説明

多重エマルジョンの形成のための方法および装置

本発明は一般に、多重エマルジョン、および多重エマルジョンの作製方法および装置に関する。多重エマルジョンとは一般に、1またはそれ以上のより小さい液滴をその中に含有するより大きい液滴について説明する。これらのより大きい液滴は、いくつかの例では、第三流体中に縣濁されてもよい。これらは、例えば製薬剤、細胞、化学物質などの種をカプセル化するのに有用であり得る。いくつかの例では、これらの液滴の1またはそれ以上は、形態を変え、例えば固化されて、微小カプセル、リポソーム、ポリマーソーム、またはコロイドソームを形成し得る。多重エマルジョンは、いくつかの実施形態においては一工程で、一般的に正確な反復性をともなって形成することができ、単一の外部液滴内に、1、2、3、またはそれ以上の内部液滴を含むように調整することができる(いくつかの例では、これらの液滴はすべて、ネスティングされ得る)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府支援)
本発明の種々の局面をもたらす研究は、少なくとも部分的に、NSF(DMR−0243715)の資金援助を受けた。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第60/659,045号(2005年3月4日出願、発明の名称「Method and Apparatus for Forming Multiple Emulsions」、Weitzらによる)の優先権を主張し、この仮特許出願は、本明細書中で参考として援用される。
【0003】
(発明の分野)
本発明は一般に、エマルジョン、およびエマルジョンの生成、より詳しくは多重エマルジョンを形成するための微小流体系、およびこれらから生成されたエマルジョンに関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
エマルジョンは、第一流体が、典型的にはこの第一流体と不混和性であるか、または実質的に不混和性である第二流体中に分散された時に存在する流体状態である。通常のエマルジョンの例は、水中油および油中水エマルジョンである。多重エマルジョンは、2以上の流体、または典型的な2流体エマルジョンよりも複雑な方法で配列された2またはそれ以上の流体で形成されたエマルジョンである。例えば多重エマルジョンは、油中水中油、または水中油中水であってもよい。多重エマルジョンは、例えば製薬送達、ペイントおよびコーティング、食品および飲料、および健康および美容助剤などの分野における、現在の潜在的用途によって特別な利点を有する。
【0005】
典型的には、別の液滴の内側の液滴からなる多重エマルジョンは、2段階乳化技術を用いて、例えば混合を通してせん断力を加え、乳化プロセスの間に形成された液滴のサイズを減少させることによって作製される。例えば多孔質ガラス膜を用いた膜乳化技術などの他の方法もまた、水中油中水エマルジョンを生成するために用いられてきた。微小流体技術もまた、2またはそれ以上の工程を含む手順を用いて、液滴の内側に液滴を生成するために用いられてきた。例えば、2004年4月9日に出願された、Linkらによる、発明の名称が“Formation and Control of Fluidic Species”という国際特許出願第PCT/US2004/010903号であって、2004年10月28日に特許文献1として公開されたもの;または2003年6月30日に出願された、Stoneらによる、発明の名称が“Method and Apparatus for Fluid Dispersion”という国際特許出願第PCT/US03/20542号であって、2004年1月8日に特許文献2として公開されたものを参照されたい。これらの各々は、参照して本明細書に組み込まれる。同様に、非特許文献1および非特許文献2も参照されたい。これらの例のいくつかにおいて、微小流体装置におけるT形接合部が、まず油相中に水性液滴を形成するために用いられ、これはついで、下流の別のT形接合部へ運ばれ、ここで、油相中に含有された水性液滴が、別の水相中に導入される。別の技術において、共軸ジェットを、コーティングされた液滴を生成するために用いることができるが、これらのコーティングされた液滴は、多重エマルジョンを形成するために、連続相中へ再乳化されなければならない。非特許文献3を参照されたい。
【特許文献1】国際公開第2004/091763号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/002627号パンフレット
【非特許文献1】Annaら,「Formation of Dispersions using ‘Flow Focusing’ in Microchannels」,Appl.Phys.Lett.,2003年,第82巻,p.364
【非特許文献2】Okushimaら,「Controlled Production of Monodispersed Emulsions by Two−Step Droplet Breakup in Microfluidic Devices」,Langmuir,2004年,第20巻,p.9905−9908
【非特許文献3】Loscertalesら,「Micro/Nano Encapsulation via Electrified Coaxial Liquid Jets」,Science,2002年,第295巻,p.1695
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多重エマルジョン、およびこれらから作製することができる生成物は、例えば食品、コーティング、化粧品、または製薬産業において有用な多様な製品を生成するために用いることができる。一貫した液滴サイズ、一貫した液滴数、一貫したコーティング厚さ、および/または改良された制御を与える多重エマルジョンを生成するための方法は、これらの製品の商業的実現を、より実行可能なものにするであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
この出願の主題は、いくつかの例では、相互関連製品、特定の問題への代替解決法、および/または単一系もしくは物品の複数の異なる用途に関わる。
【0008】
1つの態様において、多重エマルジョンの作製方法であって、第二流体に囲まれているが、この第二流体が第三流体に囲まれている第一流体ストリームから第一液滴を形成する工程を含む方法が提供される。
【0009】
別の態様において、第一流体ストリームを第一方向へ流す工程、第二流体ストリームを第一流体と同じ方向へ流す工程であって、第二ストリームが第一ストリームを取り囲んでいる工程、第三流体ストリームを、第一方向と実質的に反対の第二方向へ流す工程、および第三流体ストリームの流れの方向を変えて、第一方向へ実質的に平行に流す工程を含む方法が提供される。
【0010】
別の態様において、液滴の形成のための装置であって、第一直径を有する第一導管、出口開口部を画定する末端を備える第二導管であって、第一導管中に同心的に配置された第二導管、および入口開口部を画定する末端を備える第三導管であって、第一導管中に同心的に配置され、入口開口部が、第二導管の出口開口部の反対側にある第三導管を備える装置が提供される。
【0011】
別の態様において、1つの種をパッケージする方法であって、1つの種を第一流体中に縣濁する工程、第一流体を、第二流体ストリームに囲まれているストリーム中に流す工程であって、第二流体が、第一流体と実質的に不混和性である工程、第二流体ストリームを囲んでいる第三流体ストリームを導入する工程、および第一流体の多重液滴であってこれらの液滴が、これらの種の少なくとも1つを含有する液滴を形成する工程を含む方法が提供される。
【0012】
別の態様において、液滴の形成方法であって、第一流体を第一導管中に流す工程、第二流体を第二導管中に流し、第二流体を、第二導管の出口開口部を画定する末端から、第一導管中の第一流体中へ排出する工程、第一流体に囲まれている第二流体を、第一流体中の第二流体の液滴が制限部(restriction)内に形成される条件下で、制限部に入るように推進する工程、および第一流体中に運ばれる第二流体の液滴を、制限部から、制限部よりも大きい寸法の領域中へ放出する工程を含む方法が提供される。
【0013】
さらに別の態様において、液滴の形成方法であって、第一流体を第一導管中に流す工程、第二流体を第二導管中に流し、第二流体を、第二導管の出口開口部を画定する末端から、第一導管中の第一流体中へ排出する工程、第三流体を第三導管中に流し、第三流体を、第三導管の出口開口部を画定する末端から、第二導管中の第二流体中へ排出する工程、第一流体に囲まれ、かつ第三流体を含有する第二流体を、第一流体中の第二流体の液滴が制限部内に形成される条件下で、制限部に入るように推進する工程、および第一流体中に運ばれる第二流体の液滴を、制限部から、制限部よりも大きい寸法の領域中へ放出する工程を含む方法が提供される。
【0014】
1つの態様において、本発明は、少なくとも第一粒子シェル、および第一粒子シェルを囲んでいる第二粒子シェルを有するコロイドソームを提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、内部脂質層および外部脂質層を有する脂質二層を含んでいるリポソームを提供する。いくつかの実施形態において、内部脂質層が第一脂質組成物を含み、外部脂質層が、第一脂質組成物と識別し得る第二脂質組成物を含んでいる。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、内部流体、内部流体を囲んでいる第一中間流体、第一中間流体を囲んでいる第二中間流体、および第二中間流体を囲んでいる外部流体を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されている実施形態の1またはそれ以上の作製方法を対象とする。別の態様において、本発明は、本明細書に記載されている実施形態の1またはそれ以上の使用方法を対象とする。
【0018】
本発明の他の利点、特徴、および用途は、概略的であってかつ一定の比例に拡大して描かれることが意図されていない添付図面とともに考察される時、本発明の非限定的な実施形態の次の詳細な記載から明らかになるであろう。図面において、様々な図面に図解されている各々の同一またはほぼ同一の構成要素は典型的には、単一の数字によって表わされている。分かりやすくするために、すべての構成要素が、すべての図面において標識されているわけではなく、当業者に本発明を理解させるために図解が必要ではない場合、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。本明細書、および参照して組み込まれた文献が、相反する開示を含むような場合、本明細書が統御するものとする。
【0019】
本発明の非限定的実施形態は、概略的でありかつ一定の比例に拡大して描かれることが意図されていない添付図面を参照して、例として記載される。これらの図面において、図解されている各々の同一またはほぼ同一の構成要素は典型的には、単一の数字によって表わされている。分かりやすくするために、すべての構成要素が、すべての図面において標識されているわけではなく、当業者に本発明を理解させるために、図解が必要ではない場合、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(詳細な説明)
本発明は一般に、多重エマルジョン、および多重エマルジョンの作製方法および装置に関する。本明細書において用いられるとき、多重エマルジョンは、1またはそれ以上のより小さい液滴をその中に含有するより大きい液滴を表す。1または複数のより大きい液滴は、いくつかの例では、第三流体中に縣濁されてもよい。あるいくつかの実施形態において、多重エマルジョン中へのエマルジョン程度のネスティングが可能である。例えば、エマルジョンは、より小さい液滴をその中に含有する液滴を含有してもよく、この場合、より小さい液滴の少なくともいくつかは、一層小さい液滴をその中に含有する、等々。多重エマルジョンは、例えば製薬剤、細胞、化学物質などの種をカプセル化するのに有用であり得る。いくつかの例では、これらの液滴の1またはそれ以上(例えば内部液滴および/または外部液滴)は、形態を変え、例えば固化されて、微小カプセル、リポソーム、ポリマーソーム、またはコロイドソームを形成し得る。下に記載されているように、多重エマルジョンは、あるいくつかの実施形態において一工程で、一般的に正確な反復性をともなって形成することができ、単一の外部液滴中に、1、2、3、またはそれ以上の内部液滴を含むように調整することができる(これらの液滴はすべて、いくつかの例では、ネスティングされていてもよい)。本明細書において用いられるとき、「流体」という用語は一般に、液体または気体状態における物質を意味する。しかしながら流体はまた、固体、例えば縣濁粒子またはコロイド粒子も含有し得る。
【0021】
多重エマルジョンが有用であることが立証され得る分野は、例えば食品、飲料、健康および美容助剤、ペイントおよびコーティング、薬品および製薬送達を包含する。例えば正確な量の薬品、製薬剤、または他の薬剤は、特定の生理条件下で破裂するように設計されたシェルによってカプセル化され得る。いくつかの事例では、細胞は、液滴中に含有されてもよく、これらの細胞は、例えばポリマーソームを介して貯蔵および/または送達され得る。貯蔵および/または送達され得る他の種は、例えば生化学種、例えば核酸、例えばsiRNA、RNAi、およびDNA、タンパク質、ペプチド、または酵素を包含する。本発明の多重エマルジョン中に組み込むことができる追加種は、ナノ粒子、量子ドット、香料、タンパク質、指示薬、染料、蛍光種、化学物質などを包含するが、これらに限定されない。多重エマルジョンはまた、あるいくつかの例では、例えば化学反応を制御するため、またはインビトロでの転写および翻訳のため、対象とする進化技術のための反応容器としても役立ち得る。
【0022】
本明細書に記載されている方法および装置を用いて、いくつかの実施形態において、一貫したサイズおよび/または数の液滴を生成することができ、および/または外部液滴対内部液滴のサイズおよび/または数の一貫した比(または他のこのような比)を生成することができる。例えばいくつかの例では、予測可能なサイズの外部液滴中の単一液滴は、薬品の特定量を提供するために用いることができる。また、化合物または薬品の組み合わせが、多重エマルジョン液滴中に貯蔵、輸送、または送達され得る。例えば疎水性および親水性種は、単一多重エマルジョン液滴中に送達することができ、それは、この液滴が親水性および疎水性部分の両方を含み得るからである。これらの部分の各々の量および濃度は、本発明のあるいくつかの実施形態にしたがって一貫して制御することができる。これらは、多重エマルジョン液滴中の2またはそれ以上の種の予測可能な一貫した比を与え得る。
【0023】
1つの態様において、本明細書に記載された多重エマルジョンは、異なる流体を用いて単一工程において作製されてもよい。一組の実施形態において、三重エマルジョン、すなわち第一流体を含有するエマルジョンが生成され得る。第一流体は第二流体に囲まれ、そして第二流体は、第三流体に囲まれている。いくつかの例では、第三流体および第一流体は、同一であってもよい。これらの流体は、それぞれ内部流体(IF)、中間流体(MF)、および外部流体(OF)と呼ぶことができ、多くの場合、疎水性の差によって、様々な混和性を有する。例えば内部流体は、水溶性であってよく、中間流体は油溶性であってよく、そして外部流体は水溶性であってよい。この配列は多くの場合、w/o/w多重エマルジョン(「水/油/水」)と呼ばれる。別の多重エマルジョンは、油溶性である内部流体、水溶性である中間流体、および油溶性である外部流体を含んでいてもよい。この型の多重エマルジョンは多くの場合、o/w/o多重エマルジョン(「油/水/油」)と呼ばれる。上の用語法における「油」という用語は単に、当業界において公知であるように、一般により疎水性であり、水中に混和性がない流体のことを言うだけであることに注目すべきである。このようにして油は、いくつかの実施形態において炭化水素であってよいが、他の実施形態において油は、他の疎水性流体を含んでいてよい。
【0024】
本明細書において用いられているように、多重エマルジョンが生成される温度および条件下で、一方が少なくとも10重量%のレベルまで他方中に溶解性でない時に、2つの流体は互いに不混和性であるか、または混和性でない。例えばこの流体および液体は、流体液滴の形成の時間枠内で不混和性であるように選択されてよい。いくつかの実施形態において、内部流体と外部流体とは、相溶性または混和性であるが、中間流体は、内部流体および外部流体の各々と不相溶性または不混和性である。しかしながら他の実施形態において、3つの流体すべては、相互に不混和性であり、あるいくつかの例では、これらの流体のすべては、必ずしも全部が水溶性である必要はない。さらに他の実施形態において、追加の第四、第五、第六等の流体が添加されて、ますます複雑になる液滴を液滴中に生成してもよい。例えば第一流体は第二流体に囲まれていてよく、そして第二流体は、第三流体に囲まれていてよく、そして第三流体は、第四流体に囲まれてもよい、等々。
【0025】
本明細書における記載において、多重エマルジョンは概して、3相系、すなわち外部流体、中間流体、および内部流体を有する系を参照して記載されている。しかしながら、これは例としてのみであること、および他の系においては追加流体が、多重液滴中に存在してもよいことに注目すべきである。例として、エマルジョンは、第一流体液滴および第二流体液滴を含有してよく、各々が第三流体に囲まれ、そして第三流体は、第四流体に囲まれている。またはエマルジョンは、より高度のネスティングを有する多重エマルジョンを含有してよい。したがって、内部流体、中間流体、および外部流体の記載は、提示の容易さによるものであること、および以下の記載は追加流体を含む系へ容易に拡大し得ることを理解すべきである。
