説明

多細胞生物の組織の治癒を促進するための組成物及びその方法

多細胞生物の組織の治癒を促進するための方法が提供される。該方法は、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を軽減するために、液体混合物に含まれる治療的に有効な量のポリスルホン化材料を投与することを含むことができる。該方法は、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を軽減するために、固体材料に関連付けられた治療的に有効な量のポリスルホン化材料を内服的に投与することを代わりに又は加えて含めてもよい。液体混合物に含まれるスルホン化材料、及び固体粒子を含み得る、多細胞生物の組織を治癒するための組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多細胞生物の組織の治癒を促進するための組成物及びその方法に関する。
【0002】
本出願は、2006年1月31日に出願された、「水溶性ポリアニオン系オリゴマー類及びポリマー類及びそれらの塩類を用いたプロテアーゼレベルの低下及びカチオン系治療薬を輸送する方法(Method For The Reduction of Protease Levels and Delivering Cationic Therapeutic Agents Using Water−Soluble Polyanionic Oligomers & Polymers & Their Salts)」と題する米国仮特許出願第60/764,033号に関連する。
【背景技術】
【0003】
治癒していない創傷の生化学的な環境(並びに重大な創傷及び/又は慢性的な創傷)は、治癒プロセスの複数の局面に悪影響を及ぼすようなやり方で正常な治癒している創傷の生化学的な環境とは異なっている。
【0004】
3つのメカニズムの組合せの利用による創傷を治癒する。各々の創傷では、3つのメカニズムのうちの1つが優勢である。創傷治癒のこの3つのメカニズムは、収縮、上皮形成、及び結合組織沈着である。収縮は、創傷治癒が指先などの切断部位で起る方法である。上皮形成は、擦り傷の治癒において優勢となり得て、結合組織沈着は、裂傷が縫合され閉じた場合に起る。治癒の段階は、止血、炎症、増殖及び再構築(remodeling)である。これらの段階の各々では、特定の化合物が、いくつかの仲介物を通じて役割を果たすことができる。止血では、血小板、内皮細胞、フィブリン及びフィブロネクチンが、増殖因子及びサイトカインを通じて作用する。サイトカインは、非抗体タンパク質であり、いくつかの細胞から放出され、細胞内の媒介物として作用する。サイトカインには、リンホカイン及びインターロイキンが含まれる。炎症は、増殖因子及びプロテアーゼによって媒介される好中球、マクロファージ及びリンパ球の作用を通じて起こる。増殖は、線維芽細胞、上皮細胞及び内皮細胞の作用を通じて起こり、増殖因子及びコラーゲン沈着に非常に依存している。再構築は、瘢痕形成の成熟が起こるにつれて、瘢痕強度を増すコラーゲン架橋及びコラーゲン分解によって特徴付けられる。
【0005】
正常な創傷治癒は、損傷した組織の除去及び新しい組織の形成のバランスであると考えることができる。正常な創傷修復と関連した生物学的過程及び経路を調節することができる多くのプロセスが存在する。これらの生理学的過程のいずれかにおける変化が、慢性的な創傷の形成へ導く場合がある。
【0006】
炎症及び/又は先天性免疫は、癌性細胞増殖に関連する。腫瘍過程の初期では、炎症細胞及びそれらにより放出される分子種は、腫瘍の微小環境における全ての細胞型の増殖、移動及び分化に影響を与え、また、腫瘍形成過程の後期では、腫瘍細胞は、腫瘍の分散及び転移を支持して、プロテイナーゼ産生、及びケモカイン/サイトカイン機能などの炎症メカニズムを迂回させる。ヒト多形核好中球(polymorphonuclear neutrophil:PMN)は、循環白血球の50〜70%を含み、腫瘍細胞に対して細胞毒性であるか又は腫瘍増殖及び転移を支援し得る炎症性反応を誘導する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、多細胞生物における炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を軽減することができる組成物及び該組成物を使用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
多細胞生物の組織の治癒を促進するための方法が提供される。この方法は、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を低減させるために、液体混合物に含まれる治療的に有効な量のポリスルホン化材料を投与することを含み得る。
【0009】
また、脊椎生物の組織の治癒を促進するための方法が提供される。この方法は、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を低減させるために、固体材料と関連付けられた治療的に有効な量のポリスルホン化材料を内服的に投与することを含み得る。
【0010】
液体混合物に含まれるスルホン化材料を含み得る、多細胞生物の組織を治癒するための組成物が提供される。この組成物は、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を軽減させるために投与されるように構成することができる。
【0011】
また、固体粒子を含み得る、多細胞生物の組織を治癒するための組成物が提供される。この粒子は、ポリスルホン化材料を含むことができ、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を軽減させるために投与されるように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本開示の組成物及び方法は、図1〜6を参照して説明される。図1を参照すると、メタロ−プロテイナーゼ14及びセリンプロテイナーゼ16を産生する好中球12を誘導する一般的なプロテイナーゼ阻害スキーム10が示されている。さらに、スキーム10には、ポリスルホン化材料18によってプロテイナーゼ14及び16の阻害が含まれる。
【0013】
ポリスルホン化材料18は、R(SOとして化学的に表すことができ、nは1を超え、R基は炭素を含む。ポリスルホン化材料18は、対イオン、例えばカチオンと関連付けできると理解される。これらの対イオンは図1に示されていないが、それらが存在し得ることは理解される。R基は、例えば二量体及び/又は三量体などのオリゴマー、あるいはポリマーの骨格であってもよい。他の実施に従えば、このオリゴマー又はポリマーには、アリーレンビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、硫酸化多糖類、及び/又はビニルスルホン酸塩モノマー類、並びにスルホン化されていないモノマー類などのモノマー類が含まれ得る。オリゴマーには、同じモノマー、又は1を超えるモノマーの繰り返し単位を含んでもよい。
【0014】
他の実施の形態において、前記オリゴマーは、他の材料に組み込むことが可能である。例えば、ポリスルホン化材料18も該オリゴマーを含むポリマーであってもよい。オリゴマーは、他のモノマー類及び/又は他のオリゴマー類とともに共重合されて、共重合体を形成することができる。本態様に従えば、このポリマーは、繰り返しオリゴマー単位のポリマーなどの繰り返しオリゴマー単位を含むことができる。オリゴマー単位は、同一のモノマー単位又は混在したモノマー単位であってもよい。例えば、ポリスルホン化材料18は、ポリアリーレンビニルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルスルホン酸塩、ポリアントールスルホン酸塩、及び/又はアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸塩ポリマーであってもよい。
【0015】
また、ポリスルホン化材料18には、他のスルホン化された化合物、例えば、特に限定されるものではないが、硫酸化糖又はポリ硫酸化多糖、例えば硫酸デキストリン、硫酸デキストラン、硫酸キトサン、又は硫酸セルロースのポリマーが含まれ得る。ポリスルホン化材料18のスルホン酸基は、−ORに連結されることができ、このRは、ポリスルホン化材料18の残り部分を表し、Oを有する連結が硫酸基を形成する。したがって、硫酸基はスルホン酸基を含むみ、ポリスルホン化材料18には、スルホン酸、スルホン酸塩、及びポリスルホン化された化合物を含むポリスルホン酸塩が含まれ得る。ホリスルホン化された化合物には、合成、半合成、及び天然に存在しているポリスルホン化多糖が含まれ、一例として上記に示された硫酸デキストラン、並びに硫酸化された半合成の多糖ペントサンポリ硫酸塩が含まれ得る。
