説明

大気圧グロープラズマを用いて基板表面から汚物を除去する方法及び装置

本発明は、大気圧グロープラズマに基板表面を曝露することによって基板の表面から汚物を除去する方法及び配置に関する。プラズマは、プラズマ電流及び変位電流を発生する複数の電極に交流プラズマ活性電圧を印加することによって、複数の電極を具備する放電空間で生成される。プラズマは、基板表面の特性の改質が防がれるように、プラズマ生成の間に変位電流を制御することによって安定化される。変位電流を制御する段階は、プラズマ生成の間に変位電流の相対的な減少をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の電極を具備する放電空間で生成される大気圧グロープラズマに基板表面を曝露することによって前記基板の表面から汚物を除去する方法に関し、前記プラズマは、前記複数の電極に交流プラズマ活性電圧を印加することによって生成される。
【0002】
本発明はまた、基板の表面から汚物を除去する装置に関し、複数の電極を具備する放電空間と、前記複数の電極間において前記放電空間で大気圧グロープラズマを生成する手段とを具備し、前記プラズマを生成する手段は、前記複数の電極にACプラズマ活性電圧を印加する手段を具備する。
【背景技術】
【0003】
(半)導体被覆の製造等の製造工程において、スパッタリング又は化学気相堆積等の処理を用いるのが一般的である。これらの処理は、所望のコーティングを実現するだけではなく、副作用もあり、炭素、又はヒドロキシル基を有する炭化水素等の好ましくない物質でこれらの被服又は表面を汚染する。故に、製造工程ではしばしば、表面又は被覆から汚物を除去する洗浄手段を具備する。
【0004】
表面上に存在する汚物と相互作用する各種化学物質を用いる湿式洗浄は、業界で広く使用されている。しかし、湿式洗浄段階は、何年にも渡ってかなり改良されてきたが、用いられる化学物質が、洗浄すべき半導体表面だけでなく汚物の両方と相互作用する不都合がしばしばあった。もう1つの不都合は、湿式洗浄段階の後、可能な限り再度除去すべき化学物質の残留物が表面上に存在しうる点で、洗浄工程の効率の低下及び遅延をもたらすことである。
【0005】
湿式洗浄のもう1つの不都合は、利用可能なあらゆるタイプの表面に適用することができない点である。多くの湿式洗浄処理は、水系の表面洗剤(acqueous surfactant solutions)、酸、各種溶剤、及び他の化学物質を利用し、しばしば強すぎる。例えば有機物質ベースの表面又は油性表面等の敏感な表面は、湿式洗浄処理を用いて洗浄するのに適切ではない。
【0006】
湿式洗浄処理に加えて、UV洗浄やレーザー光ベースの洗浄処理等の乾式洗浄処理が業界で使用されている。各洗浄処理は、それぞれ独自の用途範囲を有し、それぞれに不利な点を具備している。
【0007】
ここ数年、乾式洗浄処理に対するプラズマの使用が一定の用途範囲で提案されている。プラズマはまた、あらゆる種類の表面改質技術に使用されている。プラズマの具体的な用途として、例えば、いくつかの表面の接着力を改善することが挙げられる。この目的にプラズマを用いるのに不都合な点は、プラズマの安定性がしばしば不十分になる点であり、ストリーマーフォーメーション等の制御不能現象をもたらす。これらの効果により、プラズマ洗浄は、表面上で局所的に効率的な洗浄をもたらしうるが、表面の他の部分上で局所的に全く洗浄しないか又は表面の表面特性をも改質してしまう。これは、プラズマ洗浄処理の用途範囲をかなり狭める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、プラズマを用いて、基板の表面から汚物を効率的かつ均一的に除去する方法及び配置を提供することにある。
【0009】
この目的及び他の目的は、本発明によって達成され、1つ以上の電極を具備する放電空間で生成される大気圧グロープラズマに基板表面を曝露することによって前記基板の表面から汚物を除去する方法であって、前記プラズマは、プラズマ電流及び変位電流を発生する前記複数の電極に交流プラズマ活性電圧を印加することによって生成され、前記プラズマは、前記基板表面の特性の改質が防がれるようにプラズマ生成の間に前記変位電流を制御することによって安定化される方法を提供する。
【0010】
プラズマ生成の間に変位電流を制御することによって、及び特に、ストリーマーフォーメーションがよく発生するプラズマ生成の所定の段階で、プラズマでの不安定性は、均一の特性を備える安定しかつ制御可能なプラズマが生成されるように、効率的に抑制できることが観測された。得られた大気圧グロープラズマは、半導体表面、有機表面、塗装等のあらゆる種類の敏感な表面、セラミック表面、光学機器用の表面等の表面を洗浄するのに用いることができる。大気圧グロープラズマは、本発明を用いて得られるプラズマ洗浄処理が広範な用途を有するように、空中及び低温の大気圧条件下で提供されうる。本発明の方法によって、意外にもあらゆる種類の汚物は、基板の表面から除去できる一方で、基板は、元の物理的特性を備えたままその原型を留める。
【0011】
本発明の方法を用いて、効率的な洗浄は、プラズマに対する表面の非常に短い曝露時間で達成されることも観測される。0.1から10秒の間の曝露時間であれば、良好な結果をもたらすのに十分である。0.1から1秒の間の曝露時間を使用できることがより好ましい。特に、本発明の方法を用いて、表面の洗浄は、表面の物理的特性を改質することなく達成される点に留意すべきである。
【0012】