【0026】
流体粘度が液滴形成に影響を与えることがあるので、いくつかの例では、内部流体、中間流体、および/または外部流体の粘度は、粘度の調節を補助し得る成分、例えば希釈剤を添加または除去することによって調節され得る。いくつかの実施形態において、内部流体および中間流体の粘度は、等しいか、または実質的に等しい。このことは例えば、内部流体および中間流体における液滴形成の等しい回数または速度で補助し得る。他の実施形態において、外部流体は、内部流体または中間流体のいずれかと実質的に異なる粘度を示してよい。粘度における実質的な差とは、これらの2つの流体間の粘度の差が、統計的に有意なベースで測定され得ることを意味する。これらの液滴中の流体粘度の他の分布もまた可能である。例えば内部流体は、中間流体の粘度よりも大きいか、または小さい粘度を有してよく、中間流体は、外部流体の粘度よりも大きいか、または小さい粘度を有してよい、等々。例えば4、5、6、またはそれ以上の流体を含有する、より高次の液滴において、これらの粘度は、特定の用途に応じて、要望どおりに独立して選択されてもよいことにも注目すべきである。
【0027】
一組の実施形態において、多重エマルジョンは、3つ(またはそれ以上)の流体を、導管系を介して流すことによって形成される。この系は、微小流体系であってよい。本明細書において用いられるとき、「微小流体」とは、約1ミリメートル(mm)未満の断面寸法、そしていくつかの場合では、少なくとも3:1の長さ対最大断面寸法の比を有する、少なくとも1つの流体通路を備える装置、器具、または系のことを言う。この系の1またはそれ以上の導管は、毛細管であってよい。いくつかの場合、多重導管が提供され、いくつかの実施形態において、少なくともいくつかは、本明細書に記載されているようにネスティングされている。これらの導管は、微小流体サイズ範囲にあってよく、例えば、約1ミリメートル未満、約300マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約30マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、約3マイクロメートル未満、または約1マイクロメートル未満の平均内径、またはこのような内径を有する部分を有してよく、これによって匹敵し得る平均直径を有する液滴を提供する。これらの導管の1またはそれ以上は(必然的にではないが)、断面において、同じ地点における幅と実質的に同じである高さを有する。導管は、より小さいか、より大きいか、または導管の平均直径と同じであってよいオリフィスを含んでいてよい。例えば導管オリフィスは、約1mm未満、約500マイクロメートル未満、約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約30マイクロメートル未満、約20マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、約3マイクロメートル未満などの直径を有していてよい。断面において、これらの導管は、長方形または実質的に非長方形、例えば円形または楕円形であってもよい。本発明の導管はまた、別の導管中に配置されていてもよく、またはネスティングされていてもよく、いくつかの場合、多重ネスティングが可能である。いくつかの実施形態において、1つの導管は、別の導管中に同心的に保持されていてよく、これらの2つの導管は、同心であると考えられる。しかしながら他の実施形態において、1つの導管は、別の囲んでいる導管に対して中心を外れていてよい。同心またはネスティング幾何学形状を用いることによって、典型的には混和性である内部および外部流体は接触を回避し、多重エマルジョンの作製において、およびカプセル化およびポリマーソーム形成のための技術の考案において、大きい柔軟性を容易にし得る。例えば、この技術は、コア−シェル構造の製造を可能にし、これらのコア−シェル構造は、カプセルに転化することができる。
【0028】
本明細書に記載された系は、例えば同心導管配列を有する、真に三次元の微小流体装置であってよいので、内部流体は、あるいくつかの実施形態において外部流体から完全に遮断され得る。このことは、内部流体および外部流体が、固体表面において、またはその近くで、例えば二次元系において互いに接触し得る時、他の系において発生し得る問題を減少させ得るか、または排除し得る。
【0029】
流経路が、内部導管中に存在してよく、第二流経路が、以下に詳細に考察されているように、内側導管の外壁と外側導管の内壁との間の共軸空間に形成されてよい。これら2つの導管は、いくつかの場合、異なる断面形状を有していてよい。1つの実施形態において、内側導管の1または複数の部分は、流経路を共軸空間中に依然として維持しつつ、外側導管の1または複数の部分と接触してよい。同じ装置中に用いられる異なる導管は、同様な材料または異なる材料からできていてよい。例えば、特定の装置中のこれらの導管のすべては、ガラス毛細管であってよく、または1つの装置中のこれらの導管のすべては、以下に考察されているように、ポリマー、例えばポリジメチルシロキサンから形成されていてよい。
【0030】
共軸流を与える幾何学形状はまた、本発明のあるいくつかの実施形態にしたがって、その流れの流体力学的集束を与えることもできる。これらの液滴の多くのパラメーター、内部液滴および中間層液滴(外部液滴)の両方は、流体力学的集束を用いて制御することができる。例えば、液滴直径、外部液滴厚さ、および外部液滴あたりの内部液滴の総数を制御することができる。
【0031】
多重エマルジョンパラメーターはまた、例えば系幾何学形状、内部流体の流量、中間流体の流量、および/または外部流体の流量を調節することによって作り替える(engineer)こともできる。これら3つの流量を独立して制御することによって、内部液滴の数、および外部液滴(中間流体)のシェル厚さは、断定的に(predicatively)選択することができる。
【0032】
図1に図解されている概略図は、外部導管110、第一内部導管(または注入管)120、および第二内部導管(または収集管)130を有する装置100を含む、本発明の1つの実施形態を示している。内部流体140は、右から左の方向に流れるのが示されており、中間流体150は、注入管120の外側の空間において、および導管110内で、右から左の方向に流れる。外部流体160は、外部導管110と収集管130との間に備えられた経路において、左から右の方向に流れる。外部流体160が中間流体150と接触した後、これは方向を変え、内部流体140および中間流体150と実質的に同じ方向に、右から左へ流れ始める。注入管120は、テーパー状部分170の末端において、出口オリフィス164を備える。収集管130は、入口オリフィス162、内部にテーパー状になった表面172、および出口通路168を備える。このようにして、注入管120の内径は、示されているように右から左の方向に減少し、収集管130の内径は、入口オリフィスから、右から左の方向に増大する。これらの狭窄またはテーパーは、一貫した多重エマルジョンの生成を補助する幾何学形状を与えることができる。狭窄率は、線形または非線形であってよい。
【0033】
図1に図解されているように、オリフィス164から出る内部流体140は、中間流体150によって完全に囲まれていてよいが、それは、注入管120からそれが出た後、導管110の内部表面と接触する内部流体140の部分が存在しないからである。このようにして、出口オリフィス164から収集管130の内側のポイントまで(入口オリフィス162の左まで)の間の一部分について、流体140のストリームは、流体150のストリームによって同心的に囲まれている。さらには、中間流体150は、少なくとも多重エマルジョンが形成されるまで、収集管130の表面と接触しなくてもよいが、その理由は、これが収集管130に入る時、外部流体160によって同心的に囲まれているからである。このようにして、出口オリフィス164の左のポイントから、収集管130の内側のポイントまで、3つの流体ストリームの複合ストリームが形成され、これは、中間流体150のストリームによって同心的に囲まれた内部流体140を含み、中間流体150自体は、外部流体160のストリームによって同心的に囲まれている。内部流体および中間流体は、これらが収集管130の内側(入口オリフィス162の左)に来るまで、典型的には液滴として破壊されない。「ドリップ」条件下、これらの液滴は、オリフィスのより近くに形成されるが、「ジェット」条件下、これらの液滴は、さらに下流に、すなわち図1に示されているように左へ形成される。
【0034】
例えば中間流体150の液滴(外部液滴)が、内部流体140の液滴と同じ速度で形成されるいくつかの例では、その場合、内部流体液滴と中間流体液滴との間に1:1の対応があり、内部流体の各液滴は、中間流体の液滴に囲まれ、中間流体の各液滴は、内部流体の単一内部液滴を含有する。本明細書において用いられるとき、「外部液滴」という用語は典型的には、異なる流体を含む内部流体液滴を含有する流体液滴を意味する。多重エマルジョン生成のために3つの流体を用いる多くの実施形態において、外部液滴は、中間流体から形成されるのであって、この用語が暗に示し得るように外部流体からではない。上記図面は、例示目的であり、他の装置もまた本発明の範囲内で考えられることに注目すべきである。例えば、図1の装置は、例えばより高度にネスティングされた液滴を生成するために、追加の同心管を備えるように変更されてもよい。例えば図17において、3つの同心管を有する装置が図示されており、これは、内部流体、内部流体を囲んでいる第一中間流体、および第一中間流体を囲んでいる第二内部流体を生成するために用いられてよい。より高度のネスティングでさえ可能である。例えば4つの同心管、5つの同心管などである。本明細書において用いられるとき、「同心」とは、必ずしも厳密に共軸である管のことを言うのではなく、共通の中心線を共有しない、ネスティングされているか、または「中心から外れた」管も包含することに注目すべきである。
【0035】
液滴形成および形態には、いくつかの方法で影響を与えることができる。例えば1つの外部導管および2つの内部導管の関係を備える装置の幾何学形状は、所望サイズ、回数、および含量の多重エマルジョンの開発において有用であり得る。例えば、オリフィス162のサイズ、および収集管130の内部テーパーは、3つの流体を定位置に維持するのを助けることができ、液滴180が形成することを可能にする。また、液滴形成は、内部流体の流速、中間流体の流速、外部流体の流速、および流れの総量、またはこれらの比の変化、および/またはこれらの流量のいずれかの組み合わせによって影響されることがある。いくつかの実施形態において、内部流体の多重液滴は、中間流体の単一液滴内に形成され得る。例えば、内部流体の2、3、4、5、10、30、100、300、1,000またはそれ以上の液滴が、内部流体または中間流体のどちらか(または両方)の液滴形成の回数を、内部流体または中間流体の他方のものに対して変えることによって、中間流体の液滴内に形成され得る。例えば内部流体の速度が、中間流体の単一液滴と同じ時間にわたって5液滴が形成されるように変えられるならば、その場合には中間流体の液滴は、平均して、中間流体の5液滴を含有してもよい。流体流特徴に応じて、中間流体液滴のいくつかは、内部流体のより多くの液滴またはより少ない液滴を含有してもよいことに注目すべきである。ただし、平均は、この例で考察されているように5液滴である。これら3流体の絶対的および相対的流量が、本明細書に記載された装置を用いて注意深く制御され得るので、特定数の内部流体液滴を含有する中間流体液滴が、一貫してかつ反復して形成され得る。いくつかの実施形態において、中間流体液滴あたりの内部流体液滴の目標数からの標準偏差は、例えば1未満の内部液滴、または中間流体液滴あたり内部液滴の数の20%未満であってもよい。他の実施形態において、標準偏差は例えば、中間流体液滴あたり内部液滴の数の15%未満、12%未満、10%未満、8%未満、または6%未満であってよい。
【0036】
ドリップ条件は、単一オリフィス直径内の収集管130(図1)の入口近くで液滴を生成し;これは、ドリップ蛇口になぞらえることができる。ドリップによって生成された液滴は典型的には、高度に単分散である。それに対して、ジェット条件下では、図3Bに図解されているように、長いジェットを生成し、これは、3またはそれ以上のオリフィス直径だけ下流へ収集管内に延び、液滴として破壊される。開口部からの距離は、ジェット方式下、より大きくてもよいが、どちらかの方法によって形成された液滴は典型的には、収集管の内側に形成される。ジェット方式は典型的には全く不規則であり、結果として多分散液滴を生じ、これらの半径は、ジェットの半径よりもはるかに大きい。ジェット形成は、中間流体上の外部流体の粘性応力によって引き起こされると考えられる。粘性作用が、慣性効果を支配する時、レイノルズ数は低い。多重エマルジョンの形成は、単一エマルジョンの形成と類似している。しかしながら、共軸に流れる少なくとも2つの流体が存在し、これらの各々は、どちらかのメカニズムを通して液滴を形成することができる。
【0037】
多重エマルジョンのサイズ分布は、崩壊メカニズムによって決定されると考えられ、一方で、最も内部の液滴(内部流体)の数は、内部および中間流体の液滴形成の相対速度に応じ得る。その結果、非常に多様な液滴形態が生成され得る。例えば、図5A〜5Fは、異なるサイズの単分散および多分散多重エマルジョンを示している。崩壊速度と形成速度とが等しい時、共軸ジェットの輪形およびコアは、同時に崩壊し得る。これは、単一内部滴を有する多重エマルジョンを発生させるために用いることができる。これらの型の多重エマルジョンは、両方の流体が同時にドリップしているか(図3A)または同時にジェットしている(図3B)ときに発生させることができる。ドリップおよびジェットメカニズムは、密接な関連があり、これらの間の転移は、最も外側の流体の流量を変えることによって誘発することができる。ドリップ方式は、より低い外部流量で発生し、一方、流量の増加は、共軸ジェットをより強力に収束させ、内部ストリームを薄化し、初めに、より小さい多重エマルジョン液滴をもたらす。
【0038】
内部流体液滴と中間流体液滴との相対サイズもまた、注意深く制御することができる。すなわち、内部液滴および外部液滴のサイズの比は、断定的に制御することができる。例えば内部流体液滴は、中間流体(外部)液滴の小さい部分の多く、または小さい部分のみを満たしてもよい。内部流体液滴は、外部液滴の容積の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、30%未満、20%未満、または10%未満を満たしてもよい。あるいはまた内部流体液滴は、外部液滴の容積の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、95%、または99%超を形成してもよい。いくつかの場合では、外部液滴は、内部液滴を含有するとき、流体シェルまたはコーティングと考えられる。それは、外部液滴容積のいくらか、または大部分が、内部液滴によって満たされてよいからである。中間流体液滴半径に対する中間流体シェル厚さの比は、例えば5%、4%、3%、または2%に等しいかまたはそれ以下であってよい。このことは、いくつかの実施形態において、2つの混和性流体を分離し、よって安定化させる材料の非常に薄い層のみを有する多重エマルジョンの形成を可能にし得る。中間シェル材料はまた、中間流体液滴半径の例えば10%、20%、30%、40%、または50%よりも大きいか、またはこれに等しくなるまで厚くしてもよい。一定サイズの外部液滴を有する異なるサイズの内部液滴の例が、図2A〜2Dに示されている。例えば図2Eおよび2Fは、複数の内部流体液滴を含有する単一中間流体液滴を図解している。
【0039】
図3は、ドリップ領域(図3A)およびジェット領域(図3B)における単分散液滴の形成を示している2つの顕微鏡写真を示す。両方の場合、単分散液滴は、収集管130への入口オリフィスの下流に形成される。しかしながら、この系は、ジェット条件下で操作されるときよりもドリップ領域において操作されるときの方が、より入口オリフィスの近くで液滴が崩壊する(break off)ことは、注目に値する。示されている例では、同じ装置を用いて、外部流体の流れにおける変更は、ジェット作用またはドリップ作用のどちらが利用されるかを制御するために用いることができる。この実施例では、ドリップ領域は、結果として約1%未満の多分散度を生じ、一方で、ジェット領域において、多分散度は約3%であった。図3Aに示されている目盛り線は、200マイクロメートルを表わす。両方の実施例において、外部流体および内部流体は、シリコン油であり、中間流体は、グリセロール/水混合物であった。内部流体および中間流体は、実質的に等しい粘度を有し、外部流体は、内部流体または中間流体のどちらかの粘度よりも大きい規模の約1程度の粘度を示した。
【0040】