【0016】
ポリスルホン化材料18は、約600グラム/モル〜約1,000,000グラム/モルの分子量であってもよい。一例として、ポリスルホン化材料18は、少なくとも約70,000グラム/モルの分子量を有するポリマー又は共重合体であってもよい。また、ポリスルホン化材料18は、水溶性であり得る。
【0017】
また、ポリスルホン化材料18は、別の材料と混和されたポリスルホン化材料を含むことができる。例えば、ポリスチレンスルホン酸塩などのポリスルホン化材料は、ハイドロゲル(単数又は複数)などの材料と混和することができる。ハイドロゲルには、限定されないが、アルギン酸塩類、ポリアクリレート類、ポリアルキレンオキシド類、及び/又はポリ(N−ビニルピロリドン)が含まれ得る。又はイドロゲルは非晶質であってもよい。また、ポリスルホン化材料18は、例えば、ポリウレタンと混和されてもよい。また、ポリスルホン化材料18は、キトサン、ヒアルロン酸、及びスターチを含む天然に存在しているポリマーと混和されてもよい。
【0018】
SO基は、スルホネート基と呼んでもよい。スルホネート基は、末端スルホネート基であってもよく、ポリスルホン化材料18は、少なくとも1つの末端スルホネート基を含むことができる。本態様に従えば、ポリスルホン化材料のSO基は、ポリマー又は共重合体骨格などのオリゴマー骨格から伸長することができる。
【0019】
スルホネート基は、例えば、酸の形態をとることができる。酸として、スルホネート基は、SOHなどのようにプロトン化されてもよい。ポリスルホン化材料18は、多数のスルホネート基を含むことができ、これらのスルホネート基は全てプロトン化されてもよく、又はいくつかがプロトン化されてもよく、他はプロトン化されていない。
【0020】
本開示の別の態様によれば、ポリスルホン化材料18のスルホネート基は、金属塩又は有機塩などの塩の成分であってもよい。この構成の態様によれば、ポリスルホン化材料18は、ポリメタロスルホン酸塩及び/又はポリオルガノスルホン酸塩などのポリアニオン塩と呼ばれてもよい。ポリスルホン化材料18のスルホネート基は、無機又は有機成分もしくは化合物のいずれかあるいは両方と関連付けることができる。
【0021】
実施に従えば、スルホネート基は、相補的な陽イオンと関連付けることができる。一例として、スルホネート基は、無機種、例えば1以上の正に帯電したNa、Ag、K、Li、Au、Ca、Zn、Mn、Mg、Fe、及び/又はCe、例えばNa、Ag、K、Li、Au、Ca++、Zn++、Mn++、Mg++、Fe++/Fe+++、及び/又はCe+++と関連付けることができる。また、スルホネートは、例えばNHと関連付けることができる。別の例によれば、スルホネート基は、アミノ酸、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、アルギニン、リジン、グルタチオン、リドカイン、アルブテロール、及び/又はアルキル/ベンジルアンモニウムなどの窒素含有の有機種を含む1以上の有機種と関連付けることができる。
【0022】
例示的な実施に従えば、ポリスルホン化材料18は、対応するポリスチレンスルホン酸の中和された誘導体であるポリスチレンスルホン酸ナトリウムであり得る。このポリメタロスルホン酸塩は、さらに、任意の様々な金属陽イオンと交換されて、一価、二価、三価、及びさらに4価の金属塩誘導体を調製することができる。同様に、ポリ(メタロ)スルホン酸塩、例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、ナトリウムを対象とする任意の窒素原子を含有する塩/プロトン化可能な窒素化合物に交換することによってポリ(オルガノ)スルホン酸塩誘導体に変換することができる。例示的な窒素原子を含有する塩/プロトン化可能な窒素化合物には、特に限定されるものではないが、アミン類、アミド類、イミン類、チアゾール類、イミダゾール類及び/又はピリジン類が含まれ得る。さらに、アンモニウム塩誘導体は、酸形態のポリスルホン酸塩にアミノ化合物を晒すことによって調製されてもよい。
【0023】
本開示の態様に従えば、ポリスルホン化材料18の誘導体は、化学的又は生化学的に修飾しているポリスルホン化材料18によって製造することができる。例として:ポリスルホン化材料18の陽イオンは、修飾され得る(ナトリウム(Na)をAgに置換する);テトラサイクリン:Hは、イオン交換を介してポリスルホン化材料18のナトリウムに対して置換され得る;ポリスルホン化材料18のスルホン酸誘導体は、例えば、アルギニンなどのアミノ酸、チラミン又はドーパミンなどの生体アミノを用いた処理によって、酸−塩基反応中にプロトン供給源として用いることができる。同様に、ポリスルホン化材料18のポリアニオン又はポリスルホン酸は、ポリカチオン又はポリアミン、例えば強塩基性イオン交換樹脂、例えばポリ−L−リジンを用いて交換可能である。
【0024】
ポリスルホン化材料18は、多数の成分及び化合物と関連付けられることが可能である。例えば、ポリスルホン化材料18は、常磁性イオン、例えば、Mn+2;Gd+2;Fe+3;並びにバリウム;タングステンの放射線不透過性金属イオン;及びストロンチウム;レニウム;イットリウムの放射性イオン;二価金属陽イオンCa+2;Zn+2;Cu+2;Mg+2;一価金属陽イオンNa;Ag;Li;Kと結合可能である。
【0025】
図2を参照すると、スキーム10Aは、ポリスルホン化材料18が少なくとも一部の治療薬Rと関連付けられることを示す。ポリスルホン化材料18に関連付けられた及び/又は連結された例示的な薬剤Rは、本明細書に開示されている。炎症又は癌性細胞増殖を阻害するために提供される場合、治療薬Rの一部がポリスルホン化材料18から放出され、例えば、イオン交換を介して治療薬Rを形成することができる。本実施例によれば、ポリスルホン化材料18は、同時にプロテイナーゼ阻害及び治療薬の両方を提供することができる。
【0026】
図3及び4を参照すると、ポリスルホン化材料18の調製は、液体形態(図3)及び固体形態(図4)の両方において示されている。図3に言及すると、調製物20には、容器24内に混合物22が含まれる。混合物22は、少なくとも2つの成分を含み、この2つの成分の少なくとも1つはポリスルホン化材料18である。本開示の態様によれば、混合物22は、液体混合物であり得る。ポリスルホン化材料18は、例えば可溶性成分の形態で、又は別の例として不溶性成分の形態で混合物22に存在してもよい。混合物22は、例えば水などのように親水性であってもよく、ポリスルホン化材料18は、水溶性であってもよい。また、混合物22は、油分又は脂肪酸などのように疎水性であってもよく、ポリスルホン化材料18は、同じく疎水性となるように調合されてもよい。
【0027】
他の例示的な実施に従えば、混合物22には、水及びポリスルホン化材料18が含まれ得て、ポリスルホン化材料18はポリスチレンスルホン酸塩である。混合物22は、必要に応じて約3.5〜約8.0のpHに中和され、所望の構造でポリスルホン化材料18のスルホン酸塩基を維持してもよい。
【0028】
他の例示的な実施形態に従えば、混合物22は、同種又は異種であってもよい。例えば、混合物22は、水及び水溶性ポリスルホン化材料の同種混合物であってもよい。別の例として、混合物22は、エマルジョンなどの異種混合物であってもよい。混合物22には、例えばゲル、クリーム、又はローションが含まれていてもよい。混合物22には、例えばカルボキシメチルセルロースが含まれてもよい。混合物22は、付加的成分、並びにポリスルホン化材料18を含むことができる。付加的成分には、特に限定されるものではないが、界面活性剤、賦形剤、湿潤剤、及び皮膚透過促進剤が含まれてもよい。界面活性剤には、例えばツイーン(Tween)80(ポリソルベート(Polysorbate)80)が含まれる。皮膚透過促進剤には、リノール酸、アルファ−リノール酸、オレイン酸、タラ肝油、メントール誘導体、スクアレン、グリセロール誘導体、薬草成分及びセンキュウエーテル抽出物の1以上が含まれ得る。混合物22は、中性の親水性マトリックスクリーム、ローション又はゲルであってもよく、ポリスルホン化材料18は、この混合物中に溶解されるか又は分散されてもよい。例えば、ゲルには、任意の様々な非常に水性な調合物が含まれ、特に限定されるものではないが、親水性の水溶性ポリマー、保湿剤、防腐剤、及び/又は純水が含まれる。
