説明

太陽光利用システム

【課題】太陽光を電気エネルギー、熱エネルギー、光として有効利用し、パネル設置手段における平面の大きさに制約があっても、発電量、集熱量、集光量を増やすことができる。
【解決手段】光透過性の太陽光発電パネル1と、熱媒流路2を備えた太陽熱吸収パネル3と、太陽光を集光する集光部4及び集光部4で集光した光を外部に取り出す導光路6を備えた太陽光集光パネル5を備える。太陽光発電パネル1と、太陽熱吸収パネル3と、太陽光集光パネル5とが平面視で同じ外形寸法で形成される。これらのパネルを平面方向に複数並べて設置可能なパネル設置手段10を備え、パネル設置手段10に、所望のパネルを1乃至複数選択して重ねて設置可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を、電気エネルギー、熱エネルギー、光として利用する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から太陽光発電パネルと太陽光集光パネルを同一形状に形成し、該同一形状の太陽光発電パネルと太陽光集光パネルを、建物の屋根に形成したパネル設置手段に平面的に並べて設置するものが特許文献1により知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来例は、パネル設置手段に平面的に並べた太陽光発電パネルと太陽光集光パネルにより太陽光を、電気エネルギー、採光として利用している。
【0004】
また、上記従来例は、太陽光発電パネルと太陽光集光パネルを同一形状としているので、設置者の要求に応じて、建物の屋根に形成したパネル設置手段に対する太陽光発電パネルと太陽光集光パネルの設置数の割合を任意に選択できるようになっている。また、同一形状の太陽光発電パネル、太陽光集光パネルをパネル設置手段に設置するので、施工が簡略化し、構造的な連続性が確保できるという特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−250138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例は、パネル設置手段に太陽光発電パネルと太陽光集光パネルを平面的に並べるだけなので、太陽光を電気エネルギー、光としてしか利用しておらず、未だ十分な太陽光の有効利用がなされていない。
【0007】
また、太陽光発電パネル、太陽光集光パネルをパネル設置手段に平面的に並べて設置しているだけなので、太陽光発電パネル単体、太陽光集光パネル単体では受光した太陽光のエネルギーの一部しか利用できないという問題がある。
【0008】
更に、パネル設置手段に太陽光発電パネルと太陽光集光パネルを平面的に並べて設置するだけなので、設置する全太陽光発電パネルと全太陽光集光パネルとの合計面積はパネル設置手段における平面の大きさよりも小さい。このため、発電量、集光量は、パネル設置手段の平面の大きさにより制約され、パネル設置手段の平面の大きさが小さい(設置面積が小さい)場合、発電量、集光量とも小さくなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みて発明したもので、太陽光を電気エネルギー、熱エネルギー、光として有効利用し、パネル設置手段の平面の大きさに制約があっても、発電量や集熱量や集光量を目的に応じて増やすことができる太陽光利用システムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の太陽光利用システムは、光透過性の太陽光発電パネル1と、熱媒流路2を備えた太陽熱吸収パネル3と、太陽光を集光する集光部4及び集光部4で集光した光を外部に取り出す導光路6を備えた太陽光集光パネル5を備える。そして、本発明は、上記太陽光発電パネル1と、太陽熱吸収パネル3と、太陽光集光パネル5を平面視で同じ外形寸法に形成する。また、これらのパネルを平面方向に複数並べて設置可能なパネル設置手段10を備え、パネル設置手段10に、所望のパネルを1乃至複数選択して重ねて設置可能であることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすることで、本発明は、太陽光発電パネル1で太陽光を電気エネルギーに変換し、太陽熱吸収パネル3で太陽光を熱エネルギーに変換し、太陽光集光パネル5で太陽光を採光して利用できる。また、パネル設置手段10に、平面視で同じ外形寸法の太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5を平面方向に任意に選択して並べ、上下方向に太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5を一種類又は複数種類重ねて設置できる。これにより、目的に応じて、太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5の各設置枚数を自由に選択できる。また、パネル設置手段10に設置する全太陽光発電パネル1と全太陽熱吸収パネル3と全太陽光集光パネル5の合計面積を、パネル設置手段10における平面の大きさよりも大きくできる。したがって一定の面積で太陽光を受光して電気エネルギー、熱エネルギー、光として利用するに当たって、パネル設置手段における平面の大きさに制約があっても、発電量、集熱量、集光量を増やすことができる。
