 発光装置形成用金型
121 打設ケース 122 鋼管 123
2,21 型枠板
3 LED光源
31 載置用台
4 光導通路
5 光反射装置
51 透明シリカ板
52 透明シリカ球
10 発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に光源用ケースを、他端に光反射装置用ケースを取り付けた光導通路形成用管体とからなるコンクリート打設金物を、コンクリート壁を打設成形するために壁面の両側に設置した型枠板の間に連結固定し、これらの型枠板の間にコンクリートを打設することによってコンクリート壁を形成するのと同時に、コンクリート壁内に壁外面から発光する装置を設置するための空間を形成する壁面発光装置の形成方法。
【請求項2】
光導通路形成用管体の両端に、光源取付用の空間形成部材と発光反射部材取付用の空間形成部材を設けてなる壁面発光装置形成用コンクリート打設金物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−137338(P2011−137338A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298400(P2009−298400)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(509063557)
【Fターム(参考)】