上に記載されているように、本発明はまた、あるいくつかの態様において、三重エマルジョンまたは他のより高次の多重エマルジョンも提供する。例えば図17において、三重エマルジョンの生成用装置が図解されている。図17において、装置100は、外部導管110、第一内部導管(または注入管)120、第二内部導管(または注入管)125、および第三内部導管(または収集管)130を有する。内部流体140は、導管125内で左から右の方向に流れ、ならびに第一中間流体150が導管125の外側の空間内で、導管120内にあるのが示されている。第二中間流体155はまた、図17において、導管120の外側で、導管110内を左から右方向に流れる。外部流体160は、外部導管110と収集管130との間に備えられている経路において、右から左方向に流れる。外部流体160が第二中間流体155と接触した後、これは方向を変え、内部流体140ならびに中間流体150および155と実質的に同じ方向に、すなわち左から右へ流れ始める。この作用を通して、一連のネスティングされたエマルジョン180が形成される。ここで、内部流体140は、第一中間流体150に囲まれており、これ自体は、第二中間流体155に囲まれ、これは外部流体160内に含まれている。注入管125は、テーパー状部分170の末端に出口オリフィス164を含み、一方で、注入管125は、テーパー状部分177の末端に出口オリフィス169を備える。収集管130は、入口オリフィス162および内部がテーパー状の表面172、ならびに出口168を備える。注入管120の内径は一般に、示されているように左から右の方向に減少し、注入管125の内径もまた、示されているように左から右の方向に減少し、収集管130の内径は、入口オリフィスから、左から右の方向に増加する。これらの狭窄またはテーパーは、一貫した多重エマルジョンの生成を補助する幾何学形状を与え得る。
【0041】
このような多重エマルジョンの例は、図18A−18Gに図解されている。図18Aは、図18B−18Gに示されている多重エマルジョンを生成するために用いられた装置の一例を図解している。図18Aにおいて、先端部の寸法は、100mm程度である。図18B−18Dは、様々な水/油/水/油(「w/o/w/o」)エマルジョンを図解している。図18Bにおいて、水/シリコン油/水/シリコン油エマルジョンが示され、一方、図18Cにおいて、水/トルエン/水/シリコン油エマルジョンが示されている。上に記載されているように、多重エマルジョン中の各成分の容積は、様々な流量を制御することによって調整することができ、いくつかの場合、多重液滴が、単一液滴中に含有されていてよい。例えば図18Eにおいて、流体液滴内に、別の内部流体液滴が含まれ、一方、図18Fおよび図18Gにおいて、いくつかの内部流体液滴が、外部流体液滴内に含まれている。
【0042】
多重エマルジョン液滴の生成速度は、液滴形成回数によって決定され得る。これは、多くの条件下、約100Hz〜5,000Hzの間で様々に変えることができる。いくつかの場合、液滴生成速度は、少なくとも約200Hz、少なくとも約300Hz、少なくとも約500Hz、少なくとも約750Hz、少なくとも約1,000Hz、少なくとも約2,000Hz、少なくとも約3,000Hz、少なくとも約4,000Hz、または少なくとも約5,000Hzであってよい。
【0043】
多量の多重エマルジョン生成物、例えばポリマーソームまたはコロイドソームの生成は、いくつかの事例において多重装置の平行使用によって容易にすることができる。いくつかの場合では、相対的に多数の装置が平行して用いられもよい。例えば少なくとも約10装置、少なくとも約30装置、少なくとも約50装置、少なくとも約75装置、少なくとも約100装置、少なくとも約200装置、少なくとも約300装置、少なくとも約500装置、少なくとも約750装置、または少なくとも約1,000装置、またはそれ以上が、平行して操作されてよい。これらの装置は、異なる導管(例えば同心管)、オリフィス、微小流体などを含んでいてよい。いくつかの場合では、一連のこのような装置は、これらの装置を水平におよび/または垂直に積み重ねることによって形成されていてよい。これらの装置は、共通して制御されるか、または別々に制御されてもよく、用途に応じて、内部流体、中間流体、および外部流体の共通源または別個の源が備えられていてよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化されたシェルは、例えば固化またはゲル化され得る中間流体を用いることによって、内部液滴の周りに形成されていてよい。このようにして、カプセルは、一貫したおよび反復されたサイズの内部液滴、ならびに一貫したおよび反復されたサイズの外部シェルを用いて形成することができる。いくつかの実施形態において、これは、中間流体における相転移によって達成することができる。「相転移」流体は、例えば液体から固体へ相を変えることができる流体である。相転移は、例えば温度変化によって開始させることができ、いくつかの場合では、相転移は、可逆性である。例えばワックスまたはゲルが、ワックスまたはゲルを流体として維持する温度で、中間流体として用いられてよい。冷却の際、ワックスまたはゲルは、固体または半固体シェルを形成することができ、例えば、結果としてカプセルを生じる。シェルはまた、例えば2層の界面活性剤から形成することができるような二層であってもよい。
【0045】
別の実施形態において、シェルは、中間流体液滴を重合することによって形成することができる。このことは、いくつかの方法で達成することができる。この方法は、固体ポリマーシェルを形成するために、例えば化学的に、熱を通して、または電磁放射線(例えば紫外放射線)を介して触媒することができるプレポリマーを用いることを包含する。
【0046】
本発明の1つの態様において、両親媒性種、例えば両親媒性ポリマーおよび脂質を含む多重エマルジョンを形成することができ、両親媒性種は典型的には、比較的親水性の部分、および比較的疎水性の部分を含む。例えば親水性部分は、帯電した分子の部分であってもよく、分子の疎水性部分は、炭化水素鎖を含む分子の部分であってよい。ポリマーソームは例えば、装置、例えば多重エマルジョンに関して上記されたものにおいて形成されてもよい。上に記載されているように、多重エマルジョンを形成する1またはそれ以上の流体は、ポリマー、例えばコポリマーを含んでいてよく、これらはその後、重合されてよい。このような系の一例は、ノルマルブチルアクリレートおよびアクリル酸であり、これは重合されて、ポリ(ノルマル−ブチルアクリレート)−ポリ(アクリル酸)のコポリマーを形成し得る。
【0047】
脂質が用いられるとき、結果として生じるエマルジョン液滴は典型的には、小胞または脂質小胞と呼ばれる。両親媒性ポリマー、例えばジブロックコポリマーが用いられるとき、結果として生じる液滴は、ポリマーソームと呼ぶことができる。本明細書において用いられるとき、「ポリマー」は、ポリマー化合物、ならびにポリマー化合物例えばプレポリマーを形成し得る化合物および種を包含し得る。プレポリマーは、例えばモノマーおよびオリゴマーを包含する。しかしながらいくつかの場合では、ポリマー化合物のみが用いられ、プレポリマーは適切でないことがある。
【0048】
多重エマルジョンの形成の際、このエマルジョン中に含まれるか、溶解されるか、または縣濁される両親媒性種は、いくつかの場合では、親水性/疎水性界面に沿って自然に会合し得る。例えば、両親媒性種の親水性部分は、水相中に広がることがあり、疎水性部分は、非水相中に広がることがある。このようにして、両親媒性種は、ある条件下で、自然に組織化することができ、したがって両親媒性種分子は、互いに対して実質的に平行に向き、2つの隣接する流体間、例えば内部液滴と外部液滴との間、または外部液滴と外部流体との間の界面に対して実質的に垂直に配向される。両親媒性種が組織化されるにつれて、これらは、疎水性表面および反対側の親水性表面を有するシート、例えば実質的に球形のシートを形成し得る。流体の配列に応じて、疎水性側は、内側または外側へ向いていてよく、親水性側は、内側または外側へ向いていてもよい。その結果として生じた多重エマルジョン構造は、二層または多重膜構造であってよい。
【0049】
一組の実施形態において、両親媒性種、例えばポリマー小胞または「ポリマーソーム」を含有する多重エマルジョン構造の形成方法は、多重エマルジョンの形成後、中間流体の一部分の除去を含む。例えば中間流体の一成分、例えば溶媒またはキャリアは、蒸発または拡散を通して、部分的にまたは全体として流体から除去することができる。中間流体の1または複数の残存成分は、以前に記載された方法と類似した、中間流体中の溶媒またはキャリアの量の減少の結果として、自己組織化するか、あるいはまた硬化し得る。このシェル形成は例えば、中間流体中に溶解されたポリマーの結晶化または自己集合を通して起こり得る。例えば、1または複数の界面活性剤を用いることができ、したがって、中間流体中の界面活性剤濃度が(例えば溶媒濃度の減少と同時に)増加するとき、界面活性剤分子が、界面活性剤の領域のように内部液滴および/または外部流体と会合されるように配向されるように、界面活性剤を用いることができる。シェルそれ自体(すなわち中間流体)内で、界面活性剤分子の異なる領域が互いに会合し、その結果として物質の濃縮が生じ、これはついで、主としてまたは実質的に界面活性剤から構成された1またはそれ以上の層状シートの膜を形成し得る。この膜は、いくつかの場合では、固体または半固体であってよい。非界面活性剤を用いることもできる。
【0050】
いくつかの場合では、中間流体は、キャリアとして用いられる溶媒系、および溶解または縣濁されたポリマー、例えばジブロックコポリマーを含む。これは両親媒性であってよい。多重エマルジョンの形成後、溶媒は、例えば蒸発または拡散などの技術を用いて、シェルから除去することができ、ジブロックコポリマーを後に残す。溶媒が中間流体層を離れるにつれて、これらのポリマーは、内部および/または外部表面上の単一層または多重層中に自己集合し、その結果ポリマーソームを生じ得る。このことは結果として、内部液滴を運び、保護し、かつ送達し得る薄膜を生じ得る。これらのポリマーソームは、ひとたび形成されたら、外部流体から除去、乾燥、貯蔵などを行なうことができる。
【0051】
例えば自己集合を通してシェルを形成するとき、外部滴から中間流体の一部分を除去することが望ましくあり得る場合、中間流体の成分のいくつかは、少なくとも部分的に外部流体中に混和し得る。このことによって、これらの成分を経時的に外部溶媒中に拡散させることが可能であり、外部液滴中の成分の濃度を減少させる。これは、外部液滴を含む不混和性成分、例えばポリマーまたは界面活性剤のいずれかの濃度を効果的に増加させ得る。これは、いくつかの実施形態において、ポリマーまたは他のシェル先駆物質の自己集合またはゲル化をもたらすことができ、その結果として固体または半固体シェルの形成を生じ得る。液滴形成の間、中間流体は、少なくとも外部流体と実質的に不混和性であることが、依然として好ましいことがある。この不混和性は、例えばポリマー、界面活性剤、溶媒、または中間流体の一部分を形成するが、少なくとも全部が、液滴形成後に外部流体中に容易に拡散し得ない他の成分によってもたらされ得る。このようにして、中間流体は、あるいくつかの実施形態において、液滴形成後に外部流体中に拡散し得る混和性成分、および液滴形成を促進するのを補助する不混和性成分の両方を含んでいてよい。
【0052】
ジブロックコポリマーに加えて、他の両親媒性種を用いることもできる。例えば、他のポリマー、または他の種、例えば脂質またはリン脂質が、本発明とともに用いられてよい。例えばリポソームはまた、リン脂質および/または他の脂質から形成されてもよい。例えば、脂質またはリン脂質は、上に記載された方法において、ポリマーの代わりに供給されてもよい。他の方法はまた、頑丈なカプセル化剤、例えば内部界面または外部界面のどちらかの表面誘発重合、または内部流体または中間流体の温度誘発ゲル化をもたらすために用いられてもよい。
【0053】
1つの実施形態において、不斉リポソームが提供される。すなわち、第一脂質組成物を含む第一内部表面、および第一脂質組成物と識別し得る第二脂質組成物を含む第二外部表面を有する脂質二層を含んでいるリポソームであって、第一内部表面および第二外部表面が、リポソームを画定する脂質二層膜、またはリポソームが多重膜リポソームである場合にはリポソームの少なくとも1つのシェルをともに形成するリポソームである。このようなリポソームは、例えば第一液滴中の第一脂質、および多重エマルジョン中の第一液滴を囲んでいる第二液滴中の第二脂質を組み込むことによって形成されていてよく、ついで溶媒は、例えば蒸発または拡散などの技術を用いてシェルから除去することができ、脂質を後に残す。記載されているように、より高度のネスティング、すなわち多重膜リポソームを生成するためのネスティングもまた、製造することができる。例えばリポソームの第一シェルは、第一脂質組成物を含む第一内部表面、および第一脂質組成物と識別し得る第二脂質組成物を含む第二外部表面を含んでいてよく、第二シェルは、第三脂質組成物を含む第一内部表面、および第三脂質組成物と識別し得る第四脂質組成物を含む第二外部表面を含んでいてよい。
【0054】
不斉リポソームを作製するために用いられるこのようなプロセスの一例が、図19に示されている。この図において、内部流体301、第一中間流体302(第一脂質312を含有する)、第二中間流体303(第二脂質313を含有する)、および外部流体304が、微小流体装置320、例えば本明細書において、例えば図17に記載されているような装置内で組み合わされ、三重エマルジョン330を生成する。図19に図示されているように、脂質312を含有する第一中間流体302は、三重エマルジョン内の1つの位置に存在していてよく、一方で、脂質313を含有する第二中間流体303は、三重エマルジョンをともなわない異なる位置内に存在していてよく、例えば脂質312は、三重エマルジョンの周辺に配列されていてよく、一方で、脂質313は、三重エマルジョン330の中心界面へ(第二中間流体と内部流体との間で)引き付けられる。その後、中間流体の1またはそれ以上の蒸発の際、不斉小胞340、例えば不斉リポソームが形成され得る。ここで、脂質312は、脂質二層膜の外側部分を形成し、一方で、脂質313は、不斉リポソームを画定する脂質二層膜の内側部分を形成する。
【0055】
別の実施形態において、コロイドソーム、すなわちコロイド粒子のシェルに囲まれている流体液滴が生成される。このようなコロイドソームは、例えば、多重エマルジョン液滴(例えば外部液滴)のシェル中にコロイド粒子を供給することによって生成することができ、ついで溶媒は、例えば蒸発または拡散などの技術を用いて、シェルから除去することができ、コロイドを後に残し、コロイドソームが形成される。ネスティングされたコロイドソームもまた、いくつかの場合において生成することができる。すなわち、少なくとも第一粒子シェル、および第一粒子シェルを囲んでいる第二粒子シェルを有するコロイドソームである。これらのシェルは、同じコロイド組成物を有してもよく、有していなくてもよい。このようなネスティングされたコロイドソームは、一組の実施形態にしたがって、内部液滴、中間液滴、および外部液滴(より高度のネスティングが望まれる場合は、さらに他の液滴など)を有する多重エマルジョンを生成することによって、生成することができる。この場合、1または複数の中間液滴および外部液滴のいくつかまたはすべてが、コロイド粒子を含有する。次に、これらの溶媒は、蒸発または拡散などの技術を用いて、シェルから除去することができ、コロイドの多重層を後に残し、ネスティングされたコロイドソームを形成する。
【0056】
さらに他の実施形態において、上記系のあらゆる組み合わせが用いられてもよい。例えば1つの実施形態において、脂質二層およびコロイド層(どの順序でも)、脂質二層およびポリマー層、コロイド層およびポリマー層などを含む粒子が生成され得る。
【0057】
別の組の実施形態において、流体は、例えば内部液滴中に含有されることがあるあらゆる種を濃縮するために、内部液滴から除去することができる。流体は、内部液滴から除去されてよく、または内部液滴は、外部液滴から流体を除去するために、本明細書に記載されている技術と同様な技術を用いて濃縮されてよい。例えば流体は、内部液滴のサイズを減少させるために、内部液滴から拡散するかまたは蒸発させることができ、したがって実質的に拡散も蒸発もしない内部液滴のあらゆる成分を濃縮させることができる。例えば内部液滴の容積は、50%、75%、90%、95%、99%、または99.9%超を減少させることができる。このようにして内部液滴のコア半径は、例えば、いくつかの場合では、係数2、5、10、またはそれ以上を減少させることができる。
【0058】
流体成分は、特定の拡散または蒸発特性について、当業者が選択することができる。中間流体(外部液滴)はまた、中間流体が、中間流体中へ、またはこれを通って内部流体の移動を与えるように選択することもできる。外部液滴のサイズ(厚さ)はまた、内部液滴からの移動率に影響を与えることもあり、いくつかの場合では、外部液滴の厚さは、内部流体が内部液滴から除去される速度を制御するために選択することができる。当業者なら、特定の用途に応じて、所望の拡散または蒸発特性を得るために、日常的な技術のみを用いて、このような系を最適化することができるであろう。
【0059】
