説明

多層光学フィルム用のプライマー層

本明細書では、多層光学フィルム及びその多層光学フィルムの上に配置されたプライマー層を包含する光学物品が開示される。プライマー層は、スルホポリエステルと架橋剤とから本質的になる。多層光学フィルムは、反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度向上フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせであってもよい。微細構造化された又は構造化されていない光学層が、多層光学フィルムの反対にあるプライマー層の上に配置されてもよい。本明細書では、光学物品を作製する方法も開示される。本明細書では、光学物品を包含するディスプレイデバイスも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム用コーティングに関し、特に多層光学フィルム用のプライマー層に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルム技術分野でしばしば遭遇する問題は、基材とそこに塗布される機能性コーティングとの間の強力な接着を提供することの困難さに関係する。これは、ポリエステル系基材の場合に特に当てはまる。この問題に対処するため、プライマー層又はコーティングは一般的に、基材と機能性コーティングとの間の接着を改良するためにポリエステル基材に塗布される。特に困難な接着問題は、多層光学フィルム上に配置された微細構造化された表面層を有する光学フィルムの製造で遭遇することが多い。微細構造化された表面層は、UV硬化性アクリル樹脂を多層光学フィルム上にコーティングし、続いてその樹脂を微細構造化されたロールを背にして硬化することによって形成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示されるのは、多層光学フィルムと、その多層光学フィルム上に配置されたプライマー層とを含み、プライマー層がスルホポリエステルと架橋剤とから本質的になる、光学物品である。幾つかの実施形態では、多層光学フィルムは、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度向上フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、微細構造化層は、多層光学フィルムと反対のプライマー層上に配置されてもよい。本明細書では、光学物品を作製する方法も開示される。本明細書では、光学物品を含むディスプレイデバイスも開示される。
【0004】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」に記載される。上記概要はいずれも、主張される対象の制限として解釈されるべきではなく、対象は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0005】
本発明は、以下の図面と共に以下の「発明を実施するための形態」を鑑みて、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】代表的な光学物品の概略的断面図。
【図2】代表的な光学物品の概略的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示されているのは、多層光学フィルムと別の層との間の接着を促進するために使用できるプライマー層である。例えば、プライマー層は、ポリエステル系多層光学フィルムを放射線硬化材料から製造された層に接着するのに有用である。放射線硬化材料は、非ハロゲン化及びハロゲン化材料を含む。プライマー層は溶媒系組成物と対立する水性組成物から形成することができ、有機ハロゲン官能を持たないことからも、有利となることがある。
【0008】
本明細書に開示されているプライマー層は、製造の観点からも有利である。多層光学フィルムの典型的な製造プロセスにおいては、フィルムを配向するためにフィルムが1又は2方向に幅出し又は伸長されることがある。本明細書に開示されているプライマー層は、幅出し又は伸長の前に多層光学フィルム上に形成されてもよい。この幅出前プライマー処理は、別個のコーティング工程の必要性を排除するため、加工の観点から望ましい。対照的に、ポリマー及び粒子を包含する、接着を促進するために使用される多くの既知の材料は、高温を含む場合があり、延伸比があらゆる場所で2:1、4.5:1、あるいは6:1以上となり得る幅出しには受け入れ難い。
【0009】
更に別の利点は、本明細書に開示されたプライマー層は、低ヘイズ及び高い光透過のような望ましい光学特性を示すように設計できることである。例えば、プライマー層が好適な多層光学フィルムの上に形成されるとき、そのフィルムは、約10%未満、5%未満、又は1%未満のような最小限のヘイズを示すことができる。場合によっては、十分な接着は、望ましくないレベルのヘイズを付与する厚い層、又はフィルム基材が伸長されたときに破壊するコーティング、のいずれかを用いてしか達成できないことから、これを既知のプライマー組成物を用いて達成することは一般的に困難である。望ましくないヘイズの別の発生源は、表面粗さであり、これは色むら及びディウェッティングのような乾燥関連の現象、及び幅出し時のコーティングの破壊から生じる可能性がある。これらの問題は、例えば、乾燥プロセスの間に発生する表面張力勾配の理由から、水系コーティング配合物を使用する場合に特に問題となり得る。望ましい場合、好適な多層光学フィルム上にプライマー層が形成されたとき、そのフィルムは、90%を超えるような、最大光透過率を示すことができる。一般的に、コーティングされた多層光学フィルムは望ましくは無色である。これらの性質を有することによって、コーティングされた多層光学物品は、光を管理、増強、操作、制御、維持、透過、反射、屈折、吸収などすることができる光学用途での使用に適する。光学用途は、以下でより詳細に述べる。
