外層の間に挟み込まれた放射線感応層を結像処理することによって微細構造体を形成するためのシステムおよび方法並びにそれにより形成された微細構造体
結像用プラットフォーム上において、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層を含む微細構造マスタ型生地をその放射線感応層内に微細構造体を画定すべく結像処理することによって微細構造体が形成される。続いて、1対の外層の少なくとも1つが取り除かれる。次いで、放射線感応層内に画定された微細構造体が現像される。1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層は、微細構造マスタ型生地を提供するウェブとして加工される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本願発明者による現在出願中の米国特許出願番号第10/661,916号「シリンダ形プラットフォームおよびラスタ走査される放射線ビームを使用して光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法(Systems and Methods for Fabricating Optical Microstructures Using a Cylindrical Platform and a Rastered Radiation Beam)」と、本願発明者によるこれも現在出願中の米国特許出願番号第10/661,917号「ネガ型フォトレジストを使用して基板を介して微細構造体のマスタ型を製造するためのシステムおよび方法並びにそれにより製造された微細構造マスタ型(Systems and Methods for Mastering Microstructures Through a Substrate Using Negative Photoresist and Microstructure Masters So Produced)」とに関連する。両出願とも本願譲受人に譲渡されており、両出願の開示内容全体はこの参照により本願に含まれるものとする。
【0002】
[技術分野]
本発明は、微細加工方法およびシステム、特に、微細構造体を形成するためのシステムおよび方法並びにそれにより形成された微細構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
光学的微細構造体は、消費者用市販製品に広く利用されている。当業者に周知のように、光学的微細構造体は、マイクロレンズ、光学格子、微小反射体並びに/または他の吸光性、透光性および/もしくは反射性構造体を含むことがあるが、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである。
【0004】
光学的微細構造体の大型アレイ(large arrays of optical microstructures)の製造法は、目下研究が行われている。ここに使用される光学的微細構造体の大型アレイは、1アレイ当たり少なくとも約百万個の光学的微細構造体を含み、かつ/または一辺が少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積をカバーする。例えば、マイクロレンズの大型アレイは、コンピュータ用ディスプレイ(モニタ)および/またはプロジェクション型テレビ受像機に利用されることがある。アレイは、同一な微細構造体および/または非同一な微細構造体の均一な間隔および/または不均一な間隔を有することができることは理解されよう。
【0005】
しかし残念ながら、光学的微細構造体の大型アレイの製造を試行する中で深刻なスケーリング障壁(scaling barriers)に遭遇することがある。これらのスケーリング障壁により、光学的微細構造体の大型アレイを受入可能な製造歩留まりで効率的に製造することは困難になる場合がある。
【0006】
いくつかの障壁は、光学的微細構造体を大型アレイに拡大(スケール)する試みの中で遭遇する場合がある。第1に、大型アレイのマスタ型(金型に相当するもの)を製造する時間は非現実的なほど長くなる場合がある。特に、最初に“マスタ型(master)”に光学的微細構造体の型が作られ、続いてそのマスタ型は最後に最終製品を大量生産するために1つ以上の第2世代のスタンパに複製されることがあることは周知されている。残念ながら、光学的微細構造体の大型アレイのマスタ型を合理的な時間内に作り上げることは困難な場合がある。例えば、大型スクリーンのリアプロジェクション型テレビ受像機の単一マスタ型を作り上げるには、数年を要する場合があることが計算によって示されることがある。これらのマスタ型形成時間は、実現可能な製品にとって現実的ではないと言える。
【0007】
多くの用途に望まれることがある特定の光学的微細構造体の型を作ることも困難な場合がある。例えば、コンピュータ用ディスプレイまたはプロジェクション型テレビ受像機は、マイクロレンズの大型アレイを利用することがあるが、各マイクロレンズは、準半球形(sub-hemisphere、180°未満の範囲を定める)、半球形(hemisphere、約180°の範囲を定める)、過半球形(super-hemisphere、180°を超える範囲を定める)を含み得る半球形セクションから成る。しかしながら、半球形セクションの大型アレイのマスタ型を従来のフォトリソグラフィー技術を使用して形成することは困難な場合がある。最後に、ディスプレイ、テレビ受像機および/または他の用途のための光学的微細構造最終製品の大量生産を可能にするために、光学的微細構造体の大型アレイを含むマスタ型を効率的に複製してスタンパを形成することは困難な場合がある。
【発明の開示】
【0008】
上記課題を解決するための手段の本発明の具体的な一部の形態として、微細構造体を形成する微細加工方法が提供される。この微細加工方法では、結像用プラットフォーム(imaging platform)上において、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層(radiation sensitive layer)を含む微細構造マスタ型生地(microstructure master blank)を結像処理することによって、前記放射線感応層内に微細構造体が画定される。続いて1対の外層の少なくとも1つが取り除かれる。前記放射線感応層内に画定された微細構造体が現像される。現像された微細構造体は、微細構造マスタ型(microstructure master)を作り出すことができる。微細構造体は、光学的微細構造体および/または機械的微細構造体から成る場合がある。続いて行われる工程において、前記微細構造マスタ型から第2世代のスタンパを形成することができ、それらのスタンパから最終製品となる微細構造体を形成することができる。一部の形態では、結像処理の前に、1対の外層の間に挟み込まれた前記放射線感応層は例えばウェブ(web)として加工され、前記結像用ステージ(プラットフォーム)上に配置される。本発明の一部の形態では、その結果、大型の微細構造マスタ型の大量生産を実現することができる。
【0009】
一部の形態では、前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接する第1の外層と、前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを含む。結像処理後、前記第2の外層は前記放射線感応層から取り除かれ、前記放射線感応層はマスタ型を形成するために現像される。次に第2世代のスタンパが、前記マスタ型から、前記放射線感応層内の微細構造体をスタンパ生地(stamper blank)に接触させることによって形成される。
【0010】
特に、本発明の一部の形態では、結像処理された微細構造マスタ型は前記結像用プラットフォームから取り外され、取り外された微細構造マスタ型は前記スタンパを生成するために使用される。特に、形態によっては、前記第1の外層は前記結像用プラットフォームから取り除かれ、それにより、結像処理された微細構造マスタ型は前記結像用プラットフォームから取り外される。続いて前記第1または第2の外層は前記放射線感応層から分離され、前記放射線感応層は現像される。次に第2世代のスタンパが、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、前記放射線感応層内のそれらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって生成される。形態によっては、それらの微細構造体はスタンパ生地に押しつけられる。他の形態では、それらの微細構造体はスタンパ生地に対して転がされる。
【0011】
さらに、本発明の一部の形態では、平坦および/または非平坦な結像用および/またはスタンピング用のプラットフォームの組み合わせを使用することが可能である。より具体的に言えば、一部の形態では、結像用プラットフォームは平坦な結像用プラットフォームであり、第2世代のスタンパは前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、前記放射線感応層内のそれらの微細構造体をスタンパ生地(stamper blank)に押しつけることによって生成される。他の形態では、結像用プラットフォームはシリンダ形プラットフォームであり、第2世代のスタンパは前記放射線感応層内に現像された微細構造体をスタンパ生地に対して回して転がすことによって生成される。こうして、これらの形態では、結像用プラットフォーム自体をスタンピング(用)プラットフォームとして使用することもできる。さらに、他の形態では、結像用プラットフォームから取り外された後の放射線感応層が現像され、次いでスタンパを生成するために平坦および/または非平坦なスタンピング・プラットフォームに取り付けられる。
【0012】
本発明の一部の形態では、マスタ型の大量生産および大量複製が実施されることがある。特に、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る第1の微細構造マスタ型が結像用プラットフォームから取り外された後、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る第2の微細構造マスタ型がその結像用プラットフォーム上で結像処理され、第2の微細構造マスタ型の放射線感応層内に微細構造体が画定される。第2の微細構造マスタ型を結像処理する工程は、既に結像処理された第1の微細構造マスタ型からスタンパを生成する工程と時間的に少なくとも部分的に重なることが可能である。
【0013】
本発明の課題解決手段の具体的な形態は、ここでは主に微細構造体を形成する方法に関連して述べられてきた。しかし当業者であれば、他の形態として、微細構造体を形成するための微細加工システムが提供可能なことも理解されよう。
【0014】
本発明の一部の形態による、微細構造マスタ型の生地(blank)を製造するための装置は、微細構造体の像(イメージ)をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層で第1のフレキシブル・ウェブ上をコーティングするように構成された放射線感応性材料コーティング(用)ステーションを具備する。微細構造体の像(イメージ)をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層に前記第1のフレキシブル・ウェブの反対側にて第2のフレキブル・ウェブでラミネート加工(積層加工)を施すように構成されたラミネート加工ステーション(laminating station)も提供される。前記放射線感応性材料の層(放射線感応層)は、一部の形態ではネガ型フォトレジスト層である。前記第1および第2のフレキシブル・ウェブは、一部の形態では同一である。他の形態では、前記ネガ型フォトレジスト層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記第1のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数にある放射線に対して透明である(=透過性がある)。更に他の形態では、前記第2のフレキシブル・ウェブは前記所定の周波数にある放射線に対して不透明である(=透過性がない)。微細構造マスタ型の生地を製造するための対応する方法も提供されることがある。
【0015】
本発明の一部の形態による微細構造マスタ型のための生地(微細構造マスタ型生地)は、狭い間隔を置いて離れた1対のフレキシブル・ウェブ(webs)と、前記1対のフレキシブル・ウェブの間に挟み込まれており微細構造体の像(イメージ)をその中に結像させるのに適った放射線感応層とを含む。一部の形態では、前記放射線感応層はその中に光学的微細構造体の潜像(latent image)を含む。形態によっては、前記放射線感応層はネガ型フォトレジスト層である。
【0016】
一部の形態では、前記1対のフレキシブル・ウェブは同一である。他の形態では、前記ネガ型フォトレジスト層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記1対のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数に対して透明である。更に他の形態では、前記1対のフレキシブル・ウェブの一方は前記所定の周波数にある放射線に対して透明であり、前記1対のフレキシブル・ウェブの他方はその所定の周波数にある放射線に対して不透明である。これらの生地は、本発明の一部の形態によれば、微細構造体のための面積の大きなマスタ型を形成するために使用されることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明はしかしながら多くの形態で実施が可能であり、ここに述べられる実施形態に限定されると解されるべきではない。正しくは、これらの実施形態は、本開示が周到かつ徹底するよう、かつ本発明の範囲が当業者に十分明示されるよう提供される。図面において、層(レイヤ)および領域のサイズおよび相対的なサイズはわかりやすくするために誇張して描かれている場合がある。また同一または類似の符号は同一または類似の構成要素に付されている。
【0018】
層(レイヤ)、領域または基板といった構成要素が別の構成要素の「上に」あるといった言い方がされるとき、それはその別の要素の上に直に存在することができる、あるいは(その別の構成要素との間に)介在する構成要素も存在する場合がある。さらに、「頂上、上端部、最上部(top)」または「外、外側(outer)」という相対的な表現はここでは図面に示された基本構造に関連した1つの層もしくは領域の別の層もしくは領域に対する位置関係を記述するのに使用される場合がある。これらの相対的な表現は、装置の図面に示された配置(orientation)に加えてそれとは異なる配置も包含することが意図されていることは理解されよう。最後に、「直に、直接的に」という表現は介在する構成要素が全く存在しないことを意味する。
【0019】
本発明の実施形態は、ここでは光学的微細構造体(optical microstructures)の形成に関連して説明されるが、ここで言う光学的(オプティカル)微細構造体には、マイクロレンズ、光学格子、微小反射体並びに/または他の吸光性、透光性および/もしくは反射性構造体が含まれることがあり、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである。しかしながら、機械的(メカニカル)微細構造体(mechanical microstructures)を形成するために本発明の他の実施形態が使用される場合があることは理解されよう。ここで言う機械的微細構造体には、例えば、微小流体システム、微小空気圧システムおよび/または微小電気機械システムに使用されることがある、空気圧式、油圧/水圧式および/または微小電気システム(microeleetromechanical system:MEMS)の微細構造体が含まれることがあり、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである。
【0020】
図1に本発明の一部の実施形態に基づく光学的微細構造体を形成するシステムおよび方法を示す。図1に示すように、その上に放射線感応層110を含むシリンダ形プラットフォームまたはドラム100は、軸102の周りに、例えば矢印104に示される方向に回転される。ここに使用される表現「放射線感応(性)」は、限定はされないがフォトレジスト(photoresist)を含む任意の写真感光材料(photo-imageable material)を包含する。図1に同じく示すように、同時に、レーザ122によって発生したレーザビーム120といった放射線ビームは、軸方向に放射線感応層110の少なくとも一部分にわたって矢印124によって示される正反対の軸方向にラスタ走査(raster)またはスキャン(scan)され、放射線感応層110内に光学的微細構造体132が結像する。こうして形成されたイメージは、潜像(latent image)と称されることもある。本発明の実施形態は、ここでは一般にレーザビームおよびレーザ感光性フォトレジストに関して説明されるが、電子ビームといった他のコヒーレントまたはインコヒーレントな放射線ビームが、適合する放射線感応層と一緒に使用される場合があることは理解されよう。
【0021】
放射線感応層110は、図1に示すようにシリンダ形プラットフォーム100上に直に積層する場合があること、あるいは詳細に後述するように放射線感応層110とシリンダ形プラットフォーム100との間に1つ以上の介在層が提供される場合があることは当業者には理解されよう。さらに、詳細に後述するように、1つ以上の層が放射線感応層110の上にシリンダ形プラットフォーム100から離れた状態で提供されることがある。放射線感応層110の他の実施形態も後述される。さらに、シリンダ形プラットフォーム100は、軸102の周りに等角速度および/または可変角速度で回転されることがある。
【0022】
図1に示すように、一部の実施形態において、レーザ122は、放射線感応層110が感応する周波数または周波数帯域にある放射線を放出する連続発振(Continuous Wave:CW)レーザである。実施形態によっては、レーザビーム120はシリンダ形プラットフォームの軸方向の長さ全体にわたって軸方向にラスタ走査される場合がある。しかしながら、一部の実施形態として、より詳細に後述するように、レーザビーム124はシリンダ形プラットフォーム100の比較的小さな部分にわたってラスタ走査されることがある。
【0023】
最後に、説明の目的から少数の光学的微細構造体132のみが図示されているが、実施形態によっては、光学的微細構造体の大型アレイを提供するために通常は多数の光学的微細構造体132が形成されることは理解されよう。図1には、光学的微細構造体132は半球形セクションの形状にあるマイクロレンズであるとして示されているが、他の実施形態では例えば光学格子構造体といった他の微細構造体が複数の均一および/または不均一な間隔を置いた同一および/または非同一の光学的微細構造体132として形成される場合がある。均一および/または不均一なサイズおよび/または間隔の異なるタイプの光学的微細構造体の組み合わせも形成される場合がある。
【0024】
図2乃至図4は他の実施形態を示しており、そこではシリンダ形プラットフォーム100および/またはレーザビーム120は軸方向に互いに相対的に並進(translate)させられ、その間、それと同時にプラットフォームの回転とレーザビームのラスタ走査が行われて、シリンダ形プラットフォーム100の長さのかなりの部分にわたって光学的微細構造体が結像する。一部の実施形態では、軸方向の並進によって光学的微細構造体がシリンダ形プラットフォーム100の軸方向の長さのほぼ全体にわたって形成されることが可能となる。一部の実施形態では、シリンダ形プラットフォーム100は軸方向の固定されたポジションに維持されるとともに、レーザ122および/またはレーザビーム120は軸方向に沿って並進させられる。逆に他の実施形態では、レーザ122および/またはレーザビーム120は軸方向の固定された場所に維持されることがあるとともに、シリンダ形プラットフォーム100は軸方向に並進させられることがある。更に他の実施形態では、レーザ122および/またはレーザビーム122並びにシリンダ形プラットフォーム100は両方とも軸方向に互いに相対的に並進させられることがある。例えば、レーザ122は、シリンダ形プラットフォーム100の一端部に固定されることがあるとともに、ミラーなどのレーザ光学素子がレーザビーム122をシリンダ形プラットフォームに対して例えば軸方向に移動および/または回転させることによって並進させるよう設定されている場合がある。
【0025】
図2乃至図4に本発明の実施形態を示す。そこでは、固定されたレーザ122に対してシリンダ形プラットフォーム100が軸方向に並進させられる。具体的に図2を参照して説明すると、シリンダ形プラットフォーム100は、ローラ222および/または他の従来の機構を使って支持体(support)210を土台(base)220に対して移動させることによって、矢印224に示される(軸方向の)並進方向に沿って軸方向に並進させられる。図2に示すように、シリンダ形プラットフォーム110を並進方向224に沿って継続的に並進させることにより、連続的な螺旋形パタン230の光学的微細構造体132が放射線感応層110内に(潜像として)結像する。
【0026】
図3に本発明の他の実施形態を示す。そこでは、シリンダ形プラットフォーム100はレーザビーム120に対して並進方向324に沿って段階的に(つまり一段ずつ)並進させられ、放射線感応層内の個々のバンド330に光学的微細構造体132が結像する。図3の実施形態では、シリンダ形プラットフォーム100は矢印104に示された回転方向に継続的に回転されることがあり、個別のバンド330に像が結像した後に並進方向324に沿ってシリンダ形プラットフォームの段階的な並進が実行される。シリンダ形プラットフォーム100は、シリンダ形プラットフォーム100が段階的に並進する間、一回転未満、一回転、あるいは2回転以上完全に、回転を続けることがあることは理解されよう。
【0027】
図3において、各バンド330の結像が開始してシリンダ形プラットフォーム100が同じ所定の回転角度だけ回転したら終了することにより、整列したバンド330のパタンが放射線感応層110内に出来上がる。各バンドごとにバンドの終点と始点を互いに分離するためのガードバンド(guardband)がバンドに提供される場合がある。代わりに、バンドの始点と終点は互いに接する場合がある。
【0028】
これとは対照的に、図4では、シリンダ形プラットフォーム100は、シリンダ形プラットフォーム100が順次ずらした回転角度(stagerred rotation angles)だけ回転したら並進方向324に沿って軸方向に段階的に(一段ずつ)並進させられ、それにより放射線感応層内に順次ずらしたバンドパタン(staggered band pattern)430の光学的微細構造体132が結像する。実施形態によっては、バンドの始点/終点432が示すように、バンドの始点および/または終点は互いに均一に順次ずらした場合がある。他の実施形態では、バンドの始点/終点434が示すように、バンドの始点と終点は互いに不均一に順次ずらした場合がある。整列したパタン(図3)と順次ずらしたパタン(図4)の組み合わせも実施されることがある。図1乃至図4の結像システムおよび方法の組み合わせが単一の放射線感応層110で実施される場合があることは理解されよう。実施形態によっては、全ての光学的微細構造体が結像され現像され均一な間隔を置いた光学的微細構造体が作り出された後は、図2乃至図4の螺旋形/バンド構造は見てもわからないことがある。しかしながら、他の実施形態では、螺旋形/バンド構造の少なくとも一部の外観は現像後もそれとわかる場合がある。
【0029】
図5A乃至図5Cおよび図6A乃至図6Cに、本発明の様々な実施形態に基づき、レーザビーム120といった放射線ビームを図1の放射線感応層110といった放射線感応層の少なくとも一部分にわたってラスタ走査して、図1乃至図4の光学的微細構造体132といった光学的微細構造体が放射線感応層内に結像する様子を示す。わかりやすくするために、放射線感応層110および光学的微細構造体132の一部分のみが示されている。
【0030】
図5Aは放射線感応層110の一部の上面図、図5Bは放射線感応層110の図5Aのライン5B−5B’に沿った断面図である。図5Aおよび図5Bが示すように、例えば図1乃至図4のレーザビーム120といった放射線ビームは、放射線感応層110の少なくとも一部分にわたって軸方向にラスタ走査されるが、放射線感応層110の少なくとも一部分にわたってレーザビーム120をその振幅(amplitude)を変えながら軸方向にラスタ走査することによって、放射線感応層内に光学的微細構造体120が結像する。さらに具体的には、図5A乃至図5Cが示すように、軸方向のラスタ走査はレーザビーム120をその振幅を変えながら放射線感応層の少なくとも一部分にわたってラスタ走査することによって行われ、その結果として、放射線感応層110内に光学的微細構造体132が結像する。特に、図5Aが示すように、一部の実施形態において、ラスタ走査は放射線感応層110にわたる軸方向124における3回の走査510、512、514を提供する場合がある。シリンダ形プラットフォーム100の回転のせいで、走査線は互いに間隔を置いて離れている。図5Aにおいて、レーザビームは光学的微細構造体を結像させるために図5Aの右方向へ向かう第1の軸方向に沿ってラスタ走査され、続いて、第1の方向とは逆の図5Aの左方向へ向かう第2の軸方向に点線520、522および524が示すように空白状態(blank)にされる。軸方向の走査510、512、514の間、レーザビームの振幅は光学的微細構造体132を作り出すために図5Cに示すように変化する場合がある。