【0029】
ポリスルホン化材料18は、天然及び/又は合成ペプチドと関連付けられる及び/又はそれらのともに提供されてもよい。また、ポリスルホン化材料18は、調製物中で、メトトレキセート;フルオロウラシル;アドリアマイシン;アンサマイトシン;シトシン・アラビノシド;アラビノシルアデニン;メルカプトポリリジン;PAM;L−PAM;フェニルアラニン・マスタード;メルカプトプリン;ミトタン;プロカルバジン・ダクチノマイシン(アクチノマイシンD);マイトマイシン;プリカマイシン(ミトラマイシン);アミノグルテチミド;エストラムスチン;フルタミド;ロイプロリド;メゲストロール;タモキシフェン;アムサクリン(m−AMSA);アスパラギナーゼ(L−アスパラギナーゼ);エルウィニア(Erwina)アスパラギナーゼ;エトポシド(VP−16);インターフェロン・アルファ−2a;インターフェロン・アルファ−2b;テニポシド(VM−26);アドリアマイシン;アラビノシル;プロカルバジン;及びデカルバジンと関連付けられる及び/又はそれらとともに提供されてもよい。本開示の更なる態様に従えば、また、ポリスルホン化材料18は、調製物中で、下記と関連付けられる及び/又はそれらとともに提供されてもよい:ナイトロジェン・マスタード類:(クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン)。ニトロソウレア類:(カルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン;ストレプトゾシン)。プラチナム:(カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、BBR3464)。ブスルファン、ダカルバチン、メクロレタミン、プロカルバジン、テモゾロマイド、チオテパ(ThioTEPA)、ウラムスチン;代謝拮抗物質:葉酸:(メトトレキセート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド)。プリン:(クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、チオグアニン)。ピリミジン;(カペシタビン)。シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン;ビンカアルカロイド類:(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン);細胞障害/抗腫瘍性抗生物質;アントラサイクリンファミリー:(ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン)。ブレオマイシン、マイトマイシン;トポイソメラーゼ阻害剤;トポテカン、イリノテカン;モノクローナル抗体;アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、インフリキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、エタネルセプト;光感作剤;アミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、ポルフィマーナトリウム、ベルテポルフィン;キナーゼ阻害剤:ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ(ZD6474)。
【0030】
ポリスルホン化材料18とともに提供される及び/又はそれと関連付けられてもよい付加的な成分には、アルトレタミン、アナグレリド、ボルテゾミブ、デニロイキン・ディフチトクス、エストラムスチン、ペントスタチン、ペグアスパラガーゼ、アラゲブリウム(3−フェナシル−4、5−ジメチルチアゾリウム)、駆虫薬;アントテキシン;抗毒素;抗蛇毒素(antivenin);アミノグリコシド類;テオフィリン;アミノフィリン;ヘミン;ヘマトポルフィリン類;ムラミルジペプチド;ムラミルトリペプチド;リンホカイン類;マクロファージ活性化因子;N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン;ケトコナゾール;ナイスタチン;グリセオフルビン;フルシトシン(5−fc);ミコナゾール;アンホテリシンB;リシン;シクロスポリン;スルファゼシン;成長ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン;トリアムシノロン;フルドロコルチゾン;オキシトシン;バソプレッシン;シアノコバラミン;スーパーオキサイド・ジスムターゼ;アルカリ性ホスファターゼ;アメレキサノクス;グルタチオン;カルノシン;p−アミノサリチル酸;イソニアジド;カプレオマイシン;シクロセリン;エタンブトール;エチオナミド;ピラジナミド;リファンピン;及びストレプトマイシン;アシクロビル;アマンタジン・アジドチミジン;リバビリン及びビダラビン;ジルチアゼム;ニフェジビン;ベラパミル;ダプソーン;クロラムフェニコール;ネオマイシン;セファクロール;セファドロキシル;セファレキシン;エリスロマイシン;クリンダマイシン;リンコマイシン;バカンピシリン;カルベニシリン;ジクロキサシリン;シクラシリン;ピクロキサシリン;ヘタシリン;メチシリン;ナフシリン;オキサシリン;ペニシリン(G&V);チカルシリン;リファンピン;ドキシサイクリン;メフェナム酸;オキシフェンブタゾン;フェニルブタゾン;ピロキシカム;スリンダク;トリメチン;クロロキン;ヒドロキシクロロキン;メトロニダゾール;キニーネ;キニジン;メグルミン;ペニシラミン;パレゴリック;コデイン;ヘロイン;メタドン;モルヒネ;アヘン;及びパパベリン;ノスカピン;デスラノシド;アトラクリウム;ガラミン;メトクリン;パンクロニウム;スクシニルコリン(スキサメトニウム);ツボクラリン;ベクロニウム;エスクロルビノール;フルラゼパム;グルテチミド;メトトリメプラジン;メチプリロン;ミダゾラム;テマゼパム;トリアゾラム;ブピバカイン;クロロプロカイン;エチドカイン;リドカイン;メピバカイン;プロカイン;マーカイン;テトラカイン;ドロペリドール;エトミデート;フェンタニル;ケタミン;ベンジルトリメチルアンモニウム、クロルヘキシジン;アミノ酸(天然及び合成);ニコチン酸;ニコチンアミド、ピリドキシン;ヌクレオシド類(プリン類);チアミン;コエンザイムA;ペントキシフィリン;3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸;6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン;アセクロフェナック;アセジアスルホン;;アルミノプロフェン;アンフェナク;アモキシシリン;アンピシリン:アパラシリン;アピサイクリン;アスポキシシリン;アザセリン;アズトレオナム;バンバーマイシン(単数又は複数);ビアペネム;ブロムフェナク;ブシラミン;ブマジゾン;カンジシジン(単数又は複数);カルベニシリン;カルプロフェン;カルモナム;カルジノフィリンA;;セファマンドール;セファトリジン;セフブペラゾン;セフクリジン;セフジニール;セフジトレン;セフェピム;セフェタメット;セフィキシム;セフメノキシム;セフミノクス;セフォジジム;セフォニシド;セフォペラゾン;セフォラニド;セフォタキシム;セフォテタン;セフォチアム;セフォゾプラン;セフピミゾール;セフピラミド;セフピロム;セフプロジル;セフロキサジン;セフタジジム;セフテラム;セフチブテン;セフトリアクソン;セフゾナム;セファログリシン;セファロスポリンC;セフラジン;シプロフロキサシン;クリナフロキサシン;シクラシリン;デノプテリン;ジクロフェナク;エダトレキセート;エンフェナム酸;エノキサシン;エピシリン;エトドラク;フロモキセフ;フルフェナム酸;グレパフロキサシン;ヘタシリン;イミペネム;ロメフロキサシン;リメサイクリン;メクロフェナム酸;メルファラン;メロペネム;モキサラクタム;ムピロシン;ミコフェノール酸;ナジフロキサシン;ニフルム酸;ノルフロキサシン;オキサセプロール;パニペネム;パズフロキサシン;ペニシリンN;ピペミド酸;ポドフィル酸2−エチルヒドラジド;プロコダゾール;プソイドエフェドリン;プテロプテリン;キナシリン;リチペネム;ロムルチド;S−アデノシルメチオニン;サラゾスルファジミジン;スパルフロキサシン;ストレプトニグリン;スクシスルホン;スルファクリソイジン;スルファロクス酸;テイコプラニン;テマフロキサシン;テモシリン;テトラサイクリン;トルフェナム酸;(N−((5−(((1;4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)メチル)メチルアミノ)−2−チエニル)カルボニル)−L−グルタミン酸);トスフロキサシン;トロバフロキサシン;ドキシキシクリン(doxyxycline);マフェニド;ミニサイクリン;チゲモナム;又はバンコマイシン;ルセンソマイシン;ナタマイシン又は;6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン;デノプテリン;エダトレキセート;エフロミチン;(N−((5−(((1;4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)メチル)メチルアミノ)−2−チエニル)カルボニル)−L−グルタミン酸)−ウベニメクスが挙げられる。