【0010】
図1は、本明細書に開示されている代表的な光学物品の断面図を示している。光学物品10は、第1及び第2の光学層(それぞれ14及び16)の交互層を複数個含む多層光学フィルム12を含む。プライマー層18は、多層光学フィルムの外側表面上に形成される。プライマー層は、それが光学特性に影響することなく所望の接着を提供できるという条件で、いかなる好適な厚さを有することができる。一般的に、プライマー層は後述するような所望の接着を提供するほど十分に厚く、光学物品の光学特性に影響しないほど十分に薄い。幾つかの実施形態では、約30〜約500nmの厚さが有用である。幾つかの実施形態では、プライマー層は約50〜約250nm、又は約175〜約225nmの厚さを有する。
【0011】
プライマー層は、少なくとも約50℃のTgを有してもよい。プライマー層のTgが低すぎる場合には、層が粘着性になることがあり、層が柔軟すぎる及びその後上塗りされるUV硬化性樹脂によって容易に溶解される場合には、層間接着が弱くなることがある。プライマー層のTgが高すぎる場合には、良好なフィルム形成が得られないことがあり、コーティングがガラス状でありすぎるために上塗りされたUV硬化性樹脂に浸透又は膨潤されない場合には、層間接着が弱くなることがある。ASTM D 3359は、2つの層の間の接着性を測定するために使用される周知の方法である。
【0012】
プライマー層はスルホン化ポリエステルを含む。本明細書で使用されるとき、ポリエステルという用語は、単一ジカルボキシレートモノマー及び単一ジオールモノマーから生成されるポリエステル類、及び2つ以上のジカルボキシレートモノマー及び/又は2つ以上のジオールモノマーから生成されるコポリエステル類も指す。一般に、ポリエステル類は、ジカルボキシレートモノマーのカルボキシレート基をジオールモノマーのヒドロキシル基と縮合することによって調製される。本明細書で使用されるとき、「ジカルボキシレート」及び「ジカルボン酸」という用語は、同じ意味で使用され、1〜10の炭素原子を有する低級アルキルエステル類を含む。本明細書で使用されるとき、ジオールモノマー類は、2つ又はそれ以上のヒドロシル基を有するモノマー類、例えば、ジオール類、トリオール類、テトラオール類及びペンタオール類を包含する。一般に、有用なスルホン化ポリエステル類は、水溶性のもの及び水分散性のものを包含する。有用なスルホン化ポリエステル類は、コーティング、乾燥、及び伸長後に、後述のように、得られるプライマー層が脆性でないように、十分に高い分子量を有する。約8000〜約50000の分子量が有用である場合がある。米国特許第4,480,085号(ラーソン(Larson))に記載されている非晶質スルホポリエステルが有用である場合がある。米国特許第5,427,835号(モリソン(Morrison)ら)に記載されているスルホポリエステルも有用である場合がある。
【0013】
スルホン化ポリエステルは、1つ以上のペンダントスルホネート基を有する少なくとも1つのジカルボキシレートモノマーを含む。ペンダントスルホネート基は、ポリエステル類の主鎖を形成する重合反応に関与しない。スルホン化ジカルボキシレートモノマー類の例としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタミン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタンジカルボン酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸、t−ブチルイソフタル酸、トリ−メリト酸、4、4’−ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、及びテトラデカンジカルボン酸のスルホン化誘導体類が挙げられる。スルホン化ジカルボキシレートモノマー類のいずれかを、約80未満の分子量を有し、重合反応において不活性である基で置換することができる。不活性ペンダント基の例としては、ハロゲン類、シアノ、ニトロ、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル及びアルコキシ基、及びフェニル基が挙げられる。追加のジカルボキシレートモノマー類は、ラーソン(Larson)に記載されている。ペンダントスルホネート基は、ポリエステルの側鎖上にこれらをグラフトするか、ポリエステルの末端基としてキャッピングするか、又はポリエステルを形成する重合中にペンダントスルホネート基を有するモノマーを包含することによって導入されてもよい。
【0014】
水溶液中で、各スルホネート基は中和されないスルホン酸の形で存在してもよく、又は無機若しくは有機対イオンである対イオンと関連していてもよい。無機対イオン類の例には、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、コバルト、鉄、アルミニウム、及びアンチモンの対イオン類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有機対イオン類の例としては、C2〜C20含有対イオン類が挙げられる。好ましい有機対イオンとしては、モノ−、ジ−、トリ−、及びテトラアルキルアンモニウムを有し、独立して1〜8個の炭素原子を備えるアルキル置換基、置換及び非置換ホスホニウム、並びに1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基で任意に置換されたピリジウム、モルホリニウム、及びイミダゾリニウムのような複素環窒素含有カチオン類が挙げられる。