【0031】
こうして、図5A乃至図5Cに示すように、レーザビーム120の振幅は放射線感応層110内に光学的微細構造体132を結像させるために連続的に変化する。さらに、図5A乃至図5Cの3回の走査510、512、514で示されたようなレーザビーム120の複数の走査を通じてレーザビーム120が光学的微細構造体132を結像させることができるように、軸方向のラスタ走査はシリンダ形プラットフォーム100の回転速度と比べて十分なスピードで実行される。一部の実施形態では、光学的微細構造体は単一の走査で結像することがあること、あるいは他の実施形態では2回もしくは4回以上の走査が使用されることがあることは理解されよう。さらに、実施形態によっては、2回以上の走査を同時に実行するために複数のレーザが使用される場合がある。
【0032】
レーザビーム120の振幅は、放射線感応層110の非線形な吸光/現像特性および/または他の周知の非線形効果のために、結像されている光学的微細構造体の形状の線形関数でない場合があることも理解されよう。特に、結像の結果として生じる形状の予測はビームプロファイルおよび強度並びにそれらが時間空間的に変化する仕方についてだけなく、放射線感応層がその中に蓄積した放射エネルギーに反応する仕方(“露光曲線(exposure curves)”)についても、詳細な理解を含む場合がある。放射線感応層の反応は、照射(露光)に含まれるパラメータに加え、様々な照射後の現像パラメータによっても影響される可能性がある。レーザビーム120の走査時の所望の振幅は、光学的微細構造体の所望の像(イメージ)を作り出す所望の振幅に達するまでの試行錯誤によって経験的に、シミュレータを使用することによって、レーザ照射線量と放射線感応層内に現像された(光学的微細構造体の)像との間の関係を定める数学的重畳関数を使用することによって、および/またはここに詳細に記述される必要のない他の従来技術によって、決定されることがある。
【0033】
図6A乃至図6Cに本発明の他の実施形態を示す。そこでは、放射線感応層110はレーザビーム120をリターン時に空白状態(ブランク)にするのではなく、レーザビーム120の前方走査(forward scannig)およびリターン走査(return scanning)の間に光学的微細構造体の像が形成される。それにより、複雑さが増す可能性があるが、より高い密度および/またはより高いスピードが得られる場合がある。こうして、図6A乃至図6Cに示すように、結像は、走査ライン610、612および614で示すように図6Aの右方向への第1(前方)の軸方向における前方走査の間と、図6A乃至図6Cの左方向への、第1の方向と逆の第2の方向におけるリターン走査620および622の間に実行される。図5に関して言えたように、より回数の少ないまたは多い走査が提供される場合がある。また、図5および/または図6の実施形態は図1乃至図4の任意の実施形態と組み合わされてよいことは理解されよう。
【0034】
図7は、本発明の他の実施形態に基づく光学的微細構造体を形成するための他のシステムおよび方法のブロック図である。図7に示すように、連続発振(Continuous Wave:CW)レーザビーム120はCWレーザ装置710によって生成され、電力制御安定化は電力制御安定化装置712によって実施される。他の実施形態では、“準連続発振(quasi-continuous wave)”レーザビームが例えば切替可能半導体レーザ(switchable semiconductor laser)を使って提供されることがある。変調器(modulator)714は一部の実施形態では音響光学(acoustooptical:AO)変調器714であって、これはレーザビーム120の振幅を変えかつレーザビーム120をラスタ走査するために使用される。実施形態によっては、レーザビーム120の振幅を変調し、そしてレーザビーム120のポジションをラスタ走査するために、それぞれ別個の変調器が使用されることがある。変調器714は、放射線感応層110がその上に積層したプラットフォーム100を動かす必要なしにレーザビームの動きの範囲を制限するために、ビームに偏向角度を与えることが可能である。さらに、レーザビーム120の振幅および/またはポジションを変えるための他の従来技術も利用されることがある。例えば、レーザビームの振幅は、レーザ装置710が独りで変える場合がある。また、レーザビームのポジションは、回転ミラーおよび/または振動ミラーを利用する従来のスキャナを使用してラスタ走査される場合がある。
【0035】
図7の説明を続けると、必要に応じてレーザビーム120の方向を変えるために、ミラー、プリズムおよび/または他の光学素子716が使用されることがある。ビーム成形光学系(Beam shaping optics)718は、レーザビーム120の成形を制御して、ビーム断面の強度分布が一定の分布、ガウス型分布および/または他の従来型分布に従う場合がある楕円形(例えば円形)および/または多角形(例えば正方形)に成形するために使用されることがある。シリンダ形プラットフォーム100に対してレーザビーム120の焦点を制御するために、自動焦点(オートフォーカス)システム722も使用されることがある。ブロック710乃至722のデザインおよび働きは、当業者には周知で、ここで詳述する必要はなかろう。これらのブロックはまとめて光学縦列(optical train)または放射線ビームシステムと称されることがある。さらに、ブロック712乃至722の一部のブロックは、本発明の実施形態による光学縦列または放射線ビームシステムに使用される必要はないことは理解されよう。こうして、図7の実施形態は、連続発振レーザビーム120を生成して、そのレーザビームを変調してその振幅を変えると同時に、その間、レーザビームを振動させて放射線感応層110の少なくとも一部分にわたってレーザビームをラスタ走査することができる。
【0036】
特に、均一および/または様々な輪郭(プロファイル)および/または高さの微細構造体を高い精度で形成すること困難な場合がある。本発明の一部の実施形態は、強度が連続的に変化するレーザビーム120といったレーザビームを使用して光学的微細構造体を形成することができる。これにより、任意の3次元的形状の光学素子をリアルタイムで高い精度で生成することが可能となる。1光学的微細構造体当たり複数の走査(照射)を使用して、多数の光学的微細構造体のマスタ型を形成することを可能にするのに十分な高いレートで地形(features)を作り出すために、レーザビーム120は強度的かつ空間的に少なくとも1kHz、実施形態によってはMHzオーダのレートで変調されることがある。レーザビームは、これらの振動数でラスタ走査されかつ振幅が変調されるので、AO変調はこの能力を実現することができる。焦点面またはビーム・プロファイルの他の側面も放射線感応層110における最大量の放射線エネルギーが蓄積する深さを変えるために迅速に変えられる場合がある。
【0037】
図7の説明をさらに続けると、ここではコントローラとも称される制御システムおよび/または方法も提供される。コントローラ730は、1つ以上のコンピュータプログラムを実行するために、専用のハードウェアおよび/またはネットワークを介して相互に接続される場合がある、企業、アプリケーション、個人、一般用のもしくは組込型のコンピュータシステムを含む場合がある。コントローラ730は、中央集権化かつ/または分散化されることがある。コントローラ730は、従来の制御技術を使用してブロック710乃至722の一部乃至全部を制御するために使用されることがある。加えて、コントローラ730は、ここに記述される実施形態またはそれらの組み合わせに基づいて光学的微細構造体を結像させるために、シリンダ形プラットフォーム100の角回転量θ、シリンダ形プラットフォーム100の並進移動距離X、および時間に対してレーザビーム120の振幅およびポジションを制御するよう設計されることがある。コントローラのデザインは当業者には周知で、ここでは詳述される必要はない。
【0038】
一部の実施形態において、コントローラ730は、ブロック710乃至722で提供されるビーム照射(exposure)および配置(placement)を放射線感応層110上の照射が行われる所望の物理的場所と同期させることが可能である。実施形態によっては、図7のシステム/方法は、一度に最大約24時間あるいはそれ以上の期間にわたって稼働を継続し、このためコントローラ730は、この期間にわたってパラメータをそれらの所望の許容範囲内に維持することが可能でなければならない。
【0039】
さらに、本発明の一部の実施形態において、コントローラ730は、自動焦点システム722を追加の機能を実行するように制御することができる。特に、実施形態によっては、レーザビーム120の焦点長は、少なくとも部分的にシリンダ形プラットフォーム100の動径方向の変動および/または放射線感応層110の層厚の変動を補償するように、シリンダ形プラットフォーム100の回転とレーザビーム120の軸方向のラスタ走査と同時に、変化を付けられることがある。他の実施形態では、レーザビーム120の焦点長は、放射線感応層110における変動する様々な深さに光学的微細構造体各部を結像させるように、同じく変化を付けられることがある。更に他の実施形態では、レーザビーム120の焦点長は、放射線感応層110の照射量を変えて所望の光学的微細構造体を実現するように変化を付けられることがある。これらの焦点長制御機構の組み合わせおよび部分的組み合わせは、それだけでまたはレーザビーム120の振幅制御と組み合わせて提供される場合がある。
【0040】
一部の実施形態では、以下、詳細に説明されるように、図1乃至図7の放射線感応層内に結像した光学的微細構造体132は現像ステーション(developing station)で現像される。現像された放射線感応層は、例えばコンピュータディスプレイおよび/またはテレビ受像機に使用されることがある光学的微細構造最終製品のマスタ型(金型に相当)を提供することができる。
【0041】
次に、図1乃至図7に示された本発明の実施形態について更に考察する。特に、上述したように、光学的微細構造体のマスタ型を形成するための従来のアプローチは、少なくとも約百万個の素子に適用し、かつ/または一辺が少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積をカバーするときに、深刻なスケーリング障壁に遭遇する場合がある。これらの構造では、合理的な時間内にマスタ型を形成することは困難な場合がある。これとは極めて対照的に、本発明の一部の実施形態は、1秒当たり百万回の別々の照射のオーダで、しかも1秒当たり10,000個の光学的微細構造体を作り出すのに十分な解像度および精度で実行することができ、その結果、大型のリアスクリーンプロジェクション型テレビ受像機用のマスタ型を従来の技術では数年以上を要したものを数時間のうちに形成することができる。
【0042】
本発明の一部の実施形態は、放射線感応層を露光するのに十分な強度を有する例えば直径5μmの小さなレーザビームを置くことができ、このビームを強度および場所について例えばMHzのスピードで変調することができる。放射線感応層をその上に置くまたは取り付けることができるシリンダ形プラットフォームは、コンピュータ制御によって正確かつ迅速に移動させることができる。制御システムは、放射線感応層の適切な部分を正しい照射線量で照射するために、変調ビームのシリンダ形プラットフォーム上への配置を同期させることができる。
【0043】
本発明の一部の実施形態による寸法(dimensions)とスピードが次に本発明の実施形態が機能するスケールの正しい評価を与えるよう提供される。しかしながら、これらの寸法およびスピードは、実施例と見なされるべきもので、限定するものとは見なされない。特に、本発明の一部の実施形態では、シリンダ形プラットフォーム100は長さは約91cm(3フィート)で周囲は約152cm(5フィート)の場合がある。放射線感応層110の層厚は約10μm乃至約150μmの間にある場合がある。ラスタ走査されるレーザビーム120のバンド(band)は、軸方向の長さが約1μm乃至約1000μmの間にある場合がある。直径が約75μmの半球形セクションのレンズは、リターン走査を空白状態(ブランク)にして、1レンズ当たり10回の走査を使用して製作されることがある。シリンダ形プラットフォーム100は、毎分約60回転の角速度で回転し、ラスタ走査は毎秒約500,000回走査の振動数で実行される場合がある。これらのパラメータの条件の下では、約200万個のマイクロレンズを形成するのに約2時間を要することがある。
【0044】
図8に本発明の他の実施形態に基づく光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面を示す。図8に示すように、レーザ822からのレーザビーム820といった放射線ビームは、図1乃至図7のレーザ110および/または710に相当するものであって、その放射線ビームに対して透過性のある基板800を通して(透過させて)その上の図1乃至図7の放射線感応層110に相当する放射線感応層内に照射され、放射線感応層810内に図1乃至図7の光学的微細構造体132に相当する光学的微細構造体832を結像させる。既に述べたように、放射線ビームはコヒーレントおよび/またはインコヒーレントである場合がある。さらに、ここに使用される“透過性のある”基板はそれに入射する放射線の少なくとも一部を透過させることができる。放射線ビームをこの放射線ビームに対して透過性のある基板を通して(透過させて)基板上の放射線感応層810内に照射することは、ここでは“背面”結像(back-side imaging)または“基板入射式”結像(substrate incident imaging)と称されることがある。図8において、基板800は放射線感応層810の上側にあるが、本発明の様々な実施形態によれば、背面結像を実施するために、基板800、放射線感応層810、レーザビーム820およびレーザ装置822の他の配置(orientations)が使用されることがあることは当業者には理解されよう。
【0045】
さらに、本発明の一部の実施形態に従って放射線感応層810の背面結像を実施して光学的微細構造体832を形成する際、レーザビーム820と基板800を相互に動かすために多くのシステムおよび方法が使用されることがある。これらのシステムおよび方法の一部を図9乃至11に示す。
【0046】
特に、図9を参照すると、シリンダ形プラットフォーム900は、図1乃至図7のプラットフォーム100に相当し、図1乃至図7に関連して説明された本発明のいずれかの実施形態に基づいて使用されることがある。こうして、図9に示すように、レーザビーム820は、シリンダ形基板800を通して(透過して)シリンダ形プラットフォーム900上にあるシリンダ形放射線感応層810内に照射される。基板800は、フレキシブル基板である場合がある。更に他の実施形態として、図9の構造は、図1乃至図7のどの実施形態とも独立に使用される場合がある。さらに、更に他の実施形態では、レーザビーム820は、シリンダ形プラットフォーム900内部で作り出されかつ/または方向付けられる場合があるとともに、シリンダ形プラットフォーム900は透過性基板を構成する場合がある。
【0047】
図10に他の実施形態を示す。そこでは、レーザビーム820は多角形基板800’を通して(透過させて)多角形プラットフォーム1000上にある多角形形状の放射線感応層810’内に照射される。実施形態によっては、基板800’は長方形または正方形、放射線感応層810’は長方形または正方形で、多角形プラットフォーム1000は図10に示すように直交するXおよび/またはY方向に沿って連続的および/または段階的に並進できる長方形または正方形の精密度の高いX−Yテーブルである。
【0048】
最後に、図11に他の実施形態を示す。そこでは、レーザビーム820は楕円形基板800’’を通して(透過させて)楕円形プラットフォーム1100上の楕円形放射線感応層810’’内に照射される。実施形態によっては、楕円形基板800’’は円形基板800’’であって、楕円形放射線感応層810’’は円形放射線感応層であり、楕円形プラットフォーム1100は矢印1102の方向へ回転させるためのスピンドル(支軸)1104上に取り付けられた円形プラットフォームである。
【0049】
図9乃至図11の任意の実施形態において、例えば図7の構成要素710、712、714、716、718および/または722に相当する光学縦列またはシステムは、図7のコントローラ730といったコントローラと一緒に提供されることがある。同様に、図9乃至図11の任意の実施形態において、レーザビームは静止した状態に維持されかつ/またはラスタ走査される場合があり、このとき放射線感応層とレーザビームとの間の相対的な並進は、図1乃至図7との関連で既に述べたように、レーザ装置822、レーザビーム820および/またはプラットフォーム100、1000または1100の並進で実現される場合がある。
【0050】
図12は、本発明の他の実施形態の断面図である。これらの実施形態において、ネガ型フォトレジスト層1210は基板1200が伴うまたは伴わない放射線感応層として使用され、レーザビーム820といった放射線ビームがネガ型フォトレジスト層内に照射される。図12の実施形態は、上述したまたは後述する任意の実施形態との組み合わせで使用される場合がある。
【0051】
当業者には周知のように、フォトレジストはポジ型とネガ型の2つのタイプが利用可能である。ポジ型フォトレジストは、放射線に照射された部分が現像プロセスで除去されるように設計されている。ネガ型フォトレジストは、放射線に照射された部分が現像後に残り、未照射部分が除去されるように設計されている。両方のタイプとも従来の集積回路製造で利用されてきたが、特にポジ型フォトレジストは集積回路製造への適合のしやすさから現在より広く利用されることがある。通常、ネガ型フォトレジストは、光学的微細構造体の形成に適用可能であるとは見なされることはない。例えば、2002年3月21日公開のグレットン等(Gretton et al.)による米国特許出願公開第2002/0034014号明細書「高い集束効率を有するマイクロレンズアレイ(Microlens Arrays Having High Focusing Efficiency)」を参照されたい。
【0052】
特に、ネガ型フォトレジストでは、フォトレジストの照射された部分のみが現像後に残ることになる。従って、光学的微細構造体の形成に使用されることがあるような厚膜フォトレジストでは、フォトレジスト層の外層の浅い部分のみが照射されることがある。その下の未照射のフォトレジストが現像の際に除去されるとき、照射によって形成された潜像はそのとき洗い流される場合がある。本発明の一部の実施形態は、ネガ型フォトレジストは光学的微細構造体の形成に実際に利用できるという認識から生まれる。実際、本発明の一部の実施形態は、ネガ型フォトレジストは光学的微細構造体の形成に、特に背面結像(back-side imaging)と組み合わされたときに、利点を提供することがあるという認識から生まれる。使用することができるネガ型フォトレジストの一例はSU−8TMで、これはエポキシノボラックポリマ(epoxy novolac polymers)からできたネガ型フォトレジストで、マイクロケミストリ社(MicroChem Corp.)から市販されている。
【0053】
図13A乃至図13Bは、例えば図8の背面結像を例えば図12のネガ型フォトレジストの利用と一緒に組み合わせた本発明の実施形態の断面図である。特に、図13Aに示すように、レーザビーム820といった放射線ビームはこの放射線ビームに対して透過性のある基板800を通して(透過させて)この基板800上のネガ型フォトレジスト層1310内に照射され、その中に光学的微細構造体132を結像させる。従って、図13Aは、基板800と、基板800上に積層しておりこの基板上に光学的微細構造体132を画定するよう照射(あるいは露光)されたネガ型フォトレジストの被照射層(exposed layer)1310とを含む、本発明の一部の実施形態による光学的微細構造製品も示している。また図13Bに、結像処理された(つまり光学的微細構造体の潜像が形成された)ネガ型フォトレジスト層1310の、光学的微細構造体132’を形成するために現像された後の状態を示す。従って、図13Bも、基板800と、基板800上に積層しておりこの基板上に光学的微細構造体132’を画定するようパタン形成されたネガ型フォトレジストのパタン形成層(patterned layer)とを含む、本発明の一部の実施形態による光学的微細構造製品1350を示している。図1乃至図11の任意の実施形態は、図13Aおよび図13Bの実施形態を形成するために使用されることがあることは理解されよう。
【0054】
本発明の一部の実施形態によるネガ型フォトレジスト層内への背面結像は、光学的微細構造マスタ型の形成に関して多くの潜在的な利点を提供することがある。いくつかの潜在的な利点について以下詳細に説明する。
【0055】
特に、当業者には周知のように、マスタ型が生成されると、そのマスタ型から複数の複製(コピー)を製作するために通常の複製プロセスが使用さることがある。各世代の複製(レプリカ)は、一般に1つ前の世代のネガである。図14を参照して説明すると、マスタ型1400は、例えば図13Aおよび図13Bとの関連で説明したように、放射線ビームを基板800を通してその基板上のネガ型フォトレジストの層内に照射して光学的微細構造体132’を基板上に生成するための背面結像を使用して製造されることがある。従来の技術を使用して、単一のマスタ型から、最大約1,000あるいはそれ以上のオーダの多数個の第2世代スタンパ1420が作り出されることがある。図14に示すように、スタンパ1420は、マスタ型1400の凸が凹に凹が凸になったマスタ型1400のネガ複製(レプリカ)である。次に、コンピュータディスプレイまたはテレビ受像機用のマイクロレンズなどの、最大約1,000あるいはそれ以上のオーダの多数個の最終製品1430が、各スタンパ1420から作り出されることがある。最終製品1430はスタンパ1420のミラーイメージ(鏡像)であって、従ってそれらはマスタ型1400のポジティブ・イメージ(陽像)に相当する。
【0056】
従って、図14に示した例では、単一のマスタ型1400から2世代の複製だけを使って最大百万個あるいはそれ以上のオーダで最終製品1430が生成されることがある。これとは対照的に、ポジ型フォトレジストを使用するとき、マスタ型は所望の形状のネガとなる場合があり、従って第1世代の複製(レプリカ)はポジとなる。ポジの最終製品を作り出すために、第2および第3世代の複製(レプリカ)が提供される必要がある場合がある。残念ながら、第3世代の複製(レプリカ)は市場に流通可能なほどオリジナルパタンに十分忠実であるとは言い難い場合がある。これとは対照的に、ネガ型フォトレジストは、図14に示したように2つの世代の複製を通じて所望の形状のポジティブコピーを作り出すために使用することができ、その結果、本発明の実施形態によれば、最大百万個あるいはそれ以上の個数の高品質最終製品1430が単一のマスタ型から作り出されることがある。
【0057】
図15および図16は、本発明の一部の実施形態に基づくネガ型フォトレジストと組み合わせた背面結像の他の潜在的な利点について説明する。特に、図15に基板1500上の光学的微細構造体の一例を示す。図15が示すように、基板1500に垂直な壁を有する符号1522で示された光学的微細構造体、あるいは、それぞれ基板1500に隣接する基底部(bases)1532と、その基板1500から離れており基底部1532よりも幅が狭いここでは一般に“上端部(tops)”1534と称される頂点(vertices)または先端(tips)とを有するレンズ1524またはプリズム1526を形成することが一般に望ましいことがある。さらに、微細構造体1528といった、他の高い微細構造体1522、1524および/または1526と比較して短い一部の微細構造体を形成することが望ましい場合がある。
【0058】
図16が示すように、本発明の一部の実施形態は、これらの形状を従来のポジ型フォトレジスト1610と従来のフォトレジスト入射式(“前面”)照射(露光)(front-side exposure)を使用して形成することが困難であるという認識から来ている。特に、図16に示すように、例えば半導体産業において従来から使用されているポジ型フォトレジスト1610および前面照射1630を使用するとき、放射線は基板1600とは反対側にあるフォトレジスト1610の外面を結像処理する(つまり潜像を形成する)ための“パンチ(punch)”の機能を果たす。この関係は、光学的微細構造体に望まれる形状(図15参照)とは逆の形状の像(イメージ)1620a、1620bを形成するのに貢献する。さらに、図16に同じく示すように、比較的浅い像(イメージ)1620cがフォトレジスト層1610の被照射面のところだけに存在することがあるが、その浅い像(イメージ)は現像の際に洗い流されることがある。例えば前記米国特許出願公開第2002/0034014号明細書の中のパラグラフ56乃至67を参照されたい。
【0059】