【0012】
また、太陽光集光パネル5に、色調が調整可能な発光手段7と、集光する光の色調に応じて発光手段7が発光する光の色を制御する制御手段8を備え、集光する光と、発光手段7で発光する光を合成して、導光路6から外部に取り出すことが好ましい。
【0013】
これにより、太陽光集光パネル5を一層のみで設置する場合は、集光する光が利用目的と異なる色調であっても、発光手段7で発光する光と合成することで、導光路6から外部に取り出す光の色調を目的とする色調に調整して利用目的に応じた光の有効利用ができる。また、太陽光集光パネル5の上方に太陽光発電パネル1を重ねて設置する場合は、太陽光発電パネル1を透過した光が利用目的と異なる色調の光であったとしても、導光路6から外部に取り出す光の色調を目的とする色調に調整して利用目的に応じた光の有効利用ができる。
【0014】
また、太陽熱吸収パネル3の熱媒流路2の下面側に、光透過性の断熱材9を備えることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、太陽熱吸収パネル3における熱エネルギーへの変換効率が向上し、また、熱エネルギーに変換できなかった太陽光を断熱材9で透過させ、透過した太陽光を電気エネルギーや光として利用することができる。
【0016】
また、上から順に太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5を重ね、太陽熱吸収パネル3の熱媒流路2が太陽光発電パネル1の下面に接触するように形成されていることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、太陽光発電パネル1から熱媒流路2に吸熱できるため、太陽光発電パネル1を冷却して発電効率を向上すると共に、太陽熱吸収パネル3における熱エネルギーへの変換効率が向上する。
【0018】
また、光透過性の太陽光発電パネル1の下方に少なくとも太陽光集光パネル5を重ね、光透過性の太陽光発電パネル1がグレー系の色であることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、光透過性の太陽光発電パネル1を透過して太陽光集光パネル5で集光された光は自然光の色調が変化せず、導光路6から外部に取り出す光として自然光の色調を維持できる。
【0020】
また、色素増感型の太陽光発電パネル1であることが好ましい。
【0021】
このような構成とすることで、光透過性の太陽光発電パネル1として、発電効率の良い色調で太陽光発電パネル1を用いることができる。
【0022】
また、光透過性の太陽光発電パネル1に太陽熱吸収パネル3を重ね、光透過性の太陽光発電パネル1が、アモルファス型の太陽光発電パネル1であることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることで、アモルファス型の太陽光発電パネル1は熱が蓄熱される傾向にあるので、アモルファス型の太陽光発電パネル1に蓄熱された熱を上又は下に重ねる太陽熱吸収パネル3における熱吸収効率が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上記のように構成したので、一つのシステムで太陽光を電気エネルギー、熱エネルギー、光として有効利用できる。また、同じ外形寸法の太陽光発電パネル、太陽熱吸収パネル、太陽光集光パネルの平面方向及び上下方向における設置枚数を選択することで、目的に応じた太陽光の有効利用ができる。また、パネル設置手段に設置する全太陽光発電パネルと全太陽熱吸収パネルと全太陽光集光パネルの合計面積を、パネル設置手段における平面の大きさよりも大きくできる。これにより太陽光の利用効率が向上し、更に、パネル設置手段における平面の大きさに制約があっても、発電量、集熱量、集光量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の断面図である。
【図2】同上の一部省略した斜視図である。
【図3】同上に用いる太陽光発電パネルを示し、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
【図4】同上に用いる太陽熱吸収パネルを示し、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
【図5】同上に用いる太陽光集光パネルを示し、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
【図6】(a)(b)はそれぞれ3種類のパネルを上下に重ねる各例を示す分解斜視図である。
【図7】(a)(b)(c)はそれぞれ3種類のパネルのうち任意の2種類のパネルを上下に重ねる各例を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態の断面図である。
【図9】同上の一部省略した斜視図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の断面図である。
