説明

多作用基リガンドで安定化した水溶性ナノ粒子及びその製造方法

水溶性ナノ粒子を開示する。前記水溶性ナノ粒子は、付着領域、交差連結領域及び活性成分結合領域を含む多作用基リガンドにそれぞれ取り囲まれている。前記水溶性ナノ粒子において、前記多作用基リガンドの交差連結領域は、近接した他の多作用基リガンドの交差連結領域と交差連結されている。また、本発明は、(1)水不溶性ナノ粒子を有機溶媒で合成する段階と、(2)前記水不溶性ナノ粒子を第1溶媒に溶解させ、水溶性多作用基リガンドを第2溶媒に溶解させる段階と、(3)前記段階(2)による2つの溶液を混合して水不溶性ナノ粒子の表面を多作用基リガンドで置換させ、水溶液に溶解させて分離する段階、及び(4)置換された多作用基リガンドをお互い交差連結させる段階を含む、水溶性ナノ粒子の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性ナノ粒子に係り、より詳しくは、ナノ粒子が、付着領域(L)、交差連結領域(LII)及び活性成分結合領域(LIII)を含む多作用基リガンド(L−LII−LIII)に取り囲まれており、前記多作用基リガンドの交差連結領域は近接した他の多作用基リガンドの交差連結領域と交差連結されていることを特徴とする、水溶性ナノ粒子に関する。
【0002】
また、本発明は、(1)水不溶性ナノ粒子を有機溶媒で合成する段階、(2)前記水不溶性ナノ粒子を第1溶媒に溶解させ、水溶性多作用基リガンドを第2溶媒に溶解させる段階、(3)前記段階(2)による2つの溶液を混合して水不溶性ナノ粒子の表面を多作用基リガンドで置換させ、水溶液に溶解させて分離する段階、及び(4)置換された多作用基リガンドをお互い交差連結させる段階を含む、水溶性ナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ技術は、物質を原子、分子の水準で調節及び制御する技術であって、新物質、新素子の創出に適し、その応用分野が電子、材料、通信、機械、医薬、農業、エネルギー、環境など非常に様々である。
【0004】
現在、ナノ技術は、多様に発展しており、大きく3つの分野に分類されている。一つ目は、ナノ素材を用いて極微細なサイズの新しい物質と材料を合成する技術に関する。二つ目は、ナノ素子であるが、ナノサイズの材料を組み合わせ又は配列し、一定の機能を発揮する装置を製造する技術に関する。三つ目は、ナノバイオと呼ばれるナノ技術を生命工学に応用する技術に関する。
【0005】
特に、ナノバイオ分野において、ナノ粒子は、癌細胞特異的殺傷、免疫反応のブースティング(boosting)、細胞融合、遺伝子又は薬物伝達、診断などに用いられている。ナノ粒子が前述の用途に用いられるためには、相応する活性成分と付着することが可能な部分を備えなければならないうえ、生体内、すなわち水溶性環境で安定的に運搬及び分散されなければならない。このような条件を満足させるために、現在まで様々な技術が開発されてきた。
【0006】
米国特許第6,274,121号は、酸化鉄などの金属を含んだ常磁性ナノ粒子に関するもので、前記ナノ粒子の表面に組織特異的な結合物質、診断又は薬学的に活性な物質とカップリング(coupling)できる結合部位を含む無機質が付着したナノ粒子を開示している。
【0007】
米国特許第6,638,494号は、酸化鉄などの金属を含んだ常磁性ナノ粒子に関するもので、前記ナノ粒子の表面に特定のカルボン酸を付着させ、重力又は磁場でナノ粒子が凝集及び沈殿するのを防止する方法を開示している。前記特定のカルボン酸としては、例えばマレイン酸、酒石酸、グルカル酸などの脂肪族ジカルボン酸、又は例えばクエン酸、シクロヘキサン、トリカルボン酸などの脂肪族ポリカルボン酸が用いられた。
【0008】
米国特許第6,649,138号は、半導体又は金属物質を含む疎水性ナノ粒子の表面に多重両親媒性分散剤層を形成して前記ナノ粒子の水溶性を改善した方法を開示している。前記両親媒性分散剤としては、(1)親水性側鎖を有する疎水性バックボーン(backbone)、(2)疎水性側鎖を有する親水性バックボーン、又は(3)親水性及び疎水性側鎖を同時に有する疎水性又は親水性バックボーンが用いられた。
【0009】
米国特許公開第2004/0033345号は、金属又は半導体を中心として疎水性リガンド層が形成されたナノ粒子を水溶液に溶解させるために、前記ナノ粒子をミセルでカプセル化した方法を開示しているもので、前記ミセルは親水性のシェルと疎水性のコアからなっている。
【0010】
米国特許公開第2004/0058457号は、単層(monolayer)に取り囲まれている機能性ナノ粒子に関するもので、前記単層には二機能性(bifunctional)ペプチドが付着し、前記ペプチドにはDNA及びRNAを含んだ様々なバイオポリマー(biopolymer)が結合できる。
【0011】
ところが、前記方法らで製造された水溶性ナノ粒子は、次の欠点を持っている。米国特許第6,274,121号、第6,638,494号及び米国特許公開第2004/0058457号は、ナノ粒子を水溶液で合成するが、このような場合、ナノ粒子の大きさ調節が難しく、合成されたナノ粒子は不均一なサイズ分布度を示す。また、低温で合成されるため、ナノ粒子の結晶性が低く、非化学量論的化合物(non-stoichiometric compound)が形成される傾向がある。しかも、前記ナノ粒子の表面は単分子界面安定剤でコートされているが、ナノ粒子との結合力が大きくないため、水溶液で安定性が低下するという欠点を持っている。米国特許第6,649,138号及び米国特許公開第2004/0033345号で言及された水溶性ナノ粒子は、両親媒性ポリマーに取り囲まれているため、無機ナノ粒子に比べて直径が大きく増加し、成功的な適用事例は半導体ナノ粒子に限定されるという問題点を持っている。