これとは極めて対照的に、例えば図13Aおよび図13Bに示したように、本発明の一部の実施形態に基づくネガ型フォトレジストと組み合わせた背面結像(back-side imaging)は、基板800に隣接する基底部(bases)1302とその基板800から離れており基底部1302よりも幅が狭い上端部(tops)1304とを有する光学的微細構造体132’を作り出すことができる。さらに、図17に示すように、基板800を通して結像処理(つまり潜像形成)しかつネガ型フォトレジスト1310を使用する本発明の実施形態は、光学的微細構造体1732の望ましい高さよりも層厚が厚いフォトレジスト層1310を提供することができ、そのため放射線ビームは基板800を通してネガ型フォトレジスト層1310内に照射され、そのネガ型フォトレジスト層1310内に基板800に隣接するように埋め込まれた光学的微細構造体1732が結像する。ネガ型フォトレジスト1310が、少なくとも、形成されることが望まれる最も厚い光学的微細構造体1732よりも厚い限りは、比較的厚い微細構造体と比較的薄い微細構造体とが基板800に隣接して1つのネガ型フォトレジスト層内に一緒に形成されることがあり、しかも現像プロセスの際に洗い流されることはない。
【0060】
図18に、ネガ型フォトレジスト1310および基板800を通したレーザビーム822の照射を使用することがある本発明の他の実施形態を示す。図18に示すように、大型の基板800上にネガ型フォトレジスト層1310を形成するとき、そのフォトレジストは不均一な層厚を有する場合がある。しかしながら、図18に示すように、ネガ型フォトレジスト層1310の最小の厚みがどの光学的微細構造体1832よりも厚い限りは、埋め込まれた光学的微細構造体1832はネガ型フォトレジスト層1310の変動する厚みとは無関係に基板800に隣接して厚みが変動するフォトレジスト層1310内に結像することがある。
【0061】
本発明の一部の実施形態に基づいて背面照射およびネガ型フォトレジストを使用する他の潜在的な利点を図19を参照して説明する。図19に示すように、ネガ型フォトレジスト層1310は、その上に不純物1910を含む場合がある。背面結像ではなく従来の前面結像を使用するとき、これらの不純物1910は前面結像の妨げになる場合がある。しかしながら、図19に示すように背面結像を使用するときには、レーザビーム822はネガ型フォトレジスト1310の基板800から離れた外面1310aを通過したりあるいはその外面上に集束する必要はない。従って、不純物1910は、光学的微細構造体1832の形成に影響を与えることはない。それゆえ、本発明の一部の実施形態では、結像(imaging)はクリーンルーム以外の環境でも生じることがある。
【0062】
ネガ型フォトレジストを使用する他の潜在的な利点の中には、照射および現像プロセス中にポリマの架橋結合を含むネガ型フォトレジストの化学反応が起き、これが追加的な機械的、化学的および/または熱的な安定化を複製プロセス時のマスタ型にもたらす場合があるという事実が含まれることがある。加えて、現像は大半のネガ型フォトレジスト層1310を基板800から除去することがあるので、現像後のマスタ型内に残る内部圧力がより小さくなる可能性がある。後述するように、ネガ型フォトレジスト層上にしかも基板の反対側に保護層も設けられる場合がある。
【0063】
本発明の一部の実施形態に基づく背面結像および/またはネガ型フォトレジストの使用について更に議論する。特に、既に述べたように、標準的なリソグラフィ・アプローチを使用して、特にそれをフォトレジストの厚膜、すなわち約10μmより厚いフォトレジスト層に適用するとき、光学的微細構造体の所望の形状を生成することは困難な場合がある。フォトレジストの厚みの均一性やフォトレジスト面のクオリティの問題もプロセスの妨げになり得る。また集積回路の製造における基本的な適用場面では、フォトリソグラフィは通常、一般的にフォトリソ・プロセスで使用される放射線の波長を通さないシリコンその他の半導体からなる基板上で実行されてきた。それゆえ、前面照射は通常、基板から離れた、フォトレジストのコーティングのない側から行われる。
【0064】
これとは対照的に、本発明の一部の実施形態は、基板を通してフォトレジストに照射する。本発明の一部の実施形態は、マスタ型を形成する基板の電気特性に関係する必要はないので、使用されている放射線の波長に対して透過性のある合成樹脂(プラスチック)といった材料が使用されることがある。こうして、フォトレジストは、基板を通して照射されることができる。背面照射は原理的には、ポジ型とネガ型の両方のフォトレジストに適用可能であるが、それは特にネガ型フォトレジストを使用するときに有益なことがある。
【0065】
基板を通して照射されるとき、ネガ型フォトレジストは基底部が基板に隣接する形状を自然に形成することができる。これとは対照的に、前面照射には一般にビームがフォトレジスト膜に侵入する際のビームエネルギーの多少の減衰が含まれる。この減衰により、一般にフォトレジストの最上部が基底部よりもより多く照射され、アンダーカット(undercutting)が結果としてもたらされる。背面照射でも、減衰は存在する場合があるが、しかしこの場合の減衰は、微細構造体の基底部がその上端部よりも多くの照射を受ける望ましい方向に存在することが可能である。
【0066】
背面照射を使用すれば、形成される地形(feature)の高さもフォトレジストの厚みとは無関係に与えられることが可能である。これは前面照射では難しい場合がある。というのは、前面照射の場合、照射はフォトレジストの外面から底面まで、(浅くて)洗い流されないように、フォトレジストを最後まで進行する必要がある場合があるからである。それゆえ、本発明の一部の実施形態は、様々な高さの形状を作り出すことができ、フォトレジストの厚みの均一性とフォトレジスト表面のクオリティは、光学的微細構造体のクオリティの決定に重要な役割を果たす必要はない。
【0067】
図20に本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体を示す。図20に示すように、これらの光学的微細構造体は、基板2010と、この基板2010上に積層しており光学的微細構造体2032をその中に画定するようパタン形成されたネガ型フォトレジストから成るパタン形成層2020とを含む。実施形態によっては、ネガ型フォトレジスト2020は結像周波数(imaging frequency)の放射線に感応し、基板2010はその結像周波数に対して透過性を有する。
【0068】
一部の実施形態において、光学的微細構造体は、基板2010に隣接する基底部2034と、この基底部2034より幅が狭く基板2010から離れている上端部2036とを含む複数の光学的微細構造体2032から成る。実施形態によっては、基板2010はフレキシブル(柔軟)基板である。他の実施形態として、光学的微細構造体は、基板に隣接する基底部2034と、基板から離れている上端部2036とを含む複数の半球形セクションから成る。実施形態によっては、基板2010とネガ型フォトレジストのパタン形成層2020は光学的微細構造マスタ型2000を提供する。
【0069】
一部の実施形態において、基板2010は、シリンダ形、楕円形または多角形の形状にある。他の実施形態では、基板2010は、長さが少なくとも約30.48cm(1フィート)で、幅が少なくとも約30.48cm(1フィート)、かつ/または面積が約30.48cm(1フィート)四方である。更に他の実施形態では、光学的微細構造体はマイクロレンズから成る。なお更に他の実施形態では、光学的微細構造体は少なくとも約百万個の光学的微細構造体2032から成る。更に他の実施形態では、フォトレジスト2020はネガ型フォトレジストである場合がある。図20の光学的微細構造体は、図1乃至図4および/または図17乃至図19に関連して記述された任意の方法に従って形成されることがある。
【0070】
光学的微細構造マスタ型の大量生産を可能にすることができる本発明の実施形態であって、多数の光学的微細構造体のマスタ型を形成するために使用することができるものについて以下説明する。特に、図21に、光学的微細構造体を形成するために実行されることがある作業の流れを示す。ブロック2110に示すように、1対の外層(outer layer)の間に挟み込まれた放射線感応層から成る光学的微細構造マスタ型は、結像用(あるいは結像処理用)プラットフォーム(imaging platform)上に結像される。既に参照された任意の図面に記述された結像用プラットフォームおよび/または技術は、いずれも使用されることがある。さらに、結像用プラットフォームおよび/または技術の他の実施形態については後述される。一部の実施形態において、1対の外層は、結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と、その結像用プラットフォームから離れている第2の外層とから成る。ここに使用される表現“第1”および“第2”は、単に2つの異なる外層を区別するために使用されること、そして第1および第2の外層のポジション(位置関係)および/または機能は、ここで述べたものと逆になる場合があることは理解されよう。
【0071】
次に、ブロック2120において、1対の外層の少なくとも1つが取り除かれる。以下詳細に説明するように、一部の実施形態において、第1の外層が放射線感応層から取り除かれ、その結果、結像用プラットフォーム上に少なくとも一時的に第1の外層を残しながら、放射線感応層および第2の外層を結像用プラットフォームから分離する。本発明の他の実施形態では、第1および第2の外層の間に挟み込まれた放射線感応層を含む光学的微細構造マスタ型を結像用プラットフォームから取り去ることによって、少なくとも1つの外層が結像用プラットフォームから取り除かれる。次に、結像処理された(つまり潜像が形成された)放射線感応層を現像し、現像された放射線感応層から第2世代のスタンパと、そして第3世代の最終製品を作り出すための処理が実行されることがある。
【0072】
図22に、本発明の他の実施形態に基づく、光学的微細構造体を形成するために実行されることがある作業の流れを示す。特に、図22に示すように、ブロック2210において、1対の外層の間に放射線感応層を挟み込むことによって光学的微細構造マスタ型の生地(blank)または前駆体(precursor)が製造される。実施形態によっては、光学的微細構造マスタ型の生地または前駆体は、以下詳細に説明するように、狭い間隔を置いた1対のフレキシブル・ウェブ(webs)と、その狭い間隔を置いた1対のフレキシブル・ウェブの間に挟み込まれ光学的微細構造体の像(イメージ)を受け入れるよう構成された放射線感応層とを含む。
【0073】
図22を参照して説明を続けると、ブロック2220において、マスタ型生地は結像用プラットフォーム上に置かれる。多くの例が以下提供される。ブロック2230において、マスタ型生地または前駆体は、光学的微細構造体を画定するよう結像処理される。ブロック2240において、例えば図21のブロック2120に関連して述べたように、少なくとも1つの外層が取り除かれる。多くの他の例が以下提供される。ブロック2250において、放射線感応層の光学的微細構造体をスタンパ生地(stamper blank)に接触させることによって第2世代のスタンパが生成される。続いて、ブロック2260において、スタンパを最終製品の生地(final product blanks)に接触させることによって例えばコンピュータディスプレイ用またはテレビ受像機用のマイクロレンズといった最終製品が生成される。
【0074】
図23に、本発明の一部の実施形態による、図22のブロック2210に対応する光学的微細構造マスタ型生地を製造するために使用されることがあるシステムおよび方法の略図を示す。図23に示すように、第1のローラ2340aまたは他の従来の供給源は、その上に第1の外層2310のフレキシブル・ウェブを含む。放射線感応層コーティング・ステーション2350は、1つ以上の従来のコーティング技術を使用して第1の外層2310上に放射線感応層2320をコーティングするよう構成される。既に例えば図18に関連して述べたように、本発明の一部の実施形態は、光学的微細構造マスタ型が放射線感応層2320の厚みのばらつきに関係なく放射線感応層2320内に結像されることを可能にする。
【0075】
図23を参照して説明を続けると、第2のローラ2340bまたは他の従来の供給源は、その上に第2の外層のウェブ2330を含む。ローラ2340cおよび/または他の従来のラミネート加工装置を含むことができるラミネート加工ステーション(lamination station)は、第2の外層2330を放射線感応層2320の第1の外層とは反対側にラミネート加工(積層加工)するために使用され、出来上がったものは続いて巻き取りローラ2340dまたは他の収納装置に集められる。こうして、図24に示すように、光学的微細構造マスタ型生地または前駆体構造2400は、本発明の一部の実施形態によれば、1対の狭い間隔を置いたフレキシブル・ウェブ2310および2330と、前記1対の狭い間隔を置いたフレキシブル・ウェブ2310および2330の間に挟み込まれており光学的微細構造体の像(イメージ)を受け入れるよう構成された放射線感応層2320とを含む。
【0076】
図24の光学的微細構造マスタ型前駆体2400は、図1乃至図22に関連して既に説明された実施形態のいずれかにおいて使用されることがある。一部の実施形態において、放射線感応層2320は、上述した層110、810、810’、810’’、1210、1310、1610および/または2020を具現化し得る。一部の実施形態では、第2の外層2330は、上述した基板800、800’、800’’、1200、1600および/または2010に相当する場合があるフレキシブルで透光性のある基板を提供することができる。第1の外層2310は、前の図面のいずれかにおける結像用プラットフォームに隣接して配置されることがある層であって、光学的微細構造マスタ型前駆体2400を結像用プラットフォームから結像後にリリース(解放)することを可能にするためのリリース層(release layer)を提供することができる。第1の外層2310は、放射線感応層2320を、結像前、結像中および/または結像後に混入物質から保護することができる薄膜(pellicle)としても機能することがあり、その結果、光学的微細構造マスタ型前駆体の製造、保管および/または結像処理はクリーンルーム環境で行われる必要はなくなる。第1の外層2310は、結像プロセスの際に、吸光性、反射性および/または透光性の層としての機能も果たすことがある。これらの特性および/または他の特性も第1の外層2310に与えられる場合がある。第1の外層2310および/または第2の外層2330は、複数の副層(sublayers)を成すことができることは理解されよう。
【0077】
図24を参照して説明を続けると、本発明の一部の実施形態において、既に広範囲に述べたように、放射線感応層2320はネガ型フォトレジスト層である。本発明の他の実施形態では、第1の外層2310および第2の外層2330は同じものである。更に他の実施形態では、ネガ型フォトレジスト層2320は所定の周波数の放射線に感応し、第2の外層2330はその所定の周波数の放射線に対して透明である。本発明の更に他の実施形態では、第2の外層2330は所定の周波数の放射線に対して透明であり、第1の外層2310はその所定の周波数に対して不透明である。これも既に述べたように、第1の外層と第2の外層の第1および第2の構造および/または機能は逆転される場合がある。
【0078】
本発明の一部の実施形態では、光学的微細構造マスタ型生地または前駆体2400は、照射に使用される放射線の波長に対して透明で、フラットで、比較的欠陥が無く(すなわち光学低品質の高い)、鮮明で曇りがない第2の外層2330を含む。放射線感応層2320は第2の外層2330に良く付着することが望ましい場合があるとともに、第2の外層2330は放射線感応層の現像に含まれることがある化学および熱プロセスに対して比較的影響されにくいことが望ましい場合がある。一部の実施形態では、第2の外層2330は、ポリエステル(polyester)、ポリカーボネート(polycarbonate)および/またはポリエチレン(polyethylene)といった合成樹脂(plastic)から成る場合がある。第1の外層2310も、ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリエチレンといった合成樹脂から成る場合がある。
【0079】
図23および図24に示した本発明の実施形態は、例えばガラス、シリカまたはシリコンといった高価かつ/または柔軟性のない基板上で一般的に実行されてきた光学的微細構造体のための従来のマスタ型形成(mastering)アプローチと対比されることがある。これらのマスタ型は、直径が300mmを超えない場合がある。これとは対照的に、図23および図24に示した本発明の実施形態は、実施形態によっては幅が約30.48cm(1フィート)を超える場合があるウェブから大きな面積のマスタ型生地を製造することができる。マスタ型生地は、照射(露光)のためセットアップされるともに、結像用プラットフォームまたはマスタ型形成機械の速い折り返し(turnaround)を許すことができる。従って、図23および図24に示した本発明の実施形態は、結像用プラットフォームが高価でかつ/または長いリードタイムアイテムを要する場合に使用することができる。マスタ型生地は、結像のため結像用プラットフォーム上に置かれ、続いて、詳しくは後述するように、その結像用プラットフォームから外されて別のマスタ型生地のために結像用プラットフォームを自由にすることができる。
【0080】
図25A乃至図25Eに本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体を形成するシステムおよび方法の断面を示す。図25Aに示すように、図24のフレキシブルな光学的微細構造マスタ型生地または前駆体2400は、上述した図1乃至図4、図7および/または図9の結像用プラットフォームの1つに相当する場合があるシリンダ形結像用プラットフォーム2500に巻き付けられる。一部の実施形態では、結像処理(imaging)は放射線感応層2320内に光学的微細構造体の像(イメージ)を形成するために、上述した背面結像のいずれかの技術に基づいて第2の外層2330を通して(透過させて)実行されることが可能である。従って、図25Aは、ブロック2110、2220および/または2230の一部の実施形態を示すものである。
【0081】
次に、図25Bを参照して説明すると、一部の実施形態において、第1の外層2310は、第2の外層2330および結像処理された(つまり潜像が形成された)放射線感応層2320’を第1の外層2310から取り去ることを可能にするリリース層として機能することができる。結像処理された放射線感応層2320’は図25Cに示すように光学的微細構造体2320’’を作り出すために現像される。従って、図25Cは完成した光学的微細構造マスタ型2550の別の実施形態を示しており、図25Bおよび図25Cはブロック2120および/または2240の実施形態を示すものである。
【0082】
第2世代の光学的微細構造体はスタンパ(stamper)とも称され、それは現像した放射線感応層の光学的微細構造体2320’’を含むマスタ型2550から、光学的微細構造体2320’’をスタンパ生地(stamper blank)に接触させることによって生成される。これはブロック2250に対応する。特に、図25Dに示すように、スタンパ生地への接触工程は、マスタ型2550を平坦なスタンピングプラットフォーム2510上に取り付け、その平坦なスタンピングプラットフォーム2510を矢印2512の方向へスタンパ生地2520に押しつけることによって行われることがある。他の実施形態では、図25Eに示すように、マスタ型2550はシリンダ形スタンピングプラットフォーム2540上に置かれ、スタンパを生成するためにスタンパ生地2520に対して矢印2542の方向に回転して前に進められる。
【0083】
図26Aおよび図26Bにブロック2120および/または2240の作業で形成されることがある本発明の他の実施形態を示す。図26Aにおいて、少なくとも1つの外層を取り除く工程は、結像処理されたマスタ型生地全体2400を結像用プラットフォーム2500から取り去ることによって実行される。続いて、図26Bにおいて、第1の外層2310は結像処理された放射線感応層2320’から取り除かれ、結像処理された放射線感応層2320’はマスタ型2550を現出させるために現像される。
【0084】
図27に、ブロック2110、2220および/または2230の作業で形成されることがある本発明の更に他の実施形態を示す。そこでは本発明の他の実施形態として、光学的微細構造マスタ型前駆体2400は、図10または図11のそれぞれの結像用プラットフォーム1000または1100に相当する平坦な結像用プラットフォーム2700上で結像処理(つまり潜像形成)される。図27の結像工程の後に、図25Bおよび/または図26Aに関連して述べた外層の取り除き工程(ブロック2120および/または2240)が実行される。さらに、図25Dおよび/または25Eに関連して述べたスタンピング作業が実行される。従って、結像工程は平坦または非平坦な結像用プラットフォーム上で行われることがあり、スタンピング工程は本発明の様々な実施形態に基づく結像用プラットフォームと同じまたは同じでなくてよい平坦または非平坦なスタンピングプラットフォーム上で行われることがある。
【0085】
次に、図21乃至図27について、本発明の一部の実施形態に基づき、更に議論する。特に、光学的微細構造マスタ型生地または前駆体2400は、マスタ型生地2400の厚み、重量および/もしくは柔軟性に応じて、静電気、真空チャック(vacuum chuck)、粘着テープおよび/または他の従来の技術を使用して、図25Aのプラットフォーム2500といったシリンダ形プラットフォーム上または図27のプラットフォーム2700といった平坦な結像用プラットフォーム上に保持されることがある。さらに、図25Aおよび/または図27における結像または照射の後に、光学的微細構造マスタ型前駆体2400は図25Cおよび/または図26Bのマスタ型2550といったマスタ型を生成するために放射線感応層の照射後の現像工程を経験する。
【0086】
取り去り可能(removable)な光学的微細構造マスタ型前駆体2400は、前面照射および背面照射の両方にポジ型フォトレジストおよびネガ型フォトレジストと併用して使用することができることは当業者には理解されよう。しかしながら、本発明の一部の実施形態では、既に広範囲に述べたように、背面照射とネガ型フォトレジストが使用される。背面照射およびネガ型フォトレジストを使用するとき、第1の外層2310は結像後に取り除かれることがある。第1の外層2310の取り除き工程は、例えば図25Aおよび図25Bで述べたように結像用プラットフォーム上で行われたり、あるいは、図26Aおよび図26Bで述べたように結像用プラットフォームから結像処理されたマスタ型を取り去った後に行われることがある。
【0087】
それゆえ、図21乃至図27に関連して述べた本発明の実施形態は、第1の外層2310を結像処理された放射線感応層2320’から取り除き、それにより、結像が生じた後に結像用プラットフォーム2500または2700からその結像処理された放射線感応層2320’を取り去ることができる。スタンパは光学的微細構造体2320’’をスタンパ生地2520に接触させることによって光学的微細構造体2320’’から生成されることがある。他の実施形態では、第1の外層2310は結像が生じた後に結像用プラットフォーム2500または2700から分離される。続いて、第1の外層2310は結像処理された放射線感応層2320’から分離される。次いでスタンパは光学的微細構造体2320’’をスタンパ生地2520に接触させることによって光学的微細構造体2320’’から生成されることがある。実施形態によっては、光学的微細構造体はスタンパ生地に押しつけられる(図25D参照)。他の実施形態では、光学的微細構造体はスタンパ生地に対して回転して前に進められる(図25E参照)。
【0088】
図21乃至図27に関連して述べた取り去り可能な光学的微細構造マスタ型生地は本発明の一部の実施形態によるマスタ型およびスタンパの大量生産に特に適している。特に、図28に示すように、光学的微細構造マスタ型前駆体2400の結像処理は、既に結像処理された光学的微細構造マスタ型2550からスタンパを生成すると同時に行われることがある。このため、光学的微細構造マスタ型前駆体の結像処理と、既に結像処理された光学的微細構造マスタ型前駆体からのスタンパの形成は、時間的に少なくとも部分的に重なる場合がある。
【0089】
こうして、潜在的に高価でかつ/またはリードタイムが長い光学的結像用プラットフォーム2500は、光学的微細構造マスタ型前駆体を結像後に結像用プラットフォーム2500から取り去ることによって、結像処理にほとんど連続使用されることがある。しかしながら、本発明の他の実施形態では、結像用プラットフォームは、結像処理された光学的微細構造マスタ型前駆体を結像用プラットフォームから取り去らないことによって、スタンピング・プラットフォームとしても利用されることがある。図28においてシリンダ形および/または平坦な結像用プラットフォームが使用されることがあることと、図25乃至図27に関連して述べたように、マスタ型をスタンパ生地に押しつけるおよび/または回転して前に進める工程が使用されることがあることは理解されよう。
【0090】
取り去り可能な基板上にマスタ型形成することにより、厚みが変わる異なる基板上を多数の異なる放射線感応層で覆ってマスタ型形成するのに同じ機械および/または同じプラットフォームを使用することができるようになる。また、ネガ型フォトレジストおよび基板を通した照射を使用することにより、本発明の一部の実施形態に基づく取り去り可能なマスタ型を使用することができるようになる。というのは、結像用プラットフォームに付着したフォトレジストの表面は、現像の際に取り除くことが可能で、従って光学素子の最終製品に含まれる必要はないからである。同様に、本発明の一部の実施形態によれば、ネガ型フォトレジストおよび背面照射(露光)を使用するとき、フォトレジストで基板上を覆う、単純で、高速でかつ/または比較的安価な技術を採用することが可能である。
【0091】