なお別の例に従えば、ポリスルホン化材料18は、アルブテロール、テルブタリン、及び/又はエフェドリンと関連付けられる及び/又はそれらとともに提供され得る。
【0031】
混合物22は、適用装置26などの適用装置に提供することができる。記載されている態様では、装置26は押し出しチューブである。混合物22は、力の利用により装置26から押し出され得るローション又はゲルの形態をとることができる。別の態様において、混合物22は、噴霧缶又は吸引器などの加圧用に設定されている容器に提供することができる。1つの実施では、混合物22は、高圧ガス及びポリスルホン化材料18を含んでいてもよい。加圧下で、噴霧形態で加圧された容器から放出可能である。混合物22は、同様に噴霧器又は吸入器から提供されてもよい。
【0032】
図4を参照すると、容器34内に粒子32を含む製造物30が示されている。粒子32は固体であってもよく、例えばポリスルホン化された粒子18が含まれてもよい。例示の形状に従えば、粒子32の個々のものはハイドロゲルビーズであってもよい。ハイドロゲルビーズのハイドロゲルは、ポリスルホン化材料18の存在下で架橋されるか及び/又はポリスルホン化材料18を含むように混和されて、固体の混和物を形成してもよい。ハイドロゲルは、例えばポリエチレングリコール系及び/又はポリビニルアルコール系であってもよい。本開示の他の態様に従えば、ポリスルホン化材料18は、架橋されたアクリル酸系ポリマー、例えばメタクリル酸又はそのエステル類のいずれか、例えばポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(HEMA)、例えばポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、アルギン酸塩、シリコーン、ハイドロコロイド、及び/又はハイドロゲルの固体マトリックスに分散することができる。さらに、粒子32の個々のものには、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリルアミド、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)/ポリエチレンオキシド、ポリ(メタクリル酸)、ポリウレタン類、及びシリコーン類が含まれる。
【0033】
別の実施に従えば、粒子32の個々のものには、生分解性ポリマーとしてのポリスルホン化材料18、又は生分解性ポリマーと関連付けられたポリスルホン化材料18が含まれてもよい。例えば、生分解性ポリマーには、特に限定されるものではないが、ラクチド/グリコリド類、ポリグリコリド類、ポリオルトエステル類、及び/又はポリラクチド類が含まれる。
【0034】
粒子の個々のものは、ポリスルホン化材料18を含むマイクロスフェアであってもよい。他の実施に従えば、粒子32の個々のものには、例えばコラーゲンなどの分解性基質が含まれ得る。また、粒子32の個々のものには、ゼラチン又はヘテロ糖ペクチンが含まれてもよい。
【0035】
例として、装置36を用いて、粒子32を適用することができる。装置36の例には、シリンジが挙げられる;しかしながら、ガーゼ及び/又は押し出しチューブなどの追加のアプリケーターを用いてもよい。例示の態様に従えば、粒子32は、注射可能な混合物の形態で装置36に提供されてもよい。注射可能な混合物内にある粒子32は、溶解されもよく又は溶解されなくてもよい。別の実施に従えば、粒子32は、混合物22のポリスルホン化材料18であり得る。混合物22の成分として、粒子32は、例示の態様に係るポリスルホン化材料18として提供されてもよい。
【0036】
また、図3及び4を参照すると、それぞれ、調製物20及び30は、相互に排他的でない。また、混合物22に含まれてもよい組成物は、粒子32に取り込まれてもよい。同様に、粒子32に含まれてもよい組成物は、混合物22に取り込まれてもよい。例示の実施によれば、調製物20及び/又は30には、生物学的に活性な材料を含んでもよい。例示的な生物学的に活性な材料には、特に限定されるものではないが、1以上のペプチド、タンパク質、サイトカイン、治癒因子、抗体、細胞毒素、VEGF、PDGF、EGF又は他の関連増殖因子、例えば、限定されないが、外因性増殖因子が含まれ得る。また、調製物20及び/又は30には、1以上の血管形成促進剤、抗菌剤、抗生物質、又は血管新生阻害剤が含まれてもよい。例示的な実施によれば、ポリスルホン化材料18は、外因性及び/又は内因性の因子の分解を阻害することができる。例えば、ポリスルホン化材料18は、外因性材料とともに生物に提供され得る。ポリスルホン化材料18は、外因性材料の治療活性を提供する外因性材料の分解を妨げることができる。ポリスルホン化材料18及び外因性及び/又は内因性材料は、同時に生物に提供することができる。
【0037】
調製物20及び/又は30は、ポリスルホン化材料18の濃度が約1mg/mlであってもよいが、より高いか又はより低い濃度が所望により用いてもよい。例えば、約0.1mg/mlと同程度に低い濃度、又は混合物22及び/又は粒子32へのポリスルホン化材料18の溶解性の限度と同程度に高い濃度は、非晶質ゲルなどの製剤、又はアルギン酸カルシウムで加工されたものなどの固体包帯(dressing)に用いることができる。調製物20及び/又は30は、約1〜約500mg/mlの濃度のポリスルホン化材料18を含んでもよい。
【0038】
調製物20及び/又は30は、短期間又は長期間の適用を介して応用することができる。無菌PBS又は無菌脱イオン水などのビヒクルを含む製造物は、阻害剤の短期間の適用に適している。長期間の適用については、徐放性ビヒクルの使用が利用可能である。例えば、ゲル調合製造物は、ポリスルホン化材料18の効果的な輸送のために用いることができる。
【0039】
図5及び6を参照すると、調製物20及び30を適用するための例示の方法が示されている。例示の態様に従えば、これらの方法は、限定されないが、脊椎動物を含む多細胞生物の組織の治癒を促進することができる。例示の実施例に従えば、治療的に有効な量のポリスルホン化材料18は、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を軽減するために生物に投与することができる。
【0040】
一般に、慢性創傷は、持続的な炎症期によって特徴付けることができ、最終的には、プロテアーゼ活性の上昇、その後の増殖因子及び他の正の創傷治癒因子の分解をもたらす場合があり、全体の作用が治癒を弱める。慢性創傷は、増殖因子によって刺激された組織沈着と、プロテアーゼによって媒介された組織破壊との間の不均衡であると考えることができる。様々な原因の慢性創傷は、マトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)として知られているタンパク質分解酵素の特定の分類のレベル上昇を有してもよい。創傷環境におけるこれらの高レベルのMMPの効果には、増殖因子及びそれらの受容体の局所的な破壊、並びに肉芽組織成分の分解が含まれ得る。
【0041】
