説明

外観検査装置

光源58は、レンズ59によりライン状の平行光に変換され、ビーム・スプリッタ60に入射される。ビーム・スプリッタ60は、入射光の半分を反射して光ディスク65の表面のライン状領域に垂直に入射させ、残りの半分を透過させて光ディスク65の表面のライン状領域に斜めに入射させる。光ディスク65の表面に垂直に入射された光の反射光の光量は第1カメラ62で検出される。この入射光、反射光はともに光ディスク65の表面に対して垂直であるため、表面に大きな欠陥が生じても第1カメラ62の撮影において虚像が発生せず、正確な欠陥サイズの検知が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、光ディスクの表面または内部の欠陥を検査する外観検査装置に関する。
【背景技術】
近年、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクが一般に普及してきており、各メーカにとっては、こうした光ディスクの品質管理を適切かつ効率的に行うことが重要である。このような品質管理の一つとして、製造された光ディスクの外観の微細な欠陥について検査を行う外観検査がある。各メーカーは、基本的に全ての光ディスクについて、このような外観検査を行っている。
光ディスクの微細欠陥は、例えば、DVDでは、記録ピットの成形、スパッタリング、貼り合わせ等の様々な製造工程において発生しうる。また、こうした欠陥にも様々なものがあり、例えば、ディスク表面の情報読み取り面ではダストや接着剤の跳ね等があり、ディスク内部の反射面では、微細隆起、オイル成分、泡等の問題がある。
外観検査を実施するための外観検査装置は、高分解能CCD(Charge Coupled Device)カメラを利用したものが一般的となっている。第1図は、外観検査装置の原理を示すもので、参照符号40が検査対象の光ディスクである。光源41からの光がレンズ装置42によってライン状の光に変換され、ディスク40上の検査領域をライン状領域43を照射する。光ディスク40で反射された光がカメラレンズ44を介してラインCCD45によって受光される。ラインCCD45は、受光部が1列だけ配置されたCCDである。なお、以下の説明において、ラインCCDとしてカメラを使用する場合について述べる。ラインCCDおよびカメラの何れも、光ディスクの反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサとして機能するものである。
光ディスク40の一つのライン状領域43をラインCCD45によって撮影すると、光ディスク40を僅かに回転させ、同様の処理を行う。これらの処理を光ディスク40の1回転分について繰り返すことによって、光ディスク全体の撮影を行い、全体の外観検査を実施することができる。欠陥のある部分の光の反射率は、正常な部分の反射率より低い又は、高いため、撮影で暗く又は、明るく映った部分に欠陥が生じていることが分かる。
この外観検査装置は、次世代光ディスクである、Blu−ray Disc(以下、BDと適宜略称する)規格の光ディスクの外観検査に対しても適用することが可能である。ここで、第2図を参照して、かかる光ディスクの外観検査を行う従来の外観検査装置の構成について説明する。
第2図に示した外観検査装置は、光源101、レンズ102、105、ミラー103、104、108、ビーム・スプリッタ106、アパーチャ109、第1カメラ107、第2カメラ110を備える。
光源101は、例えば、ハロゲンランプや赤色LED(Light Emitting Diode)等から構成される。光源101からの光は、レンズ102を通過することによってライン状のほぼ平行な光に集光され、ミラー103を介してBD規格に対応した光ディスク100の半径方向の1本のライン状領域に照射される。
光ディスク100の反射光は、ミラー104で方向を変え、レンズ105に入射する。ここで、光ディスク100への光の入射角および反射角はそれぞれ、例えば、30°〜45°である。また、ミラーは、一般的には、光線の光軸を折り曲げる働きをする平面鏡である(以下、ミラーについて同じ)。レンズ105を通過した光はビーム・スプリッタ106に進み、そこで、第1カメラ107に向かう光と、ミラー108に向かう光に分光される。第1カメラ107に向かったライン状の光は、第1カメラ107のラインCCDによって受光され、それぞれ光量が検出される。
一方、ミラー108に進んだライン状の光は、アパーチャ109を介して第2カメラ110で受光される。第1カメラ107および第2カメラ110では、欠陥のある部分が相対的に暗く又は、明るく写る。欠陥のある部分からの反射光は、吸収、又は、乱反射等によって光量が減少するためである。第1カメラ107および第2カメラ110によって撮影されたイメージは、ディジタル処理され、各ピクセル毎の光量データとして把握される。コンピュータは、これらのデータに基づいて、欠陥部分すなわち、暗い又は、明るい部分のサイズや形状を判定する。