それゆえ、本発明の一部の実施形態は、放射線ビームに対して透過性があり取り去り可能な基板を通してその基板上にあるネガ型フォトレジスト内に照射する多重照射(露光)によって形成される多数の光学的微細構造体を複製するためのマスタ型を提供することができる。これにより、多数の光学的微細構造体のための商業化が可能なマスタ型形成システム、方法および製品を提供することが可能である。本発明の一部の実施形態では、長さが少なくとも約30.48cm(1フィート)、幅が少なくとも約30.48cm(1フィート)および/または面積が少なくとも約30.48cm(1フィート)四方のマスタ型であって約100μm以下のサイズの最大約百万個あるいはそれ以上の個数の光学的微細構造体を含むものが約8時間乃15時間でマスタ型形成可能である。任意の形状の光学素子は、マスタ型のポイントポイントで照射を変化させることによって形成することが可能である。マスタ型における素子の間隔は、大きく引き離された状態から重なり合う状態まで変えることができる。マスタ型は取り去り可能な基板上に形成可能で、その結果、マスタ型形成プラットフォームは更なるマスタ型形成作業のため再設定が可能である。
【0092】
最後に、本発明の実施形態はここでは光学的微細構造体の形成に関して説明されてきたことは理解されよう。ここで言う光学的微細構造体は、マイクロレンズ、光学格子、微小反射体並びに/または他の吸光性、透光性および/もしくは反射性構造体を含むことがあるが、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである場合がある。しかしながら、機械的微細構造体を形成するために本発明の他の実施形態が使用されることがあることも理解されよう。ここで言う機械的微細構造体は、例えば、微小流体システム、微小空気圧システムおよび/または微小電気機械システムに使用されることがある、空気圧、油圧/水圧、および/または微小電気システム(microeleetromechanical system:MEMS)の微細構造体を含むことがあるが、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである場合がある。
【0093】
本願添付図面および明細書において、本発明の実施形態が開示されてきた。そこには特定の用語が採用されているが、それらは総称的かつ記述的な意味でのみ用いられているもので、特許請求の範囲の各請求項に定められる本発明の範囲を限定する意図は全くない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図2】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図3】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図4】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図5】本発明の様々な実施形態による放射線感応層の少なくとも一部分にわたって放射線ビームをラスタ走査する工程を示した図である。
【図6】本発明の様々な実施形態による放射線感応層の少なくとも一部分にわたって放射線ビームをラスタ走査する工程を示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法のブロック図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図13A】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図13B】本発明の実施形態による結像処理されたネガ型フォトレジスト層の現像後の断面図である。
【図14】本発明の様々な実施形態によるマスタ型をスタンパおよび最終製品に複製する手順を示したフロー図である。
【図15】ポジ型フォトレジストによる従来の前面結像を使って形成された光学的微細構造体の断面図である。
【図16】ポジ型フォトレジストによる従来の前面結像を使って形成された光学的微細構造体の断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図18】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図19】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図20】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体の断面図である。
【図21】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するために実施されることがある作業の流れを示したフロー図である。
【図22】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するために実施されることがある作業の流れを示したフロー図である。
【図23】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造マスタ型生地を製造するために使用されることがあるシステムおよび方法の略構成図である。
【図24】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造マスタ型生地の断面図である。
【図25】本発明の様々な実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図26】本発明の様々な実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図27】本発明の様々な実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図28】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体のためのマスタ型およびスタンパを大量生産するためのシステムおよび方法の略構成図である。
【技術分野】
【0001】
本願は、本願発明者による現在出願中の米国特許出願番号第10/661,916号「シリンダ形プラットフォームおよびラスタ走査される放射線ビームを使用して光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法(Systems and Methods for Fabricating Optical Microstructures Using a Cylindrical Platform and a Rastered Radiation Beam)」と、本願発明者によるこれも現在出願中の米国特許出願番号第10/661,917号「ネガ型フォトレジストを使用して基板を介して微細構造体のマスタ型を製造するためのシステムおよび方法並びにそれにより製造された微細構造マスタ型(Systems and Methods for Mastering Microstructures Through a Substrate Using Negative Photoresist and Microstructure Masters So Produced)」とに関連する。両出願とも本願譲受人に譲渡されており、両出願の開示内容全体はこの参照により本願に含まれるものとする。
【0002】
[技術分野]
本発明は、微細加工方法およびシステム、特に、微細構造体を形成するためのシステムおよび方法並びにそれにより形成された微細構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
光学的微細構造体は、消費者用市販製品に広く利用されている。当業者に周知のように、光学的微細構造体は、マイクロレンズ、光学格子、微小反射体並びに/または他の吸光性、透光性および/もしくは反射性構造体を含むことがあるが、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである。
【0004】
光学的微細構造体の大型アレイ(large arrays of optical microstructures)の製造法は、目下研究が行われている。ここに使用される光学的微細構造体の大型アレイは、1アレイ当たり少なくとも約百万個の光学的微細構造体を含み、かつ/または一辺が少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積をカバーする。例えば、マイクロレンズの大型アレイは、コンピュータ用ディスプレイ(モニタ)および/またはプロジェクション型テレビ受像機に利用されることがある。アレイは、同一な微細構造体および/または非同一な微細構造体の均一な間隔および/または不均一な間隔を有することができることは理解されよう。
【0005】
しかし残念ながら、光学的微細構造体の大型アレイの製造を試行する中で深刻なスケーリング障壁(scaling barriers)に遭遇することがある。これらのスケーリング障壁により、光学的微細構造体の大型アレイを受入可能な製造歩留まりで効率的に製造することは困難になる場合がある。
【0006】
いくつかの障壁は、光学的微細構造体を大型アレイに拡大(スケール)する試みの中で遭遇する場合がある。第1に、大型アレイのマスタ型(金型に相当するもの)を製造する時間は非現実的なほど長くなる場合がある。特に、最初に“マスタ型(master)”に光学的微細構造体の型が作られ、続いてそのマスタ型は最後に最終製品を大量生産するために1つ以上の第2世代のスタンパに複製されることがあることは周知されている。残念ながら、光学的微細構造体の大型アレイのマスタ型を合理的な時間内に作り上げることは困難な場合がある。例えば、大型スクリーンのリアプロジェクション型テレビ受像機の単一マスタ型を作り上げるには、数年を要する場合があることが計算によって示されることがある。これらのマスタ型形成時間は、実現可能な製品にとって現実的ではないと言える。
【0007】
多くの用途に望まれることがある特定の光学的微細構造体の型を作ることも困難な場合がある。例えば、コンピュータ用ディスプレイまたはプロジェクション型テレビ受像機は、マイクロレンズの大型アレイを利用することがあるが、各マイクロレンズは、準半球形(sub-hemisphere、180°未満の範囲を定める)、半球形(hemisphere、約180°の範囲を定める)、過半球形(super-hemisphere、180°を超える範囲を定める)を含み得る半球形セクションから成る。しかしながら、半球形セクションの大型アレイのマスタ型を従来のフォトリソグラフィー技術を使用して形成することは困難な場合がある。最後に、ディスプレイ、テレビ受像機および/または他の用途のための光学的微細構造最終製品の大量生産を可能にするために、光学的微細構造体の大型アレイを含むマスタ型を効率的に複製してスタンパを形成することは困難な場合がある。
【発明の開示】
【0008】
上記課題を解決するための手段の本発明の具体的な一部の形態として、微細構造体を形成する微細加工方法が提供される。この微細加工方法では、結像用プラットフォーム(imaging platform)上において、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層(radiation sensitive layer)を含む微細構造マスタ型生地(microstructure master blank)を結像処理することによって、前記放射線感応層内に微細構造体が画定される。続いて1対の外層の少なくとも1つが取り除かれる。前記放射線感応層内に画定された微細構造体が現像される。現像された微細構造体は、微細構造マスタ型(microstructure master)を作り出すことができる。微細構造体は、光学的微細構造体および/または機械的微細構造体から成る場合がある。続いて行われる工程において、前記微細構造マスタ型から第2世代のスタンパを形成することができ、それらのスタンパから最終製品となる微細構造体を形成することができる。一部の形態では、結像処理の前に、1対の外層の間に挟み込まれた前記放射線感応層は例えばウェブ(web)として加工され、前記結像用ステージ(プラットフォーム)上に配置される。本発明の一部の形態では、その結果、大型の微細構造マスタ型の大量生産を実現することができる。
【0009】
一部の形態では、前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接する第1の外層と、前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを含む。結像処理後、前記第2の外層は前記放射線感応層から取り除かれ、前記放射線感応層はマスタ型を形成するために現像される。次に第2世代のスタンパが、前記マスタ型から、前記放射線感応層内の微細構造体をスタンパ生地(stamper blank)に接触させることによって形成される。
【0010】
特に、本発明の一部の形態では、結像処理された微細構造マスタ型は前記結像用プラットフォームから取り外され、取り外された微細構造マスタ型は前記スタンパを生成するために使用される。特に、形態によっては、前記第1の外層は前記結像用プラットフォームから取り除かれ、それにより、結像処理された微細構造マスタ型は前記結像用プラットフォームから取り外される。続いて前記第1または第2の外層は前記放射線感応層から分離され、前記放射線感応層は現像される。次に第2世代のスタンパが、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、前記放射線感応層内のそれらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって生成される。形態によっては、それらの微細構造体はスタンパ生地に押しつけられる。他の形態では、それらの微細構造体はスタンパ生地に対して転がされる。
【0011】
さらに、本発明の一部の形態では、平坦および/または非平坦な結像用および/またはスタンピング用のプラットフォームの組み合わせを使用することが可能である。より具体的に言えば、一部の形態では、結像用プラットフォームは平坦な結像用プラットフォームであり、第2世代のスタンパは前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、前記放射線感応層内のそれらの微細構造体をスタンパ生地(stamper blank)に押しつけることによって生成される。他の形態では、結像用プラットフォームはシリンダ形プラットフォームであり、第2世代のスタンパは前記放射線感応層内に現像された微細構造体をスタンパ生地に対して回して転がすことによって生成される。こうして、これらの形態では、結像用プラットフォーム自体をスタンピング(用)プラットフォームとして使用することもできる。さらに、他の形態では、結像用プラットフォームから取り外された後の放射線感応層が現像され、次いでスタンパを生成するために平坦および/または非平坦なスタンピング・プラットフォームに取り付けられる。
【0012】
本発明の一部の形態では、マスタ型の大量生産および大量複製が実施されることがある。特に、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る第1の微細構造マスタ型が結像用プラットフォームから取り外された後、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る第2の微細構造マスタ型がその結像用プラットフォーム上で結像処理され、第2の微細構造マスタ型の放射線感応層内に微細構造体が画定される。第2の微細構造マスタ型を結像処理する工程は、既に結像処理された第1の微細構造マスタ型からスタンパを生成する工程と時間的に少なくとも部分的に重なることが可能である。
【0013】
本発明の課題解決手段の具体的な形態は、ここでは主に微細構造体を形成する方法に関連して述べられてきた。しかし当業者であれば、他の形態として、微細構造体を形成するための微細加工システムが提供可能なことも理解されよう。
【0014】
本発明の一部の形態による、微細構造マスタ型の生地(blank)を製造するための装置は、微細構造体の像(イメージ)をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層で第1のフレキシブル・ウェブ上をコーティングするように構成された放射線感応性材料コーティング(用)ステーションを具備する。微細構造体の像(イメージ)をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層に前記第1のフレキシブル・ウェブの反対側にて第2のフレキブル・ウェブでラミネート加工(積層加工)を施すように構成されたラミネート加工ステーション(laminating station)も提供される。前記放射線感応性材料の層(放射線感応層)は、一部の形態ではネガ型フォトレジスト層である。前記第1および第2のフレキシブル・ウェブは、一部の形態では同一である。他の形態では、前記ネガ型フォトレジスト層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記第1のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数にある放射線に対して透明である(=透過性がある)。更に他の形態では、前記第2のフレキシブル・ウェブは前記所定の周波数にある放射線に対して不透明である(=透過性がない)。微細構造マスタ型の生地を製造するための対応する方法も提供されることがある。
【0015】
本発明の一部の形態による微細構造マスタ型のための生地(微細構造マスタ型生地)は、狭い間隔を置いて離れた1対のフレキシブル・ウェブ(webs)と、前記1対のフレキシブル・ウェブの間に挟み込まれており微細構造体の像(イメージ)をその中に結像させるのに適った放射線感応層とを含む。一部の形態では、前記放射線感応層はその中に光学的微細構造体の潜像(latent image)を含む。形態によっては、前記放射線感応層はネガ型フォトレジスト層である。
【0016】
一部の形態では、前記1対のフレキシブル・ウェブは同一である。他の形態では、前記ネガ型フォトレジスト層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記1対のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数に対して透明である。更に他の形態では、前記1対のフレキシブル・ウェブの一方は前記所定の周波数にある放射線に対して透明であり、前記1対のフレキシブル・ウェブの他方はその所定の周波数にある放射線に対して不透明である。これらの生地は、本発明の一部の形態によれば、微細構造体のための面積の大きなマスタ型を形成するために使用されることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明はしかしながら多くの形態で実施が可能であり、ここに述べられる実施形態に限定されると解されるべきではない。正しくは、これらの実施形態は、本開示が周到かつ徹底するよう、かつ本発明の範囲が当業者に十分明示されるよう提供される。図面において、層(レイヤ)および領域のサイズおよび相対的なサイズはわかりやすくするために誇張して描かれている場合がある。また同一または類似の符号は同一または類似の構成要素に付されている。
【0018】
層(レイヤ)、領域または基板といった構成要素が別の構成要素の「上に」あるといった言い方がされるとき、それはその別の要素の上に直に存在することができる、あるいは(その別の構成要素との間に)介在する構成要素も存在する場合がある。さらに、「頂上、上端部、最上部(top)」または「外、外側(outer)」という相対的な表現はここでは図面に示された基本構造に関連した1つの層もしくは領域の別の層もしくは領域に対する位置関係を記述するのに使用される場合がある。これらの相対的な表現は、装置の図面に示された配置(orientation)に加えてそれとは異なる配置も包含することが意図されていることは理解されよう。最後に、「直に、直接的に」という表現は介在する構成要素が全く存在しないことを意味する。
【0019】
本発明の実施形態は、ここでは光学的微細構造体(optical microstructures)の形成に関連して説明されるが、ここで言う光学的(オプティカル)微細構造体には、マイクロレンズ、光学格子、微小反射体並びに/または他の吸光性、透光性および/もしくは反射性構造体が含まれることがあり、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである。しかしながら、機械的(メカニカル)微細構造体(mechanical microstructures)を形成するために本発明の他の実施形態が使用される場合があることは理解されよう。ここで言う機械的微細構造体には、例えば、微小流体システム、微小空気圧システムおよび/または微小電気機械システムに使用されることがある、空気圧式、油圧/水圧式および/または微小電気システム(microeleetromechanical system:MEMS)の微細構造体が含まれることがあり、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである。
【0020】
図1に本発明の一部の実施形態に基づく光学的微細構造体を形成するシステムおよび方法を示す。図1に示すように、その上に放射線感応層110を含むシリンダ形プラットフォームまたはドラム100は、軸102の周りに、例えば矢印104に示される方向に回転される。ここに使用される表現「放射線感応(性)」は、限定はされないがフォトレジスト(photoresist)を含む任意の写真感光材料(photo-imageable material)を包含する。図1に同じく示すように、同時に、レーザ122によって発生したレーザビーム120といった放射線ビームは、軸方向に放射線感応層110の少なくとも一部分にわたって矢印124によって示される正反対の軸方向にラスタ走査(raster)またはスキャン(scan)され、放射線感応層110内に光学的微細構造体132が結像する。こうして形成されたイメージは、潜像(latent image)と称されることもある。本発明の実施形態は、ここでは一般にレーザビームおよびレーザ感光性フォトレジストに関して説明されるが、電子ビームといった他のコヒーレントまたはインコヒーレントな放射線ビームが、適合する放射線感応層と一緒に使用される場合があることは理解されよう。
【0021】
放射線感応層110は、図1に示すようにシリンダ形プラットフォーム100上に直に積層する場合があること、あるいは詳細に後述するように放射線感応層110とシリンダ形プラットフォーム100との間に1つ以上の介在層が提供される場合があることは当業者には理解されよう。さらに、詳細に後述するように、1つ以上の層が放射線感応層110の上にシリンダ形プラットフォーム100から離れた状態で提供されることがある。放射線感応層110の他の実施形態も後述される。さらに、シリンダ形プラットフォーム100は、軸102の周りに等角速度および/または可変角速度で回転されることがある。
【0022】
図1に示すように、一部の実施形態において、レーザ122は、放射線感応層110が感応する周波数または周波数帯域にある放射線を放出する連続発振(Continuous Wave:CW)レーザである。実施形態によっては、レーザビーム120はシリンダ形プラットフォームの軸方向の長さ全体にわたって軸方向にラスタ走査される場合がある。しかしながら、一部の実施形態として、より詳細に後述するように、レーザビーム124はシリンダ形プラットフォーム100の比較的小さな部分にわたってラスタ走査されることがある。
【0023】
最後に、説明の目的から少数の光学的微細構造体132のみが図示されているが、実施形態によっては、光学的微細構造体の大型アレイを提供するために通常は多数の光学的微細構造体132が形成されることは理解されよう。図1には、光学的微細構造体132は半球形セクションの形状にあるマイクロレンズであるとして示されているが、他の実施形態では例えば光学格子構造体といった他の微細構造体が複数の均一および/または不均一な間隔を置いた同一および/または非同一の光学的微細構造体132として形成される場合がある。均一および/または不均一なサイズおよび/または間隔の異なるタイプの光学的微細構造体の組み合わせも形成される場合がある。
【0024】
図2乃至図4は他の実施形態を示しており、そこではシリンダ形プラットフォーム100および/またはレーザビーム120は軸方向に互いに相対的に並進(translate)させられ、その間、それと同時にプラットフォームの回転とレーザビームのラスタ走査が行われて、シリンダ形プラットフォーム100の長さのかなりの部分にわたって光学的微細構造体が結像する。一部の実施形態では、軸方向の並進によって光学的微細構造体がシリンダ形プラットフォーム100の軸方向の長さのほぼ全体にわたって形成されることが可能となる。一部の実施形態では、シリンダ形プラットフォーム100は軸方向の固定されたポジションに維持されるとともに、レーザ122および/またはレーザビーム120は軸方向に沿って並進させられる。逆に他の実施形態では、レーザ122および/またはレーザビーム120は軸方向の固定された場所に維持されることがあるとともに、シリンダ形プラットフォーム100は軸方向に並進させられることがある。更に他の実施形態では、レーザ122および/またはレーザビーム122並びにシリンダ形プラットフォーム100は両方とも軸方向に互いに相対的に並進させられることがある。例えば、レーザ122は、シリンダ形プラットフォーム100の一端部に固定されることがあるとともに、ミラーなどのレーザ光学素子がレーザビーム122をシリンダ形プラットフォームに対して例えば軸方向に移動および/または回転させることによって並進させるよう設定されている場合がある。
