説明

多層プリント配線板およびその製造方法

【課題】めっき金属で充填されたスルーホールを有する多層プリント配線板、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による多層プリント配線板90は、内層回路基材10と、絶縁層を介して内層回路基材10の表面に積層された外層回路基材40と、絶縁層を介して内層回路基材10の裏面に積層された外層回路基材50と、内層回路基材10および外層回路基材40,50を貫通するスルーホール61に、めっき金属68が充填されたフィルド貫通ビア71とを備え、スルーホール61は、外層回路基材40を貫通するビアホール67と、内層回路基材10を貫通する内層スルーホール5と、外層回路基材50を貫通するビアホール66と、が連通するように構成されており、ビアホール66及び67は内層スルーホール5の最大開口径よりも大きい最小開口径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板およびその製造方法に関し、特に、フィルドビア構造を有する多層プリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化および高機能化がますます進展しており、それにつれて、プリント配線板に対する高密度化の要求が高まっている。そのため、複数のプリント配線板を貼り合わせて高密度化を図った多層プリント配線板が、携帯電話やデジタルビデオカメラ等の小型電子機器を中心に広く普及している。高密度化されたプリント配線板の一例として、フレキシブルプリント配線板を積層した多層プリント配線板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2及び3には、スルーホールの縦断面形状を鼓状、もしくはテーパー形状の頂部同士をつき合わせた形状とすることで、めっき金属で充填されたスルーホール(以下、「フィルド貫通ビア」という。)を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-200260号公報
【特許文献2】特開2004-311919号公報
【特許文献3】特開2003-046248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、比較例に係る多層フレキシブルプリント配線板の製造方法について、図5Aおよび図5Bを用いて説明する。
【0006】
(1)まず、ポリイミドなどからなる可撓性の絶縁ベースフィルムの両面に銅箔が形成された両面銅張積層板を準備する。そして、この両面銅張積層板に対し、スルーホールの形成、銅めっき処理および銅箔のパターニングなどを行って、内層回路基材100を作製する。図5A(1)からわかるように、内層回路基材100は、絶縁ベースフィルムの両面に形成された配線パターンと、両面の配線パターンを電気的に接続するめっきスルーホールとを有する。
【0007】
(2)次に、図5A(1)からわかるように、内層回路基材100の両面を絶縁保護するため、真空ラミネータなどを用いて、絶縁フィルム130と接着剤層120とを有するカバーレイ110を、内層回路基材100の両面にラミネートする。これにより、コア基板200が作製される。
【0008】
(3)次に、ビルドアップ層用の外層回路基材300を作製する。この外層回路基材300は、両面銅張積層板の両面の銅箔を所定のパターンにしたがって加工したものである。外層回路基材300の配線パターンはブラインドビアホール形成部位に開口部310を有する。この開口部310は、後段のレーザ加工工程においてコンフォーマルマスクとして機能する。
【0009】
(4)次に、コア基板200の両面に積層接着剤層210を介して外層回路基材300を積層し、それにより、図5A(1)に示す多層回路基材400を作製する。
【0010】
(5)次に、図5A(2)に示すように、多層回路基材400にブラインドビアホールおよびスルーホールを形成する。より具体的には、外層回路基材300の開口部310にレーザ光を照射してレーザ加工を行い、底面に内層回路基材100の配線パターンが露出したブラインドビアホール410、および底面に外層回路基材300の裏面の配線パターンが露出したブラインドビアホール420を形成する。また、スルーホールの形成部位にドリル加工を行うことにより、多層回路基材400を貫通するスルーホール430を形成する。
【0011】
(6)次に、図5A(3)に示すように、ブラインドビアホール410,420およびスルーホール430が形成された多層回路基材400にめっき処理を施し、めっき皮膜450を形成する。ブラインドビアホール410,420およびスルーホール430の側面にめっき皮膜450が形成されることにより、層間接続路として機能する、めっきブラインドビアホール460,470,480およびめっきスルーホール490が形成される。
【0012】
(7)次に、図5B(4)に示すように、フォトファブリケーション手法を用いて、外層回路基材300の表面の導電膜を所定のパターンに加工して、外層回路配線パターン500を形成する。
【0013】
(8)次に、図5B(5)に示すように、外層回路配線パターン500、めっきブラインドビアホール460,470,480およびめっきスルーホール490を絶縁保護するソルダーレジスト510を形成する。このソルダーレジスト510は、部品実装用の端子および接続用の端子の形成予定部位に開口部510aを有するように形成される。なお、絶縁保護材として、ソルダーレジストに代えて、カバーレイを用いることもできる。