ここで、従来の外観検査装置の各部にどの程度の照度の光が到達しているかを、光源101からの光を基準に考えてみる。光ディスク100の反射率の影響も受けるが、以降、ディスクの反射率を100%と仮定して照度を説明する。光源101、レンズ102を介した光はレンズ105に到達するが、そこまでの光は、光源101の光のほぼ100%の照度である。その光は、ビーム・スプリッタ106でそれぞれ1/2に分光されるので、第1カメラ107には光源101の光のほぼ50%の照度の光が入射する。ミラー108に進んだ光は、アパーチャ109で半分が遮断されるため、第2カメラ110に、光源101の光のほぼ25%の照度で入射する。
光ディスク100の1ラインについて撮影が終了したら、ステッピングモータ等によって、光ディスク100を僅かに回転させ、次の1ラインの撮影を行う。第3図には、ライン状の光によって照射された光ディスク100上のライン状領域が示されており、光ディスク100の回転とともにライン状領域が順次回転方向に移動する。ライン状の光は、基本的に、光ディスク100の検査領域(データエリア)120に照射される。このように、光ディスク100が1回転するまで照射と撮影が繰り返される。この結果、第1カメラ107および第2カメラ110が検出した光量に基づいて生成される画像は、それぞれ光ディスク100の全体を表すものとなる。
アパーチャ109と第2カメラ110は、主として光ディスク100の凹凸を検出する機能を有する。一方、第1カメラ107は、光ディスク表面や反射面に含まれるダスト等の検出を行う。ここで、アパーチャ109と第2カメラ110によって凹凸を検知する方法について、第4図および第5図を参照して説明する。
第4図Aないし第5図Bは、凹凸126のある光ディスク125の表面を1ラインずつラインCCD129によって読み取る一連の動作を表している。また、第5図Cは、上記一連の読み取り動作が完了した後に得られた画像であり、各ラインは、第4図Aないし第5図Bに示されたそれぞれのラインに対応している。
光ディスクの凹凸は、例えば、貼り合わせの際に泡を挟み込むことによって生じたり、ゴミ等の混入に起因する隆起によって発生する。第4図Aでは、光ディスク125のスキャンが凹凸126に差し掛かかる直前の状態を示している。反射光128は、光ディスク125の平坦部に反射してラインCCD129に入射する。また、アパーチャ127は、入射光のほぼ半分を遮っている。
次に、スキャンが進行し、入射光が凹凸126の端部に差し掛かった状態となり、この状態が第4図Bに示されている。ここで反射光128は、凹凸126の傾斜のために、第4図Bに示すように、第4図Aのような通常の反射角とは異なる角度で反射し、ラインCCD129に入射する。
その後、スキャンは第4図Cに示すような状態になる。ここでは、ちょうど凹凸126の中央部に入射光が照射されており、その部分がほぼ平坦であるため、光ディスクからの反射光とほぼ平行な反射光となり、ラインCCD129に入射する。
次に、入射光が凹凸126の他方の端部に差し掛かった状態となり、この状態が第5図Aに示されている。ここで反射光128は、凹凸126の傾斜のために、第5図Aに示すように、平坦な光ディスクにおける反射角より大きな反射角で反射する。その結果アパーチャ127に遮られて、反射光128は、ラインCCD129に入射しない。このように、反射光128がラインCCD129に入射しない状況は、第4図Cに示す状態の後、第5図Bに示す状態の直前まで続く。
第5図Bに示す状態では、入射光が凹凸126を通過し、通常の反射角で反射することによって、反射光128がラインCCD129に入射されている。
第4図Aから第5図Bに示す一連のスキャン動作が終わると、ラインCCD129に読み取られた光ディスク125の画像は、概略、第5図Cに示すようになる。すなわち、凹凸126の部分は、前半にスキャンされた部分は明るくなり、後半にスキャンされた部分は、アパーチャ127のために暗くなる。このような画像により、光ディスク表面の凹凸の有無を容易に判断することが可能となる。
次に、従来の外観検査装置の第1カメラ107(ラインCCDと同様にイメージセンサとして機能する)によって、ダスト等の欠陥を撮影する態様について説明する。第6図は、従来の外観検査装置で1層構造のDVDを撮影する例を示す略線図である。1層構造のDVDでは、厚さが0.6mmの基板を2枚貼り合わせて1.2mmの厚みを有する構造とされ、情報読み取り面131と反射面130の間隔が0.6mmとなる。情報読み取り面131は光ディスクの表面であり、反射面130はピット面である。2層構造のDVD(例えば、DVD−9と称される片側から読み取られるディスク)では、2枚の基板がそれぞれ反射層および光半透過層を有し、貼り合わされる2枚の基板の間には厚さ40〜70μmの中間層が配置される。