【0025】
図2乃至図4に本発明の実施形態を示す。そこでは、固定されたレーザ122に対してシリンダ形プラットフォーム100が軸方向に並進させられる。具体的に図2を参照して説明すると、シリンダ形プラットフォーム100は、ローラ222および/または他の従来の機構を使って支持体(support)210を土台(base)220に対して移動させることによって、矢印224に示される(軸方向の)並進方向に沿って軸方向に並進させられる。図2に示すように、シリンダ形プラットフォーム110を並進方向224に沿って継続的に並進させることにより、連続的な螺旋形パタン230の光学的微細構造体132が放射線感応層110内に(潜像として)結像する。
【0026】
図3に本発明の他の実施形態を示す。そこでは、シリンダ形プラットフォーム100はレーザビーム120に対して並進方向324に沿って段階的に(つまり一段ずつ)並進させられ、放射線感応層内の個々のバンド330に光学的微細構造体132が結像する。図3の実施形態では、シリンダ形プラットフォーム100は矢印104に示された回転方向に継続的に回転されることがあり、個別のバンド330に像が結像した後に並進方向324に沿ってシリンダ形プラットフォームの段階的な並進が実行される。シリンダ形プラットフォーム100は、シリンダ形プラットフォーム100が段階的に並進する間、一回転未満、一回転、あるいは2回転以上完全に、回転を続けることがあることは理解されよう。
【0027】
図3において、各バンド330の結像が開始してシリンダ形プラットフォーム100が同じ所定の回転角度だけ回転したら終了することにより、整列したバンド330のパタンが放射線感応層110内に出来上がる。各バンドごとにバンドの終点と始点を互いに分離するためのガードバンド(guardband)がバンドに提供される場合がある。代わりに、バンドの始点と終点は互いに接する場合がある。
【0028】
これとは対照的に、図4では、シリンダ形プラットフォーム100は、シリンダ形プラットフォーム100が順次ずらした回転角度(stagerred rotation angles)だけ回転したら並進方向324に沿って軸方向に段階的に(一段ずつ)並進させられ、それにより放射線感応層内に順次ずらしたバンドパタン(staggered band pattern)430の光学的微細構造体132が結像する。実施形態によっては、バンドの始点/終点432が示すように、バンドの始点および/または終点は互いに均一に順次ずらした場合がある。他の実施形態では、バンドの始点/終点434が示すように、バンドの始点と終点は互いに不均一に順次ずらした場合がある。整列したパタン(図3)と順次ずらしたパタン(図4)の組み合わせも実施されることがある。図1乃至図4の結像システムおよび方法の組み合わせが単一の放射線感応層110で実施される場合があることは理解されよう。実施形態によっては、全ての光学的微細構造体が結像され現像され均一な間隔を置いた光学的微細構造体が作り出された後は、図2乃至図4の螺旋形/バンド構造は見てもわからないことがある。しかしながら、他の実施形態では、螺旋形/バンド構造の少なくとも一部の外観は現像後もそれとわかる場合がある。
【0029】
図5A乃至図5Cおよび図6A乃至図6Cに、本発明の様々な実施形態に基づき、レーザビーム120といった放射線ビームを図1の放射線感応層110といった放射線感応層の少なくとも一部分にわたってラスタ走査して、図1乃至図4の光学的微細構造体132といった光学的微細構造体が放射線感応層内に結像する様子を示す。わかりやすくするために、放射線感応層110および光学的微細構造体132の一部分のみが示されている。
【0030】
図5Aは放射線感応層110の一部の上面図、図5Bは放射線感応層110の図5Aのライン5B−5B’に沿った断面図である。図5Aおよび図5Bが示すように、例えば図1乃至図4のレーザビーム120といった放射線ビームは、放射線感応層110の少なくとも一部分にわたって軸方向にラスタ走査されるが、放射線感応層110の少なくとも一部分にわたってレーザビーム120をその振幅(amplitude)を変えながら軸方向にラスタ走査することによって、放射線感応層内に光学的微細構造体120が結像する。さらに具体的には、図5A乃至図5Cが示すように、軸方向のラスタ走査はレーザビーム120をその振幅を変えながら放射線感応層の少なくとも一部分にわたってラスタ走査することによって行われ、その結果として、放射線感応層110内に光学的微細構造体132が結像する。特に、図5Aが示すように、一部の実施形態において、ラスタ走査は放射線感応層110にわたる軸方向124における3回の走査510、512、514を提供する場合がある。シリンダ形プラットフォーム100の回転のせいで、走査線は互いに間隔を置いて離れている。図5Aにおいて、レーザビームは光学的微細構造体を結像させるために図5Aの右方向へ向かう第1の軸方向に沿ってラスタ走査され、続いて、第1の方向とは逆の図5Aの左方向へ向かう第2の軸方向に点線520、522および524が示すように空白状態(blank)にされる。軸方向の走査510、512、514の間、レーザビームの振幅は光学的微細構造体132を作り出すために図5Cに示すように変化する場合がある。
【0031】
こうして、図5A乃至図5Cに示すように、レーザビーム120の振幅は放射線感応層110内に光学的微細構造体132を結像させるために連続的に変化する。さらに、図5A乃至図5Cの3回の走査510、512、514で示されたようなレーザビーム120の複数の走査を通じてレーザビーム120が光学的微細構造体132を結像させることができるように、軸方向のラスタ走査はシリンダ形プラットフォーム100の回転速度と比べて十分なスピードで実行される。一部の実施形態では、光学的微細構造体は単一の走査で結像することがあること、あるいは他の実施形態では2回もしくは4回以上の走査が使用されることがあることは理解されよう。さらに、実施形態によっては、2回以上の走査を同時に実行するために複数のレーザが使用される場合がある。
【0032】
レーザビーム120の振幅は、放射線感応層110の非線形な吸光/現像特性および/または他の周知の非線形効果のために、結像されている光学的微細構造体の形状の線形関数でない場合があることも理解されよう。特に、結像の結果として生じる形状の予測はビームプロファイルおよび強度並びにそれらが時間空間的に変化する仕方についてだけなく、放射線感応層がその中に蓄積した放射エネルギーに反応する仕方(“露光曲線(exposure curves)”)についても、詳細な理解を含む場合がある。放射線感応層の反応は、照射(露光)に含まれるパラメータに加え、様々な照射後の現像パラメータによっても影響される可能性がある。レーザビーム120の走査時の所望の振幅は、光学的微細構造体の所望の像(イメージ)を作り出す所望の振幅に達するまでの試行錯誤によって経験的に、シミュレータを使用することによって、レーザ照射線量と放射線感応層内に現像された(光学的微細構造体の)像との間の関係を定める数学的重畳関数を使用することによって、および/またはここに詳細に記述される必要のない他の従来技術によって、決定されることがある。
【0033】
図6A乃至図6Cに本発明の他の実施形態を示す。そこでは、放射線感応層110はレーザビーム120をリターン時に空白状態(ブランク)にするのではなく、レーザビーム120の前方走査(forward scannig)およびリターン走査(return scanning)の間に光学的微細構造体の像が形成される。それにより、複雑さが増す可能性があるが、より高い密度および/またはより高いスピードが得られる場合がある。こうして、図6A乃至図6Cに示すように、結像は、走査ライン610、612および614で示すように図6Aの右方向への第1(前方)の軸方向における前方走査の間と、図6A乃至図6Cの左方向への、第1の方向と逆の第2の方向におけるリターン走査620および622の間に実行される。図5に関して言えたように、より回数の少ないまたは多い走査が提供される場合がある。また、図5および/または図6の実施形態は図1乃至図4の任意の実施形態と組み合わされてよいことは理解されよう。
【0034】
図7は、本発明の他の実施形態に基づく光学的微細構造体を形成するための他のシステムおよび方法のブロック図である。図7に示すように、連続発振(Continuous Wave:CW)レーザビーム120はCWレーザ装置710によって生成され、電力制御安定化は電力制御安定化装置712によって実施される。他の実施形態では、“準連続発振(quasi-continuous wave)”レーザビームが例えば切替可能半導体レーザ(switchable semiconductor laser)を使って提供されることがある。変調器(modulator)714は一部の実施形態では音響光学(acoustooptical:AO)変調器714であって、これはレーザビーム120の振幅を変えかつレーザビーム120をラスタ走査するために使用される。実施形態によっては、レーザビーム120の振幅を変調し、そしてレーザビーム120のポジションをラスタ走査するために、それぞれ別個の変調器が使用されることがある。変調器714は、放射線感応層110がその上に積層したプラットフォーム100を動かす必要なしにレーザビームの動きの範囲を制限するために、ビームに偏向角度を与えることが可能である。さらに、レーザビーム120の振幅および/またはポジションを変えるための他の従来技術も利用されることがある。例えば、レーザビームの振幅は、レーザ装置710が独りで変える場合がある。また、レーザビームのポジションは、回転ミラーおよび/または振動ミラーを利用する従来のスキャナを使用してラスタ走査される場合がある。
【0035】
図7の説明を続けると、必要に応じてレーザビーム120の方向を変えるために、ミラー、プリズムおよび/または他の光学素子716が使用されることがある。ビーム成形光学系(Beam shaping optics)718は、レーザビーム120の成形を制御して、ビーム断面の強度分布が一定の分布、ガウス型分布および/または他の従来型分布に従う場合がある楕円形(例えば円形)および/または多角形(例えば正方形)に成形するために使用されることがある。シリンダ形プラットフォーム100に対してレーザビーム120の焦点を制御するために、自動焦点(オートフォーカス)システム722も使用されることがある。ブロック710乃至722のデザインおよび働きは、当業者には周知で、ここで詳述する必要はなかろう。これらのブロックはまとめて光学縦列(optical train)または放射線ビームシステムと称されることがある。さらに、ブロック712乃至722の一部のブロックは、本発明の実施形態による光学縦列または放射線ビームシステムに使用される必要はないことは理解されよう。こうして、図7の実施形態は、連続発振レーザビーム120を生成して、そのレーザビームを変調してその振幅を変えると同時に、その間、レーザビームを振動させて放射線感応層110の少なくとも一部分にわたってレーザビームをラスタ走査することができる。
【0036】
特に、均一および/または様々な輪郭(プロファイル)および/または高さの微細構造体を高い精度で形成すること困難な場合がある。本発明の一部の実施形態は、強度が連続的に変化するレーザビーム120といったレーザビームを使用して光学的微細構造体を形成することができる。これにより、任意の3次元的形状の光学素子をリアルタイムで高い精度で生成することが可能となる。1光学的微細構造体当たり複数の走査(照射)を使用して、多数の光学的微細構造体のマスタ型を形成することを可能にするのに十分な高いレートで地形(features)を作り出すために、レーザビーム120は強度的かつ空間的に少なくとも1kHz、実施形態によってはMHzオーダのレートで変調されることがある。レーザビームは、これらの振動数でラスタ走査されかつ振幅が変調されるので、AO変調はこの能力を実現することができる。焦点面またはビーム・プロファイルの他の側面も放射線感応層110における最大量の放射線エネルギーが蓄積する深さを変えるために迅速に変えられる場合がある。
【0037】
図7の説明をさらに続けると、ここではコントローラとも称される制御システムおよび/または方法も提供される。コントローラ730は、1つ以上のコンピュータプログラムを実行するために、専用のハードウェアおよび/またはネットワークを介して相互に接続される場合がある、企業、アプリケーション、個人、一般用のもしくは組込型のコンピュータシステムを含む場合がある。コントローラ730は、中央集権化かつ/または分散化されることがある。コントローラ730は、従来の制御技術を使用してブロック710乃至722の一部乃至全部を制御するために使用されることがある。加えて、コントローラ730は、ここに記述される実施形態またはそれらの組み合わせに基づいて光学的微細構造体を結像させるために、シリンダ形プラットフォーム100の角回転量θ、シリンダ形プラットフォーム100の並進移動距離X、および時間に対してレーザビーム120の振幅およびポジションを制御するよう設計されることがある。コントローラのデザインは当業者には周知で、ここでは詳述される必要はない。
【0038】
一部の実施形態において、コントローラ730は、ブロック710乃至722で提供されるビーム照射(exposure)および配置(placement)を放射線感応層110上の照射が行われる所望の物理的場所と同期させることが可能である。実施形態によっては、図7のシステム/方法は、一度に最大約24時間あるいはそれ以上の期間にわたって稼働を継続し、このためコントローラ730は、この期間にわたってパラメータをそれらの所望の許容範囲内に維持することが可能でなければならない。
【0039】
さらに、本発明の一部の実施形態において、コントローラ730は、自動焦点システム722を追加の機能を実行するように制御することができる。特に、実施形態によっては、レーザビーム120の焦点長は、少なくとも部分的にシリンダ形プラットフォーム100の動径方向の変動および/または放射線感応層110の層厚の変動を補償するように、シリンダ形プラットフォーム100の回転とレーザビーム120の軸方向のラスタ走査と同時に、変化を付けられることがある。他の実施形態では、レーザビーム120の焦点長は、放射線感応層110における変動する様々な深さに光学的微細構造体各部を結像させるように、同じく変化を付けられることがある。更に他の実施形態では、レーザビーム120の焦点長は、放射線感応層110の照射量を変えて所望の光学的微細構造体を実現するように変化を付けられることがある。これらの焦点長制御機構の組み合わせおよび部分的組み合わせは、それだけでまたはレーザビーム120の振幅制御と組み合わせて提供される場合がある。
【0040】
一部の実施形態では、以下、詳細に説明されるように、図1乃至図7の放射線感応層内に結像した光学的微細構造体132は現像ステーション(developing station)で現像される。現像された放射線感応層は、例えばコンピュータディスプレイおよび/またはテレビ受像機に使用されることがある光学的微細構造最終製品のマスタ型(金型に相当)を提供することができる。
【0041】
次に、図1乃至図7に示された本発明の実施形態について更に考察する。特に、上述したように、光学的微細構造体のマスタ型を形成するための従来のアプローチは、少なくとも約百万個の素子に適用し、かつ/または一辺が少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積をカバーするときに、深刻なスケーリング障壁に遭遇する場合がある。これらの構造では、合理的な時間内にマスタ型を形成することは困難な場合がある。これとは極めて対照的に、本発明の一部の実施形態は、1秒当たり百万回の別々の照射のオーダで、しかも1秒当たり10,000個の光学的微細構造体を作り出すのに十分な解像度および精度で実行することができ、その結果、大型のリアスクリーンプロジェクション型テレビ受像機用のマスタ型を従来の技術では数年以上を要したものを数時間のうちに形成することができる。
【0042】
本発明の一部の実施形態は、放射線感応層を露光するのに十分な強度を有する例えば直径5μmの小さなレーザビームを置くことができ、このビームを強度および場所について例えばMHzのスピードで変調することができる。放射線感応層をその上に置くまたは取り付けることができるシリンダ形プラットフォームは、コンピュータ制御によって正確かつ迅速に移動させることができる。制御システムは、放射線感応層の適切な部分を正しい照射線量で照射するために、変調ビームのシリンダ形プラットフォーム上への配置を同期させることができる。
【0043】
本発明の一部の実施形態による寸法(dimensions)とスピードが次に本発明の実施形態が機能するスケールの正しい評価を与えるよう提供される。しかしながら、これらの寸法およびスピードは、実施例と見なされるべきもので、限定するものとは見なされない。特に、本発明の一部の実施形態では、シリンダ形プラットフォーム100は長さは約91cm(3フィート)で周囲は約152cm(5フィート)の場合がある。放射線感応層110の層厚は約10μm乃至約150μmの間にある場合がある。ラスタ走査されるレーザビーム120のバンド(band)は、軸方向の長さが約1μm乃至約1000μmの間にある場合がある。直径が約75μmの半球形セクションのレンズは、リターン走査を空白状態(ブランク)にして、1レンズ当たり10回の走査を使用して製作されることがある。シリンダ形プラットフォーム100は、毎分約60回転の角速度で回転し、ラスタ走査は毎秒約500,000回走査の振動数で実行される場合がある。これらのパラメータの条件の下では、約200万個のマイクロレンズを形成するのに約2時間を要することがある。
【0044】
図8に本発明の他の実施形態に基づく光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面を示す。図8に示すように、レーザ822からのレーザビーム820といった放射線ビームは、図1乃至図7のレーザ110および/または710に相当するものであって、その放射線ビームに対して透過性のある基板800を通して(透過させて)その上の図1乃至図7の放射線感応層110に相当する放射線感応層内に照射され、放射線感応層810内に図1乃至図7の光学的微細構造体132に相当する光学的微細構造体832を結像させる。既に述べたように、放射線ビームはコヒーレントおよび/またはインコヒーレントである場合がある。さらに、ここに使用される“透過性のある”基板はそれに入射する放射線の少なくとも一部を透過させることができる。放射線ビームをこの放射線ビームに対して透過性のある基板を通して(透過させて)基板上の放射線感応層810内に照射することは、ここでは“背面”結像(back-side imaging)または“基板入射式”結像(substrate incident imaging)と称されることがある。図8において、基板800は放射線感応層810の上側にあるが、本発明の様々な実施形態によれば、背面結像を実施するために、基板800、放射線感応層810、レーザビーム820およびレーザ装置822の他の配置(orientations)が使用されることがあることは当業者には理解されよう。
【0045】
さらに、本発明の一部の実施形態に従って放射線感応層810の背面結像を実施して光学的微細構造体832を形成する際、レーザビーム820と基板800を相互に動かすために多くのシステムおよび方法が使用されることがある。これらのシステムおよび方法の一部を図9乃至11に示す。
【0046】
特に、図9を参照すると、シリンダ形プラットフォーム900は、図1乃至図7のプラットフォーム100に相当し、図1乃至図7に関連して説明された本発明のいずれかの実施形態に基づいて使用されることがある。こうして、図9に示すように、レーザビーム820は、シリンダ形基板800を通して(透過して)シリンダ形プラットフォーム900上にあるシリンダ形放射線感応層810内に照射される。基板800は、フレキシブル基板である場合がある。更に他の実施形態として、図9の構造は、図1乃至図7のどの実施形態とも独立に使用される場合がある。さらに、更に他の実施形態では、レーザビーム820は、シリンダ形プラットフォーム900内部で作り出されかつ/または方向付けられる場合があるとともに、シリンダ形プラットフォーム900は透過性基板を構成する場合がある。
【0047】
図10に他の実施形態を示す。そこでは、レーザビーム820は多角形基板800’を通して(透過させて)多角形プラットフォーム1000上にある多角形形状の放射線感応層810’内に照射される。実施形態によっては、基板800’は長方形または正方形、放射線感応層810’は長方形または正方形で、多角形プラットフォーム1000は図10に示すように直交するXおよび/またはY方向に沿って連続的および/または段階的に並進できる長方形または正方形の精密度の高いX−Yテーブルである。
【0048】
最後に、図11に他の実施形態を示す。そこでは、レーザビーム820は楕円形基板800’’を通して(透過させて)楕円形プラットフォーム1100上の楕円形放射線感応層810’’内に照射される。実施形態によっては、楕円形基板800’’は円形基板800’’であって、楕円形放射線感応層810’’は円形放射線感応層であり、楕円形プラットフォーム1100は矢印1102の方向へ回転させるためのスピンドル(支軸)1104上に取り付けられた円形プラットフォームである。
【0049】
図9乃至図11の任意の実施形態において、例えば図7の構成要素710、712、714、716、718および/または722に相当する光学縦列またはシステムは、図7のコントローラ730といったコントローラと一緒に提供されることがある。同様に、図9乃至図11の任意の実施形態において、レーザビームは静止した状態に維持されかつ/またはラスタ走査される場合があり、このとき放射線感応層とレーザビームとの間の相対的な並進は、図1乃至図7との関連で既に述べたように、レーザ装置822、レーザビーム820および/またはプラットフォーム100、1000または1100の並進で実現される場合がある。
【0050】
図12は、本発明の他の実施形態の断面図である。これらの実施形態において、ネガ型フォトレジスト層1210は基板1200が伴うまたは伴わない放射線感応層として使用され、レーザビーム820といった放射線ビームがネガ型フォトレジスト層内に照射される。図12の実施形態は、上述したまたは後述する任意の実施形態との組み合わせで使用される場合がある。
【0051】
当業者には周知のように、フォトレジストはポジ型とネガ型の2つのタイプが利用可能である。ポジ型フォトレジストは、放射線に照射された部分が現像プロセスで除去されるように設計されている。ネガ型フォトレジストは、放射線に照射された部分が現像後に残り、未照射部分が除去されるように設計されている。両方のタイプとも従来の集積回路製造で利用されてきたが、特にポジ型フォトレジストは集積回路製造への適合のしやすさから現在より広く利用されることがある。通常、ネガ型フォトレジストは、光学的微細構造体の形成に適用可能であるとは見なされることはない。例えば、2002年3月21日公開のグレットン等(Gretton et al.)による米国特許出願公開第2002/0034014号明細書「高い集束効率を有するマイクロレンズアレイ(Microlens Arrays Having High Focusing Efficiency)」を参照されたい。
【0052】
特に、ネガ型フォトレジストでは、フォトレジストの照射された部分のみが現像後に残ることになる。従って、光学的微細構造体の形成に使用されることがあるような厚膜フォトレジストでは、フォトレジスト層の外層の浅い部分のみが照射されることがある。その下の未照射のフォトレジストが現像の際に除去されるとき、照射によって形成された潜像はそのとき洗い流される場合がある。本発明の一部の実施形態は、ネガ型フォトレジストは光学的微細構造体の形成に実際に利用できるという認識から生まれる。実際、本発明の一部の実施形態は、ネガ型フォトレジストは光学的微細構造体の形成に、特に背面結像(back-side imaging)と組み合わされたときに、利点を提供することがあるという認識から生まれる。使用することができるネガ型フォトレジストの一例はSU−8TMで、これはエポキシノボラックポリマ(epoxy novolac polymers)からできたネガ型フォトレジストで、マイクロケミストリ社(MicroChem Corp.)から市販されている。
【0053】
図13A乃至図13Bは、例えば図8の背面結像を例えば図12のネガ型フォトレジストの利用と一緒に組み合わせた本発明の実施形態の断面図である。特に、図13Aに示すように、レーザビーム820といった放射線ビームはこの放射線ビームに対して透過性のある基板800を通して(透過させて)この基板800上のネガ型フォトレジスト層1310内に照射され、その中に光学的微細構造体132を結像させる。従って、図13Aは、基板800と、基板800上に積層しておりこの基板上に光学的微細構造体132を画定するよう照射(あるいは露光)されたネガ型フォトレジストの被照射層(exposed layer)1310とを含む、本発明の一部の実施形態による光学的微細構造製品も示している。また図13Bに、結像処理された(つまり光学的微細構造体の潜像が形成された)ネガ型フォトレジスト層1310の、光学的微細構造体132’を形成するために現像された後の状態を示す。従って、図13Bも、基板800と、基板800上に積層しておりこの基板上に光学的微細構造体132’を画定するようパタン形成されたネガ型フォトレジストのパタン形成層(patterned layer)とを含む、本発明の一部の実施形態による光学的微細構造製品1350を示している。図1乃至図11の任意の実施形態は、図13Aおよび図13Bの実施形態を形成するために使用されることがあることは理解されよう。