【発明の開示】
【0012】
そこで、本発明の目的は、水溶液での安定性が高く且つ生体毒性が少ないため、生体の診断及び治療のみならず、電子材料などの広範囲な分野に応用することが可能な水溶性ナノ粒子及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明者らは、有機溶媒から得られたナノ粒子に、(a)これと結合する付着領域、(b)水溶液でナノ粒子を安定化させる交差連結領域、及び(c)活性成分と結合することが可能な活性成分結合領域からなる多作用基リガンドを導入することにより、水溶液で安定し且つ多様な活性成分との結合が可能なナノ粒子を製造することができることになった。
【0014】
本発明は、ナノ粒子が、付着領域、交差連結領域及び活性成分結合領域を含む多作用基リガンドに取り囲まれており、前記多作用基リガンドの交差連結領域は近接した他の多作用基リガンドの交差連結領域と交差連結されていることを特徴とする、水溶性ナノ粒子を提供する。
【0015】
また、本発明は、(1)水不溶性ナノ粒子を有機溶媒で合成する段階、(2)前記水不溶性ナノ粒子を第1溶媒に溶解させ、水溶性多作用基リガンドを第2溶媒に溶解させる段階、(3)前記段階(2)による2つの溶液を混合して水不溶性ナノ粒子の表面を多作用基リガンドで置換させ、水溶液に溶解させて分離する段階、及び(4)置換された多作用基リガンドをお互い交差連結させる段階を含む、水溶性ナノ粒子の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の前記及び他の目的、特徴及び他の利点は添付図面を参照する以降の詳細な説明からより明らかに理解可能である。
【0017】
図1は本発明によって水不溶性ナノ粒子から水溶性ナノ粒子が製造される過程を示す。
【0018】
図2は本発明に係る水溶性ナノ粒子の模式図である。
【0019】
図3は本発明に係るジメルカプトコハク酸に取り囲まれている水溶性酸化鉄ナノ粒子の製造過程を示す。
【0020】
図4は有機性表面安定剤に取り囲まれている酸化鉄ナノ粒子の有機溶媒に対する溶解度、及び水溶性多作用基リガンドに取り囲まれている水溶性酸化鉄ナノ粒子の水溶液に対する溶解度を示す。
【0021】
図5は本発明によって製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子の電気泳動結果を示す。
【0022】
図6A〜図6Dはそれぞれ本発明によって製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子(4、6、9、12nm)を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す。
【0023】
図7は本発明によって製造された水溶性コア−シェル(FePt@Fe)ナノ粒子の電気泳動結果を示す。
【0024】
図8は本発明によって製造された水溶性コア−シェル(FePt@Fe)ナノ粒子を透過電子顕微鏡(TME)で観察した結果を示す。
【0025】
図9は本発明に係る水溶性酸化鉄ナノ粒子が活性成分と結合できるのを示す電気泳動結果である。
【0026】
本発明の明細書において、「ナノ粒子(nanoparticles)」は、金属物質(metal material)、金属カルコゲニド(metal chalcogenide)、磁性物質(magnetic material)、磁性合金(magnetic alloy)、半導体 (semiconductor)物質、又は多成分混成構造体を含む、直径1nm〜1000nm、好ましくは2nm〜100nmの粒子を意味する。
本発明の明細書において、「水不溶性(water-insoluble)ナノ粒子」は、疎水性(hydrophobic)表面安定剤に取り囲まれているナノ粒子を意味するもので、これらは、通常の表面安定剤を含む有機溶媒中でナノ粒子先駆物質の化学反応によって良質の結晶性、目的の大きさ、形状及び組成を持つ形で製造することができる。前記「表面安定剤(surface stabilizer)」は、ナノ粒子の状態と大きさを安定化させることが可能な有機機能性分子を意味するもので、代表的な例には界面活性剤が含まれる。
本発明に係る「水溶性ナノ粒子」は、前記水不溶性ナノ粒子の表面の疎水性表面安定剤の代わりに水溶性多作用基リガンド(multi-functional group ligand)層が形成され、多作用基リガンドが交差連結されて水溶液で安定的に溶解及び分散できる。より具体的に、前記水溶性ナノ粒子は、ナノ粒子が、付着領域、交差連結領域及び活性成分結合領域を含む多作用基リガンドに取り囲まれており、前記多作用基リガンドの交差連結領域は近接した他の多作用基リガンドの交差連結領域と交差連結されていることを特徴とする。
本発明に係る水溶性ナノ粒子は、多様な様態で提供できるが、どんな種類の金属(metal)、金属カルコゲニド(metal chalcogenide)、磁性物質(magnetic material)、磁性合金(magnetic alloy)、半導体物質(semiconductor)又は多成分混成構造体、及び多作用基リガンドを選択するかによって決定される。
【0027】