【0014】
(9)次に、開口部510aの底面に露出した外層回路配線パターン500に金めっきや錫めっき等の表面処理を施して、端子520を形成する。
【0015】
上述の工程により、めっきブラインドビアホール460,470,480と、めっきスルーホール490とを有する多層フレキシブルプリント配線板600が完成する。
【0016】
図5Bからわかるように、端子520は、めっきブラインドビアホール460,470,480及びめっきスルーホール490の直上に設けられていない。これは、電子部品、典型的には、チップサイズパッケージ(CSP:Chip Size Package)などのベアチップを多層フレキシブルプリント配線板に対して平行に実装するためである。即ち、めっきブラインドビアホール460,470,480及びめっきスルーホール490の直上に電子部品を実装した場合、電子部品をプリント配線板に対して平行に実装することが困難となる。この理由を明らかにするために、CSPの実装工程について説明する。
【0017】
まず、CSPの端子上に設けられた複数の半田ボールが、めっきブラインドビアホール460,470,480及びめっきスルーホール490の直上に各々位置するように、プリント配線板の上にCSPを載置する。その後、リフロー工程において半田ボールを溶かし、CSPをプリント配線板に固定する。しかしながら、図5B(5)に示すように、めっきブラインドビアホール460,470,480、めっきスルーホール490の深さは区々であるため、これらのホールに吸い込まれる溶融した半田の量はホールごとに異なる。その結果、CSPはプリント配線板に対して平行に実装されない。
【0018】
したがって、めっきブラインドビアホール460,470,480、めっきスルーホール490の直上に端子を設けることはできず、図5B(5)に示す端子520のように、めっきブラインドビアホール460,470,480およびめっきスルーホール490の直上から左右にずらした位置に端子を設ける必要がある。
【0019】
近年のデジタルビデオカメラ等の電子機器の小型化・高機能化はめざましく、CSPのパッドピッチは、ますます狭ピッチ化している。具体的には、当初0.8mm程度であったパッドピッチが0.5mm以下となり、それに合わせて、プリント配線板に対してさらなる高密度化が要求されている。
【0020】
しかしながら、上記のように端子の配置に制約があるため、従来、狭ピッチかつ多ピンのチップ、例えば、10×10以上のパッドがフルグリッドで配置されたCSPを実装することは非常に困難であった。
【0021】
このため、ブラインドビアホールやスルーホールに金属を充填するフィリングめっき処理を行うことにより、フィルドビア構造を形成することが考えられる。前述のように、特許文献2及び3には、スルーホールの縦断面形状を鼓状とすることで、フィルド貫通ビアを形成する方法が提案されている。
【0022】
しかしながら、これらの文献はいずれも単一の材料からなる単層の基板を対象としており、多層プリント配線板に対して適用することはできない。例えば図5B(5)に示す多層プリント配線板の場合、被加工層は絶縁フィルム、接着剤および銅箔など加工特性が異なる様々な材料が積層されたものである。したがって、レーザ加工等を用いても、被加工層を縦断面が鼓状になるように加工することは極めて困難である。
【0023】
さらに、多層プリント配線板の場合、別の問題もある。即ち、電子部品の端子はスルーホールの上だけでなくブラインドビアホールの上に設ける必要もあるが、スルーホールとブラインドビアホールは、構造上、めっき薬液の流動性が異なるため、同じフィリングめっき工程で処理することが困難であるという問題がある。より詳細には、フィリングめっき処理は、めっき薬液の流動性が低い方が効率的で容易であるという特徴を有する。有底のブラインドビアホールの場合、めっき薬液の流動性が低いため、良好なフィルドビア構造を得ることができる。それに対し、スルーホールの場合、めっき薬液の流動性が高いため、スルーホール内にめっき金属を効率よく充填することができない。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一態様によれば、内層回路基材と、絶縁層を介して前記内層回路基材の表面に積層された第1の外層回路基材と、絶縁層を介して前記内層回路基材の裏面に積層された第2の外層回路基材と、前記第1の外層回路基材、前記内層回路基材および前記第2の外層回路基材を貫通するスルーホールに、めっき金属が充填されたフィルド貫通ビアと、を備え、
前記スルーホールは、前記第1の外層回路基材を貫通する第1のビアホールと、前記内層回路基材を貫通する内層スルーホールと、前記第2の外層回路基材を貫通する第2のビアホールとが連通するように構成されており、前記第1および第2のビアホールは、前記内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有することを特徴とする多層プリント配線板が提供される。
【0025】