【0054】
本発明の一部の実施形態によるネガ型フォトレジスト層内への背面結像は、光学的微細構造マスタ型の形成に関して多くの潜在的な利点を提供することがある。いくつかの潜在的な利点について以下詳細に説明する。
【0055】
特に、当業者には周知のように、マスタ型が生成されると、そのマスタ型から複数の複製(コピー)を製作するために通常の複製プロセスが使用さることがある。各世代の複製(レプリカ)は、一般に1つ前の世代のネガである。図14を参照して説明すると、マスタ型1400は、例えば図13Aおよび図13Bとの関連で説明したように、放射線ビームを基板800を通してその基板上のネガ型フォトレジストの層内に照射して光学的微細構造体132’を基板上に生成するための背面結像を使用して製造されることがある。従来の技術を使用して、単一のマスタ型から、最大約1,000あるいはそれ以上のオーダの多数個の第2世代スタンパ1420が作り出されることがある。図14に示すように、スタンパ1420は、マスタ型1400の凸が凹に凹が凸になったマスタ型1400のネガ複製(レプリカ)である。次に、コンピュータディスプレイまたはテレビ受像機用のマイクロレンズなどの、最大約1,000あるいはそれ以上のオーダの多数個の最終製品1430が、各スタンパ1420から作り出されることがある。最終製品1430はスタンパ1420のミラーイメージ(鏡像)であって、従ってそれらはマスタ型1400のポジティブ・イメージ(陽像)に相当する。
【0056】
従って、図14に示した例では、単一のマスタ型1400から2世代の複製だけを使って最大百万個あるいはそれ以上のオーダで最終製品1430が生成されることがある。これとは対照的に、ポジ型フォトレジストを使用するとき、マスタ型は所望の形状のネガとなる場合があり、従って第1世代の複製(レプリカ)はポジとなる。ポジの最終製品を作り出すために、第2および第3世代の複製(レプリカ)が提供される必要がある場合がある。残念ながら、第3世代の複製(レプリカ)は市場に流通可能なほどオリジナルパタンに十分忠実であるとは言い難い場合がある。これとは対照的に、ネガ型フォトレジストは、図14に示したように2つの世代の複製を通じて所望の形状のポジティブコピーを作り出すために使用することができ、その結果、本発明の実施形態によれば、最大百万個あるいはそれ以上の個数の高品質最終製品1430が単一のマスタ型から作り出されることがある。
【0057】
図15および図16は、本発明の一部の実施形態に基づくネガ型フォトレジストと組み合わせた背面結像の他の潜在的な利点について説明する。特に、図15に基板1500上の光学的微細構造体の一例を示す。図15が示すように、基板1500に垂直な壁を有する符号1522で示された光学的微細構造体、あるいは、それぞれ基板1500に隣接する基底部(bases)1532と、その基板1500から離れており基底部1532よりも幅が狭いここでは一般に“上端部(tops)”1534と称される頂点(vertices)または先端(tips)とを有するレンズ1524またはプリズム1526を形成することが一般に望ましいことがある。さらに、微細構造体1528といった、他の高い微細構造体1522、1524および/または1526と比較して短い一部の微細構造体を形成することが望ましい場合がある。
【0058】
図16が示すように、本発明の一部の実施形態は、これらの形状を従来のポジ型フォトレジスト1610と従来のフォトレジスト入射式(“前面”)照射(露光)(front-side exposure)を使用して形成することが困難であるという認識から来ている。特に、図16に示すように、例えば半導体産業において従来から使用されているポジ型フォトレジスト1610および前面照射1630を使用するとき、放射線は基板1600とは反対側にあるフォトレジスト1610の外面を結像処理する(つまり潜像を形成する)ための“パンチ(punch)”の機能を果たす。この関係は、光学的微細構造体に望まれる形状(図15参照)とは逆の形状の像(イメージ)1620a、1620bを形成するのに貢献する。さらに、図16に同じく示すように、比較的浅い像(イメージ)1620cがフォトレジスト層1610の被照射面のところだけに存在することがあるが、その浅い像(イメージ)は現像の際に洗い流されることがある。例えば前記米国特許出願公開第2002/0034014号明細書の中のパラグラフ56乃至67を参照されたい。
【0059】
これとは極めて対照的に、例えば図13Aおよび図13Bに示したように、本発明の一部の実施形態に基づくネガ型フォトレジストと組み合わせた背面結像(back-side imaging)は、基板800に隣接する基底部(bases)1302とその基板800から離れており基底部1302よりも幅が狭い上端部(tops)1304とを有する光学的微細構造体132’を作り出すことができる。さらに、図17に示すように、基板800を通して結像処理(つまり潜像形成)しかつネガ型フォトレジスト1310を使用する本発明の実施形態は、光学的微細構造体1732の望ましい高さよりも層厚が厚いフォトレジスト層1310を提供することができ、そのため放射線ビームは基板800を通してネガ型フォトレジスト層1310内に照射され、そのネガ型フォトレジスト層1310内に基板800に隣接するように埋め込まれた光学的微細構造体1732が結像する。ネガ型フォトレジスト1310が、少なくとも、形成されることが望まれる最も厚い光学的微細構造体1732よりも厚い限りは、比較的厚い微細構造体と比較的薄い微細構造体とが基板800に隣接して1つのネガ型フォトレジスト層内に一緒に形成されることがあり、しかも現像プロセスの際に洗い流されることはない。
【0060】
図18に、ネガ型フォトレジスト1310および基板800を通したレーザビーム822の照射を使用することがある本発明の他の実施形態を示す。図18に示すように、大型の基板800上にネガ型フォトレジスト層1310を形成するとき、そのフォトレジストは不均一な層厚を有する場合がある。しかしながら、図18に示すように、ネガ型フォトレジスト層1310の最小の厚みがどの光学的微細構造体1832よりも厚い限りは、埋め込まれた光学的微細構造体1832はネガ型フォトレジスト層1310の変動する厚みとは無関係に基板800に隣接して厚みが変動するフォトレジスト層1310内に結像することがある。
【0061】
本発明の一部の実施形態に基づいて背面照射およびネガ型フォトレジストを使用する他の潜在的な利点を図19を参照して説明する。図19に示すように、ネガ型フォトレジスト層1310は、その上に不純物1910を含む場合がある。背面結像ではなく従来の前面結像を使用するとき、これらの不純物1910は前面結像の妨げになる場合がある。しかしながら、図19に示すように背面結像を使用するときには、レーザビーム822はネガ型フォトレジスト1310の基板800から離れた外面1310aを通過したりあるいはその外面上に集束する必要はない。従って、不純物1910は、光学的微細構造体1832の形成に影響を与えることはない。それゆえ、本発明の一部の実施形態では、結像(imaging)はクリーンルーム以外の環境でも生じることがある。
【0062】
ネガ型フォトレジストを使用する他の潜在的な利点の中には、照射および現像プロセス中にポリマの架橋結合を含むネガ型フォトレジストの化学反応が起き、これが追加的な機械的、化学的および/または熱的な安定化を複製プロセス時のマスタ型にもたらす場合があるという事実が含まれることがある。加えて、現像は大半のネガ型フォトレジスト層1310を基板800から除去することがあるので、現像後のマスタ型内に残る内部圧力がより小さくなる可能性がある。後述するように、ネガ型フォトレジスト層上にしかも基板の反対側に保護層も設けられる場合がある。
【0063】
本発明の一部の実施形態に基づく背面結像および/またはネガ型フォトレジストの使用について更に議論する。特に、既に述べたように、標準的なリソグラフィ・アプローチを使用して、特にそれをフォトレジストの厚膜、すなわち約10μmより厚いフォトレジスト層に適用するとき、光学的微細構造体の所望の形状を生成することは困難な場合がある。フォトレジストの厚みの均一性やフォトレジスト面のクオリティの問題もプロセスの妨げになり得る。また集積回路の製造における基本的な適用場面では、フォトリソグラフィは通常、一般的にフォトリソ・プロセスで使用される放射線の波長を通さないシリコンその他の半導体からなる基板上で実行されてきた。それゆえ、前面照射は通常、基板から離れた、フォトレジストのコーティングのない側から行われる。
【0064】
これとは対照的に、本発明の一部の実施形態は、基板を通してフォトレジストに照射する。本発明の一部の実施形態は、マスタ型を形成する基板の電気特性に関係する必要はないので、使用されている放射線の波長に対して透過性のある合成樹脂(プラスチック)といった材料が使用されることがある。こうして、フォトレジストは、基板を通して照射されることができる。背面照射は原理的には、ポジ型とネガ型の両方のフォトレジストに適用可能であるが、それは特にネガ型フォトレジストを使用するときに有益なことがある。
【0065】
基板を通して照射されるとき、ネガ型フォトレジストは基底部が基板に隣接する形状を自然に形成することができる。これとは対照的に、前面照射には一般にビームがフォトレジスト膜に侵入する際のビームエネルギーの多少の減衰が含まれる。この減衰により、一般にフォトレジストの最上部が基底部よりもより多く照射され、アンダーカット(undercutting)が結果としてもたらされる。背面照射でも、減衰は存在する場合があるが、しかしこの場合の減衰は、微細構造体の基底部がその上端部よりも多くの照射を受ける望ましい方向に存在することが可能である。
【0066】
背面照射を使用すれば、形成される地形(feature)の高さもフォトレジストの厚みとは無関係に与えられることが可能である。これは前面照射では難しい場合がある。というのは、前面照射の場合、照射はフォトレジストの外面から底面まで、(浅くて)洗い流されないように、フォトレジストを最後まで進行する必要がある場合があるからである。それゆえ、本発明の一部の実施形態は、様々な高さの形状を作り出すことができ、フォトレジストの厚みの均一性とフォトレジスト表面のクオリティは、光学的微細構造体のクオリティの決定に重要な役割を果たす必要はない。
【0067】
図20に本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体を示す。図20に示すように、これらの光学的微細構造体は、基板2010と、この基板2010上に積層しており光学的微細構造体2032をその中に画定するようパタン形成されたネガ型フォトレジストから成るパタン形成層2020とを含む。実施形態によっては、ネガ型フォトレジスト2020は結像周波数(imaging frequency)の放射線に感応し、基板2010はその結像周波数に対して透過性を有する。
【0068】
一部の実施形態において、光学的微細構造体は、基板2010に隣接する基底部2034と、この基底部2034より幅が狭く基板2010から離れている上端部2036とを含む複数の光学的微細構造体2032から成る。実施形態によっては、基板2010はフレキシブル(柔軟)基板である。他の実施形態として、光学的微細構造体は、基板に隣接する基底部2034と、基板から離れている上端部2036とを含む複数の半球形セクションから成る。実施形態によっては、基板2010とネガ型フォトレジストのパタン形成層2020は光学的微細構造マスタ型2000を提供する。
【0069】
一部の実施形態において、基板2010は、シリンダ形、楕円形または多角形の形状にある。他の実施形態では、基板2010は、長さが少なくとも約30.48cm(1フィート)で、幅が少なくとも約30.48cm(1フィート)、かつ/または面積が約30.48cm(1フィート)四方である。更に他の実施形態では、光学的微細構造体はマイクロレンズから成る。なお更に他の実施形態では、光学的微細構造体は少なくとも約百万個の光学的微細構造体2032から成る。更に他の実施形態では、フォトレジスト2020はネガ型フォトレジストである場合がある。図20の光学的微細構造体は、図1乃至図4および/または図17乃至図19に関連して記述された任意の方法に従って形成されることがある。
【0070】
光学的微細構造マスタ型の大量生産を可能にすることができる本発明の実施形態であって、多数の光学的微細構造体のマスタ型を形成するために使用することができるものについて以下説明する。特に、図21に、光学的微細構造体を形成するために実行されることがある作業の流れを示す。ブロック2110に示すように、1対の外層(outer layer)の間に挟み込まれた放射線感応層から成る光学的微細構造マスタ型は、結像用(あるいは結像処理用)プラットフォーム(imaging platform)上に結像される。既に参照された任意の図面に記述された結像用プラットフォームおよび/または技術は、いずれも使用されることがある。さらに、結像用プラットフォームおよび/または技術の他の実施形態については後述される。一部の実施形態において、1対の外層は、結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と、その結像用プラットフォームから離れている第2の外層とから成る。ここに使用される表現“第1”および“第2”は、単に2つの異なる外層を区別するために使用されること、そして第1および第2の外層のポジション(位置関係)および/または機能は、ここで述べたものと逆になる場合があることは理解されよう。
【0071】
次に、ブロック2120において、1対の外層の少なくとも1つが取り除かれる。以下詳細に説明するように、一部の実施形態において、第1の外層が放射線感応層から取り除かれ、その結果、結像用プラットフォーム上に少なくとも一時的に第1の外層を残しながら、放射線感応層および第2の外層を結像用プラットフォームから分離する。本発明の他の実施形態では、第1および第2の外層の間に挟み込まれた放射線感応層を含む光学的微細構造マスタ型を結像用プラットフォームから取り去ることによって、少なくとも1つの外層が結像用プラットフォームから取り除かれる。次に、結像処理された(つまり潜像が形成された)放射線感応層を現像し、現像された放射線感応層から第2世代のスタンパと、そして第3世代の最終製品を作り出すための処理が実行されることがある。
【0072】
図22に、本発明の他の実施形態に基づく、光学的微細構造体を形成するために実行されることがある作業の流れを示す。特に、図22に示すように、ブロック2210において、1対の外層の間に放射線感応層を挟み込むことによって光学的微細構造マスタ型の生地(blank)または前駆体(precursor)が製造される。実施形態によっては、光学的微細構造マスタ型の生地または前駆体は、以下詳細に説明するように、狭い間隔を置いた1対のフレキシブル・ウェブ(webs)と、その狭い間隔を置いた1対のフレキシブル・ウェブの間に挟み込まれ光学的微細構造体の像(イメージ)を受け入れるよう構成された放射線感応層とを含む。
【0073】
図22を参照して説明を続けると、ブロック2220において、マスタ型生地は結像用プラットフォーム上に置かれる。多くの例が以下提供される。ブロック2230において、マスタ型生地または前駆体は、光学的微細構造体を画定するよう結像処理される。ブロック2240において、例えば図21のブロック2120に関連して述べたように、少なくとも1つの外層が取り除かれる。多くの他の例が以下提供される。ブロック2250において、放射線感応層の光学的微細構造体をスタンパ生地(stamper blank)に接触させることによって第2世代のスタンパが生成される。続いて、ブロック2260において、スタンパを最終製品の生地(final product blanks)に接触させることによって例えばコンピュータディスプレイ用またはテレビ受像機用のマイクロレンズといった最終製品が生成される。
【0074】
図23に、本発明の一部の実施形態による、図22のブロック2210に対応する光学的微細構造マスタ型生地を製造するために使用されることがあるシステムおよび方法の略図を示す。図23に示すように、第1のローラ2340aまたは他の従来の供給源は、その上に第1の外層2310のフレキシブル・ウェブを含む。放射線感応層コーティング・ステーション2350は、1つ以上の従来のコーティング技術を使用して第1の外層2310上に放射線感応層2320をコーティングするよう構成される。既に例えば図18に関連して述べたように、本発明の一部の実施形態は、光学的微細構造マスタ型が放射線感応層2320の厚みのばらつきに関係なく放射線感応層2320内に結像されることを可能にする。
【0075】
図23を参照して説明を続けると、第2のローラ2340bまたは他の従来の供給源は、その上に第2の外層のウェブ2330を含む。ローラ2340cおよび/または他の従来のラミネート加工装置を含むことができるラミネート加工ステーション(lamination station)は、第2の外層2330を放射線感応層2320の第1の外層とは反対側にラミネート加工(積層加工)するために使用され、出来上がったものは続いて巻き取りローラ2340dまたは他の収納装置に集められる。こうして、図24に示すように、光学的微細構造マスタ型生地または前駆体構造2400は、本発明の一部の実施形態によれば、1対の狭い間隔を置いたフレキシブル・ウェブ2310および2330と、前記1対の狭い間隔を置いたフレキシブル・ウェブ2310および2330の間に挟み込まれており光学的微細構造体の像(イメージ)を受け入れるよう構成された放射線感応層2320とを含む。
【0076】
図24の光学的微細構造マスタ型前駆体2400は、図1乃至図22に関連して既に説明された実施形態のいずれかにおいて使用されることがある。一部の実施形態において、放射線感応層2320は、上述した層110、810、810’、810’’、1210、1310、1610および/または2020を具現化し得る。一部の実施形態では、第2の外層2330は、上述した基板800、800’、800’’、1200、1600および/または2010に相当する場合があるフレキシブルで透光性のある基板を提供することができる。第1の外層2310は、前の図面のいずれかにおける結像用プラットフォームに隣接して配置されることがある層であって、光学的微細構造マスタ型前駆体2400を結像用プラットフォームから結像後にリリース(解放)することを可能にするためのリリース層(release layer)を提供することができる。第1の外層2310は、放射線感応層2320を、結像前、結像中および/または結像後に混入物質から保護することができる薄膜(pellicle)としても機能することがあり、その結果、光学的微細構造マスタ型前駆体の製造、保管および/または結像処理はクリーンルーム環境で行われる必要はなくなる。第1の外層2310は、結像プロセスの際に、吸光性、反射性および/または透光性の層としての機能も果たすことがある。これらの特性および/または他の特性も第1の外層2310に与えられる場合がある。第1の外層2310および/または第2の外層2330は、複数の副層(sublayers)を成すことができることは理解されよう。
【0077】
図24を参照して説明を続けると、本発明の一部の実施形態において、既に広範囲に述べたように、放射線感応層2320はネガ型フォトレジスト層である。本発明の他の実施形態では、第1の外層2310および第2の外層2330は同じものである。更に他の実施形態では、ネガ型フォトレジスト層2320は所定の周波数の放射線に感応し、第2の外層2330はその所定の周波数の放射線に対して透明である。本発明の更に他の実施形態では、第2の外層2330は所定の周波数の放射線に対して透明であり、第1の外層2310はその所定の周波数に対して不透明である。これも既に述べたように、第1の外層と第2の外層の第1および第2の構造および/または機能は逆転される場合がある。
【0078】
本発明の一部の実施形態では、光学的微細構造マスタ型生地または前駆体2400は、照射に使用される放射線の波長に対して透明で、フラットで、比較的欠陥が無く(すなわち光学低品質の高い)、鮮明で曇りがない第2の外層2330を含む。放射線感応層2320は第2の外層2330に良く付着することが望ましい場合があるとともに、第2の外層2330は放射線感応層の現像に含まれることがある化学および熱プロセスに対して比較的影響されにくいことが望ましい場合がある。一部の実施形態では、第2の外層2330は、ポリエステル(polyester)、ポリカーボネート(polycarbonate)および/またはポリエチレン(polyethylene)といった合成樹脂(plastic)から成る場合がある。第1の外層2310も、ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリエチレンといった合成樹脂から成る場合がある。
【0079】
図23および図24に示した本発明の実施形態は、例えばガラス、シリカまたはシリコンといった高価かつ/または柔軟性のない基板上で一般的に実行されてきた光学的微細構造体のための従来のマスタ型形成(mastering)アプローチと対比されることがある。これらのマスタ型は、直径が300mmを超えない場合がある。これとは対照的に、図23および図24に示した本発明の実施形態は、実施形態によっては幅が約30.48cm(1フィート)を超える場合があるウェブから大きな面積のマスタ型生地を製造することができる。マスタ型生地は、照射(露光)のためセットアップされるともに、結像用プラットフォームまたはマスタ型形成機械の速い折り返し(turnaround)を許すことができる。従って、図23および図24に示した本発明の実施形態は、結像用プラットフォームが高価でかつ/または長いリードタイムアイテムを要する場合に使用することができる。マスタ型生地は、結像のため結像用プラットフォーム上に置かれ、続いて、詳しくは後述するように、その結像用プラットフォームから外されて別のマスタ型生地のために結像用プラットフォームを自由にすることができる。
【0080】
図25A乃至図25Eに本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体を形成するシステムおよび方法の断面を示す。図25Aに示すように、図24のフレキシブルな光学的微細構造マスタ型生地または前駆体2400は、上述した図1乃至図4、図7および/または図9の結像用プラットフォームの1つに相当する場合があるシリンダ形結像用プラットフォーム2500に巻き付けられる。一部の実施形態では、結像処理(imaging)は放射線感応層2320内に光学的微細構造体の像(イメージ)を形成するために、上述した背面結像のいずれかの技術に基づいて第2の外層2330を通して(透過させて)実行されることが可能である。従って、図25Aは、ブロック2110、2220および/または2230の一部の実施形態を示すものである。
【0081】
次に、図25Bを参照して説明すると、一部の実施形態において、第1の外層2310は、第2の外層2330および結像処理された(つまり潜像が形成された)放射線感応層2320’を第1の外層2310から取り去ることを可能にするリリース層として機能することができる。結像処理された放射線感応層2320’は図25Cに示すように光学的微細構造体2320’’を作り出すために現像される。従って、図25Cは完成した光学的微細構造マスタ型2550の別の実施形態を示しており、図25Bおよび図25Cはブロック2120および/または2240の実施形態を示すものである。
【0082】
第2世代の光学的微細構造体はスタンパ(stamper)とも称され、それは現像した放射線感応層の光学的微細構造体2320’’を含むマスタ型2550から、光学的微細構造体2320’’をスタンパ生地(stamper blank)に接触させることによって生成される。これはブロック2250に対応する。特に、図25Dに示すように、スタンパ生地への接触工程は、マスタ型2550を平坦なスタンピングプラットフォーム2510上に取り付け、その平坦なスタンピングプラットフォーム2510を矢印2512の方向へスタンパ生地2520に押しつけることによって行われることがある。他の実施形態では、図25Eに示すように、マスタ型2550はシリンダ形スタンピングプラットフォーム2540上に置かれ、スタンパを生成するためにスタンパ生地2520に対して矢印2542の方向に回転して前に進められる。
【0083】
図26Aおよび図26Bにブロック2120および/または2240の作業で形成されることがある本発明の他の実施形態を示す。図26Aにおいて、少なくとも1つの外層を取り除く工程は、結像処理されたマスタ型生地全体2400を結像用プラットフォーム2500から取り去ることによって実行される。続いて、図26Bにおいて、第1の外層2310は結像処理された放射線感応層2320’から取り除かれ、結像処理された放射線感応層2320’はマスタ型2550を現出させるために現像される。
【0084】
図27に、ブロック2110、2220および/または2230の作業で形成されることがある本発明の更に他の実施形態を示す。そこでは本発明の他の実施形態として、光学的微細構造マスタ型前駆体2400は、図10または図11のそれぞれの結像用プラットフォーム1000または1100に相当する平坦な結像用プラットフォーム2700上で結像処理(つまり潜像形成)される。図27の結像工程の後に、図25Bおよび/または図26Aに関連して述べた外層の取り除き工程(ブロック2120および/または2240)が実行される。さらに、図25Dおよび/または25Eに関連して述べたスタンピング作業が実行される。従って、結像工程は平坦または非平坦な結像用プラットフォーム上で行われることがあり、スタンピング工程は本発明の様々な実施形態に基づく結像用プラットフォームと同じまたは同じでなくてよい平坦または非平坦なスタンピングプラットフォーム上で行われることがある。