【図11】同上の一部省略した斜視図である。
【図12】同上の発光手段の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0027】
本発明の太陽光利用システムは、太陽光発電パネル1と、太陽熱吸収パネル3と、太陽光集光パネル5という3種類のパネルと、これらのパネルを平面方向に複数並べて設置可能なパネル設置手段10を備えている。パネル設置手段10は、上記3種類のパネルを1乃至複数選択して重ねて設置可能である。
【0028】
太陽光発電パネル1は光透過性を有しており、光透過性を有する色素増感型の太陽光発電パネル1、光透過性を有するアモルファス型の太陽光発電パネル1が用いられる。太陽光発電パネル1は、図3示すように平面視矩形状の光透過性を有するパネル本体1aと、パネル本体の周囲に設けられた枠体1bとで構成してあり、該光透過性を有するパネル本体1aが色素増感型の太陽光発電部又はアモルファス型の発電部を有している。
【0029】
太陽熱吸収パネル3は、熱媒流路2を備えた太陽熱吸収パネル3であり、図4に示すように、枠体3a内に熱媒流路2となる循環パイプを蛇行状に配置し、枠体3aの下面に光透過性の断熱材9を設けている。この断熱材9としては、積層ガラス、赤外線を吸収し且つ可視光を透過させる膜を積層したガラスや該膜を積層した光透過性の合成樹脂板等を採用できる。循環パイプよりなる熱媒流路2には入側接続部2aと出側接続部2bとが設けてある。入側接続部2aには別の太陽熱吸収パネル3の出側接続部2bを接続するか又は給湯器の加熱部の出口に循環用配管を介して接続する。出側接続部2bには別の太陽熱吸収パネル3の入側接続部2aを接続するか又は給湯器の加熱部の入口に循環用配管を介して接続する。そして、上記加熱部、循環用配管、熱媒流路2で一連の熱媒循環流路を形成する。一連の熱媒循環流路には不凍液などの熱媒を封入し、加熱された熱媒で給湯器に溜めた水を加熱し、加熱された湯を直接使用したり、あるいは、床暖房や輻射パネルの熱源として使用するようになっている。熱媒流路2は光透過性を有する材料で形成してもよいが、熱吸収を良くするため、光が透過しない黒色系の材料で形成してもよい。黒色系の材料で形成した場合は、太陽熱吸収パネル3の熱媒流路2以外の部位を光が透過するように構成する。
【0030】
太陽光集光パネル5は、図5に示すように、枠体5a内に集光部4を設け、更に、集光部4で集光した光を外部に取り出すための導光路6を有している。集光部4としては太陽光を効率よく集光できるものであれば、従来から公知の種々の集光手段が採用できるが、一例を挙げると集光レンズにより集光部4を構成する。導光路6はグラスファイバーにより構成してある。
【0031】
上記太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5は平面視で同じ外形寸法に形成してある(つまり、平面視で同じ大きさで且つ同じ形状をしている)。
【0032】
パネル設置手段10は建築物の屋根のような構造部Bに設けられ、上記3種類のパネルを平面方向に複数並べて設置可能となっており、この複数のパネル設置手段10は、上記3種類のパネルを1乃至複数選択して重ねて設置可能となっている。
【0033】
添付図面に示す実施形態には、縦枠12aと横枠12bとで構成される設置枠12によりパネル設置手段10を構成した例を示している。縦枠12aと横枠12bとに囲まれた部分がパネル設置部13となっており、該パネル設置部13を縦方向、横方向に複数設けている。また、各パネル設置部13には内周に載置用突部14を突設している。
【0034】
そして、本発明の太陽光利用システムにおいては、上記構成の設置枠12に設けた複数のパネル設置部13に、上記構成の太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5よりなる3種類のパネルを1乃至複数種類選択して重ねて設置する。
【0035】
上記3種類のパネルを重ねるには、図6(a)のように上から順に太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5を重ねる場合と、図6(b)のように上から順に太陽熱吸収パネル3、太陽光発電パネル1、太陽光集光パネル5を重ねる場合がある。
【0036】
2種類のパネルを重ねるには、図7(a)、(b)、(c)のように上から順に太陽光発電パネル1、太陽光集光パネル5を重ねる場合、上から順に太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3を重ねる場合、上から順に太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5を重ねる場合がある。
【0037】
また、1つのパネル設置部13にパネルを1枚単独で単層として設置する例としては、図3、図4、図5に示すに示す太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5のうちいずれか1種類を選択して設置する。
【0038】