別の態様において、本発明の方法および装置は、種を含有する液滴を形成するため、およびこのような種を送達する方法を提供するために用いることができる。種は、この液滴のあらゆる部分に含有され得るあらゆる物質であってもよく、液滴流体から区別することができる。種は、液滴内、例えば内部液滴、および/または外部液滴内などのあらゆる流体中に存在し得る。種は、例えば製薬剤、薬品、DNA、RNA、タンパク質、香料、反応性作用物質、殺生剤、防カビ剤、防腐剤、化学物質、または細胞を包含し得る。細胞は例えば、流体多重エマルジョン中に縣濁されてもよく、またはポリマーソーム中に含有されていてよい。1またはそれ以上の細胞、および1またはそれ以上の細胞型は、液滴中に含有されていてよい。内部流体は、例えば水性緩衝液であってよい。これらの液滴の多分散度およびサイズは、厳密に制御することができるので、1液滴あたり特定数の種または粒子を含むエマルジョンを形成することができる。例えば単一液滴は、1、2、3、4、またはそれ以上の種を含有してよい。エマルジョンは、形成された液滴の90%、95%、または99%超が、同数の種を含有するように、低多分散度をともなって形成することができる。例えば、形成された液滴の約95%超が、このレベルの分散度を得るために、エマルジョンを分離するか、あるいはまた精製する必要性をともなわずに、液滴生成の時点で単一細胞を含有するエマルジョンを形成することができる。典型的には、細胞を支持する流体は、内部流体であり、水性ベースである。中間流体は、非水性流体であってよく、外部流体は、水性流体であってよい。ポリマーソームが用いられるとき、シェルは、細胞を保護し得る材料から形成されてもよい。シェルは、例えば湿分を保持するのを助けることができ、ポリマーソーム内の細胞の寿命をほぼ最大限にするようなサイズにすることができる。例えばシェル(外部液滴)は、特定の容積、例えば10nLの内部流体、ならびに単一細胞、または選ばれた数の細胞を含有するようなサイズであってよい。同様に、細胞は、バルク内部流体中に縣濁されてよく、したがって統計的には1つの細胞は、内部流体が液滴を形成するために用いられるとき、内部流体の各アリコート(例えば10nL)とともに含まれるであろう。
【0060】
さらに別の組の実施形態によれば、特定のシェル材料は、あるいくつかの条件下でその内容物を溶解するか、破壊するか、あるいはまた放出するように選択されてよい。例えば、ポリマーソームが薬品を含有するとき、シェル成分は、あるいくつかの生理学的条件(例えばpH、温度、浸透強度)下で溶解するように選択されてよく、薬品が選択的に放出されることを可能にする。これらの「スマートカプセル」において有用な材料は、当業者に公知である。内部種が乾燥されることが望まれるとき、シェル材料は、水分子に対して浸透性である物質を有していてよい。
【0061】
本発明のあるいくつかの態様による多様な材料および方法は、本発明の系および装置の上記構成要素のいずれかを形成するために用いることができる。いくつかの場合、選択された様々な材料は、様々な方法に役立つ。例えば、本発明の多様な構成要素は、固体材料から形成することができ、これらの材料において、チャネルは、ミクロ機械加工、フィルム付着プロセス、例えばスピンコーティングおよび化学蒸着、レーザー製造、フォトリソグラフィー技術、湿潤化学またはプラズマプロセスを包含するエッチング方法などによって形成することができる。例えばScientific American,248:44−55,1983(Angell,ら)を参照されたい。1つの実施形態において、流体系の少なくとも一部分は、シリコンチップ中の機構(features)をエッチングすることによってシリコンから形成される。シリコンからの本発明の様々な流体系および装置の正確かつ効率的な製造のための技術は、公知である。別の実施形態において、本発明の系および装置の様々な構成要素は、ポリマー、例えばエラストマーポリマー、例えばポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」またはテフロン(登録商標))などから形成することができる。
【0062】
異なる構成要素は、異なる材料から製造することができる。例えば、底部壁および側壁を含むベース部分は、不透明材料、例えばシリコンまたはPDMSから製造することができ、頂部部分は、流体プロセスの観察および/または制御のために、透明、または少なくとも部分的に透明な材料、例えばガラスまたは透明ポリマーから製造することができる。構成要素は、ベース支持材料が、正確な所望の機能性を有していない内側チャネル壁と接触する流体へ所望の化学的機能性を暴露するようにコーティングすることができる。例えば構成要素は、図解されているように、内部チャネル壁を別の材料でコーティングして製造することができる。本発明の系および装置の様々な構成要素を製造するために用いられる材料、例えば流体チャネルの内壁をコーティングするために用いられる材料は望ましくは、有害な作用を与えるか、またはこの流体系を通って流れる流体によって影響されるような材料、例えばこの装置内で用いられる流体の存在下で化学的に不活性な1または複数の材料の中から選択されてもよい。
【0063】
1つの実施形態において、本発明の様々な構成要素は、ポリマーおよび/または可撓性および/またはエラストマー性材料から製造され、好都合なことに、硬化性流体から形成することができ、成形(例えばレプリカ成形、射出成形、流し込み成形など)を介して製造を容易にする。硬化性流体は本質的には、固化するよう誘発することができるか、または自然に固化して、流体ネットワーク中において、これとともに使用することが考えられている流体を含有および/または輸送し得る固体にすることができるあらゆる流体であってよい。1つの実施形態において、硬化性流体は、ポリマー液体または液体ポリマー先駆物質(すなわち「プレポリマー」)を含む。適切なポリマー液体は、例えば熱可塑性ポリマー、熱硬化ポリマー、またはこれらの融点以上に加熱されたこのようなポリマーの混合物を含んでいてよい。別の例として、適切なポリマー液体は、適切な溶媒中の1またはそれ以上のポリマーの溶液を含んでいてよく、この溶液は、例えば蒸発によって溶媒を除去する際、固体ポリマー材料を形成する。例えば溶融状態から、または溶媒蒸発によって固化することができるこのようなポリマー材料は、当業者に周知である。その多くがエラストマー性である多様なポリマー材料が適切であり、金型マスターの1つまたは両方がエラストマー材料から構成されている実施形態については、金型または金型マスターを形成するのにも適している。このようなポリマーの例の非限定的なリストは、シリコーンポリマー、エポキシポリマー、およびアクリレートポリマーの一般的な種類のポリマーを包含する。エポキシポリマーは、エポキシ基、1,2−エポキシド、またはオキシランと通常呼ばれている3員環式エーテル基の存在を特徴とする。例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが、芳香族アミン、トリアジン、および脂環式主鎖に基づいた化合物に加えて用いることができる。別の例は、周知のノボラックポリマーを包含する。本発明による使用に適したシリコーンエラストマーの非限定例は、クロロシラン、例えばメチルクロロシラン、エチルクロロシラン、フェニルクロロシランなどを包含する先駆物質から形成されたものを包含する。
【0064】
シリコーンポリマーが、一組の実施形態において好ましい。例えばシリコーンエラストマーポリジメチルシロキサンである。PDMSポリマーの非限定例は、Dow Chemical.,Midland,MIによって、商品名Sylgard、特にSylgard 182、Sylgard 184、およびSylgard 186として販売されているものを包含する。PDMSを含むシリコーンポリマーは、本発明の微小流体構造の製造を単純化するいくつかの有利な特性を有する。例えばこのような材料は安価であり、容易に入手可能であり、熱での硬化を介してプレポリマー液体から固化することができる。例えばPDMSは典型的には、プレポリマー液体を、例えば約1時間の暴露時間、例えば約65℃〜約75℃の温度への暴露によって硬化可能である。同様にシリコーンポリマー、例えばPDMSは、エラストマー性であってよく、このようにして、本発明のあるいくつかの実施形態において必要な比較的高いアスペクト比で、非常に小さい機構を形成するのに有用であることがある。可撓性(例えばエラストマー性)金型またはマスターは、この点に関して有利であり得る。
【0065】
シリコーンポリマー、例えばPDMSからの構造、例えば本発明の微小構造の形成の1つの利点は、例えば酸素含有プラズマ、例えばエアプラズマへの暴露によってこのようなポリマーが酸化される能力であり、したがってこれらの酸化構造は、これらの表面において、他の酸化シリコーンポリマー表面へ、または多様な他のポリマーおよび非ポリマー材料の酸化表面へ架橋し得る化学基を含有する。このようにして、構成要素は製造され、ついで酸化され、他のシリコーンポリマー表面へ、または酸化されたシリコーンポリマー表面と反応性がある他の基体の表面へ、別個の接着剤または他のシール手段の必要もなく、本質的に不可逆的にシールされ得る。多くの場合では、シーリングは、シールを形成するために補助的圧力を加える必要がなく、単に酸化シリコーン表面を別の表面へ接触させることによって完了することができる。すなわち、予め酸化されたシリコーン表面は、適切な合わせ表面に対して接触接着剤として作用する。具体的には、それ自体へ不可逆的にシール可能であることに加えて、酸化されたシリコーン、例えば酸化PDMSもまた、それ自体以外の一連の酸化材料へ不可逆的にシールすることもできる。これらの材料は、例えばガラス、シリコン、酸化ケイ素、石英、窒化ケイ素、ポリエチレン、ポリスチレン、グラッシーカーボン、およびエポキシポリマーを包含し、これらは、PDMS表面と同様な方法で(例えば酸素含有プラズマへの暴露を介して)酸化されている。本発明の状況において有用な酸化およびシール方法、ならびに全体の成形技術は、当業界において、例えば参照して本発明に組み込まれている、“Rapid Prototyping of Microfluidic Systems and Polydimethylsiloxane”,Anal.Chem.,70:474−480,1998(Duffy,ら)というタイトルの論文に記載されている。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明のあるいくつかの微小流体構造(または内側流体接触表面)は、あるいくつかの酸化シリコーンポリマーから形成されていてよい。このような表面は、エラストマーポリマーの表面よりも親水性であってよい。このような親水性チャネル表面は、このようにして、水溶液でより容易に充填され、湿潤され得る。
【0067】
1つの実施形態において、本発明の微小流体装置の底部壁は、1またはそれ以上の側壁、または上部壁、または他の構成要素から形成される。例えば底部壁の内側表面は、シリコンウエハまたはマイクロチップ、または他の基体を含んでいてよい。他の構成要素は、上に記載されているように、このような代替基体へシールされ得る。シリコーンポリマー(例えばPDMS)を含む構成要素を、異なる材料の基体(底部壁)へシールすることが望まれる場合、この基体は、酸化シリコーンポリマーが不可逆的にシールし得る材料群(例えばガラス、シリコン、酸化ケイ素、石英、窒化ケイ素、ポリエチレン、ポリスチレン、エポキシポリマー、および酸化されているグラッシーカーボン表面)から選択されてよい。あるいはまた、当業者へ明白であるような、他のシーリング技術を用いることができる。これは、別個の接着剤、熱接着、溶媒接着、超音波溶接などの使用を包含するが、これらに限定されない。
【0068】
以下の出願は、各々参照して本発明に組み込まれる:Weitzらによって2005年3月4日に出願された米国仮特許出願第60/659,045号;Linkらによって2003年8月27日に出願された米国仮特許出願第60/498,091号;Stoneらによって2002年6月28日に出願された米国仮特許出願第60/392,195号;Linkらによって2002年11月5日に出願された米国仮特許出願第60/424,042号;Kumarらへ1996年4月30日に発行された米国特許第5,512,131号;Whitesidesらによる、1996年6月26日に公開された国際特許公報第WO96/29629号;Kimらへ2002年3月12日に発行された米国特許第6,355,198号;Andersonらによって2001年5月25日に出願され、2001年11月29日に第WO01/89787号として公開された国際特許出願第PCT/US01/16973号;Stoneらによって2003年6月30日に出願され、2004年1月8日に第WO2004/002627号として公開された国際特許出願第PCT/US03/20542号;Linkらによって2004年4月9日に出願された国際特許出願第PCT/US2004/010903号;Linkらによって2003年4月10日に出願された米国仮特許出願第60/461,954号;Linkらによって2004年8月27日に出願された国際特許出願第PCT/US2004/027912号;Garsteckiらによって2005年3月4日に出願された、“Systems and Methods of Forming Particles”という発明の名称の米国仮特許出願第60/659,046号;およびさらにこれと同じ日付で出願された、Garsteckiらによる、“Systems and Methods of Forming Particles”という発明の名称の米国一般特許(utility patent)出願。
【0069】
以下の実施例は、本発明のあるいくつかの実施形態を説明することを意図しているが、本発明の範囲全体を例示するわけではない。
【実施例】
【0070】
実施例1
カプセル生産を実証するために、剛性球形シェルを、中間流体中に含有されているポリマー(Norland Optical Adhesive,NJ)を光重合することによって製造した。接着剤を、その粘度を30%減少させるためにアセトンで希釈した。中間流体としてアセトン/接着剤溶液を用いて多重エマルジョンを生成させた後、多重エマルジョン液滴が収集管を横断するにつれて、約10秒間、結果として生じた液滴を紫外線源で重合することによって、シェルを形成した。多重エマルジョンおよび結果として生じた固体シェルの光沢領域の画像が、それぞれ図5Aおよび5Bに示されている。外部液滴(中間流体)が固体シェルを形成したことを確認するために、球体を、2つの顕微鏡カバースライド間で押し潰した。押し潰したポリマーシェルは、図5Cに示されている走査電子顕微鏡画像において明らかである。
【0071】
実施例2
ポリマーソームの形成のための別の技術において、多重エマルジョンを、単一内部滴を用いて作製し、ジブロックコポリマーを、中間体、または中間流体中に溶解した。揮発性流体を、中間相の一成分として用い、その後蒸発させ、ジブロックコポリマーが層状および/または多重膜シェル中に組織化することを可能にし、このようにしてポリマーソームを形成した。多重エマルジョン液滴形態は注意深く制御することができるので、制御可能なポリマーソームを、図解されているように作製することができる。例えばポリマーソームは、一貫して単分散にすることができる。例えば一貫したサイズ、および/または一貫したシェル厚さのものにすることができる。この一貫性は、この実施例において示されているように、多重エマルジョンを単一工程で形成し、ついでその後シェルを硬化することによって得ることができる。
【0072】
このレベルの制御を説明するために、70%トルエンおよび30%テトラヒドロフラン(THF)からなる中間流体を有する水中油中水多重エマルジョンを生成した。この中間流体の成分は、ジブロックコポリマー、すなわちポリ(ブチルアクリレート)−b−ポリ(アクリル酸)のためのキャリア流体として役立った(図5D)。溶媒は、多重エマルジョンの形成後に蒸発したので、両親媒性ポリマーは、両方の界面において層中に自己集合し、ポリマーソームを形成した。ポリマー層は、極度に薄くすることができ、光沢領域顕微鏡写真において解像することを困難にする。典型的なポリマー小胞の相対比画像が、図5Eに示されている。これらの構造が実際にポリマーソームであることを確認するために、これらを、連続流体へのスクロース溶液(0.1M)の添加を通して、浸透応力で「収縮した(deflated)」。このようにして収縮された、図5Eからのポリマーソームが、図5Fに示されている。この手順の間、内部流体と外部流体とは、分離したままであり、効率的で頑丈なカプセル化を与える。このようにして、内部流体と外部流体との間のあらゆる接触または汚染は、これら2つの流体が一部または全部混和性であるときでさえ、避けることができる。
【0073】
外部液滴から中間流体の一部分を除去することが望ましい場合、中間流体の成分のいくつかは、外部流体中に少なくとも部分的に混和されてもよい。このことは、これらの成分を経時的に外部溶媒中に拡散することを可能にし、外部液滴中の成分の濃度を減少させ、あらゆる不混和性成分、例えば外部液滴を含むポリマーまたは界面活性剤の濃度を効果的に増加させる。これは、ポリマー成分のより緊密な組織化、および場合によりシェルの形成をもたらし得る。液滴形成の間、中間流体が外部流体と実質的に不混和性であることが依然として望ましいことがある。この不混和性は、例えば、ポリマー、界面活性剤、溶媒、または液滴形成後に外部流体中に少なくとも全部、拡散し得ない中間流体の一部分を形成する他の成分によって与えることができる。このようにして中間流体は、例えば液滴形成後に外部流体中に拡散し得る混和性成分、および液滴形成を促進するのを助ける不混和性成分の両方を含み得る。
【0074】
ポリマーソームに加えて、リポソームもまた同様な方法で、リン脂質から形成することができる。あるいはまた、頑丈なカプセル化剤を生成するための他の方法は、例えば、内部界面または外部界面のどちらかまたは両方の表面誘発重合化、および/または内部流体および/または中間流体の温度誘発ゲル化を包含し得る。
【0075】
実施例3
この実施例は、多重エマルジョンのサイズ分布を、本発明の1つの実施形態にしたがって崩壊メカニズムによって制御し得ることを例証する。