【0015】
有用なスルホン化ポリエステル類は、一般的に少なくとも2つのジカルボキシレートモノマー類を含み、その1つは上記のようにスルホン化され、1つはスルホン化されていない。使用できる非スルホン化ジカルボキシレートモノマー類としては、スルホン化誘導体類として上記に記載されたものが挙げられる。
【0016】
スルホン化ポリエステル中のスルホン化ジカルボキシレートモノマーの量は、特に限定されない。一般に、何らかの最低限の量のスルホン化ジカルボキシレートモノマーは、ナノメートルサイズの粒子のときに、スルホン化ポリエステルが水溶性又は水分散性であるために、必要である。したがって、スルホン化ジカルボキシレートモノマーの最低限の量は、スルホン化ポリエステルの分子量のようなその他の要因に加えて、スルホン化ポリエステルを構成するその他のモノマー類によって決まることがある。スルホン化ポリエステル中のスルホン化ジカルボキシレートモノマーの量は、それがコーティングされる前又は後にプライマー溶液中で不相溶性の問題がないように選択される必要であることがある。一般に、プライマー溶液は、少なくとも24時間の可使時間が必要な場合があり、これは24時間後に裸眼で目に見える変化がないことを意味する。1つの実施例においては、スルホン化ポリエステルは、化合したジカルボキシレート及びジオールモノマー類の100molにつき0.25〜15molのスルホン化ジカルボキシレートモノマーを含む。
【0017】
スルホン化ポリエステルは1つ以上のジオールモノマー類を含んでもよい。一般に、脂肪族ジオール類及びグリコール類が有用であり、例としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、トリメチロールプロパン、2,3−ジメチロールプロパン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルブタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、ノルボルナンジオール、ビシクロオクタンジオール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、及び1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが挙げられる。約1000までの分子量を有するポリ(カプロラクトン)ジオールのような高分子ジオール類も使用してもよい。追加のジオールモノマー類は、ラーソン(Larson)に記載されている。
【0018】
スルホン化ポリエステルの具体例としては、イーステック(EASTEK)1100(イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Co.))並びにイソフタル酸及びスルホイソフタル酸ナトリウムと、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びネオペンチルグリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールとの縮合ポリマーから合成されるものが挙げられる。例えば、有用なスルホン化ポリエステル類は、スルホン化イソフタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸からなる群から選択される1つ以上のジカルボン酸モノマー類と、にエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択される1つ以上のジオールモノマー類と、を含んでもよい。別の例では、有用なスルホン化ポリエステル類は、5−ソジオスルホイソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、及びネオペンチルグリコールを含んでもよい。
【0019】
プライマー層は、一般的にメラミン及びホルムアルデヒドから誘導される樹脂であるメラミン−ホルムアルデヒド架橋剤を含む。メラミン−ホルムアルデヒド架橋剤の具体例としては、サイメル(CYMEL)301及び327(サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries))が挙げられる。架橋剤は、プライマー層の機械的安定性、アクリレート樹脂に対する化学的耐久性、及び接着特性を改良するために使用される。特定の架橋剤の選択及び使用量は、コーティング及び/又は硬化の前又は後のプライマー層の他の構成成分との相溶性、プライマー層の所望の厚さ、重合条件、コスト等のような種々の要因に依存する。
【0020】
スルホポリエステル及び架橋剤は、得られるプライマー層が所望の特性を有するのであれば、いかなる相対量で使用されてもよい。相対量は、使用されるスルホポリエステル及び架橋剤、並びにプライマー層の厚さ、及び物品の使用目的に依存してもよい。相対量は、プライマー溶液がコーティングされる前又は後にプライマー溶液で不相溶性の問題がないように選択する必要もある場合がある。一般に、プライマー溶液は少なくとも24時間の可使時間が必要な場合があり、これは24時間後に、相分離、沈殿、又はゲル化による裸眼で目に見える変化がないことを意味する。スルホポリエステル及び架橋剤は、プライマー層において相溶性であることも必要である。例えば、スルホポリエステル対架橋剤について1:1〜20:1の比を使用してもよい。