第6図は、1層構造のDVDについて示すものであるが、2層構造のDVDについても同様に検査がされる。2層構造の場合では、第1層と第2層のピットは、焦点距離を調整することで読み分けることができる。従って、以降では、1層構造のDVDについての態様を例示する。
情報読み取り面131から入射したライン状の光は、反射面130で反射し、再び情報読み取り面131を通過してラインCCD132で検出される。ここで、反射面130に100μmの欠陥133が存在する場合を考えると、その欠陥部分からの反射光の光量は小さく、従って、ラインCCD132で検出される光量も小さくなる。その結果、ラインCCD132で撮影された画像イメージでは、その欠陥133に対応する部分が、暗い実像134として現れる。また、図中、ラインCCD132として表されている面は、反射光の投影されるラインCCD132上の面を表している。
第7図は、従来の外観検査装置でBD規格に対応する光ディスクを検査した場合の一態様を示す略線図である。BD規格では、透明保護層(以下、カバー層と適宜称する)の厚さが約0.1mmであり、ディスク全体の厚さが1.2mmであり、情報読み取り面141と反射面140の間隔が約0.1mmとなる。ここで、反射面140に100μmの欠陥143が存在する場合を考えると、その欠陥143からの反射光の光量は小さく、従って、ラインCCD142で検出される光量も小さくなる。その結果、撮影される画像イメージでは、その欠陥143に対応する部分が、暗い実像144として現れる。
第8図は、従来の外観検査装置でBD規格に対応する光ディスクを検査した場合の一態様を示す略線図である。前述の通り、カバー層の厚さが約0.1mmである。ここで、反射面140に50μmの欠陥143が発生していると仮定すると、その欠陥部分からの反射光の光量は小さく、従って、ラインCCDで検出される光量も小さくなる。その結果、撮影された画像イメージでは、その欠陥143に対応する部分が、暗い実像144として現れる。
また、特開平9−257720号公報には、前述した第1図に示すのと同様に、光ディスクに斜め方向からライン状の光を照射して、その光が光ディスクに反射する反射光と、光ディスクを透過する透過光をラインセンサによって検出し、光ディスクの欠陥を検査する方法・装置が記載されている。
しかしながら、斜めの入射光を利用する外観検査装置においては、カバー層が約0.1mmと薄く、情報読み取り面と反射面の間隔が小さい、BD規格に対応する光ディスクの場合では、比較的大きなサイズの欠陥が情報読み取り面に発生した場合に、その欠陥を正確に把握することができないという問題がある。
この問題点について、第9図ないし第12図を参照して説明する。第9図は、従来の外観検査装置で1層構造のDVDを検査した場合の一態様を示す略線図である。前述の通り、DVDでは、ピットが形成された反射面130と情報読み取り面131との距離が0.6mmである。ここで、100μmの大きさの欠陥133が情報読み取り面131に発生していると仮定する。そうすると、その欠陥133は、情報読み取り面131で反射してラインCCD132に実像134が投影される。さらに、欠陥133による影136が反射面130に生じ、それが反射してラインCCD132に虚像135が投影される。
このように、欠陥133が情報読み取り面131に存在する場合は、ラインCCD132で実像134と虚像135の2つの像が検出される。これは、光ディスクに対し斜めの入射角で光を照射しているためである。一方、第6図に示すように、欠陥133が反射面130に存在する場合は、ラインCCD132では1つの像、すなわち実像134のみが検出される。従って、欠陥に対応する像がいくつ検出されたかによって、その欠陥が情報読み取り面131に存在するか、反射面130に存在するかを判定することができる。また、実像134と虚像135が比較的大きな間隔をもってラインCCD132上に投影されるのは、反射面130と情報読み取り面131との距離が0.6mmと比較的大きいことに起因している。
情報読み取り面131と反射面130の間に欠陥が生じる場合もあるが、その場合には、ラインCCD132上の実像134と虚像135の間隔が小さくなる。従って、この実像134と虚像135の間隔を計測することによって、その欠陥が反射面130からどのくらいの位置にあるのかを判定することができる。
第10図は、従来の外観検査装置でBD規格に対応する光ディスクを検査した場合の別の態様を示す略線図である。前述の通り、この場合ではカバー層の厚さが約0.1mmである。ここで、50μmの欠陥143が情報読み取り面141に発生していると仮定する。そうすると、入射光は情報読み取り面141で反射してラインCCD142上に実像144が形成される。さらに、欠陥143による影146が反射面140に生じ、それが反射してラインCCD142に虚像145が投影される。