【0076】
図1に示されている幾何学形状を有する装置において、多重エマルジョンを生成させることができる。これらを、この装置を通過する流体が、ドリップ方式(図3A)またはジェット方式(図3B)にある際に発生させることができる。ドリップおよびジェットメカニズムは、密接な関係があり、これらの間の転移は、装置を通る流体の流量を制御することによって、例えば最も外側の流体の流量を制御することによって管理することができる。
【0077】
図6Aおよび6Bは、総流量に対する外部流量QOFの変化が、生成される外部エマルジョン液滴のサイズにどのようにして影響を与え得るかを図解している。外部エマルジョン液滴の半径Rdropは、図6Aの円によって示されているように、QOFとともに線形に減少する。しかしながらQOFを閾値以上に増加させることは、ジェットの長さを急激に延ばし、このことはジェット方式への転移を表わす。この流量において、Rdropの不連続増加が、図6Aにおける三角形によって示されているように発生した。これに対して、出口オリフィスの近くで測定された共軸ジェットの半径Rjetは、図6Bに示されているように、この転移を通して単調に減少した。液滴生成回数もまた、これに対応して減少した。
【0078】
図3は、単一内部液滴を有する単分散多重エマルジョンを結果として生じ得る定常状態液滴形成メカニズムを示す顕微鏡写真である。すなわち(A)ドリップおよび(B)ジェット。両方の場合では、液滴形成の速度は、内部流体および中間流体について同じであったが、このことは、各内部液滴が、単一外部液滴中に含有されていたことを意味する。ドリップとジェットと間の転移は、内部流体および中間流体の固定総流量について、外部流体の流量QOFによって制御された。(A)における多重エマルジョンは、約1%未満の多分散度を示し、一方、(B)における多重エマルジョンは、約3%の多分散度を有した。図3B中の嵌め込み図は、共軸ジェットからの多重エマルジョン液滴の「ピンチオフ(pinch−off)」を示している。同じ装置および同じ流体を、図3、4、および6に記載された実験のために用いた。用いられた外部流体は、粘度ηOF=0.48Pa・sを有するシリコン油であり、中間流体は、粘度ηMF=0.05Pa・sを有するグリセロール−水混合物であり、内部流体は、粘度ηIF=0.05Pa・sを有するシリコン油であった。界面活性剤を有していない水性混合物およびシリコン油についての界面張力は、約20mN/mであった。(A)における流体の流量は、QOF=2,500マイクロリットルhr−1、QMF=200マイクロリットルhr−1、およびQIF=800マイクロリットルhr−1であった。(B)における流量は、QOF=7,000マイクロリットルhr−1、QMF=200マイクロリットルhr−1、およびQIF=800マイクロリットルhr−1であった。
【0079】
以下の分析は、観察された結果のいくつかを説明するために示されている。しかしながら、この数学的分析は、結合されることが意図されているのではなく、単に観察された現象の提案された説明でしかないと理解すべきである。最も内側の流体および中間流体の粘度のマッチング、すなわちηIF=ηMFによって、共軸ジェットの粘度プロフィールは、同じ粘度を有する単一流体のものと同等にされ得るであろう。摂動の成長率は、界面に垂直なその速度νi≒γ/ηOF(ここで、γは界面張力である)によって決定することができるであろうし、これは、tpinch=CRjetηOF/γの液滴ピンチオフ時間につながるであろう;数値計算は、ηIF/ηOF=0.1であるとき、C≒20を生じた。単一流体の円柱に対して厳密に有効であるが、共軸流体スレッドについては、有効界面張力は、2つの界面があるという事実によって修正されてもよい。しかしながら、Rayleigh−Plateau不安定度は、ジェットの長さがその半径に匹敵するほど大きくなるまで発生し得ない。これは、t≒Rjet/Qsum(ここで、Qsumは、2つの内部流体の正味の流速である)の時間がかかる。例えばピンチオフ時間が成長時間よりも小さいとき、液滴は、ジェットが不安定度を持ちこたえるのに十分なほど大きくなるやいなや形成されるであろう。これは、出口のちょうど内側で発生するであろう。これは図3Aに図解されているように、ドリップ方式につながる。これに対して、tpinch>tであるとき、これらの液滴が形成し得るジェットは、より早く成長するであろうし、ジェット方式につながるであろう。この場合、液滴は、図3Bに図解されているように、下流で、さらに出口の内側で形成される。この界面の有効毛管数(Ca)は、
【0080】
【数1】

(式中、νは、内部流体の下流速度である)によって決定することができる。これは、Ca≒1であるときに発生する、ドリップとジェットとの間の転移を支配する。毛管数に関する対照パラメーターの表示は、ドリップからジェットへの転移が、流体流による界面への粘性応力が大きくなりすぎて、Rayleigh−Plateau不安定度がこれらの系幾何学において抑えられるときに発生するという、物理的に観察された現象の画像を捉えるのを助ける。
【0081】
この物理画像を用いて、RjetおよびRdropは、ジェットおよびドリップ方式の両方における速度流プロフィールを考察することによって、QOFの関数として決定され得るであろう。しかしながらこれらの速度プロフィールは、流体が収集管を通って入り、下流に移動するにつれて発展することがあり、したがって各メカニズムについての異なる処理は、有用であることが証明され得る。
【0082】
共軸ジェットが最初に出口オリフィスに入るとき、これらの流体の速度プロフィールは、図6B中の右側の嵌め込み図に描かれているように、この通路を通してほぼ平らである。これは、レイノルズ数のオリフィス半径倍に匹敵し得る距離についてこのようなままである。このようにして、ドリップ方式において、液滴がオリフィスの非常に近くに形成される場合、マスフラックスは、次のように断面積と関連付けることができる:
【0083】
【数2】

(式中、Rorificeは、出口オリフィスの半径である)。この方程式から予想されたRjet/Rorificeの値は、調節可能なパラメーターをともなわず、図6B(点線)に示されているように、ドリップ方式における測定値と良好な一致にあった。液滴の測定された半径と共軸ジェットとの比較は、Rdrop=1.87Rjetであることを示した。この経験的関係は、ηIF/ηOF=0.1の場合の周囲流体中の無限に長い円筒形スレッドの崩壊についての液滴サイズの理論的計算と一貫性があった。これから、Rdropが予測され、図6A中の実線によって表わされているように、このデータと良好な一致にあることを発見した。転移の近くの小さい食い違いはおそらく、平らな速度プロフィールからの逸脱の結果であると考えられる。
【0084】
ジェット方式において、液滴が十分に下流で、および十分に内部導管の入口オリフィスの中で形成される場合、流体流は、層パイプ流の従来の放物線速度プロフィールに発展した。流体間の粘度差は、内部共軸ジェットが外部流体のものと異なる速度プロフィールを生じるようにさせる。完全なプロフィールは、低いレイノルズ数限界においてNavier−Stokes方程式を解くことによって決定することができる。ジェットは、収集管の広くなるテーパーによってわずかに拡張し、流れプロフィールを修正する。この系を用いて、ジェット半径は、調節可能なパラメーターを用いずに予測され、図6B中のダッシュ−点線によって示されているように、ジェットが拡張してしまう前に測定された値で、良好な一致が得られた。
【0085】
ジェット方式における液滴形成は、一般に不規則であることがあり、より多分散のサイズ分布をもたらす。しかしながらいくつかの場合では、安定な液滴形成を得ることができ、ジェット上の固定位置において発生する。このレベルの制御は、少なくとも一部、収集管の幾何学形状の結果であり、具体的には狭いオリフィスの下流の漸増する内径の結果であると考えられる。図1および3に図解されているように、収集管(内部管)は、出口オリフィスにおいて一般に小さいものから始まり、オリフィスの下流で次第に拡張する内部テーパーを含んでいてもよい。直径におけるこの減少は、連続的であってもよく、または段階的であってもよく、導管の外部直径に、対応減少を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。これは、流体が漸増する内径の区域を通って下流に流れるにつれて、ジェット直径の拡張につながってもよく、速度における随伴する減少が結果として生じる。Caが、Rayleigh−Plateau不安定度を持ちこたえるのに十分なほど減少するやいなや、ジェットは崩壊し、この位置を固定し、その結果として実質的に単分散の液滴を生じる。このようにして、本明細書に記載された系は、ジェット方式において、多重エマルジョンを含む、実質的に単分散の液滴を生成するためのメカニズムを提供し得る。ジェット方式において、崩壊回数が減少し、ジェットのサイズよりも実質的に大きいことがある液滴を生成する。すなわち、これらの液滴は、例えば図4Aに図解されているように、ジェット半径の1×、2×、または3×よりも大きい直径を有し得る。これらのより大きい液滴の容積を満たすのに時間がかかり、分散された相の質量保存(mass conservation)および液滴崩壊に特徴的なタイムスケールが、
【0086】
【数3】

を得るために用いることができる。液滴半径についての解法は、次の式を与える:
【0087】
【数4】


【0088】
この予測は、図4A中の破線によって示されているような経験的結果と良好な適合を与える。
【0089】
実施例4
ポリマー小胞を発生させるためのジブロックコポリマーの使用は、カプセル化のために新しい構造を作製するための魅力的な戦略である。これらの構造は、ポリマーソームと呼ばれ、リン脂質の二層から形成されたより伝統的な小胞のように、これらは流体のナノリットル〜ピコリットルの容積をカプセル化し得る。これに加えて、あるいくつかのジブロックコポリマーの低毒性は、これらの構造を、薬品送達用途のために有望なものにする。コポリマーの長さおよび化学的性質に応じて、結果として生じたポリマーソームは、匹敵し得るサイズのリポソームよりもはるかに頑丈になり得る。ジブロックコポリマーの使用によって与えられる可撓性は、ポリマーソームの特性に対する制御を有意に増加し得る。これらのジブロックの各ブロックの特徴は、所望の用途に適合するように調整することができる。例えば膜の厚さは、個々のジブロック分子の重合度を変えることによって制御することができ、一方、この膜の流動性および透過性は、疎水性ブロックのガラス転移温度を変えることによって調節することができる。同様に、個々のポリマーブロックの性質に対する制御は、放出を引き起こすための代替メカニズムに導き得る。
【0090】
ポリマーソームは、これらのジブロックの1つに対して貧溶媒を添加することにより、ブロックコポリマーを沈殿させることによって自然に形成され得る。あるいはまたこれらは、これらのコポリマーの乾燥フィルムを再水和することによって形成され得る。ジブロックの層状構造の再水和は、他の秩序立った構造、例えばミセルまたは虫様ミセルの中に、しわが寄って融合し、小胞を形成する層中にこれらを集合させることができる。しかしながら結果として生じたポリマーソームは、多分散である場合がある。
【0091】
カプセル化およびフィルム再水和は、カプセル化される所望の材料を含有する水溶液で、これらの乾燥されたフィルムを再水和することによって、一工程に組み合わせることができる。ポリマーソームが形成するにつれて、これらは、周りの流体のいくつかを中に捕らえる。あるいはまた、これらのポリマーソームは、所望の材料を浸透圧により内側へ駆動することによって形成された後で充填されてよい。しかしながらこれらの場合では、カプセル化効率は一般的に低い。さらには、どちらのカプセル化技術も、疎水性材料、またはこの膜を通して駆動することができない材料をカプセル化するときに困難を示す。このようにして、異なるカプセル化技術工学におけるポリマーソームの効率的な使用は、新しい製造方法を必要とする。
【0092】
この実施例は、内部流体および外部流体が、完全に別個のストリームとして維持される一工程プロセスを用いて、高度に均一なポリマーソームを作製するための新しい方法について記載する。これは、高度に効率的なカプセル化を保証する。微小流体技術が、有機溶媒層に囲まれた水滴の均一な二重エマルジョンを発生するために用いられる。これらの滴中滴またはコア−シェル構造は、連続水相中に分散されてよい。これらのジブロックコポリマーは、有機溶媒中に溶解される。これらは、二重エマルジョンの同心界面上に自己集合する。ポリマーソームはついで、シェルからの有機溶媒を完全に蒸発させることによって形成する。この技術は、ポリマーソームのサイズの制御を可能にし、このプロセス全体で、外部流体からの内部流体の分離を維持し、高度に効率的なカプセル化を提供する。
【0093】
二重エマルジョンを形成するために、外部正方形管内にネスティングされた2つの丸いガラス毛細管を有する微小流体装置を用いた。これらの丸い管は、図7に示されているように末端でテーパー状になっている。外部正方形管の内部寸法は、この実施例における丸い内部管の外部寸法に等しかった。このことは、アラインメントを単純化した。丸い管の外径は1mmであり、テーパー状オリフィスの半径は、20〜100マイクロメートルであった。3つの異なる流体を、制御された流量でこの系中に同時に汲み入れた。最も内側の流体を、内部管を介して汲み上げ、一方で、中間流体を、同じ方向に外部正方形毛細管を介して汲み上げた(図7A)。これは、テーパー状の第一毛細管の出口において共軸流を生成した。最も外側の流体を、反対方向から、外部正方形毛管を介して汲み上げた。これは、図7Aに示されているように、丸い第二毛細管を通って中間流体および内部流体を水力学的に集中させる作用をした。図7Aは側面図であり、図7Bはこの装置の正面図である。この装置内の3つの異なる流体を、f1、f2、およびf3と表示し、この装置中に汲み入れ、半径aを有する狭窄部を通って強制的に流した。内部流体の共軸流は、第二オリフィスを通るように維持され、ここで、表面張力は、流体ストリームが液滴として壊れるようにし、驚くべきことに、共軸幾何学形状が維持され、外部流体への内部流体への漏れをともなわずに二重エマルジョンを形成した。
【0094】
液滴形成の位置は、最も外側の流体の流量に応じた。低い外部流量において、二重エマルジョン液滴を、入口の約1オリフィス直径内に形成した。これに対して、より高い流量において、頸状部は、さらに下流で壊れる共軸スレッド中に延ばした。比較的近くでの液滴形成は、オリフィスドリップと呼ばれ、一方、比較的長いスレッドの末端での液滴形成は、ジェットと呼ばれる。ドリップメカニズムを通して形成された液滴は、比較的単分散であり、一方、ジェットメカニズムを通して形成された液滴は、幾分大きい多分散度を有していた。
【0095】
典型的には、ドリップメカニズムを通して形成された液滴は、図8Aにおいて観察されているように、約3%未満の非常に低い多分散度を有していた。大きい方の油滴内に含有された小さい水性液滴の数は、最も内側の流体および中間流体について液滴形成の相対周波数に応じた。最も内側の流体が、中間流体よりも迅速に液滴として壊れると、多くの小さい水性液滴を含有する大きい油滴が得られた。しかしながら、液滴形成速度がほぼ同じであると、単一内部液滴を有する二重エマルジョンを形成した。
【0096】
この技術は、内部流体および外部流体の完全な分離を維持し、これを、カプセル幾何学形状、例えばポリマーソームを発生させるのに有用なものにした。ドリップ方式における液滴生成の全体的周波数は、約100Hz〜約7,000Hzの範囲にあってもよいであろう。これは、1時間あたり約10までの二重エマルジョン液滴の形成を可能にした。
【0097】
ポリマーソームを発生させために、二重エマルジョンのコア−シェル構造を開発する戦略が用いられた。ジブロックコポリマーが中間疎水性流体中に溶解されて、水中油中水二重エマルジョンが発生した。内部水相は、蒸留水(Millipore)であり、外部相は、蒸留水中の80%(v/v)グリセロールの混合物であった。その粘度を増すために、グリセロールを外部流体に添加し、これは、流の集中効率を改善した。中間相は、揮発性有機溶媒であった。有機溶媒の蒸発は、両親媒性ブロックコポリマーを自己集合させ、ポリマーソームを形成した。これらの実験において、ジブロックコポリマーであるポリ(ノルマル−ブチルアクリレート)−ポリ(アクリル酸)(PBA−PAA)を用いた。PBAは、比較的疎水性のブロックであり、約4,000の分子量(MW)を有したが、一方、PAAは、比較的親水性のブロックであり、約1,500の分子量を有していた。この実施例における溶解されたジブロックは、大部分ユニマー(unimer)(より大きい凝集体に対して)であった。その理由は、これらの凝集体が、外部相との合体に対して内部液滴を効率的に安定するようには見えず、このようにして二重エマルジョンの崩壊が発生し得るからである。
【0098】