金属としては、Pt、Pd、Ag、Cu、Au、Ru、Rh、Osなどが含まれる。金属カルコゲニドとしては、M(M=Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Mo、Ru、Rh、Ag、W、Re、Ta、Zn;E=O、S、Se、0<x≦3、0<y≦5)、BaSrTi1−x、PbZrTi1−x(0≦x≦1)、SiOなどが含まれる。磁性物質としては、例えばCo、Mn、Fe、Ni、Gd、MM’、M(M又はM’=Co、Fe、Ni、Mn、Zn、Gd、Cr、0<x≦3、0<y≦5)などが含まれる。磁性合金としては、例えばCoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe、CoAu、CoAg、CoPtAu、CoPtAg及びNiFeCoなどが含まれる。
【0028】
また、半導体物質としては、例えば2族(Zn、Cd、Hg)及び6族(O、S、Se)からそれぞれ選択された元素からなる半導体、3族(B、Al、Ga、In)及び5族(P、As、Sb)からそれぞれ選択された元素からなる半導体、4族(Si、Ge、Pb、Sn)元素からなる半導体、4族(Si、Ge)及び6族(O、S、Se)からそれぞれ選択された元素からなる半導体、又は5族(P、As、Sb、Bi)及び6族(O、S、Se)からそれぞれ選択された元素からなる半導体物質が利用できる。
【0029】
「多成分混成構造体」は、前述した金属、金属カルコゲニド、磁性物質、磁性合金、及び半導体物質よりなる群から選択された2つ以上の成分を含む粒子であって、これらの代表的な形の例としては、コア−シェル又はバーコードがある。
【0030】
本発明の明細書において、「多作用基リガンド(L−LII−LIII)」は、(a)付着領域(L、adhesive region)、(b)交差連結領域(LII、cross-linking region)、及び(c)活性成分結合領域(LIII、reactive region)を含む物質を意味する。以下、多作用基リガンドをより具体的に説明する。
【0031】
前記「付着領域(L)」は、ナノ粒子と付着することが可能な作用基(functional group)を含む多作用基リガンドの一部分、好ましくは末端を意味する。したがって、付着領域は、ナノ粒子を成す物質との親和性が高い作用基を含むことが好ましく、ナノ粒子を成す物質に応じて多様に選択できる。付着領域は、例えば−COOH、−NH、−SH、−CONH、−POH、−POH、−SOH、−SOH又はOHを含むことができる。
【0032】
前記「交差連結領域(LII)」は、近接した多作用基リガンドと交差連結することが可能な作用基を含む多作用基リガンドの一部分、好ましくは中心部を意味する。「交差連結」とは、一つの多作用基リガンドが近接して位置した他の多作用基リガンドと分離間相互作用(intermolecular interaction)によって結合することを意味する。前記分子間相互作用の種類[例えば、疎水性相互作用、水素結合、共有結合(例えば、ジスルフィド結合)、ファンデルワールス結合、イオン結合など]は特に限定されないため、交差連結することが可能な作用基は目的とした分子間相互作用の種類に応じて多様に選択できる。交差連結領域は、例えば−SH、−NH、−COOH、−OH、−エポキシ、−エチレン又はアセチレンを作用基として含むことができる。
【0033】
前記「活性成分結合領域(LIII)」は、活性成分と付着することが可能な作用基を含む多作用基リガンドの一部分、好ましくは前記付着領域と反対側に位置した末端を意味する。前記活性成分結合領域の作用基は、活性成分の種類及びその化学式によって異なる(表1参照)。本発明において、活性成分結合領域は、−SH、−COOH、−NH、−OH、−NR、−スルホネート(sulfonate)、−ニトレート(nitrate)又はホスホネート(phosphonate)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
【表1】

(I:多作用基リガンドの活性成分結合領域の作用基、II:活性成分、III:IとIIの反応による結合例)
【0035】
本発明では、前述したような作用基を本来保有した化合物を水溶性多作用基リガンドとして利用することもできるが、当業界に公知となった化学反応によって前記作用基を備えるように、変形又は製造された化合物を多作用基リガンドとして利用することもできる。
【0036】
本発明に係る水溶性ナノ粒子において、好ましい多作用基リガンドの一例はジメルカプトコハク酸である。ジメルカプトコハク酸は、本来、付着領域、交差連結領域、及び活性成分結合領域を含んでいるためである。すなわち、ジメチルカプトコハク酸の−COOHはナノ粒子に付着する役割を果たし、中心に位置する−SHは隣り合ったジメルカプトコハク酸とジスルフィド結合によって連結される役割を果たし、末端部のCOOH及びSHは活性成分と結合する役割を果たす。前記ジメルカプトコハク酸の他にも、付着領域(L)の作用基として−COOHを、交差連結領域(LII)の作用基として−SHを、活性成分結合領域(LIII)の作用基として−COOH又はSHを含む化合物は、好ましい多作用基リガンドとして利用できる。そのような化合物としては、例えばジメルカプトマレイン酸、ジメルカプトペンタジオン酸(dimercaptopentadionic acid)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0037】