本発明の別態様によれば、可撓性の絶縁ベースフィルムと、当該絶縁ベースフィルムの両面に形成された金属箔とを有する、両面金属張積層板を準備し、前記両面金属張積層板を厚さ方向に貫通する内層スルーホールを形成し、前記両面金属張積層板の金属箔をパターニングし、内層配線パターンを形成し、これにより、内層回路基材を作製し、可撓性の絶縁ベースフィルムと、当該絶縁ベースフィルムの少なくとも一方の面に形成された金属箔とを有する、第1および第2の金属張積層板を準備し、前記第1の金属張積層板の金属箔をパターニングし、第1の外層配線パターンを形成し、これにより、第1の外層回路基材を作製し、前記第2の金属張積層板の金属箔をパターニングし、第2の外層配線パターンを形成し、これにより、第2の外層回路基材を作製し、前記内層回路基材の表面に前記第1の外層回路基材を、前記第1の外層配線パターンが外側に位置するように、絶縁層を介して積層し、かつ、前記内層回路基材の裏面に前記第2の外層回路基材を、前記第2の外層配線パターンが外側に位置するように、絶縁層を介して積層し、それにより、多層回路基材を作製し、前記多層回路基材の所定の領域にレーザ光を照射するレーザ加工工程を行うことによって、前記第1の外層回路基材を貫通し、前記内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有する第1のビアホールと、前記内層スルーホールと、前記第2の外層回路基材を貫通し、前記内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有する第2のビアホールとが連通したものとして構成され、前記多層回路基材を貫通するスルーホールを形成し、前記スルーホールにめっき金属を充填するフィリングめっき処理を行い、前記内層配線パターン、前記第1の外層配線パターンおよび前記第2の外層配線パターンを電気的に接続するフィルド貫通ビアを形成する、ことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態に係るスルーホールは、第1の外層回路基材を貫通する第1のビアホールと、内層回路基材を貫通する内層スルーホールと、第2の外層回路基材を貫通する第2のビアホールとが連通するように構成されている。また、第1および第2のビアホールは、内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有する。このような構成を有するスルーホールでは、第1のビアホールと内層スルーホールの接続部分および第2のビアホールと内層スルーホールの接続部分にコーナー部ができ、スルーホール内にめっき金属を充填する際、コーナー部が存在することによりめっき薬液の流動性が低下し、めっき金属が析出しやすくなる。さらに、第1および第2のビアホールは、内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有するものとして構成されているため、スルーホールは内層側にいくほど径が小さくなる。このため、フィリングめっき処理の際、内層スルーホールがめっき金属によって最初に閉塞され、上下2つのV字型の凹部が形成される。これにより、ボイド等の発生が抑制されて高品質なフィルド貫通ビアを形成することが可能となるとともに、めっき薬液の流動性がさらに低下するため、フィリングめっき処理の効率が向上し、フィルド貫通ビアの形成時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】本発明の実施形態に係る多層フレキシブルプリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図1B】本発明の実施形態に係る多層フレキシブルプリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図2A】本発明の実施形態に係る多層フレキシブルプリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図2B】図2Aに続く、本発明の実施形態に係る多層プリントフレキシブル配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図3】図2A(3)のA部を拡大した断面図、およびスルーホールの平面図である。
【図4A】スルーホール内にめっき金属が充填される様子を示す断面図である。
【図4B】図4Aに続く、スルーホール内にめっき金属が充填される様子を示す断面図である。
【図5A】比較例に係る多層フレキシブルプリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図5B】図5Aに続く、比較例に係る多層フレキシブルプリント配線板の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】(A)は片面銅張積層板から作製された外層回路基材をコア基板に積層した多層プリントフレキシブル配線板の断面図であり、(B)は片面銅張積層板から作製された外層回路基材を内層回路基材に積層した多層プリントフレキシブル配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。また、図面は、特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0030】
本実施形態に係る多層プリント配線板の製造方法を、図1A、図1B、図2A、図2B、図3、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。
【0031】
まず、図1Aを用いて、コア基板の製造方法について説明する。
【0032】
(1)ポリイミド等からなる可撓性の絶縁ベースフィルム1と、この絶縁ベースフィルム1の両面に形成された銅箔2及び銅箔3とを有する両面銅張積層板4を準備する。
【0033】
(2)次に、図1A(1)からわかるように、両面銅張積層板4に対し、NCドリル加工(又はレーザ加工法)等により、両面銅張積層板4を貫通する内層スルーホール5を形成する。