図1、図2には複数のパネル設置部13に、それぞれ、上から順に太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5を3枚重ねて設置した例を示している。
【0039】
設置に当たっては、最下段の太陽光集光パネル5を載置用突部14に載置し、太陽熱吸収パネル3、太陽光発電パネル1の順に重ね、設置枠12に設けた固定手段15で固定する。図1の実施形態では、固定手段15が、設置枠12から上方に突出したネジ棒15aと、ネジ棒15aに挿入した押さえ板15bと、ネジ棒15aに螺合したナット15cで構成してある。もちろん、固定手段15としては上記例にのみ限定されず、種々設計変更可能である。
【0040】
本実施形態において、太陽光はまず上の太陽光発電パネル1の全面で受光され、パネル本体1aの発電部で太陽光を電気エネルギーに変換して発電する。なお、太陽光発電パネル1として色素増感型の太陽光発電パネル1を用いると、太陽光発電パネル1の色調を発電効率の良い色調のものとすることができる。
【0041】
パネル本体1aは光透過性を有しているので、電気エネルギーに変換されなかった太陽光は、パネル本体1aを透過して中間に位置する太陽熱吸収パネル3の全面で受光される。
【0042】
この太陽熱吸収パネル3では受光された太陽光を熱エネルギーに変換して熱媒流路2内の熱媒を加熱する。この太陽熱吸収パネル3には下面に断熱材9を設けてあるので、熱が太陽熱吸収パネル3から下の太陽光集光パネル5側に逃げるのを抑制し、太陽熱吸収パネル3における熱エネルギーへの変換効率が向上する。
【0043】
また、上記のように、太陽光発電パネル1直下で、太陽熱吸収パネル3において吸熱して熱媒流路2内の熱媒を加熱するので、太陽光発電パネル1から太陽熱吸収パネル3が熱を奪うことになり、太陽熱吸収パネル3を冷却して太陽光発電パネル1における発電効率が低下しない。
【0044】
なお、太陽熱吸収パネル3の熱媒流路2が太陽光発電パネル1の下面に接触するように形成すると、太陽光発電パネル1から直接熱媒流路2に吸熱でき、太陽光発電パネル1を冷却して発電効率が向上すると共に太陽熱吸収パネル3における熱エネルギーへの変換効率が向上する。
【0045】
なお、太陽光発電パネル1としてアモルファス型の太陽光発電パネル1を用いると、アモルファス型の太陽光発電パネル1は熱が蓄熱される傾向にあるので、アモルファス型の太陽光発電パネル1に蓄熱された熱を太陽熱吸収パネル3で吸収して熱吸収効率を向上できる。
【0046】
太陽熱吸収パネル3を透過した太陽光は、下に位置する太陽光集光パネル5の集光部4で集光され、集光された光は導光路6から外部に取り出され、太陽光集光パネル5から離れた箇所において照明として利用される。
【0047】
このように複数のパネル設置部13に、それぞれ、太陽光発電パネル1、太陽熱吸収パネル3、太陽光集光パネル5を3枚重ねて設置すると、狭い設置面積で、太陽光を電気エネルギー、熱エネルギー、光として効率的に利用することができる。
【0048】
図8、図9に示す実施形態は、設置枠12の複数のパネル設置部13のうち、1乃至複数のパネル設置部13に3種類のパネルを重ねて設置し、残りの1乃至複数のパネル設置部13に3種類のパネルのうち任意の種類のパネルを単独で一層(1枚)のみ設置した例である。
【0049】
上記残りの設置部13に単独で一層のみ設置するパネルとしては、上記3種類のパネルすべてをそれぞれ単独で一層のみで設置する場合、いずれか2種類のパネルをそれぞれ単独で一層のみで設置する場合、いずれか1種類のパネルのみを単独で一層のみで設置する場合がある。
【0050】
これにより、本発明においては、太陽光から電気エネルギー、熱エネルギー、光を得るものにおいて、目的に応じて電気エネルギー、熱エネルギー、光のうちいずれかを重点的に多く得ることができる。
【0051】
また、図10、図11に示す実施形態は、複数のパネル設置部13のうち任意のパネル設置部13に上記3種類のパネルを重ねて設置し、他の複数のパネル設置部13に、3種類のパネルのうち異なる2種類のパネルを重ねて設置した例である。なお、上記例で残りのパネル設置部13に2種類のパネルを重ねる場合、図10の例の例に限定されず、目的に応じて、太陽光発電パネル1と太陽熱吸収パネル3を重ねたり、太陽熱吸収パネル1と太陽光集光パネル3を重ねてもよい。
【0052】
また、設置枠12に設けた複数のパネル設置部13のうち、1乃至複数のパネル設置部13に3種類のパネルを重ねて設置し、別のパネル設置部13に任意の2種類のパネルを重ねて設置し、更に、残りのパネル設置部13に任意の1種類のパネルを1枚設置してもよい。
【0053】
更に、設置枠12に設けた複数のパネル設置部13のうち、1乃至複数のパネル設置部13に任意の2種類のパネルを重ねて設置し、残りの1乃至複数のパネル設置部13に3種類のパネルのうち任意の種類のパネルを1枚設置してもよい。
【0054】
更に、設置枠12に設けた複数のパネル設置部13の全てにそれぞれ任意の2種類のパネルを重ねて設置してもよい。この場合、図7(a)(b)(c)に示す2種類のパネルの組合せ例のうち、(a)と(b)を並設したり、(b)と(c)を並設したり、(a)と(c)を並設したり、(a)と(b)と(c)を並設したりする。これにより設置枠12に3種類のパネルが必ず設置される。