創傷治癒の全体の目標は、連続性及び機能性を再確立するように新しい組織を合成及び沈着することであるが、調節された組織分解は、創傷治癒プロセスの正常な部分であることに留意され得る。創傷治癒に必要とされる組織分解の多くは、MMPによって行われる。MMPは、構造的な立体構造に関するカルシウムイオン、機能に関するそれらの活性部位における亜鉛イオンを要求する構造的に関連したタンパク質分解酵素のファミリーである。このファミリーの約20種のメンバーが同定され、それらは類似構造を共通にする(約40%のアミノ酸相同性)。多細胞型には、マクロファージ、線維芽細胞、好中球、上皮細胞、及び内皮細胞が含まれ、特定的の生化学的シグナル、例えば炎症性サイトカイン(例えば、TNF、IL−1b)の存在下でMMPを合成する。MMPは、創傷治癒、胚発生、及び月経などの多くの正常な生理学的プロセスにおいて役割を果たす。個々のMMPは、MMPによって分解される1又は複数のタンパク質基質を有する場合がある。ある種のMMPは、それらの機能(例えば、コラゲナーゼはコラーゲンだけを分解する)に非常に特異的である。具体的には、MMPは、1点でコラーゲンの三重らせんを開裂する。次に、この開裂は、硬い三重らせんを緩め、ほぐすことができ、結果として2つのゼラチン断片となる。他のMMPは、複数の基質を有する。;MMP間のいくつかの過剰な基質は明らかである。過剰なものがある場合、通常、1つのMMPは、特定の基質を優先的に分解する。
【0042】
まとめてみると、酵素のMMPファミリーは、細胞外マトリックスのほとんど全ての成分を消化することができる。治癒が進行し、修復をもたらすために、MMPのタンパク質分解活性と、肉芽組織のタンパク質成分の合成及び沈着に指向された他の細胞活性との間のバランスが存在してもよい。MMPのタンパク質分解活性は、遺伝子転写、細胞外活性を必要とする不活性な形体での酵素(酵素原(zymogen)と呼ばれる)の産生を含む種々のメカニズム、メタロプロテアーゼの組織阻害剤(即ち、tissue inhibitors of metalloprotease:TIMP)と呼ばれる内因性酵素阻害剤の局所的分泌によって調節される。MMPを産生する同細胞は、TIMPを合成することができる。4種類のTIMPが組織において同定されている(TIMP−1、TIMP−2、TIMP−3、及びTIMP−4)。これらのTIMPは、酵素の亜鉛を含む活性部位に結合することによって、全てのMMPを阻害することができる。TIMPは、酵素の酵素原形体に結合しない。正常な創傷修復中、MMPとTIMP活性レベルとの間の微妙なバランスがあってもよい。このバランスに支障が来たすと、高レベルのMMPは、過剰な組織分解、又は増殖因子、細胞表面受容体、及びTIMPそれ自体も含む細胞外マトリックス(ECM)中の他のタンパク質成分の崩壊をもたらす場合がある。
【0043】
いくつかの慢性創傷の少なくとも1つの他の特徴は、細胞外で検出される過剰なプロテアーゼである。調節された分解は正常な創傷治癒中に発生し得るが、過剰又は長期のタンパク質分解活性は有害であると考えられ、創傷治癒における遅延の原因となると解される。
【0044】
癌性細胞増殖に関しては、大部分の好中球誘導による腫瘍促進効果は、プロテアーゼを放出するそれらの能力に起因する。好中球の脱顆粒は、エラスターゼ、カテプシンG及びプロテアーゼ−3などのセリンプロテアーゼの放出をもたらし、腫瘍細胞侵襲を仲介するMMPの活性化の原因となり得る。
【0045】
腫瘍形成は、形質変換される腫瘍細胞だけでなく、炎症及び血管新生応答を誘導することによって反応する腫瘍間質も関与する。血管新生は、既存の血管からの新しい毛細血管の形成であり、典型的には、腫瘍成長及び転移に必要とされる。血管新生中に、静止の内皮細胞が活性化され、特異的な(発現された)プロテアーゼ、特にMMP(複数)の作用を通じて基底膜の分解によって移動を開始する。
【0046】
MMPは、ECM分解だけでなく、シグナル伝達機能も介して腫瘍進行を促進する。MMPは、アポトーシスに対抗し、血管新生を調整し、先天性免疫を制御し、転移及び腫瘍成長を促進する。間質及び免疫防御応答は、最終的に失敗に終わり、免疫細胞の回避、転移の発言変化(evolution)、化学療法剤の耐性及びさらに腫瘍の散在をもたらす場合がある。細胞表面のタンパク質へのMMP結合は、細胞内シグナリングに影響を及ぼし、プロ酵素の局在化及び活性化を促進し、ECMとの細胞接触の崩壊による細胞運動を媒介し、酵素の内在化を促進し得る。例えば、インテグリンは、MMPを含むいくつかのプロテアーゼに対する受容体として作用することが示されている。このような相互作用は、小窩、浸潤突起、移動細胞の先端で検出され、そこでは、指定のタンパク質分解活性がおそらくは必要である。インテグリンとMMP(MMP−2)との第1相互作用は、メラノーマ細胞の表面及び血管新生の血管で同定された。さらに、MT1−MMPは、タンパク質分解的な開裂を通じてインテグリン、αVβ3を活性化することが示されている。加えて、αVβ3−インテグリンは、C末端ドメインへの結合によって、MMP−2活性に調節的な特性を有する場合がある。
【0047】
さらに、CD44は、ヒアルロナンに対する主要な受容体であり、MMP−9ドッキング分子としても機能を果すことができる。MMPと細胞表面との相互作用は、細胞表面の基質の分解に対するプロ酵素活性及び特定部位での標的化を必要とされる場合があるだけでなく、受容体を介したエンドサイトーシスによる細胞内分解を促進することもできる。
【0048】
白血球エラスターゼ(leukocyte elastase:LE)は、セリンプロテアーゼであり、多形核(polymorphonuclear:PMN)白血球、主に好中球によって発現され、取り込んだ病原体を死滅させるための細胞内レベル、並びに凝固の仲介因子、免疫応答、及び創傷清拭としての細胞外レベルの両方で作用する。LEは、細胞外マトリックス(ECM)、例えばエラスチン、フィブロネクチン及びコラーゲンのいくつかの構造タンパク質を分解する能力を有するため、過剰量の活性なLEの産生は、多くの病理学的な状態において同定され、例えば、関節リウマチ、気腫、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:C.O.P.D.)、嚢胞性線維症、いくつかの慢性的創傷、炎症性腸疾患、及び腫瘍進行を含むECM組織化の障害をもたらす。また、LEは、PMNによって大量に放出され、PMNの溢出に役立つマトリックスメタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)のプロ酵素形体を活性化する。ヒト組織は、通常、内因性の阻害剤、例えばα1−プロテアーゼ−阻害剤(α1−PI)、α2−マクログロブリン、及び分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤(SLPI)によって、過剰なLE活性から保護される。酵素/阻害剤の不均衡が、ECM高分子の溶解の増加、したがって活性化したPMNにより浸潤された領域における組織損傷の危険性の増加へと導く場合がある。さらに、複数のサイトカイン、受容体、及び補体成分を分解するLEの能力が与えられると、炎症応答の負の調節は、抗原の持続性を助長し、慢性炎症をもたらす可能性がある。治療目的のための外因性のLE阻害剤を用いる可能性については、今日まで、開発された阻害剤の多くは、ヒトへの使用に理想的に適合しているとは決して言えない副作用を示す。しかしながら、ポリスルホン化材料18は、外因性及び内因性の因子を保護する目的で生物に提供され得る。
【0049】
図5を参照すると、生物40は、上皮創傷などの創傷42を有してもよい。例示の創傷には、限定されないが、(熱及び化学的)火傷及び慢性潰瘍、例えば圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、静脈下腿潰瘍、及び歯周炎が含まれる。また、創傷42は、アトピー性皮膚炎、皮膚の炎症の共通の形態を含むことができ、カテプシンGの組織レベルの上昇によって特徴付けられる。アトピー性皮膚炎は、掻痒、乾燥皮膚、及び表皮剥離によって特徴付けられる慢性皮膚障害であり、数個のパッチに局在化し、身体の大部分に関係し得る。また、創傷42は、外科的なものであり、あるいは擦り傷、皮膚の刺傷、及び/又は水膨れなどの外傷の結果であってもよい。
【0050】
図5に示されている態様に従えば、ポリスルホン化材料18を含む混合物22は、創傷42に局所的に投与することができる。上記したように、混合物22は、液体、例えばゲル、クリーム、又はローションであってもよい。別の実施に従えば、ポリスルホン化材料18を含む混合物22は、基材、例えばガーゼ又はスポンジに適用することができ、この基材を創傷42に適用することができる。
【0051】