【0034】
(3)次に、図1A(1)からわかるように、内層スルーホール5内にデスミア処理および導電化処理を行った後、内層スルーホール5の形成された両面銅張積層板4の全面にわたってめっき処理(例えば電解銅めっき処理)を施す。これにより、銅箔2,3上、および内層スルーホール5の内壁にめっき皮膜6を形成するとともに、銅箔2および銅箔3を電気的に接続するめっきスルーホール7を形成する。
【0035】
(4)次に、サブトラクティブ工法により、絶縁ベースフィルム1の両面の導電膜(めっき皮膜6及び銅箔2,3)を所定のパターンに加工する。より詳細には、めっき皮膜6およびめっきスルーホール7を被覆するように、ドライフィルムレジスト等のレジスト層(図示せず)を形成し、その後、フォトファブリケーション法によりレジスト層を露光・現像して、レジスト層を所定のパターンに加工する。その後、パターニングされたレジスト層をマスクにして、めっき皮膜6及び銅箔2,3をエッチングすることにより、内層配線パターン8A,8Bを形成する。その後、レジスト層を剥離する。
【0036】
ここまでの工程により、図1A(1)に示すように、表面及び裏面に内層配線パターン8A,8Bがそれぞれ形成され、めっきスルーホール7を有する内層回路基材10が作製される。
【0037】
なお、上記の手順では、内層スルーホール5を形成した後にめっき処理を行ったが、このめっき処理を行わずに銅箔2,3のパターニングを行ってもよい。
【0038】
(5)次に、ポリイミドフィルム等からなる絶縁フィルム12と、この絶縁フィルム12の片面に形成された接着剤層11とを有するカバーレイ13を準備する。接着剤層11は、例えばアクリル、エポキシ等の接着剤からなる。そして、内層配線パターン8A,8Bを絶縁保護するために、真空ラミネータ等を用いて、内層回路基材10の両面にそれぞれカバーレイ13をラミネートする。本工程を経て、図1(2)に示すコア基板20が作製される。なお、図1(2)に示すように、内層配線パターン8A,8B及びめっきスルーホール7は接着剤層11により充填される。
【0039】
次に、コア基板20に積層するビルドアップ層となる外層回路基材40,50の製造方法について、図1Bを用いて説明する。
【0040】
(1)まず、両面銅張積層板34および両面銅張積層板44を準備する。この両面銅張積層板34(44)は、ポリイミド等からなる可撓性の絶縁ベースフィルム31(41)と、その両面に形成された銅箔32(42)及び銅箔33(43)とを有する。
【0041】
(2)次に、サブトラクティブ工法により、両面銅張積層板34の銅箔32,33を所定のパターンに加工することにより、図1B(a)に示す外層回路基材40を作製する。銅箔32は開口部35,37および38を有し、銅箔33は開口部36を含む外層配線パターン39を有する。
【0042】
同様に、両面銅張積層板44の銅箔42,43を所定のパターンに加工することにより、図1B(b)に示す外層回路基材50を作製する。銅箔42は開口部47を含む外層配線パターン49を有し、銅箔43は開口部45,46および48を有する。開口部35〜38および開口部45〜48は、スルーホールやブラインドビアホールの形成予定領域に設けられており、後段のレーザ加工工程においてコンフォーマルマスクとして機能する。
【0043】
また、図1B(a)および(b)には、図中下から見たときの開口部36および開口部45の形状を示している。このように開口部36及び45は、最小開口径を基準にしてみると、襞状に複数の凹部を有する星形の形状のものとして形成されており、最大開口径を基準にしてみると、内側に向かう複数の突起部を有するものとして形成されている。
【0044】
次に、上記の工程で作製したコア基板20、外層回路基材40および外層回路基材50を用いて、本実施形態に係る多層フレキシブルプリント配線板を作製する方法を説明する。
【0045】
(1)図2A(1)に示すように、外層回路基材40および50を、接着剤層51を介して、コア基板20の表面および裏面の所定の領域にそれぞれ積層接着する。これにより、図2A(2)に示す多層回路基材60を作製する。外層回路基材が積層されない領域は、配線を引き出すための可撓性ケーブル部となる。
【0046】
なお、接着剤層51に用いる接着材としては、ローフロータイプのプリプレグやボンディングシート等といった流れ出しの少ないものが好ましい。
【0047】
(2)次に、図2A(2)及び(3)に示すように、多層回路基材60の開口部35,37,38,45,46,48にレーザ光(例えば、COレーザ)を照射し、コンフォーマルレーザ加工を行う。これにより、スルーホール61、およびブラインドビアホール62〜65を形成する。その後、デスミア処理などにより、スルーホール61、およびブラインドビアホール62〜65内のクリーニングを行う。
【0048】
図2A(3)に示すように、スルーホール61は、多層回路基材60を厚さ方向に貫通するものであり、より詳細には、図中上側から下側に向かって絶縁ベースフィルム31、接着剤層51(上側)、絶縁フィルム12(上側)、接着剤層11(上側)、接着剤層11(下側)、絶縁フィルム12(下側)、接着剤層51(下側)および絶縁ベースフィルム41を貫通する。
【0049】
ブラインドビアホール62は、絶縁ベースフィルム31、接着剤層51、絶縁フィルム12および接着剤層11を貫通し、その底面にはめっき皮膜6が露出している。このブラインドビアホール62は、外層回路基材40の裏面に設けられた外層配線パターン39をスキップするスキップビアホールである。
【0050】