ここでは、第9図に示す態様とは異なり、実像144と虚像145は比較的近接した位置に現れる。これは、反射面140と情報読み取り面141との距離がDVDと異なり0.1mmと小さいためである。
次に、第11図では、従来の外観検査装置でBD規格に対応する光ディスクを検査した場合のさらに別の態様を表す略線図が示されている。前述の通り、カバー層の厚さは約0.1mmである。ここでは、100μmの欠陥143が情報読み取り面141に存在している。そうすると、その欠陥143は、情報読み取り面141で反射してラインCCD142に実像144が投影される。さらに、欠陥143による影146が反射面140に生じ、それが反射してラインCCD142に虚像145が投影される。
この場合、ラインCCD142上に形成された実像144と虚像145は互いに接して一つの像を形成する。これは、光源が斜めに入射し、カバー層の厚さが約0.1mmと薄く、かつ欠陥143のサイズが大きいために生じる現象である。
次に、第12図を参照して、光ディスク140の検査において、様々なサイズの欠陥がラインCCD上の像としてどのように把握されるかについて説明する。
第12図Aは、情報読み取り面の欠陥143が50μmである場合に、ラインCCD上の像として、欠陥143に対応する50μmの実像144と、欠陥143に対応する50μmの虚像145が形成され、この2つの像の間に所定の間隔が存在する状態を表している。これは、前述した第10図の場合と同様である。実像144と虚像145の間にある空白のために、その後の処理では、これらの像を別個に、かつそれぞれの像を、欠陥のサイズと同じサイズとして把握することが可能である。
第12図Bは、情報読み取り面の欠陥143が100μmである場合に、ラインCCD上の像として、欠陥143に対応する100μmの実像144と、欠陥143に対応する100μmの虚像145が形成され、この2つの像が互いに接している状態を表している。これは、前述した第11図の場合と同様である。実像144と虚像145が接しているために、これらの2つの像は連結され、200μmの大きさの1つの像として把握される。
第12図Cは、情報読み取り面の欠陥143が150μmである場合に、ラインCCD上の像として、欠陥143に対応する150μmの実像144と、欠陥143に対応する150μmの虚像145が形成され、この2つの像が互いに重複している状態を表している。実像144と虚像145の重複部分は50μmである。この重複のために、これらの2つの像は、全体で1つの像として把握され、そのサイズは250μmである。
第12図B、第12図Cから分かるように、この例では、100μm以上のサイズの欠陥が情報読み取り面に発生した場合、虚像の存在によって、ラインCCDには、その欠陥のサイズ以上の像が形成され、1つの欠陥と認識される。従って、例えば、欠陥の許容サイズが150μmまでである場合、実際の欠陥のサイズが100μmから150μmの間であっても、従来の外観検査装置では、実像と虚像とを一体化して実際より大きく判断するため、最終的には不良品と判断されてしまう。このような誤った判断は、適切な品質管理を阻害し、最終的には製造コストを引き上げる結果にもなる。
従って、この発明の目的は、BD規格に対応する光ディスク等の、薄い透明保護層を有する光ディスクの情報読み取り面に、比較的大きな欠陥が発生している場合であっても、正確にその欠陥のサイズを把握することができる外観検査装置を提供することにある。
【発明の開示】
この発明は、ライン状平行光を受光して第1のライン状平行光と第2のライン状平行光に分光し、第1のライン状平行光を検査対象の表面のライン状領域に対し垂直に照射するよう配置される少なくとも1つのビーム・スプリッタと、
第1のライン状平行光がライン状領域で反射する第1の反射光を受光する第1のイメージセンサと、
第2のライン状平行光を検査対象の表面のライン状領域に斜めに照射するよう配置される少なくとも1つのミラーと、
第2のライン状平行光がライン状領域で反射する第2の反射光を受光する第2のイメージセンサとを有することを特徴とする外観検査装置である。
この発明によれば、従来、光ディスクの表面に対して斜めに入射されていた光に加えて、光ディスクの表面に対して垂直に入射される光が提供され、さらにそれぞれの反射光の光量がイメージセンサによって検出されるため、BD規格に対応する光ディスクのような薄いカバー層を有する光ディスクの情報読み取り面に、比較的大きな欠陥が発生している場合であっても、正確にその欠陥を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、外観検査の原理の説明に使用する斜視図である。
第2図は、従来の外観検査装置の構成を示す略線図である。