ポリスルホン化材料18の投与により、生物40の組織のタンパク質分解は阻害され得る。例示の実施に従えば、タンパク質分解は、メタロプロテイナーゼを含むプロテアーゼ、例えばコラゲナーゼ及びゼラチナーゼの阻害を介して阻止することができる。また、セリンプロテアーゼとメタロプロテイナーゼの両方の阻害を達成することができる。阻害されるセリンプロテアーゼには、エラスターゼ及びカテプシンGのうち1つ又はその両方が含まれ得る。
【0052】
混合物22は、毎日、又は必要に応じて多い回数もしくは少ない回数で創傷42に適用することができる。ポリスルホン化材料18の典型的な毎日の投薬は、創傷又は潰瘍の1cm当たり20mu/gであるが、この量を変更してもよいことは認識され、好都合には0.1〜2000mu/g/cmの濃度を用いることができる。例えば、長期(例えば1年以上)の潰瘍は、500mu/g/cmの濃度を必要とする場合があり、1日に複数回、例えば日に2、3、又は4回適用される。短期間の潰瘍、又はより高い投薬量に十分に応答するものについては、投薬量は下げてもよい。例えば、プロテアーゼ阻害剤の投薬は、順次、例えば、100、10、1、又は0.1mu/g/cmに下げることも可能である。さらに、阻害剤の適用は、日に4〜1回などのより少ない回数で行うことができる。
【0053】
図6を参照すると、組織52は、適用される組成物38を有するように示されている。組織52には、癌性細胞56及び非癌性細胞54の両方が含まれる。例示の態様に従えば、マイクロスフェア又はビーズなどの固体材料と関連付けられたポリスルホン化材料18を含む治療的に有効な量の組成物38は、生体内に投与され、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又はその両方を軽減させることができる。
【実施例】
【0054】
本開示の例示的な態様が、下記に提供される。
【0055】
実施例1:ポリスルホン化材料18の調製
シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)、PO Box 14508、セントルイス、ミズーリ州63178、米国から得たスルホン化ポリスチレンナトリウム(PSS、70,000mw)を脱イオン水に溶解し、10%の固溶液を得ることができる。別々に、25gのアンバーライト(Amberlite)(プルロライト(Purolite)C−160)ナトリウム陽イオン交換レジンは、5gのAgNOを含む50CCの脱イオン水に設置し、アルミホイルで覆った三角フラスコ中で混合物を15時間撹拌した。レジンをろ過し、脱イオン水で繰り返し洗浄し、アンバーライト−SOAgレジンを得ることができる。10%のPSS溶液(100g)をアンバーライトAgレジンに添加することができ、分散物を一晩ゆっくり撹拌した。イオン交換レジンをろ過して取り出し、水を除去して、スルホン化ポリスチレンの混在したAg、Na塩を得ることができる。
【0056】
実施例2:ポリスルホン化材料18の調製
シグマ−アルドリッチ、PO Box 14508、セントルイス、ミズーリ州63178、米国から得たスルホン化ポリスチレンナトリウム(PSS、70,000mw)を脱イオン水に溶解し、10%の固溶液を得ることができる。別々に、25gのアンバーライト(プロライトC−160)陽イオン交換レジンは、50CCの脱イオン水に設置し、10CCの12N HClを添加することができ、レジンを室温で2時間撹拌した。レジンをろ過し、脱イオン水で何度も洗浄し、脱イオン水に溶解したアルギニン:HClの溶液(10mg/mL)を添加し、この溶液を室温で10時間撹拌した。レジンをろ過し、温めた脱イオン水で洗浄し、100gのPSS溶液を添加し、アルミホイルで覆った三角フラスコ中でこの混合物を一晩撹拌した。イオン交換レジンをろ過して取り出し、水を除去して、スルホン化ポリスチレンの混在したアルギニン、Na塩を得ることができる。
【0057】
実施例3:ポリスルホン化材料18の調製
シグマ−アルドリッチ、PO Box 14508、セントルイス、ミズーリ州63178、米国から得たスルホン化ポリスチレンナトリウム(PSS、70,000mw)を脱イオン水に溶解し、10%の固溶液を得ることができる。別々に、25gのアンバーライト(プロライトC−160)陽イオン交換レジンは、50CCの脱イオン水に設置し、脱イオン水に溶解したドキシサイクリン:HClの溶液(10mg/mL)の20CCを添加し、15時間撹拌することができる。レジンをろ過し、脱イオン水で何度も洗浄し、乾燥させ、アンバーライト−SOアルギニン:Hレジンを得ることができる。10%のPSS溶液(100g)をアンバーライト・ドキシサイクリン:Hレジンに添加し、分散液を一晩ゆっくり撹拌した。イオン交換レジンをろ過して取り出し、水を除去して、黄色のスルホン化ポリスチレンの混在したドキシサイクリン、Na塩を得ることができる。
【0058】
実施例4:ポリスルホン化材料18の適用
PSS(分子量70,000、5g)を45gの親水性ポリウレタン(PSS調合物)と一緒にし、この混合物をエタノール−脱イオン水の95:5の混合物に溶解させ、10%の固溶液を得ることができる。この溶液をフィルムにキャストし、空気乾燥及び真空乾燥させ、可撓性材料を得ることができる。ポリマー−PSS調合物を用いて、エラスターゼに対するPSSの効果を評価することができる。結果を下記に詳述する。PSS調合物(青色のバー)は、30ミリユニットから約6ミリユニットにエラスターゼを減少させ、これは、下記のグラフに示されるようにおおよそ80%の減少を反映している。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例5:ポリスルホン化材料18の適用
約15gのクチノバ(Cutinova)非晶質ハイドロゲル(バイヤスドルフ株式会社(Beiersdorf AG)、ウンナストラッセ(Unnastraβe)48、D−20245、ハンブルグ、ドイツ)をバイアルに移し、1.67gのPSS(mw=70,000)(シグマ−アルドリッチ、PO Box 14508、セントルイス、ミズーリ州63178、米国)を添加し、ガラス棒を用いてゲル内でPSSを撹拌し、約10%(wt./wt.)の固体組成物を得ることができる。PSS単独(分子量70K及び1000K)、及び調合物188−DJVについてデータを示す。棒グラフのPSS−調合物は、ほぼ80%のエラスターゼが試験試料(ヒト創傷液)から取り除かれたことを表す。
【0061】
【表2】

【0062】
なお、上記表2は、PSSによるカテプシンG活性を示したものであり、2mlの創傷溶剤(VAC)を25℃で4時間インキュベートした25−30mgの剤形(1)又はガーゼ(2)である。分画を除去し、残留カテプシンG活性をテストした。結果は、カテプシンG活性抑制の割合として表示した。
【0063】
実施例6:ポリスルホン化材料18の適用
上記実施例5の試料(DJV−188)は、緩衝液に溶解させたスルホン化ポリスチレンナトリウム(PSS 70K及び1000K)と比較することができる。これらの識別子は、これらの材料の分子量である。これらのPSS含有調合物は、クチノバゲル(非標識ゲルと同様)、イオン交換ポリマー(小塊(nugget))、及びガーゼと比較することができる。
【0064】
【表3】

【0065】
実施例7:ポリスルホン化材料18の適用
約25グラムのアルギン酸ナトリウム(シグマ−アルドリッチ、PO Box 14508、セントルイス、ミズーリ州63178、米国)は、250mLの滅菌脱イオン水(オートクレーブ滅菌による)と一緒にすることができ、この混合物は、溶解を促進するためにオートクレーブされ得る。同時に、15グラムのPSS(1000K)は、200mLの滅菌脱イオン水と混合され、溶解を促進するために上述したように溶液をオートクレーブ(105℃)にすることができる。上記溶液をオートクレーブ後、一緒にし、溶解していない材料を除去するためにポリエステル繊維を通過させてろ過することができる。一緒にした溶液をもう1回オートクレーブ(105℃)し、保存期間を確保するためにキャップした。別々に、0.5M CaClの1リットルを調製し、架橋工程で15PSSを少しでも失わないようにするために、10グラムのPSS(1000K)を添加することができる。アルギン酸塩溶液は、ビーズを調製するために、塩化カルシウムPSS溶液に滴下することができる。ビーズは、塩化カルシウム溶液中で5分間放置して、その後、ポリエステル繊維を通じてろ過することができる。ビーズを包装し、試験前に冷蔵することができる。
【0066】