本発明に係る水溶性ナノ粒子において、好ましい多作用基リガンドの他の様態はペプチド(peptide)である。ペプチドは、数個のアミノ酸からなるオリゴマー/ポリマーである。アミノ酸が両末端に−COOHと−NH作用基を保有しているため、ペプチドは、自然的に付着領域と活性成分結合領域を備える。また、一部のアミノ酸が−SH又はOHを側鎖として持っているため、このようなアミノ酸が交差連結領域に含まれるように製造されたペプチドは、本発明において多作用基リガンドとして利用できる。
【0038】
本発明において用いられる多作用基リガンドは、生分解性高分子に結合した形態であってもよい。前記生分解性高分子の例には、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸及びその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リシン、ポリグリコリド、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。
【0039】
一方、本発明に係る多作用基リガンドの活性成分結合領域に結合する「活性成分」は、本発明に係る水溶性ナノ粒子の用途に応じて多様に選択でき、例えば生体活性成分、高分子又は無機支持体を含むことができる。
【0040】
前記生体活性成分の例には、抗原、抗体、RNA、DNA、ハプテン(hapten)、アビジン(avidin)、ストレプトアビジン(streptavidin)、プロテインA、プロテインG、レクチン(lectin)、セレクチン(selectin)などの組織特異的結合成分(tissue-specific binding substances);抗癌剤、抗生剤、ホルモン、ホルモン拮抗剤、インターロイキン(interleukin)、インターフェロン(interferon)、成長因子(growth factor)、腫瘍怪死因子(tumor necrosis factor)、エンドトキシン(endotoxin)、リンホトキシン(lymphotoxin)、ウロキナーゼ(urokinase)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、組織プラスミノゲン活性剤(tissue plasminogen activator)、プロテアーゼ阻害剤(protease inhibitor)、アルキルホスホコリン(alkyl phosphocholine)、界面活性剤、心血関係薬物(cardiovascular pharmaceutical)、胃腸関係薬物(gastrointestinal pharmaceutical)、神経系薬物(neuro pharmaceutical)などの薬学的活性成分などが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0041】
前記高分子の例としては、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸及びその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リシン、ポリグリコリド、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。
【0042】
前記無機支持体としては、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、炭素物質(ナノチューブ、黒鉛、フラーレンなど)、半導体基板(Si、GaAs、AlAsなど)、金属基板(Au、Pt、Au、Cuなど)が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0043】
本発明の水溶性ナノ粒子は、一つの様態として、(1)水不溶性ナノ粒子を有機溶媒で合成する段階、(2)前記水不溶性ナノ粒子を第1溶媒に溶解させ、水溶性多作用基リガンドを第2溶媒に溶解させる段階、(3)前記段階(2)による2つの溶液を混合して水不溶性ナノ粒子の表面を多作用基リガンドで置換させ、水溶液に溶解させて分離する段階、及び(4)置換された多作用基リガンドをお互い交差連結させる段階を経て製造することができる。
【0044】
上述した製造方法の段階(1)は、水不溶性ナノ粒子の製造方法に関するものである。本発明では、一つの様態として、表面安定剤を含む10〜600℃の有機溶媒にナノ粒子先駆物質を投入し、目的の水不溶性ナノ粒子を製造するのに適した温度及び時間を維持して前記ナノ粒子先駆物質を化学反応させてナノ粒子を成長させた後、これから形成された水不溶性ナノ粒子を分離及び精製する段階を経て水不溶性ナノ粒子を製造することができる。
【0045】
前記有機溶媒としては、ベンゼン系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、ハロベンゼンなど)、炭化水素溶媒(例えば、オクタン、ノナン、デカンなど)、エーテル系溶媒(例えば、ベンジルエーテル、フェニルエーテル、炭化水素エーテルなど)、ポリマー溶媒が利用できるが、これに限定されるものではない。
【0046】