【0085】
次に、図21乃至図27について、本発明の一部の実施形態に基づき、更に議論する。特に、光学的微細構造マスタ型生地または前駆体2400は、マスタ型生地2400の厚み、重量および/もしくは柔軟性に応じて、静電気、真空チャック(vacuum chuck)、粘着テープおよび/または他の従来の技術を使用して、図25Aのプラットフォーム2500といったシリンダ形プラットフォーム上または図27のプラットフォーム2700といった平坦な結像用プラットフォーム上に保持されることがある。さらに、図25Aおよび/または図27における結像または照射の後に、光学的微細構造マスタ型前駆体2400は図25Cおよび/または図26Bのマスタ型2550といったマスタ型を生成するために放射線感応層の照射後の現像工程を経験する。
【0086】
取り去り可能(removable)な光学的微細構造マスタ型前駆体2400は、前面照射および背面照射の両方にポジ型フォトレジストおよびネガ型フォトレジストと併用して使用することができることは当業者には理解されよう。しかしながら、本発明の一部の実施形態では、既に広範囲に述べたように、背面照射とネガ型フォトレジストが使用される。背面照射およびネガ型フォトレジストを使用するとき、第1の外層2310は結像後に取り除かれることがある。第1の外層2310の取り除き工程は、例えば図25Aおよび図25Bで述べたように結像用プラットフォーム上で行われたり、あるいは、図26Aおよび図26Bで述べたように結像用プラットフォームから結像処理されたマスタ型を取り去った後に行われることがある。
【0087】
それゆえ、図21乃至図27に関連して述べた本発明の実施形態は、第1の外層2310を結像処理された放射線感応層2320’から取り除き、それにより、結像が生じた後に結像用プラットフォーム2500または2700からその結像処理された放射線感応層2320’を取り去ることができる。スタンパは光学的微細構造体2320’’をスタンパ生地2520に接触させることによって光学的微細構造体2320’’から生成されることがある。他の実施形態では、第1の外層2310は結像が生じた後に結像用プラットフォーム2500または2700から分離される。続いて、第1の外層2310は結像処理された放射線感応層2320’から分離される。次いでスタンパは光学的微細構造体2320’’をスタンパ生地2520に接触させることによって光学的微細構造体2320’’から生成されることがある。実施形態によっては、光学的微細構造体はスタンパ生地に押しつけられる(図25D参照)。他の実施形態では、光学的微細構造体はスタンパ生地に対して回転して前に進められる(図25E参照)。
【0088】
図21乃至図27に関連して述べた取り去り可能な光学的微細構造マスタ型生地は本発明の一部の実施形態によるマスタ型およびスタンパの大量生産に特に適している。特に、図28に示すように、光学的微細構造マスタ型前駆体2400の結像処理は、既に結像処理された光学的微細構造マスタ型2550からスタンパを生成すると同時に行われることがある。このため、光学的微細構造マスタ型前駆体の結像処理と、既に結像処理された光学的微細構造マスタ型前駆体からのスタンパの形成は、時間的に少なくとも部分的に重なる場合がある。
【0089】
こうして、潜在的に高価でかつ/またはリードタイムが長い光学的結像用プラットフォーム2500は、光学的微細構造マスタ型前駆体を結像後に結像用プラットフォーム2500から取り去ることによって、結像処理にほとんど連続使用されることがある。しかしながら、本発明の他の実施形態では、結像用プラットフォームは、結像処理された光学的微細構造マスタ型前駆体を結像用プラットフォームから取り去らないことによって、スタンピング・プラットフォームとしても利用されることがある。図28においてシリンダ形および/または平坦な結像用プラットフォームが使用されることがあることと、図25乃至図27に関連して述べたように、マスタ型をスタンパ生地に押しつけるおよび/または回転して前に進める工程が使用されることがあることは理解されよう。
【0090】
取り去り可能な基板上にマスタ型形成することにより、厚みが変わる異なる基板上を多数の異なる放射線感応層で覆ってマスタ型形成するのに同じ機械および/または同じプラットフォームを使用することができるようになる。また、ネガ型フォトレジストおよび基板を通した照射を使用することにより、本発明の一部の実施形態に基づく取り去り可能なマスタ型を使用することができるようになる。というのは、結像用プラットフォームに付着したフォトレジストの表面は、現像の際に取り除くことが可能で、従って光学素子の最終製品に含まれる必要はないからである。同様に、本発明の一部の実施形態によれば、ネガ型フォトレジストおよび背面照射(露光)を使用するとき、フォトレジストで基板上を覆う、単純で、高速でかつ/または比較的安価な技術を採用することが可能である。
【0091】
それゆえ、本発明の一部の実施形態は、放射線ビームに対して透過性があり取り去り可能な基板を通してその基板上にあるネガ型フォトレジスト内に照射する多重照射(露光)によって形成される多数の光学的微細構造体を複製するためのマスタ型を提供することができる。これにより、多数の光学的微細構造体のための商業化が可能なマスタ型形成システム、方法および製品を提供することが可能である。本発明の一部の実施形態では、長さが少なくとも約30.48cm(1フィート)、幅が少なくとも約30.48cm(1フィート)および/または面積が少なくとも約30.48cm(1フィート)四方のマスタ型であって約100μm以下のサイズの最大約百万個あるいはそれ以上の個数の光学的微細構造体を含むものが約8時間乃15時間でマスタ型形成可能である。任意の形状の光学素子は、マスタ型のポイントポイントで照射を変化させることによって形成することが可能である。マスタ型における素子の間隔は、大きく引き離された状態から重なり合う状態まで変えることができる。マスタ型は取り去り可能な基板上に形成可能で、その結果、マスタ型形成プラットフォームは更なるマスタ型形成作業のため再設定が可能である。
【0092】
最後に、本発明の実施形態はここでは光学的微細構造体の形成に関して説明されてきたことは理解されよう。ここで言う光学的微細構造体は、マイクロレンズ、光学格子、微小反射体並びに/または他の吸光性、透光性および/もしくは反射性構造体を含むことがあるが、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである場合がある。しかしながら、機械的微細構造体を形成するために本発明の他の実施形態が使用されることがあることも理解されよう。ここで言う機械的微細構造体は、例えば、微小流体システム、微小空気圧システムおよび/または微小電気機械システムに使用されることがある、空気圧、油圧/水圧、および/または微小電気システム(microeleetromechanical system:MEMS)の微細構造体を含むことがあるが、それらの個々のサイズは、ミクロン(1ミクロン=10−6m)のオーダ、例えば約5μm乃至約1000μmのオーダのサイズである場合がある。
【0093】
本願添付図面および明細書において、本発明の実施形態が開示されてきた。そこには特定の用語が採用されているが、それらは総称的かつ記述的な意味でのみ用いられているもので、特許請求の範囲の各請求項に定められる本発明の範囲を限定する意図は全くない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図2】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図3】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図4】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図5】本発明の様々な実施形態による放射線感応層の少なくとも一部分にわたって放射線ビームをラスタ走査する工程を示した図である。
【図6】本発明の様々な実施形態による放射線感応層の少なくとも一部分にわたって放射線ビームをラスタ走査する工程を示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法のブロック図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図13A】本発明の更に他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図13B】本発明の実施形態による結像処理されたネガ型フォトレジスト層の現像後の断面図である。
【図14】本発明の様々な実施形態によるマスタ型をスタンパおよび最終製品に複製する手順を示したフロー図である。
【図15】ポジ型フォトレジストによる従来の前面結像を使って形成された光学的微細構造体の断面図である。
【図16】ポジ型フォトレジストによる従来の前面結像を使って形成された光学的微細構造体の断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図18】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図19】本発明の他の実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図20】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体の断面図である。
【図21】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するために実施されることがある作業の流れを示したフロー図である。
【図22】本発明の様々な実施形態による微細構造体を形成するために実施されることがある作業の流れを示したフロー図である。
【図23】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造マスタ型生地を製造するために使用されることがあるシステムおよび方法の略構成図である。
【図24】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造マスタ型生地の断面図である。
【図25】本発明の様々な実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図26】本発明の様々な実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図27】本発明の様々な実施形態による光学的微細構造体を形成するためのシステムおよび方法の断面図である。
【図28】本発明の一部の実施形態による光学的微細構造体のためのマスタ型およびスタンパを大量生産するためのシステムおよび方法の略構成図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造マスタ型の生地を製造するための装置であって、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層で第1のフレキシブル・ウェブ上をコーティングするように構成された放射線感応性材料コーティング・ステーションと、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った前記放射線感応性材料の層に前記第1のフレキシブル・ウェブの反対側にて第2のフレキブル・ウェブでラミネート加工を施すように構成されたラミネート加工ステーションと、
を具備する、ことを特徴とする微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項2】
前記放射線感応性材料の層はネガ型フォトレジストの層であることを特徴とする請求項1に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項3】
前記第1および第2のフレキシブル・ウェブは同一であることを特徴とする請求項1に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項4】
前記ネガ型フォトレジストの層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記第1のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数にある放射線に対して透明である、ことを特徴とする請求項2に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項5】
前記第2のフレキシブル・ウェブは前記所定の周波数にある放射線に対して不透明であることを特徴とする請求項4に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項6】
微細構造マスタ型の生地を製造するための方法であって、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層で第1のフレキシブル・ウェブ上をコーティングする工程と、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った前記放射線感応性材料の層に前記第1のフレキシブル・ウェブの反対側にて第2のフレキブル・ウェブでラミネート加工を施す工程と、
を含む、ことを特徴とする微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項7】
前記放射線感応性材料の層はネガ型フォトレジストの層であることを特徴とする請求項6に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項8】
前記第1および第2のフレキシブル・ウェブは同一であることを特徴とする請求項6に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項9】
前記ネガ型フォトレジストの層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記第1のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数にある放射線に対して透明である、ことを特徴とする請求項7に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項10】
前記第2のフレキシブル・ウェブは前記所定の周波数にある放射線に対して不透明であることを特徴とする請求項9に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項11】
微細構造体のマスタ型の生地であって、
狭い間隔を置いて離れた1対のフレキシブル・ウェブと、
狭い間隔を置いて離れた前記1対のフレキシブル・ウェブの間に挟み込まれており、微細構造体の像をその中に結像させるのに適った放射線感応層と、
を備える、ことを特徴とする微細構造マスタ型生地。
【請求項12】
前記放射線感応層はその中に微細構造体の潜像を含むことを特徴とする請求項11に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項13】
前記放射線感応層はネガ型フォトレジスト層であることを特徴とする請求項11に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項14】
前記1対のフレキシブル・ウェブは同一であることを特徴とする請求項13に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項15】
前記ネガ型フォトレジスト層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記1対のフレキシブル・ウェブの一方はその所定の周波数にある放射線に対して透明である、ことを特徴とする請求項13に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項16】
前記1対のフレキシブル・ウェブの他方は前記所定の周波数にある放射線に対して不透明であることを特徴とする請求項15に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項17】
微細構造体を形成する微細加工方法において、
結像用プラットフォーム上において、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る微細構造マスタ型生地を結像処理して前記放射線感応層内に微細構造体を画定する工程と、
前記1対の外層の少なくとも1つを取り除く工程と、
を含む、ことを特徴とする微細加工方法。
【請求項18】
前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを備え、前記少なくとも1つの外層を取り除く工程は、前記放射線感応層から前記第2の外層を取り除く工程を含み、このとき当該方法は、
前記放射線感応層内に画定された微細構造体を現像する工程と、
前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって、第2世代のスタンパを生成する工程と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項19】
前記第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に押しつけることによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の微細加工方法。
【請求項20】
第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に対して転がすことによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の微細加工方法。
【請求項21】
微細構造体のスタンパ生地への接触は、前記放射線感応層および前記第1の外層が前記結像用プラットフォーム上に残っている間に行われる、ことを特徴とする請求項18に記載の微細加工方法。
【請求項22】
前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを備え、前記少なくとも1つの外層を取り除く工程は、
前記第1の外層を前記結像用プラットフォームから分離する工程と、
前記第1または第2の外層を前記放射線感応層から分離する工程と、を更に含み、
このとき当該方法は、
前記放射線感応層内に画定された微細構造体を現像する工程と、
前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって、第2世代のスタンパを生成する工程と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項23】
第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に押しつけることによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項22に記載の微細加工方法。
【請求項24】
第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に対して転がすことによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項22に記載の微細加工方法。
【請求項25】
前記微細構造マスタ型生地は第1の微細構造マスタ型生地であり、前記少なくとも1つの外層を取り除く工程の後に、
前記第1の微細構造マスタ型生地内に微細構造体を現像し、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって、第2世代のスタンパを生成する工程と、
前記結像用プラットフォーム上において、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る第2の微細構造マスタ型生地を結像処理してその放射線感応層内に第2の微細構造体を画定する工程と、が実行され、
第2の微細構造マスタ型生地を結像処理する工程および第2世代のスタンパを生成する工程は時間的に少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項26】
前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程の前に、前記結像用プラットフォーム上に1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層を配置する、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項27】
前記結像用プラットフォームはシリンダ形プラットフォームから成り、微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、前記シリンダ形プラットフォームをその軸の周りに回転させ、それと同時に放射線ビームを前記1対の外層の1つを通して前記放射線感応層の少なくとも一部分にわたってラスタ走査する工程を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項28】
前記シリンダ形プラットフォームおよび/または放射線ビームを互いに相対的に軸方向に並進させることを更に含む、ことを特徴とする請求項27に記載の微細加工方法。
【請求項29】
同時に放射線ビームの振幅を連続的に変化させることを更に含む、ことを特徴とする請求項28に記載の微細加工方法。
【請求項30】
前記放射線感応層は、少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積を有することを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項31】
前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、前記放射線感応層上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項32】
前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、少なくとも約百万個の微細構造体を結像させるために前記放射線感応層上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項33】
前記微細構造体は、光学的微細構造体および/または機械的微細構造体から成る、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項34】
前記放射線感応層内に画定された微細構造体を現像して微細構造マスタ型を提供する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項35】
前記1対の外層は、シリンダ形、楕円形または多角形の形状にある、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項36】
前記マスタ型から複数の第2世代のスタンパを直接形成する工程と、
スタンパから複数の第3世代の微細構造最終製品を直接形成する工程と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項34に記載の微細加工方法。
【請求項37】
前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを備え、前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、
放射線ビームを前記第2の外層を通して放射線感応層内に照射してこの放射線感応層内に微細構造体を画定する工程を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項38】
前記放射線感応層は、この層の放射線ビームに照射された部分が現像後に残るネガ型フォトレジスト層である、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項39】
前記1対の外層はフレキシブルである、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項40】
微細構造マスタ型を製造する方法であって、
シリンダ形プラットフォーム上に、第1の外層とこの第1の外層上にあるネガ型フォトレジスト層とこのネガ型フォトレジスト層上にある第2の外層とを備える微細構造マスタ型生地を、前記第1の外層が前記シリンダ形プラットフォームに隣接し、かつ前記第2の外層が前記シリンダ形プラットフォームからは離れているように配置する工程と、
レーザビームを前記第2の外層を通して前記ネガ型フォトレジスト層内に照射し、その間、それと同時に前記シリンダ形プラットフォームをその軸の周りに回転させ、同じくそれと同時にレーザビームを前記ネガ型フォトレジスト層の少なくとも一部分にわたって軸方向にラスタ走査して、前記ネガ型フォトレジスト層内に微細構造体を結像させる工程と、
前記第1の外層を前記シリンダ形プラットフォームから分離する工程と、
前記第1の外層を前記ネガ型フォトレジストから分離する工程と、
前記ネガ型フォトレジスト層内に結像した微細構造体を現像する工程と、