本発明の実施形態によると、変位電流を制御する段階は、プラズマ生成の間に変位電流の相対的な減少をもたらすことを具備する。以下に説明されるように、プラズマの不安定性は、基板表面を洗浄するのに所望されるプラズマの制御を可能にする上記実施形態で効率的に抑制されうる。上記に加え、変位電流を制御する段階はまた、プラズマ生成の間におけるプラズマブレイクダウンの開始又はプラズマパルスの前又は丁度前に変位電流の相対的な減少をもたらすことを具備しうる。
【0013】
交流活性電圧を扱うので、その振幅の符号だけでなく変位電流の符号も正から負へ変化する。活性電圧の正の半周期又は期間の場合、変位電流の減少は、フィラメント形成の可能性を低減する。負の値を有する変位電流は、いかなるフィラメントの形成も可能としない。結果的に、本発明に従って、プラズマ生成の間に変位電流を減少することによってフィラメントの生成を防ぐことができる。これは、大気圧グロープラズマの特性が均一でかつ制御できるように、大気圧グロープラズマに対し安定効果を奏する。故に、強度及び電流等のプラズマ特性を制御でき、そのような方法で、プラズマは、プラズマに曝露される表面から汚物を効率的に除去する一方で、(例えば、強過ぎる強度又は大きなプラズマ電流を有するプラズマの結果としての)表面の改質が防がれる。処理されるべき表面の特性と特性が知られる範囲で表面上に存在する汚物とにより、表面の効率的な洗浄に必要なプラズマ特性が決定されることが分かる。
【0014】
他方で、活性電圧の負の半周期では、同様であるが上述とは異符号の説明が妥当である。
【0015】
変位電流の相対的な減少が、発達する傾向にあるストリーマー等のプラズマの不安定性を効率的に解消することが観測された。「相対的な減少」とは、活性電圧が負の半周期又は正の半周期のいずれかであることに依存して、符号変化が正でもあり負でもありうることを意味する。特に、正の半周期において、「相対的な減少」とは、ゼロ又は負にも向かう(負の勾配を有する)変位電流の実質的減少を意味する。他方で、負の半周期において、変位電流の相対的な減少は、正の勾配を意味する。
【0016】
以下に言及される場合を除くほか、本発明に従ってグロープラズマを安定化する処理及び/又は手段に関する説明は、活性電圧の正の半周期で主に提供される。活性電圧の負の半周期に関する同一の説明が、反対の符号に変えることによって等しく提供されうる。
【0017】
好ましくは、変位電流の急激で相対的な減少がもたらされ、即ち、前記変位電流の前記相対的な減少がほぼマイクロ秒程度で、好ましくはマイクロ秒の割合でもたらされ、そして前記変位電流の前記相対的な減少は、少なくとも100%である。大気圧での均一なグロー放電プラズマは、この方法で達成されうることが観測された。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態によると、前記汚物を除去することは、放電空間におけるガス状物質又はガス状物質の混合物の存在下で達成される。特に、このガス状物質又はガス状物質の混合物は、ヘリウム、アルゴン、酸素、窒素、二酸化炭素、アンモニア、水素、酸素とアルゴンの混合物、酸素とヘリウムの混合物、酸素とアルゴン及びヘリウムの混合物、上述のガス状物質による他の混合物、又はそれらの組合せである群のうち少なくとも1つである。酸素とヘリウムの混合物、特に酸素とアルゴンの混合物を用いて、良好な結果が得られた。本発明の方法により、ガスを用いて安定したプラズマを得ることが直ちに可能となり、従来技術によると不安定なプラズマをもたらす。これにより、本発明の新規な洗浄方法が実現できる。好ましい実施形態では、ガス混合物内の酸素の比率は、0.1%よりも大きく、さらに好ましくは1%よりも大きいが50%未満である。好ましい実施形態では、酸素の比率は、25%を下回る。
【0019】
処理されるべき表面は、以上に言及した任意の表面にすることができるが、本発明の方法は、インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、インジウム・カドミウム酸化物、カドミウム・スズ酸化物、酸化カドミウム、酸化ガリウム、及びそれらの組合せである群のうち少なくとも1つの透明導電酸化物である基板表面に特に適用できることに留意すべきである。しかし、本発明は、上述した透明導電酸化物に限らず、プラズマの安定条件と表面改質を防止するために特性を制御する条件とを充足する限り、任意の透明導電酸化物に適用することができる。これは、例えば油性表面(塗装)、有機表面、高分子表面、セラミック表面等の敏感な表面に対しても妥当である。
【0020】
特定の用途として、例えば、誘電体又は金属の支持上又は表面上に被覆される透明導電酸化物を具備する表面の洗浄が含まれる。
【0021】
変位電流は、以下に説明されるように制御手段を用いて制御されうる。これらの制御手段は、例えば本発明の実施形態によると少なくとも1つのインダクタを具備しうる。インダクタは一般に、磁束変化を妨げる特性を有することが分かる。プラズマ電流が突然(急激に)増加する場合(例えば、発展したストリーマーの場合)、インダクタは、増加する妨害変位電流に応答する。言い換えれば、インダクタは、印加活性電圧に対して変位電流を相対的に減少させる。これは、飽和電流を大幅に下回る電流で動作する不飽和インダクタにとって妥当である点に留意すべきである。
【0022】
本発明の実施形態に従って、少なくとも1つのインダクタは、不飽和モードで実質的に動作するマッチングコイル又は飽和モードで動作するチョークコイルである群のうち少なくとも1つである。これらの実施例は、以下に記載される。