前記製造方法の段階(2)では、先立って製造されたナノ粒子を第1溶媒に溶解させ、多作用基リガンドを第2溶媒に溶解させる。前記第1溶媒としては、ベンゼン系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、ハロベンゼンなど)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ノナン、デカンなど)、エーテル系溶媒(例えば、ベンジルエーテル、フェニルエーテル、炭化水素エーテルなど)、ハロ炭化水素(例えば、塩化メチレン、臭化メタンなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノールなど)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメルスルホキシドなど)、アミド系(例えば、ジメチルホルムアミドなど)が利用できる。前記第2溶媒としては、前述した第1溶媒として利用可能な溶媒の他にも、水が利用できる。
【0047】
前記製造方法の段階(3)では、前記2つの溶液を混合するが、この際には、水不溶性ナノ粒子の有機性表面安定剤が水溶性多作用基リガンドで置換される(図1参照)。このように水溶性多作用基リガンドで置換されたナノ粒子は、当業界に公知となった方法を用いて分離することができる。一般に、水溶性ナノ粒子は、沈殿物として生成されるため、遠心分離又は濾過を用いて分離することが好ましい。前記分離の後には、より安定的に分散している水溶性ナノ粒子を得るために、滴定段階を経てpHを5〜10に調節することが好ましい。
【0048】
前記製造方法の段階(4)は、多作用基リガンド間の交差連結が形成されるようにする段階であって、いろんな化学反応を用いて多作用基リガンドを交差連結して水溶性ナノ粒子を安定化させることができる。このような交差連結反応には、酸化(例えば、ジスルフィド結合)及び還元反応、分子連結子による交差連結反応、水素結合などが含まれるが、これに限定されるものではない。このように交差連結によって安定化したナノ粒子は、pH5〜10及び約1M以下の塩濃度の条件でも凝集(aggregation)なしによく分散できる。
【0049】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明する。ところが、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのもので、本発明の範囲を限定するものではない。
【0050】
実施例1
様々な大きさの酸化鉄ナノ粒子の製造
4nmの酸化鉄ナノ粒子は、0.3Mラウリン酸及び0.3Mラウリルアミンを含む260℃のフェニルエーテル溶媒で1時間鉄トリアセチルアセトナート(Aldrich)を熱分解反応(thermal decomposition)して合成した。6nmの酸化鉄ナノ粒子の場合、溶媒としてベンジルエーテルを使用し、反応温度を290℃として前記4nmの酸化鉄ナノ粒子の合成過程と同一の手続きによって合成した。9nmの酸化鉄ナノ粒子は、0.1Mラウリン酸、0.1Mラウリルアミン、前記6nmの酸化鉄ナノ粒子8mg/mL及び鉄トリアセチルアセトナートを含むベンジルエーテル溶液を290℃で1時間加熱して製造した。12nmの酸化鉄ナノ粒子は、前記9nmの酸化鉄ナノ粒子を8mg/mLの濃度で溶液に仕込み、9nmの酸化鉄ナノ粒子の合成過程と同一の手続きによって製造した。
【0051】
実施例2
水溶性酸化鉄ナノ粒子の製造
実施例1から得た酸化鉄ナノ粒子5mgを1mLのトルエンに溶解させた後、前記トルエン溶液に、20mgの2,3−メルカプトコハク酸が溶けている0.5mLのメタノールを添加した(図3参照)。約24時間が経過すると、黒茶色の沈殿物が形成されるが、この沈殿物を室温で5分間2000rpmで遠心分離して分離した後、1mLの脱イオン水に再分散した。空気バブリングを5分間行って2,3−メルカプトコハク酸のジスルフィド結合を完了した。
【0052】
実施例3
水溶性酸化鉄ナノ粒子の水溶液における安定性の確認
a.水溶性酸化鉄ナノ粒子の溶解度の分析
実施例1から製造された有機性酸化鉄ナノ粒子をクロロメタンに溶解させた後、水を加える一方、実施例2から製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子を水に溶解させた後、クロロメタンを付加し、ナノ粒子の表面置換による溶解度の変化を分析した。
【0053】
図4に示すように、有機性表面安定剤を多作用基リガンド(2,3−ジメルカプトコハク酸)で置換させて水不溶性ナノ粒子を水溶性ナノ粒子に変化させたことを確認することができた。また、肉眼で観察した結果、沈殿又は凝集が発生していないので、前記水溶性酸化鉄ナノ粒子が水溶液でよく分散するのが分かった。
【0054】
b.電気泳動による分析
1%アガロースゲルに、約1mg/mL濃度の水溶性酸化鉄ナノ粒子を含有する溶液10μLをロードした後、1×TBE(tris-borate-edta)緩衝溶液で30分間5V/cmの電圧をかけて電気泳動した。
【0055】
図5に示すように、水溶性酸化鉄ナノ粒子が、アガロースゲルに形成された空洞の大きさより小さくてゲル上で移動することが分かる。また、ゲル上のバンドが狭く形成されたことから、水溶性酸化鉄ナノ粒子が凝集せずに均一な大きさを持っていることを確認することができる。一方、ナノ粒子の大きさが増加するにつれて運動性(mobility)が減少するが、このような結果も、水溶性酸化鉄ナノ粒子が凝集せずに均一な大きさを持っていることを意味する。以上の結果より、水溶性酸化鉄ナノ粒子は水溶液で凝集せずに均一な大きさを維持しながら分散することを確認することができた。
【0056】
c.透過電子顕微鏡(TEM)による分析
水溶性酸化鉄ナノ粒子を含有する溶液20μLを炭素膜のコートされたTEM grid(Ted Pella Inc.)に滴下し、約30分間乾燥させた後、電子顕微鏡(EF−TEM、Zeiss、acceleration voltage 100kV)で観察した。