【0021】
プライマー層は、硬化及び架橋を促進するために、少なくとも1種の触媒又は熱的に及び/又は光で活性化させた潜在性触媒を更に含んでもよい。有用な酸及び潜在性酸触媒の例、特にメラミン−ホルムアルデヒド系架橋システムと共に有用なものとしては、p−トルエンスルホン酸及びその誘導体、例えば、サイキャット(CYCAT)4040及び4045(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))が挙げられる。有用な触媒のその他の例としては、塩酸、リン酸、及び硝酸などの鉱酸類、それらのアミン塩類、並びにカルボン酸類及びそれらのアミン塩類が挙げられる。触媒は、ポリ(アクリル酸)及びそのアンモニウム塩などの高分子種であってもよい。有用な光活性酸触媒の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸などの強酸のヨードニウム及びスルホニウム塩が挙げられる。一般的に、触媒又は触媒前駆体の使用量は、総コーティング固形分の約4重量%未満である。
【0022】
プライマー層及びコーティング組成物は、その他の種類の添加剤を含有してもよい。好ましくは、このような材料は、コーティング及びコーティング配合物の主要構成成分と相容性でなければならず、かつ光学物品の性能属性に悪影響を及ぼしてはならない。これらとしては、界面活性剤及び凝集溶剤などのコーティング補助剤、脱泡剤、例えば、スリップ剤として使用する微粒子、酸化防止剤、及び緩衝剤又はトリアルキルアミンなどのpH調整剤、が挙げられる。pH安定剤として、トリエチルアミン及びジメチルエタノールアミンなどの比較的揮発性のトリアルキルアミンを使用することは、メラミン−ホルムアルデヒド架橋剤を含むコーティング配合物のために特に好ましいが、これは、酸性領域へのpH変動によって、好ましくない可使時間の短縮及び早期ゲル化を引き起こす場合があるからである。
【0023】
本明細書では、プライマー物品の作製方法も開示される。本方法は、上記プライマー組成物を基材上にコーティングし、それによってコーティングされた基材を形成することを含む。通常は、プライマー組成物の構成成分は、コーティング工程に好適な溶剤中に溶解、分散、又は懸濁される。使用される特定の溶剤は、特定構成成分、構成成分の所望濃度、層の所望の厚さ及び性質、用いられるコーティング方法などに依存する。好適な溶剤としては、水が挙げられる。一般に、プライマー層を形成するために使用される組成物は、全組成物の重量に対して、約50重量%以下の固形分を含む。
【0024】
プライマー組成物は、ディップ、ロール、ダイ、ナイフ、エアナイフ、スロット、スライド、巻き線ロッド、及びカーテンコーティングなどの種々のコーティング技術を使用してコーティングされてもよい。コーティング技術についての網羅的な議論は、E.コーエン(Cohen)及びE.ガトフ(Gutoff)共著、「最新コーティング・乾燥技術(Modern Coating and Drying Technology)」、ニューヨーク、1992年、122ページ)、並びに、Y.M.トリコット(Tricot)著、「界面活性剤:液体フィルムコーティングにおける静的及び動的表面張力(Surfactants: Static and Dynamic Surface Tension In Liquid Film Coating)」(S.F.キイストラー(Kistler)及びP.M.シュヴァイザー(Schweizer)編、チャップマン&ホール(Chapman & Hall)、ロンドン、1997年、99ページ)に見出すことができる。
【0025】
プライマー組成物は、熱若しくは紫外線照射又は任意の他の好適な硬化技術を使用して硬化することができる。好ましい硬化方法の1つは、フィルム幅出しプロセスの潜熱を使用したプライマーコーティングの熱活性化及び架橋である。
【0026】
多層光学フィルムは、ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸をベースにしたコポリエステル又はポリエステルブレンド、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル、セルロースアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリシクロ−オレフィン、ポリイミド、ガラス、紙、又はこれらの組み合わせ若しくはブレンドを包含する種々な材料のいずれかを含んでもよい。特定の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、及びセルローストリアセテートが挙げられる。好ましい実施例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、又はこれらのブレンドが挙げられる。好ましくは多層光学フィルムは、物品の性能が時間の経過によって損なわれないように、温度及びエージングに対して十分な耐性を示す。多層光学フィルムの厚さは一般的に約2.5mm未満である。多層光学フィルムは、幅出し操作における配向の前にコーティングされるキャストウェブ基材のような配向可能なフィルムであってもよい。
【0027】
多層光学フィルムは光学用途への使用に適する。有用な多層光学フィルムは、光の流量を制御するように設計される。これらは、約90%を超える透過率を有し、約5%未満、例えば2%未満、又は1%未満のヘイズ値を有してもよい。好適な多層光学フィルムを選択するときに考慮する特性には、可撓性、寸法安定性、自己支持性、及び耐衝撃性のような機械的特性が挙げられる。例えば、多層光学フィルムは、物品をディスプレイデバイスの一部として組み立てることができるように、構造的に十分に強い必要がある場合がある。