【0023】
本発明のもう1つの実施形態によると、制御手段は、前記活性電圧に重畳される電圧パルスを提供するパルス生成手段を具備する。
【0024】
上述したパルス生成器は、処理において変位電流を制御するもう1つの手段を提供することが分かる。特に、パルス生成手段は、プラズマ生成の間において、活性電圧の絶対値の時間に渡る2次導関数が負の値を有するように制御されうる。
【0025】
本発明のもう1つの実施形態によると、プラズマは、絶対パルス最大値を有するプラズマパルスを具備し、前記変位電流は、変位電流の相対的な減少がパルス最大値の前にもたらされるように、活性電圧を制御することによって制御される。プラズマ生成の間でパルス最大値の前において、プラズマの不安定性が容易に発展されうるような条件が観測された。これは特に、プラズマの間及びブレイクダウンの丁度後である。故に、本発明のもう1つの実施形態によると、変位電流の前記相対的な減少は、プラズマパルスの開始に同期される。
【0026】
本発明のこの実施形態において、比較的大きなインダクタンス及び比較的大きな飽和電流を有するマッチングコイルは、プラズマを安定化させるように効率的に印加されることができる。不飽和コイルの特性は、上記例示のようにレンツの法則(インダクタはその磁束変化を妨げる)の結果として、ストリーマー形成の発生時に変位電流の減少をもたらすように効率的に用いることができる。インダクタンス等のインダクタの特性に関する適切な選択は、洗浄に対する所望のプラズマ特性に依存し;基板表面にも依存する。
【0027】
本発明のもう1つの実施形態によると、プラズマは、絶対パルス最大値を有するプラズマパルスを具備し、変位電流は、変位電流の相対的な減少がパルス最大値の後にもたらされるように、活性電圧を制御することによって制御される。不安定性は、プラズマの生成の間における任意の時間で発生しうるが、プラズマパルスの終端での状態は、不安定性の発生及び発展にとって有利であることが観測された。プラズマパルスの終端で、プラズマ電流は、比較的低い一方で、AC電源に印加される電圧は、AC電源が主なプラズマパルスから回復する傾向にあるという事実により増加する。プラズマの寿命は、プラズマのこの段階で中断に近くなり、プラズマ電流は、小さい不安定性及びプラズマ変化が発生した後に急激に減少する。AC電源の回復による増加電圧の影響下で、これらの小さな不安定性及びプラズマ変化は、ストリーマー形成及びグロー・アーク遷移等の主なプラズマの不安定性において容易に発展しうる。他方で、比較的低くかつ減少するプラズマ電流は、増加電圧と相まって、変位電流を制御することによる不安定性の抑制又は除去を困難にする。この問題の解決は、以下の説明のように本発明の実施形態により提供される。プラズマのこの段階で発生する主なプラズマの不安定性は、洗浄すべき表面の均一な処理を危うくし、局所的に高いプラズマ電流の結果として局所的な表面改質がもたらされる可能性がありうる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によると、変位電流の相対的な減少は、パルス最大値の後に発生するプラズマの不安定性に同期される。
【0029】
丁度飽和しているか又は飽和点に近いコイルを使用することによって、プラズマ生成(即ち、パルス最大値の後)のこの段階におけるプラズマの不安定性は、効率的に抑制されうる。(コイルを通る電流がコイルの飽和電流近くで動作する)この範囲で動作するコイルは、非線形状態でふるまう。コイルの非線形性は、(上述のとおり、増加する印加電圧と相まって、低くかつ減少するプラズマ電流の)プラズマのこの段階における変位電流の減少の招来に対する特定の困難な条件下で、変位電流の減少をもたらすように効率的に用いることができる。
【0030】
本発明のもう1つの実施形態では、活性電圧は、変位電流が三角形の波形を実質的に呈するように、即ち全プラズマ生成の間に変位電流が活性電圧の符号に対して負の勾配を有するように形成される。プラズマの不安定性に対する条件は、変位電流が負の勾配を有する場合に理想からかけ離れていることが観測された。故に、プラズマの不安定性は、この場合では容易に発生しない。
【0031】
本発明の実施形態によると、処理すべき基板表面は、放電空間を通して移動される。比較的大きな表面が放電空間を通して基板表面を移動することによって処理できる。僅少なバンド又はフィルム形状の表面を処理すべき場合、例えば放電空間を通して一定速度で表面を移動するのに十分であってもよい。比較的大きな表面、非標準形状の表面、又は非直線形状の表面が処理されねばならない場合、表面は、2つ以上の方向で、例えば前後、縦横、又は以下の他の適切なパターンで、放電空間を通して移動されうる。
【0032】
洗浄すべき表面と除去すべき物質の量に依存して、処理時間が変化する。処理時間の変化は、基板がプラズマ容器を通して及び/又はプラズマエネルギーに対して移動される速度に依存する。典型的な処理(洗浄)時間は、10秒を下回る一方、1秒を下回る洗浄時間も可能である。
【0033】
本発明のもう1つの実施形態によると、交流電圧は、1kHzから1mHzの範囲の周波数で動作される。
【0034】
本発明のもう1つの実施形態によると、複数の電極のうち少なくとも1つは、誘電体によって被覆される。
【0035】