ブラインドビアホール63は、絶縁ベースフィルム41、接着剤層51、絶縁フィルム12および接着剤層11を貫通し、その底面にはめっき皮膜6が露出している。このブラインドビアホール63は、中段に銅箔42が露出したステップビアホールである。
【0051】
ブラインドビアホール64は、絶縁ベースフィルム31を貫通し、その底面には銅箔33が露出したブラインドビアホールである。また、ブラインドビアホール65は、絶縁ベースフィルム41を貫通し、その底面には銅箔42が露出したブラインドビアホールである。
【0052】
ここで、スルーホール61の構造について、図3を用いて、さらに詳細に説明する。図3は、図2A(3)の点線で囲われた部分(A部)の拡大断面図を示している。スルーホール61は、内層スルーホール5、ビアホール67およびビアホール66が連通したものとして構成されている。
【0053】
ビアホール67は、銅箔32の開口部35をマスクにして形成された上穴と、銅箔33の開口部36をマスクにして形成された下穴とを有するステップビアホールである。図3に示すように、内層スルーホール5、ビアホール67の下穴、ビアホール67の上穴の順に、直径が大きくなる。即ち、多層回路基材を貫通するスルーホールの直径は、内層側にいくにしたがって段階的に小さくなる。
【0054】
ビアホール66は、銅箔43の開口部45をマスクにして形成されたビアホールである。図3に示すように、ビアホール66の直径は内層スルーホール5の直径よりも大きい。より一般的には、内層回路基材10に設けられた内層スルーホール5の最大開口径は、外層回路基材40,50に設けられたビアホール66,67の最小開口径より小さい。ここで、最大開口径とは、開口径の最大値を意味する。内層スルーホール5の横断面形状が図3に示すような円形であれば、最大開口径は、その円の直径(図3中の長さa)である。また、最小開口径とは、開口径の最小値を意味する。ビアホール66や、ビアホール67の下穴の横断面形状が図3に示すような内側に向かう突起部を有する星形であれば、最小開口径は、その星形の対向する2つの突起部間の距離(図3中の長さb)である。
【0055】
図3の拡大断面図の上方および下方には、スルーホール61を上側および下側からみたときのスルーホール61の平面図をそれぞれ示す。
【0056】
ビアホール67の下穴の横断面は開口部36の形状と同じになる。このため、ビアホール67の下穴の側壁には。開口部36の星形形状を反映して凹凸が形成される。同様に、ビアホール66の横断面は開口部45の形状と同じになる。このため、ビアホール66の側壁には、開口部45の星形形状を反映して凹凸が形成される。
【0057】
(3)次に、図2B(4)に示すように、スルーホール61、およびブラインドビアホール62〜65に対して導電化処理を行う。その後、フィリングめっき処理用のめっき薬液(硫酸銅めっき添加剤。例えば、奥野製薬工業社製のトップルチナTHF)を用いたフィリングめっき処理(電解めっき処理)により、スルーホール61、およびブラインドビアホール62〜65内にめっき金属68を充填し、フィルド貫通ビア71、フィルドビア72〜75を形成する。
【0058】
これにより、図2B(4)に示すように、スルーホール61、およびブラインドビアホール62〜65をめっき金属68で充填された多層回路基材70が得られる。
【0059】
ここで、スルーホール61内にめっき金属68が充填される様子について、図4Aおよび図4Bを用いて詳細に説明する。
【0060】
図4A(1)に示すように、フィリングめっき処理の初期においては、フィリングめっき薬液の流動性が比較的小さいコーナー部Cを中心に、めっき金属68が析出する。その後、めっき処理が進むにつれて、図4A(2)に示すように、スルーホール61内に析出しためっき金属は、スルーホール61のうち最も径の小さい領域Dを頂部とする鼓状となる。
【0061】
さらにめっき処理が進行すると、図4A(2)および(3)に示すように、スルーホール61は領域Dにおいてめっき金属68により閉塞される。その結果、図4A(3)に示すように、上下2つのすり鉢状の凹部69が形成される。凹部69ができることで、めっき薬液の流動性がさらに低下するため、めっきフィリングが促進される。
【0062】
その後、フィリングめっき処理が進みにつれて、図4B(4)および(5)に示すように、凹部69は浅くなり、最終的には所定の深さ以下となり、フィリングめっき処理が完了する。
【0063】
このように、スルーホール61は、コーナー部を有し、かつ、内側にいくにつれ径が小さくなるように構成されているため、迅速に、かつ、ボイド等を発生させずに、スルーホール61をめっき金属68で充填することができる。
【0064】
また、スルーホール61のフィリングめっき処理により、ブラインドビアホール62,63,64,65もめっき金属68で充填することができる。よって、スルーホール61とブラインドビアホール62,63,64,65のめっきフィリング工程を統一することができる。
【0065】
さらに、図3を用いて説明したように、ビアホール67の下穴およびビアホール66の側壁には襞状に複数の凹部が設けられている。この凹部によってもめっき薬液の流動性は低下するため、フィリングめっき処理の際、この凹部においてめっき金属の析出が促進される。その結果、より迅速に金属の充填を行うことができる。
【0066】
(4)次に図2B(5)に示すように、例えば前述のサブトラクティブ工法により、多層回路基材70の表層の導電膜を所定のパターンに従ってエッチングし、外層配線パターン80Aおよび80Bを形成する。