【0028】
多層光学フィルムは、グラフィックアート及び光学用途のような多種多様な用途で使用されてもよい。有用な多層光学フィルムは、反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度向上フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はそれらの組み合わせとして記載されてもよい。多層光学フィルムは、10個以下の層、数百の、あるいは数千の層を有してもよく、かかる層は、全てが複屈折である光学層、幾つかは複屈折である光学層、又は全てが等方性の光学層の、幾つかの組み合わせで構成されている。1つの実施形態では、多層光学フィルムは、第1及び第2の光学層の交互層を有し、ここで、第1及び第2の光学層の屈折率は、少なくとも1つの軸線に沿って少なくとも0.04異なる。屈折率が適合しない多層光学フィルムは、下記に引用する参照に記載されている。別の実施形態では、多層光学フィルムは、上記の多層光学フィルムのうち任意の1つ以上の層を含み、プライマー層がそれらのうち任意の1つの中に埋め込まれて、物品そのものを反射性フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度向上フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせとするようにしてもよい。
【0029】
有用な多層光学フィルムとしては、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)デュアル輝度向上フィルム(Dual Brightness Enhanced Film)(DBEF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)輝度向上フィルム(Brightness Enhanced Film)(BEF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)拡散反射偏光フィルム(Diffuse Reflective Polarizer Film)(DRPF)、ビキュイティ(Vikuiti)(商標)増強正反射体(Enhanced Specular Reflector)(ESR)、及びビキュイティ(Vikuiti)(商標)高度偏光フィルム(Advanced Polarizing Film)(APF)として販売されている市販の光学フィルムが挙げられ、いずれも3M社(3M Company)から入手可能である。有用な光学フィルムについては、米国特許第5,825,543号、同第5,828,488号(オーデルカート(Ouderkirk)ら)、同第5,867,316号、同第5,882,774号、同第6,179,948(B1)号(メリル(Merrill)ら)、同第6,352,761(B1)号、同第6,368,699(B1)号、同第6,927,900(B2)号、同第6,827,886号(ニーヴィン(Neavin)ら)、同第6,972,813(B1)号(豊岡(Toyooka))、同第6,991,695号、同第2006/0084780(A1)号(ヘブリンク(Hebrink)ら)、同第2006/0216524(A1)号、同第2006/0226561(A1)号(メリル(Merrill)ら)、同第2007/0047080(A1)号(ストーヴァー(Stover)ら)、国際公開第95/17303号、同第95/17691号、同第95/17692号、同第95/17699号、同第96/19347号、同第97/01440号、同第99/36248号、及び同第99/36262号にも記載されている。これらの多層光学フィルムは単に例証のためのものであり、用いることのできる好適な多層光学フィルムの完全なリストと意図されたものではない。これらの実施形態の幾つかでは、本発明のプライマー層は、多層フィルム構造内の内部層であってもよい。
【0030】
プライマー層が多層光学フィルム上に形成された後、コーティングされたフィルムを配向するために1又は2方向に幅出し又は伸長することができる。フィルム、特にポリエステルフィルムの配向プロセスは、「高分子工業科学百科辞典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」(第12巻、第2版、193〜216ページ)に記載されている。二軸配向ポリエステルフィルムの典型的な作製プロセスは、以下の4つの主要工程からなる、(1)ポリエステル樹脂の溶融押出及びそれの急冷によりウェブを形成する工程、(2)長手方向又は機械方向へ、ウェブを延伸する工程、(3)引き続いて又は同時に、ウェブを横断方向へと延伸してフィルムを作製する工程、及び(4)フィルムをヒートセッティングする工程。二軸配向が所望される場合、プライマー組成物は、多層光学フィルムが機械方向に延伸された後に、続いて横断方向が延伸される前に、多層光学フィルム上にコーティングされてもよい。高分子フィルムの配向についての更なる議論は、国際公開第2006/130142号及び光学フィルムについての前述の参考文献に見出すことができる。多層光学フィルムは一般的に、モノリシックのPETフィルムの調製で一般的に使用される3.5:1〜4:1よりもかなり高い、6:1又はそれ以上の延伸比を用いるプロセスで製造される。当該技術分野で使用される多数のプロセスと異なり、本発明のプライマーは、6:1で延伸した後でさえ、卓越した透明性、美容性、及び接着特性を備えるコーティングを与えることが見出された。