上記のアルギン酸塩−PSS溶液を用いて、エボロン(Evolon)130(gr)ソフトのシート(フロイデンブルグ(Freudenberg)/エボロンNA)を、完全に浸るように沈め、繊維を取り出し、過剰のアルギン酸塩溶液を除去することができる。この繊維をCaCl−PSS溶液に設置し、アルギン酸塩がフィルムになるまで放置することができる。繊維組成物は、適切な大きさに切断し、試験前に電子ビーム照射(25kG)によって滅菌することができる。
【0067】
【表4】

【0068】
実施例8:PVA−PSS複合物
ポリビニルアルコール(PVA、PVOH)は、ポリ酢酸ビニルの(部分的又は完全な)加水分解によって調製することができるポリマーである。このポリマーは水溶性であり、無毒性であり、親水性であり、ハイドロゲルの特徴をもたらすことができる。PSSを組み込んでいるPVAハイドロゲル試料を調製するために、PVA/脱イオン水混合物は、所望の重量パーセント(15%固体)に基づいて最初に形成することができる。この混合物は、均質な溶液を形成するために、121℃のチャンバー温度、及び30分の滅菌時間の液体サイクルに基づいてオートクレーブすることができる。同様に、PSS(平均MW=70,000又は1,000,000)は、ある比率で脱イオン水に懸濁させ、10%の固溶液を得ることができ、この混合物は、均質な溶液を形成するために、121℃のチャンバー温度、及び30分の滅菌時間の液体サイクルでオートクレーブすることができる。この溶液を冷却し、PSS溶液は、20:80の比率でPVA溶液と合わせ、14.2%PSS(乾燥重量)である複合物を得ることができる。この溶液は、均質に混和され、高温度(>100℃)で長方形の鋳型でキャストし、凍結/融解サイクルスキームで処理することができる。1回のサイクルは、−20.0℃での8時間の凍結、22℃での4時間の融解を意味する。全てのサイクルは、所望の回数の繰り返しのために連続して適用することができる。サイクルの完了後、長方形の試料は、注意深く所望の形状に打ち抜きすることができる。
【0069】
PSS含有ビーズは、エラスターゼの阻害に有効であり得る(棒グラフの右)IMS−70−1、IMS−70−2、IMS−70−アルギン酸塩、及びIMS−1000−アルギン酸塩。同様に、製造物は、カテプシンG、MMP−8、及びMMP−9に対して有効であり得る。
【0070】
実施例9:アルギニンを用いてPSS誘導体化
ポリスチレンスルホン酸塩(アルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)、434574)平均Mw=1,000,000は、前述の実施例に記載したように溶解させ、脱イオン水に溶解した20%固溶液を得ることができる。100グラムの溶液(100グラム)は、SnakeSkin(登録商標)透析チューブ(ピアス(Pierce)、P.O.Box 117,ロックフォード(Rockford),III.61105から市販される)、10K MWCOに設置し、チューブをクランプすることができる。チューブのバルーンは、25グラムのアルギン−HCl(シグマ)を含む脱イオン水槽(2L)に設置することができる。このバルーンは、24時間平衡にし、取り出し、脱イオン水でリンスし、次に脱イオン水(のみ)に設置し、72時間の全期間で4時間ごとに変えることができる。得られる溶液は、凍結乾燥させて、綿状の含水固体を得ることができる。この実施例の組成物は、例えば、セリンプロテーゼ、MMP、エラスターゼ、及び/又はカテプシンGの阻害に効果的であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本開示の態様に係る、本開示の組成物と好中球によって産生される酵素との相互作用についての例示的な記述である。
【図2】本開示の態様に係る、本開示の組成物と、塩を含む組織液と好中球によって産生される酵素との相互作用についての例示的な記述である。
【図3】本開示の態様に係る、本開示の組成物についての例示的な調製物である。
【図4】本開示の態様に係る、本開示の組成物についての例示的な調製物である。
【図5】本開示の態様に係る、例示的な適用についての記述である。
【図6】本開示の態様に係る、例示的な適用についての記述である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多細胞生物の組織の治癒を促進するための方法であって、
液体混合物に含まれる治療的に有効な量のポリスルホン化材料を投与して、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又は両方を軽減させる方法。
【請求項2】
前記投与は、加圧容器から前記ポリスルホン化材料を分散させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合物は、高圧ガスを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与は、前記液体混合物に含まれるポリスルホン化材料を創傷に適用することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記創傷は、表皮創傷である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記投与は、表皮創傷の1cm当たり、液体混合物1g当たり約0.1〜約2000muのポリスルホン化材料を適用することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記投与は、表皮創傷の1cm当たり、液体混合物1g当たり少なくとも約20muのポリスルホン化材料を適用することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記創傷は、熱傷である、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記表皮創傷は、慢性潰瘍である、
請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記潰瘍は、圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、静脈下腿潰瘍及び歯周炎の1以上である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記投与は、前記液体混合物に含まれるポリスルホン化材料を局所的に表皮創傷に適用することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物の投与後に、前記生物の組織のタンパク質分解を阻害することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組織のタンパク質分解を阻害することは、組織の死滅を阻害することである、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
少なくとも1つのメタロプロテイナーゼを阻害すること、
をさらに含む方法。
【請求項15】
前記メタロプロテイナーゼは、コラゲナーゼ及びゼラチナーゼの1つ又は両方である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物の投与後に、前記生物のプロテアーゼを阻害することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ及びメタロプロテイナーゼの両方を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プロテアーゼは、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、エラスターゼ及びカテプシンの少なくとも2以上を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記投与は、前記混合物を基材に適用し、次に該基材を前記生物の組織に適用することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記基材は、ガーゼ又はスポンジである、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
固体材料と関連付けられている治療的に有効な量のポリスルホン化材料を内服的に投与し、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又は両方を軽減させることを含む、
脊椎生物の組織の治癒を促進するための方法。
