説明

多官能性アジリジン化合物を含む硬化成分としての安定化された組成物

本発明は、少なくとも1種の多官能性アジリジン化合物と1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む組成物、及びその組成物の製造方法に関する。更に本発明は、上記の組成物を硬化成分として使用する方法に関する。そしてまた、本発明は、アジリジン含有化合物及び組成物を安定化するための1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の多官能性アジリジン化合物と1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む組成物、及びその組成物の製造方法に関する。更に本発明は、上記の組成物を硬化成分として使用する方法に関する。そしてまた、本発明は、アジリジン含有化合物及び組成物を安定化するための1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
アジリジン化合物は、以前から知られており、例えば革を処理する分野の配合物の硬化成分として広く用いられている。アジリジン化合物の環の歪みに起因して、アジリジンは、多数の反応材料と開環を伴って反応する反応性化合物である。アジリジン単位の高い反応性はアジリジン化合物の貯蔵性を制限する点において課題を有している。なぜなら、生成物自体が反応して、濃厚化する場合があるからである。かかる濃厚化により、硬化成分としてのアジリジン化合物の有効性が低減する。なぜなら、一方で、活性なアジリジン単位の数が減少し、他方で、硬化成分の溶解性及び希釈性が減退するからである。極端な場合、濃厚化により、完全に不溶性となることから、使用不可能な硬化生成物を得る。従来技術において、アジリジン化合物を安定化させる種々の方法が記載されている。
【0003】
特許文献1では、ポリマーの硬化剤の側鎖におけるアジリジン単位の使用法について記載し、その際に、アジリジン単位を、好適な未反応性溶剤中での希釈によって安定化させている。
【0004】
特許文献2は、写真用フィルムの基層の製造方法を記載している。この方法において、特に、アジリジン含有化合物を、硬化成分として使用している。このアジリジン化合物の低い安定性に起因して、水性系においてpHを9.0〜11.5の範囲とすることにより安定化させる必要がある。
【0005】
アジリジン化合物を安定化させるこれらの方法は、アジリジン含有化合物を使用する場合、使用者が特定の溶剤の使用を試みるか、又は特定のpHを有する水溶液の使用を試みる必要がある点において不都合である。特に、アジリジン含有組成物の水溶液を使用するのは、困難な場合がある。なぜなら、アジリジン含有化合物の中には、水の存在下で限られた安定性しか示さないものもあるからである。
【0006】
【特許文献1】US3671256
【特許文献2】US4960687
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、アジリジン単位を上述の不都合なく安定化させる非水系のアジリジン含有組成物を提供することにある。更に本発明の目的は、この種のアジリジン含有組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的が本発明により1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが多官能性アジリジン化合物に対して安定化効果を有することによって達成されることを見出した。
【0009】
従って、本発明は、少なくとも1種の多官能性アジリジンと1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む組成物に関する。
【0010】
1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(I)(以下、DABCOと称する):
【0011】
【化1】

は、N−ヒドロキシエチルピペラジンの加熱によって調製可能であり、且つポリウレタンの発泡及びエステル化の触媒として主に用いられる二環式のトリエチレンジアミンである。
【0012】
新規な組成物は、以下の式(II):
【0013】
【化2】