を含む、ことを特徴とする微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項41】
第2世代のスタンパを、前記ネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって生成する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項42】
第2世代のスタンパを生成する工程は、
第2世代のスタンパを、前記ネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に押しつけることによって生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項41に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項43】
第2世代のスタンパを生成する工程は、
第2世代のスタンパを、前記ネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に対して転がすことによって生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項41に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項44】
前記微細構造マスタ型生地は第1の微細構造マスタ型生地であって、前記第1の外層を前記シリンダ形プラットフォームから分離する工程の後に、
第2世代のスタンパを、前記第1の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって生成する工程と、
前記シリンダ形プラットフォーム上に、第1の外層とこの第1の外層上にあるネガ型フォトレジスト層とこのネガ型フォトレジスト層上にある第2の外層とから成る第2の微細構造マスタ型生地を、前記第1の外層が前記シリンダ形プラットフォームに隣接し、かつ前記第2の外層が前記シリンダ形プラットフォームからは離れているように配置する工程と、
レーザビームを前記第2の微細構造マスタ型生地の第2の外層を通して前記第2の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層内に照射し、その間、それと同時に前記シリンダ形プラットフォームをその軸の周りに回転させ、同じくそれと同時にレーザビームを前記第2の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層の少なくとも一部分にわたって軸方向にラスタ走査して、前記第2の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層内に微細構造体を結像させる工程と、が実行され、
第2世代のスタンパを生成する工程とレーザビームを前記第2の微細構造マスタ型生地の第2の外層を通して照射する工程は、時間的に少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項45】
同時に前記シリンダ形プラットフォームおよび/またはレーザビームを互いに相対的に軸方向に並進させる工程を更に含む、ことを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項46】
同時にレーザビームの振幅を連続的に変化させる工程を更に含む、ことを特徴とする請求項45に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項47】
前記微細構造マスタ型生地は、少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積を有することを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項48】
前記レーザビームを照射する工程は、前記微細構造マスタ型生地上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項47に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項49】
前記レーザビームを照射する工程は、少なくとも約百万個の微細構造体を形成するために前記微細構造マスタ型生地上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項48に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項50】
前記微細構造体は、光学的微細構造体および/または機械的微細構造体から成ることを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項51】
複数の第3世代の微細構造最終製品をスタンパから直接形成する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項42に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項52】
前記第1および第2の外層はフレキシブルであることを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項1】
微細構造マスタ型の生地を製造するための装置であって、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層で第1のフレキシブル・ウェブ上をコーティングするように構成された放射線感応性材料コーティング・ステーションと、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った前記放射線感応性材料の層に前記第1のフレキシブル・ウェブの反対側にて第2のフレキブル・ウェブでラミネート加工を施すように構成されたラミネート加工ステーションと、
を具備する、ことを特徴とする微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項2】
前記放射線感応性材料の層はネガ型フォトレジストの層であることを特徴とする請求項1に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項3】
前記第1および第2のフレキシブル・ウェブは同一であることを特徴とする請求項1に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項4】
前記ネガ型フォトレジストの層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記第1のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数にある放射線に対して透明である、ことを特徴とする請求項2に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項5】
前記第2のフレキシブル・ウェブは前記所定の周波数にある放射線に対して不透明であることを特徴とする請求項4に記載の微細構造マスタ型生地の製造装置。
【請求項6】
微細構造マスタ型の生地を製造するための方法であって、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った放射線感応性材料の層で第1のフレキシブル・ウェブ上をコーティングする工程と、
微細構造体の像をその中に結像させるのに適った前記放射線感応性材料の層に前記第1のフレキシブル・ウェブの反対側にて第2のフレキブル・ウェブでラミネート加工を施す工程と、
を含む、ことを特徴とする微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項7】
前記放射線感応性材料の層はネガ型フォトレジストの層であることを特徴とする請求項6に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項8】
前記第1および第2のフレキシブル・ウェブは同一であることを特徴とする請求項6に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項9】
前記ネガ型フォトレジストの層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記第1のフレキシブル・ウェブはその所定の周波数にある放射線に対して透明である、ことを特徴とする請求項7に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項10】
前記第2のフレキシブル・ウェブは前記所定の周波数にある放射線に対して不透明であることを特徴とする請求項9に記載の微細構造マスタ型生地の製造方法。
【請求項11】
微細構造体のマスタ型の生地であって、
狭い間隔を置いて離れた1対のフレキシブル・ウェブと、
狭い間隔を置いて離れた前記1対のフレキシブル・ウェブの間に挟み込まれており、微細構造体の像をその中に結像させるのに適った放射線感応層と、
を備える、ことを特徴とする微細構造マスタ型生地。
【請求項12】
前記放射線感応層はその中に微細構造体の潜像を含むことを特徴とする請求項11に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項13】
前記放射線感応層はネガ型フォトレジスト層であることを特徴とする請求項11に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項14】
前記1対のフレキシブル・ウェブは同一であることを特徴とする請求項13に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項15】
前記ネガ型フォトレジスト層は所定の周波数にある放射線に感応し、前記1対のフレキシブル・ウェブの一方はその所定の周波数にある放射線に対して透明である、ことを特徴とする請求項13に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項16】
前記1対のフレキシブル・ウェブの他方は前記所定の周波数にある放射線に対して不透明であることを特徴とする請求項15に記載の微細構造マスタ型生地。
【請求項17】
微細構造体を形成する微細加工方法において、
結像用プラットフォーム上において、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る微細構造マスタ型生地を結像処理して前記放射線感応層内に微細構造体を画定する工程と、
前記1対の外層の少なくとも1つを取り除く工程と、
を含む、ことを特徴とする微細加工方法。
【請求項18】
前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを備え、前記少なくとも1つの外層を取り除く工程は、前記放射線感応層から前記第2の外層を取り除く工程を含み、このとき当該方法は、
前記放射線感応層内に画定された微細構造体を現像する工程と、
前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって、第2世代のスタンパを生成する工程と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項19】
前記第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に押しつけることによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の微細加工方法。
【請求項20】
第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に対して転がすことによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の微細加工方法。
【請求項21】
微細構造体のスタンパ生地への接触は、前記放射線感応層および前記第1の外層が前記結像用プラットフォーム上に残っている間に行われる、ことを特徴とする請求項18に記載の微細加工方法。
【請求項22】
前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを備え、前記少なくとも1つの外層を取り除く工程は、
前記第1の外層を前記結像用プラットフォームから分離する工程と、
前記第1または第2の外層を前記放射線感応層から分離する工程と、を更に含み、
このとき当該方法は、
前記放射線感応層内に画定された微細構造体を現像する工程と、
前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって、第2世代のスタンパを生成する工程と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項23】
第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に押しつけることによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項22に記載の微細加工方法。
【請求項24】
第2世代のスタンパを生成する工程は、前記放射線感応層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に対して転がすことによって、第2世代のスタンパを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項22に記載の微細加工方法。
【請求項25】
前記微細構造マスタ型生地は第1の微細構造マスタ型生地であり、前記少なくとも1つの外層を取り除く工程の後に、
前記第1の微細構造マスタ型生地内に微細構造体を現像し、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって、第2世代のスタンパを生成する工程と、
前記結像用プラットフォーム上において、1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層から成る第2の微細構造マスタ型生地を結像処理してその放射線感応層内に第2の微細構造体を画定する工程と、が実行され、
第2の微細構造マスタ型生地を結像処理する工程および第2世代のスタンパを生成する工程は時間的に少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項26】
前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程の前に、前記結像用プラットフォーム上に1対の外層の間に挟み込まれた放射線感応層を配置する、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項27】
前記結像用プラットフォームはシリンダ形プラットフォームから成り、微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、前記シリンダ形プラットフォームをその軸の周りに回転させ、それと同時に放射線ビームを前記1対の外層の1つを通して前記放射線感応層の少なくとも一部分にわたってラスタ走査する工程を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項28】
前記シリンダ形プラットフォームおよび/または放射線ビームを互いに相対的に軸方向に並進させることを更に含む、ことを特徴とする請求項27に記載の微細加工方法。
【請求項29】
同時に放射線ビームの振幅を連続的に変化させることを更に含む、ことを特徴とする請求項28に記載の微細加工方法。
【請求項30】
前記放射線感応層は、少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積を有することを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項31】
前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、前記放射線感応層上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項32】
前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、少なくとも約百万個の微細構造体を結像させるために前記放射線感応層上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項33】
前記微細構造体は、光学的微細構造体および/または機械的微細構造体から成る、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項34】
前記放射線感応層内に画定された微細構造体を現像して微細構造マスタ型を提供する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項35】
前記1対の外層は、シリンダ形、楕円形または多角形の形状にある、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項36】
前記マスタ型から複数の第2世代のスタンパを直接形成する工程と、
スタンパから複数の第3世代の微細構造最終製品を直接形成する工程と、
を更に含む、ことを特徴とする請求項34に記載の微細加工方法。
【請求項37】
前記1対の外層は、前記結像用プラットフォームに隣接した第1の外層と前記結像用プラットフォームから離れている第2の外層とを備え、前記微細構造マスタ型生地を結像処理する工程は、
放射線ビームを前記第2の外層を通して放射線感応層内に照射してこの放射線感応層内に微細構造体を画定する工程を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項38】
前記放射線感応層は、この層の放射線ビームに照射された部分が現像後に残るネガ型フォトレジスト層である、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項39】
前記1対の外層はフレキシブルである、ことを特徴とする請求項17に記載の微細加工方法。
【請求項40】
微細構造マスタ型を製造する方法であって、
シリンダ形プラットフォーム上に、第1の外層とこの第1の外層上にあるネガ型フォトレジスト層とこのネガ型フォトレジスト層上にある第2の外層とを備える微細構造マスタ型生地を、前記第1の外層が前記シリンダ形プラットフォームに隣接し、かつ前記第2の外層が前記シリンダ形プラットフォームからは離れているように配置する工程と、
レーザビームを前記第2の外層を通して前記ネガ型フォトレジスト層内に照射し、その間、それと同時に前記シリンダ形プラットフォームをその軸の周りに回転させ、同じくそれと同時にレーザビームを前記ネガ型フォトレジスト層の少なくとも一部分にわたって軸方向にラスタ走査して、前記ネガ型フォトレジスト層内に微細構造体を結像させる工程と、
前記第1の外層を前記シリンダ形プラットフォームから分離する工程と、
前記第1の外層を前記ネガ型フォトレジストから分離する工程と、
前記ネガ型フォトレジスト層内に結像した微細構造体を現像する工程と、
を含む、ことを特徴とする微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項41】
第2世代のスタンパを、前記ネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって生成する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項42】
第2世代のスタンパを生成する工程は、
第2世代のスタンパを、前記ネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に押しつけることによって生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項41に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項43】
第2世代のスタンパを生成する工程は、
第2世代のスタンパを、前記ネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に対して転がすことによって生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項41に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項44】
前記微細構造マスタ型生地は第1の微細構造マスタ型生地であって、前記第1の外層を前記シリンダ形プラットフォームから分離する工程の後に、
第2世代のスタンパを、前記第1の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層内に現像された微細構造体から、それらの微細構造体をスタンパ生地に接触させることによって生成する工程と、
前記シリンダ形プラットフォーム上に、第1の外層とこの第1の外層上にあるネガ型フォトレジスト層とこのネガ型フォトレジスト層上にある第2の外層とから成る第2の微細構造マスタ型生地を、前記第1の外層が前記シリンダ形プラットフォームに隣接し、かつ前記第2の外層が前記シリンダ形プラットフォームからは離れているように配置する工程と、
レーザビームを前記第2の微細構造マスタ型生地の第2の外層を通して前記第2の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層内に照射し、その間、それと同時に前記シリンダ形プラットフォームをその軸の周りに回転させ、同じくそれと同時にレーザビームを前記第2の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層の少なくとも一部分にわたって軸方向にラスタ走査して、前記第2の微細構造マスタ型生地のネガ型フォトレジスト層内に微細構造体を結像させる工程と、が実行され、
第2世代のスタンパを生成する工程とレーザビームを前記第2の微細構造マスタ型生地の第2の外層を通して照射する工程は、時間的に少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項45】
同時に前記シリンダ形プラットフォームおよび/またはレーザビームを互いに相対的に軸方向に並進させる工程を更に含む、ことを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項46】
同時にレーザビームの振幅を連続的に変化させる工程を更に含む、ことを特徴とする請求項45に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項47】
前記微細構造マスタ型生地は、少なくとも約30.48cm(1フィート)四方の面積を有することを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項48】
前記レーザビームを照射する工程は、前記微細構造マスタ型生地上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項47に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項49】
前記レーザビームを照射する工程は、少なくとも約百万個の微細構造体を形成するために前記微細構造マスタ型生地上において少なくとも約1時間にわたって継続的に実行される、ことを特徴とする請求項48に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項50】
前記微細構造体は、光学的微細構造体および/または機械的微細構造体から成ることを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項51】
複数の第3世代の微細構造最終製品をスタンパから直接形成する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項42に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【請求項52】
前記第1および第2の外層はフレキシブルであることを特徴とする請求項40に記載の微細構造マスタ型の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2007−507364(P2007−507364A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526105(P2006−526105)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/027071
【国際公開番号】WO2005/036271
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506085354)ブライト・ヴュー・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/027071
【国際公開番号】WO2005/036271
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506085354)ブライト・ヴュー・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
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