【0067】
(5)次に、図2B(6)に示すように、外層配線パターン80A,80Bを保護するソルダーレジスト91を形成する。このソルダーレジスト91は、部品実装用の端子および接続用の端子の形成予定部位に開口部91aを有する。なお、ソルダーレジストに代えて、カバーレイを用いて外層配線パターン80A,80Bの保護膜を形成してもよい。
【0068】
(6)次に、図2B(6)に示すように、開口部91aの底面に露出しためっき金属68に、金めっきや錫めっき等の所要の表面処理を施し、端子92を形成する。
【0069】
以上の工程を経て、本発明の実施形態に係る多層フレキシブルプリント配線板90が完成する。
【0070】
次に、本実施形態に係る多層フレキシブルプリント配線板90の構成について説明する。
【0071】
図2B(6)に示すように、多層フレキシブルプリント配線板90は、内層回路基材10の表面および裏面にそれぞれ外層回路基材40および50が積層されたものとして構成されている。多層回路基材40は、絶縁層(接着剤層11、絶縁フィルム12、接着剤層51)を介して内層回路基材10の表面に積層されている。多層回路基材50は、絶縁層(接着剤層11、絶縁フィルム12、接着剤層51)を介して内層回路基材10の裏面に積層されている。
【0072】
また、多層フレキシブルプリント配線板90は外層回路基材40、内層回路基材10および外層回路基材50を貫通するスルーホール61に、めっき金属が充填されたフィルド貫通ビア71を備える。
【0073】
スルーホール61は、外層回路基材40を貫通するビアホール67と、内層回路基材10を貫通する内層スルーホール5と、外層回路基材50を貫通するビアホール66とが連通するように構成されている。また、ビアホール66,67は、内層スルーホール5の最大開口径よりも大きい最小開口径を有する。
【0074】
フィルド貫通ビア71は、外層回路基材40の両面に設けられた配線パターン、内層回路基材10の両面に設けられた配線パターン、および外層回路基材50の両面に設けられた配線パターンの計6層を電気的に接続する。なお、スルーホール5の側壁にめっき皮膜6が設けられていることで、フィルド貫通ビア71の層間接続の信頼性をさらに向上させることができる。
【0075】
また、多層フレキシブルプリント配線板90では、ブラインドビアホールにもめっき金属が充填されたフィルドビア72〜75を備える。フィルドビア(サーフェスビア)74,75は、ビルドアップ層である外層回路基材40,50の両面に設けられた2層の配線パターンを電気的に接続する。フィルドビア(スキップビア)72は、外層回路基材40と内層回路基材10に設けられた2層の配線パターンを電気的に接続する。また、フィルドビア(ステップビア)73は、外層回路基材50の両面に設けられた配線パターン、および内層回路基材10に設けられた配線パターンの3層を電気的に接続する。
【0076】
上記のように、多層フレキシブルプリント配線板90では、層間導電路はフィルドビア構造を用いて構成されている。これにより、図2B(6)に示すように、フィルド貫通ビア71やフィルドビア72〜75の直上に端子92を設けることができる。したがって、端子の配置自由度が増し、狭ピッチのCSPなどの電子部品を多層フレキシブルプリント配線板90に対して平行に実装することが可能となる。
【0077】
以上説明したように、本発明によれば、集積度が高く、狭ピッチのCSPなどの電子部品を搭載可能な多層プリント配線板が得られる。
【0078】
また、多層フレキシブルプリント配線板90は、引き出し自由度の高い可撓性ケーブル部として備えてもよい。この可撓性ケーブル部は、外層回路基材40,50が積層された部品実装部から延伸するように設けられている。
【0079】
上記の実施形態の説明では、外層回路基材40,50は、両面銅張積層板34,44を用いて作製したが、これに限らず、片面銅張積層板を用いて作製してもよい。図6(A)は、片面銅張積層板を用いて作製した外層回路基材40A,50Aを、コア基板20に積層した多層プリント配線板90Aの断面図を示している。
【0080】
図6(A)に示すように、外層回路基材40Aおよび50Aは、片面銅張積層板の銅箔を加工して形成された外層配線バターンを有し、この外層配線パターンが外側に位置するように、外層回路基材40Aおよび50Aは接着剤層51Aを介してコア基板20の表面および裏面にそれぞれ積層されている。
【0081】
また、上記の実施形態の説明では、内層回路基材10にカバーレイ13をラミネートしてコア基板20を作製し、その後、外層回路基材をコア基板20に積層したが、これに限らず、内層回路基材10に直接外層回路基材を積層してもよい。図6(B)は、片面銅張積層板を用いて作製した外層回路基材40B,50Bを内層回路基材10に積層した多層プリント配線板90Bの断面図を示している。
【0082】
図6(B)に示すように、外層回路基材40Bおよび50Bは、片面銅張積層板の銅箔を加工して形成された外層配線バターンを有し、この外層配線パターンが外側に位置するように、外層回路基材40Bおよび50Bは接着剤層51Bを介して内層回路基材10の表面および裏面にそれぞれ積層されている。図6(B)からわかるように、内層回路基材10の内層配線パターンを絶縁保護するため、外層回路基材40B,50Bは可撓性ケーブル部にも積層される。
【0083】
なお、外層回路基材40B,50Bを内層回路基材10に積層する方法には大きく2つの方法がある。
【0084】