【0014】
[但し、R1及びR2が相互に独立して、それぞれ水素原子又は非官能化若しくは官能化のアルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアリールアルキル基を表す。]
で表される少なくとも2種の構造単位を有する少なくとも1種の多官能性アジリジン化合物を含む。
【0015】
新規な組成物中の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン含有率は、組成物に対して、好ましくは0.1〜10質量%であり、特に0.3〜5質量%であり、特に好ましくは0.5〜2.5質量%である。
【0016】
新規な組成物中に含まれる多官能性アジリジン化合物は、無置換又は置換のエチレンイミンと、多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとのミカエル付加体、及び無置換又は置換のエチレンイミンとポリイソシアネートとの付加体からなる群から選択されるのが好ましい。
【0017】
好適なアルコール成分は、例えば、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール及び4,4’−メチレンジフェノールである。好適なα,β−不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸、クロトン酸、並びに桂皮酸である。
【0018】
新規な組成物はアクリル酸エステルを含むのが特に好ましい。
【0019】
α,β−不飽和カルボン酸エステルの対応の多価アルコールは、必要により、アルコールの1個以上のOH官能基がアルキレンオキシドで部分的に又は完全に延長さたアルコールであっても良い。例えば、1個以上のOH官能基がアルキレンオキシドで延長された上述のアルコールとすることが可能である。これに関して、US4605698を参照可能であり、その開示内容は、参照することによりその全てを本発明の明細書に取り込まれる。本発明に特に好適なアルキレンオキシドは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。
【0020】
本発明のアジリジンの適例は、トリメチロールプロパントリス(ベータ−アジリジノ)プロピオネート、ネオペンチルグリコールジ(ベータ−アジリジノ)プロピオネート、グリセリルトリス(ベータ−アジリジノ)プロピオネート、ペンタエリスリチルテトラ(ベータ−アジリジノ)プロピオネート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジ(ベータ−アジリジノ)プロピオネート、4,4’−メチレンジフェノールジ(ベータ−アジリジノ)プロピオネート、1,6−ヘキサメチレンジ(N,N−エチレン尿素)、4,4’−メチレンビス(フェニル−N,N−エチレン尿素)、1,3,5−トリス(ω−ヘキサメチレン−N,N−エチレン尿素)ビウレット及びこれらの混合物である。
【0021】
多官能性アジリジン化合物は、必要によりアジリジン単位に置換基を有していても良い。
【0022】
更に新規な組成物は、好ましくは1以上の以下の特徴を有する溶剤を含んでいても良い:非反応性で、有機で、水性媒体と相溶性を示し、極性で、非毒性で、且つ経済的である。非反応性の極性溶剤、例えば、ジアセトンアルコール又はN−メチルピロリドンは、本発明に特に好適である。新規な組成物の溶剤含有量は、組成物に対して、好ましくは1〜50質量%であり、特に好ましくは2〜40質量%であり、特に3〜30質量%であり、極めて好ましくは4〜20質量%である。
【0023】
更に本発明は、多官能性アジリジン化合物と1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンから新規な組成物を製造する方法に関する。本発明では、無置換又は置換のエチレンイミンと1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの混合物を提供し、そして少なくとも1種のα,β−不飽和カルボン酸エステル及び/又は少なくとも1種のポリイソシアネートを添加する。
【0024】
エステルは、α,β−不飽和カルボン酸でポリエステル化されたアルコールであるのが好ましい。アルコールは、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール及び4,4’−メチレンジフェノールからなる群から選択されるのが好ましい。好適なα,β−不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸、クロトン酸並びに桂皮酸である。
【0025】
アクリル酸エステルを新規な組成物において使用するのが好ましい。
【0026】