【0031】
幾つかの実施形態では、光学物品は輝度向上フィルムを含む。この実施形態では、微細構造化層は、多層光学フィルムの反対にあるプライマー層に配置されるが、ここで微細構造化層は、複数の微細構造を有する構造化表面を含み、かつ構造化表面は、物品の外側表面を含む。図2は、プライマー層18の上に配置された微細構造化層22を有する代表的な光学物品20のような断面図を示す。微細構造化層は、光を方向づけるためのプリズムアレイを含む微細構造化表面24を有する。輝度向上フィルムにおける光の作用に関する包括的な議論は、例えば、米国特許第2007/0115407(A1)号(リチャード(Richard)ら)に見られることがある。
【0032】
幾つかの実施形態では、光学物品は、多層光学フィルムの反対にあるプライマー層の上に配置された基材を含む。基材の例には、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート類のような光学用途に有用なもののいずれも包含され、これらのいずれも配向されてもされなくてもよい。
【0033】
複数の微細構造は、図2に示すようにプリズムアレイを含んでもよく、又はリッジ、ポスト、ピラミッド、半球、及び錐体を包含する一連の形状を含んでもよく、及び/又はそれらは平坦な、尖った、切頭の、若しくは丸められた部分を有する突出部若しくは凹部であってもよく、それらのうち任意のものが、表面の平面に対して傾斜した又は垂直の辺を有してもよい。任意のレンズ状微細構造が有用であり得るが、例えば、微細構造化表面は、コーナーキューブ要素を含んでもよく、各々が、典型的には、単一基準点又は頂点で交差する3つの相互にほぼ垂直である光学面を有する。微細構造化表面は、規則正しい繰り返しパターンを有してもよく、ランダムであってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。一般に、各微細構造は、少なくとも2つの2mm未満の横方向寸法(すなわち、フィルム平面の寸法)を有する。微細構造化層の厚みは、約10〜約200μmであることができる。
【0034】
微細構造化層は、重合可能な組成物、ネガ型微細構造化成形面を有するマスター、及びプライマー層をその上に有する多層光学フィルムを用いて調製されてもよい。重合性組成物は、マスターとプライマー層との間に堆積することができ、組成物のビーズを動かして組成物をマスターの微細構造に充填するようにすることができる。重合性組成物を重合して、層を形成し、次にマスターから分離する。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキされた銅又は黄銅などの金属であることができ、あるいは、重合条件下にて安定している熱可塑性材料であることができ、好ましくは重合層をマスターからきれいに除去することを可能にする表面エネルギーを有する熱可塑性材料であることができる。マスターは、米国特許第4,542,449号、同第5,771,328号及び同第6,354,709号に更に記載されている。あるいは、予め形成された微細構造化層が調製され、プライマー処理された多層光学フィルムに積層されて、プライマー層が微細構造化層と多層光学フィルムとの間に配置されるようにしてもよい。
【0035】
微細構造化層の形成に使用される重合性組成物は、モノ−、ジ−、又はより高い官能性モノマーを包含するモノマー類、及び/又はオリゴマー類、好ましくは高屈折率、例えば約1.4超過、又は約1.5超過を有するものを含んでもよい。モノマー及び/又はオリゴマーは、紫外線を使用して重合可能であってよい。好適な材料としては、(メタ)アクリレート類、例えば、米国特許第4,568,445号、同第4,721,377号、同第4,812,032号、同第5,424,339号、及び同第6,355,754号に記載されているものが挙げられる。
【0036】
光学物品は、バックライトサイン、掲示板等のグラフィックアート用途で使用されてもよい。光学物品は更に、控えめに言っても、1つ以上の光源及びディスプレイパネルを含むディスプレイデバイスにおいて使用されてもよい。ディスプレイパネルは、イメージ、グラフィックス、テキストなどを作製可能な任意のタイプのものであってもよく、かつ単色若しくは多色、又は透過性若しくは反射性のものであってよい。例としては、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、又はタッチスクリーンが挙げられる。光源としては、蛍光ランプ、リン光ライト、発光ダイオード、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。ディスプレイデバイスの例としては、テレビ、モニタ、ラップトップコンピュータ、及び携帯電話、PDA、計算機等の手持ち式デバイスが挙げられる。
【0037】
本発明は、下記の実施例を鑑みれば、更に完全に理解することができる。
【実施例】
【0038】
材料