テトラヒドロフラン(THF)は、ジブロックが、ユニマーとしてその中に溶解するので、PBAおよびPAAブロックの両方のための溶媒として用いた。しかしながらTHFは、水と高度に混和性であったので、これは、有機溶媒として単独では用いることはできないであろう。その理由は、液滴形成が、中間流体と2つの他の流体との間の界面張力を必要としたからである。したがって、THFとトルエンとの助溶媒混合物を用いた。この混合物は、ジブロックにとって依然として良好な溶媒であるが、一方、同時に、液滴形成を可能にするのに十分なほど大きい界面張力を有する。それぞれ50−50重量%〜80−20重量%で様々であり、かつ0.1重量%〜5重量%のPBA−PAAを有する、トルエンとTHFとの助溶媒混合物を用いた。有機混合物の極性特徴を減少させる多量のトルエンの添加にもかかわらず、これらのジブロックは、図8Aに示されているように、これらの両親媒性を保持し、二重エマルジョンを安定化した。この図面は、高速ビデオカメラを用いて得られた、毛細管中の二重エマルジョン形成の顕微鏡画像である。対照実験において、これらのジブロックによって二重エマルジョンへ付与された安定性が重要であろうと確認された。これらがない場合、内部水滴は、その一体性を十分に維持せず、図8Bに示されているように、中間疎水相を通して単純に壊れた。このようにして図8Aにおいて、このコポリマーの0.8重量%を、助溶媒溶液f2に添加した。図8Bにおいては、ジブロックを助溶媒溶液f2にまったく添加しなかった。安定二重エマルジョンが、図8Aにおいて発生し、一方、図8Bにおいて、内部相が、有機相を通して壊れ、連続水相中の中間流体の単純なエマルジョンのみが観察された。狭窄部の半径は、図8Aおよび図8Bの両方について、70マイクロメートルであった。
【0099】
実施例5
この実施例において、二重エマルジョン(実施例4のように調製された)からのPBA−PAAポリマーソームの形成は、図9の顕微鏡画像によって示されているように、中間相からの助溶媒混合物の蒸発をモニターすることによって追跡した。有機流体の薄いシェルによって分離された二重エマルジョンの2つの界面を観察することができ(図9A)、ここに中間流体層が見えた。有機溶媒が周りの水中に溶解し、最終的に蒸発されるにつれて、シェルは次第に薄くなり、界面は消滅する傾向があった。底部は、上部のあとで消滅するように見えた。これは、有機流体シェルの厚さにおける不均質性によることがある(図9Bおよび9C)。図9A−9Cは、3分だけ離れている。図9Aにおける目盛り線は、40マイクロメートルを表わす。光沢領域顕微鏡下において、溶媒が蒸発した後で形成するように見えた小胞の薄い壁は、容易に観察することはできないであろうが、その理由は、内部流体と外部流体との屈折率が、ほぼ等しかったからである。しかしながら、相対比顕微鏡法が、図9Dに示されているように、膜と周りの流体との間の屈折率のミスマッチを強めるために用いることができるであろう。図9Dの目盛り線は、30マイクロメートルを表わす。
【0100】
実施例6
この実施例において、ポリマーソームの膜の性質を特徴決定するために、少量のCdSe量子ドットを、二重エマルジョンの形成前に内部流体に添加した。これらは、ポリマーソームの壁の内側で捕らえることができるような蛍光マーカーとして役立ち、この膜を視覚化する方法を提供した。70マイクロメートル小胞の相対比画像が、図10Aに示されている。比較のために、488nmにおける励起での蛍光画像が、図10Bに示されている。この膜の壁中に捕らえられた、蛍光を発する量子ドットの輪が容易に観察される。
【0101】
このシェルの当初厚さは約30マイクロメートルであり、当初ジブロック濃度は0.5重量%であった。シェルの半径は同じままであるので、最終厚さは、この溶媒のすべてが蒸発されるならば約1.5マイクロメートルであろう。これは、数ミクロンの測定された膜厚さと一貫性がある。しかしながら少量の溶媒が、たとえ少量にすぎなくても残存する可能性がある。この膜は、単層状であるようには見えない。これらのジブロックの二層の予想された厚さは約40nmであり、このシェルは、この場合では、少なくとも100層程度の厚さにあることを示唆している。しかしながらこの壁の厚さは、助溶媒混合物中のジブロックコポリマーの当初濃度を調節することによって制御され得るであろう。ポリマーソームの壁を通る蛍光粒子の漏れは、少なくとも数日間観察されず、この自己集合膜が安定であることを確認した。
【0102】
実施例7
中間流体と、内部流体および外部流体の両方の間の界面張力は、二重エマルジョンを形成するRayleigh−Plateau不安定度を駆動するのに重要であり得る。しかしながらポリマーソームは、この膜が真に可撓性であるとき、消滅性の表面張力を有すべきである。この実施例において、これは、ポリ(ブチルアクリレート)を用いて示されている。これは、−35℃のガラス転移温度を有し、したがって小胞膜は流体である。これは、シェル中の溶媒の実質的にすべてが蒸発するときに発生することがあり、ジブロックコポリマーからなる膜を残す。
【0103】
このことが発生するかどうかを決定するために、これらのポリマーソームを、約100mMの最終濃度で、基点(origin)として取られた時間に、外部連続相へグルコースを導入することによって、浸透圧衝撃へ付した。スクロースの最終濃度は、約100mMであった。スクロースの添加前(t<0)、小胞半径は一般に一定であった。スクロースの添加後(t>0)、結果として生じた浸透圧は、水をポリマーソームから「汲み出し」、小胞は、図10A−10Fにおける一連の画像において示されているように、外部環境と内部環境との浸透圧差によって収縮した。2つの連続画像間の間隔は、最後の2つの画像(これらは5分だけ離れている)以外、60秒である。
【0104】
ポリマーソームの収縮および潰れは、残存表面張力がなかったこと、および有機溶媒のほぼすべてが蒸発してしまったことを確認しているように見える。しかしながらリポソームおよびポリマーソームは、環境中の浸透圧が変えられるにつれて、よく画定された形状の変換を受けることが知られている。最後の画像の潰れた形態は、報告されたことがない。これは、膜の不均質性、またはこの膜の不完全な乾燥の指標であり得る。
【0105】
この膜の透過度Pは、次の方程式を用いて、ポリマーソーム半径Rの当初変化率から決定した:
【0106】
【数5】

(式中、α(アルファ)は、水のモル容積であり(アルファ=18×10−3L/モル)、Δc(デルタ−c)(モル/L)は、内部溶液と外部溶液との間のグルコースの濃度差である。Rは、2つの異なる小胞について、図10Gにおいて示されているように、時間が経つと線形で減少するように見えた。図10Gにおいて、大雑把に同じ当初半径の2つのポリマーソームの半径は、時間の関数として表示されている。これら2つのポリマーソームは、これらを100mMグルコース溶液中に入れることによって、浸透圧衝撃に付された。これらポリマーソームの透過度は、次のように、上記方程式を用いて、これら2つの小胞について観察された線形方式の傾斜から推論した。この傾斜から、P≒7±1マイクロメートル/sを決定した。ここで、誤差は、グルコース濃度の不確実さを反映している。透過度のこの値は、他のポリマーソームについて測定された値、すなわちPが〜10マイクロメートル/sに匹敵し得るものであり、リン脂質小胞について測定した値、すなわちPが〜15〜150マイクロメートル/sよりも約10倍小さい。これに加えて、これらの結果は、この透過度が他のポリマーソームのものに匹敵し得るので、ポリマーソームの膜厚さはおそらく過剰に大きくはないことを示唆した。それにもかかわらず、これらの膜は、依然として幾分不均質であることがあり、均一でない厚さの領域が、いくつかのポリマーソームにおいて観察される。さらには、溶媒のいくつかは、膜のなかに依然として捕らえられたままであることがあり、これらは、透過度に影響を与えることがある。
【0107】
実施例8
上の実施例に記載された合成技術は、当然ながら、単純なポリマーソームに限定されるわけではない。単一の内部水液滴よりも多くを含有する二重エマルジョン液滴を、形成することもできる。これらは、新しい種類のポリマーソーム構造を形成するために用いることができる。この実施例は、多くの内部水液滴を有する二重エマルジョン液滴を例証する。
【0108】
図10Aにおいて、有機相は、蛍光顕微鏡法による視覚化を可能にするために、量子ドットで標識されている。驚くべきことに、内部水液滴は、有機流体が蒸発するにつれて、これらの一体性を保持した。これは結果として、フォーム様構造の形成を生じ、最終ポリマーソームは、図10Bにおける相対比画像、および図10Cにおける蛍光画像によって示されているように、多くの内部区画を有する。目盛り線は、30マイクロメートルである。これらの構造は、内部水液滴が、上記合成技術においてポリマーソームを作製するための「テンプレート」として作用することを確認した。さらには、この方法によって生じた可撓性は、新しい種類の構造の作製を可能にした。これは、カプセル化構造としての追加の用途を見出し得る。
【0109】
実施例9
ポリマー小胞、またはポリマーソームは、活性成分のカプセル化および送達にとって有利である。これらは、脂質小胞と比較して、向上した安定性およびより低い透過度を提供し、合成ポリマー化学の汎用性は、特性、例えば膜厚、表面機能性、および劣化動力学を調節する能力を与える。この実施例において例証された、10マイクロメートル〜100マイクロメートルの直径の大きいポリマーソームを形成するための1つの研究方法は、制御された構成(architecture)の水中油中水二重エマルジョン液滴のテンプレートとしての使用である。両親媒性ジブロックコポリマーを含有する揮発性有機溶媒は、図13に概略的に示されているように、中間相として用いた。この技術は、高いカプセル化効率および制御可能な小胞サイズおよび構成の利点を提供する。
【0110】
図13は、水中油中水液滴からのポリマーソームの形成の概略図である。初めに、有機溶媒の液滴中の単一水性液滴の二重エマルジョンを、微小毛管装置を用いて調製した。両親媒性ジブロックコポリマーを中間相中に溶解し、揮発性有機溶媒が、油−水界面において単層中に集合される。ついで中間相の蒸発は、ポリマー二層(ポリマーソーム)の形成につながる。
【0111】
この研究方法において、有機相中のポリマーの濃度は、重要な変数である。これが、油−水界面を十分にコーティングするのに必要とされる量よりも低いとき、これらのポリマーソームは安定でない場合がある。実際、過剰濃度を用いて作業するのは都合がよい。実際、この過剰は、多層コポリマー界面の形成を通じてポリマーソーム壁の厚さおよび構造を調節するために用いてもよい。
【0112】
驚くべきことに、比較的厚い壁(約1.5マイクロメートル)を有するポリ(ブチルアクリレートブロック−アクリル酸)(PBA−PAA)を有する二重エマルジョンから形成されたポリマーソームは、一層ポリマーソーム(約10nm〜20nm厚さ)のものに匹敵し得る透過度を有していた。このことは、不均質厚さの形態にあることがある、コポリマー層中に「欠陥」が存在し得ることを示唆した。よく制御された構造を有する均一ポリマーソームを調製するために、これらの厚さの不均質性がどのように現われるか、およびこれらの形成がどのようにポリマー濃度に依存するかを理解することが、一般に重要である。
【0113】
この実施例において、ポリスチレン−ブロック−ポリ(酸化エチレン)(PS−PEO)ジブロックコポリマーによって安定化された二重エマルジョン液滴からの溶媒蒸発の間の構造的推移を調査した。蒸発の間、有機相の大部分が、内部水相と外部水相とを分けている薄い有機フィルムから脱湿潤し、最終的には、その表面の大部分にわたって比較的薄いポリマーソームを生成することが分かった。脱湿潤とは、水中油および油中水の両方の単一エマルジョン系において以前に観察されたように、界面張力に匹敵し得る水相間の接着性相互作用の存在を暗に意味する。このことは、有機相中の過剰なジブロックコポリマーによる枯渇効果から生じることがあり、したがってその強度は、ポリマー濃度とともに増加することがある。このようにしてこれらの結果は、エマルジョン技術を用いた均一ポリマーソームの入手が、ポリマー濃度の制御を必要とすることを示唆している。
【0114】
制御された構成の二重エマルジョン液滴を、既に記載されているようにガラス微小毛細管装置を用いて生成した。内部相は、水中の5容量%グリセロールであり、中間疎水性相は、トルエン、クロロホルム、またはこれらの混合物中の0.01重量%〜1.5重量%ポリマーであった。PEOは、トルエン中に凝集体を形成することができ、したがってこれらの溶液は、使用前に〜35℃に加温された。これは、動的光散乱によって、溶液中のあらゆる凝集体を崩壊することが発見された。
【0115】
ほかに記載されていなければ、これらの実験は、不斉ポリスチレン−ブロック−ポリ(酸化エチレン)ジブロックコポリマー(PS−PEO;Mn=19kg/モル−6.4kg/モル)を用いて実施された。対称PS−PEOブロックコポリマー(9.5k−9.5kのMn)およびポリブタジエン−ブロック−PEOポリマー(5.5k−5.0kのMn)もまた、観察された挙動の一般性をテストするために用いた。外部相は、50容量%グリセロール、50容量%水、および5mg/mLポリビニルアルコール(PVA;Mn約13k〜23k、87%〜89%加水分解)であった。これらのジブロックコポリマーは、外側水相との合体に対して内部液滴を安定させ、一方、PVAは、油液滴の合体を防いだ。これらのジブロックコポリマーは、Polymer Sourceから入手し、一方、すべての他の化学物質は、Aldrichから入手した。
【0116】
二重エマルジョン液滴は、脱イオン水中に収集して外側相を生じ、これは〜5%グリセロールであった。二重エマルジョンの外径Rは、約25マイクロメートル〜約100マイクロメートルの様々なものであり、一方、内部液滴半径Rは、約15マイクロメートル〜約50マイクロメートルの様々なものであった。これらの値は、用いられた毛細管のサイズによって調節することができるであろう。ガラススライド上に置かれた二重エマルジョンからの溶媒の蒸発は、光学顕微鏡法を介して観察された。特徴的な界面張力は、ポリマー溶液中に浸漬された鈍いステンレス鋼針の先端において水の懸垂水滴を形成し、この測定された液滴形状へ、ラプラスの方程式を当てはめることによって測定した。
【0117】
中間相中のジブロックコポリマーの濃度が低すぎる時、安定ポリマーソームを形成することはできないであろう。その代わり、溶媒蒸発は、有機相の破壊、および内部水相と外部相との合体につながる。典型的な液滴サイズ(R=50マイクロメートル、R=70マイクロメートル)について、0.01重量%ポリマーにおいて、油−水界面におけるPS−PEOの完全吸着は、1ポリマー鎖あたり約30nmの面積に対応した。この表面密度は、当初、二重エマルジョンを安定化するのに十分であったが、これは、安定ポリマーソームを形成するには希薄すぎるように見えた。
【0118】
同じ液滴サイズについて、0.1重量%のポリマー濃度は、約3nmの1鎖あたりの面積に対応する。これは大雑把には、この分子量のジブロックコポリマーの二層における予想された表面密度である。これらの条件下、安定ポリマーソームが形成され得るであろうことが観察された。しかしながら、形状における明らかな不均一性が、溶媒蒸発の間に観察された。有機相の大部分が内部水性液滴から脱湿潤され、内部水相と外部水相とを分ける薄い有機フィルムのみを後に残した。接触角度は低いが、図14Aに見られるように、有機液滴と薄い有機フィルムとの間に明確な接触線があった。薄い有機フィルムの1つが壊れるとき、これは液体として後退し(retract)、これは溶媒和されたままであることを暗に意味することがある。完全な溶媒蒸発後、ほぼ均一の厚さを有するポリマーソーム、および過剰ポリマーのより厚い小さいパッチが、図14Bにおいて示されているように発生した。ポリマーソームの破壊がここで破砕によって発生し、これは、非溶媒和PSブロックのガラス性によることがある。
【0119】
有機相中のジブロックコポリマーの大過剰に対応する、1.0重量%〜1.5重量%のより大きいポリマー濃度について、溶媒蒸発は、より大きい接触角度での脱湿潤につながる(図14C)。最終的には、過剰ポリマーのより厚いパッチを有するポリマーソームが形成される(図14D)。脱湿潤現象は、対称PS−PEOポリマー(9.5k−9.5kのMn)およびポリブタジエン−PEOジブロックコポリマー(5.5k−5.0kのMn)がほぼ同一の挙動を示すので、見たところまったく一般的であった。このようにして同じメカニズムが、PBA−PAAポリマーソームにおける不均質厚さの原因であり得る。
【0120】
図14Aは、トルエン/クロロホルム混合物(2:1容量)中に溶解した、1.0重量%PS−PEOジブロックコポリマーのシェルに囲まれた水性液滴から初めに形成された、二重エマルジョン液滴からの溶媒蒸発の間の脱湿潤を明らかにしている光学顕微鏡写真である。矢印は、側面への有機相の排水が明らかな湿潤線を浮き彫りにした液滴を示している。完全な溶媒蒸発後、図14Bは、この結果が過剰ポリマーのパッチを有する薄いポリマーソームであることを示している。より高い当初ポリマー濃度(1.5重量%)において、図14Cは、より大きい接触角度が明白であることを示している。図14Dは、1.0重量%当初ポリマー含量で形成された均質ポリマーソーム構造を示している。図14Eは、溶媒和ブロックコポリマーブラシ(brush)の薄層上の有機相の一部湿潤を有する二重エマルジョン液滴の構造の概略図である。
【0121】
中間相として用いられた有機溶媒もまた、重要であり得る。脱湿潤は、有機溶媒が純粋にトルエンであるときに発生し、一方、純粋なクロロホルムを用いた場合、内部水相および外部水相の破壊および合体は、ほとんどいつも見られた。PS−PEOジブロックコポリマーは、おそらくはクロロホルム中のPEOの高い溶解度によって、水−トルエン界面においてのように水−クロロホルム界面において、界面活性剤ほど効果的ではなかった。
【0122】