本発明の最後の実施形態は、誘電体バリア放電においてフィラメント放電の密度が変位電流によって効率的に制御できるという洞察に基づく。フィラメント放電では、各電極を被覆する誘電体上に大量の電荷が生成及び蓄積する。これは、フィラメントが生成される放電空間の直接領域で電圧の実質的な降下をもたらす。新たなフィラメントは、複数の電極間電圧までこの領域の近傍で生成されることがないため、ガスの電圧が増加する。故に、変位電流は、電圧変化の割合を制御し、かつ単位時間当たりのフィラメント放電の密度に比例する。
【0036】
本発明の第2の特徴によると、大気圧グロープラズマに前記基板表面を曝露することによって基板の表面から汚物を除去する装置が提供され、1つ以上の電極を具備する放電空間と、前記複数の電極を用いる前記放電空間で前記大気圧グロープラズマを生成する手段とを具備し、前記プラズマを生成する手段は、プラズマ電流及び変位電流を発生するために前記複数の電極にACプラズマ活性電圧を印加する手段を具備し、前記装置はさらに、前記基板表面の特性の改質が防がれるように、前記プラズマを安定化するためにプラズマ生成の間に前記変位電流を制御する手段を具備する。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、装置は、放電空間を通していろいろな方向で均一な速度で洗浄されるべき基板を輸送することができる輸送手段を具備する。さらにもう1つの実施形態において、装置は、いろいろな方向に方向付けることができる複数の電極を具備する。1つの実施形態において、複数の電極は、直列に配置され、基板は、多数の放電空間を通して均一に移動される。フレキシブル基板の場合、多数の電極は、空間を確保する円形に形成することができる。さらにもう1つの配置において、複数の電極は、互いに反対に配置される代わりに1つの場所に並んで配置されうる。この場合、プラズマは、複数の電極が嵌合される平面上に生成される。
【0038】
上述及び他の、本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に関する以下の説明で示される。以下に説明される本発明は、半導体表面、透明導電酸化物を具備する表面、セラミック表面、油性表面、高分子表面、有機表面等の任意の表面に対する洗浄に同様に適用できる。上述及び他の、本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下の説明で示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、本発明の実施形態による配置の概略図であり、AC電源1は、大気圧グロー(APG)プラズマを生成するために放電空間を形成する電極配置2に接続される。電極配置2と直列に、非線形電気回路素子がチョークコイル3の形式で接続され、少なくともAC電源1を用いてプラズマパルスが生成される間、特にプラズマパルスが最大となった後、即ちパルスの終端で又はその近くにおけるプラズマの寿命期間、飽和状態で動作する。
【0040】
本発明の実施形態に従って、チョークコイル3と直列に、不飽和状態で動作する更なるインダクタ又はマッチングコイル4が取付けられる。マッチングコイル4は、移相手段として主に使用され、この目的のために適切に設計しうる。1つの実施形態では、0.7mHのインダクタンスを有するマッチングコイルは、0.1〜0.2mH間のインダクタンスを有するフェライトチョークコイル3と共に使用された。このチョークコイルに用いたフェライトは、μr=1700、Hc=20A/m、Br=170A/m、及びBsat=350A/mの3S4フェライト(MnZn)である。
【0041】
キャパシタンス5は、高調波を除去するために電極配置2に並列に接続される。このキャパシタンス5は、例えば電極配置2の浮遊容量によって本質的に形成されてもよい。
【0042】
チョークコイル3の効果は、チョークコイル3の飽和電流が少なくともチョークコイル3のない図1の回路の変位電流よりも小さい場合に最も言及することができ、以下の式になる:
【0043】
【数1】

【0044】
好ましくは、用いるチョークコイルの飽和電流は、変位電流の50%よりも大きい。
【0045】
放電空間は、処理すべき基板表面(図示せず)を受容するよう配置される。特に、比較的広い表面を洗浄するために、洗浄すべき基板は、放電空間を通して移動される。これは、処理表面の各部が放電空間で同一の滞留時間を有することを確実にするために一定速度でなされよう。しかし、用途に従って、移動パターン及び速度特性は、異なってもよい。例えば、それは、基板表面を前後に又は異なる方向に、具体的には、縦及び横で、又は他の適切なパターンで(例えば、洗浄すべき表面の形状に従って)移動するのに有益でありうる。
【0046】
もう1つの実施形態では、装置の放電空間は、いろいろな方法で方向付けることができる複数の放電空間を与える複数の電極を具備する。1つの実施形態では、複数の電極は、直列に配置され、基板は、多数の放電空間を通して水平に移動される。フレキシブル基板の場合、多数の電極は、空間を確保する円形に形成できる。さらにもう1つの実施形態では、複数の電極は、(図5で例示されるように)互いに反対の位置に配置される代わりに1つの位置に並んで配置されうる。この場合、プラズマは、平面上で生成され、複数の電極は、平面に嵌合され、基板は、前記平面上で移動される。
【0047】