すべての化学品は、商業的供給源から得て、特記のない限り、受領した状態で使用した。界面活性剤トマドル(TOMADOL)25−9は、トマー・ケミカル社(Tomah Chemical Co)より入手た。架橋剤サイメル(CYMEL)301、サイメル(CYMEL)327、及び触媒サイキャット(CYCAT)4040は、サイテック・インダストリーズ社(Cytec Industries Inc.)より入手した。ポリエチレンイミン架橋剤エポミン(EPOMIN)SP012は、アセト社(Aceto Corp.)より入手した。ポリイソシアネート架橋剤スタール(STAHL)XR5305及びカルボジイミド架橋剤スタール(STAHL)XR5577は、スタール・インターナショナル(Stahl International)より入手した。アジリジン架橋剤CX−100は、DSMネオレジンズ(DSM Neoresins)より入手した。アクリレート/メラミン−ホルムアルデヒド分散液ロープレックス(RHOPLEX)3208は、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)より入手した。この分散液は、約34〜35重量%のアクリル結合剤と、約8〜9重量%のホルムアルデヒド−メラミン架橋剤とを含む。ビスフェノールAエポキシジアクリレート(CN120)は、サートマー(Sartomer)より入手した。架橋剤は、20重量%イソプロパノール希釈液として使用したサイメル(CYMEL)301を除き、すべて、20重量%水希釈液として使用した。サイテック(CYTEC)4045は10重量%水希釈液として使用した。
【0039】
スルホポリエステルA(SPA)
スルホポリエステルAは、次のように調製した。3.79リットル(1ガロン)のポリエステル製ケトルに、111.9g(5.5mol%)の5−ソジオスルホイソフタル酸、592.1g(47.0mol%)のテレフタル酸、598.4g(47.5mol%)のイソフタル酸、705.8gのエチレングリコール、599gのネオペンチルグリコール、0.7gの酸化アンチモン、及び2.5gの酢酸ナトリウムを入れた。混合物を撹拌しながら、345kPa(50psi)で230℃まで窒素下で2時間加熱し、その間に水の発生が観察された。温度を250℃まで上昇させ、その後圧力を減少し、真空(26.7Pa(0.2torr))を適用し、温度を270℃まで上昇させた。材料の粘度は45分の間に上昇し、その後、高分子量の、透明で、粘稠なスルホポリエステルが排出された。このスルホポリエステルは、DSCによって、70.3℃のTgを有することが見出された。理論的なスルホネートの当量は、スルホネート1モル当たりポリマー3847gであった。500gのポリマーを、2000gの水と450gのイソプロパノールとの混合物に、80℃で溶解した。続いて、イソプロパノール(及び水の一部)を除去するために温度を95℃に上昇させた。最終的な分散液は、スルホポリエステルAの固形分12重量%の水分散液からなった。
【0040】
スルホポリエステルB(SPB)
イートマンケミカル社(Eastman Chemical Co.)からのイーステック(EASTEK)1100は、約30重量%のスルホポリエステルBの水分散液からなった。
【0041】
スルホポリエステルC(SPC)
スルホポリエステルCは、スルホポリエステルA及びBの重量比91:9の混合物の12重量%水分散液からなった。
【0042】
(実施例1)
実施例1は、水溶液の総量を基準にして、12重量%のスルホポリエステルCと、3.6重量%(スルホポリエステル固体を基準にして30重量%)のサイメル(CYMEL)301と、0.05重量%(サイメル(CYMEL)301を基準にして1.5重量%)のサイキャット(CYCAT)4045と、0.15重量%のトマドル(TOMADOL)25−9と、からなる水溶液として調製された。混合順序は次の通りであった。水、界面活性剤、結合剤、架橋剤、及び触媒。各添加と添加との間に、溶液を完全に混合した。
【0043】
溶液を、キャストしたポリエステル多層光学フィルム上に、3番巻き線ロッドを用いてコーティングした。コーティング後、フィルムを80℃で2分間乾燥した。多層光学フィルムは、米国特許第2001/0013668号(ニーヴィン(Neavin)ら)に記載されているように調製した。続いて、コーティングされた多層光学フィルムを、160℃で予熱し、その後横方向の延伸比6.5:1で、50%/秒の一定速度で伸長した。
【0044】
放射線硬化性組成物を使用して、コーティングされた多層光学フィルムのプライマー層上に微細構造化層を形成した。放射線硬化性組成物は、25重量%のフェノキシエチルアクリレートと、75重量%のビスフェノールAエポキシジアクリレート(CN120)と、0.5重量%のルシリンTPO(LUCIRIN TPO)と、0.5重量%のダロキュア(DAROCUR)1173と、からなる。この組成物を、次の手順を用いてコーティング及び硬化して、微細構造化層を形成した。
【0045】
1)コーティングされたフィルムを140℃で1分間加熱する。
【0046】
2)平坦な微細構造化ステンレス鋼工具をホットプレート上で140℃に加熱する。
【0047】
3)PL1200貼合せ機(プロフェッショナル・ラミネーティング・システムズ社(Professional Laminating Systems, Inc))を140℃に加熱し、速度を5.1mm/秒(10インチ/分)に設定する。
【0048】
4)140℃に予熱した放射線硬化性組成物のビーズライン(bead line)を、工具に適用する。
【0049】
5)ハンドローラーを使用して、工具に対してPETフィルムのコーティング面を静かに置き、ロールして所定の位置に貼り付ける。
【0050】
6)プライム化されていない大きなPETフィルム2枚の間に、工具及びフィルムサンプルを挟み込み、貼合せ機のロールを保護する。
【0051】
7)サンプルを貼合せ機に通す。これにより、25μm(1ミル)の総樹脂フィルム厚が得られる。
【0052】
8)サンプルは、UV処理装置(300WのDバルブを装着し、100%の出力及び15cm/秒(30フィート/分)のラインスピードにて窒素パージ下で稼動する、UVフュージョン・ライトハンマー(UV Fusion Lighthammer))に通す。