第1の方法は、内層回路基材10の内層配線パターン8A,8Bおよびめっきスルーホール7を充填するように接着剤層51Bを形成し、この接着剤層51Bの上に外層回路基材40B,50Bを積層する方法である。
【0085】
第2の方法は、銅箔が形成されていない方の面に接着剤層を有する、接着剤層付き片面銅張積層板を用いる方法である。この方法では、片面銅張積層板の銅箔を加工して外層回路基材40B,50Bを作製し、この外層回路基材40B,50Bを内層回路基材10にラミネートする。なお、接着剤層付き片面銅張積層板を内層回路基材10にラミネートした後、表面の銅箔を加工して外層配線パターンを形成してもよい。
【0086】
また、コア基板20(または内層回路基材10)の一方の面には、両面銅張積層板から作製された外層回路基材を積層し、他方の面には、片面銅張積層板から作製された外層回路基材を積層してもよい。
【0087】
以上、本発明に係る多層プリント配線板およびその製造方法について説明した。
【0088】
上記実施形態の説明では、銅箔等の導電膜をパターニングして配線パターン及び開口部を設ける手法として、サブトラクティブ工法を採用したが、これに限らず、セミアディティブ工法など他の工法を用いてもよい。
【0089】
また、コンフォーマルマスクとして機能する開口部は、外層回路基材をコア基板に積層した後に形成してもよい。その他、レーザ加工法として、コンフォーマルマスクを用いない方法、即ち、導電膜上にレーザ光を直接照射して、導電膜及びその下の絶縁層を除去するダイレクトレーザ加工法を用いてもよい。
また、ビアホール66,67に横断面の形状は、図3に示す星形に限らない。フィリングめっき処理において、めっき薬液の流動性が低下するような構造(凹凸など)が設けられていればよい。また、ビアホール67の下穴だけでなく上穴の側壁にも凹部を設けてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では多層フレキシブルプリント配線板について説明したが、これに限らず、リジッドフレックスプリント配線板や多層リジッドプリント配線板など他の多層プリント配線板に対して本発明を適用することも可能である。
【0091】
また、配線パターンやめっき金属は銅に限らない。即ち、上記の実施形態の説明では、配線パターンを構成する金属およびビアホール等に充填されるめっき金属は銅であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばアルミニウムや銀など他の金属でもよい。
【0092】
また、上記実施形態の多層フレキシブルプリント配線板は6層の配線パターンを有するものであったが、これに限られない。外層回路基材40,50の上にさらに外層回路基材を積層した多層プリント配線板に対しても本発明を適用することは可能である。
【0093】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 絶縁ベースフィルム
2,3 銅箔
4 両面銅張積層板
5 内層スルーホール
6 めっき皮膜
7 めっきスルーホール
8A,8B 内層配線パターン
10 内層回路基材
11 接着剤層
12 絶縁フィルム
13 カバーレイ
20 コア基板
31,41 絶縁ベースフィルム
32,33,42,43 銅箔
34,44 両面銅張積層板
35,36,37,38,45,46,47,48 開口部
39,49 外層配線パターン
40,40A,40B,50,50A,50B 外層回路基材
51,51A,51B 接着剤層
60 多層回路基材
61 スルーホール
62,63,64,65 ブラインドビアホール
66,67 ビアホール
68 めっき金属
69 凹部
70 多層回路基材
71 フィルド貫通ビア
72,73,74,75 フィルドビア
80A,80B 外層配線パターン
90,90A,90B 多層プリント配線板
91 ソルダーレジスト
91a 開口部
92 端子
100 内層回路基材
110 カバーレイ
120 接着剤層
130 絶縁フィルム
200 コア基板
210 積層接着剤層
300 外層回路基材
310 開口部
400 多層回路基材
410,420 ブラインドビアホール
430 スルーホール
450 めっき皮膜
460,470,480 めっきブラインドビアホール
490 めっきスルーホール
500 外層回路配線パターン
510 ソルダーレジスト
510a 開口部
520 端子
600 多層プリント配線板
C コーナー部
D 中央領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層回路基材と、
絶縁層を介して前記内層回路基材の表面に積層された第1の外層回路基材と、
絶縁層を介して前記内層回路基材の裏面に積層された第2の外層回路基材と、
前記第1の外層回路基材、前記内層回路基材および前記第2の外層回路基材を貫通するスルーホールに、めっき金属が充填されたフィルド貫通ビアと、
を備え、
前記スルーホールは、前記第1の外層回路基材を貫通する第1のビアホールと、前記内層回路基材を貫通する内層スルーホールと、前記第2の外層回路基材を貫通する第2のビアホールとが連通するように構成されており、前記第1および第2のビアホールは、前記内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有することを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項2】
前記第1のビアホール及び/又は前記第2のビアホールは、その側壁に凹凸を有することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