第3図は、光ディスクと照射される光の関係を示す略線図である。
第4図は、アパーチャを使用して凹凸の検出をするための一連の動作を示す略線図である。
第5図は、アパーチャを使用して凹凸の検出をするための一連の動作を示す略線図である。
第6図は、従来の外観検査装置によって欠陥を検査する場合の一態様を示す略線図である。
第7図は、従来の外観検査装置によって欠陥を検査する場合の別の態様を示す略線図である。
第8図は、従来の外観検査装置によって欠陥を検査する場合のさらに別の態様を示す略線図である。
第9図は、従来の外観検査装置によって欠陥を検査する場合のさらに別の態様を示す略線図である。
第10図は、従来の外観検査装置によって欠陥を検査する場合のさらに別の態様を示す略線図である。
第11図は、従来の外観検査装置によって欠陥を検査する場合のさらに別の態様を示す略線図である。
第12図は、欠陥の大きさによってCCD上の像がどのように形成されるかを示した略線図である。
第13図は、この発明の第1の実施形態に係る外観検査装置の構成を示す略線図である。
第14図は、この発明の第1の実施形態に係る外観検査装置によって欠陥を検査する場合の一態様を示す略線図である。
第15図は、この発明の第1の実施形態に係る外観検査装置によって欠陥を検査する場合の別の態様を示す略線図である。
第16図は、この発明の第2の実施形態に係る外観検査装置の構成を示す略線図である。
【符号の説明】
1,51 外観検査装置
2,58 光源
3,7,12,54,59,61 レンズ
8,53 アパーチャ
9,52 第2カメラ
13,62 第1カメラ
5,6,55,56,57 ミラー
4,10,60 ビーム・スプリッタ
【発明を実施するための最良の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
この発明は、従来、検査対象の表面に斜めに入射する光に加え、垂直に入射する光も利用して欠陥を検出するものである。また、斜めに入射する光と垂直に入射する光を提供するために、光源からの光を最初にビーム・スプリッタによって分光する。これによって、2系統の光路を作り出し、従来の外観検査装置の問題点を解消している。
最初に、この発明の第一の実施形態の外観検査装置1の構成について、第13図を参照して説明する。外観検査装置1は、光源2、レンズ3、7、12、ビーム・スプリッタ4、10、ミラー5、6、アパーチャ8、第1カメラ13、第2カメラ9、およびディスク駆動装置16を備えている。ディスク駆動装置は、下面に配置される場合も有る。
ここで、ビーム・スプリッタ4から、ビーム・スプリッタ10、BD規格に対応する光ディスク(以下、同様)15を順に経由して進む光は、第1のライン状平行光に対応し、この光の反射光として光ディスク15から、ビーム・スプリッタ10、レンズ12、第1カメラ13を順に経由して進む光は、第1の反射光に対応し、ビーム・スプリッタ4から、ミラー5、光ディスク15を順に経由して進む光は、第2のライン状平行光に対応し、この光の反射光として光ディスク15、ミラー6、レンズ7、アパーチャ8、第2カメラ9を順に経由して進む光は、第2の反射光に対応する。
また、ビーム・スプリッタ4は第1のビーム・スプリッタに対応し、ビーム・スプリッタ10は第2のビーム・スプリッタに対応し、ミラー5、6がミラーに対応する。
光源2は、例えば、ハロゲンランプや赤色LED等の一般的な光源である。光源2から出た光は、一般に拡散するが、これをレンズ3でライン状の平行光とし、45°に傾けられたビーム・スプリッタ4に入射する。光源2からの光を平行光とする主な理由は、光を拡散させずに大きな照度を確保するためである。ここで、平行光は、ほぼ平行であれば良く、厳密な意味での平行光をさすものではない。
ビーム・スプリッタ4に入射した光の50%は、反射してビーム・スプリッタ10に進み、残りの50%は、ミラー5に進む。ビーム・スプリッタ10に入射した光のうち半分は、反射して光ディスク15に対して垂直に入射し、残りは、例えば、乱反射防止のための光吸収暗幕シート11に入射し、吸収される。光ディスク15から反射した反射光は、今度はビーム・スプリッタ10を通過し、さらにレンズ12を通過して第1カメラ13に入り結像する。光ディスク15に照射される光の照度は、ビーム・スプリッタ4とビーム・スプリッタ10をそれぞれ1回経由するために、光源2の照度の25%となる。一方、第1カメラ13に入る光の照度は、ビーム・スプリッタ4を1回、ビーム・スプリッタ10を2回経由するために、光源2の照度の12.5%となる。
また、レンズ12と、第1カメラ13に付属するレンズは、対となってテレセントリックレンズを構成する。レンズには、撮像できる範囲を角度で表した「画角」というものがあり、画角は、主光線が主軸となす角度を全角で表した値ということになる。従来のレンズ製品の場合、ある所定の画角を持っているため、遠近の位置関係にある、異なる物空間距離にある被写体を撮像した場合に、レンズに近い距離に位置する被写体の方が、レンズに遠い距離に位置する被写体よりも大きく映るといった現象がおこる。このような現象は、正確な計測を行おうとする場合には好ましいものではない。