これらの結果は、油相が、溶媒蒸発の間、コポリマー−水界面から部分的に脱湿潤することを示した。これは、図14Eに示されているように、薄い有機相、おそらくは石鹸の泡の中に見られる「ニュートンブラック」フィルムと同様な、ジブロックコポリマーの油−溶媒和二層と、有機相の液滴との間の共存として現われることがある。これは、内部水相と外部水相との間、または会合ポリマー層間に接着エネルギーWadhがあることを意味する:
【0123】
【数6】

(式中、γは、溶媒和二層フィルムの界面エネルギーを表わし、γおよびγはそれぞれ、吸着されたポリマー単層を有する、内部および外部油−水界面の界面エネルギーである。γ=γと仮定して、接触角度θを決定するYoung−Dupre方程式は、次のようになる:
【0124】
【数7】

(実際、γの値は、外部界面におけるPVAの存在、および溶媒蒸発の間の外部界面の圧縮によって、γの値よりも幾分低いと予想される。その結果、その中の数値因子は、1〜2のどこかにあるべきである)。図14Cにおいて、θの値は、35°の大きさにもなり、Wadh=0.36γに相当する。このようにして接着性相互作用は、γと同程度の規模を有していなければならない。
【0125】
脱湿潤のための駆動力は、有機相中の過剰ブロックコポリマーの存在による、内部および外部油−水界面間の枯渇相互作用であってよい。枯渇効果の規模は、溶解されたポリマーの濃度とともに増加する。このようにして、溶媒蒸発が進行するにつれて、これはより重要になるであろうし、観察されたように、より高い当初ポリマー濃度についてはより明白になるであろう。平面の硬い壁については、ポリマー溶液の枯渇による接着は、次のとおりである:
【0126】
【数8】

(式中、πosmは、浸透圧であり、ζは、ポリマーのサイズ尺度であり、aは、濃縮方式による数値係数である)。希釈ポリマー溶液において、ζは、旋回(gyration)の鎖半径Rであり、
【0127】
【数9】

(式中、cは、ポリマー鎖の数密度である)である。半希釈方式において、a≒5であり、ζは、メッシュサイズに相当し、これは、c−3/4として縮尺され(scale)、一方、πosmは、良好な溶媒中でc9/4として縮尺される。その結果、希釈方式において、Wadh〜cであり、一方、半希釈方式において、Wadh〜c3/2である。
【0128】
枯渇相互作用の規模を評価するために、過剰PS−PEOジブロックコポリマーは、同じ分子量のポリスチレンホモポリマーとして処理する。トルエンおよびクロロホルムは一般に、PSおよびPEOブロックの両方にとって良好な溶媒であり、このようにしてPEOブロックは、溶液中に潰されると予想されなかった。1.0重量%の過剰濃度において、以前の方程式は、πosm=850Paを生じる。R≒4.9nmを用いて、Wadh=0.0094mN/mである。これは比較的小さい相互作用エネルギーである。しかしながら、溶媒が二重エマルジョン液滴から蒸発するにつれて、遊離PS−PEOの濃度は増加し、枯渇効果は強くなる。例えば17重量%(半希釈方式)の濃度において、ζの値=3.2nm、およびπosm=65kPaは、トルエン中のポリスチレンについてのデータから計算することができ、Wadh=1.0mN/mを生じる。
【0129】
枯渇相互作用のこの議論は、硬質基体、および個々に溶媒和されたポリマー鎖に当てはまる。しかしながらこの系において、2つの重要な違いがあった。すなわち、これらの表面は「硬質」でなく、吸着された「ブラシ様」ポリマー層によって覆われ、これらのコポリマー鎖は凝集することがあり、これによってζを増加させるが、凝集体の数密度をより急速に減少させ、Wadhの減少につながる。
【0130】
同じポリマーの末端グラフト化「ブラシ」上に広がっているポリマー溶液は、ポリマー濃度およびブラシグラフト化密度に応じて、部分湿潤(有限接触角度)または完全湿潤を示すことがある。これらの系における脱湿潤のための駆動力は、ここで考察されたものと同様な枯渇効果である。さらにはこの枯渇相互作用は、ブラシ様ポリマー基体上で実際に向上させられることがあるが、その理由は、排除帯域の厚さが、より大きいからである。すなわち、遊離鎖寸法とブラシ層との合計である。それに対して、PS−PEOジブロックコポリマーのあらゆる凝集は、Wadhを減少させるであろう。凝集体についてチェックするために、動的光散乱(DLS)を用いた。トルエン中の5mg/mLのPS−PEOの希釈溶液は、水力学的半径R〜4nmを有するユニマーから主として形成されていることが見出された。この値は、このような小さいサイズを決定するためのDLSの不正確さがあると考えて、枯渇効果の規模の計算に用いられたR=4.9nmの推定値と比べて勝るとも劣らなかった。
【0131】
しかしながら、水と接触した後、R〜35nm付近に集中した凝集体の集団(おそらくはマイクロエマルジョン液滴)が現われ、ならびにR>100nmのより大きい凝集体の分布が現われた。これに加えて、光学顕微鏡法は、油相中の約1マイクロメートル〜5マイクロメートルの大きい凝集体を明らかにした。これらは見たところ、自然に形成された油中水エマルジョン液滴である。この凝集は、枯渇相互作用の強度を減少させることがある。
【0132】
この挙動の重要な特徴は、接着性相互作用が、ブロックコポリマーで覆われた油−水界面の界面張力に匹敵し得ることがあることである。したがって、枯渇相互作用のこれらの推定値は、水と、トルエン中のPS−PEOの溶液との間の界面張力γの独立した測定値と比較された。0.1重量%および1重量%ポリマーにおいて、γの値は、30分以内に1mN/m〜2mN/mに安定した。0.01重量%において、同様な値が4時間以内に得られた。限定値は、測定値間で幾分様々であった(±0.5mN/m)が、0.01重量%〜1重量%の範囲内のブロックコポリマー濃度に強力に依存しなかった。このようにして、測定された表面張力の値は、実際、半希釈方式における枯渇相互作用の推定値と同じ規模を有していたが、ただし、大きい凝集体は形成されなかったという条件下においてである。
【0133】
二重エマルジョン液滴からの溶媒蒸発の間、外部油−水界面の収縮区域は、非平衡効果をもたらすことがあり、これはさらに界面張力を低下させる。界面区域が収縮するにつれて、どのようにしてブロックコポリマーが応答するかを理解するために、ポリマーは、5分間懸垂水液滴へ吸着するままにされ、その後、一定容積率で水の除去を行なった。液滴の表面積が減少するにつれて、界面張力も同様に減少することが観察された。圧縮を、1mN/m以上のγで停止するならば、拡張は、ヒステリシスをほとんどともなわずに圧縮経路を遡る。しかしながら液滴表面をさらに圧縮したとき、γにおける水平状態(plateau)には、図15Aに見られるように、〜1mN/mで到達した。水平状態は、1鎖あたり平衡区域以下に駆動されたとき、界面からのポリマーの脱着を反映し得る。水平状態領域中への圧縮は、図15Aに見られるように、ヒステリシスを生じさせ、これは、ポリマーを圧縮中に界面から除去し得ることを示している。より具体的には、図14Aは、2つの異なる圧縮−拡張等温線について、標準化された液滴表面積の関数として(A/A0)、水と、0.1重量%PS−PEOを含有するトルエンとの間の界面張力(γ)を図解している。開いた記号は圧縮に対応し、閉じた記号は、拡張に対応する。正方形については、表面張力において水平状態に達する前に停止したが、一方、円については、圧縮は、水平状態の始まりを過ぎて続行した。
【0134】
圧縮(または蒸発)速度もまた重要であり得る。より迅速な圧縮は、図15Bに示されているように、より低い水平状態の値につながる。二重エマルジョン液滴からの溶媒蒸発は典型的には、10−4Hz〜10−2Hzの特徴的な変形率に相当する。このようにして、二重エマルジョン系の場合、収縮する油−水界面の界面張力は、その平衡値の幾分下へ駆動されてもよいが、PS−PEOの低い濃度において、0.5mN/m〜1mN/mの範囲内にとどまると予想することができる。外部油−水界面におけるPVAの存在もまた、二重エマルジョン液滴からの溶媒蒸発の間、重要であり得る。しかしながら、PVAおよびPS−PEOの両方が存在する圧縮等温線は、PS−PEOが、表面挙動を支配することを示唆している。より具体的には、図15Bは、5マイクロリットル液滴からの異なる水の引き出し率での圧縮等温線を図解している:0.1マイクロリットル/分(円)、1マイクロリットル/分(正方形)、10マイクロリットル/分(菱形)。表面変形率の大雑把な特徴決定は、水平状態領域の真ん中の面積によって標準化された、圧縮に対する面積の平均変化率によって示されている。これらの値は、〜0.002Hz(円)、〜0.02Hz(正方形)、および〜0.2Hz(菱形)に対応する。誤差線は、非線形最小2乗法分析によって合わして(fit)いるように、表面張力の値の95%信頼区間を表わしている。
【0135】
いくつかの場合では、有機相は、溶媒蒸発の間、内部水液滴を本質的に完全に脱湿潤し得る。有機水滴からの続行された溶媒蒸発は、図15に示されているように、界面安定性につながり、ここで、大きい液滴が自然に、多くのより小さい液滴に崩壊した。見たところ、十分に高いポリマー濃度および溶媒蒸発速度において、γの値は、任意に小さくなることがあり、マイナスになることさえあり得る。このような消滅性界面張力の場合には、非常に小さい接着性相互作用の存在でさえ、脱湿潤を駆動するのに十分であることがある。例えばファン・デル・ワールス相互作用は、Wadh=A/(12πh)の1単位面積あたりの接着エネルギーを生じさせ得る(式中、AはHamaker定数であり(水−炭化水素−水系について約10〜20J)、hは、油膜の厚さである)。hについての推定値として15nmを用いると、Wadh=0.001mN/mを生じる。これは、次数(order)1mN/mのγの特徴的値、ならびに枯渇相互作用の推定された規模よりも小さい。しかしながら、消滅性界面張力の観察は、ファン・デル・ワールス力でさえ、いくつかの条件下、脱湿潤を駆動するのに十分な大きさになり得ることを示唆している。
【0136】
図16は、いくつかの条件下、溶媒蒸発は、接触角度が180°に近づき、有機相の脱湿潤につながることを示している(右上)。内部水性液滴から完全に脱離した有機液滴からのさらなる溶媒蒸発は、界面不安定性につながり、より小さい液滴への崩壊を引き起こす(左側)。
【0137】
結論として、二重エマルジョンテンプレートからポリマーソームを形成するとき、油−水界面においてポリマーブラシ上の有機相の湿潤を考察することは重要であり得る。過剰ポリマーの存在下における脱湿潤不安定性を避けるために、油−水界面におけるポリマーの吸着強度および溶媒蒸発速度を調節することによって、界面張力を注意深く制御することが必要なことがある。これに加えて、溶媒蒸発が不揮発性成分の濃度を、例えばこれらのサイズまたは凝集状態を通して増加させるにつれて、有機相の浸透圧を独立して制御することが重要であり得る。
【0138】
この発明は、その適用において、次の説明において示されているか、または図面において図解された構成要素の構成および配列の詳細に限定されない。この発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施されるか、または実行されることが可能である。また、本明細書において用いられている語法および用語法は、説明を目的とするものであり、限定的であると見なされるべきではない。このようにして、本発明のいくつかの実施形態が記載され、本明細書において例証されているが、当業者なら、これらの機能を実施するため、および/またはこれらの結果、および本明細書に記載された利点の1またはそれ以上を得るための多様な他の手段および/または構造を容易に思い描くであろうし、このような変形例および/または修正例の各々は、本発明の範囲内にあると判断される。より一般的には、当業者なら、本明細書に記載されたすべてのパラメーター、寸法、材料、および相対的配置が、例として意図されていること、および実際のパラメーター、寸法、材料、および相対的配置は、本発明の教示が用いられる1または複数の特定の用途に応じるであろうことを容易に理解するであろう。当業者なら、日常的な実験しか用いずに、本明細書に記載された発明の特定の実施例の多くの同等物を認めるか、または確認することができるであろう。したがって、前記の実施形態は、例としてのみ提示されていること、および添付特許請求の範囲およびこれと同等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載され、特許請求されている以外の方法で実施されてもよいことを理解すべきである。本発明は、本明細書に記載された各々の個々の機能、系、物品、材料、キット、および/または方法を目的とする。これに加えて、2またはそれ以上のこのような機能、系、物品、材料、キット、および/または方法のあらゆる組み合わせは、このような機能、系、物品、材料、キット、および/または方法が相互に非一貫性でないとき、本発明の範囲内に含まれる。
【0139】
本明細書において規定され、かつ用いられているようなすべての定義は、辞書の定義、参照して組み込まれた文献中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統御すると理解されるべきである。
【0140】
本発明において明細書および特許請求の範囲の中で用いられているような不定冠詞「1つの(aおよびan)」は、明らかに反対のことが指摘されているのでなければ、「少なくとも1つの」という意味であると理解すべきである。
【0141】
本発明において明細書および特許請求の範囲の中で用いられているような語句「および/または」は、そのように結合された要素、すなわち接合的に存在する場合もあり、離接的に存在することもある要素の、「どちらかまたは両方」を意味すると理解すべきである。「および/または」とともに列挙された多重要素は、同じように、すなわちそのように結合された要素の「1またはそれ以上」と考えられるべきである。具体的に同一視されたこれらの要素に関連していても、関連していなくても、「および/または」の節によって具体的に同一視された要素以外の他の要素が、場合により存在してもよい。このようにして非限定例として、「Aおよび/またはB」への言及は、非制限言語、例えば「含む(comprising)」と関連して用いられる時、1つの実施形態において、Aのみ(場合によりB以外の要素を含む);別の実施形態においてBのみ(場合によりA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(場合により他の要素を含む)などのことを言うことがある。
【0142】
本発明において明細書および特許請求の範囲の中で用いられているように、「または」は、上に規定された「および/または」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えばリスト中の品目を分ける時、「または」または「および/または」は、包含的であると解釈されるであろう。すなわち、いくつかの要素または要素のリストの、および場合により列挙されていない追加品目の少なくとも1つの包含であるが、これの1以上も含む。その反対であると明らかに指摘されている用語のみ、例えば「の1つだけ」、または「の正確に1つ」、または特許請求の範囲において用いられているときの「からなる(consisting of)」はいくつかの要素または要素のリストの正確に1つの要素の包含のことを言う。一般に、本明細書において用いられているような「または」という用語は、排他性の用語、例えば「どちらか」、「の1つだけ」、または「の正確に1つ」が先行している時、排他的な代替物(すなわち、一方または他方であるが、両方ではない)を示すものとのみ解釈されるものとする。「から本質的になる」は、特許請求の範囲において用いられる時、特許法の分野で用いられているような通常の意味を有するものとする。
【0143】
本発明において明細書および特許請求の範囲の中で用いられているように、1またはそれ以上の要素のリストに関連して、「少なくとも1つ」という語句は、要素のリスト中のこれらの要素のいずれか1つまたはそれ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであるが、要素のリストの中に具体的に列挙された各要素およびすべての要素の少なくとも1つを必ずしも包含するわけではなく、要素のリスト中の要素のあらゆる組み合わせを除外するわけでもない。この定義はまた、具体的に同一視されている要素に関連していても、関連していなくても、「少なくとも1つ」という語句が言及する要素のリストの中で具体的に同一視された要素以外の要素が、場合により存在してもよいということも可能にする。このようにして非限定例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同意義的に「AまたはBの少なくとも1つ」、または同意義的に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態において、少なくとも1つの、場合により1超を包含するAであって、Bが存在しない(および場合によりB以外の要素を包含する)ことを言い;別の実施形態において、少なくとも1つの、場合により1超を包含するBであって、Aが存在しない(および場合によりA以外の要素を包含する)ことを言い;さらにもう1つの実施形態において、少なくとも1つの、場合により1超を包含するA、および少なくとも1つの、場合により1超を包含するB(および場合により他の要素を包含する)などのことを言うこともある。
【0144】
同様に、その反対のことが明らかに指摘されていなければ、1以上の工程または活動を含む、本発明において特許請求されたあらゆる方法において、この方法の工程または活動の順序は、この方法の工程または活動が挙げられている順序に必ずしも限定されないことも理解すべきである。
【0145】