図2は、本発明による代替配置であり、図1と同一の素子が同一の参照番号で示されている。図2の配置は、絶縁変圧器8を用いて放電空間2の電極構成に接続されるAC電源1を示す。複数の電極に直列に、不飽和状態で動作するマッチングコイル4が提供される。配置2の複数の電極のうち1つは、接地され(9)、接地電極と直列に、チョークコイル6が提供される。チョークコイル6は、このコイルが非線形要素の機能を果たすように、飽和又は略飽和状態で動作する。
【0048】
図3は、本発明のもう1つの実施形態を示す。ここで、AC電源10は、電極配置11に接続される。電極配置11に直列に、チョークコイル12が接続される。キャパシタ15は、電極配置11及びマッチングコイル16に並列に接続される。接地キャパシタ(ground wire capacitor)14は、電極配置11に直列に、かつチョークコイル12に並列に接続される。この接地キャパシタ14は、チョークコイル12が電源のマッチングと回路の動作とに影響することなく比較的簡単に飽和するように、チョークコイル12に印加される電圧を高めるように配置される。抵抗13は、チョークコイル12に直列に接続される。
【0049】
図2の実施形態において、電極配置11の下部電極(接地側)の電位に対するチョークコイル12の飽和の効果は、注目に値する。チョークコイル12及び接地キャパシタ14で構成されるLC回路の飽和は、大きな電位の変化を生じる。
【0050】
ここで、図1及び2のように、電極配置11及び放電空間は、処理すべき基板表面を受容するように配置される。この基板表面は、例えば、電極構成の接地電極の表面に接近するよう動かされてもよい。
【0051】
図4は、図1に示される配置を用いた本発明の方法の実施形態における、時間tに渡る活性電圧V、プラズマ電流I、及び変位電流Iを示すグラフである。説明の便宜のため、正の活性電圧Vの半分が示されている。プラズマは、以下の状況下で本発明により生成された:240kHzのLC直列ネットワークが、2mHのインダクタンスを有する共振又はマッチングコイル4と、140pFのAPG電極キャパシタンス5と、0.7mHのインダクタンスを有するチョークコイル3と共に使用され、I/Isat=1.4であった。パルス時間は、100msであった。使用したガスは、常圧でAr+20%空気であった。スパークの危険を防ぐために、かつマッチングにより、10%のデューティサイクルでパルスプラズマが用いられた。
【0052】
プラズマパルス17は、絶対パルス最大値18を有して生成されることが分かる。パルス最大値18の後、即ち略2及び3μsの時間tの間、プラズマ電流Iが減少し、負の勾配19が示される。本発明に従って、プラズマ電流Iの減少19に関して、飽和チョーク3によって引起される変位電流Iの相対的な減少20が発生する。結果として、プラズマ電流Iは、プラズマフィラメントによって生成される急激なピーク又はスパイクのない、比較的滑らかな下り勾配21を示し、所望の安定グロープラズマを提供する。説明のため、破線22は、従来技術に従って、即ち本発明の教示のない、プラズマ電流Iを示す。かなり不規則な電流波形22が観測されると、プラズマ内で予期しないストリーマー等を引起す。
【0053】
図4から、少なくともプラズマブレイクダウンの丁度前からパルス最大値18の後のプラズマパルス17間までの期間において、変位電流Iとチョークコイル3の飽和電流Isatとの間の比率は、1.2と1.6との間の範囲に含まれることがさらに分かる。この比率で、変位電流Iは、プラズマが生成される領域を除いて実質的に三角形を呈し、プラズマパルス17の開始前でパルス最大値18の後からプラズマが完全に消滅するまでの全期間に相対的に減少する。この三角形の波形は、安定したプラズマを得るのにかなり有益である。一般に、プラズマの安定性は、変位電流の勾配、即ちdI/dtを急勾配にすることによって高められる。
【0054】
図4から、プラズマパルス17の生成において、即ちパルス最大値18の前で、変位電流Iが初期に、言い換えると参照番号23で示される略1及び2μsの時間tの間で、かなり下降することも観察できる。この変位電流Iの下降23は、(不飽和の)マッチングコイル4によって引起される。従って、本発明の配置において、図1、2及び3に図示されるように、とりわけ、変位電流Iとチョークコイル3の飽和電流Isatとの間の比率が1.0と3との間、好ましくは(不飽和の)マッチングコイルを組合わせて、1.2と1.6との間の範囲に含まれるように、チョークコイルを適切に選択することによって、プラズマパルス17の生成において変位電流Iの急激な相対的減少を得ることができ、安定したグロープラズマの生成を高め、かつ維持する。
【0055】
変位電流Iとチョークコイル3の飽和電流Isatとの間の比率を1.6よりも高く増加することによって、APGの複数の電極上の電圧は、比較的三角形の波形を示すことが観察された。
【0056】
最も良好な結果は、変位電流の減少がプラズマパルスの時間スケールと比較して短い時間スケールで提供される場合に本発明で達成される。一般に、減少は、図4に示されるように、ほぼマイクロ秒程度が好ましく、又は比較的短い時間スケール内で提供されるべきである。
【0057】
当業者であれば、異符号の同様な波形が、活性電圧Vの負の半周期で発生することを理解することができる。
【0058】