テレセントリックレンズが従来のレンズと大きく異なるのは、この画角が0°に限りなく近いことである。このようなレンズによって、被写体の遠近にかかわらず、その寸法や位置を正確に計測することができる。
ビーム・スプリッタ4を通過した光源の照度の50%の光は、ミラー5で反射して、光ディスク15に対して斜め方向から入射し、光ディスク15で反射した光はミラー6に入射する。ここでの入射角は、従来の外観検査装置と同様、30°〜45°程度とすることができる。ミラー6に入射した光は、レンズ7を通過後、その半分がアパーチャ8で遮られ、第2カメラ9に入り結像する。従って、第2カメラ9には、光源2の照度の25%の光が入射している。また、ここでも、レンズ7と第2カメラ9に付属のレンズは、対となってテレセントリックレンズを構成する。
光ディスク15の1ラインについて撮影が終了したら、ステッピングモータ等から構成されるディスク駆動装置16によって、光ディスク15を僅かに回転させ、隣の1ラインにライン状の平行光が照射されるようにして撮影を行う。こうして、光ディスク15が1回転するまで照射と撮影が繰り返される。なお、上記光ディスク15の回転は、記録・再生時と同じ回転軸で行われる。
上述した、この発明の構成により、第1カメラ13は、検査対象である光ディスク15を垂直方向から撮影することができ、これによって、撮影された欠陥の像は常に実像のみで構成され、正しい欠陥のサイズを得ることができる。一方、第2カメラ9には、光ディスク15に対して斜めに入射された光の反射光が提供されるため、従来の外観検査装置と同様に、主として光ディスク表面の凹凸の検出に有効な撮影を行うことができる。
ここで、光ディスク15を垂直方向から撮影することにより、実像のみが得られ、虚像が生じないようになる点を、第14図および第15図を参照して説明する。第14図には、光ディスク15の情報読み取り面21に50μmの大きさの欠陥が存在する場合の例が示されている。光源2からの光は、ビーム・スプリッタ25で反射して、50%が光ディスク15に垂直に入射する。入射光は、情報読み取り面21と反射面20でそれぞれ反射して、ビーム・スプリッタ25を通過してラインCCD22に入射し、その結果、欠陥23に対応する実像24がラインCCD22上に投影される。
反射面20における欠陥23の影26は結局、情報読み取り表面21の反射による実像24と同じエリアに投影され、虚像が形成されることはない。このことは、第10図で虚像145が形成されていたのとは対照的である。
第15図には、光ディスク15の情報読み取り面21に100μmの大きさの欠陥が存在する場合の例が示されている。光源2からの光は、ビーム・スプリッタ25で反射して、50%が光ディスク15に垂直に入射する。入射光は、情報読み取り面21と反射面20でそれぞれ反射して、ビーム・スプリッタ25を通過してラインCCD22に入射し、その結果、欠陥23に対応する実像24がラインCCD22上に投影される。
この場合も、第14図の場合と同様に、虚像が形成されることはない。このことは、第11図で虚像145が形成されていたのとは対照的である。さらに、第11図の場合は、この虚像145によって欠陥のサイズが誤って認識されていたが、この発明による上記実施形態では、そのような誤認のおそれはない。
次に、この発明の第2の実施形態の構成について、第16図を参照して説明する。第2の実施形態は、第1カメラへの入射光の照度を高くしてS/N比(Signal−to−Noise Ratio)を改善し、欠陥の検出能力を高めると共に、照度が高いために第1カメラの露光時間を短くした結果、検査時間を短くしたものである。
第2の実施形態に係る外観検査装置51は、光源58、レンズ54、59、61、ビーム・スプリッタ60、ミラー55、56、57、アパーチャ53、第1カメラ62、第2カメラ52、およびディスク駆動装置66を備えている。
ここで、ビーム・スプリッタ60から光ディスク65に進む光は、第1のライン状平行光に対応し、この光の反射光として光ディスク65から、ビーム・スプリッタ60、レンズ61、第1カメラ62を順に経由して進む光は、第1の反射光に対応し、ビーム・スプリッタ60から、ミラー57、ミラー56、光ディスク65を順に経由して進む光は、第2のライン状平行光に対応し、この光の反射光として光ディスク65、ミラー55、レンズ54、アパーチャ53、第2カメラ52を順に経由して進む光は、第2の反射光に対応する。また、ミラー57、56およびミラー55がミラーに対応する。