【請求項22】
前記固体材料は、分解性基材の成分を含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記固体材料は、コラーゲン又はゼラチンを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記投与は、少なくとも1つの追加の生物学的に活性な材料を提供することをさらに含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的に活性な材料は、生物学的プロセス阻害剤を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記生物学的に活性な材料は、ペプチド、タンパク質、サイトカイン、治癒因子、抗生物質及び細胞毒素の1以上を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項27】
液体混合物に含まれるポリスルホン化材料を含む多細胞生物の組織を治癒するための組成物であって、
投与されて、炎症及び癌性細胞増殖の1つ又は両方を軽減させるように構成されている組成物。
【請求項28】
前記スルホン化した材料は、ポリマー骨格から伸長している少なくとも1つのスルホン酸基を有するポリマーを含む、
請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記スルホン化した材料は、少なくとも1つの末端スルホン酸基を含む、
請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記スルホン酸基は、有機化合物又は有機金属化合物の窒素含有基と関連している、
請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記スルホン酸基は、酸である、
請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記スルホン酸基は、塩の成分である、
請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
前記塩は、スルホン化材料及び陽イオンを含み、該陽イオンが、Na、Ag、NH、K、Li、Au、Ca++、Zn++、Mn++、Mg++、及びCe+++の1以上である、
請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記塩は、スルホン化材料及び有機陽イオンを含み、該有機陽イオンが、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、アルギニン、リジン、グルタチオン、マフェニド、アルブテロール及びリドカインの1以上である、
請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記スルホン化材料は、アリーレンビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩及びスルホン化糖の1以上のモノマーを含む、
請求項27に記載の組成物。
【請求項36】
前記液体混合物は、水を含み、
前記スルホン化材料は、水溶性である、
請求項27に記載の組成物。
【請求項37】
前記スルホン化材料は、ポリアニオン塩である、
請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記スルホン化材料は、ポリアニオン金属塩である、
請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記スルホン化材料は、ポリアニオン有機塩である、
請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記液体混合物の少なくとも一部は、親水性である、
請求項27に記載の組成物。
【請求項41】
前記液体混合物が2つの成分からなり、前記2つの成分の1つは前記ポリスルホン化材料である、
請求項27に記載の組成物。
【請求項42】
前記液体混合物は、ゲル、クリーム又はローションのうちの1つである、
請求項27に記載の組成物。
【請求項43】
延期液体混合物は、ゲルであり、
前記ゲルは、カルボキシメチルセルロースを含む、
請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記ゲルは、界面活性剤をさらに含む、
請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記界面活性剤は、Tween 80(Polysorbate 80)を含む、
請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記液体混合物は、エマルジョン又は溶液の1つである、
請求項27に記載の組成物。
【請求項47】
前記液体混合物は、ハイドロゲル製剤であり、
前記スルホン化材料は、該ハイドロゲル製剤に混和される、
請求項27に記載の組成物。
【請求項48】
前記ハイドロゲル製剤は、アルギン酸塩、ポリアクリレート、ポリアルキレンオキシド、及びポリ(N−ビニルピロリドン)の1以上を含む、
請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記ハイドロゲル製剤は、アルギン酸カルシウムを含む、
請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記混合物は、界面活性剤、賦形剤、湿潤剤及び皮膚透過促進剤の1以上を含む、
請求項27に記載の化合物。
【請求項51】
前記混合物は、皮膚透過促進剤を含み、
該皮膚透過促進剤は、リノール酸、アルファ−リノール酸、オレイン酸、タラ肝油、メントール誘導体、スクアレン、グリセロール誘導体、ハーブ成分、及びセンキュウ(senkyu)エーテル抽出物の1以上を含む、
請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記液体混合物は、約3.5〜8.0のpHで緩衝化された溶液を含む、
請求項27に記載の組成物。
【請求項53】
固体粒子を含む多細胞生物の組織を治癒するための組成物であって、
前記個体粒子は、少なくとも1つのポリスルホン化材料を含み、投与されて炎症及び癌性細胞増殖の1つ又は両方を軽減させるように構成されている組成物。
【請求項54】
前記個体粒子のそれぞれは、ハイドロゲルビーズである、
請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記個体粒子は、粒子1グラム当たり約0.1〜約2000muのスルホン化材料である、
請求項53に記載の組成物。
【請求項56】
前記個体粒子のポリスルホン化材料は、約600〜約1,000,000グラム/モルの分子量を有するポリマーを含む、
請求項53に記載の組成物。
【請求項57】
前記ポリスルホン化材料は、ポリアリーレンビニルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルスルホン酸塩及びポリスルホン化多糖の1以上を含む、
請求項53に記載の組成物。
【請求項58】
前記ポリスチレンスルホン酸塩は、少なくとも約70,000グラム/モルの分子量を有する、
請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記ポリスルホン化材料は、非スルホン化材料との共重合体である、
請求項53に記載の組成物。
【請求項60】
前記個体粒子は、水溶性である、
請求項53に記載の組成物。
【請求項61】
前記個体粒子は、ポリスルホン化材料及び生分解性ポリマーを含む、
請求項53に記載の組成物。
【請求項62】
前記個体粒子のそれぞれがマイクロスフェアである、
請求項53に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−525975(P2009−525975A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553358(P2008−553358)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/002780
【国際公開番号】WO2007/089902
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508230754)
【Fターム(参考)】