【0057】
図6に示すように、均一な大きさの水溶性酸化鉄ナノ粒子が形成されたことを確認することができた。
【0058】
実施例4
コア−シェル(FePt@Fe)ナノ粒子の製造
0.5mmoL Ptアセチルアセトナートを10mLのベンジルエーテルに溶解させ、100℃まで加熱した後、4mmoLのオレイン酸、1.5mmoLのFe(CO)及び4mmoLのオレイルアミンを添加し、240℃で加熱して1時間反応を行わせた。この段階でFe(CO)の分解が行われる。この過程の後、溶液を300℃まで加熱し、その後前記温度を1時間保った。前記反応の終了後、5分間空気を注入してコア−シェル(FePt@Fe)ナノ粒子を製造した。
【0059】
実施例5
水溶性コア−シェルナノ粒子の製造
実施例4から製造されたコア−シェルナノ粒子を用いる以外は、実施例2と同一の手続きによって水溶性コア−シェルナノ粒子を製造した。
【0060】
実施例6
水溶性コア−シェルナノ粒子の水溶液における安定性の確認
実施例5から製造された水溶性コア−シェルナノ粒子の水溶液における安定性を実施例3と同一の手続きによって確認した(図7及び図8参照)。
【0061】
実施例7
多作用基リガンドとしてペプチドを用いた水溶性酸化鉄ナノ粒子の製造
実施例2で提示された水溶性酸化鉄ナノ粒子の製造過程と同一の手続きによって製造するが、ジメルカプトコハク酸の代わりに前記ペプチドを用いた。
(1)GSE SGG SG(Cha)CC(Cha)CDD−配列番号:1
(2)GRR SHG(Cha)CC(Cha)CD D−配列番号:2
(3)GKK HGH Y(Cha)C C(Cha)D CD−配列番号:3
*Cha=シクロヘキシルアラニン
ナノ粒子の表面をペプチドで置換することにより、水溶液で安定なナノ粒子を製造することができた。前記ペプチドにおいて、−COOHを含むCDD又はDCD部分は付着領域として作用し、−SHを含むCC部分は交差連結領域として作用し、残りの領域は活性成分結合領域として作用する。
【0062】
実施例8
活性成分として新生血管追跡抗体(Tie2 receptor antibody)が結合した水溶性酸化鉄ナノ粒子の製造
0.2mgの新生血管追跡抗体を10mM PBS(phosphate buffered saline、pH7.2)100μLに溶解させ、20μgのスルホ−SMCC(Purchased from Pierce Inc.)と30分間反応させた後、ゲル濾過(Sephadex G−25)過程によって、スルホ−SMCCに結合した抗体を分離した。分離された抗体を、実施例2で製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子0.2mgと12時間反応させた後、ゲル濾過カラム(Sephacryl S200、S400)を用いて、新生血管追跡抗体が結合した水溶性酸化鉄ナノ粒子を分離した。
【0063】
実施例9
水溶性酸化鉄ナノ粒子と新生血管追跡抗体との結合有無の確認
実施例8で得た生産物を、実施例3に提示したところによって電気泳動し、その結果は図9に示した。
【0064】
図9は水溶性ナノ粒子の活性成分結合領域に生体活性成分(Tie 2水溶体抗体)が結合できることを示す結果である。電気泳動分析結果、抗体に結合した水溶性酸化鉄ナノ粒子は、電気泳動の際に低い移動を示した。これは、タンパク質染色結果と一致した。したがって、酸化鉄ナノ粒子と抗体とが結合したことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る水溶性ナノ粒子は、均一な大きさを持っており、水溶液で特に安定し、様々な活性成分の導入によって複合素材、電子材料、生体診断及び生体治療に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は本発明によって水不溶性ナノ粒子から水溶性ナノ粒子が製造される過程を示す。
【図2】図2は本発明に係る水溶性ナノ粒子の模式図である。
【図3】図3は本発明に係るジメルカプトコハク酸に取り囲まれている水溶性酸化鉄ナノ粒子の製造過程を示す。
【図4】図4は有機性表面安定剤に取り囲まれている酸化鉄ナノ粒子の有機溶媒に対する溶解度、及び水溶性多作用基リガンドに取り囲まれている水溶性酸化鉄ナノ粒子の水溶液に対する溶解度を示す。
【図5】図5は本発明によって製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子の電気泳動結果を示す。
【図6A】図6Aは本発明によって製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子(4nm)を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す。
【図6B】図6Bは本発明によって製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子(6nm)を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す。
【図6C】図6Cは本発明によって製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子(9nm)を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す。