アルコールは、必要によりアルコールの1個以上のOH官能基がアルキレンオキシド単位で部分的に又は完全に延長されていても良い。本発明によれば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが本発明の場合に特に好適である。
【0027】
ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)及び1,3,5−トリス(ω−ヘキサメチレンイソシアナト)ビウレットからなる群から選択されるのが好ましい。
【0028】
更に本発明は、上記の方法により得られる組成物に関する。
【0029】
更に本発明は、新規な組成物を、革の処理、被覆、テキスタイル印刷(織物捺染(textie printing))及び表面コーティング剤の分野における配合物(調剤)の硬化成分として使用する方法に関するものであり、表面コーティング剤を道路の標識マーキング及び塗料に使用することが可能である。新規な組成物により、表面コーティング剤の耐水性が向上する。
【0030】
更に本発明は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンをアジリジン含有化合物及び組成物の安定化に使用する方法に関する。
【0031】
更に本発明は、新規な組成物を硬化成分として含む革処理用組成物、被覆用組成物、テキスタイル印刷用組成物又は表面コーティング剤に関する。新規な組成物を含む表面コーティング剤は、道路用標識に用いられ、又は塗料として働くのが好ましい。
【0032】
革処理用組成物は、水性(水を含む組成物)であるのが好ましい。
【0033】
革処理用組成物中の新規な組成物の量は、革処理用組成物に対して、好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは0.1〜4質量%であり、特に0.2〜3質量%であり、極めて好ましくは0.3〜2質量%である。
【0034】
革処理用組成物は、必要により、革用の配合物に一般的なその他の添加剤を含んでいても良い。添加剤の例は、有色顔料、フィラー、バインダ、下染め用組成物、(艶消し)シーゾニング剤、ワックス、手触り用組成物(handle composition)、消泡剤、均一化剤、及び染料である。
【0035】
革処理用組成物における添加剤の量は、革処理用組成物に対して、好ましくは0〜75質量%であり、特に好ましくは10〜65質量%であり、特に20〜60質量%であり、極めて好ましくは25〜55質量%である。
【0036】
本発明は、従来技術に対して数多くの利点を有している。
【0037】
本発明によれば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンによって多官能性アジリジン化合物を安定化させる。特定の溶剤を使用し、又はpHを特定のpHとする(多官能性アジリジン化合物の特定の用途の場合に矛盾することもある)ことは、必要ない。これにより得られる新規な組成物は、貯蔵安定性を示し、淡黄色であり、そして極めて容易に加工処理可能である。新規な組成物は、水で容易に希釈可能であり、そして比較的長い加工処理時間を有している。
【0038】
以下の実施例で本発明を説明する。
【実施例】
【0039】
実施例に示されている全ての量は、質量部である。
【0040】
a)粘性及び水希釈性
新規な配合物は、エチレンイミンとトリメチロールプロパントリスアクリレートとを反応させることによって調製された。エチレンイミンに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを添加してから、アジリジン化合物を合成した。直後に、アクリレートを添加した。
【0041】
試料の粘性を、23℃の条件下でブルックフィールド(Brookfield)に準拠して測定した。水希釈性、即ち、均質性、加工処理適性を、ランク付けによって評価した。
【0042】
以下の配合物を調製した:
A1(本発明に基づく):90.2部の(III)、8.2部のN−メチルピロリドン(NMP)、1.6部の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、
A2(本発明に基づく):90.2部の(III)、8.2部のジアセトンアルコール、1.6部の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、
B(比較実施例):100部の(III)、
C(比較実施例):9.18部の(III)、8.2部のジアセトンアルコール、
D(比較実施例):98.4部の(III)、1.6部の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、
E(従来技術):99.0部の(III)、1.0部のテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、
但し、上記の配合物の調製で用いられている(III)は、
【0043】
【化3】