光源58から、レンズ59を介してビーム・スプリッタ60に入射した光の50%は、反射して光ディスク65に垂直に入射し、残りの50%は、ビーム・スプリッタ60を通過してミラー57に進む。
ビーム・スプリッタ60からの光は光ディスク65で垂直に反射し、その反射光は、今度はビーム・スプリッタ60を通過し、さらにレンズ61を通過して第1カメラ62に入り結像する。第1カメラ62に入射する光の照度は、ビーム・スプリッタ60を2回経由しているために、光源58の照度の25%となり、第1の実施形態における12.5%の2倍となっている。
また、レンズ61と、第1カメラ62に付属するレンズは、対となってテレセントリックレンズを構成する。
ビーム・スプリッタ60を通過してミラー57に進んだ光源58の照度50%の光は、ミラー57、およびミラー56で反射して、光ディスク65に対して斜め方向から入射し、光ディスク15で反射した光はミラー55に入射する。ここで、光ディスク65への入射角は、従来の外観検査装置と同様、30°〜45°程度とすることができる。ミラー55に入射した光は、レンズ54を通過後、その半分がアパーチャ53で遮られ、第2カメラ52に入り結像する。ここでも、レンズ54と第2カメラ52に付属のレンズは、対となってテレセントリックレンズを構成する。
この構成では、第1カメラ62に入射する照度を第1の実施形態より大きくすることができたが、従来の外観検査装置の第1カメラ107には光源101の照度の50%の光が提供されている。しかしながら、上記50%の光は、欠陥の撮影という観点からは十分余裕のあるレベルであり、第2の実施形態のように光源の25%の光が提供されていれば十分であると考えられる。さらに、第2の実施形態では、使用するビーム・スプリッタは1つであり、光吸収暗幕シートは不要である。
光ディスク65の1つのライン状領域について撮影が終了したら、ステッピングモータ等から構成されるディスク駆動装置66によって、光ディスク65を僅かに回転させ、隣のライン状領域にライン状の平行光が照射されるようにして撮影を行う。こうして、光ディスク65が1回転するまで照射と撮影が繰り返される。
この発明の第1の実施形態および第2の実施形態の外観検査装置ともに、光ディスク15、65の表面に垂直に光を照射し、その反射光を撮影しようとするものであるため、光ディスク15、65表面の照射ラインと、第1カメラ13、62を結ぶ線上には、必要なレンズ12、61、およびビーム・スプリッタ10、60以外を配置することは基本的にできない。光源2、58や第2カメラ9、52等は、そのような制限のなかで配置される。
また、ビーム・スプリッタ60は、様々な反射/透過比(R/T比)のものがあり、例えば、第1カメラ62および第2カメラ52の能力に応じてこれを取り替えることによって、第1カメラ62および第2カメラ52への光量の分配を調整することができる。
なお、この例では、装置スペース削減の観点からミラー56およびミラー57を用いているが、部品点数を減らすために、この部分を1枚のミラーで構成することもできる。
また、この発明の実施形態に関しては、BD規格に対応する光ディスクの外観検査を実施する外観検査装置について説明してきたが、従来通りCDやDVDの検査に用いることもでき、さらに他の光ディスクについて用いることも可能である。また、光ディスクのような円形のもののみならず、様々な形状の外観検査を行うことが可能である。
例えば、テープ状の記録媒体の外観検査にこの発明の外観検査装置を適用することもでき、その場合には、ディスク駆動装置16、66の代わりに、記録媒体を巻き取る巻き取りローラや、挟んで送り出す送り出しローラなどの送出手段を配置する必要がある。
さらに、この発明の実施形態に関しては、光ディスクの撮像をラインCCDを用いて行っているが、他のラインセンサ(例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型撮像素子、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等)で実現することもできる。また、この発明では、ライン状の入射光に対する反射光を、その光の形態に合わせてラインCCDで撮影しているが、入射光の形態や撮影イメージの処理方法に関して整合性を保つことができれば二次元センサを利用することも可能である。
【図1】

【図2】

【図3】



【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状平行光を受光して第1のライン状平行光と第2のライン状平行光に分光し、前記第1のライン状平行光を検査対象の表面のライン状領域に対し垂直に照射するよう配置される少なくとも1つのビーム・スプリッタと、
前記第1のライン状平行光が前記ライン状領域で反射する第1の反射光を受光する第1のイメージセンサと、
前記第2のライン状平行光を前記検査対象の表面のライン状領域に斜めに照射するよう配置される少なくとも1つのミラーと、