【図6D】図6Dは本発明によって製造された水溶性酸化鉄ナノ粒子(12nm)を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す。
【図7】図7は本発明によって製造された水溶性コア−シェル(FePt@Fe)ナノ粒子の電気泳動結果を示す。
【図8】図8は本発明によって製造された水溶性コア−シェル(FePt@Fe)ナノ粒子を透過電子顕微鏡(TME)で観察した結果を示す。
【図9】図9は本発明に係る水溶性酸化鉄ナノ粒子が活性成分と結合できるのを示す電気泳動結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子が、付着領域(L)、交差連結領域(LII)及び活性成分結合領域(LIII)を含む多作用基リガンド(L−LII−LIII)に取り囲まれており、前記多作用基リガンドの交差連結領域は近接した他の多作用基リガンドの交差連結領域と交差連結されていることを特徴とする、水溶性ナノ粒子。
【請求項2】
前記ナノ粒子は、金属、金属カルコゲニド、磁性物質、磁性合金、半導体物質又は多成分混成構造体であって、1nm〜1000nmの直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項3】
前記金属は、Pt、Pd、Ag、Cu、Ru、Rh、Os及びAuよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項4】
前記金属カルコゲニドは、M(M=Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Mo、Ru、Rh、Ag、W、Re、Ta、Zn;E=O、S、Se、0<x≦3、0<y≦5)、BaSrTi1−X、PbZrTi1−x(0≦x≦1)、SiOよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項5】
前記磁性物質は、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、MM’、M(M又はM’=Co、Fe、Ni、Mn、Zn、Gd、Cr、0<x≦3、0<y≦5)よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項6】
前記磁性合金は、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、CoAu、CoAg、CoPtAu、CoPtAg、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項7】
前記半導体物質は、2族及び6族からそれぞれ選択された元素からなる半導体、3族及び5族からそれぞれ選択された元素からなる半導体、4族元素からなる半導体、4族及び6族からそれぞれ選択された元素からなる半導体、又は5族及び6族からそれぞれ選択された元素からなる半導体物質であることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項8】
前記多成分混成構造体は、請求項3〜7のいずれか1項に記載の金属、金属カルコゲニド、磁性物質、磁性合金、及び半導体よりなる群から選択された2つ以上の物質を含むが、コア−シェル又はバーコードの形であることを特徴とする、請求項2に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項9】
前記付着領域(L)は、−COOH、−NH、−SH、−CONH、−POH、−POH、−SOH、−SOH、及び−OHよりなる群から選択された機能基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項10】
前記交差連結領域(LII)は、−SH、−NH、−COOH、−OH、エポキシ、−エチレン、及び−アセチレンよりなる群から選択された機能基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項11】
前記活性成分結合領域(LIII)は、−SH、−COOH、−NH、−OH、−NR4+X−、−スルホネート、−ニトレート、及びホスホネートよりなる群から選択された機能基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項12】
前記活性成分は、生体活性成分、高分子、及び無機支持体よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項13】
前記生体活性成分は、抗原、抗体、RNA、DNA、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、プロテインA、プロテインG、レクチン、セレクチン、抗癌剤、抗生剤、ホルモン、ホルモン拮抗剤、インターロイキン、インターフェロン、成長因子、腫瘍怪死因子、エンドトキシン、リンホトキシン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性剤、プロテアーゼ阻害剤、アルキルホスホコリン、放射性同位元素で標識された成分、界面活性剤、心血関係薬物、胃腸関係薬物、及び神経系薬物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項14】