のトリメチロールプロパントリス(ベータ−アジリジノ)プロピオネートであった。
【0044】
【表1】

【0045】
新規な組成物は、高い貯蔵安定性、低い粘性及び良好な水希釈性を有していた。
【0046】
b)黄変化傾向
多官能性アジリジン化合物を、革処理又は革の仕上げ処理に使用される配合物の成分として用いた。アジリジン硬化剤の望ましくない効果は、処理された革における明かな黄変化である。1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを用いた新規な配合物は、従来技術と比較して、黄変化が実質的に低くなる傾向を示した。
【0047】
黄変化傾向を判定する場合、標準化された表面(白色下塗りアルミニウム箔(white-primed aluminium foil))を得て、その後にこれを一般的な表面仕上げ剤(表面バッチ)で処理した。所定時間の貯蔵後、黄変化を評価した。
【0048】
アルミニウム箔を下塗りするためのバッチ:
Astacin Finish PF 400部、
Lepton White N 100部、
脱イオン化水 200部、
被覆されるまで噴霧し(15g/ドイツ工業規格A4)、その後に80℃で乾燥した。
【0049】
革処理用配合物のバッチ(表面バッチ):
【0050】
【表2】

【0051】
シックナー6=市販のポリウレタン結合シックナー、例えば、Collacral(登録商標)PU85とSolvenon(登録商標)DPMとの50:50混合物。
【0052】
白色下塗りアルミニウム箔への塗布:
施された量(塗布量):20g/m2
試験:高温での貯蔵及びBCS−Winプログラムを用いる黄変化の量
測定は、ドイツ工業規格5033(シート1〜9)に記載されているCielab比色システムに基づき行った。測定は、特に、
dE=全体の色差、及び
db=黄色軸方向の色差、
を用いるドイツ工業規格6174に準拠して「CIELab式による体質顔料の場合の色差の比色判定」に関して行った。
【0053】
【表3】

【0054】
新規な配合物A2を用いると、高温での黄変化(dE 全体の色彩変化、db CIELabによる黄色成分)は、従来技術の配合物の場合と比較して半分の数値まで低減可能であった。
【0055】
c)架橋剤活性
架橋剤活性を判定する場合、一般的な量の硬化剤を、革処理に慣用のバインダ混合物に添加し、そして革片を仕上げ処理して、硬化、特に湿潤摩擦堅牢度に関して試験した:
【0056】
未着色側の革の仕上げ処理:
【0057】
【表4】

【0058】
注:Lepton black Nは、DE4142240によるカーボンブラックを含む顔料調製物である;
注:Corial microbinder AMは、DE3344354におるアクリレートバインダである。
【0059】
水及び“試料”をそれぞれ予備混合し、そしてmicrobinder(ミクロバインダ)AMとLepton blackの混合物に添加し、その後、2本の十字形に湿潤で噴霧し(噴霧用ガンを用いて塗布、4重の塗布に相当(上部から底部に2回及び左から右に2回))(約15g/ドイツ工業規格A4)、その後、乾燥溝で3回乾燥した。次いで、試料を70℃/50バール条件下で3秒間表面被覆(メッキ)した。続いて、2回目の噴霧塗布を行い、次いで乾燥した(表面被覆無し)。
【0060】
試料を室温条件下で2時間保存し、その直後に湿潤摩擦堅牢性に関して試験した(限度=損傷を伴わない60回の摩擦サイクル)
【0061】
【表5】

【0062】
評価/損傷: 0=無し、s=僅かにあり、su=実質的にあり、st=大きくあり、vs=極めて大きくあり。
【0063】
同様の性能は、従来技術(安定化剤含有率が極めて高い)と同様に新規な配合物A1を用いて達成した。安定化剤の含有量を増大させることにより、効果の低減又は効果の遅延は得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の多官能性アジリジン化合物と1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む組成物。
【請求項2】
多官能性アジリジン化合物が、下式(II):
【化1】

[但し、R1及びR2が相互に独立して、それぞれ水素原子又は非官能化若しくは官能化のアルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアリールアルキル基を表す。]
で表される少なくとも2種の構造単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
更に、非反応性の極性溶剤を含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
それぞれ組成物に対して、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの含有率が0.1〜10質量%であり、溶剤含有率が1〜50質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
多官能性アジリジン化合物が、無置換又は置換のエチレンイミンと多価アルコールのα,β−不飽和カルボン酸エステルとのミカエル付加体、及び無置換又は置換のエチレンイミンとポリイソシアネートとの付加体からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
以下の処理工程:
(a)無置換又は置換のエチレンイミンと1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの混合物を準備する工程、
(b)α,β−不飽和カルボン酸でエステル化された少なくとも1種の多価アルコール及び/又は少なくとも1種のポリイソシアネートを添加する工程、
を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項7】
アルコールがトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール及び4,4’−メチレンジフェノールからなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸からなる群から選択される請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)及び1,3,5−トリス(ω−ヘキサメチレンイソシアナト)ビウレットからなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法により得られた組成物。
【請求項11】
請求項1〜5又は請求項10のいずれか1項に記載の組成物を、革の処理、被覆、テキスタイル印刷及び表面コーティング剤の分野における配合物の硬化成分として使用する方法。
【請求項12】
1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンをアジリジン含有化合物及び組成物の安定化に使用する方法。
【請求項13】
硬化成分として請求項1〜5又は請求項10のいずれか1項に記載の組成物を含む、革処理用組成物、被覆用組成物、テキスタイル印刷用組成物又は表面コーティング剤用組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の多官能性アジリジン化合物と、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンと、非反応性の極性溶剤を含む組成物であって、
1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの含有率が組成物に対して0.1〜10質量%であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
多官能性アジリジン化合物が、下式(II):
【化1】