図5は、本発明の実施形態による配置の複数の電極を含む放電空間の拡大図である。図5は、放電空間40を開示し、大気圧グロープラズマは、電極41と42の間で生成される。電極42は、接地される一方、電極41は、高周波AC電源(図1、2及び4の電源1又は10等)の出力に接続される。電極41は、ガラス、エナメル、アルミニウム又は他の材料である誘電体45で被覆される。代替又は追加として、電極42はまた、電極41を被覆するために使用される誘電体と同一の性質の誘電体(図示せず)で被覆されてもよい。基板表面52は、例えばガラス上に被覆されるインジウムスズ酸化物からなってもよく、いろいろな方向に回転するホイール48及び49を具備し、基板52を機械的に賦勢する輸送手段48、49及び50を用いて放電空間を通して移動される。ホイール48及び49は、基板表面52を十分賦勢して放電空間を通して基板表面を輸送するために、及びホイールの滑動を回避するために例えばゴム等の弾性材料で被覆されてもよい。ホイール50は単に、基板表面52が放電空間を離れた後に基板表面を支持する働きをする。ホイール48及び49は、例えばモーター手段によって機械的に駆動される。
【0059】
ここで、基板52は、接地電極42の表面を横断して放電空間40を通して移動される。表面52を洗浄するための1つの重要な要件は、この表面は、生成されたプラズマに接触できるように、放電空間に面することである。場合によって、処理すべき表面52を運ぶ基板はそれ自体が、複数の電極のうち1つの電極上の誘電体45に代え又は加えて、誘電体を用いるのに適した材料又は厚さにすることができる。この場合、一方の表面が電極42の表面を横切って移動され、もう一方が電極41の表面を横切る2つの表面を同時に洗浄できるかもしれない。
【0060】
ここでさらに、図5の電極41及び42は、互いに反対に位置付けられる。良好な結果が、この配置を用いて達成された。しかし、それが任意の表面を処理するのに最も適切な配置であるとは必ずしもいえない。洗浄すべき表面が、放電空間を通抜できないくらい大きな支持上で被覆される場合、互いに横に位置付けられた2つの電極を用いて、又は単一の電極を用いかつ(可能であれば)基板を接地することによって、他の適切な配置が達成されうる。
【0061】
一般に、良好な結果は、以下の条件下で達成される:
AC 活性電圧周波数:1KHz〜1MHz
RF電極上の誘電体の厚さ:0.05〜5mm
(好ましくは0.5mm未満)
間隙距離(放電空間):0.1〜5mm
チョークコイル Isat/Idisp:1.2〜1.6
【0062】
当業者であれば、添付した特許請求の範囲の記載と同一の発明概念から逸脱することなく、上述の範囲外でも十分良好な結果が達成できることを理解することができる。
【0063】
図2に示された実施形態による実施例は、本発明の方法を用いて達成された。この場合、電源1は、50〜450kHzの範囲内で調整可能な周波数を具備する交流活性電圧を提供するAC電源であった。転送電力は32ワットで、約0.4ワット/cmの出力密度に等しい。その配置は、350kHzで標準のLC直列回路を具備し、2mHのマッチングコイルと複数のプラズマ電極を示す100pFのキャパシタとを具備していた。チョークコイル6及び7はともに、1.3mHであり、かつ飽和電流と変位電流との間の比率は、略Isat/Idisp=1.4であった。
【0064】
電極配置における複数の電極間の間隙距離は、0.4mmであったが、他の実施例では、間隙距離は、数ミリメータ増加可能であることが観測された。放電空間は、大気圧でのアルゴンと略2%の酸素との混合を用いて充満され、継続的にリフレッシュされた。スパークの危険を避けるために、及びマッチングにより、10%のデューティサイクル及び100msのパルス時間のパルス信号が使用された。効率的な処理時間、即ち0.5、1〜50秒の滞留時間が用いられた。
【0065】
実施例で使用したTCOは、厚さ1mmのガラス基板上に被覆されたインジウムスズ酸化物(ITO)である。他のTCOは、ZnO、SnO及びInOであるが、ここでITOを選択したのは、TCOに最も一般的に適用されているためである。電極端上の誘電体は、本質的にガラス製であった。なぜなら、ガラスは、洗浄の処理において過度に劣化しない安定した誘電体だからである。さらに、ITO表面が汚染されない。任意の他の誘電体もまた安定している。サンプルは、ITO層が放電空間に面するように、下側電極上のAPGリアクタに配置された。
【0066】
以下の表には、上述したプラズマに曝された表面と比較して、ガラス上のITOの未処理サンプルに対する品質評価結果が示されている。処理時間は、1及び5秒であった。1秒後には既に十分洗浄された表面が得られることが観測された。
【0067】
【表1】

【0068】
洗浄前の表面に対する走査型電子顕微鏡(SEM)写真が、図6に示される。暗いスポットが、洗浄前の円60によって示された領域において図6の表面上で視認できる。同様なスポットは、本発明の方法を使用して1秒間洗浄した後の同一の表面を示す図7から分かるように、洗浄後に存在しないことが観測された。
【0069】
本発明の洗浄方法は、表面に物的損害を与えることなく、ITO表面を効果的に洗浄するために用いることができる。実施例では、表面を効果的に洗浄するには僅少な曝露時間で足りる一方、均一に洗浄された表面は、本発明を用いて達成されることが示された。
【0070】
テスト目的の有機発光ダイオード(OLED)が、(正味20秒の処理を2回)APGで洗浄された表面を用いて作成された。このOLEDの発光効率(電流密度によって分離された輝度)は、(30秒間の紫外線−オゾン(UV−ozone)処理及び各種溶剤で洗浄する)従来の方法で洗浄されたITO表面を用いて用意したOLEDの効率と比較された。大気圧グロー(APG)プラズマで洗浄された表面で製造されたOLEDは、従来の方法で洗浄されたインジウムスズ酸化物(ITO)表面で作成されたOLEDよりも平均して30%高い効率を有した。