前記高分子は、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸及びその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リシン、ポリグリコリド、ポリメチルメタクリレート、及びポリビニルピロリドンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項15】
前記無機支持体としては、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、炭素物質、半導体基板、及び金属基板よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項16】
前記多作用基リガンドは、−SH、−COOH、−NH又はOHを側鎖として有するアミノ酸を少なくとも一つ含むペプチドであることを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項17】
前記ペプチドは、配列番号1〜配列番号3に記載されたアミノ酸配列のいずれか一つを含むことを特徴とする、請求項16に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項18】
前記多作用基リガンドは、付着領域(L)の作用基として−COOHを、交差連結領域(LII)の作用基として−SHを、活性成分結合領域(LIII)の作用基として−COOH又はSHを含む化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項19】
前記化合物は、ジメルカプトコハク酸、ジメルカプトマレイン酸、及びジメルカプトペンタジオン酸よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項20】
前記多作用基リガンドは、生分解性高分子と結合した形であることを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項21】
前記生分解性高分子は、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸及びその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リシン、ポリグリコリド、ポリメチルメタクリレート、及びポリビニルピロリドンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の水溶性ナノ粒子。
【請求項22】
(1)水不溶性ナノ粒子を有機溶媒で合成する段階と、(2)前記水不溶性ナノ粒子を第1溶媒に溶解させ、水溶性多作用基リガンドを第2溶媒に溶解させる段階と、(3)前記段階(2)による2つの溶液を混合して水不溶性ナノ粒子の表面を多作用基リガンドで置換させ、水溶液に溶解させて分離する段階、及び(4)置換された多作用基リガンドをお互い交差連結させる段階を含む、水溶性ナノ粒子の製造方法。
【請求項23】
前記段階(1)の水不溶性ナノ粒子は、表面安定剤を含んだ有機溶媒中でナノ粒子先駆物質の化学反応によって製造されたことを特徴とする、請求項22に記載の水溶性ナノ粒子の製造方法。
【請求項24】
前記水不溶性ナノ粒子は、表面安定剤を含む10〜600℃の有機溶媒にナノ粒子先駆物質を投入し、目的の水不溶性ナノ粒子を製造するのに適した温度及び時間を維持して前記ナノ粒子先駆物質を化学反応させてナノ粒子を成長させた後、前記ナノ粒子を分離及び精製する段階を経ることを特徴とする、請求項23に記載の水溶性ナノ粒子の製造方法。
【請求項25】
前記有機溶媒は、ベンゼン系溶媒、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、及びポリマー溶媒よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の水溶性ナノ粒子の製造方法。
【請求項26】
前記段階(2)の第1溶媒は、ベンゼン系溶媒、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、ハロ炭化水素、アルコール類、スルホキシド系溶媒、及びアミド系溶媒よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の水溶性ナノ粒子の製造方法。
【請求項27】
前記段階(2)の第2溶媒は、ベンゼン系溶媒、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、ハロ炭化水素、アルコール類、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒、及び水よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の水溶性ナノ粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−511461(P2008−511461A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529654(P2007−529654)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002509
【国際公開番号】WO2006/025627
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507175175)インダストリー−アカデミック コーポレーション ファウンデーション,ヨンセイ ユニバーシティ (18)
【Fターム(参考)】