【0055】
上記各実施形態は、3種類のパネルを使用するだけでなく、少なくとも複数のパネル設置部13のいずれかに2種類又は3種類のパネルを重ねて設置するので、狭い設置面積で、太陽光から電気エネルギー、熱エネルギー、光を得ることができる。
【0056】
なお、本発明に用いる太陽光集光パネル5に、図12の制御ブロック図に示すような、色調が調整可能な発光手段7と、色調センサ11を設けてもよい。本例の太陽光集光パネル5を用いる場合、太陽光集光パネル5に受光する光を色調センサ11で検知し、検知結果に基づき、制御手段8で発光手段7で発光する光の色調を調整し、導光路6から外部に取り出す光の色調を目的とする色調にする。上記色調を調整可能な発光手段7としては例えば色温度可変LEDを用い、発光手段7は太陽光発電パネル1で発電した電力又は電力会社からの電力を用いて発光する。
【0057】
上記のように、色調が調整可能な発光手段7を設けて光を合成することで、太陽光集光パネル5を単独で一層のみで設置する場合は、集光する光が利用目的と異なる色調であっても、導光路6から外部に取り出す光の色調を目的の色調に調整して取り出すことができる。
【0058】
これにより、例えば、集光する光の色調が夕方変化して昼間の自然光と異なる色調となっても、発光手段7で発光する光と合成して、昼間の自然光と同じ色調の光を導光路6から外部に取り出すことができる。
【0059】
また、太陽光集光パネル5の上方に少なくとも太陽光発電パネル1を重ねて設置する場合は、太陽光発電パネル1を透過した光が利用目的と異なる色調の光であっても、導光路6から外部に取り出す光の色調を目的とする色調に調整して利用目的に応じた光の有効利用ができる。
【0060】
なお、光透過性の太陽光発電パネル1の下方に少なくとも太陽光集光パネル5を重ねて設置する場合、光透過性の太陽光発電パネル1をグレー系の色とすることも好ましい。昼間の自然光は、グレー系の光透過性の太陽光発電パネル1を透過してもその色調が変化せず、太陽光集光パネル5で集光され、導光路6から外部に取り出す光として昼間の自然光の色調を維持できる。したがって、この例の場合は、発光手段7を設けなくてもよい。
【0061】
なお、太陽熱吸収パネル3に設ける熱媒流路2内に流す熱媒としては液体にのみ限定されず、気体であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 太陽光発電パネル
2 熱媒流路
3 太陽熱吸収パネル
4 集光部
5 太陽光集光パネル
6 導光路
7 発光手段
8 制御手段
9 断熱材
10 パネル設置手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の太陽光発電パネルと、熱媒流路を備えた太陽熱吸収パネルと、太陽光を集光する集光部及び集光部で集光した光を外部に取り出す導光路を備えた太陽光集光パネルを備え、
上記太陽光発電パネルと、太陽熱吸収パネルと、太陽光集光パネルとが平面視で同じ外形寸法で形成され、これらのパネルを平面方向に複数並べて設置可能なパネル設置手段を備え、
パネル設置手段に、所望のパネルを1乃至複数選択して重ねて設置可能であることを特徴とする太陽光利用システム。
【請求項2】
太陽光集光パネルに、色調が調整可能な発光手段と、集光する光の色調に応じて発光手段が発光する光の色を制御する制御手段を備え、集光する光と、発光手段で発光する光を合成して、導光路から外部に取り出すことを特徴とする請求項1記載の太陽光利用システム。
【請求項3】
太陽熱吸収パネルの熱媒流路の下面側に、光透過性の断熱材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の太陽光利用システム。
【請求項4】
上から順に太陽光発電パネル、太陽熱吸収パネル、太陽光集光パネルを重ね、太陽熱吸収パネルの熱媒流路が太陽光発電パネルの下面に接触するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の太陽光利用システム。
【請求項5】
光透過性の太陽光発電パネルの下方に少なくとも太陽光集光パネルを重ね、光透過性の太陽光発電パネルがグレー系の色であることを特徴とする請求項1記載の太陽光利用システム。
【請求項6】
光透過性の太陽光発電パネルが、色素増感型の太陽光発電パネルであることを特徴とする請求項1又は請求項4記載の太陽光利用システム。
【請求項7】
光透過性の太陽光発電パネルに太陽熱吸収パネルを重ね、光透過性の太陽光発電パネルが、アモルファス型の太陽光発電パネルであることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の太陽光利用システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−149577(P2011−149577A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9402(P2010−9402)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】