【0071】
当業者であれば、添付した特許請求の範囲に定義された本発明の新規性及び進歩性の範囲から逸脱することなく各種変更及び追加をなしうることを理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の実施形態による配置の略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態による配置のもう1つの略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態を用いて生成されるAC活性電圧、プラズマのプラズマ電流、及び変位電流を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態による配置のもう1つの略図である。
【図5】図5は、基板表面を含む放電空間及び複数の電極を示す本発明の実施形態による配置の拡大図である。
【図6】図6は、本発明の方法で洗浄される表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真図である。
【図7】図7は、本発明の方法で洗浄される前の図6の表面について走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。
【符号の説明】
【0073】
1 AC電源
2 電極配置
3 チョークコイル
4 マッチングコイル
5 キャパシタンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の電極を具備する放電空間で生成される大気圧グロープラズマに基板表面を曝露することによって前記基板表面から汚物を除去する方法であって、
前記プラズマは、プラズマ電流及び変位電流を発生する前記複数の電極に交流プラズマ活性電圧を印加することによって生成され、かつ
前記プラズマは、前記基板表面の特性の改質が防がれるように、プラズマ生成の間に前記変位電流を制御することによって安定化される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記変位電流を制御する前記段階は、プラズマ生成の間に前記変位電流の相対的な減少をもたらすことを具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変位電流の前記相対的な減少は、マイクロ秒の割合でもたらされ、前記変位電流の前記相対的な減少は、マイクロ秒の割合で少なくとも100%であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記汚物の除去は、前記放電空間においてガス状物質又はガス状物質の混合物の存在下で達成されることを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス状物質又はガス状物質の混合物は、ヘリウム、アルゴン、酸素、窒素、二酸化炭素、アンモニア、水素、酸素とアルゴンの混合物、酸素とヘリウムの混合物、又は酸素とアルゴンとヘリウムの混合物である群のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基板の前記表面は、少なくとも1つの透明導電酸化物であることを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記透明導電酸化物は、インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、インジウム・カドミウム酸化物、カドミウム・スズ酸化物、酸化カドミウム、酸化ガリウム、及びそれらの混合物である群のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの透明導電酸化物は、誘電体又は金属表面上に被覆されることを特徴とする請求項6又は7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記変位電流は、制御手段を用いて制御され、前記制御手段は、少なくとも1つのインダクタを具備することを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのインダクタは、不飽和モードで実質的に動作するマッチングコイルと飽和状態で動作するチョークコイルとである群のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記変位電流は、制御手段を用いて制御され、前記制御手段は、前記活性電圧に重畳される電圧パルスを提供するパルス生成手段を具備する上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項2に従って、前記プラズマは、絶対パルス最大値を有するプラズマパルスを具備し、前記変位電流は、前記変位電流の前記相対的な減少が前記パルス最大値の前にもたらされるように、前記活性電圧を制御することによって制御されることを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記変位電流の前記相対的な減少を前記プラズマパルスの開始に同期する段階をさらに具備する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記活性電圧は、前記変位電流の前記相対的な減少が前記プラズマパルスの開始前にもたらされるように制御されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項2に従って、前記プラズマは、絶対パルス最大値を有するプラズマパルスを具備し、前記変位電流は、前記変位電流の前記相対的な減少が前記パルス最大値の後にもたらされるように、前記活性電圧を制御することによって制御されることを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記パルス最大値の後に前記変位電流の前記相対的な減少をプラズマの不安定性に同期する段階をさらに具備することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項10に従って、前記少なくとも1つのインダクタは、前記パルス最大値の後の前記プラズマパルス間において飽和モードで動作するチョークコイルを具備することを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
請求項2に従って、前記活性電圧は、前記変位電流が三角形の波形を実質的に具備するように形成されることを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記基板表面は、前記放電空間を通して移動されることを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記活性電圧は、1kHz及び1MHzの範囲における周波数で動作する交流電圧であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の電極のうち少なくとも1つは、誘電体によって被覆されることを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
大気圧グロープラズマに前記基板表面を曝露することによって基板の表面から汚物を除去する装置であって、
1つ以上の電極を具備する放電空間と、
前記複数の電極を用いて前記放電空間で前記大気圧グロープラズマを生成する手段と、
を具備し、
前記プラズマを生成する手段は、プラズマ電流及び変位電流を発生するために前記複数の電極にACプラズマ活性電圧を印加する手段を具備し、
前記装置は、前記基板表面の特性の改質が防がれるように、前記プラズマを安定化するためにプラズマ生成の間に前記変位電流を制御する手段をさらに具備することを特徴とする方法。
【請求項23】
前記変位電流を制御する前記手段は、プラズマ生成の間に前記変位電流の相対的な減少をもたらすように配置されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記変位電流を制御する前記手段は、インダクタと、プラズマ生成の間に不飽和モードで実質的に動作するように配置されるマッチングコイルと、プラズマ生成の間に飽和モードで動作するように配置されるチョークコイルと、前記活性電圧に重畳される電圧パルスを提供するパルス生成手段とを具備することを特徴とする請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
前記複数の電極のうち少なくとも1つは、誘電体によって被覆されることを特徴とする請求項22乃至24の何れか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記プラズマを生成する前記手段は、パルス最大値を有する少なくとも1つのプラズマパルスを生成するように配置され、前記変位電流を制御する前記手段は、前記パルス最大値の後に前記変位電流を制御するように配置されることを特徴とする請求項22乃至25の何れか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記制御手段は、プラズマ生成の間に飽和モードで動作するように配置されるチョークコイルを具備し、前記チョークコイルは、前記パルス最大値の後の前記プラズマパルス間において飽和状態で動作するように配置されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プラズマを生成する前記手段は、パルス最大値を有する少なくとも1つのプラズマパルスを生成するように配置され、前記変位電流を制御する前記手段は、前記パルス最大値の前で前記変位電流を制御するように配置されることを特徴とする請求項22乃至27の何れか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記放電空間を通して前記基板表面を移動する手段をさらに具備することを特徴とする上記請求項の何れか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−520878(P2007−520878A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546868(P2006−546868)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000897
【国際公開番号】WO2005/062338
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(505232782)フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ. (50)
【Fターム(参考)】