特許請求の範囲において、ならびに上の明細書において、すべての移行句、例えば「含む(comprising)」、「包含する(including)」、「運んでいる(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「ともなう(involving)」、「保持する(holding)」、「からなる(composed of)」などは、制限のない、すなわち包含するが、限定されるわけではないことを意味すると理解すべきである。「からなる」および「本質的にからなる」という移行句のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03に示されているように、それぞれ、排他的(closed)であるか、または半排他的移行句であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の1つの実施形態による、多重エマルジョンの作製において有用な微小流体装置の概略図である。
【図2】図2A−2Gは、本発明の別の実施形態である、異なる多重エマルジョンを示している顕微鏡写真のコピーである。
【図3】図3Aおよび3Bは、本発明のなお別の実施形態による、ドリップ(A)方式(regime)およびジェット(B)方式における液滴の形成を図解している顕微鏡写真のコピーである。
【図4】本発明の他の実施形態における多様な多重エマルジョンの形成を示す様々な顕微鏡写真を図解している。
【図5】図5A−5Fは、本発明のさらに他の実施形態における様々な硬化シェルポリマーソームを示している顕微鏡写真のコピーである。
【図6】図6A−6Bは、本発明の別の実施形態による、液滴サイズと流量との間の関係を示しているデータをグラフで図解している。
【図7】図7A−7Bは、本発明の別の実施形態による微小流体装置の概略図である。
【図8】図8A−8Bは、本発明の別の実施形態における、多重エマルジョンに対するジブロックコポリマーの影響を図解している顕微鏡写真のコピーである。
【図9】図9A−9Dは、本発明の別の実施形態による、THF−トルエン混合物の蒸発および溶解を図解している。
【図10】図10A−10Bは、本発明のさらに別の実施形態における、疎水性量子ドットのカプセル化を図解している。
【図11】図11A−11Gは、本発明のさらに別の実施形態における、浸透圧衝撃下のポリマーソームの推移を図解している。
【図12】図12A−12Cは、多くの内部液滴および多区画小胞構造を含有するあるいくつかの二重エマルジョンを図解している。
【図13】本発明のなお別の実施形態による、ポリマーソームの形成を図解している概略図である。
【図14A】本発明のなお別の実施形態による、あるいくつかの脱湿潤(dewetting)実験を図解している。
【図14B】本発明のなお別の実施形態による、あるいくつかの脱湿潤(dewetting)実験を図解している。
【図14C】本発明のなお別の実施形態による、あるいくつかの脱湿潤(dewetting)実験を図解している。
【図14D】本発明のなお別の実施形態による、あるいくつかの脱湿潤(dewetting)実験を図解している。
【図14E】本発明のなお別の実施形態による、あるいくつかの脱湿潤(dewetting)実験を図解している。
【図15】図15A−15Bは、本発明の別の実施形態における界面張力実験を図解しているグラフである。
【図16】本発明のあるいくつかの脱湿潤された液滴を示している顕微鏡写真のコピーである。
【図17】本発明の別の実施形態による、多重エマルジョンの作製において有用な別の微小流体装置の概略図である。
【図18】図18A−18Gは、本発明の様々な実施形態による、様々な多重エマルジョンを示している顕微鏡写真のコピーである。
【図19】本発明のさらに別の実施形態による、不斉リポソームの形成を図解している概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重エマルジョンの作製方法であって、
第二流体に囲まれている第一流体ストリームから第一液滴を形成する工程であって、ここで、該第二流体が第三流体に囲まれている工程
を含む方法。
【請求項2】
前記第一流体は、前記第三流体中に混和性がある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二流体は、界面活性剤、プレポリマー、ポリマー、脂質、コポリマー、および両親媒性物質から選択された物質を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、および/またはランダムコポリマーである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第二流体は、2つの界面活性剤を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物質は、両親媒性である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第二流体は、相転移流体を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一流体および第二流体は、ポリマーソームまたはリポソームを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第二流体は、前記第一流体の単一液滴を囲んでいる液滴を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
形成された前記第二流体液滴の90%超が、単一第一流体液滴を含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第二流体ストリームは、前記第一液滴の周りに液滴を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第一流体は、細胞および薬品から選択された種を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第二流体液滴の直径の標準偏差は、10%未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第二流体液滴は、直径が約200ミクロン未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第二流体液滴は、直径が約50ミクロン未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第二流体液滴は、直径が約10ミクロン未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第二流体液滴は、直径が約1ミクロン未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記第二流体液滴は、直径が約500nm未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記第二流体は、本質的に界面活性剤を含んでいない、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記第二流体液滴中の前記第二流体の量を減少させる工程も含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記第二流体を、蒸発または拡散を通して減少させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記第二流体中に相転移をもたらす工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第二流体の外部液滴の内側に、複数の内部液滴を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第一流体の粘度は、前記第二流体の粘度に実質的に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記第三流体の粘度は、前記第一流体の粘度とは実質的に異なる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第一流体ストリームを第一方向へ流す工程;
第二流体ストリームを該第一流体と同じ方向へ流す工程であって、該第二ストリームが該第一ストリームを取り囲んでいる工程;
第三流体ストリームを、該第一方向と実質的に反対の第二方向へ流す工程;および
該第三流体ストリームの流れの方向を変えて、該第一方向へ実質的に平行に流す工程
を含む方法。
【請求項27】
前記第三ストリームの少なくとも一部分は、前記第二ストリームの一部分を取り囲んでいる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第一ストリームの流体は、前記第三ストリームの流体中に混和性がある、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
液滴の形成のための装置であって、
第一直径を有する第一導管;
出口開口部を画定する末端を備える第二導管であって、該第一導管中に同心的に配置された導管;および
入口開口部を画定する末端を備える第三導管であって、該第一導管中に同心的に配置され、該入口開口部が、該第二導管の該出口開口部の反対側にある導管
を備えている装置。
【請求項30】
前記第二導管および前記第三導管は、前記第一導管の異なる部分に配置されている、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記第二導管の前記出口開口部は、前記第三導管の前記入口開口部よりも小さい直径を有する、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記第二導管の出口開口部は、テーパー状になっている、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記第一導管は、断面が実質的に多角形であり、前記第二導管および前記第三導管は、断面が実質的に円形である、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記第一導管は、断面が実質的に円形であり、前記第二導管および前記第三導管は、断面が実質的に多角形である、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
前記3つの導管の各々は、軸方向に並んでいる、請求項29に記載の装置。
【請求項36】
前記導管の少なくとも1つは、1mm未満の平均直径を有する、請求項29に記載の装置。
【請求項37】
前記導管の少なくとも1つは、ガラス毛細管を備えている、請求項29に記載の装置。
【請求項38】
前記第三導管の内径は、前記入口開口部から出発する導管の一部分に沿って増大する、請求項29に記載の装置。
【請求項39】
前記入口開口部に隣接する前記第三導管の一部分の内部が狭窄されている、請求項29に記載の装置。
【請求項40】
さらに、出口開口部を画定する末端を備える第四導管であって、前記第二導管中に同心的に配置されている第四導管を備える、請求項29に記載の装置。
【請求項41】
種のパッケージ方法であって、
種を第一流体中に縣濁する工程;
第二流体ストリームであって、該第二流体が、該第一流体と実質的に不混和性である流体ストリームに囲まれているストリーム中に、該第一流体を流す工程;
該第二流体ストリームを囲んでいる第三流体ストリームを導入する工程;および
該第一流体の多重液滴であって、該液滴が、該種の少なくとも1つを含有する液滴を形成する工程
を含む方法。
【請求項42】
前記種は、細胞、薬品、核酸、タンパク質、香料、ナノ粒子、および量子ドットから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記種は細胞である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
さらに、前記液滴を囲んでいる前記第二流体の一部分を固化する工程を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記液滴の50%超が、1つの細胞を含有する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記液滴の90%超が、1つの細胞を含有する、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
形成された前記液滴の50%超が、同数の細胞を含有する、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記内部液滴の少なくとも一部分を固化する工程を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
液滴の形成方法であって、
第一流体を第一導管中に流す工程;
第二流体を第二導管中に流し、該第二流体を、該第二導管の出口開口部を画定する末端から、該第一導管中の該第一流体中へ排出する工程;
該第一流体に囲まれている該第二流体を、該第一流体中の該第二流体の液滴が制限部内に形成される条件下で、該制限部に入るように推進する工程;および
該第一流体中に運ばれる該第二流体の該液滴を、該制限部から、該制限部よりも大きい寸法の領域中へ放出する工程
を含む方法。
【請求項50】
前記第一流体および前記第二流体を、第三流体で囲む工程を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第二流体が、第四流体を囲んでいる、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも第一粒子シェル、および該第一粒子シェルを囲んでいる第二粒子シェルを有するコロイドソーム
を含んでいる物品。
【請求項53】
前記コロイドソームはさらに、前記第二粒子シェルを囲んでいる第三粒子も含んでいる、請求項52に記載の物品。
【請求項54】
内部脂質層および外部脂質層を有する脂質二層を含んでいるリポソームであって、該内部脂質層が第一脂質組成物を含み、該外部脂質層が、該第一脂質組成物と識別し得る第二脂質組成物を含むリポソーム
を含んでいる物品。
【請求項55】
前記リポソームが多重膜である、請求項54に記載の物品。
【請求項56】
前記リポソームがさらに、第二脂質二層を含んでいる、請求項54に記載の物品。
【請求項57】
前記第二脂質二層は、内部脂質層および外部脂質層を有し、該内部脂質層が第三脂質組成物を含み、該外部脂質層が、該第三脂質組成物と識別し得る第四脂質組成物を含んでいる、請求項56に記載の物品。
【請求項58】
液滴の形成方法であって、
第一流体を第一導管中に流す工程;
第二流体を第二導管中に流し、該第二流体を、該第二導管の出口開口部を画定する末端から、該第一導管中の該第一流体中へ排出する工程;
第三流体を第三導管中に流し、該第三流体を、該第三導管の出口開口部を画定する末端から、該第二導管中の該第二流体中へ排出する工程;
該第一流体に囲まれ、かつ該第三流体を含有する該第二流体を、該第一流体中の該第二流体の液滴が、制限部内に形成される条件下で、該制限部に入るように推進する工程;および
該第一流体中に運ばれる該第二流体の液滴を、該制限部から、該制限部よりも大きい寸法の領域中へ放出する工程
を含む方法。
【請求項59】
前記第一流体および前記第二流体を、第四流体で囲む工程を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
内部流体;
該内部流体を囲んでいる第一中間流体;
該第一中間流体を囲んでいる第二中間流体;および
該第二中間流体を囲んでいる外部液体
を含んでいる物品。
【請求項61】
前記第二中間流体を囲んでいる第三中間流体であって、前記外部液体が、該第三中間流体を囲んでいる流体
を含んでいる、請求項60に記載の物品。
【請求項62】
前記内部流体と前記第一中間流体とは、実質的に不混和性である、請求項60に記載の物品。
【請求項63】
前記第一中間流体と前記第二中間流体とは、実質的に不混和性である、請求項60に記載の物品。
【請求項64】
前記第二中間流体と前記外部液体とは、実質的に不混和性である、請求項60に記載の物品。
【請求項65】
前記第二中間流体は、1mm未満の平均直径を有する液滴として形成される、請求項60に記載の物品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図18F】
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【図18G】
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【図19】
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【公表番号】特表2008−535644(P2008−535644A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558301(P2007−558301)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/007772
【国際公開番号】WO2006/096571
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(502333862)プレジデント・アンド・フエローズ・オブ・ハーバード・カレツジ (18)
【Fターム(参考)】