[但し、R1及びR2が相互に独立して、それぞれ水素原子又は非官能化若しくは官能化のアルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアリールアルキル基を表す。]
で表される少なくとも2種の構造単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
溶剤含有率が組成物に対して1〜50質量%である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
多官能性アジリジン化合物が、無置換又は置換のエチレンイミンと多価アルコールのα,β−不飽和カルボン酸エステルとのミカエル付加体、及び無置換又は置換のエチレンイミンとポリイソシアネートとの付加体からなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
以下の処理工程:
(a)無置換又は置換のエチレンイミンと1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの混合物を準備する工程、
(b)α,β−不飽和カルボン酸でエステル化された少なくとも1種の多価アルコール及び/又は少なくとも1種のポリイソシアネートを添加する工程、
を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項6】
アルコールがトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール及び4,4’−メチレンジフェノールからなる群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸からなる群から選択される請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)及び1,3,5−トリス(ω−ヘキサメチレンイソシアナト)ビウレットからなる群から選択される請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法により得られた組成物。
【請求項10】
請求項1〜4又は請求項9のいずれか1項に記載の組成物を、革の処理、被覆、テキスタイル印刷及び表面コーティング剤の分野における調剤の硬化成分として使用する方法。
【請求項11】
1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンをアジリジン含有化合物及び組成物の安定化に使用する方法。
【請求項12】
硬化成分として請求項1〜4又は請求項9のいずれか1項に記載の組成物を含む、革処理用組成物、被覆用組成物、テキスタイル印刷用組成物又は表面コーティング用組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の多官能性アジリジン化合物と1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む組成物。
【請求項2】
多官能性アジリジン化合物が、下式(II):
【化1】

[但し、R1及びR2が相互に独立して、それぞれ水素原子又は非官能化若しくは官能化のアルキル基、アルケニル基、アリール基若しくはアリールアルキル基を表す。]
で表される少なくとも2種の構造単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
更に、非反応性の極性溶剤を含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
それぞれ組成物に対して、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの含有率が0.1〜10質量%であり、溶剤含有率が1〜50質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
多官能性アジリジン化合物が、無置換又は置換のエチレンイミンと多価アルコールのα,β−不飽和カルボン酸エステルとのミカエル付加体、及び無置換又は置換のエチレンイミンとポリイソシアネートとの付加体からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
以下の処理工程:
(a)無置換又は置換のエチレンイミンと1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの混合物を準備する工程、
(b)α,β−不飽和カルボン酸でエステル化された少なくとも1種の多価アルコール及び/又は少なくとも1種のポリイソシアネートを添加する工程、
を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項7】
アルコールがトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール及び4,4’−メチレンジフェノールからなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
α,β−不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸からなる群から選択される請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)及び1,3,5−トリス(ω−ヘキサメチレンイソシアナト)ビウレットからなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法により得られた組成物。
【請求項11】
硬化成分として請求項1〜5又は請求項10のいずれか1項に記載の組成物を含む、革処理用組成物、被覆用組成物、テキスタイル印刷用組成物又は表面コーティング剤用組成物。

【公表番号】特表2006−516657(P2006−516657A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556218(P2004−556218)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013424
【国際公開番号】WO2004/050617
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】