前記第2のライン状平行光が前記ライン状領域で反射する第2の反射光を受光する第2のイメージセンサとを有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
請求の範囲1に記載の外観検査装置において、
前記ビーム・スプリッタに受光される前記ライン状平行光は、光源からの光を受光する第1のレンズによって生成されることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求の範囲1に記載の外観検査装置において、
さらに、前記第1のイメージセンサが前記第1の反射光を受光する前に、前記第1の反射光を受光する第2のレンズを有し、
前記第1のイメージセンサは第3のレンズを含み、
前記第2のレンズと前記第3のレンズがテレセントリックレンズを構成することを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
請求の範囲1に記載の外観検査装置において、
さらに、前記第2のイメージセンサが前記第2の反射光を受光する前に、前記第2の反射光を受光する第4のレンズを有し、
前記第2のイメージセンサは第5のレンズを含み、
前記第4のレンズと前記第5のレンズがテレセントリックレンズを構成することを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
請求の範囲4に記載の外観検査装置において、
さらに、前記第2のイメージセンサが前記第2の反射光を受光する前に、前記第2の反射光の一部を遮断するアパーチャを有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
請求の範囲1に記載の外観検査装置において、
前記ビーム・スプリッタが1つであり、
前記ビーム・スプリッタで反射した光が前記第1のライン状平行光であり、前記ビーム・スプリッタを透過した光が前記第2のライン状平行光であることを特徴とする外観検査装置。
【請求項7】
請求の範囲1に記載の外観検査装置において、
前記ビーム・スプリッタが、第1のビーム・スプリッタおよび第2のビーム・スプリッタの2つであり、
前記第1のビーム・スプリッタで反射した光が第2のビーム・スプリッタで受光され、前記第1のビーム・スプリッタを透過した光が前記第2のライン状平行光であり、
前記第2のビーム・スプリッタで反射した光が前記第1のライン状平行光であることを特徴とする外観検査装置。
【請求項8】
請求の範囲1に記載の外観検査装置において、
前記検査対象が光ディスクであり、
前記第1のライン状平行光と前記第2のライン状平行光が、前記光ディスクの半径方向の1つの前記ライン状領域に照射され、
前記第1のイメージセンサおよび前記第2のイメージセンサが、それぞれラインセンサで構成されることを特徴とする外観検査装置。
【請求項9】
請求の範囲8に記載の外観検査装置において、
さらに、前記光ディスクを回転させるディスク駆動手段を有し、
前記第1のイメージセンサが、受光した前記第1の反射光を撮影し、前記第2のイメージセンサが、受光した前記第2の反射光を撮影した後に、前記ディスク駆動手段が、前記光ディスクの隣のライン状領域に前記第1のライン状平行光と前記第2のライン状平行光が照射されるよう前記光ディスクを回転させることを特徴とする外観検査装置。
【請求項10】
請求の範囲1に記載の外観検査装置において、
前記検査対象がテープ状の記録媒体であり、
前記第1のライン状平行光と前記第2のライン状平行光が、前記記録媒体の長手方向に垂直な1つのライン状領域に照射され、
前記第1のイメージセンサおよび前記第2のイメージセンサが、それぞれラインセンサで構成されることを特徴とする外観検査装置。
【請求項11】
請求の範囲10に記載の外観検査装置において、
さらに、前記記録媒体を送出する送出手段を有し、
前記第1のイメージセンサが、受光した前記第1の反射光を撮影し、前記第2のイメージセンサが、受光した前記第2の反射光を撮影した後に、前記送出手段が、前記記録媒体の隣のライン状領域に前記第1のライン状平行光と前記第2のライン状平行光が照射されるよう前記記録媒体を移動させることを特徴とする外観検査装置。

【国際公開番号】WO2005/040775
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515028(P2005−515028)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015960
【国際出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(594064529)株式会社ソニー・ディスクアンドデジタルソリューションズ (88)
【Fターム(参考)】