【請求項3】
前記第1のビアホール及び/又は前記第2のビアホールの横断面は、内側に向かう複数の突起部を有することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
【請求項4】
前記第1の外層回路基材、及び/又は前記第2の外層回路基材を貫通するブラインドビアホールに、めっき金属が充填されたフィルドビアをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項5】
前記第1および第2の外層回路基材が積層された部品実装部から延伸するように設けられた可撓性ケーブル部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項6】
前記内層回路基材は、可撓性の第1の絶縁ベースフィルムと、前記第1の絶縁ベースフィルムの両面にそれぞれ設けられた第1および第2の内層配線パターンとを有し、
前記第1の外層回路基材は、可撓性の第2の絶縁ベースフィルムと、前記第2の絶縁ベースフィルムの表面および裏面にそれぞれ設けられた第1および第2の外層配線パターンとを有し、
前記第2の外層回路基材は、可撓性の第3の絶縁ベースフィルムと、前記第3の絶縁ベースフィルムの表面および裏面にそれぞれ設けられた第3および第4の外層配線パターンとを有し、
前記フィルド貫通ビアは、前記第1および第2の内層配線パターンと、前記第1ないし第4の外層配線パターンとを電気的に接続することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の多層プリント配線板。
【請求項7】
可撓性の絶縁ベースフィルムと、当該絶縁ベースフィルムの両面に形成された金属箔とを有する、両面金属張積層板を準備し、
前記両面金属張積層板を厚さ方向に貫通する内層スルーホールを形成し、
前記両面金属張積層板の金属箔をパターニングし、内層配線パターンを形成し、これにより、内層回路基材を作製し、
可撓性の絶縁ベースフィルムと、当該絶縁ベースフィルムの少なくとも一方の面に形成された金属箔とを有する、第1および第2の金属張積層板を準備し、
前記第1の金属張積層板の金属箔をパターニングし、第1の外層配線パターンを形成し、これにより、第1の外層回路基材を作製し、
前記第2の金属張積層板の金属箔をパターニングし、第2の外層配線パターンを形成し、これにより、第2の外層回路基材を作製し、
前記内層回路基材の表面に前記第1の外層回路基材を、前記第1の外層配線パターンが外側に位置するように、絶縁層を介して積層し、かつ、前記内層回路基材の裏面に前記第2の外層回路基材を、前記第2の外層配線パターンが外側に位置するように、絶縁層を介して積層し、それにより、多層回路基材を作製し、
前記多層回路基材の所定の領域にレーザ光を照射するレーザ加工工程を行うことによって、前記第1の外層回路基材を貫通し、前記内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有する第1のビアホールと、前記内層スルーホールと、前記第2の外層回路基材を貫通し、前記内層スルーホールの最大開口径よりも大きい最小開口径を有する第2のビアホールとが連通したものとして構成され、前記多層回路基材を貫通するスルーホールを形成し、
前記スルーホールにめっき金属を充填するフィリングめっき処理を行い、前記内層配線パターン、前記第1の外層配線パターンおよび前記第2の外層配線パターンを電気的に接続するフィルド貫通ビアを形成する、
ことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記レーザ加工工程の前に、前記第1の金属張積層板および/または前記第2の金属張積層板の金属箔に、内側に向かう複数の突起部を有するスルーホール形成用開口部を形成し、
前記レーザ加工工程においてレーザ光を前記スルーホール形成用開口部に照射するコンフォーマルマスク加工を行い、横断面が前記スルーホール形成用開口部と同じ形状である前記第1のビアホールを形成することを特徴とする請求項7に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記内層スルーホールを形成した後であり、かつ、前記内層配線パターンを形成する前に、前記内層スルーホールが形成された前記第1の両面金属張積層板にめっき処理を施すことにより、前記第1の両面金属張積層板の両面に設けられた金属箔を電気的に接続するめっきスルーホールを形成する、ことを特徴とする請求項7または8に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記第1の金属張積層板および/または前記第2の金属張積層板にブラインドビアホール形成用開口部を形成し、
レーザ光を前記ブラインドビアホール形成用開口部に照射してコンフォーマルマスク加工を行い、ブラインドビアホールを形成し、
前記フィリングめっき処理において、前記ブラインドビアホールに前記めっき金属を充填し、フィルドビアを形成することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−222078(P2012−222078A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84616(P2011−84616)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】