【0053】
9)工具から、フィルムサンプルをゆっくりと取り外す。
【0054】
実施例2〜4及び比較実施例1〜8(C1〜C8)
実施例2〜4及びC1〜C8は、表1に記載の材料を使用したことを除いて、実施例1に関する記載の通りに調製した。
【0055】
試験方法
可使時間:24時間後、コーティング溶液を、不安定性の徴候について評価した。
【0056】
伸長後の外観。サンプルを、欠陥及び表面のヘイズについて評価した。数字が小さいほど、性能が優れることを示す。
【0057】
工具の取り外し:硬化した微細構造化表面を平坦な工具から剥がし取る際に、定性的評価を実施した。基材への良好な接着は、構造を剥がし取る際に基材と工具との間に接着した硬化樹脂の糸を残さないことを可能にする。表1において、0は多少の糸を示し、1は糸がなく、工具からすべての硬化樹脂がきれに除去されたことを示す。
【0058】
接着性は、ASTM D 3359、3M(商標)610セロハン(登録商標)テープ(3M Companyより)を使用したクロスハッチテープ引っ張り試験に従って測定した。基材に接着して残った樹脂の量を測定した。
【0059】
【表1】

【0060】
1.NC=裸眼で目に見える変化なし
2.スルホポリエステル固体を基準にして10重量%のCX100

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層光学フィルムと、
前記多層光学フィルムの上に配置されたプライマー層と、を含み、
前記プライマー層が、スルホポリエステルと架橋剤とから本質的になる、光学物品。
【請求項2】
前記架橋剤がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項3】
前記スルホポリエステルが、水溶性スルホポリエステル又は水分散性スルホポリエステルを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項4】
前記スルホポリエステルが、
スルホン化イソフタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸からなる群から選択される1つ以上のジカルボン酸モノマー類と、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択される1つ以上のジオールモノマー類と、を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項5】
スルホポリエステルの架橋剤に対する比が約1:1〜約20:1である、請求項1に記載の光学物品。
【請求項6】
前記プライマー層が約30〜約500nmの厚みを有する、請求項1に記載の光学物品。
【請求項7】
前記プライマー層が少なくとも約50℃のTgを有する、請求項1に記載の光学物品。
【請求項8】
前記多層光学フィルムが、反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度向上フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項9】
前記多層光学フィルムが、第1及び第2の光学層の交互層を含み、前記第1及び第2の光学層がそれぞれ第1及び第2のポリマーを含み、前記第1及び第2のポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカルボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド及びこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項1に記載の光学物品。
【請求項10】
前記プライマー層上に配置された微細構造化層を更に含み、該微細構造化層が複数の微細構造を有する構造化表面を含み、かつ該構造化表面が前記物品の外側表面を含む、請求項1に記載の光学物品。
【請求項11】
前記微細構造化層がハロゲンを含まない、請求項10に記載の光学物品。
【請求項12】
光学物品を作製する方法であって、
多層光学フィルム上にプライマー組成物をコーティングし、それによってプライマー処理された多層光学フィルムを形成する工程であって、前記プライマー組成物がスルホポリエステルと架橋剤とから本質的になる工程と、
前記プライマー処理された多層光学フィルムを少なくとも一方向に任意に伸長する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記プライマー処理された多層光学フィルムが元の長さを有し、伸長が前記プライマー処理された多層光学フィルムを該元の長さの少なくとも6倍まで伸長することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ディスプレイパネルと、
1つ以上の光源と、
請求項1に記載の物品と、を含む、ディスプレイデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−523379(P2011−523379A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503056(P2011−503056)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/038508
【国際公開番号】WO2009/123921
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】